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春日委員 その程度の御
意見は、これは中学生の
公式論みたいなもので、私
どももかねて承知いたしております。
基本的人権が
公共の
福祉のために
制限をされた場合の
事例はたくさんあります。たとえば現在におきましても、
国家経済の権威ある
角度か
らいろいろ必要が生じた場合、それぞれの
経済行為の中においても、たとえば酒、たばこの
販売については
許可認可とか、あるいは
輸送事業、タクシーその他についても
許可認可とか、いろいろそういう基本的な
営業権といいますか、
職業選択の自由の
原則等においても、現実にそういう
事例はあります。けれ
ども、これは
特定少数の、その
事業そのものが
国家経済のために、
公共の
福祉のためにという
角度か
らいろいろ判断されて、その
業種だけを指定して、あらゆる
角度から判断して、それが
消費者の
利益を阻害しない、
基本的人権を侵すことはない、そしてそのことを
制限することなくしては
公共の
福祉が保ちがたい、こういうときにのみ、そういう特殊の
立法と申しましょうか、特殊の
調整が行い得ておるのであります。ところが私
どもが指摘せんとするところは、今回の
法律は不
特定多数、一切の
業種、一切の
経済活動に対してやる。従来の
公正取引委員会が、少くともこの
公正取引の
生命とも目さるべきこの第二十四条の三の四の四・これが圧殺されるということに対して非常な危険をすら訴えておるわけであります。従いまして、今
大臣の
答弁によりますと、
司法書士とか、あるいはまた
弁護士とか
——私はかつて
大蔵委員会に席を置いておりましたが、
先国会においては税理士の
強制加入の
法律も作りましたが、これは
一つの
経済行為——これが果して
経済行為と目し得るかどうかは、これは別問題でありますが、かりにその
弁護士の活動やあるいは
司法書士の活動や税理士の活動を
経済行為と仮定いたしましても、これはいわゆる
経済の流動の面において総合的な、有機的な関連性を生じてはいない。私
どもが指摘せんとするところは、そういう
特定のものについては、そのもの限りの判断において、いろいろと支障があるかどうかを十分に検討して、これは
公共の
福祉のために、あるいは
基本的人権を尊重する
憲法の
原則の立場において支障なしとして
法律を今まで通してきておる。ところが今度はこれは一切の
経済活動に対して、これを
禁止しよう、この
法律を殺してしまおう、こういうことでありますから、これは問題が非常に重大であると
考えるわけであります。私はあなたに警告的といっては語弊がありますが、特に申し上げたいことは、何といっても
公正取引委員会は、さきにも申しました
通り独占禁止法の船頭さんなんです。
わが国の
経済を船に乗せて、
公正取引委員長が
国民経済の健全なる発展の方向へとにかくかじをとっておる、そのかじとりが言っておるのです。第二十四条の三の四の四、これを無視したらとんでもないことになるのだ、いうならば、この川をこんな方向へずっと進んでいったら、この川の先に滝つ瀬があって、船がそこから滝の中へ転落してみんな死んでしまう。
わが国の
経済はおおうべからざるところに突入するおそれなしとはしないと指摘しているのです。
私
どもはただ一個条の
法律論ではない、
わが国の
消費生活者の将来、
わが国の
経済の将来を深く案ずるためにこのことを論じているのです。だからお互いに面子にこだわらず、いうなれば、胸襟を開いてこの問題を論じ合わなければならぬと
考えますから、
一つそういう気持で私の
質問に対しても、とにかく、よってもたらされるであろう
経済的な
影響、これをいろいろと、あなたも自民党の
政策の総元締であられたのでありますから、当然
経済現象についてはくろうとであろうと思う。ですから、よってもたらされる
経済的な
影響をいろいろと御想像願って、そうしてともにいい結果を得ようではありませんか。もとより
政府与党といえ
ども、
わが国の
経済をこわしてやろうと思ってこんな
立法をされるはずもない。けれ
ども、はからずしてそういうような結果になれば、これはあとになってどうすることもできない。岸さんがかつて商工
大臣当時、価格統制をやった、あるいは物動計画をやった。
中小企業をみなこわしてしまって炭鉱へ追いやった。今度平和になって、いざ日本の産業を再建しようと思ったときに、みなスクラップにしてしまっているものだから、ドイツ、イタリア等の再建の
実情に比べて、日本の
経済は数年立ちおくれた。これは岸さんの作為の悪ではない。不作為の悪です。結局あなたが今よかれかしと
立法せんとしておられても、かつて岸さんが経験されたように度を過ごしたことをやったら、あとの後悔先に立たず、迷惑を受けるのは
国民だけです。この立場から
一つこの問題を
考えなければならぬ。そこで私は
加入脱退の自由の
原則について、この二十四条の三の四の四、特にこの
規定があるということは、アウトサイダーの存在というものが
カルテル行為のためには必要にして欠くべからざるものではないかと私は
考える。私
どもこの
中小企業組織法を
立法する過程において、特にこの問題を取り上げて探究をいたしました。たとえば自動車がブーツと走っていく、ブレーキなしで走っていく。そうすれば事故は免れない。私たちがこの
組織法を
立法するときに、これは公正なる組合協定が発せられても、へそ曲りなアウトサイダーによって組合の協定が服されなければ、せっかくの
調整行為はその効果を失う、この場合、
加入命令か何か、そういう
権力の介入やむを得ないのではないかと、あなた方がお
考えになったとほぼ同じようなことも
考えてみた。ところがそのことは結局その協同組合は自分の
事業の安定をはからんとすることのあまり、たとえば
生産数量の
制限の場合も同様でありますが、たとえば価格協定の場合、十円で売れるものを十一円にしようと、ともすれば群衆心理で度を過ぎたところの結果を見る場合がないとはいえない。そういうような場合、アウトサイダーがおればそれがブレーキをかけましょう。そんなことはやれません、そんな高い値段では売れませんということを、アウトサイダーがおって組合のその協定にブレーキをかけていく。ちょうど自動車でも自転車、でも何でも、ブレーキなしで走ったら危険を生ずると同じように、アウトサイダーなしのこの
カルテル行為は、これは特に行き過ぎる。そうしてまた
経済人の持つ
一つの習性が、ともすれば行き過ぎになりがちになる、そういう習性を持っているのです。もうけんかなという、より一そうもうけたいために、全部インサイダーになってしまえば、ブレーキなしに走ってしまうという懸念を生ずる形になって、そうして結局値段がはなはだ暴騰してしまう、
品物が悪くなってくる、こういう形になりはしないかということを案ずるのだが、
公正取引委員会の
事務局長は、この第二十四条の三の四の四、特にこれが必要である理由を
一つ法律的にも、また
経済現象の
一つの
事例をもあげて、この際特に今までこの条文を厳粛に守ってこられたところの理由を明確にお述べを願いたいと存じます。