○
岩武政府委員 第一点は
供給区域の
法的独占をどういうふうに扱うかという御
質問でございます。御
承知のように、
供給区域は戦前にありましては重複いたしておりました。極端な例を申しますと、東京の
品川あたりでは、玄関の
電気は東京
電力で、二階の
電気は別の、当時は何
電力でありましたか、
名前は忘れましたが、そういうふうに極端な競争をしておりました。これは結局
供給独占ということが法的に認められなくて、
重複設定をいたしました結果そうなったのでありまして、その結果非常なむだが起ったことは御存じの
通りであります。それで
国管時代を過ぎて九
電力ができましたときに、現在の
規定にありますように
供給区域を
重複設定しないということが
法律上はっきりうたわれておるのであります。そういうふうないきさつのある問題でございまして、現在も九
電力のほかに地域を限っては
一般供給電気事業者がたしか十ばかりあります。いずれもきわめて小さい
島等でございますが、そういうところで今度の
事業法案に際しましても
供給区域を
重複設定するということは、これは
お互いに
国家経済的に見てむだでございます。従ってむだにならないようなところであれば、あるいは新しく
供給区域を設定してもいいじゃないかというふうな議論もありますが、その辺は法文上の問題というよりも、むしろ実際上の運用で処していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
それから
県営の
電気の問題でございますが、この問題につきましては、実はいろいろ
考え方もございますが、これは戦後現在に至るまで
電気の
供給不足という事態が慢性的に起っております。従って
開発の
主体はこれは
ひとり九
電力のみでなくて
県等の
公共団体であれ、あるいは
私企業であれ、
自家発業者であれ、とにかく
電気が足らぬのだから使ったらどうかということでやっておるわけであります。
電源開発会社の設立もまたその
趣旨なのであります。これは発電しました
電気を
供給区域を持っておりまする
電力業者に卸売するということで
両方の体制が矛盾なくいけるわけでございます。そういう意味で、私の方も
県営電気事業について
電気の直接供給、
小売というお話もございましたが、
小売は認めない
方針でございます。これはいろいろいきさつがございまして、御
承知のように
県営の
電気は戦後の
建設でございます。従って資産価格が相当割高でございますので、できます
電力料金の原価も相当高いわけであります。九
電力でありましても、新しい発電所の原価は高うございますが、戦前からある古い償却が相当進んでおる発電所の料金の原価と組み合せれば相当安くできる。しかるに新設のみの
県営ではなかなかそうは参らない。これは
自家発電でも同様だと思っております。従ってそういう原価を持っておりまする
電気の供給はいかがかと思っております。
もう
一つは、これはもう御案内のように、最近の
電気事業といいますのは、大きな貯水池と火力発電とを並用しておりませんと安定した
電気の供給はできません。御
承知のように流れ込み式の水力でありますれば、冬は供給力が大体三分の一になってしまう。そうしますと夏と冬との差が出て参りますので、結局夏は
電気が余り冬は
電気が不足になるというふうな供給状態ではとても安定した
電気事業になりませんので、従って
県営等の
電気は、原価からいいましてもあるいはその性質からいいましても、やはり
一般供給ないし特定供給を行わずに、
一般供給をやっております業者に卸売するということが一番適切な処理の方法だろうと思っております。
しかしそうは言いましても、別段
県営電気の
開発を押えるという
方針はとっておりませんで、先日申し上げましたように、多目的の
ダムに付帯しました
電気事業でありますとか、あるいは総合
開発の一環をになっております
電気事業であるとか、あるいは既設の
県営の発電所の下流、上流等にあるいわゆる第二次地点というようなものにつきましては、これは
県営でやることが適当であろうかと思っております。従ってその実情に合いますように、地方債の起債についてもわれわれの方も応援し、またいろいろ技術上の
監督あるいは完成後の
事業の
監督等につきましても十分な注意をいたしたいと思っております。
そうなりますと結局話が前に戻りまして、今地域的な
独占を行なっておる九
電力の体制が十分に
公益事業の
趣旨に合ってないじゃないかというお話になるわけでございますが、これは前々
国会以来いろいろ御指摘のあった点もございまして、われわれももう少しそういう
大衆面に即しました
サービスの面についての
監督に力を入れてやりたいと思っております。機会あるごとに、あるいは個々の場合の現実の監査ということもやっておりますが、監査面を通じまして示達もし、改良の
方針も授け、場合によっては相当強硬に行き過ぎなりあるいは足らぬところを是正させておるわけであります。なおいろいろ足りませんところは
一つ御指摘をいただきまして、できるだけ是正して参りたいと思っております。