○
滝井小
委員 一生懸命やっているんですから、それならあす開いてもらえばいいんですよ。
事務の
簡素化の問題です。
事務の
簡素化については
社会局長をちょっと呼んでもらわなければいかぬですね。
事務の
簡素化につきましては、五月の十三日に小山保険局次長に要請をいたしましたが、まだできていない、もうやがてすぐできますから、こういうことでありました。そこで六月二十五日にまた
高田さんが当
委員会に出席をしてから
質問をいたしましたところ、
関係者との間にまだ話し合いができていない、こういうことであります。これも四十日間だまされ続けたのであります。そこで今度非常に
簡素化されましたということで、非常に
簡素化されたと期待をいたしまして、私は先月帰りまして請求書を全部
自分で書いてみました、ところがちっとも
簡素化されておりません。むしろ複雑化されている。それはなるほど社会保険だけをとってみれば、入院と入院外とまるをつけることはやめました。しかし今度、何ということはない、入院、入院外はやめると同時に判を押さなくてもいいことになりました。たとえば医師大山一郎といって大山の判を請求書の横に押さなくてもいいことになりました。ところが同時にそこに
医療機関の名前を今度は書かなければならぬことになりました。大山医院、医師大山一郎と書かなければいけないことになった。だから結局入院、入院外はまるをつければよかったのにそれを消して、判はどけたけれ
ども、今度は
医療機関の名前を書かなければならないことになったプラス・マイナスで何にもなっていない。それから同時に生年月日の明治三十五年二月二十五日、こうなるのを、二月二十五日は書かなくて、明治三十五年だけでよいことになりましたけれ
ども、同時に一部負担を書かなければならぬことになりました。そのほかはただ業務上、業務外だけのまるをつけるかつけないかだけです。船員保険では業務外の印をつけなければならぬのです。健康保険に関する限りはなっていないということです。
事務の
簡素化というのは一貫したものでなくてはならぬというのが私の主張です。単に
診療報酬の請求書だけを、入院と入院外をどけ、判こを押すのを押さなくてよろしい、それで大へん
事務が簡素になりましたなんということは、いかに保険診療の
事務について保険局の高級官僚諸君の認識が不足しているかということです。これは大へんな認識不足です。私は今から保険
医療機関のすべての
事務をここに展開します。
まず簡単なところから
——ほんとうはここに一人の患者を仮定してストップ・ウォッチでやらしてみると一番よくわかる。患者を見る診療時間よりか
事務の時間の方が長いということです。これは
事務の下手な人がやりますと四倍かかります。上手な人で診断時間に比べて二倍から三倍かかります。今まで社会保険がなかったときにはこのカルテ一枚書けばこれですべてが終りました。どういう工合に書くかというと、患者の大山一郎と名前を書いて、永田町何番地、こう住所を書いて、そしてあとはもう症状を書いて、これで済んだ。ところが現在は一体どういうことになっておるか。社会保険になった結果、まず第一に患者がやってきます。本人とします。保険証を持ってきます。保険証を持ってきたならば、私
たちはこの保険証がインチキの保険証であるか、正当な保険証であるか、十分目をフクロウの目よりか大きくして見なければならぬ。そして見たならば、この保険証の表に書いていることすべてをそのまま写さなければなりません。記号、番号、被
保険者名、生年月日、住所、資格の取得年月日、事業場の所在地、名称、健康保険組合の所在地、名前、
政府管掌ならば、たとえば東京都なら東京都、そして何々事業場、これを書かなければなりません。そして交付年月日を書かなければなりません。これだけのことはまず書かなければならぬでしょう。それを全部書かなければなりません。いいですか、これも
事務ですよ。今まではこのカルテ一枚で簡単に済んだものが健康保険になったためにこれを書かなければならぬということです。これはまあ当然のことでしょう。こういう社会保険という制度ができたから当然のことと受け取ります。そこで私は今度は患者を見ます。そうすると患者にいろいろ症状を聞きます。症状を聞いて書いて、注射薬の名前と処方を書いて、そして病名も書きます。そしてこれを看護婦に回して、薬局で薬を作る、これで大体診察が終る。ところがこれから
事務が始まる。どういう
事務が始まるかというと、まずこの保険証に、このカルテに診断をして書いた病名と同じ病名を書き込んでやらなければならぬ。そしてその開始の年月日が昭和三十二年八月八日なら八月八日と書いて、そして今度はここに私の判こを押さなければなりません。これで私はこれを一応預かります。そして患者は毎日来ることになります。ところがこの患者が本人ですから、今度はこの人は気管支炎で熱があるから休まなければならぬ。従って休むためには私は彼に診断書を渡さなければならぬ。すなわち東京都永田町一番地の大山一郎、病名急性気管支炎、右の者は発熱、食欲不振等のために会社を十日間休まなければならぬ、こういう診断書を患者に渡さなければならぬ、これが
一つです。そしてさらに今度はこの患者が休んでおるのですから。事業場はこの患者がほんとうに毎日病院に通院をしておるかどうかということを事業場は労務管理上から確かめなければなりませんそこで通院証というものを各会社では作っておる。この通院証に医者はその患者の職名と種類とそれから氏名と生年月日と採用の年月日まで聞いて書いて、そして住所も書く、保険の等級はわかれば書くが、わからなければ書かぬ。そうして同時に初診の年月日、病気の原因、傷病名を書いて、これは十日間の休養をやったのですから、この人は医者に行っておるか行っておらぬかを証明するために、きょうは来ましたという判こを押してやらわなければならぬ、すなわち通院証という、こういう処置がある。そうすると患者はこれを持って会社の労務に行きます。医者に毎日行っておりますという労務係の判をもらい、保険係の判をもらいます。なぜ保険係の判をもらうか、こういうことなんです。これはあとで出てきます。これだけのことを今度は医者が書いてやります。そうすると今度は月末になります。月末になると、私は今度は、この患者はずっと十日間なら十日間通ってきた故事来歴を綿密詳細にこれに書いておったものを、今度は私は本人の今問題になっている
診療報酬請求書に詳細に書いていきます。ここに書いていることとそっくりそのまま、一字一句違わないように書いていきます。ここに記号、番号から、初めの保険証で写したと同じことを全部書きます。そうして今までは御丁寧に判こを押したが、今度は判こだけは押さなくていいことになった。そうして全部備考欄を書いて、症状をここに写します。そうしてなぜこういう注射を打たなければならぬかというゆえんを書きます。そうして今度はこれを出すことになります。出すについては、もちろんその上に何月分の
診療報酬請求書をつけて、そうしてこういう詳細な総括表をつけて、これを基金に出すことになります。そうすると、今度は月末になりますと、これを私は
事務へ出す。
事務が一応終ると、今度はその十日間休んだ大山一郎さんがやってきて、
先生、済みませんが、私は十日間休みましたから傷病手当金をもらわなければならぬ、傷病手当金の請求書を書いて下さい、これを持ってきます。そうするとまた、何ということはない、これに今請求書に書いたと同じような、記号、番号を十分確かめ、そうして傷病名から発病負傷の原因及び年月日、それから療養給付開始の年月日、結核性であるかないか、それから労務不能を認めた
期間、診療実日数、診療延日数、それから患者の傷病の症状及び経過概要、こういうものを詳細に書きます。これを簡単に書いておくと、こういう簡単なことでは傷病手当金は上げられませんといって、返ってくる。だから詳細に書きますと、これによって初めて標準報酬の六割だけのお金を、三日間の待期を除いてもらえることになる。これだけのことを医者がやる。これが一番簡単な場合。もしこの患者が結核患者であった場合には大へんです。東京都なら戸籍謄本まで持ってきてやらなければならぬ。大へんです。結核の届を今度は保健所に出します。この患者は結核であるという届を保健所に出しますと、保健所は保健婦をその患者のもとに派して状態を調べます。これは保健所へ届を出す。そうして保健所へ出すと同時に私
たちは結核予防法の
手続をやる。これがまた実に複雑です。そうして
手続をやったら、請求書が違う、結核の方はそれぞれ
医療機関で
自分で、この請求の用紙は同じでもいいのですが、間違えるといかんというので、別にみな作ってやっている。結核ならもっと複雑になりますが、今申しましたように、健康保険の本人がやってきたということだけで今申したような複雑な
事務があるということです。一体保険当局というものは、国民皆保険をやって、そうして
日本の国民の体位を守ろうというのに、これだけの
事務を平気でやらしておくのかということです。また私は、今までよくぞ
日本の多くの保険医諸君ががまんをしてきたと思うのです。私が国会に出て初めて取り上げた。私は県
会議員のときから取り上げた。私は予算
委員会でこれを取り上げたけれ
ども反応がない。今度は
単価の改訂というものと
事務費と重要な関係がある。
事務費というのは基金だけでも二十億の金を使っている。一人々々の医師の家の
事務費というものは、これは
事務を金に換算したら、私は一軒にちょうど五千円をこえると思っている。だから全国の医者ならば
事務費が二十五億かかる。一枚の紙にこれを五人書くようにすると、紙代だけでも五千万円の減額になる、貧乏な
日本でこういう
事務のためにとうとい技術者の骨折りをさせるということは、ばかげた骨頂です。これをやらないという保険当局というものは、私は気が知れない。こういう
事務を今度は
大学がやらなければならぬということです。一体こういうことが許されるかということです。もし
高田さんにして良心があるならば、私は即刻これをかえてくれということです。私が言うときは、いつも短兵急です。これをいつも長年言ってきているからです。言ってきているものをやらない。今度のあなた
たちがやったことで
事務が
簡素化したのではないということは、私の今の
質問を聞いてよくおわかりになったろうと思う。さらに
医療機関は健康保険の本人だけを扱っているのではない。家族も扱っている。さらに同時に労災を扱っている。この労災のまた請求を見て下さい、こういうものを全部出さなければならぬ。労災の診療費の内訳書というものは実に複雑です。これを出さなければならぬ。それから今度は結核予防法の
手続が別にある。そうしてさらに生活保護です。生活保護というものは
事務の
簡素化をしてこれが出されたわけですが、全国の福祉
事務所と療養担当者の怨嗟の的です。今
社会局長か来たら、これを
社会局長がやり得るかどうかやらしてみなさい。こんなばかげたことをやらしている。そして平気でおるのです。ある人は言った、そういうことは技官のやることじゃ、わ
しらは知らぬ、なるほど高級のお役人はこういう
事務を知らないかもしれません、それは技官がやることかもしれませんけれ
ども、全国の福祉
事務所と全国の十万の療養担当者はこれでどのぐらい泣いておるかということなんです。
単価問題以上です。この
事務を
簡素化することは、私がこんなに言ってもあなた方はカエルのつらに水なんです。やろうとしない。そういうことであってはならぬ。私はこの前あなた方にも申し入れをしております。本日は一貫した
事務の改訂の
方針をここに出してくれと
要求している。きょうは出るであろうことを私は期待してやって来ている。どういう工合に
事務の
簡素化をやるのか、私は小山さんにも申し出ておりますし館林さんにも十分申し出て、館林さんのところでは二時間にわたって激論をやっております。私はここで気管支炎の患者を見たら五分で見てしまいます。この
事務は書き方がわからぬで調べたりなんかしたら四十分かかる、八倍ぐらいかかります。こういうことをあなた方はやらしておいて平気であるということなんです。私はその強心臓ぶりには驚いている。どういう工合にこの
事務を
簡素化する方策を持っているのか。私は七月のあの
事務の実施に反対しました。しかしあなた方は強行した。それで私はきょうは全部そろえて十分あなた方に
納得してもらわなければならぬ、今度は
納得ずくの
方法をとっている。あれは法律ではありませんからいつでもできるはずです。誤まりがあると思ったらそれを悔い改めるにはばかることなかれというのは孔子の
言葉なんです。だからあなた方も誤まりであることがわかったらやってもらわなければいかぬ。一体どういうわけでこれだけの
事務をわれわれにやらせなければならぬか。これは一文の金にもならない、全部無料です。具体的に保険証から傷病手当金の請求書に至るまでの
事務簡素化をやる方策、これはこの前予告してあるから、保険証や傷病手当金についてはこうやりますという答えを
一つお聞きしておきます。