○
帆足小
委員 御
答弁としては遺憾ながら落第だと思うのです。それでは私が御
説明いたします。これはたとえば
ひもつきで学資を
援助するといいましたときは、うちのばか娘とお前が将来結婚してくれるならこれは毎月一万円ずつ学資をやろう、こういった学資の出し方を
ひもつき学資というのです。またはお前は将来軍人になるなら
一つこれだけ学資を出すけれ
ども、弁護士になるならこれを出さない。ましてや社会党に入党するおそれなどある学生にはこの奨学資金は出さない。こういうような条件をつけることは主観的にはその出す人の善意である。わがばか娘を結婚させたいという熱烈なる善意を持っていようと、そういう人の心境を左右するような条件をつけての金の出し方を
ひもつき援助というのです。従いまして
アメリカが
日本に対して
援助しておるものは、都留君が言ったように、これはやはり学者としては
ひもつき援助といわなければならぬと思うのです。そういうことは見識ある人間としては好ましくないというのが
東南アジア諸国の叫びだと思う。これは道徳的に非常に高い叫びとして、私
どもは好意を持ってこの
意見を聞いておるわけですが、岸さんもそれには非常に強い印象を受けたと
新聞も伝えておるようであります。
アメリカと
日本との
関係で、
アメリカが大いに
日本に
援助してくれることはけっこうです。しかし
日本もまた
アメリカに対していろいろ利益を与えておると思うのです。別に条件をつけなくても、人口の多い国ですから、うどんをたくさん食べますから、結局
アメリカから小麦紛をたくさん買うとか、木綿の着物の材料の綿花を買うとか、また鉄鋼業のためにくず鉄を買うとか、これはただでもらうのでなくて、やはり金を払って買うのですから、そういう場合、買う方はお得意といって非常に尊敬されるのです。従いまして、経済上の
関係は相見互いでございますから、いやしくも
経済援助によって相手の国策を左右したいという
要求は、今日の道徳通念からいえば低い衝動であるというふうに私は大体理解して差しつかえないのじゃないかと思うのです。
ソ連が、
ソ連の善意によるにしろ、ハンガリーに対して軍事及び経済の
援助を与えている。そして主観的には彼の善意に出た社会主義の
要求であったにしろ、それに対してハンガリーの市民が反発して内乱を起した。これに対して
各国の保守政党ですら、自由のためには暴力革命すら起してもいいと言って大いに暴力革命を賛美したので、私は保守党の
諸君の
勇気に感嘆いたしまして、わが
日本社会党は平和の党でありますから、内乱を起すようなことは
考えておりませんし、実にわが党は穏やかな、心のりっぱな党であることをさらに痛感したのでありますが、ハンガリーと同じ論法をもってしますれば、沖繩に暴力革命を起したならば、
世界の
自由諸国から大いに
援助をもらって差しつかえないという論理にもなるわけでありまして、私は人生の論理というものはなかなかきびしいということを思ったりいたしておる次第でございます。
こういう情勢のときに、この
チンコムの問題が起った。
アメリカの親戚といわれる
英国ですらが、これはもう無理であるということで、独自の声明を発しようとしておりますし、前の
商工委員会で通産
大臣の石橋さんは、
チンコムはすでにオブソリートである、時代錯誤である、こういう
発言をしたことを私は記憶しております。問題はここまで参っておりますから、解決は時日の問題であると思いますが、いずれ
大臣との
懇談において私
どもは
国会の
決議に従って一そう
政府を激励いたさねばならぬと思っております。
ところで、この問題の見通しがつくのが来月初旬であるとしますれば、
英国はすでに実業使節団を北京に派遣する計画であり、また見本市をことしの秋に北京で開く計画である。さらに
英国はすでに
中国を承認しておりまして、代理公使のような機能を持った者が北京に常駐しておる
状況でございます。こういう点から見ますると、私は
日本の立ちおくれを
諸君とともに心配いたす次第でございます。そこで第四次の
貿易協定を早く進めねばならぬのでありますけれ
ども、
中国側の伝うるところによりますと、九月から来
年度の第二次五カ年計画の
年度割計画の策定に入るそうであります。従いまして九月以前に第四次
協定を結んでおかないと時期がおくれるというところへ参っております。五月四日に期限満了して現在
空白状況になっておりますことはまことに遺憾でありますけれ
ども、先日池田正之輔君を団長として北京に出発しようということで
岸総理の御内意を得ましたときには、六月の初旬に出発という予定でございましたが、岸さんの訪米並びにこの
チンコム問題の未解決の問題等とからんで現在日が延びているわけでありますけれ
ども、大体日割を
考えますと、どうしても七月の初めに北京に参りまして予備交渉をして、八月には北京から各経済
代表を東京に連れてきて、さらに業種別に輸
輸出入両面にわたって
懇談せねばならぬ、こういう手順に大体なると思うのです。どうぞ
事務当局の
諸君はこういう
状況に置かれているということを十分御了承願いたいと思います。これは
大臣との
懇談会のときにこの事情を申し上げて、少くとも七月初旬までに踏み切りがつくように、これは与党の同僚議員の皆様にも御協力願って超党派的にこの問題を解決しなければならぬと思っている次第であります。
第四次
貿易協定を準備するに当りまして、大部分の問題は、
日本と
中国とが対等の資格で相互の自分の国に利益になるように、そうして相手国に対しても利益を与えるように、平等互恵の
立場に立って
相談し合うのでありますから、大部分の問題は、
統計資料を準備いたしまして、私心なき
懇談に入ればいいのですけれ
ども、前々からの
約束がありまして解決しておかねばならぬ問題があるのでございます。それは商務駐在員の交換でありますけれ
ども、これも以前には公的資格のある商務駐在員ということで、一種の国交回復以前の
民間商務官のような資格のものでありましたために、直ちに実現は困難だということで、昨年の秋
政府とも
相談をいたしまして、
民間の商務駐在員ということにお互いに譲歩いたしまして、現状に即するように話し合いができているのでございます。従いましてこの問題だけは解決しておいて
相談に入らなければ、他の一切の問題の協商が困難であるということになっておる。
御承知のようにこの問題に関連して困難しているのは指紋の問題とそれから駐在員の
仕事の安全について、すなわち警察権、裁判権の問題が残っているのでございます。指紋の問題につきましては、前の通産
大臣の石橋さんが、いつの間にこんなばかなものができたのだろう、僕は知らなかったと、こういう通産
大臣としての
答弁があったくらいで、
日本の国民は知らないのでありまして、これは終戦まぎわのどさくさに、犯罪人捜査のために指紋をとることにしたものとわれ人ともに理解しているのでございます。ところが御承知のように指紋をとるという風習はあまり人によい感じを与えないようでありまして、西欧諸国においてもこういう制度はないように聞いておりますし、アジア諸国においてはこれは犯罪と結びつけられておりますし、また社会主義国においては長い間社会主義運動をした人
たちは、指紋の問題と犯罪並びに政治犯逮捕の問題とは不可分の悪い印象を構成していることも
諸兄の御承知の通りです。従いまして犯罪捜査のためであるならば、一般の素性のわからぬ人
たちに対して指紋をとることはやむを得ないといたしましても、少くとも一国の首脳とか、商工
会議所とか、経済使節とかあるいは公用旅券を持って十名二十名が集団を構成して参るというようなものに、犯罪捜査のための
他国のいやがる指紋を強制する必要はどうもないのではあるまいか、ましていわんや観光の国、
貿易の国と言われるこの
日本が、
貿易海運立国の
日本が、この指紋問題を不当に拡大いたして、一般の素性を明らかにすることの困難な外来客でなくて、公共の使命を持っている素性、身元の明白な人
たちに対してまで機械的に指紋をとって、これを困らせるということは私は当を得たものでないと思う。このことを石橋さん時代に申し上げますと、そんな制度があったのか、おれは驚いた、何とかそんなものは改めればよろしいではないかというような
答弁であってだれに聞かれてもそうお答えになるのが私は普通だと思うのです。これは運用によりまして、公用旅券を持って来たお客さんなどは公務員に準ずる者——御承知のように憲法第九条ですら陸海兵力はこれを持たぬということになっておりますのに、拡大解釈によってまことに器用なことをされております
政府であって、私はそういう不当な拡大解釈を奨励するものではありませんけれ
ども、しかし不当でない範囲において、われわれの良識によって拡大解釈をいたすならば、公用旅券を持って参っておる者などは、犯罪人として指紋までとって捜索せねばならぬ必要は生じないのでありますから、写真だけをもって指紋にかえるということは、これはできることであろう。そしてそのために、これは
他国と差別待遇をしたということにもならぬのではないか。公用旅券を持っておる者に対してはそういう取扱いを準じてする。そういうことは一国の行政の手かげんでできることではあるまいか。こういう常識的な問題が、どこに遠慮してか、いつまでたっても解決しないということは実に笑うべきことでもあるし、また必要によっては、公用旅券を持ってきておる者、または公共の使節に対しては、両
大臣協議の上、指紋を免ずることを得という法律改正案、また省令改正案でしょうか、そういうことを法務
委員会において研究して、行なってもできることでございますので、
貿易振興の衝に当られる
事務当局といたしましては、こういう問題をいち早くとらえて、問題がここまで緊迫しないうちに
大臣と
相談され、与党とも
相談されて、運用で解決するか、ごく簡単な一、二行の法律改正案を準備するかということに御
努力あって私はしかるべきものでなかったかと思うのです。同時にこの問題に連関して、皆様
大臣を助けて至急このことを解決せねばなりませんから、御研究願っておきたいことは、警察権と裁判権の問題でございます。もちろん大公使ならざる
外国からの外来客に対して、基本的裁判権をその国が持つことは当然のことであります。ただ運用上いざこざが起りませんように、たとえば領事館に準じて、問題が多少ありましたときは国外にお帰りになるような取扱いをするというようなことは、私はきわめて適切なことであるまいかと思います。こういう問題がありますことを
一つ御記憶願ってこれは至急各
大臣と
連絡いたしまして善処をお願いいたしますが、この問題さえ解決いたしますれば、あとの問題は、
チンコムの緩和は国際的趨勢でありますし、為替の問題については、
民間の為替
銀行間で業務上の観点からまず話し合う、しかして後、今後当然
チンコムが
解除されれば
輸出超過の
状況になりますから、その
輸出超過についての信用供与等についてどうするかということは、今後の国交の改善と並行して、お互いに研究し、実現に進むという順序になろうかと思います。また
貿易協定のこまかな
内容につきましては、東京にむしろ来てもらう。そのときに、ただ形式的に、一般的、政治的な経済
代表に来てもらうのでなくて、主たる
輸出品目、主たる輸入品目について専門の知識のある
中国側の業界の人に来てもらいまして、従来のように一般論、抽象論でなくて、各商品別にゆっくり
懇談いたして、そして
中国側の第二次五カ年計画の
内容を私
どもも熟知して、その平和建設に寄与するように
貿易態勢を整えると同時に、
日本の需要者に適応するようなよい原料を安く平均して購入するように
懇談を進める。こういう点において今後
通産省当局並びに
外務省当局においては、今次先方から経済使節を呼びますときには、業種別になるべくこまかな専門家に多数来てもらい、了解してもらうことが私は重要であると思っております。この点につきまして
事務当局として何かお
考えのほどを伺うことができれば幸いだと思いますが、
通産省、
外務省双方から
一つ御
意見を伺いたいと思います。