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滝井小
委員 打ち合せしてれられるそうですが、まず第一に私がお伺いしたいことを、あなたは結局要望に沿えなかったということを前もって言ったので、どうも要望に沿えないことをはっきりお認めになっておるようなんですが、この前も、八木さんが失業
保険の
保険証の問題に関連して発言したときに私は申しました。大臣が国会で事務を簡素化するということを三月に言明しておいて、そして四月に改正されるときに今までよりも複雑化することがあっては、大臣の威令というものが行われないわけです。そういう大臣は大臣をやめてもらう方がいい。事務当局にその威令が行われない政党政治の大臣というものはナンセンスです。私は今までのものと二つ持ってきていますが、今までの初診券は、こっちを破って
右側が福祉事務所に持っていく方です。こっちが
診療報酬請求書につけるものなんです。今までの初診券というのは、さいぜんあなたがおっしゃったように、一カ月の内訳を書いてあります。しかしこれは、
単価十一円五十銭と書いて、回数が、たとえば注射は何回とか処置は何回と書けばいい。そしてその
点数を書けばいい。二カ月以降はおよそどのくらいということを大ざっぱに書けばいい。ところが今度のは実に複雑になっている。どういうことになるかというと、まず初診のときに投薬の
薬品名から用量から、注射の
薬品名から用量から、処置の名称、みな書かなければならぬ。そうすると、
患者が高熱を発してきた、そこでまず解熱薬をやった、あしたになったらもう下っておるということになると、また薬を変えなければならぬ。そうすると初診券には全くうそを書いていることになる。三回以後からは解熱薬を抜いて違う薬になってしまっておる。この
見積りを
基礎にして後生大事に
医療費の評画を立てたら大違いです。そういうことは福祉事務所に行ってみてもやっていませんよ。
医者の見積った
医療費の計画なんというものは絶対に立てていない。ただ
医者に書かせるだけです。そういうめんどうなことを今度やってのけている。あなたの方の必要なものは
経費なんです。だから、この
患者が来たならば、これはおよそ一カ月どのくらいの金がかかるのだということだけでいいはずです。それをわざわざこの初診券の要否の
意見書の中に、投薬や注射薬の名前からその他の処置の名前まで書いて、そしてそれを何回やって
点数は何点だということを、その月はもちろん翌月分まで書かせなければならぬということになると
医者は大へんです。予言者みたいなものです。なるほどそういうことを書かせれば、あなた方は自己満足はできるかもしれぬ。しかし、それが
日本の生活保護の
医療扶助の科学的なりっぱな根拠になっているかというと、こういうものを見てやっていない。調べてごらんなさい。翌月の予算を立てるときに、福祉事務所で
医者から出たものを一々はじいて予算を立てているところがあったら聞きたい。絶対に立てていない。そういうやりもしないようなことを御丁寧に
医者にやらせる。これを書いてこなければだめだといって突っ返される。しかも翌月に出す請求書にはやはり同じことを綿密に書かせる。今度どこが簡素化されたかというと、福祉事務所のやることだけが簡素化されている。
医者の方は複雑になっている。しかも現在どういうことが行われているかというと、月の終りの二十五日になると、
医者は全部福祉事務所に集められて、今かかっておる
患者の請求書とカルテを持っていって、一々
患者の状態を
説明する。そこで初めて翌月分の要否を二十五日にもらう。そうすると、
患者に変化があって月末になおると思っておったのがなおらないということになると、今度は一々福祉事務所に行かなければならない。そして理由を言うてやる。だから最近は、サービスのきく病院では、
医療券から生活保護から、全部自分のところで福祉事務所に行ってとってくる役割ができている。そうしますと、
患者はそういう
医療券までとって親切にしてくれる
医者のところに行きますよ。
医療券をとってくれないような、自分でとって参りなさいというような
医者のところに行っては大へんですから、生活保護の
患者は手がありませんから、だからサービスをして
医療券をとって参り、継続の請求書をとってきてくれるような病院に行く。病院によってはそういう人を一人置いておる。そういう
実態というものは全く
医療を冒涜しておるんですよ。そうすると、そういうところにこの前言ったようにいろいろの不正事件が起ってくる。今度はこれは他人が行っても渡すということになれば、人に流用するということも可能になってくる。だからこういうものは、前に私が申しましたように、例の生活保護の
患者というものは非常に貧しい階層で、こういう事務的な要領の悪い人です。そういう人の
医療券というものはできるだけ簡素化して、そうして右から左に渡すようにしていかなければならない。しかもそういう最低の
医療を受けさせるものを、今度は
医者にはこれだけの事務をまかせるのですよ。事務の書類についてこれだけのものを
医者は覚えなければならぬ。これだけのものを覚える時間で技術の研究をさせてごらんなさい。
日本の
医者はもっとえらくなる。しかも
単価は十一円五十銭ということで、この
単価も六年間据え置きで改まらないという状態です。だからこれは請求事務のために
医療扶助があるのではなくて、
医療扶助というものは貧しい
患者のためにあるのだという方向にものの
考え方を切りかえていかなければならない。これは一枚の紙片でいいのです。生活保護法の
患者であるということにして出して、あとは
医者に請求させて、請求したものを厳重に査定したらよい。それをわざわざ前ぶれの事務というものを実に複雑にしている。この前も
医務局長に言っておきましたが、こういうものとの関連における
医者の応招の義務の法律論については、私は研究しておりますから、きょうはやりませんが、いずれ機会を見てやりたいと思います。これはこの前大臣に突きつけてやったら、大臣は、必ず改正の機会があればやりますと言っておきながら、こういうように複雑化されておる。同時にそのときに
健康保険の請求についても簡素化いたしますと言っておる。だからこれは
一つ、ごめんどうでしょうが印刷をして速急にやりかえてもらいたいと思います。やりかえなければ、これで
日本の
医療は死んでしまいます。こういう事務のために生活保護の
患者というものはまま子扱いされますよ。
医者というものは技術者だから事務はきらいですよ。もう少しこれは事務のために
患者があるのではなくて
患者のために事務があるということを考え、頭の切りかえをやってもらわなければならぬ。この事務を簡素化することによって、
医師の待遇改善というものは、これだけで一件
当り三円や五円は改善されますよ。だからそういう点は、生活保護の
医療費が年間二百億も支払われるという現段階、
日本の総
医療費の少くとも一割をこえるという段階では、やはり考えてもらわなければならぬ。従ってこれは、大臣の言明に非常に遠い状態である。
きょうは局長に来てもらいたかったのでありますが、これはめんどうくさいが、
一つさっそく変えてもらいたいということです。これも
一つ、
健康保険が七月一日から実施されますから、七月一日とは申しませんが、それと前後して速急に変えて
健康保険に右へならえしてもらいたい。生活保護に必要な事務というものは、生活保護の
患者であろうと
健康保険の
患者であろうと、
医者の出す
意見には変りはないはずです。だから
健康保険の
意見でちっとも変りない。
それから、さきの経済的の
調査、例のいわゆる資産
調査というものは、別個に経済的見地からやられたらよい。
医療費の問題にまで違ったケースを持ち込もうというのは官庁のセクショナリズムである。こういうセクショナリズムというものはどけなければならぬ。だから
健康保険の請求事務と生活保護の請求事務というものは違うはずがない。同じでいい。同じように
医療を与えるのだから、ちっとも違わなければならない理論というものは出てこない。こういうものを何回も何回も変えるということは印刷屋をもうけさせるばかりである。そういうようなことは改めてもらいたい。この点は課長さんではご無理かと思いますが、局長に十分に伝えてもらって、速急に簡素化してもらいたい。そうして初診券というものは、もう初診だけの券が出たならば、同時にそのときには
医療券もつけてやるというような、このくらいの親心があって
日本国民を信用してよろしい。それを今度はわざわざ初診券をやって、それをまた役所に持っていって
医療券をもらってきて、それを
医者に持っていかなければならぬというような、そういう緊急の病人に間に合わないような政策というものをとるべきものではないと思います。今の初診券には同時に
医療券がつくというような制度にしてもらいたいと思います。そうして
医者が不正をやるというなら、どしどし福祉事務所が
医者の家に行って、
患者と立ち会いで怪しいと思ったら調べたらいい。そのくらいの信用を持ってやってもらうことをこれは要望しておきます。次会にこの具体的な案を
一つ速急のようでございますけれども、
人間の命に関することですから、速急でないといけないのです。これはできるのです。そういう点を
一つ要望しておきます。
保険局の事務の簡素化を
一つお聞きしておきたい。