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滝井小
委員 事務の簡素化の問題は莫大な
財政負担の軽減になる問題です。単に
健康保険ばかりではなしに、
健康保険と密接な
関係のある生活保護の事務の
関係もありますので、次会に
保険局と社会局においでいただきまして具体的にお聞きしたいと思います。特に生活保護
関係の事務は大臣の公約もありますが、ますます複雑化をたどろうといたしております。大臣が言明しても事務当局がそれを実行しないというようなことなら政治の威令は少しも行われていないということになるのです。
健康保険も事務の簡素化をするというのがちっとも行われない。今
小山さんから御説明のあった通り、入院した場合
医療機関から通報することをやめるという
程度では、私
たちは大臣の公約としては受け取ることができません。いずれこれは大臣にも本
委員会に来ていただいて事務の簡素化問題は論議をしてみたいと思います。
次に実はこの前いろいろ厚生当局から
資料を出していただきまして、その出していただいた
資料によって
単価らしきものを検討してみたわけです。その検討は自民党の案と社会党の案というものではなく、全く厚生省から出していただいた
資料を基礎にして、いわば何と申しますか、たたき台的な
単価らしいものを出してみたわけです。これは印刷物ができてきておりますので、配付させていただきたい。
先般来当
委員会で医務局なり
保険局の方から出していただきました
資料を基礎にして、一応
単価らしきものを
求めてみたわけなんです。
まず一番上の欄に書いております満四十九才医療職給与月額、これは超過勤務を含むわけです。今回
政府の方の国家公務員の給与法を改訂することによって、医療職というものができたわけです。その医療職の四十九才の人の給与月額、超過勤務を含んだものをそこに持ってきた。四十九才というのはどうして持ってきたかというと、現在全国の開業医の平均年令が満四十九才
程度であるということが、先般皆さん方に医務局からお配りになった
資料からそういうことが出てきておるわけです。そこで四十九才の医療職の給与月額を出してきた。これによりますと、医員が五万六千五十一円、医長が五万八千二百三十二円、院長が六万五千四百十九円、これを三で割りますと、平均が五万九千九百円になるわけです。もちろん三つのグループを三で割るということは、統計上の問題からいえば、大体四十九才の医員何人をとって五万六千五十一円になったかという
内容の分析も必要になってきますが、三つのグループの給与を足して三で割るということは、大して大きな誤差はないだろう、こういう
考え方から三で割って五万九千九百円というものが出たわけです。
それから満四十九才の人がやめた場合の恩給年額は、やはり三つのグループ、医員が十八万五百七十六円、医長が十八万七千四百十六円、院長が二十万九千三百四円、それらのものを足して同じく三で割りますと、十九万二千四百三十二円、こうなるわけです。
それから満四十九才の人の退職金を見てみますと、医員が六十万五千八百八十円、医長が六十三万三百六十円、院長が七十万三千八百円、これを三で割ると六十四万六千六百八十円、こうなる。
そこで一番上に出て参りました超過勤務を含む給与月額が五万九千九百円ですから、これを報酬年額に直すには、報酬月額五万九千九百円を十二倍すればいい。それが七十一万八千八百円になる。これを一応aとします。
それから次に問題になるのは恩給の
関係でございますが、恩給は若年停止がございます。従って、五十六才以上になりますと、大体
全額をもらえるわけです。そこで第二段に書きました四十九才の恩給の平均は十九万二千四百三十二円でございましたので、五十六才以上になりますと、十九万二千四百三十二円に五十六才以上生きただけのものをかければ、そこにその人が死ぬまでにもらう恩給の額が出てくるわけです。ここの
数字にあります十九万二千四百三十二円かける二十八マイナス六というのは、二十八年というのは四十九才の人の平均余命率が二十八年になるわけです。二十八年から六年を引くというのは、次の欄からの
計算に出てくるのですが、恩給を停止される年数が六年です。従って六年だけを引きますと二十二が出ます。十九万二千四百三十二円かける二十二は四百二十三万三千五百四円になるわけです。それから五十才から五十五才までには、恩給が三割停止されるわけです。七割もらえます。従って十九万二千四百三十二円かけるの十分の七に、三割停止される期間は五年ですから、五をかけますと六十七万三千五百十二円になるわけです。それから平均年令が四十九才ですから、四十九才で恩給をもらうことになれば、五十才までの一年間は、二分の一しかもらえません。若年停止が二分の一あるわけです。従って十九万二千四百三十二円かけるの十分の五かけるの一年で、これは九万六千二百十六円です。このようにそれぞれ出した四百二十三万三千五百四円、六十七万三千五百十二円、九万六千二百十六円を足したもの、これが五百万三千二百三十二円、これをbとします。そうすると退職金は、三段目に書いておきました満四十九才の退職金の平均が六十四万六千六百八十円、これをそのままcといたします。
それから次に問題になるのは、純粋の個人開業医の医業支出です。純粋の医業支出というのは、これはこの前
昭和二十七年三月医業経済調査というのを、個人診療所における直接医業支出として、
医療費体系として厚生省が出した
資料がありますが、直接の医療月額支出です。これは衛生材料費だけです。衛生材料というのは投薬とか、注射薬とか、消毒用の薬品とか、レントゲンのフイルムとか、包帯材料とか、その他の衛生材料、こういうものを純粋の医業支出として二万一千九百三十八円、
昭和二十七年三月調査、これが月額ですから一年分は十二倍をします。そうするとさらにこれは
昭和二十七年でございますから、当然現在の物価指数でこれを一応スライドさせてみるわけです。ところが衛生材料だけの物価指数の上昇状態というものが明白なものが把握できません。そこで総理府の消費者物価指数を調べてみたわけです。これは都市における総合消費者物価指数です。それが
昭和二十六年を一〇〇とすると、二十七年は一〇五になります。一番新しい
昭和三十一年をとりますと、
昭和三十一年は一一八・四になるわけです。従って月額の純医療支出二万一千九百三十八円かけるの十二カ月分ですから十二かけるの消費者物価指数で、それをそのまま一応補正をしてみますと、一・一三四をかければいい。そうすると、そこに直接の医療支出年額が出るわけです。これが二十九万八千五百三十二年です。これを一応dといたします。
次に出ておりまするのは個人開業医の診療所年間報酬
点数です。これは
昭和三十一年の一月から十二月までの基金の
点数を基礎にして出したものでございます。どうして出したかと申しますと、先般
保険局から出していただきました
資料は、実は一年間分のものが出ていないのです。
昭和三十一年の五月分だけが病院なり診療所の集計が出ていて、一年分の統計がありません。従ってその三十一年五月を基礎にして推計をしていきますと、個人開業医の診療所年間報酬
点数が三十三億九千二百四十一万六千七百三十三・九点になるわけです。
昭和三十一年度のそれらの診療所の請求窓口の年間を通じての平均を出したいと思いましたが、それがありません。従ってこれはやはり先般厚生省の
保険局からわれわれの
手元に出してくれました三十一年五月の診療所の請求窓口数を出してみますと、四万一千三百六十一件になるわけです。従って今言いました三十三億九千二百四十一万六千七百三十三・九点を請求窓口数の四万一千三百六十一件で割ると、一施設当りの報酬
点数年額の八万二千二十点というものが出るわけです。これをeとします。そうしますと、まず給与の年間報酬であるaと、かぎカッコして、さらに小さいカッコをして、恩給の若年停止を差し引いた
総額bプラスの退職年金cを足して小カッコを閉じて、それを二十八年の余命率がありますので、二十八で割ります。そしてかぎカッコを閉じざらに直接医療支出の年額であるdを足しますと、百二十一万九千百士五円といういわゆる全国の診療所の個人開業医の一年間の——適正かどうかはなお検討の余地がありますが、一年間の給料と、それから超過勤務と、恩給なり退職手当の前払いをしたものと純医療支出とを加えた総和が出るわけです。それを一施設当りの
診療報酬年間
点数で割ってみますと、十四円八十六銭という、まあまあ何と申しますか、かつて二十六年の今井案に幾
分類似した
点数らしきものが出てくるわけです。
そこで今申し述べましたようなこれらの試算において抜けておる点はどういう点かというと、そこに注に書いてありますような点が抜けておる。分母の側すなわちe、八万二千二十点の側においては、自由診療なり
国民健康保険の診療なり労災
保険等の
収入があるわけですが、それらの信頼すべき統計が見当りません。従ってそれらのものは一応算定に入れてないわけです。純粋の
健康保険の基金から支払われる
点数だけを基礎としてやっておるわけです。巷間、
社会保険診療に対する自由診療の比は八対二であると言われているのですが、信憑性ある具体的な計数の把握というものがきわめて困難でありますので、そういうものは一応
考えなくて、純粋の形で
社会保険だけでやって入る方がいいのじゃないか、こういう形でこれはどけておる。
それから分子の側すなわちのb側では、純粋の医業支出というものは最近の統計がございません。
昭和二十七年三月の医業経済調査を用いる以外に方法がないわけです。これを消費者物価指数で一応補正をしました。しかし現在の稼動
点数というものは
昭和二十七年三月に比して、医療行為の頻度に大きな変化があります。従って二十七年三月調査の二万一千九百三十八円をそのまま年間に引き直して、そうして物価指数をかけただけでは、実態というものは必ずしも現在の実態に合っていない。医療行為の頻度というものが大きく変化しているという点が、分子の側では当然付加されなければならぬ問題となってくるわけです。それから医療経営における看護婦等の人件費、光熱、水道費、資本利子等を考慮する必要がございます。これらのものは実は考慮しておりません。実は二十七年の実態調査におきましても、厚生省が調べたところによって見ますと、人件費の中で、二十七年三月調査では看護婦が五千二百五十八円くらいに見積っております。それから水道、電力、ガス、薪炭というようなものは、合計したものが三千百三十七円、こういうふうに今なっておる。資本利子等の見積りというのが、これは京都あたりの熱心な人の調査を見ますと、資本利子はやはり年間一分ぐらいと見ても、二万一、二千円
程度に見ておるのですが、しかしこういうものはなかなか
議論の多いところで、ここでなお今後やるとすれば具体的に討議をしていかなければならぬだろう。それから企業経営の危険率というものを当然考慮しなければならぬ。算定をやるのに一応四十九才の医療職というサラリーマンを基礎にしてやったわけです。そのサラリーマンが
保険医療機関という機関を今度は経営することになります。医師は一応今度の
健康保険の改正においては
保険医療機関において診療に従事をします。しかし一面その
医療機関の経営者でもあり得るわけなんで危険率というものを考慮する必要がある。その次に考慮しなければならぬ点は、恩給退職金等を前払いする形をとっておる、その利子を差し引く、この利子はきわめてわずかなものだろう、こういうことです。
そこで一応結論は、
単価の結論じゃなくて、現在までに五回ばかりの
委員会を開いて厚生省に質疑応答をして、そして厚生省からいろいろ
資料を出したものを基礎にして、かつての今井案を参考としながら一応
計算した、こういう形でできるだけ大筋だけを出してみると十円八十六残になる、こういう形で出るとすると一応
単価の目安は十五円を下らざる額とすることが妥当ではないかという
感じがするのです。この際
点数道価方式をとっていくと、今度は
単価をたとえば十五円なら十五円とやってみると、
点数が不合理だということで
点数の問題が論議に上り、また
単価にはね返ってくるというように、
点数と
単価の堂々めぐりをやっておると日奉れてなお道遠しという観になる。秋までに
単価の結論を出しますというのが冬になり、冬来たりなば春遠からじで春になり夏になるということで堂々めぐりをして結論が出ない。そこでこの際急速に大ざっぱな検討をやって
一つのたたき台を作ったならば、そのたたき台を基礎にして衆知を結集して何か結論を決河の勢いで作る以外にはないだろう、こういう
意味であります。従ってむしろこの際そういうものができたならば、
点数単価方式を廃止して、金額表示方式、たとえば初診料何日、虫様突起の手術料何円というような
全額表示方式をとることも、この際むしろ問題の紛糾を避ける
意味においていいんじゃないか。そういう一定の金額の表示が出るならば、その表示をされた金額に対して総合的な施策をもってすみやかにその
単価改訂という命題によって与えられておる
待遇改善の問題を
解決すべきだ。それは具体的にいえば、税
負担をどういう形で軽減していくか、事務の簡素化をどういう工合にやるか、薬品の廉価提供をどういうように具現をしていくかということで総合的な施策で
単価問題を
解決していくのがいいのじゃないかこういうことで今まで厚生省の出してもらった
資料や何かでやってみた、こういうことなんでございます。