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1957-02-15 第26回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十五日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 薩摩 雄次君    理事 大島 秀一君 理事 荻野 豊平君    理事 瀬戸山三男君 理事 前田榮之助君       逢澤  寛君    荒舩清十郎君       伊東 隆治君    大高  康君       高木 松吉君    徳安 實藏君       堀川 恭平君    中島 茂喜君       山口 好一君    井谷 正吉君       田中幾三郎君    中島  巖君  出席国務大臣         建 設 大 臣 南條 徳男君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     關盛 吉雄君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局住宅総         務課長)    鮎川 幸雄君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 二月十三日  公営住宅建設事業の拡充に関する請願(平田ヒ  デ君紹介)(第八〇一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省関係重要施策に関する件     —————————————
  2. 薩摩雄次

    薩摩委員長 これより会議を開きます。  建設省関係重要施策及び昭和三十二年度建設省関係予算につきまして、前会は建設大臣並びに各局長より説明を聴取したのでありますが、本日はその説明に対する質疑を行います。質疑通告順に順次これをお許しいたします。中島巖君。
  3. 中島巖

    中島(巖)委員 前回の委員会におきまして政府予算関係説明などを聴取いたしたのでありますが、その結果判明いたしたところによりますと、本年度建設省関係予算は、かってないところの大規模予算であります。予算といたしまして、公共事業費において一千百四十億、行政部費において百六十九億、財政投融資におきまして、政府財政投融資額が五百六十五億、民間資金が二百三十億、合計において二千百五億二千三百万円というような数字になるのであります。道路公団補助金などの重複分を差し引きまして実質予算といたしても、二千七十五億二千三百万円というような巨額な予算になっておりまして、国全体の予算から占めるところのウエートは非常に大きなものであります。加うるに政府提案法律案といたしまして十九にわたる法律案があり、このうち予算を伴う法律案が九件ある。さらに総合開発であるとか、河川管理であるとかいうところ基本法とも言うべき河川法の一部を改正する法律案を上程される予定である。また道路関係基本法とも言うべき道路法の一部を改正する法律案を上程される予定である。さらに従来の観念を打破いたしまして、新しく高速自動車国道法案なる重要法案を今回提案される、かような状態でありまして、建設委員会といたしましては非常にかってないところ規模の大きな予算並びに多数の重要法案をかかえておるわけであります。そこで建設当局に対しましてこれを質問する前に、委員長に対して委員長のこれらの法案審議に対するところの御所見をお伺いいたしたいのであります。そしてなお道路公団関係におきましては本年度事業といたしまして、継続事業として関門道路とか松江道路とかいう十六件の継続事業のほかに、新規事業として名古屋神戸高速自動車国道を取り上げておるわけでありまして、これに対しましても約三十億の予算を計上いたしまして、本委員会審議を請うということをこの間の政府説明に聞いておるわけでありまして、従いましてこの名古屋神戸高速自動車国道に対するところ予算は、今回提出されておるところ高速自動車国道法案によるのであるか、あるいは旧来より継続審議になっておるところ国土開発縦貫自動車道建設法案費目によるのであるか、この両法案が成立しなかった場合はここに計上してあるところの三十億の予算がいかなる費目によって使われるかというような問題も新しく出てくるわけであります。  そこで委員長にお伺いしたいことは、二十二国会より継続審議になっておるところ国土開発縦貫自動車道建設法案取扱いをどうするか、この問題であります。これは私がいまさら申し上げるまでもなく各員御承知の通りであります。この法案は二十二国会すなわち昭和三十年の六月二十一日に衆議院四百三十名が提案者となって提出した法律案でありまして、現在の政府岸臨時総理代理を初めといたしまして、この席に見えるところ南條建設大臣石橋総理参議院により見えた閣僚を除いて現在の閣僚のほとんどが提案者となっておる。従って現在の閣僚の八〇%が提案者になっておるいわば政府の公約とも言うべきところ法案であるのであります。  この法案については三十年六月二十一日に提出されたのでありますが、三十年七月八日より委員会を約九回にわたって開いております。この提案理由説明は、自民党からは牧野良三君、宮澤胤勇君、小澤佐重喜君、青木一男君、木村俊夫君、社会党からは楯兼次郎君、竹谷源太郎君など両党を網羅して提案理由説明に立っております。さらに七月二十一日におきましては建設運輸連合委員会を開いております。  それからその間三回にわたりまして参考人を招致いたしております。参考人といたしましては、日本縦貫高速自動車道協会長八田嘉明氏、国土開発中央道調査審議会委員平山復二郎氏、道路調査会長鮎川義介氏、国土総合開発審議会長の飯沼一省氏、全国道路利用者会議会長本多市郎氏、国土開発中央道調査審議会委員金子源一郎氏、日本財政経済研究所会長青木一男氏、大和運輸株式会社社長小倉康臣氏、こういうように多数の参考人を招致して意見を聴取いたしたのであります、  その結果七月二十八日にこの法律案は当委員会全会一致をもって通過いたしまして、また本会議も当日通過いたしております。従いまして原案修正なしで決し定いたしておりますけれども、附帯決議といたしまして瀬戸山委員から、  一、政府は、本法に基く審議会の庶務を建設省において行うよう処置すること。  一、政府は、道路行政の一元化をはかるようすみやかに立法措置を講ずること。  さらに西村力弥君より、   政府九州自動車道路線については関係各県において研究企画されている路線を考慮して善処すること。  すなわちこの三つの附帯条件がつきまして原案のまま本委員会通過し、本会議通過いたしたわけであります。  また本会議におきましては内海委員長が、「全参考人を通じて一致した点は、本案の趣旨は適切妥当なもので承るから、早急にこれを促進せしむべ言であるとの意見でありました。」、かように報告されておるのであります。  さらに参議院へ参りましたが、会期があと余すところ二日でありましたので、遂に継続審議となりまして、二十四国会におきまして、参議院におきましては小沢久太郎君がこれに対する一部の修正案を出しました。そしてこの修正案通り通過いたしまして当委員会へ回ってきておるのであります。従いまして当委員会といたしましては十分審議は尽されておりまして、ただ小沢久太郎君の修正意見に対しましてどうであるかという審議だけをすればよいという状態に現在なっておる。しかるに二十五回の臨時国会におきましてもそのままとなり、当通常国会継続審議されておるのであります。この問題に対しまして先ほど申し上げましたような道路公団名古屋神戸間の高速自動車道の三十億予算を計上した問題にもこれは関連する問題である。そして当委員会においては審議は尽されて、一部修正されたるところ参議院自民党を代表した小沢久太郎君の修正案に対してのみ審議すればいいという状態になっておるのでありますから、予算とも関連いたしますし、この国土開発縦貫自動車道建設法案をあらゆる案件予算並びに十九の提出を予定されるところ法律案に先立って先議すべきである、かように私は考えるのでありますが、委員長の御見解はいかがでありますかお伺いいたしたいと思います。
  4. 薩摩雄次

    薩摩委員長 委員長に対する質問の分だけをお答えいたします。中島委員の申されました通りの経過をたどっております。ところが二十四国会におきまして、中島委員仰せになった通り参議院においては修正案が付されて四月二十日に本委員会に付託されたのであります。本委員会におきましては六月の一日にその参議院から付託されました分を審議いたしました。そうして修正点附帯決議をつけて通すべきものであるということで審議を継続したのでありまするが、社会党側反対にあいまして継続審査ということになりまして、ただいまのような御質問があったことと了承いたしております。それでこの国土縦貫自動車道法案国土開発特別委員会の方へ回せ、衆議院建設委員会においてはいつまでたっても通過しないから特別委員会に回せというような意見議院運営委員会でたびたび論じられたのであります。ところがやはり建設委員会において継続審査になっておるから、建設委員会においてこれをやれるということでただいまこの問題について御論議があったのでありまするが、われわれの衆議院建設委員会においては、これを継続審査しようということで、社会党さんが反対をされまして継続審査になった。この分につきましては理事の間において自由民主党側社会党側とできるだけ円満に話を進めていきたいと仰せになりました通り、二百四十二名の衆議院の多数の署名による議員立法でありますので、ぜひともこれは通過させなければならぬということでやっておりまするが、今申しましたような修正点並び附帯決議というような重要問題を含んでおりますので、それを円満に話し合いを進めてやっていきたい。それで私たちといたしましては来週の水曜日の委員会におきましてこの問題を取り上げて継続審査をやっていきたい、そうしてどうしても調整がつかない場合は皆さん方にお諮りいたしまして国土開発特別委員会の方へ回そう、そういうつもりで考えております。
  5. 中島巖

    中島(巖)委員 委員長説明をただいまお伺いいたしまして大体了解できるのでありまするが、社会党といたしましては、この法案に対しましては全面的に賛成いたしておりまして、もしこの法案が通らない場合、もしくは継続審議になるような場合においては重大な決意をせねばならぬという段階にまで来ておるわけです。また先ほど申し上げましたように、自民党の諸君、並びに現在閣僚にすわっておるところ松浦労働宮澤運輸大臣なんかは、この提案理由説明にたびたび立っておるわけでありまして、また四百三十名の議員立法国会通過せぬなんという唯一立法府の九〇%に達するところ議員提案者になって通過せぬなんということは、実にとんでもない話だと思うのであります。重ねて委員長にお願いたしておくことは、この法案高速自動車道路法案併合審議にするとか、あるいは予算審議の後において審議するとかいうようなことのないように、この法案をあらゆる法律、あらゆる予算に先だって先議するように御心配をお願いいたしたいと思うのであります。  委員長に対する要請の問題は以上にとどめまして、建設当局に対しまして順次二、三の大ざっぱな点を質問いたしたいと思うのであります。そこで建設大臣にお伺いいたしますが、この予算全体から見まして、いろいろな客観的な情勢はあるかと思いますけれども、非常に御努力を願って、そうして予算といい、また財政投融資といい、民間資金といい、非常なかってないところの二千七十五億二千三百万円というような額を獲得されまして、その御苦心に対しましては本員といたしましても非常に建設大臣に対して敬意を払い、深謝をするわけであります。そこでこの日本道路公団事業の一部について、先ほど委員長に対する要請に関連して申し上げた件について質問をいたしますけれども、新規事業といたしまして名古屋神戸高速自動車国道に三十億の予算を計上してあるということを、このごろの説明においてお聞きしたのでありますけれども、この三十億の予算は何の費目によって支出するお考えであるか、その点をお伺いしたいと思います。
  6. 南條徳男

    南條国務大臣 ただいまの御質問でありますが、名古屋神戸間の有料高速自動車道路は、この予算通りますという予定のもとに組んでございますが、実は先ほど申された国土縦貫道路の一環としてこれを採用したいという考えで提案しているのでありまして、従いましてこの国会高速度道路法案通過を見ない場合においては、あの路線予定しておりまする運輸省や国鉄のバイパス路線というものが用地として使用できないと思うのでございます。従ってこの予算を消化することはむずかしいと思うのでございまするが、おもにこの三十億はその他の用地買収費としてこれを使用したいという考えであります。
  7. 中島巖

    中島(巖)委員 ただいま建設大臣の御答弁をお聞きすると、この国土開発縦貫自動車道建設法案通過するものとしてこの予算を計上した、こういうように了承してよろしいのでありますか。
  8. 南條徳男

    南條国務大臣 さようであります。
  9. 中島巖

    中島(巖)委員 それからただいま建設大臣はこの法案通過しない場合は、用地買収とかいうようなはなはだはっきりせないところのお答えをいただいたわけでありますけれども、かりにこの法案通過せぬとすれば、用地買収であろうと何であろうと、この三十億は使えないものだというふうに私は了解しておるのでありまするが、もしそれがほかの名目でもって使えるということになれば、いろいろな法律案なんかを国会で制定してもこれは何にもならぬ問題である、こういうように解釈しておるが、その点について建設大臣見解をお伺いしたいと思います。
  10. 南條徳男

    南條国務大臣 先ほど御答弁したように、この国土開発縦貫自動車道法案通過しない場合にはこの三十億は使用できないものと考えております。
  11. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで事務的なことになりますから、道路局長の方にお尋ねいたしたいと思いますけれども、建設大臣お見えでありまするので、政府委員答弁に対しましては建設大臣が全部責任を負っていただきたい、こういうことをあらかじめ注文いたしておくわけであります。  そこで道路局長にお伺いいたしますが、この国土開発縦貫自動車道建設法案の内容は道路局長もお知りだと思いますけれども、この法案通過後におきまして、内閣総理大臣会長とし、経済閣僚並びに衆参両院議員、学識経験者合せて二十八名の委員からなるところ審議会を作らねばならぬ、その審議会決定に基いてまた法律を作らねばならぬ、しかる上にこの予算に手がつく、こういう段階になっておるのであります。従いまして、道路局長としては、この法案が今国会のいつごろまでに通過すればこれらの諸般の手続を完了して、最終の五月十八日までの国会でこの予算が使用できる段階になるか、これに対するところのお見通しが必ずあると思うのですが、それに対するお見通しを伺いたい。
  12. 富樫凱一

    富樫政府委員 ただいまお尋ねのございました国土開発縦貫自動車道法案がいつごろ通ればよろしいかということでございますが、実はこの国土開発縦貫自動車道実施いたしますにつきましては、高速国道法案というものを考えておりまして、この法案によりまして縦貫自動車道建設勘定をいたしたいと考えて進めておるわけであります。両方の法案通りませんと、先ほどお話が出ましたような名古屋神戸間の実施にも着手できないようなわけでございますので、この点について苦慮いたしておるわけでございますが、できるだけ早く両法案をお通し願わなければ実施に着手できぬと考えておるわけでございます。
  13. 中島巖

    中島(巖)委員 道路局長説明によって建設省見解はわかったのでありますが、この法案通過時期がおくれるということになると、結局この予算については全然使うことができないということ、私もそう思っておりますし、また建設省の御見解もそうであって、一致いたしておるのであります。  そこで私は質問ではなくして建設大臣にお願いと申しますか、要請することは、近くわれわれの建設委員会に提出される高速自動車国道法案審議に対しましては、最も急速に好意的に審議をして成立せしめる方針でおります。しかし二十二国会から継続審議になっておりますところ国土開発縦貫自動車道建設法案を先議しないと、この法案審議にはわれわれは同意することはできないのでありまして、現在政府自民党首脳部におきましても、この法案の成立を非常に希望いたしておるように伺っておりますし、また当然提案者でありまするから努力すべきだと思うのであります。従って自民党内部意見一つ建設大臣が指導して、この国土開発縦貫自動車道建設法案をすみやかに成立せしめるように御努力をお願いいたしたい、かようにお願いするわけであります。私どもといたしましては、唯一立法府である国会が、九〇%の者が提案者になり、現在の内閣のほとんど大部分の者が提案者になっておる法案が五国会にわたって継続審議になっておる、そうしてここに建設省が出された高速自動車国道法案を先に可決せしめるというようなことは——たといその三十億の予算が使えなくても、国会の権威にかけてもこの法案を先議すべきである、こういうような考えでございますので、大臣においては特段の党内調整と申しますか、その方面の御努力をお願いいたしたい、かように考えるわけであります。  そこで質問の第二点といたしまして、現在地財法適用を受けておる再建整備団体が十八県ほどあると思うのであります。そこでこの地財法の法文によりますと、再建整備団体は二十八、二十九、三十年度公共事業費の一年平均の七五%に押えられておるということになっておりまして、そうして自治庁長官が認めるなればこの限りにあらずというような、抜け穴と申しますか、ただし書がついておるわけであります。そこで本年度におきましては、建設省は、ことに道路予算におきましては一六五%というように大きく膨脹をしておりますけれども、この地財再建整備団体に対するところ予算の割当についてどんな御方針でおられるのか、この点を道路局長河川局長にお伺いいたしたい。
  14. 柴田達夫

    柴田政府委員 道路局河川局へのお尋ねでございましたけれども、一応財政再建団体に対する取扱いの問題といたしまして、建設省の重要な公共事業全体の問題にまたがりますので、一括的な意味におきまして私からまず御答弁を申し上げます。  お話のように、地方財政再建特別措置法に基きまして建設省でやる事業を三十二年度どうするか。前年の三十一年度にやりました通りのような方法でやるといたしますならば、すなわち再建法律と政令がすでにきまっておりますから、それが改正されずにそのまま三十二年度も行われるといたしますならば、お話のように再建団体におきましては、二十七年から九年までの平均と二十九年度のいずれか低い方を基準といたしまして指定事業費の七割五分以内に圧縮すれば二割の高率補助をするというルールが適用されるわけでございますので、再建団体につきましては相当事業が圧縮されるということを余儀なくせられることに相なるわけであります。建設省予算は、公共事業費におきまして、三十一年度に比べまして相当に大幅にふくれておりまして、事業伸びがございます。この事業伸びだけの事業量最小限度まず確保しなければならない。これは三十二年度におきまして自治庁の方にもすでに話もかけておりますが、自治庁大蔵省、これらのものが相談をいたしまして、三十二年度事業伸びだけは最小限度当然ふくらませていく。言葉をかえて申しますれば、七割五分というものを九割なら九割、十割なら十割というふうに上げて参らなければならない。そういう手段を講じなければならないと考えております。しかしどうも公共事業は、今度は財政再建団体とそれ以外の県との比較考量の上におきましては、貧乏県は、非常に大事な事業でありながら事業を圧縮しなければならない。そうして圧縮した分を、富裕県と申しては悪いかもしれませんが、再建団体以外の方に回していくということになりますと、事業といたしましても均等に伸びて参りませんし、非常に不公平なことにもなる。ことに再建団体後進地域といわれる方面に、重要な道路なり何なりの事業伸びていかないということは、国家のために緊要な事業をやらなければならないという立場から申しまするならば、はなはだそこは不本意なことになると思いますので、公共事業実施いたしております建設省立場といたしましては、道路事業とか、ダムでございますとか、こういう特別な事業につきましては特別な取扱いをしてもらいまして、この予算があとう限り支障なく実施せられるように、本年は関係方面と協力いたしまして努力いたしたいという考えを持っておる次第でございます。
  15. 中島巖

    中島(巖)委員 実は去る二十五国会、つまり臨時国会におきまして、私地方行政委員会へ出ましてこの問題を質問いたしたのであります。そういたしますと、当時の政務次官早川政府委員は、七五%という率を八五%までに引き上げることに決定をした。それから総理府事務官の、自治庁財政部長である小林君の説明は、国の直轄事業、たとえば国の河川改修であるとか、道路改良であるとかいうような直轄事業は、たとえ県の負担があっても、このワクからははずしてある。そして早川政務次官の答えた通り八五%の率は、国の予算伸びれば伸びるだけスライドして伸ばす。八五%の率でスライドして伸ばすということが大蔵省と了解ができた、こういうような答弁であったのであります。ところが、私は長野県でありますけれども、長野県の天竜川の直轄工事をやっておる予算なんかは、昨年度予算に比較して相当の減額をしておる。その理由は、いわゆる地財法適用県であるからだ、こういうようなことを聞いておるのでありますが、これらにつきまして、河川局長より、どんな方針公共事業費の割り振りをしておるかということの御説明を願いたい。
  16. 山本三郎

    山本政府委員 ただいまの御質問に対してでございますが、三十二年度予算につきましては、今官房長説明申し上げましたように、地方財政関係もございますけれども、特に河川事業につきましては、重要な工事をよく勘案いたしまして、できるだけおくれている地域は特に考えたい、よけい予算をつけたいということで、目下配分案を作成中でございます。
  17. 中島巖

    中島(巖)委員 非常に好意があるように見えるが、抽象的で、はっきりしたことがっかめないのですが、先ほど官房長からもお話があったことと重複するわけですが、結論といたしまして、地財法適用県であるなしにかかわらず、その重要度を勘案して予算配分をする、こういうように了承してよろしいのですか。
  18. 山本三郎

    山本政府委員 建設省といたしましてはそういう趣旨配分いたしまして、今後各省との関係もありますが、そういう方面とも極力折衝して参りまして、こちらの趣旨が通るように努力したい、こういうことでございます。
  19. 中島巖

    中島(巖)委員 道路局長にお伺いいたしますが、道路予算関係におきましても、ただいま官房長並びに河川局長よりの答弁のような方針でやっておられるかどうか、この点をお伺いしたい。
  20. 富樫凱一

    富樫政府委員 同様の趣旨でやっております。
  21. 中島巖

    中島(巖)委員 そこでこれも重ねて建設省の本日おいでになっている政府委員並びに建設大臣要請しておくのでありますけれども、現在地財法適用県全国に十八県ほどあるのであります。これらはいずれも山村県であって、いわゆる後進県であります。公共事業が非常におくれている。そのおくれている県が、地財法適用のために、過去の七五%で打ち切る、その後国の予算は倍にも伸びている、こういうような状態になると、後進県がますますおくれて、財政豊かな県がますます公共事業伸びる、こういう結果になって、これでは一国の政治ではないのであります。従って最近に至って自治庁並びに大蔵省においても先ほど申し上げたようなお考えに変ってきておるのでありますから、公共事業を施行する直接の対象としての建設省としては、この点を一つ考慮に入れていただいて、大幅な事業をしていただきたい、かようにお願いいたすわけであります。  その他いろいろ質問する事項もたくさんありますけれども、他に質問通告者もありますので、いずれ次の委員会質問を譲ることにいたしまして、私の質問は以上をもって打ち切ることといたします。
  22. 薩摩雄次

    薩摩委員長 前田榮之助君。
  23. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私はこの際道路行政に関して建設大臣お尋ね申し上げておきたいと思う次第であります。先般の委員会建設省関係予算大臣説明によりますと、今回道路整備について非常な御苦心をいただいて、昨年よりも二百億円余の大幅な増額を見ていることについては、大臣の御努力に対して敬意を払うのでありますが、ただこの際お尋ね申し上げておきたいのは、さきの大臣馬場さんの構想によりますと、現在行われている道路五カ年計画を飛躍させて、十カ年計画で、日本の国道はもちろん、重要路線について一応の整備を行いたい、こういうことで総予算一兆七千億の計画を立てられて進んで参りましたが、この予算ではとうていひざ元へも寄れないということ、また大臣説明には、この十カ年計画等については何ら触れておられないのであります。将来の日本の道路整備については一つの構想がなければならぬと思うのでございますが、大臣のこれに対する御所見をお伺いいたしたいと存じます。
  24. 南條徳男

    南條国務大臣 ただいまのお問いでありますが、今まで五カ年計画によって道路整備をいたす方針でありました。しかるところ御承知の通りここ一両年日本の国力が非常に伸びまして、産業が非常に振興すると同時に輸送力の増強を急速にしなければならぬというような段階になりましたので、そこで今までの五カ年計画はもうしばらくで済むのでありますが、三十二年度から建設省といたしましては、何と申しましてもこの輸送力増強に対応する計画を立てなければならぬというので、特に経済企画庁において十カ年間における将来の日本の産業の伸び及びその輸送力についての計数が出ております、それにマッチさせるような計画を立てなければならぬということから、一応十カ年計画を立てますと、先ほど申されたような幹線国道並びに重要幹線道路、重要国道を加えまして、一兆七千億程度のものを要する。そこでそういう計画、構想のもとに三十二年度から予算を組みたいというので、実は建設省といたしましては最初は一千億に近い要望をしておったのでありますけれども、国家財政等との関係から今回の予算になったようなわけでありまして、建設省の立てます十カ年計画から申しますれば一本年度計上しております予算では決して満足ではないのであります。もちろん昨年度に比べれば二百億も増加しているのでありますが、建設省のそういう計画から申しますれば不十分ではあるけれども、とりあえず日本の道路整備に対する非常な必要性を一般世論も、また政府も認められて、かような増額を認めた次第でありますから、将来においてはその財源等をいろいろな角度から捻出しまして、何とかしてこの十カ年間に計画通りのことを進めたい、こういう熱意を持っている次第であります。
  25. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 御熱意のほどはよくわかるのでありますが、ただ熱意ある言葉だけで道路はできるものではないのでありまして、もし国家財政が許さないならやむを得ないじゃないかということでこの問題を過ごすことになりますと、たとえば昭和三十二年度道路予算が五百億円余だといたしますなら、こういう傾向でいきますと十カ年計画どろではない。前の馬場建設大臣が計画された十カ年計画の工事量を行うのには二十四、五カ年もかかるということになりまして、これは何といたしましても今日の日本として放擲することのできない問題であることは申すまでもないのでございます。  従ってこの問題はどこに暗礁があったかと申しますと、私の推測するところによると、ガソリン税の増徴を大幅に見込んで、キロリットル当り一万円の増税を行おうという計画があったことは、すでに新聞にも公表されておる問題なのでありますが、そこに一つの政府の錯覚があったと思うのであります。私も道路改修費にガソリン税を使用することについて目をつけて参った者でございますけれども、少くともガソリン税を増徴するのには、道路をよくしてやるということが前提にならなければならないのであって、ガソリン税を出して、それで道路をよくしてやって、そのりっぱな道路を自動車が走る。運輸業者がガソリンの方で利益を得るなんていうようなことでは承知できないのは当然なのであって、業者が全面的に強硬なる反対運動となって現われたのも当然なことだと思うのであります。そこでやはり政府は一般財源から道路整備費というものを大幅に出さない限りは、ガソリン税の増徴等も円満に行われない結果になるのであります。本年のごとき二百億円の道路整備費の増額は、大部分はガソリン税の増額に待っておる現状でありますが、それでは今後も道路整備費の増額を飛躍的に行うのはなかなか困難だと思うのであります。そこで建設大臣に非常な御決意を願って、閣内で健闘してもらわないとこのことは実行できない、建設大臣の政治力をここでうんと働かしてもらわなければならない問題だと思うのでありますが、まずその問題は建設大臣の誠意に御依頼を申し上げることといたしまして、日本の道路行政を将来いかにすべきであるかという構想、これは国民が建設大臣に対して大きい期待を持っておる問題だと思う。前の建設大臣は十カ年計画で行うという計画で進めて参りましたけども、ガソリン税キロリットル一万円取れない場合には、これが十二カ年計画になるか十三カ年計画になるからからないからどうしてもそういう構想を進めたいという熱意があったように私は承わっているのであります。現建設大臣はこの道路整備の構想を、ただ経済企画庁で立案しようがそんなことはどうでもよろしいのでございますが、それを待つということではなしに、むしろ積極的にあなた方の腹の中で一つ立案をしてもらいたいと思うのでありますが、これに対する一つの道路行政の構想というものをお聞かせ願えるならば大へん仕合せだと思います。
  26. 南條徳男

    南條国務大臣 ただいまのお説はまことにごもっともなことでありまして、先ほど申す通り建設省におきましては、日本の幹線道路は全部舗装いたしまして、国際的にも日本の道路として遜色のない方向に持っていきたいというような構想を持っておるのでありますが、ただその財源の問題について御懸念のあるようなことがあるのであります。この点につきましては、今年度予算においてガソリン税のみに大部分依存するような形にはなっておりますが、最初の五カ年の臨時措置法の場合においてガソリン税が目的税になりました場合においても、当時は大蔵省としても非常な飛躍的な考えであの臨時措置法を作ったようなわけでありまして、しかしながらそれのみにおいて今の日本の輸送力を増強させるということは、道路整備をするということは本意でないと考えましたので、私どもは微力ではありましたけれども、大蔵当局と折衝いたしまして、このたびの予算にも一般財源から四十七億程度のものを輸出させてもらっておるわけであります。従いまして、道路整備につきましては、ひとりガソリンばかりじゃなく一般財源からも出し得るという道をこのたびの予算において作ったわけでありますから、今後の財源の場合においても、私はガソリン税のみによらないで他の方法の財源によって相当額のものを捻出してもらって、そして建設省考えておりまする十カ年計画というものを実施する方向へ大きな熱意を持っていきたいと思っておる次第でありまして、この点につきましては、もちろん政府部内だけの力では参りませんので、委員会等の皆さんの十分なる御協力も賜わりたいと考えておるような次第であります。
  27. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 御意見はよくわかりましたが、そこで今直ちに御答弁を願おうとは思いませんが、少くともこの国会中に、一応建設省考え道路十カ年計画というものはすでに今年の予算でくずれて参りました。それでくずれた道路十カ年計画を今後どのように、十カ年計画をそのまま十カ年計画として堅持していくというお考えで進まれるか、あるいはその年度を延ばすかあるいは工事量を何らかの形で圧縮するか、実行性を持った、これにかかわるべきものが国民の前に公表されなければならない段階へきておると思うのであります。そこで本日直ちに御回答を求めるということは無理だと思いまするが、できるだけ近いうちにそれを公表していただくようにお願いを申し上げておきます。  次にお尋ね申し上げたいのは、高速自動車道路法が近く提案されるということになっておるのでありますが、その内容については法案が出てからの審議にいたしますが、ここでは名称だけの問題で、やはり建設省の観念といいますか、心持を一つ明らかにしていただきたいと思うのであります。高速自動車ということになりますと、もちろん高速のものでなければならぬということであるのでありますが、大体それは時速何キロぐらいを予想したのですか。私らが常識的に考えますと、自動車というものは高速なものだと思っておる。低速な自動車なんということは考えておらないのです。それで高速自動車道路なんという名前をつけるよりも自動車専用道路、こういった名前をつけるのが適当じゃないかと思いますが、やはり高速自動車、この高速自動車というところに特別な考えを持っておられるのか。またこの高速自動車道路である限りは低速自動車は通ってはならないはずなんでありますが、これは道路交通取締法の上から考えてアメリカ等においてはありますが、八十キロ以下走ってはいけないとか、あるいは六十キロ以上交通する道路という制限を設ける必要も当然出てくると思います。もちろん道路の中に白線が引かれて、その速度についても甲乙は当然つけられると思うのでありますが、そういうことについて、高速自動車ということで特別にこの法律がどうしてもなければならぬものかどうかということを私はお尋ね申し上げたいのであります。現在の道路法による道路の定義は、「「道路」とは、一般交通の用に供する道で第四条各号に掲げるものをいい、」こうあり、一般交通の用に供されるというのは、従来日本人は、道路というものは人間が通るものだ、しかも人間が歩いて通るものだ、こういうように明治以来考えさせられておる。ところがわれわれが今日の常識から考えますと、通路であるなら、これは人間が歩くのもよろしいが、人間が歩くというのは、もう道路の中の一番はじつこの方を歩いておるのであって、これは付随的なものであって、道路とは、つまり機械化された車が通るものなり。これは常識もそうなっておるわけです。従って道路法そのものを私は改正する必要ができてきているんじゃないかと思う。高速自動車道路法を作る前に、もう一つ道路法を変えて、そうしてやらないと、そういうことから起るところ運輸省と建設省のなわ張り争いに発展してくるのであって、建設省のお役人の方々の頭をもう一つ切りかえてこの法律に臨むべきではないかと思う。この点について道路局長のもっと進んだ考えでの御意見をこの際聞かしてもらいたいと思う。
  28. 富樫凱一

    富樫政府委員 ただいま高速自動車国道法の名称についてお話がございましたが、この名称は、いろいろ考え方がございますが、高速自動車が走る国道という意味で高速自動車国道と言っておるわけではございません。高速自動車道では、スピードを百二十キロくらいを考えておるわけでございますが、一般の道路におきましても、六十キロ、八十キロのスピードを考えておるわけでございまして、これが低速であるとは申されないわけでございます。ただ、高速自動車国道と申しますと、これは出入制限をした一般の道路なり鉄道と一体化した道路でありまして、いわばノンストップの道路という意味で高速を付しておるわけであります。内容は自動車国道といってもいいわけでございますが、高速をつけましたのはさっき申し上げましたような意味からつけておるわけでございます。  それから特に高速自動車国道と言わないで、それは道路法の改正でいくべきではないかというお話でありますが、現在考えておりますのも、道路法の改正によりまして高速自動車国道という種類を道路法に設ける考えでおります。ただ、この高速自動車国道につきましては、管理の面につきまして一般の道路と違った面がございますので、その特別な規制としてこの高速自動車国道法を考えておるわけでございます。
  29. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで道路運送法の関連になってくるので、ちょっと伺いたいと思います。結局現在の有料道路道路公団でやらしておるわけですが、道路公団継続事業新規事業なんかも一覧表に出ているわけです。そこで基本的な建設省方針として、これらの有料道路もしくは有料橋を全国のプール計算で行なっていくのであるか、あるいは一つの国道において、あるいは一つの橋梁において、その建設費だけが回収できれば、その道路なり橋梁は無料公開にするのであるか、つまり一つ一つの計算によって無料公開にするのであるか、あるいはその道路なり橋梁なりの建設費が全部回収できても、全国平均してプール計算でやっていくのか、この基本的な問題が非常に重要な問題だと思うのですが、建設省方針はどういう方針でしょうか。
  30. 富樫凱一

    富樫政府委員 従来実施いたしております有料道路につきましては個々について計算をいたしておりまして、個々の個所の建設費が償還できれば無料にするという建前をとっておるわけであります。今申されましたプール計算につきましてはまだ検討中でございます。従来やっておりましたような個々の有料道路については、従来の償還主義もとりたいと思っておるわけでありますが、高速自動車国道ということになって参りますと、これは相当長いものになって参りますし、この高速自動車国道についてはプール計算をとるべきじゃなかろうかといように考えてただいま検討しておる次第でございます。
  31. 中島巖

    中島(巖)委員 ちりちりばらばらと申しますと言い過ぎるかもしれませんが、現在各所にあるところの有料道路あるいは有料橋に対しては、その橋梁なり道路建設費が回収できれば無料公開にする建前を現在はとっておる、こういう御答弁でありました。第二の御答弁といたしましては、この国土開発縦貫自動車道のような大規模のものについてはプール計算でなければならないのではないか、こういうような御答弁でありました。  そこで第一の答弁は別として第二の御答弁によりますと、これは国の機関である道路公団がやるとはいうもののほとんど半永久的な仕事になるわけです。この国土開発縦貫自動車道建設法案は、私が説明するまでもなく、北は北海道の稚内から南は九州の鹿児島に至る三千キロを建設するというのがこの法案の内容であります。そうしますと、これが半永久的になるとして、これから料金を徴収するとしますと、これはこまかい問題になって——改正すればいいのでありますけれども、これは現在の法的根拠からいうと、道路運送法に属するところの有料道路であるという解釈をせざるを得ないのであります。従って建設省が提案せんとしておるところ高速自動車国道法案並びに従来より継続審議になっておるところ国土開発縦貫自動車道建設法案、これらと伴ってもちろん道路法の改正もしなければならぬのではないか、こういうように考えるのですが、その点について建設省はどういうお考えであるか、お伺いしたい。
  32. 富樫凱一

    富樫政府委員 国土開発縦貫自動車道のように北海道から鹿児島というような線を考えておられるわけでありますが、この線については私どもが全部有料でやるべきであるとは考えておらぬのでございまして、この中で無料でやるものも相当あってよろしいのじゃないかというように考えておるわけであります。従って今度の高速自動車国道につきましては、道路法にその種類として加えることといたしまして、その管理を高速自動車国道法でやる、かように考えております。
  33. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ちょっと委員長お尋ねしておきます。今問題になっております国土開発縦貫自動車道建設法案取扱いについて、来週の水曜日までに調整がつかなければ国土総合開発特別委員会に移すかもしれないというようなことでありました。その点の趣旨がはっきりいたしませんので、ちょっとお尋ねいたしておきます。  この国土開発縦貫自動車建設法案の今日までの経過は、先ほど中島委員から大体御発言になった通りであります。また委員長からもお答えありましたが、この法律の今日までこういうような状況になっておりますのは、この法案の内容自体というよりも、法案に欠陥があるのです。どういうところに欠陥があるかといえば、一体こういう法律を作って——国会の権威ということをたびたびいわれるのでありますが、私自身は別な意味の国会の権威を考える。というのはこの法律は四百何十名かの提案でやられておりますけれども、この法律は一体こういう道路をどこで処理するのだというほんとうに政治をやらせる方法を考えておらないのです。そこが非常な問題になっております。その裏は、御承知のように、道路行政の所管の問題で非常にごたごたしておったわけであります。この問題が解決しなければ、たといこの法律国会の権威という観念によって作りましても、実施に移すということはできないことになる。私どもが今日までこの法律を研究してきておりますのは、それなんです。そういうことで先ほども御披露になりましたように、あるいは附帯決議がついたりあるいは道路行政についての根本問題を解決しなさいというような、まあいわば国会としては非常に権威のないやり方を今日までやってきておる。四百何十人かの署名による提案によって国会法律を作るというならば、こういう法律を作ってこういう道路を作るべきことを政府に命ずるのがわれわれの立場である。私はそういうことを今日まで主張して参っております。ところがその解決自体を自分でできないでいる。そこでやむを得ず、内輪話をすると、そういう面を政府は解決をしなさい、こういうことを附帯決議やなんかでやってきておるのです。これは国会の権威ではありません。そういう法律を簡単に作るということについては、私は反対というとおかしいけれども、立場を異にしてきたのであります。そこで先ほど来ちょいちょい話が出ますように、この法律ができたならば、この法律に従った、いわば国土開発縦貫道路というものを実施するについては、国会の意思を尊重して、それではどういう所管でどういうやり方で道路を作るかという話し合いが今度政府部内でできた。そこで今度の国会では予算もついております。一部のところには御承知の通り実施予算がついております。またその他の部分については、この法律趣旨に従ってかような道路を作るべく調査をする調査費の予算もついたわけなんです。そういう段階に今きておる。これで初めて法律としての意味があるので、国会がこれを決定するということがほんとうに意義が出てくると私は考えておる。そういう段階であります。ところが先ほど委員長の話では、来週の水曜日かまでに、何か調整といいますか、話し合いがっかなければ、これを国土総合開発特別委員会に移されるような、ちょっとそういうふうに感じるお話があったのでありますが、もしそういうことになれば、これは全然新たな議案を特別委員会が受理するわけですから、さらにこれを根本的に審議をする。そういうことになると、ますますこの法律の成立というものはおくれてくるのじゃないかということを心配いたしております。そういう事情であります。今日まで長い間根本的に検討をしてきた。これは衆議院参議院も同じ建設委員会でやってきたのでありますから、これをさらにほかの委員会に移すということは、むしろこの審議を先に延ばして法律の成立をおくらすということになるのじゃないか。そればかりでなくて、われわれ建設委員会の権威に関することだと私は考えておりますから、その点は一体どういうことになっておるのか。委員長のさっきのお話がちょっとわからなかったものですからお尋ねしておきます。
  34. 薩摩雄次

    薩摩委員長 委員長として、ただいまの瀬戸山委員の御質問にお答えいたします。実はこの国土開発自動車法案は、建設委員会で、四回の議会において審議しましたが、まだ結論に達しませんので、議院運営委員会におきましては毎日のごとく社会党委員から、これを国土総合開発委員会に回してくれという要求があるのです。現に建設委員会社会党委員の方からも、これをまつ先に審議して建設委員会において結論を出してもらうことができなければ、今後一切の法案審議には応じない、全部引き揚げる、こういう申し出もあるものですから、私といたしましては、瀬戸山委員の御説明のように、建設委員会においてこの継続審査法案審査して結論を出したい、そういう考えと、議員立法でありますので、満場一致のもとにこれを通過さしたいという熱望を持っておりますので、両方を勘案いたしまして、何とかこの修正あるいは附帯決議というような問題について話し合いをし、調整をして、満場一致の形でもって早くこれを通したい、こういう希望のもとに、瀬戸山理事と前田理事社会党方面の御意向と自由民主党方面考えとの問題の調整を願っておるわけなんであります。いよいよ来週から建設省方面から建設委員会に付託されまする法案がいろいろ出て参りますので、それに予算が付随している法案も九件あるものですから、それを早く審査して建設行政に差しつかえのないようにやっていきたい、そのときに社会党さんの委員が全部引き揚げて法案審議に応じてもらえませんと、委員会の円満なる運営ができない、そういうようなことを勘案いたしまして、先ほど来週の水曜日にこの継続審査になっておる国土縦貫自動車法案をこの委員会において審議いたしたい、その希望を述べたのでありますので、この点を十分に御了承をお願いいたしたい、こう思っております。
  35. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 いや、先ほど何か来週の水曜日までに話し合いといいますか、調整といわれるものができなければ、国土開発特別委員会に移すかもしれぬというお話があった、この点はどうなんですか。
  36. 薩摩雄次

    薩摩委員長 お答えいたします。先ほどあとの方で申しましたように、来週から建設省方面からこの委員会に付託される法案が次から次へと出てくるもんですから、この縦貫自動車法案を先議いたしませんと、その出て参りました法案審議に差しつかえるという過程になっておるものですから、それで来週の水曜日の定例委員会においてこれを審議いたしたい。それができなければ国土総合開発特別委員会の方へ回すというような意向もある方面にあるものですから、それを参酌いたしましてどうしてもこちらの方で処置ができなければそちらへ回そうか。もちろんそれを回すということにつきましては、理事の方々ともよく話し合い、委員の方々とも話し合わなければなりませんけれども、私の考えをそのまま申し述べたわけです。
  37. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 わかりました。もう一つ、先ほど中島委員から建設省お尋ねのありました、これは非常に重要な問題でありますが、ことしの建設省所管の予算は御承知の通り相当大幅な増額ができております。これは非常にけっこうなことでありますが、私はこの大幅に増額をされました予算の執行が完全にできるかどうかということを心配せざるを得ないのであります。その面は建設大臣以下皆さんの方で御努力を願わなくちゃならないわけなんですけれども、ただ問題は、先ほどお話に出ました例の地方財政再建整備の問題、これとからんでくると、現状のままでありますればこの予算の完全な消化はできないことになる、こういうふうに考えます。そこで先ほど官房長大蔵省自治庁と相談をして努力をいたしたい、こういう話であります。それは大いに努力をしてもらわなくちゃなりませんが、これは現在の例の再建整備法の法律をそのままにしておいて行政措置でそういうことができるのでしょうか。それはちょっとできないように私は考えております。もしそうでなければ、この法律を改正しなければ予算の執行が非常に——先ほど貧乏県というお話がありましたが、未開発地区でますます産業経済に関連した事業ができない、ますます地方財政は悪くなるとわれわれは常日ごろ考えております。特に道路なんというものは、全国至るところ通ずるようにならなければ道路政策は非常な不完全なものであります。従って財政の豊かなところだけ道路を作って、その間にはさまっておる財政の豊かならざる地方は道路を作らぬということであれば、これは日本全体の道路政策として全然意味がない、私はそう考えます。これは余談になりますけれども、少くとも最低一級国道だけでも全額国費をもってどこへでも高速に自動車が走り、輸送ができるようにするのが一番いい制度であるということで、三十二年度からそれをお互いに努力したわけでありますが、それは残念ながら今年度は目的を達することができません。しかしそれはそれとして、特に道路行政などというものは、こま切れで道路を作っても意味がないのです。それを勘案して、ことしの大きな予算を消化するということは、今のああいう特別な法律がある以上はできないのではないか。この点については、先ほど努力をいたしたいと言われましたが、もうちょっと突っ込んで伺っておきたいと思います。
  38. 柴田達夫

    柴田政府委員 再建団体公共事業との関係につきまして重ねてお尋ねがございました。先ほど努力をいたしたいと申し上げましたその具体的な措置でございますが、再建団体に関する法律の規定そのものの改正は必要としないのではなかろうかと思っております。と申しますのは、法律では事業を圧縮するというようなことはないのであります。特別な補助割合を考えるということだけが法律にありまして、それに基いて出ておりまする政令が、先ほど来、またいつも問題になりますように、指定事業を列挙いたしまして、二十七年から二十九年の平均か、二十九年のいずれか低い方の七割五分まで圧縮しなければ、法律にきめている高率補助はしないということを政令できめているわけであります。努力する目標はまずこの政令の改正でございます。この政令の改正の指定事業をどうするかということにも問題がございます。それから前年の七割五分で圧縮してやるということは、とうていあり得べからざることであります。七割五分を事業伸びを勘案して考えてもらわなければならない。私どもの計算では建設省事業量は指定事業だけで一三%くらい三十一年度から三十二年度にわたりましてふえております。それに伴う事業伸びを、事業の方がよけいにやれるようになるように、圧縮率を低める、そういうふうにしてもらわなければならないと思います。さてその七割五分を何割にするかということを今自治庁大蔵省でも、これは改正しなければならぬだろうということで協議をいたしておるのでありますが、この両者だけにまかせますと、どこの省のどういう事業が重要かということの顧慮なく、ただ平均的にやられてしまうおそれがある。私どもの方は国が予算をきめて、また国会で御審議いただくに当って、これは大事な事業であり、ぜひやらなければならぬ事業だから、伸ばしていただいたのでありまして、そういう事業が、お話がございましたように再建団体ではやれないということでは何にもなりませんので、やはり事業の緊要度をパーセンテージの上にも加味してもらわなければならないかと思います。加味する方法になりますと、いろいろの方法があるので、道路については特に何割というように率を高めるというような方法もございます。それから今の政令ではそういう七割五分というものがきまっておりますが、ただし書きがございまして、自治庁長官が特に定める指定額によればこの限りでないということがございますので、三十一年度もその自治庁長官の特例額で大いに努力いたしまして、ダムであるとか災害関連事業ははずしてもらう、いろいろなことをやったわけでございます。明年はその際に道路等についても大幅に特例に扱ってもらう、こういう方法で政令自体の改正並びにその取扱い方、つまり自治庁長官の特例額の定め方、こういうものについて考え方を変えてもらいたい、事業をやっておる方の緊要度に応じて事業がやれるようにしてほしい、もっといい知恵がありますれば、政令自体ももっと別な行き方に変えてもらわなければならぬ。大体具体的にはそれ以上はこまかいことになりますし、まだ固まっておりませんが、熱意をもって、また御協力を仰ぎましてやって参りたいと考えております。
  39. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今の問題は全国非常に心配しておる問題ですから、今の御趣旨通り一つ御努力を願いたいと思います。  それからもう一つ、これも先ほどお話が出ましたので、関係がありますから、道路局長にちょっとお伺いいたします。というのは、有料道路の料金に関係しておりますが、今有料道路の各個別にやっております資金の償還年限をもう少し緩和したらどうか、延ばしたらどうかといお話があるわけであります。これはどういうふうに考えられておりますか。
  40. 富樫凱一

    富樫政府委員 現在料金を徴収いたしております有料道路の中には、成績の非常によろしいものもありますし、また償還の見込みが二十年以内に立たないものも相当ございます。これらのものにつきましては、将来補助金を増していきますとか、あるいは年限を延ばすとかの措置をしなければならぬわけでございまして、お話のような点を考慮いたしまして、将来償還期限を延ばすものが出て参るものと考えております。
  41. 薩摩雄次

    薩摩委員長 ほかにありませんか。  それでは本日はこの程度にとどめて散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。    午後零時七分散会