○春日
委員 これは
調整組合の
機能の効力を
確保いたしますためには、
政府はこの
加入命令が必要である、こういう工合に
考えて、
法律ではそういう工合に構成されておるわけであります。ところがこれは昨日の一日がかりの一問一答によりまして、それが独占
禁止法に照して適法であるか、どうであるか、これはお聞きいただいておりました方々については大体御了解が願ったのではないかと存ずるわけでございます。肝心の
公正取引委員会が、これでは困る、肝心の
独禁法の番人、船頭さんがだめだというものをやってはいけない、これは昨日の論議を蒸し返して参りますれば、また大へんな時間を要しますので、やめておきます。さすれば
社会党案は、それに
反対する限りにおいては強制加盟はいけない、いけなければ、その効率を高めていく上においてはどうするんだ。結局肝心の水をすくうざるが穴だらけで、水がちっともすくえなければ役に立たぬじゃないか。へそ曲り、あまのじゃくがおって、アウトサイダーとして
調整組合の結成をせせら笑っておっては何にもならぬじゃないか。これはしかく御指摘の
通りであります。当然私
どももこの広範な二百何条にわたります
法律を作りました限りにおいては、問題のかなめはそこでありますから、それについてはあまねく考察をめぐらしまして、万全を期するようにいたしておるわけであります。
社会党案によりまする強制加盟に関する
政府案の対案として
考えております点を申し上げますると、私たちは
員外者に対する
団体交渉はただいまの第百一条の第二項で行います。
組合に加盟して下されば問題ありませんが、
組合に加盟して下さらない場合は、今度は百六条第一項によりまして、
中小企業調整委員会に調停の申請を行うわけであります。そこで調停を申請しても調停が妥結に至りませぬ場合は、さらに今度は百二十一条によりまして、
中小企業調整委員会に裁定の申請を行うわけであります。そうすると、この
中小企業調整委員会は学識経験者、それから
業者、それから
消費者その他いろいろから構成いたしまするところの
一つの国家的機関でありますから、これが関連
業者、
消費者その他いろいろな
立場から公正に判断をいたしまして、そしてそこで裁定を下すわけであります。裁定が下って、これは
加入しなさい、こういうことに相なるわけでありまするが、そういたしますると、その各段階において御本人は、こういうわけだから私は加盟できないんだという自分の主張を十二分に述べる機会が与えられるわけであります。たとえば昨日の例で申しますと、服部時計さんを中心とした時計の
組合が、柱時計は一個二千円だ、こうかりに
調整計画の中で決定したといたします。そうすると、その
組合外のアウトサイダーとしてとどまっておった人がどうしても服従できない
理由を述べます。私の機械は悪い、私の材料は悪い、私の工員は安い賃金で働いておる。従って私の作った品物は悪いんだ。悪いものが安いのは当りまえだ。安いから私の品物は売れていっているんだ。こういう公正なる
立場、
経済的に正当なる
理由をあげて、あらゆる機会に自分の主張を述べることができるわけであります。そういたしますると、調停の場合におきましても、これは裁判のような形式をとるわけでありますから、
組合の申請が正しいか、アウトサイダーの主張が正しいか、これを第三者的
立場かつ国家的任務をしょったその機関がいろいろと検討いたしまして、そして調停が妥結されねば裁定に持っていって、そこで裁定が下される、こういう形になるわけであります。裁定が下った場合には民事契約が締結されたものとみなしておる。こういうわけでありますから、昨日申し上げました
通り、私
どもはやはりあらゆる不況に対処するための協同行為にはアウトサイダーが必要にして欠くべからざるものである。これは乗りものに対するブレーキと同じように、ブレーキなしに走れば行き過ぎになって危険である。はかるべからざる事態が予想されるので、そのためにアウトサイダーが必要であるが、ただ不公正なるアウトサイダー、あまのじゃくやへそ曲りやあるいはみんなが高い値段で協定するのに対して、自分だけが安い値段で
販売することによって、その
組合員のお客を自分が横取りしよう、こういうような不公正な
人々に対しましては、この
団体交渉によって
組合に加盟していただくためにいろいろな手続規定がここにとられておるわけであります。そういうような工合で、私たちはやはり政治に民主主義が大事であると同じように、
経済の場面でも
反対者の
立場、少数者の
意見——経済の構成は種々雑多でありますから、その一
人々々の
意見が公正に反映できるという態勢を
確保していくのでなければ、自由
経済のもと、資本主義のもとにおいては、とんでもない一部の強力なる
中小企業者が、あるいは
一つの権力を持っておる者が、あるいはまた
組合をいろいろな手によって懐柔をした不公正な指導者が、その
経済活動を通じて誤まったまた不公正な
経済的な結果を招来してくるおそれがある。こういうことで私
どもはこういう三段階の手続を経るのでありますが、
員外者が
組合に入っていただかなければならない、こういう態勢をここに
確保いたしたわけであります。
なお申し上げまするが、私
どもの
法律は特に第二条におきましてこういうことをうたっておるわけであります。この点は特に重要な問題でありますからお聞き取りを願いたいと存じまするが、この
法律に対する
政府の義務といたしまして、
政府は、この
法律の目的達成のために、
中小企業者の組織化と経営の合理化を促進するために積極的の
措置をとれ。いうなれば行財政の施策を網羅して、そして補助金、助成金、必要なものをどんどんとここへ注入することによって、すなわち国家の行財政の裏づけによって、この協同行為が大いに
経済的に効果を上げていけるようなことが述べてあるわけであります。従いましてこのことは、いうならば強制加盟とかなんとかということでなく、
組合へ
加入することによって
業者がはなはだ得をする、
組合へ
加入するにあらざれば共同
施設も利用できないし共同金融もなかなかうまくいかないというようなことで、
組合へみな加盟したい。しなければハンディキャップがあって競争できない。希望
加入と申しますか、入れてくれといってみな入る志願
加入と申しますか、こういう形で、そういうような魅力によって第二条を裏づけさしていかなければならぬ。こういうところに非常に妙味のある
法律構成に相なっておりまして、
政府案は第二条がありませんから、ただ
組合が神経みたいなもので、血も肉もない。ところがわが党は第二条によってここに血肉を流してやる。そういう魅力たっぷりな
法律でありますから、強制加盟というような事柄は必要ではありませんが、あまのじゃくを律するためにはただいま申し上げましたような
措置によってやっていきたい、かように
考えます。