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1957-04-18 第26回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十八日(木曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 志賀健次郎君    理事 鈴木周次郎君 理事 松澤 雄藏君    理事 竹谷源太郎君       愛知 揆一君    伊藤 郷一君       田中 正巳君    夏堀源三郎君       保科善四郎君    本名  武君       川俣 清音君    北山 愛郎君       西村 力弥君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         国 務 大 臣 宇田 耕一君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (経済企画庁開         発部長)    植田 俊雄君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁長官官         房財政再建課         長)      長野 士郎君         建設事務官         (計画局東北興         業株式会社監理         官)      沢田 一精君     ――――――――――――― 四月十八日  委員林唯義君辞任につき、その補欠として保科  善四郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九七号)  東北開発促進法案内閣提出第一一九号)     ―――――――――――――
  2. 志賀健次郎

    志賀(健)委員長代理 それではこれより会議を開きます。  委員長所用のため、私が委員長の職務を行います。  これより東北開発促進法案及び東北興業株式会社法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。愛知君。
  3. 愛知揆一

    愛知委員 私は、法案提出の前に、総括的に東北開発問題についての宇田大臣の御意見を伺ったわけでございます。法案が出ましてから、だんだん審議も進んで参りまして、相当具体的な問題についての質疑応答が重ねられて参りましたが、今日までの質疑応答を通じて、この際、多少重複するところはあるかもしれませんけれども、東北興業株式会社法の一部改正について、系統的にもう一度お尋ねをいたしたいと思うのであります。  昨日の当委員会における、参考人である東北興業総裁委員との間の質疑応答を伺っておりましても、この法案根本趣旨と、今後の取扱いについて、もう少しはっきり明確にしておきたいと思う点が出て参ったように思いますので、それらをもあわせてお尋ねいたしたいと思います。まず、そのうちの人事機構の問題でございますが、改正案の第八条におきまして、「総裁及副総裁ハ内閣総理大臣ヲ命ジ其ノ他の理事及監事ハ株主ヨリ株主総会於テ候補者選挙シ内閣総理大臣其ノ中ヨリ之ヲ命ズ」それから「理事任期ハ四年監事任期八二年トス」こういう改正案になっておるわけでございます。これに対して現行法は「総裁及副総裁ハ政府ヲ命ジ其任期ヲ五年トス」それからその次に理事並びに監事の規定があるわけでございます。これで見ますると、東北開発株式会社というものは、その最高主宰者であるところの役員についても、改正案の規定するところは、現行法とは根本的に私は異なっておると思うのであります。その点は、私どももまことにけっこうなことだと思うのであります。すなわち、申すまでもございませんが、たとえば現行法においては、総裁、副総裁というものは、理事のほかに、政府がこれを命ずることになっております。また任期は五年となっております。これが改正案においては「総裁及副総裁ハ内閣総理大臣ヲ命ジ」となっておりますが、この総裁及び副総裁というものは第六条において、理事の中で一人を総裁、一人を副総裁、こういう構成にしておることも、現行法とは異なっておるわけでございます。従って、こういう改正法律案条文にもはっきり現われておるように、人事についていえば、当然にこれは新会社においては抜本的に変更するというか、任命がえがある、こういうことになることは、当然であると思うのであります。前にも申し上げましたように、この東北開発会社が、東北民期待並びに国策として脚光を浴びて誕生するからには、何といっても、これは、それを運営する人が大切であるということを申し上げて、御同意を得たと思うのでありますが、この法律案が提案されて、今指摘いたしましたような構成になっておるからには、もちろん全部の人事について事宜に即するようにやられるものと思うのでありますけれども、念のためにこの点を明確にいたしておきたいと思うのであります。
  4. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいまお話がありましたように、法律条文は前の条文と表現の仕方が変っております。また任命の権限が明らかに総理大臣と表現されておりまして、従来と、そういう点でもはっきり違えてある点等を見ますると、ただいま申されましたような趣旨と私は解釈いたします。ただ、人事につきましては、どういうふうな構想でいくべきかということ等につきましては、具体的に申し上げるまでに検討はいたしておりませんが、本来の趣旨は、そういうものと考えております。
  5. 愛知揆一

    愛知委員 その点は、本来の趣旨並びに法律案内容からして当然のことだと思うのでありますから、従って具体的にも、政府として、さような方針によって、具体的な措置をとらるべきであると私は思います。また、そういうおつもりであると思うのでありますが、重ねてその点を明確にしていただきたい。
  6. 宇田耕一

    宇田国務大臣 条文の変更に伴いまして、どういう人事を行うべきかということにつきましては、なおよく考えて、それぞれの関係個所がありますから、よくその趣旨を説明して、総理大臣考えをまとめていただきたいと思います。
  7. 愛知揆一

    愛知委員 私は、抽象的に申し上げたのでありますが、要するに、現陣容で続けるということであれば、この改正法律案趣旨に全く沿わないことでもあるし、また本件について非常な期待を持っておる国民期待を裏切ることになり、この点が重大であると思うのであります。その点は、今の御答弁に含蓄がなかなかあるようでございますが、私の申し上げるような趣旨であるということを、さらに具体的に明確にしていただきたい。
  8. 宇田耕一

    宇田国務大臣 人事のことでありまして、非常にデリケートな内容でありますから、法の趣旨に沿うように、できるだけ努力をし、善処をしていくべきものと考えております。
  9. 愛知揆一

    愛知委員 その点は、所管の大臣であられる宇田さんとしては、もっと積極的に、明確に、この際意思を表示していただきたいと思うのでありますが。どうぞさようにお願いをいたしたいと思います。  それからその次に、これもしばしば質疑応答の中に出で参ったことでありますが、東北開発株式会社としては、やはりいろいろの計画をされる場合に、地元の、いわば地方側意見というものを十分に取り入れて、事業計画の中に反映せしめるということが、きわめて当然の措置と思うのであります。この新発足の会社については、たとえばこの会社運営についての審議委員会というようなものを作ることも、当初考えられたようでありますが、この地方側意見を十分に取り入れて、事業計画の中に反映させるということについては、どういうふうな方法でお考えになっておりますか。この点も、念のため、もう一度明確にしておきたいと思います。
  10. 宇田耕一

    宇田国務大臣 原則としては、やはり新しい理事に、地方側との関係を深くするよう指示を与えていかなければならぬと思っておりますが、特に東北開発の中で、経済開発の面のほかに、今回は、産業立地条件を整備すべしということが内容に盛られておりますので、そういう点から見ますと、当然新たに設置されます審議会審議の重要な項目に触れて参りまするから、そういう意味で、審議会構成あるいは審議会審議、それに基く計画等は、当然この会社の定款の一部分とは重要な関連が起ると思っております。従って、行政庁といたしましては、審議会の協議に特に付さねばならぬ事項が、会社運営上の問題についても起るということを予想いたしております。従って、東北各県の意見を十分に反映するような、審議会というものは性格を備えるべきだというふうに思っております。そういうことの人選等につきまして、ただいま御質問にありましたような問題点については、十分人事の面で交流をはかり、根本方針を立てていくべきだ、こういうふうに考えております。
  11. 愛知揆一

    愛知委員 大体御趣旨はわかりましたが、その点で関連して伺いたいと思いますのは、東北開発促進法との関係であります。従来の国土総合開発法関係で、全国総合開発計画地方総合開発計画都道府県総合開発計画、さらに特定地域総合開発計画というようなものがあるわけでありますが、これと東北開発促進計画との関係は、どういうふうに策定され、またどういう関連運営されるのでありますか。この点も、従来論議が若干あった点でございますが、この際明確にされたいと思うのであります。
  12. 宇田耕一

    宇田国務大臣 資源開発に関しましては、やはり総合的な、全国的な案を当然中心にして、地区総合開発に対して、かなり長期にわたって開発し得るということを、国全部の責任において企画しておくという裏づけを持たねばならぬと思っております。従来の欠点は、全国的な総合開発計画がない関係で、地方後進性の多いところの開発を、いつもしわ寄せて犠牲にしていく。予算が途中から削られて、なくなって、事実上は、何も元と変りはないというような、国費の乱費の結果に陥るということもありますから、そういう意味で、われわれは、国土総合開発計画を持って、長期にわたって国が責任を負って、地方に、そのときの財政等状況によって、せっかくの開発が中途から消えてなくなるということのないようにいたさなければならぬと思っております。また、地区開発、府県の立案するもの等がありますが、とかくそういうものは、行政区画別に立案をした場合に非力である、あるいは国の基本法が、必ずしも二県、三県等にまたがって解決し得るような内容を持っておらない場合もありますが、たとえば水利権等問題等考えてみても、東北の重要な電源開発のためには、何県かが連合して開発をはからなければならぬという問題がずいぶん多いように見受けます。従って、地区開発東北開発促進を阻害しないように、そうして地区開発計画というものが、促進のために役立つように、促進内容になるように、持っていかねばならぬと考えております。そうして、相関連をしたそれぞれの内容に食い違いのないようなものを、今年中にとりあえず、少くとも草案でも作り上げていくべきであると思って、今整理をさしております。
  13. 愛知揆一

    愛知委員 従来の全体的な国土総合開発計画といいますか、これと東北開発計画との関連について、今お話のような点は理解ができるのでありますが、それについて、私は前に総理大臣に伺ったわけでありますけれども、地域的な総合計画をやる場合には、これを取りまとめて、政府部内でも計画をし、推進をする機構がどうしても必要ではないかと考えておるのであります。そういう点から、東北開発庁という問題をわれわれとしてはまず第一に取り上げたわけでありますが、今回の政府のお考えでは、経済企画庁開発部の中に、さしあたり東北開発室を置くということになっておるようであります。これは政府部内の機構の問題でありますが、せめて、私は経済企画庁の中に、こういう機構を置くに際しても、長官直属で――総合的な全体の国土総合開発計画との関連、あるいは経済自立五カ年計画とのさらに関連というような大きな観点から申しますと、むしろ長官直属ということで、東北開発をする機構を作っていただきたかったと思うのでありますが、その辺のところはどういうふうにお考えになっておるのでありますか。
  14. 宇田耕一

    宇田国務大臣 私はその点につきましては、根本的には、やはり内外の経済情勢の変化に伴いまして、行政単位がただいまの県単位では、経済環境に合わない時代がだんだん近づきつつあるのではないかと思われますので、そういう意味から言いますと、地方行政自治体機構ないし規模というものは、将来どうしてもこれを考え直きなければならない時期がくるのではないかとも思っております。従って、東北開発関係する七県につきましては、むしろ、ただいまお話がありましたように、これは一つの団体として、これを専属として取り扱うところのできる政府機関がなければならないし、またあるべきである、そう思います。北海道開発庁のごとく東北開発に関する責任行政機構というのは、これは当然考えられなければならない、こういうふうに思っております。従って、東北開発に関する行政機構経済企画庁の中に置くというのは、これは過渡期の処置ではないかと思っております。そこで、地域的な総合計画を立てます場合に、国土全般にわたる総合計画は、経済企画庁で本来総合して、勘案して作るものでありましょうけれども、北海道開発のごとく、東北も独立した責任の持てる行政体系の中にあって、東北開発推進年次計画に従って持っていけるような責任官庁はあるべきだ、こういうふうに思っております。
  15. 愛知揆一

    愛知委員 お話通り、これはあくまで過渡的な措置である、こういうふうに私も考えますので、将来大いに発展的にこの点は考えていただきたいと思います。しかし、同時に私が特に長官お願いいたしますのは、今回のこの東北総合開発が、これから具体的にうまくいくかどうか、国民期待にこたえ得るかどうかということについては、やはり担当の大臣であられる宇田企画庁長官におかれて、特に先ほど申しましたように、この東北開発室機構も、常識的にいえば長官直属で、そうして長官としては暫定的なこの機構であるけれども、大きな一つ東北開発についての窓口であり、同時に東北開発関係のことは、自分が第一線に立って指揮をされ、大いに熱を入れていただくというような意気込みで、ぜひこの機構運営していただきたい。この点は特に私はお願いをいたしておきます。  次に、先ほどの開発会社の問題に返りまして、昨日もだいぶん質疑応答があったわけでありますが、この際明確にいたしておきたいと思いますのは、第十条に本会社業務が規定され、その点が今回の改正案においても相当の修正を加えられたわけであります。要するに、この会社は特殊の会社であって、その資金調達等については、特に政府の出資、あるいは社債の元利保証というような、非常な恩典というか、特権があるわけであります。従って、純粋民間会社とは、おのずからその運営の心がまえも違うし、また業務の態様も、純粋民間会社とは相当異なった面がここに現われてこなければならない。いわば公団的な色彩を相当強くして運営されてしかるべきものだと私は思うのであります。ただ、しかしながら前にも長官の言われておるように、ともかく特殊会社である、政府の庇護の多いものである、けれども、公団ではない、あるいは公共事業ではない、従って、この経営の収支ということを考えなければならぬということを言っておられるわけでございますが、その考え方というものは、申すまでもなく特殊の民間事業とは異なるのであって、かなり長い目で見て、民間事業経営としては負担し切れないような危険といいますか、そういう可能性の見通しが若干あるような場合であっても、長い目で見れば、最終的にペイするであろうというところぐらいまでのところは、相当思い切った気持が私は必要じゃないかと思うのであります。その点が明確でありませんと、昨日もある委員から御質疑があったように、これは何にもできないじゃないかというような危惧の念が起って参ります。また、さりとて、昨日、現在の東興の総裁がるる説明されておりましたが、たとえばセメント事業だけに熱を上げるということであるなら、これは純粋民間会社でもやれることであるし、またやるべきことである。そうすると、民間事業とのかえって競合という場合も起ってくるというか、危惧の念を持たれるわけで、なかなかむずかしいところでありますが、その中間的なところで、円滑な運営ということを考えていただかなければならぬと思うのでありまして、その点が今までの質疑応答の経過においては、やや明確さを欠いておるような感じがいたしますので、その点を重ねてお伺いいたしたいと思います。
  16. 宇田耕一

    宇田国務大臣 今回の法律改正に加えられた中に、「産業立地条件整備スル必要ナル施設二関スル事業」というのがあります。それで、新しく加えられましたごの条文の目的を考えましても、東北開発株式会社性格というものは、普通の一般株式会社とは性格が異なるものであるということは、これでもわかるわけでありますが、ただいま御指摘がありましたように、二十五億の新しく投入されてきます資本、及び資本構成内容を見ますると、政府が金利その他について責任を持ち得るような資本も入って参りまするから、当然そういう資本構成内容から見ましても、この会社の持つ性格というものは、多分に公共性を持っておるというこは、これはお説の通り考えております。ただ、ただいまの御指摘にありましたように、公共的性格を持って事業を選んで遂行する場合に、既存の行政体公共事業と、これがむしろ補完作用のできるような運営をどうしてはかるかということが、非常に重要な問題の一つ。またもう一つは、現在まで東北興業株式会社運営して参りました事業の中で、むしろこれは民間経営をするのが適当でなかろうか、また現在の株式界状況を見てみても、民間の方が、むしろ活発に資本一般大衆から吸収する力があるのではなかろうかというような事業もあるように思われます。従って、会社運営につきましては、必ずしも従来の方式を踏襲しなくてはならないものであるとは考えられません。  ただ東北興業の一番の弱点はどこにあるかと申しますると、資金の面というよりも、私は人事の面だろう、こう思います。人事の面とはどういうことかというと、自分たち経験で言いますと、セメントであるとか、あるいは造船工業であるとか、あるいはカーバイド工業であるとか、それぞれが非常なエキスパートがおって、相当長期にわたって、その実力をその会社の中に加えてもらわなければならないものであります。金で事業ができるということは、ほとんどこれはあり得ないことであって、いかに政府が金を出したところで、事業は別問題で、結局は人間、適任者をそこに得るか、得られないかということによって、いつも決定するわけでありまして、そういう面から見ますると、全部を自分傘下に入れて、そうして理事七名でもって、セメントもやる、造船もやる、カーバイドもやる、こういうふうになれば、それは不可能だと思います。ただそれをホールディング・カンパニーみたいな会社にして、非常に優秀なエキスパートを求め得た場合には、この会社というものの性格をうまく活用できる面も出てくるかと思います。要は会社機構あるいは傘下に集まるところの子会社人事、それが十二分に手腕を発揮し得るように工夫できるか、できないか、金よりもやはり人事組織構成の問題でないかというふうに思います。そういう点につきましては、今御指摘になった点は、私たちほんとうにこれは大事に考えていかなければならぬ点ばかりなのでありますから、この点につきましては、なお今後ともにそういう点は御注意をいただけたら、けっこうだと考えます。
  17. 愛知揆一

    愛知委員 ただいま大へんはっきりした御説明をいただいて、大いに意を強うしたわけでありますが、結局冒頭から申し上げておりますように・大臣の御説の通りだと思うのでありまして、ことにこういう非常にむずかしい、新しい感覚を背景にする特殊の会社でございますから、この会社並びに傘下子会社等になるところの機構人事というものが、結局これの中心の課題であると思うのであります。たとえば、昨日もお話が出ておりましたが、当面まっ先に取り上げなければならない東北ブロック再建の問題につきましても、私は、これはこの会社が直営することも考えられましょうし、あるいは委託経営することも考えられましょう、あるいはまた、子会社を設立してやる方が非常に能率的であるというふうな点も考えられると思いますが、それらの方式、あるいは斯界の一流の権威のあり、経験のあるところとどういうふうにタイ・アップし、技術的、資本的にどういうふうな連携方式で協力を仰ぐかというようなことについても、これはほんとう経験の豊かな、見識の高い東北開発株式会社の新総裁という人が中心になってこれを切り開いていかなければ、とうていこれは進むことはできないと思うのであります。一つぜひ今のようなお考えでこの会社を指導し、さらにこの会社運営関連する諸問題について御努力お願いいたしたいと存ずるわけでございます。  大体私が総括的に、最後的に、明確にしておきたいと思いますことは、以上で尽きたと思うのであります。なお若干のこまかい条文的に問題になりまするような点については、別に政府委員に対して後刻質疑をすることにいたしまして、私の長官に対する質疑はこれをもって全部終了いたしました。
  18. 志賀健次郎

    志賀(健)委員長代理 保科君。
  19. 保科善四郎

    保科委員 私、長官にこの東北開発に関する全般の問題について、若干御質問をいたしたいと思います。  従来の同僚委員質問や、あるいは長官の御答弁によって、だいぶ私の質問しようとするところは明瞭になった点もございますが、実は私は、東北局時代東北局の顧問をやっておりまして、東北開発の問題については、相当これに関係を持って参ったものであります。それで、その観点から見まして、従来どうも東北開発なり、東北のいろいろな事業というものは成功しない、という理由は、いろいろありますが、結局は、政府ほんとう本腰を入れなかったところに、私は大きい原因があったと思います。御承知のごとく東北後進地域でありまして、諸般の産業的立地条件が非常に不利な状況にあります。こういう状況にあるにもかかわらず、東北には幾多の物的資源があり、また忍耐力の強い東北人という豊富な人的資源がある。これらの両方の資源を、最も適切に国家経済発展に貢献さすということのためには、政府がどうしても本腰を入れてこれをやらなければいかぬ。これができなかったために、今まで私は成功を見ていなかったと思うわけであります。こういう観点から、今回政府がこういうようないろいろな施策をやって、そうして東北開発全般的に乗り出そうという決意をされたことについては、私は国家のためにきわめて同慶の至りに考えておるのであります。しかし、今申し上げましたように、非常に過去に苦い経験を持っておるわれわれ東北人といたしましては、ほんとうにどういうような基本的施策と熱意を持って政府がこの東北開発事業推進せんとしておるかということを、はっきりと長官からもう一度お伺いいたしたいと思います。
  20. 宇田耕一

    宇田国務大臣 過去の歴史から見ますると、東北開発はいつも途中で挫折をしておる。それはただいまお話がありましたように、政府責任を持って、長期にわたって計画的にこれに関与していくという配慮が薄かったからと考えます。われわれは、こういう東北開発促進のようなものは、なかなか短時日に仕上げにくい内容であって、しかも非常にじみな、これは問題と思われます。それで株式会社だけを見てみましても、まずただいま手塩にかけておる問題だけを拝見をしましても、十年はかかるな、こういうふうに直感をされる事業が多うございます。従って、一事業だけを考えてみても、少くとも自分の半生を傾倒する腹でもって取りかかっても、十年はかかるであろう、セメント一つ見たって私は大いにそう思われます。従って、ほんとうに能率の上る経営をするためには、株式会社だけでも、それだけの年数と、非常最高のスタッフをここに求めてくるということでなければ、東北地方はうまくいかずに、またつぶれてしまうであろう、こういうふうに思われますから、それの背後におって十分にめんどうを見るために、審議会は非常な責任の持てる、そうして実行力のある方々によって編成をしていただいて、むしろ、しょっちゅう東北に行って、東北の現場でよく話し合いをして、そうして帰ってきて審議にも当るというような方々でなければ、私はいかないのではないかと思います。むしろアメリカのTVAのような、少い人数であっても、専属にそれだけに取りかかって、そうして自分の半生をそれに傾けていくという方々で、中央の官庁の中心におる人にも働きかける、これは、そういう性格の人がほんとうは必要なのである、こういうふうに思われます。従って、過渡的便法といたしまして、企画庁の内部に東北室を置きますけれども、こういうことで、非常に無責任な、極端にいえば、ごまかしのような、だれが責任をとっていくのか、わからぬようなことに終るようなおそれがあってはいけませんから、少くとも来たる年度におきましては、これはもっと行政的にも責任中心を明確にするように、そして東北開発促進というようなものは、国としても長期にわたってこれを行う責任体制を持っていくべきものでありますから、北海道開発庁があるのに、東北開発庁はなくてもいいというようなことではこれは話にならぬ、こういうふうに思います。
  21. 保科善四郎

    保科委員 ただいま長官の御答弁によりまして、中央に責任ある官庁を置いて、そしてその人的構成をりっぱにやって、ほんとうにまじめにこの問題と取り組んでいくことが必要であるという御決心を伺いまして、まことに心強く感ずる次第でございます。どうぞそういうような方針によって、すみやかにそういうことができるように、この上とも御尽力をお願いいたしたいと思います。  先ほど来同僚の愛知委員からも御質問があり、昨日もまた同僚の委員から御質問があって、長官の御答弁もあったのでありますが、この中央の官庁と関連をいたしまして、やはりこの事業体としてやる東北開発会社の人的構成というものが、非常に重要なる要素になると思います。先ほど来非常に強い、また適切なる御意見がありましたが、私、従来この問題を見ておりまして痛切に感じておりますことは、東北開発会社の主要なる人事というものは、どうしても東北に骨を埋めるというような決心を持って、そうして仕事のほんとうにできる、活動力のある実業人をこれにあてる。今までのように、官僚のやめた者が行って、腰かけ的にやっているというようなことでは、絶対にこの大事業に取り組んで――これをかりに中央の機構が整い、人的構成が整いましても、私は今までのような失敗を繰り返すんじゃないかということをおそれておる考でありますから、どうぞそういう点についても、長官責任者として特段の御考慮をお願いいたしたいと思います。  次に東北には、特に宮城県には苦竹の元陸軍工廠とか、あるいは多賀城の元海軍工廠とか、あるいは船岡の元海軍火薬廠のようなものが、利用されずにそのまま相当の施設が残っております。電気の施設もあり、あるいは引込線も入っておるし、水道の設備もある。これを今からやるとすれば、数百億の金がかかる、こういうものが未利用のまま残っておるのであります。これはどうしても私は東北開発、ことに産業再建上特別にこれは利用をして、そして東北の産業発展のために善用すべきだと考えておるのでありますが、これに対する長官の御意見を伺いたいと思います。
  22. 宇田耕一

    宇田国務大臣 船岡とか多賀城とか、その他の国有土地については報告は受けております。われわれが今新しい工業を起そうとする場合に、一番困るのは実は土地の問題でありまして、土地の問題が解決をできるということは、立地条件からいうと、非常に大きな前提の問題であります。その点につきまして、なおそのほかに、ただいま御指摘がありましたような、いろいろの水の施設であるとか、当然工業を起す場合の費用の問題、あるいは動力の導入の問題とか、いろいろの基本の問題もそこに含まれて解決ができるという条件がありますから、これは企業家としてはずいぶん魅力のある、そして内容を検討して非常に有利な態勢を持っておりますから、その点については、積極的にこれは取り組まなければならぬと思います。ただ土地が広いのでありまして、土地の広いことにふさわしい企業というものは、それ独特のものがありますから、それを一つ考えなければならぬ。それからまた、われわれがただいま科学技術庁で考えて、どうしても伸ばさなければならないと思っておることは、いろいろありますが、特に東北におきましては、何といっても東北の実力の一つの重要な点は東北大学であります。東北大学の研究室の持つ世界的な権威というものがありますし、あの講座の中、あの研究室の中に、われわれは新しい企業を、どうしてもこれとコンビになってやってもらわなければならぬものがあると思っております。それで、最近皆さんのお手元へ資料を差し上げようと思って、整理をさしてありますのは、原子力関係のウランとかトリウムの東北における資源の分布状況、それを調べました分析表等を皆さんに一つ見ていただきまして、新しい工業と、新しい学問の中心地というものと組み合いまして、そうしてこういうような国の大事な土地、施設――そういうふうに、どうしても国家として解決していかなければならないが、土地が足りない、あるいは学問的なアドヴァイスをもらう環境がないというようなほかの地区に比べて、非常に環境が整備されておるところでありますから、そういう点につきましては、科学的にも技術的にも研究を進めさせて、一部分解決しそうな点もありますけれども、当然これは東北興業等が新しく発足する場合に、民間ではやり得ないが、国家的見地から、この会社期待するのが非常にふさわしいものであるというような点もあるように思われますから、あわせてよく審議会等に諮って、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  23. 保科善四郎

    保科委員 大へん力強い御答弁をいただきまして、どうぞそういうような方針で、強力に推進をされることを希望いたします。  次は、先ほども問題になっておりましたが、東北船渠の再建の問題であります。これは東北興業会社が、結局仕事のやり方がまずかったために、今もって開店休業、全く失業状態にあるわけであります。この東北開発会社が第一にこの問題を取り上げるというように聞いております。先ほど長官からも大体の構想は申されましたが、これは東北で唯一のドライ・ドックを持っておる造船会社であります。あれだけの場所にあって、そうしてあれだけの設備を持っておってこれが遊休の状態にあるというのは、まことに無能きわまる今までの経営ぶりのために、こういうようになったのであります。これはすみやかにこの問題を取り上げて、実際適当なる造船会社等の助力を得て、そうしてぜひこういう問題を早く有効に――ずいぶん失敗の歴史を持っており、どこが悪いかということも、はっきりわかっておるのでありますから、どうぞすみやかにこれはりっぱに成就できるように取り上げていただきたいと思うのでありますが、なおこの問題に対する若干の構想を、もう一回お伺いいたしたいと思います。
  24. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ドック会社で、しかもドライ・ドックであって、二千トンないし三千トン・クラスまでのものが補修ないし新造できる能力があるといいますから、東南アジアないし隣接諸国との貿易ないし向うの希望に沿う船舶輸出を考えてみましても、これは非常な価値のある事業内容のように思います。ただ御承知のように、船に関しましては、何といたしましても、鋼材を適当の機会にいつでも入手できるということでないと、ストックのためにいつも金利に食われて、船会社というものは失敗を繰り返していきますから、そういう意味から申しまして、こういうふうな二千トンそごそこの程度のものの経営ということになると、経営能率から言いますと、非常にむずかしい経営体であります。むしろ鋼材の入手を容易ならしめること、あるいは鋼材の入手のために、途中で非常に問屋その他に食われて、経営そのもののほんとうの充実すべき内容は、ほかに吸い上げられてしまうということになるおそれがありますから、ドックの経営というものは、もっと総合的な立場でこれを勘案をしていかなければならないものだろう、今まで自分経営した経験から申しますと、ドックはいつもそこに隘路が生まれてくるように思います。東北船渠の持ついろいろな長所もありますから、この長所をどういうふうに生かしていくかということにつきましては、およそこれは専門家から見れば、非常に案は立てやすいものと思っております。そういうわけで、これの運営くらいのことで、そんなに行き詰まるということになったのが、むしろ不思議なところもあります。ただ、しかし、国の環境が終戦後のどさくさがありましたし、また鋼材炉その他を入手するための関連産業との連関がうまくいかなかった点もあるかと思いますから、そういう点につきましては、なおよく調査をさせまして、ただいま御指摘になったような、この独特の長所を生かして、今まで投下してある資本を活用できるように、そうしてこれを眠らさないように、積極的に稼働する方針をすみやかに立てなければならぬ、こういうふう一に思っております。
  25. 保科善四郎

    保科委員 大体の構想は、長官の構想を承わりまして、まあそうだと思います。実はあの工場は、かつて海軍が管理工場として相当経営した経験のある工場であります。ただ問題の焦点は、もちろんあの人的構成が悪かったということもありますが、民間会社では、前面の浚渫に相当の金がかかりまして、なかなかできないということも一つの原因になっております。今度港湾計画で、あの前面を浚渫するようになっておりますが、そういう政府施策と相待って、今長官の言われましたような構想を実現すれば、必ずこれは、あの方面に対する最も有力なる造船として発展することは疑いないと思います。どうぞそういうような面において政府も十分なる協力をいたしまして、港湾並びに前面の濃淡等もお考え下さって、すみやかにりっぱな経営ができるようにしていただきたいと考えます。  次には、開発促進法につきまして若干の点について御質疑をいたしたいと思います。第一は、開発促進法の効率補助の規定でありますが、これはあくまでも指定事業に限られてはおりません。審議会で決定をいたしましたその他の重要事業、たとえば農業関係の補助事業、テンサイ、酪農、商工関係の中小企業の指導補助、蚕業、こういうものに対しては、地財法による政令を改正して、指定事業に加えると思うのでありますが、これに対する長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  26. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいま申されました指定事業関係の範囲は、施行令に定められておりますが、どのような事業を指定事業にするかにつきましては、なお範囲をどういうふうに拡大して、どういうものを指定するかということは、今ここで直ちにどれこれと申し上げることはできませんけれども、当然そういう趣旨に沿いまして、審議会の中で十分検討していただきたいと、こういうふうに考えております。
  27. 保科善四郎

    保科委員 次は、この法律を行います結果、地財法に基く指定事業の分量とか、補助率は逓減されるおそれが十分ありますが、これに対するお考えを伺いたいと思います。これは事務当局からでもけっこうでございます。
  28. 小林與三次

    ○小林(與)政府委員 地財法の問題でございますから、私の方からお答えさしていただきたいと思います。  地財法に基きまして、現行法では、御承知の通り政令で指定事業につきましては百分の百二十に負担割合を上げる、こういう建前に現在なっております。それで、この政令の扱いをどうするかということは、実は政府部内でもいろいろ議論がございます。今お話通り、わざわざ特別法に基きまして、指定事業のうち、特定の事業についてだけ百分の百二十とする、こういうふうに立法化すれば、向うの方を一般的に下げるという前提ではないか、こういう議論がもう当然に出てくるだろうと思います。自治庁といたしましても、いろいろこの条文につきまして考えはあったわけであります。地財法一般の問題につきましては、われわれといたしましては、要するに再建団体につきましても、できるだけ公共事業をやってやって、再建の基盤を固めていく必要がある。非再建団体より不利な扱いをしては、再建団体はいよいよ貧乏になる、こういう基本的な考え方を自治庁として持っております。ところが、公共事業費というものは、毎年々々予算とともにふえていきます。ふえていきます以上は、再建団体でも仕事をふやすべきではないか。しかし、ふやすにいたしましても、金が実際は足りない、そうしてある程度効率補助の範囲も当然ふやさなければいかぬ、そういうことで、一応現行法もこうなっておりまして、三十二年度の事実をどうするかということを今大蔵省と折衝中でございますが、われわれといたしましては、ことしは去年から見ると、公共事業は二、三〇%ふえておりますから、その割合で、少くとも指定事業のワクも当然にふやさぬといかぬ。ふやすとすれば、できるだけ効率補助の割合も多くしなければいかぬというのが、基本的な考え方でございます。ただ指定事業――今の建前はちょっと妙なことでございまして一応自治庁が定める額までが百分の百二十ですが、それより少しでも仕事をやると、とたんに全部補助率が普通の補助率という建前に実はなっておるわけなのです。でございますから、それぞれの県で余力があって仕事をやりたいといいましても、やろうとしたら、元の補助率に、全部御破算になってしまいますので、やれない、そこに現在の指定事業制度の一つの欠陥と見てよいものがあるのでございまして、私はぜひこれをこの際変えたい。そこで、ある程度までは百分の百二十をやる、その上は、仕事はできるだけやらせる、そのかわり、補助率を、場合によっては逓減をする、あるいは普通の補助率にする、そういうことで政令を変えたいというので、実は今大蔵省と話し合いを進めておるわけなのでございます。  それでございますから、この法律の結果、当然にそうするというのじゃなしに、全体の再建団体の指定事業というものを、できるだけ合理的にやらせるという前提で、そういう問題を考えたいのであります。全然この問題と別問題で、指定事業制度としてその問題を考える、その点はこの法律立案のときにも、関係省においてそういうはっきりとした了解で進もうじゃないか。ただし、これは具体の問題になりますと、ワクをどこできめるかということが現実論になりまして、その具体のワクとのからみ合いで、いろいろ事柄が複雑になってきます。その数字の決着を見ぬことには、どれだけ意味があるかという議論はあろうと思いますが、自治庁といたしましては、再建団体についても補助が一般に伸びる以上は、仕事を伸ばしてやる、伸ばす限度は当然に百分の百二十にしてやりたい。それから、さらにある程度逓減なり、なお普通の補助率でやるワクをきめたいという考え方で、折衝いたしておるわけでございます。
  29. 保科善四郎

    保科委員 大体御趣旨がわかりましたが、できるだけ逓減されないように、一つ努力お願いいたしたいと思います。  次に、もう一つ伺いたいのでありますが、公共事業、補助事業以外の公企業についてであります。特に鉄道、電源の開発事業、こういうものに対する予算措置と金融の措置とをどういうようにお考えになっておるか、お伺いいたしたいと思います。
  30. 植田俊雄

    ○植田政府委員 国鉄につきましては、今回の料金値上げその他によりまして、国鉄の財政も好転いたしております。東北の未成線につきましては、相当程度建設を考えておるようでございます。先日建設審議会におきましても、たしか二線であったかと思いますが、決定したということを承わっております。電源開発につきましては、東北の立地条件といたしまして、従来最も有利でございましたのは、電力が豊富低廉であった点でございます。この点につきましては、電力政策の問題でございますが、また企画庁におきましても、電源開発調整審議会を通じまして、電力行政にも相当タッチしているようでございますので、私ども常に関係の方と連絡をとりまして、東北電源開発促進せられますように努力して参りたいと考えておるわけでございます。電力につきましては、ただいまのところ、具体的に開発銀行の資金の配分がまだきまっておりませんので、私ども努力いたすというだけで、まだ決定金額を申すまでに至っておりません。
  31. 保科善四郎

    保科委員 ちょうど大蔵大臣もおいでになりましたから、東北興業の問題でちょっとお伺いしたい。北海道東北開発公庫法は、東北開発資金を運用されることになると思いますが、この資金の運用につきまして、これを公明正大、かつ適切に東北事業が伸びるようにするためには、何か適切なる機関、審議会みたいなものをお作りになって、こういうところに暗い影が出るようなことのないようにするということは、東北開発上非常に重要なことだと思います。そういうようなことで、大蔵大臣が公庫の運用について何か御考慮になっておられる点があれば、お伺いいたしたいと思います。
  32. 池田勇人

    ○池田国務大臣 資金の運用につきまして、審議会その他機関を設けるという考え方もございますが、実際の金融の面につきましては、船頭多くして船山に上るというふうなことがありがちなんです。私はそういうことをせずに、やはり責任のある当事者が、自分の所信によってやる。そしてまた、これは政府機関でございますから、政府の方で適当に指導していくということが、かえって能率が上るんじゃないかという気がいたしましたので、一時そういうことがございましたが、大蔵当局としては、金の使い方について審議会を置くということは、よくない。やはり責任者に自分責任でやってもらう。これを政府が監督した方がうまくいくんじゃないかという結論に達しまして、置かないことにしておるのでございます。
  33. 保科善四郎

    保科委員 これで私の質問を終ります。
  34. 志賀健次郎

    志賀(健)委員長代理 川俣君。
  35. 川俣清音

    ○川俣委員 この際大蔵大臣に数点お尋ねいたしたい。第一は予算編成の上から、この予算が最も効率的な成果をおさめるように予算配分をきれることが、大蔵省の常に頭を悩ましておられるところだろうと思うのです。ところが一面、その予算の公平な配分ということで――これは国民経済の上から、そういう議論が出てくることもまた当然なことだとはいいながら、公平な配分ということで、予算の効率化というよりも、公平、という方向にいく場合も、政治的な情勢であり得ると思うのです。そこで、国土総合開発の上から予算の効率的な配分を行うという趣旨で、国土総合開発法ができたと私は理解をいたしております。ところがその反面に、大臣御承知の通り、離島振興法があり、特殊土じよう地帯災害防除法というのがあり、また北海道開発法があり、東北開発促進法案があるというわけで、これらの法律は、予算の公平な分配というよりも、ややぶんどり主義的な方向を示唆しておるものだと私は見る。国の予算の効率的な面で、これがうまくいっておりますならば、あえてこういう特殊立法が出てくる必要はないんじゃないか。むしろ今日の段階では、こういう特殊立法の整理のときに当っておるのではないか、総合性を持つように整理さるべきじゃないかと思うのだが、この点、大臣いかようにお考えでしょうか。
  36. 池田勇人

    ○池田国務大臣 なかなかむずかしい御質問でございますが、そういう考え方もあると思います。しかし予算ぶんどりの弊をためる、直すという意味から、特別な立法をふやした方がいいじゃないかという考え方もあるのであります。だから、これはいずれをとるか、なかなかむずかしい問題でございまするが、北海道、東北というような、どちらかといえば、内地全体から申しますると、未開発地につきまして、特にこういうふうな制度でいった方がいいんじゃないかという結論でやったのでございます。これが関東、中部あるいは九州、四国、中国、近畿、こういう問題になりますると、これは事情も似ておりますので、やはり予算の効率化でいく方がいい。しかし未開発地につきましては、私はこういう考え方は受け入れられる考え方じゃないか。しかし、それが乱に流れてはいけない。実は北海道、東北別々という議論もございました。しかし、私はやはり似てるから一緒にやった方が、事業分量がふえてきたり、いろいろな点があれば別だけれども、スタートとしては、似たところは一緒にした方がいいという考え方であるのでございます。だから、全般の予算の配分ということになりますれば、もちろん効率的にやって、特殊機関を設けない方がベターでございます。しかし特殊な事情がある場合においては、これは効率だけでいくということも、なかなかむずかしいので、その間の中間をしばらくとっていくのがいいのじゃないかと思います。
  37. 川俣清音

    ○川俣委員 そういう考え方を持っておられますならば、予算編成の大綱を握っておられまする大蔵大臣としては、こういう特殊立法なしにも、それらの予算配分ができないことはない。あえて特殊立法を必要とされる理由は、大蔵省から見てどこにあるというようにお考えですか。私は大臣の今の考え方からいくと、特殊立法なしに予算ができないとは思わない。それじゃ、なぜこういう特殊立法が必要なのか。法律はなるべく簡素な方がよろしい。幾つもあって、それにとらわれなければならないということは、大蔵省としては、できるだけ避けていこうという考え方であろうと察しておる。それに、なぜこういう特殊立法を作らなければならないのか。
  38. 池田勇人

    ○池田国務大臣 大蔵省当局としましては、予算その他全部が簡素であることが理想でございます。しかし、簡素ばかりをたてにとってはいけません。そこで皆さんの御意見もございますし、それでいっても大した弊害がない、こういうことでございます。たとえば今度土地改良特別会計あるいは多目的ダム特別会計を設けましたゆえんのものも、大蔵省といたしましては、従来これについて反対しておったと思います。私もずっと前の大臣時代には、それなくてやっていこうという考えでした。その後も大蔵省はそういう考え方でいっておりました。私は理想としては、そういうものがない方がいい。しかし今実際に仕事をやっていく上において、複雑化はしまするけれども、こういうものを置いてやっていいか悪いか。自分はいいと思うのだが、一つやってみよう、こういうことで、従来の大蔵省の方針を変えてやってみたわけであります。私は特別会計がふえるということは好みません。また特定の地域に対して、特別立法をするということも好みません。しかし実情がこれを受け入れられるような状態だったら、私はある程度ここでやってみたらいいじゃないかという気があるのでございます。この点は大蔵省の従来の考え方と私の考え方は変ってきておりまするが、これはやはり早急に、そしてみんなが納得のいくようにのみ込んでいったらいいのじゃないか、という気持で実はおるのでございまして、理想は川俣先生のおっしゃる通りが理想でございます。しかし現実の問題としては、こうやっていく方が、国土の総合開発とか、あるいはいろいろな点からいっていいのではないかという気がいたしておるのであります。
  39. 川俣清音

    ○川俣委員 従来の方式よりも一歩前進したと表現しますか、あるいは従来の方針よりも変えて、これらの特殊情勢に沿った予算配分を行う、こういう御意思でございますから、それはそれとして、お尋ねいたします。  そういたしますと、特殊立法を作ったからには、これは単に気休めのものであってはならないと思います。そういう意図で踏み切ったのでありますから、踏み切ったことが現実に現われてこなければ、これは意味をなさないと思います。そこで私は、踏み切ったと言われながら、実際は踏み切っていないと思って前にお尋ねしたのですが、あなたがはっきり踏み切ったとおっしゃるならば、その踏み切った効果が出てこなければならない。法律が出たからには、大蔵省は制約を受けるのだ、こうならなければならない。制約を受けることを甘んじてその方針とされると、こう言うのでありますが、それでは、その特殊立法を作られた趣旨に沿うような具体的な予算が出てこなければならぬと思うのです。それにいたしましても、根本的に国の予算でありまするから、特殊地方にだけ予算の配分が行われるようなことは、これは避けていかなければならぬと思いますけれども、しかしながら、それが国の総合開発の上から必要だということでいくのでありましょうが、そこで、これにはやはり限度があると私は思うのです。なぜかというと、東北のようなおくれたところ、北海道のようなおくれだところを国の産業の一般レベルにまで達成させるまでの方途だ、その上からは、やはりこれは一般総合開発の大きな観点に立ってどこに配分するか――なお東北に配分する必要がある、あるいは北海道に配分する必要があれば、これは特殊立法によらないでもできるわけです。従って、おくれたるところを一般のレベルまで上げるというところにある。そうすると、これは長い期間かかって上げるということを考えないで、短期に、早期に、一般的なレベルのところへ達成させて、あとは総合的な予算配分にする、これがやはり行き方ではなかろうかと私は思うのです。これは従来の大蔵省の考え方と大臣の案との折衷は、そこへいかなければならぬと思うのです。そこで、おそらく東北開発は五カ年計画くらいで完成させなければならない、また完成できるものだけを取り上げていき、あとは一般の予算配分でこれを取り上げていく、こういう形になるのが大臣の説明の中から受け取れるわけですが、そう了解してよろしゅうございますか。
  40. 池田勇人

    ○池田国務大臣 東北開発を五カ年でやることがいいか、あるいは十カ年の計画がいいか、まだそこまで進んでおりません。しかしこの東北開発につきましても、北海道東北開発公庫ができ、東北開発会社ができて開発するのでございますが、公共事業その他につきましても、本年度におきましては前年の倍以上も出しておる。こういう全体を見ながら、いかなければいけません。しかして、ちょうどわれわれが食事をいたしますのも、無理にたくさん食っても消化いたしません。やはり消化のことも考えなければいけません。そういう観点から、適正な計画を立てて、できれば早いに越したことはございません。開発計画その他のものは、早くやれば、いわゆる建設利息も少くて済むわけです。そういう点を考えますと、早い方がいい、しかし、のみ込み得るものでなければいけません。こういうことで、適正なる計画を立てて、それをなるべく早く、そして、それがうまく全体とマッチするようにしていかなければならぬと思うのであります。
  41. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで、私の見解をこの際述べますれば、東北興業会社にいたしましても、東北振興会社にいたしましても、なぜ今までおくれておるか、事業が往々にして失敗しておるかと申しますと、東北の未開地というもの、北海道の未開発資源というものは、商業資本と申しますか、産業資本が進出するには条件が悪かったというところにある。天然条件あるいは工業の立地条件が悪かった、こういうところにあったと思う。資源が不足で、産業の進出ができなかったのではなくて、それらのものを開発する資本として商業ベースに乗らない、あるいは産業資本ベースに乗らないというところから、おくれておるのだと思うのです。これらの産業資本と、あるいは商業資本と競争していこうというような考え方は誤りだと思うのです。かつての東北興業会社一般の産業資本と競争してやろうとしたところに、あやまちがあったと思うのです。また東北がおくれておるために、国の費用でやるのであるから、損をしてもやれというようなことで、競争したために失敗したと思う。要するに、これらの未開発資源を工業原料として、工業動力として開発してやるごとによって、民間資本と申しますか、産業資本東北及び北海道に進出と申しますか、入り得る道を作ってやることの方が必要じゃないか、それが前提になるのでなければならぬのではないか。全部が全部国の予算でまかない切れるものではないのでありますから、この立地条件の悪い点を、国がこれを見てやるというところまでであって、それ以上踏み込むということが、失敗の原因になっておる、こう私は思う。従って、昭和十一年に東北興業会社及び振興電力会社ができたのでありますが、今日から振り返ってみますと、電力会社だけなんです、成績の上ったのは。これらの電力会社がこの資源を供給することになりましたために、産業資本が、おくれた東北に入り込んでいったり、東北に工業力を発展させていった、こう見るべきものだと思う。従って、将来産業資本が十分ベースに合って、入り得るような状態を作ってやることが、今の資本主義下におけるやり方としては、一つの行き方ではないか。われわれの考え方ならまた別問題ですが、現状の経済機構からいうと、その限度までしかやれないのではないかと思う。ところが、一般東北民は、またはわれわれの同僚の中においても、もっと期待する向きがございます。期待は非常に大きいのですよ。一体そういう大きな期待を彼らに持たせることの方が誤まりじゃないか、むしろ率直に、何と何とは五年計画でやってやるのだ、そのかわり、ほかのものは自力で、あるいは産業資本でやるべきだ、こういうふうにもう一歩割り切ることの方が、私は予算の効率配分の上から考えるべきことじゃないかと思うのですが、大臣いかがですか。
  42. 池田勇人

    ○池田国務大臣 川俣さんの御意見に全く同感でございます。昔の東北興業会社、これはどちらかといえば、東北におきましての産業の受け入れ態勢を作るということよりも、自分が進んで民間と同じ事業をやろうというところに、行き過ぎがあったと思うのであります。従いまして、今回の公共事業での東北の改革は別といたしまして、北海道東北開発公庫あるいは東北開発会社――たとえば東北開発会社にいたしましても、港湾の施設とか、あるいは工業用水の方とか、いろいろな工業がそこへきても、自分ではなかなかむずかしいことを地ならしをして、そこへ工場ができるような受け入れ態勢を作るということを主眼に考えておることは、川俣さんの御意見と全く同じであります。北海道東北公庫につきましても、私はそういう考え方でいく、先般もここで質問がございました、ある内地で相当やっておる一流会社に金を貸すことはどうかという点でありますが、ちょっと考えると、そこまでいくのはどうかという気持がありますけれども、やはり工場誘致の一つの手段といたしまして、その工場がそこに置かれて、漁民が非常に利益を得るとか、あるいは工場が拡張になりましていろいろなそれに付帯の商業が興るとか、そういう場合におきましては、必ずしもそれは悪いことじゃない。東北につきましては、私は今一番問題になっておるのはやはり電力の不足だと思う。これはもちろん東京あるいは関西、中部に比べまして非常に安うございます。安いから、どんどんいく、いくと、電力が足りなくなる。これはもう私は、今の東北開発会社に金を出すような気持で、やはり東北電力というものは相当開発に向わなければ、いかに東北開発会社ができても、あるいは東北公庫ができても、工場はなかなかいかぬ。だから、予算ではこうやっておりますが、事業会社の方で電力なんか早急に一つやらさなければいかぬということを考えております。川俣さんの受け入れ態勢を作るということの予算であって民間会社と競争をする、同じ仕事をするという意味での開発はよくない、こう考えております。
  43. 川俣清音

    ○川俣委員 考えが大体同じようでありますならば、それをもう少し早期に――要はその考え方を早期に達成させるかどうかということにあると思うのです。同じ国の中でありながら、立地条件が悪い、今までの自然条件が悪かったのであるから、政治上これに補いの手をかけてやる。同じ国内でありますにかかわらず、資源があるのでありますから、そこへ手を差し伸べてやるということが必要になっできたと思うのです。それを従来通り十年かかる、二十年かかるのだということになりますと、一般総合開発でやってちっとも差しつかえない、電源開発法もありますし、これは東北にやって悪いというのじゃないのです。そこで、やはり早期にこれらのものを達成させてやるというところに、私は大臣が踏み切られた理由があると思う。ですから、十年とか十何年ということになると、これはいよいよおくれて差が激しくなる、早く全国とのレベルの差を縮めていくというところに、この特殊立法の本質があるのだと思う。だから、早くこういう法律の必要がなくなる状態を作ってやるための法律だと思う。こんな法律が要らなくなるような状態を作ることが、この法律の目的だと思うのでありますが、いつごろ一体この法律が要らなくなるようにさせるという考え方か、大臣から伺いたい。
  44. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど申しましたように、早いに越したことはないのでございますが、ものには順序がございますし、程度がございます。そういう支障のない限りにおきましては、やはり立法の趣旨からいって、早くやるに越したことはないと思います。
  45. 川俣清音

    ○川俣委員 これ以上論争することは避けたいのですが、程度の差がなければ、国土総合開発でやってしかるべきなのです。その程度を上げようというのですから、上げるのでなければ、こんな無理な法律を作る必要はないと思う。また、そういう意図もなければ、予算配分をする必要もないという考え方ならば、こういう繁雑なものは避けた方がいい。そこで、この法律案が出たからには、五年くらいでこういう法律はなくしよう、ある程度やったあとは一般総合開発でいこう、こういうふうに持っていかなければならないものだ、それが私は予算の効率な適用だ、こういうふうに思うのです。そこで大した差がないんだということになると、あえて作った意味がない、踏み切られたというには、相当な幅が出てこなければならぬ。この点もう一度伺いたい。
  46. 池田勇人

    ○池田国務大臣 開発がおくれておりますので、こういう立法をこしらえてやろう、それは早いに越したことはないのであります。
  47. 川俣清音

    ○川俣委員 それじゃ時間がありませんから、これ以上申し上げません。別な機会にやります。さっき大臣は先回りをしまして、特定土地改良事業にちょっと触れられましたが、この点について一言触れておきたいと思うのです。時間がありませんから、長くは触れませんが、たとえば八郎潟の干拓の場合、これは八郎潟を秋田県だという意味で特に取り上げたんじゃないので、将来の干拓の上から、大臣の考慮を求めたい、こう思うわけであります。  あの特殊土地改良事業という考え方は、だんだん農地が宅地に侵略されて参りますと申しますか、宅地がだんだんふえて参りまして、ふえる対象が農地にある。農地がだんだん不足して、今度は山林原野に農地を求める、こういうことになってきている。それでは土地の利用状態が、日本のような狭いところでは、いよいよ農民が宅地に追われ、農民はまた山林を侵していくというようなことになっていく現状でありまするから、そこで農地と宅地の配分と申しますか、工業用地配分というものを、今後の農地行政の上においては当然考えていかなければならぬと思う。今までせっかく未墾地買収などをいたしまして自作農を作りましても、宅地になっておるところ、工業用敷地になっておるところもたくさんある。国が農村の中堅自作農を作るということで経費をかけていったのを、農民が転売をして工業用地になっておるのが非常に多い。こんなことでは、とうてい国の施策が追いつかないと思う。そこで新地造成をする上からは、これは農民に渡してからもうけさせて売買させるということよりも、やはり工業用地あるいは商業用地、あるいは農地というふうに区分をして造成して、農地にはやはり適正規模を、商業用地にも適正規模を、工業用地にも適正規模を、各地域に配分をして、将来農地が商業用地に非常に大きく変るということ、あるいは工業用敷地に買収されるということのないように、日本の産業状態から見て今後はやはり工業用敷地といりものを当然配分していくべきではないかと思う。それをセクト主義によって農地でなければ農林省の所管にならないとか、工業用地だというと建設省の所管だということで、無理に農地配分をしようとしますれば、今日の経済情勢からいって、とうてい防ぎ得られない情勢が生まれてきておる。それならは、初めから工業用地、商業用地としての配分計画を立てていく方が妥当じゃないかと思う。たとえば八郎潟一万三千五百町歩あるが、このうち一割を商業用地、工業用地として配分するということになりますと、約一千町歩であります。あの辺の時価で換算しますと、三千円から四千円しておる。特に工業用敷地になって、まとまった敷地が得られるということになりますならば――農地を工業用地にするには、さらに手間がかかるのでありますが、工業用敷地として直接提供できるということになりますならば、四千円、五千円はあえていとわないという情勢にある。たとえば三千三百円くらいとして、これが一千町歩与えられますと、百億の金が入る。千三百町歩だとすると、百三十億になる。八郎潟干拓の予算を百三十億といたしますれば、一割を工業用敷地に提供することによって、大体これらの金が浮くわけになる。そういう配分を当然考えていくということになりますれば、今の農地法の関係あるいは土地改良事業法の関係からいって、むしろ別な干拓特別会計を作り、特別干拓法を作って、土地配分については、必ずしも農地配分はしないんだ、配分の仕方はいろいろあるんだという目的を明らかにした方が実情に合うのじゃないか。無理に農地法を改悪したり、無理に土地改良事業法を他に悪影響を与えるような改正までしてこれをやるということよりも、すっきりした形ができるのじゃないかと思う。農林大臣は大体そういうことには賛成だが、あの法案を通してくれということで、通った形ですけれども、来年からはすっきりさせる必要があるのじゃないかと思います。この際大臣答弁を求めます。
  48. 池田勇人

    ○池田国務大臣 特定土地改良特別会計を設けまして、早く農地の造成をはかるべきだというので、やったわけであります。しかし八郎潟のように非常に広い面積のところは、単に農地を作るといっても、村を作り、郡を作ることだと思います。秋田県なんか相当鉱業資源のあるところでございますから、適当な工業用地が要るという場合には、村作り、国作りという気持でやるべきだという考え方は、全く同感でございます。ただ主たる目的が農地ということになっておりますので、ああいうふうにしておるのでありますが、今後の問題として十分研究しなければならぬ重要なことだと思います。
  49. 川俣清音

    ○川俣委員 児島湾の干拓を藤田組がやっておった時代、その後公共事業でやられたし歴史を見ましても、商業用地、工業用地になっておるのは、農家の宅地は抜きまして、七分から一割に達しておる。従いまして、せっかく農地配分をしたものも、だんだん工業用地あるいは商業用地に転化していくのです。農民にもうけさしてやる、農民には不安を与えないということはよろしいと思いますけれども、これは農耕をやって生活が立つようにすべきであって、土地を転売して農家が立つようにすることは邪道だと思う。そういうことは避くべきだと思う。無理に農地法を適用したり、あるいは土地改良事業法を適用しようとするところに、非常に無理がある。工業用敷地として配分する上についても無理がある。だから、初めて、この地帯については特殊立法だということで、特別会計を持つことは、決して私は反対ではないのです。やはり少くとも立法に伴う特別会計だということで、こういう点は割り切っておるのじゃないか。有明湾にいたしましても、そうだと思う。あすこにいたしましても、当然工業用敷地というものが必要になってくるだろう。海岸に面したところに工業用敷地を当然とる。それらのものを求めて、農地を工業用地にするために、非常な経費をかけることよりも、初めから新しい土地を造成するからには、ここは農業用地、ここは工業用地というふうに、配分をして計画を立てていくことの方が妥当だ。私は民間会社ならおそらくそうなると思う。民間会社にもしも土地の造成を許すならば、そういう結果になると思う。来年、私は国会にこの構想で法律を出されるのが必要じゃないかと思う。この点大臣にもう一度伺いたい。
  50. 池田勇人

    ○池田国務大臣 全く同感でございます。ただし来年法律を出すか出さぬかは、これは別問題です。現内閣としては全く考え方は同感であります。
  51. 志賀健次郎

    志賀(健)委員長代理 北山愛郎君。
  52. 北山愛郎

    ○北山委員 大蔵大臣に二点ばかりお伺いしておきたいのです。一つは今度の開発促進法の問題ですが、ただいま大臣は御答弁で、東北地方に対する公共事業費をふやしたいが、順序がある、しかも地方団体がのみ込まなければならぬと言われた。東北の場合には、地方団体というのは財政力が非常に貧困であって、しかも赤字団体もあるわけなんです。それで、のみ込ませるためには、一つには補助率を高めるということをどうしてもやらなければならぬ。ところが、今度の促進法を見ますと、補助率を高めることについて、必ずしも東北に対して特別な措置をしておるとは言いがたい。まあこまかい法規のことは申し上げませんが、今度の第十二条に、いわゆる地方財政再建促進特別措置法の特例みたいな規定があって、これがただ一点、補助率を高めるというか、特別措置なんです。しかるに地財再建法の第十七条では、再建団体に対して、一定の指定事業については補助率を高めるという規定がすでにある。東北のみならず、よその府県においても、そういうものが適用されておる。ところがこの促進法によりますと、そういう指定事業の中で、重要なものに限って補助率を二割上げるというのですから、むしろ東北七県の場合には、よその地域の再建団体よりも、補助率を高める事業の範囲が狭くなるおそれがある。そういうふうな規定すらもあるので、むしろ促進して、地方団体に補助率を高めて事業をよけいやってもらおうという趣旨には相反するような規定が第十二条にある。これでは、大臣の先ほどおっしゃった言葉とは反対じゃないかと思うのですが、この十二条はこの法案中心をなしておるので、大事な規定なんですけれども、その肝心な規定が、そういうようなおそれのある規定ですから、それではどうも先ほどのお話とは、この促進法は逆行しておるのじゃないか、こう思うのですが、この点はどうでしょうか。
  53. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほどの川俣さんの御質問に対しまして答弁いたしましたのは、私は地方公共団体と、特定のものを言っておるのではないのです。政府がそこにその施策をするゆえんのものは、東北全体がいろいろな工業を受け入れるという下地を作らなければならぬ、その一般経済原則を言っただけです。ただいまの御質問東北開発促進法のことは除外して私は言っておるわけです。東北開発促進法におきまして、いろいろな規定があるようでございまするが、われわれは、東北開発促進法によってほかの地方よりも悪くなるというような気持は持っていないので、できるだけ東北の特殊事情というものは――面積が広くて、住民が少いとか、あるいは農業関係で担税力がないとか、あるいは七県のうち青森を除いて、あとは再建整備法にかかっておるとかいうふうなことがございますので、東北開発を早くするために、特に法律を設けたのでございまして、北山さんのおっしゃるように、一つも利益がない、よくならぬというようなことは、私は考えておりません。しかし条文の解釈問題でございますから、事務当局から答弁いたさせます。
  54. 川俣清音

    ○川俣委員 それほどとらわれることでもないが、さっき私が質問したのは、なぜ特殊立法の必要があるかということを聞いたのです。除外するという言葉だけは一つ改めてもらわないと、除外して答弁したんだということになると、非常に誤解を生むと思うのです。原則の上からこういう答弁をしたというならばいいのですが、除外をしておるということだけは、一つ御訂正しておいていただきたいと思います。
  55. 池田勇人

    ○池田国務大臣 こういう促進法を考え答弁したというのではなしに、経済全般の問題として答弁した。促進法に関して、政府公共事業についての地方の公共団体の負担、こういうことを頭に置いてやったんじゃないということでございます。
  56. 北山愛郎

    ○北山委員 促進法を除外してというわけではないと言われるのですが、やはり私どもは今この促進法の中身について審議をしているのです。だから、促進法はやはり大臣のお考え通りになっていなければならぬ。地方団体がやる事業についても、やはり国が補助をつける、それをのみ込んで仕事がやれるように促進法はなっておらなければならぬわけです。ところが、今申し上げた十二条というのはむしろ逆行して、よその地域よりも、ともすれば悪くなるかもしれぬような規定になっている。だから大臣のお考えが、この法律の中に表われておらない。大臣のお考えはお考えとして承わっておきますが、法律はそのお考え通りになっておらぬのです。それで、これは法律条文のこまかい点でありますから、あとで事務当局に十分お尋ねをしなければならぬと思いますが、少くともこの第十二条については、関係省庁の間でいろいろ連絡をなさっておられるはずなんです。その際に大蔵省は、今の大臣のお考えとは相反するような、補助率の引き上げについて、ともすれば事業を制限するようなお考えのようです。ですから、そういうことのないように、大臣一つ事務当局の方によく注意をしておいてもらいたいのです。そうでないと、大臣のこの委員会での答弁答弁として、法律は別個に、むしろ逆行するような規定が出て、実際に実施されるのは大臣考えではなくて、法律なんです。だから、その点あとで詳しくこれは追及しなければならぬと思うのですが、この大臣開発促進の精神に沿わないような方向でいかないように、事務当局に対して一つ注意をしていただきたい。この点について大臣のお考えを聞きたいと思います。
  57. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほども答弁いたしましたように、北海道、東北開発は早急にやりたいということでございます。しかも、この東北開発促進法はそれと一連の関係を持つものでございます。お話のように、他の再建整備法の適用になっております府県は、二割補助率をふやしておりますが、事業量をうんと圧縮している。圧縮した上で、二割補助をふやしておる。東北につきましては、そういうことをいたしません。これは事業量をあまり圧縮せずに、特別にふやしておるのであります。こまかしい問題は、事務当局から答弁させます。
  58. 北山愛郎

    ○北山委員 そこのところが問題なんです。圧縮しないといっておるけれども、大臣の言っておる政令に定める指定事業に該当するもののうち、ほかの地域においては、全般的に昭和二十七年から九年までの三カ年の実績の七五%ということに圧縮をされておる。ところが、この規定では別な圧縮の規定がある。「自治庁長官と企画庁長官が協議をして定める重要なものは」という限定がある。「重要」なものですから、その重要なものが七五%以内になるかもしれぬ。五〇%になるかもしれぬ。そうなれば、ほかの府県よりもその範囲が低くなるということが起り得る、そういう規定があるのですよ。だから私は申し上げているので、その点大臣よくお調べになって、できれば、この規定を、その部分を取ってしまえばいい。そうすれば一応ほかの団体並みになる。少しは上回ることになるかもしれません。その七五%という事業量の制限ですらも、今度はまた変えなければならぬ、そういう折衝を政府部内でもやっておられるようでありますから、私の申し上げるのは、その際に一つ――大蔵省は公共事業をやったり、あるいは補助率を高めたりすることにはあまり積極的でない。この場合でもそうじゃないかと思うのです。そういうことのないように、一つ注意をしていただきたいと思います。この点はどうなんですか。
  59. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私は東北開発、振興がおくれるような方法はだれでもとれないと思うわけであります。そんなことをやるんだったら、何も法律を設ける必要はない。だから私は、東北に限らず、再建整備にかかっております府県につきましても、事業量を七割五分に押えるということにつきましては――今のような状態になって参りまして、すなわち地方団体の再建も相当できつつあり、地方財政の健全化が見られるようになりました場合におきましては、七割五分に押えたことも、私は再検討したと思うのであります。それは別問題といたしまして、東北七県につきまして、あえて法律を設けるゆえんのものは、東北をよくしようとしておるのでございまするから、他の府県よりもよくならぬというふうなことは、これは御想像なさらぬ方がいいと思います。それこそ取り越し苦労ではないかと思います。これは結果からわかることでございます。政令をこしらえまして、そうして次の国会でまた皆さんと顔を合わすわけでありますから、御期待に沿わぬような、羊頭を掲げて狗肉を売るようなことはしないつもりでおります。なほこまかい問題につきましては、事務当局から答弁させますが、やはり効率的に、これは必要だという分は事業もふやさせ、補助率も上げようというのが立法の精神でございます。
  60. 北山愛郎

    ○北山委員 私の方で邪推をしておるように大臣言われますけれども、邪推をするような法案を出さなければいいんですよ。そういう規定になっている。だから、もしも大臣お話のように、東北開発促進に役立てたいというなら、そういうふうないろいろの制限を設けるような法案にしなければいい。そうすれば、こっちも一向にそんなことは考えません。ところが規定がそうなっている。指定事業の中で、また重要なものというふうに限定をするような法律になっておる。そうする以上は、私のように考えるのは当然だと思う。だから、私から言わせれば、これはよく検討した上で、こういう条項は取ってもらいたい、そうでなければ、開発促進という政府の精神が法案の中に表われてこない。精神は精神で、法案はそれに逆行するような格好になっておる。だから私申し上げるのですが、なおこの点はまた事務当局にお伺いすることにいたします。  次に東北興業については、今年は二十五億ですか、一つの新しい事業をやるというわけで、政府資金あるいは政府の保証する資金が出るわけなんです。それで、この二十五億で何をやるか。大臣の先ほどのお話のようであれば、民間企業と競合するようなことは避けたい、やはり新しい仕事をやるのだというようなことです。そこで、きのうもいろいろ二十五億の内容についてお伺いしたのですけれども、必ずしも明確でない。そして予算をおきめになるときに、二十五億というワクをきめるときに、一体どういうお話であったのか、これをお伺いしたいのです。一部の新聞には、二十五億の内容がこまかに出ている新聞もある。その点は一番大事な点でありますから、大蔵省としてはこの二十五億によって東北開発会社に何をやらせようとするのであるか、大体の見当をお伺いしたい。
  61. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほどの問題は、考え方の問題だから、繰り返して申し上げておきますが、東北なるがゆえに、何でもかんでも補助率をよそよりもよくするという意味ではない、よそ並みのところもありますが、政府としてこれはぜひ必要だ、よそ以上にしなければならない問題がありますので、そういう問題につきましては、政令で定め、そうしてよそよりもよくしょう、こういたしておるのでございます。北山さんのおっしゃるように、何でもかんでもよそよりもよくするということにはなっておりません。その点は誤解のないように。しかし特定の必要なものにつきましては、よそよりもよくするという気持で書いておるのであります。  なお東北開発会社資金につきましては、五億を出資とし、債券発行を二十億にいたしております。この内容につきましてはただいま検討中でございまするが、大体予算を組みます場合におきましては、東北のいわゆる産業立地条件の整備をやる、そしてまたそれに伴いまして、石灰窒素の問題とか、あるいは木材利用の問題、あるいはドックの再建、いろいろなものがあるのであります。これは一応の考慮に入れるべきアイテムとして今検討いたしております。何分にも、今までほとんど目新しい事業をしてないのが、今度再出発するわけでありますから、そう一度にたくさんは期待できませんが、今申し上げましたような産業立地条件の整備、その他特定産業への融資というふうなことを考えておる次第でございます。
  62. 北山愛郎

    ○北山委員 これは要するに大蔵省として予算査定をするときに、やはり関係の建設省なら建設省から要求が出て、そして査定をされたと思うのです。ですから、二十五億というのは、ばく然たる二十五億ではなくて、やはり内容を持った二十五億でなければならぬ。それは不動のものではないとしても、二十五億ときめたときには、やはり産業立地条件の整備には幾ら、あるいは既成工場の整備には幾らとか、そういう内容があったと思うのですが、これはもう少し詳しく御説明願えないでしょうか。
  63. 池田勇人

    ○池田国務大臣 初めてこういうことをやりますときには、どの事業に幾ら、この事業に幾らというようなことは、なかなかできるものではないのでございます。開発銀行のように、ずっとそれでやりまして、今までの軌道に乗っておりますときには、一応の目算はつきまするが、初めての事業として、たとえば木材工業に幾ら、ドックに幾ら、こういうふうなことはなかなかできるものではございません。私は自分が予算について筆を持つ場合におきましても、こういうのをなかなかきめられない。一応の目算のあるところを大蔵大臣として申しまして、そうして、たとえば木材工業にしましても、その分がどれだけの借入金でいくか、どれだけの開発会社からの融資でいくか、こういう問題で、個々の問題はなかなかむずかしいのでございまして、大蔵省としましては、どの事業にこれだけ、あの事業にどれだけということは、私はまだ今のところ言われもしませんし、言うべき筋合いのものじゃないだろうと思います。
  64. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし、たとえば木材糖化にしても何にしても、相当な資金を食うのであって、必ずしもこの二十五億で、その産業立地条件の整備から何からのみ込めない、あるいは追加をしなければならぬような事業内容も入ってくるわけなんです。従って、大ざっぱでも方向がきまっていなければ、少しの資金で、大きな資金の要るような事業に食いついて、そうしてあとで追加をして、できるか、できないかわからぬというような問題も出てくる。だから、大体の見当がついておるべきものだと思うのです。  それではお伺いをしておきたいのですが、三月の末ごろにある新聞に相当具体的な計画が出ておる。それは大蔵省、企画庁、それから与党との三者の間での素案だということで、工業用地造成事業に三億四千万、工業用水の事業に一億三千万、それから鉱山、道路五百万、開田、開畑が五百二十五万、旭産事業合理化に三億三千万、新規工場の建設十億、これはハード・ボードですが繊維板の二万トンの生産工場を作る、この資金は三十五億かかるといっておる、それから東北船渠の再建事業に五億、水産倉庫に千五百万、砂鉄に幾らというふうに、相当こまかい内容が新聞に出ておるのですが、このことは全然根拠がないのですか。
  65. 池田勇人

    ○池田国務大臣 大蔵大臣としては関知しておりません。われわれが五億円の出資と二十億円の債券発行を認めましたのはいろいろな事業もあるだろうが、スタートでございますので、一応理事者がその金の範囲でやっていこう、そうして二十億とか五億とかいうのは、財政投融資の全体の資金計画からきておるのでございます。個々の会社、個々の事業についての積算は十分いたしておりません。これが実情でございます。
  66. 北山愛郎

    ○北山委員 企画庁としてどうなんですか。
  67. 植田俊雄

    ○植田政府委員 私もそういう記事が出たということを聞いて、驚いたわけでございます。本日午前その新聞を見まして、その内容も若干見ましたけれども、その根拠になっております数字につきましても、私ども心当りの資料も持っておるわけでございませんし、また新聞記事の報道にございますように、経済企画庁が大蔵省と交渉しというふうなこともあるようでございますが、大蔵省に対しまして、今度の会社事業内容につきまして、打ち合せをしたことは一度もございません。そういう意味におきまして、その記事は何かの間違いじゃないかと心得ております。
  68. 北山愛郎

    ○北山委員 内容的にどういう事業をやるか、よくわからないのですが、大体三つに分けますと、今度の法案の中で新しく改正点になりました産業立地条件の整備、これが一つの新しい事業ですね。それからいわゆる民間事業と同じような種類の肥料工場であるとか、そういうものをやっておりますが、肥料工場、亜炭鉱業所をやっております。これがすでにやっておる事業の整備、それから新規の仕事、たとえば東北船渠であるとか、あるいはこの中にある硬質の繊維板を作るとか、木材の糖化等の事業、そういう三つに大体分けられると思うのです。大臣としての先ほど来の答弁から見ますと、主として産業立地条件の整備、すなわち工業用地の造成であるとか、そういうことに今度東北開発会社は重点を注いでやるのだというふうに何か聞えるのです。民間事業と競合するような仕事は好ましくないというお話ですから、そういうように聞こえるのですが、そういうふうに受け取っていいのですか。
  69. 池田勇人

    ○池田国務大臣 産業立地条件の整備ということが一つの大きい眼目でございます。しかし、公共事業との関係でそういうことを打ち出しましたが、それでは、一つ株式会社として他の仕事には手を出さぬか、こう申しますと、必ずしもそうでなしに、東北開発になれば、私は民間事業でやりにくいというふうなものにも、やはり手を出していくのが東北のためになると考えておるのであります。従いまして、公共事業方面につきましては、立地条件の整備、それから民間事業につきましては、他の事業会社がここに工場を設けるということはあまり望ましくないが、東北としては必要だという場合におきましても、融資することはあり得ます。
  70. 北山愛郎

    ○北山委員 この産業立地条件の整備、たとえば工業用地の造成、こういう仕事について、いわゆる準公共事業的な仕事についての問題点は、地方公共団体のやる仕事との競合です。それから、こういう仕事が必ずいわゆるペイするかどうかという問題があるわけです。そこらの限界が一つの問題でありますが、これは別といたしまして大臣は今東北興業をやっておりますセメント工場、これについてはどういうふうにお考えですか。
  71. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私はセメント工業のことは、よく存じませんが……。
  72. 北山愛郎

    ○北山委員 昨年の国会を通って、十四億の資金東北興業が今セメント工場の新設をやっておるわけです。これは普通の方式ではなくてドイツあたりでやっているような、日本では宇部興産が試験的にやっているのを取り上げて、シャフト・キルンといいますか、そういう方法で工場の建設を準備中なんです。このために、政府保証の社債を三十一年度で九億円出しておる。それから政府資金、あるいは地方公共団体の資金も入れて、十四伏すでに出しているのです。そんなことを御存じないというのは、まことに奇態だと思うのですが、どうですか。
  73. 池田勇人

    ○池田国務大臣 何か東北セメント会社ができるというようなことは、実は聞いておったのでございますが、昨年はあまり国会の方へも毎日出ませんし、国会議員だからといって、全部知っておるわけでもございません。私は東北セメント会社ができるとかいう話は聞いておりますが、どういうふうな格好でできたのか、まだ寡聞にして知っておりません。詳しいことは、事務当局が知っておるかもしれません。
  74. 北山愛郎

    ○北山委員 それはめちゃくちゃな話です。なるほど昨年は国会に出ないといったって、三十一年度予算の執行をやるのが大蔵大臣でしょう。三十二年度から大蔵大臣じゃないのですからね。だから、従来の予算執行の中に入っているのですから、そのセメント工場を東北興業がやっておることを知らぬということでは、あまりひどいじゃないですか。しかもその東北興業を今度は改組して、東北開発会社ということにして、なお二十五億出すのですから、やはり東北興業というものは何をしているのか、どういう会社であるのか、そういうものを検討しなければ、二十五億もの金は出せない。これは大蔵大臣、少しめちゃくちゃじゃないですか。セメント工場は知りませんというのですか。
  75. 池田勇人

    ○池田国務大臣 大蔵大臣としては知っておるのがほんとうでございましょうが、何分にも昨年の暮れになりまして、各政府関係の機関で重要なものは見ておりますけれども、十四億の会社の融資の相手方まで、まだ研究するひまがなかったのであります。今まで予算その他のことで毎日こちらへ参っておりまして、東北開発会社ができるとき、十分今までの事業を見るのがほんとうだったかもわかりません。何分にも力及ばずして、私がそこまでできなかったことは不明でございますが、しかし今後の東北開発会社につきまして、十分資金の使途その他については検討いたしたいと思います。
  76. 北山愛郎

    ○北山委員 セメント工場のことは、あまり御存じないようでありますから、お伺いしませんが、少くともそのセメント工場というのは、十四億の資金計画で準備されつつあるのです。この二十五億の分の中に、またセメント工場の分が足りなくて入ってくるというようなことが起っては困ると思うのです。ですから、お伺いするのです。だから二十五億については、セメント工場の分でないのだ、これは新規のものなんだ、こういうふうに私どもは了解するのですが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  77. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そういう御了解でいいと思います。この二十五億の算出につきましては、ただいま申し上げましたように、セメント工業についての融資ということは、私は聞いておりません。お話通りに、今設備しつつある東北セメント会社には、二十五億から出ることはないということでございます。
  78. 北山愛郎

    ○北山委員 それでは、大臣に対する質問は一応これでやめますが、先ほどの開発促進法の十二条の問題、これが問題点ですから、さらに事務当局にお伺いしたいと思うのです。  それから、大臣公共事業費の東北分が昨年の倍になったというふうな話でありますが、私どもは倍になったような資料をもらっておらぬのです。これは企画庁の方でまとめておると思いますから、全国の公共事業費が倍になったという資料をいただきたいと思うのです。そうして、そのうち、東北の分が幾らであるか、これを早急に出してもらわなければ困る、その資料要求をいたしておきます。どうですか。
  79. 植田俊雄

    ○植田政府委員 促進法案の十二条の関係につきまして私どもの方から説明いたしまして、関係の大蔵省、地方自治庁も参っておりますので、疑問の点は御解明願いたいと存じます。  十二条の二項の問題でございますが、自治庁長官経済企画庁長官と協議して定める重要なものに要する経費につきましては、先日来いろいろ御説明申し上げましたように、法律で負担割合の二割アップということを規定したわけでございます。そこで法文でごらんになりますと、「国の負担割合は、政令で定めるところにより」というふうな工合に書いてございまして、その点いかにもあいまいなような印象を与えるわけでございますが、政令で定める事項といたしましては、地方財政再建整備法におきますところの差額の翌年度清算の問題、あるいは地元負担を伴います事業においての地元負担の分を上げないという趣旨の二項目につきまして、政令で明確にいたしたい、こういう意味でございまして、この政令によって通常の国の負担割合の百分の百二十をもう一度低下させるのではないか、こういう御心配があろうかと思いますけれども、そういうことはないわけでございますので、御了承願いたいと存じます。  次に公共事業費が二倍になったという問題でございますが、この点も御承知のことかと存じますけれども、今年度大蔵省におきまして予算内示の段階におきまして、個々の事業個所につきまして相当精密な審査をやっていただいたのでございます。その審査をしていただきました個所におきましては、昨年度三十億を少し上回った金額であったのでございますが、それに対しまして、昨日も申し上げましたように、約三十億ふえておりますので、その個所だけとって参りますれば、二倍になっておる。こういうふうな趣旨で大蔵省から御説明があったかと思います。御了承願います。
  80. 北山愛郎

    ○北山委員 公共事業費が倍になったということは、すべての公共事業費が倍になったということでなければ、うそだと思うのです。これは大臣が帰ってしまったから、だめだけれども、そうすると、公共事業費としては三十億だけがふえたというわけですね。どうなんですか。
  81. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 お答え申し上げます。先ほど植田政府委員より御答弁いたしましたように、個々に個所を審査いたしまして、国家的見地から重点事業として取り上げました分の金額が、三十一年度二十億一千七百万に対しまして、五十六億八千万と、倍以上になっております。ただいま御指摘になりました、その他のものを合せてどうなるかという点でございますが、河川改修でありますとか、治山、砂防、工業用水、土地関係のこまかなのを全部計算いたしておりませんけれども、今申し上げました河川改修、治山、砂防、工業用水等を除きましたその他の一般公共事業と、先ほど申しました重点事業に加えました金額は、八十二億が百二十六億――これは倍じゃございませんが、こういうような計数に相なっております。
  82. 北山愛郎

    ○北山委員 これは河川とか道路とか、全部含んだ大ざっぱなものでもいいのですが、東北分の公共事業の全体の数字というものは出ないのですか。
  83. 植田俊雄

    ○植田政府委員 大蔵省からお出しになりまして、本国会で成立しました予算の配分の問題は、それぞれ所管の省が決定するわけでございます。私どもの経験によりましても、年度当初にきめればいいわけでございますが、そう急にも参りませんので、おそらく各省は現在個々の個所づけをやっておるかと思います。具体的な個所を積み上げまして、東北七県について幾らという資料を作るまでは、各省としての作業が進んでないかと思います。
  84. 北山愛郎

    ○北山委員 その分はわかっておるだけでもいいですが、一つ資料として出していただきたいと思います。私ども非公式なものはありますけれども、信頼のできるものかどうかわからぬので、それをいただきたいと思います。  それからなお今の第十二条の説明なのですが、「政令で定めるところにより」ということを心配しているよりも――そうじゃなくて、地財再建法の「第十七条及びこれに基く政令に規定する事業に該当するもののうち、自治庁長官経済企画庁長官と協議して定める重要なもの」というふうに限定されているのです。そこでもう限定されているのですね。これが普通の再建団体であれば、従来であれば昭和二十七年から九年までの三カ年の七五%というのが基準で、そういうふうにパーセンテージで制限されている。今度のは「定める重要なもの」というふうになっておる。重要なものである以上は、七五%以内になるかもしれぬのですよ。政令の内容よりも、この規定そのものに私どもは疑問を持っておるのです。これじゃほかの地域の再建団体よりも、東北の七県の場合においては下回る場合があり得るのです。これは普通の言葉の解釈上そうなるのです。だから私どもはその点を心配しておる。
  85. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 この点は、先ほど大蔵大臣からも御答弁申し上げた点でございますが、実は私どもこの法案審議立案するに当たりまして、東北地方に対しまして、どの程度補助率を引き上げるべきか、この点を十分審査したわけでございます。場合によりましては、北海道と同じように全額国庫負担というような方式もあるわけでございますが、北海道と東北のニュアンスと申しますか、やはり明治以来開拓使を置きまして、人口が非常に希薄な北海道に対するところと東北とは、多少異なるのではないだろうか。従って北海道並みの補助率まで持ち上げることは適当でない、と申しますのは、たとえば鹿児島県でありますとか、鳥取県でありますとか、徳島県というようなところの財政状態を見てみますと、やはり必ずしも東北地方だけが非常に財政状況が悪いとは申されない。こういう点も考えまして、今回御審議願っておるような条文にいたしたわけであります。  ただいま御指摘になりました点でございますが、先ほども大臣からお答えいたしましたように、東北地方でやる事業は、何でもかんでもはっきり補助率を引き上げるということは適当ではない。ただ国がこれだけのことは産業立地条件の整備のためにやらねばならぬと考えるような重要なものについてのみ、はっきりと補助率の引き上げをやるべきだ、こういう見地に立ちまして、重要事業につきまして百分の百二十とする、この点につきましては二十七、二十八、二十九の三カ年、あるいは現在の政令によりますと、三十年度の基準事業量とが本年度の事業量の七五%以下である場合に百分の百二十とするということになっておるのでありますが、東北につきましては、重要事業についてはそういう基準を適用いたしませんで、およそ配賦いたします直轄事業並びに補助事業等の重要事業については、全部二割の補助率の引き上げをいたそう、しかも重要なものにつきましては、政令で定めるのでございますが、本法案の立案の精神にかんがみまして、経済企画庁、自治庁並びに関係省がよく協議いたしまして、できるだけ重要事業の範囲を拡大するような運営方針をとりたい。その他の重要事業でない事業につきましては、普通の再建団体と同じような方式によりまして補助率の引き上げをやっていきたい。しかも本年度はその他の重要事業でない事業、すなわち一般再建団体が適用される事業量につきましては、先ほど大臣が答えましたように、だんだん地方の財政も再建されておることであるし、再建団体なるがゆえに、事業量を圧縮することを掲げていくことは適当でない、かような見地に立ちまして、七五%というようなところは、今回まだ検討中でございますが、これを引き上げるようにいたしたい。そうなりますと、その点は東北地方にも適用されるわけでございまして、この法律が、御指摘のように東北地方にむしろ不利であるというような点は、全然ないものと考えております。
  86. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの説明ですと、十二条の二項で規定する重要なものについては、この促進法の補助率をたくさん上げよう、そしてその分を越えた、しかも再建促進法でいけるこの七五%なら七五%のところまでは、再建法の補助率の引き上げをする、二段階でやれる、こういう御説明のようですが、補助率としては二段階と違うのですか。
  87. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 ダブって適用があるわけでございません。北山委員は倍になるのじゃないかという御指摘でございますが、それぞれ別の計算をするわけでございまして、ダブって適用があるわけではございません。
  88. 北山愛郎

    ○北山委員 ダブるわけはない。補助率のたな上げの率は二割なんだから同じなんです。だから、もしもこの重要なもの以上に、今お話通り指定事業の範囲があって、それが再建法でやれるとするならば、こんなものは意味をなさぬじゃないですか。ただ問題は青森県のような準用団体だけの問題です。あとの方はこの再建法でやる、この規定のありがたみは何もないのだということになるのじゃないですか。
  89. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 御承知のように現在の再建促進特別措置法によりますと、補助率の引き上げは政令で定めるごとになっております。政令でございますので、こう申しては何ですが、いかようにも政府部内で変更ができるわけでございます。ただ東北につきましては、重要事業につきましては政令で規定するところとは別に、法律で明らかに二割の補助率の引き上げを規定するということでございまして、この点がはっきりいたしておる第一の点である。実体的の方につきましては、ただいま自治庁と寄り寄り協議中でございますが、平面的に今までのやり方でありますと、七五%に圧縮した団体につきましては、二割引き上げということになっておるのであります。一律に七五%、二割というふうにやることは、必ずしも適当ではないんではないか。むしろ何らかの段階を設けまして、二割の補助率に差等をつけた方が適当ではないかということを考えておるのでございまして、さようになりますと、実体的におきましても、東北地方の重要事業については二割ということがはっきり法律でもって定められるのでございますので、実体的にも有利になる、かような結果になるわけでございます。
  90. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし今のお話通り、政令というのは政府部内だけで勝手にきめられるから危険だ、この法律ではちゃんと縛っているんだからいいんだという話ですが、この法律自体が政令を引用しておるんですよ。そうじゃないですか。第二項に「前項の財政再建団体に係る開発促進計画に基く事業で、地方財政再建促進特別措置法第十七条及びこれに基く政令に規定する事業に該当するもののうち、」となっておるので、政令に指定事業というものをゆだねておる。その政令というのは、政府部内でもって勝手にやれる。それを規定しているんじゃないですか。
  91. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 御指摘の点でございますが、ここで規定しようとしておりますことは、指定事業をいかにするかということが一つ。それからさらに重要事業をいかに定めるかということが一つでございまして、私が先ほど答弁申し上げました点は、七五%、二割という一律になっておりますところを、政令の定むるるころによりまして変更することも考えておる、かように申したわけでありまして、内容が違うわけでございます。
  92. 北山愛郎

    ○北山委員 その点についても、すでに地方財政再建促進法第十七条の現在の政令ですらも、弾力性があるんです。自治庁長官が認定する事業、そういう事業は七五%こしてもやっておるんですよ。現に岩手県のごときは、百十何パーセントやった。だから現在の再建法の政令でも、そういう運用の弾力性がある。何もそんなことをあらためて言う必要はないので、この規定ではやはり政令というものを引用して、それに基いておるのだから、この政令が動かされてしまえば、今指定事業をこれこれだと言っておるものを、今度は変えられてしまえば終りです。もしも法律で確保しようというならば、法律でこれをずっと列挙しなければならぬ。その方が正しい。だから、私はあなたの言うような趣旨であるならば、法律で保障するために、第十七条の中に、いわゆる補助率を引き上げ得るような指定事業というものを、法律で列挙する方がほんとうだと思う。それをわざわざ再建法の政令を引用してくるからおかしい。そこに穴が一つあるでしょう、あなたの言う通り。  それからもう一つ、先ほどのお話の中で、再建法の補助率は二割となっておるが、段階をつけるというお話だった。現在は段階をつけてないはずなんですが、これは将来つけるつもりなんですか。今度の法は二割というふうになっておるから、この方がいいんだというお話ですが、これはまだ再建促進法の政令がどうなるかわからないのですから、政府としては段階をつけて、二割以内というふうにつけるおつもりなんですか。
  93. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 第一の点でありますが、北山委員指摘のように、重要事業並びに指定事業を列挙した方が、法律案を御審議願う上におきまして適当かと思うのでありますけれども、一々個々の事業をずっと、数多くのものを列挙することも、法律技術上いかがかと思うのでございまして、政令にゆだねたわけでございますが、その政令の定め方につきましては、いろいろ御趣旨のありました点は織り込みまして、決して政令でまかされておるから、重要事業をしぼるというような考え方は持っておりません。  それから第二の点は、先ほど御答弁いたしましたように、一律に補助率の引き上げをやるのは適当ではないんじゃないかという見地から、目下自治庁と相談中でございまして、まだ結果は出ておりませんが、大体の考え方としまして、そう大きく変更を加える意図を持っておりませんけれども、ある段階を定めまして、基準年次に対しまして、ある。パーセンテージまでは二割、それ以上のものは若干下げていく、かような考え方を大蔵省としては持っております。
  94. 北山愛郎

    ○北山委員 そういうお話を伺うと、その政令の内容が問題になる。だから、あなたのお話通り政府部内で政令の内容をきめ得るんだから、今の指定事業の種類が変るかもしれぬし、どうなるかわからぬのですよ。だから、十二条の規定がそれによって動いてくる。従って、この規定のために、東北開発促進になるのか、ならないのか、東北開発事業をやる場合には、地方団体が補助率のかさ上げの恩典を受けるのか、受けないのか、あるいは東北以外の再建団体よりもよくなるのか、悪くなるのか、はっきりめどがついていない。それじゃしようがない。東北開発促進にならぬじゃないですか。先ほど大臣お話のような保障にならぬじゃないですか。
  95. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 保障にならぬと言われれば、それまででありますが、先ほど来御説明申し上げておりますように、政令の定め方は、東北開発促進にならないようなきめ方をしない考え方でありますので、これも政令も出さずに審議しろというのは無理じゃないか、というおしかりを受けるかもしれませんけれども、政令の定め方については十分配意いたすつもりであります。東北開発促進にならないようなことには、決してならないようにいたしたいと考えております。
  96. 北山愛郎

    ○北山委員 ところが、あなたはどうおっしゃっても、この規定と、それから再建促進法の十七条、それと政令と比較してみればわかる。向うの方ではあの通りの政令になっておって、しかもその事業分量、そういうものは一定のパーセンテージでやっておる。しかも、その七五%というものも、今度はさらに引き上げなければならぬわけです。公共事業の率というものも、全体の率がふえていますから、その率が上ってくるでしょう。その指定事業の率が、向うは八十なりあるいは八十五に上ってくる。ところが、こっちの方は別の基準で、とにかく重要事業にしか補助率の引き上げがないのですから、普通の観念からいえば、十二条の補助率のかさ上げの適用を受ける事業分量は、再建促進法よりも狭くなる。この規定をそのまま読めば、そうなってくる。先ほどあなたもおっしゃった通りです。それでは東北開発促進にならぬじゃないか。東北以外の地区再建団体が、より大きい事業量の補助率のかさ上げを認められて、そうして東北の県がこれによって重要事業だけしか補助率の引き上げの適用を受けないというのでは、この十二条の規定のありがたみというか、促進意味が一向ないじやないか。この規定をそのまますなおに読めば、そうしか読めぬ。そうは思わぬですか。
  97. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 どの程度これが実体的にプラスになるかということを突き詰めて参りますと、あるいは御指摘のようなことになるかもしれませんけれども、重要事業につきましては事業量を減らさないで、とにかく二割の引き上げをやる、これは一つの特典だと思います。その他の点は地方財政再建促進法に基きまして、ほかの再建団体と同様になる。これは東北地方であるがゆえに、特別の恩典ではないのでありますけれども、七五%というものを、今回、御指摘のように、公共事業費も伸びたことでございますので、率を上げるといたしますれば、それだけで相当な、東北地方のみならず、全国的に地方団体についてはプラスになるわけであります。それで彼此勘案いたしまして、まあこの程度の補助率の引き上げでもって、東北開発促進に当り得るのではないか、それ以上のことをさらにやる必要はないのではないか、かように考えておる次第であります。
  98. 北山愛郎

    ○北山委員 今までのお話を聞きますと、地財再建法によって補助率の引き上げの適用を受ける東北以外の地区と、東北のこの規定による分と、ほとんど差異は認められない。この政令がどういうふうにきまるかということは別としても、観念上、とにかくこの規定でいきますと、最初に開発促進計画に基く事業というものに一つワクがあって、その中に指定事業というもののワクがあって、そのワクの一部が重要事業になる、その重要事業にだけしか二割の補助率の引き上げがないのです。だから、ほかの再建団体とほとんど選ぶところがないじゃないか、これだけは確かじゃないですか。
  99. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 再建団体と異なるところはないじゃないかという点につきましては、重要事業以外については全く御指摘通りでございます。しかしながら、重要事業につきましては、事業量の圧縮というようなことをとらないで、そのまま全部、いかに公共事業費がふえましても、重要事業については二割の引き上げになる、この点は明らかに特典だと思います。
  100. 北山愛郎

    ○北山委員 それは、今の再建促進法十七条の政令を改めて、そしていわゆる指定事業についての補助率引き上げを二割以内に段階をつける、ということを前提にしてのお話なんです。だから、私どもはどういうふうに補助率の段階をつけるのか、そういうものがはっきりしないうちは、その特典が果してあるのか、ないのか、わからないのですよ。重要事業だけは二割に確保されているのだということは、現状では、現在の再建法の政令では、これは差異がないのですから、一体どういうふうに政令を変えるのか、そういう政府部内の意見をまとめて出してこなければ、これと比較検討することはできない。そういうふうに一体きまっておるのですか、補助率の段階をつけることに政府としては……。
  101. 宮川新一郎

    ○宮川政府委員 政府部内といたしましては、三十一年度の再建団体に対しまする補助率引き上げを自治庁と協議いたしました際に、段階を設けようという約束になっております。従いまして、その約束に基きまして、現在検討中でございます。  それから、もう一つ、これは同じことを申し上げるようなことになりますけれども、事業量が現在の百分の七十五に圧縮した場合に、二割ということになっておりますが、百パーセントあるいは百何十パーセントというふうに今後公共事業費が伸びましても、重要事業については二割の引き上げをいたすという点は、これは明らかにこの法律のねらっているところでありまして、東北開発促進のために意を用いていると言えるのじゃないかと確信いたしております。
  102. 北山愛郎

    ○北山委員 それじゃとにかく、重要事業という抽象的な名前じゃしようがありませんから、重要事業というものはどういうものだか、これは政府部内の意見を統一して出していただきたい。ただ重要事業、重要事業と言ったって、どんなものが重要事業かわらない。重要事業というのは、どういうものをさすのだということを、一つ企画庁だとか、自治庁だとか、そういうものと相談をして、ここへ出してもらいたい。その上で相談しようじゃないか。そうでないと、十二条のありがたみがどの程度にあるのか、意味があるのか、今までの再建促進法の方がいいのではないかと思われるので、比較検討をすることができない。この促進法の全体の意味がわからない。その重要事業とは一体どんなものか、示してもらいたい。その上で一つ検討しようじゃありませんか。
  103. 植田俊雄

    ○植田政府委員 重要事業の範囲の問題でございますが、今後各関係省と相談をして決定しなければならぬ問題ですけれども、ただいま企画庁として私どもが頭の中に描いておりますことを申し上げますと、まず第一に、昨日お答え申し上げましたように、直轄の事業は、国が特に重点を置いて直轄しておりますから、直轄事業はほとんどすべて重要事業考えていいのではないか。次に交通路の問題ですが、交通が東北開発上重要な問題でありますので、ごくローカルな道路ですと、これは東北開発上重要というわけにも参らないと思いますけれども、縦断の国道とか、東西に貫通している横断道路、これは国道もあるし、県道もありますが、そういう性格のものは重要事業考えていいのではないか。また港湾にしても、一局部だけの使用に充てる港湾でありますれば、これは重要事業とも申せませんが、相当規模の大きい港湾でありますれば、これは単にその港湾所在地の市町村に益するばかりではなくて、ヒンターランドにも益し、ひいては東北開発全体の利益にもなる、こういうものは重要事業と言えるのではないか。また食糧増産関係の農地の改良にしても、相当受益面積が広いような場合には、重要事業考え得る場合もあるのではなかろうか、こういう考え方において、今後各省の予算が個所別にきまって参りますれば、その具体的な個所に、私がただいま申し上げましたような尺度を当てはめてみて決定いたしたいと考えております。
  104. 北山愛郎

    ○北山委員 開発部長の個人的な御見解ではしようがない。そういうことは、政府部内の関係省庁で、ある程度のめどをつけて、そして指定事業のうち何%くらいになるのか、大体の見当をつけなければ、この規定のありがたみがわからない。比較できない。それから再建法との関連もあるから、その点をある程度はっきりして、一々どの事業というふうに具体的にいかなくても、大体の大きさ、どの程度になるのか、それを一つ相談の上で説明してもらいたい。  もう一つは、先ほど大蔵省の方からお話があったように、地財再建法の政令を改めて補助率の段階をつけるというのですが、そっちの方もお示しを願いたい。大蔵省だけのお考えではしようがありません。政府のまとまった考えとして御説明願いたい。これがこの法案における一番の問題点です。そういう重要な点ですから、こまかいようですが、その点きょうでなくてもいいが、相談をして結論を出して下さい。
  105. 志賀健次郎

    志賀(健)委員長代理 午後は二時より理事会、理事会散会後委員会を再開することとし、この程度で休憩いたします。    午後一時十九分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は開会に至らなかった〕