○佐々木(良)
委員 ほかのあれがありましたら、すぐやめますから……。
建設省の方では
建設の一元化で、同時に仕事の促進のために必要であるといわれる。そのことが
建設省の
ダムに必要であるならば、
農林省の
ダムの仕事でもやっぱり責任を持って一元化しながら速度を早めるかっこうでやりたいということは同じことじゃないのですか。同じような
目的の
ダムが作られる場合に、少しぐらい
農業用水的なウエートが多い、少しぐらい
治水的な用途が多い、少しぐらい発電の用途が多いに従って、その管理方式なり
建設方式なりというものが根本的に建前が違い得るという理解にはならぬと思いますがね。
それからもう一つ、提案理由を見ますと、責任を一元化して工事を促進するというふうになっておりましょう。従来の
多目的ダムにおいても、大体
ダムは、
建設省が現実に工事は施行されておった。その
建設工事をやる前の形が、持ち分権を持つ場合の委託、受託の
関係にあるかないかということだけの問題の場合には、そこは委託、受託の
関係で、工事促進は
建設省が大体において一貫してやられる。今度の場合も、委託、受託の
関係が発生しないだけでありまして、やられるのは、やっぱり
建設省自身がやられる。従来工事が一元化しなくて、つまり工事が二元化して
多目的ダムの
効用を発生し得ないような状態が起きた例は、それは
ダムに対する持ち分権があったことによって工事がいろいろになったのじゃないのです。
ダムの施設と、その
ダムから出てくる水を使って発電をしようという発電施設、それから、その
ダムから出てくる水を
農業用水に使って
灌漑をしようという仕事、あるいはその
ダムから工業用水を引っぱって、そうして工業用の水に供しようという施設、この
ダムを
建設する仕事と、発電所を
建設する仕事と、工業用水路を
建設する仕事と、それから
農業用水路を
建設する仕事と、このおのおのがばらばらになる危険性があったわけです。たとえば西吉野なら西吉野の例をもってすれば、発電所は、最初の
予定通りに、二年なら二年のうちに、三年なら三年のうちに
ダムの
建設を完了する、少くともその
ダムから発電用水がとれるという最初の
予定に従って、その担当者であるところの
電源開発会社は発電所を作っていった。
ダムは予算の都合によって三年の
計画が五年になり、六年になった。従って、発電所はできたけれども、まだ発電所に引くべき水がこない。従ってこの発電所の
効用を一〇〇%期待することができない。つまり、工事の一元化ができなかった。そのおかしくなった理由は、
ダムに対する持ち分権や所有権があったからではなくて、
ダムの工事と発電所の工事とがそういうふうにちぐはぐになったことにある。そのことは、今度のこの
法律でも救済されないでしょう。この
多目的ダムの
法案によっても救済されないと思いますが、それは救済されるようになっておりますか。