○
岩武政府委員 第一点は、東北
地方の需給関係がいつごろになれば安定するかという
お話であります。実はこの需給関係の安定という問題は、われわれとしましては非常に予測の困難な問題でございますので、一応東北
地方では将来この
程度の需用が伸びるだろう、それで大体他地区からあまり融通もなくて何とかする方法
いかんということになるわけでございます。御
指摘がありましたように、大体夏場は現在でも東北
電力はむしろ東京に送るような
状況であります。冬場の
電力が足りないということが現在の問題です。それで実は昨年末に
電源開発計画を改訂いたしました際に、東北の方もその中に入れまして、大体三十五年末になれば何とか格好がつく様子になるのじゃないかという一案を作ったわけでありますが、これが完成いたしまして、そのときに大体われわれ考えておりまするような需用の増加でありますれば、あるいは一応安定するかと思っておりますが、そういうふうにここで申し上げましても、また需用の増加が違ってきますれば、また足りないということになるわけでありますので、あまり大丈夫だとは申し上げたくないわけであります。御参考までに申し上げますと、東北
地方の一番の問題点は、非常に大口産業の増加率が高いということであります。再編成後の二十六年以来の
状況を見ますと、大体大口の産業が約五倍半くらいまでふえております。こんな傾向はよその地区にはございません。大体二倍半くらいのところでとどまっております。ひとり東北だけが五倍をこえておるということは、東北
開発の進展の結果と思っておりまして、非常に喜ばしいことでございますが、同時に電気の方から申しますと、そのピッチに追いついていけないという
状況でございます。今申し上げましたように、何とかやや安定した形を得ようと思ってせっかく努力しているところであります。
それからもう
一つつけ加えさせていただきますれば、冬場の
電力が足らない方策の
一つとしまして、やはり東北
地方も他
地方と同じく火力
発電をもってこれに当った方がある
程度需給の緩和になるのではないか。といいますのは、
水力ばかりですと、大体冬場は三分の一以下に落ちてしまいますので、火力をもって常時運転をいたしました方が安定するわけでございまするから、そういう計画をもちまして、昨年のちょうど今ごろでございますが、八戸に火力
発電を作ることに決定いたしました。明年の夏に運転開始の予定でございます。十五万キロでございまするから、ある
程度冬場の方も安定するかと思っておりますが、追っかけましてもう
一つ、仙台の郊外にやはり十七万五千キロの火力
発電を明後年あたりに完成させる予定で、目下工事を急いでおります。この二つができますれば、あるいは冬場のことも、只見系統の完成と相待ちまして、やや安定する、こういうふうに思っております。
それから料金関係の問題になりますると、御
承知のように現在東北
地方の料金は、平均いたしまして、全国の平均よりも約二割方安いわけであります。現在の料金の基礎になっておりまする原価が、平均しまして全国は五円十銭となっておりますが、東北はキロワット・アワー四円でございます。約二割安いのであります。ところが今後そういうふうな
水力を作りあるいは火力を入れて参りますと、これはどうしてもこの原価が上っていく
方向ではないかと思っております。どの
程度上るかということはわかりませんが、東北
地方の今後の新規の
水力あたりを見ておりますると、他
地方と比べまして、大体は建設費あるいはキロワット・アワー当りの原価も同じでありますが、それにいたしましても、現在の
水力の既設のものよりはかなり高いのであります。火力の方も既設の
水力よりもだいぶ高い。従ってこれはだんだんに上っていくというふうな
方向になるかと思っております。ただ目下の問題はその前にありまして、三十二年度の東北の需給を安定しますためには、火力
発電ができるまでの間のつなぎでございまするが、どうしても東京その他の地区から相当大幅な融通を受けませんと、とてもやっていけないという
状況でございます。これは四月から六月までは何とか東北自身でやっていけますが、夏場といいますか七月から渇水期が始まりまして、三月ごろまではなかなかむずかしいだろうと思っておりますので、このために東北に対してその他の地区から九億キロワット・アワーの融通を行なっております。われわれといたしまして、この原価が現在の料金原価よりも相当高くなるかと思っておりますので、これだけ東北では原価増の原因となる。ところが東北
地方で一番増加しておりまする大口産業のごときは、平均しまして大体キロワット・アワー二円当りの供給料金であります。そういたしますと、かりに四円くらいで買ってきましても、これに送電費を加えれば四円五十銭になりますが、約二円以上の逆ざやになり、それだけ
電力会社の損失がふえるということになりまして、この辺から考えてみますると、やはりある
程度経営を安定させますためには若干の値上げはやむを得ぬじゃないかと思っております。ただこれはまだ正式の申請書が出て参りませんので、どの
程度の幅になりますか、目下のところ実は予測がつきかねますが、いずれにしましても、かりに出て参りましても、われわれとしましては、東北
地方は由来料金の安いことで産業を維持しておりますので、少くとも東京よりは安い料金にしなければいかぬ。それからもう
一つは、ある
程度持続する料金でありませんと、毎年毎年変えるということでは困りますので、少くとも三年間くらいは持続するような料金体系にしなければいかぬだろうかと、こういうふうに考えております。実はまだあまり資料が出て参りませんので、具体的なお答えはできませんが、そういう
考え方でおるわけでございます。
それから全国七社化とか再々編成ということになりますると、融通の問題についてはあるいはその方がいいかと思いまするが、いろいろ各地の原価が違いまするので、そういたしました方が東北
地方の安い料金が維持できるかどうか、これはちょっと疑問であろうかと思っております。