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赤松委員 そこで今度大事なことは、そうなって参りますと、中政連及び
政府で今
考えておりまする中小企業団体法というようなものも、当然
労働省の研究題目の
一つとして取り上げなければならぬのではないか。御
承知のように中小企業団体法は全体の商業活動あるいは中小企業の産着活動に対しまして規制をするわけですね。ある場合には規制をし、ある場合には調整をする、こういうことになっておる。しかし全体の
考え方としては、乱立を防いで業界を安定させていくという
考え方なんですね。今ですと、たとえばちょっと
失業したら、その辺で飲食店でもやろうというようなことで簡単に飲食店などをやる。これを中小企業、中小企業で全部十ぱ一からげでやっておるわけですけれ
ども、中小企業
対策と申しましても、さっき
大臣が言われましたようにピンからキリまであるわけです。しかし中小企業団体法ができますと、多かれ少かれ規制はされるのです。そしてその中小企業を営もうとしても困難になってくる。そうすると今第三次部門への吸収は今の
数字のように現われておりますけれ
ども、これからはなかなか吸収、
雇用量の増大は困難だということを
考えなければならぬわけですね。ある
意味でいえば、むしろその中から
失業という面も出てくるのじゃなかろうか。こう
考えますと、第一に第三次
産業部門に
雇用量の増大したということは国全体の立場からいえば望ましくない。やはり第二次
産業に多く
雇用量がふえてこそ初めて国の経済のノーマルな発展だといえる、こう思います。
第二に問題になりますることは、従って今まで
雇用増大しておりました部門がこういうような規制をされますると、そこから
雇用に対するいろいろな問題が生まれてくる。こういう点につきましては
政府といたしましても、単にこれは
労働政策だけではありません。ある
意味でいえば、今の通産行政をもひっくるめまして、国にとりましては非常に大きな問題ですから、ぜひともこういう点についての深い御検討をばお願いしたいと思います。
さらに次に移りたいと思います。私がこの次に問題にしますることは、今まで
予算委員会の議論を聞いておりましても、あるいは本
会議を通じまして議論を聞いておりましても、
政府の方は、インフレにはならぬのだ――インフレという
言葉は少し強いと思うんですが、物価は高くならないのだ、物価は高くならないのだ、こういう説明の仕方だったんです。
〔大坪
委員長代理退席、
野澤委員長代理着席〕
それで、いや高くなるのだ、高くならないのだ、こういう議論が今まで繰り返されて参りまして、そうして、物価と
賃金、物価と
労働者、そういう
関係については、あまり突っ込んだ議論が今まで行われていないと思うのです。そこで私は
一つ予算を中心に
労働大臣の御見解をお聞きしたいと思うのですけれ
ども、言うまでもなく本年度の一般会計
予算は一兆一千三百七十四億ということになっておる。これは前年度より約一千億ふえておる。それで三十二年度の歳入の
増加は、租税の自然増収千九百億円を中心として約二千七十七億、これを所得税の減税に一千九十億、歳出の
増加に九百八十七億振り向けておる。そこで今度は減税の面ですけれ
ども、租税特別措置の整理等による二百億の増収、揮発油税、手形に対する印紙税等、こういったものの税率の引き上げによる二百四十二億の増収、さらにたばこ専売益金の
増加、これはいろいろ規制しまして、私
どもも新生が好きなんですけれ
ども、新生を買いにいくと売りどめになっておる。実は専売局にはあるのです。それをピースを吸わせようとするというような操作を行いまして、この面での増収もある。そうしますと、こういう増収分というものは、多かれ少かれ勤労者の負担になってくるわけです。ですから、厳密にいえば、私
どもの計算では六百億の減税にしかならぬ。一千億々々々といっておりますけれ
ども、計算をしてみますと六百億の減税にしかならぬ。しかもこの六百億の中で、これをいろいろ分析してみますと、年収三十万円、月収二万五千円の夫婦と子供三人の人の受ける減税率は、四九・九%だ、こういうふうに
政府は説明している。そこで、この低所得者の負担過がどういうように行われておるかといえば、先ほ
ども申しましたように、今度はお米の値段のつり上げはやりませんでしたけれ
ども、鉄道運賃の引き上げとか、今言った揮発油税とかいろいろなものが出て参りまして、私
どもの計算では大体一%
賃金に響くのじゃないか――この計算が正しいかどうかは別問題として、大体そういうような計算を実はしておるわけです。そこで、三十一年度におきましては、
就業人口数が約四千四百万人、
世帯数で千八百万
世帯、このうち所得税の納税者数は約一千三十五万、この一千三十五万の残りの人が
就業人口の七六%を占めておる。その
世帯数においては四二%を占めておる。ところがこの
人たちに対しましては、先ほど本
会議でわが党の横山君が指摘いたしましたように、実際には
大蔵大臣の言うような減税にはなっていない。むしろ物価の値上りによって、その
賃金が食い込まれていくのじゃないかということを懸念せざるを得ないわけです。御
承知のように、経済企画庁の昭和三十二年度の経済
計画によりますと、鉱工業生産は一二・五%伸びる、国民所得は七%伸びる、こういうように見ている。それで、本年度の鉱工業生産は二一%、
輸出が一八・四%、国民所得が一二%、こんなふうにふえたのだ、こう言っている。しかしながら、こういうように
政府が指摘するような
数字がもし正しいといたしますならば、これは私は大へんけっこうなことだと思うのですけれ
ども、それではそれに伴って個人消費というものが上っているかどうか。個人消費は八・八%しかふえておりません。国民所行がうんと伸びている、
輸出も伸びている、それから鉱工業生産においても伸びている全体の国民所得が七%伸びておるというのに、この個人消費の面で八・八%しか
増加してないということは、依然勤労大衆のふところがさびしいものである、国民所得や
輸出やあるいは鉱工業生産の伸びに比較して、個人消費というものが伸びないのは、それだけ低
賃金だということになると思うのです。また
大蔵省の法人企業
統計、これは資本金五百万円以上のそれなんですけれ
ども、それを見ると、三十一年度の上半期から下半期にかけて法人所得は四七%ふえておる。これに対して
労働賃金は一五%より上っておらぬ。これは国税庁の
統計ですよ。依然ここにも、
政府統計が示すように、低
賃金の実態があるということになろうと思うのです。また
労働省の毎月動労
統計によると、昨年一月から十月までの間の製造工業の実質
賃金は、一時間当り五・四%しかふえてない、こういうことを指摘しております。それから総理府の実態家計
調査を見ますと、全都市全
世帯の
平均消費支出額は、平月では五・七%しかふえておらぬ。これは六月、十二月のボーナス期を抜きまして、
平均にいたしまして五・七%よりふえてない。企画庁の経済
計画を読んでみますと、来年度は卸売物価は二・六%、消費者物価が〇・九%上るものというふうに予定しておるわけです。かりに来年度の消費者物価が三%上るものとしても、年所得三十万以下の階層六三・四%は、結局その犠牲にならざるを得ない、こういうことになってくるわけでございます。従って今指摘をいたしましたように、現に低
賃金というものが存在している、それから一方におきましては政策の面で、鉄道運賃の値上げその他の物価の上昇がある。
賃金は法人所得やその他に比較いたしまして割合伸びてない。そこで
政府の方は、
輸出がふえた、
産業が伸びた、国民所得がふえた、こういって宣伝をいたしますが、勤労者の
賃金はその伸びに応じてないということを、ここに指摘することができると思います。そこで来年度、経済企画庁は
労働賃金に対しては一言半句も触れてない。そうして、やあ
輸出は伸びる、所得が伸びると言っているが、だれの所得が伸びるか、これが問題なんです。そこで所管
大臣である
労働大臣は、来年度においてはこの一般の物価上昇と見合い、また一般の国民所得の伸びあるいは
輸出の伸び、鉱工業生産の伸びと見合って、
労働賃金というものはどれくらい伸びるだろうか、また伸ばすべきであろうか、こういう点について、
一つあなたの御構想をこの際お示しいただきたいと思います。