○
滝井委員 労災関係で二億一千五百三十五万円、それから
失業保険関係で一億三百六十万円、はしたがありますが、はしたは削ってその程度いくそうでございます。そうすると予備費等を見ていきますと、
労災保険の方の予備費は三十四億五千五百三十二万円ある、それから
失業保険の方は百二十九億ばかりの予備費がある。当然これは今までそういうものをひっくるめてやっておったわけです。予備費というものは予見しがたい
予算の不足に充てるための経費が予備費なのですから、そうすると代行機関として三千人をこえる人ですよ。そうしてやがて六十億になんなんとする
財産を運営をする機関に一文の予備費もやらぬというのはけしからぬと思うのです。運営をするのだから運営の費用だけをやれば
あとはお前らは適当にやっておけ、こういうことになるとこれは私は今から予見しておきますが必らず独立採算制をとらざるを得ないことになる。そうしますと、どういうことが起るかというと、今まで一点単価十五円でやっておった自由診療というものを赤十字
病院と同じに必ず二十円に上げなければやっていけぬことになる。それは労災というものは非常に高度の治療を必要とする一面、濃厚治療を必要とするのですよ。そうしますと、濃厚治療をやれば労災には莫大な金がかかってくる。そうするとその穴というものをどこから埋めていくかというと、必ず健康保険か一般患者で埋めていかざるを得ないことになる。従ってこういうところにこの
労災病院が日本赤十字と同じような運命をたどる可能性が出てくる。
現実に国立
病院がそういう状態になってきておる。国立
病院がそういう状態になってきて、やはり入院に格差をつけなければならぬという形になってきておるのです。しかも入院料は国立
病院は一般の私的医療機関よりか一割ないし二割を引いてやっておるけれども、主食、副食を合せて百三十円程度の飯を食わせなければならぬのに九十四円十銭そこそこしか食わせない。三十円だけ搾取しているという形が
現実に出てきているのです。こういう徴候が国立山
病院にもすでに出てきている。これは独立採算制で、非常にシビヤーな
予算しかやらない、予備費もこういうものにはやらないということになって、あなた方が出し惜しみをしていると、それはあにはからんやかよわい労災患者なり一般の健康保険の患者に転嫁される。労災の患者にどういう点で転嫁されるかというと必ず飯代が削られてくる。飯代が削られれば治療が長引く。長引けばそれははね返って労災の経費というものがだんだん水増しされなければならぬという形になってくるのです。だから三億一千八百万円程度
両方で出すというが、それでは私は少いと思う。
労働省よりかもつと大きな機構になる
事業団というものの経費が、運営の経費だけをやって
あとはやらぬというのでは、これは私は納得がいかぬと思うのです。そしてしかもその金の使い方は、業務の方法書を作ってそれにのっとって
予算を出さして非常に厳重な、大蔵省があなた方の
予算を査定するような状態でおそらくあなた方はきっちり見ていくでしょうよ。何ということはない、屋上屋だ。一番ばかを見るのはそこに働いておる医者だ、こういうようなことになってしまうんです。それはどうしてかというと、労災の患者からはもっといいことをやってくれと言われる。あなた方からは
予算を倹約をしてくれと言われて、やせ衰えるのはそこで働いている療養担当者だということになる。療養担当者はこれは何とかしなきゃならぬというので濃厚診療をやっておれば、今度は厚生省が知事指定の健康保険法四十三条の一号の
病院だということでずばり監査をやって、今度は保険医を取り上げられるということになると、何ということはない、やせ細るのは療養担当者だけということになる。こういう点でこの
予算というものをどういう工合に分けて与えるのか。もっと具体的なものを私は出してもらいたい。これはこの
法案がきょう通ってもいずれ私たちは別な角度から問題にしたいと思うので、今こまかいことを言っても時間がありませんからその点を私は留保いたします。従ってそういう点を
一つ具体的に出していただきたいと思うのです。このわれわれが審議をして通した
予算だけを見ても
事業団の全貌なんてものはさっぱりわかってこないのです。しかもその
法律を読んでも
事業団が具体的にどれだけの金を使って、どういう工合に運営をせられるかということもわからぬ。わからぬでこの
法案を通すということはけしからぬことなんですけれども、しかし一応きょう通すという約束になっておるので誠実信義の原則に反するわけにいかぬので、泣きの涙で採決をしなきゃならぬという形に追い込まれているのですが、ほんとうはこれはわれわれはどうも納得のいかないところなのです。そこでそれは出していただくということにして、いずれこれは大臣が来たら
予算の点ももう少し大臣に念を押したいと思います。
次には職業補導
関係ですが、職業補導の仕事を今までは知事にやってもらっておった。ところが今度は
事業団がやる、こういうことになるわけなんです。そうしますと総合的な職業補導、特に技術指導を中心にして職業補導が行われるということになりまするならば、これは当然その地域社会の民情に合ったあるいは経済情勢に合った職業補導が行われなければならぬことは当然なのです。今まではその地域によって知事が十分地域の情勢を知って総合的な職業補導をやり、同時に公共職業安定所と両々相待ち、車の両輪の形で運営をしておった。今度は
事業団が上からきてやる形になるわけなのです。そうしますとこの二十条の業務方法書等を作ったり、あるいは二十二条の、いろいろと
予算や
事業計画や資金
計画を作って、当該
事業年度の開始前に労働大臣の認可をそれぞれ受けることになるわけなのですが、こういう場合に、その地域の情勢を一番よく知っており、しかも公共
職業補導所という職業補導の一面を担当をしておる知事の
意見を何にも聞かずに、
事業団だけが勝手に、その地域社会できわめて必要な中堅的な技能者、中堅的な職業人を養成をするというときに聞かなくてもいいかどうかということなのです。私は日本の職業
行政というものがほんとうに地域社会の大地に根をおろそうとするならば、やはりそれくらいの雅量というものを持っておっていいと思う。ところがこの
法律を読んでみると、さいぜんも申しましたようにまず民主的なのは評価
委員だけ、
あとは全部天下りだ。
予算も方法書もみな天下りの形だ。これでほんとうの地についた福祉
行政が行われるかということですよ。福祉
行政というものは少くとも地域の経済と民情と風俗とを十分に知る、やさしい
言葉でいえば甘いも辛いもかみ分けて、そうして行うところの
行政が私は福祉
行政だと思う。だからこそ厚生省には指導員とか民生
委員というものを置き、しかも地域社会にどんどん入っていける児童福祉司とかあるいは社会福祉主事というものを置いている。私は職業補導教育もそうだと思う。職業補導教育を受ける者は何も高等の教育を受けた人が行って受けるものではないと思う。せいぜい高等学校か中学以下の子弟がおもに受けるところだと思う。そうだとするならば私はやはり
地方長官の
意見を聞く条項を第二十条・二十二条には――
出資をせしめているのですから、金を
出資せしめておって、
出資せしめた人の
意見も聞かない。しかもその人が全然
関係のない者ならばとにかく、同じような
職業補導行政というものをやっている知事の
意見も聞かない。金は出させるが
意見は聞かない。同じような仕事をやらしている。しかも今まで持っておったものは取り上げられてしまうということでは、
地方自治体の長は踏んだりけったりされたと同じことです。これでは
知事会がまっこうから反対するのは無理ない。こういう点は与党みずからが修正しなければいかぬのです。こういう少くとも大衆生活に密着をしておる
行政、
病院行政とか
失業保険行政というものはやはり下情が上通する姿を作らなければいかぬ。上意下達だけではだめです。そういう点あなた方は二十条と二十二条でうまく
職業補導行政がいけると思いますか。