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大堀説明員 先般の小
委員会におきまして
イギリスの
鉄鋼価格が非常に低い、それはどういう方策をとっているからだろうか、
資料を提出するようにという御
質問がございました。それからもう
一つは、
日本の
鋼材価格と
輸入価格との
比価はどういう
状態になっているかという御
質問がございましたが、本日お
手元に
資料をお配りいたしてございます。まず
最初に
英国の
鉄鋼価格の問題につきまして御
説明申し上げたいと思いますが、
運用等につきましてはなかなか詳細な点が判明いたしませんが、現在
鉄鋼業務課長を専用船問題につきまして欧米に派遣いたしておりますので、そのついでにこの
内容等についてさらに詳細に
調査を命じておるわけでありますが、とりあえず私
どもの
手元で判明いたしております
資料によりまして、
概略のことをお
手元に
資料といたしまして御提出申し上げております。
資料につきましてかいつまんで御
説明申し上げたいと思いますが、
イギリスの
鉄鋼の
運用の
組織はどうなっているか、ということが、
最初の一ページから二ページにわたって書いてございます。これは一口に申し上げますと、
供給省のもとに
アイアン・アンド・スチール・
ボードという
機関を設置いたしております。これは
政府機関ともいえないのでございますが、これに法律によりまして
相当な
権限を与えておるわけでございまして、三人
委員のもとに
事務局がついておるわけでございますが、公務員ではないのでありますから、一種の
カルテルの変形と
考えられる。これにまた
民間の
体制を尊重しつつ、公けの、パブリックの目的を達成するという
意味で、
価格の
統制権及び
原料等についての
プールの
権限及び業者に対して
賦課金を課する等の
権限を与えておるわけでございます。これが一ページから二ページに書いておる点でございます。
そのほかに
英国鉄鋼連盟という強力な
民間団体がありまして、これがこの
ボードといろいろな問題について相談にあずかって問題がきめていかれる、こういう形に相なっております。この
アイアン・アン、ド・スチール・
ボードのもとに
俗称ビスコといわれる
機関が設置されておりまして、またその子
会社としてビッコ、オアーという
会社があります。これが結局
鉄鉱石あるいは
銑鉄、半
製品、
スクラップそういったものの
輸入を一元的に行なっておりまして、
国内の安い
スクラップ等すべて
プール計算で処理をされておる、こういう
体制に相なっております。結局
公定価格制度をここできめられるわけでございます。これが三ページの下の欄に書いてございますが、
販売価格につきまして
価格が公定されておるわけであります。公定されておりますが、結局原価が安くなければ、
価格が維持され得ないのでありますから、いかにして
コストを安くしておるかというところが問題になるわけであります。
そこで安い根源はどこから来ておりますかということが、ちょっと飛びますが、七ページ以下にその
根本が出ておるわけでありまして、
国防法によりまして現在
国内の
スクラップの
価格が
統制され、また輸出が禁止されております。この
価格の
統制によって、下の方に出ておりますが、
国内の
スクラップの
価格は、
ヘビーくず、
重量くずで二十八ドル七十七セントに当る、これは
日本の円貨に直しますと約一万円でございますから、
日本の現在の
カルテルの
協定価格は二万九千円でございますので、約三分の一という非常に安い
価格に
スクラップ価格を押えております。ここに
一つ大きな
コスト面における安い原因があるわけでございます。従いまして
国内で鉄を作ります場合に、
銑鉄と
スクラップの
価格が
相当に開いておるわけでございますが、
銑鉄を使います場合に、
銑鉄をよけい使う人に対しては
補償金が出るわけであります。安い
スクラップをよけい使っておる人の
醵出金を
プールして出す、こういうことで操作が行われて、
価格の安定が行われる、こういうことに相なると思います。もう
一つの問題は、八ページに、
石炭鉱業につきましては現在も
国有制度が続けられておりまして、ここにありますように、
原料炭の
国内価格は十三ドル十八セントでございます。
日本の使っております
原料炭は、
国内炭が約二十ドル十四セント、
輸入炭が三十二ドル四十五セントという最近の
数字でございますので、
石炭につきましても非常に安い、こういう点でございます。この
石炭の
コストがどういうふうに処理されておるかということにつきましては、私
どもも
調査が行き届きませんで、そこまで
内容につきましては御
説明が今日できないのでございますけれ
ども、結論といたしましては、ここに出ておりますように、
石炭も非常に安い、それから
スクラップ価格を極力押えておる、ここに
イギリスの
価格が安いという
根本がある州じゃないか、かように
考えられるわけでございます。
最後の九ページの下の方に
丸鋼につきましての
各国の
比価が出ておりますが、
トン当りで
イギリスが九十七ドル二十セント、その他
アメリカ、西独も
鉄鋼価格は
相当安いのでありますが、それでもなおかつ百十八ドルないし百十三ドルという
数字が出ておりまして、
イギリスの場合は非常に安い
価格になっております。これは結局、ただいま申し上げましたように、
スクラップの
価格と
石炭の
価格、この点に特別の
政策が行われておる、同時に全体としましては
プール組織で相殺をされておる、こういうふうな形に相なっておるわけであります。
概略につきまして御
説明を終りますが、なお
運用等の詳細につきましては、先ほど申し上げましたように現在現地に参っております者に
調査を命じておりますので、帰りましたら多少その間の
事情がわかると思います。
次に、最近の
日本の
普通鋼材の
価格につきまして一枚の紙をお配りいたしてございます。
普通鋼鋼材主要品種の
国内価格と
輸入価格の対比という表が一枚刷りでございます。これは私
ども前回御
質問にお答えいたしまして大体の
方向を申し上げたのでございますが、その後各社に対しまして、
鉄鋼価格の安定に業界の
協力を要請いたしまして、ここにございますように三社
——八幡、富士、鋼管の三社に対しまして、三社の
建値——これは従来も
建値制が維持されておりますが、これが
現状におきましては
最低価格に相なるわけでございます。今日までは大体三社以外の
価格は、昨年の九月以来非常に混乱いたしまして、暴騰をいたしておったのでありますが、次第に
市中価格を
引き下げる
対策をとりまして、今日は
相当に幅が狭まって参っております。この際さらに
鉄鋼価格を
長期に安定せしめるという
意味におきまして、三社以外の関西四社、この七社が
一貫メーカーとしてあるわけでございますが、三社以外の神戸製鋼、住友金属、川崎製鉄、中山製鋼、四社が今度新しく
建値制をとってもらいたいということで、
販売価格につきまして
引き下げを要請いたしました結果、この
B欄にございますように、四社の
価格が三社より多少過渡的に差があるのはやむを得ないだろう、しかし将来はこれは当然一本にあるべきである。しかしさしあたっては非常に開いておりますので、この
程度の格差はやむを得ないであろうということで協議いたしました結果この
B欄にございます
価格まで四社の
販売価格を
引き下げてもらいまして、この三社及び四社の幅がいわゆる
安定帯価格と世間で言われておりますが、この幅の中へ
鉄鋼価格を安定させようということで今回実施を見ることに相なったわけでございます。さらに四社以外に
鉄鋼の
主要メーカーの残りのものといたしまして十一社ございます。全部で十八社、これが大体
鉄鋼、
普通鋼鋼材の
供給の八〇%以上を占めておるわけでございますが、この十一社につきましても、この際四社の
販売価格まで
価格の
引き下げを要請いたしたわけでございます。十一社側といたしましても、この
鉄鋼価格の安定に
協力をいたしますということで二カ月間の
暫定期間だけ余裕を認めまして、九月、十月ごろからは四社の
価格に足並みをそろえるというような
約束をいたしております。この二カ月間の
暫定価格がこの表の
C欄に書いてございまして、四社
価格に比べましてまだ多少千円ないし二千円、ものによりましては三千円ございますが、ものによっては同
価格のものもございます。この
C欄にございますのがこの二カ月間の十一社の
販売価格としてきめました、将来二カ月後には四社の
価格まで
引き下げるという固い
約束を得ております。従いまして九月以降は七社の
販売価格の幅の中へ大部分の
鉄鋼メーカーの
価格が追い込まれるということに相なるわけでございます。
そこで一番右の欄に、最近入っております
輸入鋼材の
価格が出ております。これは契約によりまして
相当差がございますけれ
ども、大体私
どもで平均をとりました
価格を押えてみますと、ここにありますような
価格でございまして、この十一社の一番高い
販売価格に比べましても、なおまだ
輸入価格の方が高いわけでございます。ここまで
国内販売価格を
引き下げますれば、
輸入の方は特に特別な
事情のない限り
輸入をしないで
国内のものを買っていくということにだんだん相なると
考えております。最近も
輸入申請がうんと減って参っておりますが、補足して申し上げますと、第二・
四半期以降
国内の
鉄源の
需給状況、
銑鉄の
相当の
増産とそれから
輸入スクラップにつきましても、
アメリカの
スクラップの話し合いも大体の
見通しを得ましたし、それ以外の
輸入も
相当にふえております。また
国内の
スクラップの回収も
相当に上っておりますので、
鉄源が
相当ふえて参っておりますから、第二・
四半期以降年間を通じまして、当初
計画に比べて五十七万トン
程度の
増産ができると
考えております。これによりまして、今後は
国内の
鉄鋼の
需給につきましては
相当安定をした形に持っていくことができるのではないか。特に本年度百十万トンの
輸入鋼材の
外貨予算を組んでおりますけれ
ども、今日までの
外貨割当で十分でございまして、今後は特に特別なものを除きましては、
輸入をいたしませんでも
国内で
十分需給のバランスがとれるのではないか、かように
考えておる次第でございます。
大体
概略の
説明を終らせていただきます。