○井堀
委員 いろいろお尋ねいたしたいのでありますが、時間が割合に少いのでありますが、最近の傾向ですけれ
ども、私はずっと前から、基準法の中でも未払い賃金の問題について何回かその
措置を
政府に迫って、かつて前々内閣ですか前内閣ですか、牧野法務
大臣のときには、やはり立法
措置を講じないと、現在の基準監督行政だけではこの問題の解決が困難だ、またさらに支障もあるというので約束したけれ
ども、いつまでたっても立法
措置を講じてきよらぬ。要するにでたらめを言う内閣だと思っておりますけれ
ども、事が
労働者の、しかも一番弱い
労働者です。抵抗力のない
労働者、いわば民主主義の恩典からはずされておる人々です。政治が一番厚く重く、行政が一番保護を加えなきゃならぬ者が一番残酷に扱われて、その上に行政はさっき言ったように見当違いの手心を加える。私は何も基準法違反をようじでますのすみをつつくように摘発するという主張には賛成しないのでありまして、一方にはそのよって起る原因も知りながら、適正な監督と摘発をやっていくべきだという点ついては、私は何も機械的な完全摘発をやれというのではないのでありまして、そういうところへ来てないから言う。というのは、私は
一つはあなた方の責任もあると思う。今の
労働大臣の
答弁を聞いておわかりのように、上司に対するあなた方の報告や
意見が通じてないのか、あるいは無視しているのか、どっちかでありまして、通じてないとすればあなた方の責任なんです。無視するなら、この内閣の
労働行政はゼロだと思う。反動的だということをみずから証拠立てるものになる。これほどはっきりしたものはないと思う。ですから、この内閣が
労働法を
法律通りやる、公労法などでああいうことをやるのは、何をばかげたことだということをよく証明していくものなのです。一方で基準法のようなものをびしびし適用して、組織の力で行き過ぎがあるならば押えるのもけっこうですが、未組織でいるようなものに対して
労働行政が死んでいたら何になります。私はあなた方の責任だと思う。そのためには、こういうものを突きつけられたら面目がありはしない。その傾向を私は聞きましょう。具体的なことを一々聞きたいのですが、時間の
関係もありますので傾向を言いましょう。最近の傾向を見て下さい。全体的に
労働時間がどうなっていますか。賃金問題は、統計資料に出ているように、
金額の上では、あるいは件数の上では上り下りはしておりますけれ
ども、これは私に言わせますと、規模別の
状態を見ていきますと、私はこれは言いたいところでありますけれ
ども、たとえば、三百人以上の事業場においては、全体の未払い賃金の百分比でいくと〇・七、二百九十九から百までは二・一%、九十九から十までは二八・四%、九から一までは六八・八%というように、企業の規模別に見ると企業の規模の小さいものほど——これは雇用
労働者の数で言い現わしておるのですが、そういうものほど要するに摘発件数が多い。私はそういうものを心がけて回っておりますけれ
ども、中小企業の経営者にも多くの知人を持っておりますが、必ずしも公正にやっちゃおらぬのですよ。基準署が。これは上が上だから下が眠っちゃって今一番悪い姿に基準監督がいっている。抵抗の弱い
労働者のためにやらなければならぬ仕事をやらないでおいて、そうしてそれが統計の上に出てきたものだから格好だけつける。摘発が一番やさしいのは小さな一人か二人しか使っていないで親方も一緒になって働いている、そういうようなところは摘発がしやすい。そういうところにのさばり返って基準監督署は目の上のこぶになっている。権力をかさに着ていやにいばりちらす。大きいところはあがりゃしない。この中で大きいところをあなた方は知らぬはずはない。最も悪い例を言いましょう。私は二、三見つけて知っている。基準監督署が行く前に電話をかけて行くなんというばかなことがあるものか。それは今から行くから違反になるようなところは隠しておけという電話をかけたんじゃないでしょう。これから監督官が行きますからなんという電話をかけたら隠すにきまっている。今の基準監督署は腐り切っている。これはあなたの責任ですよ。ああいう
大臣をいただいているからあなたはやりにくいでしょう。こういう点は私は今こそ立場々々で守るべきものがあると思う。いただいている人が適当であるとかないとかいうようなことは、これはおのずから別でしょう。だれでもやれるようなことをこの
法律がしてある。監督については非常にでこぼこが出てきました、最近指導という言葉を言い始めたもんですから。大きなところには指導をやっている。大きなところに指導なんか要るもんですか。大きなところには権力を持っているのですからびしびしやっつけたらいい。ところがだんだん姿が悪くなってきている。これが出てきたのはたまたまほかのことで行って見つかったので、未払い賃金のあげ方だけ見てみても私はこの
やり方は改善する必要があると思う。それから
労働時間の問題については、この人はもうこの点では全く基準法はから回りです。こうあげられておりまする基準法違反の事実はおおむね
労働時間の問題です。すなわち四十八時間制がくずれている。それから休日の問題はもうほんの形式に流れている。特に女子
労働については、私は生理休暇ということがいいことか悪いことかいろいろ批判はあるにいたしましても、こういうような特別保護は日本の
婦人の弱さというものを端的に現わしたものだと思うのであります。こういうものはもう全く眠っちゃっているんです。その事実がこれにずうっと出てきているのです。これはそういうふうにごらんになりませんか。もう年次有給休暇なんというものはあってなきがごとく、週休
制度の問題でありますとか四十八時間制という問題は、さっきから言っておるように賃金のような問題になりますと、これはもう未払い賃金で食えなくなりますから少しはしんぼうしていても二カ月も三カ月ももらえなくなると、これは背に腹はかえられぬから窮鼠かえってネコを食むというような工合で、首になるかもしれぬけれ
ども食いつかなければならないという姿がこの報告書に出てきている。だからある意味において豺狼相食むというか、自分の責任だけではなくて政治政策の
やり方や社会の風潮の
関係から余儀なく経営ができなくなってきたという例もありましょう。それから大企業の収奪にあってやっていけなくなったという原因もあるかもしれない。しかしそういう人たちはもうなけなしなんですよ。自分の家族を養うためにへそくっているやつをよこせという、奪い合いをするような問題が始終起きている。そういうところにはなかなか監督が行き届く。これはよほど
考えなければいけませんよ。
労働時間の問題になりますと、貸金のようにすぐ明日の米を買うのじゃないですから、逆に一緒になって、これは基準法違反で監督署に見つかったら大へんだということで
労働者も一緒になって違法をやっているのじゃないかと言ったら、いや、これはもう違反ではありません、私の方でお願いしてやっているんだから、というような情ない訴えをするような実情なんですよ。こういうものを保護法を変えてやろうということなら零細企業の
労働者は飢え死にしてもいいということになる。
労働者は
労働組合を作れぬじゃありませんか。あなた方の仕事じゃないですか。こういう点が私は一番大事な
状態に来ているのじゃないかと思う。特に私は
労働時間の問題はやかましく言ってもらいたい。やりにくいところかもしれない。もし指導行政があるというならこういう点に対してどういう指導をなさっておいでになるか。一体監督官が
労働者と取締りの対象になる業者に対して指導とはどういう具体的な指導をおやりになっているか、またこういうものに対してどう解決しているか、ちょっと伺ってみたい。