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滝井委員 またここでも
一つ、特権的なものを作ろうとする傾向が出て参りました。こういうものの考え方で、こういう
法律を作っていけば、零細企業というものはつぶれてしまいますよ。
法律を作って特殊なところだけしかやることができないような形を作ってしまう。そうでなくて、まず一般にやらせるようにして、そして脱落する者はやむを得ないという形をとる方がいいんですよ。そうしないで、初めから大きなところだけしかできないんだという形をとれば、今の日本の零細な企業は全部除外されてしまう。そうすると広島、長崎の零細な医者というものは、もはや食っていけません。だからそういうものの考え方を逆にして、まず一回網の中に入れていこう、そして網の中に入れたものの中から競争さしたらいい。選択は患者の自由なんですから。医薬分業と同じですよ。患者さんが薬剤師を選ぼうと、医者を選ぼうと自由です。これが初めから特殊な病院だということになれば、国立病院あるいは公的
医療機関以外はだめだということになってしまう。どうしてかというと、これはあとで触れますが、こういう
治療というものは、健康保険でできません。そうすると東京なら東京第一病院、日赤、そういう特殊なところになってしまう。そうしますとだれが困るかというと、患者が困る。
全国にばらばらと散らばっている患者が、特殊な、指定されたところしか行けないということになれば、身体検査を受けてさあ行こうと思うと、あなた方が今言ったように、一カ月三千円しか
生活費をくれない。それで
家族はそこに置いておいて、はるばると東京まで上っていかなければ
原爆の
治療が受けられないということになっては、この
法律はあってもなきごがごときものになってしまう。だからどこでも一応できる形をとらして、その上で患者がこれはいかぬと考えるかどうか、それは患者の自由選択にさしたらいい。こういう特権的な
法律を作ろうとするから、厚生官僚は日本医師会からにらまれて、厚生行政はにっちもさっちもいかぬじゃないですか。これらはやはりあなた方がいけませんよ。特殊な
医療機関なんというものを指定したら、いなかの患者さんはとても都会まで出られませんよ。すると広島、長崎の
原爆患者は
治療を受けられない。そこで
予算が余ってしまう。そうすると、この
原爆治療というものが先細りになることは目に見えている。結核の対策にしても
全国の開業医の協力を得てやらなければ何もできぬじゃないですか。毎年何億という金を取っておるけれ
ども、その金が余ってきているじゃないですか。だからこういうものの考え方がいけないのです。わずかにこの
法律でいいところは、
医療機関の指定といりものが、健康保険よりはるかに民主的になっておる。同じ省の中で、健康保険を主管する保険局と
公衆衛生局とはこれだけ違うということがわかる。いかに保険局がファッショ的で、
公衆衛生局が民主的であるかということが、この
法律の条文の上に出てきている。同じ省の中で省議を開いてきめた
法律が、同じ
医療機関の指定をやるについて、これだけの違いが出てきている。これは十三条あたりを小沢さんなどよく読んで薬にする必要がある。そういう点、
医療機関の指定について、あなた方は考え直す必要がある。患者は
全国に散らばっている。それをあなた方の言うように、総合的に検査ができ、総合的に
治療ができるところでなければだめだというなら、いなかにはそういう病院はありませんよ。そうすると、非常な辺陬地に住んでいる住民なんというものは、この恩典を受けられぬ。だからこれはやはり一応、どこでも申請をしてくる者は許してやろう、そういう形をとってくれば、いなかの医者でも、それでは
一つこの患者を扱ってみるために、レントゲンを買ってみようかというようなことも出てくるかもしれません。今あなたの御
説明で、一般検査はどういうもの、精密検査はどういうものをやるということはきまっているんだから、そういう点、
基準というものを
一つ具体的にしてこなければ——まだきまっていないというのはおかしい。指定の
基準がきまっておらぬで、一切を
審議会におまかせいたしますということでは、四月一日から実施できますか。あと一週間しかないですよ。一週間したらこの
法律が施行される。その点もう少し明白にしておかなければいかぬと思います。
次にはこの
予算の組み方を見ると、すでに、
治療のためには内科が四万円、外科が二万五千円、眼科が一万五千円ときまってる。保険局はこういう点についてどういう理解をされているんですか。