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1957-05-30 第26回国会 衆議院 商工委員会貿易振興に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月三十日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席小委員    小委員長 松平 忠久君       阿左美廣治君    小平 久雄君       笹本 一雄君    鈴木周次郎君       南  好雄君    加藤 清二君       田中 利勝君    田中 稔男君       中崎  敏君    帆足  計君  小委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁調         整部調整官)  有馬 駿二君         検     事         (入国管理局次         長)      下牧  武君         外務事務官         (経済局第二課         長)      吉田 健三君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大島 寛一君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    齋藤  誠君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部油脂課長) 佐藤 清美君         通商産業事務官         (通商局次長) 中山 賀博君         通商産業事務官         (重工業局鉄鉱         業務課長)   井上  亮君         通商産業事務官         (軽工業局長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (軽工業局窯業         建材課長)   川田 博通君         通商産業事務官         (石炭局長)  讚岐 喜八君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月三十日  小委員田中武夫君辞任につき、その補欠として  田中稔男君が委員長の指名で小委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日中貿易に関する件     —————————————
  2. 松平忠久

    松平委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続いて日中貿易に関する問題について調査を進めます。  質疑を行います。通告がありますので、これを許します。帆足君。
  3. 帆足計

    帆足委員 中国との貿易関係は、年々次第に好転して参りましたが、大年度民間貿易協定も五月四日で期限が切れましたにかかわらず、政府の七針が最終的に決定しておりませんために、第四次貿易協定を進めることができない状態でありまして、現在空白状況になっておりますことは各位も御承知の通りです。たまたま国際情勢も原爆から水爆、ジェット機から電気誘道弾へと変ってきまして、人類はまさに恒久平和の夜明け前、平和をいかにしてかち取るかという崇高な課題と取っ組んでおる状況でございます。平和への流れと並行して各国経済文化の交流を増進したいという要求は至るところにみなぎっておるのでありまして、その世界の態勢の一環として今やチンコム解除が日程に上っておるという状況でございます。こういう重要な時でありますから、本日の貿易委員会においては、関係大臣の御来席を願ってとくと懇談いたしたいと存じておりましたのに、連絡の不十分、その他大臣所用のために各所管大臣が見えておしれないことはまことに遺憾とするところでございまして、党派を越えたこの平和貿易の問題につきまして、他日速急に委員長並びに商工委員会理事各片のごあっせんによりまして、各大臣と私どもは適切な懇談会を持ちたいことを切望いたしておる次第でございます。従いまして、本日のこの席におきましては、基本的問題はおおむね政治問題でありますので、他日大臣との懇談の席において私ども意見要望を開陳することに譲りまして、この席におきましては、逐次事務的な諸問題について質疑をいたし、政府当局の勉強を川に要望いたしますとともに、貿易隘路の打開に御協力を願いたいと思うのでございます。  まず最初にお尋ねいたしたいことは、外務省当局でも、通産省当局で未けっこうでございますから、昨暦年度における自由主義諸国中国に対する貿易の総額の実績並びにソ連に対する貿易実績東欧諸国に対する貿易実績を伺いたいと思いますが、それらの資料を平素から整備しておられるかどうか、そのことごとくをただいま御説明なくても、要点でも御説明下さってあとは統計表でいただきたいと思います。
  4. 中山賀博

    中山説明員 お答え申し上げます。昨日この小委員会におきましてそういう御要求もありましたので調べましたところ、昨年度統計につきましては、もちろん日本日中関係統計はございますが、自由諸国、たとえばイギリス中国イギリスソ連統計につきましては、われわれとしましては国連に集まる数字をもって、これを統計基礎としておるわけでございますが、昨年度のものは、まだそれが整備いたしておらない状況でございます。そこで、できたものからでも、あるいは集まり次第、それを整備して提出するつもりでございますが、全体的にはまだ全部完成はいたしておらない状況でございます。
  5. 帆足計

    帆足委員 国際連合統計というものは、文化人経済学者が使うものであって、一年おくれて出るのですから、当面の、今の一月の早さが一年の早さで流れておる国際情勢に対処するために諸君がお使いになる統計というものは、そういうゆうちょうなものを相手にして仕事をしておられるとすると、これは職務怠慢といわねばならぬのじゃないかと思うのであります。これは英国貿易統計を見ればわかることで、英国ソ連と昨年どれだけ貿易をしたか、英国中国とどれだけ貿易をしたか、イギリス本国東欧諸国とどれだけ貿易をしたか、こういうことは十二月号の年末集計を見れば、すぐわかることですから、この一事をもってしても、対共産圏貿易に対して諸兄の認識が非常に不十分であるということのむしろ証拠となるであろうということは、非常に遺憾なことであると思います。敵を知り、われを知り、百戦危うからずで、中国との貿易についても、これは逐次増大する傾向にある重大な市場ですから、むしろ保守党の立場に立って考えて、一そうこれは重大な課題一つだと思います。こういう問題で、英国アメリカとの関係を多少犠牲にしてでも中国市場に対して進出しようとしていっておる。大体前の大東亜戦争なんというものは、何のために起ったか。中国生命線といって——われわれは、今軍事技術が変りましたから、もうあそこを生命線というようなやぼなことは言いませんけれども、経済的に言えば、生命線であるということは経済立地的に変りはないわけです。かつて生命線といって何百万の青年を犠牲にしたその重要な経済問題、それを平和の光に照らしてもう一度再認識し、新しい合理的な関係を結ばねばならぬといって、万里のかなたにある英国が手を差し伸べておるときに、英国中国と昨年幾ら貿易をしたか、また、ソ連との貿易はどうなっているかという資料を整えてあるかという私の質問に対して、国際連合統計をぼつぼつ待っておるというようななには、最高学府を出た者の答弁とは私は思えません。にせ大学生ではあるまいかという疑いをかけられる。
  6. 中山賀博

    中山説明員 われわれとしましては国連数字が最も最終的であり、最も公的なものだと考えておりますので、国連数字がそろっておりませんことを申し上げたわけでございますが、各国別につきましては、実はジェトロをして調査させたものがございまして、昨年の数字が全部そろっておるというわけではございません。たとえば国によりましては、九月まであるいは十月までということでそろったものがございますので、本日の午後でもそれをお届けしたいと思っております。
  7. 帆足計

    帆足委員 あれほど私が毒舌をふるって申し上げるのに、まだそういう御答弁をなすっておる。たとえば英国ならば、英国通関統計をごらんになればわかる。英国貿易省から統計は出ていると思います。大体外務省とか通産省とかいうところは、外国貿易の毎月の経緯などには、全然関心がないのですか。国際連合統計をじっと待っている場所なんですか。驚くべきことだと思う。これはどういうことですか、御答弁を願いたい。
  8. 中山賀博

    中山説明員 お答え申し上げます。昨年度のものを完全に国別に網羅し、かつ時間的にその十二カ月を全部カバーしておるものは、完全なものとしてはございません。その中間的なものとして、もちろんそういう数字は、われわれとしても集めておりますし、ジェトロ調査にもありますし、あるいはわれわれの通商調査月報にも月々のものを発表しておりますので、中間的なものでお許し願えれば、もちろんこれを提出するつもりでございます。
  9. 帆足計

    帆足委員 私はモナコ王国中国との貿易に至るまで完全なものを知りたいと言ったのではなくて、われわれの仕事に必要な、実力を持っているおもな自由主義国ソ連中国東欧諸国との貿易数字を知りたいと言ったわけですから、ただいまのような御答弁によって、この人生の貴重な時間を空費することはもったいないと思いますし、皆さんも一応高文の試験を通っておられる方々でありますから、これ以上申しません。五つ六つの国でけっこうですから、実際にわれわれの政策立案に必要な資料を至急整えて御提出願いたいと思います。  それから第二に、中国に対して私どもも三回民間貿易協定を結びまして、その協定は、最初は空理空論であるとかなんとか無学の連中からずいぶんいろいろ言われましたけれども、現在では輸入が九〇%、輸出は六〇先実現いたしました。九十点と六十点といえば、まあまあ合格点であろうと私は思っておる次第でございます。ところで、これに並行して、英国フランス、西ドイツその他の国々中国と何らかの形で貿易協定または貿易協定のようなものを結んでいたと思いますが、そういうものの協定文などは、一通り資料としておそろいでありますか。ぜひ整えてこれも至急委員会に提出していただきたいと思います。
  10. 中山賀博

    中山説明員 外務省で整えたものがあり、それからさっき申し上げましたジェトロ統計と一緒にそういう内容も添付したものが印刷に付されたものができて参りましたから、それを本日午後でも差し上げたいと思います。
  11. 帆足計

    帆足委員 その中で、ただいま日本中国との貿易総合バーターに一持っていけば、相互に有利であろう。ところが、その場合に、商品類別について多少実情に沿わないところがありますので、業界でも再検討しておるような状況であります。その参考資料として、それらの協定の中で甲、乙、丙の分類とか、甲、乙分類とかいうようなものがありましたら、あわせてそういう点も一ついただきたいと思います。  それから最近のことですが、英国銀行並びにフランス銀行中国の、多分中国銀行だったと思いますが、中国為替銀行との間に為替協定が結ばれたという風評を伺いましたが、そういう事実がございますならば、それぞれの協定の全文を、フランス文または英文のままでもけっこうです。翻訳があれば一そうけっこうですが、いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  12. 中山賀博

    中山説明員 外務省で、ただいまそういうものも整備中でございますから、できるだけの資料をそろえて提出いたしたいと思います。
  13. 帆足計

    帆足委員 翻訳をお待ちしておりますと、非常に時間がかかりますから、翻訳があれば、仮の訳でもけっこうですし、翻訳が不十分でありましたら、原文のままでけっこうですから、大至急いただきたいと思います。  その次に、外務省並び通産省事務当局は、中国ソ連との貿易が大きく増大することに対して、すなわち中ソの貿易振興に対して非常に趣味と激励の気持を持っておられるかどうか、これを伺いたいのです。多少ソ連あたりから指図でも受けて、ソ連中国との貿易の増大に協力するような気持を持っておるのではあるまいかと疑われる節がありますので、ちょっと心境を伺っておきたいと思います。
  14. 中山賀博

    中山説明員 日本中国との貿易日本ソ連との貿易……(帆足委員「声が小さくてよく聞えませんが」と呼ぶ)日中貿易日ソ貿易その他……。
  15. 帆足計

    帆足委員 中ソ貿易に対してです。他国貿易に対して、政府は激励する傾向を持っているが、それについて所見を伺いたい、こういうわけです。これは英国国会で非常に問題になった点ですから、当然日本国会においても問題にせねばならぬ。
  16. 中山賀博

    中山説明員 非常に大問題でありますので、私が果して答え得るかどうか疑問ですが、私個人気持としましては、少くともよその国の貿易じゃまをすべき問題ではないと考えております。
  17. 帆足計

    帆足委員 私は不思議なことを伺ったと思うのですが、他国貿易に対して積極的にじゃまをする必要はないが、消極的にじゃまをする必要は、私はあると思っているのです。日本世界諸国との貿易を拡大すべきであって、他国貿易は、特に英国とかアメリカとか、その他日本より生活水準の高い国々は、日本のように生活水準の低い国に多小は席を譲ってもいいのですから、外務省当局として、今外国のことまであまり御心配にならぬでもいいのじゃないかと思うのです。日本としては日本貿易を拡大することに全力を注ぐべきだと思いますが、その点どういうふうにお考えでしょう。
  18. 中山賀博

    中山説明員 ちょっと御質問趣旨がわかりかねるのですが、中ソの貿易について、われわれがどういうように考えるかということをお尋ねでございますか。
  19. 帆足計

    帆足委員 中ソの貿易の拡大に皆さんが多少骨を折っているような傾向が見えるが、そういう気持を持っているかどうかということを確かめているわけです。
  20. 中山賀博

    中山説明員 今申し上げましたように、非常に大きな政治問題でございますので、私は答える立場になく、むしろこれは大臣に御質問願う問題だと思いますけれども、かりに私個人意見を申しますれば、外国外国との間の貿易につきまして、われわれがいろいろ、少くとも妨害するとかなんとかいうことは、われわれの力にもないし、あるいはまた、なすべきことじゃないのじゃないか、こういうふうに考えます。
  21. 帆足計

    帆足委員 中国ソ連との貿易、それから中国東欧諸国との貿易は、どのくらいの金額になっているとお考えですか。統計をお持ちでございましょうか。
  22. 中山賀博

    中山説明員 お答え申します。統計はございません。ソ連の方もあるいは中共の方も、発表しておりませんので、正確な統計はございません。
  23. 帆足計

    帆足委員 正確な統計でなくても、やや不正確な統計でもけっこうです。特に外務省当局などというものは、つまらぬ方面の情報にはずいぶん金を使っているように伺っておりますが、政策立案のために必要な統計資料というものは、これは非常に重要ですから……。もうこれ以上お尋ねしてもむだですからお尋ねいたしませんが、結局外務省通産省当局ともに、統計的基礎なしに共産圏の問題を取り扱っている、こういうことになるわけであって、まことに残念なことだと思うのです。資料なしに政策を立てるということは非常に危険なことですから、一つただいま私が要求した資料を至急整えていただきたい。これは私が無理なことを申しておるのでなくて、チンコム日本代表発言しようと思うなら、やはりこのくらいな数字は知っておって発言しなければ迫力が出ないのじゃないかと思うのです。一体インテリ勇気というものは、知識を持っているときに勇気が出るのであって、これが相撲取り勇気との相違でございます。政策上の発言をするときには、現実を認識しておって初めて強力な主張ができるわけでありますから、ただいまのように何をお尋ねしても資料が整っていないということでは、今時代の焦点になっている共産圏貿易に対する、そしてその貿易を増大せねばならぬという仕事は非常に困難だと思いますから、ただいま申し上げました四つの項目につきまして、至急基本的調査資料を整えられて、でき上ったものから逐次この貿易小委員会に御提示下さるようにお願いいたしておきます。  それからその次にお尋ねいたしたいのは、ただいまチンコム解除の問題が国際会議に乗せられておりますが、この問題について国会において何やら決議があったように私は記憶しておりますが、皆さんはそれがどういう決議であったか御記憶でしょうか。二十のとびらのようなことを申してまことに恐縮でございますが……。
  24. 吉田健三

    吉田説明員 お答えいたします。国会の御趣旨は、チンコム制限緩和に関する問題として、今まで院議その他で出ておることと了承いたします。
  25. 帆足計

    帆足委員 それでありましたならば、外務省当局としては、国会決議に沿うて発言をせねばならぬ。すなわちこの問題について基本的にはもう今さら相談の余地もないことであると私は思いますが、最近の新聞論調を見ますと、日本チンコム解除に対する要求がそれほど強くないように新聞に出ておりますことを私は遺憾に存じておりますが、英国がインドにおける、フランスがアフリカにおけるとちょうど同じ立場が、日本中国における経済関係で、これはそれと似たような問題でありまして、対中国問題に対して、英国の方がリードするということは多少本末転例のきらいがあるくらいに思っておるのでございます。この問題につきましては、結局これは大臣の決断に待つべき問題でありますから、事務当局にあまり強いことをお聞きいたしましても、これは無益なことでありますので、これ以上申しませんが、その後の経過として新聞に伝えられております報道はきわめて不正確でありますから、外務省当局として、その後どういう経過をたどっておるかということを、一つこの席で御報告願いたいと思います。
  26. 吉田健三

    吉田説明員 この前商工委員会で私が発言いたしましたが、あの際申し上げましたように、五月七日から、パリにありますチンコムで、現在、対中共輸出統制を緩和するという点に関しまして、どこまで緩和するかということの関係国十五カ国間の意見の一致を見るように審議が続けられて来て、約三週間たちました。当初はアメリカ案及びフランス案を中心としてスタートしたわけでございますが、その後いろいろ各国の真剣な討議によりまして、問題点はだんだん煮詰まってきたわけでございますが、反面そのことはある意味では最も重大なところで妥結の困難な点が、いよいよそれが明らかな様相を呈してきておるということになってきたわけでございまして、ただいまはちょうど非常に微妙な重大な段階にきておるということを御報告申し上げておきたいと思います。  ただ遺憾ながら、会議内容は一切関係国間の打ち合せによりまして発表できないことになっておりますので、外電等その他からは逐次臆測による記事を流している向きもありますが、必ずしも正確でないものがあるわけでございまして、これはココム、チンコムの建前上やむを得ない点があると思うのでございますが、私たちといたしましては国会の御意見、並びに政府として大臣その他からしばしば申し上げておりますように、わが国策上最も正しいと信ずるチンコム制限緩和について最善努力を続けております。今後もまた続けていくということを私として申し上げる次第であります。
  27. 帆足計

    帆足委員 大臣がおられませんのでこれ以上の問題は事務当局にお尋ねすることは無理だと思いますので何ですが、まあ以前に比べますとチンコムの打破につきまして外務省事務当局は実によく御努力されておることをわれわれ了承いたしておりますが、しかし根本は政府問題でありますので政府政治力を発揮して下さらなければ解決困難な課題でありますが、現在パリでああして国際舞台で交渉が続いておりますが、日本代表はそういう場合にどういう機構が担当し、どなたが担当して発言しておられるか、それはどういう機構になっておりますでしょうか。
  28. 吉田健三

    吉田説明員 答弁を申し上げます。ただいまパリにありますわが方の代表部は、各国代表部に比べますと、人的、質的に、我田引水になりますが、最も充実しておると私たちは信じております。総大将としては古垣大使みずからこれに当り、その下にただいま河野、和田両参事官、それから内田、三井両一等書記官、その下に二人の三等書記官、キャリアの外交官をこれだけ配しまして、もちろんその他事務的なスタッフ、タイピストその他おるわけでありますが、これらの人が一生懸命研究して、各国と非常に緊密な連絡をとりつつわが方の主張を十分やっておる。また本省からも応援の事務官を派遣いたしまして、東京の考えを逐次知らせると同時に、もちろん電報その他によって刻々緊密な連絡をとっております。
  29. 帆足計

    帆足委員 ただいまのお話は初めて承わりまして大いに意を強くする次第でありますが、先ほど新聞記事は必ずしも正確に伝わっていないというお言葉もありましたが、当然そうでしょう。そういう点でより正確な報道を聞きたいのですが、これは局長さんにお願いするのは無理でしょうか。大臣とお打ち合せになってきたかどうか存じませんので、ちょっとなんですが、新聞だけで見ているのではどうも国会議員としてまことにおぼつかないと思いますので、一つこの前伺いましたその後のホット・ニュースをお聞かせ願いたいと思います。
  30. 吉田健三

    吉田説明員 御答弁申し上げます。  先ほど申し上げましたように、私たちとしては、もちろんどういう動きになっておるか、各国がほんとうにどういうことを考えておるか、それに対して日本はまた最善努力を払って、わが主張の貫徹を目ざしておるわけでありますが、遺憾ながらこの問題は関係国それぞれの立場に非常に影響いたしますし、また本来の約束国際約束として発表いたさないことになっておりますので、私としては大臣その他の御意思をまだ聞いておりませんので、その許可なくしてここで発表することは差し控えたいと思います。
  31. 帆足計

    帆足委員 この問題は日本北アジア貿易にとってこれは決定的な問題の一つでありますので、与党の議員諸君もこれには重大な関心を持たれておると思いますから、いずれこれは委員長商工委員会理事と御相談になって、場合によっては秘密会にでもいたしまして、大臣、次官から経過を伺うことが必要ではないかと存じますが、委員長においてこの点は御善処のほどをお願いいたします。  その次にお尋ねしたいことは、最近岸総理東南アジア諸国に参りまして、どこの国に参りましても、タイのような後進国に参りましても、ひもつき外国援助はお断わりしたいということを至るところで聞くのであります。ひもつきということは一体どういうことであるか。ひもつきというのは日本語ではあまり高尚な言葉ではないのでありまして、ひもというのはあまりいい言葉ではないわけでございます。しかし通産、外務省事務当局諸君ひもつきということをどういうふうに理解しておられるか。きょうはどうせ小委員会で気楽な会でありますし、諸兄と今後とも長きおつき合いをしなければなりませんので、それも一つ一応伺っておきたいと思います。
  32. 中山賀博

    中山説明員 お答え申し上げます。ただ今御質問趣旨が非常にデリケートでよくわからないのですが、ひもということについてどういうように考えるか、こういう御質問でございますか。
  33. 帆足計

    帆足委員 ひもつき経済援助はお断わりするということを東南アジア諸国代表、特に各国総理大臣などは強く発言しておりますことを、ほとんど毎日のように新聞に見ますが、ひもつき援助というのはどういう意味皆さんは理解しておられるか、こういうふうにお尋ねしたのです。
  34. 中山賀博

    中山説明員 経済援助の態様につきましてはいろいろなバラエティがございますので、ひもつきという言葉が正確にどの場合にどういうことを意味するか、場合によって違うのだろうと思います。ただ東南アジアあるいは、のみならず中近東でも一般的にひもつき援助は困る、もっと自由な援助をほしいということが声であるということは承知しております。ただ私としましては一がいにどういうものがひもという意味であるか、場合によらなければわからないと思いますので、一般的な観念としては私はまだお答えできないと思いますが、それはそのときそのときの事情によるのだと思います。
  35. 帆足計

    帆足委員 御答弁としては遺憾ながら落第だと思うのです。それでは私が御説明いたします。これはたとえばひもつきで学資を援助するといいましたときは、うちのばか娘とお前が将来結婚してくれるならこれは毎月一万円ずつ学資をやろう、こういった学資の出し方をひもつき学資というのです。またはお前は将来軍人になるなら一つこれだけ学資を出すけれども、弁護士になるならこれを出さない。ましてや社会党に入党するおそれなどある学生にはこの奨学資金は出さない。こういうような条件をつけることは主観的にはその出す人の善意である。わがばか娘を結婚させたいという熱烈なる善意を持っていようと、そういう人の心境を左右するような条件をつけての金の出し方をひもつき援助というのです。従いましてアメリカ日本に対して援助しておるものは、都留君が言ったように、これはやはり学者としてはひもつき援助といわなければならぬと思うのです。そういうことは見識ある人間としては好ましくないというのが東南アジア諸国の叫びだと思う。これは道徳的に非常に高い叫びとして、私どもは好意を持ってこの意見を聞いておるわけですが、岸さんもそれには非常に強い印象を受けたと新聞も伝えておるようであります。アメリカ日本との関係で、アメリカが大いに日本援助してくれることはけっこうです。しかし日本もまたアメリカに対していろいろ利益を与えておると思うのです。別に条件をつけなくても、人口の多い国ですから、うどんをたくさん食べますから、結局アメリカから小麦紛をたくさん買うとか、木綿の着物の材料の綿花を買うとか、また鉄鋼業のためにくず鉄を買うとか、これはただでもらうのでなくて、やはり金を払って買うのですから、そういう場合、買う方はお得意といって非常に尊敬されるのです。従いまして、経済上の関係は相見互いでございますから、いやしくも経済援助によって相手の国策を左右したいという要求は、今日の道徳通念からいえば低い衝動であるというふうに私は大体理解して差しつかえないのじゃないかと思うのです。ソ連が、ソ連の善意によるにしろ、ハンガリーに対して軍事及び経済の援助を与えている。そして主観的には彼の善意に出た社会主義の要求であったにしろ、それに対してハンガリーの市民が反発して内乱を起した。これに対して各国の保守政党ですら、自由のためには暴力革命すら起してもいいと言って大いに暴力革命を賛美したので、私は保守党の諸君勇気に感嘆いたしまして、わが日本社会党は平和の党でありますから、内乱を起すようなことは考えておりませんし、実にわが党は穏やかな、心のりっぱな党であることをさらに痛感したのでありますが、ハンガリーと同じ論法をもってしますれば、沖繩に暴力革命を起したならば、世界自由諸国から大いに援助をもらって差しつかえないという論理にもなるわけでありまして、私は人生の論理というものはなかなかきびしいということを思ったりいたしておる次第でございます。  こういう情勢のときに、このチンコムの問題が起った。アメリカの親戚といわれる英国ですらが、これはもう無理であるということで、独自の声明を発しようとしておりますし、前の商工委員会で通産大臣の石橋さんは、チンコムはすでにオブソリートである、時代錯誤である、こういう発言をしたことを私は記憶しております。問題はここまで参っておりますから、解決は時日の問題であると思いますが、いずれ大臣との懇談において私ども国会決議に従って一そう政府を激励いたさねばならぬと思っております。  ところで、この問題の見通しがつくのが来月初旬であるとしますれば、英国はすでに実業使節団を北京に派遣する計画であり、また見本市をことしの秋に北京で開く計画である。さらに英国はすでに中国を承認しておりまして、代理公使のような機能を持った者が北京に常駐しておる状況でございます。こういう点から見ますると、私は日本の立ちおくれを諸君とともに心配いたす次第でございます。そこで第四次の貿易協定を早く進めねばならぬのでありますけれども中国側の伝うるところによりますと、九月から来年度の第二次五カ年計画の年度割計画の策定に入るそうであります。従いまして九月以前に第四次協定を結んでおかないと時期がおくれるというところへ参っております。五月四日に期限満了して現在空白状況になっておりますことはまことに遺憾でありますけれども、先日池田正之輔君を団長として北京に出発しようということで岸総理の御内意を得ましたときには、六月の初旬に出発という予定でございましたが、岸さんの訪米並びにこのチンコム問題の未解決の問題等とからんで現在日が延びているわけでありますけれども、大体日割を考えますと、どうしても七月の初めに北京に参りまして予備交渉をして、八月には北京から各経済代表を東京に連れてきて、さらに業種別に輸輸出入両面にわたって懇談せねばならぬ、こういう手順に大体なると思うのです。どうぞ事務当局諸君はこういう状況に置かれているということを十分御了承願いたいと思います。これは大臣との懇談会のときにこの事情を申し上げて、少くとも七月初旬までに踏み切りがつくように、これは与党の同僚議員の皆様にも御協力願って超党派的にこの問題を解決しなければならぬと思っている次第であります。  第四次貿易協定を準備するに当りまして、大部分の問題は、日本中国とが対等の資格で相互の自分の国に利益になるように、そうして相手国に対しても利益を与えるように、平等互恵の立場に立って相談し合うのでありますから、大部分の問題は、統計資料を準備いたしまして、私心なき懇談に入ればいいのですけれども、前々からの約束がありまして解決しておかねばならぬ問題があるのでございます。それは商務駐在員の交換でありますけれども、これも以前には公的資格のある商務駐在員ということで、一種の国交回復以前の民間商務官のような資格のものでありましたために、直ちに実現は困難だということで、昨年の秋政府とも相談をいたしまして、民間の商務駐在員ということにお互いに譲歩いたしまして、現状に即するように話し合いができているのでございます。従いましてこの問題だけは解決しておいて相談に入らなければ、他の一切の問題の協商が困難であるということになっておる。  御承知のようにこの問題に関連して困難しているのは指紋の問題とそれから駐在員の仕事の安全について、すなわち警察権、裁判権の問題が残っているのでございます。指紋の問題につきましては、前の通産大臣の石橋さんが、いつの間にこんなばかなものができたのだろう、僕は知らなかったと、こういう通産大臣としての答弁があったくらいで、日本の国民は知らないのでありまして、これは終戦まぎわのどさくさに、犯罪人捜査のために指紋をとることにしたものとわれ人ともに理解しているのでございます。ところが御承知のように指紋をとるという風習はあまり人によい感じを与えないようでありまして、西欧諸国においてもこういう制度はないように聞いておりますし、アジア諸国においてはこれは犯罪と結びつけられておりますし、また社会主義国においては長い間社会主義運動をした人たちは、指紋の問題と犯罪並びに政治犯逮捕の問題とは不可分の悪い印象を構成していることも諸兄の御承知の通りです。従いまして犯罪捜査のためであるならば、一般の素性のわからぬ人たちに対して指紋をとることはやむを得ないといたしましても、少くとも一国の首脳とか、商工会議所とか、経済使節とかあるいは公用旅券を持って十名二十名が集団を構成して参るというようなものに、犯罪捜査のための他国のいやがる指紋を強制する必要はどうもないのではあるまいか、ましていわんや観光の国、貿易の国と言われるこの日本が、貿易海運立国の日本が、この指紋問題を不当に拡大いたして、一般の素性を明らかにすることの困難な外来客でなくて、公共の使命を持っている素性、身元の明白な人たちに対してまで機械的に指紋をとって、これを困らせるということは私は当を得たものでないと思う。このことを石橋さん時代に申し上げますと、そんな制度があったのか、おれは驚いた、何とかそんなものは改めればよろしいではないかというような答弁であってだれに聞かれてもそうお答えになるのが私は普通だと思うのです。これは運用によりまして、公用旅券を持って来たお客さんなどは公務員に準ずる者——御承知のように憲法第九条ですら陸海兵力はこれを持たぬということになっておりますのに、拡大解釈によってまことに器用なことをされております政府であって、私はそういう不当な拡大解釈を奨励するものではありませんけれども、しかし不当でない範囲において、われわれの良識によって拡大解釈をいたすならば、公用旅券を持って参っておる者などは、犯罪人として指紋までとって捜索せねばならぬ必要は生じないのでありますから、写真だけをもって指紋にかえるということは、これはできることであろう。そしてそのために、これは他国と差別待遇をしたということにもならぬのではないか。公用旅券を持っておる者に対してはそういう取扱いを準じてする。そういうことは一国の行政の手かげんでできることではあるまいか。こういう常識的な問題が、どこに遠慮してか、いつまでたっても解決しないということは実に笑うべきことでもあるし、また必要によっては、公用旅券を持ってきておる者、または公共の使節に対しては、両大臣協議の上、指紋を免ずることを得という法律改正案、また省令改正案でしょうか、そういうことを法務委員会において研究して、行なってもできることでございますので、貿易振興の衝に当られる事務当局といたしましては、こういう問題をいち早くとらえて、問題がここまで緊迫しないうちに大臣相談され、与党とも相談されて、運用で解決するか、ごく簡単な一、二行の法律改正案を準備するかということに御努力あって私はしかるべきものでなかったかと思うのです。同時にこの問題に連関して、皆様大臣を助けて至急このことを解決せねばなりませんから、御研究願っておきたいことは、警察権と裁判権の問題でございます。もちろん大公使ならざる外国からの外来客に対して、基本的裁判権をその国が持つことは当然のことであります。ただ運用上いざこざが起りませんように、たとえば領事館に準じて、問題が多少ありましたときは国外にお帰りになるような取扱いをするというようなことは、私はきわめて適切なことであるまいかと思います。こういう問題がありますことを一つ御記憶願ってこれは至急各大臣連絡いたしまして善処をお願いいたしますが、この問題さえ解決いたしますれば、あとの問題は、チンコムの緩和は国際的趨勢でありますし、為替の問題については、民間の為替銀行間で業務上の観点からまず話し合う、しかして後、今後当然チンコム解除されれば輸出超過の状況になりますから、その輸出超過についての信用供与等についてどうするかということは、今後の国交の改善と並行して、お互いに研究し、実現に進むという順序になろうかと思います。また貿易協定のこまかな内容につきましては、東京にむしろ来てもらう。そのときに、ただ形式的に、一般的、政治的な経済代表に来てもらうのでなくて、主たる輸出品目、主たる輸入品目について専門の知識のある中国側の業界の人に来てもらいまして、従来のように一般論、抽象論でなくて、各商品別にゆっくり懇談いたして、そして中国側の第二次五カ年計画の内容を私どもも熟知して、その平和建設に寄与するように貿易態勢を整えると同時に、日本の需要者に適応するようなよい原料を安く平均して購入するように懇談を進める。こういう点において今後通産省当局並びに外務省当局においては、今次先方から経済使節を呼びますときには、業種別になるべくこまかな専門家に多数来てもらい、了解してもらうことが私は重要であると思っております。この点につきまして事務当局として何かお考えのほどを伺うことができれば幸いだと思いますが、通産省外務省双方から一つ意見を伺いたいと思います。
  36. 松平忠久

    松平委員長 ただいまの帆足君の発言に関しまして、指紋の問題について、法務省の入国管理局次長が来ていますから、入国管理局としての今までの経過考え方をこの際伺っておきたいと思いますが、御答弁願います。
  37. 下牧武

    ○下牧説明員 指紋制度についてただいま御批判がございましたが、いささか誤解もおありのように存ぜられますので、簡単に御説明申し上げたいと思います。  われわれが実施いたしております指紋制度は、決して犯罪捜査のために行なっているのではございませんで、もっぱら外国人管理の立場からいたしているわけでございます。それで世界各国の指紋制度を見てみますると、大別いたしまして、欧州大陸におきましては指紋制度はほとんど実施されておりません。しかしそのほかのある程度地理的に固まっていない国におきましては、指紋制度を実施している国が二十数カ国ございます。アジアにおきましても、香港においては指紋制度を実施しているわけでございます。ただ一般的に申し上げまして、無期の滞在者についてはこれを実施しておりませんで、主として長期の滞在者をねらっているという実情でございます。わが国におきましては、いわゆる観光客あるいは短期商用者というものについては実施いたしませんで、入国後六十日をこえて本邦に滞在する外国人、これに登録義務が課せられまして、あわせてその際指紋の押捺の義務が定められているわけでございます。昨年度相当大量の外国人登録の切りかえをいたしまして、その際あわせて指紋の押捺も実施いたしたのでございますが、概略四十万足らずの指紋をとりました。その内訳を御参考に申し上げますと……。
  38. 松平忠久

    松平委員長 ちょっと、今の帆足君の発言は、主として中国民間代表に対する指紋の問題でありますから、指紋全般の問題についての解明は差し控えていただきたいと思います。
  39. 下牧武

    ○下牧説明員 ただ、ほかの国の外国人も一般にやっているということを御認識いただきたいと思って申し上げているわけでございます。  そういう実情でございまして、しかもこの指紋実施対象となる外国人のうちで、外交官及び公用旅券を持っておりまする公用者でございますが、これには国際慣例上指紋制度を実施しておりません。法文の明文はございませんが、これは国際法規にも近い程度の国際慣例でございますので、わが国においてもそういう外国人については指紋制度を実施していないわけでございます。ただいま御質問中国の場合はまだ国交が開かれておりませんし、中国の入国者を公用者待遇あるいは外交官待遇というところまで国交関係が進んでおりませんので、その黄味におきまして、私どもは指紋制度を免除するということは法律的にできない立場になっておるわけでございます。もしかりに政治的な考慮によりまして、中国からのそういう特殊な使命を帯びた民間の通商代表というような者でありましても、そういう使命を帯びた全部または一部に政治的考慮を加えて公務員の扱いをするということになりますれば、これはほかの国際慣例に準じた扱いとして指紋をとらないということも考慮し得るかと思います。ただいまの段階においては事務的にはそこまで参っておりませんし、また事務的の問題として決定すべき問題ではないと私ども考えております。
  40. 帆足計

    帆足委員 入国管理局の事務当局の方は善良に仕事をなさって、事務を管理されておるわけでございますから、こういう政治問題に対してあまり深くお尋ねすることはかえって御迷惑でもありましょうし、また礼を失することでもありますから、深くお尋ねすることは私も控えた、と思います。ただ西ヨーロッパにも指紋という制度はなかったし、また日本でも指紋ということは犯罪と結びついて考えられまして、私などは青年時代にたびたび警視庁に入れられたり、また憲兵隊に一年半もつかまったりいたしましたので、指紋というと身の毛がよだつほど本能的に反感を持ちます。この敷島のやまとの国のうるわしき国ぶりの入国管理局が、特にこういう人のきらう指紋というものに趣味を持たれるようになったこの趣味は、一体どこから学んできたもので、またどういう必要があって——私は終戦のどさくさまぎれの犯罪捜査というふうに善意に解釈していたのですが、いやそうじゃない、これは外国人を管理するためにというお話ですが、こういうきたならしい趣味をどこから輸入されたのか、参考のために伺っておきたい。
  41. 下牧武

    ○下牧説明員 先ほども申し上げましたように、大体アメリカ系の諸国、北米及び南米、その系統を受けた国に指紋制度が実施されております。そのおのおのの国の実情を見てみますと、やはりいろいろな国から各種の雑多な外国人がたくさん出入するというところにそういう制度が実施されておるように私ども見受けております。大別して申しますと欧州大陸におきましてはああいう局限された地域にいろいろな小さい国がたくさん固まっております。そこで指紋制度を実施するということになりますと非常に混乱もありましょうし、おのおの同じ人種が固まっておりますので、欧州大陸において指紋制度が実施されないというのはそういう事情からおそらくきておるのじゃないかと私どもは見ておるわけであります。終戦後の日本の実情を見ますと、御存じのように前に日本人であった者で外国人になったという人がたくさんございます。そのほかに各国からの出入りも非常に自由になりまして複雑な様相を来たしております。そういう関係で私ども立場からしますれば、それらの全部の外国人を管理する立場からいたしますと、理屈から申しますと一部には必要がないという面もございますけれども、全体的な外国人管理の面から申しますれば、指紋制度はやはり必要だ、かように考えておるわけでございます。
  42. 帆足計

    帆足委員 まことに事務的な御答弁でありまして満足でありますが、しかし私どもがお尋ねしているのはそういうことをお尋ねしているのではないのであって、結局今の御答弁を率直に言うと、終戦後いろいろなやつがおって犯罪のおそれがあるからというのでそういうことになったと思いますが、しかしそういう必要があって指紋制度を採用した場合には、それが貿易や観光等に、特に貿易に支障を及ぼすことがないかということを考えなければならぬと思う。またアメリカ筋からその趣味は輸入したということですけれども、先日私はすなおな悪女というアメリカの映画を見ました。まことに低級なものであって、アメリカ映画の約七割は愚劣きわまるもので、ああいうものを輸出して恥かしくないか、一ペんアメリカの公使に聞きたいと思っている。アメリカ映画協会会長のエリック・ジョンストンという男は、昔ニュー・ディール派でその後多少転向して今保守的になっている人ですが、抜群の人物です。非常に尊敬すべき人物です。しかしああいうすぐれた人物が自分の生涯のためと見るならば、すなおな悪女を作って日本の青少年たちに見せている。一流の映画館の看板には青少年は見ないようにと書いてありますけれども、見ないようにと書いてある映画こそ見たくなるのが勇敢なる青少年たちの心理でありまして、あれでは日本に軽犯罪、重犯罪を奨励するための偉大なる役割を果しているということになるわけであって、経済的には今アメリカが一流ですが、文化的には大体三流国だと思うのです。あの都留君の尋問ぶりを見ましても、あれが一体民主主義国家の議会であろうかと私どもは腹の底から軽べつしているわけです。こういう文化的に低劣な国から指紋制度のようなものを学ばずに、やはり古典文化豊かなパリやローマやベルリンまたはスエーデン、ノルウェー等から一つ学ばれた方が貿易国の日本としては私はよいのではないかと思います。ただ入国管理局の立場から見れば、非常に戦後複雑な出入国関係になっていますから、そういう制度があった方が便利でいいということもわかるのですけれども、それならばそれでそれが貿易に支障のないようにというだけの配慮をあわせて貿易国策と矛盾のないようにすべきものであったと思います。しかしそういうことを事務当局皆さんに申し上げたところで、皆さんが腹の底で共鳴してみたところで、現在存在している法律の方針に従って運用することが事務当局の任務でありますから、大臣を前に置かずにこういうことを申し上げても時間の浪費でございますので、事務的なことだけをお尋ねいたします。  今韓国との間には正式の国交関係がないと思いますけれども、その代表は指紋が免ぜられると聞いております。これはどういう事務上の手続になっておりますか。
  43. 下牧武

    ○下牧説明員 韓国代表外務省の計らいで正式の外交官として扱うということは申しておりませんが、事務上外交官の扱いをする。それでその旅券も外交官としての旅券を出してそのビザをおろしているわけです。外交官立場から先ほど申しました指紋を事実上免除するということになっているわけであります。
  44. 帆足計

    帆足委員 それならば中国から参りました者も、コンスとか貿易部からきている者は、民間人の資格で参りましても公用旅券を持っておりますときはこれに準ずる取扱いをするということにしても、私は良識のある国々でしたら、中国を特別優遇するというようなばかなことを申し出る者もなかろうと思うのですけれども政府がこういう問題について運用上にすらなかなか踏み切れないということは、私はこれはまことに愚かなことであると思っております。しかしそれ以上のことを出入国管理庁の事務当局にお尋ねするのも非礼な次第でありますから、次に移るといたしまして、通産省にお尋ねしたい。  大豆を七、八十万トン輸入しておると聞いておりますが、通産大臣に先日お目にかかりましたときには、大豆は品質がよくて安ければ、中国からでもどこからでも買う、グローバル方式で買うということを伺いまして私は驚きました。そういうことをしたらアメリカを一挙に刺激しはしないでしょうか。七、八十万トンのうちとりあえずは二、三十万トン買って、次第にふえて四十万トンくらいになる。それで次第に様子を見なければ——われわれはことさらにアメリカを刺激しようと思いませんし、またアメリカとの輸出関係というものがありますから、買う以上はアメリカにも買ってもらう品物も多いのですから、急激に一方に偏することも行き過ぎでしょう。わが日本社会党はきわめて実際的で穏健な政党ですから、保守党の行き過ぎを是正しようと思って、私はそう申したわけです。ところが今度また急にチンコム解除前に、総合バーターになったからバーターで大豆を輸入してくれ、こう言われても、現在大豆の見返り物資の甲類はほとんど輸出禁止でありますから、大豆を一トンも入れるなというにひとしい結果にもなるわけであって、詳細にこのことを事務当局の方にも説明をいたしましたところ、現在は過渡期であるから、適切な良識ある措置をとりますということで解決ついたように伺っておりますけれども、しかし今後大豆の輸入につきまして一般政策として大体どういうことをお考えになっておられるか、差しつかえのない範囲で一つ伺っておきたい。
  45. 松平忠久

    松平委員長 この問題については最初中山通商局次長から、次に、食糧庁から齋藤業務第二部長が見えておりますからお答え願いたいと思います。最初中山通商局次長
  46. 中山賀博

    中山説明員 お答え申し上げます。帆足先生が御指摘の通り、大豆は品質、価格において最もコンペティティヴなものを日本としては買うために、全体のグローバル一本ということになっております。そして今までのストレート輸入をバーターにしようという一実情でございます。この問題につきましてはいろいろ論議もありましたが、ただいまのところバーターのシステムを続けていくつもりでございます。
  47. 齋藤誠

    齋藤(誠)説明員 大豆の輸入問題につきましての御質問についてお答え申し上げたいと思います。食糧庁といたしましてはただいま通商局から御説明がありましたような考えと大体同じことでございまして、できるだけ良品質のものを低廉に輸入するということによりまして、従来からグローバル方式をとっております。そういう輸入量の確保の面から見ますれば、広く中共あるいはアメリカ等と、同様なグローバル方式で輸入するということが望ましいと考えておるわけであります。しかし今後の通商面からいきまして、バーター方式になるということになって、それによって一定量が確保されるということであればそれもけっこうである、かように考えております。
  48. 帆足計

    帆足委員 私は為替操作の詳細を存じておりませんから重ねてお尋ねいたしますが、そういたしますと為替節約の観点から中国との貿易は原則としてバーターでいく、チンコム解除になれば甲類物資もふえるであろうからそれでバーターでいく、しからば大豆を輸入する絶対量というものは、バーターで見返りの代価が払える限りにおいては、品質と値段が折り合えば東北大豆に非常に大きな部分が移行しても、すなわちアメリカから輸入する大豆の量が非常に減りましても、そういうことは顧慮することなく安い方に移る、こういうお考えですか。ちょっとそれを齋藤さんから伺っておきたい。
  49. 齋藤誠

    齋藤(誠)説明員 大体の考え方は今先生のお話の通りでございます。ただ品質面におきまして中共ものとアメリカものについては油分の相違がありますので、一般食品用のものは中共大豆、主として油料に使われるものはアメリカ大豆、このような傾向は今後といえども続くものであろう、かように考えております。
  50. 帆足計

    帆足委員 そういたしますと、アメリカ大豆と満州大豆の配分というものは、需要者の方の要求で自動的にきまってよろしいものですか。需要者側の方で満州大豆は油が多少足らなくて、蛋白質が優秀だけれども、非常に安いからこの程度までは満州大豆を使おうということできまるのですか。それとも政府が大体政策的に、七十万トンのうちこれだけくらいは一つ満州大豆でやってみろ、これだけはアメリカ大豆でやってみろというふうに行政指導できまるのですか、どういうことになるのですか。
  51. 齋藤誠

    齋藤(誠)説明員 需要者の希望に応じて輸入することになっております。
  52. 帆足計

    帆足委員 大体よくわかりました。この問題につきましては私ども意見は、これはおそらく与党の方も一致しておると思いますが、甲類が、すなわちチンコム解除になるまでの間は機械的にこれをバーターにするということは、私はこれは無理であると思います。チンコム解除になるまでの間はやはりグローバルで、そうしてポンド払いにしておかなければ買うことは不可能だと思うのです。ですからそれまでの過渡期の間はチンコムの甲類が出ればそれで穴埋めしてもらいたい、それから穴埋めできない部分についてはポンド払いにする、こういう話でなければ最初から話ができるはずもないと思うのです。しかし大幅にチンコム解除されれば外貨節約の観点から総合バーター一本でいくということは私はもっともなことだと思います。ただチンコム解除をされてないときに突如として政府総合バーター一本ということを言い出すとするならば、これはアメリカに遠慮して安い東北大豆を買うことをサボタージュしておることであるといって非難されてもいたし方ないのじゃないかと思いますが、現在は過渡期でありますから、先般過渡期の措置をおとりになったように思いますけれども、その点についてはこの過渡期をどういうふうにごらんになっておるかを伺っておきたい。
  53. 中山賀博

    中山説明員 この問題につきましてはいろいろ中共側とも交渉いたしまして、われわれといたしましてはチンコム解除も予見できることであるし、甲類物資の輸出も楽になるという見通しのもとにバーターにすることを交渉いたしまして、先方の了解も得たものと考えております。従ってわが国の将来の輸出という面から考えまして、当分の間このシステムでいきたいと存じます。
  54. 帆足計

    帆足委員 私は今度おとりになったその過渡期の措置は論理が通って妥当だと思います。中国側がむしろ今度の仮契約分についてはストレートにしてくれとかいう条件をつけたといいますけれども、それは中国側の言い方にやはり無理があって、仮契約の分でもこれはほんとうの契約になってなかった、これは通産省の言われるように、バーターとストレートのちょうど中間のような段階だから、そういう措置にしたい。そしてチンコム解除されたならばそれで穴埋めしてもらいたいということは、仮契約分にも適用することが当然であって、合理的に当然なことは中国に対しても強く要求すればいいのであって、多分その要求は通ったのではあるまいかと私は思っておりますが、それはもう解決いたしましたか。
  55. 中山賀博

    中山説明員 解決したものと考えております。
  56. 帆足計

    帆足委員 その次に石炭の問題ですが、石炭につきましては、粘結炭と一般炭の品質と値段が折り合えば大体どのくらいの幅を中国から輸入しても差しつかえないというお考えでしょうか。
  57. 讚岐喜八

    ○讃岐説明員 一般炭につきましては、現在のところきまっておりますのは十五万トンの線であります。残り八十五万トンということになりますが、これは中共炭でもけっこうなわけでございます。しかし実際のところ、昨年の当初計画から申しまして、現在非常に値段が高いということもございまして、現在のところ交渉はほとんど行われておりません。それから原料炭でございますが、昨年度は五、六十万トンの輸入計画があったのでございますが、本年度ももし値段の折り合いがつくならば、それだけあるいはそれ以上の輸入が期待できるであろうと考えております。
  58. 帆足計

    帆足委員 昨年中国側と石炭について交渉されて、それがあまり経過が思わしくなくて、中国側が足元を見て、われわれから不当に見られるというくらい高い値段を言ってこられておるので、中共炭の輸入の前途についてはわれわれが安定感を持つことができない。そういう危惧があることは、私どもも一応ごもっともだと思っておりますけれども、一体昨年の石炭交渉、あれは非常にスマートであった、そして交渉の方法等においてもきわめて合理的でかしこい交渉方法であったとお考えになっておられるのでしょうか、それともあれはきわめて不十分なものであったとお考えになっておられるのでしょうか。
  59. 讚岐喜八

    ○讃岐説明員 昨年度一般炭の輸入につきましては、年度当初には全然計画はございませんで、冬場になって緊急に輸入する必要を生じて起った問題であります。従ってスポットで買わざるを得なかった、かようなことでございますので、先生のお言葉を借りて申しますと、スマートでなかったということになります。しかしながら原料炭につきましては、これは年間を通じて予定した計画に基いて交渉が進められたのでございますが、値段の問題で途中で折り合いがつかなかった、かような経過でございます。
  60. 帆足計

    帆足委員 私は今の粘結炭の問題もまたスマートでなかったと思うのです。あれはたしか六十万トン買えるはずのを——当時は安い値段であった。それを一社の問題などにかかずらって、いろいろな事情があったでしょうけれども、情勢に対する認識不足から、みすみす安い値段の二十万トンを逃がしてしまった。全体を振り返ってみると、やはり見通しと現状認識において非常に欠除しておった、こういうことだと思うのです。私はその後中国に参りましたけれども中国側はあの石炭交渉に対して必ずしも全服的によい感情を持ってなかったように観察して参りました。石炭の問題は日本の鉄鋼業にとっては米の飯のような重要な問題ですから、やはりメーカーさん、専門家、それから貿易商の中でも中国側と非常に意思の疏通の深い人たちをもう少し参加させて、また通産省意見もよく体して、もっと公平にして合理的な、また相手のあることですから、こちらだけいばってみたところで相手がほれなければ、おれは日本一の美男子だと言っても、相手はあんなやつは汗くさくていやだというならば仕方がないと思う。貿易の国である以上、もう少し商業心理学なども御研究になって、そして相手に好かれるようにしてもらいたい。私などは中国に参って好かれる方ですけれども、こういうやり方は一に人物だと思う。これはやはり効果が上らねばしようがないのです。自分のうちだけでいばってみても、相手の国に対して真心が通じなければ、至誠天に通ずと言いますけれども、独断的な至誠では相手に通じないと思うのです。やはり相手の喜びや悲しみも喜び合い、悲しみ合い、またこちらの喜びや悲しみも相手に理解してもらう。こういう点で昨日、八幡製鉄の購買部長さんが来たから申したのですが、日本の鉄鋼業はずうたいも大きく、たくましいけれども、フィーブル・マインドの傾向が見られて、川口の鋳物屋さんのように泥くさいところがある。これは一体どこから来ているかといえば、長年の間の軍国主義のこぶのような存在で育成されて、とにかく一時は七百万トンの鉄を作りながら、日本の大学教授に自動車一台提供し得ない、末弘厳太郎さんにダットサン一台上げたそうであるけれども、七百万トンの鉄を作りながら日本の優秀なる大学の教授に一台の自動車も提供し得なかったところの日本の重工業、独断的な性格というものはそういうところから来ていると思う。そういう性格で東南アジア諸国から好かれるはずはないと思う。やはり東南アジア諸国並びに自分の国の平和と福祉にサービスする機械工業、重工業、そういう性格にならなければならぬと思う。そういうリベラルな性格になれば中国との炭の交渉も、多少はスマートにいく点もできてくるのではあるまいか、そういう点におきまして石炭と鉄鋼につきましては、お互いにイデオロギーから離れ、また党利党略から離れた、すなおな経済使節の交換がきわめて必要である。特に石炭の問題では、今後中国の石炭から離れて日本の鉄鋼国策を立てるということは危険だと思うのです。過当に中国市場に依存することも危険ですし、これを過少評価することは同じように非常に危険だと思う。従いまして足元を見すかされて不利な値段をふっかけられるという不幸な結果になる。すなわち今日の中国との間における炭の問題のやりとりはスマートでなかった、お互いに——こちら側とのみ言いません、相手側もスマートでないのです。何しろ中国という国は、ある意味日本より五十年もおくれている国ですから、先方も泥くさい、こちらも泥くさい。そういうことで必ずしもうまくいっていないと思うのです。中国の鉱山公司の総経理の商広文という青年は非常に親切な、そして性質の穏やかないい人なんです。そういういい経理がおるときによき関係を作っておけばよいものを、私はまことに残念だと思うのでする。一つ通産当局の人も商広文君に一ぺん会ってみるといいと思うのです。あれは実にいい人物です。そういうよい状況に恵まれておるのに、なおかっこの問題がうまくいってないというのには私は——昨年の交渉は点数からいえば三十点くらいの交渉だと思う。自分は三十点の交渉をしながら、中国の炭に対してただ不安を感ずるというだけでは、これはまことにわざのないことでありますから、この問題につきまして今後の交渉をなさるには、技術と鉄鋼業と貿易等にわたる経済調査団の交換をお互いにおやりになることが必要で、そしてその人選については非常に慎重におやりになることが必要であろうと思います。  同じ問題は、日本から輸出しまするセメントについてもいえますし、今後ブラント輸出の問題がチンコム解除に付随して起るならば、電気事業関係とか電気機械関係とかその他等々について必要でございますから、これは政府与党の皆さんの御了解も得て、思想問題から全く離れた純経済技術的な使節団を業種別に逐次順よく交換するということがいよいよもって必要になってくると思います。また七月に日本から中国に参りまして、八月に中国から日本に使節団を呼ぶとしますれば相当の経費がかかると思いますので、そういうことについての若干の貿易振興費の補助なども通商当局において一つ研究していただいて、輸出入組合とこの点御相談しておいてもらいたいと思います。  それから最後に、時間も移りましたのでお尋ねいたしますが、輸出入組合の役員、事務局機構と会員との間が私は多少遊離しておるように見ておりますが、昨日高見専務にこのことをただして、南郷さんが輸出入組合理事長に就任したときに、自分は統制会の会長に就任したような意気込みでやるつもりであるという就任の第一声を放った、こう新聞記者が伝えております。私も戦争中は統制会のことをお手伝いしまして、自分では良心的にやったつもりでありますけれども、歴史的に見れば何の役にも立たず、皆さんに御迷惑をかけたばかりであると思って大いに恥を感じておるものであります。しかしあのときは国家総動員体制でありましたからああいう形態をとったと思いますけれども、自由経済の今日において統制会方式のようなことでいけるはずはないと思うのです。従いまして、輸出にも輸入にも若干の統制が必要とされる、特に相手が一本ないし数本でありますので、こちら側も歩調を合せる必要がある、そういうときに一体どういう手順でその歩調を合せるかということにつきましては、これは非常な良識が必要だと思います。貿易業というものは、一方においては競争の上に成り立っており、他方においてメーカーと需要者とのつながり、また供給者とのつながり、また一面においてはお得意さんのあることですから、相手の市場とのつながり及び信用関係、この三つの上に成り立っておる。そしてよいことには、一方で競争相手ですけれども、他方においては相互に監視し合い、また協力し合うことも可能でありますので、一貿易グループにおいて一つの統制ある秩序がおのずから成立しますのには、実際の実力関係とか、信用とか、努力とか、実績とかいう諸要素がこんがらがって一つの態勢ができるのであって、これを指導するものは無理をしてはいけないし、また私心があってもいけない。自然の勢いと適当なる良識とを織りまぜての一つの秩序を作っていく以外に別に秘訣というものはないのであって、輸出入組合の仕事を指導していくということは非常に困難な仕事で、私は高度の良識を必要とする仕事だと思うのです。これが役所と結託して、しばしば強引なことを無理にやろうとする傾向があるように、ちょいちょい業者の方から不平を聞くのでありますけれども、業界というものは、みなそれぞれ利害が違いますから、一業者や他の業者の言うことを聞いてもっともだとうなずくわけにも参りません。でありますけれども通産省当局としては一体輸出入組合というものをどういうふうにごらんになっておるか。今後統制を必要とするような問題、たとえば石炭の輸入にいたしましても、大豆の輸入にいたしましても、買いあさりや、それから不当競争に対してどういう手順でもってこれに秩序を与えようとなさっておられるか、その根本原則を大体承わっておきたいと思います。
  61. 中山賀博

    中山説明員 お答えいたします。昨日も高見さんからいろいろ陳弁しておられましたが、それはそれといたしまして通産省といたしましては、輸出入組合はまず根本といたしましては業界の自主的な団体でございまして、業界各位の自主的な総意を生かす仕組みになるべきものが根本だと思います。ただ内部である程度の決定をするとか、あるいは一つの線を出すということになりますと、いろいろ反対もあり、賛成もあり、そこに議論の戦わされることのあることはやむを得ないと思いますが、根本におきましては業者の自主的な総意と協調によって事柄を進めていってもらいたい、そういうふうにまたわれわれも指導しておるつもりでございます。
  62. 帆足計

    帆足委員 輸入の仕事につきましても、輸出仕事につきましても、私は初めから終りまで全部輸出入組合に相談しなければならぬということはないと思うのです。ある程度までは独自にやり、ある程度まではまた共同してやり、そうして目鼻がつくころになって輸出入組合に相談をする、また行政当局の内面指導を受けるとかいうことは、理の順序であって最初から輸出入組合が、おれはこのことを知らなかったとわめく必要はごうもないのであって、大体輸出入組合に相談しても仕方のないこともあるし、相談すれば全部ほかの業者にわかってしまって商売上差しつかえがあるということも多かろうと思います。従いまして、政府当局としては、輸出入組合に過大の権能を与えて、何か業界を上から統制するというような感を与えておるようですけれども輸出入組合を政府としては自分の外郭機関にお使いになるというようなお考えですか。
  63. 中山賀博

    中山説明員 お答え申し上げます。外郭機関にというようなことは毛頭考えておりません。
  64. 帆足計

    帆足委員 一つの商品の輸出統制なり輸入統制をいたしますときに、これは自由競争のもとにおいて行われるのですから、事柄自体が非常に困難である。私はよく高見君に言うのですが、六割の人からほめられて、四割の人から排斥されるとしたら、それは上々の部として祝杯を上げてけっこうである、まあそのくらいのつもりでやってしかるべきである、しかし七割から排斥されてそうして二割くらいが中立性、支持してくれるのは一割しかいないということになれば、これはSOSだ、危険信号だと思います。そういうむずかしい仕事ですから、これは最高の良識を必要とする仕事ですから、一がいに言うことはできないと思いますけれども、今後重要物資の輸入につきましても、輸出につきましても、どういう方式で統制をしていこうというお考えであるか、その方程式を大体お聞かせ願いたい。
  65. 中山賀博

    中山説明員 先般取引法に関して、参議院におきましても衆議院におきましても附帯決議がありました。これに対しまして通産政務次官からも、その決議にこたえて、最大の努力を払うという御答弁があった通りであります。われわれといたしましては、この組合が組合員の盛り上った力によって行動をしてくれることを願うのみでありまして、われわれがこれを外郭団体として命令したり、あるいはわれわれの意思を通すための手段にするというようなことはあってはならないし、また現在までなかったことを希望する次第でございます。ただ、要するに中共との貿易その他共産圏との貿易につきましては、いろいろたとえば取引の際の窓口の一本化とか、あるいは交渉の一体化というようなこともかなり各方面から出てきておりますし、私は、組合の方でも自分のそこに若干のまた存在理由も発見し、あるいは業者のお手伝いをするという意味で、善意をもって活動するということもあったかと思いますが、そういうときのものの見方と申しますか、利害の相反というようなことから、また内部でいろいろな見方が出ておるかとも思います。しかしわれわれといたしましては、できるだけ業界の総意を生かし、そうしてもちろん皆さんの多数の御意思によって組合というものが動くということ、他方においてはやはり相手のある、しかも相手がなかなか統制のよくきいた一本化した相手でございますから、こちらとしてもまたこれに対応するような措置が、しかも自発的に自主的にとれるものならこれに越したことはない、こういうふうに考えます。
  66. 帆足計

    帆足委員 私は組合などというものは、国家と同じように機能が小さければ小さいほどいいのではないかと思うので、存在理由などというものを発見しようと思ってあまり努力せぬ方がいいと思う。そういうものを発見しようと思って努力するから、業界から浮いてしまうのである。存在理由というものはおのずから生まれてくるものであって、発見してそして事務局拡張、権限拡大をやろうとして張り切れば、必ずそれは摩擦の原因になるのではないか、こう思うのでありますが、たとえば石炭にしましても相手は一本ですから、そうすると当て推量で、中国側に、石炭を売ってくれ、よそはこう言っているけれどもおれの方はこう高く買えるということで、当て推量でどんどん電報を打つということで、また輸出についてもその逆のようなことがあって、不当に日本立場を不利に陥らしめ混乱を招来するということは、しばしばあると思うのです。そういう問題に対して通産省当局はどういうふうにこれを指導していくお考えですか。
  67. 中山賀博

    中山説明員 お答えいたします。窓口の一本化とかあるいはそういうチャンネルを一つにするということはこれまでも行われましたが、しかしこれはわれわれの考えといたしましては、あくまでも業界からの希望に基き、業界の選定する人がチャンピオンになって、そうして窓口一本で交渉する、しかしながら個々の細目の商売につきましては、これはあくまでも個々の業者、業界の意思で動くべきものであって、われわれとしては業者あるいは業界の自発的な意思というものが一番大切だと思っております。従ってたとえばその一本になって、たまたま相手と交渉する会社が一社にしぼられたといたしましても、その人はあくまでも全体の業者の代表であり、そうしてまたそういう人がきまることは、あくまでも業界の自主的な意思において妥当と認められる常識をもって、そこで決定していただくべき筋合いのものだ、こういうふうに考えております。
  68. 帆足計

    帆足委員 私は先ほど来の御答弁に満足なんですけれども、そういうふうにいっておれば問題はないと思うのです。いろいろな矛盾は、当然の矛盾ですから業界としても了解すると思うのですが、たとえば昨年にいたしましても、石炭部会というのが輸出入組合にあるということを聞きましたが、あれはその部会の幹事が中国に参りまして、そして自分の商社だけでなくて中国と連関がありそれから需要者と関連のある幾つかの雰囲気を代表して話し合うということにすればあのときもよかったと思うのです。  そこで、輸入につきまして買いあさりなどを防止いたしますのに、今の通産省当局の御答弁のような穏やかな態度で果して調整できるかどうかということで輸出入取引法の改正案が問題になったのではないかと思うのです。ところがおそらく皆さんの意に反して、これは当分中国に適用しないでおいてもらいたいというような決議が行われたことも御承知の通りです。しかしそういう決議が行われたということの中には、商工委員諸君も満場一致でそうなったのですから、商工委員諸君が愚かであるはずもなく、やはり深いいろいろの理由があるということを私は御了察願いたいと思うのです。同時に自治統制が過渡期においてある程度効果を上げますためには、中国側におきましても根拠のない日本からのオーダーについ乗って、そして実績もなく、実際にその任に耐え得るだけの見通しも実力もないようなところに注文がいく、そうすると注文をとっておいて、割り込んできてまたこれをアサイナブルにして他の商社に譲って既得権を作ろうというような動きもあるわけですから、度を越した不当な動きに対しては需要者がやはりある程度これを押えることができるだろうと私は思うのです。従いまして、何もかもあらゆるものの要求を満足させるということはもちろんできませんので、国内的に見ましてもまた中国側の要求に対しましても、需要者から見てまた組合から見て、どうも妥当を欠くと思われるものに対してはこの程度に修正してもらいたいということを書って中国側にも譲歩を求め、また貿易業者にも反省を求めるということは非常に重要なことだと思うのです。そういうことでございますから、今後の運営につきまして、商工委員会においてああいう附帯決議がなされたということは、いろいろな点を勘案してああいう附帯決議になったのでありますから、組合独善、官僚独善にならないとともに、同時に商社の中であまり過当に秩序を乱すような傾向に対しては、幾つかの方法がありますので、適切な方法によってやはり国民経済の全体の利益を守るということが私ども必要であると思っております。  ただいま加藤君から関連質問の申し入れもありますので、私の質問はこれで終ります。
  69. 加藤清二

    ○加藤(清)小委員 ちょっと関連して。実は私はきょうはチンコム、ココムの問題でお尋ねしようと思っていましたが、どうも先ほど来の答弁を聞いておりますと事務的なことしか答えていただけないようでございますので、私もその線に沿って事務的な問題についてお尋ねしたいと思います。  中共貿易の促進は、これはもう朝野の声でございますが、それがなかなかできない、できない原因はいろいろございますが、そのうちの一つに官庁と組合とがチンコム、ココムにプラス・アルファの制限を加えていらっしゃるように思えてならないのでございます。こういう点、お気づきであれば可及的すみやかにその気づかれた点を除去してもらいたい、こう思えばこそ申し上げるわけでございます。一例を申し上げますると、きのうも向うの土産品ないしは乙類、丙類の物資を割合に多く入れるような計画を立てないと貿易が伸びないのだという参考人の声もございました。御承知でございましょうが、ただいま毛製品が相当に伸びておる。ところがこれがバーターのおかげでトーマス残がたくさんに残っております。その一部は、かつてバナナである程度消化されましたが、ここに私は妙な実例を知っておるのでございます。某商社が、毛製品を輸出するにはどうしてもそのかわりにそれに類するものを輸入しなければならない、そこで去年本委員会で審議の結果許されましたところのエビをサウンドしますと、これは農林当局の方において、エビは農林物資なんだから農林物資のバーターにしてもらわないと困るのだ、こういうことで一蹴された。そこでなるほどそうかというので、今度はそれに類するものをというわけで、特例を開く意味においてカシミヤを入れようというわけで組合に相談してみたところ、今度は組合の方が、カシミヤの輸入商社はかちっとしておって大ぜいありまするから、これ以上そんなものを扱ってくれては困る。そこでいろいろ考えたあげくの果てに、しからば老酒なりともというわけで、これを見つけて向うと相談の結果オファーをもらって通産省の窓口にいってみると、その酒はだめですよ、こういうことだ。そうこうしている間に約一年をけみしちゃったというわけです。こうなりますと、片や輸出を伸ばせ伸ばせと言われても、バーターである以上は、これは何か輸入しなければならぬ。何か輸入しなければならぬものを業界がみずから見つけて持っていくと、全部だめだということが言われるけれども、しからばこういうものならばよろしいから一つやってみなさいというところの指導育成の手ほどきというものが、ほとんど官庁の側でも組合の側でも行われていない。どうも門戸を閉ざしてしまって、そうしてあとから伸びてくるものは仲間に入れない、こういうふうにしか受け取れないのでございます。まあ本日ここへ出ていらっしゃるような、事務系統でもトップ・レベルの方々はそうおっしゃらないでしょう。しかしその直接担当の係官のところへ行きますると、たいていそういうことを言う。ところが業界は一々課長様や局長様に会えるものじゃございません。高見君がきのうあのようなことを言っておりましたけれども、組合に行って一々高見君に会えるものじゃない。あれが交渉に行ったときは仲間同士であったが、あそこのイスにすわったらふんぞり返って後光がさしておるというのですから、こういう傾向がこの組合に行われるうちは、幾らかねや太鼓で中共貿易を叫んでみてもなかなか伸びないし、ただチンコム、ココムを解除してみただけでも容易に伸びないところの要素をそれ自体のうちに包含しているような気がしてならない。こういう問題は私はあまた知っておる。が今日は時間もございませんし、大臣もおりませんから申しませんが、こういうことをそのせつなせつな、ポスト、ポストにおいてよく了解をさせておかないと、これはなかなかもつてできないことだと思うわけでございます。これに対して一つここで言うておかにゃいかぬという方がありましたならば答弁して下さい。そうでなければ私の言ったことが正しいということでございますから、どうぞ。
  70. 中山賀博

    中山説明員 今加藤先生が御指摘のような事実が窓口にありましたならば、非常に遺憾なことだと思います。ただ今御指摘のエビとかカシミヤとかは、聞いただけでもいろいろ連想の多いものでございまして、具体的にどういうことがあったのか一つ調べてみたいと思っております。しかし窓口が、あるいは組合が、怠慢ないしは十分な注意を持たないためにそういうことがあってはならないと考えております。
  71. 松平忠久

    松平委員長 他に質疑もないようでありますので、本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後零時四十七分散会