運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-06-12 第26回国会 衆議院 商工委員会重化学工業に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年六月十二日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席小委員    小委員長 小平 久雄君       大倉 三郎君    齋藤 憲三君       笹本 一雄君    鈴木周次郎君       南  好雄君    多賀谷真稔君       松平 忠久君    水谷長三郎君  小委員外出席者         農林事務官   安福 数夫君         通商産業事務官         (重工業局次長大堀  弘君         通商産業事務官         (軽工業局長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (軽工業局有機         化学第一課長) 熊谷 典文君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月二十五日  小委員笹本一雄君、永井勝次郎君及び松平忠久  君同日辞任につき、その補欠として大倉三郎君、  佐々木良作君及び佐竹新市君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  鈴木周次郎君同月二十三日委員辞任につき、委  員長指名で小委員補欠選任された。 六月六日  大倉三郎君、鈴木周次郎君、佐々木秀世君及び  佐々木良作君五月二十八日委員辞任につき、  委員長指名で小委員補欠選任された。 同  日  菅太郎君五月三十一日委員辞任につき、委員長  の指名で小委員補欠選任された。 同月十二日  小委員菅太郎君及び田中武夫君同日辞任につき、  その補欠として笹本一雄君及び松平忠久君が委  員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  鉄鋼業に関する件  石油化学工業に関する件  化学肥料工業に関する件     —————————————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  まず鉄鋼業に関し調査を進めます。前回の小委員会において、要求いたしました資料が提出されましたので、この際政府当局より御説明を願うことにいたしたいと思います。大堀重工業局次長
  3. 大堀弘

    大堀説明員 先般の小委員会におきましてイギリス鉄鋼価格が非常に低い、それはどういう方策をとっているからだろうか、資料を提出するようにという御質問がございました。それからもう一つは、日本鋼材価格輸入価格との比価はどういう状態になっているかという御質問がございましたが、本日お手元資料をお配りいたしてございます。まず最初英国鉄鋼価格の問題につきまして御説明申し上げたいと思いますが、運用等につきましてはなかなか詳細な点が判明いたしませんが、現在鉄鋼業務課長を専用船問題につきまして欧米に派遣いたしておりますので、そのついでにこの内容等についてさらに詳細に調査を命じておるわけでありますが、とりあえず私ども手元で判明いたしております資料によりまして、概略のことをお手元資料といたしまして御提出申し上げております。  資料につきましてかいつまんで御説明申し上げたいと思いますが、イギリス鉄鋼運用組織はどうなっているか、ということが、最初の一ページから二ページにわたって書いてございます。これは一口に申し上げますと、供給省のもとにアイアン・アンド・スチール・ボードという機関を設置いたしております。これは政府機関ともいえないのでございますが、これに法律によりまして相当権限を与えておるわけでございまして、三人委員のもとに事務局がついておるわけでございますが、公務員ではないのでありますから、一種のカルテルの変形と考えられる。これにまた民間体制を尊重しつつ、公けの、パブリックの目的を達成するという意味で、価格統制権及び原料等についてのプール権限及び業者に対して賦課金を課する等の権限を与えておるわけでございます。これが一ページから二ページに書いておる点でございます。  そのほかに英国鉄鋼連盟という強力な民間団体がありまして、これがこのボードといろいろな問題について相談にあずかって問題がきめていかれる、こういう形に相なっております。このアイアン・アン、ド・スチール・ボードのもとに俗称ビスコといわれる機関が設置されておりまして、またその子会社としてビッコ、オアーという会社があります。これが結局鉄鉱石あるいは銑鉄、半製品スクラップそういったものの輸入を一元的に行なっておりまして、国内の安いスクラップ等すべてプール計算で処理をされておる、こういう体制に相なっております。結局公定価格制度をここできめられるわけでございます。これが三ページの下の欄に書いてございますが、販売価格につきまして価格が公定されておるわけであります。公定されておりますが、結局原価が安くなければ、価格が維持され得ないのでありますから、いかにしてコストを安くしておるかというところが問題になるわけであります。  そこで安い根源はどこから来ておりますかということが、ちょっと飛びますが、七ページ以下にその根本が出ておるわけでありまして、国防法によりまして現在国内スクラップ価格統制され、また輸出が禁止されております。この価格統制によって、下の方に出ておりますが、国内スクラップ価格は、ヘビーくず重量くずで二十八ドル七十七セントに当る、これは日本の円貨に直しますと約一万円でございますから、日本の現在のカルテル協定価格は二万九千円でございますので、約三分の一という非常に安い価格スクラップ価格を押えております。ここに一つ大きなコスト面における安い原因があるわけでございます。従いまして国内で鉄を作ります場合に、銑鉄スクラップ価格相当に開いておるわけでございますが、銑鉄を使います場合に、銑鉄をよけい使う人に対しては補償金が出るわけであります。安いスクラップをよけい使っておる人の醵出金プールして出す、こういうことで操作が行われて、価格の安定が行われる、こういうことに相なると思います。もう一つの問題は、八ページに、石炭鉱業につきましては現在も国有制度が続けられておりまして、ここにありますように、原料炭国内価格は十三ドル十八セントでございます。日本の使っております原料炭は、国内炭が約二十ドル十四セント、輸入炭が三十二ドル四十五セントという最近の数字でございますので、石炭につきましても非常に安い、こういう点でございます。この石炭コストがどういうふうに処理されておるかということにつきましては、私ども調査が行き届きませんで、そこまで内容につきましては御説明が今日できないのでございますけれども、結論といたしましては、ここに出ておりますように、石炭も非常に安い、それからスクラップ価格を極力押えておる、ここにイギリス価格が安いという根本がある州じゃないか、かように考えられるわけでございます。  最後の九ページの下の方に丸鋼につきましての各国比価が出ておりますが、トン当りイギリスが九十七ドル二十セント、その他アメリカ、西独も鉄鋼価格相当安いのでありますが、それでもなおかつ百十八ドルないし百十三ドルという数字が出ておりまして、イギリスの場合は非常に安い価格になっております。これは結局、ただいま申し上げましたように、スクラップ価格石炭価格、この点に特別の政策が行われておる、同時に全体としましてはプール組織で相殺をされておる、こういうふうな形に相なっておるわけであります。  概略につきまして御説明を終りますが、なお運用等の詳細につきましては、先ほど申し上げましたように現在現地に参っております者に調査を命じておりますので、帰りましたら多少その間の事情がわかると思います。  次に、最近の日本普通鋼材価格につきまして一枚の紙をお配りいたしてございます。普通鋼鋼材主要品種国内価格輸入価格の対比という表が一枚刷りでございます。これは私ども前回質問にお答えいたしまして大体の方向を申し上げたのでございますが、その後各社に対しまして、鉄鋼価格の安定に業界の協力を要請いたしまして、ここにございますように三社——八幡、富士、鋼管の三社に対しまして、三社の建値——これは従来も建値制が維持されておりますが、これが現状におきましては最低価格に相なるわけでございます。今日までは大体三社以外の価格は、昨年の九月以来非常に混乱いたしまして、暴騰をいたしておったのでありますが、次第に市中価格引き下げ対策をとりまして、今日は相当に幅が狭まって参っております。この際さらに鉄鋼価格長期に安定せしめるという意味におきまして、三社以外の関西四社、この七社が一貫メーカーとしてあるわけでございますが、三社以外の神戸製鋼、住友金属、川崎製鉄、中山製鋼、四社が今度新しく建値制をとってもらいたいということで、販売価格につきまして引き下げを要請いたしました結果、このB欄にございますように、四社の価格が三社より多少過渡的に差があるのはやむを得ないだろう、しかし将来はこれは当然一本にあるべきである。しかしさしあたっては非常に開いておりますので、この程度の格差はやむを得ないであろうということで協議いたしました結果このB欄にございます価格まで四社の販売価格引き下げてもらいまして、この三社及び四社の幅がいわゆる安定帯価格と世間で言われておりますが、この幅の中へ鉄鋼価格を安定させようということで今回実施を見ることに相なったわけでございます。さらに四社以外に鉄鋼主要メーカーの残りのものといたしまして十一社ございます。全部で十八社、これが大体鉄鋼普通鋼鋼材供給の八〇%以上を占めておるわけでございますが、この十一社につきましても、この際四社の販売価格まで価格引き下げを要請いたしたわけでございます。十一社側といたしましても、この鉄鋼価格の安定に協力をいたしますということで二カ月間の暫定期間だけ余裕を認めまして、九月、十月ごろからは四社の価格に足並みをそろえるというような約束をいたしております。この二カ月間の暫定価格がこの表のC欄に書いてございまして、四社価格に比べましてまだ多少千円ないし二千円、ものによりましては三千円ございますが、ものによっては同価格のものもございます。このC欄にございますのがこの二カ月間の十一社の販売価格としてきめました、将来二カ月後には四社の価格まで引き下げるという固い約束を得ております。従いまして九月以降は七社の販売価格の幅の中へ大部分の鉄鋼メーカー価格が追い込まれるということに相なるわけでございます。  そこで一番右の欄に、最近入っております輸入鋼材価格が出ております。これは契約によりまして相当差がございますけれども、大体私どもで平均をとりました価格を押えてみますと、ここにありますような価格でございまして、この十一社の一番高い販売価格に比べましても、なおまだ輸入価格の方が高いわけでございます。ここまで国内販売価格引き下げますれば、輸入の方は特に特別な事情のない限り輸入をしないで国内のものを買っていくということにだんだん相なると考えております。最近も輸入申請がうんと減って参っておりますが、補足して申し上げますと、第二・四半期以降国内鉄源需給状況銑鉄相当増産とそれから輸入スクラップにつきましても、アメリカスクラップの話し合いも大体の見通しを得ましたし、それ以外の輸入相当にふえております。また国内スクラップの回収も相当に上っておりますので、鉄源相当ふえて参っておりますから、第二・四半期以降年間を通じまして、当初計画に比べて五十七万トン程度増産ができると考えております。これによりまして、今後は国内鉄鋼需給につきましては相当安定をした形に持っていくことができるのではないか。特に本年度百十万トンの輸入鋼材外貨予算を組んでおりますけれども、今日までの外貨割当で十分でございまして、今後は特に特別なものを除きましては、輸入をいたしませんでも国内十分需給のバランスがとれるのではないか、かように考えておる次第でございます。  大体概略説明を終らせていただきます。
  4. 小平久雄

    小平委員長 質疑があればこれを許します。——それでは質疑がないようでありますから次に石油化学工業に関し調査を進めます。政府当局よりその現況、将来の見通しについて、また当面の問題点等について説明を求め下す。
  5. 齋藤正年

    齋藤説明員 お手元石油化学企業化進捗状況一覧表、それから石油化学製品需給対照表という二つ資料をお配りいたしておりますのでごらん願いたいと思います。  石油化学につきましては大体順調に進んでおりまして、特に非常に問題というのはない。ただ全般的に金融引き締めという問題が起ってきておりますが、石油化学のうち特に総合石油化学関係は非常に多額の資金が要りますので、その資金の確保が問題である。それから一般的に機械製作能力が非常に窮屈でありますので、機械製作がおくれておりまして、その関係から予定よりもどうも工期がおくれがちであるということ以外に、特に現在としてはわれわれの方から申し上げるような問題はないのでございます。こういう設備が実際稼働して参りますと、従来日本になかった設備でもありますから、設備償却等について、新しい部品を入れなければなりませんが、こういう産業性質相当短期償却をわれわれとしては希望するわけですが、この方はまだ具体的にどういう程度目安になるのか、きまっていない次第であります。
  6. 小平久雄

    小平委員長 何か御質疑はございませんか。
  7. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まず第一に、ただいま石油化学製品需給対照表について御説明を聞いたのであります。当初の計画では丸善石油芳香族をやることになっていないように聞いておったのですが、やはり芳香族をやるのですか。
  8. 齋藤正年

    齋藤説明員 これは第一次と申しますか、一番最初計画には入っておりませんでしたが、会社側から申し入れがありまして本年の二月に許可したのであります。
  9. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に既存工業との関係はどういうようになっておるのか。たとえば発酵工業とかカーバイド工業——カーバイド工業は、最近電力値上げ、特に北陸、東北の電力値上げと関連してさらに石油化学製品がどんどん出るような状態の中においてはどういうような状態になっていくのか、こういう点お知らせ願いたい。
  10. 齋藤正年

    齋藤説明員 御存じのように現在カーバイドは非常に生産もふえておりますが、同時に需要もそれ以上にふえまして、特に最近のように電力制限が強化されますと、むしろ需給としてはますます需要超過方向になっておる状況であります。従って現在のところ石油化学との競合ということは少くとも今年度内とかあるいは来年度くらいまでは考えられないというふうにわれわれとしては考えております。ただ発酵工業関係は、これは将来の問題としてはある程度当然問題になってくることであります。特にアセトンメタノール系統のものでありますが、これも現状ではアセトンが非常に不足しておりまして、不足分輸入しておるような状況でございますので、当分まだ競合は問題にならない、このように考えております。
  11. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 現状のことを聞いているのではなくて、現段階はそれは製品が第一に石油化学からできていないのですから、過剰になりようがないのですが、現在でなくて、その見通しとしては、たとえば発酵工業のごときは今まで政府お話しになりましたが、外国でも縮小されて、石油化学が出てくればだんだん消滅していくような状態になっておる、こういう話もあります。それからカーバイドは必ずしもそうでないという説明を今まで聞いておったわけですけれども、しかしこの石油化学が伸展をするにつれて、果してそういうものが将来縮小をされるということになれば、投資計画その他についても今から見通しを立ててやらなければならないのですから、現状のところではそれは当然足らないことはわかっております。また石油化学としましてもそういう製品を作ろうとしておるのですから、将来の見通しが私はやはり石油化学企業化につれて漸次明らかになったと思うのですが、そういう点について、将来の見通しとしてどういうふうにお考えになるのか、これをお聞きしたいと思います。
  12. 齋藤正年

    齋藤説明員 これはこの表にもございますように、昭和三十五年度にはアセトンを例にとりますと二千トンばかり供給が過剰になるという感じがございますが、先ほど申しましたように現状ではちょっとそういうふうに、この通り行くかどうかもまだ確定しない。石油化学からの品物がまだ出ておらないといいましても、もうかなり建設は進んでおりますから、ある程度見通しはつきますが、その現状からして、急にそうなるようにはちょっと考えられないわけでございます。またその石油化学一般有機合成の新製品につきましても、ごく最近に需要が出たものでありますから、この需要推定につきましてもできるだけいろいろな材料を集めてやりましたけれども、実はこの通りになるというほどの正確な予想は立てにくいわけでございまして、その中で二千トン程度過不足ということは——ちょっと確定的なことを申し上げることは困難だと思います。一般論としては、今御指摘のように、これは発酵法が不利になるということは言えますけれども、しかしこの三十五年度に非常にそれが過剰になって、企業の存続が困難になるというほどの影響はあるかどうか、今のところはむしろそうならないのではないか。アセトンなどにつきましても、こういう計画を立てたころの需要に比べまして、現状は非常に伸びておりますので、あるいはむしろ足りないというようなことになるのではなかろうかということが考えられます。ましてカーバイド系統につきましては、ちょっと当分過剰問題というようなことは考えられないんじゃないかというふうに思います。  なおこの発酵法は、現在原料であります糖みつが異常に——これはわれわれとしては異常に高騰していると考えておりますが、昨年に比べて倍くらいの値段になっておりますので、われわれとしてはこれは異常な価格だと思っておりますが、そういう異常状態が解消しますと、競争関係もかなり緩和して参りますので、ちょっと現在のところ御指摘のようになるかどうかということは、はっきりしたことは申し上げかねると思います。
  13. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十五年度を時点として、想定需要量、あるいは過不足のお話があるのですけれども御存じのようにカーバイド工業にしてもどんどん投資をしている状態です。投資をしている状態は何も三十五年度を一応目安に置いているのではなくて、かなり長期にわたって予想をして投資をしていると思う。ですからその方向としてはやはり縮小方向にいくのか、縮小じゃなくても現状維持がやっとであるのか、あるいはまたどんどん投資をして育成をしていくのか、そういう点を私はお聞きしたいと思うのです。三十五年度はお説のような状態になるかもしれませんが、見通しとしてはどんどん向上をしているのですからね。将来の問題としてどういうようになるのか、その点をお聞きしたいのですよ。
  14. 齋藤正年

    齋藤説明員 御指摘のようにカーバイド工業投資相当増加はしております。しかしこれは主として塩化ビニール増産のための設備でございます。塩化ビニールは最近月産一万トンというようなことで、昭和三十五年度の目標よりもむしろ増加しているくらいの実情でございますから、非常に供給不足という事でございまして、むしろカーバイド塩化ビニールに取られまして、石灰窒素生産相当縮小しなければならぬという事情でございます。先ほど申しましたように、半面また電気の制限のワクもそう急には緩和される見込みもございませんので、従ってカーバイドとしては塩化ビニール増設のテンポに追いつけないというような状況でございますから、今の程度カーバイド増設では、カーバイド工業が非常に過剰になるということはちょっと考えられないようにわれわれとしては思っております。
  15. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも非常に短期間の需要想定のもとにお話しになっておりますが、やはり長期的な見通しの上に立って政策を論じなければならぬと思う。ことに石油化学というのは新規にやろうという産業ですから、現在のところでこの供給想定にいたしましても、安くいけるということになればどんどんこれらの方は伸びていく可能性がある。カーバイドだけではなくタール工業でもやはり問題があると思いますが、そういう全般的な面で将来の問題としてどういうふうにお考えであるか、こういうことをお聞きしているのです。それは現在塩化ビニールその他につきましても、非常に飛躍的な、幾何級数的な伸びをしていますからね。それは今は足らないという事情にあると思うのですが、あるいはこの二、三年は足らないという事情にあるのは当然なんですけれども、しかしこの石油化学にいたしましても、三十五年度においてはこれだけの供給量でしょうけれども、これはおそらく拡大をしていかなければならぬし、あるいは現在出ておるのがおそらく最低単位じゃないかと思うのです。石油化学工場にいたしましても、最低単位で一応計画が立っている。そうするとさらに拡大をすればコストも安くなるという状態の中で、一体そういう産業はどういうようになるのか、こういうことをお聞かせ願いたい。
  16. 齋藤正年

    齋藤説明員 実は私の説明が少し足りなかったかとも思いますが、カーバイド拡張計画にいたしましても、あるいは芳香族系石炭化学産業拡張計画にいたしましても、現在計画して出ているものを頭に入れまして、これはまだ三十五年度となりましても過剰になることはないということを申し上げているわけであります。  それから石油化学についても、これは現在計画の確定しているものを頭におきまして、それを入れますれば過剰になることはないのであります。そこで、それでは石油化学が有利であるとし、野放図に拡張されればどうなるのかというのが御質問の趣旨かと思いますが、石油化学の場合は、御存じのように、ほとんど百パーセント外国技術を導入してやらなければ工事ができないという性質のものでございますから、大体技術導入なり機械輸入なりでチェックすることはできますので、今のところはそういう大体の見通しをつけて許可をしていくという考え方でございますから、三十五年度くらいに、あと二、三年先において過剰になることはないということを申し上げておるわけであります。それから先については、ちょっと今から御返事をするような材料もございませんので、まあ以上のようにお答えしておるわけであります。
  17. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あなたの方で、やはりカーバイド工業及びタール工業育成対策というものを持たれたでしょう。それから石油化学の方も、これはことに新しい企業ですから、どんどん伸ばしたいという計画がある。この二つ計画をどういうふうに調和させて考えられておるのか、こういう点を、ざっくばらんに、わからないならわからない、あるいはそういう点非常に不安があるなら不安があるとお答え願いたい。よその各国石油化学の例を見ても、酢酸あるいは酢酸ビニール、そういう方面も伸びておるし、カーバドイはあまり影響がないのだとか、そういう点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  18. 齋藤正年

    齋藤説明員 これはカーバイドからのアセチレンから作る品物の範囲をどう考えるかということで非常に関係があると思います。第一段階アセチレン石油からいった方がいいか、あるいはカーバイドからいった方がいいかと申しますと、これは今のところはカーバイドの方がいいようでございます。特に日本の場合には、まだ当分の間は確実にいいようでございます。しかし石油化学で現在やっておりますのは、アセチレンからいった方が有利なものはございませんので、そういう意味で、今のところアセチレン系統と直接かち合うものはあまりないという考え方であります。ただ、将来の問題として、どちらを伸ばすべきかということでございますが、今申しました品種は、現在の採算から見て品種的におのおの両方に分野があるわけであります。たとえば石油からのアセチレンが非常に安くなりますれば、また話は別だと思いますし、現在アセチレンから作っております塩ビのようなもののほかに、エチレン系統の品物までアセチレンでやった方が有利になるという新しい技術的状況が出て参りますれば、これはまた話が違うわけでありますけれども現状ではまだそこまではっきりした見通しがございませんので、大体自分の固有の分野を守っている限りは、そう大きな衝突はないんじゃないかと考えます。特にこれは原料炭素材の面から見ましても、電力の面から見ましても、カーバイド系統は大体年間の伸びに一定の限度がございますので、そういう面から見ると、当分かち合うということは考えられない、こういう考え方であります。
  19. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 カーバイド関係の工場もどんどん拡張計画が進められておるし、よそごとながら大丈夫だろうかという一まつの危惧を持つわけですけれども、局長さんにお尋ねいたしましても自信のあるような答弁でないので、これはやはり非常に遺憾に考えるわけですが、これ以上お聞きいたしましても十分ではないと思いますし、またわれわれ自体も勉強不足のものですから、的確に質問することもできないような状態ですから、これは今後の研究に待ちたいと思います。  次には、技術の導入あるいは質本の導入というもので技術関係はほとんど外国の技術によっておる、こういうように思うのですが、こういう面からどういうような制約を受けるのか、あるいは原料供給の面、こういうような面からはどういうような制約を受けておるのか。あるいは制約というのは全然なくて、ただ技術に対するパテントその他を買うだけか、こういう点について一つお話を願いたい。
  20. 齋藤正年

    齋藤説明員 原料供給につきましては、外国会社から特に技術導入に関連して制約を受けるという点はございません。それから技術導入でございますが、これも現在のところは、あまり長期の、特別に緊密な関係を持った提携というものは比較的少い状態でありまして、単純に機器の設計、製作、運転の技術を買うという形のものが、それも外国のコンサルティング・エンジニアと申しますか、そういった設計を売るのを商売にしておる会社から買うというのが大部分でございますので、あまり制限はございません。ただ、すでに特定の会社と提携いたしております会社は、その提携しておる会社が持っておる技術について、他の会社から買うということについては、当然制限は受けるわけでございますけれども、しかし、それは初めからそういうつもりで会社を作ったわけでありますから、どうということはございません。ただ相当長期にわたりまして広範な技術援助を受けるような契約をするような場合には、若干製品の輸出について制約を受けることがございます。しかし、今までのところでは、輸出について、たとえば日本の近いところ、アジア地域はいいが、中近東以西はいかぬというようなそういう形のものはあります。
  21. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これはあとから聞きますが、その前に、廃ガス利用がほとんどですか、それとも石油そのものを使う場合もありますか。それはどのくらいのパーセンテージを占めておりますか。
  22. 齋藤正年

    齋藤説明員 これは、日本の製油所の現在の規模が非常に小さいものでありますから、廃ガス利用は比較的少くて、大半が石油の特定溜分を分解して使う。廃ガス利用は現在の計画では大体二割ないし三割程度だそうです。
  23. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 英国では廃ガス利用は非常に少い、シェル以外はあまり廃ガス利用をやっていない、こういうことが従来いわれておったのですが、ほかは廃ガス利用を主としてやっておる。それから日本最初石油化学の問題が起きたのは、廃ガス利用からです。廃ガス利用というのがかなり大きなウエートで出てきたと思う。何も廃ガス利用というのが必ずしも石油化学が起った原因をなしておるというわけじゃないのですけれども、廃ガス利用ということはかなり大きなウエートで石油化学企業の進出の要素になったと私は思うのですが、これはどういうわけでそういう状態になったのか。何かわれわれが政府から聞いておりましたときは、最初は廃ガス利用ということを非常に強調されたと思うのです。そこで廃ガス利用の方があるいは無難かもしれないけれども石油そのものを使っているのもかなりあるということもその当時から論議されたと思うのですが、むしろ廃ガス利用ということはたしか政府の方が強調されたように記憶するのですが、そういう点はどういうように計画が変更になったのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 齋藤正年

    齋藤説明員 これはお話のように廃ガス利用だけの面で需要がまかなえば非常にけっこうでありますが、これは単に日本に限らず欧州先進諸国もやはり廃ガス利用よりも石油分解の方が多いそうでありまして、要するにアメリカのように製油所の単位規模が非常に大きくてしかも石油の総消費量のうちでガソリン、特に分解ガソリンの需要非常に多いところ、そういううところ以外は現状では廃ガス利用を主力とするということは困難だと思います。特に現在石油化学のうちでエチレン系が中心になっておりますが、今のようなエチレン中心の石油化学では特にそれが困難である。プロピレン系あるいは特にブチレン系、この前国会で御賛同を得ました合成ゴムのようにブチレン系あたりが伸びて参りますと、あれは御存じのように全部廃ガスでやることになりますが、そういうものが伸びてくればこのウエートが高くなってくる、こういうことでございます。  なおつけ加えておきますが、このエチレンをとります場合に、御存じのように日本石油の消費の状況で申しますと、重油中心でございまして、どちらかといえばガソリンが余る、そのガソリンの余る分を分解して使いますので、それは石油全体の製品化学体系からいえば、合理化に役立っておるのじゃないかというふうに考えます。
  25. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そのときも論議になったのですが、石油の消費量のうちで、たとえば石油化学にどのくらい使うか、こういうことも論議になりましたが、日本の場合は大体廃ガス中心で行くのだということを前の軽工業局長は言われているのですよ。主として廃ガス中心で行くのだけれども石油を使うにしても大したことはない、こういう話であったわけですが、そういう点もやはり非常に不勉強で、国会においては廃ガスを主としてやる、こう言われながら、ガソリンの消費率が日本では少いということは初めからわかっておるし、それからガソリンは非常にダンピングしなければならぬというような状態日本ではあり得るんで、また事実行われたのですから、エチレン系の製品を作るには現在の日本状態では廃ガス利用というようなことは非常に困難だ、こういう話ですけれども、そういうこともわかっておったと思うのです。また英国あるいは欧州等の事情もそのときはかなり説明をされておったのですから、どうもそういう点が何かすっきりしないものがある。あるいは確かにそれは計画のそこであった、こう言われればまた別だと思うのですけれども、とにかく廃ガス利用をしてやるんだというようなことで打ち出されて、実際は石油を使われておる。廃ガスというのはエチレン系はほとんど不可能である、エチレン系は不可能であるというのは、当時天然ガスからもこのくらいしかパーセンテージはとれないしということをあなた方の方で説明をされておるのです。石油化学の概要というのを出されたときに、たしか天然ガス関係でもエチレン系は非常にむずかしいというようなことも説明をされておるのですが、まあ当時十分研究が進んでいなかったといえばそれまでですけれども、こういう点もすっきりしないものがある。何も何か悪いことをしておるという意味じゃないのですけれども、もう少しはっきりおっしゃっていただきたかったと思うわけです。そこで、石油を使うといたしますとどのくらいのキロリットルになるのですか。
  26. 齋藤正年

    齋藤説明員 最初の点でございますが、廃ガス利用をすることによって石油化学としての意義が最も大きくなる、この点は間違いございません。ただ御説明が、廃ガス利用を中心としてやるような御説明をしておったといたしますれば、それは確かに研究不十分でございまして訂正いたします。ここ当分、特にエチレン系について廃ガス利用を中心にやることは困難でございますからこれは訂正いたします。  それから石油の使用量でございますが、昭和三十五年度で三%、油の量にいたしまして六十万キロリットル程度だそうでございます。これはどこの国でも大体石油総消費の二%ないし三%というものが常識のようでございます。
  27. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この委員会で聞いてよかったという感じを受けるわけですが、従来よその国では二形程度日本では一%程度だろう、廃ガス石油に換算しても一%程度だろう、こういう説明をなされておったわけです。本日三%と聞いたわけですから、また若干計画が違ってきたということを知るわけですが、もとに返りますけれども、輸出について、技術提携の面から、外資の関係から制約を受けるだけですか。あるいは国内価格についても制約を受けるわけですか。
  28. 齋藤正年

    齋藤説明員 国内価格に制約を受けるという条件のものは今まで私らは全然知っておりません。そういうものはないと思います。
  29. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国内生産をし予想されるコストと現在の輸入価格との状態はどういうふうになっているのでしょう。大体おもな製品でよろしゅうございます。
  30. 齋藤正年

    齋藤説明員 これはわれわれの許可の基準が、少くともCIF価格ならば十分対抗していけるということを基準にいたしておりますので、その程度にいけると思います。今たとえばポリスチレンあたりが現実に出ております。これはモノマーを輸入して重合だけをやっておりますが、これでも輸入価格と大差ない値段で現実には供給しておるようでありますから、ましてモノマーからいたしますれば十分できる。ポリエチレンなども近く生産が出ますが、現在の輸入価格には十分対抗していけるということをメーカー側で申しております。
  31. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これも予想されるコストと現在の輸入価格の表がありましたらあとからでもよろしゅございますからお届け願いたいと思います。  次に私は、これだけの大きな産業を興す場合に法律もないというようなことではどうも十分な計画に乗った育成あるいは助長政策はできないと思うのですがね。何も法律万能で言うわけじゃないのですが、石油化学というのは、どっちかといいますと末端の産業でなくて、むしろ基礎産業ですよ。ですから、こういう重要産業の場合には、やはり基本法的なものが必要ではなかろうか。さらに外国資本がずいぶん入ってくるし、あるいは技術提携の面から入ってくる。こういう場合には、私はやはり基礎産業的な石油化学の問題については何か基本的な法律が必要ではないか、かように考えるわけですが、政府ではどういうようなお考えですか。
  32. 齋藤正年

    齋藤説明員 これは御存じのように石油化学も基礎産業でございますが、石油化学以外の鉄鋼その他の基礎産業につきましても、現在それを規制いたします基本法というものはございません。要するに、基礎産業のうちで特別の理由のあるもの、たとえば公益事業でありますとか、あるいは石炭のように特別に緊急に合理化をしなければならないものとかいうそれぞれの理由がございますれば、その理由に合せて法律を作るわけでございます。石油化学につきましても、合成ゴムについては特別の政府の援助をしなければ成り立たないということで、さきの国会で御審議を願ったわけでございます。石油化学全体といたしましては、われわれとしては一番大事な点は設備の能力の調整という点だと思っておりますが、この点につきましては、先ほど申しましたように現在の状態では、ほとんど全部外国の技術を入れないと製造ができないという状況でありますので、外資の提携ないし機械輸入の許可という段階でコントロールができますので、その点に関する限り、現状では特別の法律を出す必要はないのではないかというふうに考えております。
  33. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それは現在の鉄鋼についてもありませんけれども御存じのように鉄鋼は官営で出発して、実際上政府がコントロールをして行なったわけです。その後においても日本製鉄株式会社法を作って、事実問題として鉄鋼関係の法律という形ではなくて、行政運営の中で指導してきたのです。ですから御存じの通りですが、政府としては需給安定法を最近出そうとしたけれども、いろいろな関係があってお出しにならなかった。しかしこれも公取その他の関係があったからお出しにならなかったので、法律そのものの必要性というのはやはり感じられておると思うのです。石油化学というのは今も申しましたような基礎産業で、しかも重要産業で、これからどんどん枝葉が伸びていく産業ですが、こういう産業を当初に当って、しかもこれだけの計画がある、この企業の調整は一に外資の関係でやるのだ、こういうのは、むしろたまたま外資という関係があったからそういうような方便もできたのですが、政策としては私はやっぱり邪道ではないかと思うのです。ですから育成しなければならぬ、振興しなければならぬ、しかも当初に当って膨大な資金も要る、いろいろな産業分野にも影響がある、こういうのですから、法律の必要があるのではなかろうか、振興法というものが必要ではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、どういうふうにお考えですか。
  34. 齋藤正年

    齋藤説明員 これは幸いなことに、石油化学につきましては先ほど申しました一番問題の設備の点について、今申しました技術提携という一つの手段がございまして、それで行政指導でおおむね調整ができる。われわれ調整の目的といたしておりますのは、その事業がスタートして国際価格、少くともCIF価格供給できるという点と、それから全体の需給が非常なアンバランスにならないという、その二つの点を目標にして行政指導をやっておるのでありますが、今までのところ大体それが成功しておりますので、その面においては必要がないのではないかと思っております。それから援助の点でございますが、これは確かにもう少し政府の援助がふえれば非常にありがたいと思っておりますが、これも現在石油化学計画しておりますところはみな相当の資力がありますし、現状では相当業界が好況でありまして、政府の援助は足りなくてもどうやら計画は遂行していけるような状態になっております。従って政府の援助という面から見ましても、現在ではまだ法律の必要はないのじゃなかろうかというのがわれわれの考え方であります。
  35. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は施設の調整、ただ過剰という状態だけじゃなくて、既存産業あるいはまた石炭化学というような面との調整という問題も起るのじゃなかろうかと思うのです。そういう現象が起きてから法律を作ったのではやはりおそい。これは施設の問題ですから、その現象が起るのはむしろ製品が過剰になってどうにもならない、こういうような場合に法律の一そういう意味における法律の必要性が生まれるのだろうと思う。経済現象として出てくるときは施設だけじゃなくて、もう最終製品において競争が激しくなってくる、これは何らか調整の必要がある、こういうときに法律を出されても、私はもうおそいのじゃなかろうかと思う。ですから新しい産業が、しかも重要産業がスタートする際に、やはり政府としては野放図にそれをまかすことなく、何らかここに行政上の管理をする、管理といえば語弊があるかもしれませんが、調整的な役割をする法律が必要ではないか、こういうふうに考えるのですが、あなたは要らない要らないとおっしゃっていますが、また次の国会あたりに何らかの形で出てきたときは、それ見ろ、こういうことになる。しかしそれ見ろといいましても、反対するわけにいかぬのです。ですが、そう言い切れない面があるのじゃないですか。
  36. 齋藤正年

    齋藤説明員 多賀谷委員とここで議論をいたすつもりは毛頭ございませんが、行政の従来の慣習から申しますれば、具体的にその必要がはっきり現われましたときに法律を御審議願うというのが行き方でございまして、将来そうなるかもしれぬということで法律を出すということはございませんので、設備の点も御指摘の通りでありますが、今申しましたように設備の規制の点、技術導入の許可という点でまず設備を建設する前にそれをチェックしておりますから、現在のところは心配がない。ただ石油化学がある程度進みまして、自力の技術で新しい設備しかも相当の規模の設備を建設できるというようになりますれば、これはお話のようにあるいは何らかのそういった別の規制手段を考えることが必要になるかもしれませんけれども、先ほど申しましたように現状としては、ほとんど百パーセント技術援助を受けないと出発できませんので、必要はないのではないかと思います。
  37. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは外国資本が入ってくる、ことに石油精製の面あるいは原料供給の面ですでに外国資本が入ってきておるし、また外国から買わなければならないものです。そういう面においてもやはり外資だけでこれを調整するというのは、率直に言いまして、行き方として妥当ではないと私は思うのです。あまり統制的な規定があると入りにくいという面もあるでしょうけれども、しかしやはりスタートをする場合においては、何らかこういう法律の必要があるのではなかろうか。原子力ということになりますと少し話が大きいものですし、また膨大な資金が要る、こういう面もあるでしょうし、また国防的な面もあるし、またその廃棄物の処理についての問題もある。いろいろな面から、あれは最初から法律をもってスタートしたわけですけれども石油化学の場合は、そういう面における弊害が比較的少いけれども、私は重要産業という面から見、あるいはまた膨大な資金を要するという面から見ると、やはりその必要性があるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。これはあなたの方で必要がないとおっしゃればそれまでですけれども、私はどうも必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。それで必要がないということになればこれ以上質問しませんけれども政府の方で必要性を感ぜられるときではかなり時期がおそい、そのときは困ってどうにもならないときだ、こういうふうに考えますので、その点も十分御考慮願いたい、かように思います。
  38. 小平久雄

    小平委員長 ちょっと僕からお尋ねしたいが、この設備資金というのは仁油化学関係で全部でどのくらいになるのですか。
  39. 齋藤正年

    齋藤説明員 これは現在ここで承認されておる計画だけで、三十五年度までの分として五百億見当です。
  40. 小平久雄

    小平委員長 今後は……。
  41. 齋藤正年

    齋藤説明員 今後の分全部含めまして、全建設費です。     —————————————
  42. 小平久雄

    小平委員長 次に化学肥料工業に関し調査を進めます。  まず政府当局より最近の化学肥料工業の現況、特に需給価格、輸出の状況及び合理化推進状況等について、また世上統制を撤廃すべしという声もありますが、これらに対する政府当局考え方を中心に御説明を願いたいと思います。
  43. 齋藤正年

    齋藤説明員 肥料につきましては、そこに四ページばかりの資料をお配りしてございます。概括的に申し上げますと、肥料の生産の方は当初肥料二法を設定いたしました当時に予想いたしましたよりもはるかに急速に伸びまして、来肥料年度の総生産額はここに第一ページにございますように、三百七十九万トン、これは硫安系の肥料を硫安に全部換算いたしました数字でございますが、三百七十九万トンという数字でございまして、そのうち内需は、こにありますように、保留分を含めまして二百六十三万トンという数字でございます。従って内需に関しましては全く心配がない。むしろ輸出のウエートが大体三割程度になりまして、この輸出をいかにして確保するかということの方が問題でございます。  それから価格も、これは御存じのように公定価格制度がとられておりまして、現在は硫安の平均価格が七百七十六円強ということで、しかも限月別に詳細に値段がきまっておりまして、実際にまた卸売価格は決してそれを上回るようなことはございません。しかしまた同時にそうひどく下回っておるということもございませんで、大体その辺で安定いたしております。  それから合理化でございますが、合理化は二つございまして、一つ生産能力をふやしまして、結局間接費用の割掛を下げるという方法、それから一つ設備の合理化でございます。その設備の合理化として一番中心になりますものは、原料源の転換、すなわち電解法からガス法へ、またガス法の中でも石炭、コークスから天然ガスあるいは石油系というふうな、より安い、より使いやすい原料へ転換するということでございますが、いずれも当初の予定よりもむしろ進んでおりまして、その方では合理化も大体順調に進んでおるといっていいと思います。また現在各社で計画しております合理化計画が順調に完成いたしますと、現在の物価が変更がないものと仮定いたしますれば、合理化計画の当初の目標でございますコスト五十ドルという線に、大体三十四年、現在の法律の期限が終了いたしましたときには、大体三分の二くらいのものがその五十ドル以内の線に下るというふうにわれわれは期待をしております。  そこで統制の問題でございますが、これにつきましては、まだ政府として何にもはっきりした決定はできておりません。先般肥料審議会の懇談会を開催いたしまして、肥料審議会の各委員の方々に、それぞれ個人的に御意見を拝聴しましたけれども、何らまだその際には具体的な結論が出ませんで、あらためて今月中旬にもう一度肥料審議会の懇談会をいたすことになっております。その懇談会で何らかはっきりした方向が出ますれば、それを考慮に入れまして、政府としてあらためて態度をきめることになると思いますが、現状といたしましては、何ら統制を継続するとか、あるいは一時中止するとかいうことについての具体的な決定の段階には至っておらない、こういう状態です。  そこでその問題を除きますと、肥料工業として一番問題なのは輸出であります。三十一肥料年度としては、九十三万トンの輸出が大体できる見込みでございます。三十年度は六十万トンでございましたので、年度開始以前は、われわれとしては、九十万トン以上の輸出ということはとうてい困難ではないかと思っておったのでございますが、意外に順調にいきまして、本年度としては大体計画通りのものが輸出できる、むしろ少し輸出のワクが足りないくらいでございます。しかし来年度はまたさらに三十万トンばかり輸出余力と申しますか、輸出しなければならない量がふえますので、三十二肥料年度につきましては、輸出について格段の努力をしなければならない。これが国内価格引き下げ、ないし安定のための一番大事な条件でございますので、来肥料年度については、輸出の確保ということに最大の努力を払いたいというのがわれわれの考え方でございます。本三十一肥料年度におきましては、中共向けの輸出がわれわれの期待に比べまして相当下回っているという状況でございます。もし来肥料年度におきまして中共向けがわれわれの期待程度に出るといたしまして、本年度非常に順調にいきました韓国、台湾向けの輸出が本年度程度のワクが確保できますれば、大体この程度のものは輸出できるのではないかと当ふうに考えます。もちろんそのほかに若干東南アジアその他の新市場の開拓にも期待しておりまして、これにつきましては補助金を支出するという予定でございますが、主として中共貿易の伸張に期待をかけておる状態でございまして、それがうまくいきますれば来肥料年度も大体価格の安定は期待し得られるというように考えております。
  44. 小平久雄

    小平委員長 本件に関し質疑があればこれを許します。鈴木周次郎君。
  45. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 第一、価格問題からお聞きしたいと思うのですが、この前の議会におきまして、トン当り五十ドルを目標としてやるというただいまの御説明もございましたが、また肥料価格をきめるのに一番安くできる価格を基準にしてやると言っておるのだが、一番安くできる会社はどこであるかを第一にお尋ねいたします。
  46. 齋藤正年

    齋藤説明員 個々の会社内容につきまして立ち入って申し上げるのは避けたいと思いますが、現在の資料では大体三菱化成が一番安いという計算になっております。
  47. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 一番安いところを土台にして内地の肥料価格をきめるという御言明があった。また合理化をして五十ドルに下げたい、こういう話です。もはや五十ドルになっておると私たちは陰で見ておるのだが、設備の合理化その他に対して政府が援助したにかかわらず、その金を別な方向に、肥料価格の方を高くするために使っておるような資産勘定であるように思うが、その点がないかどうかをお伺いいたします。
  48. 齋藤正年

    齋藤説明員 肥料価格を一番安いところを基準にしてきめるということを申し上げましたのは、これは肥料の方できまっておりますのは、肥料の工場を原価の安い順に並べましてそれで安いところから順々にとって参りまして、内需を満たす量だけとる、要するに内需としてはコストの最も安いところから、ちょうど内需一ぱい満たす分だけとりましてその加重平均価格というものを基準にして公定価格をきめておりまして、全工場のうちで一番安い工場の価格で公定価格をきめるのではございません。そういたしますれば、内需の数量も確保ができないということになりますので、現在の制度では今申しましたような形になっております。  それから肥料の合理化のために政府から融資を受けた金を他の設備に流用しておるというお話でございますが、そういうことは絶対にございません。これは毎年価格を決定するために原価について詳細な監査をいたしておりますので、そういうことはないということをはっきり申し上げておきます。また現実の問題といたしましても、肥料工業向けの開発銀行の融資というものは、肥料の合理化の全体の資金量から申しますればごくわずかでございまして、その点はわれわれとしても非常に残念でございますけれども、現在肥料の合理化に開発銀行資金をつけておりますのはほんとうに一、二の会社だけでございます。具体的に申し上げますれば、三十二会計年度におきましては一社だけでございます。しかもその一社につきましても、肥料合理化のために要ります資金の三分の一にもならない金額でございまして、政府資金を他に流用するというのはとうてい余地がないのです。
  49. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 今日までこの法律で肥料会社投資した金額と、販売した数量において硫安系でどれだけ利益を上げておるか、この利益分を他にも使ってこれに還元していないような計算になる。四、五百億あると思うのだがどんな程度になっておるか聞きたい。
  50. 齋藤正年

    齋藤説明員 投資額につきましては、二十六年以後でありますと大体五百億ぐらいのものが投資をされております。それから利益金額につきましては本日統計を持って参りませんでしたので、正確なことをお答えいたしかねます。
  51. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 ただいま肥料だけすなわち硫安系だけの営業費を他の事業の営業費にまぜて、硫安系だけに使ったことにして肥料価格の原価を出しておる、こういう点があるかどうか、だいぶそれによって原価を高く見積っておる、こういうことは一般大衆に対してまことに申しわけないと私たちは考えるが、そういう点があるかないかをお答え願いたいと思います。
  52. 齋藤正年

    齋藤説明員 先ほどお答えいたしましたように、硫安の公定価格を作成いたします際には、通産省と農林省と両省の係官が現地へおもむきまして厳重に監査をいたします。そのデータをまた本省へ持ち帰りまして農林、通産両省の担当者がさらにそれを検討いたします。またその検討いたしました結果につきましては肥料審議会にも御報告いたしまして、それによって公定価格をきめるようになっております。その過程におきましてはもちろん間接費の割掛ということは非常に問題になるわけでありまして、その点につきましては十分審査をして他の部門の間接費が割り込んでくることがないように厳重にやっております。一例を申し上げれば、たとえば電力料金につきましても、肥料会社が他の事業を兼営しておる場合に、これは新規に電気の供給増加の認可を受けました場合には従来に比べて少しずつ料金が高くなっておりますが、肥料の原価を査定いたします場合には、平均の電気料金じゃなしに、最も安い電気を硫安に逐次充当していきまして、それで硫安の生産が行われたということにして電気料金を計算してございます。そういう計算までして非常に厳密にやっておりますので、御心配のような点はないということをはっきり申し上げておきます。
  53. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 ただいまの御答弁はあまりはっきりし過ぎるようなお話ですが、これには非常に疑問がある。たとえば一、二の会社の成績表を見ても、重役報酬は出す、あるいは慰労金を出す、交際費も出す、あるいは機密費も出す、こういうようなことで今度一番問題になった全購連の問題においても含み資金というかあるいは裏資金ともいうべきものが肥料を扱ったものから一番出ておるといううわさがある。すなわち肥料会社を囲っておったように見える。また直接全購連から出さなくとも、ある関係者がその製造会社に向ってこれこれだけのものを何かの機会にやってくれというような意味にとられやすくなっておる。不正に使われたもの、こういうものがかりにあったとすれば、肥料を使う農民のみが負担し、でんとあぐらをかいておる全購連は社会から不評を受ける、これが一つの問題だろうと思う。そういうことがあるかないかを承わりたい。
  54. 齋藤正年

    齋藤説明員 全購連問題につきましては、私は責任者ではございませんのでお答えをするのはいささか筋が違うかと思いますが、御存じのように公定価格は、これはメーカーが卸売業者に渡す値段だけを規制いたしております。それから先、卸、小売の配給マージンというものを加算したものが末端の農家の価格でございまして、全購連は卸売、単位農協は小売という段階がございますので、それぞれ販売のマージンというもが当然得られるわけでございます。全購連はもちろん公定価格で買い上げておりますので、その公定価格のきめ方によって全購連に利潤が出るということはあり得ないわけでございまして、何か出たといたしますればそれ以後の段階で出たのでないかとわれわとしては考えるわけであります。しかし私は全購連の監督の責任者ではございませんから、詳しいことは申し上げられません。
  55. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 全購連のことをここで聞くのは筋違いだということだが、販売の値段をきめる上において全購連というものは非常な勢力を持っておる。また製造会社に向って指定もできるような立場にある。こういう意味において、肥料価格をきめる場合に全購連が入ってきめるというようなことがある。その内容は農林省と通産省でよく検討したというが、一つを言えば、化成肥料の中で全購連で指定して全購連の肥料として売っておるものは、どういうように卸売価格をきめるにしても自由価格であろうと思う。そういう場合における肥料価格はどうなるのか。
  56. 齋藤正年

    齋藤説明員 硫安の公定価格につきましては、先ほど御説明いたしましたように、農林省と通産省の事務当局が調査いたしまして、それぞれ所管大臣の御承認を得た原案を肥料審議会にかけ、肥料審議会の御承認を得ればそれが公定価格としてきまる、こういう段階でございまして、全購連が立ち入る余地はございません。それからそれ以外のものにつきましては指示価格制度をとっておりまして、主としてアンモニア系だけについて申し上げれば、硫安の価格を基準として農林省が通産省と相談し、この程度がいいだろうということを全購連に指示してその価格で買うということでございまして、これも全購連が主になってきめるきめ方はいたしておりません。それから販売経路でありますが、これはお説の通りでございまして、公定価格がきまりますればメーカーはだれに売ってもよろしいということでございます。全購連は末端配給組織を持っておりますので、全硫安の六割くらいを全購連が扱っております。そういう意味で、卸売業者として全購連というものが非常に強い立場にあることは申すまでもないわけであります。
  57. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 価格は両省できめてやる、価格をきめるまでの問題についてのただいま御説明があって、ここに何らか欠陥があろうというのだが、この前私の質問に対する五十ドルを基準にしてどうしてもそれ以下にできないということをいま一度聞きたい。私たちはできると見ている。この点生産会社の名前も出してもらいたい。できている会社があるはずである。できないとすれば会社がつぶれても仕方がないというような意味の御答弁がこの間あったようだ。
  58. 齋藤正年

    齋藤説明員 これはこの前もお答えしたかと思いますが、目標年次でございます昭和三十四肥料年度までに大体五十ドルの線まで持っていきたい。ただし、それは原材料価格なり何なりが現状通りだということを前提にいたしてであります。今のところでは、全能力の三分の二程度まで五十ドル以下になり得るという計画でそれぞれ会社が進んでおりますので、できるだろうと思っております。しかし、それは昭和三十四年度の目標でございまして、現在は二百六十三万トンという内需を確保するためには五十ドルではとうていできないと思っております。
  59. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 外国の硫安は三十五ドルから四十ドル、日本のものは五十七ドルで、平均して十七ドルも差があるのは欠陥が技術にあるのかどこにあるのか聞きたい。
  60. 齋藤正年

    齋藤説明員 アメリカの硫安が先般の韓国の入札でFOB三十五ドルという値段が出ましたのは製鉄の副産硫安でございます。副産でない硫安についてそういう値段が出たものはございません。アメリカの尿素は大体四十ドルぐらいです。しかしアメリカの値段は日本と違いまして工場渡しのばら積みの値段です。日本の公定価格御存じのように包装込み、平均運賃込みの着駅オン・レールという支払い条件でございますから、だいぶ違います。一番大きなのは原料の差で、アメリカの尿素はほとんど全部石油あるいは石油の廃ガスか天然ガスを原料にいたしております。天然ガス、石油廃ガスの値段も日本の半分以下でございます。それが決定般な原因で、日本でも硫安会社が米国並みのガスを使わしてもらえば尿素を四十ドルで供給することが十分可能でございます。
  61. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 製造会社内容によって、たとえば硫安系を主としてやっている会社の方が安くできるのか、あるいはその他のものをやって副産物として出したものの方が安くできるのかその比率は日本はどういう状況であるか。
  62. 齋藤正年

    齋藤説明員 硫安専業会社とそうでない会社の比率、及びそうでない会社の副業収入が全体に対してどういうパーセンテージになるかというような資料をここに持ってきておりませんので、的確なことはお答えしかねるわけでありますが、主要な会社は大てい若干ずつでも副業と申しますか、ほかのものをやっております。現在御存じのように非常に景気がよろしゅうございまして、一般化学製品は大体むしろ値上り傾向なのに、肥料だけは公定価格が前年よりも引き下げられておりますので、むしろ副業のあった方が、一般論としてはその会社の経営は楽だということになると思います。  それから先ほどお話がございました肥料会社で重役賞与をたくさん出したところがあるというようなお話でありましたが、これは先ほど申しましたように、要するに肥料の公定価格と申しますのは、内需を確保するために必要なだけの分、それだけの会社コストというものを加重平均して出しますので、その平均よりも安いところは当然もうかる。そのかわりにそれよりも高いところはこれは配当もできなくなる会社が出てくるのは当然でございまして、現に無配になっておる会社もあるわけでございます。
  63. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっと関連して。この会社別というのは、なかなか価格を言われるのはお困りかと思いますが、私は一つ生産工程の異なることによってどのくらい差があるのか、あるいはそれであればどういうふうになるのか。たとえば石炭ガスでいけばどうか、それから天然ガスでいけばどうか、あるいはコークス炉ガスでいけばどうか、それから最近の電気銑等の銑鉄の廃ガスでいけばどういうようになるか、石油の廃ガスでいけばどういうようになるか、あるいは電解法でいけばどういうふうになるか。大体こういう点についてお知らせ願いたいと思う。
  64. 齋藤正年

    齋藤説明員 これは個々の会社の場合にはそれぞれの特殊事情が入りまして非常に違っている。たとえばコークス炉ガスというのは相当高い方でございますけれども、三菱化成ではなぜ安いかと申しますと、これは八幡にコークスを相当いい値で売っておりますから、それを差し引いた値段で計算するとガスの値段が比較的安く評価されているというような事情がございます。しかし一般的に申しまして一番安いのは石油の廃ガス、これがおそらく一番安いのじゃないか。ただしこれも価格のきめ方でございますから、ほかの石油化学原料より非常に安く売れて、あとはほんとうに燃料と同じ値段で計算すればというような条件がいろいろついて参りますが、そういうような点も一応条件もはっきりさせれば、大ざっぱな計算でございますが、計算したものは資料として別にあとで差し上げるようにしたいと思いますが、大体非常に大ざっぱに言えば、コークス法の場合の半分くらいに原料ガス代がなるという計算でございます。
  65. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 天然ガスはどうですか。
  66. 齋藤正年

    齋藤説明員 天然ガスも大体同じくらいでございます。
  67. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 この前の資料で俵当りの原料費が四百八十何円か出してあったように私記憶しておりますが、その内容をいま少し詳しく資料として出してもらいたい。  それからいま一つは、硫化鉄鉱の硫酸をとったあとの鉄鉱を二千八百円で売っておるが、どういう理由でそういうふうに安く売っておるのか、いかなる理由かを聞きたい。わからなければあとでもけっこうです。
  68. 齋藤正年

    齋藤説明員 これは別に政府がきめるのではございませんで、硫安の公定価格を計算する場合、現実にこれだけで売れておるということで差し引くわけであります。それで製鉄の会社の方の考え方は、要するに高炉に装入します場合の効率を考えまして、入高銑のバランスをとってきめるのだということが製鉄会社の言い分のようでありますが、これはわれわれの立場だけからいえばもう少し考えてもらえばいいと思っております。御存じのように、これは何も政府の干渉がない、自由に商業取引できまっておるところであります。
  69. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 鉄鉱石は非常に高く輸入しておって、内地の鉄鉱石を安く売らなければならぬ、こういうような原因が硫安が高くなる一つの原因だと思う。この点に対して当局は今まで考える点があるかどうか、お聞きしたい。
  70. 齋藤正年

    齋藤説明員 これは先ほど重工業局次長がおりましたときに御質問になった方がよかったと思いますが、これは私前に重工業局におりましたときに調べましたが、輸入鉱石はFOBとしては大体七、ハドルでございまして、日本のパイライト・シンタンよりもはるかに高いものであります。日本のパイライト・シンタンは大体鉄分が五〇%強でございますが、輸入鉱石は大体六〇%あるいはそれ以上でございまして、鉄分の含有量が非常に違います。それからパイライト・シンタンは銅分、硫黄分がございまして、鉄鉱石としては一定以上使えないというデメリットもございます。輸入鉱石を高く買って、国内鉱石を安く買っているということはございません。ただ鉄分換算としてバランスはとれているが、むしろ政策的には国内鉱石をもう少しよけい買えば増産ができるのではないかという感じもわれわれ肥料を担当しておりますものから見ればいささかいたしますが、大体バランスはとれているように考えます。ただしこれはあくまで商業取引でございまして、政府が干渉するものではありません。
  71. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 農林省からおいでになっておりますので、お聞きしたい。肥料価格をきめる場合に、農林省の見解の内容をお聞きしたい。
  72. 安福数夫

    ○安福説明員 肥料価格と申しますと、どういうことになりますか。農林省の見解というと……。
  73. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 審議会できめるその前の打ち出しをどんなふうにするか、それから審議を願う上においての基礎を聞きたい。
  74. 安福数夫

    ○安福説明員 肥料審議会に出しまする原案というものは硫安について出すわけでございます。硫安につきましては硫安関係の二法律に基いてコスト計算を考えて通産省と同時に検討するわけでございます。そういうことについて農林省の態度というものは別にないのでございます。コスト計算を厳格にやりまして、その上に適正な利潤なりいろいろな経費が加わって硫安の価格が出てくるわけであります。それに対する態度というものはあくまで原価計算を厳格にやるということしかないと思います。
  75. 鈴木周次郎

    ○鈴木(周)小委員 原価計算の場合におけるその方法論というものを資料として出してもらいたい。すなわち何が幾ら何が幾らあるいは営業費が幾ら、それを至急にこちらに出して下さい。それによって質疑を続けるごとにいたしたいと思います。本日はこれだけにしておきます。
  76. 小平久雄

    小平委員長 ちょっと伺います。が、輸出会社の業績は今どんなふうになっておりますか。
  77. 齋藤正年

    齋藤説明員 輸出会社の成績でございますが、二十九肥料年度に二億五千四百万円の赤字を出しましたが、三十肥料年度から肥料の売り値が好転いたしまして、公定価格が下ったせいもございますが、一億二千六百万円三十年度で利益を上げまして、繰越損が一億二千八百万円、それから三十一肥料年度は、一月までの実績でございますが七千四百万円利益を上げまして、繰越損がそのとき現在で五千四百万円ということになっております。これは一月まででございますが、その後の輸出は大部分公定価格以下でございますから、若干赤字がふえているはずでございます。
  78. 小平久雄

    小平委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。   午後零時二十三分散会