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1957-05-13 第26回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十三日(月曜日)    午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 石坂  繁君    理事 大村 清一君 理事 田中 龍夫君    理事 藤枝 泉介君 理事 井堀 繁雄君    理事 島上善五郎君       青木  正君    植原悦二郎君       吉川 久衛君    佐々木秀世君       椎名  隆君    古川 丈吉君       山本 正一君    井手 以誠君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      兼子 秀夫君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁選挙部         選挙課長)   皆川 迪夫君         総理府事務官         (自治庁選挙部         管理課長)   櫻澤東兵衞君         参  考  人         (東京選挙管         理委員会委員         長)      吉田 直治君         参  考  人         (神奈川選挙         管理委員会委員         長)      小暮藤三郎君         参  考  人         (大阪選挙管         理委員会委員         長)      戸田 常藏君     ――――――――――――― 五月十三日  委員加藤高藏君、菅太郎君及び山本利壽君辞任  につき、その補欠として吉川久衛君、佐々木秀  世君及び山本正一君が議長指名委員選任  された。     ――――――――――――― 五月六日  公職選挙法の一部改正に関する陳情書外一件  (第  八六九号) 同月十一日  公職選挙法の一部改正に関する陳情書  (第一〇三三号) を本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査申出の件  委員派遣承認申請に関する件  閉会審査小委員会設置に関する件  公職選挙法改正に関する件。     ―――――――――――――
  2. 石坂繁

    石坂委員長 これより会議を開きます。  閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  まず、本委員会閉会審査案件の申し出についてお諮りいたします。閉会会中におきましても引き続き審査を継続して参りたいものといたしましては、一、中村高一君外五名提出、政治資金規正法の一部を改正する法律案、二、公職選挙法改正に関する件、以上の案件につきまして、議長に対し閉会審査をいたしたい旨申し出ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石坂繁

    石坂委員長 異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 石坂繁

    石坂委員長 次に、閉会委員派遣に関する件についてお諮りいたします。先ほど議長に申し出ることにいたしました案件につきまして院議による付託がありましたならば、委員を東北、近畿及び中国地方に派遣し、最近の選挙及び選挙管理委員会実情並びに選挙法改正に関する事項等について調査をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  5. 石坂繁

    石坂委員長 御異議がないと認め、よってさよう決しました。  なお、派遣委員の人員、氏名、派遣地、期間並びにその承認申請手続等につきましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石坂繁

    石坂委員長 御異議なしと認め、さよう決しまする。
  7. 石坂繁

    石坂委員長 この際お諮りいたします。閉会中の委員会につきましては、委員各位にもいろいろと御都合もあることと存じますので、小委員会を設けて、小委員会審査並びに調査を進めることにいたしたいと存じます。つきましては、小委員十名よりなる閉会中の審査小委員会設置することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 石坂繁

    石坂委員長 御異議なしと認めます。よってその通り決します。  なお、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願うこととし、また、その後の小委員の異動につきましても委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 石坂繁

    石坂委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。     —————————————
  10. 石坂繁

    石坂委員長 ただいまより公職選考法改正に関する件について調査進研ます。  これより、あらかじめ公報をもって御通知申し上げた通り参考人の方より御意見を承わることにいたします。  この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙のところ御出席をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。本委員会は目下公職選挙法改正に関する件について調査を進めておるのでありますが、伺うところによりますと、去る三月二十六日の都道府県選挙管理委員会連合会総会において決議され、特に選挙管理委員会組織強化について努力されておるとのことでありますが、その間の事情並びに選挙管理委員会実情等あわせて忌憚ない御意見をお述べ願い、本委員会使命達成に御協力願いたいと存じます。  それでは、まず吉田さん、小暮さん、戸田さんの順序でお願いいたします。それが済みましてから、委員諸君より質問があることと存じますので、さよう御了承願います。  それでは、東京選挙管理委員会委員長吉田直治君に御意見開陳をお願いいたします。
  11. 吉田直治

    吉田参考人 私は東京選挙管理委員長並びに都道府県連合会会長吉田直治でございます。本日は、貴重なお時間をおさき願いましてわれわれの説明を聴取していただく機会を与えらもましたことを、厚くお礼を申し上げます。  それでは、これより御説明を申し院げます。  去る三月二十六日開催いたしました都道府県選挙管理委員会連合会総会に、おきまして、昨年十月全国選挙管理毒員中央会議決議のありました事項のうち、選挙管理委員会組織機構を充実強化することは、選挙管理根幹であり その実現急務中の急務であるから、すみやかにその実現を期する旨の決議がなされました。先般本委員会に提出いたしました要請書は、このような事情において、右決議実現ために行われたものであります。要請書にございます概要については、すでに、昨年十一月、当委員会において全国選挙管理委員中央会議に関し松崎前会長等より陳述があったのでありますが、重ねて御説明を申し上げ、この要請実現について格段の御高配をいただきたいと存ずるものであります。  第一、選挙管理委員定数を増加するとともに、独立事務局設置して組織をはかることでございます、  まず、選挙管理委員会委員定数を増加することについて申し上げます。選挙管理委員会定数は、御案内のように、昭和二十一年選挙管理委員会発足の当初におきまして、都道府県は本人、市町村は四人でございましたが、その後、昭和二十七年、地方自治法改正によりまして、都道府県及び指定都市は四人、市町村は三人に減員されたのであります。この減員は委員会運営に多大の支障を来たしております。中でも、市町村にあっては、定員三人のところ、議事の定足数が三人と法定されているために、一人の欠席者があっても議事を開くことができないという状態でございます。もっとも補充員制度が置かれてはおりまするが、たまたま招集される補充員実情に暗く、かっこれに十分な責任を負担させることは困難であります。また委員会の最も重要な選挙に関する常時啓発運動目的達成ためにも、委員を一人ないし二人ぜひ増員をしていただきたいと存じます。  次に、選挙管理委員会事務局を必置制とすることでございます。現在、都道府県、ことに市町村にあっては、選挙管理委員会事務局は、わずかな例外を除いては独立事務局が置かれず、長の補助機関職員兼務によって処理されている現状であります。けれども選挙管理委員会が、各種選挙あるいは投票を公正にかつ過誤なく管理執行すること、並びに選挙に関する常時啓発運動は、本年新たにこれに要する費用が交付され、選挙管理委員会事務は現実に増大かつ日常化いたしましたために、委員会独立事務機関の整備が絶対必要でありますことは、多言を要しないものと存じます。言うまでもなく、選挙管理委員会は、現行のままでも十分にその重要な使命を認識して公正な選挙執行するように留意いたしておりますが、率直に申し上げて、知事市町村長直属隷下にある職員をもって事務処理しておる現状におきましては、ややともすれば、これがため選挙の公正をそこなうものと疑われるおそれなしとしたいのであります。   〔委員長退席大村委員長代理着席〕  以上の理由によって、事務局設置要請するものであります。事務局設置に伴い経費増高を来たすことを懸念する向きもあるやに聞き及びますが、事務局設置ためには多額の経費を要するものではなく、また民主政治根幹をなす選挙公正確保及び常時啓発運動推進によって、選挙公明化し、正しい政治態勢推進に資する見地からするならば、事務局設置に要する多少の経費は、きわめて些少なものにすぎないと存ずる次第でございます。  第二は、選挙管理委員会予算執行権を与える等、その独立強化をはかることであります。委員会自主性独立性がいかに保障されましたところで、その予算の裏づけがないところには、その保障は全く形式的なものでございまして、現行法におきましては、地方公共団体予算執行権は長に専属しております。従いまして、選挙管理委員会がその所管事務執行します場合、委員会独立性を侵されるおそれもあり、また事務の渋滞を来たすことがあります。たとえば、一例をあげますならば、投票箱を製作する場合、立会演説会会場を借り上げるような場合、これに要する経費は、長の支出命令によって初めて投票箱を製作し、会場を借りることができます。かりに、この場合、長が投票箱はもっと安いものにしろとか、この会場は借上料が高いからその支出命令はしないというようなときには、委員会の希望する投票箱の作製、立会演説会の使用は不可能となるわけでございます。これでは、選挙の公正を保持しがたく、また迅速を要する選挙事務の円滑な処理は期し得ないことともなります。選挙管理委員会自主性独立性保障し、選挙事務の円滑な処理を期するためには、委員会予算執行権を与えていただくことが最も必要でございます。  以上第一、第二の事項に関しまして、私が委員長を勤めております東京選挙管理委員会実情について少しく申し上げたいと存じます。東京都におきましては、関係機関理解ある協力によりまして、委員会事務局は、知事部局より独立し、二課四係、専任職員十九人、兼務職員八人、計二十七人をもって組織しております。兼務職員と申しましても、これは実際においては職名の兼務でありまして、専任職員と同様であります。都の一円に行われる選挙に際しましては、事務局職員だけではなお不足でありますので、他の執行機関職員応援等を受け、また他の執行機関職員との人事の交流もなされ、一部にありますところの、委員会事務局独立した場合、他の執行機関との関係が円滑を欠くに至るおそれがあるという心配は、現在のところは少しもありません。地方自治法第百八十条の二の規定に基いて、教育委員会人事委員会等に委任している予算執行権については、選挙管理委員会に委任されていませんので、委員会独自では選挙費用支出ができないわけでございます。現在、若干の都道府県におきましては、委員会事務局設置されておりますが、東京都の選挙管理委員会事務局は、私の知っております範囲では、他の道府県のそれに比較しまして、きわめて充実しているのではないかと思われます。しかし、このような形がもちろん十分であるわけではなく、現状においては、少くとも、都道府県に、このような形を改善し、さらに充実した独立事務局を一設置することによってこそ、選挙管理の適正が期せられるものと存ずる次第でございます。これがためには、関係法律改正、財政その他について必要な措置が加えられなければ困難であります。  第三は、選挙管理委員会組織及び運営等に関しては、公職選挙法中に規定することでございます。選挙管理委員会は、地方公共団体機関ではありまするが、申すまでもなく、他の行政委員会と異なり、国の事務処理する面が圧倒的に多く、またその機能は、公職選挙法に基き、各種選挙を公正に管理執行するとともに、選挙公明化ために、常時啓発運動を行う責任を有しております。従いまして選挙管理委員会組織運営に関する事項は、選挙基本法である公職選挙法中に規定せられるのが適当であると存じます。これを地方自治法中に規定しているのは、ただ終戦後の立法の歴史的経過に基くだけにすぎないものと思われま・す。しかも、これが、ややともすれば、選挙管理委員会の前述の特殊性が否定され、地方公共団体の他の行政委員会と同一視され、同一待遇を甘受することを余儀なくされる重大な原因となっているのであります。昨年、地方自治法改正によりまして、首長に、一般執行機関と同様に、選挙管理委員会に対しまして、組織管理両部面にわたる勧告権を与えられたことは、委員会といたしまして納得のできないもので塩ります。このような選挙管理委員会特殊性を否定し、かつ中立性独立性保障上有害無益な改正を排除するためにも、委員会組織運営等の規宗は、あげて公職選挙法中にぜひ規定されたいのであります。  その他、一、二点を申し上げてお願いしたいと思うのであります。公職選挙法別表第一を実情に合わすように改正していただきたいのであります。公職選挙法別表衆議院議員選挙区別定数昭和二十一年における人口を基準として規定されたものでありまして、その後十数年を経過し、地域的にも大きな人口の変遷を来たし、議員定数人口比によることとする公職選挙法の原則にも合わないものがあります。なかんずく、別表第一には、「この法律施行の日から五年ごとに、直近行われた国勢調査の結果によって更正するのを例とする。」と定められておりますので、順法の精神から申しましても、きわめてすみやかに妥当な措置を講ぜられたいとお願いするものであります。  第二に、全国選挙管理委員会制度を復活することで、あります。選挙管理委員員会発足の当初におきましては、都道府県及び市町村選挙管理委員会の頂点に全国選管理委員会がありまして、都道府県及び市町村選挙管理委員会を指揮監督し、事選挙に関しては、他のいかなる機関の干渉も許さず、このようにして、民主政治根幹たる選挙管理執行は内閣及び国会から独立いたしました。しかるに、昭和二十七年、関係法律改正によりまして、全国選挙管理委員会中央選挙管理会に改組され、同管理会はわずかに参議院全国凶選出議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査投票管理執行のみを行い、他はあげて自治庁に移管されたのであります。けれども選挙管理委員会制度の創設の当初の理念、構想は、それが正しいのでありまして、どうか、もとの理念に立ち返って、公職選挙法中に全国選挙管理委員会を復活されんことをぜひお願いする次第であります。  以上をもちまして、私の陳述を終らしていただきます。どうか、この要請事項実現方につきましては、委員各位の格段の御高配を賜わらんことを、切にお願いいたす次第でございます。以上でありますが、神奈川委員長さん並びに大阪委員長さんから御要請がありますので、どうかお聞き取りを願いたいと思います。
  12. 大村清一

    大村委員長代理 それでは次に移ります。次は、神奈川選挙管理委員会委員長小暮藤三郎君に意見の御開陳をお願いいたします。
  13. 小暮藤三郎

    小暮参考人 私が神奈川選挙管理委員長小暮藤三郎であります。本日の公職選挙法改正に関する調査特別委員会出席して、参考人としまして意見を申し上げる機会を与えられましたことは、まことに感謝にたえないところであります。  私ども選挙管理委員会は、その使命の重大なるにかんがみまして、みずから相戒めまして、厳正なる選挙管理執行と常時啓発推進とを期しておりますることに、日本の今日の場合は、特に必要を強調されることは常時啓発運動であります。委員会機能の大部分はここに集中しまして、民主政治を確立する公明選挙実現第一歩を打ち出して行かんとするものであります。  思うに、わが国民性は、古来平和を愛し、世界に誇る伝統を有するものであります。試みに、最初の明治二十三年の第一回の選挙を見ましても、先進各国に比較して、そのときの選挙はまさるとも劣らぬ理想的の選挙であったのであります。私どもちょうどそのときに十才の小学校の児童でありましたけれども、そのときの選挙実情を見まするときに、実に理想的の選挙でありましたのが、第二回目の二十五年の選挙から、その理想的の選挙を汚す動機を起しまして、それがだんだんと積り積りまして、年所を経るに従いましてその弊害がはなはだしくなったことは、いまさら申し上げるまでもありません。そのよって来たるところは何に基因するかということを考えてみまするときに、選挙の行き方を指導するところの人が、また指導する役所が、その当を得なかったというところに、六いに原因しているのではないか、かように考えます。思うに、この公明選挙をいたしまして そうしてわが国国民性を十分に発揚いたして参りますれば、今日至難とされておりますところのこの選挙は、実に世界に誇る公明選挙になる、かように私どもは確信しておるのであります。おそらく、いかにやかましく法規を制定いたしまして、そうしてそれを羅列して実行を迫ってみましても、その裏をいくという方法が新たに盛り上って参りまして、かくのごときことを繰り返して参りますれば、百年河清を待つようなものではないかということを憂うるものであります。私ども選挙管理委員会あげて、今後の選挙管理仕事の重点は公明選挙実現を期する以外にない、かように深く関心を持ちまして、そうして大衆に接してみまするときに、大衆はきわめて理解があるのであります。その協力を得ますれば、必ずたなごころを返すようにわが国選挙は昔に返ってほんとうに日本国民性によって世界に誇るりっぱな選挙ができるということを、私ども委員会は確信しておるのであります。  しかし、この公明選挙運動につきまして、これを監督する機関が昔のよくない伝統に導いたその禍根が残っておるのじゃないかということを痛感しておるものであります。この点につきまして痛切に感じられますことは、昨年の制度改悪であります。あの制度改悪をいたしますときに、私ども全国委員会は、あげて、十年余にわたり営々ししとしてやってきたところの選挙の実体が破壊されるというので、それをぜひとも衆議院参議院各位に御了解を願って、そうして公明選挙をしまして、十分に選挙管理委員会が活躍のできますようにお願いした次第であります。幸いにいたしましてある部分は認められまして、そうしてその余勢がいわゆる昨年の十月の大会となり、さらに三月二十六日の全国総会となりましてお手元に差し上げたような結果を御参考に申し上げた次第でございます。このことにつきましては、各位の平素の御意見等を拝聴しておりますのに、私が申し上げませんでも実によく御了解になっておりまして、その各位の御理解になっております点をぜひとも委員会規定の上に一つ実現さしていただきたい。それは、地方自治法から選挙法の方に移して、そうして国際的に、世界の模範になるような選挙をさせるように、一つぜひお願いいたしたい。この点はただいま東京都の委員長からも申し上げました意見で十分に尽きておりますけれども、私は、この点は特に強調いたしまして、切にお願いいたす次第でございます。
  14. 大村清一

    大村委員長代理 それでは、次に大阪選挙管理委員会委員長戸田常藏君の御意見開陳をお願いいたします。
  15. 戸田常藏

    戸田参考人 私はただいま御指名になりました大阪戸田でございます。このたび、この委員会にお呼び出しになりまして、率直に忌憚のないところを述べよという機会を与えていただきましたことを、まことに感謝にたえない次第であります。  私は、大阪府の委員としては昭和三十年の一月に初めて議会で推薦を受けたのでありますが、その以前、選挙管理委員会ができまして当初より、大阪市の区の委員をずっとしておりましたので、大体末端の仕事の点についてもよく了解をしておるわけであります。今東京都あるいは神奈川委員長さんからそれぞれわれわれの意のあるところを申し述べられましたので、その点について重複する点があるかもしれませんが、この事務局設置とあるいはまた職員独立制ということにつきましては、今東京都の委員長が申されましたごとくに、現在、大阪におきましては、大体は平生五、六人の人間がこの事務に没頭しておるわけでありまして、ほかの者は全部やはり地方課に属しておって、地方課仕事をしておるわけであります。また、予算関係にいたしましても、やはり地方課長実行権を握っております関係上、思うような仕事ができない。こういうことで公明選挙がいかになるか。あるいはまた、町村選挙管理委員会におきましてもその通りでありまして、予算のほとんど二分の一かあるいは三分の一程度くらいなものが選挙管理委員会費用にあてがわれ、予算すらもどのくらいもらっておるのかということがわからない向きのところが多々あってこのたびの大阪で初めて行われました補欠選挙におきましても、御承知のように非常に低調でありました。低調でありましたが、私は、忌憚のない意見を申しますと、補欠選挙であろうと、通常選挙であろうと、行うことにおきましては何ら変るところはありません。のみならず、通常選挙候補者数よりも補欠選挙の数の方が一人上回っておるような状態でありまして、またこの低調な選挙をいかにして盛り上げるかということについてあらゆる努力をふるって委員会棄権防止に当ったような次第であります。にもかかわりませず、非常に低調な選挙となったのであります。今後は、あなた方の方で一つよく御検討をいただきまして、早く選挙管理委員会独立性とそれに伴う予算執行権を必ずわれわれに委任していただきたいことをお願いすることと、また、今まで委員がかりに六人であったものが五人にされる、あるいはまた町村の方へいきましては四人のものが三人に減縮された、こういうことでは、選挙というものを公明に行わなければならない国が、この公明選挙を拡大する意味において、国民の血税をもってあてがわれておるにもかかわりませず、そういうことと、委員が減ったりすること、あるいはまた事務局がだんだん薄らいでいくような傾向になることは、最後においてこの選挙というものがいかに独善的なものになるかということを憂うるものであります。  私は、そういう点につきましては、今両氏の方が申されましたがごとくでありまして、今この機会に、お呼び出しに相なりましたことを幸いといたしまして大阪補欠選挙の状況を覚え書きしておりますので、この点を申し上げて御参考に供したいと思うのであります。  御承知のように、選挙は四月二十三日に実行いたしました。これは、いつもの選挙は日曜の日に大体やるということが建前になっていたかのように承わります。もちろん日曜でなければならないということがきまったわけでもないのでありますが、大体大会社等で働く方に対して、また支障を来たしてはということを考えられたものと思います。そこで、この四月の月というものは御承知のように行楽月でありまして、そこへ補欠選挙であるということから、投票率が非常に思いのではないか、こういうことを考えまして、なるべく一人でも多くの人が政治に関与していただく関係から、一人でも多く投票をいただくことを希望して、日曜とかいうものを省いて平日に持っていったわけであります。  御承知のように、候補者はそれぞれ八人の人が出ておりますが、その中でただ一人だけ小田としょさんが二日おくれて立候補されまして、その中で一人も辞退する人もなく選挙戦が展開されたのであります。  選挙公営における立会演説会の状況におきましては、班別編成の方法によらない立会演説会を十九日の間に五十六会場において開催されたわけであります。その中でただ一人だけ中尾辰義という候補者が、立会演説会に出ない、ただ個人演説会だけをやられたのみでありましてあとの七名は全部立会演説会に出ておられます。聴衆人員がまことに少かった関係でもありますが、大体においてヤジとかあるいはそういうものがなく、まことに静穏裏に実施されました。五十六会場を通じての聴衆人員につきましては、多いところではまず八百人程度、まことに少いところでは三人、平均いたしますと二百十九人という割合になっております。  啓発宣伝及び公明選挙運動推進状況につきましては、選挙に対する関心がまことに薄いのでありまして、今次の選挙が御承知のように森下政一氏の突然の死亡によるものでありまして、一人のみを選出する補欠選挙であって選挙期間が今申しましたような花見時期でもあったので、当初から選挙民の関心はまことに薄く、投票率が低下するであろうということが予想されていた。軸ところが、選挙のふたをあけてみますと、予想に反して八人の候補者が案外好調なすべり出しであったのであります。これなればまず心配することもないかというふうに一時は考えたのでありますが、やはり選挙熱は盛り上らず、低調な選挙となったわけであります。  本府の選挙管理委員会においては、この低調な空気を一転して選挙民の意識を向上せしめ、多数の選挙人の意思を反映した選挙たらしめるため、ポスターあるいは懸垂幕、ビラ及び広報車による選挙啓発、呼びかけを行うとともに、四月十八日には大阪市の中央公会堂において公明選挙のつどいを開催し、多数の聴衆を集めて講演等を行い、さらに、選挙期日の前日及び当日には、飛行機から棄権防止等を呼びかけ、及びそのビラ等を頒布したわけであります。一方市町村選挙管理委員会にも協力要請して、それぞれ地域に適合した運動協力していただきました。  これらの運動の効果と相待って、選挙期日が間近に近づくにつれて選挙に対する関心が深まってきましたが、不幸にも選挙当日は朝から雨が降っているというような悪条件に見舞われ、しかし選挙啓発をゆるめることなく、投票が終了する時間まで終始啓発に努力をした結果、辛うじて二割台を突破する三割二分の投票率をおさめたことであります。  昭和二十六年五月十六日執行参議院大阪府選出議員補欠選挙投票率は三割八分でありまして、これと比較しますと六分の低下を見るわけであります。昭和・二十六年の−補欠選挙は、その選挙運動湖周と、同年の四月に行われた地方選挙選挙運動期間等が重複した、そういう関係もありまして選挙熱が比較的高く、かつその選挙熱がさめやらぬうちに行われたものであることと、補欠される議員が二人であったこと、並びに占領下の選挙でもあったので、駐留軍から、投票率の向上のため、少々の経費がかさんでも努力するよう強く指導されていたような特殊事情のもとの選挙であったが、今次の選挙は、今年最初の選挙で、選出される議員数も一人であるとともに、選挙執行経費通常選挙経費の三分の二に相当する額により行われなければならない。その他先に述べましたような種々の悪条件のもとに行われたわけでありまして、今回の選挙投票率昭和二十六年の補欠選挙投票率とを、両選挙の実質面から比較するならば、今回の投票率は決して怠ったものではないと思うのであります。  今回の選挙に対する選挙民の関心が比較的薄いために、候補者が熱を入れて選挙運動を行なってもこれの反響が乏しいので、必然的に低調な選挙戦のすべり出しとなったが、終盤戦となるに従い、候補者の勢力が伯仲し合い、従って、最後の追い込みに至り、活発な選挙運動が展開されました。  候補者の氏名を掲載した文書図画の撤去でありますが、共産党の選挙運動用のポスターと、山田候補の無検印の選挙運動用ポスターに対しまして、撤去命令を発した。ところが、撤去命令に従わず、そのまま放置されている状況にあったので、行政代執行法によって代執行するかどうかにつき考慮しましたが、人員また経費関係からして実行が困難、あったので、執行ができなかったのであります。連呼行為につきましては、警察関係機関の近くでは自粛するが、その他のところでは自動車の運行途上において車上から流し演説及び連呼行為が公然と行われたことであります。  また、選挙運動等に付随した棄権防止の活動におきましては、投票率の低下が予想されたので、浮動票の多少により当落に影響するところが大きいと見て、選挙運動または政治活動に際して棄権防止の呼びかけをした候補者または政党があったが、これは今回の選挙の特色とも言うべきものであるのではないかと思うのであります。  以上大阪の今度の補欠選挙の大体の状況を申し上げた次第であります。  どうか一つ、先生方におかせられましては、私の申し上げることが当を得ているか得ていないか知りませんが、要は、私ども選挙管理委員をあずかるものといたしましては、法を守らない者に対してはやはり相当の制裁を加えるということが正しいのではないか。選挙を行われる方が、この選挙法をお作りになる、そこで多少矛盾したところがこの法に現われてくる、そうしたことから、今度の選挙でも、また昨年の通常選挙においても、こういう法を無視したやり方をする候補者が現われてくるということはまことに遺憾なことでありまして、いやしくも、国に与えられたところの法というものは、何人とい身どもこれを守る、守らない者に対してはやはり正当な処置をとるということが、一番国民に信頼を与えるのではないかと私は考えるものであります。  以上申し上げまして、まことに恐縮でありますが、よろしくお願いいたします。
  16. 大村清一

    大村委員長代理 以上で各参考人意見開陳は一応終了いたしました。委員諸君におかれて質疑がありますなら、この機会にお願いいたします。発言の通告があります。順次質疑の発言を願います。井堀繁雄君。
  17. 井堀繁雄

    ○井堀委員 参考人の皆さんには大へ有益な御意見の御開陳をいただきまして、まことに感謝にたえません。ここに、公明選挙をいかに貫くかというととが重要な課題であるにもかかわらず、容易に理想に近づくことのできない現状をまことに残念に思っておる一八であります。その一つの方法として私ども現行法の中で最も重視いたしおりまするのは、ただいまお三方からそれぞれ大会の決定に基く要請を中心にお話がありましたが、選挙管理委員会制度についてであります。前回との委員会で詳細にわたりまする決議り内容についてお話を伺いまして、ありかじめわれは賛成の意を表したいと思っておるわけでありますが、本日はせっかくの機会でありますので、選挙管理委員会制度について一、二お尋ねをいたしたいと思います。  それは、今も御開陳になりましたように、選挙管理委員会独立性の問題か私は最も重視されなければならぬことだと思いまして、選挙法改正のたびにこのことを強調いたして参っておわけでありますが、容易には実現ができないのであります。今伺いますと、選挙管理委員会機能を活発に、そうして民主政治の健全な発達の基礎行為であります選挙公明に行うということについては、何人も異論のないしころであります。ただ、そう言いながら、実際に選挙管理委員会独立をはかることは、そう容易ではないと私は思うのです。今御主張になりました、たとえば、選挙管理委員会独立性を保持する一つの方法として、選挙管理委員会事務局をぜひ常設するようにという御主張は、あまりにも私は当然なことだと思うのであります。今日の選挙法でいきますと、国会議員、地方議会を初め地方の自治体の首長の選挙も、この管理委員会で一切お世話を願うわけであります。そういう選挙管理委員会機能というものは、私は、一つには、日本選挙民の選挙に対する従来のしきたりあるいは政治に対する考え方と申しますか、というものにいろいろな働きかけをこの選挙管理委員会にやっていただかなければならぬことは、毎回主張いたしておるのであります。そういう、選挙法でいいますと第六条の常時啓蒙、周知の運動でありますが、事務局を持たないでこういうことをやれということは、私はナンセンスだとすら考えておる。最も重要なことは、常時啓蒙の活動というものを選挙管理委員会が日ごろから手がけていく。そうすることによって、選挙民の持つ選挙に対する関心ももちろん高まるでありましょうし、一体選挙民がどういう選挙に対する考えを持っておるかということをキャッチしないで、一方的に棄権防止運動をやってみても、あるいは公明選挙を一方的に押しつけるような教育をやっても、労多くして効の上らないことではないか。今さら申し上げるまでもなく、民主的なやり方というものは、盛り上ってくるものとタイアップしていくところに効が上るのではないか。ことに選挙のようなものは、選挙法にもいっておりますように、選挙民の自由なる意思を選挙に表明させようというところにあるわけであります。こういう点から、私は、常時啓蒙の運動選挙管理委員会で積極的に常時実施されておるというところに、全体の問題が軌道に乗ってくるのじゃないかと思う。こういう点について、私は、選挙管理委員会はそういうものをもちろん十分お考えの上でこういう御決議がなされ、また要請が行われておるものと拝察しておるわけでありますから、常時啓蒙運動をやるため事務局としては、今幸いにいたしまして東京神奈川大阪といえば代表的な都市の選挙管理をおあずかりになっておる委員長さんでありますが、都市の場合に、選挙管理委員会事務局、たとえば東京の場合はもうすでに事務局設置されておるという御報告を承わっておりますけれども、ここにいう六条の精神を実施するだけでも、私はかなり徹底した事務機構というものが用意されなければならぬと思う。こういう点をお含みになって事務局設置を主張されておるのではないかと思うのであります。そうだとすれば、どの程度の規模のものを一応お考えになられるのか。従来は地方自治の仕事をやっておられる職員を臨時に選挙の際に頼まれるという方法——地方自治が余裕のある時代であれば別でありますけれども、地方自治は今赤字で苦しんでいるときでありますから、そう余剰人員をかかえておるとは思われないのであります。選挙のときに他の自治の行政事務が簡素になるという何らの理由もないわけであります。どっちかに無理をしてやっておるに違いない。日常選挙運動管理するだけでも相当僕は困難があると思う。ましてや、常時啓蒙啓発をやる事務局などというものを、そういう自治体の中から職員を割愛させるということは、私は不可能に近いことじゃないかと思う。実際行われていないのではないかと思う。ということになりますと、この六条の精神は空文にひとしい結果になる。本年度の予算では、予算の扱い方の中で、ほんのわずかではありますけれども、この点に対しては手心を加えるという傾向が出ておることは喜ばしいことだと思います。せっかくそういう傾向が出てきたのでありますから、この際やはり徹底した改革を行おうとするなら、ここら辺にあるのではないか、こういうふうに私どもは考えておるわけであります。こういう点に対して、お三方の今までの御経験に基く御意見を聞かせていただければ、しごく幸いだと思います。
  18. 小暮藤三郎

    小暮参考人 ただいま井堀先生のまことに御理解の深いお話を承わりまして、私ども常に井堀先生のお話は間接に承わっておりますので、斯界のとうとい御意見を持っておられます方がおりますために、先ほど申し上げましたことにつきましても、もっと立ち入って申し上げたい点があったのでありますけれども、いたずらに時間を要するのみでありまするから、貴重な時間をおじやましないという意味で、きわめて簡単に申し上げたのでありますが、全く先生のおっしゃる通り、また私ども全国選挙管理委員会会は六条の常時啓蒙運動の精神でおのおの働いておるのであります。さようでありまするから、みずからこの運動をいたします以上は、道義的な行為をしまして日夜絶えざる努力をいたしまして、そうして民心の推移を考え、犠牲を払ってやっておりますることは、皆様おそらく御承知通りだと思うのです。そういうことを実際において十年以上の経験を持っており、事務に活躍しておる人たちも、委員と一体となってやっておる。ところが、この実態を最も知らなければならないところの自治庁がいかに見ておるかという点が、私の最も言いたいところなのであります。さようでありまするがゆえに、最後に簡潔に、選挙法のうちで規定してもらいたい。私は、この啓蒙運動によってりっぱな日本を作り上げる、これより以外に日本をりっぱに作り上げていく道はない、かように信じております。それでわが日本国民性というものは平和を愛する国民性なんでありますから、これに呼びかけて参りますれば必ず成功する。そう多年を要さない。ところが、今の自治庁の考え方——自治庁の中にもいろいろの考え方があると思うのです。ここに選挙部長が来ておりますけれども、おそらく選挙部長はわれわれの考えと同じだろうと思うのです。けれども、それを押えている何ものかがあるだろうと思うのです。さように私どもは考えて、その点を非常に心配しておるのです。この考え方が、先ほど私が申し上げましたように、明治二十三年のあの世界に誇る選挙、御承知通り明治二十三年は一八九〇年、英国のあの大なる改革をした一八八三年を去ることわずか七年です。その七年に英国の選挙よりもりっぱな選挙をしておる。これがほんとうの日本人の生きた実際なんです。ところが、その後あの大なる干渉によりまして悪くしたのはだれだ。その悪い根が私は自治庁のどこかにあると思うのです。何によってそれを言うか。さようなことを私が大声叱呼して申し上げるのは、御理解のある先生方に対してはなはだ申しわけないと思うのでありますけれども、これは、昨年の自治法の改正  自治庁には、この六条の精神の常時啓発運動を真剣に選管にさせて、そして公明選挙運動の実を上げて、世界に誇る日本にしようというような考えが私はないと断じているのです。さようでありまするがゆえに、御理解のある皆様のなにによりまして一おそらく一億の金というのは選挙人一人について二円なんです。それが地方に配付されたのが選挙人一人当り一円三銭、この使い方や何かについても、われわれ都道府県委員会に、また全体の選管のうちには、実に遺憾に感じているものがある。それで、この選管を中心としまして、選挙関係しておりますところの国民というものが実に世界に誇る国民だ。それでありまするから、この物価の高いときに、わずかなあの手当で選挙立会人になり開票立会人になり、そしてそれを名誉としてやっておる。そういうりっぱな国民である。それを指揮するのが自治庁なんです。それがそういうことについてちっとも理解がない。それでありまするから、もしこのままで推移したならば、将来日本選挙がよくならない。その逆にいくんじゃないか。そこにおいて、私は、東京都の委員長からも意見があるようでありますから、この辺で略しますけれども、私の申し上げます精神をよくキャッチしてもらいたい。そうして一億なんという金は、御承知通り日本選挙をよくする金じゃない。もっともっと出してもらわなければならぬ。現在どうです。あらゆる新聞ラジオによって報道されるところの官庁の醜態はどうです。それを見て多数の国民がどういうふうに思っているか。そういうことも十分に御理解がございますことをよく存じ上げておりまするから、深くは申し上げませんが、どうぞ、この点につきましては、ほんとうに日本を救うものは国会である、従ってこの選挙法のうちに入れていただいて、国会が中心となってこの大なる仕事の衝に当っていただきたいということを切にお願いいたしましてそれ以外の法規の問題につきましては、御理解のある御決定を願えることと信じまして、私のお答えといたします。
  19. 吉田直治

    吉田参考人 それでは私から……。今神奈川県の委員長さんからもいろいろと御意見もありましたが、公明選挙推進運動はどうしたらできるかというような御質問であったと思います。まあ、先ほども申し上げましたが、実際事務局がなければ、公明選挙運動も、また不断の適正な選挙管理も私はできないと思います。いかんとなれば、選挙事務は、私ども実際携わってみますと、特殊性がありまして、ほかの事務系統の人間を急にその局へ持ってきましてもだめなんです。どうしても専属に常住不断にやっておりませんと、とんでもない間違いを起す。私ども選挙管理委員会委員になりまして三年たちますが、近ごろになってようやく概念ぐらいつかめた、こういうようなものであります。事務量そのものは、幅の狭いものでありましてそう大したものでないのですが、それだけに専門的知識が要るのであります。従いまして、他の事務系統にいた人間を選挙の場合に急にかり集めて持ってきましても、頭の切りかえがつかない。どうしてもこれはそういう人をたくさん持ってくるところにえらい間違いを起す。その間違いが、普通の事務系統のところと違いましてちょっとした部下のあやまちでも選挙をやり直すというような、えらいものにまで発展するのであります。従いまして、練達たんのうな事務系統の人間がたくさん、ある程度充実した専門的な職員がそこにいませんと、やはり適正なる選挙管理というものは不可能である、こう思うのであります。まあ東京都あたりはとても充実しておりますが、しかし、公明選挙運動を、おかげをもちまして本年度は常時啓発費として一億の予算をいただいたのでありますが、なおこんな予算ではとうてい推進運動はできません。とにかく、わが国選挙界は、皆さんも御案内の通り、えらい疾患にかかっておる。病体なんです。長い間、数十年の間の弊害が積み重なって、えらい疾患にかかっておる。この病気を直しますのには、本年いただきました常時解発運動費と申しますものは、先ほど神奈川県の委員長さんが申されましたが、有権者一人当り一円三銭しか末端にいかない。一万人の人口のところでありますと、かりに六割有権者がありましても、六千円しかいかない。ひどいところになりますと一千円未満の金しかいかないというような実情であります。それでは、集まって話し合いの会を持ちましても、一ぺんお茶を飲んでお茶菓子を出せばおじゃんというような実情でありまして、まあ常時啓発費はもっともっとふやしていただかなければならぬ。また、この常時啓発というのは、選挙管理委員会の生命であります。それを仰せのごとく人を罰するだけではとても直るものではない。明朗化するものではない。もし罰するだけで選挙界は明朗化するならば、わが国選挙は始まってから数十年たつ。その間に何万人かの人が赤い着物を着て牢屋につながれたかわからない。しかも、その結果として、今日の選挙界の腐敗が現われた。それは、議員さん諸君は、私がこの席から申し上げるまでもなく、よく御体験だろうと思うのであります。ですから、どうしてもこれは、罰則も必要であるが、常時啓発が両々相待って選挙界を明朗化しなければならぬ。それがためには、前段申し上げました通り、もっともっと常時啓発費を国の方できめていただくということが必要であります。三十二年度におきましては、いろいろまた御陳情も申し上げたいと思いまするが、どうか適当な御処置を願いたいと思うのであります。  そこで、それをいただきまして、常時啓発をわれわれやりましても、これは実にむずかしい仕事です。常時啓発といいますれば簡単でありますが、実際にやりまする場合に、なかなか人が集まってこない。これはなかなかむずかしい問題でありまして、そうちょっとやったからすぐ効果が現われるというものじゃありません。しかしながら、それを年々積み重ねていく間に、私は自然においおいと明朗化されるものと信ずるものであります。二、三年来やっておるのでありまするが、一ころよりはだいぶ選挙界も明朗化して参ったと信じております。そんなような具合で、事務局設置するということは、何としても必要なことと私は考える次第であります。  以上、ちょっと簡単に申し上げました。
  20. 戸田常藏

    戸田参考人 今それぞれ述べられました通りでありますが、公明選挙ための常時啓発、これはまことに当を得たことでありまして、われわれ選挙管理委員の席を汚しておる者といたしましては、命令を受けるまでもなく、そういうことについては前から行なっておるわけであります。しかし、それについて費用というものが非常にないために、まず気をつけながら、手をこまぬいて、けみしておったわけであります。このたびは、皆さんのおかげ・で、この常時啓発に対して一億円の費用が盛られました。まずこれで多少この運動が活発になっていけるのじゃないか、こういうふうに考えますが、さいぜんからお話のありました上ように、府の方においては四十六銭ということでありまして、また郡の方へ参りまして、小さい村あるいは町の方にいきますと、一人前に対して一円三銭ですか、当てはまらぬ。そうなりますと、その費用人口で計算いたします、五、六百円のところがあるわけであります。そういうことになって、そうしたところの金をいただくのに、国の方へあらゆる書類を提出しなければならぬ。これは当然国民の税金から出る金でありますから、当局といたしましても、これに対して十分な関心を持ってそういう書類を提出させるということは、当を得たことかもしれませんが、ある小さいところでは、こういうむずかしいものを出したり、あるいは計画を立てたりして、そしてもらう金が千円に満たない金でしたら、もうけっこうです、こういうふうに言うところもあり、また、われわれが府で衛星都市あるいは町村事務局、また選挙管理委員会の方々に、こうした費用の割当を行なったとき、非常にごうごうと意見が出ておるわけであります。こういうお金の割当につきましても、今後当然現在の何倍かを考えていただかないと、ほんとうのものができない。  のみならず、その啓発を委託された事業につきましては、話し合い運動とか、あるいはまた助言者の養成とか、こういうことが盛り上げられてあるのでありますが、助言者の養成というようなことは、かりに大阪といたしましても、市あるいは衛星都市、町村を合わせますれば五十区以上あるわけであります。そうなりますと、一区に一人ずつの助言者をこしらえましても、五十人こしらえなければいけない。そういうようなことについての費用、そうしたものがどう考えられているか。あるいはまた、そうしたことがただ協力的に一回、二回くらいは行なってもらえるのでありますが、これが終始その方々によってその助言者の養成というようなことができ得るかどうかということになりますと、これは、さいぜんからお話のあるように、事務局設置していただきまして、そして大阪におきましても少くとも三十名以上の事務局の常時事務員が行って  かりに一人ずつの者が出向いていきましても五十人の人間が要りますが、しかしながら、そうしたことは費用関係もありますので、三十人以上くらいの事務局設置していただかねばならないと思います。そういうことにつきましても、事務局設置していただいた場合におきましては、予算執行権は必ず庶務の執行にしていただくということにしていただきたい。あるいは町村の指導及び選挙執行につきましても、選挙係というようなものをこしらえていただく、あるいは常時啓発を行う一係におきましても、その係くらいは四名や五名の人間は常時啓発に要るのじゃないか、こういうように考えるわけであります。この面につきまして、どうか一つ、当局におきまして、あるいはまた議員諸公におかれましても、この面をよく理解していただきまして行なっていただきたい。  また、現在のあり方を見ましても、この選挙事務をやる方々の戦後の手不足という状況があって、そうしたことが現在に至っても他府県で行われておるのじゃないかということは、まず衛星都市あるいは役所、村役場、そういうところに勤めておられる公務員の方が選挙管理委員になったりしておられる。それがいまだに続いておる。そうしたことが果して公明選挙を期するところに当てはまるかどうか。   〔大村委員長代理退席、委員長着席〕 やはり村長なりあるいは何なりに使われておる関係で、そうした人が委員の職を汚しておるとするならば、その人のために動かざるを得ないということが、ここで現われてくるのじゃないか、こういうこともよく御勘考の上で、この公明化を一そう強いものにし  ていただきたいと思うのであります。
  21. 井堀繁雄

    ○井堀委員 大へんけっこうな御意見を伺わしていただきまして、ありがとうございました。  そこで、私はもう一つこれに関連してお伺いいたしたいと思いますのは、今おっしゃられますように、いずれも事務局予算が十分予定されて理想的なものを作りたいというのは私どもの念願でもありますが、現在の政治の実際面から考えて、なかなか直ちに理想の段階に近いものを設けるということは困難ではないかという百歩譲った立場で、暫定的なものを考えたらどうか、こう思われますので、そういう前提で、今おつしゃられますように、まず第一に、町村まで選挙管理委員会事務局設置できれば一番いいのでありますが、町村まで実施できるかどうかについて一つ疑いがあるのです。少くとも、私どもは、府県の選挙管理委員会、それと大都市は言うまでもありませんが、市ないしは大きな町は、やはり選挙管理委員会に直属する大小それぞれの事務局設置することを、ぜひ至急に実現してほしいという強い希望を持つ者の私は一人であります。そこで、常時啓蒙のため予算を従来の地方交付税の中で考られておるようなことでは、それは、選挙管理委員会独立性どころじゃなくて、常時啓蒙運動などというのは死文化するというので、やかましく言うて——一億という金はおっしゃる通りスズメの涙であって、あるいは末端に行きますと、もうむだ金に近いような少額のものになるのではないかという心配も、もちろんいたしておったわけであります。今皆さんからお伺いしますと、全くわれわれの危惧が当ったような感じがいたします。この次は自治庁もふんばって、一応形を整えたわけでありますから、今度は実質を備えるという意味で、きっと増額も要求されるであろうし、また大蔵省もそういう趣旨を理解せざるを得なくなってくると思います。もちろん私どももその努力をいたします。こういう点で前進の道が開けていると思う。事務局設置の問題にいたしましても、東京都が自発的にお作りになったが、東京だけあって他はなくてもいいという理由はないと思う。特に選挙の場合においては、大きな都市だけあって小さなところはなくてもいいということはない。でありますから、町村選挙管理委員会事務局にかわるべきものを、町村職員でこれにかわらせるということはよくないのじゃないか。やはり都道府県選挙管理委員会事務局費用を割愛していくというやり方ができれば、やや理想に近い予算の使い方になってくるので、同じ金であっても、一応町村まで渡して、町村長の発案権で、しかも町村議会の議決を経て扱うという予算の操作が一体いいか。これは府県の場合でも市の場合でも同様なことが言えると思う。そういう点で、系統機関の中で予算執行権が完全に独立に把握できれば、そういう問題は解消するでありましょう。一挙にできないとするならば、事務局設置ため予算くらいは、そういう一つの新しい線を打ち出したらどうか。その場合に、都道府県における事務局の最小限度、あるいは大きい都市においては、もちろん予算の流用等で多少弾力性のあるものがあるかもしれませんが、しかし、基本的なものは、やはり事務局費用だけは独立して要求のできるような、たどえば、自治庁が大蔵省と折衝する場合にも、皆さんの要求が具体的であることによって、そういうことの可能性が早く出ると思う。そういう意味でお尋ねいたすのでありますが、これは全くしろうとのお尋ねになるかもしれませんけれども、たとえば都道府県の場合においては最小限度この程度のもの、あるいは市においては、人口によってどういうふうに判断するか、いろいろあると思うが、そういうようなひな型を皆さんの方から具体的に国会なりあるいは自治庁を通じて政府に御要請されるということになると、問題は具体的になってきまずから、それに反対するとすれば、自治庁はどういう意味で反対するか、国会がそれに対してどういう意見を加えるかということについて、具体的ならざるを得なくなると思う。ただ事務局設置したらどうかという点についてまともに反対する者はないと思う。そういう点について御考慮を願うことができたらと、私はこう思うわけであります。  そこで、先ほど来皆さんがおっしゃられるように、特に私の考えますのは、従来毎回悪質な選挙違反の事例が跡を断たないのみならず、だんだん深刻になっていく、悪質になっていく、もぐっていくというような形になってそれに使う費用は御案内のように弾力性がある。これは非常にむだな金だと思う。そこで、選挙違反に連座いたします人の中には、民主政治の建前からいえばこんな悪質な犯罪はないときめつけていいと思うのでありますけれども、しかし、当事者にとってはそういう破廉恥行為をしたと考えておる者が非常に少い。私はこういうところに常時啓蒙運動の対象になってくる日本一つの特殊な形態があるのではないかと思う。これはいかに処罰する法律の考え方がこれをかりに破廉恥罪として迎えようとしても、選挙民の間にやはりそういうものを許す——特に選挙運動をやっている中には、ひどいのになると英雄気分になって、だれそれのためにおれは犠牲になるのだとか、壮士的な気分が、例外ではあるけれども、ある。こういう点に日本の啓蒙活動というものを特段と私は強調しなければならぬものがあると思う。そういう点から考えますと、事務局設置するということはこういう点にこれだけの効果を期待して、それをすぐ上げるということは困難でありましよう。ことに、教育費でありますとか、こういうような啓蒙宣伝の費用というものは、刑事罰を処罰するため経費あるいはポスターや物をもってやるというものとは違って、なかなか相手方を理解させることが困難であるかもしれない。それだけに、われわれはこういう点にはより声を大きくしなければいけないのじゃないかと思う。しかし、一番効果的な仕事ではないかと私は思う。この点は皆さんもお認めになっておるようでありますが、それだけに漸進的にでもいいですけれども、今年は一つ一億をとったから、次は五十億、百億に、あるいはもっと実質的な数字をつけることができるかもしれないが、そういう点に数字をつけていただきたい。そうして、事務局設置についても、ここにはこの程度のものといったようなものが、皆さんのような実際経験を積んでおいでになる方から出されれば、否認する方は非常に困難だと思うので、こういうような形のものをぜひ要請してもらえないものか。それを今すぐここで適当なこれだけの事務局があればこうということを、もちろんおっしゃってはいただけないかもしれませんけれども、そういうことをお考えいただいて御要請願えれば、われわれも非常に勉強になりますし、政府もまた反省せざるを得なくなってくるのじゃないかと考えられるのであります。この点が一つ。  それから、予算執行権の問題については、私、前回この委員会で、うしろにおいでになられます選挙部長を通じて政府の所見をただしてみたのでありますが、残念ながら、今の政府の政策の中では、こういうものについてそれほどの熱意がなかなか感じられません。しかし、これはわれわれの任務でございますから、がんばるにはがんばります。そうすると、なしくずしと言ったらいけませんけれども、必要度の高いところからわれわれは積み上げていくべきではないか。今年は、私は、選挙法についてはあなた方の方からせっかくこういう御決議をいただいたのでありますから、これをどういう形かで法律の上にもあるいは予算、行政の上にも頭を出していかなければならぬ責任を感じておるわけであります。そういう意味で、事務局の問題は、今言うような点について、私の考え方に皆さん御賛成下さるかどうかわかりませんが、御意見を伺わせていただきたい。  続いて、ここに今あなた方の方であげておられます啓蒙宣伝の運動についていろいろ伺ったわけでありますが、先ほど、戸田さんのお話では、大阪では棄権防止ために飛行機まで出して御努力下さっておるそうでありますけれども、容易に効果が上らない。これはやはりそのときちょっとやったってなかなか効果が上りにくいのだが、継続的に行うと、私は少い経費で存外大きな効果を上げられるということは、ひとり選挙運動だけではないと思う。元来教育というものはそういうものじゃないかと思う。腹の減っているときに飯を食わせるようなわけのものじゃなくて、効果は全然ないようであっても、それが五年先に、十年先に、あるいは百年先に効果を現わすものであるかもしれない。それほど、選挙管理仕事というものは、最初はうんと予算をつぎ込んで、だんだん予算が要らなくなってくるという性質のものでなければならぬと思うのでありまして、日本の行き方は逆のコースをとっていることは残念です。ここら辺で一つある程度効果を期待できるようにせっかく予算執行権に言及されてきたところであります。これを一つ自治庁にも、私どもは大いにこれから督励をいたしまして、させたい決意であります。こういう点で、事務局については、私は第六条の精神だけでいいと思うのです。それから、選挙運動は実際やってきたんだときっと言うに違いありません。今まで曲りなりにも選挙をやってきているから、ある程度間に合うと言うかもしれませんし、言わなくても、そういう傾向が見られますので、常時啓蒙の運動については、私はこの際やはりはっきり打ち出していける可能性のあるものだ。そうすれば、選挙になりましても、またその余力は一段と他の職員の組合が可能になってくる。先ほど、東京都の管理委員長さんでしたか、おっしゃられたように、ほかの職員を連れてきたところで、木に竹を継いだような人事だと思うのです。これは、自治庁は、この間町村の問題については逆の御答弁をなさっておられますが、たとえば、町村の場合には、今ちょっと言及して次の質問をお願いしたいと思うのですが、戸田さんでございましたか、市の職員なりあるいは地方議会の吏員が選挙管理委員を兼職するという弊害であります。この点で私は別な角度から政府の所信をただした際に、これは具体的な事例があって、今私ども調査を進めておる問題ですが、埼玉県の川口市の市長選挙の際に、市の助役が選挙管理委員長をやって、その選挙管理委員長が、御念の入ったことには、選挙の十日ほど前にその市長の命を受けている。次の候補者は現市長の後輩で、それを立候補させて自分が事務長をやるということがきまっていて、それを市長が助役に命じて、名義は、自治協力会の指導者を温泉に招待し、あるいは帝劇に招待をしておる。市費を使っている。この場合すぐ考えられますことは、私はいずれも個人的に近しくしている人々でありますが、まことに助役の立場は苦しいと思う。市長に命じられれば、上司です。この人の身分からいうと拒むことはできません。一方は選挙管理委員長です。選挙管理委員長の地位からいえば、市長であろうとだれであろうと、選挙運動に関連のあるようなことについて、ことに事前運動の疑いが多分にある新聞でもでかでか書かれたくらいですから、常識的に判断しても、選挙管理委員長ともあろうものが、いささかでも疑いを持たれるようなところに臨むべきでないことは当然であります。しかし、その自由は助役という身分で縛られてしまう。こういう露骨な事態が起っておる。しかし、こういう事例をあげなくても、御案内のように、選挙管理委員会が、それは知事でありますとか、市長が従前のように間接選挙であのましたり、あるいは中央の任免するものでありますならば、これはおのずから別な議論がある。しかし、市長も首長も選挙管理委員会のもとに管理を受けて選挙を行なって成立する身分でありますから、その自分の選挙をやるために必要な選挙管理委員会、その管理委員会委員長を自分の指揮命令でどうにでもなる者を据えておいてやった、その選挙が公正でございますということは、どこを押しても出るものじゃないと思う。この問題で自治庁を追及いたしましたところが、その事例はたくさん方々にあるということで、私どもまことに意外と思ったのです。その中で、町村の場合は、選挙事務に精通した人を得ることが非常に困難だ、どうしてもそういうものを見ようとすれぼ、町村の吏員、職員である者に適格者が多いという意味のことを述べられた。私はその事実は否定はいたしません。そういう事態が一方にあるのです。だから、私は、こういう問題の解決は当然自治庁もわれわれも解決を急がなければならぬ問題だと思うのです。そこへちょうど事務局の問題が出てきましたので、その事務局市町村の中からだけとらなければならぬという考え方になると、幅が狭くなって、今のような問題が起る。町村の場合は、都道府県なりあるいは大都市はちょっと関係が悪い。今の行政機構からいくと、都道府県選挙管理委員会予算の中で、あるいは事務局の中で、そういう必要な人員のある程度が按配できるような形を生み出していくことによって、そういう問題も解決できる。こういう点に対して、皆さんの豊かな経験の中で、具体的なそういう要請が行われますならば、私どもは、政府に対して要請をいたしましたり、あるいは立法手続をする間にいろいろ考えたらよいことじゃないかと思っておりましたが、ちょうどよい機会でありますから、この二点について、簡単でけっこうでありますから、御所見を伺っておきたいと思います。
  22. 吉田直治

    吉田参考人 われわれにとりましては大へん得がたい御意見を井堀委員は述べられまして、百万の力を得たような気持であります。今川口市の例を引かれまして、自治庁でもそういう事例は方々にたくさんあるということをおっしゃられましたが、実際自治体が下の方にいくほど、小さくなるほど、選挙管理委員会というものは、自治体の長の、どっちかというと自由になるような人たちが委員になりやすいのでありますもちろんそれはすべてがそうでなく、たまたまそういう例が多いということでありますが、何にいたしましても、委員制度そのものが、端的に申しますと、その自治体の議会によって選出されるものでありまして、任期が三年であります。いろいろな事情で、この任期を、次にまた選ばれるということが困難の場合もあります。それから、他に生活根拠を持たない者はこの委員会委員としては不適格である。従って他に必ずや生活根拠の仕事を持たなければならぬ。名誉職的の存在である。この増員をしろというわれわれの要求も、根拠はそこにあるのでありまして、東京都の場合でも四名の委員でありますが、一人が長期にわたって病気をするとか、あるいは自分の仕事ためにちょっときょうは都合が悪くて欠席するとかいう場合には、実際問題としてせっかく予定しておった日に委員会を開くことができないという場面がたびたびあるのであります。ことに、市町村におきましては三名でありますので、その一人が休めばその定足数を欠く、一人病気しておれば議事が開けないというようなことになります。補充員制度もありますが、それでは補充員を急に招致いたしまして委員の補充にしましたところで、これは単なる頭数を揃えるというだけで、先ほど申し上げた通り職員がほかの事務系統の者では役に立たぬと同じ不、これはロボット的存在であります。しからば補充員制度は要らないかということになりますと、これまたそう簡単には片づけられない問題があるのです。病気で欠員した場合に、わざわざそれがために議会を開いて一人選任するというようなことは、耐えがたい苦痛なんです。補充員制度は、その点ではけっこうな制度と思うのであります。  また、先ほど事務局並びに常時啓発等についてありましたが、東京都の常時啓発に対する機構を御参考ために申し上げておきます。専任職員が現存は六人あります。その他教育委員会及び都の広報部の職員協力を受けまして実施しておるのでございます。委員会委員といたしましても、東京都が全般にわたって二十三区、八市、その他ずいぶん町村もありまするので、応援を求められてわれわれは出張をするのでありますが、それは大へんなんです。始めますると、とても距離がありますし、少くとも半日は夜までつぶれます。従って、四人の委員が手分けしてやっても追っつかないというような実情なんです。こういったような点からいきましても、東京都にはこれは私の考えでありまするけれども、常時啓発課という一課を将来は設けなければならぬだろう、こういう考え方をいたしております。地方の小さい市町村になりますと、そこべ事務局を置くということは、実際、財政的の考えから申しまして、これは不可能じゃないか、こういうふうにも思われます。しかし、これも予算措置をしていただければけっこうと思いまするが、その予算措置をしていただいて、法制措置をとっていただかなければならぬと思います。しかし、法制措置をとり、予算措置もとっていただきましても、貧困な市町村におきましては、これが他に流用される憂いがある。かりに、既定予算一億の常時啓発費があるようでありますが、この常時啓発費一億あるものが完全に使われていない。貧困な府県並びに町村におきましては、それのほとんど半分以上は他に流用されてしまう。実際面として使っておりますのは、われわれの統計をとりましたところでは四〇%ちょっと上回るくらいしか、既定予算の一億の常時啓発費は使われておらない。それと申しますのも、やはり事務局がないために、いいかげんにされてしまうのではないか、こういうふうに思うのであります。それらの点につきましては、十分それ品が実行できまするように、自治庁に置かれましても御処置をとっていただきたい、こういうふうに考えるのであります。  御参考ために、日本全国事務局を持っておる府県を申し上げてみたい。完全に独立した事務局を持っておりますのは、東京と青森だけであります。それから独立の形式を持つものが十二府県ありまして、北海道、山梨、岐阜、滋賀、京都、大阪、奈良、和歌山、鳥取、島根、広島、山口、これが独立した形式をとっておりますけれども、その内容は、地方課長事務局長であったり、あるいは総務部長が事務局長であったりしておるような事情でございます。これは、予算措置から申しますと非常に便利な形式でありまするけれども、それが、私から申しますと、管理委員会の完全な中立性を阻害するものである、こういうふうに考えるのであります。  それから、事務局設置しないもの、選挙係を設けているものが十三県ある。宮城、茨城、栃木、埼玉、千葉、新潟、静岡、岐阜、滋賀、兵庫、岡山、福岡、長崎というようなところでありまして、行政係で処理しているものが十九県あります。割合に文化的の県でもこんなような実情であります。それから、この事務局を設けて、それではどれくらい予算がかかるか。東京都の予算をちょっと申し上げてみます。東京都の予算は、選挙の総額が千百九十七万五千余円であります。人件費が一千百万円ばかり、その他委員の報酬費、職員費すべて合せまして以上のような数字になるのであります。しかし、東京都は、比較的財政の豊かなところでありますから、こういうような充実した事務局もできまして、私どもは非常に満足の形において選挙管理に従事している次第であります。しかし、一般の小さい府県市町村に至りましては、全くどうしようもないような、おのおのが町家に居そうろうしているというような形のように考えられます。ちょっと御参考までに申し上げます。
  23. 戸田常藏

    戸田参考人 今井堀先生からのいろいろのお話で、まことに選挙管理委員会を非常に理解していただいた考え方で、われわれ長年委員をやっておりますが、こうした選挙管理委員会理解していただく言葉をいただいたのは、戦後十年余りになりますけれども、今が初めてであります。私は、今申しておられますように、事務局を設けることを町村までにも及ぼすことはどうかということ、これは当然のことでありまして、また、人材等においても、町村選挙管理委員に公務員がなっていることは、今申されましたように公明選挙の趣旨を欠くのではないか。戦後委員会が設けられました当初から、戦争に負けて人材もありません。そういうことから、小さいところにおいて、あるいは衛星都市等において、役所に勤めておられる方が法規的によくわかっているんだから、一応あの人らになってもらったらどうか、こういうことでなつておったかもしれませんが、もうすでに十年以上もたっておりまして、いまだにその人材を得ることができない。これは私らとしては非常に遺憾にたえないわけであります。私は、町村選挙管理委員会がかりに人材を得ることが困難な場合ということにつきましては、現在地方事務所がないところもあります。そこで、町村を包括して、あるいは委員会を地方事務所というところに置くとか、あるいは府県のそういう郡とかいうところに単独に委員会を設けて、そしてそれが府県の出先機関であるということにすればいいのではないか。今おっしゃっておられますように、もはや頭からずっと末端まで全部この委員会制にした方がいい。事務局を作った方がいい。こういうことは、私どもも、いろいろ予算関係もあり、また非常に訓練機関等も必要とするのじゃないか、こういうように思いますので、これは、今先生が仰せの通りで、まあ最初は、あるいは五大都市とか、あるいは都道府県とかいうものを一つテスト的に行なっていただいて、そうして町村とか郡とか衛星都市とか地方事務所とかいうものを府の出先機関としてやっていただいた方がいいんじゃないか、こういうように考えております。  それから、今東京都さんが費用関係を申されましたが、私らの方の大阪といたしましては、まだ費用関係までここに考えられておりませんので、そういう点につきましては、今あなた方の方で今度こういうような段階で行う、こういうようなやり方にするから、費用関係あるいは人員等についてまじめな者を出せこういうことが当然行われると思いますので、それまでに一つ早急にまた考えて御提出したいと思うのであります。以上であります。
  24. 小暮藤三郎

    小暮参考人 だんだん長時間にわたりますので、実はあまりこまかいことは申し上げない方がいいのではないかと思って控えておったのでありますが、今たまたま地方の町村をいかにすべきかというお話がありましたので、神奈川県の実際をちょっと申し上げてみたいと思います。  神奈川県には専任の職員が三人おります。それで地方課長が書記長になっております。まあ全体をあげて選挙管理は最もよくやっておる。予算は二百八十万円とっております。これは東京都に比較しますれば少額でありますけれども選挙管理は完全にできておる、かように私は確信しております。それで、今のなには地方事務所に指導させておりまして、地方事務所の事務所長が地方書記長になっております。それで、町村の末端まで、津久井郡の奥までやらしております。  ただいま大へん微に入り細にわたるけっこうな御注意がありましたが、ただいま大阪からもお話がございましたように、全くこのお話はこの委員会を通じて全国委員会によく徹底いたすことと思いますので、非常に感謝いたしまして、ちょっと神奈川県の実情を申し上げておきます。
  25. 吉田直治

    吉田参考人 ちょっと申し上げます。この事務局設置の案は、いずれ連合会で相談いたしまして、皆様のお手元に差し出したいと存じます。それから、町村の吏員が委員になることは絶対に不賛成であります。以上、申し上げます。
  26. 井堀繁雄

    ○井堀委員 地方議会の吏員や地方の職員選挙管理委員を兼ねることに反対の御趣旨は、前回も伺っておりましたし、また今も御明言になりましたように、これは最も常識的なものだと私ども思うのです。そういう現状が非常に矛盾しておるので、こういうものを解決しないで、公明選挙などということがこういう機構で行えるはずのものではないと言い切ってもいいくらいの問題です。これは私ども責任でもあると思うのです。選挙法の中でそういうことを十分に考えていなかったことにもなるだろうと思うのです。  そこで、もう一つ、さっきの点で、選挙管理委員会制度に関する皆さんの方の御決議のうち、たしか五項に、市町村選挙管理委員会機能が停止した場合について、知事が臨時選挙管理委員選任することができることにするか、または県の選挙管理委員会がかわってその事務を行うことができることにすることという決議が行われて、われわれの手元にも配付をいただいたわけであります。それから、この前皆さんの代表からもお話があったわけであります。そこで、私どもの思いますことは、知事が臨時選挙管理委員選任するというやり方は、先ほど来申し上げておりますように、知事選挙の際のことを考えればわかるのですが、知事選挙をやるときに、選挙管理委員会市町村の場合でありますと、その委員会職員兼務者で管理するということは、理にも筋にも合ったものではない。そういうことではなしに、やはりそういう問題を解決することの制度というものが欠けておる。それで、常時啓蒙を中心にして事務局を設けるということであれば、これは異論のないことで、きつと政府もこういうものに対しては熱意を込めて実施されるだろう、またさせなければいけないと思います。その際、こういう選挙管理委員の欠員もしくは機能を一部失なったような場合において、先ほども申し上げましたように、都道府県に練達たんのうの職員がおりますと、そういうものを補強していく臨時的な措置というものが段階的にいいのではないか。それが直ちに選挙管理委員にかわるということではないが、そういうようなものの考え方の方が順序でないか、実はこう思っておるわけですが、そういうようなこと等についても、一つ連合会の方で御検討いただきまして、私どもを啓蒙していただきますと、非常にけっこうだと思っております。このことを希望を申し上げておきたいと思います。  それで、あとで島上君の方からもお尋ねをいたしたいそうでありますし、時間も大へんおそくなっておりまして御迷惑だと思いますが、ことにお尋ねをいたしたいと思っておりましたことは、皆さんの方から前回お述べになりました選挙関係諾法令についての改正、もしくは実際運営の上でいろいろ御経験なすったことについて列挙していただいております。こういう点について、実は、許しますれば、私どものみ込めない点もありましたので、伺いたかったのでありますが、大へん時間が詰まりましたので、また別の方法でお尋ねすることができると思いますから、その節に譲りたいと思います。特に常時啓蒙に関する点につきまして、皆さんの御経験の中から二十三項目にわたって列挙されて、この前この委員会陳述願ったいずれについても、私どもは深い関心を持っておるところであります。さらに、この常時啓蒙の問題については、日本の特殊事情といいますか、とかく選挙法というと、われわれもそうでありますが、経験が足りない、勉強が足りないということにも原因すると思いますが、すぐ外国の事例によって判断しようとする便益主義が災いするのではないかと思います。日本の立場における常時啓蒙のねらいというものは、それはいいものもありましようし、悪いものもありましようが、日本の歴史の中に、長い伝統の中に、一つの民族性というものがあると思うのです。そういうものをやはりはっきりと打ち出してきて、そして世論にも訴えるが、選挙管理委員会としては、常時啓蒙の目標はこういうものというようなものを御指示願えることが、私は今の場合必要ではないかと馬う。まあ、これは私の狭い視野での考えであります。たとえば、イギリスの選挙制度を私どもが学ぼうといたしましても、イギリスの国民、またいろいろな民族のそれぞれの歴史もありましょうけれども、特に選挙の場合考えられるのは、あらゆる機構というものが、社会制度というものが、民主的な一つ組織ができている、全体がそういう組織の中で動いているようなところで、民主的な政治の形を求めるということは、割に容易である。ドイツの場合においても違った形が出ておりますし、私、スカンジナヴィアの三つの国の選挙制度について、ほんの片言まじりにいろいろなことを聞いて感じたのでありますが、みなその国々によって違うのです。ですから、日本のような場合においては、先ほどもちょっと触れましたように、選挙違反というものが決して世間からも強く非難されない、本人の反省ももちろんない、というようなことでは、選挙違反はいかんぞ、いかんぞと言ったところで、ぴんとこないと思う。だから、それは政治に対する考え方だけじゃないのじゃないかと私ども思うのです。だから、そういう点では借り衣装的な公明選挙運動というようなものは、存外努力の割合に報われるものが少いのじゃないかというあせりを私自身が感じておるわけであります。そういう意味で一番私ども悩みと思いますのは、選挙民が積極的に選挙違反を憎む、あれを罪悪としてはっきり認識していくということ、そういう考、に方というものが、この中には、政治常識の啓蒙といって、一言によく言い尽くしておると思います。このようにこの言葉を理解しておる人がどれだけおるであろうか。また理解せしめるような運動がどれだけ日本で行われているだろうか。特に、御案内のように、日本の教育方針も教育基本法によって新しいものができておりますけれども、私は、選挙については、どうも結びつきがたい縁の遠さを感じておる一人であります。そういう意味で選挙管理委員会に期待するものが非常に大きいわけであります。  皆さんには、予算もろくに差し上げないで、犠牲的な要求ばかしを過酷に過ぎるほど申し上げる結果になるかもしれませんが、しかし、せっかく重要なお仕事をしていただいておる皆さんでありますので、この点について、特に1私どもは御案内のように選挙を争う身分であります。勝負を争う者は、つい、シカを追う者山を見ずというごたぶんに漏れず、あらゆる知恵をしぼって選挙法ぎりぎりのところで勝負しようとする考え方が起りやすい手合いでありますから、こういう点に超然となされておる選挙管理委員会は、公正なそういうものに対する判断を下していただく、こういう意味で御期待申し上げておりますので、一つわれわれを啓蒙していただいて、私どもの作る選挙法でありますから、そういう欠陥のあることをあらかじめ見抜いていただいて、そこを一つ強く御指摘下さるような指導性を期待したいのであります。予算の方は、自治庁のけつをひっぱたきまして、大蔵省に大いに働きかけて、微力でありますが、与党とも協力いたして努力いたしたいと思います。どうかそういう意味で御努力願いたいと思います。
  27. 吉田直治

    吉田参考人 ただいまの井堀委員さんのお言葉で、選挙違反を罪悪視するという観念を養成しなければならぬというようなお言葉がありましたが、これにつきまして私ども遺憾な点があるのでございます。それは何かといいますかと、過般行われました特赦、免赦の問題であります。あれは、私ども常時啓発に邁進しておる者が、頭をがんとなぐられたような気持でありました。こういう点は国会方面でも少し御注意願いたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
  28. 井堀繁雄

    ○井堀委員 今度の選挙違反が大赦によってみんな無罪になったり、あるいはそういう罪悪が解消するというようなところにも、もちろんそれはまことに巧利的な判断によるものもあると思いますが、そういうものは、世論の一部から、また新聞などから激しい批判が行われました。しかしそれが政治家の致命的な打撃になる世論とはならなかった。イギリスだったら、その責任にある政治家は、再びその政治の位置につけないような致命的な打撃であったと思う。こういう点に日本政治常識というものの低さというものがある。そういう点が改まってこなければいけない。選挙違反を取り締るような法律を作れば、いたずらに暗くなるだけで、公明どころでなく、だんだん陰気なものになっていく。だから、もっと明朗で、しかも公正な選挙を行うという目標を置かなければ——これは当るかどうか知りませんが政治に対する思想的な観念の問題が重要ではないかとすら思うわけであります。こういう点で、長年政治、特に選挙管理事務にも経験を持っておられた人が、ああいうことをやってのけたのであります。その御自身が悪いかどうかはわかりません。その背景をなす政治勢力がいけないのかもしれません。全く恩赦、大赦には申しわけなく思っております。これは、われわれの微力のいたすところで、大いにわれわれも努力いたしまして、皆さんにもまたお骨折りを願いたいと思います。  私の質問はこれをもって一応終りたいと思います。
  29. 石坂繁

  30. 島上善五郎

    ○島上委員 ただいま井堀君からかなり広範にわたり質問されたので、私は時間もありませんので簡単に一、二伺います。  全国選挙管理委員の中央会議における採択事項は、選挙法全般にわたっておりまして、私どもにとって非常に貴重な参考でもあるので、また私かねがね考えておった事項等も含まれております。いずれ、その全般に関しては、また御意見や御経験を得ます機会を持ちたいと思っておりますが、ただ簡単に一、二伺っておきたいのは、選挙管理委員会のふだんの最も大きな仕事である常時啓発です。皆さんの協議された分科会の常時啓発に関する事項というのは、たくさん項目があげられておりますが、私の伺いたいと思うのは、今までわずかな費用の中でやってきた実施方法のうちで、どういうことが一番効果的であったかということ、それから、今回多少予算が増加されましたが、今後さらに予算の増加が必要と私ども考えておりますが、予算がもっとふえたらこういうことをやったら効果的であろう、つまり、今まで実施した事柄のうちで、これが一番最も効果的であったと思われるという事例、それから、予算がもっとふえたら、こういうことをやったら効果的ではないかと考えられる事柄を伺いたいと思います。どなたでもけっこうです。
  31. 吉田直治

    吉田参考人 常時啓発の方法はお説のようにいろいろとございます。しかし、私どものやっております経験では、有名な名士の講演会とか、あるいはまた座談会とか、あるいは話し合いの会とか、いわゆる井戸ばた会議のようなものでございます。そういうものによって行なってきつつあったのでございますが、もちろん名士のりっぱな御講演も必要であります。しかしながら、私ども、一番効果の上りましたのは、座談会あるいは今進められつつある話し合いの会と思うのであります。ところが、話し合いの会をいたしますには、やはり指導者が要る。この指導者をその区内あるいは村内に求めまして、今の啓発費でいきますと、まあ東京の場合、区では十人いわゆる推進委員というものを作るわけであります。市では五人、町村では三人、この程度しか動かせない、何といたしましても予算が非常に少いものですから。さればといって、今の世の中に、人に骨を折ってもらって、何かの形において多少の謝礼はしなければならぬ。おれはただでもやるよと言う人はありますけれども、そういう人は長続きはしない。また熱がない。やはり多少の謝礼一をしなければならぬ。そうしますと、今の有権者一人当り一円三銭の費用、それから都におきましては四十六銭の費用をもらっております。それらを使いましても、もうそれだけの人を動かすことが手一ぱいであります。従いまして、これをもっともっと人を動かして発展をしなければ——東京の区は、少いところで二十万、私の住んでいる大田区なんかは六十万からある。そんなところで十人ばかりの人が活動してくれましても、してくれないよりかいいですけれども、なかなか思うようにできません。それから、指導者の下にまた助言者というようなものも養成してやるようにしておりますが、どっちにいたしましても、六十万の人口のところへ十人ばかりの人ではしようがない。これを徹底いたしますには、どうしても六十万ならば少くとも百人ぐらいの人、百人あるいは百五十人の人を、要所々々に適当な人を得て、推進委員というものを作って、そして常時選挙の明朗になるようにお話し合いを進めるということが必要なんであります。そうしますには、今の一億の経費——もちろん既定予算が一億ありますから、二億のような形になりますけれども、しかし、既定予算は、先ほど申し上げました通り東京都あたりは百パーセント来ております。しかし、財政窮乏の府県、市町村におきましては、ほとんどこれは四〇%ぐらいしか流されていない。途中で消えてしまう。ですから、この常時啓発費というものは、大体本年いただきますところの一億が根幹をなすものと思います。でありますから、私ども都道府県選挙管理委員会におきましては、初めに五億を要求いたしたのであります。しかし、自治庁におきましては、初めからそんなに要求しても通らないというお考えでありましたかしれませんが、三億を要求されたようであります。しかし、例の池田蔵相がすっぱりと切っちゃった。しょうがない、どうにもならぬというので、極力猛運動をしまして、私ども都道府県選挙管理委員会が総出で、政治力を結集いたしましてようやく池田蔵相がそれでは一億だけを認めてやろうというような経過であるのであります。来年の三十三年度予算におきましては、少くとも最低三億にしてもらいたいと思うのであります。しかし、これも、これから一生懸命に私どもも働きかけなければならぬと思っておりますが、どうか委員各位におかれましても何分の御支援を願いたいと思うのであります。
  32. 島上善五郎

    ○島上委員 せんじ詰めるところ、経費で壁に突き当るということはよくわかります。私どももこれはぜひ増額しなければならぬと考えます。そこで、方法はいろいろありましょうが、やはり、何といっても、呼びかけられた選挙民が関心を持って大ぜい集まる必ずしも大ぜいでなくとも、少くとも関心を持って熱心に集まるというものでなければ、効果が上らぬと思います。それについて私が今一つ思い出したのは、これはたしか東京都の選管が関係してやったことだと思いますが、そのときに選挙民が最も関心を持っておる問題をとらえて、立会討論会といいますか、そういったようなものをやったことが、私の記憶に一、二回ある。そうすると、非常に集まってくるのですね。有権者が関心を持ってたくさん会場に入り切れないほど集まってくる。選挙のときでも、個人演説会にはそう集まらぬが、立会演説会には大てい満員程度に集まる。そういうことからして、そのときどきの関心を持っておる問題について各党の立会演説会をやるというようなやり方の方が、単に著名の士を講師に呼んできてやるというよりも、効果があるんじゃないかというような気がするのです。そういうことと関連して一つ考えられるのは、国会が済むと、恒例のように、議員がみんな選挙区へ帰って国会報告演説会というのをやるのですね。大ていの議員はやる。それは自分の費用でやるわけです。しかし、みんなが別々にやるということは、聴衆を集める際にも共同でやるほど効果が上りませんし、反面、自分の都合のいいようなことばかり報告する、こういうことになるわけです。そういう弊害がどうしても起ってくる。そこで、私は、これは実施についてはいろいろ具体的に難点もあろうかと思うのですが、たとえば、選挙管理委員会が主催して、その区の選出議員の共同の国会報告演説会といったようなものを、もしやることができれば、やったら非常に効果が上るんじゃないか。その場合に、現在の費用ではできません。議員が自分でやればどうせ費用がかかるのですから——共同でやれば、おそらく自分でやる費用の半分か三分の一で済むと思う。だから若干の経費を負担さしてもいいんじゃないかといったことを、私は私なりにヒントを得て考えたことがあるのです。そういうようなことについては、今までやったことはなかろうと思うのですが、将来考えられるかどうか、御意見を伺いたい。
  33. 吉田直治

    吉田参考人 まことにけっこうな御説でございますが、東京都の選挙管理委員会においても、青年層の討論会をやるとか、その他、あなたのお考えのような討論会をやろうという計画はいたしつつあります。それから、ただいま御説の、その選挙区内の国会議員の報告演説会を共同でやらしたらよかろうということでございますが、近ごろは一つ会場を借りましてもすぐ一万円ぐらいすっ飛んでしまうというような形になりますし、また政治的にいろいろと揣摩憶測する者が——憶測されたところでいいのですが、選管の立場といたしますと、そういう計画もけっこうですが、考えさしていただきたいと思います。
  34. 島上善五郎

    ○島上委員 これは今後考える問題として提供するわけです。私どもも考えていますが、難点をいえば、落選して次にやろうとする者が加わらないことは公平を失するということは言えるのです。国会報告というふうにすれば、やはり勢い当選している者が出るのは当然の話ですから、そのことによって、揣摩憶測されたり、片寄っているというふうに言われることはなかろうと思うのです。ただ、難点は、選挙のときは候補者すべてが立会演説会に出る資格があるのに、報告の際には現に当選している者だけで、不幸次点で敗れたり、あるいは次点でなくとも次に立候補しようとする者にそういう機会が与えられないということが問題点であって、こういう問題点をどうして合理的に解決するか、その方法がないかどうかということをあわせ研究しながら——これは私どもも研究しますし、選管としても一つ研究に値することではないかと思うのです。これだけ申し上げておきます。  そこで、やはりこのこととも関連ありますが、大阪の方に特に伺いたいのですが、先般の大阪補欠選挙に際して、先ほどの御報告にもありましたように、立会演説会には一回も出ないで、個人演説会専門にやった候補者が一人だけある、こういうことですが、どうもこれは私どもの常識では判断できない。選挙というのは、申し上げるまでもなく、その候補者の持っている政見、政策をあまねく公平に訴える、それによって共鳴を得るということが最も必要な手段であります。その機会として立会演説会というものが公平に与えられているわけです。その公平に与えられている立会演説会に、たまたまその日都合が悪くて出ないとか病気で出ないとかいうことなら話はわかりますけれども、初めから終りまで一ぺんも出ない、こういうことは、どうも私ども政治常識では判断することができない。その出ない候補者がだれであるかということも教えられましたし、大体わかりますが、多分その候補者だろうと思うのですが、個人演説会専門にやって、その個人演説会には一般の有権者の入場を制限した。あるいはもっと強い言葉でいえば拒否した。私は具体的にも聞いていますが、一般の人が人ろうとすると、入口で、あなたは何とか会のどこの支部の方ですか、その協会員の証明をお持ちですかということを聞いている。これは一般の入場の制限です。もっと強くいえば拒否です。こういうことがあったということを聞いておりますが、それが事実かどうか。また、そういうことに対して、選管としては、これは初めてのケースですが、今後どうしたらいいかというお考えをお持ちかどうか伺いたい。
  35. 戸田常藏

    戸田参考人 今お尋ねの立会演説会に一回も出なかった、そうして個人演説会のみで選挙を行なったというのは、これは大阪でさいぜん申し上げました中尾候補ただ一人であります。これは御承知だと思いますが、立会演説会なるものは公けのものである、だから、公けの立場で、しかも国民の支持を受けて国会で代表しようという人は、全部が出て自分の政見を発表されておるので、その一人だけが出ないというようなことは、これはわれわれ選挙管理委員会といたしましてもまことにどうも心外なことである。しかしながら、いかんせん、法には別に無理に候補者がそれに携わらねばならないということにはなっていない。だから、立会演説会に出ようと出まいと、その本人の自由であるということに解釈がなっておる。そういうところから、委員会といたしましても、なぜあなた出ぬのだということは言えないわけであリます。だから、こういうことにつきましては法の改正をしていただいて、そうして公けの立場で国民に自分の政見を発表して、人格を認めさせ、またその政見の抱負をよく認識させて清き一票をいただくということが当然のあり方なんだから、立候補した者は、必ずこれは立会演説会に出なくちゃならないというふうに改めておかない限りにおいては、こういうケースが続々と出るのじゃないか、こういうふうに私らは考えております。  それから、その候補者が個人演説会で一般の聴衆を拒否したということなんでありますが、これは、私らの選挙一中において、ある候補者選挙事務所から、中尾の個人演説会は一般の人を入れぬと言うておるがどうかということを、私の方へ聞いてこられました。そこで、私は、個人演説会であっても、公けの建物を無料で貸してもらうのであるし、立会演説会だけでは一般に徹底しないから、近いところでこまかく一般の有権者に自分の意見を聞いてもらって一票をいただこうというのである、こういう公けのものであるから、それに一般の人を入れないということはまことにけしからぬ、おそらくそういうことはあるまい、そういう答弁を私はしておいて、その晩にさっそく私は中尾の個人演説をまず視察に参りました。大阪の旭区の古市小学校、それから守口小学校、それからもう一つは香里小学校、こういう三カ所でその晩演説会をやるということが新聞に書いてありましたので、さっそくその三カ所とも私は視察に参りました。ところが、そういうことは全然ないのでありましてそれはどこかで行なったかもしれませんが、私の行った晩に限っては、古市小学校も約二百五十人ほどの聴衆が入っており、守口の方でも二百人余り入っていた。それから香里の小学校と申しますと、山奥で、われわれもどこに学校があるかわからないようなほんとうに聴衆が少いところですが、そこでもやはり五十名くらいの人が入っていた。そうして私らが入っていっても、決して拒否も何もしない。どなたが入ろうとも……。堂々と何々中尾個人演説会というちょうちんを出し、また看板も出してやっておられるわけですから、そういうことはおそらくなかったのではなかろうかと思うのです。けれども、そこの聴衆は、見るところおおむね信者が多いように見受けられました。これは家族同伴というような意味合いで見受けられました。  そういうようなことは、昨年の選挙において私は経験があるわけであります。昨年の選挙におきまして、私の方の近くで、創価学会が、北支部決起隊という看板を上げて信者を集めてやっておられたらしい。自分もやはりこういう職にあるものだから、創価学会の空気もニュースもいろいろ耳にしているから、どういうことをやるのかと思って、ちょうどそのとき雨が降っておりまして、マッサージに行きしなに寄ってみたのですが、入ったところが、受付のところで、あなたはどこの支部ですかと言うから、ここは支部でなければ入れないのかと言うと、そうです、こういうことです。それで、やむを得ないから私は出ていったわけです。だから、今のようなお話は、選挙中に自分の信者を集めて、そして何か宗教に関係するところのお話をやるところにだれかが行かれ、今私が申し上げましたような、あなたは支部員かというようなことで、まず拒否を受けたのではないかと思っているわけであります。  それから、参考までに、中尾候補さんがやられたことについて、これは私らは選挙管理委員でありまして、一々その候補者を尾行して選挙を見守っておるというのではないのでありまして、その候補がどんなことをしておるか、あるいはまたどういう戦い方をしておるかということはわかりません。だから、そういうことにつきましては、そんなニュースとかあるいはまた想像的なとこをあなた方にお話しするということは、まことに僭越きわまることであります。ただ、いろいろこういうことのケースについてもしあなた方で何か御都合があった場合は、こう思って大阪府の警察当局から多少聞いてきたわけであります。しかし、こうしたことをここで申し上げることはどうかと思うのですが、これはいかがでしょうか、後日また大阪の方に来られるということでありますならば、こういうことはここでお話しなくても……。
  36. 島上善五郎

    ○島上委員 では、けっこうです。
  37. 戸田常藏

    戸田参考人 申し上げなくてもいいですね。——そういうことで一つお願いしたいと思うのです。以上です。
  38. 島上善五郎

    ○島上委員 ちょっと一つだけ伺っておきますが、選挙期間中といえども政党及び政治団体がその団体の大会をやるあるいは決起大会をやるということは、もちろん差しつかえないことです。しかし、その決起大会なり大会なるものが特定の候補者ため投票を得んとする活動をなす場合には、おのずから選挙法による制限があるわけであります。そこで、ちょっと伺いますが、創価学会は政治団体としての届出を先般の選挙の際あるいは選挙の前にしておりますか。
  39. 戸田常藏

    戸田参考人 創価学会としての届出はしておらないわけであります。これはやはり個人中尾辰義、こういうことで出ておるわけです。
  40. 島上善五郎

    ○島上委員 創価学会として届出してなければ、創価学会のつまり候補者を中心とする何か政治団体の届出をしておりますか。ただ立候補の届出だけで、その他彼が属する政治団体というものの届出はないわけですね。
  41. 戸田常藏

    戸田参考人 それは今のところやはり個人で出ておることであって、創価学会は自分のところの宗教で応援をしているような形になっておると思います。
  42. 島上善五郎

    ○島上委員 わかりました。詳しいことはいずれ大阪へ参りました際に時間が十分ありますから伺いますが、ただ、政治団体として届出がなければ、いかなる団体といえども選挙運動期間中選挙に関して大会もしくは決起大会をやれないし、また個人の得票を得んとする言動はそこでは当然できないわけなんですから、私どもそういう見地からいろいろと詳細に伺いたいこともありまするし、法の盲点を巧みについている点もありますので、法改正参考に調べたいこともありますから、また大阪へ参りました際には一つ十分御協力を賜わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  43. 石坂繁

    石坂委員長 他に参考人に対する質疑はありませんか。   〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
  44. 石坂繁

    石坂委員長 なければ参考人意見聴取はこれにて終了いたしました。  参考人各位には、御多忙のところ長時間にわたりまして貴重なる御意見開陳をいただきまして、まことにありがとうございました。ただいま伺いました諸問題につきましては、本委員会といたしましても、この後とも慎重に検討いたしたいと存じます。まことに御苦労さまで、ありがとうございました。  なお、この際念のため御報告申し上げますが、本委員会参考送付されました陳情書はただいま各位のお手元にお配りいたしておきました通り八件でございます。以上御報告申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時十六分散会