○井堀
委員 大へんけっこうな御
意見を伺わしていただきまして、ありがとうございました。
そこで、私はもう
一つこれに関連してお伺いいたしたいと思いますのは、今おっしゃられますように、いずれも
事務局の
予算が十分予定されて理想的なものを作りたいというのは私
どもの念願でもありますが、現在の
政治の実際面から考えて、なかなか直ちに理想の段階に近いものを設けるということは困難ではないかという百歩譲った立場で、暫定的なものを考えたらどうか、こう思われますので、そういう前提で、今おつしゃられますように、まず第一に、
町村まで
選挙管理委員会の
事務局が
設置できれば一番いいのでありますが、
町村まで実施できるかどうかについて
一つ疑いがあるのです。少くとも、私
どもは、府県の
選挙管理委員会、それと大都市は言うまでもありませんが、市ないしは大きな町は、やはり
選挙管理委員会に直属する大小それぞれの
事務局を
設置することを、ぜひ至急に
実現してほしいという強い希望を持つ者の私は一人であります。そこで、常時啓蒙の
ための
予算を従来の地方交付税の中で考られておるようなことでは、それは、
選挙管理委員会の
独立性どころじゃなくて、常時啓蒙
運動などというのは死文化するというので、やかましく言うて——一億という金はおっしゃる
通りスズメの涙であって、あるいは末端に行きますと、もうむだ金に近いような少額のものになるのではないかという心配も、もちろんいたしておったわけであります。今皆さんからお伺いしますと、全くわれわれの危惧が当ったような感じがいたします。この次は
自治庁もふんばって、一応形を整えたわけでありますから、今度は実質を備えるという意味で、きっと増額も要求されるであろうし、また大蔵省もそういう趣旨を
理解せざるを得なくなってくると思います。もちろん私
どももその努力をいたします。こういう点で前進の道が開けていると思う。
事務局設置の問題にいたしましても、
東京都が自発的にお作りになったが、
東京だけあって他はなくてもいいという理由はないと思う。特に
選挙の場合においては、大きな都市だけあって小さなところはなくてもいいということはない。でありますから、
町村の
選挙管理委員会の
事務局にかわるべきものを、
町村の
職員でこれにかわらせるということはよくないのじゃないか。やはり
都道府県の
選挙管理委員会の
事務局の
費用を割愛していくというやり方ができれば、やや理想に近い
予算の使い方になってくるので、同じ金であっても、一応
町村まで渡して、
町村長の発案権で、しかも
町村議会の議決を経て扱うという
予算の操作が一体いいか。これは府県の場合でも市の場合でも同様なことが言えると思う。そういう点で、系統
機関の中で
予算の
執行権が完全に
独立に把握できれば、そういう問題は解消するでありましょう。一挙にできないとするならば、
事務局設置の
ための
予算くらいは、そういう
一つの新しい線を打ち出したらどうか。その場合に、
都道府県における
事務局の最小限度、あるいは大きい都市においては、もちろん
予算の流用等で多少弾力性のあるものがあるかもしれませんが、しかし、基本的なものは、やはり
事務局の
費用だけは
独立して要求のできるような、たどえば、
自治庁が大蔵省と折衝する場合にも、皆さんの要求が具体的であることによって、そういうことの可能性が早く出ると思う。そういう意味でお尋ねいたすのでありますが、これは全くしろうとのお尋ねになるかもしれませんけれ
ども、たとえば
都道府県の場合においては最小限度この程度のもの、あるいは市においては、
人口によってどういうふうに判断するか、いろいろあると思うが、そういうようなひな型を皆さんの方から具体的に国会なりあるいは
自治庁を通じて政府に御
要請されるということになると、問題は具体的になってきまずから、それに反対するとすれば、
自治庁はどういう意味で反対するか、国会がそれに対してどういう
意見を加えるかということについて、具体的ならざるを得なくなると思う。ただ
事務局を
設置したらどうかという点についてまともに反対する者はないと思う。そういう点について御考慮を願うことができたらと、私はこう思うわけであります。
そこで、先ほど来皆さんがおっしゃられるように、特に私の考えますのは、従来毎回悪質な
選挙違反の事例が跡を断たないのみならず、だんだん深刻になっていく、悪質になっていく、もぐっていくというような形になってそれに使う
費用は御案内のように弾力性がある。これは非常にむだな金だと思う。そこで、
選挙違反に連座いたします人の中には、
民主政治の建前からいえばこんな悪質な犯罪はないときめつけていいと思うのでありますけれ
ども、しかし、当事者にとってはそういう破廉恥行為をしたと考えておる者が非常に少い。私はこういうところに常時啓蒙
運動の対象になってくる
日本の
一つの特殊な形態があるのではないかと思う。これはいかに処罰する法律の考え方がこれをかりに破廉恥罪として迎えようとしても、
選挙民の間にやはりそういうものを許す——特に
選挙運動をやっている中には、ひどいのになると英雄気分になって、だれそれの
ためにおれは犠牲になるのだとか、壮士的な気分が、例外ではあるけれ
ども、ある。こういう点に
日本の啓蒙活動というものを特段と私は強調しなければならぬものがあると思う。そういう点から考えますと、
事務局を
設置するということはこういう点にこれだけの効果を期待して、それをすぐ上げるということは困難でありましよう。ことに、教育費でありますとか、こういうような啓蒙宣伝の
費用というものは、刑事罰を処罰する
ための
経費あるいはポスターや物をもってやるというものとは違って、なかなか相手方を
理解させることが困難であるかもしれない。それだけに、われわれはこういう点にはより声を大きくしなければいけないのじゃないかと思う。しかし、一番効果的な
仕事ではないかと私は思う。この点は皆さんもお認めになっておるようでありますが、それだけに漸進的にでもいいですけれ
ども、今年は
一つ一億をとったから、次は五十億、百億に、あるいはもっと実質的な数字をつけることができるかもしれないが、そういう点に数字をつけていただきたい。そうして、
事務局設置についても、ここにはこの程度のものといったようなものが、皆さんのような実際経験を積んでおいでになる方から出されれば、否認する方は非常に困難だと思うので、こういうような形のものをぜひ
要請してもらえないものか。それを今すぐここで適当なこれだけの
事務局があればこうということを、もちろんおっしゃってはいただけないかもしれませんけれ
ども、そういうことをお考えいただいて御
要請願えれば、われわれも非常に勉強になりますし、政府もまた反省せざるを得なくなってくるのじゃないかと考えられるのであります。この点が
一つ。
それから、
予算の
執行権の問題については、私、前回この
委員会で、うしろにおいでになられます
選挙部長を通じて政府の所見をただしてみたのでありますが、残念ながら、今の政府の政策の中では、こういうものについてそれほどの熱意がなかなか感じられません。しかし、これはわれわれの任務でございますから、がんばるにはがんばります。そうすると、なしくずしと言ったらいけませんけれ
ども、必要度の高いところからわれわれは積み上げていくべきではないか。今年は、私は、
選挙法についてはあなた方の方からせっかくこういう御
決議をいただいたのでありますから、これをどういう形かで法律の上にもあるいは
予算、行政の上にも頭を出していかなければならぬ
責任を感じておるわけであります。そういう意味で、
事務局の問題は、今言うような点について、私の考え方に皆さん御賛成下さるかどうかわかりませんが、御
意見を伺わせていただきたい。
続いて、ここに今あなた方の方であげておられます啓蒙宣伝の
運動についていろいろ伺ったわけでありますが、先ほど、
戸田さんのお話では、
大阪では
棄権防止の
ために飛行機まで出して御努力下さっておるそうでありますけれ
ども、容易に効果が上らない。これはやはりそのときちょっとやったってなかなか効果が上りにくいのだが、継続的に行うと、私は少い
経費で存外大きな効果を上げられるということは、ひとり
選挙運動だけではないと思う。元来教育というものはそういうものじゃないかと思う。腹の減っているときに飯を食わせるようなわけのものじゃなくて、効果は全然ないようであっても、それが五年先に、十年先に、あるいは百年先に効果を現わすものであるかもしれない。それほど、
選挙管理の
仕事というものは、最初はうんと
予算をつぎ込んで、だんだん
予算が要らなくなってくるという性質のものでなければならぬと思うのでありまして、
日本の行き方は逆のコースをとっていることは残念です。ここら辺で
一つある程度効果を期待できるようにせっかく
予算の
執行権に言及されてきたところであります。これを
一つ自治庁にも、私
どもは大いにこれから督励をいたしまして、させたい決意であります。こういう点で、
事務局については、私は第六条の精神だけでいいと思うのです。それから、
選挙運動は実際やってきたんだときっと言うに違いありません。今まで曲りなりにも
選挙をやってきているから、ある程度間に合うと言うかもしれませんし、言わなくても、そういう傾向が見られますので、常時啓蒙の
運動については、私はこの際やはりはっきり打ち出していける可能性のあるものだ。そうすれば、
選挙になりましても、またその余力は一段と他の
職員の組合が可能になってくる。先ほど、
東京都の
管理委員長さんでしたか、おっしゃられたように、ほかの
職員を連れてきたところで、木に竹を継いだような
人事だと思うのです。これは、
自治庁は、この間
町村の問題については逆の御答弁をなさっておられますが、たとえば、
町村の場合には、今ちょっと言及して次の質問をお願いしたいと思うのですが、
戸田さんでございましたか、市の
職員なりあるいは地方議会の吏員が
選挙管理委員を兼職するという弊害であります。この点で私は別な角度から政府の所信をただした際に、これは具体的な事例があって、今私
どもは
調査を進めておる問題ですが、埼玉県の川口市の市長
選挙の際に、市の助役が
選挙管理委員長をやって、その
選挙管理委員長が、御念の入ったことには、
選挙の十日ほど前にその市長の命を受けている。次の
候補者は現市長の後輩で、それを立候補させて自分が
事務長をやるということがきまっていて、それを市長が助役に命じて、名義は、自治
協力会の指導者を温泉に招待し、あるいは帝劇に招待をしておる。市費を使っている。この場合すぐ考えられますことは、私はいずれも個人的に近しくしている人々でありますが、まことに助役の立場は苦しいと思う。市長に命じられれば、上司です。この人の身分からいうと拒むことはできません。一方は
選挙管理委員長です。
選挙管理委員長の地位からいえば、市長であろうとだれであろうと、
選挙運動に関連のあるようなことについて、ことに事前
運動の疑いが多分にある新聞でもでかでか書かれたくらいですから、常識的に判断しても、
選挙管理委員長ともあろうものが、いささかでも疑いを持たれるようなところに臨むべきでないことは当然であります。しかし、その自由は助役という身分で縛られてしまう。こういう露骨な事態が起っておる。しかし、こういう事例をあげなくても、御案内のように、
選挙管理委員会が、それは
知事でありますとか、市長が従前のように間接
選挙であのましたり、あるいは中央の任免するものでありますならば、これはおのずから別な議論がある。しかし、市長も首長も
選挙管理委員会のもとに
管理を受けて
選挙を行なって成立する身分でありますから、その自分の
選挙をやる
ために必要な
選挙管理委員会、その
管理委員会の
委員長を自分の指揮命令でどうにでもなる者を据えておいてやった、その
選挙が公正でございますということは、どこを押しても出るものじゃないと思う。この問題で
自治庁を追及いたしましたところが、その事例はたくさん方々にあるということで、私
どもまことに意外と思ったのです。その中で、
町村の場合は、
選挙事務に精通した人を得ることが非常に困難だ、どうしてもそういうものを見ようとすれぼ、
町村の吏員、
職員である者に適格者が多いという意味のことを述べられた。私はその事実は否定はいたしません。そういう事態が一方にあるのです。だから、私は、こういう問題の解決は当然
自治庁もわれわれも解決を急がなければならぬ問題だと思うのです。そこへちょうど
事務局の問題が出てきましたので、その
事務局を
市町村の中からだけとらなければならぬという考え方になると、幅が狭くなって、今のような問題が起る。
町村の場合は、
都道府県なりあるいは大都市はちょっと
関係が悪い。今の行政機構からいくと、
都道府県の
選挙管理委員会の
予算の中で、あるいは
事務局の中で、そういう必要な人員のある程度が按配できるような形を生み出していくことによって、そういう問題も解決できる。こういう点に対して、皆さんの豊かな経験の中で、具体的なそういう
要請が行われますならば、私
どもは、政府に対して
要請をいたしましたり、あるいは立法手続をする間にいろいろ考えたらよいことじゃないかと思っておりましたが、ちょうどよい
機会でありますから、この二点について、簡単でけっこうでありますから、御所見を伺っておきたいと思います。