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五島委員 多賀谷
委員の言われたことは同感です。今後注意をしていただきたいと思います。そこで今県の世話とかなんとかいうようなことを
説明されました。これに留意されているということは非常にいいと思いますが、果して留意だけで駐留軍労務者の今後の就職問題が解決するかどうかということです。たとえば駐留軍に直接自動車迎転手として
雇用されたがこれが首になる。ところがある地方においてはもう自動車の運転手は飽和状態に達しておって、あたら惜しいところの
技術がその地方にきて発揮できないというようなことで、そういう自動車の運転手が――これは運輸省の問題になるかもしれませんけれども、そういう人
たちが
一つの会社を組織しよう、そして自動車の株式会社を組織してハイヤー、タクシーを経営しようというように考えて、運輸省にその許可を頼む。そうすると、飽和点に達した場合は絶対に許可しません。そういうような人
たちの仕事を幾ら県知事がやろうとしたって、なかなかできるものじゃありません。こういう問題は大きく
政治的にとられて、
政府が責任を持って対策しなければ、とうてい解決はできない問題だろうと思います。ただ単に失業者が、昨年度は二十二万
程度で終っていたから、ことしも十八万
程度で大体心配はなかろう。その言葉を私は反駁するわけではないのですけれども、より多くの、より高度な
考え方を持っていただきたい。従って今後駐留軍労務者の問題、レア・ケースの問題ですけれども、こういう問題には真剣に取っ組んでやっていただきたいと思います。
第三の柱に移ります。第三の柱は低
賃金の問題です。さいぜん
大臣は、
日本の労働者ほど
賃金の低い国柄はないと――私も同感です。
労働大臣はよく調べておられると思います。(笑声)ところが、こういうような低
賃金に
石橋内閣が取っ組むに当って、これはできるだけすみやかに
最低賃金制を作っていかなければならないと述べておられます。ところが
最低賃金を
制定するには、いろいろ複雑な問題が存在するんだとうたっておられます。
最低賃金を作ろうという意思の陰には、問題が困難である、そして最後には労働問題懇談会なるものに逃げ込んだ格好をとっておられるわけです。ところが憲法が
国民の最低生活を保障し、
労働基準法の第二十八条から三十一条のくだりにおいては、すみやかに
最低賃金法を
制定するということが法にうたってあるわけです。これが施行以来既に足かけ十二年になります。その十二年目の
石橋内閣ができて、神武以来であるところの好景気が訪ずれて、
完全雇用が
国民に
公約されるというような際に、こういうように
最低賃金に非常に消極的であるかのような印象を
国民に与えるということは、一貫した労働問題として一体
労働大臣、労働者はどういうように労働者を考えているかという疑惑を持つだろうと思うわけです。そしてその労働問題懇談会の結論は間もなくつくであろうから、その結論によって実効を上げるように努力するということが
施政方針にはうたってあるわけですけれども、それが好ましいのは何かというと、
最低賃金制は非常に問題があるから、地域別、職域別の
最低賃金が好ましいだろうという
方向だけは示されました。ところが昭和二十八年ですか、一九五二年の中央労働審議会ですか、中央
賃金審査会ですかの答申によれば、四業種に対して
最低賃金を実施するようにという答申があったわけです。それは吉田
内閣から鳩山内関を通じ、そして現在に至っておるわけです。ところが職域別、業種別の
最低賃金が好ましいとこの
施政方針にはうたってありますけれども、四年間すでに四業種に対するところの
最低賃金制の答申すらもまだ実現されていないわけです。そこで、どういうように
最低賃金を心っておられるだろうか。そして現実は、
世界文明諸国あるいは
日本よりも後遊園と思われるようなそれらの労働者の
賃金よりも、なお
日本の労働
賃金が、国柄とはいいながら一番低いということは、労働者が
国民の中でその生活がどれだけ低いかということを、
労働大臣みずから認められる問題ではなかろうかと思います。まあ前置きはこのくらいにいたしまして、
最低賃金の問題について確固たる信念を示していただきたいと思います。