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1957-04-24 第26回国会 衆議院 商工委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十四日(水曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 福田 篤泰君    理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君    理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君    理事 西村 直己君 理事 加藤 清二君    理事 松平 忠久君       阿左美廣治君    齋藤 憲三君       首藤 新八君    中村庸一郎君       福井 順一君    横井 太郎君       春日 一幸君    片島  港君       佐竹 新市君    田中 武夫君       多賀谷真稔君    中崎  敏君       永井勝次郎君    帆足  計君       水谷長三郎君    八木  昇君  出席政府委員         中小企業長官  川上 爲治君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    今井 善衛君  委員外出席者         参  考  人         (東京商工会議         所中小企業対策         委員長)    石田謙一郎君         参  考  人         (経済団体連合         会事務局次長) 古藤利久三君         参  考  人         (日本生活組合         連合会専務理         事)      中林 貞男君         参  考  人         (日本中小企業         政治連盟事務総         長)      城戸  久君         参  考  人         (東京商店街         連合会会長) 内藤 弥吉君         参  考  人         (東京綿スフ織         物商協会会長) 立川  豊君         参  考  人         (日本中小企業         家同友会代表理         事)      束原誠三郎君         参  考  人         (日本労働組合         総評議会中小企         業部長)    入江 正治君         参  考  人         (全国繊維産業         労働組合同盟法         政部長)    間宮重一郎君         参  考  人         (主婦連合会副         会長)     三巻 秋子君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月二十四日  委員井谷正吉君及び横路節雄君辞任につき、そ  の補欠として永井勝次郎君及び中崎敏君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業団体法案内閣提出第一三  〇号)  中小企業組織法案水谷長三郎君外  二十三名提出衆法第二号)  中小企業産業分野確保に関する  法律案水谷長三郎君外二十三名提  出、衆法第五号)  商業調整法案水谷長三郎君外二十  三名提出衆法第六号)    右各案について参考人より意見    聴取     —————————————
  2. 福田篤泰

    福田委員長 これより会議を開きます。  本日はまず内閣提出にかかる中小企業団体法案並びに水谷長三郎君外二十三名提出にかかる中小企業組織法案中小企業産業分野確保に関する法律案及び商業調整法案、以上各案について御出席参考人より御意見を承わることにいたします。  ただいま御出席参考人各位は、東京商工会議所中小企業対策委員長石田謙一郎君、経済団体連合会事務局次長古藤利久三君、日本中小企業政治連盟事務総長城戸久君、東京綿スフ織物商協会会長立川豊君、日本中小企業家同友会代表理事束原誠三郎君、日本生活協同組合連合会専務理事中林貞男君、日本労働組合評議会中小企業部長入江正治君、全国繊維産業労働組合同盟法政部長間宮重一郎君、以上八名の方方であります。  なお東京商店街連合会会長内藤弥吉君は、所用のため後刻出席される予定であります。  また以上の各位のほか、参考人として出席方を依頼しておりました峯村光郎君は、所用のため出席できかねるとのことでありますので、御了承願います。  この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。参考人方々には御多用中のところ本委員会に御出席下さいましたことを厚く御礼申し上げます。申すまでもなく現下の中小企業界の実情にかんがみ、中小企業振興のための最も基本的な方策として、中小企業組織の充実、団結の強化をはかることが喫緊の要務であることは疑いの余地はありません。本日御意見を伺うことになっております政府案並び社会党案の各案は、かかる見地より提案されたものでありますが、その内容につきましては、すでに各位の十分御承知のことと存じます。これらの法案はともに中小企業の経営の向上と安定に関し重大な意義を有するとともに、一方関連事業者または消費者その他に対しましても密接な関連性を持つものでありまして、今後の中小企業界ないしは国民経済の動向に重要な契機をもたらすものと予想せられるところであります。またかねて世上活発な論議が行われておりますことは、関係者のみならず一般の関心が高まっておることを示すものであろうと存じます。  かかる意味合いにおきまして、この際広く各界の御意見を聴取し、審議に遺憾なきを期するために本日各位の御出席をわずらわした次第でありますから、以上の趣旨をおくみ取りいただきまして、忌憚のない御意見を御発表願いたいと存じます。  参考人の御意見御開陳の時間は一人おおむね十五分程度とし、その順序は勝手ながら委員長におまかせ願いたいと存じます。  なお御意見御発表の後委員の側から種々質疑もあろうかと存じますので、お含みの上お願いいたします。  それでは最初に石田参考人よりお願いいたします。
  3. 石田謙一郎

    石田参考人 私御指名いただいた石田でございます。元来中小企業というものは今日まで非常に恵まれなかった、これはすでに賢明な皆さんの御承知のことでありまするが、この両三年来、言葉の上では中小企業問題が非常に取り上げられてくるようになったわけであります。しかし実際上ではそういうふうな言葉が言われるほど果して中小企業問題が取り上げられたかどうかというと、これは全くそうじゃないと私どもは断ぜざるを得ないのです。三十一年度の中小企業者に対する予算でさえも約八億円、それが三十二年度の予算にはわずかに一億円しかふえていない。九億円しか現在認められておらぬという現状を見ましても、言葉で言われておるのと実際の事情がいかに違うかということをわれわれは考えざるを得ないのであります。しかもその問われわれ中小企業者は、最低賃金その他でもって非常に中小企業の低賃金という問題を取り上げられまして、何とか最低賃金制をしけというようなこともいろいろ言われておるのでありますが、一方最低賃金制はしけ、しかし生産性向上はできないというふうな御意見も一部にあるようでありまして、われわれ自力でものをやっていかなければならぬ中小企業者は、このように生産性向上は否定され最低賃金制だけは施行されるということになりますると、一体どうしたらいいかと考えざるを得ないのであります。いろいろと問題を取り上げられながらも、そのような観点からわれわれ中小企業者としては果してどのようにこれから進んでいったらいいか、またどのように進んだら果して健全な中小企業ができるのであろうかと非常に憂えておるものであります。  しかしながら私が今回この参考人として意見を述べる機会を得るに当りまして、去る四月五日の議事録を拝見したのでありますが、それを見ましたところが、実は自民党社会党皆さんも、みんな中小企業問題については非常によくおわかりになっておるということをその議事録内容からうかがい知りまして、非常にありがたいと思ったわけでございます。たとえばわれわれは今日まで政府当局対策というものが、あまりに大企業のみに偏しておって、中小企業に薄かった点を常に憂えておったのでありまするが、これも壊滅した国土の復興が基礎産業振興を優先しなければならないという絶対的な条件から、過去十一年間産業政策重点を大企業に指向した結果だというふうな御意見がすでに議事録に出ておるのを拝見いたしまして、はっきりと御認識をいただいておるということを私どもは考えさせられ、こういうふうな御認識がある以上は今後においてはあらゆる面で、この虐遇されたところの中小企業に対して強力な助成策がとられるのではなかろうか、かように考えて非常に感謝をいたしておるわけであります。この点まず先日のこの問題についての御意見に対して私ども感謝をいたすものであります。  本日ここで私は中小企業団体法その他について意見を申し上げるのでありまするが、私は元来商工会議所中小企業委員長をしばらくやっておるものであります。商工会議所と申しますのは、御承知のようにその構成上からも大企業中小企業、もちろん零細企業を含めてでありますが、これらのものから成り立っておる関係上、大企業中小企業は共存すべきものであるという建前をかねてからとっておるものであります。そのような観点から、中小企業問題を解決せずしては大企業も困るのであるということをかねて主張もし、いろいろその点から建議もしてきたのであります。そしてそういう観点から中小企業問題の解決には金融、税制の問題と同時に、もともと中小企業というものは独立精神が旺盛な人たちが多いのでありますから、なかなか組織を作ることができないので、そういうふうな中小企業者を何とか組織化したい、そして組織化することによって初めて中小企業問題が金融問題、税制問題とともに解決できるのではなかろうか、このように会議所立場では考えておったのであります。もちろんこのような問題から、私どもはどうしたら中小企業者組織することができるかというので非常に前から研究をいたしまして、あるいは同業組合法あるいは商業組合法工業組合法、これらの研究をいたし、いろいろ建議もいたして参ったのであります。なおその途上においては大企業の方ともあるいは消費者皆さんともずいぶん話し合いをして参ったのでありますが、今回政府案を私どもが拝見をいたしまして、その途上においても同様にこのいろいろと変っておりまする政府案そのものについて、大企業あるいは消費者皆さんに対しも御相談をしあるいは御意見を伺い、いろいろしてきたのでありますが、実はだいぶ反対がございました。しかしその反対中小企業者組織するということについての御反対ではないという確信を持ったのであります。中小企業者組織さしてはいかぬのだという反対ではなくして、組織される方法とそれから組織された結果においてとるいろいろな措置についての御意見あるいは御反対が多いということを考えさせられたのであります。私どもといたしましては、中小企業者組織というものについてはどなたも御反対になっておらぬということをまず認めざるを得なかったのであります。なお現在政府案に対して、われわれが仄聞した範囲において、たとえば大企業の例をとってみますると御反対があるように伺っておるのでありまするが、もちろんこの反対の大企業の方は、大企業のすべてではないと私どもは存ずるのであります。その方々心配される点は二つあるのではないかと私は考えるのであります。一つは今度の政府案の中に盛られておりますところの組合交渉の問題ですが、これはすでに現在安定法の中に団体協約というものがあります。団体協約がありますれば当然その前提として交渉があることはだれしもうなずけるところであります。現在すでにあるものでありまして、ただこれが今度は団体法の中に盛り込まれたというだけにすぎないので、このような点から私どもは、大企業方々が今度の法案組合交渉という文字が出たからと申して反対されるのはいささか意外だと思わざるを得ないのであります。この点につきまして私ども先ほど引例をいたしましたように、戦後十一年間中小企業基礎産業の確立のために犠牲になったということを御認識いただきまして、大企業皆さんもぜひともこういうふうな点については理解のある御態度をおとり願いたいと考えておるわけであります。  なお政府案においての組合交渉あるいは団体協約の問題につきましても、その内容においては当然総会において申し述べ、同意を得なければなりませんので、大企業皆さんが御心配になるほどのことはないのじゃないかと私どもは考えておるのであります。四月五日の御討議の中で、自民党及び社会党皆さんがすでにはっきりと指摘されておりますところの原料高製品安ということ、中小企業にこのような姿を押しつけておいて、今後も中小企業者を大企業犠牲にしようというのなら問題は別であります。しかし、そうでなく、あくまでも大企業中小企業は共存すべきものであるという立場から、やはりこの際は大企業の方が中小企業に幾分かお譲りいただくことが必要じゃないか。このような点からも、私はこれらについての御反対を不思議に思うものの一人でございます。  第二に大企業の方が御心配になっておる点は、この団体法一つの道となって、官僚統制あるいは過去におけるような強い経済統制その他に移行するのじゃなかろうかということだろうと思うのであります。これはひとり大企業のみでなく、われわれ中小企業者自身も非常に心配している点なのでありますが、これも運用方法のいかんによると私どもは考えておるのであります。今後この法案は当然成立することと思うのでありますが、その運用の面において御当局その他は、わずかの助成金を出すことによってこれらの団結された中小企業者を牛耳ろうというようなことは当然お考えになっておらぬと思いますけれども、この点、十分御注意を願いたい。そしてあくまでも業者の自主独立精神のもとに運行させるように御指導願いたいと考えるのであります。  また消費者側の御反対に対しても、私どもはだいぶ誤解があるのじゃなかろうかと考えているものであります。もちろんこの団体法が施行されますと、いろいろ現在中小企業者が話し合っております過当競争あるいは出血受注その他の問題が出てくるであろうと思うのであります。しかし、四月五日の討議の中にも示されておりますように、二千五百万の中小企業者というものは、生産者あるいは販売者であるとともに一面消費者であります。この消費者である中小企業者が、社会通念の許さない不当なことをやるとは私ども自体考えておらない。私ども自体中小企業者でありまするが、その中小企業者である私どもが、社会の許さない無理な値上げ、あるいは消費者皆さんのお困りになるようなことを持ち出すとは考えておらないのであります。この点は消費者皆さんの御理解ある御態度をぜひ望みたいと私どもは考えておるのであります。しかし、この点については、また一つ方法として、政府案の中で審議会委員の人選において明示されておる学識経験者の中に、消費の面を受け持つ方々を入れていただくことによって解決できるのじゃないか。私は、こういうふうに努めて摩擦相剋のないようにしてこの案が成立することを望むものなのであります。なお、法案そのものについてでありますが、これは提案されたとき一応水田通産大臣から述べられており、すでに私どもは十分了承しておるのでありますが、ただ、この中で、強制加入の問題、あるいは義務加入と申しますか、その問題が出てくるのであります。これはわれわれの仲間の中でも実は問題のある問題であります。アウトサイダーとして、員外規制のみでもってこれが果してうまくいくものであろうかと考えてみまずと、それだけではいけないのではないか。ことに今後の組合の運行に対しまして、いろいろな事業を行いますから当然経費の問題も出て参ります。員外にあって経費の負担はしない、規制だけ受けるということも不思議でありますが、同時に、中小企業者生産額あるいは販売額の半分以上、そして加入組合員が全体の中小企業者の四分の三以上である場合、やはり一応組合へお入りいただいていろいろ当面する問題を御討議願う方がむしろ民主的ではなかろうか、私どもはかように考えて政府案に賛成をするものであります。それに伴いまして、中小企業者組織された組合がいろいろボスによってひっぱられるじゃないかというふうな御意見もありますが、私ども初め中小企業組織化に今日までいろいろ努力している者は、この問題については実ははなはだ遺憾に存ずるのであります。中小企業組織をする場合、過去においてそのような方々もあったことはいなめないのでありますが、それだからと申して、中小企業組合指導者すべてがボスであるという断定はいささか不思議だと思うのでありまして、これは璞玉の瑕瑾を見てその価値をお認めにならないことになるではないか、私どもはこのように感じております。今日まで恵まれない立場におりながら中小企業組織化することの運動をされてきた方がありますので、この点はもう一ぺん見直していただきたいと考えるのであります。私ども政府案を最上とは思わないでありますが、しかし、現在中小企業者は、ともかく一日も早く何らかの形において組織をさしていただくことが必要ではなかろうか、かように考えるのであります。現に提案されております政府案は、われわれ中小企業者の要望をいれまして十分だとは考えておらないのであります。しかしながら、十分でなくとも、しからばこれをほっておいてよいかということになりますと、決してそうではないと考えるのであります。こんな点から、十分ではないまでも、恵まれない立場にある中小企業者を救うために、すでに皆さん自体中小企業が恵まれておらないということを御認識いただいておるのでありますから、ぜひとも今度の団体法がこの会期中に成立するようお願いいたしたいと思うのであります。  その他社会党案も一応拝見いたしたのでありますが、私どもこの問題は今回は触れたくないのであります。ただ、中小企業の問題が世上で取り上げられていろいろ論議される場合、自民党にも社会党にもいろいろお考えいただくことは感謝するのでございますが、要は子供着物を着せていただくようなものでありまして、現在寒さにふるえている子供着物を着せていただけばよいので、洋服を着せるか和服を着せるかは中小企業自体あまり問題としておらないのであります。よほど災いでもありますれば別でありますが、何とかがまんができるものならば、むしろそれより少しも早く着せてほしい、これが中小企業の偽わらない声ではなかろうか、かように考えておるのであります。このような点から、この団体法は一日も早く成立をお願いしたい、これが私の参考人としての願いであります。  大へん失礼を申し上げました。(拍手)
  4. 福田篤泰

    福田委員長 次に、古藤参考人にお願いいたします。
  5. 古藤利久三

    古藤参考人 御紹介を受けました古藤であります。  本日、意見を聞かれておる法案は非常にたくさんございますので、とりあえず政府提案中小企業団体法案中心にいたしまして、さらに中小企業組織法案その他の関係についてはあとから若干意見を申し上げることにしたいと思います。経団連大体大企業中心になっておりますので、中小企業組織という問題が中小企業だけの問題でとどまるようなことでございますれば、ことさらに意見を申し上げる必要もないのでありまするが、大企業としましても、中小企業を含めまして両方の協力によって日本経済が発展していく。特に日本経済における中小企業の大きな比重と申しますか、そういう点を考えますと、中小企業振興が必要だということは経済団体連合会としても十分認識しておるわけでございます。ただこの法案のできるいきさつにつきまして、実は中小企業振興審議会でございますか、あそこで大体問題が提出されて、いろいろ発展してきたというふうな行きがかりもございまして、あの審議会におきましては比較的大企業の方の参加が少かったという点もございまして、大企業中小企業との関係の問題について十分な審議会検討ができておったかどうかということについて若干危惧の念もございましたので、この法案政府でいろいろ準備されます当初から、経団連としましては政府のいろいろな御意見を聞き、また関係方面の御意見中小企業の方の御意見も聞きまして検討を加えてきたわけでございます。ただいまのところ各方面の御意見によって法案が漸次練られて参って、慎重に御審議を願っておるということは十分われわれも承知しておるわけでございますが、ただ現在の段階においても、やはり慎重にこれを考えますと、問題点が残されている。  その第一の問題点は、先ほども御指摘がありましたように、二十九条の組合交渉についての規定でございます。先ほど中小企業安定法に、すでに組合協約の締結についての規定があるではないかというお話でございますけれども、ただし相手方に対して交渉に応ずる義務と申しますか、何かそういうふうな義務的な規定というものはございません。それからまたこれにつきまして大臣勧告なさるというふうな規定も現在はないわけでございます。これはきわめて簡単な規定のようでありますけれども通常商取引に対して、ある意味において政府が介入するというふうな事態になって参る問題でございまして、この問題の文句自身は非常に簡単でございまして、あるいは法律的に言うと義務ではないという御説明もあるかと思いますが、実態的には、大企業の受けておる感じから申しますと、やはり義務としてこれは受け取らざるを得ない。そういうことになって参りますと、通常交渉に対してそういう政府勧告というふうなものがついて参ったり、その交渉に応じなければならぬというふうな事実上のそういう関係に追いやるということは、今の取引関係について相当大きな変化をもたらす要因をここに含んでいるのじゃないか。一たんこの法案が通りまして、実際上そういう勧告なり何なりが行われて、うまくいかぬということになると、今度は勧告に対する罰則が必要だという方向にこの法案が発展していく要素を含んでいるのじゃないか。そういう点においてこの組合交渉についての規定につきましては、さらに慎重な御検討をお願いしたいというのが一つ問題点でございます。  第二の問題点は、五十五条の強制加入規定でございますが、この規定先ほどおっしゃったように、組合費を取らないで、調整事業協力するということだけで組合費を納めぬとかというふうな問題上心要だという点もございますが、それはむしろ問題の重点からいきますと、こまかな問題であろうとわれわれは考えております。特にこの強制加入をしなければならぬという問題は、調整事業をやる上に必要ならば、アウトサイダー規制で十分やれるのではないか。今の中小企業安定法にございますようなアウトサイダー規制命令で十分に実際の調整事業をやれるのじゃないか。強制加入の目的が調整事業中心にする限りはアウトサイダー規制で十分じゃないか。特に強制加入という問題をそこにお入れになるということは、単に組合費の問題とか何とかという小さな問題でなく、これも現在の経済秩序というものについての重要な変更という問題になるのじゃないかとわれわれは考えているわけでございます。特にこういう強制加入というふうなことになりますと、大企業中小企業関係はいろいろございまして、大企業と並列する中小企業もございますれば、また現在の多くの輸出産業のように、大企業協力関係にある中小企業も広範にあるわけでございます。その場合にそれぞれの会社というふうなものと中小企業との間において、長年にわたって育成されている指導協力関係というふうなものがございまして、これはこの強制加入というふうな規定が発動されますとその関係が阻害されてしまう。そして中小企業と大企業と少くとも対立させるような危険性もはらんでいる規定だ。そういう意味においてやはりこの問題はよほど慎重に扱っていただかないと問題を起すのではないかと考えている次第でございます。  それから、強制加入の方は大企業関係がございませんが、第三のアウトサイダー規制命令の方は大企業の方にも及ぶことになっております。この問題になりますと、中小企業自身の業界の安定という問題からさらに一歩発展いたしまして、その業界全体の安定という問題に入るわけでございますから、ある意味においては中小企業団体法というものでこれをおきめになるよりは、むしろその産業、業界全体の振興法というか、そういうふうな全体的な見地から、輸出貿易のことも考え、また国民経済に対する影響も考え、そしてこのアウトサイダー規制によって大企業中小企業も含めた一つの調整をやるというふうな問題が必要ではないか。そういう考え方からいきますと、このアウトサイダー規制命令についても、大企業にこれを適用する場合には、中小企業振興という目的よりさらに高次の目的のためにこれを御判断願うというふうな機構なり、あるいは審議をしていただくことがぜひ必要ではないかというふうに考えております。  第四番目の問題点は、結局いろいろな点で政府の行政指導、行政権というものにゆだねてある点がたくさんございます。そこで特に認許可にいろいろな問題がひっかかっておりますので、この法律が通りますと、運用でうまくやっていただけるということは大臣からもお話がございまして、その点は期待しておるわけでございますけれども運用の幅が大きな法律でございますので、ただいまこの法律を作ります過程においていろいろ御苦労をされた御当局の方がおられますれば、その問題の点はあとになって十分理解していただけると思いますが、一たん法律が成立いたしますと、そういう過程にありました重要な問題点というものは忘れられまして、結局法律にある目的を達成するためにいろいろなことが行われる。そうしますと、政府の行政指導というものにわれわれ危惧を抱くわけではありませんけれども、とかく問題がいろいろ発展して参り、結局は統制的な色彩を帯びて参りまして、統制経済的な端緒をこの法案が開くようなことになりはしないか、そういうことを心配しておるわけでございます。たとえばいろいろな調整規程の認可にしてもあるいは組合協約の認可にしても、そういう問題についてはおそらく中小企業方面から陳情がうんと出てくるというようなことになるのではないか。陳情攻めにあって政府は仕方なくそれを認めるような事態が次々と起ってきやしないか。そういうことを考えますと、このような問題点をはらんだまま本法案が成立することになりますと、結局先ほど申しましたような大企業中小企業との協力関係が阻害されまして、あるいは輸出貿易その他国民経済の安定、消費者に対する影響というふうなものを考えますと、技術の向上とか合理化という努力よりは、むしろこの組織を基盤としまして、大企業あるいはその他の方面に力を働きかけて地位を改善していくような方向にとかく流れやすい。そういう危険を若干はらんでおるというところに一番問題があるのではないか。こういう問題をはらんだままこの法案が行われるということになって参りますと、大企業といたしましてはそういう一つの危惧を持っておりますので、この危惧が払拭されない限りは、今まで中小企業にお願いしておったことを一貫経営でやった方がよいのではないか。一つ一つそういうことで団体交渉組合交渉がせられるならば、自分のところでやった方がよいのではないかという強硬論もございまして、そういうことになって参りますと、せっかくの中小企業振興法案が逆の結果を来たすことになりはしないかという心配をわれわれはいたしておるわけでございます。そういういろいろな影響もございますので、この法案につきましては従来から慎重に御検討を願っておりますけれども、さらにこの段階においても十分に時間をかけていただきまして、先ほど委員長のお言葉では何でも率直に申せということでありますから、一言申し上げますれば、たとえば、もし時間がございませんでしたら、継続審議にしていただくとか、そういうふうなことによりましてこの法案についての問題点をもっと多面的に総合的に検討していただきたいというのがわれわれの意見でございます。  それから慎重な御検討を願いたいという一つの理由を今申し上げますと、第一は、これは取引秩序とか経済体制の根幹に触れる問題をはらんでおるということでございます。それから先ほど申しました規定がそれぞれの問題について今申しましたような問題点をはらんでおるほかに、政府の内部におきましても、たとえば強制加入規定につきましては公正取引委員会にも若干の御意見があるようでございますし、必ずしもはっきりと政府内部の、特に政府と事務当局内部の御意見が統一しているとはわれわれは考えていないのでございます。  それから第三の問題は、これは中小企業についての基本調査というものができておりまして、その上でこういう法律が御提案になるということであれば非常にけっこうなんでございますが、承わるところによりますと、最近ようやく調査の予算がとれましてこれから基本調査をおやりになるということであります。そういう中小企業の基本調査というものができ上っていない段階において、こういう問題のはらんでいる法案を成立させるということは若干問題がありはしないか、慎重を欠きはしないかというふうな点をわれわれは懸念しているわけでございます。そういう点から考えまして、この法案につきましてはよほど慎重に時間をかけて御検討を願いたいというのが私どもの考え方でございます。  さらに組織法案の問題についてちょっと触れさしていただきますと、組織法案につきましては、加入脱退の自由という原則が一貫されておりまして、統制経済的なにおいのないという点においてはきわめて適切なお考えだと思うのでございますが、ただ問題は、団体交渉一本ですべてをおきめになるというこの考え方は、とかく労働組合と同じように中小企業組合がいくということになりまして、団体交渉というものが非常に乱用される、これによって裁定されればそのまま強行されるのだということになりまして、これは現在の通常商取引や何かについての影響を考えますと、政府提案団体法よりもはるかに大きな影響がございますので、これはわれわれとしては賛成しかねるわけでございます。  それからまた動労事業協同組合というふうなものも認められておりますが、これにつきましてはどうもこういうふうなものができて、そしていわゆる家族ぐるみの闘争というような形にこれが持っていかれるというようなことになりますと、非常に問題でありまして、社会党御提案の組織法案につきましても加入脱退の自由が守られ、それから統制経済的な色彩のないという点は非常にけっこうだと思うのでありますが、あとの団体交渉一本でいこうという考えにつきましてはわれわれの方としましてはこれは問題を非常に大きくはらんでいるのじゃないかというふうに考えております。簡単でありますが……。
  6. 福田篤泰

    福田委員長 次に中林参考人にお願いいたします。
  7. 中林貞男

    中林参考人 私ただいま御紹介を受けました日本生活協同組合連合会中林でございます。私たちは消費者立場に立っていろいろ考えるわけでございますが、われわれは消費者立場に立っても、現在の日本において中小企業振興ということは絶対必要なことであり、このことについては国民だれ一人として反対するものもないし、今まで大企業中心にいろいろなことを考えられて、中小企業のことがなおざりにされていたというような点から見まして、今度の国会において中小企業の問題が大きくとらえられて参っているということは非常にいいことだというふうに考えるのでございます。そしてまたその弱い中小企業組織化ということも私たちはこの段階においては必要なことだろうというふうに考えているのでございます。しかしながら今度政府から提案されておりますところの中小企業団体法を見ますと、その組織化が法律の力で、つまり権力でいろいろのことをやっていこうという考え方になっております。私たちはそのような権力的なものによって中小企業組織化をやるというような点については絶対に反対せざるを得ないというふうに考えております。そして現在政府から提案されておりますところの中小企業団体法を詳細に検討しますと、それは中小企業といっても大資本につながるところの一部の中小企業を救う、つまり資本中心の系列化を結局においては促進するだけであって、むしろ多くの救われなくちゃならない零細な中小企業者、零細業者を犠牲にして、そうして一切の矛盾を消費者にしわ寄せされてくるというような懸念が非常に強いというような見地に立って、現在政府から提案されている団体法というものについては私たちは消費者立場に立って絶対反対せざるを得ないというふうに考えるのでございます。従ってまず政府から提案されておりますところの団体法について、なぜ私たちは反対であるということを少しく申し上げてみたいと考えるのであります。  まず第一番に、現在のこの法律が中小企業対策中小企業振興というような形で提案されておりますけれども、これに何らの予算措置も何も考えられていない。三十二年度の政府予算を考えてみますと、中小企業関係予算はわずかしかふえてなくて、これだけ鳴りもの入りに中小企業のことをいろいろと言われながら、予算の面においてほとんど考えられていないということをまず言わなくちゃならない。そしてまたこの中小企業対策というものにつきまして、私たちは現在の日本中小企業のいろいろの問題の根源がどこにあるかということをやはりいろいろと考えてみなくちゃならない。そのような見地に立って根本的な問題を考えてみますと、やはり一般に言われているように、中小企業の過多性が一番根本的な問題ではないだろうか。そうしてそれがむしろ失業人口のプールのようにされておるというところに大きな問題がある。東京においては十五世帯に一軒の割合で商店がある。山形に行きますとそれが十世帯に一軒だ、最近生活協同組合のことでやかましく問題になりました米子について調べてみますと、七世帯に一軒の商店だというような割合に統計ではなっているのでございます。そうしてこのように商人が非常に多いというにもかかわらず、政府経済五カ年計画を見ますと、昭和三十五年までにその商人をさらに二四%ふやす、そうして八百九十八万にするという数字が出ているのでございます。商人が非常に多いところに問題があるというにもかかわらず、政府経済五カ年計画はさらにそれをふやしていくということになっておるのであります。そのことは昨年出ました労働省の労働統計を見ても、失業人口がどのような面に吸収されておるか、雇用量の増大がどのような面にあるというと、いわゆる第三次産業部門というような面にあることを見ても、そのことがはっきりして参るのではないだろうかというような、このような点に一番大きな矛盾がある。さらに経済的にこれを見ますと、戦後の特にここ二、三年の大きな現象として現われておりますのは、いわゆる大メーカーが直接の小売にまで進出してきている。そうしていろいろな形で商事会社を作ったり、あるいは販売網を確立したり、あるいはサービス店というようなものを作っております。私たち学生時代は銀座を歩きますといろいろな商店がたくさん並んでおりました。しかしながら現在銀座を歩いてみますと一番目立つのは大きな紡績会社のサービス店あるいは電気メーカーのサービス店がきれいな店を張って並んでいるわけです。そしてまた従来あったところの商店というものがみんな戦後影をひそめて、大きなメーカーとかサービス店とかそういうようなものが軒を並べている。また百貨店に行ってみましても、百貨店は大きなメーカーの陳列所になっており、またいろいろの名店街というようなものが百貨店の中にできてきている。そうして参りますと、結局そのような形で最近流通面の再編成ということが大資本中心に強行されてきているということが非常に目立って参っている。そしてまた経済の統計で調べますと、商業マージンが戦前に比べて現在一〇%ないし一五%低下して参ってきております。そのようなことは、やはり流通面におけるところの大資本の支配というようなものが進んできているためにいろいろの中小企業者犠牲にされている。つまり商人は上からは大資本の圧迫を食らい、下においてはそのような失業人口をどんどんと流し込まれる。そこに現在の日本の流通面におけるところの基本的な問題があるのであって、この点に対して政府は何ら考えることなくして、ただ法律ですべてのものを解決しようとしているところに私は今度の問題の一番大きな矛盾があるというふうに考えるのでございます。そうしてまた、現在の資本主義経済のもとにおいては、やはり自由競争ということが建前にならなくちゃならないのにもかかわらず、それが今度の法律を見ますと、全く権力的な統制ということに進んでいこうとしている。これは大きな時代逆行である。特に五十五条におけるところの加入命令あるいは五十六条におけるところの員外者の規制というような点にそれが端的に現われているというふうに私は考えるのでございます。このような商工組合への加入命令あるいは員外者の規制というようなことになって参りますと、消費者がこのような経済の中において自分たちの生活を幾らかでも楽にしょう、安定させようとしてやっておりますところの生活協同組合、あるいは労働組合なり婦人団体のいろいろな自由な経済活動がこれによって規制されることになって参るのではないだろうかというふうに私は考えるのでございます。そのようなことになりますと、結局消費者がどのような被害を受けるかということにつきましては、各地の統計を私たちは持っているわけでございます。ここに一つだけ兵庫県の相生におけるところの統計を私持って参ったのでございますが、二十二、三年まで播磨造船に生活協同組合がなかったころにおいては、相生の物価は東京よりも、神戸よりもどこよりも高かった。神戸を一〇〇にしますと二十二、三年ころの消費者物価指数は相生においては一〇六ないし一〇七であったのです。それが二十三年に生活協同組合ができましてから、相生の物価はどんどんと下って参りました。そうして二十六年以降においては、今日相生の物価は、神戸を一〇〇にしまして、姫路、竜野あるいは豊岡というようなところと比較してみまずと、一番低くなっております。三十年の統計を見ますと、神戸を一〇〇にしますと、姫路は九五・五、相生は九〇・一、竜野は九三・三、豊岡は九六・九というような工合に統計でも出て参っているのでございます。従ってこのような中において生活協同組合なり消費者の自由な経済活動というものを規制してくるということは、消費者の権利をこの法律によってはばんでしまうというようなことになり、これは決して消費者の生活安定の役には何ら立つところがないのではないだろうか。また二十九条の組合交渉という問題につきましても、現在の政府提案の法律においてはいろいろ問題を持っている。たとえば生活協同組合ども交渉を受ける対象になっているのでございますが、このような点についても私たちは十分検討を加える必要があるのではないだろうか。そうしてこの問題について中小企業庁の方にもいろいろお会いして私たちが伺いますと、七十二条あるいは七十三条あるいは八十一条、八十二条に安定審議会とかあるいは調整審議会規定があって、それによっていろいろやっていくということを言われておるのでございますが、私たちはそのような審議会がどのような性格のものであるか、果してその中に消費者、特に家庭の主婦の発言がどれだけ認められるかというようなことを考えてみますと、私たちは大きな疑問を持たざるを得ないというふうに考えるのでございます。そうしてこのような権力的な統制をやって参りますと、結局それはやみの温床を作るようなものになるのではないだろうか。戦争中の統制経済の時代にどのようなやみが横行したか、われわれ国民はやみのために非常に暗い生活をしたのでございますが、そのようなことが再び出てくるんじゃないだろうか。また権力と結びますことは、やはり官僚の汚職の源泉になって参るのではないだろうか。汚職の源泉がこのような統制とつながっておるということは私たちの経験でもはっきりしておるのでございますが、現在の団体法を推し進めて参りますと、いろいろ経済の面において権力的な統制をやることによって無理が出てきて、そうして汚職とかやみの源泉を作り、そうしてまたこういうような形で商工組合とかいろいろの形で統制して参りまずと、結局各企業におけるところの企業努力というようなことも削減されて参りまして、結局サービスの低下というような形になって、消費者なり、あるいは特に家庭の主婦に対する影響が非常に強いのではないだろうかということを私たちは憂えるのでございます。従って、この団体法というようなものが施行されて参りますと、いろいろそういうような面において消費者へのしわ寄せがなされてくる。そうしてこのようなことは、この団体法が国会に提案されておる、そうして現在審議されておるということを中心にして、やがてこの法律は国会を通るだろうというようなことを前提としまして、地方ではもうすでにいろいろのことが画策されておるのでございます。二、三日前にも私たちは全国の代表者が集まりましていろいろ伺いましたら、福岡ではこういうようなことがもう業者の間で文書で流れておるとか、あるいは米子ではこういうことがあるとか、あるいは兵庫ではこういうようなことがある。たとえば兵庫県で最近聞きますと、この法律ができたら、製氷関係の業者の間において組合を作って、そうして共販制度をしこうというようなことが言われておる。兵庫県においては灘の生活協同組合が製氷事業、つまり氷を作る仕事をやっておりまして、そうして一円の組合員に氷を提供して非常に喜ばれておるのでございますが、その値段がやはり一般の業者と比較して非常に安いということでいろいろ言われておったんですが、これができますと、共販制度はできた、氷は全部プールして一定の価格でこれを売ることにしようというようなことが現在いろいろと言われておる。そうして組合もこれに加盟しなくちゃいけなくなるのだということで今盛んに勧誘されておる。そういうような共販制度、プール制度というようなことがなされて参りますと、結局それは値段を上げるということになって参るのではないだろうか。現在でもすでに薬品だとかあるいは化粧品だとか、毛糸だとか、書籍だとか、マッチだとか、みそ、しょうゆ、ソース、電気器具というようなものについては協定価格が行われておるのでございますが、最近の新聞を見ましても、マッチの値段が調整組合において引き上げられるとか、あるいは昨年の秋にみそ、しょうゆの値段が一斉に上げられたとかいうようなことになっておるのでございますが、またプロパンガスの協定価格というようなものとか、いろいろの面において家庭の主婦は日用品、生活必需品の協定価格によるつり上げによって苦い経験を数数持っておるのでございます。従ってこの団体法によって商業サービス面にまで一つのカルテル的なものを推し進めてくるということについては、私たちは絶対反対せざるを得ないというふうに考えるのでございます。私たちは生活協同組合と申しましても、決して商業者や中小企業者のことを考えない、生活協同組合があれば商業者や中小企業者はつぶしてもいいというような考えは、毛頭持っているのではございませんのであって、そのような消費者経済組織と商業者なり中小企業者というものは、日本においては共存していかなくちゃならない。そうしてすべては消費者へどのようにしてサービスするかということでやっていかなくちゃならない。このような経験はイギリスを初め西欧諸国ではみんな持っているのでございまして、特にそういうような点においては、イギリスの保守党が国民生活の面において果してきた役割につきまして、私は自民党の諸先生方にも——イギリスその他の西欧諸国、特に福祉国家というようなことを自民党でもいろいろ言っておいでになりますが、福祉国家というものはどういう内容を持たなくちゃならないかということにつきまして、もう少しお考をいただきまして、このような根本的な矛盾に手を触れることなく、ただ法律の力ですべてを解決していこうというお考えは、私はぜひもう一度御検討をお願いできないだろうかと思います。私たちは今のこのような流通面における矛盾を何とかみんなの手で排除して、そうして明るい民主的な流通秩序、流通機構というものを打ち立てる努力をどうしてもしなくちゃならない。それをしない限りは、どのような法律を作っても、決して中小企業者も商人も救われないし、またもちろん消費者も決して救われるものではないというふうに私たちは確信しているのでございます。前の石橋首相も完全雇用ということを盛んにおっしゃったのでございますが、私たちはやはり日本においては完全雇用あるいは社会保障制度の拡充というようなことをもっともっと国会において大きくお考えいただいて、そうして中小企業者に対しては、税金の問題だとか、あるいは資金の面においてもっともっと考えてやらなくちゃならない面がたくさんあるし、そうしてそういうようなことを考えながら、中小企業者の自主的な組織化を進めることが一番よいのではないだろうか、そのような見地に立って社会党組織法を読ませていただきますと、私たちのそのような考え方と基本的な考えにおいて全く合致いたしているのであります。従って私たちが社会党の先生方に申し上げたいと思いますのは、社会党はせっかく中小企業組織法というりっぱな法律案を国会に提案しておいでになるのでございますので、私はあくまで社会党としては社会党組織法を通すという努力を百パーセントしていただきたいというふうに考えるのでございます。私たちは団体法のような権力的な色彩を持つもの、特にこの団体法が現在の国会に提案される過程におきまして、次官会議においても、大蔵次官なりあるいは農林次官なり政府内においても意見の不統一があったものを閣議において通し、そうして国会においてこれを多数の力で押し切っていこうというようなことをなさるならば、これは国民の議会政治に対する不信を招くことになるのではないだろうか。保守党の自民党の諸先生方におかれても、先ほど申し上げましたように、イギリスなりあるいは西欧諸国の福祉国家がどのようにして作られて参ったかというようなことを私は一つ十分お考えいただきたいというふうに考えるのでございます。最近私たち消費者といたしましては、政府の一千億減税ということによって、国民はその新聞を見て非常に喜んでおったのでございますが、すぐ四月一日から鉄道運賃だとか、電気料金だとか、あるいはまた私鉄の貨物の運賃が引き上げられた。そうしてまたこの団体法が通りまして、家庭の主婦の買いものだとかいろいろの面においてさらに日用品の物価が上ってくるということになりますと、せっかくの一千億の減税も何の効果もない。そうして国民は再び統制時代の暗い気分で生活をしなくちゃならなくなるのではないだろうか。そのような意味において、この団体法というものは決して多くの零細な中小企業者を救うものでもないし、結局これは消費者、勤労者にいろいろの矛盾をしわ寄せして、大資本中心企業の系列化を進めて、そうしてそれにつながるところの一部の中小企業の上層部の方はこれで救われるかもわからないけれども、多くの零細業者、消費者は、これによって決して救われることはない、そのような意味において、現在政府から提案されておりますところの中小企業団体法案には私たちたとしは絶対反対である。私たちはこのために昨年の暮れから全国消費者団体連絡会というものを作ってやって参って、すでに全国に十三の組織がわずかの間に結成された、このことだけ見ても、全国の消費者が、この団体法がどのように消費者の生活を圧迫するものであるかということを身をもって感じているのではないだろうかというふうに私たちは考えますので、国会の御審議におかれましても、この消費者立場を十分お考えいただきたい。消費者の生活を高めていくことが結局現在の日本において——これは議会の先生方も全部消費者なんでございますが、消費者の生活をどのようにして高めるかということでいろいろのことをお考えいただきたいということを申し上げまして、私の意見といたしたいと思います。
  8. 福田篤泰

    福田委員長 次に城戸参考人にお願いいたします。
  9. 城戸久

    城戸参考人 私ただいま御紹介いただきました城戸でございます。  従来中小企業対策は必ずしも十分ではなかったのでございますが、今国会ほど中小企業問題が真剣に取り上げられましたことはなかったように思います。その点、本委員会の御努力に対しまして深甚の敬意を払うものでございます。  お尋ねをいただきました中小企業団体法案並びに中小企業組織法案その他について卑見を申し述べる機会を与えられましたことにつきましても深く感謝する次第でございます。  わが国の中小企業は、業種の多様性と従業員の多数とで世界にも例を見ないのでありますが、なかんずく大企業からのしわ寄せと内部における過当競争との板ばさみにあって、慢性的栄養失調症状を呈しつつあることは周知の通りであります。しかもわが国民経済上占める役割の重大なることもここに多言を要しないのであります。従ってこれが安定とその育成は、国民経済上喫緊の要務でありますが、中小企業現状の認織に立つ限りにおきまして、単に税制、金融上の措置のみをもってしては不十分であります。多数にして弱小な中小企業の団結をはかり、自主的調整を行うことによって過当競争をなくし、かつ大企業と対等の立場に立って話し合いまたは取引を可能にせしめる必要があると思うのでございます。かくてこそ真に公正な取引の確保が可能となると考えるのでございます。  現行法におきましては、御承知の通り、中小企業等協同組合法による事業協同組合中小企業安定法による調整組合が認められておりますが、前者は相互扶助の精神による協同事業を行い、事業の合理化を目的とするものであり、後者は工業部門の一部にのみ事業の安定を目的として適用されるものであります。従って、これらの制度のみによっては中小企業者の自主的調整は不可能であります。それゆえ、今回の中小企業団体法案に多数の業界が翕然として賛意を表してきたのはゆえなしとはしないのであります。実に団体法の提案は業界をして団結の必要性に目ざめしめた契機砂なしているというも過言ではないと考えます。現に私ども承知しているのみでも、全国各地で一千余名の方が賛成を表してきておられます。またすでに国会に提出団体法制定に関する請願者も千六百二十五通に及んでおります。  かくのごとく、団体法案は今や中小企業界大多数の要望であり、われわれとしては、政府案に多少の不満はありますが、ぜひともこの業界盛り上りの時期に、すなわち、本国会で通過成立を見るよう御審議のほどを切望いたす次第であります。  特に内容につきましては、加入命令制度と組合交渉権の付与の二点がこの法案の基柱でありますので、これが実現を切望するものであります。第一に、加入命令制度につきましては、憲法違反なりとする議論と、員外規制命令があるから不要だという議論と、独禁法の趣旨に反するとの三つの批判があるようでありますが、憲法論につきましては、中小企業の実情にかんがみ、公共の福祉のために結社の自由を制限するもので違憲ではないと考えております。また、不要論につきましては、員外規制命令によるよりも中小企業者たる員外者を組合加入させ、自主的に調整事業を行わせる方が民主的であり、同時に、適時適切な調整ができ、商取引などの場合実情に適すると考えます。ことに輸出産業の面におきましては、少数の員外者の抜けがけの競争の規制が、従来の調整命令のみでは調整の時期を失して・そのためバイヤーなどの買いたたきを招き、極度の出血輸出に陥っている例が多く、年年獲得すべき貴重な外貨を失って、国家的に見ても非常な損失を招いているので、この際、輸出産業業界の自主的な規律の確立が必要とされているのであります。  次に、独禁法との関係についてでありますが、団体法案では公正取引まで制限することは考えていないと思います。中小企業者がばらばらで大企業その他との取引上不当な圧迫を受ける場合も多いので、中小企業者組合によって一本化することにより、初めて対等の立場で取引ができることになります。これでこそ真に公正な取引が維持されることになり、従って独禁法の趣旨には反するものではないと考えております。  第二に、組合交渉につきましては、団結せる中小企業が一体となって大企業等と対等に話し合うことにより、取引の適正を期することは最低限のみずからを守る方法であり、団体法案に示される程度のことはぜひとも認められるべきであると思います。さらに、これと関連して、組合交渉の相手方に応諾の義務を課したり、政府勧告を行うなどという規定でありますとか、加入命令制度などというものは、現在の経済秩序を混乱に陥れ、大企業中小企業との協力関係を破壊し、技術の向上生産性の高揚を後退させるおそれがあるという御意見もあるようであります。しかしながら、中小企業立場というものはきわめて弱いのでありますからすなおに交渉に応じていただけない場合などについて、この程度の保護規定を設けることはこの際必要だと考えるものであります。なお、中小企業が団結して組合交渉を行いますのは、対等の立場で話し合って、円滑な取引慣行を樹立するためのものでありますから、大企業の側が現に弱肉強食的態度をおとりになっていない以上、その協力関係が破壊されるということはあり得ないことであると思います。また技術の向上生産性の高揚が現在中小企業におきましてきわめて低いといわれますのは、これがばらばら過当競争に明け暮れしておるからでありまして、そのゆえにこそ中小企業の団体強化が必要であると存ずる次第であります。  次に、社会党提出中小企業組織法案中小企業産業分野確保に関する法律案及び商業調整法案の提案趣旨によりますと、特に商業、サービス業等の調整事業に関しましては、組織法案以外で御考慮になっているように見受けるのであります。それもけっこうではありますが、今まで申し上げましたように、この部面にもぜひ商工業組合の設立をお認めになって、業界の要望にこたえられるよう御配慮をお願いしたいと存じます。また加入命令制度についても、同様今まで申し上げましたように、業界の安定確保のためにぜひとも必要でありますので、これを認められるよう御配慮をお願いいたしたいのであります。  最後に、中小企業の団結は消費物価のつり上げを惹起し、消費者大衆にはなはだしい不利益をもたらすとの理由で反対される向きもありますが、団体法案によれば、価格や料金の調整は他のあらゆる調整措置を行なってもなおかつ不安定な事態の克服が不可能な場合に限られており、しかも、聴聞会や中小企業安定審議会等十分第三者の意見を聞くなど、容易に実施されないように認可が厳重になっておるようであり、特に小売業者の価格協定のごときは、生活協同組合とか百貨店などの競争相手も存在するし、売価のつり上げなど消費者立場を無視するような価格の協定は軽々しく行えるものではないと考えるのであります。  以上をもちまして私の参考人としての意見の発表を終わります。
  10. 福田篤泰

    福田委員長 以上で石田古藤中林城戸、各参考人の御意見の開陳は終りました。以上の各参考人に対する質疑を行います。西村直己君。
  11. 西村直己

    ○西村(直)委員 経団連の代表の方の大企業中心にしました御意見を一応お聞きしまして私が心配いたしますのは、組織化ということ自体については別に御異論がない。問題は、内容とかそれの運営とか措置とか、この点は確かに一部私どもについても考えなければならぬ点はあろうと思います。そうするとあなたの方では、中小企業組織化について、もちろん大企業である以上は——しかし日本であれだけ大きな分野を持っておる中小企業との関連なくしては大企業そのものもうまくいかないというのが日本経済の実情からはっきりしていると思います。何かそれにかわるべきお考えを御研究なり持っていらっしゃるか、この点についてお述べ願いたい。言いかえれば、この案はいけないという場合には建設的な意見を承わりたいのでございます。
  12. 古藤利久三

    古藤参考人 ただいまお尋ねのございました中小企業組織化が必要だという問題につきましては、経団連としましても十分その意義は認めておるわけでございますが、具体的なその方法という問題について、先ほども申し上げたように、この法案にございます強制加入の形とか組合交渉についての応諾義務的な規定、こういうものは必要はないじゃないか。そういうものがなくても中小企業組織化は一歩前進させ得るのじゃないかというような考えでありまして、具体的にどうというふうな案ということになりますと目下検討中でございまして、結論はまだ出ておりませんが、組織化については皆さんもちろん賛成でございます。
  13. 西村直己

    ○西村(直)委員 あなた方は参考人であり、政府や御提案者でありませんからあえて討論はいたしませんが、問題は、今日長い間中小企業組織による強化、そこで安定法あるいは協同組合法等がありますが、任意組合である。そこに非常に弱体性がある。そこで加入強制等の問題も出て参ったと思うのでございます。私の方から希望申し上げるのは、大企業にかわって御意見を出される立場方々も関経連の御意見も私どもは伺いましたが、建設的に、どうしたらいいかという御意見をもっともっと突っ込んでお述べいただく、と言っては失礼ですが、いただかないと、結局やめろということになってしまったり、あるいは慎重審議であるからこのままずっと延ばせという結論に私はきょうの御意見ですと拝聴しました。それでは何もできないということになってしまうおそれがあると考えます。  次にもう一つわれわれが申し上げておきたいのは、社会党的なお立場で生協の中林さんが申されましたが、この強制加入という問題がありますが、われわれの方はあくまでもまずそのプールの中に入っていただいて自己調整をやろうという考えからスタートを切っておるのであります。そこで中林さんにお伺いしたいのでありますが、社会党組織法案は全面賛成だ、こうおっしゃった。しかし率直に申すと、社会党組織法案は価格調整などをまつ先に取っ組んでいくのです。これは消費者の利益に一番響くところです。政府の方の案は、あらゆる設備制限なり生産制限なりいろいろな前段の手を打って、やれない場合に、しかもなおそれと同列に最後に価格協定に入る。こういう点からむしろ消費者の利益が社会党案より政府案の方が守られている。この点についてお調べをいただいてきたかどうか、この点もお考え願いたいと思うのであります。
  14. 中林貞男

    中林参考人 今の西村先生のお問いでございますが、私たちは社会党の案も読んでみました。社会党の案についてもこまかな点でいけば、私たちはもう少し研究をしたらどうだろうと思う点も発見しています。しかしながら今のような点については、法律の立て方なりいろいろな点において社会党組織法の方は根本的に自主性をとうとんでいる。政府団体法は、いろいろの過程を経ることになっておりますけれども、結局権力的な、法律の力で、時の政府の力でいろいろなことをやっていこうというふうになっている点において根本的に違っている。私たちも市価ということを考えるについても、商人の方たちと話し合いをしてやっていくということについては異存はないのでありますが、強制的なものでやるということに反対なんであり、市価というものについても、私たちは消費者がやはり中心になって市価をきめていかなくちゃならないと思う。流通機構の面においては消費者の発言権をもっと強めていかなければ流通機構はよくならないという考え方に私たちは立っております。
  15. 西村直己

    ○西村(直)委員 もう一つ中林さんにお伺いいたしますが、社会党組織法の二十七条のたしか第二項に、価格調整はあらゆる方法をとってその後においてやる。消費者の利益を守る条文でございます。これをわざわざ印刷までしてきたが、提案のときには削るといって、われわれもそれはよくわかるのでございますが、落しておる。言いかえれば消費者に直結する部分を一緒にやろうというような形を取っておる。それはこまかい条文ですからいいです。それはそれとしまして、もう一つ中林さんに申し上げておきたいのは、社会党さんの方も研究過程においては加入強制というものはだいぶ前にはあった。承わるところによると、途中において各方面の政治的な圧力等によってこれを引っ込めた経緯があるのです。これを御存じでございましょうか。
  16. 中林貞男

    中林参考人 これはどの政府の場合でもどの政党の場合でも、お作りになる過程においていろいろな方の御意見をお聞きになって、できるだけよいものにしていく。社会党においても圧力とかどうとかいうことではなくて、国民の意見を率直に社会党ではお聞きになっていろいろの点を直してお出しになったのだというふうに私たちは理解しております。
  17. 西村直己

    ○西村(直)委員 それから城戸さんにこの機会に伺いたいのですが、加入強制の問題は確かに公取でも御意見があることは、われわれこの席でも承わりました。そこで長い間この主張を続けられておる立場から加入強制に対する御意見をいま少しはっきりお述べいただきたいと思います。
  18. 城戸久

    城戸参考人 中小企業者が今日まで非常に不遇な立場に置かれておる大きな原因は、中小企業者がばらばらであるということにあるのでございまして、そういう点においてこのしわ寄せを一応はねのけようというためには、どうしても業者が一致団結してこれに当らなければならない。これはまずい例とは思いますが、たとえば電設工事などの問題につきまして、やみ屋と申しますか——正式に電発会社に届けておる人は税金その他を取られます。またいろいろな面においても公明正大にやっておるのでございますが、ペンチと簡単なハンマーくらいを持って工事をやっておるような人は、一人でぶらぶらして、届けもしておりませんし、そういう人はまた値段を非常に安くできるわけです。と申し上げますのは、税金も納めませんし、それから自分一人でありますし、そういう点で値段も安くしている場合もございます。そういう方がおるために正当に仕事をしておる人が非常に苦しい立場に追い込まれるというような点におきまして、そういうアウトサイダーでやみをやっておるような人のために、その業界が危殆に陥るというような場合には、そういう方もぜひその組合の中に入っていただきまして、そうして一緒にやっていただく、そのためにはどうしてもそういう事態に陥っておる場合にはぜひ強制加入をさしてもらいたいということなのです。
  19. 福田篤泰

    福田委員長 片島港君。
  20. 片島港

    ○片島委員 石田さんはその立場上非常に純粋にこの中小企業の問題を考えておられると思うのであります。従って私は御意見にありました点について一、二お尋ねしたいと思います。  中小企業組織化するということは非常に重要であった、そうして組織化するだけについては大企業の方、すなわちこの団体法案なり組織法案反対しておる人でも、組織をするということだけには反対はない、こういうことをおっしゃられたのであります。それはその通りだろうと思うのであります。中小企業をただ組織して何もしないでおれば、これはだれも反対をするものはないのです。これは当りまえなのです。組織化するだけでは意味がないので、それから先が問題である。すなわちその次はどうなるかということ、団体法でいうと組合交渉でありますが、この組合交渉が非常に弱ければ弱いほど、また反対が弱いのであります。交渉の成果が大きければ大きいほど大企業反対は大きくなってくると思うのであります。それで石田さんは大企業もこの程度のことには心配は要らないと思うとおっしゃられたが、大企業心配することのないような組合交渉なり組織化だけで、中小企業というものが救われるかどうか、これは今まで大企業犠牲になっていたということを石田さんはおっしゃっておられる。今までの大企業犠牲になっていたということを是認するならば、それを脱却するために中小企業団体法というものが作られて、それが大企業心配は要らないという程度のものであるならば、これは何も中小企業が救われることにならないと思うのでありますが、この二つの矛盾した考えについて一つ石田さんから御見解を承わりたい。
  21. 石田謙一郎

    石田参考人 お尋ねの点でございますが、まさしくその通りでありまして、組織をするだけでは全く無意味であろうと思うのであります。しかしお尋ねの一点でありまするところの大企業犠牲になったという問題についてはひとり私だけではなく、四月五日の議事録を拝見いたしますと、これは自民党社会党委員諸君も申されておるのでありまして、私だけの考え方ではない、このように御返事を申し上げたいと思うのです。そして私どもといたしましては、先ほどもちょっと申し上げました通り、組織化だけではだめである、組織をするという前提のもとに、組織されたあとにおいて、われわれはその組織を十分生かしながら大企業と話し合いをしていかなければならぬ、これは当然のことでありそうあるべき姿であると思うのであります。しかしながらお話のように大企業に対してそのような交渉でもって果たして効果があるかというお話でございまするが、それを効果あるようにするかしないかは、その組織されたところの組合員の力じゃないか、今日まではその組織さえも許されておらぬのであります。農民諸君はすでに大きな組織を持っておる、勤労者諸君も大きな組織を持っておる。ただひとり許されないのは中小企業者だけであります。ただしお話のように自由な意思による組織はまさしく許されております。しかしながら今日まで勤労者諸君の組織といえども、やはり大きな庇護の中に伸びたのじゃないかと私は思うのです。たとえば、これは大へんおしかりを受けるかと思うのでありますが、各国の例におきまして、労働組合員組合費企業者あるいは政府が引くというようなことはないだろうと思うのです。しかしながらこれも日本の戦後の現状においてはやむを得なかったのじゃないかと私は一応是認しておるものでありまするが、同様に今回の組織法におきましても、今日までしいたげられたところの中小企業者、それがなんとかそれを打開するためには、この団体法案に盛られた程度のことはお許しをいただきたい、お答えになるかどうかわかりませんがかように私は考えております。
  22. 片島港

    ○片島委員 私の質問と少し答弁が合いませんでした。と申しますのは、大企業はこの程度のことは心配は要らぬという御発言がございましたが、大企業が危惧の念を抱けば抱くほど、それだけの大きな組合の力というものが発揮されなければならぬと考える。そうすれば大企業というものが心配が要らぬ程度でなくして、大企業心配でたまらないような程度にまで、強く組合の力を活動させれば活動させるほど、中小企業組織というものはそれだけ効果を上げたということはお認めになりますか。
  23. 石田謙一郎

    石田参考人 私はやはり順序があると思うのでありまして、お話のように組織された力が強く、大企業に対して非常な打撃を与えるような場合も、将来においてはあるいはあるのじゃないか、今日の労働組合の諸君がいろいろと組織を強められてその効果を上げられておられるようでありまするが、私はこの打撃が大きければ大きいほど中小企業者組織も強化され、また中小企業者のためにもなるということについては、やはり時期の問題じゃないか、私が先ほど申し上げましたことは大企業に対して憂えるに足らないということを申し上げたのじゃなくて、ただ皆さんがすでに今日の安定法その他において一応中小企業に許されておる点を成文化したにすぎないのじゃないか。だからその場合において私は今まで許されておったことなので、ただ事新しく成文化されたために心配になっておるのじゃないかというふうに申し上げたわけです。なおこの交渉によって当然大企業皆さん、それはすべてではないと思うのでありますが、現在まで自民党皆さん社会党皆さん原料高製品安という御指摘をされておるのでありまして——これは私でなくて議事録に書いてあるのでありますが、そういうふうな御指摘をされておりまする点で、大企業にお譲りいただくだけのことが徐々に実行されるのじゃないか、これは一ぺんにはむずかしいと私は思うのであります。しかしながら徐々にそのようなことが招来し得るのじゃなかろうか、私はかように考えております。
  24. 片島港

    ○片島委員 それでは少し観点を変えましてもう一点だけお尋ねいたしますが、古藤さんのお話の中で、また私はけさの新聞を見まして、経団連の声明でありますか、陳情のことが新聞に載っておりました。すなわち中小企業団体法についての経団連の考えでございましたが、また古藤さんのお話の中でも、今まで優良なる協力関係にあった中小企業との間を分けてみぞを作る、そういうことになるならば・協力関係というものがなくなる。そういうことになるならば今まで中小企業にやらしておった仕事まで、自分のところで取り上げて、自分の仕事でやるようになれば、中小企業振興でなくて、中小企業はかえって非常に苦しくなるであろうというようなことを今言われたのでありますが、新聞にも載っております。そこで私たちの見解としてそういうこともあり得るであろうと思いましたので、実は産業分野確保に関する法律というのを別に出しております。すなわち大企業中小企業とがそのようなことがないように、中小企業中小企業だけでも存立していけるために中小企業産業分野確保に関する法律というものを作っておる。組織するだけ、団体を作るだけでは効果が少いのであって、産業分野確保あるいは小売と卸売との調整といったあらゆる面を総合して中小企業対策を立てなければならぬと思うのであります。石田さんは特に中小企業の代表的な立場におられるのでありますが、古藤さんも言われたように対立して、中小企業の仕事まで取り上げるかもしれぬぞというような事態の中においては、むしろ中小企業に対しての産業分野確保してもらうということは、この法律案と合して非常に必要だと思うのでありますが、あなたの御見解はいかがでありますか。
  25. 石田謙一郎

    石田参考人 これは非常にむずかしい問題でありまして、お話のように、産業分野の確立ということはやはり一つ方法ではあろうと思うのでありますが、中小企業必ずしもいつまでも中小企業でもございません。また大企業必ずしも永久に大企業でもないと思うのでありまして、この問題については、はっきり申し上げますと、いろいろ見解の相違になってくるのじゃないかと私は考えるものであります。でありますから大企業側を代表される古藤さんが先ほど言われたところの、こういう法律ができるならばそのようなことになるであろうという問題については、私はそのようなことはない、そして大企業の方はもっと大きな襟度のもとにこの法律に臨まれたい、と要望をしておきたいと考えるわけであります。
  26. 片島港

    ○片島委員 私がお尋ねいたしましたのは、そういうことを希望するとおっしゃいますが、大企業の方はこういうふうに世論が沸いてきましたから再検討願いたいとか、継続審議とか言われておりますが、実際は御反対なんです。先ほど中林さんからの話にありました百貨店あたりでも大メーカーの製品の展示会みたいにして出しておられるし、銀座あたりでもサービス店が大メーカーからきておるという状態になっておるのです。それは現在のように大企業中小企業の方に進出をしてくることは可能であり、そのためにそういう上からの圧迫にたえかねて団結しようというわけでありますから、団結しようというならば、上からの圧迫が断ち切れるような方法でなければならぬと思う。それによって非常に困ってくる人がおるわけであります。そうすれば、なかなか困難でありますが、大企業中小企業の分野へ入ってこないような法的措置を、絶対的なことはできませんが、可能な限り講じておくということは必要だとはお考えになりませんか。
  27. 石田謙一郎

    石田参考人 本日の中林さんなり古藤さんなりのお話を伺っておりまして、ますます中小企業は一日も早く組織されなければならぬと私は思うのであります。そして同時に御意見にありますように、やはり大企業中小企業者の中で——あえて申し上げたのですが、押し込んでくるようなことについては、やはり近い将来においていろいろな方法によってそういうことにならないように考えなければならぬ時期がくるであろう、かように思っております。
  28. 福田篤泰

    福田委員長 首藤新八君。
  29. 首藤新八

    ○首藤委員 私はまず中林参考人にお尋ねいたしたい。先ほど中林参考人の御意見を承わっておると、政府提案団体法をよく検討された上の御意見であるかどうかという点に私は非常な疑問を持つものであります。なぜかならば、中林さんの所論の要旨は、この立法は当事者の立場を無視するものである、あるいは国家権力を乱用するものである、かようなことに重点を置かれているようでありますが、立法の内容をごらんになるならば、この立法は何を目的としておるかということがはっきりしておると思うのであります。すなわちこの立法は不況克服を原則としております。不況でないものはこの立法には関係がないのであります。業者がお互いに無謀な競争をするところのよって来たった事情は、これは多岐であり、いろいろありますが、とにもかくにも、結果的には不当な競争をやっていく、共倒れをする、このことは全国の銀行集会所における手形交換の面を見れば、毎日いかに全国で不渡り小切手、不渡り手形が出ておるか、そしてその不渡り手形なり小切手の発行者は全部中小企業であると断言しても差しつかえないほどにはっきりいたしておるのであります。従ってこの現状を放任しておきますと、業界の者が共倒れをするのみならず、これはひいて関連産業にも大きな影響を及ぼし、次から次へと経済関連性を持つておるのであります。従って究極においては日本経済の進展に非常な悪影響を及ぼす。大きく言えば日本経済がこれによって混乱しないとも保証できないような事態も起すおそれがある。従って私たちは国の経済をできるだけ正常にして、健全な経済情勢を作っていきたい。これがためにはかような状況は放任できない。何かここでさような禍根を払拭して、一歩でも二歩でも健全な正常な経済情勢を作っていかなければならぬ、これがこの立法の根本趣旨であります。ただ強制加入あるいは団体交渉をつけたのは、すでに二十七年に現在の安定法が適用されて五カ年実施してきましたが、その実施の経過を慎重に検討いたしますと、どうももう一つ効果が上らない。やはり競争が相当激甚に行われて、所期の目的を達していない。どこに欠陥があるかを調査した結果、究極において自由加入、自由脱退、そしてこの規制命令だけでは効果がないということから、義務加入の制度を新たに加える必要があり、もう一つは、いわゆる競争が激甚でありますがゆえに、常にバイヤーズ・マーケット、いわゆる買手市場であります。そうして市場の常識的なルールというものが長い間伝統的に行われておるにもかかわらず、バイヤーズ・マーケットなるがゆえに、この正常なルールが乱れて、そうして売り方の方に非常に不利な条件を押しつけられておる。これがまた販売業者あるいは生産家の経営に非常な打撃を与えておりますから、ここでこの際、かような正常でない、間違った取引ルールを正常の姿に返すべきである。それは個々の力ではできにくいから、組合の団体交渉によって目的を達することがよかろうというのがこの立法の趣旨であることは、この法案をごらんになれば私はわかると思う。そこで私たちは、適正な利潤をあげている業界が、いかにこの商工組合を結成しようと申請されてもそれは許可せぬのであります。許可できないことになっておるのであります。許可する範囲は、第三者、あるいは政府あるいは審議会が調査して、なるほどこの業界は放任できぬのだ、みな過当競争のために原価を割って、そして販売しているのだ、放任しておったら倒れてしまうのだ、そして日本経済全般に大きな影響を与えるのだということがはっきりした場合においてのみこの商工組合の結成を認めるということになっておるのであります。あなたは口を開けば主婦だ主婦だ、家庭の婦人だということを非常に力強く言われているが、私たちは五円のものを三円で売る、二円で売る——誓文払いでないのだから、要するにこれらの永続性のない不自然なものを永続性のあるような健全な経営ができるような、多少でも利潤をあげて、そして経営が繁栄するような方に持っていきたい。従って今まで五円のものを三円で売っているということは私は不自然だと思う。今度は五円のものを一割とか一割五分くらいもうけさせるような方法をとるべきだ。その面においては若干値段は上らざるを得ないし、上ると思います。しかしそれはごく少数のものであって、それがために消費者階級に影響を及ぼすと私は考えていない。また同時にあるものは多少上るかもしれぬけれども、またほかの面においては下るものもたくさんある。それらを総合して計算すると、決して私は家庭生活に大きな影響はないと思うのであります。私たちはこういう方針でいっておるのであります。こういう趣旨のもとに立法いたし、そしてその適正な利潤だけは確保させなければならぬ。そうでなければ粗製乱造をやって、かえって消費者のために大きな不利を招く。やはり信用のある製品を作らせる、その前提として適正な利潤を与えるということであります。それにもかかわらず、なおかつあなたは消費者立場からかようなことはいかぬという御意向を持たれるかどうか、この点をまず一つあなたの方からお伺いしたいと思います。
  30. 中林貞男

    中林参考人 今首藤先生からお尋ねになりました御趣旨は私も十分理解しているつもりでございます。また今日手形交換所を通ずる不渡り手形なり不渡り小切手が非常に多い。そしてこれは圧倒的に中小企業者だということも私たちは十分わかっております。それでそのような中小企業者を何とかしなくちゃならない。そしてまた末端において取引のルールが、いろいろ抜けがけをするものがあったりなどして乱れている。この取引のルールを正常化させなくちゃならないということについても、私たちはその言葉としては先生のおっしゃることに同感でございます。でございますが、しかしなぜ不渡り小切手なり手形が多いのか、取引のルールが乱れている根本的な原因はどこにあるかということを、もう少し国会の立法府においては御検討願えないだろうか。その根本は先ほど私が申しましたように、やはり中小商業者なり、中小企業日本において非常に多い、この過多性をどうしてわれわれは解決するのかという問題、それからまた上の大メーカーからの小売への進出なり、あるいはその圧迫というようなものをどうして排除して中小企業者を救ってやるのかというような経済政策の根本を私たちは考えなくちゃいけない。にもかかわらず、木を見て森を見ないような形で中小企業者の問題だけを出して、これだけを解決しようとするならば、いろいろなところに矛盾がさらに拡大していく。そのような点について先ほど経団連古藤さんがおっしゃいました点から私たち見ましても、この法律の施行がどのような形で発展していくかというような面は、私たち消費者なり勤労者の立場から見ても十分考えなくちゃならない。現在ありますところの安定法なり中小企業等協同組合法でなぜ不十分なのか。安定法の趣旨が十分守られないという原因はどこにあるのかという根本的な経済の問題を十分検討せずに、ただ法律をさらに強化していくということになって参るとすれば、現在提案されておりますところの団体法がさらに守られない、私たちは団体法の通りはとうていいくわけはないというように考えておるのであります。そうすると、さらに統制を強化していかなくちゃならないというような形で、統制的な方向へ、方向へと発展していくのではないか。そういうようなことでは中小企業者は決して救われない。不渡り手形なり不渡り小切手を出さざるを得ないという中小企業者、また取引のルールが末端においてなぜ乱れているのか、これを正常化しなくちゃならない。そういうような意味において、やはり民主的な流通秩序をどうして確立するかという政策を国会において十分御検討いただくことが、より問題の根本ではないだろうか。また五円で売らなくちゃならないものを三円で売っておる、必要以上に値引きをして売るというようなことはお互いにできるだけ考えて、やはり中小企業者も適正な利潤を確保していくということをわれわれは考えなくちゃならない。ところが、中小企業者なり零細な商人になぜ適正な利潤が確保されないかという根本の問題は、法律によって救われないものだし、やはり先ほどのような根本的な問題、零細な小売商人が家族労働の犠牲とか、食うや食わずでやらざるを得ないという点を考えて、私たちはやはりメスを入れていかなくちゃならない。この公正な市価については異存がないのですが、公正な市価なり物価というものはどうして決定されていくかというようなことについて、もう少し国会においても御配慮を願えないだろうか。せんだっても新聞に出ておりましたが、ふろ代金の値上げなどについて、主婦連合会一つ一つ調べますと、ふろ代金はこれで十分やっていけるというにもかかわらず、やはりふろ屋さんは、一斉に値を上げなくちゃならないというようなこと、やはりいろいろ協定価格というようなものを通じて、必要以上に物価がつり上げられてきたということをお互いの身をもって、日常の生活を通じて、一般の家庭の主婦なり勤労者は体験しているわけですが、一般の勤労者なり家庭の主婦の苦労というものを国会の先生方においては十分お考えいただいて、そうして立法をお考えいただきたいというふうに考えるのでございます。先生のおっしゃいました不況の克服とか、あるいはルールの確立というようなことについては私も決して異存がないのであって、それに反対だからこの法律に反対しているということでは決してないということを私は申し上げておきたいと思います。
  31. 首藤新八

    ○首藤委員 次にお伺いいたしますが、同業者の数が多過ぎる、あるいは企業家の数が適正を欠いて多過ぎることにさような不当競争の原因があるという御意見、これは私もある程度同調いたします。要するに、消費者の適正な消費量を越えた生産あるいは販売が行われておる、これは一つの原因であることには間違いありません。ただしかしながら、だからといってそれならばそれを適正に、企業の数を押えあるいは商業者の数を押える、そういうことができるのでありますか。今の憲法の基本は営業の自由であり、そうして人権を強力に尊重する建前になっておる。それが現在の憲法であります。この憲法を無視してあなたの言われることができるとお考えになるかどうか。また同時に、あなたの所論を考えますと・結局適正なものだけにしてそれ以外のものは遊ばして社会福祉の面でこれを救済することがいいじゃないか、社会福祉に重点を置くべきであるというような御意向のように考えられますが、社会福祉の強力に行われた英国の現状がどういうふうになっておるか、かようなことが国家の発展上いい政策であるかどうか。あなたはそれをいいとお考えになるかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  32. 福田篤泰

    福田委員長 質問も答弁もなるべく具体的に簡単に願います。
  33. 中林貞男

    中林参考人 今首藤先生もやはり商業人口なり中小企業者が多いことが競争の一つの原因だということは認めるが、しかしそのような多いということをそのままにして私が言ったようなことをするとすれは一体その多くの商業者はどうしたらいいのかというようないろいろなことをおっしゃったのでございますが、前の自民党の総裁であり総理大臣であった石橋さんも完全雇用ということを主張しておいでになりました。私は完全雇用ができないのだったらなぜ自民党の総裁なり総理大臣は完全雇用ということを主張されておったのか、また自民党においてもやはり健康保険なり国民保険の体制ということで、国民皆保険というような政策を掲げておいでになるわけでございますが、これがただ看板だけであって実際に政府なり自民党ではやる御熱意がないのであれば私は首藤先生のような御意見も成り立つと思いますが、私はほんとうに政府なり自民党が完全雇用なり国民皆保険というようなことをお考えになっておるならば、社会保障の拡充というようなこととか完全雇用ということと相待ってこれらの問題は必ず解決されてくると思いますし、それからまた私たちはやはり経済の計画化ということを根本的に考えていかなくちゃならない。そのような点になって参りますとかなりまたいろいろな現在の資本主義経済組織をどのように改めていくのかというようなことなり、あるいは現在の予算編成についてもやはり国民の福祉ということを重点に編成されなくちゃならない、予算編成がどのようになっているかというような問題にまで触れて申し上げなければ十分なる答弁にならないかと考えます。そのような点については、私は時間の関係上、またきょうの私の立場からも申し上げる筋合いではないと思いますが、私はやはり政府がほんとうに国民の福祉を考えるという見地に立って予算編成をし、そうして社会保障なり完全雇用ということをやろうとすれば必ずできるという確信を持っております。
  34. 首藤新八

    ○首藤委員 ますます私はあなたの言われることと答えることに大きな矛盾を感ずるのであります。なぜならば、完全雇用とは何ぞや。完全雇用とはできるだけ企業体をふやしてそして就職率を高めていく、これがわが党のねらいであります。従って、完全雇用を達成するためにはできるだけ経済を拡大強化していく、そうして完全雇用の目的を完全に達していくということ以外にはないのであります。あなたのように商店を減らす、あるいは企業体を減らす、そうしてこの完全雇用をやれ、どうしてそれができるという結論を得るのでありますか。いわんや国民皆保険、これらも国民の保健を向上しようという目的であって、まるがかえであります。あなたの所論を聞くと、何でもかんでも社会福祉に重点を置いて、失業者がたくさん出てもそれを国家がまるがかえして、そうして救済したらいいじゃないかという所論のようでありますが、これに間違いありませんかどうか、もう一度お伺いしておきます。
  35. 中林貞男

    中林参考人 私は商店を減らす、あるいは失業者が幾ら出てもかまわないというようなことは決して考えておりません。私は、完全雇用ということの中においては、できるだけ大勢の人を——現在のような長時間労働で働かせるということではなくして就業時間を短縮して、そうして雇用量を増大する、あるいはまた、現在のような無計画な経済のもとにおいてはこういうことはやれない、経済の計画化というようなことの中においていろいろのことが計画的に進められていかなくちゃならない、そのような形でいきますと、国民の購買力というものはさらに飛躍的に増大してくると思う。国民の購買力の飛躍的な増大の中において私は日本の商業なり産業も栄えていくと思う。私はあくまでも国民生活の向上という見地に立って現在の生産も消費経済もいろいろのことが考えられなくちゃならないと思う。その点、現在の政府経済政策なり予算編成というものに対して、根本的な矛盾を感じ反対意見を持っておるわけでございまして、決して失業者が多くなってもいいとかあるいは商店を減らしたらいいというようなことで問題を解決しようと考えているわけではございません。
  36. 首藤新八

    ○首藤委員 営業時間の短縮、これも賛成です。従って、団体法のときに小売調整法というものを私は政府提案として出させ、それには時間の制限をぜひこれに加えておきたいという気持は持っております。しかし、これによって完全雇用が目的を達成するというようなことは大よそ考えられないことであって、またこれはこの問題にあまり関係ありませんからこれ以上触れませんけれども、ただあなたの所論が何でもかんでも自主的にやれ、立法によってこれを押えるということは不都合である、反対であるということが根本的な一つの思想の現われのように考えます。同時にまた計画経済ということを強くあなたは主張されておりますが、戦時中日本経済は強硬な計画経済であった。また現在ソ連あるいは共産圏の一環としておるところの国はほとんどが計画経済を実行いたしておる。この計画経済を実行しておるところの国の国民の生活が果して国民の要望に沿うような豊かな生活ができておるかどうか、この一点がこの問題に対してははっきりした結論を出しておると私たちは考えておるのだ。かようなことは、ことに経済は機械ではない、毎日動いておるのであります、いわんや経済は世界的に動いておるのであります。それを一つの型にはめて計画的にこれをやっていこうというようなことにあなたは見通しがありますか。
  37. 中林貞男

    中林参考人 私が先ほど申し上げたのは、労働者全体の就業時間をもっと短縮して——現在のような安い賃金で長時間労働で働かせるというようなことではなくして、もっと就業時間を少くしてそしてもっと自由な楽しい生活ができるように私たちはしていかなければならないというふうに考えるわけです。そういう面において私たちは計画経済ということを考えるのでございますが、そういう点については戦争時代の統制経済ということを私たちは考えているわけでは決してないのでございまして、やはりこのことを実施するまじめな人々の手によって計画経済というようなことを考えるわけでございまして、従って私たちは何も法律は全然要らないというようなことを考えているわけでは毛頭ないのでございまして、基本的には社会党の出しておいでになります組織法のような考え方でいけば、私たちは中小企業の問題についても組織の問題その他が十分やっていけるというふうに考えているわけでございます。
  38. 首藤新八

    ○首藤委員 労働者の生活を向上する、これは中林さんよく聞いてもらいたい。今の不況をそのまま放任しておいたらば、賃金さえも払えないような企業体がたくさんでき、商店もたくさんできる。最近の統計によると、大企業の従業員と中小企業の従業員の給与の格差はかえってますます開いてきた。そして今日は百に対して五十何ぼになっておる。これでは同じ従業員でありながら、大企業の従業員と中小企業の従業員とこのようであるということは許されない。しかしこれをできるだけベースを合せるためには、この不況を放任しておいてはますます悪くなる。そこでこれを適正な基準を与えるような制度を作って、そしてそれに関連して従業員の待遇も改善いたし、あるいは給与の面において、あるいは勤務時間の面においても漸次大企業並みに引き上げていきたい。これが立法のねらいでありますが、これでもあなたはなおかつこれに反対されますか。
  39. 中林貞男

    中林参考人 私は首藤先生のおっしゃる趣旨はわかるのでございますが、この中小企業団体法によっては首藤先生のお考えになる趣旨は絶対に達成されないというふうに私たちは考えているわけでございます。
  40. 首藤新八

    ○首藤委員 私たちはあらゆる角度から検討いたして、現在の日本経済状態では、この立法が一番最適であるという確信のもとにこれを出しておるわけです。しかし思想的にあなたの考え方と私たちの考え方には格段の開きがあるように見受けますから、これ以上やったところで議論になるから、これ以上あなたに対する質問はやめます。  古藤さんに私は一つお尋ねしたい。それは、あなたは経団連の事務局次長だそうだから経済の実態はよく御承知のはずだと考えておったのにかかわらず、先ほどあなたの御意見を承わって実はあぜんといたした。それはアウトサイダーあるいは強制加入することによって消費者あるいは輸出関係等に非常な悪影響を及ぼすおそれがあるということである。私たちは、日本経済の現状においては、輸出貿易は至上命令だと考えておるのです。従いまして今回この立法をやりましても、輸出の方にいささかでも暗影の生ずるようなことは断固押えていきたい。むしろ現在の輸出の状態は、昨年二十四億何ぼと驚くべき輸出の増進を見ました。これは日本経済のためにきわめて喜ばしいことであるけれども、しかしその内容にメスを入れてよく検討いたしますると、その中で六二%は中小企業の作った品物が入っておる。この中小企業の六二%は果して適正の利潤を得て輸出したかどうか。ここに問題があるのであります。私たちの調査の結果によりますると、驚くべきいわゆる出血輸出をしておる。従ってこの出血輸出、それで次から次へと限度のない安値競争の販売によって、かえって向うの相手国が日本の商品に対して警戒的な態度をとる。そしてそれによってむしろ輸出を阻害する。いわんや企業体は経済的にだんだん悪化していく。こういうことでは正常な輸出貿易とは言えないと思う。やはり安定した価格で輸出させたい。そして各国とも日本品に対するところの信頼の度を高め、いわゆるいい品物をできるだけ安く売らせる、こういう方向に指導していかなければならぬ。従って今のあなたの言われたような、輸出貿易に対して私たちはこれを圧迫するとかいうような懸念はごうまつもないと考えておるのでありますが、今申し上げたようなことに対して、あなたはなおかつ反対である、反対ということは、今日まで一番悪い面として指摘されておる出血販売と出血輸出をなお今後とも継続せい、そうしてまた大企業の搾取の対象として、中小企業を強化できないような現状を放任してもらいたい、こういう御趣旨であるか、その点をあなたに伺いたい。
  41. 古藤利久三

    古藤参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。あるいは私が先ほど申し上げました趣旨を多少誤解なすっているのじゃないかと思うのでございますが、私ども中小企業過当競争で安値出血輸出をしている事態があるということは十分承知しております。またこれを放置しておいていけないということもよくわかっております。従いまして中小企業が団結されまして、調整規程によってお互いにその過当競争をやめようということで努力なさる、これは最も必要なことでございまして、当然そうあるべきだと思うのでございます。ただその場合に先ほど申し上げましたのは、組合員強制加入とかあるいは団体交渉権とかいうようなものを持ち出さなければそういうことができないのかどうかという点に私どもは問題を感じておるのでございまして、そういう自由放任、過当競争そのままで自由競争をやれということは、われわれ決して考えておるわけではございません。この問題の解決の根本は、中小企業団体法というものも一つの限度がございまして、結局経済性がより高い、生産性が高い方向に中小企業を持って行くということでなければ根本問題は解決つかないのだと私どもは考えておるわけでございます。そういう意味におきまして中小企業の間において調整事業を行われ、過当競争を是正され、そして技術の向上とか発展、生産性向上に協同して努力されるというようなことは最も必要なことだとわれわれは痛感しております。ただその場合に、大企業に団体交渉をして、こういうことをやろうというふうなことを相談するとか、あるいはまた強制加入によってその事態を改善するとかいうことは、おのずから限度のある問題でございまして、むしろその点は生産性向上という方向に努力されなければ、そういう形では問題は解決できないのじゃないかというようにわれわれ感じておるわけでございます。従いましてこの法案の意図されておりますような中小企業組織化並びにその発展というふうな問題につきましては、われわれは全然異存がないわけです。ただこの団体交渉組合交渉権に対する応諾義務的な規定とかあるいは強制加入というような事項は、どうもわれわれとしては賛成できない。こういう趣旨でございますから、どうぞ……。
  42. 首藤新八

    ○首藤委員 時間がないから私はやめようと思ったのだけれども、そういう御意見であったらもう一つあなたにお尋ねをしたい。それは、この義務加入あるいは団体交渉の面を今度加えたのは、過去五カ年間実施しておる安定法の経過にかんがみて、この程度のことをしなければ目的を達成しないというやむにやまれざる実際面からこれを加えてき光ということをあなたは了承してもらわねばいかぬ。そこでこれをやりましても、決してあなた方が心配するような全面的な物価の高騰というようなことは絶対にないと私たちは確信いたしておる。また同時にこの組合交渉の場合も、先ほど申し上げた通りに、いわゆる極端なバイヤース・マーケットによって不当に取引ルールをゆがめられておる部分があるから、それを正常な、要するに常識的なルールに修正する。それは個々の力ではできぬから団体交渉でやろうということでありますから、特にこの点はしぼってあります。そしてそれをやりまするためには、幾たびかの難関を経なければそれは許可されない。しかもこの交渉するときには内容を全部所管大臣に申請いたします。それで許可を得る。しかも交渉の場合にも、それは役員だけが大体半年ぐらいを限度として相手と交渉すると極度にしぼってあるのであります。これくらいのことは私は大企業も当然認めるべきではないか。まずゆがんだことを正しく直そうということが目的であって、それ以外には一歩も出ることを許してないのであります。そのくらいのことは経団連、いわゆる大企業家の方も正しくこれを判断して、こういう中小企業を圧迫するような反対意向はむしろ控えていただくことを日本経済の正常な発展のために私は希望してやまない、こういうことを申し上げて私の質問を一応打ち切ります。
  43. 福田篤泰

    福田委員長 田中武夫君。
  44. 田中武夫

    ○田中(武)委員 きわめて簡単に御質問いたしたいと思います。まず最初に城戸参考人にお伺いいたします。あなたは先ほど中小企業の現在の苦しい状態は、大企業からのしわ寄せと中小企業相互の過当競争にある、従ってこれを救済する方法として自主的な調整を行うことが必要である、こうおっしゃったのであります。そうするならば、今皆さん意見を求めております政府提出中小企業団体法案とわが社会党提出中小企業組織法案を比べた場合に、たとえば政府提出団体法案は強制加盟とかあるいはアウトサイダーに対しては刑罰をもって臨むとか、ああいったようないわゆる法律による権力的な規制が入っておるが、社会党組織法案の方は、たとえばアウトサイダー規制にしても、いわゆる組合の自主的な調整としうことに重点が置かれておるわけです。そういう点から考えた場合に、あなたは自主的な調整、いわゆる中小企業の自主性ということから考えた場合に、団体法案よりか組織法案の方がより自主的な調整ということに重点が置かれていると思うのですが、いかがでございましょうか。
  45. 城戸久

    城戸参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。私の方の意見としては、従来安定法その他でアウトサイダー規制の問題その他についてすでに経験済みでございます。ことに中小企業者が今日までこれだけしわ寄せ等があるということは、結局中小企業者が団結がなかったから、こういうふうに現段階に至るまで、あるいは農民のごとくあるいは労働者のように恵まれた法律はなかったと思う。そういう意味において業種自体が非常に多数の希望者があって、しかも大企業その他の圧迫があり、それから同業内の過当競争があり、しかもそれによってその業界も危殆に瀕するというような場合には、ぜひ残りの方もこの中に入れるような強制加入規定があって、そしてそういう外部の不当の圧迫を排除して、組合内の過当競争を排するということによって救うためには、どうしても強制加入があってしかるべきだというふうに私は思います。   〔加藤(清)委員「労働組合や農協は   強制加入はありませんよ」と呼ぶ〕
  46. 田中武夫

    ○田中(武)委員 城戸さんの御意見ですと、中小企業みずからが、自主的な立場に立ってやることを正しいと考えておるのじゃないですか。
  47. 城戸久

    城戸参考人 そうです。
  48. 田中武夫

    ○田中(武)委員 そうするならば、やはり自主性を重んずる法律の方がより中小企業のためではないかと思うのです。あなたのおっしゃっておられるこの強制加盟といったような問題については、これは権力によって押えてくれということなんです。これは石田参考人にも少し御意見を伺いたいのですが、先ほど石田さんのおっしゃった、労働者にもあるいは農民にもまた中小企業者にも同じような法による組織に対する保護が必要である、こういう点は私同感でございます。従ってわれわれの中小企業組織法案もそういう観点から立案をせられております。しかしながら先ほど私語の中にあったように、労働組合には強制加盟の規定はございません。また石田さんは先ほど何を勘違いせられたか知りませんが、給与から組合費を引くことがどうとかいうことをおっしゃいましたが、そういう規定は法律にはございません。すべて労働組合が自主的に経営者なり相互の交渉によって、労働協約によって検討した結果としてそういうことを行なっておるわけなんです。労働組合が今日法の上において保護されておるのと同じような保護を中小企業にも与えるようにわが党の組織法案はなっておるのです。しかしながら法律によってその組織ができたからといって、中小企業みずからが団結ということを忘れたならば、これは何にもならないわけです。組合を強くするのは団結の力なんです。その点においてその弱さを強制加入あるいは刑罰によって保護を加えてもらいたいというお考えであるかどうか、お伺いいたします。
  49. 城戸久

    城戸参考人 労働組合や農協には強制加入がないということも、それから給料から差し引くということも組合委任でやっているということも承知しております。ただ中小企業の問題については、中小企業者が非常に団結が弱いということが根本になっておるわけであります。   〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕 そういう意味において中小企業者の大多数——政府案では四分の三となっておりますが、四分の三以上の中小企業者がぜひ残りの四分の一もこれに加入してもらわないと、団結の趣旨に反するので、民主的に四分の三が賛成した場合には残りの四分の一もこれに加入してもらわなければならぬ。残りの四分の一の方がアウトサイダーでおるために、いろいろできるべき問題ができなくてお互いが不遇に陥るというような問題が相当あるのではないか。たとえば団体交渉においても、これは幸いにみなが結束してやっておられるからいいのでございますが、その中にスト破りというようなものがあった場合には、そういうことは決してできない。そういうところに中小企業者の弱味があるのでございまして、強制加入は、万やむを得ない場合においてはそういう手段をも尽さなければ、中小企業に対してはいけないのではないかと考えております。
  50. 田中武夫

    ○田中(武)委員 参考人でございますから、私は御意見だけ伺えばそれでいいので、あえて討論というか議論をしようとは考えておりません。どなたかのように一々反駁はいたしません。しかし申し上げたいことは、いかに法律によってそういう規定があったにしても、中小企業みずからがみずからの立場を自覚し、みずからの団結によってみずからの組織を強めるという気持がない限り、これはどういう規定があってもできないことです。  それから城戸さんも石田さんもともに大企業からの中小企業に対する侵入というか圧迫ということを言っておられます。そうすれば、団体法案と組織法案とを比べましたときに、まず中小企業規定において組織法案の方は資本金一千万円というワクを入れており、団体法案にはそのワクがございません。従って今日オートメーション化せられた各種工場においては、従業員三百人以下でも優に大資本を擁し、大量生産をしているいわゆる大企業があるわけでございます。そういう点から考えましても、なお皆さん方のお立場の御意見から見ましても、団体法案より組織法案の方がいいという結論になるのですが、お二人はどうお考えになっておりますか。  それと同時に、本日御意見を伺う中には、あえて団体法組織法のみではございません。わが党の提出いたしております中小企業産業分野確保に関する法律というものもあります。皆さん方がおっしゃるように、大企業があえて中小企業を侵すという点において、それが中小企業の大きな今日の窮状の一大原因であるというならば、まずわが党の中小企業産業分野確保に関する法律には大賛成の意見をお述べいただきたいと思いますが、その点いかがでございますか。
  51. 城戸久

    城戸参考人 産業分野確保に関する法律それから商業調整法案等の法律につきましては、これはけっこうだと思います。その問題については一つぜひ実現させていただきたいと思います。資本金の問題は、中小企業の現段階においては従来とは相当異なってきておると思います。そういう意味においてオートメーションの問題もありましょうし、人数だけの制限ではいかない場合もあるだろうと思います。また資本金の問題だけでもいけない場合がある。そういう意味において、その業種においてよく一つ検討した上で団体法の適用を受けるように考えていただきたい。化学工業とか普通の石炭鉱業、いろいろ事業によって相当これは違うだろうと思います。その業種によって十分皆さん検討していただいた方がいいのじゃないかと考えます。資本金の問題も一応考えるべきでしょうが、やはり業種々々によって検討していただきたいと考えております。
  52. 石田謙一郎

    石田参考人 ただいまお尋ねの問題でございますが、まず資本金の問題につきましては、現状では資本金一千万円が果して妥当であるかどうか、これは相当問題があると思いまするし、ことに私ども——私は特に機械工業でありますが、機械工業では現状では大体働く人一人に百万円くらいのものが要るのが常識でございます。そういたしますと、必ずしも一千万円の範囲で資本金——これは公称でございますからいろいろ借入金その他もあるでしょうが、果して中小企業であるかどうか。それ以上はすでに大企業であるかどうかということについては、私はいろいろ問題があるのじゃないかと、このようなお答えをいたしておきたいと思います。ただ、しかし原則的には社会党の御意見のように、一千万円というのが中小企業としての常識であろう、かようにお答えいたしたいと思います。  それから社会党提出された三法案中小企業組織法案中小企業の産業一の分野の確保に関する法律案商業調整法案、これらは私ども一昨日いただき、概略拝見いたしておりますが、これらについてはいろいろ実は意見もございます。しかし私どもは現状では一応政府提案になりまする中小企業団体法案の成立を一日も早くしていただきたい。そうしてそれによって恵まれない中小企業者が少しでも早く救われるようにしていただきたいということを要望するだけで、社会党の三法案に対する批判は差し控えたいと思います。
  53. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ちょっと石田さんおかしいと思う。本日あなた方から御意見を伺うのは団体法のみではございません。しかもあなたはさっきから盛んに大企業からの中小企業の分野への進出ということを強調しておられます。ならば団体法のみにおいてこのような大企業の進出が守れるとお考えでありましょうか。しかも団体法組織法を考えた場合に、中小企業が大企業からの圧迫、進出に対して抵抗することのできる根拠となるのはどちらの方がよい確かな線を出しておるか、この点についても御意見を伺います。
  54. 石田謙一郎

    石田参考人 私どもは一応政府提案中小企業団体法案のあとにおいて中小企業に対するいろいろな助成法案あるいはこれに対するいろいろな法案が出るというふうに承知をいたしておるものでございます。これらのいろいろな問題が相互にからみ合って中小企業の育成に役に立つのじゃなかろうか。そうしてお話のございます政府提案中小企業団体法案と同時にい社会党御提案の三法案に対しても意見を述べろということでありますが、意見をすべてに必ずしも述べなければならないというように私どもは伺っておらないのでありまして、述べる述べないは一応われわれにおまかせいただいたのではないかと思うのであります。その点はそういうふうに私は拝承しております。ただ私は一応概略触れますと、社会党がこの三法案中小企業の育成に対して必要であるといってお出しになったことについては、私どもその御努力に対して敬意を払うものであることを申し上げておきます。
  55. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私は先ほど申しましたように議論はあえていたしません。しかしながらあなたは中小企業の苦しい一大原因として大企業の圧迫をあげておられる。そうするならば、中小企業産業分野に関する法律について望ましいものであるかどうか、こういうことの意見くらいは述べられると思う。同時にこの団体法のみを通してもらったらよいのだ、こういう御意見のようですが、団体法のみで中小企業がほんとうによくなるとお考えになりますか。
  56. 石田謙一郎

    石田参考人 私は決してこの団体法案のみで中小企業が救われるとは毛頭思っておらぬのであります。また、そういう見地であると同時に、中小企業団体法案がかりに実施されても、業者の自発的ないろいろな努力なくして中小企業は救われないということを考えておるものの一人でございます。そうしてお話のように現在のわれわれが大企業の圧迫のみで苦しんでおるとは思ってないのであります。しかしそれが相当な要素をなしておることは、これは否定できないだろうと思います。そして同時に、それについてはいろいろな方法がある。必ずしも社会党の言われるような産業分野確保に関する法律案のみによって救われるとも考えておりませんが、またこれによって救われないとも考えておらない。これはいろいろ考え方があるだろうと思います。その点についてはそのように考えております。
  57. 田中武夫

    ○田中(武)委員 石田さんにはこの程度にいたしておきましょう。  最後に古藤さんにお伺いをいたしたいと思うのであります。先ほどあなたは政府団体法反対意見を述べられた際に、どの点が反対かということについて、具体的に強制加入命令の点あるいは団体交渉に対する応諾義務の点等がいけないと指摘されました。そうするならばわが社会党提出組織法案においては、あなたの言われるような強制加入命令の点はございません。また団体交渉の点においても団体交渉それ自体には誠意を持って応ずるということに義務づけておりますが、いわゆる交渉内容については押しつけてはおりません。いわゆる応諾義務を与えておりません。こういう点で考えましたならば、あなたは団体法には反対であるが、組織法には賛成をされますか、いかがですか。
  58. 古藤利久三

    古藤参考人 先ほどもちょっと申し上げましたように、社会党の御提出の案の中には、なるほど官僚統制的な要素はありません。それから加入脱退の自由というようなものを認めていらっしゃる。その点は十分われわれは了解しておるわけでございます。ただ一切の問題を団体交渉ということにゆだねておられまして、この団体交渉については、価格の問題であろうと何であろうと全部団体交渉でやれるということになっておりまして、要するに交渉がうまくいかない場合は仲裁をされまして、その仲裁の決定は、すぐそれが効力を発効するということになっておりまして、その間に何らクッションがございません。従って これは労働組合の団体交渉に近いものが行われるような結果になりまして、経済秩序並びに今の流通秩序の混乱という面からいきますと、その方はむしろ政府提案より大きいのではないか。政府提案よりもむしろその点は深刻でございます。従いまして、今社会党の案に賛成かというお尋ねでございますが、賛成はできないわけでございます。ただ、さっきちょっとお話がございまして、私の方が中小企業団体法案そのものに反対だというような御発言がございましたけれども、そうではないのでございます。中小企業団体法案というふうなもののお考えが必要だということはわかっておるのですが、ただその中の強制加入規定とそれから組合交渉に対する応諾義務規定、これは少し行き過ぎじゃないか、こういう考え方でございますから。
  59. 田中武夫

    ○田中(武)委員 時間がございませんから私はこれ以上の質問はやめます。古藤さんのいわゆる大企業家の立場からの御意見はわかりました。またあえてわれわれも大企業方々がわが社会党案に賛成なさるとも考えておりません。そこで団体法のみを金科玉条と考えられて、これさえあるならば中小企業がよくなるというようなお考えを持っておられる参考人方々に一言だけ申し上げます。と申し上げますのは、先ほど来の議論の中にも申し上げましたように、われわれは労働者にも農民にも中小企業者にも同等の組織に対する立法は必要と考えております。しかしながら何と申しましてもその組織を強くするには、すなわちその組織の構成員がその立場を自覚し、団結の力によっていかなくちゃなりません。従って法律によって刑罰をもって臨む、あるいは強制加盟をもって臨むといったようなことにたよるようなことであるならば、それほど強い法律が施行せられた場合に、必ずやあなた方の組織はあなた方自体の自主制を失って、いわゆる官僚統制、一部のボスによって牛耳られることがあろうということのみを申し上げて、私の質問を終ります。
  60. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 阿左美廣治君。
  61. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 時間がありませんから、ごく簡単に御質問を申し上げます。  古藤さんにお伺いいたします。古藤さんは強制加入も団体交渉反対であるというような御意見でありますが、しからばどういうことによって現在の中小企業を健全化していくかというような御方針があるのかないのか、それをまずもってお伺いいたします。
  62. 古藤利久三

    古藤参考人 実はそういう具体的な対策につきましては別途検討中だということを先ほど申し上げましたのですが、従ってここで私どもの属しております団体の意見としてそれを申し上げるわけに参りませんけれども先ほども出ておりますような組合交渉についての応諾義務を相手方につけなければならぬというふうな問題、それから強制加入の問題というふうなものがなくても、現在の中小企業団体法案が成立しますれば中小企業の強化、組織化が一歩前進できるのだ、私どもはそう考えております。これで解決できない問題はいわゆる組織化によって解決できる問題ではございませんので、むしろ中小企業生産性向上して、そして大企業と共存できるというところに持っていくことが必要でございまして、その方面対策が十分用意されておりませんでは、団体法のワク内でいかに問題を議論しましてもそれは解決がつかないのじゃないかという考え方でございます。
  63. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 私どもも、でき得るならば強制加入とか組合交渉とかというようなことでなく、業者自体の自主性によって解決をいたしたいということを希望しておるわけでございます。しかしながら現状を見ますると、中小企業の零細業者の自主性においては解決がつかないのであります。かるがゆえに、この強制加入組合交渉というようなこともやむを得ないのでございます。そこで先ほどの御発言のうちに最も重大なる御発言があったと私了承するのでございますが、それは、もしこの法案が通りますならば、いわゆる大メーカー、大商社は自己生産に入るだろう、こういうような御発言がありました。やはりそういうふうにお考えになっておるのですか。
  64. 古藤利久三

    古藤参考人 それは現実にそういうふうに考えておるという問題でございますよりは、こういう形で問題が提起されておりまして、先ほど申し上げたような問題点を残したまま法案が成立するというようなことになりますと、大企業の面におきましてもその危惧がまだ一掃されておりません。従いまして、傾向としては、どうも中小企業で今まで下請しておったものを自家生産した方がいいのじゃないかというふうな空気が出てくるのではないかということを申し上げた次第でございます。
  65. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 私どもは今後そういう傾向になるというのではございませんで、現にそういう傾向になりつつあるのでございます。ご承知の通り大メーカーの系列に入っておりまする業種では、いずれの業種といたしましても現在相当にやり得られるのでございます。ところが零細業者で、その系列外の人々は、繊維工業にいたしますれば、糸の配給もない、また価格も高い、それで工賃をとれば売りものにならぬというようなわけで、零細業者はその事業が成り立たないのでございます。そういうような点を考えてみますと、つまり弱いものは結束し、まとまる以外にはないのでございます。そういうような観点から、どういたしましても強制加入という一つの強い組織によりまして大商社に対抗する以外には道がないと考えるのでございますが、こういうことに対しまして、どうお考えになっておりますか。
  66. 古藤利久三

    古藤参考人 今御指摘のような問題点があるとは思いますが、大企業協力関係に立っているある工場、中小企業が、非常に原料の確保その他について利便が多いということはあろうと思います。しかし今先生のおっしゃるような形でこの問題を処理いたしますと、無理に今までの育成関係とか指導関係を離れて配給するということになって参りますと、従って生産コストを上げるというような問題に波及して参りますので、結局は中小企業団体法案がそういう規定を持っているだめにコストを上げ、それから輸出の振興に対して悪影響を及ぼしてくるという問題を起しがちでございます。その点は団体法というもので解決すべきではなくて、その他の中小企業が大企業との協力関係を一そう緊密にせられて、そして生産性向上をやられるということでなければ、ただ団結されただけで問題が解決されるわけではない、私どもはそういうふうに考えているわけであります。
  67. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 これはわれわれもいろいろと中小企業対策に対しまして研究もいたして、でき得るならば、こういうような法案によって処理せずしてやっていきたいということを考えておったのですが、遺憾ながら現状においてはそういう対策がないのであります。やむを得ず今回、これは捨ておけない問題としてこの立法にかかったようなわけでありまして、やはり経団連におきましても、別に新たな方策がないといたしますれば、この法案に御賛成願いたいと思うのでございます。  次に中林さんにお伺いいたしますが、先ほどの御発言中に、物価はすべて消費者が決定するのだというような御意見がございました。確かに消費者意見を聞くということは必要かもしれませんが、物の価格というものは、これは生産者がきめるべきものであって、やはり原料とか生産経費というものを根底といたしまして価格になるということ、また商社は適正なマージンをそれによってとりまして、それが一つの適正な価格であると信ずるのでございます。一方的に消費者がきめるというようなことは成り立たないと思うのでございます。どうも中林さんの御意見は一方に偏して、消費者というような立場からのみの御意見であるというふうに承わりますが、価格の決定に対するところのお考えは、あくまでも消費者がきめるというふうにお考えになっておりますか。
  68. 中林貞男

    中林参考人 今の御質問でありますが、現在物価は消費者意見がほとんど無視されてきめられているということに一番大きな問題があるのであります。私たちは、生産者のいろいろな原料なり、あるいはその間におけるところの手数料なり、経費なり、そういうものを十分見ていかなくちゃならない、従って生産者消費者と話し合いをして物価をきめていかなくちゃならない、ところが現在は消費者なり勤労者が物価の決定に対して発言する場所が全然ない、そういうところにもつと消費者意見というものが十分入るような機構なり組織を流通過程の面において作っていかなければ、現在のような生産者の一方的な立場で、しかもそれが利潤という立場に立って物価がきめられていくというようなことではいけないというふうに考えております。
  69. 阿左美廣治

    ○阿左美委員 いや、さにあらず。やはり現在の中小企業の生産というものはこれは赤字経済でございます。ほとんど見切りに見切りをしておりまして、現在倒産者というものが続出しております。消費者というものは生産者が倒れようが倒産しようが、安く手に入ればよいということは常識だと思うのです。いかにこれは安く売りましても、消費者からいいますれば安いものでもない。結局これは過剰生産なんですから、生産が過剰してくれば物価に値はないのです。そういう点を考えますと、これは組織からかからなかったならば健全なるところの価格というものは生まれないのであります。現在はみな見切り生産です。損して消費者に渡しておりますが、これは消費者も決してありがたいとは考えておらない。どんな損をしてもどんな出血をしても、それが次から次に不自由なく消費者に渡っておるのですから、少しもありがたいとは考えておらない。やはりこれは必要以上のものを作れば値はないのです。どんな必要なものでも余り物には値はないのです。そういうような点から考えてみますと、これはどうしても生産の組織から考えなければならぬと思うのでありまして、今日消費者反対をしておるというようなことは、今まで中小業者の犠牲において赤字生産をしておって、それになれておるから、これは高くなっては困るというようなことをお考えになるかもしれないけれども、適正なる利潤はあくまでも要求して差しつかえはないのでございますが、現在は中小企業は適正なる利潤を取っておらない、見切り生産をしておる。輸出においてもそうだと思います。そういうようなことから考えてみますると、どうしても今回のある程度の調整はやむを得ない。やはり中小企業というものは弱い力を持っておるのですから、法の保護がなかったならばこれはやっていけないのです。そういうようなことをお考えいただきますればこの法案に対して反対をする理由はないと思うのです。これは満場御賛成をするのが当然と思います。(笑一声)立場々々で一方的に御意見があるから反対意見があるのでございますが、ぜひ一つこれはよく理解いたして、いずれの消費者にありましてもこれは賛成をしていただきたいと思います。  以上であります。
  70. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 この際お諮りいたします。本日午後参考人を一名追加することとし、主婦連合会会長三巻秋子君を参考人として、同君より意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 小平久雄

    ○小平(久)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際午後二時まで休憩いたします。    午後一時十四分休憩      ————◇—————    午後二時三十六分開議
  72. 福田篤泰

    福田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  午前に引き続き、中小企業団体法案中小企業組織法案中小企業産業分野確保に関する法律案及び商業調整法案の各案について参考人より御意見を承わることにいたします。  この際、参考人各位に一言申し上げますが、時間の都合上、御意見御開陳の時間はお一人おおむね十五分以内にお願いいたします。それでは内藤参考人よりお願いいたします。
  73. 内藤弥吉

    内藤参考人 ただいま御紹介にあずかりました東京都の商店街連合会内藤でございます。  今日中小企業が置かれております社会的の地位は、国家経済の上に非常に重要であるにかかわらず、いつも不安と不振と動揺と危険にさらされております現況に対しまして、政府当局並びに自民党社会党がその原因を一歩掘り下げまして、中小企業者組織化に対し御理解と御熱意を示し、中小企業団体法案及び中小企業組織法案をこの国会に上程せられましたことは、いささかおそきに失するという観がございますが、中小企業者の日ごろの渇望にこたえるものといたしまして、その御理解と御努力に対しまして深甚の敬意を表するとともに、本案がすみやかに制定せられんことを祈るものでございます。  中小企業者が、今日まで長い間その振興育成の急務を叫ばれながら、とかく大企業偏重政策の犠牲になりまして、苦難の道をたどって参りましたゆえんのものは、組織の確立のための基本法がないために、いつも実情の把握が非常に困難であったことと、業者の団結による自主的な相互扶助の欠除と育成強化の施策が貧困にならざるを得なかったことによるものと思われるのであります。現行の中小企業等協同組合法もきわめて有効の法律でございますが、その目的とするところが、中小企業の同業者が集まって、相互扶助の精神に基く共同事業を行なって、経済的地位の向上をはかるというだけで、基本的組織確立と、業界の安定、団結による地位の向上をはかるための法律でないために、施行後すでに十年を経た今日、中小企業業者の大多数の要望にこたえることができ得ぬ実情であります。ことに私ども商店街の場合を申しますと、この協組法の趣旨が、時代の進運と今日の社会情勢に沿い得ぬ面を露呈いたしまして、東京商店街連合会傘下千四百六十九の商店街団体のうち、協組組織になりまして運営をようやくいたしておるものが、わずかに五十有余でございまして、実に百分の三にしか相当しない現状でございます。これと中小企業安定法だけでは、とうてい今日の中小企業が救われるわけがないのであります。今般上程されましたところの中小企業団体法にわれわれが大いに賛意を表する理由は、協組法、商工組合制度でありまして、中小企業振興のための最も基本的な施策として、中小企業組織を充実し、団結の強化をはかり、中小企業の置かれている不当に低い地位の向上を目ざしまして、経済的諸条件の改善を促進し、自主的な事業上の需給調整をせしめ、業者全体の安定、振興をはかるという法案の根本理念というか、精神であります。私ども中小企業団体法案条項全部をうのみにいたしまして、これでもうおれたちの事足れりという満足の意を表するものではありませんが、その要旨とするものは、われわれ中小企業の多年の願望であり、要望して参ったものでありまして、これによって初めて業界の安定、振興の第一歩が力強くふみ出せるものと確信するものであります。  中小企業団体法の中で二、三一部の問題があるやに承わるのでありますが、その問題点に対し、いささか所見を開陳することをお許しを願いまするならば、第一に・調整事業で不当競争防止による価格の協定でありますが、これは工業の場合はともかく、商業者の組合、特に小売業の場合はおそらく困難であろうと存ずるのであります。なぜなれば・小売業者は常に一銭でも安く売りたいというのがその心理であります。またそれが当然の義務とさ考えられるからであります。ゆえにその経営の近代化をはかり、仕入れとサービスと能率を合理化して、コストの引き下げに苦心いたしておりますので、一部消費者の皆様が憂えるがごとき、この法案の制定によって、業者が団結の力によってそれを悪用して一斉に価格を引き上げるというがごときことは、絶対不可能であり、真に杞憂にすぎないのではないかと私は存ずるのであります。  次の問題点は、員外規制の命令及び強制加入の命令でありますが、これも組合調整事業が、員外者の事業活動のために効果を上げることができず、ために業界の安定に重大なる悪影響があり、国民経済上もこれを放置することができ得ない事態に立ち至ったときとありますが、従来の組合がとかくアウトサイダーの跳梁を押え切れず、常に不当な競争を余儀なくされて、健全な発展を阻害されて参りました実例からすれば、まことに当然の制度と思われるのであります。  その組合交渉権にいたしましても、現在の中小企業の置かれた立場から申し上げましても、あるいは国家財政の上に寄与している実情からいっても、当然かつ適切な制度と申さねばなりません。これがあって初めて、弱いわれわれ中小企業者社会的発言権が与えられ、業界の前進がもたらされるのであります。中小企業者が大資本の圧力の中に呻吟し、組織化された社会のあらゆる分野の中に孤影しょう然、日の当らない場所に追いやられ、その課せられた社会的使命の割合に、めぐまれない境遇に甘んじてきた過去を考えまするとき、今回提出せられたる団体法は、全国数百万の中小企業者に不安と不振の中から一つの突破口を与え、勇気と活路を与えるものであり、その組織化によって飛躍的な発展が期待せられるであろうと存ずるのでございます。商店街の場合は、団体法の適用によってその組織が法人化され、今までより一そう地域商業の発展の上に、かつ地方行政の上に、また消費者のよりよき伴侶として国民経済の健全なる発展に資することを確信いたしまして、この法案の制定が一日も早かれと祈り、かつその推進にわれわれは一臂の努力をいたさんとするものであります。  以上でございます。
  74. 福田篤泰

    福田委員長 次に立川参考人にお願いいたします。
  75. 立川豊

    立川参考人 私は主として繊維卸売業者の立場から、この法律案に対しまして簡単に意見を申し上げて御参考に供したいと存じます。  私ども繊維の卸売業者団体は、昭和二十七年に中小企業安定法が制定、実施されました不況時代から、今日まで約五カ年にわたって、商業者のためにこの安定法のような法律を制定していただきますよう国会方面や通産当局に強く要望して参ったのであります。幸いにいたしましてただいま国会で審議されておりまするこの法律は、ひとり工業者を対象とするばかりでなく、商業者も包含されておりますので、この法律の制定、実施につきましては大きな期待を寄せておるものでございます。  神武景気というような新熟語で産業界の好景気が伝えられておりますが、果してこの好景気は中小企業者の上にいかなる恩恵を与えたでありましょうか。確かに一部の業種の上には若干の業績改善の跡は見られまするが、これを中小企業者全体の面から見ますと、その好景気の反応は遺憾ながら見出すことができないのでございます。朝鮮事変後の不況時代、すなわち昭和二十八年、二十九年、三十年の三カ年間におきまして、繊維販売業者の倒産、破産の数は、実に一千百四十九件、債務金額四百七十五億円の巨額に達しておるのであります。これに対しまして生産業者は三百十五件、二百八億円でありまして、生産業者は販売業者に比べて、件数においては二七%、金額においては四四%の比率となりまして、不況に対しましては販売業者はいかに抵抗力が弱いかということをはっきり示しておるのでございます。生産部門が驚異的な高収益をおさめました昭和三十一年中におきまして、全国繊維卸売業者の倒産数は三百六件、金額はやや減っておりまするが、六十五億、本年の一月から三月までの間におきましても百五十件、債務金額は早くも五十五億円の倒産者が頻出しておるというような不安定のもとに経営を続けており、この倒産、破産の影響は例外なしに生産部門にはね返って、大企業者に大きな迷惑をかけておるのでございます。  われわれ卸売業者は戦後多くの年を常に生産過剰に悩み、また製品価格はおおむね大企業のメーカーが一方的に取りきめるような場合が多く、一方工業用生産資材のごときは、はなはだしい低率マージンによって販売されております。また大口売り先でありますところの百貨店等に対しましては、独禁法によって規制されております特殊指定の諸条件をみずから打ち捨てて、販売競争に狂奔しておるような実情であります。また小売店に対する手形決済の期日等につきましても、毎年長期化の傾向を示しておりまして、昭和三十年対昭和三十一年を比較してみましても、実に十数日の延長を見ておるような状態で、短かいものでも九十日、長いものにつきましては百二十日にも及んでおるような場合が多くなっておるのでございます。こうした実情では需要と供給とを勘案しての計画的な生産もできませんし、また品質の改善、規格の統一等もなかなか行われないような実情にあります。こうした営業上の弊害を防止し、経営の合理化をはかり、組織の力を活用いたしまして、企業全体の安定性を確保して、企業振興発展を期するためには、本法の制定はぜひ必要なものとして賛成をいたしている次第でございます。  本法の制定に対しまして、消費者団体等の一部から、物価や料金の値上りを理由に、反対の声も起っているようでございます。ところがもともと現行中小企業安定法においても、必要な場合は生産者の価格協定は許される定めとなっております。また独禁法第二十四条の二におきましても、再販売価格維持契約によって、化粧、医薬品、カメラ、書籍等については、協定価格がきめられておることは御承知の通りであります。しかしながら現在設立されております調整組合三十六業種の中で、価格協定を行なっておりますものは、マッチ以外にはないのであります。また先ほど申し上げました再販売価格維持契約による協定価格も、実際はほとんど守られていない現状でありまして、皆様御存じの通りでございます。  さような次第でありますから、本法によって、価格の協定が商業者にも許される道が開かれましても、法律案九条に定められた不況要件や第十九条によるきびしい条件が備わっていなくては、容易に許可されないのであり、またかりに許可されるような場合がありといたしましても、今日のような生産過剰下におきましては、商業者の価格協定が実際に実施できる公算はきわめて少く、先ほど内藤参考人のお話に全く同感でございます。  この法律案内容全体については、私どもおおむね中小企業者の要望が満たされておって適切なものと考えますが、法律条文の一、二の点について申し上げます。  まず第五条の中小企業者の定義でありますが、商業またはサービス業は常時使用する従業員の数が三十人以下の者となっておりますが、これを繊維の卸売業者の面から見ますと、はなはだしく実情に沿わないものと思います。そもそもあめ玉や三文菓子の商いをしている小売業者も、繊維や鉄鋼、石炭のようなものを取り扱います卸売業者も、一括して商業者三十人と定めますことは、あまりにも画一的であります。もっとも同条第三号におきまして、こうした不合理を是正するため、政令で定めた業種については特別な配慮がなされることになっておりますが、この場合においては、十分当該業種の実情に合致するような行政措置が必要であって、幅のある運用が行われまするよう特にお願い申し上げておきます。  繊維品の卸売業の場合は、大企業者はおおむね元卸行為を主としておりまして、中小企業者の多くはその元卸業者から供給を受けて、その系統下において中央卸または地方卸の業務を営んでいる場合が多いのでございます。従って、この両者の間には利害の対立は非常に少く、中小企業者の繁栄は直ちに大企業者の利益につながる場合が多く、両者の共同歩調なくしては、対外的な問題の解決はなかなか望めないと思います。こういう点は工業者の場合と非常に相違のあることを、特に申し上げておきたいと存じます。  なお同二十八条の組合協約と第五十五条の加入命令等に対しましては、国会内においても種々御議論が行われたようでありますが、かなり厳重な条件や手続を経なくてはならないのでありまして、こうした事例はきわめてまれに起る特異なものであるように考えられますので、この影響をあまりに誇大祝する必要はないかと考えます。  そのほか本法案については、関連大企業の中にも相当な反対がある模様でありますが、その理由をよく検討いたしますと、みなそれぞれの立場からする利害関係からの御主張でありまして、今日の日本の産業構造の中に大きなウエイトを占めているところの中小企業の、振興発展をはかるという大乗的見地からする建設的な御意見は、あまり見出せませんので、私はこれに対する反論は差し控えます。  終りに社会党御提案の中小企業組織法案でありますが、時間の余裕がなくて十分な研究も足りませんので、意見を申し上げることを差し控えますが、法案精神は全く同じでありまして、条文の一、二の点に問題があるのでありますが、本委員会審議の過程において意見の調整をされまして、少くとも本国会においてこの法案が成立いたしまするよう、両党の御協力をお願い申し上げておきます。  また中小企業産業分野確保に関する法律案及び商業調整法案については、これまたこれを検討する時間がございませんでしたが、商業調整法案精神については全く賛成でございますので、この法案の実現を将来期待しているのでございます。  最後に、中小企業団体法が一日も早く国会の審議を終えて制定実施されることをお願いいたしまして、意見の開陳を終ります。
  76. 福田篤泰

    福田委員長 次に束原参考人にお願いいたします。
  77. 束原誠三郎

    ○束原参考人 御指名によりまして、私は大多数の、声のない中小企業者の声を代弁して、団体法案に対する反対意見を申し上げます。  まず最初に申し上げたいことは、皆様のお耳には団体法案に賛成の声だけが聞え、中小企業界には反対はないかのように何ゆえなっているかということであります。実際は反対の声はたくさんある、しかるに何ゆえ反対の声が出てこないか、その実情と私の経験かち・真の中小企業者のなまの声を申し上げたいと思います。心ある中小企業者の声は、われわれにはよく聞えますが、政府や国会には届かないのであります。中小企業者は、新聞やラジオをまともに見たり聞いたりすることは、日々のいろいろの問題に追われ、できぬのが実情で、ことに法律などは読んだり判断したりなど、とてもできるところではありません。多くの真の業者は、組織法、団体法の名前も中身も知りません。また親切にこれを知らせてくれる役人も業界幹部もおりません。ひどいのは、内容も知らずに賛成している幹部や、知らせたら反対が出てまとまらないから知らせず、法律ができてから小出しに知らせてやろうというのもいます。業者の方もまた、大したこともあるまい、通ってから自分のそばへきてからよく考えよう、このような法律は通るわけがない、などという人が、多いというより大部分であります。また反対意見があっても、業界幹部の圧力をはね返して、あえて反対することは困難な実情で、その声は外に一つも出ません。一方団体屋や業界幹部は、この法律が通れば団体の運営は楽になり、組合費の値上げもでき、昼食は、そろそろそばのもりで済ましていたのがどんぶりに変っております。会議の席も、渋茶に駄菓子がコーヒーにケーキのようになってきました。笑いごとのように聞えると思いますが、ほんとうのことであります。ことにその証拠が二、三きております。去る十七日商工委員会にての総理の御答弁と、また政党間の話し合いができた等の新聞報道により、既存の町の団体では、法案の通過は時間の問題と見て急に強くなり、御参考までに持参いたしましたこの文書のごとく、私どもへの脅かしがすでに始まってきた実情でありまして、団体にお聞きになればいずれも賛成の声ばかりということは当然であります。  次に安定法の実情について申し上げます。政府や賛成の人々は、安定法では間尺に合わないからとか言われますが、安定法成立して五年、その間の業界の実情をよく御認識願いたい。タオル業界は多少よいように聞きますが、調整する前に小さい業者は組合に機械を売って廃業し、さらに調整後小さい業者は苦しくなり、大きい業者に売って廃業した業者もおります。結局残った業者が幾らかよくなったので、犠牲となられた方々はどうなさっているでしょうか。調整規程を作るにも総会で論議を尽し、一人一票により、三分の二の同意で決定とか、いろいろありがたい文句は並べてありますが、これはから念仏で、業界の総会などは集まる人も少く、組合員総数の二割内外、規定を作るにしても家主の賃貸証文と同じ既製品で、ただ読み聞かせる程度、たまたま勇気をふるって一部修正でも発言すれば、もうこのようにできているからと簡単に片づけられ、さらに論議を重ねれば、きのうの友もきょうは敵のごとく相剋と反目が現われております。二十八年安定法が成立いたし、私どもの丸編メリヤス業界は未指定でありましたが、単位組合ができないうちに全国調整組合連合会が先にでき、私どもが知らぬうちに連合会が申請して指定業種となり、設備、生産、価格、出荷等の制限、さらに集合生産方式まで行う規定連合会総会に提案されました。全国代表のうち東京代表のみが時期尚早を主張し、研究課題として残し、調整規程は実施できずに終りました。その当時業界では設備過剰の状況で、二十九年四月新増設禁止を予定して、設備台数調査を実施いたしました。さらに三十一年五月、三十二年三月と、この三年間に三回にわたる調査を行いました。調査の結果を数字で申し上げますが、実に驚くべきことがこの間に起っているのであります。第一回二十九年四月、メリヤス編立機が四千九百四台、第二回三十一年五月が六千八十二台、第三回三十二年三月が七千八百八十六台、なんと二千九百四十六台の増加であります。裁縫機ミシンは第一回が四千九百六十八台、第二回が六千五百九台、第三回三十二年三月はただいま準備中でございますので、この推定台数は七千九台、二千四十一台の増加であります。以上にてメリヤス編立機の増加は二千九百四十六台、裁縫機の増加は二千四十一台であります。これを金額に見積りますと、編立機二千九百四十六台の単価二十万円と見て五億八千九百二十万円、裁縫機二千四十一台の単価五万円と見て一億二百五万円、付帯設備費として編立機一台につき一坪半、裁縫機一台につき半坪必要で、土地は一坪五万円、建物一坪二万円と見て、編立機一台に対する土地一坪半七万五千円、建物一坪半三万円、この合計十万五千円、増加台数二千九百四十六台で、三億九百三十六万円、裁縫機一台に対する土地半坪二万五千円、建物半坪一万円、この合計三万五千円、増加台数二千四十一台で七千百四十四万円、総合計十億七千二百五万円となります。  以上は東京都のメリヤス綿はだ着を作る約八百社、従業員約四千人、全国全産業から見ますときわめて小さい企業でありますが、この一業界だけでもこのように莫大な資金を法律のために不必要に固定させるということは業界としてまた国家的にも大いなる損失と思われ、この種の事柄は全国他の業界にも起きている実情で、その額は驚くべき巨額に達することと思われます。物がなくなりますと買っておきたくなるのは人情で、その機微をとらえ、機械をふやさせておいてからスクラップと称し、パーセントをきめて供出させ、買上補助金を政府が出すということは私どもの能力では是非の判断はできませんが、かりに規制の伴う法律がなく、私ども組合に前に申し上げた十億の資金がありましたら、公庫も銀行も金を扱う機関とはすべて縁を切って楽に営業ができると思います。御列席の皆様には、たかが十億とお思いになるでしょうが、私どもの方は大へんなお金で、この金繰りを思うとぞっとします。東京都の設備近代化資金ももちろん入っていると思いますが、女房のへそくり、子供の奨学資金、知人親戚からの借入金など莫大な金利もかさみ、このような一大悲劇とむだを作り出す規制では零細企業は泣くにも泣けません。  このような実情の上に乗って、さらに団体法のごとき強力な法律ができることには反対するのが当然で、御列席の皆様も心のうちでは反対ではないでしょうか。この法律の特色はネコの目のように言い回しを変えられておりますが、私ども中小企業家から見ますと、いかように変えられましてもその中身はおそろしき法律でありまして、心配のあまり要路の方々にお伺いいたしますと、法の適用はきわめて心要の場合にとか、またむずかしい規定があるからこの法律の適用を受ける業界はきわめて少いから心配はないとか申されますが、それが全くほんとうならばこのような法律は今すぐ廃案とせられ、実情をもっと年月をかけて調査されてから出し直すわけには参りませんでしょうか。私どもはこのように希望いたします。一度出た法律は推し進める側からはきわめて必要なときの用意のお考えでも、業界の実情を御存じないからで、きわめて必要は即必要に変る危険が大であることを申し上げておきます。  この団体法に賛成できない理由の一つは物の自由なとき団体法ができても守らぬ者がほとんどではないか、政府及び団体屋さんは経済警察を復活するお考えなのでしょうか。日の丸を打ち振り、親や子を兄弟を毎日戦地に送り出し、戦いに勝つために、勝つためにといってやらせた戦時中の統制のときにさえ完全に行われたでしょうか。法律は運営面でとよく申されますが、民主的運営はまだまだ遠く、本法案が通過すれば事実上新規開業は禁止となり、のれんを分けるというような美しいこともできにくくなり、結果は現在実習中の従業員や学業を終え、社会に巣立つ青少年から独立の大いなる希望を奪うこととなり、中小企業への就職者がだんだんなくなり、人手は減り、やせ細ることは明白で、重大な問題となります。  団体法の論議は強制加入の命令にしぼられた感がありますが、私ども中小企業者は事実上やわらかい自然のうちに強制加入させられております。ということは、組合加入しておりませんと、仲間からつき合いを知らぬやつだとか、原料屋から色目で見られたり、あれはもぐりだとか申されます。私どものおそれることは、表面的な強制加入の問題ではなくて、法の規制であります。この規制の効果を上げようとするには生産制限、さらに価格の協定には規格を最小に限定し、その規格検査所の設置及び価格査定所の設置、莫大な要員と組合の事務員の増員と監察検査員の任命を初めとして、員外者への命令、強制加入、罰金、経済警察等々がそれからそれへと起ることは必至であります。  このようにして業者を縛らなければならないのか。商売をやめなければ、組合を抜けることもできない。全体の利益に名をかりて、こんな不当なことが許されていいとは断じて思えません。私どもに必要なのは、規制の伴わない話し合いの組織であり、強権によってできた組織は表面の団結で、精神的団結ではありません。精神的つながりなくしてはよい結果は生まれるものではありません。  この法律は過度競争の防止とも申されますが、法律で防止することは世にいうせん気筋で、種々多様、幾多の格差を画一的に規制することとなり、正直者ほど損をなし、弱小企業を窮地に陥れ、権力のみ世に栄える結果となることは当然であります。  最後に申し上げたいことは、過度競争は日本の国情から当然起きる現象でありまして、この防止は国民大衆の福利を基盤として内外市場の拡大、税制、金融、治山治水、賠償の解決、技術の輸出、平和的大量移民、観光事業施設等、幾多の抜本的積極施策が本筋で、これ以外になきことは、大量人口と失業者をかかえたる日本現在の国情として当然過ぎるほどに当然であると申し上げて終ります。
  78. 福田篤泰

    福田委員長 次に入江参考人にお願いいたします。
  79. 入江正治

    入江参考人 総評の入江でございます。本委員会から意見を求められております政府提出団体法案並びに社会党提出にかかる組織法案商業調整法案産業分野に関する法案、この二つの点についてわれわれの見解を明らかにしたいと思うのであります。  結論から申し上げますと、政府提出にかかる団体法案に対してはわれわれ三百万の組織を持つ総評の労働者として絶対に御反対を申し上げたい。社会党提出にかかるこの三つの法案につきましてはわれわれは支持をしたい、こういうように考えるわけであります。  以下その理由を述べてみますと、今日の中小企業の問題というのは、ただ単に団体法案の制定のみによって解決のつくものでないということは明らかでありますし、今日の中小企業の諸困難、こういう問題は大企業の圧迫があり、あるいはあげられておりますように過当競争の問題もある。しかし総合的な視野に立たない限りはそれらの問題の解決はできないと私どもは考えるわけであります。従って社会党案に賛成するのは、いわゆる中小企業者が自主的に団結をするという考え方に立つと同時に、他面において中小企業を困難にしておるいろいろな条件について具体的な施策をもってこれをあわせて行うところに、社会党立場の方が正しいと考えるのであります。私たちは中小企業に働く労働者のみじめな状態は中小企業者の御苦心よりも一そう切実なんでございます。従って、こういう観点からわれわれ労働組合といたしましても、中小企業の問題についてはなぜ今日このような中小企業の状態が出てきたか、こういうことについて中小企業者より以上と申し上げてもいいくらいにその困難を排除する点については考えて参りましたし、またわれわれはそれらの今までの戦いの経験からいいましても、やはり中小企業方々が今日大企業の圧迫に抗して何らかのこれに対する対抗策を考える、こういう気持も十分にわかるわけでありまして、そういう意味からする場合には私どもは大いに賛成なんであります。しかし午前中にも参考人から言われましたが、団結権の問題についても、中小企業皆さん方はあまりに素朴にお考えになっているように考えるのであります。それは労働組合は、今日総評、全労その他の組合がありまして、強力な組織を作っておる。しかし団体法案などに求めておるものは、労働組合に許しておる団結権以上のものを望んでおられるのであります。このことは大きな誤解でありますし、また私どもは団結ということで考えてみますと、われわれの組合皆さんの団結の原理と同じでありまして、われわれ労働者がほんとうに組合に団結しなければならない、こういう一人々々の意識が自主的に固まってこそほんとうに国会でも問題になるくらいな力になるのでありまして、今日安易にそれを法律に求めてやる場合には、中小企業の一人々々の人々が十分にそういうことを理解しないで、こういう法律によって団結をやり、その後の運営を考えてみるときに、非常に私どもはわれわれの経験からしてもはだ寒い思いがするのであります。いわゆる労働組合にも御用組合というものがあります。この中小企業組合がいわゆる大企業の御用組合的な存在にならないとは保証できない。その保証をかちとるのは、何といっても自主的に中小企業が今日置かれた立場というものを十分に腹に入れた、そういう組合意識のみがそれを決定すると思うのであります。  こういう私たちの経験からこの問題について申し上げると同時に、もう一つの点は、今日過当競争の問題が取り上げられておりますが、過当競争の原因を考えてみますと、われわれ労働者の失業の問題、同時に中小企業過当競争の仲間入りをしているのはわれわれ労働者の中から出ます。われわれ具体的にこれを申し上げますと、民間では大体五十五歳で定年になりますし、また首になったりいたしますと、遊んでいるわけにはいかないから、何らかの仕事をやらなければならない。その場合に今日の完全雇用体制のない日本の実情の中では小商売をするなり、腕に覚えのある町工場を始めるなり以外には生きる方法がないのであります。従って皆さんも御承知のように、中小企業者が倒れる。ところが新聞などでよく出ておりますが、実際は数倍も生まれる方が多い。このことが今日の中小企業過当競争をもたらしておる社会的な背景であるということをはっきり明確にしなければならないと思うのであります。このことは何を物語るかといえば、要するに、労働者がそのような今日の日本社会保障の貧困の中で、何も年が寄って働きたくないけれども働かなければならない、こういうところからやはり過当競争の仲間入りをするのであります。従って老齢年金の問題だとか、あるいは失業時における生活保障の問題、貧困生活を救うという問題を取り上げる中で、中小企業過当競争の問題もとらえていかなければならない。それが私は政治だと思うのであります。従ってそういうものに配慮をしない、さらには過当競争といいますけれども、カルテル行為によって行われるその調整というものには限界があるのであります。もう一つの問題は、やはり過当競争を公正競争たらしめようとすれば、それには今日問題になっておるところの最低賃金の問題などを真剣に考える。こういう中からでなければ、こういうような社会立法としても、あるいは中小企業の問題を社会的にとらえるにしても、社会的良心というものが政治の上に出てこないと思います。こういうことを考えて参りますと、われわれはこの中小企業組織法案あるいはそれに関連する産業分野の確立、また商業調整法案、これら三つのものが組み合わされて中小企業の困難を打開していこう、こういうことは正しいと思うのでありますが、これさえも私どもは今日の中小企業の零細な部面に立ち入って考えてみます場合に、今日中小企業者が抽象的な団結の問題よりも何を求めておるかといいますと、税金の問題などをどれだけ重荷にしておるか、こういう問題をもっと政策的に取り上げてやっていくことの方がより重要でありますし、原料高製品安に現われております今日の独占資本による独占利潤の状態は神武景気の中で明らかになっております。国民の前におおい隠すことのできない事実としてこのことがあるのであります。従ってこれらの中小企業でも、今日鉄鋼部門などに、仕事が多くなっておるがマージンが少いというのは、そこに何が原因があるかというのは、鉄鋼価格の問題がありましょう。電力の問題一つとってみましても、中小企業の払う電力料金と大企業の電力料金あるいはそれに見合う価格を考えてみます場合に、このような大きな競争条件においての差を私どもは大企業中小企業との対比において見、それを団体交渉だけに求めてもおのずから力の限界で無理があろうと思うのであります。こういう点はやはりこの機会において政府の良識によって中小企業に対するあたたかい政策で政府はこたえていくべきでないか、このように私どもは考えるわけであります。  なお中国において今日行われております公司公営のことを私も実見をして参りました。社会主義の経済といわれる中国においてすらそういう企業整備的なことは強権をもってやっておらねいようであります。これはおのずからそれに協力することによって実益の上るこういう方法によって進められておるということ。流通部門を預かる、特に商業部門などは複雑多岐であります。こういう問題についても、もっと日本の実情に合って、公式的な労働組合を見習うのだというような、ある一部の人の言い方で解決する問題でないことは——私ども中小企業安定審議会に参加して、先ほど参考人の方からお話のありましたように、これらの中におきましてのアウトサイダーの問題についてはいろいろの問題を持っておることは事実であります。しかしそれらの問題の根本的な解決をどこに求めるかといいますと、それを強制することによっては決して実現をしない。このことを私どもは戦時中においてあれだけの強権の中で行われた統制経済の中でやみ行為が公然と行われたことを考えてみますならば、これは中小企業者としても、ことに資本主義下における流通過程の問題や経済の原則から考えて、おのずからそのことはわかるし、今日こういうような法案政府の手によって出るところに独占資本がこの独禁法の精神をゆがめている。それを理由として中小企業者社会の公正な取引の原則を否定する方向へいっている。こういった方向はおそらく今日の近代国家における生産の問題と考えまして、経済の発展に逆行する行為であるということも明確にしなければならないと思うのであります。私どもはそういう立場からいろいろ意見を申し上げて参りましたが、この法律の中でも、緊急やむを得ざる場合、どうしても困ったときしかやらない。こういうようなことで、この法律を合理化しようとするお考えがあるようでありますが、私どもはいつもそういう点についてはだまされ続けてきておるのが、国民の立場として事実であります。今日憲法で明記してあるにもかかわらず、軍備がどんどん違反の中で行われておる。こういう政府にこういう権力を与えることのいかにおそろしいかということは、この法律を通じて言われる、この法律にはこういうことがあるので、こういう問題にしておるのだ、従って心配はないという中に、私どもは将来の運営の中で現われるそういう法が持っておるファッショ的な動向については特に警戒心を強めざるを得ない。私どもはからだでこういう感じを感じ取っておるということを申し上げまして私の意見とする次第であります。
  80. 福田篤泰

    福田委員長 次に間宮参考人にお願いいたします。
  81. 間宮重一郎

    ○間宮参考人 私ただいま御紹介にあずかりました間宮でございますが、私は全繊同盟と申しまして繊維産業の労働組合の役員をしております。従いまして私の意見は労働者の立場からの意見になろうかと思いますけれども、同時に私ども消費者であることは御承知の通りでございます。なお私たちは労働者・特に中小企業の労働者の立場をよくすることは、同時に中小企業の繁栄がなければできないということを考えておりますので、私たちの意見は同時に中小企業の繁栄にも通ずるのではなかろうかと自負しておる次第であります。  それではただいまより中小企業団体法案並びに中小企業組織法案中小企業産業分野確保に関する法律案及び商業調整法案について意見を申し上げたいと存じます。  最初に結論から先に申し上げますると、私どもはただいま政府から提案されております中小企業団体法を今のままで成立させられることは絶対反対をいたすものでございます。従いまして、私ども社会党から出しておられる中小企業組織法案ないしこれに関連する法案を支持する立場をとっておるのでございます。そこでもし政府の案が、私どもが考えておるような内容に変えていただくならあえて反対をするものではございません。  そこでまず最初に総括的な意見を申し上げたいと思います。わが国における中小企業の実態からいいまして、今日これが振興策について抜本的な対策を打ち立てなければならないことは異存のないところであります。およそ中小企業振興をはかる道は二つの方策があろうかと思います。その一つ中小企業の産業構造の根本にまで触れた組織としての問題であります。その二つは、これが裏打ちともいうべき資金面からする経済施策にあろうかと思うのであります。すなわち予算の裏打ちのない政策は荒唐無稽であろうと考えます。しかもこの二つを満足させなければ中小企業振興はあり得ないと考えておるものであります。すなわち、これらのことを満足させようといたしますれば、結局、中小企業社会主義経済化へ一歩踏み込んだ根本的対策を打ち立てなければ解決ができないと思うのであります。しかるにかかわらず、わが国における今日までの中小企業対策をながめてみまするに、ほとんど見るべきものがなかったのであります。組織としての法律、制度といたしましては、わずかに中小企業等協同組合法及び中小企業安定法の二つでありました。また資金面からする対策としては、その場当りでありまして、ほとんどその効果がなかったといっても過言ではないのであります。これひっきょう中小企業対策として一貫した政策がなかったからにほかならないと思うのであります。今回政府並びに日本社会党におかれましては、中小企業振興対策につきまして、それぞれ法案提出されたことは、その内容につきましてはいろいろ意見もありますが、そのこと自体ははなはだけっこうであると思うのであります。そこで、今回の政府並びに日本社会党のこれら法案を拝見いたしますに、そのいずれもがまず中小企業組織化を推進し、一定のカルテル行為を許し、団体協約の締結を促進いたしまして、これを通じまして中小企業振興をはかろうとするところに着眼されたことは、従来の中小企業等協同組合法及び中小企業安定法がほとんどその用をなしていない現状におきまして適切であろうと考えるのであります。問題はその内容にあると思うのであります。  それではこれら法案内容につきまして卑見を申し上げたいと思います。時間の関係がありますので、主として政府より提出されました中小企業団体法中心としてその要点のみについて申し上げたいと思うのでございます。  まず政府案によりますと、第一に問題になりまずのは、調整機能を放任されておりますところのいわゆる商工組合についてであります。この案によりますと業種に制限がないということでございます。従来の中小企業安定法におきましてはカルテル行為は許されておりましたが、何分適用業種が工業部門だけに限定されておりました。従いましてその影響も直接的には消費者にはあまり及ばなかったのであります。しかるに今回はそれが商業部門までに拡大されるということになりますと、よほどこれは慎重に扱ってもらわなければ弊害が生ずると思うのでございます。それにはまず業種におきましてある程度の限定が必要であろうかと思うのでございます。政府案はかような点におきまして全業種に及ぼすような仕組みになっておりますことは非常に危険性がありまして、社会党案のようにある程度制限される方が好ましいところであろうかと存ずるのでございます。  なお商工組合につきまして第二に不安に存じますのは、中小企業以外の方が加入されることであります。なるほど政府案におきましても若干の規制が行われておりますが、また要件を欠いた場合におきましては解散命令が出せることになっておりますけれども、私はこれに対しましてはなはだ不安を感ずるものでございます。中小企業者以外の方がこの商工組合の中にお入りになりますと、その数は少くありましてもその業界における勢力というものは非常なものでありまして、それはいわゆる中小企業者の比ではないのであります。もしこのような弊害が表面化して参りますならば、本案はまさに中小企業者の迫害法にすりかえられるようなおそれが多分にあると私どもは考えておるのでございます。この点日本社会党案によりますと、中小企業者以外の者の加入につきましては総会、または創立総会の議決を経なければならないということになっておりますが、私はまだこれでも不十分ではなかろうかと実は危惧しているくらいでございまして、でき得るならばこれらの加入あるいは除名につきましては、これらのものの議決権を、議決権平等の原則から特例を設けてもらう方がいいのではないかとすら考えているのでございます。  次に商工組合につきまして第三に不安に感ずるものは何かといいますと、カルテル行為の行き過ぎでございます。特に販売価格の協定でございまして、再びマル公・マル協価格が出現すすることでございます。中小企業振興につきましては、私はできるだけ価格協定ということを行わない方がよいのではないかと考えております。やむを得ざる場合のみに許すべきことであろうかと考えておるのでございます。  そこで中小企業振興根本策の一つは申すまでもなく経営の合理化であると思うのであります。少くともそれがための共同行為に重点を置くべきであろうと思うのでございます。中小企業振興事業者、そしてそれに携わる労働者・そして消費者ともにその利益の調和がとれるところに初めて真の中小企業振興があろうかと存ずるのでありまして、この場合におきまして安易に価格協定ができるような法案が成立いたしましたならば、安易な道を選ぼうとするのは人情の常でございまして、非常に私は危険性があると思うのでございます。主務大臣の認可事項となっておりますけれども、これはおそらく問題にならないのではないかと思うのでございます。私はこの点価格協定のごとき一般消費者ないし零細企業者に重大な利害関係を有するものにつきましては、少くともこれを行う場合におきましては安定審議会、このようなものに諮問をしていただきまして、しかも少数組合員の異議の申立権を認めていただきたいと思うのでございます。企業の合理化もでき、そして消費者にサービスをしようとするような組合員方々の価格を無理やりに上げさせるというようなことは、これは中小企業振興策と全く相反したものであろうかと思うのでございます。  第二に重要な問題といたしましては、商工組合が行います団体交渉とその契約の効力についてでございます。本来中小企業組織を制定化し、これによりまして中小企業振興をはかるということは、これは先ほど言いましたように内面的の合理化を行うことによって行うことであります。ところがこれに対しまして大きな障害を与えるものは何といいましても大企業の圧迫でございます。これら大企業の圧迫をはねのけるために中小企業組織化する、こういうところに私は意義があるのではなかろうかと思うのでございます。実はカルテル行為の中の販売価格についての共同行為などはその次の次の策であると思うのでございます。中小企業組織化によりまして、大企業に対して団体交渉を行うということになりますと、これは政府案においても一応認めております、また昔の——今でもあります中小企業安定法にも一応認めておりますが、これでは不十分であります。団体交渉を行うからには必ずしもそれが話し合いでうまくいくとは限りません。ところが政府案によりますと、これに対して調停をかけまして勧告をするという仕組みになっておりますけれども、このようなことで話がつくものならばわけのないことでございますけれども、おそらくその場合でもつかぬことがありますといたしますならば、私はその場合は社会党の提案のように、最終的には仲裁にかけてそこで法律的な効果を持たすということがなければならないと思うのでございます。  そこでその次に問題になるのは、先ほどからも問題になりましたように、いわゆる団体交渉に応じないものをどうするかということでございます。これに対しまして強権をもって、少くとも法律で規定してかかるからには団体交渉応諾の義務をいま少し強力に課すべきであると考えておるのでございます。  その次に問願になりますのは、先ほどからも再々問題になっておりました強制加入の問題と員外規制の問題でございます。時間がございませんので端折って申し上げますが、これに対してまず日本の憲法におきまして結社の自由が認められております。結社の自由は、結社することも自由でございますし、しないことも自由であります。これを強制加入するということはとうてい許されることではないのであります。なるほど組織化をはかるということは私はできるだけ多くの方が、すべての中小企業者組織化することが望ましいのでございますけれども、しかしそれを法律で強制するということはできない相談でございます。従いまして社会党が考えておられるようにやはり任意加入の制度をとらなければいけないと思うのでございます。この点は私ども強制加入には絶対に反対でございます。また員外規制にも反対でございます。  その次に問題になりますのは、これは諮問委員会ないし行政委員会の権限でございます。私は先ほど申し上げました一部組合員の異議の申し立て等を裁定するために、行政委員会をいま少し権限を強化する必要があろうかと思うのでございます。結論から申し上げますると、やはり社会党が考えておられる程度の行政委員会にする必要があると思うのでございます。しかもこの行政委員会政府案によりますると、いわゆる学識経験者ということになっておりますけれども、ここで裁定される結果は中小企業者、それから消費者、それからそこに働いている労働者に重大な関係を及ぼすものでございますから、これにはそれぞれの団体から選ぶように具体的に法律の中に規定をしていただきたいと思うのでございます。  私まだまだ申し上げたいことはございますけれども、時間がございませんので最後に結論だけを申し上げたいと思うのでございます。  もしもこの団体法案がこのままに通りましたならば、これはゆゆしき結果になろうかと思うのでございます。中小企業者方々がこの団体法案に賛成をされている方とあるいは反対をされている方とを私はここで拝聴いたしましたが、もしも中小企業の方で政府原案に賛成をされましたならば、それがほんとうにみずから中小企業を営んでおられる場合におきましては、この法律が通ったならば自分で賛成したものによって自分が首を締められるというような結果になろうかと私は思うのでございます。どうか政府与党の方々はもちろんのこと、日本社会党におかれましても、十分この点をお互いに話し合いまして、将来の日本の産業の発展、中小企業振興一つ御努力下さらんことをお願い申し上げて私の意見を終りたいと存じます。(拍手)
  82. 福田篤泰

    福田委員長 次に三巻参考人にお願いいたします。
  83. 三巻秋子

    ○三巻参考人 招かれざる客が特に申しわけ的に呼ばれたような気がします。実は参考人を新聞で見まして、これは純消費者はボイコットされたなとひがんでいたわけなのでございますが、いざ急に発言しろと申されましても、気持の整理もできませんで、支離滅裂になるかもしれませんが、御容赦願いたいと思います。  ただいままでの意見を、いろいろと午前中から聞いておりまして、やっぱり悪い法だなということを強く感じたわけでございます。一、二の方から、建設的な意見を申せとおっしゃるのでありますが、急なことで、建設的な意見を申し上げることもできません。給料をもらって御飯を食べておる代議士諸公といたしましては、中小企業対策対策と党の方針を打ち出されていながら、今まで何一つ中小企業を救う道がなかったということで、急に憲法違反の問題すら出てきたので、あわててこの法案をお作りになったような感じがするわけでございます。  政府の本年度の予算を見ましても、政策一千億でもって投融資、経済拡大、生産拡大ということを表明していらっしゃいますが、世をあげてオートメーション化、電化でもって、製品を格安に作り、しかも消費者にたくさん買ってもらおう、そうして輸出も伸ばそうというのが、今の資本主義のあり方であろうと思うのでありますが、自由であるべき自由党がいかにも統制色はなはだしく、その反対社会党が自由色の多い今度の法案に対して、全くおもしろい対照だと思っております。主婦連合会は、今度の法案経済の原則を大きく変革するものであるということを思いまして、正常な、健全な経済の発展は、公正なる競争の上に立つべきであるという見地から、今度の、消費者の利益を侵害するようなこの法案に対しては、全面的に反対でございます。だといって、主婦連合会中小企業振興を願わないものではございません。救済する道は、一片の法律で救済することはできない。そんななまやさしいことでへ中小企業が救われるような実態ではないということを申し上げたいのでございます。失礼ながら、私たちは毎日々々町で買物をしておりますから、買物一つせずに自動車に乗ってお歩きになります代議士諸公よりは、実態をよく知っておるつもりでございます。二十三年に発足して以来、主婦連合会は業界の悪さと官庁のくされ縁には、全く悩まされ続けて参りました。今までのお話を聞いておりますと、過当競争だとか不況だとかいうことをおっしゃいますが、どこを基準にして不況と言い、過当競争と言うのか、こう言いたいのでございます。中小企業中小企業とおっしゃいますが、商人は企業ではないということを、ある経済学者はおっしゃっております。  私は中小企業を守る法律は、現在幾らでもあることを指摘したいのであります。中小企業安定法しかり、繊維臨時措置法、下請代金支払遅延等防止法、輸出入取引法等、いろいろ法がございます。その上に共済組合関係の法律百貨店法、まるで法律だらけでございまして、こういうことは、最近いわれております鉄鋼需給安定法案なども、御自分で出しながら、これはいやだといって引っ込めたような事態があるではございませんか。下請代金の方も、今では必要がないというような批判も聞いております。とかく一つの法を作りますときには、必ずかけ込みとか、目的推進のために裏をかくのが現状であるというのは、皆さん承知でありましょう。社会党は現在入会、退会は自由と申しておりますが、現行法と同じような感じがいたします。  中小企業安定審議会で、昨日も委員の中から声が出まして、最近指定業種がだんだん、だんだんとふえていくが、法の力をかりてもぐることばかりであって、正直者がばかを見るような、こういう法案に対して、一体法の効果はどうなるのか、こういうことは、経済警察でもたくさん作らなければ取締りができないのではないかと思うが、取り締っているのか、その返事を聞きたいという話がございましたが、これは昨日の議事録をごらん下さればわかると思います。それに対する会長の返答で、今後調査いたしまして、そういうことは取り締るようにいたしますということでございましたが、法は作りっぱなしという現状がまく見受けられるのであります。私も中小企業安定審議会の一人でございますが、最近行われました精麦業者の指定でございますけれども、精麦に対する問題、それからラムネ、石けん等の小幅物に対するそれぞれの業種指定並びに生産制限の法案が通りましたが、これあたりは消費の実態とマッチしない。小幅物にしても、最近売れなくなったというが、何が売れなくなったのか。どういうために消費者が買わなくなったのか。精麦であるならば、根本的に食管法を改正して、麦の価格を下げなければ売れないのですが、それが食管法にからむからといって、ただ小手先だけで業者救済の一部の法案を作ってみても、ほんとうにその通りの根本原則が変えられない以上は、これは結局消費者への値上げになるという以外にないのでございます。  指定業種の中の双眼鏡でありますが、昨日もだいぶん問題になりまして、調整会社を作って買い取り機関を作り、ここで一箇について三千百円でもって双眼鏡を買い取るというのでございますが、検査が、きびしくて強いかちいやだ、これよりも系列買いにした方が、二千九百円で売れるけれども、トンネル会社に手数料を渡して、それをかせぐだけで二万幾らの費用がとれる、というような法の無意味さでございます。調整会社が問題になっているような実情でございまして、その問に業者がふえては困るといいながら、四十一社もメーカーがふえているような事実をいかにお思いになりますか。法に従ってみても、さほど効果がないということでございます。  しかも協同組合法というような法律が現在ございますが、その協同組合の協同精神というものの自覚もなしに、法の盲点ばかりをくぐって歩いて、平素はその組合の実際的向上の相談もなく、たとえばせんだっての牛乳の値上げでございますが、メーカー側が三十銭の値上げでいいというものを、組合は一円の値上げをしておりますが、これあたり独禁法の盲点を巧みにくぐり抜けたものでございまして、私たちがこれに対して抗議を申しても無意味でございます。このような業界に対し今度の法案は、全く刃物を持たせるようなもので、大企業へ団体交渉ができるから、その利益を取ってきて消費者に返して差し上げますなんとおっしゃいますが、大企業中小企業との間は最近ことに系列化して参りまして、大きな力でぐんぐんと引っぱっていかれるものを、それにどれだけ対抗できるのか。どんなことをしても結局大企業のもうけを消費者に返されるとは思いません。このような実態のさなかに、多種多様の業種をどう調整しようとなさるのか。工業でさえこれだけ問題があるものを、商業、サービス業までこれを一本にして法をくぐらせなければならないというような今度の法案に対して、全く不可思議でなりません。  先日の国会で、共同行為をやった場合にいろいろと弊害は起きる、これに対する一議員の質問に対して大臣は、消費者立場に立って、そういうことはないと思います、ないだろうと思います、というように、徹頭徹尾、だろう、だろうでもってお逃げになりましたが、私たちは、だろうぐらいでこれを納得することはできません。だれか何を保障するのか。結局は業者が多過ぎて、物価が下るのを防ぎたいとおっしゃるのでございますが、時代の逆行もはなはだしく、パーマネントは美容学校でもって、薬剤士は学校で、年に万から業者の卵を製造しているという実情を、今後どうしていこうとなさるのでございます。  先ほどから団体交渉の問題が出ましたが、一例を申し上げますならば、とうふにおいて十円と十五円の、機械業者との争奪ができました場合に、私たちはやはり安い方がいいというわけで、それに殺到したわけでございます。この際にはこれを一本にどう調整したらいいのか、この不均衡をどう調整していこうかという解決に私たちは悩んだのでございます。そのとき農林省あたりに、ない頭をしぼりまして、団体交渉のつもりで、組合と一緒になって安い大豆のワクをちょうだいいたしたわけでございますが、その際に、条件として、十円のとうふを作りなさいという条件でございましたのにもかかわらず、商人は結局安い大豆のワクだけがほしかったので、十円の値段は今もってやらないのが実情でございます。商人は団結して商人の総評を作りたいと申しますが、組合にも第二組合があって一本ではないはずでございまして、一本でないところに公正競争が行われるのだと思います。  また料金協定ができるということの実態は一体どうなっておりますか、一例を申し上げますと、再販売価格というようないろいろな法律がありまして、一部に、安売りができないという商品がございますが、町をごらんいただきますならばわかるように、年じゅう大安売りでございます。安売りの日ばっかりをたどって参りますならば、毎日安売りの品物を買えるというような実情でございまして、薬屋あたりは幾種類かを、これは安売りできません、値引きいたしませんという張り紙を、業界が店頭に掲げておりますけれども、その隠には、消費者には値引きできなくとも、結局ケース等でリベートしておるというような状態でございまして、料金協定は決して消費者には得でないという実例が如実に現われております。ことにこの料金協定は一方的にできるものでありまして、現に問題になっておりますおふろ屋のことでありますが、ふろ屋は最低生活を得たいということでいろいろと厚生省に血道をあげております。この原価計算を見ましても、石炭、水道、入浴料の人数等におきまして、コストの点で私たちは異論を持っているものでございます。こういうことは審議会並びに公正取引委員会あたりでよくきめるから、決して消費者には不利なことはないと、いつも口ぐせのようにおっしゃいますが、現に厚生大臣が国会におきまして入浴料値上げを認めるような発言をしていらっしゃいます。この法律ができてさえこういうような段階を踏まなければならないのに、大臣がもはやそういうことを一方的におっしゃるということは、いかに一方的に何でもきめられるかということを如実に物語っているのでございます。この法律の上にあぐらをかいて、サービスが減退することはせんだって中林さんからもプロパン・ガスがサービスがなくなって値上げになったということは申し上げました。このように法律の定義、趣旨はいかにも経済の安定を確立し、しかも秩序の確立ということを申し述べておりますが、結局においてその定義に反するやみの温床となり、陳情はやりの世の中になることは火を見るよりも明らかでございまして、消費者はこのように組織のないのを理由に一方的にやられるのは全く遺憾に思うのでございます。しかもボス化になるということは、官庁もこれをおそれていらっしゃいますが、現に商工組合を作って、町で落選議員がいろいろとこの組織化に努めておりますけれども、商人の中でも、特殊指定をやらずに地域的にこれを認めていったため、ボスが食いついた、大へんだ、誤まったと言っておりますが、実に業者の中にも批判が出ておりまして、やはりいやだという声が出てきていると聞いております。せんだって中政連の方がこれについて一千万人賛成者があったと申し述べられましたが、親子総ざらいの人数だそうでございまして、末端では何もわからなくてもいいからついてこい、あなたたちは何も知らぬでもいいんだという印象で引っぱっていらっしゃるということは、この法律ができて、あけてみて初めて自分たち弱小メーカーが首を締められておるということを発見されることでございましょう。中小企業の調整法案は、これの関連する法案が予定されておりますが、中小企業商業調整法でございますか、これは登録とか時間制限とかを最近おとりになったようでございます。こういうように、いかにも公正取引委員会はいろいろな点で反対していらっしゃいますが、通産省の中においても異論のあったところが十分あったそうでございまして、結局市場制限と他を規制するだけに終ったということでございます。この市場制限を考えましただけでも、同じ政府で、同期の国会におきまして、このたびでき上りました建築法の一部改正でございますが、これはげたばき住宅と申しまして、年五分五厘の安い利子をもって住宅金融公庫が高層建築を不燃建築として貸すという式でございます。これの改正の内容を見ますと、一階、二階は商店街を作るということが名目になって改正されたと聞いております。こういうように、同じ政党でありながら、同じ時期に一方では市場を規制する、一方ではけたばき住宅までして商人の店を作らなければならないというような矛盾を見ました場合に、いかにもただその場だけの、権力でどこかにひもがついたものに押し流されておるということを見まして、私たち消費者にとっては全く何とも了解に苦しむものでございます。国会の正常化をはき違えまして、何の検討もなさず、いかにも二分の一に割ったような妥協の点は私たちは今後大いに監視しようと思っております。  最後に、世論はこの法案を選挙目当ての法案であると言っておりますが、票がほしいのなら、家庭を守る法案にすれば票は幾らでも入るということを御進言申し上げます。消費者はあくまでも商品を自由選択で買いたい、同じものを同じ商店で一本化されたものを買うのならば、私たちは設備のいい百貨店の方に流れていくでございましょう。幾ら百貨店法を作ってみましても、商売の実態に合わないものをなさるならば、消費者はそっぽを向くということをどうぞ御了承願いたいと思います。
  84. 福田篤泰

    福田委員長 以上で参考人各位の公述は終りました。これより参考人に対する質疑を許します。
  85. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 議事進行。私は午前の終りのときに委員長にお願いしょうと思いました。ところが許されなかったので今申し上げますが、やはり同じなんですね。きょうのこの空気が、ちょうど大企業中小企業の実態を現わしておる。大企業関係の代表者は、言いたいほうだいのことを言ってさっさとお帰りになる。われわれはこれに対して質問を用意しておる。ところがいらっしゃらない。しかもいらっしゃってもまたすぐにお帰りになる。こういう勝手な話なんです。経済界を勝手に動かすことを将来もやろうという実態がここにちゃんと現われておる。これじゃ正式な審議はできません。しかもまた再三言うことでございますが、幸い今は与党の席もふえましたが、いつも二対一の場合の、二倍の方が一の方よりも数が常に少いというのは、この法案に対してどの程度の熱意があるかということを疑われてもやむを得ない状況なんです。それではお気の毒だから、せめてお客さんの見えるときだけぐらいは十分動員して、熱心に御討議あらんことをお願いしておきます。
  86. 福田篤泰

    福田委員長 よく了承しました。八木昇君。
  87. 八木昇

    ○八木(昇)委員 だいぶ時間もたっておりますので、できるだけ簡単に三、四点参考人の方にお伺いをいたしたいと思います。それでは、今議事進行の発言もあったのですが、午前中出られました参考人の方で現在もなおこの席においでいただいておる方、並びにその団体関係の方はどなたがいらっしゃるのでしょうか。
  88. 福田篤泰

    福田委員長 現在古藤利久三君、それから城戸久君の代理の方、それから石田さんと中林さんはお帰りになりました。
  89. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それでは午前中の方にも一、二お伺いするかと思いますが、私もできる限り簡潔に質問をいたしますから端的にお答えをいただきたいと思います。  午前中の参考人の方のお話の中にもあったのでありますが、結局今度のような中小企業組織法にしろ、あるいは中小企業団体法にしろ、こういうような法律ができて、中小企業者一つの団体を組み、みずからの生活を守るために大資本の方と団体交渉みたいなことをやるような場合に、当然大資本の側としてみればこれに対する対抗策をいろいろ講ずると思うわけであります。そこで経団連古藤さんにお伺いをいたしたいと思うのでございますが、もしかりに政府案になるか、あるいは修正になるか、あるいは社会党案になるかわかりませんが、こういった中小企業の法律ができた場合に、大資本側としては一体どういう気がまえでおるのか、こういうことについてお伺いいたしたいと思います。といいますのは、私などは電力会社の社員でありますが、電力会社あたりはいろいろな工作工場とか修理工場とかそういうふうなのを相当たくさん持っておった。それから送電線や配電線あるいは変電所の建設、こういうようなのは以前は全部電力会社が直営でやっておったわけです。ところが数年くらい前からようやく請負で中小企業者に相当やらせるようになってきておるのでありますが、もしこういうようなことになってきて団体交渉などを申し入れてくると、感情的に、お前たちがそういうことをやるのなら、今までお前たちに仕事をさせていたが全部引き上げる、おれの会社が自分でやるのだ、それの方がある意味では能率もいいのだ、こういうような出方をするおそれもあると思うのです。一体大資本というものは、こういう情勢に対処するについてどういうお考えがあるのかということをお伺いいたします。これに関連をいたしまして、これは実際には中小企業の生産工場をやっておられる方の代表がおられるとその方が一番いいのでありますが、おられませんので、中政連の代表の方にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、こういう大資本のいろいろな反撃が予想されるということを考える場合に、組合交渉についても、これに応ずる義務さえも課していないというような団体法では、実際には効果が上らないのではないか、むしろ大資本の反撃に押しまくられることになりはしないか、こういうことについて中政連あたりはどういうお考えを持っておられるか、この点をお伺いいたします。
  90. 古藤利久三

    古藤参考人 お答えいたします。ただいま私の方にございました御質問は、中小企業団体法案なりあいるは組織法案なりが原案の形のままで通りました場合に、大企業としてどういう対策があるかという御質問でございますが、これは午前中にも述べましたように、ただいまの団体法案につきましてもまた組織法案につきましても、問題はございまして、そういう問題を含んだままの法案が通りますと、やはり大企業としては中小企業との現在の協力関係というものがどうも水をさされるということを心配いたしまして、そのためにむしろ自家生産でやった方がいいのではないかという傾向が出てきはしないかということを心配しておるわけでございます。法律が通りまして対策の問題というお話でございますが、そこまでの事態が今きておるわけではございませんで、対策について考えているというのではございませんけれども、この法案問題点ということで検討いたしますと、そういう危惧がございますので、その点について十分慎重な御審議を願いたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  91. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それではこれに対する中政連の方の御見解をお伺いしたいと思ったのでありますが、まだお見えになっておられないそうでありますから、これは直接生産企業ではないでございましょうが、内藤参考人あたりにお伺いをいたしたいと思うのであります。結局そういうような反撃というものは当然あります。ちょうど労働者が賃金値上げについて資本家側と団体交渉をする、労働者にストライキ権がある。そういう強力なバックをもってやっておりましても、大企業の経営者としては万策を尽して自己企業を守ろうとするのであります。そうだといたしますると、大資本側のそういう必然的な方向というものが、予想されるのに、今日のこの団体法のごときものでは、とうてい中小企業の要望は達し得られないのではないか、私はこういうふうに感じるわけです。法によって強制すべきは団体への強制加入にあらずして、むしろこういう団体交渉などについて、大企業はこれに応じなければならないという義務を課する、こういう点こそ法によって明確に中小企業者を守ってやらなければならない、こういうふうに私どもには見えるのでございますが、こういったふうな点について政府案についての御批判はないか、これをお伺いしたい。
  92. 内藤弥吉

    内藤参考人 先ほど公述の際申し上げました件でございますが、お尋ねがございますから重ねて申し上げたいと存じます。中小企業者はまさに弱い羊のごときものでございます。ただいま中小企業が非常に苦しみをいたしておりますのは大資本の圧迫によるものでございます。しかしわれわれは、それではあまりにかわいそうだから、中小企業者組織せよ、団結せよと、皆様が今日の法案をお作り下さったのでございますが、しかし何らの強制力もない、何らのきめ手もない、ものをいただいても——お前は危ないから鉄砲を持ってといってもたまの入っていない鉄砲をいただくようなものでございます。われわれ中小企業はあえて大資本に向って挑戦をしたり、あるいは無理なことを言っていこうというような量見は毛頭ございません。あくまで誠実にお互いに話し合って、話し合いがつかない場合に、われわれにも何か数の力を与えてもらいたい、弱い者に力を与えてもらいたいという願望の一つの現われでございます。私は政府案に対しまして、賛成するゆえんはそこにあるのでございます。
  93. 八木昇

    ○八木(昇)委員 私の問いにそのまま正面からお答えをいただかなかった、こういうふうに思うのでございますが、それはあえてそういうふうに意識的にお答えになったのであろうかと思いますけれども、しかし今私が申し上げました点は、実際現実にいかに善意な気持で中小企業者、下請業者の方がおられましても、相手はそうはいかない、資本の命ずるところですから、そういうような実際の状況が当然予想される場合に、これはやはり今出ておる二つの組織法案団体法案とを並べた場合に、組織法案の方がより御希望をされるはずだと、こういうつもりでどうかと聞いたわけなんですけれども、それは一応あえてお答えをいただかなかったものと考えまして、それ以上のことは参考人でございますから言いませんが、これにさらにやや関連をいたしますのでお伺いをいたしますと、実際のこの状況を見ますると、ただいまおっしゃいましたように、経営者側になりますると、やはりどうしてもこの親企業とか何とかには遠慮せざるを得ないのです。そこで立場が弱い。そこで数年前あたりのように、たとえば電力などが非常に不足しているときに電力割当がある、これは生産企業の場合でございまが、そういうことでは自分の企業が従来昼のうちに二日も三日も電休をさせられるようなことでは中小企業は立ち行かぬ、こういう場合でもなかなか経営者の方は立場が弱い。そうして実際はどんどん押しかけてきまして、電力会社あたりと強力に交渉をして目的を達成されるのはむしろその中小企業組合の方です。こういうような例を幾らも私どもは見ております。そこで何も大企業と対立をして何か戦いをするというようなことで問題が解決しないことはおっしゃる通りであります、特にこの中小企業と大企業との関係においては。でありまするが、やはりほんとうに問題を解決するというような意味においては、中小企業の新しく作られる団体の組合員の雇い入れる労働者についても、大企業との問題についてある種の団体交渉といいますか、そういったふうなものについてもやらせるべきではないかというような有力な意見がございます。その点についてもお答えをいただきたいと思います。先ほどの質問にま正面からお答えをいただけますならば、なおお答えをいただきたい。この後者の方の質問に関しては間宮参考人の方にも御見解を承わっておきたいと思います。
  94. 内藤弥吉

    内藤参考人 ただいま御答弁申しましたことがいささかま正面すぎたというお話でございまするが、私どもはただいま申しましたように非常に弱いものでございますので、弱いからもう何も言わなくてもよろしいのだ、もう何もできないのだということでこのまま置くならば、この組織法の団結の力も非常に弱いものになってしまうのではないか。もちろん大企業が暴力をふるいまして、それにも応じないというようなことがありましたためにその反撃があったという場合におきましては、われわれは話し合いができまするように努力することにいたせばよろしいかと私は思うのでございます。ただいま申しましたように、私たちは団結という力を与えられておる、しかしただそれは力だけで何も行使することもできない、から鉄砲であるというようなことでございますと、まことに工合が悪い。何とかわれわれにもそうしたものが与えられなければ、今日の不況に悩むところの中小企業というものは救われない、かように考えるわけでございます。  いま一つ中小企業の労働者の問題でありますが、中小企業の労働者はストをすると自分の工場がつぶれてしまいますからストをしない。大企業のところの勤労者はストをしても大丈夫つぶれっこはないからやる。そういうことはまことに今日の不平等の世界を現わした一つの証左であろうと私は思うのであります。小さいところの工場の従業員も大企業の人のようにストをしてもよろしいような力をつけてやることが最も大切であって、中小企業の小さい勤労者がやってはいけないということはないわけです。今中小企業の勤労者がやらないのは、自分たちが工場を休んだり、ストをしますと工場がつぶれてしまうからやむを得ずやらないのであって、これは中小企業が力がないからやむを得ずにおるという状態であろうかと私は思うのであります。
  95. 間宮重一郎

    ○間宮参考人 お答えいたします。まず中小企業振興ということと消費者並びに労働者の利益というものは三位一体でございます。従いまして、中小企業振興のために労働者の利益を考えられないということはあり得ないはずなんです。ところが事実は大企業から中小企業が圧迫され、中小企業の労働者はそのしわ寄せをまた受けている、こういう早く言えば二重搾取の形を来たしておるのでございます。従いまして、本政府案におきましても社会党案においても同様でございますが、団体協約を結ぶ場合におきましても、労働者の利益にマッチしたところの内容において交渉をしていただきたいことは当然でございます。ただしその場合におきまして、そんならば労働者がその団体交渉の中に入るということが適当であろうかどうかということになりますると、これは少し危険性があるのではないか。ということは、常日ごろの労働運動といたしましては、使用者と労働者の立場はやはり一応はっきりしておかなければならない線であると思うのでございます。私は先ほどの公述のときにそれを実は申し上げたかったのでありますが、省略いたしたのでございます。そこで私はこういう一つのアイデアを持っておるのでございます。現在政府原案によりますると、二十六条、七条に一応従業員に対する配慮が誓いてありますが、私これでは非常に不十分だと思います。そこで団体協約を結び、あるいはカルテルを行う場合におきましては、少くとも労使の関係が正常を保っていなければいけない。法令に違反するようなことはもってのほかだ。たとえば労働基準法に違反しておりながら、それをしも一つの基礎資料にして、それによって団体協約を結んで、それによって協約は有効だというようなことでは、これは法治国家としてはとうてい認められないことだ。従いまして、政府原案におきましても、社会党案におきましても——実は社会党案に対しまして私は冒頭におきまして支持を表明したのでございますが、その点はできましたならばいま少し強化をしていただきたい。かように思っておるのはどういうことかといいますと、法案の中に、法令に違反するようなものに対してはその協約の認定をしない、カルテルは許可しない、こういうことは少くとも入れていただきたいという希望を実は持っておるのでございます。そういうふうに私は割り切って考えておりますから一つ御了承願いたいと思います。
  96. 八木昇

    ○八木(昇)委員 あまり私ばかり質問しても何でありますから、あと二、三点で終りたいと思います。  もう一つは、今度の政府団体法案によりますと、これは中小企業の育成発展ということを目ざして、おるといっておりながら、商工組合あたりを組織していろいろやれる場合はどういう場合かというと、過度の競争によって事業の不安定を来たすという場合のみにこれを許す、こういうようなことに実はなっておることは御承知の通りでございます。そこで、この問いに対しては、できれば立川参考人にお答えいただきたいと思うのでありますが、そうだとすれば、実際に皆様方が希望をしておられる点は、この新しい法律によって中小企業が今日の苦境を脱してさらに何とか豊かになっていけるようにということを希望しておられるだろうと思うが、それにもかかわらず、実際にはもう過当競争になって、たくさんの企業者が争って、そうして製品をできるだけ安く売りさばかなければもうあすから倒れるというようなことで、どうにもならぬようになっておるようなところにのみ組織を許す、団交やその他をやるようなことを許す、価格協定やその他を許すというなことになれば、結局その中で、しかもそれが強制加入ということになりますと、そこで強制加入をさせられたものの中である多数の者が一つの協定をそこでやらされる、そうすれば、たとえば商品のその値段あたりでは今後の企業の維持ができないというような人たちをこの法によってつぶしていく、そうすることによって過当競争の問題を解決し、そこの地区の相当数の企業だけが生き残る、こういうような効果を来たす、こういうように結局は中小企業を今後前進させるための法案というのではなくして、どうにもならぬように苦しんでおるところを、半ば強制的にその中の一部の企業者を脱落さして残りの者を辛うじて維持させる、こういうような役割だけしか果さないようなことになるのではなかろうかというおそれを実はちょっと感ずるのでありますが、実際に御商売をやっておられる皆様の立場からどういうふうに御判断になるか、御意見を伺わさしていただきたいと思います。
  97. 立川豊

    立川参考人 第九条の不況要件でございます。これにつきましては、法律案にございますが、幅のある運用を期待をしておるのでございます。実際的にこの強制加入の許される場合は、もう申し上げるまでもございませんが、地区内の資格事業者の総数の四分の三以上が中小企業者でなくてはならぬ、またその中小企業者の四分の三以上が組合員となっていなければならない、事業分量はおおむね二分の一以上がなくてはならぬ、こういう要件がまずある、そうして今度は総会の決議をもってこれをきめる、しかもこれは特別決議であって、三分の二以上の同意がなければならぬ、そうしてその後に聴聞を行う、公聴会を開いて業者の意見を聞く、そうして中小企業安定審議会にかける、かようなむずかしい手続をなさるとすれば、何も総会の特別決議で無理に強制して、そういうものを加えなくても差しつかえないのじゃないか、多くのものを加えて引っぱるよりは、気のそろった者が、若干のアウトサイダーがありましても、組合運営にはその方がいいのじゃないか、私どもはそういうふうに考えますので、この強制加入ということは伝家の宝刀であって、むしろ実際の組合を運営いたしますためにはこれを抜かない方がいいのじゃないか、抜かないなら要らないではないかという議論もあるかもしれませんが、抜かなくても宝刀があった方がいいことは、すでに首藤先生が申されたように、五カ年の経験でそうだったからこれを入れたい、入れたからといって直ちにこれをやるという考え方は、良識ある組合運営者はやらないのじゃないか、こういうふうに考えます。
  98. 八木昇

    ○八木(昇)委員 それでは中政連の方がお見えになりましたので、一つお伺いしたいと思います。  大体午前中政府案に御賛成のような御意見であったと思います。そこでお伺いいたすのでありますが、これは少し露骨なものの言いようでございますが、中政連の会長をやっておられる鮎川さんあたりにしましても、帝国石油の社長ですか、会長あたりをしておられたわけです。帝国石油といえば、中小企業者じゃないと思うのです。その方が中政連の最高責任者で非常に積極的にやっておられる。ところがどうもそれがほんとうに苦しんでいる中小零細企業立場を真剣に考えている運動であるだろうかということについて、私の主観でありますが、実は非常に疑いを持っておるのであります。  そこでお伺いしたいのは、同じ中小企業と申しましても、たとえば三百人、四百人からの労働者を雇って、相当の資本を注入して事業を経営しているような場合と、それから職人も一人も入れないで、そして細君も子供も、それから母親もおやじさんも総がかりで魚屋さんをやっているというような企業の場合とでは、これはもう全然同列の基準において対策を立て得べきものではない、こういうふうに思うのです。たとえば洋服屋さんなら洋服屋さんが職人さんを三人くらい雇って洋服を作っている。そういう人たちは平均十四時間から十五時間働いているわけです。そして労働基準局さえも十二時間労働まではほとんど目をつぶっているのです。こういうように、同じ中小企業といいましても、政府案によると、それを全く一つの方式を考えておられるんだが、実情はもう天と地の違いである。こういうことを考える場合に、中小企業対策としては、やはりこれほどの違いのあるものについてはその実情に応じた、それぞれ特定の対策が必要であるのじゃないかという考えを私どもとしては持つのであります。中小企業政治連盟としてはどういうお考えかということをお伺いします。
  99. 城戸久

    城戸参考人 ちょっと皆さんにお断わり申し上げておきたいと思いますが、実は私きょうの公報を見ましたら、一番目に名前が書いてあったから、最初に参考人として呼ばれるつもりで、午後の方にちょっとよんどころない約束をしておりまして、中座してはなはだ相済みません。その点皆さんにおわびを申し上げておきます。  ただいま八木先生から、中政連の鮎川さんが、えらい大企業をやっておられた方が中小企業問題を取り上げておかしいじやないかという話がございましたが……。
  100. 八木昇

    ○八木(昇)委員 いや、おかしいとは思いません。
  101. 城戸久

    城戸参考人 あまりわからないというお話かもしれませんが、この問題につきまして、実は一つの大きな問題は、中小企業者日本の国で一番数が多くて重要な役割を持ってやっておる。店舗の数でも九〇何%とか、また生産の面においてもわが国の半分以上の生産をしておる。それから輸出面においても六〇何%とかいうような率を占めるような重要な階層でありながら、非常にこれが恵まれない階層にあるということが、一つの大きな問題でございます。しかもこの中小企業者が国際貿易の点におきまして、輸出の面におきまして非常な出血輸出をしておるということが、国家的見地から見ましても非常に重要な問題でございますので、一番大きくこの問題を取り上げましたのは、外貨において非常な損失を来たしておるというところから一つの大きな日本の国を思う信念の現われがここに出ておるのでございます。そうして外国貿易の問題については、その業種だけでなくして、やはり国内産業全般の中小企業の問題になるわけでございまして、そういうことから中小企業の恵まれない層をある一定のレベルまで引き上げていこうというような信念でございますから、その点大企業でありながら中小企業にどういうわけでくっついたかというような点は一つ御了承をお願いしたいと思います。国を思う一つの発露だ、こういうようにお考え願いたいと思います。  それから次は零細企業ということでございますね。今度の団体法におきましては、小さな業種も大きな業種も大体組合内においては平等の発言権があるから、むしろ皆さんの御心配になっておりますようなボスの支配とか、そういうことは民主的に行われるのではないかと思います。また多数の業種によって、多数決によって、民主的に運営していくというところにおいて、むしろ零細企業者の発言力の方が強くなるのではないかという確信を持っております。
  102. 八木昇

    ○八木(昇)委員 最後に一問だけで終ります。今の点は、零細企業というのは、資本がある程度の利潤を生むというような形ではほとんどない。資本というものではなくて、ほとんど肉体労働によって利益を上げておる、こういう企業ではないか。そういう意味において、そういう零細企業というものはやはり別に一ワクを考えて、これに対しては、今の中程度、数百人の人を雇っておる企業よりも、さらに一つまた親切な何らかの法的措置を税の問題にしろ何の問題にしろ考えられる必要を感じないかということを実は聞いたのであります。そこで、そういうことがもしお答え願えるとするならば、このあともう一つ質問しますから、その際にお答えいただきたいと思います。  そこで最後の質問は、一部にはこういう団体をこしらえて・中小企業者が団体交渉あたりをどんどんやるというようなことになると、情勢の発展によっては、赤旗協同組合のようになりはしないか、その団体が旗を振って押しかけていくというようなことになり、しかもそれが一つの政治色を露骨に帯びてくるというようなおそれがありはしないか。従ってこういう団体については、政府の監督といいますか、政府のひもといいますか、こういうふうなものを法の上で相当きちっとつけておかないと、非常に困ったことになりかねぬのだ、こういう意味において政府案がよろしい、実はこういうような意見があるのであります。そこで問題を提起されました中政連としては、中小企業組織して、今後いろいろ仕事をやっていかれるでありましょうが、今申しましたような一部の批判に対してどういうお考えをお持ちであるか、一体そういうことがあるとお考えになるのかどうなのか、こういうことをお伺いいたしたいと思います。
  103. 城戸久

    城戸参考人 最初の零細企業の問題ですが、あれは零細なおもちゃであるとかいろいろ小さい企業もあるのでございまして、同業種でよく相談していけば、法の運用によってうまく救済していくことができるのではないか。ことに今度の中小企業の問題におきましては失業者のしわ寄せにもなっておるというところから、そういう零細企業者をむしろ引き上げていく方が重点になるのではないかという点は、社会党におきましても零細企業の問題は特にピック・アップされておるようでありますが、むしろ一本になっていった方が——中小企業をまた二つに分けるということになりますと次々に細分されることになり、かえって悪いので、一緒にしてレベルをある一定のところまで上げてやるというふうにいった方がいいのではないかと私は考えております。非常に悪いから、どこからでもとにかく基本の法律を作るだけでも作って、少しずつでも上げてやれば、ないよりはいいのではないかというふうに考えております。それから赤旗ではないのです。中政連は赤旗を立てておりませんが、安全旗の緑の旗であります。強硬なる旗を立てて押しかけて団体交渉をするというようなことは、中政連としては現在考えておりません。
  104. 福田篤泰

  105. 永井勝次郎

    ○永井委員 第一に入江さん、間宮さん、三巻さんのお三人に御所見を伺いたいと思います。先ほどの供述の中に、単に団体法あるいは組織法という法律を一つ抜き出して、これが中小企業対策としていいか悪いか論議することは、大きな象の尾っぽをつかまえたり、鼻先をつかまえてこれが象かということを論議すると同様であるというような御意見でありまして、全くその通りであると思うのであります。やはり日本の国の産業構造なり経済政策なり全体の視野に立って、いろいろな角度からこれを検討して、その中の一つの施策として団体法なり組織法というものが出てきて、これが全体の中でどうであるかという賛否が検討されて、そして結論が出る、こういうことでなければ問題にならないと私は考えるのであります。それとともにこの法律がどういう権力のもとに施行されるのであるかという運営の問題もからみ合せて考えていかなければならない、かように思うのであります。そういう立場から一つ伺いたいわけでありますが、団体法の第二十九条には農林水産関係の協同組合あるいは流通分野に関するものはこれを適用除外しておりますが、この法案によるほこ先はもっぱら生活協同組合あるいは購買会というところに向けられるような手かげんがこの中にされておると考えますが、皆さん実際その面に当っておられる方としてどういうふうにこの点は検討されておられるか、これが第一点。  もう一つ団体法の第六十四条でございますが、強制命令の実施を政令によって組合にまかせることができるようになっております。これは非常に大きな問題で、団体法全体にはほかの法律規定ではなくて政令にまかせるという分野が非常に多い。その中でことに強制命令実施の問題等については、政令で定める、組合にまかせることができるというような事柄が書いてありますが、こういうことは官僚と組合指導者とが力を合せて中小企業の支配を強化していく、あるいは悪くいえば官僚と組合との結託によって、中政連が主として組織に当っているわけですから、そういう組織作りをやる政治的な組織をこういうからみ合せで経済のうらはらでやるというような方向に発展していく性格をこういうところに持っているのではないかとわれわれは考えるわけでありますが、この二点について一つお三方から御所見を承わりたいと思います。
  106. 入江正治

    入江参考人 永井先生からのお尋ねの第一点であるそのほこ先が、消費組合や労働組合その他のそういう団体に向ってくるという点については非常に重視をしているところであります。特に労働組合は、炭鉱地帯その他においても今まで相当物価アップという問題には終戦後苦しめられてきたのであります。それではなぜ消費組合活動が強く戦後に現われてきたかといいますと、その地方の物価が非常に高い、都会に比べてもいなかの方が安いはずのものさえ高いという現象が、午前中に中林君からも明らかにしたように出てきたわけであります。そこでわれわれはその生活を守るために、法律に基いて消費組合を作り、それが刺激になってその町、その地方の物価も安定して安くなってきた。そういう中で実際は商売が立ちいかなくなったかというとそうではなしに商売の数もふえている。ある意味における競争関係消費団体等の行う事業との間にもありますけれども、しかしそれは正常な経済の発展の中で解消されていく。従ってこのような団体の法律その他によってこういうものを規制しようとしてもそれは無理であって、これらの関係については特に中小企業の場合は市場の問題いわゆる購買力の拡大、こういうことが大きく問題になるのであります。そしてまた輸出貿易等の関係もいろいろ言われますが、中小企業の作るものといえば、われわれ働く大衆の生活に密着したものが作られるのであるから、従って私たちはそういう意味合いからしても、われわれの収入がふえ、そのことが生活の向上となり購買力となって正常な関係において中小企業者と共存していけるのだという点を明らかにして、こういうような法規によるところのほこ先をただ単に消費者、われわれ同士に向わせるような規定というものは反対であります。それから強制命令、その施行と関連しての、組合に運営をまかせるというふうな中で運営をされようとするこの強制命令の問題は、先ほど私から申し上げましたように、これは中小企業者自身を苦しめるでありましょうし、そのことによって中小企業は絶対に正常な運営として発展をしない、こういう見解を持っておる次第であります。(「総評と組合ボスの結託はどうだ」と呼ぶ者あり)参考人に対して失礼なことを言わないで下さい。
  107. 福田篤泰

    福田委員長 発言は委員長の許可を求めて発言して下さい。
  108. 間宮重一郎

    ○間宮参考人 お答えいたします。まず二十九条の組合交渉の応諾について私はこのように考えるのであります。先ほど実はこれも公述で端折りましたのですが、本来カルテルを許すあるいは団体交渉を行うということは、その企業の内部において合理化をはかることに障害があるということ、これが第一の要件であろうと思います。従いまして、たとえば生活協同組合あるいは労働組合が行います購買会、これまた需要者が直接行われる場合もございますが、場合によっては会社の厚生事業一つとして、場合によっては消費者の団体がみずから生活の合理化をはかろうとして行うところの消費活動を団体交渉の対象にして、お前はそれは安く売ってはいけないから高く売るように一つおれの言うことを聞けというようなことにおいて交渉を持つべき筋合いではないと思います。先ほど言い落しましたが、団体交渉をするということは当然認めております。しかし団体交渉の対象になるものは、さような限度において制限をすべきものである。消費者ができるだけ安い消費活動を行おうとするにかかわらず、いやお前はもうかっておっても、企業が健全であっても、おれの商売がいかぬからお前高く売れということは本来許すべきことではない。従いましてその限度において団体交渉の対象を制限すべきである、かように考えておるのでございます。結論としては、消費生活協同組合とか、あるいは会社組合が行う購買会等における、その他の事項は別といたしましても、少くとも販売価格の協定について交渉に応じろというようなことは、これは団体交渉の対象からはずすべきものである、かように考えております。  いま一つその次に規制行為を行うことを政令で委任して商工組合等に行わしめることでございますが、これは実はこの政府中小企業団体法の背骨になっておるものであると思うのであります。つまり強制加入を行い、員外規制を行い、そうして法律によっていやおうなしに一応頭を押えていこうという意図が、実はここにちょっぴり現われておるのであります。私どもこれだけの資料でどのような政令をお作りになるか、これは窺知することができませんけれども、おそらく自由自在に政令によって一種の権限をそれらのボスに持たせる結果になると思うのでございます。私はこれは政府与党の方に特に申し上げたいのでありますが、おそらく政府与党の方は、今はそうは考えておられないと思いますが、このような権力を持ついわゆる中小企業ボスができますると、先ほどヤジっておられましたけれども、労働組合ボスどころじゃございませんで、お金を持ったボスは非常におそろしいものでございますから、十分一つその点はよく御検討下さいまして、間違いのないようにお願いをいたしたいと思います。
  109. 三巻秋子

    ○三巻参考人 一の問題でございますが、生協というものは消費者に与えられた一つの道でございまして、消費者の、購買といいますか、そういう方面に自覚した現われでございまして、他を犠牲にして自分だけが救われると思うことは早計でございまして、農協も初めはこの線の中に入っていたそうでございますが、政治力といいますか圧力がかかって、これをやめるようになったということを聞いておるのですが、いずれは農協の方にしても政治力に慢心しておるという傾向もございますが、決してこういう他を犠牲にして自分の繁栄を望もうということはあり得ないということを申し上げます。  それと同時に第二の問題でございますが、政令の点は当然官僚統制ボス化の反映ということになるのでございまして、政令が政令を生みまして、法の改正々々でもって、ことにこういうことが私たちの心配しておるようなことになるということがここでも現われておるのであります。
  110. 永井勝次郎

    ○永井委員 次にお尋ねいたしたいのは、中政連の城戸さん、それから束原さん、お二人にお尋ねいたしたいと思うのであります。  先ほど強制加入の問題について、強い力とか弱い力とか、力の強弱の関係がいろいろ論議されておるようでありますが、法律的には強制加入ということは強い力と言っていいと思うのです。しかしこの法律は中小企業対策であって、権力の強い弱いを規定する法律ではありません。従って強制加入ということは、強制加入ということは、強制加入自体が目的ではなくして、強制加入をすることによって業者の経済が立て直るかどうかというところにこの強制加入の可否の問題があると思うのであります。強制加入によって果して中小企業者経済を立て直すことができるかどうか、ここが問題のかぎだと思います。従来中小企業安定法をずっと実施して参りましたが、中小企業安定法によって立て直ったという事例はまことに少いのであります。ほとんど立て直らない。表面上立て直らない。表面上立て直ったかに見えることは、安定法の運営によって立て直ったのではなくて、全般的な景気が立て直ってきて、その好影響によって立て直ったということはあっても、それ自体によって経済が立て直ったという事例はないと思うのであります。現在事実において生産過剰の現実がここにある。それから業者の過剰な条件というものがここにある。業者が過剰であって生産が過剰であるという条件の中で、中小企業だけにどんな強力な強権をもって加入をさせてみたって、それ自体によっては経済の立て直る条件は生まれてこないと思う。でありますから、先ほど来強いとか弱いとか言って、強制加入さえやれば、これが金科玉条で、これによって中小企業経済が立て直るのだというふうに非常に強調されておる、この点を明確に伺いたいと思う。これが一つ。  それから組合ボスの支配という問題、そういうことはないとかいろいろお話がありましたが、これは私は組合ボスが必然的に出てくる、こう思うのです。なぜ出てくるかといえば、強制加入をさせる、そうしてその他の経済的あるいは産業の分野からする経済立て直しのいろいろな施策がこれに伴わないで、この法律だけが独走する場合においては、これは固まっただけであって、この固まった力というものが団結の力によって外に向って発展して、そして自分たちの組織に共通の利益をもたらすという条件はこの中からは生まれてきません。さらにこの組織の力によって外へ力を発展させて自分たちの経済を立て直す、よくしていくという共通の利益はこういう形の中から生まれてこない。そうすればどういう形になってくるかといえば、この法律によってがんとワクはめをした中において、弱肉強食で弱い仲間を食っていくという、そこに自分たちの利益をはかっていくということが必然的に生まれてくる。ここにボス支配が出てくる。従って、こういう法律の中では零細業者なんかは法律の名によってどんどん整理されていく、こういうことが必然的に生まれてくると思う。  それからもう一つは、そういう形の中で今度は弱いところにこの団結の力が発揮されていく。どういう形で発揮されるかといえば、これは価格協定とか何とかいろいろな形で自分たちの利益をはかるために消費者にこれを転嫁していく。こういう二つのボス支配の悪い面が必然的に発展してくると思うのであります。この二つの点について、中政連の城戸さんと、日本中小企業家同友会代表の束原さんから御意見を伺いたいと思います。
  111. 城戸久

    城戸参考人 第一番目の、強制加入によって業者が非常に救われるだろうという点につきましては、従来のアウトサイダー命令でやっておりましても現在までのような状態で、そう大して効果はなかったように思うのでありますが、少くとも今回の強制加入の問題によりまして、私どもは善良なる多数の賛成をもってこの組合を運営していく場合に、わずか少数の、アウトサイダーと申しますか反対の方がおって、過当競争の根元になるというような点につきまして、組合の大多数の方がこうやったらいいというような非常な善良なる考えにおいてやられる場合には、むしろこの少数の人間のアウトサイダーに対して、強制加入をして、その中でみなが一つ民主的に相談してやられた方が効果的であるというふうに私は思うのであります。だから、同じ業種の方が中に集まっておやりになるのでありますから、しかもその強制加入をする場合には業者の大多数の方が希望をせられまして、それにはいろいろな条件があってしぼられてそういう状態に置かれた方々でなければまたそういうことを希望もしまいし、組合の大多数の方が希望をした場合に強制加入というものが適用されるのでございますから、むしろそういう状態が起らない方が望ましいのでございまして、そういうやむを得ざる場合にはそうしても救いたいというのが私どもの考えでございます。  それから第二点の組合ボスの発生の点でございますが、この組合ができますれば、先ほど申し上げましたように各人がやはり業種の一人一票の投票になると思います。だからむしろ業界の方が推薦せられた方が出られるのであるので、結局外部の、業種でないボスというものは入ってこない。むしろ業界の信望のある方がその代表になられる、投票の結果そういうふうになると思います。そしてむしろそれによってこのしわ寄せが弱小者にいったりまた消費者にいくという点でありますが、むしろ私どもが今後この問題について念願しておりますことは、団結を強化いたしまして、そうして仕入れの問題とかあいるは税金とか金融の問題まで第二段階において与えていただいて、消費物資を安く提供するように持っていきたいというふうに私どもは考えております。ボスとか何とかいうことでなしにむしろ皆が歩み寄ってその業界をよくしていくように善導していっていただきたいというふうに念願しております。
  112. 束原誠三郎

    ○束原参考人 ただいま永井先生からの御質問でありますが、ちょっと私に対して御質問が違うのじゃないかと思います。私は強制加入がいいとは言わなかった……。
  113. 永井勝次郎

    ○永井委員 いや、あなたは強制加入反対なんですが、それは了承したのですが、その強制加入によって強い力が組合に与えられる、これによって経済が立ち直ることができるのだ、こういうふうに先ほど来の皆さんがおっしゃっておられるのです。だけれども、法律は強いけれども経済的に強い力は自主的な力でなければ出てこないじゃないか、そうして、それほど自主的に全体が固まれば経済が立ち直るというならば、法律の強権によらなくとも皆が喜んで入ってくるべきはずなんだ。それを、いやだというのに無理に多数決によって閉じ込めなければならないということは、これはわれわれには理解ができないということで、賛成の側と反対の側の御両氏の御意見を伺っておるわけです。ボス支配の点においても、両面における御意見を——あなたは、ボスができると言われておるのだから、具体的にそういう事例を知っておられるから、知っておったら一つお示しを願いたい、こういう意味です。
  114. 束原誠三郎

    ○束原参考人 ちょっと御答弁申し上げる前にお断りしたいのですが、先般総評さんで中小企業団体の主たる団体の方をお集めになっていろいろこの団体法について意見の交換をなさったわけでありますが、そのとき、ほとんど意見がまちまちであったそうであります。私事故があって出席できなかったので、報告を聞いたのでありますが、そういった非常に複雑な問題もあるものでございますから、率直にこれを御答弁申し上げて先生方の御納得のいくような御答弁はとうてい私はできないと思います。  強制加入の問題でありますけれども、これは先ほども申し上げました通り、われわれの業会としましては一応民主的な組合ができておりまして、自然これに先ほど申したやわらかい意味の強制加入みたいにさせられておるわけであります。だから、これを今さら強い法律でもって強権的にさらにこれをしぼっていきますと、かえってせっかく話し合いのできた組織精神、がくずれるような危険があるかのように思われる。その点で強制加入は強く反対しておったわけであります。  それからボス支配の問題でありますが、このボス支配の問題は私ども昭和二十三年から組合の民主化について相当努力して参りまして、だいぶ改善されておりますけれども、まだまだ先ほども申した通り、いろいろなこういう法律ができますと、これの運営の面でいろいろやったらいいじゃないかと仰せられますが、なかなかそう簡単に民主的な運営などはできるものではないのでありまして、ボスが当然力がつくのはこれは火を見るよりも明らかでありまして、ここに参考に持って参りました書類がございますから、参考に読んでお聞かせしたいと思います。
  115. 永井勝次郎

    ○永井委員長 長ければ委員長に言って、速記にとどめることにして下さい。
  116. 束原誠三郎

    ○束原参考人 そう長くならないと思います。
  117. 永井勝次郎

    ○永井委員 速記にとどめることにして、速記で了承します。  先ほど中政連の方から、組合は一人一票でいくのだからボス支配は起らないというお話でありましたが、政府案の三十六条によりますと、「政令で定める基準に従い、定款で定めるところにより、二個以上の議決権又は選挙権を与えることができる。」としてあるので、必ずしも一人一票ではない。いろいろあとから、「政令に定める規準に従い」というが、どういう基準が出るか、これも今のところ見当がつかない。定款がどういうふうに定められ、どういうふうになるかわからない。そういういろいろなところにいろいろな問題が含まれておるわけでありますから、こういうことはまた別に、皆さん方と違ったところでなにしたいと思うのであります。  次に経団連古藤さんにお尋ねをいたしたいと思います。今までの中小企業対策としては、目ぼしいところでは中小企業安定法、それから下請代金の支払い促進法あいるは百貨店法、こういうようなものがあります。中小企業安定法が、名前は中小企業安定法ですが、実際は中小企業の安定にならないで、大企業の安定にかえって役立ってきた。いろいろな問題について現在調整組合ができておりますが、これこそほんとうにやらなければならないというようなものは、大企業反対にあって調整組合ができないいろいろな点がたくさんあります。それからできても内部においてそれが不可能な状態に、麻痺状態に置かれておる、こういう事例があります。下請代金の支払い促進にいたしましても、手形を短い期間にするということになれば、それでは現金で払うからもっと料金を負けろ、負けられなければみずから系列の下請を作っていくというような形で、中小企業を擁護すべきはずの下請代金支払いというものが実際の運用に当りましては、かえって大企業の権力をふるう場になっておるというような事例がたくさんある。また下請の関係からはなかなか苦情が上ってこない。それは下手なことを言うと、お前のところは注文しないといって首切りにあうから、こういうような目に見えない法律以外のいろいろな経済的な圧力が加わっておる。百貨店法にしましても これは小売業を守るためにやったところが、逆に百貨店はどんどん拡張されてしまった。これらの結果に対して、これは代表的に三つをあげたのですが、こういう実情を経団連立場でどういうふうに現状を把握して、どういうふうに見ておられるのか、これを伺いたいと思うのであります。  それからこういう形でいくと、大企業中小企業とが先鋭な対立をして、かえって思わしくない、こういうことを陳述されたようでありますが、これは経済企画庁の発表でありますから正確でありますが、昭和三十一年五月現在で、資本金一千万円以上の大企業二千四百六十社、一千万円以下の中小企業法人十八万二千六百社、これを調べた結果によると、売上高は大企業は前年に比べて一九・八%より伸びていない、中小企業は二〇%伸びておる、売り上げはうんと伸ばしている。そしてその利益はどうかといえば、大企業は五六・七%、前年に比べてそれだけの利益を多くあげておる。中小企業は大企業よりもうんと売り上げをしておるにもかかわらず、利益率は三・三%にとどまっておる。その内容を調べてみますと、大企業は人件費を上げておる、原料費を安くしておる。中小企業は原料費が前年より上って、そうして人件費が逆に下っておる。だから奴隷的な賃金で働かせてうんと売り上げを上げたが、利益は少い。そうして原料は、大企業の独占資本の力によってかえって上っておる。こういうような直接人間のからだに針を入れて、血液はしぼり上げないが、資本の力によってこういう生き血を冷酷むざんに吸い上げる、こういうようなことをやっておる大企業に対しましては、通常の形において話し合えといったって、これはもう経済的に満足な、あたたかい血の通ったような形における経済的な問題の解決はできるものではない。やはり力のないところに法律的な力をつけて、そうして対等に話し合えるような、この立場を与えることが問題解決の近道である。そういう経済の民主化の段階における現在は、これは社会主義の方針でも、方向でもなければ、あるいは資本主義の形でもなくて、全くヒューマニズムの上に立った一つ経済民主化の動きであると私は考えるのでありますが、これに対してどのように経団連は考えておられるのか、一つ所見を伺いたいと思います。
  118. 古藤利久三

    古藤参考人 お答え申し上げます。第一の問題でございますが、下請代金支払い促進法案とか百貨店法案とか、いろいろなものがございまして中小企業の安定振興に努力して参っておるわけでございますが、そのやり方がかえって逆効果を来たすのではないかというお話がございましたが、われわれが今出ております団体法案につきまして審議いたしますのも、結局強制加入とかあるいは組合交渉の応諾義務的な規定というものがありますと、かえってそれが中小企業のほんとうの振興に役立たないのではないか、むしろ逆行するような問題を起しはしないかということを申し上げたわけであります。従いましてこれは、やはり経済の原則は経済性のより高いところに仕事が行き、事業が発展し、雇用が増大するということになってくるのでございますから、それをあまり経済外の力で押えようといたしましても、自由経済を基調といたします今の経済態勢から参りますと、往々にして法律で無理な規定をなさいましても、それは逆の効果を来たすという場合があるのではないか。その場合は、下請代金の支払いの問題なんかは確かに全部のものが正しくやっているとは申しませんけれども、若干の企業にあるいはそういう代金支払いを遅延させたという事例がないではないと思いますけれども、しかし全体としてやはりどこへ発注するかということは、現在の自由企業においては自由でございます。より経済性の高いところに発注をする、より品質の向上しているところにものを頼むということは、今の経済態勢というものを是認すれば当然この問題はあるわけでございまして、そういう面におきまして、あまり経済態勢、経済の基本的なあり方と合わないような法律上の規定を設けて、それによって中小企業振興をはかるということは、法律の上でいかに明記しましても結局は逆効果になるのではないか、そういうことをわれわれは心配いたしまして、午前中申し上げましたような、つまり団体法案につきましては、あの二点について若干の疑義があるので慎重御審議願いたい、こう申し上げておるわけであります。  第二の点でございますが、経済企画庁の数字をお出しになりまして、中小企業の方は売り上げは上っておるが利益は減っておる、大企業は売り上げはそれほど上ってないけれども、利益はふえておる、こういう御指摘でございますが、それは同時にその背景において、生産性向上につきまして、オートメーションとかあるいは機械械化というものをこの数年大企業はどれくらいやってきたか、それは御指摘なかったのですが、設備投資の問題についてもおわかりになると思うのですが、この数年来どのくらいの新しい設備が入れられたか、また戦後どのくらいいろいろ新しい技術を導入してやられたか、そういうふうなものが要するに蓄積されまして、利益が非常に上ってきたという問題があるのでございまして、個々の賃金がそのために向上することもできる条件ができてきたわけでございます。従いましてこの表面の数字をごらんになって、すぐ大企業は搾取ばかりをしているのだ、搾取率が上ったのだというお考えだと、これは少し御見解の相違だと思いますが、数字を誤まってお読みになっているのじゃないかというふうにわれわれ思う、わけでございます。売り上げが中小企業ではふえておるにもかかわらず利益が上らないということの一つの問題は、やはり御指摘がございましたような過当競争のせいでございまして、これはわれわれも、中小企業団体法案というものができて、調整規程というふうなものによって中小企業の間の過当競争をなくしていくということに努力されることはもっともなことでございましてこういうことによって売り上げも上り、利益も上り、さらにもっと申せば、中小企業の一番おくれておる問題である生産性向上ということについて、もっと御努力がいけば、こういう問題は前向きに解決されていくのじゃないか、こういうふうにわれわれは見ておるわけであります。
  119. 永井勝次郎

    ○永井委員 もう少しあたたかい血の通ったような御答弁でもあるかと思ったが、独占資本が独占を強化して、そうしてもうけていくのに何が悪いか、自由経済の限りにおいては当りまえのことだ。しかも法律でいろいろなことをするなら、こちらの方では違った手からやはり搾取の方法手段は対抗的にもなにして、法律を一片のほごにするような資本の力と方法手段は持っているぞ。こういうどうかつをするような今の——御本人は大へん穏やかで紳士的なお言葉でありますけれども、その中に盛られておる鋭いつめというものはタカのつめよりもすごいということを今見とったのであります。でありますからこそ、われわれは中小企業の問題はもっといろいろな角度からほんとうに対抗できるような焦点に触れた問題を解決していかなければ、これは黙ってほっとけばもう全部いいえじきにされてしまう、かように考えるわけであります。しかしこれ以上は議論になりますから私は差し控えますが、大体リンゴの気持はわかったということでございます。
  120. 田中武夫

    ○田中(武)委員 先ほどの永井委員の質問に関連いたしまして城戸さんに一言だけ質問いたしたいと思います。城戸さんは先ほど永井委員の御質問に対しまして、組合員が各一票々々の権利を行使する、従って比較的大きいところも零細企業も同じことである、こういうようにお答えになりました。そういうことであるから民主的な自主的な運営ができる、こういうことでございました。その点について、三十六条の点は今永井先生からも御指摘がありましたが、もう一つ六十八条に団体法の役員の解任について、政府の方から権力をもって解任することができるようになっております。あなたがおっしゃるように、ほんとうに組合が自主的に民主的に運営することが最も望ましいとするならば、どういう場合であったとしても、かりにその人が役員に適しないとするならば、組合内部の民主的な改選によって役員をかえるべきである。しかるに政府が権力をもって役員を解任するということ、こういう規定がありますならば、もちろん非行とかなんとか、役員に適しない非行というような言葉はついておりますが、これが悪用せられまして、いわゆる組合役員内部の権力的な争い、いうならば官僚化ボスと、ボス化した官僚の結託によって、組合が権力者の意のままに振り回されるという結果が起ることを懸念せられるのでありますが、あなたはこういう規定があっても、なお組合が民主的かつ自主的な行動ができると確信を持っておられますか、いかがでございましょう。
  121. 城戸久

    城戸参考人 私はそうは思わないのでございまして、民主的に人選されましたその組合の幹部が何かよほど悪いことをするか、何かよほど間違ったことでなければ、何ぼ政府であっても、それを解任するようなことはできないと私は思っております。
  122. 田中武夫

    ○田中(武)委員 かりに組合ないし組合員に適当でない非行をやったような場合、政府の権力をからずして、組合がほんとうに民主的であり自主的であるならば、組合員みずからの手によって役員を改選する方が正しいのじゃないでしょうか。
  123. 城戸久

    城戸参考人 その点は一つ善良なる政府の役人におまかせしたらいかがでしょうか。
  124. 田中武夫

    ○田中(武)委員 よろしいわ、これ以上言うてもしようがない。
  125. 福田篤泰

    福田委員長 加藤清二君。
  126. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただいま時計がもう五時十八分くらいでございます。参考人のお方もだいぶお疲れのようでございまするので、私は要点をかいつまんでお尋ねいたしますから、答弁者の方も要点を簡単に答えるように御努力願いたいのでございます。  すでに今までの質疑応答によって明らかにされましたように、本法律は中小企業を救うために設けられた法律でございまするが、この法律は内容の包含する点からいきまして、およそ目的とは遠ざかってしまったということがはっきりしたと存じます。たとえば御承知の通り中小企業が苦しんでおるのは融資であり税金でございまするが、それには一向触れられていない。次には資材の問題である。特に原料高製品安という問題、あるいはその高い資材もなかなかに中小企業は狭き門で受け取れない。せっかく仕事をもらいましても、その支払い代金が非常に遅延をしている。系列下に入らなければどうにもならない。こういうような今日の中小企業の苦しみはこの法律によっては救われない。なぜかならば、税金の問題も融資の問題も、御承知の通り大体これは政府の施策によるところが多い。ただいまのお話によると、役員の選挙までも政府の良識にまかせるというような、まかせっきりの話なんです。これはどうにもならないということがこれではっきりしてきたわけなんです。ところで資材の面、仕事の面、支払い代金の面、系列の面、これは親企業との間の問題でございまするから、これは団体交渉をやらなければどうにもならない問題である。しかるに団体交渉は、今経団連の方がおっしゃるように、応じようが応じまいが、義務づけられていないのでございまするから、いやじゃと言われたらそれでおしまいなんです。結局この法律で残るところは何かというたら、組合が不況カルテルを結べる、こういうことだけである。不況カルテルを結べるということはどういうことかといえば、値段の協定をするということなんです。値段の協定をするということはどういうことになるかといえば、消費者に対して中小企業のしわ寄せをそっちへ向けて救われよう、こういうことです。もう一つ、団体の強制加盟によって仲間をある程度整理してもやむを得ないんだ、ついでのことに隣の生活協同組合を整理するのもやむを得ないんだ。欲をいえば兄弟の農業協同組合一つ押えてやろう、こういうことで本法律の団結権によって得られるところの効果は何かといえば、ほんとうに相手としなければならないものを対象とせずに、それはほおかむりをしちゃって、兄弟仲間を食って安全地帯になる、ないしはお客さんに向って値をつり上げて何とかしよう、こういうことなんです。それ以外に何かあったらお教え願いたいのでございます。今日の参考人の中でどなたでもよろしゅうございます。ところがわが党の法案はそうはなっていないんだ。わが党の法案はあくまで——経団連のお方が見えますけれども、隠していらっしゃるそのつめをちょいと出していただいて、そのお方と交渉をして、原料高製品安も、支払い代金の遅延のことも、あるいは工賃の値ぎめも相談づくでやろう、こういうことでございますから、わが党の法案の方が中小企業の難渋を救うのには持ってこいの法律でございまして、こんないい法律はない。参考人の一部の方も言われたんだが、そういうことが百もわかっておりながらなおかつ中政連案とか政府案団体法にたたかれながらもそちらへついていかなければならぬ原因が一体どこにあるか、これを一つ内藤さんや立川さんあたりの体験者の言葉として聞きたい。ぜひこれは正直に答えていただきたい。幸いNHKもおらなくなりましたし、新聞記者の諸君もいなくなりまして新聞にも出ないのでありますから、安心して一つお答え願いたいのであります。
  127. 立川豊

    立川参考人 加藤先生の御質問にお答えをいたします。先生はただいまこの審議を通じてこの団体法は不況カルテルばかりしかできない、それが究極の目的であるというふうにおっしゃいましたが、しかし中小企業組織化されまして団体ができますれば、政治的な発言が可能になって参ります。そういう点が出ませんければ、税金の面にいたしましても資金の面にいたしましても何らの解決は見出せない。われわれが生業を外にして社会党の皆様や自民党の政調会に参りましていろいろの陳情をするのも、組織化を通じてできるのであります。また法案第十七条の二項には経済事業をやることも許されておるのでありまして、今先生方の多数の御意見がありましたが、非常に例外的な問題を中心にいろいろな御意見を伺ったように思うのです。私どもはそういうことは全然考えておりません。まず業者が組織されまして、内部の教育をしまして内部の自覚によって順次与えられた自分たちの権限を広めていきたい、こういうことをいたしませんければ当然できないのであります。資材の確保の点においてもその通りであります。そういうような意味において、私どもは決して社会党御提案の組織法に反対をいたしておるものでもありませんし、また先ほども申しましたように、商業調整法案にいたしましても、あるいは卸と製造業者を規制して小売商を助けていこうという法案に対しても私は大乗的見地から賛成をいたしておるのであります。また産業分野確保に関する法案につきましても、あれは生産者の分野でわれわれがあまり論議することは差し控えますが、その精神においては賛成をいたしておるのであります。  どうかそういう意味において、団体法組織法との間には大きな開きがないのでありますから、もう一歩進めて何とか一致点を見出すように努力されたいことを重ねて申し上げます。
  128. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 立川さんはこの道の苦労人でエキスパートでいらっしゃいますからよくおわかりのことと存じますが、今のあなたの陳情にしても交渉にしてもですが、何としましても対等の立場に立たないと効果が薄いのです。百貨店の場合でも、下請代金支払いの場合でもそうですが、下請の方々はここへ来てものが言えない。言ったらあとでがつんとやられる。そこでいつも私どもが代弁しておるんだが、どなたから聞いたということも発表することを私どもは控えておるわけです。がつんとやられるからかわいそうなんです。ところでこの際法律ができるというのでしょう。そうしたら対等の立場交渉ができ、陳情はもちろんでございます。しかも相手が応諾の義務を負わなければならない。ごうすれば最も対等の立場になる。その方が一そう中小企業の団結をかたくすると思うのです。なぜかならば、妙味とうま味と効果が多いからでございます。そうなれば私どもの案の方がいいに違いないということはわかり切っておっても、なおそのことがはっきり言えずに団体法でもやむを得ません、社会党さんこっちへ歩み寄って下され、こう言わなければならぬ真意がどこにあるかが聞きたいのです。それを今度は内藤さんに聞きます。
  129. 内藤弥吉

    内藤参考人 私の尊敬する加藤先生にお答えをいたす機会を得ましてまことにありがとうございました。政府におかれましても自民党におかれましても社会党におかれましても、今日のままに中小企業を放置するならば中小企業振興育成はできない、何とかしてこの弱い立場にあるところの中小企業者に対して組織の力を与えてやろう、そして彼らが団結して内には自主的な調整をし、また一部経済行為に対しましては働きよいようにしてやろうというふうにお考え下されたものと存じまして、私どもはこの両案によりまして非常に感激と勇気を与えられたわけでございます。しかし私ども政府案に賛成するゆえんのものは二、三点にあるのでございます。それは先ほど参考人として私が申し上げた通りでございます。  まず第一の問題といたしましては事業調整の問題でございますが、政府案によりますと不当競争その他非常に困ったことがあったときにカルテルでお前たちはそういうときにおいてのみこういうことができるというような法律でございますが、社会党法案の中にはどうやら業種指定の問題があるようでございまして、全国に一万数千ありますところの商店街はこの業種指定の中に入っておりません。お前たちは組織せよ、団結せよとおっしゃっていただきますけれども、これは高ねの花にひとしいものではないかと私は思うのであります。  いま一つの問題は、組合の名において交渉する交渉権でございますが、あなた方はもし組合を作って大資本の者に文句を言うと、やられたときにはどうするかという御質問がございましたけれども、ただいま加藤先生は、お前たちは力の弱いものである、だから鉄砲だけを与えるのでなくてたまも少しくらいは与えてくれというのが言いたいところだと思いますが、残念ながら私は、社会党の案にはそれがないように思うのでございます。私は今まで社会党に対して非常に大きな尊敬を持ち、社会党は革新政党である、貧乏人の味方である、しかもわれわれの尊敬する知性の非常に高い諸先生がおられますので大いに期待いたしておったのでありますが、調整事業商店街はあまりできない、あるいは団体交渉の名における交渉もできない、また強制加入と申しますことが非常に問題のようでございますけれども、今まで組合を運営して参りまして一番困るのは、アウトサイダーに乱されて組合の育成がなかなかうまくいかないことでございます。現在、非常にわれわれの有効だと思います協同組合等におきましても、アウトサイダーというものについてはなかなかむずかしい面があるのでございます。しかし強制加入をせよと申しましても、法律上の非常に厳重な段階がございまして、簡単に強制加入などできるものではないと私は思うのでございます。せめて、こういうこともできるぞという隠し刀がほしいのでございます。今の法律についてこの面を考えてみましたけれども、いろいろの厳重な規制がございまして、強制加入強制加入と申しましても、気違いが——気違いというと語弊がありますが、簡単に力を与えられた者がその力をふるうということはちょっと困難ではないかと思惟するわけでございます。ただいま立川参考人が申されたように、政府案社会党案とは非常に差が狭まっております。何とか中小企業を育成してやろう、組織化してやろう、団体権をを持たしてやろうという厚いお気持の表われであろうと思いますので、どうか御両者で御検討下さいまして、一日も早くわれわれ中小企業者組織の力と団体の力を与え、自主的に団体を運営して経済活動を円滑ならしめるように、また中小企業が生きられるようにしていただきたいとこいねがう次第でございます。
  130. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 体験からにじみ出たりっぱな御意見を承わりましたが、一つだけ違う点があるようですから……。わが党案に小売関係のことがはずされているから、それできらいじゃというような趣きでしたが、これを一度よく読んでいただきたいと思います。環境衛生その他というのはコーヒー屋から何からみんな入っているのでありまして、その点は一つ誤解のないようにお願いしたいと存じます。話がそこまでいきましたからお尋ねしますが、小売商で今度やれますことはどういうことかというと、販売の制限と価格の協定なんでしょう。私どもは団結するということに反対しているのではないのです。私どもは団結した効果を一そう表わしてあげたい。そのねらいをどこに定めるかといえば、それは兄弟仲間の業者を整理するとか、あるいは小売値段をつり上げたり、消費者を苦しめるということだけでなく、むしろ困っていらっしゃる原因の原料高製品安とか、あるいは品物仕入れのときの値ぎめ、この交渉がまず一番大事である。特にメーカー部門における下請はこれが一番大事である。そこで、これにほんとうに実力を与えるには団体交渉権を与えなければだめだということ。保守党案だと、こっちは応じてもらいたいといっても応じなくてよろしいということになっている。あえて法律語を使わずに一般語に翻訳して言うているが……。そこで、そういう権限は付与された方がいいではないか。にもかかわらず、付与されない方の案により多く賛成なさって、私らの方の案をそちらへ歩み寄れ、こうおっしゃる真意は那辺にございますかと聞いておるのです。ピントをはずさぬように。
  131. 内藤弥吉

    内藤参考人 お答え申し上げたいと存じます。組合交渉権というのは団体法にもあると思うのでございますが、さように考えておったわけであります。いま一つの問題は、商店街及び商店は、価格の協定とか二つくらいだというようにお考えのようでありますが、実はかようなことも考えたのであります。われわれは消費者のためにある団体で、消費者あってこそのわれわれでございますので、われわれの信用を回復し、消費者のために何とかいたしたいというのでお互い正札の励行とか、正量販売とか、品質の表示とか、従業員の保健衛生のため営業時間とか休日というような問題も考えてみたいと思っているわけでございます。
  132. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 やはりこの問題は何度尋ねても答えられないのは、百貨店法のときも、下請代金の支払いを促進してあげようとしたときも同じである。ということはどういうことかというと、ここで発言すればあとで圧力が加わるということなんである。それをおっしゃらぬだけである。その圧力を排除することがほんとうは中小企業自主独立を助け、経済的にも向上させ、人格的にも向上させるということになる。それが没却されてはこの法律が通ったって骨抜きである。従って、百貨店法と同じように、通ったとたんにまた修正して下さい、こういうことを言うて来なければならぬようになることをおそれるわけでございます。  そこで二番目にお尋ねしたい。簡単に尋ねますから簡単にお答え願います。  政府案として提出されているものは、聞くところによると鮎川さんの原案が相当入っているというお話でございますが、鮎川さんの原案は本案にどの程度盛り込まれたのでございましょうか。また鮎川さんの中政連としては、団体交渉権はなくてよろしい、相手が応じなくても仕方がない、効果がなくても仕方がないとお考えでございましょうか。この点、お伺いいたします。
  133. 城戸久

    城戸参考人 私どもが最も最初から主張しておりましたのは、義務加入と団体交渉権の二つでございます。われわれとしてはこの団体法案に満足という点まではいきませんけれども、一応これを織り込んでいただいておりますので……。私どもはそれだけを主張してきておったのでありまして、中小企業振興審議会においても同様のような意見も出ておったようでございまして、政府でそれを調整してもらったのでございますが、われわれとしてはもう少し強いところに持っていっていただきたいというふうに考えます。
  134. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ごもっともな御意見だと思います。真に中小企業の苦しみの実態を知り、その実態をより多く救おうという熱意にかられているんならば、必ず答えは一致するはずでございます。ただ問題は勇気があるかないかだけのことでございます。  そこで次にお尋ねいたしまするが、本法案がもしかりに通過したとすると、各県に連合会ができ、その各県の連合会の中央会——名前はどうなるか知りませんが、全国的な統一されたものがここにできる、こう思いまするが、その組織ができたときの役員の構成でございまするが、どのような御計画がございますか。ボス支配になりはしないかという心配があるからであります。
  135. 城戸久

    城戸参考人 それは各県で一応自主的にきまるのでありまして、われわれとしてはその点についてはノー・タッチでございます。
  136. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あなたが帝国石油をわざわざやめてこちらへいらっしゃって、鮎川さんが相当な私財を投入してやられたが、その点は私は敬意を表しております。しかしそれはあくまで生みの親として、産婆役として携わっただけで、あとはお引きになりますか。
  137. 城戸久

    城戸参考人 その点つにいてお答え申し上げます。私はまだ帝国石油をやめておりません。  それともう一つは、中小企業政治連盟は政治結社でございまして、今度できる、団体中央会というものになるようでありますが、その方とは別個でございまして、われわれとしては、まだこの次にやるべき税金の問題、金融の問題、社会保障の問題、そういうわれわれの掲げておるスローガンを次々に皆さんの御協力を得て達成したいと思います。
  138. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 質問の要点を答えて下さいよ。あくまで中政連の現幹部は産婆役であって、でき上るものの幹部にはならない、こういうことでございますか。息のかかった人が入るか入らないかということでございます。
  139. 城戸久

    城戸参考人 それはわかりません。各業界の方で選挙されてなる方があれば、それを無理にとめる必要はないと思います。
  140. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 大体わかりました。推されればなるということでございますね。
  141. 城戸久

    城戸参考人 その人がなるならば、それでよいと思います。
  142. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 先ほどボス化するかしないかの問題について同僚議員から質問がありましたが、その点には触れませんが、あなたのところでもしかりに推されてなった場合に、今度はそういう憂いがあるかないか。お答えのいかんによっては追って質問をいたします。
  143. 城戸久

    城戸参考人 私は民主的に選出され、運営されるのであれば、別にそう心配するようなことはないと思います。
  144. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 心配することがないとおっしゃるから私はあえて聞かなければならぬことがあるんだ。ボス化には絶対ならないように努力するとお答えになったら、私はやめるつもりだった。そうなればやむを得ぬから、あくまで私は具体的に申し上げる。あなたはバンブー・チャイナ事件を御存じでありますか。
  145. 城戸久

    城戸参考人 私は現在中小企業政治連盟の一使用人でございます。そういう次の中央会というか、団体中央会の問題等について、われわれがそれを何とかしょうというような考えはありません。ただわれわれとしては、もし通りますれば、これを手助けして指導育成に尽力すべきだと思います。
  146. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あなたの答弁いかんによっては、これはもっとはっきり言わなければならない。だから聞いているのです。何だったら記録をやめていただいてもいいのですよ。中小企業を助けるという目的をもっておやりになったということですが、実は鮎川さんの考えざる方向に向いつつある。その結果通産省と外務省とがどえらいトラブルを起したという事件もあるのです。もっと手軽なところから申し上げてみましょうか。あなたの方でかって百貨店法の制定、百貨店横暴反対ということで大会をおやりになりました。その大会の引出物が何と百貨店の白木屋のふろしきであった。まるでナンセンスですよ。これは係の方の間違いだということで笑い話で済んでいるんです。ところがバンブー・チャイナ事件というものはそんな簡単な問題ではない。あなたの方が中小企業を助けようとテストケースとしておやりになったその産卵式のトンネルがまがやがて周辺の零細企業を殺し、そのディナー・セット以下のアメリカ輸出の高級セットに大きな影響を及ぼした。そのことはやがて外務省と通産省との大きなトラブル事件になった。なぜそこまでいくかといえば、鮎川さんのようなどえらい人がうしろについておりまするので、あなたは民主的に話し合いできめるとおっしゃるが、それがなかなかきまらぬで、お役人さんに頼んでもなおきまらぬで、ついに片一方の方はアメリカへじきじきに調査に行こうじやないかということになってしまった。事実行ったんです。そういうことまで起きるんです。何もボス化を意図しておやりになったのではないのですね。私は鮎川さんのこの努力とこの誠意とこの中小企業に対する愛情に満腔の敬意を表している。しかし親心子知らずで、その鮎川イミテーションの人たちがやられますと、ついついそういうことになりがちである、こういうことを申し上げたいのであります。せっかく法律によって中小企業を守ろうとした、それが踏み出るだけではこれは問題だと思うわけでございます。  そこで最後に、きわめて御熱心であるという点に敬意を表しつつ私は承わりたいのですが、今国会にどうしてもこれを通してくれという陳情書が私の手元にも参っております。皆さんの議員さんのところにも来ているだろうと思います。これは聞かなければならぬと思いまするが、きょう一日の審議によっても明らかな通り、これに対しては意見が幾つかある。具体的事実の把握も正確にするには向う三年かかると中小企業庁の長官はさきに答弁をしておる。実態が何ものであるかもわからずに、なお大急ぎでやってもらいたい。それから商工会議所の方は早う何でもいいから着物を着せてくれとおっしゃった。これも一つ意見として私は傾聴いたしますが、何がゆえに、具体的な実態もあいまいもことしているときに、早くこれを通してしまわなければならないのか。これは中小企業を守るための中小企業の憲法なんだ。だから私は慎重審議検討して、それこそあなたのおっしゃる通り民主的に世論のおもむくところをよく見て、実態の弊害をよく見て、すっかりこれを除去して、理想の形態において通してみたい、こう思っておりますが、なおかつ、どうぞ早うやってくれと、電報がくる、はがきがくる、それから白だすきをかけていらっしゃる。それが主として中政連関係の方が多いようでございますので、その真意のあるところを陳情の人に聞いても十分に回答ができない。そこであなたにこの点を御回答願いたいのでございます。なぜか。町に声あって、陳情は社会党、投票は保守党、功績は中政連、こういう声がありまするので、あえてお尋ねするわけでございます。
  147. 城戸久

    城戸参考人 先ほども御披露申し上げましたように、中政連の提案しました団体法期成同盟が会員が一千万以上ということに一応なっておりますので、その中には、いろいろの人もおるでしょう。そういう知らぬ人間で使いで来る人間もおるかもしれません。非常に会員が多いために、そういう点もあるかもしれませんが、いずれにいたしましても、社会党にしましても二月十三日に組織法案という中小企業法案を出していただいておりますし、また政府からも中小企業団体法案が出ておるのでございまして、その内容検討いたしますと、そう大した違いはない。一点か二点か重大な点が違うところがあるようでございますけれども、そういう点も、皆さんは何とか中小企業者のレベルを上げてやらなければいかぬという点においては一致しておるのでございますから、両党におきまして一つ十分御検討願いまして、何とかして今国会に通してもらいたいということは、われわれ中小企業者も非常に熱望しておりますから、ぜひ両党で御相談していただきまして、ぜひ今国会において通過させていただくよう、一つお願いする次第であります。
  148. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私の尋ねている真意にお答えがいただけなかったようでございまするが、まあ言われるまでもなく、私ども委員会は与党野党を問わず、中小企業のためには非常に熱心でございます。ああしてくれ、こうしてくれと口にしながら、たった一日のしんぼうができない陳情者もおありのようでございまするが、私どもは今回だけでも、一回や二回ではございません、夜が明けても暁の国会でもやろうと覚悟しております、そのゆえんのものは、より中小企業を助けようと思えばこそでございます。またこの努力はきのうきょう始まったわけではございません。それはあなたの両わきにいらっしゃるお方がよく御存じのはずでございまして、過去もしかり、現在もしかり・また将来においても、中小企業がほんとうに繁栄するのがやがて国家経済の基礎と考えている私どもは、国家の続く限り中小企業のために努力しよう、こう思っておるわけでございます。従いまして、今後もあなたの方もよく連絡をとって、一つ真に中小企業のためになる法律を作ろうではございませんか。ではこれで……。
  149. 福田篤泰

    福田委員長 参考人各位には御多用中のところ、長時間にわたりまして種種御意見を承わり、本案の審査に多大の参考になりましたことを、厚く御礼申し上げます。  本日はこの程度にとどめます。次会は明二十五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後五時五十五分散会