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井堀委員 来年必ず五人未満の零細
企業場の
労働者を
失業保険に抱擁する
改正案を出されるという決意がはっきりいたしましたので、ぜひ実現を私
ども期待しております。そこで調査の問題で先ほど次官からも
お話がありましたが、調査の問題は私は特別重要ではないのじゃないかと思う資料を二、三ここで御紹介申し上げた。ことにこれは昨年健康
保険の
改正の際に、あなたの党の当時の厚生
大臣の川崎さんが同様の
答弁をなさいました。昨年の十一月、十二月にかけて実態調査を厚生省はおやりになっている。五人未満の
事業場はその結果報告を私
どもはちょうだいしておりますが、
失業保険の例を見ていきますと、
失業保険が統計の仕事を刺激している。毎勤統計なんていうものは
失業保険によって内容が改められたと見ていい。毎月平均
賃金を
法律が他の
法律で命ずるものですから、そういう点で逆に
失業保険のようなものを五人未満の
事業場に適用すれば統計はぴりっと筋に入ってくる。予算をおとりになってやることもけっこうですが、人間はひまがあるから本が読めるわけではなく、同様に準備々々といっている間に時日はどんどん過ぎてしまう。こういう
機会にこそ
失業保険にそういう
改正を加える最もいい
機会だと思う。これは逆にとりますと、今度の
政府の
政策全体の面からいえば、
失業保険のこの点に
改正がなければ完全
雇用を施行するなどという言葉を使われては迷惑する。それから
雇用の拡大というものは、一方では
経済政策その他の
政策によって
雇用を拡大する道がどんどん開かれていきましても、その
雇用がどういうところに吸収されていくかということは、労働行政の中にとっては非常に重大だと思う。
雇用拡大
政策が積極的に行われる場合においては、労働行政はそれとタイアップしてどういう姿でなければならぬかということをこの
機会にこそはっきりしたいと思って
お尋ねしたわけです。さっきあなたがお見えになる前に、ちょっと労働力臨時調査の結果報告の一、二の例を上げて
お尋ねしたわけです。三十年から三十一年にかけて比較的好況に恵まれ、
一般に神武以来の景気だといわれているそういう好況時代に、
雇用はどういう工合に発展しているかをこの統計から見ますと、零細
企業場に非常な拡大がされている。ところが比較的
雇用の安定した
賃金の高率なところについては
雇用が非常に少い。だからこういう神武以来の好景気だといわれる
雇用増大の
部分が、この統計を見ていきますと、絶えず転職を希望するような不安定な
雇用に吸収されつつある。これはあなたの方の
局長はお読みになってないというのですが、三十一年三月付で出された臨時調査によりますと、かなり方々分析されている。こういう統計を一々御
説明する時間がありませんから申し上げませんが、ごらんになって
あとで検討していただきますけれ
ども、どうしても
失業保険は
一般の
雇用に適用しなければ
雇用政策がびっこになる。これは来年を待たぬでもいいでしょう。これは
失業保険の
雇用関係のもとに置かれている人だけでけっこうだが、なるべく早い
機会にそうすることによってある
程度潜在
失業というものも表に出てくるでしょうし、それからそれに対する対策も出てくる、こういうことになると思う。こういう点で今度の
保険の
改正の中に、その点を一点ぜひ加えていただきたい。
それから先ほど
お尋ねしたが、あなたのお答えをいただかなければならないのが二点残っているのです。その
一つは今度
日雇い労働者のための
保険料率並びに
保険給付の額が
引き上げられてきましたが、その中で
保険料率の
引き上げと
保険給付の
引き上げとのアンバランスがある。一級に例をとってみますると、
保険料率を十円
引き上げることになる。まあ。パーセンテージで言った方がいいと思いますが、私の
計算でいきますと六八%
引き上げになるところが
反対給付の方は四三%の
引き上げにしかならない。これはほかの場合と違いまして、
日雇い労働者の本質から言うたら、こういうところで実は逆を見せてこなければならない。
雇用増大を呼号する
政府の
政策と、
失業保険というような社会的な使命を果すものとの間に跛行的なものが出てくる。表向きは体裁のいいことを言うて、裏へ行くと……。私さっきあなたがおいでになる前に、ちょうどホタルのおしりをつぶしたような、と言ったのです。外からは一応光を放っているように見えるけれ
ども、死んでいるのです。ここは労働行政を扱う上において私は非常に重大だと思うのですが、その点あなたのお
考えを
一つ……。