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滝井小
委員 どうも今の村上さんの御
答弁を聞いて私は驚き入っておるのです。それはどうしてかと申しますと村上さん、二十八年の二月十三日に向井大蔵
大臣が吉田茂内閣総理
大臣に、
社会保険診療報酬については、関係各省においてすみやかに根本的な
検討を加えるものとする、なおこの場合要すれば
臨時医療保険審議会その他の民間の公正な意見を徴するものとすると、あなたの方の大蔵
大臣が言っておるわけです。
厚生省の方にもそれを言ったら、今
大蔵省とたびたび話し合っております。こういう
答弁で、ところが今のあなたの御
説明を聞くと、まだ
資料等も
厚生省からよう出しておらぬ、こういうことでは、これは
大蔵省にも
責任があると思う。といって一番先に言い始めたのは向井さんだし、
厚生省も怠慢だと思う。こういう点はもう少しざっくばらんに関係各省が連絡をとって、きちっとした姿を出すべきだと私は思うんです。それがじんぜんこういう形で送られ、予算編成のまぎわに追い込まれて、ばさばさっとずさんな
資料でやるということはいけないと思う。やはり今村上さんから御指摘があったように、
厚生省の
資料はそのたびごとに変ります。私は二十七年三月の
調査なんかであなた方の使った
資料をいろいろ見てみますと、われわれもらうたびごとに
数字が違っているのです。いずれこれはこまかい
審議になりましたら、二十七年の
資料についていろいろ
質問しますが、すべて違ってきているのです。たとえば私が出したあの
単価に対する補正をやられた
数字と今度の
数字とは違ってきているわけです。一カ月か二カ月するうちに、
数字が絶えず違ってきているのです。あるいは
昭和三十年三月の
医療実態
調査ですか、ああいうものに使っていらっしゃるあなた方の
数字もみんな違っていますよ。そのたびごとに違ってきている。これは局長首を傾けておられますが、いずれこまかくなったら私は指摘しますが、全部違ってきておる。二十七年三月のあの
自由診療がたくさんあるときの
資料を持ってきて、皆保険の
思想の充満しておる今の統計に使うということはナンセンスです。そのころは
自由診療がたくさんあるときです。皆保険の
思想なんかないのです。二十七年の日本の
社会保険の予算を見てごらんなさい。百億以下しか金を出しておらない。今は
社会保険関係だけでも二百億出して、今度の案ではさらに百億出そうという、そういうように政治家自身のものの
考え方が違う、それから国民のものの
考え方が違うときの
考え方というものは、今ちょっと金をかけて一カ月くらい療養担当者と被保険者と保険者とあなたと四者でおやりなさいというのです。そうすれば共同の広場でやる
資料というものは、だれも文句の言いようがないと思うのです。これはあなた方がこっそりと独善的に
——私はあえて言うのです。しかも客観的な人から言わせれば、
厚生省は自分の
都合のいいものを作っていくのだといって、せっかくあなた方が心魂を打ち込んだものが信用されない。これは四者でやるべきだ。
中央社会保険医療協議会でやるべきだ。そしてできたものをわれわれに出してもらうと非常にわかりやすいのです。すでに健康保険の中の国民保険の
事務費だって、なかなかあなた方が百五円といったって
大蔵省が納得しないじゃないですか。
大蔵省も納得しないで、共同
調査しようじゃないかということになっている、それと同じですよ。従って私は二十七年の三月というものについては、これはこれで
検討させていただきましょう。いただきますが、それについては多くの批判を持っている、こういうことです。
それから甲乙二案という点です。一体こういう甲乙二案というもので二百十七億のワクを
拡大するという
結論がどこから出てくるかということです。もしかりに全部が甲案にいってしまったらどうしますか、二百十七億になりますか。全部が乙案にいったらどうなりますか、あるいは甲案に六分、乙案に四分いったら二百十七億になりますか。そういうことは不可能なんです。従って私がさいぜんから申し上げますようにどうしてもあるべき
単価というものをぴちっと出して、それが出たならばそれをまず大蔵当局なり与党の十分な言質をとり、支持を得たならば、それを今度は療養担当者なり保険者なり被保険者、みんな集まっていかにこれを
配分するかという問題をきめたい、それをあなた方が勝手にこういう案でこうやってしまうのだということになると、問題が出てくるのです。これは案だそうでございますから、勝手にやることはできぬでしょうが、やはりこういう既成事実というものを
一つ作り上げてしまうと、なかなかむずかしくなる。あるべき姿が一円なら、その
配分をどうするかということは、被保険者なり保険者なり療養担当者なりあなた方がそこに入って、ひざを交えて話し合う方がいいのです。頭からそういう方向をとることは口の悪い言い方をすれば、政府の労働政策と中小企業政策というものが、露骨に日本の
医療政策に現われてきているのです。今政府のとっている労働政策は、日本の労働組合の分裂政策をとっている。農民と労働者の分裂をとり、国民と労働者の分裂をとる政策が
医療に現われてきた。すなわち
医療の中の病院と
診療所を分裂しようとする分裂政策です。たちの悪い労働政策が
医療政策に現われてきた。それから甲乙二案の
考え方というものは、日本の独占資本の
考え方が入ってきているのです。すなわち甲案というものは大きな病院を優遇する案です。それから乙案というものは小さい
診療所にこれをとっていかせるということなんです。
結論はどういうことになるかというと、大
医療機関というものがうんともうかるという形です。すなわち日経連の
思想を持ち込んでおる。日経連は病院の施設によってやりなさいということを天下に声明しておる。そういうものをわれわれ社会党から見れば持ち込まれておるという形です。すなわち保守党の中小企業政策が露骨に現われておる。金融独占資本は守っていく、大企業は守っていくけれ
ども、中小企業は滅びていけという政策なんだ。そういう二面が
高田さんがとっておるこの
試案の甲乙二つの中に現われておるということです。こういう疑いをかけられることはあなたもいやでしょう。私も疑いをかけることはいやです。だからあるべき
単価をお出しになったらそれから先はガラス張りの中で討議していくという形にいくべきだ。しかも出てきておるところのこの
点数表というものはわれわれがまっ向から批判をした、死んだはずのお富さんがまた生まれてきておる。あの
医療費体系はたな上げしたものでもう役に立ちませんと言っておった。それが何ということはない、購入価格の平均で出してきておる。これについてもずいぶん批判のあったはずだ。それをみな出してきておる。そういうように批判を受けて死んでたな上げされておりますものが生まれ変ってきておるのがこの案なんだ。それならばここで
開き直らなければならぬ。あなた方の方で昨年だったか一昨年であったか、
医療費体系に基いた
点数表というものを出したときに、その基いた
医療費体系というものを私は出せと言った。基いたものがあるはずだ。だから今度は
医療費体系もどうしても出してもらわなければならぬ。その
医療費体系に基いて
点数表がきまってきたはずだ、平均の購入価格である〇・七点というものがきまってきたはずだ。そういう点を出してもらわなければならぬが、そういう点は今
大臣が来ましたからあとであなた方の見解を甲乙二表については承わります。しかもこれが
事務が九割も簡素になったようなことをおっしゃいますけれ
ども、これは何ということはない、
薬品の名前を書かなければならぬ、
乙表でいけば今まで通りじゃないか、皮下
注射したら四点、それを今度は薬の平均価格を書くんだから、ビタカンフルというものを十二円五十銭で買ったらビタカンフルと書いて、すなわちそれが八点、購入原価が十二円五十銭だ、購入原価を払うのですから購入原価を書かなければならぬ、
注射の前も書かなければならぬ、
事務は
簡素化されていない。こういうことになるのではますます
医療機関を複雑にする。もし同じ診療機関があって、甲には甲案を、乙には乙案をという場合にはどういう工合になる、これを自由に選ばせるということがわけがわからぬ。こういうわけのわからぬ形をとれば日本の
医療費はまた複雑になる。それはまたあとで伺うことにします。
実は時間がありませんしあとの
質問者がおりますから簡単に一、二の点を
大臣に伺いたいのですが、二十六年以来
単価問題というものは国会でも非常に
論議をせられました。私たちが出してもらいたいというその案というものは
厚生省の
事務当局の
試案というようなものではなくして、少くとも岸内閣が
責任を持ったあるべき
単価というものを出してもらいたいというのがわれわれの二十六年以来一貫した要求でございました。そのあるべき姿というものをやはり権威ある
厚生省が出し、それを閣議にかけて、そうしてこれはあるべき姿だ、こういうことで出してみて、
諮問にかけて内閣
諮問案として出して、そこでわれわれも討議をするという形を私
どもは期待しておった。そうしたところが今
事務当局から聞くと、これは単なる
事務当局の一
試案でございます。こういうことです。私は
大臣に七月の三十日に要求したものはそんな
事務当局の片々たる一
試案を要求したのではなかったはずだ。少くとも堀木
厚生大臣が男でござるという日本の
医療保障の基盤を整備するための一番の中身であるあるべき姿、
単価はどういうものなんだということを出してくれ、こういうことだった。ところが今
事務当局の話を聞けば、いやこれは
大蔵省の了解を得ておりません、与党の了解を得ておりません、これは単なる
事務局の一
試案であって、まあ
医療協議会で何か出さなければ工合が悪いから、ちょっと遊戯のような、何というか子供にちょうど犬のおもちゃをやったような工合にちょっと出しておくだけだというわけなんです。今の
答弁を聞いて極端な表現をすればですよ。そういう案はわれわれは
約束をしたのではないのだ。少くとも岸内閣が貧乏を追放するというからには、
責任ある内閣でなければならない。政党内閣です。官僚内閣じゃないはずです。ですから
責任ある内閣の
大臣が
単価というものはやりますということを大蔵
大臣も言明しておるし、
厚生大臣も言明しておるし、岸内閣総理
大臣も言明しておる。その言明しておる政党の各
大臣が、首脳部が言明しておるものが与党の相談も受けておらない。
大蔵省も知りません。今から
検討してもらわなければ
結論は出ません、こう言っている。この期に及んでそういう案ではおかしいと思うのです。私はずっと前にこういうことを言った。
高田さん、これはあなた方が政治的な案を出すとたたかれて大へんだ。だから
高田試案でもよろしい、あるいは館林
試案でもよろしい。
厚生省で四つ作るなら四つ案をお出しになってもよろしいと言ったら、これは
滝井先生、政治的にいろいろなことがあって、あなたもよく御存じでしょう、こういう
答弁をしてきた。だから私はその政治的なことというのは、おそらく与党とも話し合わなければいかぬし、
大蔵省とも話し合わなければいかぬという意味で今日まで待ってきた。ところがきょうの話ではまた全く私らがペテンにかけられた、こういうことになった。これは
大臣が
責任を持って
厚生大臣の首をかけてやる案なのかどうかということです。日本の政治家というものは
責任を持たぬからいかぬ。お互いにその場限りで国会で何か言って
委員会が終ればいい、そういう問題じゃない。みな一生懸命になっている。労働組合もウの目タカの目で見ていますよ。国民も療養者も見守っている。ちょうど岸さんがアイクとはだかで話したようにはだかで話さなければいけない。日本の
医療の運命に関する問題です。
大臣もほんとうのことを言ってもらいたいと思います。