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原政府委員 順序はあとの方が先になりますが、まず一番の重点は、やはり道路整備財源確保の必要であります。これはもう御案内の
通り、二十九年からでしたか、道路整備五カ年計画というものができまして、五年間に二千六百億で道路整備をやりたいということで始め、それに並行して、
揮発油税収入を全部五カ年計画の費用に充てるようにという
法律を
国会でお作りになったのでありますが、その後揮発油の消費はきわめて急速に伸びておりますが、一方で自動車の台数の増加、また貨物の増加、鉄道だけではさばき切れぬというようなもろもろのことがあって、道路の整備が現在緊急欠くべからざるものだということは、もう常識になっております。もうよく御存じのことであります。そこで、これを何とかしなければいかぬというのが
一つです。これをやります場合に、何とかするのに、一般財源を充てるということも、もちろん
考えるべきことでありましょうが、何分道路整備に要ります金がなかなかけたが大きい。最近は、たしか一兆円に上る計画を十年間でやりたいというようなことを建設
当局は言うておられるようでありますが、いずれにいたしましても、その所要額が大きい、かたがた、一般財源の力にはいろいろな財政需要が重なっている、
減税しなければいいではないかといえば、それまででありますが、
減税自体も、これは他の政策にまさるとも劣らないような大きな政策事項として、その必要性はまた各方面の十分お認めいただけるところだということになりますと、
揮発油税自体で補完するという線が一応研究の対象とならざるを得ないということになります。
そこで、
揮発油税が実質上今道路のための目的税のようになっておりますが、それでは揮発油を消費する車が道路の整備によってどういう利益を受けるか、つまり目的税的なものの
考え方というのは、受益とうらはらの
関係にあるわけですから、受益を
考える、かつ
揮発油税の
税負担が現在幾らで、それはなお
増徴に耐え得るかどうか、それが各国の場合と比べてどうかというふうな点を検討するという段取りになったわけであります。それで、いろいろ
関係の所管省とも連絡をとって、教えていただきながら調べて参りますと、道路整備による受益は非常に大きいということが、その
結論として出て参りました。簡単に申しますると、
揮発油税を百億なら百億
増徴する、それで道路を改良整備する。そうすると、そこを走る車は損傷が少いばかりでなく、一番大きなコスト・ダウンになることは、早く目的地に着く、そうしますと、一番大きいのは、自動車の償却費が減る、運転手さんの人件費が非常に安く済むということになって、すぐ二割、三制のコストが節約できる、それをずっと集計して参りまますと、
日本じゅうの車がそういう百億でできた道路を全部通るというわけには参りませんが、平均的に
考えて参りますと、何年か続けて参りますと、大体そういう恩典が平均して及ぶだろうという
考え方から、そうやって参りますと、現在の台数がふえないで、貨物量がふえないでも、その利益は十五カ年——道路というものはなかなかなくならぬもので、アスファルトでも相当年数持つものでありますが、平均十五年と見て、十五年間に受けるその利益が、初めの払った
税金の倍、二百億になるという計算が出ました。これが、このように毎年車がふえ、貨物がふえておるのを入れましたり、あるいは、その他いい道になれば、舗装費も簡単で済む利益まで見ますと、四倍、五倍という利益が出る。正接自動車
業者の利益としてはそれでありますが、子の他にも利益が非常に大きいという——これは、何も私
どもだけの計算ではなくて、鮎川さんが
中心になってやっておられます
調査会がございますが、その
調査会では、私
どもと大体同じ、むしろ私
どもよりも若干上目・利益額を算定されております。そういうことでありますから、目的税として
負担していただきます場合においての受益の
関係は十分ある、まあおつりがくるくらいあるということがわかり、それでは、現在の
税負担が絶対額としてどうかというと、相当大きな
負担をしておられるわけでありますけれ
ども、この場合世界の各国と比べてみますと、ガソリンの小売価格の中で税がどのくらいの
割合になっておるかというのを見ますと、
日本は小売価格が三十七円で、そのうち税が三五%で、十三円であります。これより低いのはアメリカ、その他ではカナダというような国があったと思いますが、米国は二八%、
日本よりも安いのはごくわずかの数で、他の諸国、ことに西欧諸国の例を見ますと、イギリスの場合には小売が六十一円、うち税が三十八円入っておって、六三%の
税負担、西独においても、五十七円のうち二十六円入っておって四六%、イタリアの方は、七十三円で五十二円余り入っておって、七〇%をこえる
税負担になっておるということになっております。そうして、また各国とも、ガソリン税の
収入を道路に充てるということについては、かなりにその例がございます。特に顕著なのはアメリカでありますが、連邦・州ともそういう運営をしておる。その上に、アメリカは昨年の六月末の
立法で、今後十年間に、抜本的に道路を近代
経済に合うように整備しようということで、ガソリン税は五割引き上げをして、それを全部つぎ込むということもやっております。そのように、各国の
負担との比較を
考え、また各国のやっておることを
考え、また道路が自動車
業者に相当利益を与える。近ごろでは、自動車の通る道というものは、もう人の歩くというよりも自動車の専用道路みたいなもので、人が歩いては、ほこりをかぶってしょうがないというようなことですから、そういうことを
考えると、一般財源からできるだけ出すにしても、この際非常に大きな、言葉がきざですけれ
ども、
日本の道路を革命的によくしようという場合なので、それらを
考えて、ガソリン税をこの際上げて
負担していただくという線も、十分御承認いただけるのではなかろうかということを
考えまして、今回の法案をお願いしたわけであります。