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1957-04-16 第26回国会 衆議院 社会労働委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十六日(火曜日)    午前十一時四十五分開議  出席委員    委員長 藤本 捨助君    理事 大坪 保雄君 理事 大橋 武夫君    理事 亀山 孝一君 理事 中川 俊思君    理事 野澤 清人君 理事 八木 一男君       植村 武一君    越智  茂君       加藤常太郎君    小島 徹三君       小林  郁君    田子 一民君       田中 正巳君    中村三之丞君       中山 マサ君    西村 直己君       八田 貞義君    山下 春江君       岡本 隆一君    五島 虎雄君       滝井 義高君    堂森 芳夫君  出席政府委員         厚生政務次官  中垣 國男君         厚生事務官         (医務局長)  小澤  龍君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君         厚生事務官        (引揚援護局長) 田邊 繁雄君         労働政務次官  伊能 芳雄君         労働事務官         (大臣官房総務         課長)     村上 茂利君         労務事務官         (大臣官房会計         課長)     松永 正男君         労働事務官        (労働基準局長) 百田 正弘君         労働事務官        (職業安定局長) 江下  孝君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         労働事務官         (労働基準局労         災補償部長)  三治 重信君         労働事務官         (職業安定局失         業保険課長)  阿部 泰治君         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 四月十六日  委員中山マサ辞任につき、その補欠として世  耕弘一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員世耕弘一辞任につき、その補欠として中  山マサ君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  労働福祉事業団法案内閣提出第一一四号)  引揚者給付金等支給法案内閣提出第一一五  号)     ―――――――――――――
  2. 藤本捨助

    藤本委員長 これより会議を開きます。  引揚者給付金等支給法案議題とし、審査を進めます。本案についての質疑はすでに終了いたしております。  ただいま委員長の手元に自由民主党及び社会党共同提案本案に対する修正案が提出されております。まず趣旨説明を聴取いたします。野澤清人君。
  3. 野澤清人

    野澤委員     引揚者給付金等支給法案に対する修正案   引揚者給付金等支給法案の一部を次のように修正する。   第二条第一項第四号中「引き揚げたもの」の下に「及び当該引き続き外地に残留することを余儀なくされた者のらち、日本国との平和条約第十一条に定める裁判により拘禁された者で、同日前に本邦に引き揚げ、かつ、引き続き当該裁判により同日以後にわたって拘禁されたもの」を加える。  ただいま朗読いたしました自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる修正案趣旨について御説明申し上げます。  この法案によれば、日本国との平和条約第十一条に定める裁判により、いわゆる戦争受刑者として外地で拘禁された者で昭和二十七年四月二十九日の講和条約発効後に本邦に引き揚げてきた者は、第二条第一項第四号において本法対象となっておるのでありますが、同様の事情にあった人々で、講和条約発効前に引き揚げ、そのまま戦争受刑者として巣鴨刑務所に引き続き拘禁された者は、その長く拘禁状態にあった実情においては講和条約発効後に引き揚げてきた者と少しも異なるところがないのであります。よって、今回これらの人々をも第二条第一項第四号の引揚者に含めることとして、本法対象として処遇いたそうとするものであります。
  4. 藤本捨助

    藤本委員長 以上で説明は終りました。  ただいまの修正案に対する予算等関係について、政府に御意見があればこの際お述べ願います。
  5. 中垣國男

    中垣政府委員 本法案におきまして引揚者範囲は、終戦またはソ連参戦の際に引き続き外地に六カ月以上生活の本拠を有した者で、やむを得ず本邦に引き揚げた者、及び講和条約発効後もなお引き続き外地に残留することを余儀なくされた者に限るべきであって、その範囲を拡大することは本法趣旨及び諸般の事情にかんがみ、極力避くべきものと考えておりますが、本委員会における修正趣旨を尊重いたしまして、善処することにいたしたいと存じます。
  6. 藤本捨助

    藤本委員長 ただいまの修正案についての御発言はございませんか。
  7. 山下春江

    山下(春)委員 私の不在中にこの修正案が決定いたしましたので、この修正案に反対とか賛成とかということでありませんが、この法案が通過するに当って意見を具申しておきたいと思います。  引揚という文字がかぶせられている以上、こう取り扱うよりほかに方法がなかったであろうと思いますけれども、しかしながら他の援護法及び恩給法等におきましては、内地戦闘行為に参加し、もしくはその戦闘の被害を受けた者に対しては、われわれはあとう限り広範囲に救済して参ったのであります。ところがこの十一条に定められた裁判を受けた人に限り、内地裁判を受けた者は長く巣鴨に拘禁されていてもそれに該当しないということは、法律論らいえば該当させるということが間違いかもしれませんけれども実情らいえばそれが除外されることはきわめて妥当でないと感ずるものであります。この修正によって除外されました四百名余り人たちは、今後いかなる機会に、いかなる名目をもってこれを救済しようとするものであるか。私はそれはよくわかりませんが、いずれにいたしましても、今、政府からの御言明のあった際限なく範囲を拡大して考えようとするものの考え方には賛成できないということは、われわれも同感でありますけれども、同じ範疇に入る千名余りときまっておるこの人の中から、特に引き揚げないという理由をもって除外されることはきわめて不当な措置であると思います。そこでこの除外された者に対して、今後政府はこれを落したままにしてまかり通ることなく、いつの日か、いつの機会か、必ずこれらの人に対しても今回行われたような援護あるいは慰謝の気持を表明されることのあるよう私は深く期待をいたしまして、私の意見といたしてこの際、とどめておきたいと思います。
  8. 藤本捨助

    藤本委員長 ほかに御発言はございませんか。――なければ次に原案及び修正案を一括して討論に付すのでありますが、討論通告もありませんので、直ちに採決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 藤本捨助

    藤本委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  採決いたします。  まず、本案に対する修正案賛成諸君起立を求めます。   〔総員起立
  10. 藤本捨助

    藤本委員長 起立総員。よって修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く政府原案原案通り可決するに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  11. 藤本捨助

    藤本委員長 起立総員。よって修正部分を除く原案原案通り可決せられ、本案修正議決すべきものと決しました。  なおただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 藤本捨助

    藤本委員長 御異議なしと認め、さように決しました。     ―――――――――――――
  13. 藤本捨助

    藤本委員長 次に労働福祉事業団法案議題とし、審査を進めます。質疑通告がありますのでこれを許します。滝井義高君。
  14. 滝井義高

    滝井委員 まず厚生大臣に実はお尋ねをいたしたいと思うのですが、大臣何か御用があって、おいでになっていないようでございますのでこれをあと回しにしまして、労働福祉事業団法の中の特に所得税法改正関連をして、これは主税局、それから国税庁関係に先にお尋ねをしたいと思います。  御存じのように今度税法改正によりまして、人格のない社団等収益事業範囲についてという政令が出まして、そして今まで収益事業の中に入っていなかった医療保健事業というものが、収益事業の中に加えられることになった。実は今回提案をせられております労働福祉事業団というものは、この事業団母体になっているものを見ると労働者災害補償保険保険施設及び失業保険福祉施設、こういうものがこの事業団の設置におけるいわば母体となっているものなのでございます。今までの税法の立て方から申しますと、これらの特に労災関係病院というものの運営はどこがやっておったかというと、財団法人労災協会運営をやっておったわけでございます。   〔委員長退席大坪委員長代理着席〕  今回の医療収益事業ということに見ることによって、この法律がまだ通っておりませんので、一体財団法人労災協会というものは収益有業と見て、課税対象となるものなのかどうかということを、これはまず労働省の側からお尋ねをして、それから国税局なり主税局の方にお尋ねをしたいと思います。
  15. 三治重信

    三治説明員 これは労働省、私の方といたしましてそういうふうな収益事業関係として考えられないこともないかとも思いますけれども、やはりこの経営だけを委託しておりまして、向うの財団法人労災協会というものがその収支経営をするのではないので、たといそういうふうに法律改正になりましても労働省経営として経営委託をして、その収支の結果は全部国に帰属するわけでございますので、そういうふうな所得税法改正があっても、労災協会のこの診療収入に対して課税になるようなことはないというふうに考えております。
  16. 滝井義高

    滝井委員 労働省にその理論的な根拠一つ伺いたい。この政令案をお読みになって、どこからそういう理論的な根拠が出てくるか。
  17. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 今の御質問の点でございますが、現存する労災協会に対する課税の問題でございましょうか、それとも今度の事業団病院経営が行われる場合の課税でございますか、その点前者のように私考えるのでございますが、その点につきましては、ただいま労災部長から御説明申し上げましたように、労災協会病院経営と申しますのは、政府との委託契約に基きまして病院経営を行なっておるのでございまして、その経世の結果の帰属は、ただいま労災部長から申し上げましたように、政府に帰属するという形の委託契約になっておるのでございます。従いまして、病院経営の面からの利益が労災協会に帰属するような形態にはなっておりませんので、現実の問題としては課税対象にならないもの、かように考えておる次第でございます。
  18. 滝井義高

    滝井委員 今度できます労働福祉事業団法案においては、さいぜん私が申しましたように、所得税法改正によりまして、明らかにこの法案の中に、附則でありますか、附則の十七条、十八条に所得税法、それから法人税法関係、それから十九条に地方税法関係が出ておるわけです。従ってこれは明らかに非課税団体になることになります。しかし今度新しく大蔵省改正された政令案によりますと、今のようなことにはどこの条文を見てもならぬと断定できる。これは現在の労災協会です。法律が通らなければまだ労災協会なんですから、従って労災協会というものが、三治さんが言われるように政府に帰属するからかかりませんということは、政令案の中からは出てこないのです。
  19. 塩崎潤

    塩崎説明員 法人税の問題でございますので、大蔵省から一言お答え申し上げます。御承知のように、滝井委員がお話になりましたように、法人税法施行規則改正になりまして、収益事業の一部に医療保健業が入ったことは御指摘通りでございます。ただこの課税関係は四月一日以後終了する事業年度分でございますので、労災協会はこの法案が通過することによりまして、その福祉事業団といいますか、それに改組されますから、その間が問題であろう、こういうお尋ねだと思います。ただ医療保健業課税関係におきましては、赤十字社それから社会福祉法人その他これに準ずるものといたしまして大蔵大臣指定するものがございます。この指定を受けますれば、医療保健業として課税は受けないということになっております。その課税趣旨が、御承知のように、現在課税になっておりますところの医療法人その他の関係からこういう規定が入ったわけでございます。個人的な色彩のない、あるいはまた公益性のきわめて強い団体、これらは今後大蔵大臣指定によりましてはずしていくものもある、こういう基準を現在のところ検討中でございます。その指定を受けますれば、今労働省からおっしゃられましたように課税の方から除外になる、こういうことになる。その実態につきましては私どもも今後検討して参りたい、かように考えております。
  20. 滝井義高

    滝井委員 今の御答弁からいって、まだ必ずしも労災協会公益性が強いものとか、個人的色彩のないものなんということに当てはまるかどうか、まだ検討を今からするところなんですね。従って今度のこの改正案では一応労災協会課税対象名簿におそらく載っておるだろうと私は推定するのです。これは現実労災協会や都道府県の公益法人その他の状態を調べて、実態塩崎さんの方でわかっていますか。人格のない社団等収益事業範囲についてという政令案を出すからには、それぞれの実態を御調査になって、こういう政令案が出てきておることは明らかです。これは四月一日から実施になっておるのです。従って労災協会もすでにその名簿に載っておるだろうと解釈するのです。従って実態調査しているのは多分国税庁志場さんの方でやっておるのだろうと思いますから、至急一つ呼んでもらいたいと思います。
  21. 塩崎潤

    塩崎説明員 おっしゃる通りどももこの課税関係改正いたします際に数その他実態につきまして調査はいたしました。ただその労災協会自体につきまして突き進んだ調査をしたかというと、それはあまりまだ十分ではございません。全般的に、たとえば医療法人民法三十四条法人学校法人、たくさんの法人がございまして私どもも非常に苦しんだわけでございます。各方面意見を聞いてこういう指定基準を作りました以上、なるべく詳細なものを作りまして、公益性の強いもの、それからまた財産保全的でないもの、個人的な色彩のないもの、こういう観点から見まして排除することを研究したい。今国税庁法人税課長の御要求がございましたが、おそらく私どもと同じような気持で、今までの調査の段階ではこういうようなところで完全に全部そろってはいないと思います。私どもこれから至急調査いたしたい――これからといいますとはなはだ恐縮でございますが、課税年度は四月一日以後開始する事業年度でございますので、まだ時間は相当ある、かように考えております。しばらく研究の余裕を与えていただければ幸いだと考えております。
  22. 滝井義高

    滝井委員 御存じのように、この税法は国会をすでに通っておるわけです。従ってこの課税をされるかどうかということは、医療保健事業にとっては今後の経営方針その他も違ってくるわけです。たとえば今まで無税であった労災協会というものが今度は課税されるのだという形になれば、労災協会運営の仕方は根本的に違ってくるのです。ところが、今あなたのおっしゃるように、一応大蔵大臣指定するもの、こうなっておりますけれども、これは民法三十四条規定によりますと、民法一子四条公益法人関係は「祭祀、宗教、慈善、学術技芸其他公益二関スル社団ハ財団ニシテ営利目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人トスコトヲ得」、こうなっておるんです。その中から特にあなたの方から出ておる政令案はどういうことになっておるかというと、民法第三十四条規定により設立した法人学術研究目的とするもの、その学術研究に付随して行うもの、並びにその他の法人の行うものでこれらの法人の行うものに準ずるものとして大蔵大臣指定するものを除く、こうなっておるのです。従って学術研究というものが主体になっておるから、定款で学術研究ということをうたっておらなければだめです。そこがまず一つの大きなポイントになってくるわけです。そうしますと、労災協会というものは学術研究目的としていない。従ってまずここに労災協会といyものが課税対象になるということを私は今例としてあげたわけです。ところがそればかりじゃなくして、今度は、これはあとでまた触れていきますが、これは厚生省にも及んでくる。きょうは保険局長が来ていませんが、厚生省で同じような団体がある。それはどういう団体かというと、厚生年金病院です。厚生年金病院はこれは厚生団というものがやっておる。これはやはり財団法人です。そうしますと、今度労働省だけはうまいことやりまして、労災病院だけを非課税対象になる労働福祉事業団法案というものに切りかえてしまった。ところがバスに乗りおくれた厚生省厚生団は依然としてそのままです。一つ官庁において労働省だけは同じ労働者施設を体よく切りかえていくけれどもバスに乗りおくれた厚生省としては依然として厚生団で、しかもこれは課税対象になるような状態のものがそのまま放置されておる。こういうことになると、病院経営というものは各種ばらばらになってしまう。そればかりではない。今度はらい研究目的とする藤楓協会というものがある。これはらい予防です。決してらい医学そのもの研究するのではない。予防が中心です。これはやはり財団法人です。今度結核がある。BCGなど、これも学問研究じゃない。厚生省関係結核予防会というものがある。これは病院経営しており、やはり財団法人なんです。さらに健康保険組合健康保険病院協会ですか、こういうようなものがある。船員保険病院なんかやっている船員保険会というもの、これも財団法人です。こういうようなものがたくさんある。ところが労働省だけはうまく事業団を作っちゃった。他のものはへまをしていると今度は課税対象になってしまう。こういう関係は、一体どういう工合にその実態を把握し、どういう具体的な線を引いていくつもりなのか。私まだ具体的にいろいろなものを出して聞いていきますけれども、こういうところを一つ主税局の方でも、これはもう実施されるんですから、明白な方針を早く示さないと、四月以降いずれ適当の時期じゃ、病院経営はまず値段を高くとらなければならない。課税をされないということで安くしているんだけれども課税されるということになると、高く料金をとらなければ病院経営をやっていけない。労災病院もその通りなんです。
  23. 塩崎潤

    塩崎説明員 御指摘の第一条の三の三十号でございますが、「これらの法人の行うものに準ずるものとして大蔵大臣指定するその他の法人の行うものを除く。」この規定に入りますものは、民法三十四条法人だけだとは私どもは考えておりません。その上に列挙しておりますところの日本赤十字社社会福祉法人、それから最後に民法三十四条法人学術研究を行うもの、これらに準ずるものとして大蔵大臣指定するもの、相当広範な規定でございます。この課税趣旨が、先ほど申し上げましたように負担の公平ということから出て参りましたけれども、一方医療法人関係には非常に公益性の高いものが多い、こういうものに課税すること自体非常識じゃなかろうかということで、非常にむずかしい書き方でありますけれども例外規定を設けたつもりでございます。   〔大坪委員長代理退席大橋(武)委員長代理着席〕 それで私どもは、一つ基準によりまして、大蔵大臣指定によりまして、先ほど御指摘のありましたようなものを拾えるかどうか、今後急いで検討して参りたい。おっしゃる通り四月一日以後開始する事業年度でございますけれども、なるたけ早目にしたいと考えております。厚生団それから船員保険病院健康保険病院、これがあることも私ども十分知っております。ただ健康保険病院につきましては、これは四条法人でございまして、こういう社会福祉事業団と同様に非課税でございますので、これは大蔵大臣指定によりまして書かなくても非課税でございます、厚生団厚生年金病院船員保険病院結核予防会これらは各方面から私どものところに資料が集まっておりますので、なお検討いたしまして、社会福祉法人あるいは赤十字社、あるいは職域的な国家公務員共済病院、これなんかもはずしてございますが、これらに準ずるものとして、医療保健事業が営まれておりますところの公益性のある収益事業につきましては、大蔵大臣指定によりまして、実情に即するがごとくはずれるような方向を考えていきたい、かように考えております。
  24. 滝井義高

    滝井委員 今御説明がありましたが、われわれとしては、これは通るか通らぬかわかりませんが、とにかく現在の労災協会というものが課税対象になるかならぬかということは、われわれが今後法案を審議する上において、これは他のものとも関連をしておりますので、重要な関係を持つのです。従って速急に、この委員会をこの法案が上るまでにそういうところのものを一つお示しを願いたいと思うのです。これはいずれ志場さんがおいでになれば、どうせある程度具体的に把握されておりますからその資料も要求しますが、そういうことをまず第一にお願いしておきます。  次に、法人税法ごらんになっていただきたいと思いますが、四条五条関係なんです、法人税法四条法人の中で、今あなたの御説明になったように、国民健康保険組合及び同連合会並び健康保険組合及び同連合会というものは、税を課さないことになっております。ところが、今度五条ごらんになりますと、五条においては国民健康保険組合健康保険組合と同じような性格を持っておりまするところの国家公務員あるいは地方公務員のこういう団体、それから同時に五条の一項の四号をごらんになりますと、国家公務員共済組合及び連合会市町村職員共済組合及び連合会、健保連やあるいは国保連と同じような性格国家公務員共済組合や、市町村職員共済組合には、収益事業に限って税金を課すことになっております。一体同じ性格のものをどうして片一方非課税団体とし、片一方収益事業についてかけなければならぬかということです。私これがわからないのです。
  25. 塩崎潤

    塩崎説明員 御指摘四条法人五条法人の区別の問題でございますが、健康保険、それから国民健康保険四条法人であり、これに対し、市町村共済組合それから国家公務員共済組合五条法人であるのはなぜかという御質問だろうと思います。私どもも沿革的に、これを作りますときから議論いたしておりまして、今度の改正でも、実態はそう変らないから、むしろ四条健康保険あるいは国民健康保険五条法人に持っていくべきではなかろうかということで、厚生省の方にもお話し申し上げたわけでございますが、厚生省の御主張では、健康保険組合あるいは国民健康保険組合というものは、やはり国家公務員共済組合その他の共済組合と法的にも全く違う、収益事業というものはないのだという御説明がございましても、しかも課税いたしましても所得というものは非常に零細でございますので、しいてこの際五条法人に持っていかなくてもいいというような理屈から今回は見送ったわけでございます。実態も少し違うのではないかということがむしろ厚生省の方から御主張がございまして、私どもといたしましては、バランスの上から五条の方でなかろうかという御意見も申し上げたのでございますが、沿革的に二十五年からそういう扱いになっておりますので、今までのところ四条五条と区別しておるわけでございます。
  26. 滝井義高

    滝井委員 その点は、なるほど健康保険組合事業主がその保険料半額は出しております。しかし国家公務員事業主に当る国が保険料半額を出して、大蔵省の所管になっておることは御存じ通りです。本質的にはなるほど健保組合より国家公務員共済組合の方が救済規定その他も非常に範囲が広いです。しかし健康保険法の改正をやれば、それが組合管掌のものにも及び同時に今度地方公務員国家公務員共済組合にも及んで、現実に国会で審議されておることは、われわれまのあたりに見ることができる。これらの二つのもの、健保連、国保連あるいは国家公務員地方公務員共済組合は不可分のものとして今まで論議されてきておる。いわゆる沿革は違うかもしれないが性格はきわめて似ておる。ところが片一方の事業は初めから堂々と四条非課税になるが、片一方収益事業だということで課税される。ところが今度の政令では、医療保健事業収益事業に入れたために、法律では税をかけるということにしておきながら、今度政令ではどういうことになったかというと、国家公務員共済組合とか同連合会あるいは市町村職員共済組合、同連合会というものは抜けちゃった。すなわち国会の意思、立法者の意思というものは、これは四条ではなくて五条ということをきめておきながら、今度執行機関が国会の意思を無視して――と言い得ると思う、今度勝手に収益事業からどける形をとっておるのです。立法上からいうと矛盾をしておるのです。片一方は、国家公務員共済組合地方公務員共済組合のやる収益事業は税金をかけるのだと法律は書いておる。ところが一方いつの間にかわれわれの知らぬうちに政令なるもので――政令というものは国会がやるものではない。政令でいつの間にかこれは税金をかけません、こういうことになっておる。それならば初めからこれを五条でなくて四条非課税の組合に入れるべきだと私は思う。そういう点どうして厚生省が――今厚生省の責任に今度なってきた。なぜ厚生省は、こういうものを当然非課税にしなければならぬのに、四条非課税団体として主張しなかったかということです。
  27. 塩崎潤

    塩崎説明員 三十号の医療保健業課税趣旨は先ほど御説明したつもりでございますが、私どもが今まで収益事業といたしまして課税しておりましたのは約二十八ございまして、その中の一番大きなものは物品販売業でございます。国家公務員共済組合におきましても物資は相当扱っておりますし、主としてそこからの収益事業について課税してきたわけでございます。今回医療保健業課税することにしたゆえんは、先ほども申し上げました通り個人類似あるいは医療法人類似の公益法人が相当ございますので、それとのバランスでやる。それとのバランスから見て課税するのは適当ではないというものははずそう。これは法律の委任の範囲内で収益事業範囲政令で定める、こういうことになっておりますので、医療保健業につきましてはそういうものは収益事業と見ないのだ、こういう規定を入れたつもりでございます。健康保険組合の方はむしろ医療保健業の方が大部分と聞いております。ところが国家公務員共済組合の方は医療保健業のみならず各種の事業もございますので、四条五条としてもさして不都合はない、こういう気持を私どもは持っております。ただ五条国家公務員共済組合はなぜ四条にしなかったか、この説が出るわけでございますが、私ども四条法人は、――健康保険組合国民健康保険組合はちょっと例外的な感じがいたしまするけれども、大体四条法人は全額政府出資の法人あるいは残余財産が全部国に帰属するような法人でございます。五条の方はそういう法人ではございません。公益法人ではございまするけれども、その収支というのは国とは全く別だ、こういう法人を列挙したつもりでございます。そういうところから二つの線を区別しておるつもりでございます。
  28. 滝井義高

    滝井委員 ところが今度は労働福祉事業団体というものが四条法人に加えられてきた。これは全額国が出さないのです。地方公共団体も出すのです。
  29. 塩崎潤

    塩崎説明員 少し言葉が足りませんのでまた補足いたしますが、全額政府出資と申しましたのは、政府並びに地方公共団体、こうお考えになっていただいていいと思います。言うなれば税金からその出資がされるもの、こういう趣旨で現在のところ、たとえば市が市電あるいは水道事業をやっております。これも収益事業の一種でございますけれども、市町村に対しましては国から交付税をやり、また市町村自体税金でまかなおれておりますので、これに課税すること自体――イギリスは課税しておるような実例もございまするけれども、わが国ではそういうことをしなくてもいいではないかというところで法人税はかけない、こういうことにいたしておる次第でございます。
  30. 滝井義高

    滝井委員 とにかく四条五条との関係、それから今回大蔵省で出したこの政令との関係には、今のあなたの御答弁なり私の質疑を通じて幾分論理の一貫しない点があることは大体私ははっきりしたと思うのです。収益事業というものは五条では税金をかけるということになっておるが、しかしここでは一部を除いている。  そこで少し回りくどくなりましたから今度は具体的なことに入っていきたいと思います。医療保健事業というもので大蔵大臣指定するもの、この大蔵大臣指定をする基準というものを、さいぜんちょっと個人的色彩のないもの、公益性の強いもの、こういう線をお引きになったようでございますが、そういう二つの線で全部やっていかれるのですか。その基準はまだきまっていないことはないと思う。大体きまっておるだろうと思うのですが、その基準はどういうところに置いておられるのか。
  31. 塩崎潤

    塩崎説明員 先ほど御説明申しましたように、現行政令によりますと、赤十字社社会福祉法人学校法人国家公務員共済組合、同連合会、市町村職員共済組員、同連合会、それから私立学校教職員共済組合、それから民法三十四条規定により設立した法人でもっぱら学術研究を行うもののその学術研究に付随して行うもの、ここまでは私どもも例示いたしまして書いたわけでございます。ただこれだけでは私ども課税趣旨から見ましてまだ不十分ではなかろうかというわけで、先ほど申し上げました「これらの法人の行うものに準ずるものとして大蔵大臣指定するその他の法人の行うもの」こういうことを入れたわけでございます。趣旨が今申しましたように公益性のきわめて高いもの、それから個人的色彩のないもの、さらにまた公益法人の設立の趣旨が財産保全的でないもの、これだけ今のところ考えております。これだけで救えるかどうか、なお実例に当りまして詳細に検討して参りたい。なるべく滝井委員のおっしゃるように早くその基準を作りまして、具体的にどういう団体非課税法人になるかということを指定して参りたい、かように考えております。
  32. 滝井義高

    滝井委員 日本赤十字社をあなた方が一番先にあげておるから、これを一つ論議の対象にしてみたいと思うのです。日本赤十字社というものは実態御存じだと思うのです。医療保健事業は全国的にやっております。この実態国税庁は一体どう見ているかということです。日本赤十字社病院経営実態公益性が非常に強いと見ているかどうか、どういう実態ごらんになっておりますか。
  33. 塩崎潤

    塩崎説明員 この点につきましても私ども方面から意見を聞きまして、赤十字社社会福祉法人とどちらが公益性が強いか、議論をいたしました。社会福祉法人の特殊性といたしまして、無料低廉なる医療の報酬ということが一つ基準になっております。それらから見まして、赤十字社社会福祉法人とどっちが公益性が強いかということを議論いたしました。しかし日本赤十字社個人的色彩というものは認められないのじゃないか、それは保険医療費につきましていろいろな考え方があるようでございますけれども、過去からの長年の沿革から見まして、あれが普通の医療を行う法人とのバランス上課税する必要があるかどうか、私どもの常識から見まして課税するに適当ではないのではなかろうか、公益性は相当強いものだ、こういう考え方から赤十字社を除外したような次第でございます。
  34. 滝井義高

    滝井委員 その公益性がなかなか問題になるのですが、日本赤十字社が普通の私的な医療機関よりか非常に高い料金を取っている、こういうことになるとこれは少くとも人道博愛をスローガンに掲げておる赤十字社としては問題だと思うのです。私的な医療機関より高い。しかも赤十字社の本来の目的らいえば、やはりこれは博愛なんですから金持ばかりが入るべきじゃないと思う。やはり貧しい人がどんどんそこに入っていくべきだと思う。今ここに議題になっておる労災病院なんかもやはり同じような趣旨労働者のためにできておるものです。そうしますと病院経常の実態というものをまずうんと分析してみる必要があると思うのです。そこであなたの公益性を私は少しためしていかなければならぬことになるわけです。赤十字社状態を見ておりますと、これは健康保険の患者はほとんど入れない。政府は国民皆保険を考えておりますが、健康保険の患者がほとんど入れないような、入院患者のほとんど大部分が差額徴収を持っていかなければだめかあるいは自由診療でなければ入れないというような病院は、これは現在の日本においてはそこらの私的な医療機関よりも公益性はないと私は断定していいと思う。あなた方もそういう意見だろうと思うのですが、まずそこからお尋ねしていきたいのです。
  35. 塩崎潤

    塩崎説明員 私どもが今回課税しようという趣旨健康保険を扱わないものだけというつもりではありません。先ほど申し上げましたように、赤十字社の私どもの長年の評価、これから見て赤十字社はやはり公益性が強いだろうという考え方をとったわけでございます。ただその運営につきまして、これは赤十字社法がございまして所管官庁が監督しておるわけでございますので、その設立の趣旨から見て私は監督官庁の適当な監督さえございますれば、公益性は相当高められるものだと、かように考えております。世の中の人の常識から見まして赤十字社課税するということが通るか通らないか、私は疑問だと思いますので、私どもはこの赤十字社をはずした方がいい、こういう結論に達したわけでございます。
  36. 滝井義高

    滝井委員 世の中の常識というものが表面だけの常識になると、全購連みたいなことになる。まさかこれは悪いことをする団体でなかろうと思って国の血税を補助金で出しておったところが、五億も十億ものやみの金をいつの間にか公益性の強い団体が隠してしまっておったということもあり得るわけなんですね。私は赤十字がそうだとは言いませんが、いつか私は健康保険を審議するときも、警告を発しております。ここにはかって厚生省の次官であった人が多分相当のポストを占めておる。ところがそこの実態は、入院するときには保証金をとります。保証金は特別一人室三万円です。それから一等一万円です。二等五千円です。三等三千円です。普通の私的な医療機関で公益性のあるところで、入るときに、特別一人室三万円とか、三等に三千円とかいう保証金をとるところはありません。これだけで、私はまず一つの問題点が出てくると思う。それから一般入院料を見てみると、これは日本赤十字社中央病院入院案内に出ているのです。この前もここで披露したのですが、きょうは特に税金の関係で問題があるから言っておるのですが、特別室A一人一日の入院料二千二百円、冬期一日暖房料百円、これだけとるのです。それが分れているのがどういう工合に分れておるか。特別室がAとBに分れている。さらにその次に特一等というのがある。それから甲一等があります。それから乙一等があります。それから特二等がある。それから甲二等があります。乙二等があります。そして三等があるのです。国家公務員の等級を七等級にすることを社会党は反対しました。ところが、人道と博愛をもって鳴って、税金をかけない、公益性の強い病院なんですよ。国家公務員の等級よりか多い九つの等級を持っている。しかも三等は一室に八人ないし十六人です。これの一日の入院料が四百七十円、しかも冬期一日の暖房料が五十円ですから、五百二十円とられる。一体健康保険で五百二十円で入れるか――入れない。健康保険は一日の入院料というものは幾らかというと、まず食事を食わして二十七点です。それから寝具を貸して三点です。家具がついて四点、まず最高で多分三十四点だと思うのです。三十四点だとしますと、健康保険で四百二十五円です。健康保険で三等にも入れないのです。こういう病院実態公益性だということで非課税対象になるという、こういうところから、いわゆるやみの金がたまって、これはそでの下がいくことになる。だからこういうものは、日本赤十字がほんとうにわれわれの常識通り公益性のあるものならば――なるほど引き揚げの問題その他を考えてみると非常に公益性がある。しかし病院経世の実態というものを見ると、非常にこれは問題が出てくる。しかもそこの人件費を見ると、大学を卒業して五年ないし六年の者で三千円から五千円しか給料をもらってない。しかも大学を卒業して二十年で三万四百八十円しかもらっていない。こういうことで、そこに使っている人間を搾取をする。博愛と人道をもって鳴ってきている赤十字が、患者を搾取をして、弱い者は入れられぬ。入るのはみなブルジョア階級ではありませんか。これが厚生省のいわゆる所管下にある公的な医療機関の代表的なものであり、しかも保健医療事業として課税をされてないトップに上るものだということなんです。これでもあなたの常識論では、収益事業には入らぬ無税のものだ、日本の公的医療機関のチャンピオンだ、こういうことになってしまう。この実態というものは、どうも私たちには納得ができない。この前私はこれをやはり健康保険のとき出した。おそらく厚生省である程度メスを入れて、その後変っておるかもしれませんよ。私のこの資料というものは、今から一年半くらい前の二十四国会のときの健康保険で使った資料です。しかしこれはやはり関係があります。厚生年金病院にも関係がある、労災病院にも関係がある。私は公的医療機関の典型的なものを一つ出してきた。それがたまたま赤十字病院であったことについては、赤十字に非常にお気の毒でもあるし、済まないと思っております。しかし私たちはやはり政治を浄化してよくしていくためには、こういう点を問題にしなければならぬと思うのですぬ。そこであなた方は、少くとも公益事業のトップに日本赤十字社をあげられたからには、あげられただけの理論的根拠を持っているはずなんです。これは私的医療機関より悪いです。今度あなた方がどけようとする三十四条公益性のある医療機関よりか、こういう状態ならば見下げた状態です。普通の医療機関はこういうものはないですよ。これだけの九等級に分けて保証金を三万円も取るところはありません。これをあなた方はどう考えるのか。こういう実態を私が質問して以来、どういうふうに赤十字は直されておるか、直されておるならその実態を御説明願いたいし、その実態を今説明できなければ午後でよろしゅうございます。
  37. 大橋武夫

    大橋(武)委員長代理 それでは御答弁は午後にしたいということですから、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ――――◇―――――    午後二時四分開議
  38. 藤本捨助

    藤本委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  休憩前の質疑を続行いたします。安田社会局長
  39. 安田巖

    ○安田(巖)政府委員 午前中に日本赤十字社の行なっております医療施設につきまして、これを非課税にするだけの公益性がないではないかというような御質問のように承わったのでございますが、日本赤十字社は、御承知のように日本赤十字社法に基く特別法人でございまして、赤十字に関する諸条約に基く業務でありますとか、あるいは災害救護、伝染病流行時の救護でありますとか、あるいは常時健康の増進、疾病の予防、苦痛の軽減その他社会奉仕のために必要な事業、そういったような仕事をやっておるわけでございます。   〔委員長退席、亀山委員長代理着席医療施設経営につきましては、特に日本赤十字社の特性といたしまして、救護員を常時確保しなければならない。それからそういった救護員を養成しなければならぬという特殊の任務があるわけであります。救護員というのは医師でありますとか、看護婦でありますとか、その他の特殊の技能者でありますが、そういう者は日赤の費用でこれを負担するようになっておるわけであります。そういう観点から参りまして、あるいは巡回診療を行いますとか、集団検診をやるとか、それから病院の多くは医療社会事業部を設けておりまして、事実上減免を行なっておるものもございますので、それらをあわせまして公益性を認めて、今回の大蔵省政令におきましては非課税にされたもの、こういうふうに考えております。
  40. 滝井義高

    滝井委員 昔鼠小僧という盗賊がおりましたが、いわゆる一方ではどろぼうをやっておきながら一方では貧しき者を救うためにその取った金を使っていく、こういうことがあったわけですね。われわれはこれを義賊といいました。義賊といったけれども、やはり彼の手はうしろに回らなければならなかった。そうすると問題は、公益性の名のもとに、いわゆるふんだんな営利事業を病院でやっていいかどうかということです。病院で上った金というものは、なるほど救護に使います。常時看護婦の養成に使う。それならば私的医療機関だって上った金を貧しい者のために使うんだ、貧しい者の診療は無料でやる人だということになれば、公益性があって税金がかからぬことになります。その論理は、私は少くとも医療に関する限り、やはり日本赤十字社病院対象にして、そしてそのもうけた金がいかなる事業に行っておろうとも、そこのもうけ方が問題なんです。もうけ方が、一般の病院よりもぜいたくな治療をやり、あるいは入院設備等も三万円の保証金をとるような入院設備へ入れていくということになると、これは社会通念による公益性の概念とはほど遠いものであるということはわれわれの常識なんです。今のあなたの御答弁によると、鼠小僧は神にあがめなければならぬということになってしまう。その点の論理は私はどうも納得がいきません。さいぜんあなたはおいでにならなかったけれども、あなたこれを取り寄せてごらんなさい。日本赤十字社中央病院入院案内というのをもらってきましたが、特一等一人室というと三万円の保証金が要る。大体こういうような三万円の保証金が要るところに、日本の九千万国民の中でだれが入れるかということです。これは入れる人はきまっておる。一握りの人しか入れない。その次の一等一万円の保証金を出させるようなところにだれが入れるか。これは保守党の政治家の諸君だって高いと言う。これは高い。だから問題は、こういうものがあってしかも一般入院料は――さいぜん私は、政府原案国家公務員を七等級に分けた。七等級に分けてもいかぬといって社会党は反対してきました。これは社会党の修正で、いわゆる五等級のところが五、六の二つに分断されて、八等級になった。ここは九等級になっておる。ところが三等は一室の収容人員が八人ないし十六人だけれども、この三等の一日の入院料は四百七十円です。しかもそれが冬期におきましては暖房費を五十円とられるから五百二十円になる。五百二十円というと健康保険では入れない、差額徴収です。そうすると健康保険で入れないものというのは、明らかに収益事業です。個人の病院だってこういう形のものはほとんどない。しかも健康保険というものはここでは――行って調べてごらんなさい。健康保険の入院の施設がどのくらいあるか、りょうりょうたるものですよ。だからそういう一方でふんだんにもうけて、一方で経費低廉なものをやっておれば公益事業だというのであれば、全部の私的医療機関はそうやりますよ。今までだって生活保護の患者をやってきておったのだから、今のそういう形で――生活保護の患者は金がとれません。とれなくてもやはり黙ってやってきた。これは人道博愛をモットーにやるのですから、生活保護やなんかはまっ先に扱わなければならぬ。ところがその施設やなんかを生活保護に百パーセント開放しておるかというと、していないのです。じゃ、局長さん、今大体ベッドが幾らあって、その中に健康保険の三等というのは何人入っておるか、これを一つ説明願いたい。
  41. 安田巖

    ○安田(巖)政府委員 今、日赤のベッドが幾らあって三等のベッドが何床あるかということにつきましては、資料を持っていませんので、後日調べてお答えいたしたいと思います。  今滝井委員のお話も、入院料の問題を主たる問題としておあげになったようでありまして、確かにごもっともな点があると思います。ただ鼠小僧のお話とこれとちょうど同じになるかどうかということにつきましてはいろいろ問題があるかと思いますけれども公益性をどこに求めるかということだと思うのであります。そこで、たとえば社会福祉法人で行う医療事業のほかに、公益性というのは低額、無料でやることが公益性であるというような考え方もございましょう。それからまた今度の大蔵省政令にありますように、学術研究を行うものとか、あるいは学術研究を行うに付随して行う――ということはおそらく日赤の場合は救護員の養成とか病院経営ではないかと思うのであります。そういうものもまたそこに公益性が認められる。日赤の公益性というものは先ほど申し上げましたように日赤の法律に書いてありますようにいろいろあるわけでございますが、その中で特に病院経営等に関係がありますものはこれは赤十字に関する諸条約に基いて業務に従事するというようなこともございますし、それから災害救護ということは非常に大きな仕事でございます。もう一つは救護員の常時確保であるとか、救護員の養成ということも大きな目的であります。そういう大きな目的公益性を認めて、それに付随する病院経営を認めているというような格好になっていると思うのであります。もちろん今おあげになったように、高い入院料をとるということは望ましいことではございませんから、今後一つそういう点につきましては相談いたしたいと思います。
  42. 滝井義高

    滝井委員 今いろいろ御答弁がありましたけれども、今私が論議の対象にしておるものは、今度医療保健事業というものが収益事業に入ってきたわけです。そして特に公益法人医療をやっているものは収益事業と認める、こういうことになっているわけです。その中の除外例として民法の三十四条学術研究目的とするものを除かれた。そのほかは大蔵大臣指定するものである。指定する基準というものは今大ざっぱな御説明をいただきました。ところがそういう指定基準やなんかとは関係なく、無条件に日本赤十字社というものが入ってきておる。ほかのものはみんな、いろいろ問題があるので、まだ大蔵省の選択に待たなければならぬ。ところが日本赤十字社社会福祉法人学校法人国家公務員共済組合及び同連合会、それから市町村職員共済組合及び同連合会並びに私立学校の教職員共済組合の行うもの、これらのものは民法三十四条とともに一応無条件に入ってきた。そうしますと、まず一番先に収益事業でないとしてあげた日本赤十字社病院――それはいろいろな仕事をやっているものを総合してみればそうかもしれませんが、一応私たちは病院というものに限って論議をしてみる必要がある。その場合普通の私的医療機関よりか非大衆的な――これは明らかに非大衆的です。非大衆的なものが収益事業の除外例のトップにあげられておるということについて納得がいかないのです。それは日本赤十字社の果した役割については私はよくわかる。それならば日本赤十字社病院でもうけてその金をつぎ込むということでなくして、病院というものはやはり無料で救済事業に当るような形をとるべきだと思うのですね。それがなぜとれないかということなんです。ところが、そっちの方はほったらかしておいて、いい方の面だけを大きくクローズ・アップせしめるということから私は鼠小僧と同じだ、こういうことになるのですよ。たとえははなはだよくありません。しかし問題をはっきり浮き彫りするためには、あなたの答弁からふっと私の頭にそういうものが浮んだので言っただけです。私は決して日本赤十字社を鼠小僧とは思っておりません。これは明らかにしておきます。  しかし昭和三十年の九月に健康保険の点数改訂が行われました。そのときにどういうことが行われたかというと、開放性の結核患者の二点の加算が削除ざれた。このときに一体赤十字社はどういう処置をとったかということです。健康保険の二点加算ですよ、これは。健康保険の二点加算がなくなったために、今度はその穴を埋めるために、初診料五十円であったものを百円に上げた。一体この百円はだれに転嫁されたかというと、健康保険のない大衆に対して倍に初診料を上げることによって二点加算の穴埋めをやっちゃった。何ということはない、これは普通の営利会社と同じです。営利的なことをやる病院と同じなんです。そういうことをやっている。しかも人件費をお調べになってごらんなさい。これは私は昨年医療費体系をやるときにあそこの労働組合の諸君からも聞きました。大学卒業後三年ないし五年で三千円から五千円しか払われていない。それから二十年たったものでも三万四百八十円、それで税を引くと手取りは二万七千円だということを聞いた。同時に、済生会や厚生年金病院というものはまだひどいのだ、こういうことを聞いた。これは次官もいらっしゃる。ところが、こういうことが今度だんだん労災にも関係してくるのです。労災病院実態は一体どうだという形になってくることになるのですが、労災病院はまさかそういうことはないだろうと私は思うのです。しかも今申しましたように入院料については十日分程度を目途に保証金というものを払わなければならぬ。こういうことは普通の開業医もやっておりませんよ。二点の削除が行われたから全国の開業医が一般患者の初診料を倍にするとか、注射料、こうやく料を倍にするなんということはやりませんよ、普通は。ところが日赤はそれをやっているのです。それでもこれは公的医療機関のトップに位するものかどうかということを私は疑う。しかもここの幹部というものは、厚生省の、あなたの先輩が行かれておるということです。そういうように、役人が天下りしたところならば、大蔵省も黙って公益事業のトップに持っていくのかどうかということを民間事業は疑いますよ、そういうことになると。しかもそれが公益医療事業の一番先の除外例にあがってくる。それは私はほかのものも調べたらあると思う。しかし、一番人口に膾灸し、一番われわれが公益性があると認定をしておった赤十字社医療経世の実態がこういうものだとするならば、大へんです。当時私が聞いたところでは、ベットは六百十入あるといっておりました。しかもその中で健康保険は百ぐらいしかない、あとの五百というものは金もうけじゃないですか。健康保険で入れない。そういうことで大蔵省は許すならば――私はあなたの基準を聞きます。基準を聞いて、これはどういうことになるかということです。問題は将来ではない。税制では過去の実績がものをいう。過去の実績でそれらの医療機関がどういう形態をとってどういう医療事業をやっておったかということが、少くとも四月一日以降における、公益的なものであるかどうかという認定のものさしになると思う。従って、赤十字がそういうことをやっておったということにこれがなるならば、今までの公益法人一つでも落すものがあったら私は承知しません。大蔵大臣でも総理大臣でも呼んでまずこの実態を究明します。だから私は個々のケースを調べておる国税庁一つ呼んでくれというのです。これは呼んでもらわなければいかぬでしょう。
  43. 亀山孝一

    ○亀山委員長代理 手続をします。
  44. 滝井義高

    滝井委員 私はこの点について一応前にも問題にしております。前に問題にしてその実態が改まっておらなければ、厚生省の監督不行き届きです。だから、そこらは一応安田さんの所管だから、その実態が私が今言ったものと違っておれば具体的に違っておるところを御説明願いたいし、その通りならばその通りであると……。これは私一ぺん質問しておるのですから……。
  45. 安田巖

    ○安田(巖)政府委員 先ほど申し上げましたことに多少補足させていただきたいと思いますけれども、日本赤十字社を最初に大蔵省でおあげになりましたのは、おそらく日本赤十字社法という単独法でできております法人でありますために、名前をつかまえるのに一番便宜なために、最初にあげたのだと私は思っておりますけれども、ここでたとえば学校法人の行うものとか、あるいは学術研究を行うものとかいうのがございますが、その学校法人でいいますと、学校は教育を目的としており、その教育の必要な限度において一般の診療をやり、そして病院経営しておるということでございますが、まあ日赤の場合も、日赤法に基く日本赤十字祉と書くかわりに、内容を書きますならば、先ほど私申しましたように、公益性のある仕事をずっと書きまして、それに付随する仕事あるいはそのために必要な事業、たとえば救護員の当時確保でありますとか、救護員の養成でありますとか公益性があり、そのために必要な事業を書くところを日本赤十字社と書いた、こういうふうに私感じておるわけであります。そこで、いろいろおあげになりました実際の模様につきましては、私ども考えましても、そういった初診料の点等につきましては、確かにごもっともな点もありますので、一つよく実情調査いたしまして、主管の局にも私から十分連絡をいたしまして、対策を考えるようにいたしたいと思います。
  46. 滝井義高

    滝井委員 まず問題は、実はそこから出発しておる。源がはっきりしなければなかなか先に進めにくいところがあるのです。まあしかし先に進みますが、厚生省といたしましては、労働省に同じ関係労災病院というものが、労働福祉事業団という非課税の明白な団体に――これはいよいよこの法律が通れば、公布の日からそういう形態がとられることになるのです。そうすると厚生省の所管にあるこの厚生団厚生年金病院ですが、これは一体どういうことにするおつもりなのか。この厚生団実態も、だんだん調べていくと、年金関係だけでなくて一般の診療をどんどんやっていらっしゃる。そうしますと、これはへまをしておるとまた赤十字社みたいな状態が出てくる可能性もある。そうするとこれは課税対象になります。あなたの方は、厚生団労働省と同じように右へならえでこういうものを作る御方針なのか。どうする御方針ですか。
  47. 安田巖

    ○安田(巖)政府委員 労働省のように一つの特別法人を作るかどうかということにつきましては、厚生省ではまだきまっておりません。ただ現在は民法の三十四条公益法人になっているわけでありますので、その表現といたしましては、今回の政令の最後にありますところの、「これらの法人の行うものに準ずるものとして大蔵大臣指定するその他の法人」というところに、私どもは入るものだと解釈いたしております。
  48. 滝井義高

    滝井委員 厚生省は入るものだと、こら解釈しておるらしいが、まだ大蔵省はそういうことはさまっていない。基準が出ていない。大蔵省が調べている名簿から見ると、あなたの方の厚生団は、課税対象となる可能性の中に入っている。
  49. 安田巖

    ○安田(巖)政府委員 ここに塩崎課長がおられますけれども、ぜひこれは一つ非課税にしてもらいたいのでありまして、その点は労災関係実態において私は同じだと思っております。
  50. 滝井義高

    滝井委員 だから、実態は同じだと思うけれども、しからば公益性の強いものとしてのワクの中に入るかどうかということなんです。そうしますと、今の赤十字と同じことが、今度は厚生年金病院についても済生会についてもいわれるのです。厚地年金病院も、入院については同じような状態でありませんか。その実態は……。こうなると保険局長に来てもらわなければいかぬかね。入院は、これはいわゆる三等だけじゃないはずです。必ず差額徴収がされているはずです。それはどうしてかというと、厚生年金だけでは病院経営はできぬはずです。従って開放して、健康保険も見れば一般患者も見ているはずだと思います。いずれ労災の方にもだんだん移っていきますが、まず厚生省に先に問題を移行せしめて……。これは敷街的に言えば同じですからね。一蓮托生ですよ。だから、ことによったらこの法案を基礎にして、私は労災病院も見さしてもらうし、厚生団の方も見さしてもらうし、赤十字も見さしてもらっていいと思う。あなた方は実態を御説明できない状態ですから……。ちょっと保険局長を呼んでくれないかね。一番よく病院実態のわかる人でなければだめですよ。問題は、病院がこのケースにはまるかはまらないかということは、そこの病院公益性の問題になってくる。
  51. 亀山孝一

    ○亀山委員長代理 滝井君、医務局長なり保険局長の来るまで、他の政府委員に御質問願えませんか。
  52. 滝井義高

    滝井委員 それならば、一応関連事項があるので労災病院の方を一つだけちょっとお伺いしておきましょうこの法案によりますと、現在二十四カ所の労災病院があるわけなんです。ところが労災協会では、非常に労災病院の数も多くなったので、これはもう手が回りかねる、こういうことに提案理由はなっているわけですね。そうしますと、まず今と関連をして――これは私は質問の内容をこの前申し上げたから、労働省の方はおわかりになっているはずだと思いますが、現在労災病院に入院をしたり通院をしている患者の内訳は、一体どういうようになっているのか、これをまず一つ説明下さい。
  53. 三治重信

    三治説明員 御説明申し上げます。入院の患者数で申し上げますが、三十一年の四月からことしの一月までの実績で数字を申し上げますと、労災保険が五五・七%、健康保険が三六・八%その他が七・五%というふうになっております。
  54. 滝井義高

    滝井委員 そうすると全国二十四の病院の中で、労災が五五・七%、すなわち約半数程度は労災で入院をしているわけです。残りの半分は健康保険かその他生活保護あるいは自由診療、こうなっているわけですね。この入院の金の取り工合、これは一体どういうことになっているのか。たとえば健康保険で、完全看護、完全給食で入院するとすれば三十四点そこそこ、あるいは三十点、こういうようなことになる。それで入院は飯を食わせて二十七点ですが、そのほか看護とか寝具とかいうものがつくと三十四点になるのです。そうしますと、これの収支状態がおそらくわかっているはずだと思いますけれども、その健康保険やあるいは七・五%のその他に当るというものは、これはお金の支払いの状態は一体どうなっておりますか。健康保険の金額でいっているのか、それを上回っているのか。
  55. 三治重信

    三治説明員 収入の割合でございますが、これは大体健康保険の単価によっておりますけれども、労災の関係では健康保険の単価によりにくい診療部門も相当ありますので、全部が全部そういうふうにはなっておりませんが、大体入院でうちの方でいきますと、六百三十円くらいになっております。外来が百三十円くらいです。
  56. 滝井義高

    滝井委員 いや、六百三十円というのは、結局一日それは投薬、注射全部かけて六百三十円という意味じゃなくて、入院料だけが六百三十円という意味でしょう。
  57. 三治重信

    三治説明員 完全看護、完全給食でそういうふうになっております。労災病院の方は寝具から何から一切労災病院持ちでございまして、患者個人が負担するものは全然ございません。
  58. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、それも健康保険よりか高いですね。
  59. 三治重信

    三治説明員 先生のおっしゃっている点数よりか計算するというと現実には高くなっております。
  60. 滝井義高

    滝井委員 それはどうして高くなるのですか。健康保険の患者でそれ以上のものを取ることは、差額徴収で認められていない。これは今言ったように労災の五五・七%については、どういう治療方式をとろうと、これは事業主負担で労災の会計から出ていくんだから問題はない。問題があるのは、今言った三六・八%の健康保険関係と七・五%のものなんです。問題はここなんです。公益性があるかないかということは、健康保険よりか軽質の診療をしておれば、これらの病院というものは私は公的医療機関としての資格ありと認めます。しかしながらそれよりか高く取っておって公的医療機関というなら、個人の私的医療機関が高く取ったらどういうことになるか。指定取り消しです。いずれあとで、保険局長が来たら聞きますが、指定取り消し。指定取り消しばかりではなくして、これはそういうことを許すことができない。ところが公的医療機関と銘を打って、そして無税ですよ。今までは税金がかからないのです。私的の医療機関は税金がかかるんですよ。かかって健康保険のワクの中でやらなければならないという規定がある。ところが公的医療機関と銘を打って税金のかからないものが一番最高で、健康保険で入院して取っているのが多分三十七点じゃないかと思いますが、ここらあたり自信がありませんが、三十七点というと五百二十五円五十銭、ところがそれを六百三十円取るということになれば、ここでも普通の健康保険以上のものを取っておる。実はこういうことは厚生年金にも済生会にもある。そしてそれらのものが全部公的医療機関として大道を闊歩しておるというのが日本の現状です。しかもそれらのものは大蔵省によって無税の烙印を押されている。こういう実態というものは、私たちは社会正義のためにもやはり是正しなければならぬ。これは結局あるいは原因が大蔵省で予算を削るからこういうことになるのかもしれません。実態は最終的にはまたその責めは大蔵省に行くかもしれませんが、この実態をよくやはり塩崎さんですか、知ってもらわなければならぬと思いますが、その実態はどうですか。
  61. 三治重信

    三治説明員 今先生のおっしゃったのは、ちょっと勘違いしておられるのだと思いますが、私の方で病院の実際の診療の収入を一人当りに直すと、そういうふうになっておるわけでございまして、決してその金額を健康保険の患者から取っているとか、一般の生活保護の患者から取っているということじゃございません。健康保険の患者は健康保険の支払い基金から受けておるだけのものしか受けておりませんし、それからそのほかのものは社会保険のものだけしか受けていないわけであります。一人当りに患者の全部を直すとそういうふうになるというだけでございます。今の具体的な健康保険の患者につきましては、私たちが調べている限りにおいては、個人負担は一つも取っていないはずでございます。労災の患者においても、そのほかにおいても、労災病院においては一銭も個人負担は、社会保険以外の個人のものは別といたしまして、そういうようなものについては一人も取っていないはずでございます。従ってそういうふうな差額の問題は、結局私の方では、その不足額として、病院経営委託費として二千七、八百万円出しておるわけでございますから、診療収入だけでまかなっているわけじゃないわけでございます。その点一つ誤解のないようにしていただきたいと思います。
  62. 滝井義高

    滝井委員 私は誤解をしておるわけじゃない。おそらく労災病院はそういうことはないだろうという前提に立って実は質問をしておるわけなんです。ところがあなたの方で、入院は一日入院料だけでございますかと言ったら、そうだ、入院料だけが六百三十円ということです。そうしますと、もし入院料が六百三十円になるというなら、計算では六百三十円にならない。なぜならば、飯を食わして一日二十七点ですよ。それに看護を入れて四点、寝具を入れて三点、合せて三十四点なら四百二十五円にしかならない。もし完全看護、完全給食で三点加算するとしても、三十七点にしかならない。そうしますと五百二十五円五十銭、だからそこらあたり、健康保険で入院した場合に、飯も食わせ、看護婦もつけて、寝具も貸して、平均して六百三十円になるというならば、これは金を取っている以外に平均なるはずはない。
  63. 三治重信

    三治説明員 御説明の不十分な点があったかと思いますが、それは手術費とか物療の診療とか、そういうふうな医療診療なんかが全部含まれているものでございます。ただ入院で完全看護、完全給食だけでなくて、医療の給付が含まれた金額でございますので、若干前の説明不十分なところは訂正さしていただきます。
  64. 滝井義高

    滝井委員 私は初めから注射とか投薬というものを除いた入院だけについてという質問をしているわけです。問題は実は入院料を問題にして言っておるわけです。そこで労災病院としては、入院というものは健康保険の額の通りに取っておって、それ以上のものは取っていないのかどうかということを質問しておるわけです。何ならあなたの方の労災病院の入院規程というものがあると思う。いま日本赤十字社中央病院入院案内、こういうようなものがやっぱり公的医療機関だからあるはずだと思う。だからその入院規程を御説明願えば一番わかるのじゃないですか。
  65. 三治重信

    三治説明員 別に入院規程というものは、各病院では作っておるかもしれませんが、私の方として特別に規定はしておりません。それで一般の健康保険忠君については、健康保険法に基いて支払われるものを受け取っているだけでございまして、そのほか特別な措置はしていないのでございます。
  66. 滝井義高

    滝井委員 実はこれは私の疑いですよ。そこらあたりが少し問題になるのです。どうしてかというと、労災病院というものは普通の健康保険の治療はやらないのです。これは三治さん御存じ通り労災病院というものは単価においても、十一円五十銭という健康保険ならば、少くともそれから五十銭か一円高い単価で治療がやられている。従って税法上の課税措置としては、私的医療機関においては、労災病院健康保険法と同じようにいわゆる社会保険医療としての恩典には浴していない。これはあの税法を作るときにずいぶんもめたのですから主税局はちゃんとわかっている。従ってあれは自由診療の部門に入る。自由診療をやっておるところ、これはたとえば健康保険の形からいえば濃厚診療が多く行われる場所なんです。その濃厚診療の行われる場所に三六・八%の健康保険の患者が入っている。しかも同じ病棟に枕を並べておるのです。そのほかに七・五%というおそらく自由診療や生活保護だろうと思いますが、そういう者が入っていっておる。そうしますと、自由診療の患者は一体どういう金の取り方をするかということが問題になってくる。そうするとこれは当然病院に規程があり、あなたの方で労災協会に全国的にこういう方法で取れという指令がなければ、その病院が勝手にやってよろしいということになればこれはおそらく問題です。これは相当なものをとっておる、こう疑わざるを得なくなる。なぜならば、労災というものは健康保険に準じてはいない。健康保険に準じておるならば税法上においては社会保険と同じ取扱いを受け、地方税は無税になるはずなんです。ところが同じ取扱いを受けていないのです。そこでここに問題が起ってくるわけです。
  67. 三治重信

    三治説明員 こまかく各病院ごとに、全部が全部先生のおっしゃるように、十一円五十銭あるいは十二円五十銭で一般の患者にやっているという保証はちょっとできかねますけれども、大半の病院健康保険の患者またそれ以外の患者についてもそれに準じてやるようにしているはずでございます。
  68. 滝井義高

    滝井委員 しておるはずでございますと言うけれども、労災はそうではないのですよ。労災は健康保険通りにはやっていないのです。やっておるならばもう私は問題にしません。それは聞いてごらんなさい、税務当局が一番よく知っていますよ。自由診療です。だから労災をうんと扱う医者は地方税が非常に多いのです。なぜならば、自由診療に見られてしまうのです。ここらあたりは次会に、労災病院病院規程その他を一々出してもらってやりたいと思います。なお厚生省の保険局の厚生団との関係もありますから、それと一緒に論議をさしていただきます。  御存じのようにこの民法三十四条公益法人に該当するものは、それぞれその所管の大臣が認可をすることになっておったと私は記憶をいたしております。たとえば教育、学術研究目的とするものならば文部大臣だったと思います。ところが多分医療事業については、これは都道府県知事が認可することになっていなかったかと記憶するのですか、そうではありませんか。
  69. 塩崎潤

    塩崎説明員 所管ではございませんが、私どもの調べましたところでは、大体民法三十四条法人の設立認可につきましては、都道府県知事になっておる、こういうふうに聞いております。文部省の教育関係でも地方知事の認可になっておるようでございます。
  70. 滝井義高

    滝井委員 そうではないのじゃないですか。たとえば教育関係ならば教育長を通じて文部大臣がやるのじゃないですか。他の団体はそれぞれ大臣がやるけれども医療事業を行うところの法人だけは都道府県知事に厚生大臣が設立認可権を委任をしておるのじゃなかったかと思うのです。これだけは例外な取扱いになっておったと記憶しておりますが……。
  71. 塩崎潤

    塩崎説明員 私もその点所管ではございませんですが、今回また技芸教授業を収益事業に追加いたしました際に調べたときにわかったわけでございますが、高等学校までに該当いたしますところの各種学校、民法三十四条法人のたとえば技芸教授などにつきましては全部知事の認可になっておるようでございます。ただ大学となりますと文部大臣、こんなふうに聞いております。一般的には簡素化の見地から戦争中でございましたか、何かの関係で地方長官の方に委任されたままになってそれがずっと沿革的に残っているのではないか。従いまして私ども今回の収益事業課税で経験したのでございますが、各地方々々の取扱いがまちまちでございまして、ある地方ではなかなか設立認可にならない、ある地方では簡単に設立認可される、従ってそこに課税の不公平が相当生じて問題になったような事例が多いように聞いております。
  72. 滝井義高

    滝井委員 他のものは一応除外をして、多分医療保健事業は都道府県知事が認可をする、すなわち都道府県知事に認可権の委認をされておることは間違いありませんね。
  73. 塩崎潤

    塩崎説明員 私も的確な回答はできませんので、これは厚生省の方にはっきりお尋ねしていただきたい。ただ私が聞いておりますのは、社会福祉法人につきましては厚生大臣の認可、民法の三十四条関係は知事の認可といういうふうに聞いております。
  74. 滝井義高

    滝井委員 医務局長さん、来て早々ではなはだ申しわけございませんが、民法三十四条公益法人のうちの医療事業を行う法人の設立の認可権は知事にあると思っておったのです。そして取り消しの権限は知事にはなくて厚生大臣にあったように私は記憶しておるのです。その点今論議をしておるんだが、どうも責任の帰趨が明確でない。問題はここから基準なんかが出て来ることになるので、それを御記憶になっておれば伺いたい。
  75. 小澤龍

    ○小澤政府委員 実はお尋ねの点私も資料がございませんので実ははっきりお答えすることができません。確かに認可権は知事にございます。数府県にわたりますような公益法人であればそれぞれ主管省で認可いたしますが、おそらく取り消しも厚生大臣が認可したものは厚生大臣であり、知事の認可したものは知事ではないかと思います。この点私手元に何も持っておりませんのでお答えいたしかねます。後日調べてお答えしたいと思います。
  76. 滝井義高

    滝井委員 そこらの論議がはっきりしてこないと次の論議が進まぬのです。あなたの御答弁で私も多分知事の認可であったと思っております。それから大蔵省の方も三十四条は多分地方長官であった、こういうことでございますから、一応そういうことで論議を進めることとします。  今度この政令に出た医療保健事業課税対象にする、しかしその場合に大蔵大臣の特定したものを除く、こうなっておる。そうすると認可権は知事が持っておった、これが公益法人だといって知事が認定したにもかかわらず、今度大蔵大臣が勝手にこれは課税する、これは課税しない、こういうことになると、知事が認可をした当時においてはこの医療保健事業というものは、非課税のものであるという認定のもとにそれぞれのものは認可を受けて発足をしておるわけです。ところが大蔵大臣が知事にも相談もせずにその地方の実態というものも何も考慮せずにすぽっと厚生省だけと相談をしてやった日には、これは大へんなことになると思うのです。問題はここなんです。この点はどういう工合に主税局の方はお考えになっておるのですか。
  77. 塩崎潤

    塩崎説明員 午前中にお答え申し上げましたように、指定基準につきましては現在鋭意検討中でございます。医業を行う各法人の数を調べておりまして、資料も持っておりますが、このうちからどういう基準で選び出すか、今検討中でございます。ただ、大蔵大臣が勝手に指定して、当初非課税であったと思っていたものが変るということは税法上の関係で、公益法人の実体には関係ないという考えを持っております。すでに各種公益法人課税になっておるものはたくさんございますが、一方また非課税のものもございます。公益法人のうちの収益事業部分だけをつかまえて課税しよう――これは税法上の負担の公平という見地からきたわけでございまして、別途の目的を持つ公益法人それ自体を否定しようという気持はないわけでございます。
  78. 滝井義高

    滝井委員 民法三十四条規定によって設立したそれぞれの公益法人というものは、それぞれ定款をもって学術研究とか何の研究とか慈善とか宗教とかきまっておるわけなんですね。そうしますと、あなたの方で基準を作り、大蔵省大臣の権限によってこれを課税にするとか非課税にするとかいう線を引くためには、県知事が許可した定款なりその事業の内容なりというものをケース・バイ・ケースで明確に把握しなければその選択はできないと思うのです。それを把握するためには、国税庁なり主税局において、三十四条関係は全国的に十分ケース・バィ・ケースについて調査されておるはずだと思いますが、その全国の公益法人の数は大体幾らなんですか。
  79. 塩崎潤

    塩崎説明員 医療を行います公益法人は、社団法人が五十五、財団法人が二百五十二、社会福祉法人が百三十八、学校法人が二十六、宗教法人が三十二、共済組合が十四、計五百十七、こういうふうになっております。
  80. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、一番問題になるのは社団、財団、宗教、こういうところです。この法案を審議するに当って、不幸なるかな労災協会というものが財団法人の中に入っておった。従って、線を引くときに、一つのものさしとして、厚生省所管の厚生団とか労災協会というものがやはり重要なポイントになってくる。もしこれがあなたの方の線の引き方で課税だということになると――これは通るか通らぬかわからぬ。社会党は反対ですから通らぬかもしれない。そうしますと労災協会運営の仕方が変ってこなければならぬ。収益事業ならば当然営利を目的にすることになる。そうすると、そこに入っておる患者の財政的なあるいは経済的な影響というものは非常に大きくなる。ケース・バイ・ケースでいかなければならぬので、ごめんどうですが、五百十七の名前だけでもこの法案が通るまでにわれわれの手元へ配付していただきたいと思うのです。それはできるでしょう。
  81. 塩崎潤

    塩崎説明員 かしこまりました。さっそく作りまして差し上げます。
  82. 亀山孝一

    ○亀山委員長代理 では、次回は明日午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十五分散会      ――――◇―――――