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春日委員 小笠さんはほとんど全生涯を官僚生活を送っておられまして、経済活動、
経済行為からもたらされるさまざまな事象については、ほとんど実際の御経験をお持ちになっておりませんので、あるいはそういうような非難めいた難くせをつければつけ得ないことはないと存ずるのであります。しかしながら私
どもがこの
法案を策定いたしますに当りましては、かねて申し上げております通り、昨年の八月から実にずっと半年をかけて参りました。この間におきましては、
中小企業団体の各指導者、
学識経験者、
法律家、またわが党における衆参両院の政策マン等、衆知を網羅いたしまして、そういうような場合についての現象いかんという点について経験者の豊富な経験をも徴しまして、いろいろとこういう
構成をいたしたわけであります。そこで申し上げたいのでありまするが、結局ことごとくの紛争がこの手続によるわけではございません。すなわち
業者たちは今までは
交渉ができなかったのでありまするが、今回この
法律ができますると、こういう
法律を背景といたしまして、まずフリー・トーキングと申しましょうか、自由な形、いわゆる商談の形で利害
関係を持つ者が
交渉をいたしまして、
妥結に至らざる場合初めてこの
調停申請に至るのであり、
裁定申請に至るのであります。そういうわけでありまするから、結局この
法律の背景といいましょうか、伝家の宝刀といいましょうか、私
どもが
一つ自由に
交渉しましょう、それで
妥結に至らない場合はこういう
国家機関にかけていろいろとお互いの
立場を明らかにする、こういう形でありまするから、零細といっては語弊があるかもしれませんが、今まで力の
関係において比較的劣った
立場にありました
中小企業者がこの
法律によって力を加えられるわけでありまするから、自由な
交渉の場においても相当有利な話し合いができ、なおその
妥結を促進する、こういうことは
考えられるわけであります。なお申し上げまするが、この
法律による大きな深遠なる経済現象のことごとくに対して、何と申しましょうか、腹がへったときに飯を食ったようにすぐ
解決ができるとはだれも
考えておりません。やはり
一つずつ前進をいたしまして、そうして問題の処理をはかっていくわけで、一ぺんに万事が
解決できないからやめるとか、あるいはそんな不完全なものかということになりますと、それは一律には断じがたいと存ずるのであります。そういうわけでありまするから、こういうような中央、地方に持つ
ところの
機関をできるだけ能動的に、かつその効果を高めていくことによりまして、
中小企業の
立場が大いに強められて、そうしてこれはこれとして相当の効果を期待し得るものである、こういう工合に私
どもは確信をいたしておるわけであります。9小笠
委員 今の
ところ、
政府案及び社会党御
提出の両案の
団体交渉の大きいねらいは、大企
業者あるいは
関係企
業者の間の話し合いによって経済問題を
解決する新しい場を作るということにおいては私は同じであります。この設定された新しい話し合いの場によって
解決されるような場合、当事者間の話によって
解決される場合の多きを期待いたしたいのであります。そこで問題になるのは、いわゆるあっせん、
裁定に持ち込む場合が中心になると思うのであります。試みに例を
一つ引いてみますと、百人の総同
業者がおる、そこで九十人の人々が
一つの
事業調整協同組合を作っておるという場合を想定し、その
調整協同組合において
生産数量の
調整をやっておる、こういう場合を想定したときに、二つの面が出てくると思う。
一つは
生産数量の
調整に関連して、原料購入あるいは製品販売等に関連する取引系列における間との
交渉の問題、第二は外におる十人の個個の人々の同調を求める問題があると思う。こういうふうに一応想定されるのでありまするが、社会党の案によりまするならば、いわゆる取引の上下系列におきまする
交渉におきまして話が簡単につけばけっこうでありまするが、つかない場合は、
団体交渉による
調停もしくは
裁定に持っていかなければなりません。同時に、いわゆる員外におる十人の個々に対して、
生産設備、数量の
調整に関して同調を求めるための
団体交渉的な
交渉を持ち込まなければいかぬ。ここに
団体交渉的要素が上下左右に起ってくることは想定しなければなりません。そういう場合に、話のつくものもありましょうし、話のつかない場合もある。特に同業種の中で員外におる人々は
組合に
加入を欲しないような傾向の人々が多いと
考えなければなりません。これは
調整の外におって自由なる活動を欲する人々であります。これらの人々が簡単に話し合いに応ずるとは想定できないのであります。またこれまでの日本の
実態はそうであります。従いまして、この十人の人々にそれぞれ
団体交渉をする場合は、多くの場合においては、いわゆる
調停もしくは
裁定まで持ち込まなければならぬ場合が多いのではないか、こういうふうに一応想定されるのであります。こういうふうなときに、
調停もしくは
裁定に長
期間かかると仮定しますれば、本体の九十人の
事業調整協同組合の本来の
目的が時間的に失われると見なければなりません。そういう場合に、今私が御質問申し上げておるように、
調停もしくは
裁定がスムーズにかつ迅速に行われるということがこの案のみそでなければならぬという意味において、迅速かつ正確に協定もしくは裁決が出、当事者がこれに服従していくことを
確保するの道はどこに出てくるか。今
春日委員の御説明では、であろうという想像であります。私は、であろうという想像以外の御答弁であったとは理解いたしかねるのであります。そういう意味において、最も
社会党案の大事な
ところでありまするから、いわゆるこういうタイミングの問題に十分間に合うんだという理由を明確にもう一度御説明願いたい。