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1957-04-16 第26回国会 衆議院 国土総合開発特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十六日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 五十嵐吉藏君    理事 川村善八郎君 理事 志賀健次郎君    理事 松澤 雄藏君 理事 竹谷源太郎君    理事 小平  忠君       愛知 揆一君    伊藤 郷一君       鈴木 直人君    夏堀源三郎君       三浦 一雄君    井谷 正吉君       石田 宥全君    川俣 清音君       北山 愛郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宇田 耕一君  出席政府委員         自治政務次官  加藤 精三君         経済企画政務次         官       井村 徳二君         総理府事務官         (経済企画庁         開発部長)   植田 俊雄君         総理府事務官         (経済企画庁         調査部長)   淺野 義光君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁長官官         房財政再建課         長)      長野 士郎君         運 輸 技 官         (鉄道監督局施         設課長)    田中 倫治君         建設事務官         (計画局東北興         業株式会社監理         官)      沢田 一精君     ————————————— 四月十六日  委員椎名悦三郎君、篠田弘作君及び田中利勝君  辞任につき、その補欠として鈴木直人君、夏堀  源三郎君及び井谷正吉君が議長の指名で委員に  選任された。 同日  理事松田鐵藏辞任につきその補欠として松澤  雄藏君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  参考人出頭要求に関する件  東北興業株式会社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九七号)  東北開発促進法案内閣提出第一一九号)     —————————————
  2. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事松田鐵藏君より理事辞任いたしたいとの申し出がありましたので、これを許可し、その補欠選任は、先例により委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、松澤雄藏君を理事に指名いたします。
  4. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 これより東北開発促進法及び東北興業株式会社法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を継続いたします。北山愛郎君。
  5. 北山愛郎

    北山委員 私は、主として開発促進法の方を中心にして二、三お伺いいたしたいのですが、この東北開発促進法というものを読んでみましたけれども、非常に簡単なもので、しかも東北開発促進するという点がどこであるか、実はよく納得がいかないのでございます。それで、一体全般的に見て、この開発促進法が、従来の開発の進度をどの程度に進めるのか、どういうふうに進めるのか、いわば、この法律ありがたみといいますか、そういうものがどこにあるか、ねらいがどこにあるか、ということを一つお伺いいたしたい。
  6. 植田俊雄

    植田政府委員 開発促進法は、条文といたしましては、きわめて簡単なものでありますが、内容としましては、相当な政府としての方針を盛り込まれたものと考えておる次第でございます。開発中心になりますものは、何と申しましても開発計画、この法文におきましては開発促進計画と申しておりますが、開発促進計画を立てまして、総合的な開発計画を立てる。これによりまして、従来関連をしております各種事業総合性確保する、あるいは施行の関連性確保しまして、経済効果が同時に上るように各種の方策を講じたい、かように考えるわけでございます。開発促進法中心は、ただいま申しました東北開発促進計画でございます。  次に、東北開発についての政府としての方針の問題でございますが、これは第十一条にございまして、「政府は、開発促進計画実施するために必要な資金確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施促進することに努めなければならない。」こういう条文がございまして、この条文によりまして、事業実施いたしますところの官庁はもちろん、資金の方を担当いたしますところの大蔵省におきましても、必要な予算の計上、あるいは財政投融資計画所要財源の調達その他につきまして、あとう限りの努力をいたすということに相なっておるわけでございます。  次の問題といたしまして、東北七県は、青森県を除きますれば、財政再建団体に属しますので、財政再建特別措置法が適用されておる範囲、時期におきましては、各種政府予算がつきましても、これを実行するのに各種制約がございますので、その制約を、合理的な範囲内において解除する必要があるわけでございます。その意味において第十二条に、地方財政再建促進特別措置法の特例というものを設けております。これによりまして、合理的な開発計画である限り、再建整備法制約をそう重視しないで実行できることに相なるのじゃないかと考えておる次第でございます。
  7. 北山愛郎

    北山委員 どうも計画を作るということが促進になると、私どもは、そういうふうに考えられない。計画については、すでに国土総合開発法によっていろいろな計画を作ることになっておる。ところが、東北については、開発法規定に基いていわゆる二県以上の地方計画ということで、東北開発計画を作ることも決して不可能ではない。だから計画に関する限りは、何も従来の法令によって進めることに支障がないじゃないかと思うのです。それをまた、わざわざ東北促進計画というものを作るということは、そこに何か従来の計画とは異なった意味を、今度の計画、あるいは促進法において持たなければならぬので、なぜ従来の国土総合開発法でできないのか。そしてまた、今度の促進法、あるいは促進計画というものは、従来の国土総合開発計画とはどういう関連に立つものであるか、この点を明らかにしなければ、今度の促進法意味がわからないと思います。そういう関係一つ明確にしていただきたい。
  8. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまお話のございましたように、国土総合開発法においては、各種開発計画を立てるのでございますが、その一つとして地方開発計画がございます。この地方総合開発計画につきましては、御承知通り数年前にすでに東北七県が連合いたしまして計画を作りまして、企画庁まで提出いたしております。その点も御承知のことでございますが、こういった地方から持ち上げてくる計画を、国で審査する形において開発促進することにするか、あるいは今回の法案にございますように、国が作った方針に従って、国が強力に、先ほど申しました十一条の趣旨に従って財源措置を考えて促進するか、こういうところに若干の違いがあるわけでございます。従いまして、国土総合開発法規定によりますると、東北にも地方総合開発計画ができますが、関東にも、中部にも、その他八つのブロック地域にそれぞれできるわけでございまして、それぞれの地域東北地方としての開発計画との性格上は、何ら差がないわけでございますけれども、今回は東北地方につきましては、北海道に次ぎまして、国が計画を作る、こういうところに相当な意味があるものと存ずるわけでございます。
  9. 北山愛郎

    北山委員 そういう点のみならず、今度の東北開発促進法目的と、それから国土総合開発法目的は、それぞれ第一条に書いてあるのですが、そこに若干の相違があるわけなんです。国土総合開発法でいえば、「国土自然的条件を考慮して経済社会文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地適正化を図り、」云々と書いてある。ところが今度のは「東北地方における資源総合的開発促進する」というように、資源総合開発だけに限られておるわけだ。従って、そこに若干の疑問を私は持っておる。国土総合開発と今度の開発促進法とは目的が違うのではないか。やはり事業、いわゆる計画範囲が違うのではないか。国土総合開発法は、国土保全あるいは産業立地整備というような問題も扱っておるが、今度の開発促進法は、もっぱら資源総合開発ということにしぼられておるのです。そういう点が違いがあるのではないですか。
  10. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまお話のございましたように、目的、かつ表現の仕方において若干違っておりますけれども内容におきましては、そういう違いがないものと心得ておる次第でございます。その点若干申し上げますと、国土総合開発法の方は、これは国が計画を立てるものもございます。たとえば特定地域計画につきましては、地方の提出して参りました計画を審議いたしまして国が決定するわけでございますが、その他の府県の地方開発計画になりますと、地方が作りました計画を国が承認するという格好でございます。そういう意味におきまして、国が直接開発計画を立てるという場合とは、若干違った点もございます。それから今度の促進法におきましては、第一条に「資源総合的開発」という表現をいたしたわけでございますが、これはもちろん資源開発が進みますれば、それに伴いまして、その地方の所得もふえるわけでございます。また、そういう形におきまして、全国的な経済拡大の段階において各地方間の均衡ある発展ということを望めるわけでございます。その点を法文には書いておりませんけれども、この促進法趣旨といたしましては、そういうところも当然ねらいの一つとして考えておるわけでございます。
  11. 北山愛郎

    北山委員 しかし、少くとも国土総合開発法においてその目的としておるところの国土保全とか、あるいは産業立地条件整備とか、そういう問題は、今度の促進法に入っておらぬのです。しかも第三条の第二項の中にも「開発促進計画は、東北地方における土地、水、山林鉱物電力その他の資源総合的開発促進に関する計画」ということでありますから、少くとも国土保全災害防除といったようなこと、治山治水といったようなことは入らぬ。それから厳密な意味における産業立地整備工業地帯整備というような問題は入らない。資源開発に関するようなことはある程度入るでしょうが、重点資源開発であって国土総合開発にいっておるような、今申し上げた大体二つのおもな点においては、この促進計画においては主たる目的ではないのだ、入っておらないのだ、こう言わざるを得ないのです。この法律明文上、はっきりそうなっておるのです。その点ははっきり食い違っておるのですが、どうですか。
  12. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまのお話のように、そういう疑問もあるいは起らないわけではないかと存じますけれども、第三条の第二項にありますところの「東北地方における土地、水、山林鉱物電力その他の資源総合的開発」、こう書いてございますが、これはいわゆる開発対象を考えておるわけでございまして、土地開発するということは、場合によっては土地農業用地にも開発いたしますし、場合によっては工業用地にも開発するわけでございます。その開発する手段といたしましては、各種産業基盤施設公共事業実施するわけでございます。その公共事業の中には、当然国土保全的な治山治水も入って参るわけでございます。その意味におきまして、内容的には従来の開発計画において取り上げておる事項とほとんど変りはないと心得ておるわけでございます。
  13. 北山愛郎

    北山委員 同じことであるならば、なぜこういうふうに二つ法律でもって違った表現をするのですか。やはり国土保全とか資源の利用とかいうようなことは、おのずからこれは関連はするけれども、別個の問題だ。事業としてもある程度はそこに限界があるわけです。従って、少くとも国土総合開発法という法律でそういうものが書いてあり、今度の促進法においては書いてないということは、それだけの違いがあるということは明瞭なんだ。これは解釈の問題ではない、誤解の問題じゃない、はっきりこういうふうに表現を違えておるのだ。従って、私は今度の開発促進法をそのまま見ると、やはり今までの各地域における開発計画なんかでもわかる通り国土保全とか資源開発とか工業地帯整備とか、そういう仕事の中で、もっぱら資源開発計画がしぼられてくるといいますか、そこに重点が置かれるのだ、そういう点で従来の国土総合開発とは違うのだ、こういうふうに解釈せざるを得ないのではないか。これは誤解の問題じゃない。法律明文がそういうふうにはっきり違えて書いておるのですから、そういうふうに解釈せざるを得ないのです。表現を別にしておいて、同じ解釈なんということは言えないのではないですか。
  14. 植田俊雄

    植田政府委員 私どもこの法案の立案に当ります場合におきましては、国土総合開発法趣旨とは違った開発計画を作るという考えは毛頭持っておりませんし、またこの法案字句通りで、同一の解釈ができるものと心得ておったわけでございます。これはまことに言いわけになるので、申しわけないのでございますが、こういった開発促進法を作ります場合に、北海道開発法というものを参照いたしたのであります。実は北海道開発法の第一条に同様の表現字句がございます。しかも北海道開発計画には、国土保存的な計画もあると存じておりますので、そういうふうに解釈できるものと考えてこの案を作ったわけでございます。
  15. 北山愛郎

    北山委員 これはやはりこの国土総合開発法の中の、産業立地適正化をはかるとか、最終的には、社会福祉の向上をはかるということを目的とするという趣旨と、おのずから違ってくる。資源開発ということならば、ただそこにある資源開発しさえすればいいので、その土地の住民の福祉というようなことは間接の意味しかない。地下資源なら地下資源を取り出してきて、どこかに持っていっても、それでも資源開発にはなる。私はそういう意味では、国土総合開発と言う方が、やはり最終的な目標というものがはっきりする。今度のやつはもっぱら資源開発促進ということになって何かしら資源開発だけの計画促進ということで、はっきりとそこに目標が違うように考えられるのです。そういたしますと、今のような解釈ですと、開発促進計画というものは何を盛るのかということが出てくる。第三条の二項に「土地、水、山林鉱物電力その他の資源総合的開発促進に関する計画」こういうことになっておりますが、今のお話でありますと、治山治水から、砂防から、港湾から、あるいは工業用水とか、あるいは災害復旧であるとか、そういうような広範な、いわゆる公共事業というような観念の内容になるような事業は、その促進計画の中にほとんど入るのだ、そういうふうに了解していいですか。
  16. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまのお話になりました通りでございます。ただお話の中の災害復旧につきましては、これはまた別の系統の年次計画がございますので、これはそちらの方に譲っていい問題かと思いますが、災害防除という性格のものは、当然入るものと考えております。従いまして、従来国土総合開発計画の中に入っておりました性格のものはすべて入る、こういうふうに御了解願って差しつかえないものと存じます。  それから、先ほど来お話がありました社会福祉的な問題でございます。この点も、この計画を作る際におきましては、計画書としては入って参りませんけれども、十分そういうところも留意して計画を作って参りたいと考えております。
  17. 北山愛郎

    北山委員 そのような促進計画を作って、そうして特にこの法律でそれが促進されるという保証といいますか、裏づけはどこにあるか、先ほどの予算的な裏づけ規定ですね。第十一条の「開発促進計画実施するために必要な資金確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施促進することに努めなければならない。」この規定を示されましたが、この規定はよくある規定なんです。特に、国の財政の許す範囲内においてやる、国土総合開発法の中にもその規定がある。しかしこういう規定の実体がどういうものかということは、もう皆さんも御承知通りです。財政の許す範囲でということで、金がないということで進んでいないのですから、そういう規定を置いたからといって、従来の状況で見れば、少しも促進にならない。なるという保証はどこにもない。何か促進計画を作ってやれば、東北開発促進されるという保証が、これ以外にはどうも見当らない。そこで、大臣もおいでになりましたから、お伺いするのですが、前にこの委員会開発促進法についてお伺いしたときに、大臣は、どうもいろいろ準備も整っておらないから、この法律はまあ出さないだろう、政府としては提案をしないだろう、こういうふうに言われてすぐその直後に、今度は出すことにきまったわけです。ということは、要するに、この促進法そのものに、内容的に見ても、企画庁としては自信を持っておらないのじゃないか、あるいは、与党の方からおっつけられたような格好になって内容はどうであっても、とにかく促進法という名前の法律を出さなければならぬから、その責任を政府がしょって出したのだ、こういう経過じゃないですか、どうですか、正直なところをお話願いたい。
  18. 宇田耕一

    宇田国務大臣 そういうわけではありません。私の方の、政府準備が十分でない点がありましたので、なお検討いたしておりましたが、そのうち政府の方で準備が整いましたから、ここに御審議を願うことになったわけでございます。どうかあしからず御了承をお願いいたします。
  19. 北山愛郎

    北山委員 それから、先ほど開発部長が言われた、この法律ありがたみといいますか、一つの問題は、地方財政再建促進法の第十七条の例の制限、これをある程度取っ払うのだ、こういうことなんですが、この第十二条というものは、よく読んでみると、従来の地財再建促進法の十七条、従来の運営でも、この程度くらいのことはやってきたのじゃないか、自治庁としては東北開発については、ある程度理解を持ち、そうしてかりに再建団体である県についても、必ずしも七五%で公共事業を制限するというようなことをしないで運営してきた。現在の地財再建法でもやれることが、あらためてこの第十二条に書いてあるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、自治庁側の率直な御意見を承わりたい。
  20. 長野士郎

    長野説明員 この現行の再建法におきましても、東北開発については、運用上やっていけたのではないかというお話でございます。従来におきましては、東北開発促進法というような建前の上で考えたわけではございませんので、東北各県におきまするところの公共事業は、財政再建を阻害しないでできます範囲、それからまたその場合に、特別な開発に基く、従来の国土総合開発その他によるところの事業東北各県にございましたので、そういうものについての考慮はいたしたわけでございますけれども、今回東北開発促進法によりまして、その開発に基く事業がはっきりと法律上明確に規定をされるようなことになりますれば、これは確かにそういう意味で、一つ特別な地位を東北開発事業については与え、またそれについて考えざるを得ないことになるだろうと考えております。
  21. 北山愛郎

    北山委員 どうもよくわからないのですが、おそらく自治庁としても、この第十二条はあっても大した規定でないと思われておるから、その気持が現われておるんじゃないかと思うのですが、率直にいって、地財再建促進法運用でいけなかったのか。あるいはそれ以上に、今度の十二条というのを設ければ、何らかのありがたみがあるなら、その違いがどこにあるのか。むしろ逆に、従来よりも範囲が狭まるんじゃないかというようなおそれすらある。再建団体について、いわゆる補助率を二割かさ上げするということは、この促進法規定によると、むしろ従来よりも狭くなるんじゃないかという感じがする。だから、地財再建法運営によってもできないものがあるんだ、この十二条ではずっと幅が広くなるんだ、ここにありがたみがあるんだということがあれば、それをはっきりしてもらいたいと思います。
  22. 長野士郎

    長野説明員 十二条につきましては、問題が三つ考えられると思うのであります。第一項におきまして、開発促進計画に基く事業再建団体が行います場合は、再建が合理的に達成できると認められる限りは、必ずその事業実施について確保しなければならないということで、再建計画の変更というようなことが当然予想されるということを、法律は前提にしておるように考えております。従いましてこの法律建前からいいましても、開発促進法に基きますところの開発計画によりまして事業がふえてくるということを予想しておるのじゃなかろうかと思います。そういう場合には、必ずその事業実施確保するようにしろということでございますから、その点で、一つ事業実施上の確保という問題と、財政再建という問題の調整をここで考えておるということが言えるのじゃなかろうかと思います。  第二番目には、第二項の問題でありますが、お話のごとく現在までのところにおきましては、再建法に基きますところの指定公共事業と申しますか、公共事業の中で指定をされておりますものは、再建団体においてはその補助率を、通常の補助の割合よりも二割だけ引き上げることにいたしております。これは例外なくそうしておるわけでありますが、ただ昨年度の経験にかんがみまして今後の問題というものをいかように取り扱うかということで、本年度につきましては、関係省の間におきまして、なお現在の指定事業制度というものを再検討するということになっておりまして、まだ結論を得ておらない状況でございます。そういう場合に、そういう結果がどうなりましょうとも、この促進法に基きますところの開発計画に基く事業中のある一定のものにつきましては、そういう指定公共事業制度が、全体としてどうなりましょうとも、その部分については二割だけ必ず引き上げるんだという、法律保証を与えておるというふうに考えられます。  第三番目におきましては、第三項の問題でございますが、現在の地方財政再建促進特別措置法におきましては、再建債を起して赤字を長期たな上げをいたします財政再建団体、これを普通の財政再建団体と申しておりますが、その団体のみが、指定公共事業について特別な扱いを受けることになっておるわけであります。この第三項を拝見いたしますと、今後再建債を起さないで、準用団体として財政再建を行います県につきましても、指定公共事業制度を特別に準用するということになっております。そういう意味で、そういう県については、指定公共事業一定のものにつきましてはどうなろうが、この二割引き上げ保証するという新しい道が開かれたわけでございますから、その点につきましては、一つ法律上の保証が行われたということになろうかと思います。  大体以上の三点が、今までの制度よりは、法律規定が具体的に明確にされましただけに、保証されたということになるんじゃないか。もっとも問題は、開発促進計画でいかなるものを内容とするか、ということにかけられておるようにも考えられますが、一応法律上の建前としては、保証されたと申しますか、そういう道がはっきりと示されたということになるのではなかろうかと考えております。
  23. 北山愛郎

    北山委員 この開発促進法の中で、一番ありがたみがありそうな第十二条というものは、実に奇態な法律なんですね。開発促進というのじゃなくて開発促進のための補助率引き上げなり何なりの恩典を受けるためには、一度赤字団体にならなければならぬ。赤字団体にならぬと、その資格がないということなんです。だから、今、長野課長が最後にお話になった、いわゆる準用団体規定でも、再建団体でない県が、東北には青森県が一県あるので、青森県が除外されては困るというので、準用団体についてもこれを適用するという規定を設け、そうしてまた青森県の方も、わざわざこの促進法規定の適用を受けるために、準用団体になる。青森県は自主再建でやっておったものを、わざわざ準用団体にならなければ、この開発促進法の恩典を受けられない。こういう経過にあるわけです。だから、開発促進といって、東北にある地方公共団体に対して、開発促進のためにいろいろな補助率を高めるとか、そういう促進上のいろいろな措置をやろうという趣旨が、この資格を得るためには、一度赤字再建団体にならなければならぬ、あるいは準用団体にならなければならぬというような、法をくぐらせるというか、これは非常な矛盾じゃないだろうか。加藤さん、どういうふうにお考えなんですか。
  24. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 どうも非常にむずかしい御質問でございましてわれわれからお答えできるかどうかわからないのでございますが、申し上げますと、大体が再建促進特別措置法というものが、何か非常に地方団体をいじめるために存在しておるようにおっしゃるのでございますけれども自治庁といたしましては、むしろ非常に地方団体に利益を与えるためにこの法律を作ったことは、御承知通りでございます。御質問になられました北山委員も、そういう御趣旨で御立法になったものだと考えておるのでございますが、その結果が非常に行政取扱いがよろしくないという御意見だろうと思いますけれども、そういう点は大いに改善していきたいと考えております。なお十二条は政府部内におきましても非常に問題になった規定でございますので、あまり詳しく申し上げるのもどうかと思いますが、結局は地方団体財政再建ということは、今のわが国の地方行政におきまして非常に重要な事項でございますので、それを何もかもほったらかして、東北開発、振興だけの面をいくということにはしないで、そこを調和していきたいということに考え方を置いておるわけでございますから、そういうふうに御解釈していただきたいと思うのでございます。  重要事業というものをどういうふうに定めるかということが、非常に大きな問題なわけでございますが、これに対しましては本法に、「自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める」ということになっております。もとよりこの立案に当りましては、各関係事業省とも十分協議してきめることにいたしておるのでございまして、また重要事業でない指定事業について、百分の百二十の率を減らすというようなことは絶対にないように、自治庁当局、大蔵省当局等の間におきまして、覚書を交換しておるようなわけでございまして決して御心配のごとき窮屈な取扱いにはいたさない覚悟でございますので、御了承いただきたいと思います。
  25. 北山愛郎

    北山委員 私のお伺いしておるのは、開発促進法があるならば、地財再建法なんか何も借用しないで、そんな手を借りないで、東北の県なり、あるいは市町村なりがやっておる事業について、これこれの事業については二割の補助率を高めるのだ、なぜそう書けなかったのか、これでは一応赤字団体でなければ、また赤字団体にならなければ、開発促進法の適用を受けられないということになって、考え方としてもおかしいのじゃないかということです。  それからもう一つは、ただいまの最後にお話になった、いわゆる第十二条の第二項の「自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める重要なもの」と限定されている点なのです。これは事業範囲というものがどの程度になるかということで、非常に大事な点ですが、この規定を見ると、開発促進計画に盛られておる事業というものが大ざっぱにある。その中で再建法十七条の政令でいわゆる事業が一部指定されてある。その中で、さらに「自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める重要なもの」ということで、三段階なのです。まず開発促進計画の門をくぐらなければならぬ、その次に、地財再建法の十七条の指定事業の門をくぐり、最後に「自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める重要なもの」ということであって、非常に限定されておるのです。だから、むしろ私が申し上げたように、地財再建法運用よりも狭くなるのじゃないかという心配がそこにある。そういう点から考えても、この規定は、むしろ再建法運用によって行われるよりも、もっとありがたみのないものになるのじゃないか、こういう点をお伺いしておるわけです。
  26. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 ただいまの点は、私の理解するところによれば、赤字団体というその大前提の言葉なのでございます。赤字が出る場合は、実質的には全部赤字団体なわけなのですけれども赤字団体にならなければ恩恵を受けられないということでございますが、赤字であっても、自主再建できる場合もあるし、それから促進法指定を受ける場合もあるわけなんで、さきに申しましたように、再建促進特別措置法そのものは、何も赤字団体をいじめるだけの法律じゃないのでございます。また東北開発促進法の恩恵を受けるためには、特に貧乏にならなければならぬということはないわけでございます。その点私たちの考え方からいけば、赤字赤字としてこの赤字は、単に各地方団体だけの責任だけでできるものでもないことは、御承知通りでございますし、また過ぎ去った赤字はどうしても整備して、健全なる地方財政の上に立ち、均衡財政の上に立って、地方自治の発展をはからなければならぬという観点から、再建指定を受けても一向不名誉でも何でもないので、その点が、あるいは北山委員と御意見が違うかもしれませんけれども、そういう観点から見まして赤字団体にならなければ、東北開発の恩典に浴し得ないという考え方が、どうも十分に理解できないのでございます。それで、これはちょっと意見の相違になるかもしれませんけれども、その点を申し上げておきます。  次に、再建指定事業と、それから重要事業との関係は、これは重要事業の中に、また指定事業があるような御心配をしておられるようでございますけれども、そういうわけではないのでございます。重要事業の一部は、再建指定事業になり、また再建指定事業の一部は、重要事業になる、こういうふうなわけでございまして、それによって、再建団体の積極的な公共事業等が制肘されるわけではないのでございます。その詳しい関係は、関係説明員より御説明いたさせます。
  27. 長野士郎

    長野説明員 指定事業につきまして重要事業と書いておりますが、現在の再建法建前におきましても、過去三カ年の実績の七五%というものを基準需要額と考えておりますけれども再建団体の中で、事業の緊要度——緊要な事業がある。そういうことを考慮して、自治庁長官が定めました場合には、その割合を越えましても、二割の補助率引き上げることにするんだという規定がございますが、東北開発促進法におきましては、緊要度というものが、たやすく新規計画というもので裏づけられるわけでございますから、その点で、さらにはっきりした計画として取り上げていくべきものと考えております。
  28. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 関連。ただいまの北山委員政府の答弁に関連して、さらに明らかにする意味において、質問いたしたいと思います。この点は東北開発促進法の非常に重点項目でございますので、今後これを東北七県が推進していく上におきましても、これに対する解釈なり方針がはっきりしておらないと、今後非常に困難な事態も起るかもしれないということを考えております。  そこで、北山委員政府との間における質疑応答もございましたが、北山委員もちっともはっきりしないというようなお話でございますし、私も実ははっきりしないのであります。そこで、まず第一点でありますが、第一項が加藤政務次官の、苦心の作である、政府の苦心の作であるという点は、東北開発が非常に重要なことである。国策的にも、地方のためにも、重要なことである。だから、政府としては相当重点的に考えなくてはならぬ問題である。これは地方財政再建ということである。たまたま東北の六県はその再建団体に入っておる。青森県はこれに準用されるということになる。この点については別として……。そうすると、この非常に重要なる東北開発という事業のために、府県の現在やりつつある財政再建がくずれるということになると困る。こういうようなお話でございました。従いまして、両善主義と申しましょうか、財政再建の線はくずさない、という点と、そうして重要な東北開発計画は進めていく、この二つ重点項目を、二つながら目的を違成しようとするのが、この第十二条であった、こういうような意味の加藤政務次官の御答弁でありました。条文もその通りになっておるのであります。そこでお聞きしたいのでありますが、その第一の重点である財政再建が合理的に達成できると認める限りということが、その第一の重点の線をくずさないという文句だろうと思います。ところが、財政再建が合理的に達成できると認める限りということは、一つの土俵である。その範囲内において開発計画を国が実施していくんだ、こういうことになっておると、その土俵の中において開発計画というものの事業が行われることになるわけです。ところが各府県におきましては、歳入と歳出の関係がありまして、歳入の範囲内において歳出の予算が組まれることになるわけです。そうすると、歳出の予算の中に、先ほどお話がありましたいわゆる指定事業が加わるわけでありますから、その指定事業が——開発計画というものも指定事業の中においてのみ行われるのであります。いわゆる開発計画が個々に行われて、そうして指定事業として指定されておらない開発促進計画については、国の援助がないようになっておる。この点については、あとから質問申し上げるのでありますが、この開発計画というものは指定事業のうちの一部である、こうい月ふうになっておる。しからば指定事業予算がそこにある。その際に、開発計画だけが優先的に、無条件に取り上げられていくということになると、残った指定事業というものは自然圧縮されるという結果になるのじゃないか、圧縮しなければ、開発促進計画というものが、合理的に達成できる限りという範囲の土俵から出てしまう。ところが、われわれの考えている東北開発というものは、指定事業以外にプラスしたいということ、いわゆる全国一律に各府県が持っている指定事業の平均よりも、東北開発計画というものをさらにプラスしたい、こういう考え方でありますが、この条文によりますと、全国一律に考えている指定事業の中において東北七県においての開発計画に重きを置く、こういうことでありますから、そうすると、開発計画重点的に取り上げますから、予算範囲において指定事業というものは自然圧縮せざるを得ないのじゃないか、そういうことが考えられるのであります。もし圧縮しないで、各府県並みの指定事業をやるとするならば、その部分は、ほかの府県より以上の財源措置をしなければならぬということになります。  そこで、私がお聞きしたい第一点は、開発計画というものを優先的に、無条件に受け入れるために、他の指定事業が圧縮されるかどうかという点についてお聞きしたい。何か聞くところによると、それは圧縮しないんだ、そのために指定事業というものはあおりを食うことはないんだ、というような覚書のようなものが関係各省間に取りかわされておるとかいう話も聞くのでありますが、そういうような覚書があるのであるかどうか、その点をまず第一にお聞きしたい。
  29. 植田俊雄

    植田政府委員 だたいまのお話にございましたように、三つのワクに分けてのお話でございます。一つ再建整備法指定事業一つ開発促進計画に載っておる事業一つ促進計画の中の重要事業、この三つに分けてのお話でございますが、開発促進計画内容といたしましては、現在再建整備法指定事業になっておるものは、おそらく全部入るんじゃないかと考えております。これはもちろん、この法律によりまして、審議会が構成されまして審議会の委員の皆さんの意見によって決定するものでございますが、おそらく指定事業はほとんど入るのではないか、むしろ指定事業以外におきましても、たとえば林産開発のための林道でありますとか、あるいはそれ以外の、公共事業ではありません、いわゆる狭い意味公共事業ではありませんが、電源開発その他の産業基盤的な事業も入るのではないかと考えております。その他の問題、指定事業開発促進計画によるところの事業との間に相当開きがあるのではないかということについては、かりに起るといたしましても、そう大きな問題はないのではないかと考えます。  そういたしますと、開発計画に載っておる事業の中で、重要事業と、そうでないものとの間の問題が一番大きな問題ではないかと思うのであります。重要事業重点を置きまする余り、再建整備計画の中における重要事業ならざる指定事実が圧縮されるのではないかという御心配があろうかと思います。その点につきましては、関係各省に覚書を交換いたしまして、ただいま読みますような覚書がすでに成立しておるということを御承知願いたいと思います。「東北開発促進法案第十二条第二項の規定により定められる重要事項の補助率引き上げは、当該事業量のいかんにかかわらないものであって、指定事業量の決定に当っても重要事業は別ワクとして計算するものとする。」重要事業は別ワクとして計算されますから、重要事業の方が非常に伸びるということになっても、開発計画に載っておる他の事業には影響を与えたい、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  30. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 今読み上げられたのは、第二項の補助率引き上げに関するところの覚書ですが、第一項の問題とひっくるめて、一般的な従来の指定事業事業はそのために圧縮はしないのだ、こういう覚書であると解釈してようございますか。そうして、それには二割のいわゆる補助のアップをするのだ、こういうふうになっておるのかどうかをお聞きしたい。
  31. 植田俊雄

    植田政府委員 ただいまのお話通りでございまして、重要事業ならざる指定事業につきましては、現在の状況におきましては、補助率二割アップということになっております。
  32. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 それでは、この開発計画が行われて、そうしてそれを盛り入れるために、一般的な指定事業のワクを減らすことはしないし、またそれについては、現在の制度である限りにおいては、百分の百二十の補助率はやるのである、こういう覚書である。これは政府内部の覚書ではあるけれども、これは今後の行政取扱いとして、厳然として実施できるものであるというふうに解釈をいたしておきます。  第二点でございますが、第二項によりまして、先ほど北山委員が質問をされたのでありますけれども、一二〇%の国の特別な助成というものは、再建整備法の第十七条に基くところの指定事業に限るのである、こういうことであります。従って、要するに第十二条に、第十七条に規定する事業に該当するもののうち、こうなっておりますから、この再建整備指定事業に入っていないところの、いわゆる再建整備法第十七条に規定されていないところの事業、それ以外の開発計画については特別の補助はない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  33. 植田俊雄

    植田政府委員 これは先ほど来自治庁の方からもお話がございましたように、重要事業については補助率の二割アップということを法文で明記いたしましたが、それ以外の事業につきましては法文で明記していない、これだけの違いでございます。それ以外のものにつきましては、再建整備法の系統の政令によって補助率がきまって参るものと考えております。
  34. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 重要事業という抽象的なことでありますが、一つ法律に基くところの言葉を使って答弁をしていただきたい。すなわち、この法律に基けば、再建整備法の十七条及びそれに基く政令に指定事業というものが列挙されている、その列挙されている以外のもので、東北開発重点事業というものは当然あるはずです。たとえば林道のようなものがあるはずです。林道は百分の百二十の補助は現在受けていない、というのは、指定事業になっていない、再建整備法に基く指定事業として指定されているものの中に、林道は入っていない。ところが、今度山林というものが入っていますから、おそらく林道についても東北開発重点のものとして、これはいずれ決定されると思う。その際に、第一項によってそれは取り上げるということであれば、第二項において林道とかそういうものについては百分の百二十という補助はもらえないということになっておるのですが、その点はどうかということです。
  35. 植田俊雄

    植田政府委員 財政再建特別措置法十七条におきまして、指定事業の根拠の規定がございます。それに基いて施行令の十条二におきまして、指定事業範囲が明確になっております。この指定事業を一々申し上げる必要はないかと存じますが、その中には林道は入っておりません。林道は、施行令の十条二におきます「国又は地方公共団体が管理するもの」という概念に入らないものでございますから、ただいまのところは林道は入っておりません。従いまして、指定事業ではございませんから、重要事業としてこれの補助率の二割アップもしないわけでございますし、また重要事業以外におきましても、これが開発計画に入っておりましても、それについては現在の再建措置法の系統の補助率のアップはできないわけでございます。
  36. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 実はわれわれの希望といたしましては、再建整備法において、今の政令の十条の二に規定してある事業以外でも、開発計画によってこれが重点であるというものについては、百分の百二十の補助がほしい、こういう考え方をもってわれわれは党内の特別委員会においても推進しておったのでありますが、政府の原案によりますと、再建整備法に基くところの政令十条の二に指定事業として列挙された以外のものについては、東北開発のいかに重要な事業といえども、百分の百二十の率はもらえないということになるので、これは私個人としては非常に残念に考えておるのです。  そこで第二は、これによりますと、今、北山委員が言われたように、十条の二の指定事業に入っているもののうちで、自治庁長官と企画庁長官とが相談して、これがいいというものだけには百分の百二十をやるのだ、こういう規定になっている。ところが、東北開発の適用外の、他の整備府県においては、指定事業全体について百分の百二十というものがもらえるように政令でなっている。でありますから、現在の政令がある限りにおいては、この法律は要らないとい得ると私は思います。ところが、先ほどの課長の話によると、今度近く政令を改正しようとしているのだ、もう今後は百分の百二十の補助再建団体にはだんだんやらないように政令を改正するという案があるのだ、そうして、そういう政令の改正が行われた場合においても、企画庁長官と自治庁長官がきめたものについては百分の百二十を残す、それがこの法律規定したものである、政令は百分の百二十をやめようとしても、この部分については法律があるから百分の百二十が残るのだ、これがこの規定意味であるというようなお話でありましたけれども、他の再建団体について、百分の百二十の政令をだんだんなくしていくという傾向がございますれば、これは全国の再建団体に対する方針の変更になるのでありまして、東北開発だけではありませんが、先ほどの説明から、どんなふうになっておるのですか。
  37. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 全国の地方再建団体財政を御憂慮の余り、大へん御心配しての御質問でございまして、まことにありがたく存ずるのでございますが、その点は、大体におきまして御心配のような事態が発生しないだろうと存じますので、そういうふうな御推察をいただきたいというふうに私考えております。どうかよろしくお願いいたします。
  38. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 もし今政務次官がお話のようなことであるならば、私は「自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める重要なものに要する経費に係る」という部分を削除してもいいと思う。こんなものは必要ないのじゃないか。自治庁長官と経済企画庁長官が協議しても、しなくても、指定事業には全部百分の百二十もらえるのだから、そういう特別の法律規定を設けられる必要はないのじゃないか。北山委員も、かえって悪くなりやせぬかということを言われたくらいなんですが、この項目をなぜ削らなかったか、どうしてそれを入れたか。これはなくても、今の政令で厳然として百分の百二十もらえるわけですが、その点をどういうふうに考えられますか。
  39. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 この点は、東北開発そのものが、東北開発振興して、国家全体の振興に奉仕しようという非常に大きな理想に燃えてやっているわけでございまして、この委員会の重要性もそこにあるわけです。そういうふうな関係から、一つおもに東北開発振興を論議の対象にしていただければ、大へんありがたいのでございますが、なおその上、鈴木委員の御心配になるようなことは起らないことを信ずるものであります。なお負担割合の問題につきましても、少くとも法律の負担割合が保証されるということが一つの利益でございますので、そういう点をお考え下さいまして、一つ十分御推察をお願いいたしたい、こう考えております。
  40. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 自治庁長官と経企庁長官の間だけで相談をすると法律ではなっておるけれども、これ以外の関係各省とも実際には相談をしてきめるのだというようなことが、何か政府間の覚書があるということでありましたが、何かそのほかに御意見がありましたら……。
  41. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 政府間の覚書のことは、政府間の覚書としてなるべく御了承いただきたいのでありますが、万事東北開発が順調に振興いたしまするように、十分政府としても配慮いたしますので、どうぞ御推察をお願いいたしたいと思います。
  42. 北山愛郎

    北山委員 ただいまの加藤さんの御答弁、国が東北開発促進するという角度からものを論じてもらいたい。私どもそのつもりでおるのです。だから、今度の開発促進法についても、促進計画というものは、国の見地から国が作る計画であるということですね。しからば促進についても、国が責任を持ってやったらどうか、こう思うのです。それを地方財政再建促進法なんかを引っぱり出してきて、それを引用してきて、そうして再建団体にならなければ、準用団体にならなければ、補助率の加算ができないというようなことは、おかしいのじゃないですか。地方団体赤字であろうが、黒字であろうが、そんなことにおかまいなしに、国の立場から東北開発促進するなら、そんな地財再建法なんかを引っぱり出してこなくてもいいような規定を作ったらいいのじゃないですか。それで今も質疑があったように、非常に疑問点がある。もしも政府東北開発促進しようと思うならば、第十二条の第二項の、再建促進法の十七条の政令で指定する事業の中で、事業全体に百分の百二十の補助の加算をする方が東北開発促進になるのか、またその中から重要事業だけをピック・アップして、その分についてだけ補助率を上げる方が東北開発促進になるのか、一体どっちがいいのですか。東北開発促進するなら、指定事業全部に百二十の補助率引き上げをすべきではないか。それをわざわざその中から重要事業だけピック・アップする方が、かえって促進にならないのじゃないか、なぜこんな規定を置くのか、こう思うのです。企画庁長官は今お話を聞いておわかりになると思うのですが、どうですか。
  43. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 横っちょから答弁して大へん申しわけありませんが、同じく長く地方行政をやっております北山委員の御質問でありますので、私からお答えした方がいいのじゃないかと思いますから申し上げますけれども、大体東北開発促進法というものは、東北の利益をはかるということよりも、むしろ東北開発を通じて国家の利益をはかるということを目途としておるものだと私は考える。この点は北山委員も御同感だろうと思う。そうしますと、今度は地方財政再建整備特別措置法の方は、北山委員地方行政で立法に御参画になったと思うのでありますが、これは何かいかにも地方団体をいじめるための法律のようにたびたび言われるのを、私は非常に不思議に思うのでございます。何と言いましても、これは赤字で困り抜いている団体に対して、政府資金を安い利率で貸し付けたり、非常に恩恵を与えて保護しようということなんでございまして、これこそ保護立法だと思います。そうなりますと、両方を適用したところが、罪悪でないと思うのでございます。そういう観点に立ちまして考えますときに、再建指定事業の多くは東北開発にも役に立つだろうと思いますので、相当程度重要事業は、再建整備団体指定事業のうちで多きを占めるだろうと思うのでありますが、事実上他の法律関係で、指定事業になり得ない開発事業があるわけでございまして、それらはそれらの面で、特に補助率は別といたしましても、所管の省におきまして、できるだけ東北開発の所期の目的に沿うごとく、国家的に考えて運営してくれるだろうと思うのでございます。百分の百二十の問題につきましては、たびたび申し上げますように、全国の再建団体指定事業そのものが、法律的には百分の百二十という高度の補助率指定されてないわけでございますので、少くとも東北振興に関する重要事業に限ってそれを補助する、こういうものでもなければ、あるいは四国地方開発促進法とか、九州地方開発促進法とか、どんどん出る関係もございましょうし、かれこれつり合いのこともありましょうし、この程度にしていただくことが、全般の法案の成立の上にも正しかろうと考えるのでございます。どうぞあしからず。
  44. 北山愛郎

    北山委員 加藤さんは地方行政でもおなじみなわけで、少し情が移り過ぎて、話が混乱してしまいますので、開発促進するという立場から企画庁長官に伺いますが、今の話を聞いておって長官は一体どうお考えですか。東北開発促進するということは、その事業をどんどん進めるために、東北団体赤字団体であろうが、黒字団体であろうが、国の立場から東北開発促進するという趣旨からいえば、こんな地方財政再建促進法なんかを利用して——むしろ悪用ですよ、悪用してこなくても、もっとすっきりとした補助率引き上げなり何なりが考えられていいのじゃないかと思うのです。そういう点について、企画庁長官はこの規定について一体どう思うか、お伺いしておきたい。
  45. 宇田耕一

    宇田国務大臣 既存の法律があって、そのあとで開発促進を行おうという場合の、それは過渡的な非常に複雑な経緯だと私は思っております。本来の趣旨は、北山委員の申されるのが本来だと私は考えます。しかし、ただ過渡的な、たとえば地方財政再建に関する特別措置というようなものは、非常な特別な措置で、過渡的な措置でありますから、こういうものが東北で適用される県が多い、また適用されない県もあり得るという場合には、こういうふうな過渡的な措置というものの法律の立法体系はやむを得ないものではないか、こういうふうに思っております。本来の趣旨はあなたの仰せられる通りと考えます。
  46. 北山愛郎

    北山委員 地財再建東北開発というものは別個の問題なんです。たまたま東北の各県、七県のうちで六県が地財再建法再建団体であったということから、この十二条を設けた。ところが青森県が再建団体でないということで、今度は青森県の方があわててそれを陳情した。それならば準用団体になれ、再建法準用団体になったならば、同じように適用してやろうというふうに、わざわざ促進法の適用を受けるために、青森県が再建法準用団体になるということは、まことにナンセンスだと思うのです。しかも開発促進事業という点から見れば、これは県ばかりではない、市町村も関係があると思う。こういう規定にしておるならば、これはやはり市町村まではおろせないというような格好にもなる。地財再建ということは地方財政赤字克服のための便法であって、特別措置なんです。しかも暫定的な措置なんです。だから、それを東北開発促進というようなことに結びつけることは間違いだと思う。青森県がそういう事情で準用団体になることについて、企画庁はよく御存じだと思うのです。そういう経過になっておると思うのですが、その点をはっきりしてもらいたい。青森県が陳情して、そしてそのために、わざわざ準用団体にも適用するというような規定を突っ込んで出したのだという事情があると思う。そういう事情をはっきりしていただきたい。
  47. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 自治庁としては、各府県の財政の実情や、また各種の法令が各地方に適用になり、施行されることについて関心を持っているのでございまして、陳情とか、その他のあるなしにかかわらず——私はそういう陳情は聞いておりませんが、事務の調査を政府及び党から協力を求められたことはあります。しかしながら、そういうことに関係なしに、青森県がこれから東北振興の大事業の一部を担当するについては、その財政との調整を保つ必要があって、青森県も準用団体になった方がいいということを確信してこの十二条の第三項の立案に入ったわけでございます。その点どうぞ御了承いただきます。
  48. 北山愛郎

    北山委員 企画庁はどうなんです。これは今私が申し上げたような事情によるのじゃないのですか。今のお話ですと、促進法関係なく、青森県は地方財政確立のために準用団体になることにきめたのだ、こういうお話ですが、私の承知しておるところでは、そうじゃないのです。この促進法の原案が検討されているうちに、もしも再建団体だけにこの促進法が適用になるということになれば、青森県は自主再建だから受けられない、こういうことで、あわてて陳情に来た。ところが、それならばしょうがないから、準用団体にでもなかったらどうかということで、法律の方もそういうように直し、青森県の方もあわててその促進法の適用を受けるために準用団体になったのだ、こういう事情にあるのじゃないかと思うのです。こういうふうにこの法律が、この十二条の適用を受けるためには、赤字団体というか、再建促進法の準用を受けなければ、この恩典を受けられないなんということは、私はばかげていると思うのです。そういう事情はないのですか。一体企画庁はどうです。
  49. 植田俊雄

    植田政府委員 先ほど来お話のありましたことと同じようなことになるかと存じますけれども東北の六県は再建整備団体であり、青森県についても同じような財政状況にあるわけでございまして東北開発促進するためにおきましても、再建整備法との関連を明確にする必要がございますので、財政再建措置法の特例措置を講じたわけでございます。その際におきまして、私どもといたしましても、六県は再建整備法の特例措置でいけるけれども青森県は再建措置法の再建団体になってないから、これを別扱いにするということは決して考えておったわけではございません。これを準再建団体にするということにつきましては、いろいろ北山委員もうわさをお聞きだと思います。なかなか事務的にまとめるのにはむずかしい問題でございましたが、最後の段階におきまして、関係各省との十分な了解がつきましたので、法案として提出いたした次第でございます。
  50. 北山愛郎

    北山委員 私は再建促進法の第十七条という規定をこういうふうに悪用されては、制度上困るのではないかと思うのです。十七条によって、再建団体補助率の特例を受けるこの特別な規定を基本にしていくならば、地方団体というものは、やはりいつまでも赤字団体というか、再建団体になっておって、そして準禁治産者のような格好でおるような傾向になってしまう。ほんとう言うならば、一日も早くこの病院から出て、健康を回復して、自主的に物事を運んでいくのが自治体の理想だと思うのです。それをこういうふうに地財再建法再建団体なり準用団体であれば、補助率の特例を受けて東北開発促進をやってくれる、こういうことでは、十七条というものを悪用しているのだ、こういうふうに援用すべきものじゃないと思う。そういう点はどうなんですか。
  51. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 北山先生とは、その点については、最初は地方財政再建促進特別措置法を立案することを、ともにいろいろ研究した時代には、意見が一致しておりましたが、最近の御見解は、大へん離れているようでございます。準禁治産とか病院に入院するとかおっしゃいますが、たとえば千二百万円の赤字再建債にして、そうして年々三百万円ずつ返済してこの更生をはかっていくという場合におきましては、一年々々その病気が快方に向って四年目には全快するわけでございますので、いつまでも赤字に呻吟させるというお考えはどうも納得できないのでございます。なるべくこの負債による将来の不安あるいは公債費の不安から脱却しまして、そして脱却しつつ、東北開発促進東北振興の事業の一部をその地方団体が背負って勇敢に進んでいくというような姿は、ただ想像しても欣快にたえないのでございます。どうもそれほど地方団体は意気消沈してはおらないのでございまして、はつらつとして、幾ら東北でも振興しようという意気に燃えているところを随所に見ているのでありまして、その点、いろいろな考え方になろうと思いますが、どうぞそういうふうにお考え下さることをお願いしたい、こう考えております。
  52. 北山愛郎

    北山委員 再建法は、御承知のように社会党は反対したのです。反対した一つ趣旨は、今再建団体というものは、予算を編成するにも、その団体が自主的にきめられないんです。自治庁から御承認を得た再建計画範囲で、毎年予算を編成し、調整しなければならぬということになっている。その団体の一番大事な予算の編成すらも自主的にやれないような地方自治体の姿というものは、正しい姿でない。だから、私どもは、そういう予算の編成権まで奪ってしまうような強い制限を加えなくても、別な方法で地財再建をやるべきであるという趣旨から、地財再建法に反対した。従って現在においてすら、やはり再建団体は一日も早く自主性を回復するというのが、これは憲法にいわゆる地方自治の本旨に沿うものであると思う。従って、地財再建再建としてやるべきである。それを、再建団体であれば補助率を上げる、それを東北開発にひっかけてやるというようなことになれば、東北の各県というものは、東北開発促進事業をやっていくためには、いつまでも再建団体であった方がよろしいなということになる。部屋住みで、おめかけさんのような格好でおれば、仕送りもよけいくれるということになって自分で独立する気持を失ってしまうんじゃないか、これは地方自治の本旨からいって、適当でないと私は考える。そういう趣旨から再建法を考えているのであって、従って十七条というものをここに援用してきて、東北開発促進に持ってくるということは、私は邪道だと思う。特に十七条にしても、あれには別段事業を制限するということはないのです。ただ「政令の定めるところにより」と書いてあって、その政令の中で事業制限をやっている。第十七条の趣旨は、ただ補助率についてかさ上げをする、特別な措置をやってやるのだという規定だけなんです。その政令の中で事業制限をやっている。だから、政令を直して、事業制限をやらなければ、ほんとうはいいのです。何も東北開発にこんな規定を置く必要はない。政令の中で事業制限をやって、指定事業なんかを設けておいて、さらに、これをまたこっちへ持ってきたり、あっちへ持っていったり、非常に複雑にしておるんです。私はそういう考え方から質問しているのですが、それならば、一体現在三十二年度の予算の中で、東北に配分される、将来開発促進計画に載るであろうところの事業量は大体幾らと推定されるか、その中で、指定事業の部分はどのくらいであるか、その中で、いわゆる重要事業とみなされるものは幾らであるか、大体そういう範囲を明らかにしてもらわなければ、一体どっちが損なのか、得なのか、この規定の文句だけではさっぱりわからないのですよ。だから、三十二年度の予算を基準にして東北に配分されるそういうふうな事業量、この中の指定事業は幾らか、またその中で、どの程度のものを重要事業とするのか、それを一つここで明らかにしてもらいたい。
  53. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 ただいまの数字のことにつきましては、政府委員の方から申し上げますが、北山委員の地財再建の適用が地方団体を卑屈にするということにつきましては、政府当局はさように考えておらぬのでございまして、その点につきましての見解は、これはどうも遺憾ながら御意見が違うと申し上げるしかないのでございます。そういう意味で、地財再建法の十七条を適用したことにつきましても、決して地方団体に対して適当ならざる措置を講じているというふうには考えないのでございます。もともと地方団体の現在の状況は、御了解のごとく、公債の元利支払い資金地方財政を非常に強く圧迫しているということが、最大の問題になっているのでございまして、その一つの具体的な方法として、地財再建法というものもあるのでございますので、公債費の措置に関する問題につきまして特に御関心の深い北山委員におかれましても、それらの事情を十分一つ御了承いただきたい、そういうふうに考えております。なお数字の点につきましては、他の政府委員より説明いたさせます。
  54. 植田俊雄

    植田政府委員 東北七県につきまして、従来開発計画に入る事項といたしましては、公共事業費でございますが、公共事業費につきましては、従来平均いたしまして百五十六億、三十一年度におきましては、百五十九億の国一の予算が計上に相なっております。三十二年度におきましては、この金額が三十億程度ふえるものと考えておるわけでございますが、どういう事業にどういうふうにふえるかということは、各省の個々の予算決定を待たないとわからぬわけでございまして、先ほど問題がございました指定事業に入っていない林道事業が幾らぐらいになるかということも、各省の予算決定が伴うわけでございますので、的確な数字をもって御説明するわけには参らぬかと存じます。  それから次の問題といたしまして、補助率の二割アップの問題でございますが、これは開発促進計画を作りませんと、この規定が動かないわけでございますので、この法案の成立しました際におきましては、すみやかに開発審議会を作りまして構成をお願いいたしまして、そうして開発促進計画を至急樹立いたします。そういたしますれば、この補助率二割アップの規定が活用することになりますので、ぜひ早く開発促進計画を作りたいと考えております。
  55. 北山愛郎

    北山委員 では、その点は、あとで数字をいただいてからさらにお伺いしたいと思うのですが、ほかに質問者もおありのようでありますから、一点だけ申し上げておきますけれども企画庁長官、それから自治庁の方は、率直にいって、この第十二条の第二項の中の、いわゆる地財再建促進法十七条の政令に基く指定事業のうち、自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める重要なもの、この分は削った方が、東北開発促進上は適当だと思うが、しかし、それができない事情にあるというふうな経過は大体わかるのですけれども、でき得るならば、今の重要なものという制限を削った方がいいとお思いになるかどうか。
  56. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 その点は、われわれも東北出身であるということを申していいのか悪いのかわかりませんけれども東北だけから考えれば、そういうことでございますが、この立法は、東北開発を通じて国家の繁栄、振興をはかるというような、非常に特殊な立場にあるのでございまして、そういうような関係から、全国の指定事業補助率引き上げということが決定しない前に、東北に関する限り、全部の指定事業補助率引き上げ法律保証してしまうということにつきましては、国会内部でも諸多の議論があることだろうと思いますので、万事御了察の上、原文通りで御了承いただきたい、こう考えております。
  57. 北山愛郎

    北山委員 私、一応自治庁関係はこれで終ります。
  58. 五十嵐吉藏

  59. 夏堀源三郎

    夏堀委員 簡単に、もう時間もありませんから、具体的な問題について御質問申し上げたいと思います。  東北開発の先決問題は、輸送の増強にあると思います。現在北海道東北が輸送ができないために、物価が原料のそれと比較して、三割方安くなっておるというように、経済に非常に重大な影響があるのであります。この問題の解決をはかるためにはどうすればいいかということは、これは申すまでもなく海底トンネル、これは長官にお伺いしますが、海底トンネルの計画は一体どうするのか。それから東北電化の促進はどういう計画になっておるのか、いつ完成するのか。港湾計画、これは予算は若干ちょうだいしたでしょうが、大体中央の方に多く予算がいっておるようであります。でありますから、輸送の面を増強しなければ、せっかくその他の東北開発事業が進んでも、その物資の流れ方から、かえって経済開発になってしまう、こういう結果になると思いますので、この三つの問題に対して、ごく概要でよろしゅうございますから、御説明を願いたい、こういうことなのであります。
  60. 宇田耕一

    宇田国務大臣 その点につきましては、運輸ないし建設を中心として、今案を練っております。約六百億という概算のもとに、海底トンネルの貫通を期したい。海底トンネルの貫通を期した場合には、それに伴うところの鉄道輸送は、運輸大臣の意見では、複線でなければ所期の目的の能率を上げ得ないだろう、それに関連して解決をはかる対策を立てなければならぬ、こういうことを申されております。  それからもう一つ東北の港湾関係は、東北促進法ないし審議会によって新たにそれは取り上げて検討したいと思っているのです。それについては、いろいろの具体案が各県から出ておりますが、それに対する予算、経費等は、相当これは考慮しなければならぬものが多いように思っております。今ここで具体的にどうするかということについては、農林省ないし運輸省と十分打ち合せしなければならぬことがありますから……。当然相表裏して、鉄道の能率を上げるためには、港湾能率がよくなければいけませんから。一例をあげれば、林産資源ないし水産資源の活用等につきましても、そういう面で漁港ないし商港の整備をはからなければならぬことは、これはもう決定的なものであります。それをどういう計画のもとに、どこから進めていくか等につきましては、新たに審議会等の議を経て、具体的に皆さんに御審議願いたいと考えております。
  61. 夏堀源三郎

    夏堀委員 きょうは長官に対してこういう総括的な質問を申し上げたところで、これは、これから審議会あるいは各大臣との協議の上で決定することなので、あるいは無理かもしれませんけれども、こういう開発事業を進めるには、少くも何カ年計画というように計画性を与えなければならぬ。これに対する建設計画の総金額はどのくらい見積っておられるのか。概要でよろしゅうございますから、お知らせ願いたい。
  62. 宇田耕一

    宇田国務大臣 それにつきましては、われわれも夏堀委員と同じ心配を持っておりますが、海底トンネルに関するものはかなり具体性のある案がありまして、それは概算六百億ということを申し上げることができます。運輸関係の、鉄道を複線にすること、あるいは港湾の漁港ないし商港の整備、あるいは背後連絡の関係、それに付随するところの鉄道輸送の関係、そういうものにつきましては、建設省とか運輸省あるいは農林省、こういう関係の深い各省と一緒に、新たな東北開発に関する年間計画を立てることになっておりますが、それは、少くとも国土総合開発ないし経済五カ年計画建前から申しますと、今年の秋までには基本の数字を出さなければならぬ、こういうふうに考えております。
  63. 夏堀源三郎

    夏堀委員 ばく然とした御答弁でよくわかりませんが、結局この総金額というものは、五カ年なり十カ年の間には莫大な金額を要する、おそらく国内の資金操作でできるかどうか、これが心配なんです。そこで最近の国際金融情勢は——これは私が申し上げるまでもなく、おわかりでありましょうけれども、世銀のデヴィルデ経済顧問の明らかにしたところによりますと、世銀は日本における貸付を積極的に行うつもりであり、特に今までは認めなかったインパクト・ローンを認めるということを発表しております。インパクト・ローンというのは、今までは外資による輸入は機械が多かった、これを現金で行うということ、こういうことなんです。積極的にこれを行うということを表明しておる。なお、ジョンストン氏の——政府の諮問機関でありますが、これの報告、これは三月七日のことでありますが、国際開発基金を設け、中南米、アジア等に開発資金を貸し付け、その条件を世銀よりも寛大にして、現地通貨で償還できるようにするということをいっておる。こういう情勢に動いておるのであります。ところが反対に、政府は、輸出入銀行法を改正して、輸出入銀行が外国の政府及び公共団体にも金を貸し得るというようなことに、今提案されておるようであります。輸出入銀行はそう資金量もありませんから、大したこともできないでありましょうけれども、日本では国際経済に乗り出すという積極性を持ってきたのであります。でありますから、日本はその国際経済の線に沿うて開発を進めなければならない。しかも、相手がこういう政策を発表しておりますので、政府の考え方によっては、外資の導入が絶対に必要であり、これはまた行われるであろう、こう思うのであります。これは審議会あるいは閣議等においていろいろ御審議になりましょうが、アメリカの金融関係において、こういうふうに情勢が好転したということが明らかでありますので——日本の国内の財源だけではなかなか容易ではない。何年かかるか、何十年かかるかわからない。経済というものは生きておりますから、そのうちに開発関係はとんだことになってしまう。これは早く進めなければなりませんので、まず金融関係において、国際的に進めてもらうことを私はあらためてお願いしたい。今私の申し上げたことに対して長官はどのようなお考えを持っておりますか、伺っておきたいと思います。
  64. 宇田耕一

    宇田国務大臣 外資導入、あるいはインパクト・ローンをどう使うかということの、いろいろな外資導入の技術的な方法はありますが、先般、建設大臣と愛知委員でなかったかと思うのですけれども、縦貫道路、特殊道路の建設につきましては、むしろ外資導入の工夫をすべきではないか、そうしたら建設大臣は、それに対して十分考慮を払いたい、こういうことをおっしゃったこともあります。それのみにとどまらず、経済条件が整いましたなれば、ただいま申された通りに、われわれの年次計画の中で、世界銀行その他からこの新しい開発のための資金を導入する、またインパクト・ローンを活用する、これはもう当然やりたいと思って、御趣意の通りに自分たちも努力を払いたいと考えております。
  65. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 午後は二時より開会することといたしまして、午前中はこの程度で休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時二十七分開議
  66. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 休憩前に引き続いて再開いたします。  この際お諮りいたします。ただいま審査中の二法案に関し、明十七日の委員会に、参考人として東北興業株式会社総裁蓮池公咲君の出席を求め、意見一を聴取したいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
  68. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 質疑を継続いたします。夏堀源三郎君。
  69. 夏堀源三郎

    夏堀委員 午前中の大臣に対する質問において、東北開発は輸送力を増強しなければならぬ、そのための海底トンネルの計画東北電化複線計画とか、港湾計画という、この三本の大きな問題に対しての説明を受けたのであります。非常に総括的な概要の御答弁がありましたけれども、まだはっきりいたしませんので、運輸省が見えておりますから、海底トンネルの計画について、具体的にもうちょっと突っ込んでお伺いしたいのであります。
  70. 田中倫治

    田中説明員 海底トンネルにつきましては、実はすでに技術的の調査は終りまして、現在の技術をもってしては絶対できる、こういうふうな段階にあります。それで、これをどう具体化するかということにつきましては、国鉄だけでやるわけにはいきませんので、これは何とか国家の大きな意思でもって決定していただくというふうなことで——先ほど宇田長官からもお話があったように、総額約六百億という金でございまして、今やっている建設線の一線々々に比べますと、はるかに規模も大きいものでございますから、これは何とか大きな国の意思によってやらなければ、国鉄だけではとてもできないということで、運輸省といたしましても、今年中にこの具体的方針を立てまして、ことし一ぱい、今年度かかってこれをいかに実行に移すかということを検討することになっております。海底トンネルはその程度のことしか今進んでおりませんが、これは一応七年ないし八年ということになっております。しかし、トンネルの掘さくの技術というものは非常に発達して参りまして今までの工法よりははるかに進んだ工法が現に外国でも実施されつつありますので、この速度は、予算あるいは工事費の裏づけさえできれば、今申し上げました工期よりは、さらに縮まるだろうという予想でございます。
  71. 夏堀源三郎

    夏堀委員 それから東北電化、複線のことについて、具体的に説明していただきたい。
  72. 田中倫治

    田中説明員 初めに電化について申し上げますと、電化につきましては、御承知通り国鉄でも三千三百キロの電化計画を立てまして、ことしが初年度で、十カ年かかっておもなる日本の幹線、あるいはこれに匹敵する線路を電化するという計画であります。東北におきましても、おもなる線といたしましては、東北線、常磐線、それから奥羽線、羽越線、こういったものがございますが、東北線につきましては、すでに今宇都宮までを一つの区切りとして着工中でございまして、これが三十二年度には完成の予定でございます。それからずっと五年、すなわち三十六年度までには一応盛岡まで電化ができる、こういう計画になっております。それから常磐線につきましても、ただいま柿岡に地磁気の擾乱という問題がございまして、これの技術的な解決ができればということで、今実は懸案になっておりますが、これは交流形式によりますと、この擾乱の対策ができるという見通しがほぼつきましたし、かつまた、交流電化につきましては、ただいま仙山線で実験をやっておりまして、これが予想外に成績がいいということで、北陸の米原から敦賀の間を、今度は実際に現実の線路を交流によって電化するという工事が今進められておりまして、これもことしの末には開業するという運びになっております。従いまして、交流による電化というものも実施の段階に入ってきたわけでございまして、このめどがつきますれば、先ほど申しました地磁気の擾乱というようなものも解決できるという見通しで、計画といたしましては、上野から仙台に向って、十カ年計画の第一期である五カ年間に、すなわち三十六年度までには一応完成するという計一画になっております。それから先の盛岡から青森までの区間でございますが、これも三千三百キロの十カ年計画の後期に入っておりまして、十カ年計画が完成いたしますれば、青森までは電化ができるということになっております。  それで、そういう十カ年計画ではございますが、電化は国鉄の経営の合理化にも非常に役立つということで、この計画を少し早めたらどうかということが議論されまして、これにはもちろん予算的措置が要るわけでございますけれども、早めるということになりますれば、最初の五カ年は四カ年、それからあとの五カ年も三年ないし四年ぐらいの間にできるということでございまして完成の年度は、予算さえ確保できれば、技術的にはもっと早くできる、こういう状況でございます。
  73. 夏堀源三郎

    夏堀委員 今の輸送力の問題でありますが、これは北海道開発との関連において私は考えておるのであります。北海道開発がどんどん進行していく、東北開発も進行していく、これに今の御説明の通り十カ年計画云々ということになれば、その間は一体どういうことになるのか。せっかく開発が進められてそして物資がどんどん出回っても、現在でも輸送し得ないために、私の知っているだけでも三割方の物価の低落を見ております。開発のために経済を破壊しているのではないか、こういうことも考えられるのであります。よって先ほど私が大臣にも申し上げました通り、金がないのか、労力が不足なのか。労力はあると私どもは考えておりますので、まず大体予算措置がどうも間に合わないということじゃないか。そうであったら、先ほど申し上げました通り、アメリカが今度方針を変えて、結局日本に対しては、今まで認めなかったインパクト・ローンということも認めて、機械ばかりではない、現金で金を貸す、そうして今までは手続なんかで二年もかかったでしょうけれども、これを半年なり三カ月でやろうということを言明して、日本に金を貸したいということを言明しておるのであります。であるから、日本政府は、先ほど申し上げました通り、輸出入銀行法の改正によって、他国の政府や公共団体に金を貸すことを考えている。これは非常にけっこうなことであって、私が常に主張している、日本の人口問題、経済問題は国際的にどんどん進んでいっておるのだから、日本の経済は、東北開発北海道開発ということで、国際的な開発をもって進んでいかなければならない。そういう意味において、国際的な金を必要とするということは当然である。向うでも了承してこれを進めようと言っているじゃないですか。政府はどういうお考えでありますか。先ほどの答弁では、いろいろ会議にかけるということでありますけれども、それも必要でありましょうが、私の今申し上げましたように、世界開発は大きく発展しつつある。特にアメリカの考えは、軍事援助よりも、そうした平和的な未開発地の開発に金を出すことが非常に得策であるということを発表しており、これを諮問委員会が堂々と政府に進言しており、政府もこれは了承しているということだそうでありますが、そういうふうに情勢が強く動いているのでありますから、この機会に大臣よりはっきりと——大臣は所管の担当の仕事でありますから、責任あるあなたの答弁として、私の言うことが妥当であるか、その線で進め、そうして、政府の機関あるいは審議会をそういう方向に持っていこうということの答弁を私にできるかどうか、ということをお伺いしたいのであります。
  74. 宇田耕一

    宇田国務大臣 海外からの借款によって、資源開発ないし輸送態勢を整えるということは、非常に好ましいことであります。従って、そういうことについては、相手国の関係もありますから、その交渉は主として大蔵省ないし外務省を通じて今具体的な話は進めておるはずであります。それで、今まで大蔵省からわれわれが聞いております範囲では、インパクト・ローンというものは、使われ方によっては、金融機構そのものに混乱を起す原因が非常に含まれておりますから、インパクト・ローンの導入、それと従来の金融機構そのものとの関連関係、そういう点、あるいは特に道路等に相当まとまった金が、インパクト・ローンとして、別の金融体系から日本の従来の金融体系に入ってきました場合には、それに伴う新しい通貨の増すこと、そうして通貨の増すことによって起るところの国内のインフレ傾向をどういうふうに防ぐかということ、あるいはまた、弁済計画を立てる場合に、弁済計画は円で払うのか、ドルで払うのか、たとえば道路を建設した場合に、道路建設によって国の経済がよくなる場合でも、ドルそのものをどういうふうにしてかせぐのか、円で返すとすれば、それでは税金でこれを取るのか、返す場合に、ドルはどういうふうにしてかせぎ出すのか、国際収支の帳じりの関係から見ますと、ドル為替勘定の決済の具体的処置をどういうふうに運んでいくのか、非常にむずかしい操作が付随して起ります。そういう点から見て、外国から金を借りる場合に、たとえば鉄を買う、それによって機械を作る、売る、見返りのドルは、何ぼかの余剰の利益がある場合には、非常に簡単でありますが、しかし道路の場合には、道路の開発のために金を入れた、返す年限がきた、そのときに、その道路のかせぎ高というものはどこに現われてくるかというと、具体的な国の国際バランスの中にはまだうまく出てこないという事情がある場合には、どういうふうにしてドル決済をするのかという問題も含まれております。そういうわけで、ドルに限りません、ポンドでもフランでもよろしゅうございますけれども、そういうふうな関係もありまして、借りる金の額、それによって起るところの弁済処置、弁済に必要な外貨の獲得方法、こういうことで、具体的に整理をしてみると、かなりむずかしい条件があります。従ってインパクト・ローンあるいはその他の外資を導入する場合に、どういう企業が適当であるかということにつきましては、これは慎重に、環境に合せて検討せねばならぬと思っております。従って、そういうことを勘案しながら、東北開発あるいは東北開発に関する審議会の運営等につきましては——外資を導入するということはもちろんわれわれは考えなければならぬと思っておりますが、ただいま御質問にありました中で、従来私たちが考えて検討中のもので、特に注意をしなければならぬと思われた特別な点はそういうことがありますから、参考に申し上げまして、今後は御趣旨のような線に沿って、審議会では格別に検討を加えてもらいたい、こう考えております。
  75. 夏堀源三郎

    夏堀委員 いろいろ先のことを御苦労なさっての御答弁でありますが、外貨を入れる、あるいは外貨ばかりでなく、建設資金をどんどん出すことはインフレになるかどうか、そういう御心配もありましょうけれども、結局、建設によって物が出回るのでありまして、これは並行していくのでありますから、そうインフレにはならぬと考えております。外貨などの操作、これはむずかしい面もあるでしょうけれども、今申し上げました通り、アメリカでは日本に対する援助政策を特に考えておるのだから、これは交渉によってはどうにでもなるんだ、こういうふうにも考えておりますが、ただ政府が積極的にこれを押し進める御意思がなければ、借金というものは返すときには困るということでは、いつまでたってもなかなか進まぬと思います。そこで、国内資金だけでまかなうことができればいいが、今の国内資金では容易なことではないのではないか、こう考えますので、この外資の導入という点も強く主張して、この東北開発北海道開発が世界開発の一環である、よって、国際関係に結びつけてこの問題は急速にやっていただきたいということを申し上げるわけであります。そのことをお含みの上で、いろいろめんどうな点もありましょうけれども、あなたは所管大臣なんですから、東北開発のために努力をお願いしたいのであります。  それから地方の問題に入りますが、東北は年々冷害に襲われている。これに対してもっと適当な措置が一体ないものか。これは冷害に適当する耕作をすればよろしい、それにはテンサイがよろしい、こういうことになっております。北海道でもやっておりますけれども東北は非常に適当である。私は青森県でありますけれども、これは若干試作をして非常に成績がいいそうであります。これに対して、東北開発はほとんど微々たる予算しか見積っていないように聞いておりますが、この点に対してどういうふうな御計画であるかの御説明を願いたいと思います。
  76. 植田俊雄

    植田政府委員 東北地方は冷害に襲われることもありますので、冷害に耐え得る何らかの作物を考える必要があるということで、その中に特にビートというものを強調せられましたので、昭和三十一年度におきまして金額はきわめてわずかでございましたけれども、全国農業協同組合中央会に委託いたしまして調査いたしたわけであります。若干この額の決定がおそくなったりいたした関係で、そう完全な結果が出たわけではございませんけれども東北地方のビートの栽培は可能であり、また場所によりましては非常に有望であるということが、ただいまのところは判明いたしておるわけであります。品種の問題等もありましょうが、昨年試験に供しました導入三号GW系におきましては、青森のような、東北地方でも北に寄った、すなわち寒冷な地方におきましては、昨年は特に湿度も比較的低かった関係等もありまして、糖分の歩どまりが非常によかったわけであります。一五%ないし一七%という、非常によくて、しかもビートに特有な褐斑病も出ませんでしたので、北の方の県においては成績がよかった。ただ宮城、福島のような比較的暖かい地方におきましては、昨年の成績は必ずしも芳ばしくございません。しかし、これをもって南の方の県においてはだめだときめつける必要もないわけでありますけれども、結果的に申しますれば、やはり寒地に適する作物でありますので、比較的寒冷の方が成績がいいということになっております。このビートを実際に栽培し、これを砂糖に精製するということになりますと、面積といたしまして何分にも相当広い面積がまとまらないといけないわけであります。またビートの栽培それ自体が、非常に有利な作物かと申しますと、必ずしも特に有利ではございません。やはりビートに適する地質等も要るわけでありまして、適地適作でなければならぬわけであります。従いまして、昨三十一年度実施いたしました調査の結果だけで、直ちに三十二年度分の増産対策を講ずるというところまではいかないわけであります。関係の農林省とも打ち合せいたしました結果、農林省といたしましても、もうしばらく調査を続けてみたいということで、本年度予算としてはきわめて少額でございまして、金額ははっきり覚えておりませんが、たしか二百万円に達しない金額であったと覚えております。その程度の金をもちまして引き続いて調査をいたしたいと考えておるわけであります。
  77. 夏堀源三郎

    夏堀委員 この予算の点ですが、まことに僅少な予算であったと私も考えております。ところが、事は非常に重大な問題でありますので、年々冷害に対して政府はどういう措置をとっておるか。非常に予算の苦しいところを金を出していかなければなりません。それでも貧乏で、どうにもならない。これを救済するのには、この事業が一番いいのだということは、冷害に最も適当なる栽培であるからよろしい、こういうことなんです。だから、この機会に、何か予備的な予算でもありましたら、これをもって農業政策として、東北の冷害地に今日ぜひ推進してもらいたいということを申し上げておきます。  それからこれも地方問題ですが、北海道開発との関連もありますし、また地方との関連もありますけれども、下北鉄道というところがあります。下北鉄道はもう線路を仕上げ、汽車が通るばかりになっております。あれは戦争時代にあったので、あれをあのままにしておいてどうなるか、この問題に対する御計画か何かございましょうか、運輸省の方から伺いたい。
  78. 田中倫治

    田中説明員 鉄道の建設線につきましては、運輸省に鉄道建設審議会というものがありまして、運輸省はその答申によって、新線についていろいろな方策をすることになっております。過般開かれました審議会では、今の下北半島の鉄道は、まだ着工あるいは着工準備に入っておりません。しかしこれは毎年開かれておりまして、今工事している、あるいは計画している線路がだんだん仕上っていくにつれましてそういった今までほうっておいた線、あるいはこれからやらなければならぬ線も逐次やっていくというようなことでございまして、全然見捨てたわけではございませんが、まだその段階にきていないということだろうと思います。
  79. 夏堀源三郎

    夏堀委員 時間もありませんので、簡単に伺いますが、地方の産業の実情をまだよく御調査になっておらぬのであります。下北から上北にかけまして、新聞の発表によりますと、一億一千万トンの砂鉄の埋蔵量がある。そういうところに鉄道をちょっと敷けば、産業的にどんなにいいかということであります。ですから、ただ予算がどうだ、ああだ、こうだと言っていないで、実際こういうことをすれば、地方の産業が発達をする、埋蔵量がこんなにあるということを勘案に入れて、早く事を進めるということをあなた方には考えてもらわなければならぬ。審議会もありましょうが、審議会の委員がみんな地方を知っている人ばかりではないのですから、順序を追ってどうこうということはいいでしょうけれども地方の実情を御調査になって、審議会に諮っていただきたいということを申し上げておきます。
  80. 田中倫治

    田中説明員 今、委員さんもよく知らないということでございますが、鉄道の方も、そういう地方の実情につきましては調査をしているのでありまして決して調査していないわけではありません。しかし最近の砂鉄あるいはその他の事情もありますので、なおよく国鉄に調査させまして、しかるべき順序であるならば、これを取り上げるという方向に持っていきたいと考えております。
  81. 夏堀源三郎

    夏堀委員 東北開発会社の計画、これは審議会によって決定されるでありましょうけれども、大体あなた方の方でも、何をやるというくらいのことはお考えになっておるだろうと思います。それと、公共事業の投融資の総額は、東北全体でどれくらいの額になっているかということを説明していただきたい。
  82. 植田俊雄

    植田政府委員 東北開発会社の資金量は、御承知通り二十五億でございます。この内容がどういう事業をやるかということでございますが、これはこの法律が成立いたしました以後、会社当局の御意見もあろうかと思いますから、会社当局ともその点をよく打ち合せまして事業内容を決定いたしたい、かように考えております。  それから最後の投融資計画の問題というのはたしか公庫の方の関係でございましょうが、公庫の関係の四十五億の資金は、これは私企業が東北に興る、あるいは工場の増設その他をいたしました場合における金融措置でございます。東北開発会社も、形式的には民間会社でありましても、実際的には政府機関のような仕事でありましてその間の調整は十分いたしたいと存じますが、要するに東北開発会社の方は、主として直営的な事業をやる、しかも東北開発上望ましいけれども、民間の私企業はあまりやってくれない、こういうようなところを中心東北開発会社は事業をやっていき、また民間企業の採算ベースにおいて、金融さえつけてくれれば民間会社自身で進出できる、こういうような方面については、公庫の方で資金のあっせんをしてやる、こういうように区別して運用をやっていくべきじゃないかと考えております。
  83. 夏堀源三郎

    夏堀委員 今おっしゃったように、国土開発というものは、根本においてはあまり採算がとれない事業でもやらなければならないというところに、悩みがあろうと思う。そこで政府の借款になるか、資金になるか、あるいは増資ということに解釈をするべきであるか、その点はどうですか。
  84. 植田俊雄

    植田政府委員 東北開発会社は、現在四億の資本金のうちの三億は政府の株になっておりますが、この政府株に対しまして、今度は五億を増資するわけでございますから、政府の保有株式の金額は八億になるわけでございます。残りの二十億につきましては、従来からも認められておりましたところの社債の発行でありまして、社債発行に対しまして、各種の公団等について政府が認めておりまする元利保証の道を開きました。従いまして大蔵省としてもこの調達につきましては、相当協力していただくことになっております。そういう意味におきまして二十億の社債は発行いたします。そうすると、増資で五億、社債で二十億、合せて二十五億ということになるわけでございます。
  85. 夏堀源三郎

    夏堀委員 そういたしますると、二十億というのは民間からは募集しないわけですか。
  86. 植田俊雄

    植田政府委員 社債でございますから、民間から募集するわけでありますが、民間と申しましても、最近の公団等の例で見ますように、各個人に社債を持たせるという形ではなくて、金融機関が協調融資というふうな格好で大蔵省にもごあっせんを願いまして、従来の例でございますと、金利七分程度で会社が社債を発行するということになろうと考えております。お話のございましたように、民間の方から金を借りることが否定されているわけでもございませんし、また増資に際して民間の投資を認めないという趣旨でもございませんが、ただいまの考え方におきましては、それを期待に入れないで事業を考えておるわけでございます。
  87. 夏堀源三郎

    夏堀委員 金融機関とは政府の金融機関でございますか、一般の市中銀行のことでございますか。
  88. 植田俊雄

    植田政府委員 政府の金融機関でございませんで、一般民間の金融機関でございます。
  89. 夏堀源三郎

    夏堀委員 そこで問題は、先ほど申し上げましたように、大した利益は期待することができないという感じのもとにこの金を集めるということは、市中銀行とすれば、そろばんの高い連中であるから、快く応ずるかどうか、これに対して政府保証の責任をとるかどうか、このことをお伺いいたします。
  90. 植田俊雄

    植田政府委員 法案によりますと、会社は資本金と積立金の合計の五倍まで社債を発行できることに相なっております。従いまして二十億以上の社債発行もできないわけではございませんが、しかしながら、三十二年度予算総則におきまして、政府が元利保証を約束いたしました金額は二十億でございます。この二十億に関する限りは、発行条件は、先ほど七分と申し上げましたが、それは金融情勢によって変るわけでございまして、昨年通り条件で民間金融機関が引き受けるかどうか、まだ未定でございますけれども、それが元利保証のワクの範囲内でございますれば、民間金融機関は保証者である政府を信頼いたしまして、金融をつけてくれるものと考えております。
  91. 夏堀源三郎

    夏堀委員 一般の社債は、相当な利益がなければ社債の発行ができないと考えましたが、今の御答弁で、政府保証するということになれば、それはいいでありましょう。  きょう私の質問したうちで一番重要な問題は、国内に資本が足らぬ、であるから、繰り返して申し上げまするが、東北開発北海道開発は、世界未開発開発の一環として、国際的に考えていいのじゃないかということであります。そういうことでありますから、あなたは主管大臣として、もっと太っ腹に、思い切って閣議でも御発言なさって、世界はこう動いているじゃないか、アメリカの金融は日本に貸したいといっているじゃありませんか——あなたが先ほど申しました通り、輸出入銀行が法律を改正して、外国の政府及び公共団体にも金を貸すという法律を作っているのであります。日本としても、大蔵大臣政府原案として出したものであるから、それくらいのことはおわかりだと思います。これは結局日本の政策が、世界経済政策への大転換の一端じゃないか、こう考えますので、これは何も東北開発というばかりじゃない、そんなちっぽけな、インフレになる、あるいはデフレになるということを考える必要はないのであって、思い切った政策を御推進あらんことを望んで、私の質問を打ち切ります。
  92. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 この際、本会議散会後まで、暫時休憩いたします。     午後三時一分休憩      ————◇—————     午後三時三十九分開議
  93. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 休憩前に引き続いて再開いたします。  質疑を継続いたします。川俣清音君。
  94. 川俣清音

    ○川俣委員 この際長官に二、三点お尋ねいたしたいと思います。本法案趣旨は、総合的開発をするのが目的であるようにも説明されますが、どうも目的が明確でないようであります。大てい法案目的というものが明確に文章で示されるのが、法律の体裁からいって当然のことではないかと思うのですが、この点についてお尋ねいたします。
  95. 宇田耕一

    宇田国務大臣 「目的」と書かずに、「法律趣旨」というように書いてあり、「資源総合的開発促進するために必要な基本的事項を定める」と、こういうように書いてありますから、そういう趣旨だと思います。
  96. 川俣清音

    ○川俣委員 まず目的を示しておるのが、国土総合開発関係法律、それから日本の一般の法律の体裁であります。それから一条のように事項を定めるというのは、総合開発法にもありまするように、計画の事項になるわけでありまして、法律の体裁からいきますと、やはりこの法律を必要とする目的を明確にする必要があるのじゃないかと思うのですが、これに対してもう一度御意見を伺いたい。
  97. 植田俊雄

    植田政府委員 先ほども北山委員にお答え申し上げましたように、この法律は、国土総合開発法の第一条とは、表現は違っておりますが、趣旨としては同様でございます。法文の体裁等は、北海道開発法にならったものでございます。あるいはそういう疑念の起る可能性もあろうかと思いますが、趣旨におきましては、総合開発という点においては変りないわけであります。
  98. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで、こまかくなりますが、一、二点今の答弁について触れたい。北海道開発法は「目的」となっている、今度は「趣旨」とされたのはどういう意零すか。どうも東北開発促進法案では「目的」というのが法律上の体裁に沿わないというところから、「趣旨」と変えられたのかどうか。右へならえば北海道開発法と同じように「目的」とならなければならぬ。「趣旨」と「目的」はどこが違うのか。変えなければならぬ根拠はどこにあるのですか。
  99. 植田俊雄

    植田政府委員 北海道開発法に「目的」と書いてございまして、こちらは「趣旨」でございますが、これは深い意味があるわけではございませんで、法制局の審議の際に、この「趣旨」で十分であろうということで、こういうような見出しをつけたわけでございます。
  100. 川俣清音

    ○川俣委員 これはこまかいことですが、法律を整えるとなると、「目的」と「趣旨」とでは言葉の表現は違うと思う。なぜ変えなければならなかったか。どうも東北開発促進法案では「目的」にならないのじゃないかというところから、「趣旨」というふうに現実に合わされたのではないかとも察せられる向きがある。そこでこれをお尋ねしているのです。
  101. 植田俊雄

    植田政府委員 私も、この見出しの「目的」と書いたもの、あるいは「趣旨」と書いたものを一々検討したわけでもございません。ただ、ここで北海道開発法と違って「趣旨」と書いてみても、趣旨においては、何ら変ったことはないと思っております。
  102. 川俣清音

    ○川俣委員 論争しようと思うのではないのです。北海道開発法と同じような体裁でこれを準用されたとすれば、そのままの体裁でなければならぬはずだと思う。あえて異なる方法をとる理由はないと思う。わざわざ変えられたからには、何か具体的に目的に沿わないような傾きがあったから、「趣旨」と変えられたのではないかと、善意であなたにお尋ねしているのです。
  103. 植田俊雄

    植田政府委員 この点は、北海道開発法を担当いたしました当時の法制局の参事官と、現在の参事官とは、もちろん違うわけでございます。若干年代が変りますと、法制局の方の考え方も違うわけでございまして、法律の体裁としましては、若干担当いたしました参事官によって違う場合もございます。実は私ども初めは「目的」でもいいじゃないかと考えておったのでございますが、「目的」と「趣旨」と、どちらにいたしましても違いがないといたしますれば、法制局参事官の意向に沿ってやったわけでございます。法制局を引き合いに出して答弁いたしまして申しわけございませんが、実のところを申し上げますと、そういうわけであります。
  104. 川俣清音

    ○川俣委員 法律案を確定すると、国家の意思になり、行為を拘束するわけです。従いまして、やはり前例がどうなっておるかということを十分検討した上で、用語の配置、ニュアンス等についても、自分個人の意思をできるだけ出さないようにするのが、法制局の従来の建前であったと私は理解いたしております。一人々々参事官がかわるごとに、法律のニュアンスが変ると、それによって行為を拘束することになる。これは非常に繁雑になると思うのです。これは私が言うに及ばない。従いまして、同じ所管内にございます法律でありますから、できるだけ体裁を整えることが必要だろうと思います。しかし、どこか違えなければならないという理由があれば、その理由を示されるなら、私はあえて反対するのではない。むしろ同じ趣旨だとすれば、わざわざ変える必要がなかったのではないか。
  105. 植田俊雄

    植田政府委員 私の先ほどの答えが、法制局参事官の方で、若干の趣味があってやったような表現で申し上げましたが、この点は法制局といたしまして、一貫した方針でやるべきことは当然でありまして、個人色を出すというふうな意味で申したわけではございません。北海道開発法ができましたのと、現在との間で、若干時期のズレがございますので、多少用語等で時代的な差はあることもございますが、この辺は私どもといたしましては、同様な趣旨で書かれている、「目的」でありましても、「趣旨」でありましても、同様だと解釈しております。実はこれはそう深く研究しておりませんので、法制局ともよく打ち合せまして、御納得のいくように御説明申し上げたいと存じます。
  106. 川俣清音

    ○川俣委員 それではその程度にいたしておきます。  次にお尋ねいたしますが、私どもの理解では、国土総合開発のうちの東北開発促進するのだ、その一環と申しますか、その一部分である、こういうふうに見るべきであると思うのです。たとえば特殊土壌にいたしましても、離島振興にいたしましても、やはり国土総合開発の一環である、その連鎖である、こう見るべきものだと私は理解をしているのです。そこで、ただ違うのはどこにあるかというと、一環ではありますが、東北振興の早期達成、ここに目的があるのではないか。国土総合開発という大きいワク内において、あえて東北開発促進法案を出されるには、どこかに理由がなければならぬ、その理由は、おそらくおくれたる東北の振興の早期達成にある、そして全国的なレベルに到達させた上で、全国的な一つ総合開発の中に入れていく、こういう趣旨のための特別法であると私は理解しますが、この理解は間違っておりますかどうか、これは大臣にお尋ねしたい。
  107. 宇田耕一

    宇田国務大臣 その趣旨はそうだと思います。
  108. 川俣清音

    ○川俣委員 そういう趣旨だと御理解願いまするならば、これは早期達成の特別法だというのですから、何か早期達成の事項と申しますか、方針というものがここに入っていなければならぬはずだと思う。そういう目的でできたとすれば、早期達成の条項といいますか、そういうものが具体的に表われていなければ、特別法の意味をなさないと思います。たとえば何年以内にやるのだ、そして五年なり七年の間に全国的なレベルに達成させるのだ、こういう事項がなければ、特別法の意味をなさないと思うのです。大臣にその点……。
  109. 宇田耕一

    宇田国務大臣 法の名づけ方それ自身が、開発促進と書いてありまするから、当然これは長期にわたるという意味でない。開発法開発促進法との違いはそこにあるのじゃないか、私はそう思っております。従ってそこに計画を必要とするはずになってくるわけであります。計画といえば、常識的にいって、年限を限定するということがあり得ると思いまするから、そういう意味で、年限を限定する開発法ということで、要するに長期ではない。ただ期間を何年に限るべきであるかということについては、法の運用の問題にまかしてあるのじゃないかと思います。
  110. 川俣清音

    ○川俣委員 大臣は、法の表題に促進法とあるから早期だ、こういうことでは、法律の十分な形式、体裁にはなっていない。やはり内容に早期達成の条項がなければ、促進法裏づけにはならない。見出しだけでごまかして、内容がないということは、ジャーナリズムはときどきやりますけれども法律からいうと、そうじゃなくて、やはり内容を整えることが必要である。これを成文化することが目的でなければならないと思うのです。そこで、どうしてもこれは早期達成の条項がなければ不備だとお考えになりませんか、この点一つ……。
  111. 宇田耕一

    宇田国務大臣 当然そういうふうな内容になる法律であるから、私は促進という言葉を使ってあると思います。それがためには、開発審議会を設置するとか、あるいは東北開発の全体計画を作成するとか、こういうのがありますから、当然そういう内容を持つべきものと思います。
  112. 川俣清音

    ○川俣委員 開発法の特殊立法でありまする離島振興法であるとか、特殊土壌地帯に対する振興法なども、これは臨時措置法だということで、やはり早期を対象にいたしております。法律内容も、またそういうふうに制限がされておるはずです。東北振興の方は、振興法ということで、あたかも早期であるがごとく表現されておりまするけれども、成文の中にはそうした条文はないのです。国土総合開発法という一つの基本法があるのでありまするから、東北はやはり早期達成で、そこでおくれたる部分は、五年なり七年なりで、及ばずながらある程度のレベルまで上げていく、そして、これを国全体の総合開発の中に入れていかなければ、予算の適正な配分の上からも、必ずしも妥当じゃないと思う。やはり鉄は熱いうちにたたいて鍛えておかなければならぬと同様に、東北開発も、今までの商業資本と申しますか、民間資本では、相当な資源があるにかかわらず、開発されておりません。それは地理的条件に恵まれない、自然的条件に恵まれなかったところから、開発がおくれておるのであります。これをすみやかに開発することが、単に東北の利益ばかりでなくして、日本のような矮小な国土の中において、わずかばかりの資源をどうして活用するかという大局的見地に立って開発さるべきものである。それは普通ならば、民間資本なり民間の事業促進していくのが、現在の社会においては常道でありましょうが、なぜおくれておるのか。これだけ資源が豊富でありながらも、おくれておりまするのは、なかなか商業資本べースに合わないというところにあるのであります。そこで何と何と何ぐらいを五カ年のうちに達成するならば、それらの資本の流れによって、これに関連する産業が自然に起ってくるというところに、おそらくねらいがなければならぬと思う。さっき夏堀さんですか、外資まで仰いでなんということは、どうかと思いますけれども、何からかにまで、みなこの会社でやるのだ、この振興法でやるのだということは、私は無理じゃないかと思う。そうでなくて、重要なる問題を早期に取り上げていって、それらの産業が関連産業のいんしんを来たすというところに、私は目的がなければならぬと思う。それによって国土総合開発の一貫性が出てくると私はそう思う。そうでなければ、この予算の配分の上からいって、東北にだけ十分な開発資金ができるとは思われない。こんなことは、東北人にそういうことを望むこと自体が私は間違いだと思う。そこで、法律もいつまでもこれにたよれないというようなことではなしに、五年の間に、あるいは七年の間に、重要な開発はやるのだということの方が私はすっきりしておると思いますし、どうも長官はそういう考え方でないかと私は理解しておるのですが、大臣の理解するように法律の体裁ができていないのですけれども、この点どうでしょうか。
  113. 宇田耕一

    宇田国務大臣 法律の体裁の問題は、国土総合開発法による、国の基本計画のもとになる基本調査が実は非常におくれておりまして、従って、具体的ないろいろな的確な数字を基本としての企画というものは、非常に困難じゃないかと考えます。しかし昭和三十三年から三十七年までの経済計画を見てみました場合に、東北に何を期待すべきかということは、おおよそワクはきまるのです。その中で重要な問題点は、やはり隘路打開のためのエネルギーをいかにして東北に期待するか、あるいは鉄鋼資源の中で、特殊鋼資源としての砂鉄ないしチタニウムの科学的処理をどういうふうにするか、また、ただいま輸送の険路がありますから、北海道との連関等により、あるいはそれに付随するところの二条レール制度をどういうふうに取り上げていくかとか、それから東北の日本海と太平洋岸との連絡が非常に不十分なために困難な条件があるから、それに対してどういうふうに道路計画を立てるかとか、世界の十大漁場の一つである日本海及び太平洋岸の水産資源に対する応急的な国の資源対策をどういうふうにするか、森林対策に対しては、もちろん非常な高級な資源が多いから、それに対する対策をどうするかとか、数えてみると、ただいまの日本経済の成長のための基本問題は、非常にここに温存されておる点が多い。これはもうはっきりしておりますが、そういう意味で、経済五カ年計画の中に重点的に取り上げなければならぬ問題点が、東北の方に非常に多く横たわっておる。それは当然解決すべきじゃないかと思っております。  また、最近にわれわれの調査によって新しく出てきたのは、何といっても宮城県あるいは岩手県その他の県にも、ウランないし新しい核燃料物質の基本資源がかなりある。その一覧表はあとから皆さんに差し上げたいと思っておりますけれども、そういう面から見てみても、東北の持っておる学問的な、宮城県を中心とする特殊な意味での実績、またそれに伴うところのその付近における新しい資源、学問的な立地条件が非常に有利なものがある。それに付随して資源をどういうふうに開発するかということは、五カ年計画の中に取り入れてこなければならぬ重要要素ではないかと思われる点があります。従って、この十五の二の中に掲げてあります「東北地方開発促進に関する基本的な施策及び計画を企画立案すること。」という条項がありますが、これは新しく五カ年計画の成長の伸び率を七ないし八%と見た場合に、東北に期待するものはかなりウェートが高くなってきておると思います。しかし東北の一番の欠点はどこにあるかというと、基本的な開発手段が非常におくれておる、バランスがとれてないということであって、資源そのものの内容、あるいは人口の割合に土地のパリティが、密度が非常に荒いという条件、そういうものは、工業立地条件にとっては非常に望ましい点があります。そういう点に着目をして、そうして新しく東北開発促進法というものを現実に具体化していかなきゃならない特別な環境を持っておる、こういうふうに思っておるわけでして、そういう問題点を取り上げて、五カ年計画のうらはらで、これを地区の総合開発計画に織り込んでいく、国土総合開発と並行して秋までに計画を立てたい、こういうふうに思っております。
  114. 川俣清音

    ○川俣委員 大臣の前段のことはよく理解できる。前段の国の総合開発としての意向というものは御説明の通りであろうし、そういう計画だろうと思うのです。その計画は、この総合開発法と予算裏づけさえあれば達成できるはずなのです。あえて東北振興法に待たないでもできるはずなのです。それを、この法案を出された多くの人の熱意といいますか、政府も同意されまして提案されました趣旨というものは、特別法を必要とするゆえんのものは、やはりそれらのものを早期に達成してやろう、しかし全部ではないぞというくらいなことが、明らかになる必要があるのじゃないかと思う。全部を東北振興法に期待するような意見も東北の中には非常に多いのです。これは期待はずれになるおそれがあるのじゃないか。やはりそれは日本の国全体としての総合開発の点から関連してやらなきゃならぬ問題と、この特別法を作るからには、総合開発の上から特に取り上げて、これだけは早期に達成するのだという目途がなければ、特別法の趣旨は成り立たないと思うのです。そうして早くこの東北振興法というものが廃案になって、国全体のレベルの上から、東北が必要なのかどこが必要なのかという別な見地に立って、東北に必要であれば、それでやられることはちっとも差上つかえありません。振興法があろうと、なかろうと、国全体の計画の上から、どこが必要であるか、こういう取扱いにやはり帰るべきだと思うのです。  ただ、その前提条件として、東北の産業というものが片寄っておったり、それに関連する産業が興るべくして興らなかったり、いろいろな土地条件や地理的条件自然的条件によってはばまれておりまするものの中で、特に国家的に取り上げていくものを取り上げる、それから一般の商業ベースで東北開発ができる面もあるのです。たとえば銅の値上り等によりましては、必ずしも東北振興会社または国の東北だけに関する特別な援助を仰がないでも、やり得る面もあるわけです。これにまた特別な援助をやるということは、国の財政の上から不公平になります。そういうことはやるべきでないと私は思う。われわれはどんなに東北振興のためとは言いながら、一般の商業ベースでやり得るものまで特別に援助するということは、これは邪道だと思うのです。ただ一般の商業ベースでは、なかなか資本の注入できないもの、民間資本だけでは、なかなか産業の興ってこないようなものを特に指定して早期に達成し、それと関連する産業は、民間資本なり、商業ベースで採算がとれるような会社の振興の基礎を作ってやるということでなければ、こんな膨大な予算東北振興だけにつぎ込めるものではないのです。  また現段階においては、国だけが全部をやるべきではないと思う。われわれの時代においては別ですけれども、あなた方の時代においては、これはなかなか困難だと理解をする。それであるからこそ、東北の代議士が地方へ帰って、から宣伝をするためのような形の法律は、私はこれは必ずしも好ましい形ではないと思う。やはり東北振興の必要なのは早期達成にあるのだ、これは何をやるかということがはっきりして、このためには国の財政的な資金もこの点については最優先されるのだ、予算のワクの中でもこれが最優先されるのだということにならなければ、いつでも予算上不安定な形になる。何年計画かわからぬということになると、予算の配分がますます困難になると思う。やはり予算重点的な、効率的な利用の上、活用の上からも、明確なものでなければならない。それには、やはり五年の間にこれをやるのだからということで、予算裏づけをしておきませんと、ずるずるべったりになりまして効果が上らないことになる、気休めだけになる。これではせっかく特別法を出しましても、せっかくの法律の権威というものを失わしめる、法律の乱立の形になっていく。むしろ弊害を生む結果になると思う。今ではこういう特殊立法はむしろ整理の段階に入ってきている、私どもはそう理解している。国としてはむしろ総合的にやるべきなのを、総合性がなかったために、幾多の特殊立法ができてきている。特殊立法のために、むしろ総合性を欠いてくるきらいがあって、この際はむしろ特殊立法の整理期間に入ったと私は見るのに、あえてこの法律を出されるゆえんのものは、何かそこに画期的なものがなければならぬと思う。この点、大臣、どうでしょうか。
  115. 宇田耕一

    宇田国務大臣 こういうふうな地区を限って従来の考え方と違う開発計画ができなければならないというのは、やはり通信とか交通とか一般の環境に支配されて、昔の一行政単位でもってものの開発計画を立てるということが、時代にそぐわなくなったというのが一つの時代の要請、あるいはこの経済計画というものが、従来の行政単位では必ずしも適当ではないという基本問題も横たわっておると思います。そしてこの中で特に、たとえば最も東北地方でわれわれが隘路と思っておりますのは動力隘路でありますが、電源開発等だけを見てみても、たとえば福島県と新潟県のように一つの連関のある総合対策が立たないと、開発それ自身がうまくいかないということもあります。水力発電がそうなってきますと、そのピークのときの調節の問題で、当然火力の発電計画等がここになければなりませんが、火力発電計画の位置の決定にいたしましても、従来は必ずしも適当でなかったのじゃないかと思いますことは、本年の渇水状態を見ても、一番水の豊富だといわれた新潟県が一番打撃が大きくて、火力発電能力がなくて、生産能率を非常に阻害しているところがあります。従って電力問題だけを見ましても、五カ年計画の中において火力と水力との開発計画、そうしてそれの設置すべき場所の問題等は、総合して勘案をしなければうまくいかない、本年度だけの経験でもそういうことがあります。また砂鉄の開発、あるいはウラン鉱の採掘等を考えてみても、そういう事件が東北地方には非常にたくさんありましてむしろ行政区画を撤廃した方が、東北経済的な資源開発のためには有利な点がたくさんあるように思われますので、そういう点を総合判断して、開発審議会の審議を経て計画を立てるべきではないか、こういうふうに思っております。
  116. 川俣清音

    ○川俣委員 私のさっきから述べている点は、大臣が総合的な観点に立って東北を見るのだという点について、私は決して異論がない、それならばあえて特別法を出される必要がないのではないかという見解なんです。総合開発予算さえつけるならば、大臣趣旨は十分達成されるわけなんです。ただ、それでは満足しないというのはどこにあるかというと、先ほどからるる述べておる通り、特別立法をされるからには、やはり国の予算というものは、この特別法に従わせるという目的がなければ何にもならない、こういう観点です。特に私は、先ほどから重点的なものを早期に取り上げて達成させなければならないということを申し上げたのですが、昭和十一年に東北興業会社、東北振興電力会社等ができましたのも、これらの跡を振り返ってみまして成功している部分は振興電力だけなんです。あとはいたずらに商業資本と競争しただけでありまして、官業式と民間との競争で、むしろ官業式が敗北した歴史を残しておるにとどまるのです。従って、商業資本と競争するようなものをあえて作る必要は私はないと思う。これは会社法のときにも詳しく意見を述べ、討論をしたいと思いますが、要は、どこにあるかというならば、先ほどから申し上げているように、何を一体特に早期に取り上げていくのかということです。あとのこと一は国土開発を総合的に見ていいのです。何と何だけは五カ年なり三カ年なりに達成させてやろうという意欲がなければ、私は特別立法の必要はないのじゃないかと思うのです。  そこでお尋ねしたい。何と何がいいかということは、これは審議会の議を経て大臣が裁断を下すであろうと思いますけれども、やはりそうあれもこれもやるのだということになると、むしろ民間資本との衝突や競争を起すし、また悪くいたしますと、東北は採算ベースに合わないのだということで、初めから採算ベースに合わないのを興業会社がやる、振興がやるということになりますと、むしろこれを悪用されて、害毒を残すというようなこともなしとはしない、損してもこれは国がやるのだということで、そのこと自体が損であっても、関連産業を振興できればいいと思うのですけれども、そうでなくて、この地帯だけ、おれの地帯だけは何とか国の資本なり援助のもとにやろう、こういうことになりますと、これはむしろ悪用された結果の残滓を残すにとどまるのです。これは東北興業の歴史を振り返ってみるとわかります。確かに一つの功績を残しておるのは振興電力だけなんです。この振興電力も、にわかにやりましたために、現在ではかなり疎漏な建設計画であったというようなことはありますけれども、そのために、電力を利用した工業が、民間資本によってかなりの事業が振興しておりますことは、これは明らかであります。今日の民間資本が東北に参りましたのは電力によったのです。東北電力が豊富だというところから、これを動力源として、これによって工業が誘致されていった。今日の工業の半分以上は電力のおかげなのであります。興業会社がやったものではないのです。やったものもあります。たとえば東北。パルプのようなものはそうでありますけれども、その他のものは、とうにつぶれたものもあります。従って、何と何をやはり早期に達成するのだということがなければ、意味をなさないと思うのですから、くどくお尋ねするのです。これは決して回りくどく言って、あなたを落し穴に入れるという意味ではないのですから、率直にお答えになってけっこうです。
  117. 宇田耕一

    宇田国務大臣 東北関係資源といえば、農林水産関係でいえば、林産資源をどういうふうにして近代的な加工度を高めていくか、言葉をかえていえば、人口を土地に定着する手段を林産資源の活用によってどうやっていくのかということが、非常に重大な問題の一つだと思います。水産資源にいたしましても、おそらく日本の代表的な漁場を持っておりますから、それに付随する漁港の整備、漁獲物の加工、加工度の高い処理方法、それが東北には非常に欠けていると思います。そして水産資源の獲得物を後方に輸送する場合の輸送組織というものは、非常な水産資源の量に比べてアンバランスになって、おそらくその沖でとったものは、ほとんど土地の者のふところには関係なくして持ち去られるというのが現在の実情であって、これでは土地に人口を定着することは非常に困難である、こういうふうに思われます。また地下資源で言いますと、何といっても世界的に優秀な砂鉄を持っておりますけれども、砂鉄の分析上の優秀さというものは、われわれははっきり報告は受けておりますが、これに対する資金を見てみても、微々たるものであります。しかも、日本は外国から相当な物量の鉄を輸入しております。アメリカに対しても今年三百万トンばかりのスクラップを要求しに行って、五十万トンばかりは買えないという状態である。そうすると、多くの砂鉄をロータリー・キルンその他の方法で作って、年間三十万トンないし五十万トンの鉄が得られますから、アメリカのスクラップは要らなくなるというような、国の実力上から、目に見えて明確に東北に期待すべきものがあります。  そういうような二、三点をもって見ても、その資本だけを考えてみても、とうていただいまの開発金融公庫ないしは東北開発株式会社なりの規模、あるいはそれに対する金融方法から見てこれは九牛の一毛であるというふうに私は考えます。ほんとうに東北資源にまっ正面から取り組んで、五カ年ではいかないかもしれません、あるいは十年、十五年かかるのもあるかもしれませんが、それを現在明らかに調査の終ったものだけを、もっと近代的な処理をするということだけ考えてみましても、二百億やそこらの金はやはり問題にならないと、こういうのが、荒見当でわかります。そういうことを考えてみますと、東北開発のための金融公庫の業務、あるいは東北開発株式会社の定款、目的等を見ても、本来の経済開発はやはり会社がやるべきでなかろうか、それから金融関係は、金融公庫をもっと活発な活動のできるように、また大衆にこれが直結し得るようなものでなければならぬというように思います。また農家を見てみましても、冷害で非常に被害を受けておりますが、冷害に対応し得るような作付あるいは種類、あるいはビートその他に求めていきたいということもありますけれども、それも当然だと思っております。また乳牛の導入等につきましては、かなり専門的は報告は聞いておりますけれども、これを見てみても、相当まとまった長期のアフター・ケアがなければ、これが土地に人口を定着するようにならぬのではないか。第二次、第三次製品として牛乳またはこれを加工していく過程を見ても、北欧諸国等の組合組織、あるいは組合内におけるところの加工組織等を見てみると、東北には全然そういうようなものは考えられていないように思いますから、立体的の農家の経営だけを考えてみましても、それ専門でもかなり莫大な資金の導入計画を持たなければならないと思います。それがいわゆる法に掲げられてある審議会が審議すべき事項の重要な案件であって、これはまじめに取り組まなければならない、こういうように思っております。
  118. 川俣清音

    ○川俣委員 もうなるべく控え目にしますが、私の言っているのは、たとえば私は審議会の審議内容までここで論じようという考え方はしていない。これはそちらの権限に移さるべきだと思うのですが、またその場合に論じられるものだと思いますから、それを制約するというようなことで話をしているのではないので、法律を制定する以上、審議会にやはり暗示を与える必要上、私は議論しているのです。  そこで、今大臣の話された砂鉄、これは日本として原料が不足であるからこの砂鉄の製鉄は三年間にこれを達成させるのだ。あるいは新潟を含めてでありますが、東北に特にあります地下資源のうちで、天然ガスを利用して動力源にするのだ。あるいは東北は積雪量が多い、ということは、雨をある程度保有しておるのだ、資源を保有しているのだ、これをどうしてキャッチして電力源にするか、水力源にするか。こういうようなものを三年なら三年、四年なりに達成させて、これを活用して工業化するのが、東北興業であってもいいし、一般民間資本であってもいい。あらゆるものまで手を出すということでなく、こうしたものを重点に三年なら三年、四年なりに達成させるということになりますと、当然この製鉄原料を求めた工業が東北に進出していくであろうと思う。あるいは天然ガスも、このくらいな量を何らかの形で出してやるとするならば、それを動力源に求めて、化学資源に求めて、民間資本なり商業資本が進出していくであろう、こういうことが私は必要だと思っているのです。何もかも東北会社がやるのだという考え方よりも、そうしたことが必要じゃないか。そのために立法処置をとられているのじゃないか、と私は非常に善意に理解をしておるのです。今日の予算の上からいって、何もかもやれるなんということは、言えるわけはないし、予算編成時に各省が、ぶんどり合って、なかなかとれない現状であるときに、これとこれだけは、これくらいはできるのではないか、ということの問題を出していくことの方が、予算配分の上からいって予算の効率的適用の上からいって、必要じゃないか。必要なことであれば、これは達成できると思う。それを何でもかんでもやろうと思えば、これは予算の削減の対象になるのであって、予算重点配分というのは困難になる。ここに重点を置いたらどうだ、こういうふうに今大臣に話をしたわけなんです。それ以上大臣にはお尋ねいたしません。  そこで、ちょっと具体的なことになりますが、土地開発もやるということですけれども土地開発もいろいろやり方があるわけです。今の農地法に基く未墾地買収という形をとられるのか、あるいは特定地域の、今度出ました特定干拓とか、そういう方式でやられるおつもりなのか、一体どちらでおやりになるつもりであるか、この点を一つ……。
  119. 宇田耕一

    宇田国務大臣 その点につきましては、東北地方では双方ともに勘案しなければならない地区があるのではないかと思っております。その点につきましては、私は専門ではないから、あなたと討論すると、またクモの巣にひっかかると思うから……。
  120. 川俣清音

    ○川俣委員 決してクモの巣にかけるつもりで言っているのじゃないので、時間がないから、遠回しに申し上げているのじゃないのです。これは農地法に基く未墾地買収の対象としてやるのか、それではおそいということで、特定土地改良事業法の対象にしておやりになるのか、こう聞いておるので、クモの巣をかけておるのじゃないのです。また専門外のところまで立ち入ろう、こういうことでお尋ねしておるのではない。どっちの方向ですか。
  121. 植田俊雄

    植田政府委員 東北地方の八郎潟は、たしか特定の法律ですることになっておるものと存じますが、それ以外にすでに着工しておるところがございまして、これは必ずしも特定の計画でいく必要はございませんで、従来通り農地法に基く改良計画で進もうと考えております。詳細は農林省でないと、具体的な場所まで入って参りますと、わからないものでございますから……。
  122. 川俣清音

    ○川俣委員 これは予算の配分の上から、どっちをねらっておられるのか、こう聞いておるのです。きょう無理なら、農林省にお聞きしてもよろしゅうございますが、予算案をあなた方が策定されるときは、どっちの方向で土地開発をやるのだ、それくらいのことは、内容の詳しいことは別として、この方向で予算ができているのだということくらいは知っておられることが必要じゃないか。それ以上のことをきょうお聞きしようと思っていなかったのですが、方向だけはお聞きしたい。これも無理なら明日に譲ります。私の質問はこの程度にしておきます。
  123. 五十嵐吉藏

  124. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 大体は質疑応答の間で了解しておるのでありますが、はっきりする意味において、もう一度お聞きしたいのです。国土総合開発計画というものが、五カ年でやろうとして、全国的に計画を立てられて推進をしておられる。これは全国的な計画であるが、全国の一部に東北が入っておる。従って、国土総合開発の中にも東北の部分というものが含まれておるが、今度の促進法による東北開発促進計画というものは、それとどういうふうに関係を持つのかという点であります。先ほどの大臣の説明によりますと、東北に関しては、むしろ東北開発審議会の議を経たところの東北開発計画が、国土総合開発の全国的な計画東北の部分に対して優先をしてそれが実施目標になるというようにも考えられるのですが、この二つ計画関係は、どんなふうに進められようとしてこの法案を出されたのか、お伺いしたい。
  125. 宇田耕一

    宇田国務大臣 国土総合開発計画と地区別の開発計画とは、表裏一体でなければいかぬと私は考えておりますが、資源開発の裏にありますのは人口問題でありまして、都会に集中傾向のある人口問題を、地域別に負担をしながら、土地の事情に合わすように、人口の配分を正当化していきたいというねらいが非常にあるわけであります。そういうわけで、全国計画の中で東北地方に期待するものはどういうものであるかということは、おのずからそこに規模の大小がきまって参るわけであります。規模の大小がきまって参りました場合に、予算なり財政投融資等を通じて、東北にわれわれが注ぎ得る力はどれくらいであるかと言いますと、年間計画は国民の分配所得の七%に押えて参りますから、従ってその七%を八%あるいは一〇%に伸ばそうとする場合には、荷が非常に重くかかって、しわ寄せのひどい面が起りますので、そういうことのないように、全国的な日本の経済、あるいは財政の負担力の範囲内において、東北に対しては五年のものを六年、七年に延ばすこともあり得るように思います。従って全国計画のとき、国民全部の実力の中において、東北に対しては特に重点的に何を期待するかということは、国の経済開発資源開発の規模の中において考えられることになると思います。たとえば電気のようなものは、火力電気の配分だけを考えてみましても、東北では、どうしてもここしばらくは、とりあえず三十万キロないし五十万キロの火力を持たなければ、水力の能率をようカバーしていけない。しかも置く場所は八戸であったり、新潟付近であったり、こういうことになって参ります。それを各県を見てきますと、必ずしも新潟県よりも山形県の方がいいと言えないのじゃないかという事情も生まれてくることもあります。そういうことは、全国の送電計画のロス計算等から見て、全国計画関連をさせながら、位置の決定をするとか、あるいは質量の配分関係規定するとかいうことは、やむを得ない事情があると思います。従って東北開発につきましても、全国関係資源開発はどうしても切ることのできないいろいろの条件がある、そういうことでありますから、やはり全国的な開発計画と並行して進めたいものと考えております。
  126. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 よくわかりました。そこで東北開発計画は、東北開発審議会の議を経て内閣総理大臣がこれを決定する、こういうことになって、最終的決定は内閣総理大臣にある。東北開発審議会の議は答申案にすぎないということになるのでありますが、東北開発審議会は東北のみを中心として考えますから、その答申は東北重点を置いた答申になると思います。その答申があった場合においては、必ずしもその答申案をそのまま内閣総理大臣が決定するものではない、それを重要参考として、全国的な開発計画とにらみ合せつつ、最終的には総理大臣が決定するものである、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  127. 宇田耕一

    宇田国務大臣 そうでございます。
  128. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 そこで、その決定された計画実施する部面におきましてただいま御意見が非常にございましたが、それは別としまして実施部面としては、民間資本でやるものについては、東北北海道開発の公庫法という恩典を受けて民間がやることができる、それから、それでやれないようなものは、東北開発株式会社において、国の長期資金においてそれをやる、こういうことになるのでありますけれども、それ以外に国及び地方公共団体実施するもの、この部分についてお聞きしておきたいと思うのです。  国及び地方公共団体実施する部面については、この法文の中に規定されている以外にはないわけです。それで国並びに地方公共団体がこれを実施する場合における恩典は何か、こういう点であります。民間がやる場合には金融の恩典を受ける、またどうしてもやれないようなものは、開発法という国にかわるべきものによって開発会社がやれる。しからば国や地方団体実施する場合にはいかなる恩典を受けるか。しかも東北七県は再建団体になっておる。こういう場合に、その受ける恩典について見ますと、先ほど関連して御質問しましたけれども、大体第十二条になっているように思われる。ところがこの第十二条は、これが出てきたのでいいのですが、また将来法律改正ができますから、これはいいといたしまして、この第十二条の二項において、地方公共団体がやる場合においては、百分の百二十の国の補助を受けるという恩典があるわけです。この点は他の再建団体も同じでありますけれども、しかしながら、それは政令によってきまっておる。政令というものは、いつどういうふうに変るかわからない。法律は国会を通過しなければ変更できない。そこに法律上の百分の百二十という恩恵が規定されておる、こういうことになるわけでありますが、しかしながら、この百分の百二十の恩恵というものは、東北開発計画に入っているものを百分の百二十にするのではない。この恩恵は、開発計画に入れてあるもので、地方公共団体がやるものが全部百分の百二十になっているならば、これは恒久性があると思う。ところが、この規定によりますと、そうでなくして、再建整備法の十七条によって恩典である、こういうことになります。ところが、たとえば岩手県などが、五年ですか、六年ですかによって、再建整備団体でなくなります。それぞれの県が七年とかあるいは八年とかということになって、あるいは三年、四年の県もあるかもしれません。そうすると、その再建整備団体でなくなった瞬間に、この十二条の二項の百分の百二十の恩典というものはなくなってしまう、こういうことになるわけであります。そこで先ほど大臣は、再建整備団体は臨時的なものである、それから東北開発は恒久的なものであるというふうにお話になりましたが、恒久的な東北開発計画に対しては、百分の百二十という恩典は規定されておらない。  そこでお聞きしたいのは、それぞれの地方公共団体、かりに岩手県なら岩手県が五年後に再建団体でなくなったという場合には、岩手県は百分の百二十はもう落ちてしまう。その次は何々県が落ちてしまう。福島県は九年でしたか、十年でしたか、十年間は百分の百二十はあるでありましょうが……。こういうことになりますと、これは東北だけの特典ではない、これは全国の再建団体の特典にすぎない、こういうふうに思うのです。でありますから、この規定によって、東北開発計画だけに与えられた特典というものがないように思う。この点についてどういうふうに政府は考えておられるか。将来再建整備団体でなくなった場合においては、少くとも再建整備計画によっているものについては、百分の百二十を残しておくというような法案に改正でもされるのでなければ、この恩典はなくなってしまう。こういうことになりまして、結論的には国及び地方団体がやるところの東北開発については、何らの恩典がない、こういうふうにも思われるのでありますが、この点はどんなふうにお考えになっておられますか、それをお聞きしておきたい。
  129. 宇田耕一

    宇田国務大臣 再建整備に関する法の期待するところが、おそらくその各団体の持っている環境に応じて、所期の目的を達し得るものとは言い切れぬ面が、何県か全国に出てくるのだろうということは予想されます。従って、法の精神が、その場合に、国の財政規模の中においてどういうように新たに検討し直されるかということは、将来において、必ずわれわれが直さなければならぬときがくるだろうと思っております。しかし、ただいまの法の期待する精神の範囲内において、年次計画が必ず終る年度においては、それ自身が自立体制をとれるものだとわれわれは考えます。それと、この国土開発計画ないし東北開発促進に関するいろいろの計画というものは、非常なそごを来たすような内容の企画にはならない。そういうことを勘案しながら進んでいく、こういうふうに思っております。あるいは団体そのものの再建が所期の年限内に達成し得るかいないかということは、非常にむずかしい問題であると思いますが、しかし、法の期待するところに沿わない場合の事態が起らぬとは言えませんから、その時分に、それをどういうふうにわれわれは法体系を整えるかということは、それは促進計画とは別に、全国的に勘案しなければならぬ問題ではないかと思っております。促進計画そのものの中には、当然そういうような環境の変化を考慮に入れながら、われわれは促進計画を立てるべきじゃないか、こういうふうに思っております。
  130. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 あまり長くは御質問いたしませんが、ここに幸いに出ているのです。「自治庁長官が経済企画庁長官と協議して定める重要なもの」と書いてありますが、これがいわゆる再建法指定事業というものの中になっている。そこで、そういうふうな再建団体にからみつかないで、永久的なことを考えるならば、東北開発計画というもののうちで、経済企画庁長官がよろしいというものについては百分の百二十をもらえるようにする。再建整備法十七条の指定事業の中にこれを入れておくと、その団体再建整備団体でなくなってしまうと、その規定によって百分の百二十は自然なくなってしまう。従って東北開発計画のものも百分の百二十がなくなってしまう。これはうまくないから、せめて再建整備団体なんということを書かないで、予算の都合があるならば、先ほど質問がありましたが、再建計画開発計画のうちで、指定事業とかなんとかいうことを頭に置かないで、経済企画庁長官がこれとこれは大切なものだ、こういうふうに思ったものは百分の百二十にする、こういうような規定であれば、ずっといつまでも続くわけですけれども、この再建整備団体の中にひっくるめた関係で、将来これは法律の改正を必要としやしないか、こういうふうに考えるのでありまして、先ほどの質問にありましたように、再建計画の全部を百分の百二十にするということは困難でありましょうが、百分の百二十にする部分は——これとこれとこれは重要なものだというふうに、自治庁長官と経済企画庁長官がきめたものについては、再建整備団体でなくなろうが、あろうが、これは百分の百二十である、こういうふうに規定してもらえれば、目的は達成されるんじゃないか、そうしなければ、民間団体がやる、あるいは東北開発会社がやるという場合には、それぞれ恩典がありましょうが、地方公共団体がやる部分については、恩典は何もなくなる、こういうふうに思うのでありまして、その点について希望と意見を申し上げながら、御所見を聞いておきたいと思います。
  131. 宇田耕一

    宇田国務大臣 私は御趣旨はもっともと思います。やはり法律のできました環境は、その年々によって非常に変化して参ります関係で、そういうふうな東北そのものの後進性を開発するという趣旨に合うためには、当然行政機構の複雑化によって予算措置も複雑化される、そうして当初の企画通りにそのものが達成されないおそれがある、あるいは不必要な出費が行政機構別にあり得るということは、これは整理しなければならぬと考えます。従って十二条の第二項ですか、ここに掲げておるような複雑な規定を掲げなくてはならぬというのは、そこにこういう法律の生まれる前提の複雑さを含んでおると思いますので、こういう点は将来ともに整理をする、あるいは機会がさましたら、御趣旨のように、これを新しい機構のもとに統合するということは考えなければならぬ、研究しなければならぬものだと考えております。
  132. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員長 次会は明十七日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、本日はこの程度で散会いたします。     午後四時四十四分散会