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1957-04-19 第26回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十九日(金曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 五十嵐吉藏君    理事 志賀健次郎君 理事 鈴木周次郎君    理事 松澤 雄藏君 理事 竹谷源太郎君    理事 渡辺 惣蔵君       愛知 揆一君    内海 安吉君       椎名悦三郎君    鈴木 直人君       三浦 一雄君    石田 宥全君       北山 愛郎君    小平  忠君       中居英太郎君    西村 力弥君       日野 吉夫君  出席国務大臣         建 設 大 臣 南條 徳男君         国 務 大 臣 宇田 耕一君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君         大蔵政務次官  足立 篤郎君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      岩武 照彦君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君     ――――――――――――― 四月十九日  委員田中正巳君、保科善四郎君、淡谷悠藏君及  び井谷正吉辞任につき、その補欠として椎名  悦三郎君、内海安吉君、渡辺惣蔵君及び中居英  太郎君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事小平忠理事辞任につき、その補欠として  渡辺惣蔵君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九七号)  東北開発促進法案内閣提出第一一九号)     ―――――――――――――
  2. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事小平忠君から理事辞任したいとの申し出がありますので、これを許可し、その補欠選任は先例により委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、渡辺惣蔵君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これより東北開発促進法案及び東北興業株式会社法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を継続いたします。北山愛郎君。
  5. 北山愛郎

    北山委員 開発促進法について続いてお伺いをしますが、今まで問題になった点は、主として第十二条の例の地方財政再建促進特別措置法特例の問題であります。昨日この第二項の内容について、いろいろお伺いをしたのでありますが、この条文の上だけでは、現在まで行われておる地方財政再建促進特別措置法の第十七条の政令に基く措置と大して変らないんじゃないか、あるいはまた、それよりも逆に損をするのではないか、これは開発促進上はかえって適当でないというような疑いのあるふうに解されるので、その点についていろいろお伺いをしたのでありますが、はなはだ明確でなかったのであります。問題になる点は、この第二項の開発促進計画に基く事業の中で、地財再建法の第十七条の政令で列挙するような指定事業に該当するものの中で、さらに企画庁長官自治庁長官協議をしてきめる重要なものだけについて百分の百二十というような補助率の加算をするというようなことで、この重要なものとはどういうようなものであるか、これが明確でない。それからもう一点は、指定事業全体について二割の補助率引き上げをするのであれば、わかるのですが、その中で、またさらに協議をして重要なものに限定をして二割に引き上げをするというようなことで、重要なものというのが非常に狭く考えられておる。それでは今までの再建促進法運用よりもマイナスになるんじゃないか、こういう点について、どうも政府側答弁が明確でなかったので、その点についてさらに本日明らかにしていただきたい。これは企画庁、それから自治庁――大蔵省が来ておらぬようですから、大蔵省あとでいいですが、企画庁自治庁の方からその点を明らかにしてもらいたい。私どもの予想しておるところは、少くともこの法律というものが東北開発促進をするという以上は、昨日大蔵大臣が言いましたように、補助事業なり、いろいろな公共事業がどんどんやれるような体制でなければならぬというならば、やはり少くともほかの地域よりも広く、しかも補助率についても引き上げをする、優遇をするというような趣旨にこの第十二条が読めなければ意味をなさぬことになりますから、そういうように読めるかどうか、政府側はそういう考えでおるかどうか、これをこの条文について明確に御答弁をいただきたい。
  6. 小林與三次

    小林(與)政府委員 ただいまの御質問はごもっともでございまして、この表現だけから見ますと、いろいろ論議があろうと思います。基本的に、要するに一般再建団体について、指定事業扱いをどうするか、これをまずはっきりさして、さらに東北地方には別にどう扱うのか、扱わぬのか、その点をはっきりさせる必要があろうと思います。一般再建団体につきましては、現行の再建法施行令では、御案内の通り、過去の三年度の七五%を一応基準にして、その上自治庁長官指定するということで、昨年度は大体八五%平均で指定をいたしたのでございます。しかし、これにつきましても、本年度は昨年から見ると、全体に国の一公共事業がふえております。三〇%余りもふえておるのでございまして、去年のような同じ割合で問題を処理することは、私は適当だとは考えません。どういたしましても、その一般扱いを変える必要がある。その変える考え方は、ともかくも普通の再建団体につきましても、非再建団体がその手が伸ばせると同様に伸ばしてやる必要がある。そういう基本的な考え方で、一般扱いをどうしても八五となったワクを大幅に引き上げる必要がある。そこで、どこまで引き上げるかということで、今大蔵省折衝を続けておるのでございます。ともかくもこれは幾らか引き上げることは明瞭でございます。  それからもう一つは、過去の二十七年ないし二十九年という実績基準にいたしておるのでございますが、これにも疑問があるのでございまして、この実績というものは、その県の事情によってでこぼこがございます。それから、一般にこの再建団体は未開発地帯でありまして、仕事のしぶりがやっぱり少いのじゃないか。再建団体の基礎を固めるためには、できるだけ基盤が固まるような仕事をやらしていく必要がある。こういう基本的な問題がございまして、むしろ何かあるべき事業量というようなものが考えられぬか、そういうものでならして再建団体と非再建団体との均衡をとれぬか、という考え方をもって今いろいろ折衝をいたしておるのでございます。いずれにしましても、そのレベルが上ることは明瞭なんです。  そこでもう一つの問題は、従来の扱いは、八五が一〇〇になるか九五になるかは別といたしまして、そこまでいくと、それ以上仕事をやろうとすると、全部普通補助率に御破算になってしまう建前になっておるわけでございます。そこでその建前が実際には即せぬじゃないか、むしろ、それ以上にかりにゆとりがあってやろうとした場合には、補助率を逓減してでも仕事をやらした方がよくないか。私は各県の実情では、各省の考え方でもそういう場合があろうと思うのでございまして、そこでこの百分の百二十の限度を一応きめるとともに、その上仕事をやる場合には、ある程度までは、百分の百十あるいはまたその上を越せば、普通の補助率ででも、余力のある限りの仕事を、再建に支障のない限りやらしていいじゃないか。きのうもいわゆる逓減方式と話したのはそういう考え方で、それをぜひ考えたい。そこでどの程度でどうするかという具体的な数字の出題になりまして、今話し合いの最中で、政府部内で統一した見解に達しておらぬのでございます。そこのところは非常に遺憾でございますが、いずれにしろ、そういう考え方でいっておるわけです。  そこで、片方はそういう考え方でいっておりますのと、それじゃこの再建法東北開発促進法、このからみ合いをどう考えるか、こういう問題にたりまして、この表現によりますと、明らかに再建法指定事業のうちさらに特定事業をしぼって、その特定事業について百分の百二十を確保する、こういう考え方になっておるわけでございます。それでございますから、一般的にその逓減方式をとることがあっても、この指定事業については、指定する限りは、それにかかわりなく、百分の百二十にするという法律条文でございましてその分については常に百分の百二十を確保するということでございます。これはいかにも一つの理屈が通っておるのでございます。ただ、問題は、それならば、再建団体一般の例で、百分の百二十にするのより実はるかに越して、開発法に基く指定ワクをきめるのか、きめぬのか、きめなかったらこれは意味がない、こういうのが一つ、それからもう一つは、一般指定事業考えるときに、これはともかくも法律まで作って、わざわざほかの地域と別の方式をとるのだから、これは別計算にやったらいいじゃないかという問題があるわけでございます。そこでわれわれといたしましては、つまり再建法では一切の再建団体並みに扱う、しかしながら、東北開発法でわざわざ法律を作ってまでも促進しようという場合について開発計画で慎重な審議を経ておきめになる仕事につきまして、むしろこれだけは除外して別ワク計算する建前をとるべきではないか、このために普通の指定事業が押えられてしまったら、これは意味がないわけでございます。そこで、この指定事業ワクをきめる扱いといたしましては、開発法に基く仕事は、計算士別ワク計算にする建前をとろうじゃないか。初めから除外しまして、そうして指定事業ワクをきめる、それで、こっちはどれだけきまるか知りませんが、そのきまったものだけにつきましては、よけいに百分の百二十の線を確保する、こういう考え方をとれぬか、そうしなかったらこの促進法を作った意味がないのではないか、こういう考え方で、実は今大蔵省折衝をしておるのでございまして、大蔵省は、まあこの考え方はある程度認めざるを得まいという気分になっておるのでございます。きのう大蔵当局は、そこのところまではっきり言明しておりませんでしたが、今内部の折衝ではぜひそういう方向で問題を考えたい、そうすれば、ともかく一応も二応も開発法趣旨を達成するだけの積極的な意味が、当然ある程度確保されるというふうにわれわれは考えておるのでございます。そこで、今日の段階で、その指定業のものを何を考えておるか、こういうことになりますと、これはまだ法律も通っておりませんし、開発計画自体ができておるわけでもありませんし、自治庁としてどの程度のものをどう考えておるかということは、とても今申し上げる段階ではないのでございます。それが自治庁といたしましてのこの法律条文一般再建法指定事業についての考え方で、ぜひそういう方向に話をまとめたいと存じておるのでございます。
  7. 北山愛郎

    北山委員 大へん明快なお話で、よくわかるのですが、今のお話のように重要事業というものについては別計算にするというようなことがはっきりしておれば、私どもも、十二条によって初めてこれは開発促進上多少御利益があるんだなと、こういうことがわかるのですけれども、どうも別計算にするということがはっきりしておらぬものですから…。そこではっきりさせることが、先ほど申し上げましたように、この第十二条というものが促進上役に立つのだということを明らかにするゆえんじゃないかと思うのです。それで、その点は大体自治庁のお考えはよくわかったのです。あと大蔵省側にもお伺いして、この点を確かめたいと思うのですが、企画庁長官としては今の問題になった点はいかがでしょうか。このいわゆる重要事業というものを別計算にするということにでもすれば、これは確かに今御発言があったように、その分だけについては二割引き上げというものが確保される。その他の部分については地財再建の例に従って補助率が上っていくということでこの十二条の意味が初めて明らかにされる、そういうことなんですが、企画庁長官としてはどういう御意見ですか。
  8. 宇田耕一

    宇田国務大臣 全然同意見であります。
  9. 北山愛郎

    北山委員 じゃこの点は、あとでまた大蔵省側からはっきりとお伺いいたします。  それからもう一点は、問題は重要事業範囲というものが、昨日もお伺いしましたが、明確にされておらぬのです。明確にするということは、私の方としては要望するところではありますけれども、技術的になかなかむずかしいというお話でありますが、しかし私ども再々言っておるように、重要事業が非常に少いものになったんじゃ、これは意味をなさないので、やはり私どもは、この自治庁長官企画庁長官協議をしてきめるという部分を削ってしまって、指定事業全体を重要事業というふうに取り扱ってもらえれば、これは百パーセントわれわれの要望を達して得られると思うのです。しかし、そういうことが百パーセントと言わなくても、九十パーセントとか、なるべく指定事業の中で大部分のものを重要事業にするというような運用ですから、運用の問題についてそういうふうにおやりになるお考えをもって、企画庁長官はこの法案施行に当るかどうか、こういう点を一つ明らかにしていただきたいと思うのです。
  10. 宇田耕一

    宇田国務大臣 基本方針はそうあらねばならぬと考えております。
  11. 北山愛郎

    北山委員 これは自治庁企画庁長官協議をしてやるわけなんですから、企画庁長官としては、重要事業というものはできるだけ広くとって、指定事業の大部分重要事業にするという明確なる意見の表明があったわけですが、自治庁長官はお認めになりませんか。自治庁としてはどういう御意見ですか。
  12. 小林與三次

    小林(與)政府委員 自治庁といたしましても、できるだけそういう方向考えたいと思います。もう一つ北山委員に念のために申し上げておきますが、結局この事業の中には、いわゆる補助事業直轄事業という問題と二つございまして、さっき一般指定事業扱い議論を少しやったのにも関連するのですけれども、これはまだ大蔵省と最終的な話もついておりませんが、私は補助事業につきましては、そういうふうにできるだけワクを上げてやる方式考えられるけれども直轄事業については、むしろそういうワクがおかしいじゃないか、国の必要でやりたい、その場合は、必ずしも再建団体財政力の当面のことを考えずに、御承知通り交付公債でやっているのですから、一年、二年と再建計画計算を合せてみたって、意味がないのでございます。そこで直轄事業につきましては、一般的に、国が必要と認める程度は、どれだけでも最高補助率でやろうという建前を貫くべきではないか、という一般的な考え方を持っているのでございます。しかし、それの扱いはどうなるか知りませんが、少くとも東北開発のような場合につきましては、趣旨、精神からいったってそういう運用を当然できるだけ最高限にやるということは、私は考えるべきだろう。補助事業につきましても、ただ一般指定事業は一切の公共事業をやっておりますから、すぐに東北開発と結びつくか、結びつかぬかという議論はいろいろあろうと思いますが、しかし結局、開発は全体のレベルを上げることに基本があるのでございますか、われわれといたしましても、指定事業範囲というものは、できるだけここに書いてある重要事業範囲というものに近づけるように、一致させる方向にできるだけの配慮と努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  13. 北山愛郎

    北山委員 企画庁自治庁の方から大へん明確なお答えがあって、大体この十二条第二項のいろいろな疑問もだんだん明らかになってきておりますが、あとでこの点については、一番肝心の財布を持っておる大蔵省の方の裏づけを一つはっきりとしていただきたいと思うのです。ただ私どもとしては、実を言いますと、第十二条が地財再建法というものを援用してきているという形は、私どもは好ましくない。再建法適用団体であろうが、なかろうが、東北にある地方公共団体としては、この内容にあるような恩典といいますか、それだけの便宜が与えられることが促進法意味だと思うのです。この中に地財再建促進法のそれを利用するということは、この前申し上げました通り、形としてはどうもおもしろくない。ただしかし、自治庁としては、先ほど来お話があったように、東北開発については非常に積極的な気持が察せられるわけでありまして、おそらく第十二条の運用についても、地財再建ということよりも、むしろ開発促進ということに重点を置いて運用に当られるのじゃないかというふうに期待されるわけであります。  なお伺っておきたいのは、いろいろ開発事業をやります場合に、地方公共団体等資金が要るわけなのです。その資金資金運用部資金なり、あるいはそういう地方債によらなければならぬ場合がある。そういう場合の資金の確保ということについては、第十一条にもあるわけでありますが、この点について自治庁としてはどういうふうなお考えでおるか、それをはっきりしておきたいと思います。
  14. 小林與三次

    小林(與)政府委員 われわれといたしましては、東北につきましてこういう法律もできる以上は、できるだけ開発のために援助するように、自治庁としての面から最高限努力をいたしたいと存じております。ただ問題は、それぞれの補助事業とか直轄事業というものは、それぞれの事業省が御決定になるのでございますから、これの具体的な御決定事業省におまかせしなければいけない。われわれとしては受入れ態勢を十分に作るという気持で、財政面から御協力をいたしたいと考えておるのであります。  それから今お尋ねの起債の面につきましても、必要な国債はもちろん考えなければいけませんし、それとともに、起債をつける場合に、政府資金公募債のからみ合いの問題があろうと思いまして、これはやはり団体の状況から考えてできるだけ政府資金考えてやるべきだと存じております。この問題は、一般会計における事業につきましては、原則として再建、非再建東北、非東北を問わず、政府資金を中心に考えるべきだ、こういう基本的な考え方を持っておりますから、そういう方向考えるとともに、東北については東北特殊事情を頭に入れながら、問題を処理したい、こういうふうに考えております。
  15. 北山愛郎

    北山委員 なお開発に関連する地方財政の問題として、実は東北県地方団体側の方から、地方交付税について未開発道というものを一つ考慮してもらえないかという要望があるわけなのです。御承知のように、東北には開発事業をたくさんやらなければならないものがある。しかし東北六県はもちろん市町村におきましても、財政力が逆に非常に乏しいわけなのです。従って地方交付税に期待するものが多いのですが、交付税配分する場合に、未開発道というものを補正の単位の中に入れてもらいたいという希望なのです。現在でも寒冷地補正であるとか、あるいは昨年からやっておりますいわゆる態容補正というようなものもありますので、ある程度のものは現在の地方交付税配分方式の中にも取り入れられてあるというふうに了解いたしますけれども、なおいろいろ事業配分等によって、地方負担分が非常にふえるというような特殊な場合もないわけではない。その際において、交付税配分はできる限りの考慮を払ってもらいたいと思うのですが、この点について財政部長からお伺いしたい。
  16. 小林與三次

    小林(與)政府委員 交付税の問題でありますが、実はこの法律案が立案される過程におきましても、交付税特例考えられないかという議論が相当あったように聞いております。ただ北山委員も御承知通り交付税全国地方団体のものでありますから、東北だけの特例交付税の中で設けることは、法律の性質上適当でない。しかも未開発地帯として問題を考えれば、南北以外にも未開発地帯はあり得るので、そういう考え方で問題を解決するよりほかに仕方がないのではないか。未開発地帯になるべく建設的な事業が多く回るように、全般的に交付税考えるということは、当然われわれといたしましても、かねてから考えている問題でありましてその点は、条件の許す限り、積極的に考えようではないかという考え方でございます。そういう意味で、北山委員もできる限りということをおっしゃっただろうと思いますので、その点を御了承願いまして、われわれといたしましては、こうした未開発後進地帯において、行政レベルが進んだところと少くとも合うような形になるように持っていくという考え方で、交付税配分基準も、できるがけ合理化することを積極的に進めたいという考えを持っておるのでございます。昨年度も相当の金がいっているはずだと思いますが、今年度におきましてもそういう方向考えたい、各県ともそういう交付税配分を頭に入れながら、開発のために積極的にその財源を使ってもらいたい、こういうことを、実はわれわれといたしましても、切に希望している次第でございます。
  17. 北山愛郎

    北山委員 この場合にあわせて伺いたいのですが、一昨日でありますか、東北興業の問題をお尋ねしたときに、昨年からやっております東北興業株式会社セメント工場を作るために、工場を設置される村がある。岩手県の東山村というところですが、地元東北興業のために六千万円も敷地や何かのために金を出さなければならぬ。この村はたしか人口七千くらいの小村ですが、工場誘致のために非常な熱意で六千万円も金を出してそのうちで四千万円は山を売り、あとの二千万円は工面に困っているのですが、私はこういうような地元熱意もさることながら、そういう小さい村で工場誘致のためにこういう莫大な負担をするということは、地方自治団体を守り、地方財政を確立するという意味からして考えものではないかと思います。この点について自治庁は御存じはないと思いますが、この際見解が承われればけっこうだし、またそうでなければ、よく調査をしていただきたいと思います。財政部長どうですか。
  18. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今のお話の点は私全然承知いたしておりませんので、調べまして何らかの機会に申し上げたいと思います。
  19. 五十嵐吉藏

  20. 西村力弥

    西村(力)委員 東北開発一つの柱として、東北興業東北開発株式会社に変更して、これを一つ開発のよりどころにしよう、こういう工合になっておりますが、東北興業に対する評価は、今までの実績においていろいろ御意見がおありのところと思います。そういういろいろな批判を乗り越えて、東北興業一つのよりどころを置こうとなさいましたその間の検討、それはどういう工合になされておるか、これは企画庁長官建設大臣か、どちらかにお尋ねしたいと思います。
  21. 町田稔

    町田政府委員 東北興業は、御承知のように従来から東北開発につきまして、長い歴史を持ちまして事業をやって参った会社でございます。今回東北開発に当りまして、殖産事業等も大いに東北で興すことになりましたので、従来の経験を生かすという意味におきまして、会社を活用することといたしたのでございます。ただ、新たなる事業を大いにやるというのに必要な各種の法制上の整備を必要といたしますので、所要の改正を加えまして、会社を活用するということに決定をいたした次第でございます。
  22. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 西村委員にちょっと申し上げますが、建設大臣は時間の都合がおありのようですから、なるべく建設大臣への御質疑を先に願いたいと思います。
  23. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいまの答弁ですと、東北興業に大いなる期待をかけて従来の経験を活用する、こういうことでございます。その点は、私どもとしては非常に疑問を持っておるところでございますが、それはあと回しにしまして、それでは建設大臣にお尋ねします。  この東北興業に今度二十五億の金をつぎ込んで事業を進めていく、こういうことでありますが、今までの委員会の経過をずっと拝聴しておりましても、どういう仕事をやるために、どういう計算の基礎に基いて二十五億というものをはじき出したのかということが、全然不明確なのであります。先日大蔵大臣も、初めての会社であるからちょっとわからない、一応この金で…、こういう答弁でございましたが、しかし大事な金をそんなようなことで支出するということは、私たちとしてはどうしても納得できないので、この際この点を明確にしていただかなければならないのではないか、こう思っておるわけなのでございます。東北興業の蓮池さんがおいでになってのお話では、去年セメントの工場を作る場合にも、金はできた、さあそれで、これから実際に調査をして、その事業が成功するかいなかということを検討する、その必要のために、海外にまで人を派して検討した結果、これがよろしいという結論を得たために事業に着手した、こういうことを言うておる。普通一般会社において、そんなルーズなやり方というものは絶対に認められないことじゃないかと思う。そうしてじんぜん日を送ったために、鉄材の値上りで、十四億が十四億の価値通りの働きをしないということになる。あるいはまた、今北山委員からお話があった、東山地区に工場敷地を設定したが、岩盤までの基礎工事が五十メートルの深さにもなった。こういうばかな仕事をやるようなことであっては、とうてい会社として十分に採算のとれる経営をすることはむずかしいだろうし、そういうところに、計画もなく二十五億という金が、一応それだけやって、やらせようという立場で出されたのでは、これは私たちとしてどうしても承認はむずかしいということに考えられるわけなのであります。そういう点から建設大臣に、その間のことを一つ明確に御説明していただきたい、こう思うのであります。二十五億を、どういう仕事をやるために、どういう計算の基礎に基いてはじいたのであるかということを、一つ明確にしていただきたい。
  24. 南條徳男

    ○南條国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますが、建設省といたしまして当時立案いたしたときには、今までの東北興業会社内容等がまことに不振でありましたので、一方東北開発促進法案等の問題もありまして、東北はどうしても振興をしなければならないというような情勢がありますために、そこで今回御審議願うような法案を出すようになった次第であります。従って、東北興業会社の名前も開発会社に変更することになったのでありまして、それとあわせて資金計画等も立てなければならぬというので、一応二十五億――当時はもっと大蔵省折衝したのでありますが、政府の財政関係、から、二十五億にしぼられたのであります。これは政府出資五億、興業会社社債二十億、合せて二十五億であります。かようなことでございまして、一々どの部分にどれだけ、どうというような積算の基礎に立ってしているわけではございませんので、これではなお不足であるから、もっと増額しなければならぬというような事業計画もあったわけであります。たまたま公共事業にまでも、今後は東北振興は東北興業会社にせしめたらどうかという議論もありましたために、そこで各省等で連絡協議しなければならぬというようなことになりましてあるいは通産省、運輸省その他農林省、こういうような地下資源の開発とか、あるいは港湾関係とか、あるいは農林省の関係においては農地開発というようなことでありますために、建設省だけでは―従来のような行きがかりから、建設省が監督しておりますけれども、この事業計画をする場合においては、今後経済企画庁が中心になって、これらの事業計画を立てる、なお東北開発の審議会もできますので、こういう審議会等にもかけまして今後慎重に東北の将来の振興方法を考え、これによって事業計画を立てて資金の割当等をすることが最もふさわしいと考えましたので、ただいま一応二十五億の計上はいたしておりますが、今後これらの審議機関を経まして、それらの内容を十分検討していただきたい、こういうように考えているわけであります。
  25. 西村力弥

    西村(力)委員 従前の答弁といささかも違わないのでありますが、それでは東北興業が今までやっておった仕事、いろいろつまずいたところがたくさんあり、不振なことはあなた自身も認めていらっしゃるのですけれども、こういうものに対して、東北興業自体としては、この際この二十五億のワク内においてそれを蘇生しよう、こういうような考え方は当然あるだろうと思うのですが、そういうものに対する検討、そういうことをも全然なさらないのかどうか。これからの事業は、まだはっきり事業計画そのものは立たないしにしても、今まで東北興業が持っている事業に対して、自己中心的にそれを蘇生させる、そういうところに、無制限に、勝手にやらせたんでは、これは相当問題があると思う。であるから、少くともその点だけについては、相当厳重なる一つの検討をしてしかるべきだと思うのです。その点はどうですか。それもやはり向うさんの自主的な立場においてなさることに対して一は関与しないというような工合になさっていらっしゃるかどうか、その点お尋ねしたいと思います。
  26. 南條徳男

    ○南條国務大臣 ただいままで東北因業会社として直営でやっておる事業につきましては、もちろん従来の法律の規定によりまして、建設省は監督をいたして参っております。その仕事内容等につきましては、終戦後、御承知通り、法人に対するところの政府援助の制限の法律等がございましたために、一時東北興業社債は中止しておったのであります。そんな関係で、非常に不振に陥っておったのでありますが、どうにかやっておりまして、昨年の国会において社債をようやく復活していただくことになりましたために、どうにか事業が緒についておるようなわけでありまして、福島県等でやっております肥料その他の事業は、ある程度順調にいっております。そこで、今度の最初に計画いたします二十五億の中には、そういうような場合の事業拡張費なども考えておるようなわけでございますが、現在東北興業会社事業といたしまして順調にいっているものにつきましては、もちろんこれは育成していくことになります。先ほど申し上げました通り、今後の事業のあり方につきましては、十分いろいろの法律も改正され、そして東北開発促進法もできるのであります。東北振興の審議会等もあることでありますから、再出発ということではございませんが、新たに今度構想を大にした考え方から検討してもらいまして、この事業内容等も十分研究してもらうことが最もふさわしいと考えております。
  27. 北山愛郎

    北山委員 関連して。ただいまのお話なんですが、実は昨日大蔵大臣にお伺いしたときに、昨年の資金計画十四億、これはセメント工場のものだということは大蔵大臣はあまり知らなかったのですよ。セメント工場を一体東興がやっているかいないかも知らなかったのですが、それと二十五億とは別だということだけはお認めになったのです。そこで、大臣もおそらく、これは当然昨年の予算で通す場合には、セメント工場資金として、社債九億を含む十四億、これでセメント工場をやる、今度の二十五億というのは、セメント工場は別途な資金計画なんですから、それとは別なんだろうと聞いたところが、それを認めておられたのですが、建設大臣も同様ですか。
  28. 南條徳男

    ○南條国務大臣 全く同様でございます。
  29. 北山愛郎

    北山委員 これはあるいは大蔵省の方にお伺いした方がいいかと思うのですけれども、ただ、そういたしますと、東興はすでに社債も三十一年度分は発行しておる。聞いてみますと、現金預金を七億円くらい持っているというのです。セメント工場の方は、御承知のようにまだこれからなんです。だから、私はどうも必要以上の社債を発行して、そうしてこれを銀行預金をしておるということになれば、金利の幅だけでも一年に千万円や二千万円ふっ飛んでしまうと思う。必要なときに、必要な資金を社債発行したらよさそうなものじゃないかと思うのですが、どうも気のきかないことをするものだ。そのために一千万も二千万も利子を東興が払わなければならぬ。今非常に借金が多くて困っておる東興が、そういうふうな資金運用をしなければならぬということはばかげた話だ、こういうふうに考えておるのですが、セメントの計画にしても、九億の社債を三十一年度に発行して、現金を預金しておかなければならぬというような運用をなぜ建設省としてさせておくのか。どうしてそんなことをやっておるのですか。
  30. 南條徳男

    ○南條国務大臣 局長から説明いたさせます。
  31. 町田稔

    町田政府委員 ただいま御質問のございました件でございます。事業が当初予定いたしておりましたのより多少おくれましたので、その間社債を一時銀行等に預金する必要を生じたのでございますが、ただいまセメント事業は極力進捗をはかっております。予定通り進捗いたして参りますと、この資金は支払いの方に直ちに充てられなければならぬということになりますので、今御指摘のありましたような、非常な経理上のむだはないものと確信をいたしております。
  32. 北山愛郎

    北山委員 これはむだがないと言ったって、むだが出ておるのですよ。建設工事がおくれるということは、建設省がわかってなければならぬわけだし、事態の推移によってはっきり予想されるのです。それがわかっておりながら、社債の方だけはどんどん発行して、そうしてこれは利子を七分何厘か払わなければならぬのでしょう、政府保証だから。そうしておいて銀行に金を寝かしておるのです。それで私がおかしいと思うのは、十四億がセメント工場資金である、しかも機械は発注をして、まだ到着をしておらない、国内に発注したものもできておらない。何でも代金は三分の一くらいを払っておるという話ですが、それにしても、十四億のものが七億しか預金が残っておらぬということも、おかしいのです。これはまあ別としても、そんなに金をだぶつかせて、寝かせておるような金があって大へんうれしいかもしれませんが、しかし金利がかかる金なんですから、預金の利子と社債の利子の差額が、三分としても相当になるでしょう。こんなばかげたことをしなくてもいいのじゃないですか。政府保証の社債で、年度を越して必要なときに発行させれば、それでいいのですから、どうしてこんなことをさせるのですか。そういうことをしておるから、東興の経理が悪くなる、不振になるのじゃないですか。明らかに損をしておるのじゃないですか、どうなんです。
  33. 町田稔

    町田政府委員 この件は、ただいま申し上げましたように、支払い計画等に多少そごがございました。この点はまことに申しわけないと思います。
  34. 北山愛郎

    北山委員 この点はそごはございましたという話ですが、そのすでに払った七億の内容を、あるいはまたこの資金の計画があるでしょうから、機械の発注なりあるいは建設の請負なり、あるいは用地費は地元負担で要らないのですが、そういう内容を明細に書いたものを出してもらいたい。これは別な機会にまた御質問いたします。
  35. 西村力弥

    西村(力)委員 私の質問も―実は東北興業が現在までやってきたものに関して、それを統制し、また整備し、発展させるための資金というものに、二十五億の中でどれだけ見積ったかということに対して明確な答弁がございませんが、このことは、将来のことを考えて、私はさように質問を申し上げておるわけなんでございます。これからこの会社は「営業」ということを「事業」というように変更するというような工合に、性格が、営利的なものから事業主体的に相当変るような工合にも見える。しかしながら、やっぱり財産というものは、最も厳格に考えていかなければならないと思います。そうやって事業をやるわけですが、民間企業との競合はこれを避けなければならないというようなこと、そうやってみると、なかなか現在の経営ぶり――やはりまた民間企業との競合を避けるとか、さまざまの制限から、将来にわたって良好なる経営というものは、なかなか保証されないではないかという工合考えられるわけなんです。良好なる経営でなくても、とにかく東北開発のための事業をやればいいのだということであるとするならば、これはやっぱり株式会社形態を変えてやっていかなければならぬと思うわけです。しかし現在こうやって進むとするならば、将来またそういうふうにいろいろ手を出したことが不振に陥る、それをどうしても処理しなければならない。その処理しなければならないということが、事業発展という希望と一緒になって、今回のような場合に出てくる。そうなると、その場合、また金をつぎ込まなければならないということが出てくるわけであって将来この株式会社が不良経営に陥った場合、一体それをどうするのか。今回でさえも、今までのやり方に対して十分に検討をし、今までのしりぬぐいはこの程度に、というようなことの検討をさせないで金を出すということがありますので、将来もまた同じようなでんで、やっぱり国会なら国会に持ち込まれるのではないか、こういう危惧を持たざるを得ないわけなのです。そういう将来の見通しに対しては、どういう考えを持っていらっしゃるか、それを明確にしておかなければならない、こう思うわけなのであります。大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  36. 南條徳男

    ○南條国務大臣 こまかい点は政府委員から答弁してもらいますが、お説の、東北興業株式会社が当てもなく仕事をして赤字になった場合に、またしりぬぐいをしなければならぬじゃないか、よってこの際その方針等もはっきりすることがよろしいという御意見、ごもっともだと思うのであります。しかし今までの東北会社は、戦前の事業計画と戦後における情勢の変った点がありますために、先ほど申したように非常に事業不振になりましたけれども、何とかして今の興業会社理事者の諸君は、その間に立って非常に苦労をいたしまして、大体赤字のないような事業経営をしておるのであります。そこで、今後これをどういうふうに建て直すかということが将来の問題でありまして、それがためには、東北振興というようなことと関連しまするから、これをこの機会に、それらの点を勘案して十分検討していただきたいということで、このたびいろいろ法案を御審議願うようなわけでありまして、こういう点については東北振興の審議会等もありますので、東北興業会社の名称も変えまして、これらの事業形態等につきましても十分政府は監督もでき、またその事業者自体が十分採算もとれ、そして政府にも迷惑がかからないような方向で進めようというために、御審議を願っているわけであります。今までの東北興業会社といたしましては、相当時勢の変化に伴いまして不振の時代がありましたが、幸いに政府には大した迷惑がかかっておらぬのであります。この点ははっきりと申し上げておきますが、詳細なことは政府委員から答弁させます。
  37. 植田俊雄

    ○植田政府委員 ただいま企画庁長官が他の委員会に出ておりますので、かわりましてお答え申し上げます。東北興業株式会社が今回開発会社と名称を改めまして、二十五億の出資の見通しがついておるわけでございます。この会社の運営といたしましては、先ほどお話がございましたように、民間企業と競合することなく運営して参って、しかも採算的に不利でないような事業をやるということでございます。従いまして、事業の選定そのものは相当慎重にやらなければならぬということも十分承知いたしております。従いまして、先ほどお話がございましたように、東北開発審議会の議を経まして、東北開発上有効で、かつ将来財政的に国家に迷惑のかからないような事業を選んで参りたいと考えているわけでございます。
  38. 西村力弥

    西村(力)委員 大臣も植田さんも、東北興業を非常に弁護なさるような工合に聞えまするけれども、しかし、そういう態度はこの際あまり好ましいことではないじゃないか、やはり一つの警告としてでもはっきりしておく必要があるのではないか、私はそういう工合に大臣に希望したい。  その次にお聞きしたいのは、今度の開発株式会社は産業立地関係の開発事業、こういうことをなさるように聞いておりますが、たとえばかりに、石田宥全さんもおりますけれども、新潟なら新潟が信濃川を埋め立てして工業敷地をそこに造成する、そういう県なら県、あるいは市なら市の計画がある、そういう場合に、東北開発株式会社もそういう問題に取っ組むというような場合に、一体自治体のそういう希望というものが優先するのか、こっちの方が優先するのか。当然これは自治体の事業計画というものが優先されていかなければならないではないか、それが中心に行われていかなければならないではないかと私は思うわけです。その点を一つはっきりしていただきたいのでありますが、そういう工合に、いろいろ民間事業と、また自治体の事業なんかとも問題がかち合ってやらなければならぬので、採算というものに対して相当危険のある仕事もやはりやらざるを得ないのではないか、そういう制限も、私は将来の経営上に対する問題点として考えるとともに、今までの経営の実態からいいまして今のやり方では、やはりしりぬぐいという段階が遠からずまたあるのではないか、失礼な話ですが、そういう予想をせざるを得ないわけなのであります。それで、そういう段階においては、政府側としては、再度国費やその他を投入してそれをまた救い上げるというふうな、そういう甘い考えはこの際は捨てる、こういう強い考え方に立ってもらわなければならないと思うわけであります。その点については大臣の再度の答弁をお願いいたします。以上二点についてのお考え一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  39. 南條徳男

    ○南條国務大臣 建設省といたしましては、ただいままでの考え方は、先ほど私が申したような方向東北会社の監督あるいは指導に当って参りました。しかるところ、先ほども申すごとく、時勢の進展から、飛躍的に東北会社というものは、内容なり、機構なりを変えなければならぬという時代にきまして、今度御審議を願うようなことになっているのでありますから、今後は、すべての将来の計画なり方針等につきましては、経済企画庁の方で一応原案を立ててもらいまして、それによって御審議を願うことがよかろうと思いますので、建設省、私の方の答弁ワクではないと考えますから、いずれは企画庁の方からお願いいたします。
  40. 植田俊雄

    ○植田政府委員 先ほどの御質問にも関連いたしますが、経済企画庁がこれを所管いたしました場合におきましては、従来の会社の経営方法等におきまして時代にそぐわない点がございますれば、その点は国家の目的に沿いますように変更させるつもりでおりますので、その点も御了承願いたいと存じます。  次に、産業基盤の施設の問題でございますが、ただいま御指摘のございましたような工業用地につきまして、具体的に新潟県の工業用地の問題をただいまのところ決定いたしておるわけでもございませんし、また検討する段階にも入っていないわけでございます。産業基盤施設といたしまして工場誘致をいたしますためには、まず考えるべきは工業敷地の造成でございますので、この工業用地を造成する適地がございまして、それが他の関連事業との関係で、比較的低廉でできるというふうな場合には、これはやるべきではないかと考えております。しかしながら地元の府県市等でこれはぜひ自分でやりたいとお考えになっているものを、会社が横取りするという考え方も持っておりません。しかしながら現在の地方財政の状況におきましては、工業敷地造成の資金というものを多くの場合に起債に仰いでおりますので、そういった融資ベースで地方公共団体がやっておりますものを、会社が肩がわりいたしまして、会社資金でやった方がよいという場合も相当あろうかと考えるのでございます。しかしながら工場用地の造成というものは、ただいまお話のございましたように、工場が参りましてこれを買収することにしてくれませんと、その現金化ができないわけでございまして、相当なリスクを伴うものであることも当然のことでございます。従いまして、私どもといたしましては、地元要望があるから、すぐ工場敷地を作るということでなくて、その工場敷地に対する近い将来における工場立地の条件その他を考えまして、相当見通しのつくものでなければ着手しない、こういうふうに心得まして、貴重な資金が土地にかわって現金化がおくれるということのないように、特に留意しなければならぬ問題かと心得ておる次第でございます。
  41. 西村力弥

    西村(力)委員 大略のところ自治体の方にウエートを置かれるようなお話でございまするが、自治体の一つ事業計画と、東北興業株式会社の意欲と競合した場合は、やはりあくまでも原則として、自治体が優先する、こうはっきりしておかなければならない、自治体を中心として、それを優先させて前進していかなければならない。私はこういう工合考えるのですが、その点はどうお考えですか。
  42. 植田俊雄

    ○植田政府委員 ただいまお話通りでございまして、自治体が自分でやって、自分で採算がとれ、また場合によっては利益を上げると考えて自分の方で資金の手当がつくという自信を持っておられるものを、この会社が乗り出していく必要はあるまいと考えております。
  43. 西村力弥

    西村(力)委員 小林財政部長にお尋ねしますが、そういう場合の起債も相当今までも考えられて将来とも相当尊重されて考えられていくか、こういう点のお考えはおありでございますか。
  44. 小林與三次

    小林(與)政府委員 敷地の造成に要する起債につきましては、収益事業として成り立つものにつきましては、ものによって考えられると思うのでございます。
  45. 北山愛郎

    北山委員 関連して。今の問題で、今度御承知のように公益企業債というものが百億ばかりふえて特に水道の中には工業用水の水道もある、それから港湾の施設もある、それから今の工業の敷地、そういうものは、今まででも公益企業債の中に、ワクとしてはあるわけなんです。ですから、考えられるのではなくて相当自治体の仕事として、しかも利子からいっても、開発会社の使う金よりも、むしろあるいは自治体の方が、それを企業として借りれば安いかもしれない、そういう点で、今の地方債の計画から見ても、自治体にそういうことをやってもよいようになって、道が開けているわけですから、もちろん競合するという場合には、自治体が優先することは当然だと思うのですが、おそらくそうしてくれば、興業会社が、このような工業用地の造成であるとか、工業用水をどうするとか、そういうことを、現実の問題としてはやり得る余地があまりなくなってくるのではないか、大がい地方自治体がやれるのではないか、こう思うのです。そうすれば、今度の改正案の中で「産業立地条件ヲ整備スル」という項目をわざわざ一項目入れる意味が私は変になってくるような気がする。その点については法案をこういうふうに出したときの考え方、これは一体どうなんです。
  46. 植田俊雄

    ○植田政府委員 従来各種の港湾等におきまして、公共事業でやっております港湾整備が相当進みまして、港湾荷役施設その他、従来市町村がやればやれたものがおくれているものも相当ございますし、また工場敷地の造成にいたしましても、地元の県市で解決がつかないものもございまして、相当この会社に期待しておるものが多いんじゃないか、またその点が、産業基盤整備のための公共事業と、それから殖産事業それ自体との間の一つの中間のブランクの状態になっておると思うのでございます。ブランクのところを埋めるということが、東北地方の産業の開発に大いに役立つんじゃないか、またそういうふうな観点からいたしますと、東北興業株式会社としてその点に地元の希望のないものはいたし方がございませんが、地元要望があれば、相当力を注いでもよい仕事ではないかと考えておるのでございます。
  47. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 石田宥全君。
  48. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大臣がお急ぎのようですから、建設大臣にちょっとお伺いしたいのですが、後進地域である東北開発が、興業会社を中心としての資金関係その他による開発計画と、民間企業に対する融資等で一方はいくわけでありますけれども、ただいまもお話がありましたように、産業立地条件の整備というようなことが強く言われておるわけでありまして、特に東北地方では地下資源並びに森林資源は相当豊富にありながら、道路網がきわめて貧弱なために開発できない。私は後進地域開発というものは、工場の建設事業を起すことも必要でありますけれども、根本的な問題は、むしろ道路網の完成でなければならないと思うのです。ところが、これはひとり新潟県だけでなくて、秋田にいたしましても、青森にいたしましても、非常に立ちおくれをしておる。これはもちろん、地方府県の財源の関係もございましょうけれども、特に東北地方の道路網がこういうふうな状態に置かれている重大な原因は、一体どこにあったと大臣は考えておられるか、そうして今後東北開発促進法の線に沿って、どのようにしてこの後進性を打破していく方針であるか、先ほど自治庁財政部長お話もありましたように、やはりそれぞれの所管の事業庁の関係が大きな問題であると言われておるのでございまして、その通りだと思うのでございます。建設大臣にこの点についてまずお伺いしておきたいと思います。
  49. 南條徳男

    ○南條国務大臣 東北の未開発地域開発につきましては、お説の通りでありますので、建設省といたしましては、三十二年度に特に東北開発の御趣旨に沿うために道路、ダム、河川その他を相当大幅に増額いたしたわけであります。たとえば公共事業として三十一年度と二年度における比率を申し上げますと、東北地方開発関係の公共事業費は百三十六億四千六百万円と三十二年度は相なっておりまして、昨年度に比べまして四十二億三千万円の増、一・四五倍になっているのであります。その内訳は、道路関係にいたしましては七十二億八百万円で、前年度よりも三十四億円の増となっております。すなわち一・六九倍、一・七倍ぐらいの比率で本年度は増額いたしております。治水関係につきましても、三十一年度が六十二億三千万円で、今年度は十二億五千万円の増となって、一・二五倍になっております。そのうち特にダムの関係につきましては、三十億六千万円で、前年度よりも十一億四一千万円の増であります。直轄事業につきましては五十九億円でありまして、前年度よりも十九億円、すなわち一・五倍の増となっております。補助事業につきましては七十七億円でありまして、前年度よりも二十二億円の増、すなわち一・四倍になっているようなわけでありまして、特に今年度は東北振興ということについての世論の趨勢にかんがみまして、建設省としては各般にわたって公共事業費の増額をいたしているようなわけでございます。
  50. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいま大臣から数字でお示しになったように、今までよりは相当配慮をされたようでありますが、まだまだそんなことではとうてい追っつかない実情であります。大臣は、明日から新潟県に出張されるようでありますから、実情をつぶさに見ていただきたいのであります。たとえば私ども地域などでは、阿賀野川―これは大河川でありますが、阿賀野川では津川にキリン橋というのがあって、新潟の泰平橋まで満足な橋は一橋もない。この間六十キロです。一体日本全国で、人口の密度の関係、あるいは物資の輸送の関係等から考えて、ああいう大河川で、六十キロもの間に完全な橋が一橋もないというような地域がどこにあります。こういうような実情は、一・二五程度の増額で、とうてい追っつく話ではないのです。やはり問題は、今となりますれば、それは地財法の適用を受けた県の財政との関連がございましょう。そこで地財法の適用との関係で、先ほど来北山委員といろいろ論議がございましたが、この点があいまいでありますと、依然としてその大幅な増額というものはできないことになるのです。地方負担能力がないということなら、これはできないということになる。この点は、どうしても大臣の方からも特別に自治庁大蔵省との関係を調整されて―今度幸い新潟県においでになりますから、実情をよくごらんになって、これをやっていただきませんことには、とうてい後進性の打破はできない。発電所ができ、それからまた工場が誘致されましても、また誘致するにしても、やはり道路網が完備しませんければ、地下資源の開発もできない、森林資源の開発もできないのです。でありますから、これは北山委員とずいぶん議論があって、まだ大蔵省の方がはっきりいたしておりませんが、特に大臣からそういう点を御配慮いただいて、この点を御考慮願いたいと思うのであります。  そこで、今度基本的な問題でお伺いしたいのでありますが、先ほど申しますように、東北開発株式会社が今度誕生し、それに相当資金ができる。そこで一方においては、民間会社の融資が行われ、同時にまた、地方公共団体事業に対してもそれぞれ融資を行う、こういうことであります。それで、そういう事業を行うについて、先日来伺っておりますと、相当膨大な資金が用意されているけれども、具体的にどういう事業をやるかということは、一にかかって審議会にある、こういうような答弁なんですね。なるほど、その最終決定は審議会がやるでしょうけれども、これまでの立法措置をなさる間に、大体どういう事業を中心にして開発をするかという、そういう具体的な論議がなかったはずはないと思うのです。もしそれがなかったとすれば、これはまことにいいかげんなものです。伝うるところによると、青森県においては鉄鉱とチタンであるとか、どこの県においては何々というようなことで、新潟県などでも、軽金属工業が天然ガスを利用して尿素を作るというようなことがいわれておって、しかも、そういうような事業があらかじめ予定をされて、これは素案であり、あるいは素案の素案であるかもしれないけれども、プリントにしたものまでも外部に出ておる。一切万事これは審議会にかけて、白紙で審議会が決定するんだというようなことでは、私は了解できない。そこでやはりこの三法案の審議の過程において、どういうふうな議論が行われたかということについて、一応やはり説明が行われないことには、われわれは了承いたしがたいのであります。これを一つ明らかにしていただきたい。
  51. 植田俊雄

    ○植田政府委員 ただいま開発会社資金の使い方及び公庫の資金の融資先につきまして御意見があったわけであります。公庫の融資先につきましては、先日御説明申し上げた通りでございますが、融資先につきましては、法文に書いてありますところの石炭または可燃性天然ガスその他未開発鉱物資源の利用度の高い工業、それから二番目に、農林畜水産物の加工度の高い工業、三番目に、鉱業及び製練業、四が、産業の振興開発にかかる交通運輸業、これが明文で出ておりまして、その他に、産業の振興開発のため特に必要な事業で主務大臣の指定ありたるもの、この五項目に相なっております。私どもは先日御説明申しましたように、具体的にどこの会社に貸すかという案につきましては、何ら持っておりません。しかしながら、御審議の御参考までに、各県でありますとか、あるいは東北各県の商工会議所等から、こんな事業を期待しておるんだというような資料もいただいておりますので、そういう資料を参考にいたしまして、この中から、この項目に該当しそうなものを選びまして、百三十一億くらいの申し込みがあるんじゃなかろうか、その中から東北分といたしまして、四十五億貸したらどうかというような考え方を持っておるだけでございます。具体的な事業につきまして、貸付の約束をした、あるいは具体的に貸付の申し出が私どもの方にあった、こういうものはございません。  次に、東北開発会社の方の資金の使い方でございますが、この予算は建設省において大蔵省折衝せられたものであります。二十五億の使い方につきましては、形式的に申しますれば、東北開発審議会の議を経てきめるということでございますが、私ども気持を申し上げますれば、産業関連の事業にも相当な金額を持って参りたい。それから現在の東北興業であっておりまする事業の中の福島工場、これは石灰窒素とカーバイドをやっておりますが、特にカーバイド等は現在市況も非常にいいわけでございます。こういうものの強化のために相当つぎ込んでも、会社としては決してマイナスにならぬじゃないか。あるいは木友の鉱業所におきましては、新しく鉱区に手を伸ばしていく道がありますので、そのための拡充資金も要るのじゃないか。こういった拡充資金のために、やはり七、八億の金を一応肯定していいじゃないか。――申し落しました。そのほかに東北船渠の再建という問題もございます。しかしながら、今東北船渠に幾らつぎ込むべきか、あるいは木友に幾ら、福島工場に幾らと、こう具体的にきめる段階でもございません。そういたしますと、新規事業に充て得る金といたしましては、十億ということに相なるわけでございます。これが予算の積算と申していいかと思うのでございますが、必ずしもこの積算通りに実施することにするのが果していいかどうかという問題は、情勢の推移に応じて変更を要するのでございます。私どもといたしましては、既存工場の拡充のための資金でありますとか、こういうものについて、何かほかに節約する方法があれば、こういう金を浮かしまして、できるだけ新規の事業に着手できるようにいたしたい。新規の事業につきましても、いろいろ研究いたしておりますが、まだ具体的に検討いたしておりません。しかしながら、東北地方には全国に珍しい新潟の天然ガス等の資源も持っておりますし、また水産物の漁場にも非常に近い。また広葉樹の資源も非常に多いわけでございまして、こういう事業の中から、資金の許す範囲におきまして、将来有望な事業に着手いたしたいと、事務的にはただいま考えておるわけでございます。具体的にどういう事業をやるかということは、審議会で御研究願うことにいたしております。
  52. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大体の構想が示されたのでありますが、そういたしますと、一応いろいろなものはあげてみてある。そこで採算の面であるとか、地方事情を考慮して、地方公共団体等の関係も調整をした上で、どれを決定するかということは審議会にまかしてある、こういうことなんですか、そういうふうに了解してよろしいですね。
  53. 植田俊雄

    ○植田政府委員 その通りであります。
  54. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、もう一度お伺いしたいのですけれども、今もお話があったように、新潟の天然ガス、これは今非常に優秀なものであり、相当の量があるといわれておるのでありますが、これに対して一体どの程度調査をされておるか。経済企画庁としてはかなり経費を使って御調査になったようでありますが、その調査の結果。もう一つは、さっきちょっと申し上げたように、軽金属で尿素の製造の問題が一応候補に上っているように承わっているのですが、こういうふうな営利会社で、しかも資金の豊富な、ほかからでも融資のできるような会社にさらに融資をするということよりは、むしろ、そうでなくて、特別な資金でなければ開発のできないような事業団体、あるいは地域性というものを重点的に考うべきではないかと考えるのでありますけれども、その点のお考え方はどうでございますか。
  55. 植田俊雄

    ○植田政府委員 経済企画庁は、昭和三十一年度におきまして三百万円の委託調査費をもちまして、天然ガスの調査をいたしました。御承知通り、天然ガスの確定的な埋蔵量を調査いたしますためには、ボーリングを要するわけでございますが、ボーリングは一本おろしますのにも、一千万円かかるようなものでございますので、そういう的確なものはできませんでしたけれども、石油技術協会にお願いいたしまして、露頭調査的なものでございますが、調査をお願いいたしました。ただいま最終的な報告は手元に届いておりませんけれども、新潟県も有望でございますし、また山形県、秋田県におきましても、相当有望なように考えておるわけでございまして、東北の将来に期待される産業の一つとして、天然ガスは砂鉄と並んで指を屈すべきものではないかと考えておる次第であります。  次に、具体的な会社名をおあげになりまして、融資するかしないかというお話でございますが、個々の会社につきましての政府の態度を決定いたしますのはいかがかと存じます。と申しますのは、ただいま尿素工業から融資の申し入れがあるという意味ではございません。その話は私は承知いたしておりません。原則論から申し上げますと、現在天然ガス系統の尿素あるいは硫安製造工場は、コストの点から言いましても、比較的有利な産業でございます。おそらく他の金融機関から融資を受ける道は大きいだろうと思います。従いまして、尿素工業あるいは天然ガスを利用する硫安工業、こういうふうにお考え願わないで、原則論でございますが、開発工業の運用につきましては、他の金融機関から融資が楽にできるものについては、これは対象とすべきでないことは当然のことかと心得ております。
  56. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に、さっき西村委員も指摘されたのでありますが、地方公共団体事業と、開発会社事業との関係、それから各省間の関係、これは具体的に一つ事例でお尋ねするわけでありますが、新潟の信濃川の改修工事というのが行われておる。年々予算が非常に少いので、これは百年河清を待つという文字がその通りに当てはまるような実情です。そこで、この工事は今関屋分水の問題が起っておって運輸省で相当に調査されておるようであります。関屋分水というのは、一方は港の関係があって運輸省の所管、河川改修は建設省の所管、それをいたしますと、上流に二千町歩ほどの農地が造成される、こうなると、今度はこれは農林省の所管、こうなるわけです。こういう関係になりますと、各省間の調整が非常にむずかしいわけです。そこでお互いに、運輸省は運輸省独自に仕事をやろうとする、建設省は建設省独自に考えて、いろいろ計画を進める、農林省は農林省独自にまたそれを考える、こういうことになりますと、その間の調整が非常にむずかしいのです。私は、やはり経済企画庁が中心になって進めないと、事実上促進が非常に困難をすると思うのです。それから、一つは今の県の財政関係から見て、県が中心になって進めるということは、これまた困難性がある。こういう問題こそ――今申し上げたように調査済みでありますが、二千町歩の美田ができる。工場用敷地も二十万坪からのものができる。そうして新潟の港は、対岸貿易の関係等もあって相当重要性がある。これは相当に工場敷地なり、たんぼなりで、採算がとれる事業じゃないか、こういう事業には、相当打ち込んでこれをやるべきではないかと考えておるのでありますが、そうなりますと、しかし各方面にわたりますので、相当な資金需要があるわけであります。そういう場合に、この開発会社地方公共団体と、これが資金面その他において協力をしてやるということができるか、できないか、こういう点を一つ伺っておきたい。
  57. 植田俊雄

    ○植田政府委員 関屋分水の問題は私も承知いたしております。関屋分水につきましていろいろの効果が出るわけでございますが、しかし、関屋分水をやるか、やらぬかの中心になりますものは、新潟港の将来の能力をどう持っていくかという問題と、それから技術的の観点だと思います。私の承知しております範囲におきましては、運輸省におきましてその港湾計画会議でございますか、そういった面での結論か、また出ていないというふうなことも聞いております。従いまして、あれを実施するということを前提といたしましたお話を申し上げるわけには参りませんが、あれかもしも実施される暁におきましては、お話通り各省関連か出て参ろうと思います。そういったときにおいては、経済企画庁は、計画の段階におきましても、実施の段階におきましても、十分調整をとるようにいたしたいと考えております。また、その際におきまして工場敷地造成につきまして、県と開発会社とが協調を要する事態があれば、その際には当然考慮すべき問題かと思います。
  58. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 まだ調査が十分でないというお話でありますが、なるほどいろいろな事情もあるようでありますけれども、根本的には各省がそれぞれなわ張り争いといいますか、そういう気持が非常に濃厚なものですから、促進できない。これは国家的な見地から見て、やはり経済企画庁が中心になって、積極的に推進されなければならない問題であると考えるのでありまして、これは希望的な意見として申し述べておきます。  先ほどのいろいろな巷間伝うるところの問題につきまして、実は欠席がちでありまして、よく承知しなかったわけでありますが、いろいろな業種別について、一応それが素材として上っておるが、結論は審議会にまかせる、こういうお話でございまして、この点は了解をいたしました。それでこの点はこの程度にいたします。  次に通産省の関係で、特に数年来非常に問題になっておった只見開発の問題であります。これは総合的な問題は省略いたしますけれども、例の黒又第一発電所が、御承知のように年度内に完了する見通しが明らかになったわけでありまして、今度は早急に第二工事に着工をお願いしなければならないわけでありまするが、特に第四は単なる発電関係だけでなくて農業用水に回る予定になっておるわけでありまするから、農業用水との関係から見たと寺に、第四を早急に着工していただきませんと、土地改良事業、農地造成の方の計画が一向に進んで参りませんので、この点今どういう状況になっておるか。きょうの新聞を見ますと、具体的な点は電源開発審議会が近く決定をするということでありまするけれでも、現状と、それから事務的に見た見通しを承わりたいと思います。
  59. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 黒又水系開発の問題は、御存じのように只見本流からの今水の問題にからんでおります。分水け奥只見の発電所の堰堤ができませんと、不可能であります。目下奥只見の方の工事を急いでおりますが、まだ奥只見の水利権がおりておりませんの一、従って、黒又川の上流の発電所をいつやるかということについては、実は今的確なお答えはいたしかねるのであります。いずれにしましても、奥只見の堰堤ができなければ、黒又川の発電所というものは十分な意味を持ちませんので、その関係で処理されるものであります。実はわれわれも、できるだけ早く奥只見の水利権を得まして、早く工事を完成するように督励しておりますが、目下の見通しでは、奥只見の発電所の完成は一部にしましても、昭和三十五年の秋、こういうように考えております。
  60. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 さっき私も申し上げたように、具体的に決定するのは、それぞれの決定機関がありますから、それはそこで決定されるでしょう。あなたに今そのはっきりした答弁を求めても無理でしょうけれども、事務的に第二についての着工の見通し、準備の段階、それから特に第四はあれだけ福島県と新潟県が紛争をやって、ようやく調整がついて、そして第四をやらなければ、新潟県側の農地開発の見通しがつかない、そういう状況にあるので、第二並びに第四について、どの程度に準備が進んでおるか、もし隘路があるとすれば、どういうところにあるのか、今のところの段階では、開発審議会としても決定しかねるような状況にあるのか、あるいは今度の年次計画で、資金計画等ができればやれるのか、こういうことを具体的に伺っておきたいと思います。
  61. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 今申し上げましたように、奥只見の水利権が解決しなければ、黒又川の分水並びにそれに伴う発電所の計画はむずかしいということでございます。これは只見問題解決の当時そうなっております。従ってわれわれとしては、早く奥只見の水利権を解決して、奥只見の発電所の完成を急ぎ、同時にまた黒又川の方にも手を伸ばしたい、かように考えております。  石田(宥)委員 この水利権の問題は、やはり通産省が積極的にこれを促進されなければ、なかなか片づかない問題なんです。これはなるほど、いろいろひっかかりもありましょうから、あなたにこれを解決せよと言っても、無理かもしれないけれども、やはり事務的にも解決の方向努力をしてもらわないと、できないことになりますので、十分そういう点を考慮されて、再び紛争が起るということが私どもの心配ですから、そういうことのないように、事務的にも準備態勢を進めていただきたいと思います。
  62. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 間もなく大蔵省が見えますから、このままでしばらくお待ちを願います。――大へんお待たせいたしました。北山愛郎君。
  63. 北山愛郎

    北山委員 大蔵次官にお伺いします。大体御存じだろうと思うのですけれども、この東北開発促進法について、これは東北開発についての画期的な法案でありますが、従って東北や後進地域の関係者はもとより、国民経済の発展のために東北開発をしなければならぬと思っておる者は、大いにこの促進法に期待を持っておるわけであります。ところが、よく内容を見てみると、この促進法というのは、まんじゅうの衣の方だけで、あんこが一つも入っていないような感じがするわけなんです。たとえば促進計画を作るとか、あるいは開発審議会を作るとか、衣の方は多いのですが、肝心かなめの第十二条というのが、あんこになっているわけなんです。これが東北開発促進する財政上の措置になっている。しかるに第二項の文句をよく読んでみると、開発促進計画に基く事業という一つの門があってその中で地方財政再建促進法指定事業という、またもう一つの小さい門があって、その次に、自治庁長官企画庁長官協議できめるもののうちの重要なものについて二割補助を加算する、こういう規定であって、こういう規定では、これは地方財政再建促進法の適用を受けておるよその地域団体と大して変りがないじゃないか、少しもありがたみがないのじゃないか、これじゃ、ほかの地方財政再建団体と、補助率引き上げの上においては、東北の各県は恩典がないというふうにしか見えない。そこで、この点が問題になった。あんこがないと見えたわけなんです。先ほど来、企画庁、それから自治庁にいろいろお伺いしたところが、この重要なものというのは、企画庁長官自治庁長官が相談をしきめる重要な事業、これはまあ別ワク計算でいく、そうすれば初めてこの条項が生きてくるということで、この点については自治庁大蔵省とのお話があって、大体まとまりそうだ、自治庁としては賛成だ、企画庁も賛成だ、こういうことになったわけです。そこで肝心かなめの台所を握っておる大蔵省側の裏づけをしていただきたい。この重要業については別ワク計算にするのだという言明をいただければ、これでこの法案は、若干あんこが入ったのだということがはっきりするわけなんです。それで初めて採決ということになるわけなんです。ごうお話をしておったのですが、この点を明確にお答え願いたい。
  64. 足立篤郎

    ○足立政府委員 あんこの大きさの問題の御質問のようでございますが、せっかく東北開発促進法案というりっぱな法案を通そうという際でございます。あんこはなるべく大きい方がけっこうだと思いますので、大蔵省としても、今お話のように自治庁側とも相談いたしまして、その趣旨を生かすように善処いたしたいと思います。
  65. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これにて東北開発促進法案に対する質疑は終局いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認めます。よって、質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。討論の通告がありますので、順次これを許します。鈴木直人君。
  67. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 私は、自由民主党を代表してただいま提案になっておりまする東北開発促進法案に対して、後に申し上げますが、附帯決議をつけまして賛成の意を表する次第であります。  東北開発は、東北地方に住んでおる者どもの多年の要望でありましたが、今回は国の総合開発という見地から、限られた国土の中で、眠れる資源を持っており、また人口も比較的薄いというところの将来性ある東北に目をつけられまして、この東北地方開発を国の立場から積極的に取り上げられまして、東北開発という点を国策の一環として推進されることになりまして、今回いわゆる東北開発の三法なるものを政府提案として出されたことに対しましては、深く敬意を表するのでありまするけれども、ただいま審議をいたしておりまする東北開発促進法は、その一つとして、なければならない法律でございまするので、私たちは双手をあげて賛意を表しておるような次第であります。  すなわち、この法律内容とする重点は、東北開発の審議会というものを総理府の中に作りまして審議会が慎重な審議を経た結論を総理大臣に答申し、総理大臣はこれに基いて東北開発計画というものを決定するということでございまして、これは単に絵にかいたぼたもちではなく、この法律によって、総理大臣が必ずこの開発計画決定しなければならない法律上の義務を持ったことは、確かに一歩前進であると思います。この開発の計画によりまして、東北開発株式会社によって行うべきものはすべて行い、また北海道東北開発公庫法の恩恵を受けて行うべき事業はすべてそれで行い、さらに国、府県で行うところのものは、東北開発促進法によって実施をするということでありまするから、この内容には、審議会のほかに、国及び都道府県が行うところの事項について書かれているのが要点でございます。これにつきまして、しからば都道府県がこれを実施する場合に、特に再建整備団体となっておる都道府県でありますが、これに対しまして、特別の特例措置を行わなければ、いかに計画をきめましても、実施が財政的に困難であるということから、十二条の特例が行われた次第であります。この特例につきましては、われわれといたしましては、もっと積極的な特例がほしかったと考えます。自由民主党におけるところの東北開発促進特別委員会におきましては、これより以上の財源を地方団体に付与できまして、そうして開発が積極的にできるように立案いたしたのでありましたが、しかしながら、これを実施するところの政府といたしましては、必ずしも国の財政の関係上からも、われわれ自由民主党の東北開発促進特別委員会考え方通りにもできなかったのでありましょう。そういう点から、この中にあんが入っておるか、ないか、あるいは多いか、多くないかという議論も先ほどあったようなことになりましたが、しかしながら、一応こういうところのものがここに規定されまして、そうしてこの推進の第一歩を出発ができるということは、慶賀すべきことであると思います。従いまして、私たちといたしましては、主としてこの十二条に関連しまして、次の附帯決議を付しまして、今後の善処を要望しながら、この法案に賛成の意を表するわけなのであります。  附帯決議案を朗読いたします。  政府は左の諸点について遺憾なきよう措置すべきである。  一、東北開発促進計画に基く事業の実施に当つては、これに必要な地方債は、原則として資金運用部資金、その他の政府資金をもつてこれに充てること。  一、本法が東北開発に関する特別法である趣旨にかんがみ、法第十二条にかかる重要事業決定に当つては、地方財政再建促進特別措置法に基いて政令で定める指定事業は少くとも重要事業と定めること。  一、東北における農業の開発、又は畜産の振興上の必要により、国有林野について売払、貸付又は使用に関し関係県知事の意見の申し出があつたときは、国は国土の保全上支障のない限り、総合的な土地利用の見地から、知事の意見を尊重して国有林野の売払、貸付又は使用について十分配慮すること。  右決議する。  これは附帯決議でありますが、この要旨は読んで字のごとくであります。第一点は、東北開発促進計画におきましては、ほとんど大部分地方債をもってこれを裏づけることができるように、現在の地方財政法第五条に規定されております。しかしながら、この地方債をやる場合においては、これを公募債にするか、あるいは資金運用部資金にするかということは、そのときの資金運用部資金の計画によってきまることでございまするが、この東北開発促進計画に基く計画の実施に当っては、原則として政府資金をもってやってもらいたい、公募債でないようにしてもらいたいというのが第一点であります。  第二点は、この法第十二条にかかるものでありますが、いわゆる再建整備促進法によって、指定事業は現在政令によって百分の百二十の補助を受けておる現状であります。しかしながら、政令でありますから、将来どういうふうになるかわかりませんが、少くとも東北開発におきましては、重要事業決定したものにつきましては、再建整備法の政令の変更いかんにかかわらず、法律でもって百分の百二十を確保するというのが第二項の趣旨でありますので、その点から見ますと、この重要事業というものを、なるたけ多くの分量を決定するようにすべきである。こういうことであります。重要事業の量が多ければ多いほど、法律の裏づけによる百分の百二十の補助の確保ができますので、そういう意味におきまして第二点の決議案を提出するような次第であります。  第三は、東北に特有なところの国有林野であります。この払い下げ、貸付、使用につきましては、国策に沿って決定します。災害とか、あるいは新市町村とか、国有林野法とか、いろいろな法律なり政策によって決定しますけれども、現実において営林署、営林局においてこれをやる場合には、ほとんどその政策通りには行われておりません。現地におきましては、自分の財産であることを考えて、容易にその国策なり法律趣旨を思い切ってやるということが、行われていないという実情であります。従いまして、今後は東北開発という観点から、知事からかくしてもらいたいという意見がありました場合には、その知事の意見を尊重して、売り払い、貸付、使用に関して十分配慮していただきたい、この三点であります。  この附帯決議をつけまして、賛成をいたします。(拍手)
  68. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 石田宥全君。
  69. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 後進地域であります東北開発の問題につきまして、多年にわたって熱望しておりましたこの三法案が提出されまして、その過程において、実は政府、与党の間において、もっと明確な内容を含んだ提案がなされるであろうことを期待いたしておったのでありますが、いよいよ提案された内容を見ますと、その重要部分がいささかばく然といたしておりまして、失望を禁じ得なかったわけであります。しかしながら、この法案審議の過程におきまして、これらの点について、それぞれ関係各大臣並びに政府委員答弁の中にやや明らかになった次第でございますが、これが単に大臣、または政府委員の言明にとどまらず、必ずや明年または明後年において、この審議の過程において言明された事項が実現されることを期待し、本法案について、不十分ではありますけれども、一応第一年度として、その門口をあけたという点において、与党並びに政府の努力に対して感謝申し上げてしかるべきものであろうと考えるのであります。  そういう見地に立ちまして問題は今後に残されているのでありまして一応の道を開いたあとで、内容を盛るか盛らないかということが、今後の問題であります。私どもも、その点については十分督励もし、監視もしなければならない点もあると思うのでありますが、どうかそういう点において、特に所管大臣である経済企画庁長官は、その経過を顧みられて、明年から内容を十分盛られるように一段の御努力をお願いしまして、本法案に対して賛成の討論を行う次第であります。(拍手)
  70. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。東北開発促進法案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  71. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  次に鈴木直人君より提出の、附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。この動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  72. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。  この際附帯決議について政府より発言を求められております。宇田国務大臣
  73. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいま附帯決議として御決議になりました諸点につきましては、関係の各省庁と十分打ち合せをいたしまして、政府としては御趣旨に沿うよう善処いたしたいと存じます。
  74. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 この際お諮りいたします。先刻議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  次会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十四分散会