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1957-02-20 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十日(水曜日)     午前十一時四十九分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君       奥村又十郎君    加藤 高藏君       川島正次郎君    吉川 久衛君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       内藤 友明君    古川 丈吉君       坊  秀男君    前田房之助君       山手 滿男君    山本 勝市君       有馬 輝武君    石村 英雄君       春日 一幸君    神田 大作君       久保田鶴松君    田万 廣文君       竹谷源太郎君    横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      中尾 博之君         大蔵事務官         (管財局長)  正宗啓次郎君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     昌谷  孝君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      武田 誠三君         日本国有鉄道参         与         (経理局長)  久保 亀夫君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  北海道における国有魚田開発施設等譲与等  に関する法律案佐々木秀世君外一名提出、第  二十四回国会衆法第五九号)  日本国有鉄道に対する政府貸付付金償還期限  の延期に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第六号)  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇号)  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改  正する法相案内閣提出第一一号)  産業投資特別会計法の一部をを改正する法律案  (内閣提出第一二号)  金融に関する件     —————————————
  2. 山本幸一

    山本委員長 これより会議を開きます。  この際金融に関し春日委員より発言を求められておりますので、これを許します。春日一幸君。
  3. 春日一幸

    春日委員 私は、この際政府関係中小企業金融機関に対する資金源増強措置について、政府方針はいかなるものであるかについて質問をいたします。  すなわち衆議院は昨年末におきまして、中小企業金融年末対策に関する決議を行いまして、その中で、政府関係金融機関を初めといたしまして、市中一般金融機関に対しまして、その資金源増強することのために、資金運用部資金貸付増強、もしくは政府資金大幅預託等をはかることを政府に要請をいたしたのであります。かく政府は、この院議にこたえて、国民金融公庫及び中小企業金融公庫の両政府関係中小企業金融機関につきましては、両公庫の第四・四半期資金ワクから、国民金融公庫にあっては十一億七千万円、中小企業金融公庫にあっては八億円、これを年末金融の応急の対策といたしまして繰り上げ支給することの措置をいたしました。ここに資金運用部からの第四・四半期における両公庫に対する貸付計画を見ますると、国民金融公庫が二十六億円、それから中小企業金融公庫が二十五億円となっておるのであります。従いまして、これからさきに年末金融対策としての第三・四半期への繰り上げ使用分を差し引きますと、第四・四半期の両公庫に対する貸付ワクが、国民金融公庫について申しますと十四億、三千万円、中小企業金融公庫が十七億円、こういう少額に相なってしまうのであります。このような少額では、財政資金予想外引き揚げ超過のために、今中小企業金融は超繁忙金融情勢にありますので、従いまして、こういう情勢では、とうてい中小企業資金需要を充足することはできない、まことに憂うべき段階予想されるのであります。政府は、これに対していかなる対策を講ぜんとするものであるか、これについて政府の責任ある御答弁をお願いいたしたいと思います。
  4. 足立篤郎

    足立政府委員 お答えいたします。春日委員仰せ通り、年末金融対策といたしまして、国民金融公庫において十一億七千万円、中小企業金融公庫におきまして八億円、それぞれ年間資金繰りを勘案いたしまして、第三・四半期において第四・四半期予定分のうちから繰り上げて資金運用部資金から借り入れたのであります。両公庫の第四・四半期貸し出し額は、この繰り上げを行なった後におきましても回収金が増加をいたしておりますので、私どもの方の算定におきましては、当初計画いたしました予定をなおかつ若干上回るであろうという予想は成り立つのでございますが、最近の中小企業金融実情にかんがみまして、両公庫による金融を円滑にするために、さらに運用部から両公庫に対しまして、繰り上げました額を少くとも上回る額で本年度内に追加貸付をしたいという趣旨をもちまして検討をいたしておるような次第でございますので、仰せの点につきましては、政府としても極力善処いたしたいと思っておる次第で、御了承を賜わりたいと思います。
  5. 春日一幸

    春日委員 現在市中金融一般に非常に困難な状態を示しておることは、政府も十分御承知通りであろうと存ずるのでありますが、わけて中小企業金融は、さらに非常な困難の度を加えておるのであります。これは、先般本会議における質問において、東京手形交換所不渡り手形件数実数を示しまして、政府に対して強くこれが対策を講ぜられる必要のある旨を強調したところでありますが、いずれにいたしましても、こういうような政策金融重き任務を負っております両公庫資金量が、この第三・四半期に繰り上げ使用をしたということのために非常に枯渇しておるこの段階では、政府は、この際大幅にこの中小企業金融の困難なる実情とにらみ合せて思い切った対策を必要といたすのであります。ただいま政務次官からの御答弁によりますと、これに対して何らかの対策構ずる予定であるとのことでありますがこの際、この第四・四半期もすでに半ば以上を過ぎ去らんとしておるのであります。これは、もう両融公庫資金計画または資金の実際の貸し出し、こういう実務に対して重大なる影響を持つ事柄と考えますので、政府検討は今どういう状態になっておるのであるか、具体的に、数字を示してこの際御答弁を願いたいと存ずるのであります。
  6. 足立篤郎

    足立政府委員 御承知通り自然増収等によりまして現在揚げ超になっております。あわせて最近の情勢は、資金需要もきわめて活発でございますので、中小企業金融公並びに国民金融公庫において、需要に対して資金繰りが非常に忙しくなっておるということについては、仰せ通りでございます。従って、ただいま御答弁申し上げました通り、大蔵省としても誠意を持って、すでに先食いをいたしました分については、この際ぜひとも追加貸付をいたしたいということで検討いたしておるわけでございますが、なお春日委員仰せのような点もございますので、相当大幅に追加貸付をいたしたいと思っております。  数字をあげてというお話でございますが、大体私どもの考えとしては、両公庫合せて三十五億くらいの追加貸付はぜひともいたしたいということで研究をいたしております。両公庫資金繰り状態を調べてみますと、大体国民金融公庫で、追加貸付については約十五億、中小企業金融公庫で約二十億、合せて三十五億、これだけ追加貸付をやりますれば、最近の資金需要等を考えてみても十分まかなえるのではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  7. 春日一幸

    春日委員 政府のお考え方としては、先食い分は十九億七千万円であるから、これを三十五億にすればかれこれ十五億の増になるから、これは相当施策の前進であるかのごとき御答弁でありますが、これは、私どもとしてはまことに了承いたしかねるのであります。と申しますのは、これらの両公庫に対する政府貸付計画が立てられた三十一年度当初のいろいろな見通しについて申し上げますと、この当初予算編成当時は、政府は九百八十億円の散布超過を見込んでおったのであります。ところが、政府で最近の収支実績検討いたしました結果、これが、実に逆に千、二百億円の引き揚げ超過になって参ってきた。これは、実に九百八十億の散布超過が、逆に引き揚げ超過千三百億ということでありますから、これは、三十年度散布超過二千七百六十六億と比較すれば、三十一年度においては、国庫民間から実に四千億円の資金吸収を行うことに相なるのでございます。これが、今日における一般金融の困難なる原因となっておると思うのでありますが、そのしわが中小企業に寄せられて、私が申しました通り神武景気一般にうたわれておるそのさなかに、中小企業不渡りが激化しておるというその原因の重きものをなしておるのであります。従いまして、予算編成当時の見通し、それからその後の経過というものが、明らかに狂っておるのでありますから、こういうような事態に対策いたしまするためには、これは両公庫に対して、この際大幅なる貸し出し増強措置を講じなければ相ならぬと存ずるのであります。でなければ、中小企業そのものが困った状態になって、昨年末に示されたこの不渡り激化の傾向が、さらにだんだん悪くなってくるということ、これはまとに重視しなければならないと存ずるのであります。  なお一方郵便貯金の伸び、これは最初の計画によりますと、九百九十億の計画が立てられておったのでありますが、実績見込み額は、これに九十億を加えて千八十億、こういう工合に相なっておるわけでありますから、この郵便貯金の元が、中小企業者が預託しておる資金であるという資金源の性質にかんがみましても、すべからく中小企業に対する貸し出し資金源として、これは還元的な措置を講じられることが至当であると思うのです。私は、この際中小企業が実際に困っておる現状にかんがみまして、かつは一方郵便貯金が、当初の見込み額から九十億も上回っておるというこの実態にも徴して、この際少くとも九十億全額、これを両公庫に対する貸し出し増の方向へ運用してしかるべきものと考えるが、政府は三十五億の貸し出し増補正を行うという御意見でありますが、さらに歩を進めて、この九十億全額——郵便貯金において伸びて参りましたその全額をこちらの方に運用いたしまして、よってもって中小企業金融の隘路を打開するの意図はないか、重ねて政府答弁をお伺いいたしたいと思います。
  8. 足立篤郎

    足立政府委員 私がただいま御答弁を申し上げました中で、三十五億程度追加貸し出しをいたしますれば十分ではないかと申したのは、ちょっと言い過ぎかと思いますが、春日委員仰せの点につきましては、よく私どももわかるのでありますが、ただいま御答弁申し上げました通り回収金も増加いたしておるわけでございまして、各四半期別ごと貸し出し計画と、その実績を対照してみましても、第四・四半期予想される貸し出し数字につきましては、相当伸びておりまして、当初計画が、国民金融公庫へ百十三億予定されましたのが、ただいま私が御答弁申し上げました十五億の追加貸付をいたしますと、これが約百三十五億程度になるのじゃないか。年間を通じて見ましても、当初予定の五百二十四億が五百九十億程度になるのじゃないかというふうな予想がされるわけでありまして、相当年間を通じての資金量としては、予定を上品っておるわけでございます。なおまた中小企業金融公庫にいたしましても、第四・四半期の当初計画五十八億に対しまして、ただいま御答弁申し上げた二十億をプラスいたしますと、約八十億程度のものが予定されるわけでございまして、年間を通じて三百十億の計画が、三百八十億あまりという予定になるわけでございまして、年間を通じての資金量も相当増大して参ります。もちろんこれをもってすべて解決というわけにはいきませんが、諸般の事情も考慮いたしまして、先ほど御答弁申し上げた通り、この程度まで手当をいたしたいと考えておる次第でございます。
  9. 春日一幸

    春日委員 私どもは、この両公庫における資金需要実数と、貸し出し応諾実数をいろいろ検討いたしてみますると、大体貸し出し得るものは、申し込みに対して四分の一程度のものである、かくのごとくに聞いておるわけでございまするが、いずれにしてもこういうような状況から判断いたしますれば、今次官御答弁のような少額資金増強措置をもってしては、資金需要をまかない得るものではない、満たし得る状態とは言えないことは論をまたないところであります。しかし、いずれにいたしましても、政策論議にも相なりますので、後日の機会にこれは譲りますが、いずれにしても政府が三十五億というものの増強措置を講じたという段階において、その事後の措置を講じていただかなければ相ならぬと存ずるのであります。すなわち両公庫は、予算総則の中において、資金運用部資金から借り受けられる最高額を規定いたしておるのでありますので、従って、この予算において補正措置を講じていただかなければならぬと存じます。ところが、第一次補正にはこの事柄法律案として計上されておりません。第四・四半期ももうすでに半ば以上を経過いたしておりますので、さらに資金の性格上これを公庫に流して、公庫が全国に対して貸し出し計画を立てなければならぬのでありますから、そういう資金をふやすことのための法律的措置はいつごろ講じられる予定であるのか、この際お伺いをいたしたいのであります。
  10. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま春日委員指摘の点につきましては、私ども至急部内検討いたしまして、後刻御答弁を申し上げたいと思います。御了承願います。
  11. 春日一幸

    春日委員 十分御検討あって、必要なる予算措置を講じていただきたいと存ずるのでありますが、この際特に希望いたしておきたいことは、第一次補正の中にこの事柄が何ら計上されておりません。従いまして、私は伝えられるところの第二次補正の中に、あるいは雑金処理というような形で出てくるのではないかと考えますけれども、しかし時期的に考えまして、第二次補正国会ヘの提出というものは相当時間的にずれてくる、そういうわけでありますから、必要なる法的措置はいずれ最もすみやかに措置を願わなければ相ならぬとは考えしますが、しかしながら、両公庫が実際その資金運用を通じて貸し出しができる態勢を確保していただかなければ相ならぬと存ずるわけであります。  そこで、この三月に政府が貸し出すという資金計画を、二月に両公庫貸し出しを行なって、言うならば予算にきめられております資金量全額を二月中に使って、三月分がなくなる時分をこの補正によって満たしていく、こういうような事柄も、法律事項関係なく実際上の運用としてできると私は考えるのでありますが、従いまして、政府は三月に両公庫に出そうという資金運用部のこの既定の金額を二月中に早期に出して、そして三月分については、早期に必要なる予算措置を講じて、その資金を充足していく、こういうような実際効果ある措置をとられたいことを強く要望するのでありますが、そういうことは可能であるかどうか、またそういう意思があるかどうか、この際御答弁を願っておきたいと存じます。
  12. 足立篤郎

    足立政府委員 必要によりまして仰せのような処置をとろうと思っておるわけでございますから、先ほど御質問のありました点とあわせまして、至急都内で検討いたしまして、どうせ出す資金でございますから、効果的に使われるように善処いたしたいと思っております。
  13. 春日一幸

    春日委員 後刻御検討願って、実情に即するように措置をするとのことでありますから、どうか一つ早期にその措置の講ぜられんことを、かつは、今回の増強措置が三十五億という御答弁でありますけれども、さらに省内において、この中小企業資金需給実情、それから一方、引き揚げた超過になりましたことから来たるところの市中金融逼迫実情、こういうものをよく検討されまして、さらにこの三十五億のワク増強されることのために、一段の御努力あらんことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。
  14. 小山長規

    小山(長)委員 ただいまの問題に関連してでありますが、最近の金融逼迫は、中小企業といわず大企業といわず、非常な逼迫ぶりであります。中小企業の問題に関しましては、政府施策としては、ただいまの春日君の御意見通り中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫を通じて処置する方法が第一番でありますけれども、元来、中小企業金融公庫国民金融公庫資金逼迫いたしますのは、一般金融が非常に逼迫しておるので、そこで市中企業者が、勢い中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫になだれ込んでくる、これも争えない事実であると思うのであります。そこで、中小企業金融逼迫を緩和するためには、さらにもう一段の努力が必要であろうと思うのでありますが、それには、先年末政府が施行しました金融債買い上げという方法一つあるのであります。年末に八十億程度金融債買い上げをやったのでありますが、今後この金融債買い上げはさらに続行される予定であるか、どの程度金融債買い上げ予定であるか、その辺を一つ明らかにしてほしいのであります。
  15. 足立篤郎

    足立政府委員 小山委員仰せ通り、年末金融対策の一環といたしまして、八十億の金融債公社債等買い上げを実施いたしたのであります。当時からの計画に基きまして、百二十億を今月買い上げることになっておりまして、実は本日その支払いをいたすことになっております。さらに資金運用部資金の若干の余裕もございますし、なおまたあわせて最近の金融事情も考慮いたしまして、三月に入りまして最後の手当を相当大幅にいたしたいという腹組みでおるような次第でございます。
  16. 小山長規

    小山(長)委員 今後の金融情勢もありましょうが、三月に手当をしようという金融債、あるいは公社債買い上げ額はどの程度予定されておりますか、伺ってみたいのであります。
  17. 足立篤郎

    足立政府委員 この点は、まだ数字をはっきり申し上げる段階にございませんが、大体の腹づもりとして、御質問でございますから申し上げてみたいと思いますが、三月末に予想される資金運用部繰り返し等も勘案いたしまして、できるだけ最近の金融事情を緩和するための手を打ちたいと考えておるわけでございます。大体今の予想では、二百億近くの金融債あるいは公社債買い上げが実行できるのじゃないかという見通しでおるような次第でございます。なお、その買い上げの時期をどうするかということについては、最も効果的な時期を選ぶべきでございますから、あるいは三月上旬に百億程度のものを買い、その後の様子を見てさらにできるだけの買い上げをやるか、あるいは一ぺんに時期を見てやるか、この点はまだ部内でも方針をきめておりませんが、いずれにいたしましても、ただいま申し上げた通り相当大幅な、少なくとも資金運用部余裕金を見て精一ぱい買い上げをやりまして、最近の特に金詰まり状況をできるだけ緩和いたしたい。特にこれは春日委員からも御指摘のあった通り自然増収その他の揚げ超の結果による逼迫もございますので、こういう点は政府としても責任を感じて、できるだけの処置をとりたいと考えておる次第でございまして、どうか御了承いただきたいと思います。
  18. 小山長規

    小山(長)委員 その際に、一言伺っておきたいのでありますが、十二月に買い上げた八十億については、たしか年度末までに買い戻す条件がついておったはずと思うのであります。もし金融機関が、その期限通り三月月中に買い戻しをしなければならぬとするならば、さらに二百億の金融債買い上げをやりましても、実際問題としましては、百二十億しか市中に還元できないことになると思うのですが、この年末の八十億の期限の問題はどういうふうに処置されるつもりでありますか。
  19. 足立篤郎

    足立政府委員 この金融債等買付につきましては、御承知通り、発行の若いものから買い付けておりますので、幅を広げていきますれば、だんだんさかのぼって参りまして、 十月もの、あるいは九月ものというふうに買い付けてくるわけでございますが、資金運用部の必要の必要から、四月になりますとやはり資金も要るようになって参りますから、買い戻しという処置も必要になってくるわけであります。年末の八十億がどういう期限がついておるか、私今承知いたしておりませんので、これは調べまして御答弁申し上げたいと思います。
  20. 小山長規

    小山(長)委員 この八十億については、三カ月の期限がついておるのであります。この年度末における金融繁忙は、政府がさらに二百億もの追加買い上げをやろうかというほど逼迫しておるのでありますから、従ってこの八十億についても、期限の延長の措置をとられるように要望いたしておきたいのであります。  さらにもう一つ、これは私参考のために伺っておきたいのでありますが、お返事は後刻で、けっこうであります。元米、このように金融逼迫いたしておりますのは、財政資金吸収なのであります。つまり税が当初予定したよりよけいに政府に入ってきておることから生じておるのでありますが、その税は、一体どういう経路をたどって政府機関に入るかと申しますと、民間納税者銀行の窓口に税金を払いに参ります。そうすると、銀行は、それを一応受け入れますが、それは、日本銀行代理店として受け入れるのであります。そういたしますと、その日本銀行に入った金は、直ちに国庫収入になってしまう。国庫収入というのは、日銀の中で、金融上は帳消し勘出定になってしまいますから、民間に還元をされないのであります。それで私伺いたいのは、こういうふうに税金が入って、すぐ自動的に国庫収入になって、それが直ちには民間に還元されないというこの制度について、実は疑問を持っておるのであります。このような揚げ超がはっきりわかっておるときには、日銀回収期間を、現在はたしか二日になっておるはずでありますが、それを一週間延ばしてやるとか、あるいは十日延ばしてやるとか、半月延ばしてやるとかいうような措置をとれば、わざわざこんな金融債買い上げとか、めんどうくさい措置をとらなくとも、金融は自動的に緩和するはずなのであります。一体そういう措置をとればどのような弊害があるのか、なぜそれをとらないのか、あるいはどこにその障害があるのか、これを、後刻でもけっこうでありますから、伺っておきたいと思うのであります。
  21. 足立篤郎

    足立政府委員 小山委員ただいま御指摘の点は、技術的な問題で、非常にむずかしい点もあるようでございますから、部内でも研究いたしまして、後刻御答弁申し上げたいと思います。
  22. 山本幸一

    山本委員長 次に、日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。質疑通告者横山利秋君。
  23. 横山利秋

    横山委員 日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、昨年当委員会において、この三十億何がしという貸付金については、言うならば無条件で一年延期をいたしたのであります。本年はそれを形を変えて、この法案によりますと、三十二年から三十六年までの五年間に分割して償還させる、こういうのであります。去年とことしと延期について形を変える理由がどういうところにあるのか。何か国鉄としては、確実に財政上返還する余裕が生じ、前途にそういう保障を得られておるのかどうか、まだ変った理由をお伺いいたしたい。
  24. 久保亀夫

    久保説明員 お答えいたします。昨年は、三十一年度財政事情からはとうてい償還は困難であるということで延ばしたわけでありますが、法律の精神からいえば、ことに独立採算制の建前であります以上、法律の規定に従って返すというのがむしろ当然でございます。三十二年度度も、当然法律趣旨から申せば、三十億あまりを返還するというのが本筋でございますが、国有鉄道の財政につきましても、本年度は、昨今米の経済の活況を反映しまして相当増収も予想され、それからまた経費についても徹底的に合理化をするということで、若干財政状態はよくなった。しかしながらまだ赤字という状態でもあり、一方運賃の引き上げにつきましては、もっぱら輸送力の増強に使っていく、こういう建前でございますので、その両方を勘案いたしまして、三十億全部を来年度返すのは無理である、しかしながら当然の建前として、若干自然増収の増加等とも見合いまして、六億程度返還するということが妥当であろうということで、 大蔵省、運輸省等のお考えも入れまして、さようにお願いしたわけでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 増収は多少はある、経費も多少合理化できる、そうしてある程度の金が出せる、こうおっしゃるのですが、そういうことであるならば、それは今日直ちにこの方面に回して国家に対する返済金をしなくても、ほかに使う方法として、国民の福祉なり利益なり、あるいはいろいろの角度はありましょうけれども、問題のあります運賃を軽減することの方が、今日の問題としては妥当なことではなかろうかと思う。今、経理局長は出す方の立場で御答弁をなさいましたが、政府の方として取る方の立場、つまり賃金を返せという立場で、私の質問に対して御答弁を願いたい。
  26. 中尾博之

    ○中尾政府委員 実は、取る方と申しますと何かおかしいのでございますが、一般会計の方としましては、これを返していただくという立場があるので、ございます。別に税金をかけておるわけではございませんので、実は御用立ていたしました分を返して、いただく。それが先ほど御説明がございましたように、国鉄の独立採算制の見地からいたしまして、これを返していただくということでございます。しかしながら、現在までのところ、国鉄の経営の状況から見まして、これをしいて返していただくということになりますと、国鉄の経営にもいろいろ御不便がございました。それが今回条件がだいぶ変りまして、先ほど御説明のあったようになりましたので、これを返していただくことになったわけであります。ほかの経費に使えというお話がございましたが、これは決して経費に使うわけではございませんで、返していただく分であります。なお返すものにつきましても、国鉄の当面の輸送の需要に対処いたしましていろいろ御計画があるわけでありますから、これらの計画に支障のない範囲内においてこの金額を確定いたしまして、なお今後これを全額返していただくにつきましても、無理のないように計画を定めまして、それで返していただくことにしたわけでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 どうも政府の国鉄に対する態度というものは、私は解しかれるのであります。去年、やはりこの一年まるきり延ばすというときに、私は聞いたはずです。あのときまるきり延ばしておいて、今度は逆に本年度は三十六億、来年度は七十二億の固定資産税をとる。それでもって片一方に運賃の値上げをやるという。その辺の理屈、政府の国鉄に対する方針というものが、私はきわめて不鮮明だと思う。今国鉄当局は、運賃値上げは一生懸命になっておられる。私どもは運賃値上げに反対であるけれども、少くとも共通の問題として、運賃値上げをあなたの方でされるというならば、その国鉄から返していただくにしろ取るにしろ、少し控えたらどうか。そうして、少しでもあなたのいわゆる運賃値上げをその中で軽減するようにしたらどうか。これはきわめて常識的じゃないですか。それを、本年度七十二億の固定資産税を取り、しかも返していただく、こういう法律案が出ておるところに十分解せないものがある。これは、どうしても政府として返していただかなければならぬものであるか、今日どうしてもこれを返させる必要があるものであるかどうか、その絶対的な理由というものは一体どこにあるかが伺いたい。
  28. 中尾博之

    ○中尾政府委員 国鉄の経営のある時期におきまして、そこに支払い上の支障を生じましたので、これを御用立ていたしたわけであります。もちろん御用立ていたしましたのは、納税者が御用立ていたしたのでありますが、国鉄の独立採算の原則から申しまして、これを本来の国鉄の経営でもって順次返していただくというのが、原則でございます。いつ返さなければならないかというお話でございますが、別に営利目的で貸し付けた金でもございませんから、そういうことはございません。元来、これはそのときの事情によりまして、必要な金を一時お貸ししたわけでありますが、国鉄の方の事情は、償還余裕がなかなか見出せません関係上、数次にわたって、その期限を延長したわけであります。なお昨年度におきましては、結局本来の四月に返すという方針が一応立ちまして、法案の提出をお願いしたわけでありますが、四月中ではなお国鉄の実情に沿わないものがあるというところから、これを延長いたしたのでありまして、現行の法律を緩和する法律であります。
  29. 横山利秋

    横山委員 あなたが言っているのは、私の質問に対する答弁になっていないじゃありませんか。何を言っているのです。去年もとにかく一年延ばす、それだけ延ばして、ことしに限って、どうしてもこういう計画によって返済をしなければならぬ理由は一体何であるかというのを、そのものずばりで聞いておるのですから、そのものずばりで答えて下さい。
  30. 中尾博之

    ○中尾政府委員 繰り返して申し上げることになるのでございますが、これは、もともと返していただくということになっておるものなんであります。現行法におきましては、合理化を待ちまして、ことしの四月に返すという計画になっておったわけでございます。若干その計画も進んだのでございますが、なお金額を一時に返すということは事情が訂しませんから、従いましてこれを延長いたすのでございます。
  31. 横山利秋

    横山委員 そんなことは初めからわかっておるので、一年延ばし、二年延ばしやってきたものを、ことしに限って——あなたの言う議論なら、別に去年とことしと変っていないのです。それを、ことしなぜこういう具体的な計画を立てなければならぬかということを聞いておる。去年とことしと答弁が一緒では、何の答弁にもならぬのです。ことしに限って区分けをして、何年計画で返させる、その理由を私は重ねて聞いておる。
  32. 足立篤郎

    足立政府委員 ざっくばらんに申し上げますと、運賃を改正して、国鉄も相当増収になるという際に、国から借りたわずか金——国鉄全体から見ればわずかなんですが、これを返せないということは、一方からいえばまた批判の余地もあると思います。しかしながら、運賃改正につきましては、仰せ通り国民の間にも反対も非常に強いし、経済に及ぼす影響も考慮しなければならぬということから、一方からいえば、運賃改正というものを必要最小限度にとどめて、そうして、そういう国が今までめんどうを見たものについては、まあ徳政をしいて免除するか、あるいは延ばせという議論も成り立つわけであります。政府としては、これは非常に政治判断といいますか、苦しい点もあるわけでありますが、こうした国鉄の整備をやろうというときに、少くとも独立採算である以上、一般会計から借りたものをほおかむりでいくわけにもいきますまい。これはやはり筋を通して、返すものは返すという償還計画を立てるべきだ。一方運賃改正の方は、現況にかんがみまして、輸送力の整備に絶対必要なものだけはやむを得ないというので踏み切ったわけでございます。さような考え方で、筋を立てて、返すものは返す、一方運賃改正をやるべきものはやって、この輸送力の増強という緊急事態に対処すべきものは対処する。私どもとしては、こういうふうに一応割り切ったつもりでおるわけでございまして、決して去年の惰性で考えておるというわけではございません。
  33. 横山利秋

    横山委員 政務次官のようにさっぱり答弁してもらえば、私どもも話が早く済むのです。たださっぱり過ぎて、国民の方が納得できないだろうと思います。借金をお客さんにも持ってくれ、こういうことでしょう。それどころではないですよ。さっき言ったように、結局運賃値上げの必要のあるところへ、新たに固定資産税を七十二億円、これこそほんとうに新しく取ることになっているのですから、政務次官はまだ御存じないかもしれませんが、本年度は三十六億円、来年度は七十二億円。今度の運賃改正一割三分で年間どのくらいの収入を見込んでいるのですか、それをまず伺いたいと思います。
  34. 久保亀夫

    久保説明員 三十二年度で大体三百六十五億程度でございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 一割三分上げて、三百六十五億もうけて、その中からまず七十二億円来年度も固定資産税をとって、そうしてこの法律で六億、かつて加えて政府と国鉄の話し合いで二十四億別に返す、合計百二億円の予定しないものが取られる。これは政務次官、話が少し違いはしませんか。それから、これは借りたものだとおっしゃる。それならば、今国鉄が政府から借りているすべての借入金及び債券はどのくらいになっておりますか。今度の三十億円、そのほかに政府から借りている公債とか借入金というものは今一体幾らくらいあるか、それはどうするというのですか。
  36. 久保亀夫

    久保説明員 借入金の中身を申しあげますと、直接政府一般会計から借りております額は、三十年度末、今日もそうでありますが、総計で五百八十五億でございます。このうち大部分が、日本国有鉄道法のできましたときに、例の国鉄特別会計で持っておりました公債を肩がわりしてもらったということで、政府からの借入金ということに名前は変っておりますが、そういうものを合せて五百八十五億がいわゆる政府から借りている金、そのほかに、これももちろん政府でございますが、資金運用部から借りておりますのが、前年度末で八百十三億ありまして、そのほか債券が約三百億ほどありまして、総体で千七百億、こういうことになっております。そうして、一番初めに申し上げました五百八十五億のうち、今度法律改正で出ておりますのが、三十億余り入っているわけであります。そうして、実は来年度予算に、ただいま申し上げました五百八十五億のうち、この分を六億返しますのと、それから国鉄になりましたときに肩がわりしました借入金を——将来のことはわかりませんが、とりあえず二十四億その分を返そうということで、そういうものを入れて約三十億古い債務を返す。そのほかに資産運用部からの年賦償還とか債券の償還とかいうものであります。そういうものが三十億来年度の七十四億の中に人っているわけであります。
  37. 横山利秋

    横山委員 今の話を、承われば、三十億のうちの六億は法律で返す、そのほかに五百億ばかりある政府からの借金については、法律を用いずして来年度二十四億返す、こういうことをおっしゃっているのですか。
  38. 久保亀夫

    久保説明員 法律を用いずというお言葉ですが、正確に申しますと、日本国有鉄道になりました際に、法律に基きまして、その当時国鉄特別会計が持っておりました公債を一般会計に帰属させる、ただし、ちょうどそれに見合う額を、日本国有鉄道政府に対する借入金とする。そうしてその条文によりますと、もともとその公債の償還期限、利子等がきまっております。それと同じものをそのまま債券として政府に借りるのだということで、これは昔の古い公債でありますから、どんどん償還期限が来ているわけであります。これに対しましては、運輸省と大蔵省とが毎年お話ししまして、苦しいときには償還期限の延長、あるいは借りかえという方法をとってもらいまして、昨年までは延ばしていただいたということで、償還期限は実はどんどん来ているわけであります。これを、毎年法律によらずして借りかえ、もしくは償還期限を延ばすということでやってもらっておったわけでございますが、来年度は先ほど冒頭に申し上げましたような理由で、返すべきものは返すということで、来年度予算事情財政事情を見て、合せて三十億返すという計画を立てたわけであります。
  39. 横山利秋

    横山委員 それはきわめて不明快な答弁です。国会に六億返すについて法律案を出しておいて、二十四億は大蔵省と国鉄の間にやみ取引をして、そうして返す返さぬということをやっておるとは、国会をどういうふうに考えているのか、大蔵省では、そういうことをやっておる以上、多少は理屈もあるだろうけれども、まさに常識的に考えてみても、六億返すについて、国会にこれだけ集めて、やっさもっさやらせておいて、二十四億返すについては、国会の御審議は得ません、そうして適当に大蔵省がいばって、おい返せ、返さないとこわいぞという話をされておることは、きわめて不明快千万であると思うのですが、いかがですか。
  40. 中尾博之

    ○中尾政府委員 話が二つございますが、その最初の六億の分でございます。これにつきましては、期限がきまっております。これを延長いたしますのは、財政法の規定もありまして、これを法律でもって承認を得ませんと、その期間を延長するというわけに参りません。これは、納税者のお金を貸しておるのでありますから、やはり納税者自身の御了解を得ませんと延ばせぬのであります。そこで延ばす法律をお願いいたしておるわけでございます。先回も延ばす法律をお願いいたしました。そのお願いするときには、これだけ延ばしましたら回収いたしますという気持であったのでありますが、なお、事情が許しせんで、さらに分割して回収することにするという御了解を得るために、ここで法律をお願いするわけであります。  なお先ほどお話に出ました、二十四億につきましては、これはすでに日本国有鉄道法施行法の第九条におきまして、法的措置がとられておるのであります。第九条の五項におきまして、支払い期日その他の変更について、国会の御議決を得ておる次第でありまして、まさにそのための規定がここにちょうだいいたしてあるわけであります。それでもってやっておりますので、法的には御議決を得た通りにやっておるという次第でございます。
  41. 横山利秋

    横山委員 国会の議決を得ているといっていばるのだけれども、それを評していんぎん無礼というのです。少くとも返すときにはそれはいいだろう。けれども常識的に考えた場合、あなたは法律の虫か鬼か知らぬけれども法律の規定だけではだめですよ。六億を返すときには議論を国会に求めて、二十四億返す問題については国会の磯論を要しないというのは、何ぼしゃくし定木にあなたがお考えになっておるか知らぬけれども、常識的に納得がいかぬと思うのです。これは、もう一ぺんあなたも単なる法律の虫や鬼でない立場において考えを願う必要があろうと思うのです。  そこで、政務次官にもう一ぺんお伺いしますけれども、あなたは運賃値上げをする機会に、こういう借金もついでに片をつけた方がさっぱりしていい、こういう御意見をおっしゃいましたが、一体これらの返済に要する資金を利益によって、生み出す、借金も利益によって返済していくということは、私企業においてはなるほど妥当な意見でもあろうと思うが、けれども公共企業体である国鉄において、運賃の中にそういうものを織り込むということは、ほんとうにあなたはそれを妥当だと思っておられるのでありましょうか、もう一ぺんお伺いいたします。
  42. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま法規課長からお答え申し上げた通り、御指摘の二十四億につきましては、すでに国会の議決を得ました法律に基いて返済計画を立て、今回の特別会計の予算にも、これを盛り込んで国会の御審議を願うことになっております。私は、筋は通っておると思うわけでございます。横山委員の御指摘の点も、常識問題としてわからぬではありませんが、この場に六億と一緒に出すべき性質のものではないという考え方を、私どもは持ってております。
  43. 横山利秋

    横山委員 そんなことを私は聞いているのではないのです。あなたはさっきからこだわって、そればかりいかぬなとお考えになられたかもしれぬけれども、私の今聞いたのは、それと全然違うことなのです。あなたは、さっき運賃値上げするのに際して借金を返させることが妥当であるとおっしゃった、そのことは、つまり民間企業なれば、もうけて借金を返すということはいいであろうけれども、公共企業体である国鉄にそういう一般的な基準を当てはめることが妥当であろうかどうか、こういうことを聞いているのです。
  44. 足立篤郎

    足立政府委員 わかりました。私は、その点は先ほどお答えしたつもりなのです。と申しますのは、両面からする批判が運賃改正にあるだろう、この六億の扱い方につきましても、両方の批判があるだろう、だから政府としては、この際かような筋目を通した処置をとるべきだという判断をしたということを申し上げたのでありまして、今横山委員の御質問の中に、私が、あたかも運賃改正によってこういう返済をすべきだと申し上げたようにおっしゃっていらっしゃいますが、さように申し上げた覚えはございません。そこで、今回の運賃改正につきましては、この返済金の問題は、直接運賃改正の要素になっておりません。もちろん独立採算を建前とする企業体でございますから、全般的なもうけの中から政府に対する借入金を返済していくということは当然でございますが、今回の運賃改正の直接の要素にはなっておらぬということをお答え申し上げます。
  45. 横山利秋

    横山委員 さっきの話と少しニュアンスが違ってきたわけですが、公共企業体の国鉄なり、あるいは電通でも専売でもそうですけれども、公共企業体の借金、借金といっても、これは公共性の立場においてそういう仕事をするために、年々歳々借金がふえてきておったろうし、今話を聞けば、千五百億ですか千七百億か、千七百億ともいう借金を今ここにこれからの乗客に転嫁するということが妥当でないとするなら、そういう理論をあなたがお持ちであるとするならば、それじゃ一体どういう方法でやるのが一番妥当であるかということを私は考えなければならぬと思うわけです。従ってそういう立場に立てば、この運賃改正をする機会に借金をきちんと返済計画を立てさせるということは、それ自体ではあなたの御意見とも相待って筋が通らない。先般答申にも、少くとも公社になったときの借金などというものは、政府出資によって、全部を一時でなくともある程度肩がわりの方向にいくべきではないか。公社として新しく出発したのであるから、そのとき以前の問題については、そのとき以降と問題を変えて、政府出資によってある程度肩がわりさすべきではないかということが出ておるわけなのですが、政府にはそういう考え方はないのかどうか、一つお伺いいたしたいと思います。
  46. 足立篤郎

    足立政府委員 大蔵省といたしましては、大事な国民の税金を預かっているところでございますから、長い間国鉄に相当な金を貸し付けて、これが焦げつきになっておるということでは実は相済まぬわけです。ざっくばらんに申し上げて。でありますから、運賃改正をするときには、えてして、そんなに増収があるならば一ぺんに返してもらいたいという気持にあるいはなろうかと思いますが、その判断につきましては、先ほど申し上げた通り、運賃改正の一般社会に及ぼす影響の重大性を考えまして、今回の運賃改正にはこれは直接盛るべきでないという観点に立って、政治的判断をいたしてかような処置をとったわけでございます。これが運賃改正の引き上げ要因になっていないという数字的な説明につきましては、経理局長も見えておりますから、経理局長から具体的に申し上げたいと思います。
  47. 久保亀夫

    久保説明員 来年度について申し上げますと、収入の増加、これは運賃改正を含まない現行運賃での収入増加は二百八十五億でございまして、これに対して経費がふえますのは約百億、ただしこの中には固定資産税の増加を含んでおりますから、さらにこれを差し引きますと、ネットのいわゆる企業努力による資金の捻出というものは二百数十億にわたるわけでありまして これを資金として今のような借金を返していく、こういう筋に相なるわけであります。
  48. 横山利秋

    横山委員 それは、運賃の一割三分の構成要素の中へこれが入っておるかいないかという点については、ずいぶん議論もありますし、時間もかかるので私はやめますけれども、少くともこの機会に、来年度七十二億の固定資産税を新たにとり、そうしてここに三十億何がしのこの借金を返させるということを軌を同じうしておやりになるという結果は、国鉄の全部の収入支出の中で、これは運賃値上げの構成の中に入っていないといっても、国民は納得しないと私は思うわけであります。きわめて常識的な、すなおな考え方をするならば、三百億という運賃値上げをしても、この中で百億ばかりは借金の返済や税金の方に回ってしまうという印象を免れがたいといわなければならぬわけです。私が言いたいのは、そういうような立場に立てば、少くとも政府出資によって肩がわりをするというふうな方向において、公社以前の国鉄、ほんとうの名実ともに国鉄といっては語弊がありますけれども政府の直属機関である国鉄の当時、公共性のために尽くされたこれらの費用というものは、やはり出資によってなさるべきではないかと思うわけでございます。もう一つの考え方としては、答申の中にございますように、今後政府とそれから国鉄との話し合いによって、六億なり、二十四億なり年々歳々返すというについては、もしも政務次官が国鉄からどうしてもとるとおっしゃるならば、国鉄にとりやすいような態勢を整えさせる必要はないか。たとえば減債基金制度を、かねがね学者の間でも議論のある減債基金制度を設定させてやる、そうして返済計画をきちん立ててやる。毎年々々大蔵省からは返せ返せという話で、それを押し合いごんぼで途中で妥協して、そうして何か筋のわからぬようなことでやるようなことでなしに、減債基金制度を国鉄に設定せしめて、そういう準備の中でやらせるという必要を感じないのかどうか、この点を重ねてお伺いいたします。
  49. 足立篤郎

    足立政府委員 この処置が今回の国鉄運賃値上げと全く関係のない点につきまして、は先ほど申し上げた通りでござまいます。かりに運賃値上げの問題がなくても、すでにことしの四月に期限が迫っておるわけでございますから、その通り国鉄が合理化をして返すというならば、この法律の御審議をわずらわす必要はないわけでありますが、これを期限を延長し、計画を立てて国鉄に返させるということのためには、これは運賃引き上げの問題がなくても御審議を願わなければならなかった問題であります。従って、これは全く別個の問題であるからむしろ国鉄の合理化を促進し、計画的にこれを返させるという処置になろうかと思うわけでございます。同時に、今お話しの国鉄自体が返済計画を立て、あるいは国鉄の内部に減債基金のような特別会計的なものを設けて、年次計画立てて返したらどうかというお話でございますが、国鉄の合理化については、かねて問題になっているわけであります。ただいま経理局長から御説明申し上げました通り、国鉄自体が自力で来年度二百数十億の増収を見込んでおるというのは、これは合理化が大きな要素になっているわけでありまして、かようにしていきますれば、私は今横山委員の御指摘のような特別なものを設けなくても、計画的な返済が成り立つのではないかというように考えておるわけでございます。
  50. 横山利秋

    横山委員 それはあなた、財務次官失礼な話だけれども、減債基金制度というものを、私は少しあなたにお考え直しを願いたいと思うのです。それから合理化とは何ぞ、合理化とは帳面ずらを合せて収支とんとんということが合理化でもありますまい。真の合理化というものは、そういう数字が合うか合わぬかという議論でなくて、より経営が健全に、かつ国鉄としての使命が達成をされる、国民にサービスが提供されるという意味が真の合理化でなくてはならぬと私は思うわけです。減債基金制度についても、もうかっていけば、利益が上っていけば自然できるではないかということは、それではもうからなかった場合にはどうなるのかという議論に逆にさかのぼるわけです。それを、もしもあなたが国鉄の千七百億円に達する借金を国鉄をして健全に返納せしめるという、 この法案のような立場をおとりになるならば、この際国鉄に千七百億を長期であろうと、どれだけたつかわからぬけれども、とにかく減債基金を設定して、その中でやっていかれる、自力で返済計画をきちんと立てさせるということをあなたはお考え願わなければ、仏作って魂入れずと申しますか、これは机上の空論に私はなると思います。いま一度お伺いをいたしますけれども、もしそういうお考えがあるならば、減債基金制度を設定することについて、慎重な調査と研究をされることを要望していと思いますが、いかがでありますか。
  51. 足立篤郎

    足立政府委員 横山委員仰せの点は、この問題を真剣に考えますと、確かに一理と申し上げては失礼でございますけれども、根拠のある御説だと思います。しかし仰せのような措置を直ちにとるといたしますと、これは国鉄も義務づけられるわけでありまして、なかなか資金コスト等も上ってくるというような問題もございまして、むずかしい点も、あろうかと思います。従って将来の問題として、これは確かに私どもも、仰せの点十分含みまして検討をしなければならぬ問題だというふうに考えております。
  52. 横山利秋

    横山委員 将来私の主張に対して十分検討するとおっしゃるのですが、あなたの答弁の中に、国鉄がこれによって義務づけられ、国鉄も困りはせぬかという話、国鉄としては、この減債基金制度についてどういうお考えをお持ちですか。
  53. 久保亀夫

    久保説明員 この点につきましては、ただいま政務次官が申されましたように、国鉄経営調査会の答申にも減債基金制度の確立ということをうたってございます。私ども真剣に検討いたしております。ただし、そのためには、たとえば来年度発行いたします債券等についてもある程度繰り入れるとか、こういうことをいたしていくわけで、さしあたり来年度たちまちある程度資金繰りをしなければならぬ、こういったようなことも考えまして、私ども五カ年計画といたしましては、だんだん輸送量の増加、あるいは経営合理化の徹底といったことで、さらに一そう企業努力をしまして、自己資金を捻出していこうという孝え方でおりますが、相当やりましたけれども、来年度たちまちそこまでの資金繰りということはなかなかむずかしいということで、制度を十分に検討しながら、五カ年計画の間にそういう制度を確立したいということで研究しておるわけでございます。
  54. 横山利秋

    横山委員 長くなりましたから、これでやめますが、私は、この法案の質疑応答を通じて、やはり合点がいかぬところがますます多いと思うのです。法律的なことよりも、国民は今運賃値上げについて非常な関心を持っている。政府も、国鉄当局も、何とかそこのところを納得してもらいたいという努力をされておるようです。されておるきに、去年一年まるきり延ばす、おととしも延ばすというふうに延ばしてきたものを、特にことし計画を立てて返済をきちんきちんとしろ、こういうふうなことや、固定資産税を七十二億円もことしはとるということ自体にどうしてもこれは納得がいきません。もしも政務次官がおっしゃるようにそんな一般企業のように、利益で借金を返せとはいわぬ、直接にそういうことをせぬとおっしゃるならば、この法案についてやはり再検討されて、そうして本来的な前の借金については、政府出資によって肩代わりし、これからのお客さんに迷惑をかけぬ。従来それらの金は、旧国鉄当時の公共性のある新線開発とか、その他の問題もやってきたのであるから、これは国の産業のうちの大事なこととしてやってきたのであるから、政府出資にしてやるというふうにやられるのが、私は当然ではなかろうかと思うわけです。減債基金につきましても、私の漏れ聞くところによれば、かねがね学者からの議論もあり、国鉄も希望したそうでありますが、政府側としては、これはなかなかうんと言わない。うんと言わないでおいて今こういう態度をとられるということは、これまた私はいかがかと思うわけです。しかし、済んだことを議論してもしょうがありませんから、一つこれから減債基金制については、双方とも十分な研究をされて、そうして確実な方途において、国鉄側の減債の総合的計画の中でなされるように私は希望いたしまして、質疑を終わります。
  55. 山本幸一

    山本委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ、本法律案に対する質疑はこの程度で終了し、討論を省略して直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり 〕
  56. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  これより採決いたします。本法律案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  57. 山本幸一

    山本委員長 起立多数。よって本法律案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  58. 山本幸一

    山本委員長 次に、第二十四回国会より継続審議となっておりまする佐々木秀世君外一名提出にかかる北海道における国有魚田開発施設等譲与等に関する法律案を議題として審議に入ります。    本案施行に要する経費   本案施行による減収見込みは、約三  千三百万円である。     —————————————
  59. 山本幸一

    山本委員長 この際お諮りをいたします。本法律案に対する提案理由の説明は、第二十四回国会においてすでに聴取いたしておりますので、今回はこれを省略するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  この際お諮りをいたします。本法律案に対する質疑は別にないようでありますから、本法律案に対する質疑はこれを省略するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  この際申し上げますが、国会法第五上七条三の規定によりますと、委員会は、議員の発議にかかる予算を伴う法律案については、内閣に対し意見を述べる機会を与えなければならないことになっておりますので、政府側において御意見があればお述べ願いたいと存じます。
  62. 足立篤郎

    足立政府委員 ただいま議題となっております本法律案につきまして、政府の見解を申し上げます。  この法案において譲与の対象となっております住居、給水施設及び漁船等は、国が北海道の未開発魚田を開発すめためと、あわせて樺太、千島等からの無縁故引揚魚民の援護をはかる目的で、昭和二十二年度及び昭和二十三年度予算において設置された国有財産でありますが、当該財産のうち住居につきましては、現在国が北海道に対し無償で貸し付けておりますし、なおまた住居等の施設は、当初魚田開発事業が緊急に実施されたため、きわめて簡易な一時的なものでありまして、現在においてはその腐朽はなはだしく、国において直接維持管理することが困難であります。これを財産の所在する地方公共団体に譲与して、直接維持管理させることが適当と考えるのでございます。なお本法案による漁船等の使用者は、すべて樺太、千島等からの無縁故引揚者でありますので、保護を要する生活困窮者であります。従って、債務の免除もまたやむを得ないと考える次第でございまして、本法案につきましては、政府としては異存はございません。
  63. 山本幸一

    山本委員長 これより討論に入りますが、討論の通告がありませんので、討論を省略して直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。  これより本法案についての採決をいたします。お諮りいたします。本法律案を原案の通り可決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  この際お諮りをいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続き等につきましては、先例によりまして委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり 〕
  66. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後は大蔵大臣が出席をされることになっております。従って午後二時かっきりから再開することにいたします。   暫時休憩いたします。     午後一時五分休憩      ————◇—————     午後二時三十一分開議
  67. 山本幸一

    山本委員長 それでは休憩前に引き続き会議を開きます。  食料管理特別会計法の一部を改正する法律案補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案、及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三法律案を一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順に許します。神田大作君。
  68. 神田大作

    ○神田(大)委員 きのう私が食管の赤字百六十一億円を補正予算で埋めるべきであるというようなことを申したのでございますか、この場合に、これは借入金で埋めても差しつかえないというような御答弁でございますが、これの法的根拠を御明示願いたい。
  69. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 財政法には、第何条でありましたか、政府が公債を出して、あるいは借入金をして歳出をまかなう場合が限定されております。第四条でございますが、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」これは原則でございます。これに対しまして、特別会計につきましては別段の規定をすることができるという規定が財政法にございます。第四十二五条「各特別会計において必要がある場合には、この法律の規定と異なる定めをなすことできる。」こういう規定がございます。食糧管理特別会計法第二条と第三条をごらんいただきますと、「本会計ニ於テ食糧及農産物等ノ買入代金以外ノ経費ヲ支弁スル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ借入ヲ為スコトヲ得」これは第二条です。第三条には「本会計ニ於テ食糧及農産物等ノ買入代金ノ財源ニ充ツル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ一年以内ニ償還スヘキ証券ヲ発行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ為スコトヲ得」こういう規定がございます。従いまして、食糧管理特別会計におきましては、この第二条、第三条の規定に従いまして、食糧の買付代金を借入金ないしは食糧証券でまかなえるわけでございます。そういう事態が損益計算上は損失に該当する場合もありましょうが、歳入歳出の問題としては、この規定で、借入金でまかなっておくことも許されておるわけでございまして、そういう意味のことを昨日申し上げたわけでございます。
  70. 神田大作

    ○神田(大)委員 食料管理特別会計法の第二条、第三条は、特に第三条においては「食糧及農産物等ノ買入代金ノ財源ニ充ツル為必要トキハ」とありますから、これはあくまでも必要経費であって、これでもって赤字を借入金で埋めるというようなことはないのですね。赤字を借入金で埋めるということは、財政法の本質からいっても、赤字をまた赤字で——借り入れというのは、特別会計のは赤字借入金ですから、それで埋めておくというようなことは、財政の基本的精神からいっても容認することができないのです。赤字というものができれば、その会計年度において処理するというのが財政の原則だと思う。この原則を当局がみずから破るというようなことは、これはどうしても許すことができないと思うのですが、これはどうですか。
  71. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 もちろん食糧管理特別会計についてできるだけ赤字が出ないようにということは、これは法律問題を離れた政治上の常議でございます。私どもも好んで赤字を出しているわけじゃございませんが、法律的な問題といたしましては、この借入金によって買い入れ代金を調進している、その買い入れた食糧について期末評価の結果損失が出るというような結果になりましても、財政法に違反するという問題ではないわけです。もっぱら法律問題としてお答えいたしておりますことを御承知いただきたいと存じます。  なおただいまの問題にも関連がございますが、食糧管理特別会計法の附則第二項をごらんいただきますと、「政府ハ当分ノ内本会計ノ決算上ノ損失ヲ補填スル為予算ノ定ムル所ニ依リ一般会計ヨリ本会計ニ繰入金ヲ為スコトヲ得」という規定がございまして、もちろん決算に損失が出ることは望ましいことではございませんが、損失が出ました場合には「決算上ノ損失ヲ」云々とございますことからも御想像いただけますように、赤字が出る場合も考えられるわけで、ございまして、わざわざそのための規定といたしまして、決算上の損失を補填するため一般会計から繰り入れることができる、そういう規定もあるくらいでございますから、決して財政法に違反した状態ではないのでございまして、好ましいことではございませんが、法律上は許される状態であるわけでございます。
  72. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはまことに好ましくないことではございますね。また法的に、私は局長の説明は非常に納得しない点がたくさんありますから、この法律問題は、あとでまたあなたに質問しましょう。  大臣がせっかくおいでになったのですから、大臣にお尋ねいたしますが、大臣は、とにかく日本における財政通でございます。この大臣が、本年度の赤字を来年度埋めるというような、そういう財政の基本精神と反するようなことをやるということに対して、これは今局長も言った通り、まことに好ましくないことです。こういう好ましくないことをあえてやらなくちゃならぬ、そういう心境は一体どこにあるのですか。きのうもお尋ねしましたが、いま一度御答弁願います。
  73. 池田勇人

    ○池田国務大臣 主計局長が好ましくないということは、食管会計に赤字が出るようなことは好ましくないというのでございまして、(「どうかな」と呼ぶ者あり)これは主計局長からあとから答えさせてもよろしい。私の聞いたところでは、食管会計は赤字が出ないのが望ましい、赤字の出ることは好ましくないと言っているのであります。しこうして三十一年度に起るべき赤字について、これをいつ埋めるかということの原則論になりますと、私は財政法その他特別会計法から申しまして、附則の策二項にありますがごとく、食管会計において、決算確定して赤字が出たときには一般会計から埋める、こういう規定があるのでありまして、決算確定を待って埋めるのが本筋じゃないかと思います。もしそれ決算確定を待たずに三十一年度の赤字を本年度の歳入によって埋めるときには、別に赤字を埋めるという法律を出さなければなりません。別に法律を出すということは、財政法あるいは食管会計法に予定しておることではございません。決算確定をしたならば一般会計から埋めることができるということを規定しておるゆえんのものは、原則として決算確定後埋めることが本筋であるというふうにもとれるのであります。片方では、決算確定を待たずにやるときには法律を設けなければならぬ、こういうことから考えますると、また昨日来申し上げておりますがごとく、昭和三十一年度の赤字云々の問題については、特別調査会のどういう結論が出るかわかりませんが、そういうことによってもある程度動き得るのでございますから、私は決算確定を待ってやるのが考え方としては至当ではないか、こう言っておるのであります。
  74. 神田大作

    ○神田(大)委員 決算確定を待ってやると申しますけれども、少くとも百六十一億円の赤字が出ることがわかっておる。しかもまた、三十二年度においては百四十二億円の赤字が出ることが予定されておる、こういうような予定されているものを予算に組んで、それを埋めていくというのが予算であって、そういう予定されておる赤字をそのまま持ち越していくということは、年度内におけるところの処理をしていくという財政法の原則からいっても、これは許しておけないと私は考える。こういう点は、幾ら議論しても大臣とわれわれの意見は一致しないようでございますけれども、この問題は財政法を非常に混乱させる原因を含んでおると私は思うのです。三十一年度内に赤字ができておる、財政で埋めなければならぬ、一般会計から持ってきて、埋めなければならぬ、あるいは補正予算を組んで埋めなければならぬというような事態が起きても、いやそのうちにわれわれが何らかの方法をとってやるまで、これは未処理でおるのだ、年度内におけるところの財政上の問題を、そういう想定のもとに未処理にしておくということは、財政一般に対しての混乱を来たすもとでありますからして、私は原則からいいまして、そういうことは許すべきものではない、均衡財政をうたっておる建前からしても、そういう赤字をそのままにして放任しておくということは、許されないというように私は考えるが、そういう点はどうお考えになりますか。
  75. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は、三十一年度の赤字につきましては、決算確定を待って処理していくのが適当だと考えております。で均衡財政と申しましても、こういう事業会計におきましては、借入金をやることも予定しておりますし、均衡財政というものは、主として一般へ会計でいっている。しかし私は、一般会計のみならず、まず特別会計全体を見たならば、大体均衡いたしておるといい得ると思うのであります。
  76. 神田大作

    ○神田(大)委員 食糧管理特別会計の一部改正法案でもって、今までの借り入れ限度をこえて四千四百億円にしようという問題、あるいは食糧証券を出そうという問題は、食糧を買いつけるための借入金でありまして、赤字を埋めるためにわれわれはこれを引き上げるごとに賛成するわけにはいかぬ。この百六十一億というような赤字までも食券の四千四百億円に引き上げてこれを埋めさせよう、そういう精神のものではないと思うのです。あくまでもこれは食料を買い入れるための証券でありますから、現在の収支計算から見ますると、赤字も含まっていることになっておりますけれども、こういう点はどう御解釈になりますか。
  77. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは、予算付録の貸借対照表、あるいは損益計算におきまして、これだけの借り入れが必要だというところから仕入れ限度の問題が起るのであります。しこうして貸借対照表、損益計算におきましては、年度経過中でございまするから、それが確定すれば適当な措置をとる、これで私はけっこうだと思います。
  78. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 ただいまお願いいたしております食糧証券の発行限度の拡張は、これは現状を基礎にいたしまして、その上に来年度の食糧の買い入れ見込み、ピークの状態がどうなるかというようなことを考えまして、若干のゆとりを見てお願い申し上げているわけでございまして、赤字を埋めるための糧券発行を特にそれによってお願いをしておるという趣旨ではございません。その点は御了承いただきたいと思います。既往の赤字がどうなるか、これにつきましては、三十年度は第二次補正で埋めるわけでございます。また三十一度の補正につきましては、大臣から繰り返しお答えがございましたように、決算確定を待ちまして、しかるべき時期に処理いたすわけでございますので、御懸念の点は解消するのではないか、かように考えます。
  79. 神田大作

    ○神田(大)委員 食糧証券発行は赤字を埋めるために発行するのではないということでありますが、現実においては、赤字が食糧証券でもって埋めてあるのですね。これは、私は食糧管理特別会計の精神に反すると思のでございますが、実際において、食糧証券でもって赤字が埋められている、これはおかしいと思うのです。こういう点をはっきりしないと、法律は時の政府の言いようでどういうふうにでも解釈されるということでは、まことにどうも法律あって法律なきがごときものであって、われわれとしては、これは承服するわけにいかぬ問題であります。また先ほど局長が、まことに好ましきことでないと言うことは、こういう赤字をそのまま繰り越すことは、これは好ましくないということで、それを大臣でわざわざそういう言明を横から取り合って、そうして赤字になったことは好ましくないなんて、そういう——はっきりと局長が好ましくないと言っているのを、大臣がわざわざ政治的な含みを持って、この事務的にまじめな答弁をそらすというようなことは、これははなはだもってけしからぬ話だと私は思うのですが、その点はっきりして下さい。
  80. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 私が好ましくないと申し上げましたのは、特別会計に赤字を生ずることそれ自体が好ましくないが、しかし現行法ではそういう場合も予期しておる、そういう意味で申し上げたわけでございまして、大臣がおっしゃった通りでございます。一般会計と特別会計が分れておりますゆえんのものは、特別会計はやはり特別会計で独立の収支のバランスを期するのが原則でございます。そこで、昭和二十一年に制定されました法律では、食管会計の赤字を、予定した規定がございますが、その規定の頭には、当分のうちという規定があるくらいでございまして、これは当分のうちということがあることによっておわかりのように、特別会計は特別会計それ自身として収支バランスすることは、これはあくまでも本則でございます。そういう意味で好ましいことではないがということを申し上げたのでございまして、誤解しておられるようでございますから、よろしくお願いいたします。
  81. 神田大作

    ○神田(大)委員 あなたがそういうことを言うなら、あとで速記録を私はよく調べて、そしてあなたがそういう食言をしたことによって追及をいたしますから、それはあとにいたしましょう。  それで、これは重大な問題だと思うことは、食糧証券の借入金でもって赤字を埋めておくということ、食糧証券というものはあくまでも食料を買い付けるための証券としてわれわれはこれを認めております。にもかかわらず、それを赤字のために使っておるということは、どうしてもわれわれは納得できないと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  82. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 先ほど私は、食糧管理特別会計法の第二条と第三条と両方を引用いたしましたが、第三条の方は、食糧農産物の買い入れ代金の財源に充つるための規定でございますが、第二条の方は、「本会計ニ於テ食糧及農産物等ノ買入代金以外ノ経費ヲ支弁スル為必要アルトキハ政府ハ本会計ノ負担ニ於テ借入ヲ為スコトヲ得」という規定があるわけでありまして、赤字を生ずることはもちろん好ましくはありませんが、こういう場合もあることを法律自身が考えておるわけでございます。現行法がそういう仕組みになっておることを御了承いただきたいと思います。
  83. 神田大作

    ○神田(大)委員 現実においては、食糧証券の借入金でもって埋めてあるのです。なるほど第二条のような場合もあるでしょうけれども、今の食管会計においては、食糧証券でもって実際に赤字が埋まっておるのです。これはどうですか。
  84. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 食糧管理特別会計が決算上赤になっております状態は、結果において一部の歳入が借入金でまかなわれた、そういう状態になっておる、これはそうでございます。それですからこそ、こういう食糧管理特別会計法の附則第二項のような規定があるわけでございますし、また私どもとしても、昭和三十年度の赤字を今度の補正で埋めなくちゃならぬと考えておるわけでございます。
  85. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、現実においては、食糧証券でもって赤字が埋まっておることはお認めになりますか。
  86. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 結果においてそうなっておるからこそ、これを補てんするという問題が起ってくるわけであります。
  87. 神田大作

    ○神田(大)委員 食糧証券でもって赤字が埋まっておる。しかし、われわれは食糧証券でもって赤字を埋めろという承認は与えておらない。食糧を買い入れるために食糧証券は発行する。これははなはだもってけしからぬ話だ。法律を通したわれわれの精神に反することです。
  88. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 ただいまの問題は、食糧法第二条の問題でございます。たとえば借りかえのようなものもこれに入りましょうし、いろいろな場合、がこれに該当すると思いますが、欠損が出ておるという状態においては、借入金でまかなうという結果になっておりますが、これは第二条の規定によってジャスティファイされておると思います。
  89. 神田大作

    ○神田(大)委員 現実において食糧証券でもって赤字が埋まっておるということは、食糧証券を発行するときに、われわれがその限度を承認したときの精神に反すことでありますから、私はこれを問題点として保留しておきます。  次に、方向を変えて米審の問題に移りたいと思います。米価審議会には、国会議員も入って米価の適正なる価格の決定に当ることを法律において認めておるのですけれども、今回の調査会は、国会議員を入れない、政府の諮問機関として設置するということでございますけれども、米価審議会と調査会との関連をどうお考えになっておりますか、大臣にお尋ねいたします。
  90. 池田勇人

    ○池田国務大臣 米価審議会は、お話しの通り法律によってでき上っておる一つの法的機関であります。生産者米価その他の米価の問題について、審議するのでございます。しかし、今回設けようといたします特別調査会は、食管会計の合理化のために各方面からいろいろ検討しようという考えのもとにやっておるのでございまして、私は別の任務を持っておると考えております。しかしそれが、消費者価格の点については、米価審議会の前哨戦と申しますか、もとになることがあるかもわかりません。特別調査会を設けます趣旨は、何ら米価審議会と抵触するものではございません。
  91. 神田大作

    ○神田(大)委員 この米価審議会には、国会議員が入っていろいろと、審議されますが、特別調査会に国会議員を抜いたということは、——やはり相当の経験といろいろの学識を持っているところの国会議員が米審でもっていろいろと結論を出す、それが調査会と違ったような場合における今後の問題というものは、国会に残されると思うのでございます。それで、私は審査会にも国会議員を入れて審議した方が、米審との関係においても非常にスムーズな審議ができるのではないかと思いますが、その点どうお考えになりますか。
  92. 池田勇人

    ○池田国務大臣 政府の意向をきめる前の諮問機関でございます。しかして政府の者はみな国会議員でございまして、われわれは、常に政府の諮問機関に国会議員が入るということは、いかがなものかと思います。入ってやる場合もありますし、入らぬ場合もありましょう。今回の問題は、お入れしないのが適当だと思って、学識経験者だけにいたしたのであります。
  93. 神田大作

    ○神田(大)委員 国会議員を入れないという理由を今少しくはっきりさせてもらいたいと思うのです。米価の問題、特に消費者米価の問題は、与党の内部の意見の対立等によって一たん閣議で決定したものがくつがえったのです。そういういわくつきの問題が含まっているのです。なおさらこれは国会議員を入れて審議すべきだと思うのでございます。大臣の、国会議員を入れないという理由がまことに薄弱であります。ことさらに国会議員を入れないというよりなことは、これは政府の御用機関にして、政府が消費者米価を上げるという腹がまえをもって、責任のがれのために調査会を利用するというようにわれわれには考えられるのでございますが、いかがでありましょうか。
  94. 池田勇人

    ○池田国務大臣 特別調査会云々というお話でございますが、国会議員が政府の調査機関に入るということは異例なのでございます。原則ではございません。われわれは、今回の問題につきましては、原則に従って国会議員をお入れしない方がいいのだという考えでいっておるのであります。
  95. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、水かけ論になるからこの辺でやめましょう。  私は、食管会計の赤字の大きな原因は、たくさんあると思うので、ございますけれども、特に外米の輸入というようなことに対しましてずさん大ごとをして、不当に買い入れをいたしまして、そのために食管会計においてたくさんの保管料を払ったり、あるいは運賃等におきましても、相当不当な運賃が払われているのではなかろうかと思うのでありますけれども、食管会計の赤字に対する中間的な経費の節減、あるいはそういう不当なる外米とか外麦の輸入等に対しまして、大臣はどうお思いになりますか。
  96. 池田勇人

    ○池田国務大臣 不当なことがあってはいけないのでございます。赤字の原因はいろいろあると思います。大体内地米につきましては、生産者価格と消費者価格の間が、倉庫料、あるいは金利、運送費等をまかない得るだけの差がない。従来は、外麦によりまする利益を相当見込んでおった。しかし、それが、三十一年度におきましては、外麦による利益を百数十億も見ておったのでございますが、それが五・六十億違ってくるとか、あるいはまた内地米の方の損は、百三、四十億の損と見込んでおったのが百七、八十億の損になるとか、いろいろな原因があると思います。従いまして、先ほど米問題になっております特別調査会におきましては、こういう問題も審議の対象になることと思っております。
  97. 神田大作

    ○神田(大)委員 特に九十億の事務費がありますけれども、これは、純然たる食糧統制をやっておる以上は、事務費というものがかかるものです。これは、当然一般会計から繰り入れて補てんすべきものであろうと私は思うのでありますけれども、これを補てんしないで赤字の中に含ませておく、あるいは食糧特別会計の中で操作しておるというようなことに、矛盾がめる。私は、これこそ一般会計の中から速急に補てんすべきであろうと思うのでありますが、こういう点はどうお思いになりますか。
  98. 池田勇人

    ○池田国務大臣 事務費の問題のみならず、価格安定に基く損失等いろいろな点におきまして議論があるのであります。そういう議論がございますので、特別調査会において検討していこうというのでございます。
  99. 神田大作

    ○神田(大)委員 特別調査会において検討することもけっこうでございましょうけれども、こういう問題は、もう長い間食管会計に対する疑念として国民の間にも起きている。当局等におきましても、この会計を明確にしなくちゃならぬということはわかっておる。そういう数字的な事務的な問題は、調査会に待つまでもないことでありまして、こういう矛盾を、今度の補正予算等において明確にして、正しいものにして埋めるべきであろうと思うのであります。もしやらぬとすれば、怠慢の至りであったと私は思うのでございますけれども、実際においては、農林省がやっておるのですから、大蔵省といたしましては、これに対しまして、これを監察して、これを適正化させる義務があるのでございますが、そういう中間搾取における欠陥というようなものを、主計局長等はおわかりであろうと思う。この点主計局長は、数字的に収支計算の資料を一つ作って、——もう作られておると思いますが、これを本委員会にぜひ提出してもらいたい。それがなければ、われわれ食管会計の赤字の正体というものを見きわめるわけにいかん。あるいは食管会計の白書と申しますか、あるいは食管会計の収支計算の明細書と申しますか、こういうものを委員会提出されなければ、この問題を審議するわけにいかぬと私は思うのでございます。これに対しまして、食管会計の白書を速急に出すつもりがあるかどうか、大臣と局長に一つお尋ねいたします。
  100. 武田誠三

    ○武田説明員 三十一年度、三十二年度の食管特別会計の見込みなり予算につきまして、基礎のこまかい資料につきましては、できるだけ早く御提出をいたします。
  101. 池田勇人

    ○池田国務大臣 食管会計のこまかい資料につきましては、農林省から追ってできるだけ早く資料をお出しすることに今答弁がありましたので、さよう取り計らわれると思います。
  102. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 関連して。大蔵大臣から答弁のありました食管会計特別調査会という名称かどうかしりませんが、そのような機関は、総理府設置法、あるいは大蔵省設置法の改正に基いて、法律的な根拠のある調査会を作るものであるか、それから、そういうものはどういう性質のものであるか、またその予算はどうするか、いつ設置するか、そうして国会議員が加わらないというような答弁で、あるが、そうだとすれば、どういう方面からどのような人を何人くらい選ぶかということを、具体的に人まではきまらなくても、選ぶ段層なり、あるいは職域なり、そういう方面も構想ができておると思うのですが、その特別調査会を設置する組織法の内容、人選の方針、それをお尋ねいたします。
  103. 池田勇人

    ○池田国務大臣 食管会計につきましての特別調査の委員会は内閣に置くのでございますが、法律に基くものではございません。臨時税制調査会とかいろいろな調査会が内閣に置いてありますが、法律に基かざるものが相当多いのでございます。しかしてこれが運営に当りましての事務費と申しますか、いろいろな費用は、ある程度予算を見ておるようでございます。  それから特別調査委員会の構成人員でございますが、一応十五人以内ということになったと聞いております。私直接のあれでないものですから、農林省で農林大臣が主として当られる。従いまして、十五人以内ということは閣議で一応きまりましたが、どういう方々をお選びするかということは、農林大臣が主になっておやりになるので、まだ十分相談を受けておりません。
  104. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 法律上の機関ではなく、事実上そういうものを内閣に諮問機関として設けるということであるが、今大臣の答弁によれば、予算もある、その予算はどの科目から出ておるか、これは主計局長から御答弁を願いたい。それから十五人という大体の人数のワクはあるが、その内容については農林大臣等の意見によってこれからきめる、こういうことでありますが、国会職員を入れないということについての先ほど神田君の質問に対して、われわれどうも納得がいかないのだが、それだけがきまって、その他は、どういう面からどう選ぶかということがきまらないのは非常に片手落ちで、初めから国会議員は入れない、そういう方針がこれでは出てこないと思う。どの方面からどういうように選ぶということを考えた上で、初めて国会議員を入れないという結論が出るだろうと思う。初めから入れないという前提で人選をするというのは、何か政治的な意図があるのではないかということをわれわれは疑わざるを得ないわけです。その点は一つはっきりさしてもらいたい。
  105. 池田勇人

    ○池田国務大臣 こういう委員会が内閣にできますときに、まず問題になるのは、国会議員を委員の構成に入れるか入れないかということが通例でございます。従いまして、今回は原則に従って国会議員はお入れすまいということに相なっておるのであります。そして、その前提がきまりました後に、学識経験者の方をどういうふうに選ぶという段取りになるのが普通だと思います。
  106. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 お尋ねのありました臨時食糧管理調査会の運営に必要な予算でございますが、委員手当等がおもなものになります。来年度の食糧庁の一般行政に必要な経費四千二百九十六万ございますが、この中に四十万円余りを見ております。
  107. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そのようにもう予算もできておる、それから、法律によらずして、事実上の諮問機関を内閣に設置するというなら、すぐにもできるはずだと思う。そして、国会議員を入れないということがきまっておる。早く作って予算の審議に間に合うように結論を出すことが、いろいろと、こういう国会の混乱や紛議や、また審議の遅滞を防止する上において非常に効果がある。なぜ早く作って、そして予算審議に間に合うようにしないか、国会が済んでからわざわざ調査会を作って審議するという考え方、その理由をお尋ねしたい。ことさらに、どうも国会のある間はうるさいから、国会議員が国会で発言する機会のなくなる閉会後にしよう、こういうふうなことは、消費者米価の値上げ等についても、予算が通ったら、その次にやるのだという御答弁のように伺える。そういう世間の疑念を防止する意味から、また予算国会審議の円滑をはかる上からも、すみやかに調査会を作り、委員の任命をして、急速に審議をさせることが一番適切だと思う。大臣はどうお考えになりますか。
  108. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話しの通りに、調査会を設けることにきまっておるのでございしますから、早くスタートすることが望ましいと思います。従いまして、先ほど申し上げましたように、農林大臣が主になりまして今人選をしておられると思います。
  109. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 その設置はいつになり、いつごろ審議は終るのであるか。
  110. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そういう問題は閣議で決定いたしまして、一応農林大臣が主でおやりになっておるのであります。私は、まだ進行状況を聞いておりません。
  111. 山本幸一

    山本委員長 委員長から申し上げますが、予算委員会からたびたび請求が参っておりますから、大臣に対する質問はこの程度にしていただいて、後日さらに続けていただく、こういうことにしまして、大臣の解放を御了承願いたいと思います。大臣は民主的に出てくると言っておりますから……。  それでは引き続いて石村君から質疑の通告がございますので、これを許します。石村英雄君。
  112. 石村英雄

    ○石村委員 補助金等臨時特例等に関する法律でお尋ねします。   〔委員長退席、平岡委員長代理着席〕 この関係で文部省の方、見えておりますか——いらっしゃらなければいいです。  今度の臨時特例は、昨年のように一カ年間小さな補助金を打ち切って、補助を出さないようにして約十億円の節約になる、こういうことですが、この中で去年の分と違うのは、国立公園関係だけだ承知しておりますが、国立公園関係の補助金は、全部今度復活することになったわけですか。
  113. 中尾博之

    ○中尾政府委員 制度として復活することになりまして、補助金の予算予算に計上いたしております。
  114. 石村英雄

    ○石村委員 復活して予算に計上された金額は、どのくらいでありますか。
  115. 中尾博之

    ○中尾政府委員 国立公園に対する補助金の分が四千万円、同じく国定公園に対します補助金が一千万円でございます。    〔「与党が一人もいないのはおかしい」「流会だ」と呼ぶ者あり〕
  116. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 暫時休憩いたします。     午後三時十五分休憩      ————◇—————    〔休憩後は開会するに至らなかった〕