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大出参考人 全逓本部書記長の
大出と申します。
参考人として心見を本
委員会から求められておりますので、二点にわたりまして簡単に私の
意見を申し上げたいと思います。
まず第一点は、郵政の場合には、今回の
裁定を
政府は、実施をすると表面言っておるわけでありますが、この中で今回の補正
予算等を通じて、千百二十円ということで非常に他に比べていいような印象を与えるように表面上なつておりますが、実際は半分以下の
内容しか持っておらないわけなんで、この点について触れたいということが
一つであります。もう
一つは、一般的に公労協という
立場から私ども
考えておりますが、
政府の方々は、今回の春闘を通じていろいろ組合がやったので、厳重に処分をするということを言われておりますが、私どもはそういう処分はできないのだ、当りませんという
考え方を強く持っておりますので、将来の問題もございますから、この点について
意見を申し上げたい、このように思うわけであります。
まず第一点の郵政の
裁定の問題ですが、先ほど来野々山
参考人等もいろいろ言われておりますから、できるだけ簡単に要点をしばって申し上げたいと思います。まず千二百円という基準内についての
裁定を八十円削るということ、これはさっき野々山
参考人等が言われたことと同趣旨であります。ところがそのほかに郵政の場合には、午前中の本
委員会で
横山委員等から言われておりましたように、かりに私が手足を私自身が食べてしまっても腹の中に入った目方は――現在私は十五貫四百でありますから、やっぱり十五貫四百であるということと同じように、郵政
予算の中から二十九億二千五十万円はかりの金を差し繰って操作をしておるわけであります。総額五十億千百八十三万円になる今回の私どもの
裁定実施について、今回の補正
予算の
内容等を克明に検討いたしますと、そのうちの二十九債二千五十万五千円というのが郵政省の省内
予算の差し繰りという格好になっておる。これはついこの間、この
国会が三十二年度
予算として認めたものの中からこれだけ差し繰るというのでありますから、一体それはなぜきめたのだということに一般国民の言い方からすればなる筋合いのものだと思います。そこでまず第一点は、私どもの超過勤務の
予算の中から、五億五千六百万円というものを差し繰ってこれを頭はねをする。ところが実は郵政大臣が今
国会の劈頭に逓信
委員会にあてて一般情勢の報告をしております。この
内容を見ますと、まさに戦後最高の郵便物数の増加である。いわく神武以来の郵便物の激増という
意味ですが、大へんふえた。従って大へん郵政事業としても苦労しておる、こういう
意味の報告が行われておるのです。そのくらい実は忙しい郵政事業ですから、定員も非常に少いというふうに
考えておりますので、当然時間外労働の時間が長くなってきております。そして約五十億ばかりある
予算の中で、
ほんとうに時間外労働をするための
予算は三十億です。そのほかは休みの日に出てきたり、あるいは夜勤務することについて手当を出したりする
予算である。三十億の中から五億五千六百万円削るというのですから、そうなると私どもは仕事ができないというように
考えておる。そこで削る
理由を聞いてみますと、昨年の夏に私ども郵政当局といろいろと
団体交渉をやりまして、〇・一一という比率の繁忙手当を出すことになって、もらったわけであります。それから昨年の暮れにO・二という手当をもらい、本年の二月に千五百円の手当をもらった。これはみな神武以来の繁忙だからという
意味における繁忙手当である。ところがこの〇・一一というふうなものは、郵政省内に余裕があったのだ、さっきいろいろ言われた
意味のやみと似たようなことを言っておるわけでありますが、だから削ったのだというのだけれども、実はさっき申し上げたように、夏というのは暑中見舞がたくさん出ます。国
会議員の
皆さん方は特にたくさんお出しになるわけでありますが、(「つまらぬことを言うな」と呼び、その他発言する者あり、笑声)これは事実を申し上げたわけでありまして、失礼なら取り消しますが、夏手当のときに、
かくのごとく繁忙である関係で、実は私ども仕事をする面で超通勤狂手当が足りなくなりますので、この超過勤務について、私どもは何とかして
一つ仕事をしなければならぬという
建前から、私どもは実際に仕事をすると勤務時間が長くなってしまってそれに見合う原資が郵政省にないので、それで繁忙手当をもらって、そのかわりにただ働きの面が出てもはがきの配達等はやるのだということで手当が出ておるわけでありますから、決して余っておる原資ではないというふうに
考えております。一例をあげると以上のようなことになるわけでありますが、そのような
意味で総額二十九億二千五十万五千円というものだけが、差し繰られることになっておりますので、そうすると冒頭に私が申し上げたような
意味で
裁定は千百二十円と言っておりますが、実際には半分以下の金額しか私どものふところに入らないのだということになりますので、
裁定の実施ということにはなりません。
政府の方は完全と言っておりますが、まことに不完全な実施にしかならないというふうに
考えておりますので、やはり
仲裁委員会が紛争の
解決という
意味で出されております
裁定を完全に実施していかなければならぬということになるというふうに私どもは考てえおるわけであります。
次に、実は
政府の方々は簡単に私どもを処分するというふうに言われておるわけでありますが、私どもどう
考えてもこれは合理的ではない、不合理だという
考え方を一持っておりますので、簡単に申し上げておきたいと思いますが、
国鉄の
労働組合の方々が昨年暮れに
調停申請をいたしまして、本年になりまして二月の初めにほかの各組合から
調停申請をいたしました。この趣旨は、公労法の一条に書いてありますように、平和的に友好的に問題の
解決をする、こういう精神にのっとってやっておるわけでありますが、この申請をした
あとにおける状況というものは、新聞紙上をいろいろとながめますと、当時人事院の勧告が出ておりましたから、一般の
公務員の方々は
賃金を引き上げるのだ、しかし三
公社五
現業というものはベースが高いから
賃金引き上げの必要はないという趣旨のことがいろいろと散見されるわけであります。そうなると
予算上もそうでありますので、私ども組合員の
立場に立って
考えますと、これは一般
公務員の方は上るが、三
公社五
現業の者は上らない、こういうふうに非常に、心配をしたわけあります。そういうことになると、公労法上
労働組合が認められているわけでありますから、何とか
一つある程度の実力行使をやってその中で認めてもらうようにしたい、こういうふうに
考えて参ったわけでありますが、たまたま三月の九日に労働大臣の松浦さんから私どもお呼び出しを受けまして労働省に参ったわけでありまして、実はその席上で大臣から言われますのは、諸君は違法行為をやるので厳重に処罰するぞ、従ってやめなさい、こういう話でありますが、私どもこれに対して、実は私どもは好んで違法行為を云々とか実力行使を云々とか
考えておりません。従って
政府からそういう警告を与えられるならば、
政府としてもやはり何かそこで
調停が出たらのむとか、あるいはどうするとかいう
考え方をお示しをいただきたいということを話したわけであります。三月九日の午前中にその話をしたところが労働大臣の方からは、実はわれわれは
当事者ではない、こういうわけです。
当事者ではないので
裁定でも出たら
一つ考えるということです。そこで私は実は郵政省の場合はそのものずばり
政府が
当事者だ、なぜならば郵政大臣の平井さんは兼国務大臣である限り当然これは
政府なんだから、そういう
意味でこれは関係がない、
当事者ではないという言い方はおかしくはないかという点でいろいろやりましたところが、大臣は最終的に、実は
政府の部内で私は
努力をしているのだという話をされましたが、どうもこれは誠意がない。こういうふうに心配しながら私どもは
調停の出るのを見守りましたが、その日の午後に
調停案が出されました。その翌日私どもは論議をいたしまして、この
調停案はまことに不満足ではあるけれども、紛争を平和的に友好的に
解決をするという
立場に立てばやむを得ないのじゃないか、こういう
考え方でこれを
受諾することに私どもはきめたわけであります。ところが
政府の方は態度を明らかにいたされません。さらに聞くところによりますと、社会党との間では十二に
仲裁申請をされるという
政府の
考えであるというふうに伝えられましたけれども、十二日が過ぎましたところが十八日くらいまでに
裁定申請をする。さらにいろいろ承わってみますとその十八日もわからない、こういうことになったのでこれは大へんなことになる、こういう
考え方からいわく三・五波といわれる闘争を計画し、実力行使の計画を立てたわけであります。ところが急に
政府の方が態度を変えられまして、十五日に
裁定の申請
手続を急におとりになる、こういう経過になってあの紛争が実は起ってしまったわけであります。そこで結果的に今度の
裁定が出る四月五日でありますけれども、
裁定が四月五日に出る汝での間に、十六日の未明にかけて鈴木さんと岸さんとの会談が行われ、各大臣を通じて私どもに話があり、郵政の場合も
国鉄さんと同じように完全実施をするのだという話になったわけでありまして、そういう
意味の協定等も結び終ったわけでありますが、完全に今度こそ実施してくれるだろう、過去何回も何回も出ておりますけれども、完全に実施したことはなかったのでありますから、そういうふうに思っておりました。ところが実は先ほど来各省に組合側の
参考人から申し上げたように、実はまことに不完全な実施
内容であったということになって、言葉は悪いかもしれませんけれども、またどうもだまされたのではないかという実感を組合員諸君は率直なところ持っておる
段階であります。そこで私どもはやはりここで
考えておりますのは、こういう経緯になりますと公労法の
建前からして、平和的、友好的に関係両者が
ほんとうに誠意をもって話し合って
解決宿していくというのが公労法の精神であって、従って争議行為が云々というふうにただし書きがあるわけでありまして、そこで
ほんとうに誠意をもって私どもはやってきたつもりでありますけれども、先ほど二、三点
指摘を申しましたように、どうも相手方に誠意がなかったというふうに私どもは
考えておりますし、公労法が
労働組合の存在を認める限りやはり組合としての
立場から実力行使をせざるを得ない、それを行なった結果
政府の方は急に態度を変えてこられる、こういう
現実でありますからやむを得なかったというふうに
考えておりますので、もしも組合側に対して処分をされるというのならば、公労法の
建前からして平和的に
解決する責任は双方にあるわけでありますから、
政府関係の方々も同様に処分を願わなければならぬ、少くとも両
当事者は対等である。だとすると、やった行為の批判は国民一般がするはずだ、こういうふうに私どもは認識を持つわけであります。もしそれがいけないというなら、公労法に基く
労働組合を認められないということを言われるなら話は別ですが、認めておられる限り、そのようになるというふうに私どもは
考えております。もし労働大臣が私どもに言われるように、誠意をもって将来のよき慣行をこれから作ろうじゃないか、こう言っておられるのでありますが、
ほんとうにそう
考えられるとしたならば、今回は双方に責任があるわけでありますから、今回は
政府はいわくノーカウントにしていただいて、誠意をもって両方
努力する、こういうふうにあってしかるべきものではなかろうか、というのが私どもの
考え方なんです。従って以上私が申し上げましたように、この処分をすると一方的に言われますけれども、私どもとしてはそういういわれはないのじゃないか。
政府の労働大臣等が御苦労は願って、今回の問題がこのように紛糾いたしません前に、世上一般相場というものが大体ありまして、人事院勧告も出ているわけでありますから、公労協関係組合の諸君には千二百円ぐらい何とかしてやろうという態度を早く
考えられて、何とかおれの方も
考えるから
公務員諸君は
一つ国民一般へのサービス向上のために全力をあげて働けという、こういうわかった話が当初からあれば、今回の紛争は一切起らずに済んだものを、それが言いかえれば公労法の精神ではなかったろうかという点等も
考えて、
調停案のときにもおのみにならない
政府の状況等もあわせ
考えますと、私が今申し上げたようなことになるのではなかろうかというふうに私どもは
考えております。以上
参考人として
出席を招請されましたので御
意見を申し上げた次第であります。終ります。