○帆足
委員 政府の方でそのように積極的な御協力がありますならば、中国との貿易は、世間の一部で過大に評価されているほど大きなものではないが、また一部で過小に評価されているほど小さなものでもない。かりに
日本貿易の総額の二割とすれば輸出入合計十二億ドルになります。しかし二割までいくことは容易なことではありませんが、一割になることは当然なことだと私は思うのです。しかし一割としましても三億ドル、輸出入合計六億ドルというわけでありますから、これは非常に大きな数量でございます。また三億ドルといえば、非常に大きな人口を養うだけの数量で、三千万ドルで百万人養うとすれば、七百万人養うほどの貿易でございます。子供に換算すれば一千万人近くの子供を養い得る貿易額でありますから、やはり非常に熱意を持ってやらなければならぬ。最小限の熱意と誠意をもってやらなければならぬ
日本国民の課題であると思います。中国貿易のことのみ
考えて、東南アジア貿易の重要性とか、また今輸送機関が非常に進歩しましたから、ヨーロッパ、中南米、アメリカとの貿易の重大性を忘れる人が一部におることも私は存じておりますが、そういう
考えは間違っております。
日本は海の国であって、アメリカ、中南米、遠くはアフリカ、ヨーロッパ貿易まで非常に重要である。そして東南アジア貿易もさらに重要である。たとえていえば、アメリカその他の貿易を三割とすれば、東南アジア貿易は三割、北アジアの貿易が朝鮮台湾を含めて三割くらいになれば、それは三、三、三その他一で理想的均衡状況であろうと思います。しかし大臣も御
承知のように、原爆は水爆の時代に移りましたし、ことしからジェット機はもはや誘導弾に移っております。これは驚くべき歴史の変化です。私は五年前に、世界の陸軍は、大体その存在は消えていると思っていましたが、二年前に世界の海軍はほぼ消えた。そしてことしになって世界の空軍はほぼ消えてしまって、今残っているのはロケット砲と水爆だけです。
日本の四百万の軍隊が消えたと言いますけれども、あれは原爆のショックで消えましたが、世界の軍隊が消えておること、あたかも何百光年前に消えた恒星の光の影を私たちは見ているだけであって、現在世界の軍隊というものはほとんどなくなっておる。そしてその影を見て、残務処理をしておるにすぎない。やがて私の言ったことが真理であるかどうか、五年後、十年後には私どもの網膜に映る、手にさわるような形に現われてくると私は思うのです。なぜこういうことを申し上げるかというと、世界の経済は、軍事費というもの、それから軍需経済、兵器工業というものが
相当の部分を占めておりました。それは経済循環の大きな要因であったわけです。しかし天下の大勢は、すでに聡明な英国がこれを示しておりますように、やはり軍備縮小の
方向にいき、最後に残るのはレーダー、ロケット砲、原爆、そしてそれはある
段階がくると思ったほどコストがかかるものではありません。そしてその均衡のために世界は恒久平和の
方向に向うであろう、これはだれしも予想しつつあることです。そうなるとすれば、その平和に向いつつある世界において最も重要なのは、やはり平和貿易ということになる。今日貿易に対して必要な手を打たない
国民は国際場裏において取り残される。いわんや、原料の大部分がなく、食糧の三割が足らぬ小さな島の中に非常に多くの一億近くの人口を擁しておる
日本としましては、貿易に対しては私はさらにさらに大きな関心と積極的態度を寄せる必要があると思う。これは
一つは北アジア、
一つは東南アジアの二つに課題があるわけであります。決して中国貿易だけではなくて、東南アジアにもっと大きな手を打たなければならぬ。東南アジア貿易に対してこそ超党派的な議員連盟のようなものが必要ではあるまいか。これらの国の何割かは、御
承知の
通り社会主義政権でございます。また長い問貧乏をし苦しんでおった政権でありますから、保守党の諸君よりか
社会党に感覚的に近いものがあることは諸兄の御存じの
通りであります。従いまして、東南アジアの貿易について
社会党の発言やその特殊の時代感覚などを大いに超党派的に活用していくということは、これは
国民的に見まして有利な点であるので、今後は日印協会とか、インドネシア協会とか、ビルマ協会などに、単に保守党の方々のみではなくて、合理的な革新政党の人も積極的に参加して、両々相待って東南アジアに対して目を開く必要がある。もっと適切な手を打ち、もっと
日本を理解してもらい、彼らの国を理解する必要があることを、私は数次にわたる東南アジアの旅行で一段と痛感をいたしたのであります。それとともに中国に対しても合理的な手を打たねばならぬということでありまして、私ども口を開けばいつも中国貿易、中国貿易と、その万能を言っているわけでは決してないのでございます。その点は大臣におかれてもよく御理解を願いまして、必要にして適切な実際的な手を、今後とも打つことに御協力を願いたいと思う次第でございます。
最後に武漢、広州で今年の暮れ見本市を開くことになっておりますが、昨年は六千万円の補助金をいただきましてかろうじて経費をまかなった由で、これは厳重な監査を通産省当局にしていただくように、私は最初からお願いしておきましたが、幸いに収支つぐなって、予期以上の成果をおさめたということは御同慶の至りでありますが、それでも中国側から金にして六、七千万円くらいの労力出資または事務所等の協力があったわけでございます。今年は広州と漢口でいたしますが、秋には英国もまた大展覧会を開くことになっておりますので、私は英国に負けないように
一つお願いしたいと思うのです。経費などの点でこれでは多少苦しいのではないかと思います。と申しまして通産省の予算を急にふやすということも困難でございましょうから、各
地方庁で昨年も非常に出品を助けたのでございますから、通産省当局としましては、
地方庁とも密接な御連絡をせられまして、適当な費目で
地方産業奨励の若干の補助金などもお
考え下さいまして、そうしますれば通産省がそれほど熱心であるならば英国その他の国、チェコスロバキア等の展覧会に負けないように協力しようということで、
政府の方で御奨励になった金額のまた何倍かを、
地方では特に産業を尊重する府県では、支給することもできる、こういうふうに議員連盟の方たちも申しておりますから、その辺のところを御
研究下さって、各
地方庁と十分御連携下さって、世界に誇るべき、中国にぜひ見せたいというようなよい商品を御発見下さって、欧州並びに東欧諸国に負けないような展覧会にしていただきたいと思います。それにつきまして通産大臣の御所見を承わりたい。