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1957-05-14 第26回国会 衆議院 決算委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十四日(火曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 生田 宏一君 理事 田中 彰治君    理事 山本 猛夫君 理事 坂本 泰良君    理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君    奥村十郎君       塚田十一郎君    辻  政信君       山村治郎君    淡谷 悠藏君       神近 市子君    神田 大作君       細田 綱吉君    山田 長司君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君  委員外出席者         参  考  人         (衆議院議員) 松岡 松平君         参  考  人         (衆議院議員) 上林與市郎君         証     人         (日東物産商事         株式会社専務取         締役)     高橋藤四郎君         証     人         (東京食品株式         会社取締役)  本多 重兵君         証     人         (光興業株式会         社社長)    渡瀬 完三君         専  門  員 黒山 久太君     ————————————— 五月十四日  委員正力松太郎君及び中島茂喜君辞任につき、  その補欠として山村治郎君及び奥村十郎君  が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人出頭要求に関する件  政府関係機関収支日本開発銀行電源開発  融資)に関する件  歳入歳出の実況に関する件(全国購買農業協同  組合連合会に対する補助金等会計経理に関す  る問題)     —————————————
  2. 青野武一

    青野委員長 今期国会における第三十六回決算委員会をただいまより開会いたします。この際お諮りいたします。ただいまの理事会におきまして御協議御決定願ったのでありますが、政府関係機関収支日本開発銀行電源開発融資)に関する件につきまし て、参考人として松岡松平君に御出席を願い、実情を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。    ——————————
  4. 青野武一

    青野委員長 それではただいまより松岡参考人に対し質疑を行うことといたします。発言の通告がありますので順次これを許します。臼井莊一君
  5. 臼井莊一

    臼井委員 松岡議員に私から少しく質問を申し上げたいのでありますが、本日の毎日新聞東京新聞その他ほかの新聞にも出ておったそうでありますが、富山北陸電力ダムの建設の補償の問題に関しましてお伺いしたいと思うのであります。と申しまするのは、本件に関しましては、昨年の一月の現地視察の一行四名のうちに自民党の一員として私が加わっております、また紙上にもその訪問した氏名も出ておりまするので、責任上疑問の点を一つ明らかにしておきたいと思うのであります。  まずお伺いいたしまするのは、この北陸電力地元片掛部落との間の問題はその御すべて解決いたしたのでありまするかどうですか。その点をお伺いいたします。
  6. 松岡松平

    松岡参考人 今お尋ねの点でありますけれども、この富山圏細入片掛部落北陸電力紛争というのも、私ども関係するに至ったのは昭和三十年五月と記憶しております。当時部落は五十七、八軒かと記憶しております。これが総員私のところに陳情に参りまして、北陸電力が第一ダムに水を入れてから、護岸が不完全なために土地崩壊、それから陥没が発生して、非常に村が不安に陥っているから、これの護岸を完全に実施してもらいたいという要求であります。私はこの話を開きまして、単身現地におもむいて実情調査いたしましたところ、地元民の陳情通り約六カ所に崩壊が起っております。それから低地の部面には陥没が起っております。そこで私は会社社長並びに副社長等に面接して、これに対する適正な護岸を行うべきである、会社側はどう思っておるかと私の方から尋ねましたところが、会社側ではもはや入水した今日、護岸をするということはなかなか容易ではない、何とか解決策がないかというお話でありましたが、部落民要求は非常に強硬なものであって、このままでいったら部落崩壊する、部落がなくなってしまうというような不安があるということで、私がその後数回にわたって会社側と折衝しましたが、折合いがつかない。その後この問題が決算委員会に取り上げられて、調査を進められた。これは記録の上に明らかな通りであります。  そこで、昨年の三十一年の六月ごろから会社側では、地元の間に話し合いをしたいということを山本社長を通じて、私の方へ何回か交渉がありました。ちょうど私が昨年の九月の上旬に生産性施策視察のためにアメリカヘ参りましたので、それで十月帰ってきてから後この問題の紛争解決したいという御意見でありました。  一方、護岸の方は、会社側調査をして、必要があるならば自分の方で適切な施工をするという意思表示委員会でも述べておりますし、私たちにも再三はっきりしておることでありますから、要するに、今までの部落北陸電力との紛争の跡始末をすればいいことなんです。  そこで問題は、今まで部落人たちが二年にわたる闘争の間に相当の費用を支出しております。それは会社側で弁償したい。そのほかに今後部落開発のために寄付をする。これに対して部落側では鉄道誘致をはかりたいというので、すでに神岡線誘致期成同盟会というものを部落全員で作り、さらにそれに九カ部落の者が参加しております……。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 済みませんが、また経過は伺うことにして、解決したかどうかの……。
  8. 松岡松平

    松岡参考人 すぐ入ります。  部落側とすれば、鉄道誘致に協力してもらいたいということになって、そこで会社側ではこれに対する助成金として千五百万円を出した。ですから、闘争費五百万、それから鉄道誘致並び産業開発助成金として千五百万、これで一切、会社部落との間の紛争が妥結して解決したわけであります。以上のようなてんまつであります。
  9. 臼井莊一

    臼井委員 そういたしますと、新聞紙で報ぜられているように、五百万が運動費、それから千五百万を鉄道誘致運動費用、こういうことで受け取ったということが事実であるというふうに了承いたしましたが、本問題に関しまして、部落民にはその経過を十分おっしゃってありますかどうですか、その点をお伺いいたします。
  10. 松岡松平

    松岡参考人 私がその解決に直接立ち会ったのですが、協定書は二通になっております。一通には闘争実費五百万円、さらに助成金として千五百万というのが、これは発表しないという協定書になっております。ただ発表する方の協定書には、闘争実費と支払う、それから産業開発助成金を払うという抽象的な協定書で、一方の金額の入っている協定書は、他に発表しないでもらいたい。なぜ発表しないかというと、会社側では、この種のケースはまだ他にあるし、同業会社にこれが波及すると立場が非常に困るから、できるだけこれの発表を避けてもらいたいということがありました。これについて、去年でありますが、吉田委員もおられますが、理事会にその内容を話してくれというお話がありましたので、これは会社側の非常な希望で、あまり他に漏らされると会社側立場が苦しいそうだから、理事の方々もなるべく他にお漏らしにならないようにということを私が希望いたしまして、この内容理事会報告したわけであります。
  11. 臼井莊一

    臼井委員 そうすると、一千五百万円の助成金は受け取ったけれども、こういうことは発表しないで、運動費の五百万ということだけで了承したのでありますか、あるいは駅は作ってやるのだから、こういうことの条件でいたしたのでありますか、その点をお伺いしたい。駅はあすこにできるのだから五百万円の保償金だけでよろしい、こういうことで了承したのでありますか、あるいは五百万円の運動費だけでもよろしい、こういうことで承知したのですか。
  12. 松岡松平

    松岡参考人 それはおそらく部落代表、林、佐藤は、総会を何べんも開いております。そこで鉄道誘致について北電が助成するという点は、明確に発表していると思います。ただ、数字発表しようかどうしようかといったときに、部落側は、会社側でそういう意向であるならば発表してくれなくてもいいという申し合せで、数字は言わなかったと言っております。
  13. 臼井莊一

    臼井委員 しかし、部落民は納得してないというふうにわれわれ考える。あるいは一部の人は納得しておるかも  しれませんが、してないということは、新聞紙によりますと、昨日も部落民から、千五百万円というものを受け取ってあるそうだけれども、自分たちの方にはそれが渡らぬ、こういうことで国会陳情も来ておるということなんでありまして、さらにまた、部落代表平田敬造林広昌前坂国光、さらに富山弁護士会会長高見之忠氏までも来ているということは、どうも了承してないんじゃないか、こういうふうに感ぜられてならないのでありますが、その点はいかがですか。
  14. 松岡松平

    松岡参考人 その点は、代表とありますが、それらの人は代表じゃないのです。部落組合を結成しているわけで、現在部落総代林唯義、副総代佐藤利次でありまして、それらの人人は何の役員でもありません。それらの人々は約十三名、反対勢力を構成しておるわけです。ですから、部落は五十八軒か九軒かと思いますが、そのうち十三名は反対側で、十三名はつまり今の代表者側というふうに、現在のところは対立しておるわけですね。従って、反対者側はこの金をめぐって、自ら個々めいめいに分配してもらう金だと誤解しているようです。ところがこれは、私その解決仲介に立った者として、当時の話は、部落民に分配すべき性質の金じゃない、部落組合会社が寄付した金なんです。だからそれを十三名の人たち個々めいめいに分配せられるのだと考えておるのが間違いであって、つまりこれは補償金じゃないのです。補償金というものは一銭も取っておりません。要するに、部落産業開発電力会社が寄付した金で、性質が違うのです。それをこの十三名どもが、自分らで勝手にその内容盲断憶説といいますか、独断的に解釈して、そうして自分らの手元に金が帰属するものなりと曲解したところから問題が起っているのではないかと私は思います。
  15. 臼井莊一

    臼井委員 もう一つお伺いいたしたいのは、理事会へその点は報告されたということでございますが、そのときには、金額もありのままで発表されたのでございますか、その点をお伺いしたい。私どまはなるほど現地視察に行って被害状況を見、またこれは何とか会社側でしなくちゃならぬだろうという結論の報告だけはしておりますが、その後当委員会において数次にわたって参考人等も見えておられるようでありますが、少くとも私自身は、その落着したという結果も、また五百万とか千五百万出たというようなことも全然聞いていなかった。実はけさの新聞を見てびっくりしたわけなんです。そういうふうに調査に行ったということは、少くとも決算委員会の決議に基いて行ったということなんです。それで、実は専門員の方もいらっしゃるが、あのときの事情は、決算委員会で派遣するということにきまったけれども、自民党からだれも委員がないから急に行ってくれということで、その内容等も知らないで、汽車に乗って内容を聞いたのです。私が予想したのは、財政投融資電力会社にしておりますから、それの内容に不審の点があって調査に行くんだ、こう思っていた。この点につきましても、それは広い意味においては疑問があるということは言えるかもしれませんけれども、何となくその内容を聞いて、何か一部部落のために決算委員会が利用されるような結果になっては非常に困るがという不安をちょっと持ったのです。その後帰ってきましてからも、私自身はあまりこの問題に深入りしないで、地元松岡先生に御一任した形であったのですが、しかし当初調査に行った者くらいには、こういうふうに落着した、こういうことのお話くらいはあってしかるべきであり、さらに理事会でそれを報告されたとすれば、理事会決算委員会にその内容報告すべき義務が当然あるというふうに考えるのであります。この点は松岡先生もそのとき理事であられたかどうか知りませんが、理事会にそれが事実上発表されたかどうか。それから私以外にも、他の三鍋議員にしても上林時の委員長にしても、一緒に同行したので、私はさだめしこの記事によって迷惑をされていると思う。しかもこの記事の書き出しを見ましても、松岡議員仲介かというようなクェッション・マークがついていて、何かあっせんして、その一千五百万円なるものがどこかに散らばってでもいるんじゃないかというように、解釈のしようによっては疑惑を持たれる。私は同僚としてあまりいろいろお聞きすることははなはだ失礼かと思うのでありますが、本委員会の名誉と国会議員の名誉のために、同僚議員諸君とともに疑惑を十分解くまでは質問もし、またお答えも願わなければならぬ、こう考えるのでありまして、この点について一つお伺いいたします。
  16. 松岡松平

    松岡参考人 理事会では五百万円の闘争実費と一千五百万円の産業開発助成金内容をはっきり申し上げております。当日前委員長上林さん、田中理事、それから三鍋理事吉田さんもおられたと私記憶しております。  この理事会の結果を委員会発表せられるかどうかという問題につきましては、会社側が一般に公表せられることは非常に困るという希望があるということを申し上げておきました。私あなたに連絡を怠ったということは、まことに同僚議員として手落ちかと思います。それもいつか連絡しよう、しようと思って今日に至ったのかもしれませんが、私は故意に連絡を怠った意思はございません。しかし上林委員長田中理事も、また三鍋理事吉田理事も、そのとき理事会におられて内容をお聞きになったはずであります。ですから秘密に付したという点はございません。
  17. 臼井莊一

    臼井委員 私は何も同僚とかなんとかというよりも、委員会として派遣されたのであるから、やはり委員にはその結果を——しかもこの委員会において相当論議された問題でありますから、委員の全般には当然発表し、知らしむべき問題であると考えるのであります。  そこでもう一つ、今伺うと千五万円は助成金ということで受け取ったということでありますが、その金は一体だれの名義で保管してあるのですか。その点を一つお伺いいたしたい。
  18. 松岡松平

    松岡参考人 それは解決のついた当日に代表者の林の名義銀行に定期預金されております。そうしてその後株式を買い入れておりますが、それは銀行から一部借入れをして株式を買ったそうであります。そのうち一部は運動費に多少使っているらしい。その金額は約七、八十万と報告を受けております。これは私が見まして厳正に管理されているし、正しく利用されていると思っております。
  19. 臼井莊一

    臼井委員 今松岡議院両のお話だと、正しく保管され正しく運用されておるとおっしゃるのだが、その一部で株式を買ったという。株式というものは値下り、値上りがありまして、変動の激しいものでありまして、預かった金の運用として必ずしも当を得ておるものかどうかについては問題があると思いますが、そればかりでなく、なお七十万か八十万かそのうちから運動費に使われたということは、鉄道を建設するために使う運動費でありますか、何の運動費でございますか。
  20. 松岡松平

    松岡参考人 それは、十カ部落で請願をしております。そのために各部落代表が大挙数回にわたって上京し、方々陳情して歩く、そういう費用のために使われたという報告を聞いております。
  21. 臼井莊一

    臼井委員 この一千五百万円の性質でありますが、先ほど松岡議員補償費ではなくて駅を作る助成金だ、こういう話ですが、駅はでき得る見通しがあるとお考えになってその金を受け取ったのでありますか、どうでありますか、その点を一つお伺いいたしたい。
  22. 松岡松平

    松岡参考人 敷設法では神岡・猪谷間という鉄道でありますが、それまでの間に村の者は運輸省並び国鉄方面にしばしばの陳情をやっております。そうして現状から見ましても、現在の猪谷駅へ神岡線を乗り入れるということは、地積の関係上非常に困難だと思われるのが常識であります。従って最も台地の広い、そうしてカーブの関係からいっても自然である片掛へ乗入れをするのが常識のようにわれわれも考える。そこで運輸省方針としてもまた国鉄としても、これは現地を測量して秋ごろまでに方針がきまるのではなかろうかと私は思っております。
  23. 臼井莊一

    臼井委員 なおお伺いしますが、この一千五百万円というのは、先ほど助成金というようなお話もあったのですが、助成金というと、たとえば駅ができることに決定した。そこでその駅ができる費用の一部を国鉄に支払う、その費用の一部を国鉄に助成するというような意味での金とも解釈せられるのでありますが、あるいはまたこの一千五百万円が、駅を作ることを決定するまでの何か運動費というようなことにも解されますが、いずれでございましょうか。お伺いします。
  24. 松岡松平

    松岡参考人 当時私が折衝に介入した際の双方の意向としては、まず第一に問題になるのは、鉄道の乗り入れが決定せられれば台地の買い取りをやらなければならない。約二万坪買い入れましても、坪当りかりに五百円にすれば一千万円必要です。これに第一向けられる。あとはこの誘致に関して運動する諸雑費といったところで、そんなにたくさんの金を予定していたわけでありません。従って台地の買入れ並び共同施設にこれは向けられるべき性質のものです、八〇%は。そういう趣旨話し合いができたのであります。
  25. 臼井莊一

    臼井委員 どうも、私もあちらへ行きましたとき、その部落民が、条件としてあそこへ駅を一つ作ってもらいたい。そうすればある程度これはがまんしようというような、強い駅の誘致という要望がありましたが、しかし私どもいろいろ調査したあれでは、なかなか駅を作ることには金もかかるし、駅を作るには、あそこに勾配があるし、なかなかこれはむずかしいのではなかろうかというふうに考えたのですが、しかしこれはできるかできないかは、今後の問題でありまするけれども、まだ駅ができると決定しないのに、その敷地の金を松岡議員電力会社が渡すということにいささか不審を持たざるを得ないのです。しかもこの金は私が当初申し上げたように、おそらく調査に行く目標が、国民税金を、貴重な税金をもってあがなっておる財政投融資についての電力会社の支出の調査ではないかというふうに予想して汽車に乗ったら、それが違っていたのでありますけれども、そういうような性質の一部の金とも私は考えてもいいというふうに考えるのでありますが、それを電力会社が駅ができるかできないかわからぬのに、土地の金を出すということ、またそれをそれくらいのことはおわかりになるはずの松岡議員がお受け取りになるということは、ちょっとふに落ちないように思うのです。駅がきまって、その上で、とにかく土地を買えばできるのだということになってからその土地の金をもらうというならば、これはまた必ずしも不思議ではないのですが、まだなかなかこの駅を作ることには金がかかる。むずかしいというのに、少くともその一千五百万円のうちの一千万円を土地買収費というようなことで渡すということに疑義があるのですが、それは松岡議員が必ずできるということで保証してでも受け取ったのじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  26. 松岡松平

    松岡参考人 それは駅のできる場合とできない場合と、そのときの話し合いに出ております。できた場合にはそういうふうに仕向ける、できない場合には村の共同の財産として、村の今後の産業開発に利用するという打ち合せでありますから、あなたが今御質問になりましたような無理はない。ですから鉄道をまずつける。鉄道が実現しなければああいう辺陬な部落ですから、部落共同産業開発に使う。あるいは林道を作るとかあるいは共同施設を作るとか、いろいろの問題があると思う。それはそのとき具体的に部落総会が決定すればよろしいので、それには少しも無理はなかったと私は記憶する。私が受け取ったというのではなくて、それは部落代表が受け取ったのですから、その点どうぞ。
  27. 臼井莊一

    臼井委員 そうすると、部落代表の林さんの名義でやっておられるということでありますが、そうすると、株式運動費もすべて松岡議員個人名義ではなくて、全部部落代表の林という人の名義でやっておって、ただその間に松岡議員仲介をした、あるいは立ち会った、こういう程度のものでありますかどうですか。その点をお聞きしたい。
  28. 松岡松平

    松岡参考人 その話を妥結するために、予備的に私が介入して助力した程度でありまして、私は当事者でございません。従って金を受け取るのも部落代表であり、金を保管しておるのも部落代表であります。ただ私にいろいろ助言を求めてくる場合があります。それに対しては自分助言も与えておることもあります。
  29. 臼井莊一

    臼井委員 それでは私ばかり質問していてもいかがかと思いますので、他の委員からも御質問があるそうでありますから、一応私はこの程度で打ち切りまして、あと場合によっては関連でお伺いすることにいたします。
  30. 青野武一

  31. 山田長司

    山田委員 今度の片掛部落の問題について、松岡さん、部落人たちから告発されておるということを知っておりますか。
  32. 松岡松平

    松岡参考人 だれがですか。
  33. 山田長司

    山田委員 弁護士林唯義氏を相手にしてやっておるということです。
  34. 松岡松平

    松岡参考人 今月の月はなでしたか、正式に告発をしたということを聞いております。これに対して林の方から誣告で告訴したということも聞いております。
  35. 山田長司

    山田委員 あなたはさっき何回も片掛部落人たち総会を開いて、その総会の席上で発表しておるというようなことを言われましたが、その総会の席上でどういう発表をしておると聞かれておりますか。
  36. 松岡松平

    松岡参考人 要するに、今度解決して、鉄道誘致または産業開発会社が助成する、闘争費を出す、出したということを報告しておるものと私は了承してりおます。
  37. 山田長司

    山田委員 きのう片掛部落人たち益谷議長にあてて出した陳情書を、ちょっと一、二分で済むことですから、読んでみますから、お聞き願いたいと思います。陳情趣旨神岡線誘致期成同盟会長片掛部落沿岸保全同盟会長林唯義昭和三十一年十一月当時衆議院決算委員会仲介斡旋によって、北陸電力株式会社より受領した金壱千五百万円に関し、林唯義等新聞紙上等の言明に依れば、当時決算委員であった衆議院議員松岡松平に於て、その保管方を監督しある旨強調し、未だにその収支決算は固より保管場所すらも明示せられていない。更に同じく北陸電力株式会社より受領した金五百万円につき、その大部分は有力筋運動費に費消した旨強弁し、その収支決算も明示せられていない。之を要するに、国民の福祉のため国権の最高機関である国会権威に基いて調整せられた本案が一部の有力者筋のみの手に壟断せられ、国民の誤解を招く結果を招来せるが如きは、国会権威と品位を害する虞があり、速かに真相御調査相成り度く、茲に伏して陳情に及ぶ次第であります。」こういう趣旨で、きのう陳情者が出しているわけです。その陳情者氏名は、平口敬造仲瀬久一絹川健治坂口光治、文山良一、早瀬兼三平井健造坂野健太郎竹中太市、島繁林広昌中川元次郎前坂国光、これだけの人たち陳情をきのうしているわけです。決算委員会がこれに介入して、その金をとってやったというふうな意味に、地元人たちは解しているようです。それで地元人たち陳情を聞きますと、今あなたがここで発表したこととだいぶ違うのです。それは部落総会発表した十一月の報告によると、二百八十万円部落ではもらった、部落に出した、そのうち三十六万円は北陸電力で林に渡している。林唯義という人は、自分がもらったものと思っているらしいのですが、それだけが現在使われている。こう言っているのです。今あなたの発表ですと、地元人たちが使っているのは七、八十万円になるような発表ですが、それはいつの総会発表した全額ですか。
  38. 松岡松平

    松岡参考人 今の七、八十万円ということは違うのです。問題の闘争費五百万円という問題と、現在解決した後においてかれらが消費していると思われる金額というものとは、それはあなたの問題は違うのです。問題の五百万円のことについて、あなたは今二百八十万円村方に返したということを言っておられますが、これはもともと部落には二百八十万円という部落の財産がある。その金を借りて、林と佐藤代表になって運動を続けておったということを、私どもは後ほどに知ったわけであります。従って闘争費をもらったから、まず最初に村の財産に対して借入金を償還しなければならぬ、その意味の償還を言っている。三十六万円というものは、闘争費五百万円のうちから残った金が三十六万円あったので、これをどう処置するかを総会に諮ったと聞いております。
  39. 山田長司

    山田委員 総会がたびたび持たれたと言っていますが、あなたはその衝に当って一々相談に乗っているようですが、それでは総会は何回くらい開かれたと思っているのですか。
  40. 松岡松平

    松岡参考人 私は総会の相談も受けておりませんし、また衝にも当っておりません。それは村が自由にやることです。ただ報告を私は聞いたということを申し上げている。
  41. 山田長司

    山田委員 それではあなたに申し上げておきますが、去年の十一月までの間というものは、ただの一ぺんも総会を開いていないのです。それで開いていないことによって問題が起ってきているわけなんで、地元のほかの人たちには全然金は渡っていないのですよ。だから問題が複雑になってきていると思うのです。そこであなたに伺いますが、いかにも鉄道誘致されるようなことで、その千五百万円というものを扱っておられるようでありますが、ことしの鉄道審議会では、そんな部落のところに鉄道など敷くことはちっとも考えてもいない、問題にもしていないということが言われているわけです。国有鉄道の岐阜工事局長の吉田朝次郎という人が、神岡線片掛駅新設は全然考慮外だと言っている。そういうことが言われているのに、いかにも鉄道建設審議会で神岡線鉄道駅を設置するような口吻をあなたは漏らしているらしい。それで地元人たちも、それがために金は保管しておくのだというふうなことになっているようですが、一体千五百万円というものは、今の臼井委員質問でもちょっと落ちているのですが、だれが扱っているのですか。
  42. 松岡松平

    松岡参考人 それは代表者の林と佐藤の保管に属するのであります。
  43. 山田長司

    山田委員 それはだいぶおかしいですね。地元で言うと、あなたが扱っていると言っていますよ。
  44. 松岡松平

    松岡参考人 私は管理しておりません。
  45. 山田長司

    山田委員 それでは、その千五百万円の中から、ただいまあなたが発表されました、株を買っているような話ですが、だれの許可を得て、それではその株は、だれが買ったものとあなたは思われるのですか。
  46. 松岡松平

    松岡参考人 代表者は財産を管理しているのですから、管理の適切なる方法によって、私はやっているものと思います。元来財産を管理することは、多くの公金にしても、全部を預金するということもあるだろうし、また一部株式投資の場合もあるだろうし、公債を買い入れる場合もあるだろうし、それは管理者の意思によって、管理者が常識的に処理しているだけのことで、私らの関与したことではございません。
  47. 山田長司

    山田委員 それでは保管は林唯義という人がしているということをあなたは明確に言われるわけですね。
  48. 松岡松平

    松岡参考人 そうです。
  49. 山田長司

    山田委員 そこで私伺いたいことは、地元では全然——この林という人に地元人たちが尋ねても、自分は持っているとは言っていない。それは東京に保管してある、これを明確に言っておるという。東京はどこに保管しておるかわかりませんけれども、何のために今日告発されるまで、その金額を明示せずにおったようにあなたは思われますか。全然その林という人は言わなかったという……。
  50. 松岡松平

    松岡参考人 その林、佐藤の派は四十数名、片一方の、今議長の方に陳情書を出した平口ほか十二名という者と、部落で対立しているわけなんです。ですから言いかえれば、俗に言えば、けんかしているわけですから、それはなかなかスムーズにはいかないのですよ。片っ方にしてみれば、その代表を追っ払ってその部落の勢力者になろうとするし、片っ方は守ろうとしますから、対立紛争をしているわけです。私はそういうふうに考える。それから先ほどお尋ねの、その金は部落に返っていないという言葉がありましたが、これは先ほど私が臼井議員にお答えした通り部落の者にめいめいに分割せらるべき金ではない、この点なんです。これは非常な意見の——物の把握が違っている。十三名にしてみれば、分割せらるべきものだという、どういう根拠でそれを主張するのか、私にはわかりません。
  51. 山田長司

    山田委員 では北陸電力は、どういう名目で、あなたの介入したときに出したのです。正式な名称は……。
  52. 松岡松平

  53. 山田長司

    山田委員 それでは産業開発助成金といって、その部落人たち、全体の人たちに使用してもらう意味で出したものと思うのですが、何のために総会で、林さんはこれを告発されるまで発表せずにいたのです。なぜ発表しなかったのです。ここが理解できないところだと思うのです。
  54. 松岡松平

    松岡参考人 私はそれを具体的にどの程度まで発表したかつまびらかではございませんが、この趣旨代表者において明瞭に発表していると思います。私の聞いたところでは、反対派はあまり総会には出てこないそうです。しかしながら十一月の総会にはその十三名のうち四名か五名出席して、万歳まで唱えているということを聞いております。どういうのかわかりません。
  55. 山田長司

    山田委員 闘争資金の五百万円は、あなたは、国会筋にもばらまいていると言っているそうじゃないですか。
  56. 松岡松平

    松岡参考人 それはだれがそういうことを言っているのですか。私が言っているとおっしゃるのですか。
  57. 山田長司

    山田委員 あなたが言っているということを言っています。そういう点が……。
  58. 松岡松平

    松岡参考人 何の根拠があって、何の根拠をもって、おっしゃるのですか。重大な問題です。(発言する者あり)
  59. 青野武一

    青野委員長 私語を禁じます。委員長の発言の許可を求めて下さい。(発言する者あり)
  60. 山田長司

    山田委員 まだ発言中だ。それではあなたは先月の部落総会部落の有志をあなたの自宅に集めたときに、どういうことを言ったか言ってみて下さい。
  61. 松岡松平

    松岡参考人 いつですか、今月ですか。
  62. 山田長司

    山田委員 先方ですか今月ですか、二カ月のうちに自宅に集めたことがあるでしょう。
  63. 松岡松平

    松岡参考人 私が今月帰郷しましたときに、部落の人が約六、七十名くらい来ました。私は今申し上げた通り経過部落人たちに話した。部落民は非常に喜んでいました。来た者は約六十人くらいと私は記憶しております。
  64. 山田長司

    山田委員 そのときあなたは議長の悪口も一応言っている。それから国会議員を侮辱するような言辞をあなたは吐いておるはずだ。そのことについてあなたは全然一言も触れていないのですか。
  65. 松岡松平

    松岡参考人 だれの悪口ですか。   〔「だれの悪口を言ったのか、それ    を言え」と呼ぶ者あり〕
  66. 青野武一

    青野委員長 私語を禁じます。
  67. 松岡松平

    松岡参考人 この問題は高見弁護士決算委員会によって金をとってもらったということを毎日新聞に言っております。そんなことはありません。そのことを私は解明しただけです。あなたはそういうことを信じられますか。決算委員会はこういうことの妥協に対して関与しておりますか。私は一側の弁護士であり、地元代議士として関係しているだけです。決算委員会の名を使った覚えはございません。
  68. 山田長司

    山田委員 参考人は私が決算委員会というふうに言ったと言っていますが、私はそう言っていないのだ。国会方面に運動資金を使ったということを当日あなたが言っているということがやはり現地で問題になっているから私は言っているのだ。
  69. 松岡松平

    松岡参考人 さようなことは断じてありません。
  70. 山田長司

    山田委員 そういうことがやはり非常にけしからぬ事態にまでなってきていると思うのです。そういう事態であるからこそ、運動資金の不明確な問題なんかがあればこそ、この間地元人たちが家宅捜索を受けておるわけなんだ。だから何かそういうことに関連して、運動資金がおそらく、警察当局では、ばらまかれた金として何か記載でもされているという意味で、これは家宅捜索をやっていると思うのです。それであなたが全然言っていないと言っても、この落部の人たちは現に言っているのですから、だからそういう風説がやはり出てくると思うのですよ。私はあなたが言っていないとすれば、これはいずれまた明確にしなければならぬと思うのです。このことについて……。
  71. 松岡松平

    松岡参考人 私は一身上の弁明をいたします。今ほど山田さんから五百万円について、国会方面にばらまいた。何人がそれを言っているのか。まず人を弾劾せんとするならばその根拠を示されたい。抽象的で何ら具体的な事実も示さず、松岡自身が、一個の議員たる当が、みずから国会議員に金をばらまいたなどと言うばかがどこにありますか。それをだれが言ったか明確にすべきである。山田議員と私は対決します。私はかつてそういうことを経験しない。国会議員にばらまいたとは何を言うか。そういうことが具体的にあるならば、あなたと対決します。議長の名誉に関する問題であります。
  72. 山田長司

    山田委員 あなたは怒っても……。
  73. 松岡松平

    松岡参考人 怒ります。
  74. 山田長司

    山田委員 地元の人はちゃんと私に陳情しているのですから……。
  75. 松岡松平

    松岡参考人 反対の十三名の人をここに呼びなさい。あなたは呼んで連れてきなさい。対決する。
  76. 山田長司

    山田委員 委員長、発言しているのにだめじゃないか。私が発言しているときに何だ。委員長不公平だよ。
  77. 青野武一

    青野委員長 委員長の許可を受けて発言を願います。
  78. 松岡松平

    松岡参考人 両方ともだ。
  79. 山田長司

    山田委員 ばかなことを言いなさい。僕は発言を許してもらってやっているんだぞ。   〔「だれが言ったか、満足に答えろ」と呼ぶ者あり〕
  80. 青野武一

    青野委員長 私語を禁じます。山村治郎君、退場を命じます。   〔「重大な問題だ」と呼ぶ者あり〕
  81. 青野武一

    青野委員長 何を私語するか。————(「決算委員だぞ」と呼ぶ者あり)決算委員だって私話を禁じる。なぜ発言を求めぬか。   〔生田委員委員長、発言を求めます」と呼ぶ)
  82. 青野武一

    青野委員 発言中です。山田長司君の発言中です。   〔生田委員「議事進行に関して発言を求めます。—————————」と呼ぶ〕
  83. 青野武一

  84. 山田長司

    山田委員 あなたは鉄道審読会でその部落鉄道敷設については問題にならぬことが決定されておりますのに、そのことについて地元の人にいかにも鉄道が敷けるようなことを言われているようですが、そういうことを言われたことがありますか。
  85. 松岡松平

    松岡参考人 私はこの間部落民が来たときにこう言っております。部落からの請願は正式に手続されている、これに対して運輸省並び国鉄側では現地調査した上で判定を下すという意見であるから、できるかもしれぬしできないかもしれないが、これ以上はしばしば上京して費用を使うことも無益であるということを言っておるだけであります。私はそんなものができるなとどいう口吻を漏らしたことはない。できるかできないか、私は運輸大臣でもなければ国鉄の総裁でもございません。
  86. 山田長司

    山田委員 あなたが大勢集められた席上で、このことの解決も今にもできるようなことを言われているところに、要するに同盟側の林さんを支持する人たちは、やはりそういう考え方になっておるようです。そういう点の軽率なものの言い方が、なるほどそれならば運動資金もかかるのだろうというふうなことでまとまっていると、地元人たちは言っているのです。その点はどうなんですか。
  87. 松岡松平

    松岡参考人 軽率なものの言い方というと、具体的にどういうことをいうのか言って下さい。軽率なものの言い方というが、私が先ほど言った請願をしている運輸省並び国鉄側では調査をした上でなければわからないと言っているということが、一体これを解釈して何が軽率なんですか。あなたは議員として方々から陳情も受けられるでしょう。請願の手配もなさるでしょう。これだけ議員として答えて何が軽率なんです。第一岐阜の局長は決定権がありませんよ。これをだれが決定するか。大臣が建設委員会に諮って決定しなければならない事項であり、これは敷設法の変更までしなければならぬ事項です。そういう問題について、私があすにもできるがごとき言動を吐く、それは十三名が勝手に唱えたデマゴーグです。十三名というのは政治的にも私に対する反対者です。あなただって選挙をやっていれば身に覚えがあるでしょう。山田長司を支持せざる者は山田長司の悪口を言いますよ。あなたを支持する者はあなたを守りますよ。そうでしょう。それを一々あなたが取り上げて、山田さんともあろう人がそれを盲信するというのは、ちょっとおかしいじゃありませんか。冷静に判断して批判して下さい。あなた方もし私を傷つける意図があったら、断じて許しませんよ。
  88. 山田長司

    山田委員 何を一体あなたは個人的に私のことを攻撃するのです。私は何も個人的な恨みがあって言っているのじゃない。問題は開発銀行からの融資の問題が関連しているから聞いているだけの話です。そこで私はあなたが軽卒なことを言っているということをなぜ強く言うかというと、鉄道審議会でこの神岡鉄道線の着工についてはきまっていない、なおこれは今の状態では考えられてないということが、今年のこの国会で問題になっているじゃないですか。そうだのに、その前後の状態のときに、あなたはいかにもできるようなことを言っていることが、少し軽率じゃないかと私は言っているだけなんです。そこで政治的な問題を加味するとかなんとかいうことでなくて、やはり私は卒直に認められるものは認めて、しかる後にこの問題の結着点を出さなければならぬと思うのです。  それと同時に、この北陸電力で金を千五百万出すというような問題は、北陸電力としては秘密にする必要はない。さっき臼井委員に言っているように、あなたは秘密にする必要があるかのごとく言っていますが、北陸電力ではこれは明確にしてもらいたいと言っている。その点はどうなんです。
  89. 松岡松平

    松岡参考人 私は白を黒と言っているのじゃありません。会社側ではこれを公表せられると困るから、協定書も二通作って、そして金額の入った方は公表しないでもらいたいということを言っているのは協定書をごらんになればわかるでしょう。私らは何のためにその公表を避けなければならぬかと思うほど、会社側に対して私ら疑問を持っておるくらいであります。それはあなたの方でもう少し事態の真相をきわめていただければわかるのです。
  90. 山田長司

    山田委員 会社側では最初から秘密にしてもらわなくてもいいと言っているのですね。それがやはりこの問題の秘密にした理由に大きな誤解が次々起っておると私は思うのだ。今これが誤解の範疇にあるか、勝手に会社の株などを買っておるというようなことについても、やはり部落民にこれがわかれば意見が出るはずだと思うのです。そういう点がやはり部落の総意によらないで——最初国会で調べているときには、反対者があったようには考えられなかったかと思うのです。それが反対者が次々と出てきたというのは、やはりこのことが二、三の人たちの勝手なことの行き過ぎがあったということに反対派が生れてきたと私は思うのです。そういう点があなたの考えていることと、私の考えていることと相違があるのですよ。どう思うのです。
  91. 松岡松平

    松岡参考人 二カ年にわたって彼らの代表は東京に二百日以上も上京している、私は朝晩悩まされたのです。はっきり申し上げます。まことにめんどうきわまるものです。だが実際もしあなたが私の立場に立って、地元のそういう部落民が朝晩たずねてこられたらどんなにうるさいか。また部落代表者がふまじめな人間かまじめな人間かということは、私は二年間見てきている。ほんとうに自分の財産を張って、自分のからだを張ってやってきた。言いかえていうならば、かつての日本の部落にもこういう代表者があったかと思うほど、私は真剣にやってきたと思いますよ。それを反対する連中は、要するに細入村という村があって、そこに片掛部落と猪谷部落というものがある。現在会社の社線は猪谷部落に入っておる。それがもし片掛部落につけば猪谷の方は真剣に戦います。この争いからきておる。当初は反対がなかった。反対があるわけはない。ところが昨年の解決する前後から、そういう兆候が出てきておるという報告であります。というのは、その十三名というのは、具体的に名前をあげてどうかわかりませんが、要するに林、佐藤という、部落のどっちかというと執行の方、今のは反執行派です。反執行派を形成して戦いをいどんできておるということは、もう明らかな事実なんです。だから両方のものをお聞きになればあなたも疑惑が晴れると私は思うのです。
  92. 山田長司

    山田委員 私はこれで質問を終りますが、どうしても私には理解できない点がある。そこで五百万円の金の使途とか、あるいは今までの総会における決議された記録もあると思います。そういうものを一つあなた口添えして出していただいて、あなたのためにも国会の名誉のためにも、了解のできるようなものを出していただく。それからもう一つはここで、あなたの意見だけ聞いたのでは、やはりぴんとこないために、国会の会期も少くなっておるけれども、この会期中でなくても継続審議にしてでも、やはりこの部落人たちの両方を呼んで、一つ話を聞くようにしたいと思う。私は決してあなたを中傷するために意見を申し上げておるのではないのですから、どうかその点一つ御了承を願いたい。
  93. 松岡松平

    松岡参考人 最後に、山田委員は五百万円の闘争費について、非常に疑惑を持っておられるようであります。まだ晴れていないようであります。私一応、当時どうして五百万円を査定したかについてのいきさつをここで申し上げておきたい。
  94. 山田長司

    山田委員 資料のことだけでいいのです。
  95. 松岡松平

    松岡参考人 資料は本人どもが、現在東京へまだ上京しておるようですから、きょうにでも会えば私あなたの趣旨を伝えておきます。
  96. 山田長司

    山田委員 趣旨を伝えるだけでなく、やはり協力して国会の名誉のために、それから決算委員会に起ってきた問題でもありますために、あなたからも趣旨を伝えるだけでなく、協力してお出し願えるように取りはからっていただきたいと思います。
  97. 松岡松平

    松岡参考人 協力いたします。
  98. 青野武一

    青野委員長 ちょっとここで暫時休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時四十一分開議
  99. 青野武一

    青野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前中の委員会におきまして、委員外の議員の発言に関連して、委員長の発言中不穏当と思われる点がありましたので、この際これを取り消します。御了承を願います。  次に、歳入歳出の実況に関する件(全国購買農業協同組合連合会に対する補助金等会計経理に関する問題)につきまして、本日は証人として高橋藤四郎君、本多重兵君、渡瀬完三君、以上三君の出頭を求めたのでありますが、ただいまの理事会で御協議願った結果、本会議等諸般の関係上、あらためて明十五日午前十時に出頭を求めるよう手続をとるというようになりましたので、そのように決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認め、さように決しました。委員長より議長に対しさよう手続をとることといたします。  先ほどちょっと証人の方に非公式に了解を求めましたが、警視総監あるいは警察庁長官あるいは法務大臣等をお呼びして、そうして全購連の関係の問題について御質疑をすることになっておりますので、どうしても皆さんに対して御尋問と御証言を求めることが時間的にできないと思いましたので、理事会にかけて御了承を願ったわけであります。どうも公私とも大へん御多端のところ御迷惑をかけてまことに申しわけございませんが、決算委員会代表して委員長からこの点御了承を願いたいと存じます。  それでは暫時休憩いたします。    午後一時四十三分休憩      ————◇—————    午後三時二十四分開議
  101. 青野武一

    青野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。先刻の理事会におきまして御協議御決定願ったのでありますが、政府関係機関収支日本開発銀行電源開発融資)に関する件につきまして、参考人として上林與市郎君に御出席を願い実情を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認めさよう決しました。     —————————————
  103. 青野武一

    青野委員長 それではただいまより松岡君及び上林君の両参考人に対し質疑を行うことといたします。発言の通告がありますので順次これを許します。田中彰治君。
  104. 田中彰治

    田中(彰)委員 松岡議員にお尋ねいたしますが、私は御承知のように声も高いし、あまり口もいい方じゃないのですから、ちょっと同僚のよしみに反したようなことがあるかもしれませんが、決算委員としての質問ですからお許しを願っておきます。  この問題は、御承知のごとくこの委員会では一応審議された問題であり、その結果会社側部落の方で話し合いが済んだという御報告を受けておったのであります。それでありますから、松岡議員の言われる通りであれば、こういうような問題が起きないはずなんですが、その問題が起きた点に私たちは非常に不思議を抱いてお尋ねしなければならぬような結果になっておるのです。  そこで私はまず第一にお尋ねいたしたいのは、告発したという村ですね、この村の軒数がどのくらいあって、そこで反対派と目される人の力の組合が何人で、それから会社側と協定した人たち組合が何人であるかをまず第一にお尋ねします。
  105. 松岡松平

    松岡参考人 田中議員からのお尋ねの点でありますが、大体五十九軒くらいだと記憶いたします。そのうち今告発している反対側が十三人、それから従ってあとは四十六軒だと思います。それから人間の数にしますと、四十六人の方の今の総代派——つまり総代派、反総代派ということになっておりますが、総代派の方は家族の数が多いと思います。それと北電会社側と連繋しているものといえば、十三人の中に三人ほど前からおるのであります。それからもう一つ特徴を上げて申し上げたいのは、十三人の中に部落を裏切って金を取った者が二名ある。どういう名目で金を取ったか、ただいま会社側で問い合せ中であります。おそらくやっているうちに何らかの関連をつけて金を取ったというのが二人あるということを大体言っております。そういうわけでありまして、元から争いをしている途上において、十三名のうち二、三人の者が会社側と常に連絡をとって切りくずしをやっておったという事実もあります。以上の通りであります。
  106. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたが会社と協定を結ばれるときに、組合人たちの名前を書いた委任状が会社側に渡されたはずですが、その委任状に署名している人たちは一体何人なのでしょうか。
  107. 松岡松平

    松岡参考人 会社に提出いたしました委任状は部落全員であります。一名も漏れておりません。
  108. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは全員が承諾して会社側と契約を結んだならば、こんな反対が出るはずがないのですが、出たという原因は一体どういう点にあるのでしょう。
  109. 松岡松平

    松岡参考人 これは当っているかどうかわかりませんけれども、ああいう小さな山間僻陬の地でありまして、ここに総代派の手元に従来持たされている金が、戻ってきた金が二百八十万円、これもなくなったかと不安きょうきょうとしておったものが戻ってきた。その上今回再び千五百万円という金が入っきた。そうなりますと合計千八百万円近い村の財産の管理権を握っているということは、これは重大な問題であります。なぜならば将来この財産に対して、あるいは部落の貧困者に貸付をやる場合も出てきましょう、あるいは融通する場合も出てきます、ことごとくこの村の経済的、政治的な指導権を握る立場に置かれてくるわけであります。従って反対派にしてみればますます代表者を憎む。同時にその地位を取ってかわらんとする意図を打つわけであります。現に、過般来、私のところへ人を介しまして、こういう要求を持ってきております。現在の会長の林唯義が会長をやめるか、または会長二名を置け、そうすれば妥協をつけてやるというようなことを申し出ております。これらの点を勘考いたしますと、要するにこの財産をめぐって、林、佐藤が長年の間努力してきたために、村の信望が高まり、政治的な指導力も高まってきたので、これに対する一つの反撃として出てきた。またさらにその上に、最近伝えられるところによりますと、私の功績に対して——はなはだそういうことを申し上げちゃなんですが、住民は非常に信頼を持ってきて、そのために、どこでもあることですが、政治上の反対者が非常にこれをやっかんで、非常なあしざまなデマを飛ばして歩くということも伝え聞いております。これは一口に申しますと、地方における政治的な勢力争いに転じている傾向があるわけであります。
  110. 田中彰治

    田中(彰)委員 たとえばそういう政治的な問題があるにいたしましても、その金の授受がはっきりされておれば、私は問題が起きなかったのだと思うのです。そこで協定したとき、われわれも知っておりますが、あなたは国会議員とか弁護士という肩書きを持っていらっしゃるのだから、こういう問題が起きたときに、片一方の協定書と、それからもう一つ協定書を、たとえば反対旅の人にお示しになるとか、あるいは警察なんかの問題になったら、そういうところにお示しになって、唯一の協定書はこれで、そして会社がこの協定雷を見せてくれぬなと言うから見せなかったのだが、そういう問題があるなら見せるのだと言って、会社側が言わない前に、あなたがそれをお示しになるというのが私はよかったのじゃないかと思う。それをあなたがなさらなかったところにこういうことが一つ起きた。  もう一つお聞きしたいのは、これはあなたには失礼に当ると思いますが、金の授受です。一体一千五百万の金は現金でお受け取りになったのですか、小切手でお受け取りになったのですか、何かその他の方法でお受け取りになったのですか。五百万円の金については、これはやはり小切手ですか、それとも何でお受け取りになったのか。それはお受け取りになったときに、だれにお渡しになったのか、こういう点を一つお聞かせ願いたいのです。
  111. 松岡松平

    松岡参考人 それはここに協定書がございますが、これは銀行であるために日付が入っておりません。このときに化電側は山本社長、それから部落側は林、佐藤、それへ私が立ち会いまして、化電側の調印が終りましてから、山本社長から千五百万円の小切手と五百万円の小切手を林君に手渡した。五百万円は御承知の通り闘争費、千五百万円は産業開発助成金ということで、小切手は別々に扱っております。それは銀行渡りの小切手だと記憶いたします。
  112. 田中彰治

    田中(彰)委員 同じこの組合に金を渡すならば、千五百万円と五百万円とを別にしないで、会社から同じ金額にして二千万円渡して、そうして二千万円のうち、千五百万円はこれに使え、五百万円はこれに使えと言ってもいいはずだが、小切手を二枚にしたということは、私はその金の性質——五百万円は闘争費だから、これはたとえばお前たちが幾ら使ってもいいんだ、千五百万円は何か非常に条件のついた方法であれしなければならないというようなことじゃないのですか。それともそうでないとするならば、同じ者に同じ会社が渡すのに、一方五百万円の小切手を渡し、一方千五百万の小切手を渡したのは、どうも私はふに落ちないのですが、それをお聞かせ願いたい。
  113. 松岡松平

    松岡参考人 そういうふうに二つに分けられたという意味は、この闘争費というのは、協定書にも書いてありますように使用した実費の相当額です。そこでこれは一体どうしてそういうものが算定されたかというと、昨年の六月ごろ会社側では三百万円と言ってきた。村の財産としてあるのは三百万円であるから、三百万円は使ったということについては、北電側も争わなかった。私らももう金がなくなって破産だということは正月ごろから聞いておりました。おそらく金を使い切ったのだろうと思っておりました。ところがいよいよ林と佐藤に、お前らほんとうにこれを解決するとすれば金は一体どれだけ出しているのか、こう申しましたら、計算がついているのが大体二百七十何万、あとは計算はいたしませんけれども、この運動を始めてから東京へ二百日以上を行ったり来たりしております。そこで村では日当を三百円出しておる。佐藤はその三百円の日当をもらっておるけれども、林はもらっておらぬ。そうすると東京に出てくるのに——私は聞いたんですが、大体佐藤というのは純粋の百姓です。初めて私が会いましたときには、ほんとうの山のおやじでした。ところが十月ごろの妥結きわになりますと、洋服は着ている、ネクタイはつけている、光ったくつをはいている。だからお前は、そういうような衣裳も、春夏秋冬、四季にわたって作ってきたろうし、金もかかったろうと言いましたら、その通りだ、私はこのために家庭争議まで起りかけている。私どもは零細農民でありますから、わずかな蓄積の中からこうやって東京に長い間出てくると、生活様式が変る、ためにもうすでに五、六十万円も金を使っております、それをくれますかと言うから、それは当りまえじゃないか、お前らはともかく村の代表として家を捨てて戦ってきたんだから、そのくらいの費用はとってやる。それで林の方は、これは土建業も営んでおりますために、集会は常に林の個人の家でやるのだそうです。そのときに必ずあそこら辺の部落ては酒を飲むのです。酒を出し、さかなを出す、そういうような費用とかいろいろな雑費を合せますと、六、七十万はかかっているということであります。じゃ結局君ら百万以上くれということか、そうですということでありました。そのほか、争議中に地質学者とか事務補助者とかいろいろな人を使っているので、これらの人にお礼をしなければならぬ。それが大体百万くらい要るというので、結局三百万円に二百万円を織り込んだ。ところが北電側はなかなかこれを承知しませんで、三百万円にしてもらいたい、二百万円増して五百万円にすることは多過ぎる、こう言う。多過ぎるといったところが、現実に代表者というものが金を使ったと言っているものを、それを損させるというのはかわいそうじゃないかと言ったところが、ついに十月に至りまして北電側は五百万円を承認した。ですから金は林と佐藤に渡して、林と佐藤はそれを受け取って、その中から村の財産である借入金二百八十万円を返さなければならぬ。ですからこの筋道を明瞭に立てる意味において、これは闘争費、片方は寄付金でありますから、寄付ということを明瞭にするために、小切手が二通になるような話し合いが出てきたわけなんです。そこで二通になって参ったわけであります。
  114. 田中彰治

    田中(彰)委員 どうも僕は松岡議員の言うことにぴんと来ないところがあるのです。あなたのおっしゃるように、五百万円が闘争費に出て、その闘争費に二百八十万円払った、あとお礼もした、地質学者も頼んだ、長年かかったから旅費もかかった、そういうものを一々領収書を出さなくても、金をもらうときに——私は記憶しておりますが、どうして金をとるのだろうとあなたにお聞きしたら、委員長も知っておられると思うが、あなたの村の会員の委任状を持ってきた、金を受け取る交渉権を持っているという。そうしたらこれが別に事件になるはずはないじゃないですか。五百万円も運動費をもらった、二百八十万円払った、三年間戦ったからその間にいろいろな経費もかかった、いろいろなものをやった、お礼もした、おれの方も日当ももらったということなら、私はこんな問題は起きないと思う。もう一つあなたにお尋ねしておくのは、その千五百万円の金は、鉄道を敷くために努力する、鉄道を敷く運動費にも使う、敷けたならば、残った金で土地を買ってやるとか、いろいろなものに使う、もし敷けなかった場合は産業資金に使う、村で相談の上なら自由に使ってもいい、こういうことで受け取ったということをあなたから聞いておる。またあなたもこの委員会理事会に来られて、そういう報告もされておったでしょう。そうすれば、別に何も起りっこないのに、こういう問題が起って警察ざたにまでなったということは、何かそこにあなたの言われることと違ったおかしな点があるんじゃないか。違った点がなければ、あなたは断固として戦われるべきだが、一体どこからそういうことが出るのでしょうか、私はおかしいと思います。全部落の委任状を持っておる、処分権も持っておるのだから、会社が渡した五百万円の金を受け取って、二百八十万円払った、人も頼んだから人夫賃も払った、経費もかかった、こういう明細書がなくても、おれは運動費をもらったからこういう処分をするぞ、委任状を持っているんだからやってもいいじゃないか、村に黙っていてもいいんだ、お前たちが委任したんじゃないか、だからこれだけやったんだと言えばいいでしょう。千五百万円の金というものは、一体今日どうなっているのでしょう。この金だって、ちゃんとあなたが保管しているなら、こうやって保管してある、株は幾ら買ってある、こう言えば何もこんなことは問題はない。それなのに問題が起きるということは、どこかに何か食い違いがあるんじゃないですか。時間がありませんから、これも簡単にお答え願います。
  115. 松岡松平

    松岡参考人 田中委員のおっしゃること、私も全然同感であります。大体この十三名の者は、衆議院議長のところへ陳情に行く前に、なぜ私のところへ来なかったか……。(「しかられるから」と呼ぶ者あり)しかるとかしからぬとかいう問題じゃない。これは、本来、私が努力をしなかったら、こういう結果が出てこないのです。だから、彼らは私に対して感謝状を持ってこなければならぬのです。ところが、逆に来ないのです。先ほど申したように、細入村には片掛と猪谷という二つの駅の基点の争いがある。そこで、猪谷派にしてみれば、片掛が強いのは北電からもらった助成金があるからだ、だから、十三名が脱退して、この金を全部に分割してしまってゼロにしてしまえば、この運動はやむんだ、つまり九カ部落がこれに参加して、片掛に駅をつけてくれという運動を起しているのも、ひとえにこの金があるからだというのですが、こういうところに問題があると思うのです。何も疑惑とか不思議とかいうのではなくて、一つの策謀から問題が起っておると思います。それだから、私に言わせれば、警察権を利用して、林、佐藤を恐怖に陥れ、これを分割して、駅の誘致同盟を解散させ、総代をやめさせてしまえば、結局猪谷派に凱歌が上る、そういう地方的事情から生じておる策謀である。何もこれは疑惑から起っているものじゃない。その証拠に、私のところへは総代派の連中がいつも来ます。ですから、一つ疑惑はありません。現に、この間も、私が国に帰りましたときに、六十名近くの男女が私のところへたずねてきて、どうか引き続き村を見捨てないでもらいたいということを言うてきております。この十三人は私のところへは来ません。この連中は、どういうものか、初めから来ないのです。それが来ない理由は、最近になってわかったのですが、今度も私のところへは立ち寄っておりません。私のところへ来れば、定期預金がどうなっておる、どういう株が持たれておる、支出はどうなっておるということは直ちに明瞭になるのです。ところが、今田中委員は、君は警察に出ていって、一々説明したらどうだとおっしゃるけれども、来てくれとも言わぬところへ私が出かけていって、検事局や警察で私の一身上の弁明をする必要はないと思うのです。聞きにくれば、私はどこにでも出て、正しく理解されるように説明してやりたいと思っておりますが、警察の方では聞かないように聞かないようにしておるようです。聞いてしまったのでは事態が明瞭になって、つかまえるのにつかまえにくくなるんじゃなかろうかと思われます。まことにはなはだ遺憾であります。
  116. 田中彰治

    田中(彰)委員 あなたは国会議員で、決算委員でもあられた。国会議員ではわが党の相当の幹部級の人なんだから、たとい彼らがどんな陰謀をしようと、今言う通り、協約書を立会人として作ったので、われわれもその協約書を見たのですから、千五百万の金はこうなって、五百万の金はこうなっておるのだからということで、あなたも何か書いたものでもやられてはどうか。この管理で今あなたは疑惑を受け、御迷惑されたことは、あなたの御親切というか何というか知りませんが、われわれはこの金を受け取るという話を聞いたときに、この金の管理はあなたも言われたし、委員長も言われたし、私も言ったはずなんです。北陸電力社長山田さんに管理してもらえと言ったところが、向うでは管理はいやだ、渡した金だからどうしようと勝手だから、いやだと言われたので、そこでそれをあなたが買って出られたことが、あなたが疑惑を受けた点なんでしょう。だからやめられて、人をやって金をお返しになって、おれには関係ないのだから、お前の好きにしろというようにやられた方がいいのだと私は思う。あなたのお考えもあるでしょうから、どうか一つよくお考えになって、そういう方法に出られることを私は望んでおきます。
  117. 松岡松平

    松岡参考人 ただいま大へん御親切なお尋ねでございますが、すでに村の正式の弁護士として近藤航一郎君を今から一週間前に決議をして頼みました。私の方はすでにその際に全部近藤君に移管いたしました。元来私が管理しておったのではない、これは林、佐藤がやっておるので、私は監督しておりましたが、私の方は今度は監督もやめまして、弁護士の方に引き移しましたから、弁護士に正しく管理していただけると思います。今私の監督のもとにはございません。大へん御親切な御注意であります。
  118. 田中彰治

    田中(彰)委員 臼井さんが来ましたからちょっと一言……。あなたがそういうことを言われることはけっこうですが、御答弁されるのにどうもちょっと興奮されておるのかどうか知りませんが、ちょっと遺憾な点がある。実はさきに同僚臼井委員が決行委員として視察に行った。これは決算委員会理事として行かれた。決算委員会は国費をむだ金に使ったのをただす一つの役目を持っておる。ここでもってお前はどこへ出張しろ、お前はどこへ出張しろということを委員長の前できめて出張するものです。何をするのかわからないで出かけて、汽車に乗ってから気がついた、こういうことを言われたときに御答弁なさらぬから、そういうことをあれするのだが、これは私は、臼井委員の大きなミスだと思う。もし臼井委員もそういうことであれば、国会議員であり、決算委員である者が国家の費用を使って出張するのに、どこであるか、その事項は何であるか調べないで乗ったということは、低級な、無能な話だから、これは臼井委員の間違いか、あなたの答弁の間違いか知りませんが、こういう点についてもあなたが答弁がされておらないとすれば、あなたのそういうことが重なってそういう疑惑を受けて、あなたが御迷惑をされる、私はそう思いますから、何かあなたは、おれは弁護士だ、おれは国会議員だから、呼ばれないところに行く必要はないと言うけれども、あなたに御迷惑がかかるとみながけんかをしなければならぬ。あなたの御都合ばかりおっしゃらないで、一つあなたの方から進んで出られて、なるべく決算委員会疑惑のかからぬようにやってもらいたいと思います。これをお願いして、私の質問を打ち切ります。
  119. 松岡松平

    松岡参考人 まことに御注意の数々よくわかりました。これから大体てんまつをまとめまして、関係書類を整理して、関係当局に全部差し出す手配をいたします。  それから臼井さんの件ですけれども、あれは出張する前にはここでもずいぶん審議を進められておったので、臼井さんもお忙しいのでお忘れになったと思いますけれども、行く前にだいぶ説明したと思っております。この点は御記憶を呼び起していただけば、そうでなかったように私は考えております。
  120. 臼井莊一

    臼井委員 関連して。……私が先ほど申し上げたのは、田中委員お話通り、あるいはその際に私、欠席していたかもしれませんが、決算委員会でその問題を論議されていたかもしれません。私はその点をよく知らなかった。ところが、急に派遣することになったけれども自民党のメンバーが足りない、そこで一つ私に行ってくれ、こう言われた。これはたしか電話でその交渉を受けたかと思うのです。そこで、委員会の決定であるならば、その要件については、汽車の中でわかるだろう、こう思ってとりあえず汽車に乗りまして、そして専門員からその話を聞いて初めて内容がわかったわけです。実際内容がわからぬで乗るということは不見識といえば不見識かもしれませんが、しかし委員会で決定してメンバーが足りぬということであれば——そこで私が想像したのは、おそらく電源開発の問題で富山調査に行くのだろう、しかしその内容は詳しくわからなかったので、おそらく電力会社に直接調査に行くのだろうというふうに私は考えて乗ったのです。ところが、実はこういう問題で現地調査をするということだったので、実際乗るまでその内容について私は詳しく知らなかった。そのとき松岡委員は一緒においででなく、富山に着きましたら現地におられて、現地で御一諸になって調査をして帰った、こういうことでありますので、その点一応釈明をいたしておきます。
  121. 青野武一

    青野委員長 次に、順序を変更いたしまして吉田君。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は要点だけずっと聞きますから、詳しい御説明はなるべく省略していただきたいと思います。  実は私はこの問題について昨年の十一月以来、今日あることを決算委員会のために少し憂慮しておったのであります。あのときにもっと詳しい御説明があれば、あるいは今日それがなかったかと思うのです。そこであなたにまず伺いたいのですが、一体これは告発があったのですが、告訴があったのですか。
  123. 松岡松平

    松岡参考人 今月の初めに林唯義に対して告発だそうであります。告発の内容を申し上げますと、これは弁護士から聞いたのですが、内容がわからないから調べてくれ、もし不正があったら追及してくれという簡単なものだったそうです。十三名から出ておるそうです。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、その十三名というのが村の利害関係地元民の一部で、あなたがさっきおっしゃった反対派とかいうのに該当するのですか。
  125. 松岡松平

    松岡参考人 さようでございます。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、あなたがこの要件について解決にあっせんなさったのは、これは端的に申せばどういう立場からおやりになったのですか。
  127. 松岡松平

    松岡参考人 頼まれた当時の事情から申しますと、紹介者は地元の県会議員であります。それで会社側に交渉してくれということから起っておるので、私は弁護士でもあり地元の議員でもあるという関係から頼んできたものと考えております。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうするとあなたは、決算委員会委員のお仕事としてこの解決にあっせんなさった、そういう意味じゃないのですか。
  129. 松岡松平

    松岡参考人 私が頼まれましたのは三十年の五月です。決算委員会で取り上げられたのは三十年の何月でしたか私記憶がありとませんが、そのずっとあとのことであります。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが一方またこの決算委員会におまして、私の記憶によりますと、三十年の七月下旬に最初あなたの発言からこの神通川のダム及び片掛部落の例の補償の問題がこの委員会で質疑応答されたと思うのですが、そういうことになっておるんじゃないですか。
  131. 松岡松平

    松岡参考人 その記憶をたどっておるのですが、私初めて頼まれまして、あの湖の護岸を私ふんどし一つで入って調べたのですから、あのときは六、七月ごろじゃないですか、そうすると委員会は三十年の秋ごろの時分じゃないですかな……。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは私の方も調べて申し上げたのであります。そこで数回山田社長並び山本社長などが当委員会参考人でありましたか証人でありましたか、喚問されて、あなたも相当質疑をされた、こういう事実があったんじゃありませんか。
  133. 松岡松平

    松岡参考人 ですから私が最初に会社に行って、社長及び副社長、建設部長等にしばしば会って、それでもうこれはなかなか容易なものじゃないということで、それ以上の調査は相当の方法でなければできないと考えておりました。それでたまたまこの委員会でこの問題の調査を進められることになって、私もずいぶん質問しております。記録にもある通りであります。
  134. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでその質疑応答の内容ですが、読んでみますと、やはりあなたの御質疑の要旨の一端といたしましては、北電に向って片掛部落に対して損害賠償をしてはどうかという趣旨であったことは御記憶にありますか。
  135. 松岡松平

    松岡参考人 これは護岸をしなければ損害賠償という問題が起る、しかし片掛部落要求護岸要求でありまして、損害の請求までに至っておりません。ですから護岸が不可能ということになれば損害賠償に変わる性質のものだと思います。
  136. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこであなたは、護岸ができなければ損害は相当賠償すべきではないかという御趣旨の御質問をなさったのじゃないですか。
  137. 松岡松平

    松岡参考人 私は損害賠償の点はあまり強調した覚えはないと思います。記録を見なければわかりませんが、当時私の方はあくまで護岸を主張していたのです。
  138. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その護岸に幾億円要るか存じませんが、護岸が至難であるというようなことは社長などの答弁によって私も聞いておりました。それにかわって当然損害賠償ということも相当深刻に議論が展開せられたのであります。これはきょうごらんになったらわかります。そこでいかがでしょう、あなたも自民党の幹部であらせられて、宣伝教育局長ですか、党の重職におありになるのでありますが、このように民間の電力会社に向って護岸すべ義務があるじゃないか、もしそれができなければ損害賠償をなすべきではないかというような議論が展開せられております際、もしくはそういう経緯にかんがみまして、たといあなたが個人といたしましてもまた弁護士の職でおありになりましても、その問題に当って金銭を受け取るようなそういう解決に関与するということは、これはやはり国会議員立場から穏当でないではないだろうか。少くともそういう場合にはやはり委員会に諮って、委員会に成規に解決の手段、手続はどうするかというようなことをお諮りになるなら別でありますけれども、片や国会議員として相手方の北電に対していろいろと深刻な質問を浴びせていく、片や個人か弁護士か知りませんけれども、数千万円の金の授受をするような交渉に関与する、こういうようなことは私はやっぱり国会議員としてお考え願わねばならぬのではないかと思いますが、所見いかがでしょう。
  139. 松岡松平

    松岡参考人 古田委員のお尋ねは一応ごもっとものように考えますけれども、それは筋が違うんです。なぜかというと、損害を要求して損害を取るという問題なら、これは私は関係しません。しかしながら本件は損害は請求してないのです。解決について損害というものを捨てちゃったのです。そこで会社側はその部落の今後の発展のために寄付したんです。そうするとあなたの話を聞いておると、政党の党員は資金というものにはこれから関係できぬということになる。私はこれに大いに関係して、部落民に平和と安定を与えることのために協力したつもりなんです。部落民がこれによって解決されなければ、紛争を続けておれば不安定です。これが解決つけば安定するのですから、そのために金銭が伴っても、私は誤解する方が無理で、別に党員としても議員としても道を誤まったものとは考えておりません。
  140. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながら解決の三カ条のうち、五百万円というのは闘争資金というのであります。闘争の資金というのであるならば、これはやはり部落民がこの問題について東京に往復したりする経費あるいはその他陳情等々の経費であるということは、あなたの先刻来の御説明によっても明らかであります。明らかにこれは民法的に申せば損害の賠償であるということは、これはもう法律家であるあなたはとくと御承知のはずであります。少くとも私が思いまするのは、やはりそういう性質の損害賠償を内容とするならば、数百万円の授受というようなものに関与することは、当該案件を委員会において調査し、それの質問をするというような立場とはやはり両立しかねるということを私は信ずるのであります。しかしながらこれはあなたの今の御所見によって党員としても恥ずべきでない、代議士としても恥ずべきでないというような御所見のようでありまするから、しいてあなたの御答弁は求めません。  そこで続いて伺いまするか、第一項の二十二万円でありますが、これは一体だれの所有に帰するんです。
  141. 松岡松平

    松岡参考人 この第一項の九百坪二十二万円の金は所有権者のものです。けれどもこれは本人との間に契約をしなければなりませんから、第三者の約束ですから、これは本人との間にまだ取引の行為は行われてないそうであります。
  142. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと第三者のためにする契約で、その第三者というのは五十九戸三百人の村の人たち、その人たちの相談なくして第三者の意思をもって、確認することなくして、第三者契約をせられた、こういうことになりまするので、この点につきましても私は注意深い、思慮深いあなたとしてやはりこれはどうであろうかと今日は批判をせざるを得ないのであります。そこでその次の闘争費五百万円というのでありまするが、これも一体だれの所有に帰するんです。
  143. 松岡松平

    松岡参考人 今ほど譲渡土地の問題ですけれども、これは所有者は大体三名で、みないずれも林、佐藤から本人の了解をとって、承諾したからこの契約に至ったのであります。みんな本人どももこれは了解しておることであります。決して無断で、かような第三者のためにする契約とはいいながら、やらしたわけではありません。  次に五百万円の金でありますが、これは現実具体的に支出した者に払うべきもので、部落においては林、佐藤以外には金を出した者はございませんから、この両名が取得すべきものと私は考えております。
  144. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると林、佐藤が五百万円を支出した、その支出の目的は部落全体の利益のためにした、こういうふうに法律関係はなるものと思われます。その五百万円は果して部落全体の人が相当なりということで了解を与えたのでありますか、その点いかがですか。
  145. 松岡松平

    松岡参考人 当時持ってきました委任状には——私今その委任状は警察に出すためにタイプ屋にやりましてきょう持ってきませんでしたが、それには、その趣旨の権限を付与した決議録がついております。それからさらにもう一つ最近集会を開いた模様で、再確認した事実があります。
  146. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そんならこの千五百万円はだれの所有に帰するのですか。
  147. 松岡松平

    松岡参考人 千五百万円は部落の共有であると思います。
  148. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 部落の共有でありましたならば、部落全体がこれの保管方法をきめるのがほんとうであろう思いまするが、しかるに会社との関係で、これを公表することを避けたというのは、当然その帰属すべき部落全体の人に対して明らかにしないということは、この種の問題の解決といたしましては明朗でなかったと思いますがいかがです。
  149. 松岡松平

    松岡参考人 明朗、不明朗ということになりますると、吉田委員のおっしゃる通り、知らない人の方から見れば不明朗であります。けれどもこれを寄付する会社側が、頼むからこれを発表しないでくれといって、多い額と協定書を二つに分けてこれはできたのであります。私はやはり人としてそこまで会社側から窮情を訴えられれば、これを聞いてやらざるを得なかったと思います。
  150. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 会社側は千五百万円を支出する側であります。どういうふうな利害関係からこれが公表を避けたかは別といたしまして、受け取る側は、千五百万円をどう保管するか、どう利用するか、その趣旨に従ってこれをお互いにどういうふうに使用するか、こういうようなことは共有であれば、共有者全体の意志決定によって方法をきめるということは当然であろうと思います。しかるに出す方の側、出す方といったところが、こういう場合は北電とその代表者だけに最終的権限があるわけでも何でもありません。この五十九戸、三百人の者が共有者であるとするならば、あくまでも自主的、民主的にその方の意思決定に待つのが当然であって、これを隠しておいてくれというようなことをおめおめ承諾するということは、私は知恵者のあなたとしてはいかがかと思うのですが、それはどうです。
  151. 松岡松平

    松岡参考人 それは別にそれを秘すという意味ではなくて、適当な時期に発表するということなんですから、数カ月後には発表すべきものだと私は考えておりました。ところが発表に先だって向うの方が騒ぎ立てたということであります。ですから時期のかね合いがございますが、今日の段階では公表しております。結局北電側の力が先に発表したのであります。私は向うが発表した以上はもはやこれを秘す必要がないからみな発表すべきだというので発表しております。
  152. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしたとえば十三人の反対側の人が告発したことがいいのか悪いのか、それは存じませんけれども、この十三人、十三戸でありますか、これらの人たちにおきましてもやはり発言権があるし、共有者の一部でありまするから、いろいろな権利を主張するのは当然であります。この陳情書趣旨によりますと、横領、背任で告発しておることになっておるのであります。だからそのような重要な利害関係を持っておる人々に、即刻その経過を説明するということが私は代理人の当然の義務であろうと思う。林、佐藤という人々といえども、個人の問題ではないのであります。ことに数百万円の金を使ったというような経過をたどっておりまするので、厳格に申しましたならば、五百万円の金につきましても、精細な計算書というものも出さなくちゃならぬと私は思うのです。出ているかどうかそれは存じません。そこまでは今日は追及するつもりはありませんけれども、そこでこのうち株を買ったということを朝承わったのであります。株を買うということについても、これは所有者、共有者全体の承諾を得たのですか。
  153. 松岡松平

    松岡参考人 それは十一月にこれを妥結する前に総会を開いて、委任状に詳細にそれは記載されております。資金の運用の妙を発揮せよと書いてある。それでなるべく利殖をはかって、そうして今後に要する費用を支弁していきたいという意図を持っておったということを言うております。その委任状はいずれあなたもごらんになれば、その権限の所在もわかるし、保管は佐藤、林において保管すべしということも限定されている。二人は権限を付与されたことも一目瞭然であります。そういうわけでありますから、私は別に常識を逸したものとは思いません。
  154. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはどこの株をお買いになったのですか。そうしてその委任状の内容に、この権限の内容というのは明記してあるのですか。
  155. 松岡松平

    松岡参考人 私がこの協定を取り扱うときに、委任状にきちっと明瞭に書いてあります。どこの株を買うとか、そんなことは私はわかりません。それは代表者の林、佐藤においてやるべきことで、私はそこまで監督はどうもできません。
  156. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこに問題がやっぱりあるのであります。あなたは監督監督とおっしゃいますけれども、この金の授受をなさるときには直接あなたも関与なさったというのじゃないでしょうか。一体この金の授受はどこで、だれとだれが立ち会っておやりになったのですか。
  157. 松岡松平

    松岡参考人 それは私のところの法律事務所の一室において山本社長と林、佐藤代表の間にこれは調印が行われて、私がそれをあっせんしたということになります。
  158. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その調印なさるときには協定書なるものはでき上っておったのですね。
  159. 松岡松平

    松岡参考人 協定書会社側で作ってきたのです。何回か何回か折衝して、こちらも意見を言い、部落代表も意見を言って、会社側の方で作り上げてきた、タイプです。タイプの片われはここにあります。これは会社側が作ってきたものです。
  160. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでこの千五百万円及び五百万円並びに二十二万円でありますか、これを所有者が知ったのは——千五百万円については全体の共有とおっしゃるのだけれども、部落民全体が知ったのはいつなんです。
  161. 松岡松平

    松岡参考人 それは部落民がいつ知ったかということを言われると、私はそれについてはつまびらかではございません。
  162. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうするとまだ部落民はこれを知らないということも言い得るのですか。
  163. 松岡松平

    松岡参考人 今日の段階ではみな知っておると思います。
  164. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは何ですか、これはあなたの法律事務所で北電の副社長が立ち会いで、そこで、林、佐藤という二人の代表者が立ち会いで、協定書に署名、捺印して、小切手で金を受け取った、こういうところまであなたもいろいろとあっせんなさった。私もごあっせんになったように思うのです。ただ場所を貸して、そうして林、佐藤北電の取締だけがこの種の契約を締結して金品を授受したというだけではなしに、あなた御自身がやっぱりこのことの契約の締結、金の授受、あっせんをなさったんでございますか。
  165. 松岡松平

    松岡参考人 それは初めから私はあっせんしていると申し上げている。
  166. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならば、初めからあっせんし、その前にあなたがいろいろとこまかくお世話になっておるならば、これでよいかということをどうして一群最初のもとになる、すべての共有者の了解を得て、そこで会社はこう言うけれども、それはいけません。それはやっぱり部落民全体にこれを公表して、そうしてそれの承諾を得て、その上で公明正大に取引するというふうにどうして配慮なさらなかったのか。
  167. 松岡松平

    松岡参考人 そうすると、要するに協定書、覚書の内容事項を全部明らかにして、そうして部落民意思を問え——それは私はそこまで、職業でやっておるわけではございません。これは職業弁護士なら村へ出かけて行って、私は一々懇切にやるかもしれません。私はそこまでからだを費してやるというわけには参りません。代表者を出して、代表者に、私が委任状を見て、それであっせんすればいい。私は代理人ではございません。代理人ならば、この種の事件をやれば、報酬もとって、手数料も取れば、それだけのサービスもいたしますけれども、私は、吉田さんもわれわれと同職の方だと思いますが、サービスする以上は手数料、報酬をもらわなければできません。それはサービスの範疇です。親切の範疇はそこまでいくものではなかろうと私は考えております。
  168. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしながらこの千五百万円と五百万円というのは最終の結論で、当初の要求というのは幾らというふうになっておったのですか。これは最初は幾らだったのですか。
  169. 松岡松平

    松岡参考人 最初は金の要求なんかしておりません。金は要求しておらぬのであります。私は、これは部落民が、お前、ダムを決壊したのだから金を取ってくれということだったら、手数料をちょうだいいたしまして、裁判所に訴訟を起しまして、弁護士の報酬を取れるような段取りをとります。これは弁護士だって営業であります。国会議員であると同時に弁護士であれば商売もしなければならぬ。そうすれば手数料をちょうだいして訴訟を起して報酬をとれるような段取りをとります。初めからそういうことを私のところに言うてきておりません。護岸をしてくれ、護岸ができなければ駅をつけてくれ、駅をつけてもらえなければ産業開発に助成してくれ、この三段論法できていた。ですから私の弁護士としての活動のサービスの範囲外なのです。
  170. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしあなたはさきに三百万円の、林などのいわゆる闘争費の弁償について、当初三百万を要求しておったのだか、三百万は北電も承認しておったのだが、しかしその後百万円、百万円を加えて五百万円を承諾させた、こういう御説明であるのであります。そこまで言っておるのでありまするから、これはやはり当初から相当の金類が要求せられて、そうして最後に折衝段階に入ってこの全額に落ちついたということが常識的に考えられるのです。あなたのそれによりますと、あなたは、そうするとこの解決条件の譲り合いをするとか交渉をするとか、あるいはこれでよい、もっとせねばいくまいというようなことについては、第一項、第二項、第三項とも解決条項の折衝ということについては、どうなんですか。あなた御自身は全然関与しなかったのですか。
  171. 松岡松平

    松岡参考人 私はあっせんに関与しております以上は、各条項について何十回になりますか、しょっちゅう山本君が私のところに来まして、どうしてもこうしてくれああしてくれということを会社側の方が希望するのです。第一この金額を寄付するというのは、部落は金はもらいたくないと言いました。はっきり申し上げておきます。ただ山田さんに今後村の鉄道誘致並び産業開発を助けてもらえばいいのだ。そうしてやがて駅がついて用地を買うようなとき山田さんに助けてもらう。あるいはできなくとも、村の今後の産業開発を助けてもらえばいい。従って村は金を受け取る必要はないと言ったのです。ところが、会社側は、それでは無制限な援助になって、終生未代金を取られてはかなわんとこう言う。そんなことはないと言ったのだけれども、結局山田社長の、金で仕切ってくれ。それじゃ仕切るかわりに心理人を山田社長にするということをやかましく私はもう十何回にわたって向うに要望しておるのです。こういう紛争が起ってはいやだと思いますから。その点は吉田さんから見られれば私どもはまだ若輩でありまして、不注意の数々がございましょうが、私は私なりにその点は注意を払ったつもりなのです。この点御了解願いたいと思います。
  172. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは今日のお立場は、こういうふうに新聞でいろいろと問題視され、あるいはまた関係者があなたのところにたずねてくる。林などが告発されたような事件が起り、ことにこれが専門の法律家が告発代理人になっておりますのですか、きのうの陳情にも法律家が来ておったということも承わるのであります。そういうような、事態が専門的な研究をせられて、刑事事件として扱われるようになって参りましたところには、田中委員も指摘されましたように、私はどこかにやはり欠陥があったと思うのです。私は最大の欠陥は、国会議員として当委員会の席において、あなたがこの問題についていろいろと応答なさって——その中には金銭的な数字も出てくるのであります。何もあなたがそれを要求したというのではないのですよ。けれどもいずれにしましても金銭的な関係も質疑の内容に出てくるのでありますので、そういったようなことと同時に、あなたが弁護士にあらずして、個人として金の授受まで関与なさってこれをあっせんをした、あっせんをしたけれどもずいぶんとお骨折りになって、あなたの事務所も提供して、最終的に解決して、しかも会社が当然公表すべきものを伏せて今日まできた、こういうようなところにやはり問題があると思うのです。私どもはやはりお互いに代議士としてあやまちなきを期したい、といって神様ではないのだから、それは何かのあやまちもあるでありましょうけれども、私はやはり国会議員と個人との行動を混雑してしまって、同一の問題を両方から扱っていくというようなところにやはり間違いが起ると思うのです。それなら私は申しますが、あなたはやはりそこまであっせんするというような一つの客観的な、第三者的な立場からいろいろお骨折りになったのならば、ここの委員会で後日委員の間で非公式に問題になりましたときに、理事会を開いてあなたにどうぞ御説明を願いたいと言いましたときに、どうして契約の書類やら何やらを見せて、これこれになっておるというふうになさらなかったのですか。われわれは全然知らないのですよ。びっくりしておるのですよ。どうしてそれをなさらなかったかと思うのです。そういうことをなさっておりましたならば、われわれもそれでは、失礼な言い分だけれども、そういう金については保管か監督か何か知らぬけれども、田中委員の言うがごとくに、北電社長か何かに監督さすとか、あるいはしばしばここでも問題になっておりました、知事にいろいろと権限を——監督だけれども、おまかせするとかそういうような公明正大な方法をとって、金の保管をさせてはいかがかとお勧めするのです。しかしそのときもほんとうを申せば、率直に申しましたならば、金額内容は明確におっしゃらなかった。はっきり私は申し上げます。しかし私はあなたを信頼して、そこまで理事会で問題になったら、その後問題になることはなかろう、いろいろと善処して下さるだろう、こういうことを実はわれわれは期待をしておったのです、ほんとうを申しましたならば。そういう金につきましてもそれは善は急げですよ、今日でもちっともおそくありませんので、やはり公明正大な道にすっきりと出してしまって、あなたが反対派の策謀で政治問題化しておるというなら、それならそれでよろしいですよ。利害関係が錯雑するのは世の常ですから。いずれにしてもやはり私は顧みて相当な過失があったと思います、行き過ぎがあったと思います。深入りし過ぎなすった、金の保管の方法か何か知らぬが、行き過ぎしなすったと、こういうふうに考えるので、私は顧みまして、あなたが堂々とおっしゃるならば、どうして協定書なんかもわれわれのみんなにお見せになって、金の保管の方法を、皆さんどうしたらよかろうぐらいはおっしゃるべき筋だったと思うのです。それも見せずに今日こういう問題が起っておるのは、私どもはほんとうに遺憾千万ですよ、この委員会が若干議論をした問題ですから。この委員会で問題にならなかったら私は何も申しません。申しませんけれども、この委員会においてはるばる遠方から人間を呼んで、いろいろ質問応答をしたようないきさつがありますので、今日新聞でたたかれておるようなことがどこまでほんとうかうそか、それはすぐにはわからぬとしましても、実に残念なんです。今後のこともありますので、私は申し上げるのです。私が今申し上げました数個の点について、あなたはどうお考えになりますか。
  173. 松岡松平

    松岡参考人 どうも私には少しふに落ちないのです。この理事会では私は五百万、千五百万ということを明確に申し上げております。それから書類が要るならば私はいつでも持ってくるということも田中さんにも上林さんにも言っておるのです。あなたに申し上げたかどうかは記憶はございませんけれども、私の方は特に秘した覚えはございません。ですから、これは何か思い違いだろうと思います。それからおよそ世の中の、こういう部落あたりの紛争というものは、やはり私どもが解決してやらなければ解決できない場合がたくさんある。ところが解決してやったことがあだになって、また再びいろいろな紛争が起るというようなことも世の常です。しかしながら私どもはそういうことによって、私がとった態度に過失があったとか私に誤まりがあったとかいうことを言われるのは——私はそれは人間に要求すれば、高い理想から見たら限りがあることであります。少くとも注意義務というものは平均的な水平の上に立ってものを判断していただきませんと、高い道徳者の立場から人の注意義務などを云々されるということは、これはどうかと思います。
  174. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まあそのくらいでいいです。
  175. 臼井莊一

    臼井委員 ちょっと補足して……。先ほど私が内容を知らずに汽車専門員の黒田さんから聞いたといういきさつですが、本問題が当委員会で問題になったのは、決算委員会の記録によると一昨年の七月ごろからのようであります。私が委員になったのは一昨年の十二月になったのであります。従って本問題についての当初の論議は私は知りません。それは一月の休会中に当委員会において徳山とそれから富山の二カ所の調査委員を派遣する、こういうときに富山へ行ってくれということを、最初にも申し上げたように、電話の連絡が私のうちにありました。私は富山よりも徳山へ行きたいと言ったら、いや徳山はだいぶ希望があるが、富山の方は全然自民党はない、こういうことで、私は内容はそれでは汽車に乗ってから聞こうということで——黒田さんも私の顔を知らないで、汽車の中で初めてあなたが臼井さんですか、こういうことを言われて、初めて会ったようなわけです。そこで私は内容を知らないで汽車の中で初めてあの内容を聞いて、こういうことまで決算委員調査するのか、こう思ったのであります。そこで二月の七日に、その視察してきた内容については私から当委員会において報告いたしておきましたが、内容を知らすに乗ったことは、まことに不見識のようですが、以上のようないきさつで乗ったのでありますから、一つ御了承をいただきたいと思います。
  176. 青野武一

    青野委員長 淡谷悠藏君。
  177. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちょっと松岡さんに基本的な問題で二、三点疑義をただしておきたいのですが、さっきあなたのお話では、この村は山中の僻陬の地だ、こうおっしゃった。私はこの問題はきょう初めて聞くので、何ら含みはございません。特に私どものわからない点を私は質問を申し上げたい。この部落というのは、御承知の通り大へん行政的にはずさんな組織でありまして、たとえば財産を持っております部落は、その財産処分のいろいろな権限を与えられるような特別な契約がある部落もございますし、あるいはまたほんの申し合せの部落会を作っておるところもございますが、この五十数軒という部落が一体行政的には何か権限を持っておるのでございましょうか。その点はどうでしょうか。
  178. 松岡松平

    松岡参考人 行政的には今日部落というものはないと思いますが、大体現在部落が取り扱っておることは原始的な基礎的な租税関係であります。これはいわゆる国の税ではないのです。それは万雑と言っております。年一回部落人たちが集まりまして、万雑割というものをやりまして、それはおもに部落の用水とか、それから町村の負担しない道路の費用、その他公けの費用があるのです。そういうものを能力に応じてみんなに割りまして、それを出し合って運営している。この地方の片掛部落というのは、源平の時代から構成された部落ではないかと思いますが、形式的な部落ではありません。非常に原始的、基本的な形態を備えている部落で、相当強固な部落であります。
  179. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 財産区の設定などはない部落だそうでございますが、さっきのお話の中に、この部落がこの問題に関連しまして三百万円ほど村の金を使ったということがございますが、これはおそらくはあなたのお話から、部落が積み立てをしたいろいろな金だろうと思うのです。こういう金などの管理は一体どういうふうになされておりますか。またこの金の出どころはどういうところか。あとから会社から出ました金の処置についても、こういうことは非常に基本的なことになると思いますので、その点を一応お尋ねしておきます。
  180. 松岡松平

    松岡参考人 その三百万円の金というのは、ダムの建設の前に北陸電力から部落が受け取った金です。それからその管理は、大体総代の名前で銀行に入れて管理しております。
  181. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私も古い部落のいろいろなことは知っておりますが、総代名にしておいて、土地などは個人のものになった例が相当あるのですね。これは新しくできた三百万円の金だと思いますが、これを総代の名前にしておいて、何ら危惧がないものでしょうか。もしも総代自分のものに勝手に使った場合には、どのような指導、監督を受け、どのような検査を受け、あるいはどのような制裁があるか、その点ははっきりしておりますか。
  182. 松岡松平

    松岡参考人 こういう部落ですから、悪いことをすれば村を離れなければならないのです。これは大きな一つの制裁です。ですから、村の公金を不正に領得するなどという者は、まあないのじゃなかろうか。第一、生活というものがみんな近接しておりまして、家が密集しておるのですから、望遠鏡をかけて見ているように隣のうちの暮しがわかるし、落物一枚買っても村中に知れわたるというようなものですから、金の変な使いようのないところです。でありますから、個人の名前になっていようと、総代と名前をつけていようと、結局はもともと権利能力のない団体ですから、大した影響はないと私思います。
  183. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 何か悪いことをした者が村はじきを受けるといったような、非常に封建的な村だろうと考えます。その場合、その村の総代なり重立ちなりがほんとうに正しい人間であれば文句はありません。これに対して反抗した者も、少数派であるがゆえに村はじきを受けるという例もここにはございますまいが、ずいぶん他にはある例でございます。  そこで、あなたに最初頼みに来ました五十九世帯ですか、このうち十三戸が途中で分離をした。この問題つきましても、こういう部落一つの形としまして、金をとるまでは一致するけれども、金が入ったとなってくれば、その金がほしくなるという封建的な習慣もよくあるのでございまして、よほど徹底しておかなければ、その金をとった場合にそういう不和が起ることはわかっておる。今非常に激しい抗争になっているようですが、これが十三世帯に対してやはり村はじきのような処置をとると、この争いは永遠に残るだろうと思うのです。そこで、あなたのお言葉の中にございましたが、最初の納得を得たというのは、ほとんど全部の人が納得をした、とこうなっておりますが、この金が渡されてから、どうやらこの十三戸が分離したらしい。そこで協定書に二つありますが、一つ発表すべき協定書金額を盛っておりません。一つ発表してはならない協定書——発表してはならないといっても、これはおそらくは総代の林さんとこれを助ける佐藤さんは見たろうと思う。また部落人たちからもこの人たちは委任状をもらっておった。そうすると、この二人とあなた以外に金高のついた協定書を見た人はございませんか。どの程度までこの協定書内容を知っておるか、五十九世帯のうちで一体どれくらいの人がこの金額を知っておるか。
  184. 松岡松平

    松岡参考人 それが十三名のうち四、五名しか総会には出てこないそうです。ですからこの内容については、相当多くの人はすでに二月ごろでは知っておったと思う。十一月ですから、十二月、一月、つまり十二月は節季でございますし、一月はもうお正月でしょう。ですから、二月ごろには大部分の人が知っておったと私は思います。その協定書関係記録はみな佐藤と林が村へ持って帰っておりますから、伝わり伝わって内容はつまびらかにされているはずです。ただ十三名のうち四、五名は集会に来るが、あとの者はもう絶対に来ない。それで判こをとるときも出かけていってとったという話を最近に聞いております。最初妥結するときに委任状に判こをとる、その判こをとるにはわざわざ出かけていってとったということであります。ですから、こういうところへ行きますと、われわれの常識で判断できないかたくなな精神があるのですね。われわれなら率直に、一体どうなっているのかちょっと聞かしてくれといって聞きに行くものを、よろい、かぶとを着てかまえてしまうのです。人間がわれわれ民族の古代な、クラシックな頑迷なものを持っているのです。この問題はその頑迷の表白ですね。
  185. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたには常識で判断できないようでも、私のように古くから百姓をしておる頑迷なる者は、非常に封建的な農民感情というものは常識として理解ができるのです。そこで五百万円の闘争資金は別段私は文句はないと思う。ただ千五百万円の金の使途を明らかにされたのは、あなたと総代だけです。この総代が委任状を持っておる。この委任状に書いてある趣旨が、部落の人全体に徹底しなかったのではないですか。頑迷固陋にしてかつ封建的で、なかなかあなた方の常識では判断できないので、そこにちょっとしたいきさつがあったろうと私は私の百姓の頑迷なる常識をもってすると判断ができる、その点はどうなんでしょう。
  186. 松岡松平

    松岡参考人 私は今申し上げたように、すでに十一月は話を取りきめて、国へ帰って、十二月、一月——おそらく二月ごろには徹底していたものと理解しております。それを故意に知らない、わからないといって騒ぎ立てているのだと思われる節がたくさんあるわけであります。
  187. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私はここであなたとは議論をするのじゃございませんから、あなたのお考えがそうであれば、別段これはこれ以上深くは進めませんが、ただそこで委任状を持っております林と佐藤という両人物が、千五百円の金をどのように使いましても、あと部落民には苦情や異議を申し立てるような資格はないのですな。どう使われても黙っていなければならないというふうに頑迷固陋なる者どもは考えるより仕方がないのでしょうか。何かそこにこれはいかぬというふうに苦情の言い得る権利がございますか。その点を一つお聞かせ願いたい。
  188. 松岡松平

    松岡参考人 それはやはり村の共同の財産ですから、筋道を立てて使わなければ——それを持っていって遊興費に使ったり何かするべきものではありません。そこが問題になるので、あなたのおっしゃる通り、農民は信頼しておれば比較的そういう点においてわれわれ都会人より以上に信頼度が高いのですから、一たび信頼が破れると、非常な逆な結果を生んでくると思います。それが今度も現われておると私は思われるのです。
  189. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それが私に言わせますと、封建的な習慣の破綻だと思うし欠点だと私は思う。そこで千五百万円のうちかなりの額のものが株式にかえられている、これはどこの株式にかえられているか、私存じませんけれども、株式を買う、あるいは銀行を選ぶにしましても、私どもには縁がございませんけれども、しばしば決算委員会にはどこの株を買った、どこの銀行に金を預けたということで大問題になっているのです。あなたも監督の立場におったそうですが、株式を買う場合あるいは銀行等に預託する場合に御相談を受けられたと思うのですが……。
  190. 松岡松平

    松岡参考人 銀行は住友でございますが、これは欠点はありません。それから主要な株式は志村化工株、これは最も近代的な、発展の見込みの大きい会社で、しかもこの間の金利引き上げの際にも最も被害がなかった会社である、最も有利なものを選んでおると私は判断しております。ですからそういう点について、おそらく十三名も議論はないと思うのです。十三名の今や求めておるのは、この千五百万円を奪還し、これを全部で分配し、そうして駅の誘致期成同盟会を解散してしまって、現在の総代派の考えておることを粉砕しよう、それが目的です。それで警察に向ってやれ詐欺だ、横領だと騒ぎたてておるのです。具体的事実は何かというと何もない、ただ警察に調べてくれ、調べてくれ。この文明社会で告発するにせよ、告訴するにせよ、具体的事実を示さずして人を横領だ、背任だというに至っては、これは重大な問題です。ですから林と佐藤が昨日近藤弁護士を代理として、富山地裁に誣告で告訴しておりますよ。
  191. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私はこの問題を、非常に悪い言葉ですが、興味を持って聞いておりますので、さっきからのあなたのお話はよく聞いておりますから、お繰り返しになる必要はございません。あなたもこの事件の当事者で、だいぶ興奮されておるようでございますから、この際冷静にお答えを簡単にお願いしたいと思うのです。  そこでこの株などは、私は関係がないから存じませんけれども、山間僻地の地におられた林さんも佐藤さんも御存じないと思う、確実な株式はあなたが選んでやったでしょうな。簡単にイエスかノーでけっこうです。
  192. 松岡松平

    松岡参考人 私は選ぶというよりも、それに対して賛成するかしないかというだけで、林さんは建築業者ですから、ことに資産家で、そういう点についてわれわれ以上に詳しい方ですから、教えるよりも私どもが監督している立場ですから、どうですかと言うといいでしょうと言う程度です。
  193. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこで委任状を受けました二人の人が部落総代であり、かつ銀行の預金帳や判こなども持っておりますと、こういう組織ではしばしばあやまちが起る、そういう点もあなたのように非常に経験のある方はとうに御承知だと思うのですが、この林と佐藤という方は銀行の預金帳も株券も委任状も印鑑も全部持っておるのでしょうか、これはこの二人のうちだれが持っておるのでしょうか。
  194. 松岡松平

    松岡参考人 林さんは、この点は最初から非常に注意深くて、私は感心しておるのですが、自分が持って帰るかと思ったら自分で持って帰らないで、自分は判こだけ持って、預金帳と株券は第三者に預けていた。
  195. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この第三者とはどなたでございましょう。
  196. 松岡松平

    松岡参考人 それは私ども法律事務所の会計の金庫を長く扱っていた人に預けた。だから預金帳でなくて預かり証を持っておった。判こは自分が持っていた、ですから必要があれば出てきて処理しているというだけです。
  197. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちょっとこの間私もうわさに聞いたのですが、金谷一雄という人じゃないのですか。
  198. 松岡松平

    松岡参考人 金谷一雄という男はそういう男ではありません。これは関係ない。これは常時富山に住んでいる者で、これはむしろこの解決に不平党じゃないかと思うのです。これは事務の協力者でありまして、これに対して相当の謝礼をしたそうでありますが、謝礼が少いというので相当不平を持っているかもしれません。ですから金谷一雄君に物を管理せしめるなどということは林君はないのです。絶対にありません。現在は近藤航一郎弁護士の方に林君から保管を託してあります。
  199. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 近藤弁護士にやる前に預かっておった人の名前を、お差しつかえなかったらわれわれの疑念を晴らすためにお話し願いたい。
  200. 松岡松平

    松岡参考人 下坂順吾です。
  201. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あと二、三点ちょっと伺わしてもらいたいのですが、五十九戸のうち反対派の十三戸が不平を持って、この会社が出した金の分配を要求した場合には、この千五百万円は分配すべき性質の金でしょう、分配しなくてもよろしい性質の金でしょうか。
  202. 松岡松平

    松岡参考人 私はこれは分配すベき趣旨のものではないと思う。もし分配するならば会社へ返すべきだ。この間も部落の者が来たので言いました。これは分配すべきではない。君らがとるために金をもらって上げたのではない、村全体の利益のために、つまり鉄道誘致するかまたは産業開発する、共同の福利のためにこれは寄付してやったのだから、これを分配してお互いが勝手に消費してしまったりあるいは蓄積したりするような金ではない、私はその信念にいささかも変りはありません。
  203. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますとこの千五百万円という金は、大体鉄道誘致に一番使うべき金なんですが、そうしてみると、鉄道誘致には、きまる前にやはり相当金がかかるらしいですな。これは運動費なんでしょう。これは林さんとか佐藤さんは、みずから千五百万円をもって鉄道誘致するような運動のできる人でしょうか。あるいはまたこの人を通じて国鉄当局にでも——最近はいろいろ思わしくない風評も聞く鉄道当局でございますが、そういう手段を弄してきくつもりなのか。一体鉄道を敷くということは、私は国会は新米でごさいますから、大元老の松岡さんにお聞きしたいのですが、千五百万円も運動資金を使わなければ、この僻陬の地に鉄道の駅一つを持ってこられないような仕組みにできておるんでしょうか。この点をお聞かせ願いたい。
  204. 松岡松平

    松岡参考人 これは先ほど明らかにしたので、その少くとも八〇%は鉄道敷地のバンカー、駅及び線路ですね、その敷地を買うということを予定しておるのです。それは今鉄道誘致などに金を使うといいましても、部落の人は陳情にたくさん出てきます、この部落人たちは大体二十人から三十人つながって来ております。そして東京に五日も六日もいて、運輸省に出かけたり国鉄へ行ったり、それから岐阜の出張所へ出かけたりしておるわけです。そういう滞在費というものに要るだけで、かりに大臣に面接したからといって金が要るわけではない、政党の幹部と会ったからといって金が要るわけじゃない。(淡谷委員「少しは要るかもしれません」と呼ぶ)それは要りません。ですから結局この金は、鉄道がついた場合には一番の重点は敷地です。それから鉄道がつかない場合には、村はこの金をどういうふうに活用するか、総会でお互いに協議してやっているでしょう。
  205. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと、あなたのお話では日本の国鉄という組織は、鉄道を敷く場合にどこかから用地を寄付されるのが常識のように考られますが、私は初めてそんなことを聞きますが、これはいつごろからできた習慣でございましょう。
  206. 松岡松平

    松岡参考人 私はそういう習慣を知りません。しかしながら鉄道駅をつけてもらいたいという場合に、その村で敷地を寄付する場合もたくさんあります。たとえば駅はさておきまして、会社の引込線を考えてみればわかります。引込線というものは、あれはみな会社は全部その敷地を買って、そしてレールを敷きまして、転轍機を敷いて、信号機をつけたものを全部国鉄に寄付する。(「けしからぬじゃないか」と呼ぶ者あり)けしからぬといったって、会社の社線は、私どもも引込線を何カ所も建設したこともございます。私は四カ所も施設しましたが、これくらい不合理なものはない。ところが、その引込線をやめるときには、さすが鉄道も仏心があるのですね。それをやめますときには無償で払い下げてくれるのです。こういう点は、電気会社は無償ではくれません。電気会社は送電線を引くときには、みな金をとってやりますけれども……。(「わかりました」と呼ぶ者あり)
  207. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この一点でやめておきますが、そうしますと、あなたの最後の結論としましては、この千五百万円の少くとも八〇%は、鉄道の敷地の用地にするつもりであったし、日本の国有鉄道は、鉄道を敷く運動をした場合には、少くとも駅一つ作るためには千五百万円の八〇%は要求する組織か、あるいは習慣ができているのだ、このように理解してよろしいですか。
  208. 松岡松平

    松岡参考人 いいえ、それはあなたの独断で、そんな慣習はございません。慣習はございませんが、少くともああいうところに駅を急につけろというように場合には、村方がのくらいの自分らの便益もまたあるのですから、それは提供したって、かえって村の利益になることですからと考えておるだけで、そういう習慣もありませんし、日本の鉄道誘致にそういうようなことは、多数あるわけじゃございません。
  209. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 慣例がございませんでも、実例はございましょう。
  210. 松岡松平

    松岡参考人 あまり聞きません。
  211. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 しかも、これは千五百万円の八〇%を奇付しなければならぬ。用地にせよ、現金にせよ、少くとも国鉄に寄付しなければならないほど無理な誘致運動であったのでしょう。この一点だけお聞かせ願いたい。
  212. 松岡松平

    松岡参考人 必ずしもその必要がないかもしれません。
  213. 青野武一

    青野委員長 淡谷委長に御相談しますが、今、警視総監は警視総監室を出られたそうで、このあと田中彰治委員から上林決算委員長に対する質疑が残っておりますので、大てい大目に見ておりますが、この一問で最後にして下さい。この次は発言は許しません。
  214. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうしますと、必ずしも駅の誘致にはその金は必要ないかもしれない。余った場合は村の共同施設をやりますか、それとも国鉄へ返すのですか。
  215. 松岡松平

    松岡参考人 これは国鉄へは、鉄道がつかなくても返す必要はありません。村の共同施設を作るなり、あるいは共同の専業をやるなら、それは適当に使っていいと思います。
  216. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もっと聞きたいのですが、やめておきます。
  217. 青野武一

    青野委員長 田中彰治君。
  218. 田中彰治

    田中(彰)委員 上林参考人にちょっとお尋ねしますが、この問題はいろいろな問題になってきましたが、あなたが委員長当時にやられたことであり、われわれも理事で、吉田さんなんかも理事でだいぶ聞かれたのだけれども、責任ということになれば、吉田さんだって責任がある。理事の私にも責任がある。そこであなたからお話願いたいのは、あなたが——理事関係したときには、部落全部の委任状ですね、金の交渉をしていい、その金を受け取っていい、金の保管をしていいという全部の委任状を持ってきた。それだから会社もいろいろなことをやった。しかしその後仲間割れしたからといって、それが決算委員会に何か——松岡氏は地元でもあり、いろいろそのところに関与されたから、いろいろなあれも起きているでしょうが、私は決算委員会としては、これは非常に遺憾だと思う。そこであなたもかなりこれには御注意されて、向うの人がちょっと会いたいといっても、みなの了解がないとお会いにならぬというように注意されたが、松岡さんの答弁を聞いておりますと、答弁に私らはちょっとぴんとこないところがある。それは何であかというと、今はどうあろうと、当時は金の交渉、単価の交渉、金の受け取り、金の保管あるいはまた何かに使っても、責任を持てばいいというような委任状があってやったことです。それが割れたからといって、今度はその委任状が無効だとは私は考えておらない。こういう点もございますから、あなたから当時の結果をよく話していただきたい。また会社からも非常によくやってくれたというので礼状も委員会に来ている。こういうような点も明らかにされて、一つあなたからよくその当時の模様さえお聞きすればいいのですが、その当時の模様を話していただきたいと思います。   〔発言する者あり〕
  219. 青野武一

    青野委員長 お静かに願います。
  220. 上林與市郎

    上林参考人 田中委員の御質問にお答え申し上げますが、この機会をおかりして、はなはだ恐縮に存じますけれども、長い間皆さんの協力を得まして、委員長を大過なく過ごさせていただきましたことを、この機会に厚くお礼申し上げます。  本問題の経過等につきましては、すでに質疑応答の中で委曲を尽されておりますから、私からそう詳しくは申し上げません。また田中委員もそれを要望されておるとは存じませんので、簡単に申し上げますが、今、調査室から当時の書類をちょっと手元に取り寄せて記憶を呼びさましておるのですが、昭和三十年の十一月二十日の日付で、従来、それまで決算委員会でいろいろお世話になっておりました懸案事項が両者間で、北陸電力並び部落との間に円満に解決をされましてお礼御報告を申し上げますということで、北電の責任者、それから部落の責任者連署で、当時の委員長である私あてに報告書がきております。
  221. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと読んで下さい。
  222. 上林與市郎

    上林参考人 読むほどのこともないのです。それに協定書の写しが一部ついておりました。そこでこれは委員長をなさった方はみな御経験があると思いますが、やはりよき先例を作っていく努力をお互いしておると思いますが、いろいろ先例等も私なりに調査しましたところが、金銭の授受とか、こういう問題には委員会がタッチすべき筋合いのものではない、こういうふうに判断いたしましたので、協定書は返しまして、そうしてお礼状の全文だけは調査室に保存するように、こういう指図をして取扱いをいたしました。しかし、それだけではなくて、理事の懇談会の席上で、こういう文書がきておりますという報告をいたしました。ところがこれは大部分の方の御意見でありましたが、正規の委員会報告事項ではないのではないかという御意見もございますので、私もさように信じておりましたし、理解しておりましたので、報告は申し上げませんで、従来この問題でいろいろ御心配なさった方々、あるいは調査に派遣されました方々、あるいは理事等には、私から口頭で、あるいは電話でも御連絡したらどうか、こういうお話し合いになりましたので、そういう処置をいたしました。  あとの問題につきましては、いろいろ質疑応答で明らかになっておりますから、なお質問がございますれば私から答弁申し上げます。
  223. 田中彰治

    田中(彰)委員 ちょっと参考人にお尋ねいたしますが、その当時五百万円の運動費は、部落も何年も闘争しておるから金もかかっておるだろうから、これは一つ皆さん御随感に、部落関係ないもので、闘争に努力された方々のあれだから、お使い下さい。千五百万円はこれは実は産業資金としてやる。部落では金は要らない、鉄道を敷いてもらいたい。向うの社長では鉄道を敷くなどということは、何年かかっても敷けるか敷けないかわからないし、敷けたときにまたうんと金を要求されては困るから、ここで仕切ってもらいたい。ただし仕切るが、鉄道を敷くときはできる限りの援助もいたします。そこで千五百万円の金できまったらしいのですが、そのしたときに、その金の保管は、部落からも、松岡先生からも、山田社長にお返しして、あなたなりに預かってもらいたい。われわれが鉄道を敷くためには旅費とかなんとか要るだろうから、とてもうっとうしくて、会社では預かり切れぬから、松岡さんに預かってくれといったのだが、松岡さんが拒否されて、松岡さんの指定された人が預ってくれということできまった。その金が、鉄道を敷くのに、そういうような旅費を使って、鉄道が敷けた場合はいろいろな敷地とか、そういうもの買ったり、いろいろなもので鉄道のことに協力する。鉄道が敷けなかったらどうするという意見が出た。敷けないときには運動費を使ったものを明細にして、残った金も明細にして、そうして部落共同産業資金に使うということで、私はきまったんだ、こう思いますが、委員長はその当時のことをどう考えておられますか。
  224. 上林與市郎

    上林参考人 きょういろいろ質疑応答を聞いていまして、なるほどそうだと私も思います。ちとつけ加えておきますが、この問題が一応国会として委員会の審議の段階が終了いたしました際に、北電部落両者だったと記憶しておりますが、具体的な問題の処理についていろいろ助言を求められたことを記憶しております。しかし私の見解では、委員会が、あるいは委員長が、これに面接に介入すべき問題ではない、こういう判断をしておりましたので、入りませんでしたけれども、その当時の要望の趣旨は、従来も両者ではいろいろ話し合ったのだ、ところが結果は決裂しておるのだ、せっかく委員会の審議で円満な方向に進んでいるのだからという要望がございましたので、その点を理事の懇談会でもお話ししたように私記憶しております。ただ具体的な折衝には委曲を尽して参加しておりませんので、きょうの質疑応答で私も納得する点が多かったと思いますが、大体今田中委員の御指摘の通りのような御趣旨ではなかったかと思います。
  225. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは、松岡さんが、五万円のもらった運動費から、金でももらっているとか、礼でももらっているということになれば別問題ですが、それがないとして、また千五百万円預かった金を、彼らがどこへ使ったか、たとえば横領したら横領したで罪になるだろうし、使ったら使ったで迷惑になる。それに対しても、松岡委員が別に介入しておらぬし、一銭も金に手をつけておらぬ、またもらってもおらぬということになれば、決算委員をしていた松岡氏個人に対しては、私は何もないのだと考えておりますが、あなたはこの点に対してどう考えておられますか。
  226. 上林與市郎

    上林参考人 私が現在委員長であれば、もっと明確に答弁申し上げたいのですけれども、現在その地位にありませんので、この問題に対してはあまり主観的な意見を差しはさむことを差し控えさしていただきたいと思います。ただこの問題が理事の方々から問題にされました場合に、詳細に聞こうじゃないかという話が出たことも記憶しております。当時私は委員長でございましたが、その際は、議員の一身上にわたる問題を、随時と申しますか、国会に喚問するという、そういう先例を開くことがいいかどうかということを私非常に疑問に思いまして、国会議員であると同時に弁護士をなさっておる方もありましょうし、あるいはお医者さんの方もありましょうし、あるいは商売の方もありましょうから、それぞれのみな職務上の機密と言って悪ければ改めますけれども、いろいろなやはり問題を持っていると思う。それを随時喚問するということに対して、私いろいろ委員長として疑問に思っておりましたので、それですから理事会にお諮りをして、それでは松岡さんが自分意思でこちらに来て御説明下さるならそういうふうに取り計らいましょう。こういうふうに取り計らったと私今でも記憶いたしております。それですから、きょうの取扱い方にどうこうというわけではございませんが、私としては、委員長当時は十分慎重にやったつもりであります。
  227. 青野武一

    青野委員長 各委員におかれては、上林委員長に対する御質疑の御希望もあろうと思いますが、あとの日程が大体理事会で話し合われておりますので、上林委員長に対する質疑は、一応本日のところこの程度で終ります。——御自由に御退席になってけっこうでございます。
  228. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 委員長、ちょっと議事進行につきまして……。この機会に次のような趣旨におきまして、委員長においてお計らい願いたい事項があるのであります。それは、やはりこの北電の問題をここで取り上げました前後から、関西電力の岐阜県庄川の水域における、何か石川とかいう方の鉱業権の問題につきまして、いろいろ質疑応答があったのでございます。そこでもし何か間違いがあってはいけないと思いまするので、そのような配慮から、次のような趣旨におきまして、一つ委員長は文書なり何なりをもって、関電の社長とかその他へ、適当に御通知なり意思表示をしておいていただいた方が、当委員会のためにいいのじゃないかと思われます。この趣旨は、関西電力株式会社の岐阜県庄川水系椿原発電所貯水池及びその隣接地域と鉱業権者石川石氏との権利の重複関係などの処理問題については、当決算委員会は現在何らこれに関与するものではない、こういうような趣旨内容としましたものを、文章等は委員長におまかせいたしますから、適当に一つ、今後委員会について何かと御迷惑になってもいけませんので、御通知なり文書の発送なりをしていただきたいと思うのであります。皆さんの御同意を得ましたら、一つ委員長にそのようにお計らいを願いたいと思います。
  229. 青野武一

    青野委員長 ただいま吉田委員から御説明の通りでありまして、たまたま決算委員の一部の人とか、あるいは決算委員会に対して、世間の疑惑が報道されているときでありますので、もしそういう意味であやまちが起っては大へんですから、今、吉田委員の御説明の通り委員長において適当に電力会社の責任者に、文書をもって、委員会は何ら関係がないのだということを、私から通知をすることに御異議ございませんか。
  230. 田中彰治

    田中(彰)委員 それは異議ないのですが、もっとそれより厳正にやってもらいたいのは、あたかも今当人同士が交渉しておる鉱区を、買えとか買わないとか、買わなければまた決算委員会が取り上げるというようなことを言っているように聞いておりますから、決算委員県会は、そういうことを当人が言っておっても、関係はないということを入れてやっていただきたい。
  231. 青野武一

    青野委員長 御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 青野武一

    青野委員長 では、田中委員のおっしゃるように、委員長書信の中には、決算委員会では断じて関係ないということを強く主張して、適当に私から出すことにいたします。では、御承認を受けたものとして決定いたします。     —————————————
  233. 青野武一

    青野委員長 次に歳入歳出の実況に関する件、全国購買農業協同組合連合会に対する補助金等会計経理に関する問題につきまして、前会に引き続き調査を進めます。  昨日の理事会並び委員会の御決定によりまして、ただいまより中村法務大臣、井本刑事局長警察庁中川刑事部長に対し質疑を行います。また参考人として、警視総監川合寿人君が出席する予定でありますので、同時に実情を聴取することといたします。発言の申し出かありますので、順次これを許します。田中彰治君。
  234. 田中彰治

    田中(彰)委員 それでは法務大臣にお尋ねいたしますが、全購連の問題は、相当重大な問題であって、いろいろな疑惑も呼んでおります。そこで私たちも、これが与党であろうと野党であろうと、ある程度一つ調べなければならぬ、こういうふうに考えております。ところがどっちにいたしましても、社会党の方々とわれわれとは、いろいろ意見の違うところがたくさん出る。そういう場合にお互いの話し合いをするにしても、決算委員の中で、今度の全購連から現議員が相当金をもらったのがおるというようなことを島田被告が警視庁で話したということが毎日新聞に二回出て、昨日また社会党の一部の人の写真も出ている。こういう人たちがやはり全購連からもらったものが、為替法違反にひっかかっておる。そこで私どもは、もし法務大臣の方で、事件中であって名前が言えなければ言えないでけっこうなんです。現在の決算委員の中で、こういうものは金をもらったというようなことを、大臣が調べられておるのがあるのかないのか。もし捜査中で名前を言えないというのならば、私は名前まで申せとは言いません。言えるならば全部を言ってもらいたい。これを御遠慮なさっておられますと、やはりいろいろまた取り調べるといっても、お互いに立場の違った政党が調べるのだから、これはここまでやっていい、ここまではやり過ぎだというような交渉をする上においても、やはり攻める者と攻められる者、またこちらが攻めて向うがそれを防止する場合に、お互いにそんなことを言えば、何かもらっているのじゃないか、新聞にも出ておるじゃないかというようなことになって非常に工合が悪い。また証人等を呼び出して調べるといっても、検事とか裁判官なんかでなく調べられるということは、やはり国会のこの委員会がりっぱなものである、国民代表であるということだからです。そういうときに、金をもらったような議員がもし決算委員会にあるとすれば、われわれは考えなければならぬというような点に、今実は至っておるのです。そこできょうは、警視総監も刑事局長も、それからあなたも出ていただいて、お聞きしようというので、実は証人を帰したのです。きょうは一つ、もし名前まで言えなければ言わぬでもいいのですが、実際決算委員の中で金をもらった者があるのかないのか、一つお話し願いたいと思います。
  235. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 突然のことで、決算委員の方々の氏名も、私どなたとどなたが決行委員であるかはっきりわかりませんから、今の御質問の点はいずれ十分調査をいたしませんと、お答えをいたしかねるのでございます。  なお申し加えますが、かりに調査の結果、決算委員の中にそういう人があるとかないとか結論がはっきりしましても、まだ捜査の過程にある段階でございますから、私どもからそういうことを申し上げることは時期として適当でない、かように実は考えるのであります。  なお仮定の話としてお聞き取り願いたいのでありますが、かりに金銭の授受がありましても、これに犯罪要素があるかないか、政治論と犯罪構成要素とはおのずから異なりますから、そういう点に至りますと、捜査が終結を遂げる段階になりませんと、われわれから口にすべきことじゃないと思いますので、せっかくの御質問でございましたが、私の気持といたしましては、そういうことを消極にせよ、積極にせよ、いずれにしても申し上げないことが、今の段階ではよろしいと考えますので、差し控えたいと思います。
  236. 田中彰治

    田中(彰)委員 犯罪になるとかならぬとかということは、公判にかけなければわからぬが、ただなってもならぬでも現議員で実際金をもらった者がおるのかおらぬのか。  もう一つ、大臣が、今そんなことを言うとえらい社会党のひいきをするようで悪いのだが、捜査の段階だと言われますけれども、昨日の毎日新聞には社会党の人三人が、やはり全購連に関係してもらったというので、写真入りで出ておるのです。その下に民自党及び社会党の議員が八十六名くらい関係しているだろうというようなことで、一部だけが発表された——発表しないものは書けっこないのです。事件の内容まで写真入りで書いておるのですから、それならば、わが党の者であろうと社会党の人であろうと、あの三人だけを発表してあとはうしろの方に八十六名くらいあるだろうでは、ちょっと納得いかないのです。  それではなぜああいうことが発表——あなたがあれじゃないのですが、やはり検事局が指揮しておるから警視庁がやっておるのであって、私は警視庁そのものがかってにやるのではないと思うのですが、ああいうふうに発表をされるくらいならば、私はもう少し内容を聞いておられるのじゃないかと思うのです。この点について法務大臣はどういうふうに考えておられますか。
  237. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 これは新聞にかりにいろいろなことがでましても、もちろん検察当局、警察当局が全購連関係の事件について発表したことはいまだかつて一度もないと思います。ただ報道機関はいろいろなニュースを追いかけてどういう取材をされますか、取材が正確か正確でないかは存じませんが、新聞記事として全購連関係の事件が、今までも数回あるいは相当の回数にわたっていろいろの角度から書かれておるようでございますが、私ども見ておりましても、事実とは違う部分も相当あるように思いますので、どこまでが真実であるかということも申しかねます。少くとも検察及び警察当局としては、たとい片鱗だに発表しておる事実は全然ないと私は確信いたしております。
  238. 田中彰治

    田中(彰)委員 もう一ぺんお尋ねしますが、検察及び警察当局で発表した覚えがない、発表しないようにしておるとおっしゃるのですが、いかに新聞記者が勘がいいといっても、その名前や、その事件の内容やまた何十何名と書いたとすると、これはやはり警視庁の中に何か特殊な方法で漏らされる人があると一応見なければならぬ。そういうことを漏らされる人があるとしたならば、あなたも放任してお置きにならないで、ああいう新聞が出たらお読みになってだれがこういうことを言ったのか、どの係か一応お取り調べになっておくべきものだと思いますが、そういうことをお調べになりましたか。
  239. 中川董治

    中川(董)政府委員 法務大臣もお答えになりましたが、私ども犯罪捜査に従事いたします場合におきましては、関係者の名誉の保持、こういう点を特に留意しなければなりませんので、警視庁で申せば、上は警視総監から下は巡査に至るまで秘密保持のことについては厳重に措置しております。今回の全購連の関係につきまして各新聞等で事件に関係した記事も私たち見ました。出た記事についてああいった取材が警視庁の警察官から漏れたのではなかろうかということについては非常に神経質でございまして、そのつどいろいろ調査しております。ところが現在いろいろ調査をいたしましたけれども、ああいった人の名前等が新聞には確かに出ておりますけれども、そういう人の名前について漏らした事実は発見できません。いろいろ私たち工夫して考えたのですが、ああいう記事について、たとえば警察と言われますが、警察から出るわけがないようなことがずいぶん出ておりますので、私たち警察関係者について秘密保持の厳守につきましては徹底して参りたいと思いますけれども、あの記事がことごとく警察官から漏れたとお考えになるのは相当酷じゃないか、私たち相当神経質になって調査しておりますが、現在のところは発表はもちろんのこと、漏らしておりません。それから部内の規律保持という見地から調査しておりますけれども、ああいう記事内容から、どうも捜査官から出るというようなことが考えられない記事も相当ございますので、その点も御了承願いたいと思うのですが、先ほど来大臣からも申し上げました通り、犯罪捜査は厳正公平にやっていかなければならぬと思うのでございますけれども、犯罪捜査の過程におきまして、いろいろ関係者の名前や内容を警察官が漏らすということは、重大な責任があると感じておりますので、今回の事件につきましても、上は警視総監から下は係の巡査に至るまで、そのことにつきましては厳重に徹底をはかっておりますので、その点御了承を願いたいと思います。
  240. 田中彰治

    田中(彰)委員 今刑事部長から聞きまして、私はそれが事実とすると、非常に遺憾に思う点があるのです。この間などは、僕の友人の某新聞が、わが国で言うと浪人ものと言いましょうか、親分と言いましょうか、そういうような関係のものを書いた。そうすると、その人たちと警視庁捜査第二課の人たちとつながっている。そういうものを書きやがるなら、今度は新聞者の一広告取りに至るまで、おれの方で捜査本部を設けてそれを弾劾してやってやろうじゃないかということで、御相談をされて、そういうことをやられる機構を立てられた。あるいはまた決算委員会なども、いろいろ政府の要人とかいろいろな人たちを調べたりなんかした場合に、やはりあいつらがああいうことをやるなら、何か一つやってやろうじゃないかということで、警視庁の捜査第二課の中で会議があったというようなことを、われわれは、そこらの町にいる人や、国会に来る小さい新聞社じゃなくて、相当の人からなるほどほんとうだということを聞くのです。そうすると、警視庁というものは、こっちで何か言うと、そこへある手づるを持っていけば、すぐ響いて、そういうことをおやりになるのかということを一度折があったらお聞きしようと思っておった。私は怒って警視庁に行ってこようと思ったことがあるのです。ほんとうかうそかわからないけれども、日本で有数な人からそういうニュースを私は聞くのです。どうですか、警視庁はそういうことがあると漏れるようにできているのですか。それとも今あなたのおっしゃったように、そういうことは漏れないのですか。それを一つ伺いたいと思います。
  241. 中川董治

    中川(董)政府委員 これは私どもはいつも注意しておるのですけれども、報道関係者が取材なさるということは報道関係者の使命で、いろいろ各方面にわたって御取材になるわけでございますが、警察官といたしましては、個個の氏名ということにつきましては大へん神経質にやっております。ところか犯罪捜査もやはり一つの公けの仕事でございますので、たとえば今回の問題とは全く無関係でございますけれども、任意にある人について犯罪捜査に協力を願う場合において、警視庁に呼ばれたということになれば、それが全くの参考人として、犯罪捜査に協力しいただくために来てもらったことが、本人の名誉をそこなうということがありますので、そういうことについては厳正に注意しております。たとえはこういうことがあるのであります。殺人罪が起りました場合に、国民の方々はこの殺人罪が検挙されたかどうかということに大へん御関心が多いと思いますので、その個々の被疑者の名誉の保持も十分考えますけれども、たとえば今回の池袋なら池袋で起りました殺人罪は検挙されたということは、国民が不安を持っておる場合もございますので、そういう場合には課長とか部長とか責任ある者が取材を提供する。そういうことがございますけれども、もぐっていろいろなことをやるということについては、公務員の服務に関係することでございますので、厳重に措掛いたしたいと思います。いろいろ私どもも常々注意はしておりますけれども、皆さんのお気づき等がありますれば、われわれは調査することについて大いに熱意を持っておりますので、具体的の事情等がございますれば、この機会でもけっこうですし、それ以外の機会でもおっしゃっていただいて、どしどしそういうことを粛正して参りたいと思っております。
  242. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこまでおっしゃると、一つ具体的の事実を申し上げたい。実はこの委員会で私も委員長をやっておった。その後委員長が二代かわって、今三代目の委員長である。非常にいろいろなものを調査する材料が——そう言っちゃ委員の方が怒るかもしれないけれども、あまりはっきりした材料がつかめないようなことがたくさんあるものだから、何とか調査部というようなものを——決算委員会の中では、いろいろなところから入っていてすぐわかるから設けられない。私個人で十万かそこら出して調査部を設けて、いろいろな調査をやろうということを話した。そうすると、五日たたないうちに私に、政府の要人で相当な人が会いたいというから会った。いや君こういうことをやるそうだな。やってみようと思うんだ。警視庁におれが行ったところが、田中のやろうがそんなことをやりやがるなら、田中彰治捜査部というものを設けて、一つ徹底的にやってやろうじゃないかと言っていると言うから、それはおもしろいことじゃないか。やるならやりやがれ。それならおれの方が先に一つあばいてやろうじゃないかと言ったんだが、まあまあそこまで言わぬ方がいいよ、君が怒ったらいろいろなことになるからと言うのでやめたのですが、そういうことすらも一週間たたないうちに私の手元へ聞えてきている。これは名前を言ったら、この委員会の人は飛び上って驚くだろう。あなた方を指揮できる人です。そういうことは、法務大臣とか刑事局長とか、この委員会を知っておられる上の方ではないと思う。どうもあの警視庁捜査第二課の中には、われわれ事件などを調べようとすると、そういうことを言って非常に人をおどかすようなことをやられる。われわれ調べられてもけっこうですが、決算委員会から資料を少し探そうかと言ったら、そういうことが六日とたたぬうちに聞えてくるのです。私はよほど法務大臣か警視総監に会って話そうかと思ったけれども、当人が君にそんなことを言われたんじゃおれの顔がなくなると言われるし、ここの山本議員もちょうどそこにいて、それはいろいろ影響するからと言うからやめたが、これはうそでも何でもない。そういうことを聞きますと、第一捜査課というものは浪人者の親分とつながっているのか、悪いことをする政治家とつながっているのか、あぶなくて全く安心して寝ておれぬ。これは事実の問題です。うそじゃありません。山本猛夫君が証人だ。私がやろうとしたらとめにきた。(山本(猛)委員「それは事実だ」と呼ぶ)そういうことを一つあなたからよく御調査下さいまして、そういうここがあるかないか、私は決算委員として申し上げるのですから、委員長のところまで回答していただきたい。この点あなたがそういうことはないとおっしゃるなら、私は私の質問をこれで打ち切ります。
  243. 中川董治

    中川(董)政府委員 私どもそういった犯罪捜査を厳正公平にやるという点はやらなければなりませんけれども、その関係においてよからぬ言動をすることについては——社会人ですからいろいろ話もするわけですけれども、そういった点について他人の名誉を著しく害するようなことにつきましては、十分訓練して参りたいと存じますので、御協力を願いたいと存じます。
  244. 青野武一

    青野委員長 細田君。
  245. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほど法務大臣がまだ発表したことがないと言われたが、これはもちろん正式の発表じゃないでしょう。警察の方で正式に発表してからニュースにするようでは、新聞記者としてはおそいのです。そこで漏れるような形が捜査の過程にあるかどうかということが問題なんです。あなたの方でまだ正式に発表したことがないとかあるとかいうことは問題じゃないのです。捜査の過程にこれが漏れるような形になっているかどうかということが問題だと思う。けさかきのうの新聞に、社会党の三代議士がやみドル事件で名前を具体的に掲載された。その二、三日前に社会党の某代議士が三人ちゃんとやり玉に上げられるようなことが新聞社の方へは伝わって、そういう記事が出ている。これはどうしたってそういうことが漏れるような一つの過程になっているとわれわれは見ざるを得ない。そこで問題は、あなたの方で発表したということじゃなくて、その捜査の過程に、他人の名誉に非常に重大な関係のあるこういうような問題をいかに漏れないようにするか。特に政治問題として——どうせ決算委員会で問題になっているような場合は、いずれも政治問題化しているわけです。こういう場合に、あなたの御意見としては、まだ警察もしくは検察庁において正式に発表していないということだけで事足れりと思うか。将来捜査の過程になお十分、何といいますか改善というか改俊を要するような点があるのではないか、この点一つ御意見を伺わせていただきたい。
  246. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 先ほど申し上げましたように公式にも非公式にも発表いたしておりません。ただ問題は、漏れるのはどういうわけかというお言葉がございましたが、この点は先ほど警察庁の刑事部長からもお答えをいたしましたように、われわれといたしましてはあくまで捜査の結論が得られるまではその過程のできごとを漏れないように実は最善を尽しておる次第でございます。細田委員も御承知の通り、たとえば一人の人間を起訴の事実までしぼって結論づけるのは十人も二十人もの参考人関係者、関連のある人たちを調べる場合もございます。さらにそれが三人になり五人になって参りますと、何十人あるいは何百人の関係者の協力を得、調べもいたさなければならないというような事情もありますから、従って一々だれを調べたとかだれをどうしたとかいうようなことは捜査の結論が出るまでは漏れないことが望ましいのでありまして、この点については実は最善を期しておる次第でございますが、報道陣の方からしてみますれば耳目を引いておるような問題が起りますと、各社大勢の手を総動員して人の動きなり出入りなりいろいろ見ておりますから、どういうところから取材をされるかわかりませんが、われわれ関係の当局者といたしましては人の名誉の尊重の意味もございますしいたしまして、そういうような過程のできごとが漏れないように実は最善を尽しておる次第であります。
  247. 細田綱吉

    ○細田委員 これは中川部長に伺うことかどうか知りませんが……。
  248. 青野武一

    青野委員長 細田委員にちょっと申し上げておきますが、中村法務大臣は五時半にはぜひとも帰らなければならぬ要件があるという申し出があっておりますので、できれば大臣の方を先に願いたいと思います。
  249. 細田綱吉

    ○細田委員 それじゃ一つ大臣にお尋ねいたします。全購連は今お取調べの過程です。それから第一相互銀行もお取調べの過程です。われわれがこの決算委員会を通じて見た場合に、どうもあなたのところでは小者ばかり引っぱって——引っぱってという意味じゃないかもしれませんが、起訴なんかの取調べの対象になって、どうもわれわれが見て大物というところにちっとも手が届かないように感じておるのですが、大物は金はもらっておるけれどもあれは犯罪にならないのか、あるいは金銭の授受があなたの方としてはつかめないのか、その間の消息を一つお聞かせ願いたい。
  250. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 この点は地位の高下あるいは立場のいかんを問わず、捜査すべき事柄があれば捜査はもちろん厳正に進めておると思います。ただ世間はいろいろ類推をいたしまして、こういうものに火がついた以上はこういうところへいくのじゃないか、いろいろな想像をされまして、それが想像ほどにいかない場合には今お説のような感じを持たれる向きもあるかもしれませんが、しかしながら捜査それ自体といたしましては、まして検察当局としては、あくまで厳正な取調べ並びに捜査を遂行いたしておるのでありまして、いやしくも犯罪を構成するような内容があるものならば、その人の立場なりあるいは地位の高下を問わず進行しておるものと私は確信をいたしております。
  251. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたは先ほど田中委員質問に対し決算委員関係しているかどうかというようなことは後日調べる、こういうようなお話ですが、現実に御承知のように決算委員はしょっちゅう交代しますので、その点はあなたもお取調べの結果でないと説明はいきなり言ってもこれは無理かと思う。けれども決算委員として本件の取調べあるいは決算委員会の活動について金銭を授受した人があるか。本日皆さんにおいでを願ったのも、これは山本委員の緊急動議によって、決算委員も相当疑惑に包まれておる、だから一つ皆さんにおいでを願って、われわれみずからのあかしを立ててから、証人の調べに移れというようなことでおいでを願った。しかし私が今あなたに伺うのは、決算委員として——現在決算委員であるかどうかは別です。決算委員として決算委員会の活動もしくはこれは直接関係はないにしても、警察、検察当局の活動等について金銭の収受をした人が過去においてあったか、この点一つ発表願いたい。
  252. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 過去においてというお言葉がありましたが、過去においてということになると、だいぶ古いことまでになりますので、私の保証の限りでありませんから……。
  253. 細田綱吉

    ○細田委員 全購連もしくは第一相互銀行……。
  254. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 ただ現在問題になっておる事件で、私どもが報告を聞いたり承知をいたしておる範囲の事件につきましては、今細田委員のおっしゃられたように決算委員として関係がある、さらに法律的に申しますならば決算委員の職務に関して云々というような人は私ただの一人もないだろう、かように確信をいたしております。
  255. 細田綱吉

    ○細田委員 全購連から金をもらった人が八十六人おる。そうして名前を発表されたのが、あなたも御承知のように社会党が大多数、ですから社会党の中では、あるいは警察庁担当の大久保国務大臣に社会党がやみ討ちをやるのだ、中村法務大臣も討ちとるのだというようなデマが飛んでいるわけです。これはどういうわけで八十六人もおって社会党の諸君をよけい新聞のやり玉に上げるようなことになったか、これはむしろ警察庁の方面かもしれませんが、それはあとから伺うことにして、あなたとしてはやはりその筋におるから、あなたの御観察は、どうしてああいうふうに社会党の諸君の名前が発表になったか、この点を一つ……。
  256. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 この点はかつて衆議院の予算委員会でも問題になりまして、大へん論議になりましたが、私どもとしてもどこからそういう取材が行われたものか、いろいろと調査をいたしましたが全く見当がつかない次第でございます。その節も実は予算委員会で一般論としての意見を申し上げましたが、一般論からいたしますと、必ずしもこれは検察、警察関係が漏らしたと疑われるのも酷ではないかという感じもいたします。たとえば被疑者を拘禁中におきましては、弁護人から面会の申し出があります場合に、相当期間の拘禁をいたします場合には、たとい接見禁止になっておりましても、検事は接見の許可をいたさなければなりません。また刑事訴訟法からいいますと、その接見には立会人がない場所で接見をさせろということになっておりますから、そういう機会に被疑者と味方である弁護人との間にかわされたようなことがどこへ漏れないとも限りませんので、従って必ずしもそういうようなことが、どの事件にせよあったからといって、検察警察関係だけを疑われても、これはわれわれの監督する範囲内だけでどうも保証し切れない部分も確かに一般論として私はあり得ると思います。しかし最近の新聞報道がそうだと、私事実を存じませんから、決して申し上げるわけではありませんが、そういうことも考え得るのでございます。  なおつけ加えておきますが、最近、八十何名とか、その他の人数などをよく書いてあることがございますが、私ども見ますと、どうも的確なほんとうのことを書いておるものとは信じられないように考えます。
  257. 細田綱吉

    ○細田委員 決算委員会では、いろいろな問題を、証人を呼んだり、資料の提出を求めて調べているのですが、御承知のように、農林省は、米の輸入あるいは東独カリの輸入問題など、ひとり全購連だけの問題ではなくして、実に疑惑に包まれております。あるいは輸入のシステムを変えるとか、輸入のメンバーを縮小するとか、その間、利権関係のくさいニュースも、真実かどうか知りませんが、聞くわけです。検察当局の方針としては、現在調べている程度で、ほかの米の輸入だとか、砂糖の輸入、あるいは東独カリの輸入というような問題についてはお取り調べになる方針であるのかないのか、この点を最後に伺っておきます。
  258. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 これは私ども実際の実務をやっておる人間でありませんからよくわかりませんが、法務当局の基本方針といたしましては、犯罪のあることが探知できれば、たといいかなることでも、捜査権の行使をするということは当然のことでございます。ただ今おあげになりましたような二、三の問題が、果してどういう関係になっておるか、世間のうわさにすぎないか、犯罪の嫌疑が濃厚であるかどうか、こういう点については、私としてはまだ知識を持っておりませんから、そのこと目体についてお答えすることは現在のところ困難であります。
  259. 山田長司

    山田委員 大臣におられます関係でかなり知己も大ぜいおられると思うのですが、世間でいろいろ疑惑を持っていることで、今の閣僚の人たちはかなりテキ屋や暴力団に知己が多いのだ、こういうことがいわれておるのです。その一つが、いつか朝日新聞に出た板橋か豊島だかのあなたの花輪の問題、それはあなたは関係なくて、秘書がお出しになったという弁明が出ておったが、ちょっと参考に聞いておきたい。どうも中村さんにしても、あるいは大久保さんにしても河野さんにしても、非常にテキ屋とか暴力団に知己が多いというふうに世間で見られている。この際妙なことを伺って大へん恐縮なんですが、いわゆる旧右翼の系統、そういう方々が知己におられるのかどうか、参考に伺っておきたいと思います。
  260. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 今あなたのおっしゃられたように世間で見られておるとすれば、不徳のいたすところでございますが、私どもといたしましては、個人的な知り合いとしては右翼の人にも左翼の人にも知っている人はないことはありません。しかしそれらの人たちの意見や何かによって自分の思想を左右されるようなことは断じてないつもりでございます。  それから、今御指摘になりました花輪の問題も、私は法務委員会で当時釈明をいたしましたが、全然私とは交際のない人間のお葬式であったのでありますが、その葬式のあった家と向い合いの普通のまじめな工場経営をしている人が、私どもとは非常に懇意であったため、その人が何か頼み込まれて、私の秘書に無理やりに花輪を出すことを承知させたので、私はあとから聞いて実は驚いたのであります。自来私どもとしては、たとい秘書にせよ、こういう失敗をいたした以上は、親戚あるいは親戚同様のつき合いをしているところ以外には、もう一切花輪を出さないという基本方針をきめて、自来励行いたしておるような次第で、われわれそういうテキ屋とか暴力関係人たちと一般人よりも特に縁故があるとか、交際があるとかいうようなことは絶対にないということをこの際申し上げておきます。
  261. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 簡単に。中村法務大臣にちょっとお約束を果していただきたいと思います。  実は今他の委員から発言がありました通り、どうも発表したものは別として、やみドル関係にだんだんしぼられてきたような感じがいたします。これについては当時の農林大臣河野一郎君が競馬馬の事件について為替管理法違反の疑いが非常に強かった点を、この前四月十一日の当委員会であなたにお尋ねした。そのときにあなたは「私どもの承知いたしておるところでは、例の競馬馬の輸入の事件につきましては、捜査の結論はまだ出ていないようであります。従いまして、今後、捜査当局によりまして適正な結論が出されるものと考えております。」こういう御返事であった。さらに私の追及に対して、あなたは「もちろん正当な検察陣の活動によりまして適正な結論がしかるべき時期に出るものと考えております。」これはその当時も申し上げました通り、一方ではどんどん調査が進んで十一万円程度の為替管理法違反が出ている。一方では大臣なるがゆえに、一年有余もの間の五百万円のやみドル事件が出てこない。これでは世間はとうてい納得しないと思うのであります。特に今回の全購連の事件につきましても、これは河野さんにはお気の毒なうわさかもしれませんが、すでに巷間には、今度浮かんで参りました東京食品から七千万円、伊藤忠商事から六千万円、日綿実業から九千万円河野氏に渡されたという文書が相当広範囲にまかれている。こういう疑いを受けた当人が、明らかに為替管理法違反の疑いありとして告発され、すでに検察当局が手を着けているのに、それをいつまでも放置しておいて、果して国民が信頼するような検察陣であるかどうか、こういう点をお伺いすると同時に、あなたの適当なる時期において発表されると思うということは、大体いつごろのお見込みか、その後の調査の進展の状態等もあなたの知っている範囲内で率直にお答え願いたいと思います。
  262. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 今淡谷委員の御指摘になりました競馬馬の問題につきましては、前会申し上げたと同様でございます。なお今日捜査の段階で結論は出ておりません。しかしこれはこの事件についてというよりは、一般的に申し上げますならば、犯罪には、おのおの犯罪の構成要件が整わなければ、結論として有罪にするかあるいは起訴するか、あるいは起訴しないとするならば、これは起訴猶予にするか不起訴にするかという結輸を出すわけには参らないのであります。たとえば盗品をまた買いいたしました場合においても、その人が盗品をまた買いしたことは事実だが、果してそのまた買いは犯意の連絡があるかというようなことに関しても、そういう点の捜査が十分に行き届きませんと、結論を下せない事案もあるわけでございます。従ってこれは検察当局を御信用いただきまして、それぞれの問題にはケースの相違がございますので、きわめて短距離に直通して明確になる場合もございますし、非常にいきさつのめんどうなものもございますから、一がいにどうも何カ月とかかっておる、あるいはこの案件は一カ月で片づいた、そういうふうに日数だけで比較されましても、これは無理ではないかと私は考えております。なお刑事局長は諸般の刑事事件につきまして私どもより詳細に承知をされておる人で、われわれはすべて刑事局長を通して報告を聞いておるわけでありますから、必要がありましたら、刑事局長から一つお聞き取り願いたい、かように存じます。
  263. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 犯罪構成の要件については大臣の方がはるかに私より詳しいと思いますから別段異存はございません。具体的な事実についてはあとで井本刑事局長に聞きますけれども、あなたはこれまで河野前農林大臣について、検察当局が一回でもお取調べになったかどうか、あるいは参考意見等でも徴しましたかどうか、その報告を受けておられるかどうか、この一点だけはお聞かせ願いたい。
  264. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 調べたかどうか私は承知いたしておりません。
  265. 細田綱吉

    ○細田委員 井本刑事局長に伺いますが、河野前農林大臣の馬のやみドル事件は、すでに社会党の方でも告発しているし、東京地検において捜査している。これがずいぶん時間をとっている。今大臣は犯罪構成要件のことで形が違うというのですが、それにしてもかかり過ぎる。これは河野前農林大臣という自由民主党の実力者だから、検察庁も手が出ないと世の中では言っている。そういうひがみが出るのも当然なんです。その点いつごろ調べが済むのですか、一つ大臣の質問に関連してお答えを願いたい。
  266. 井本臺吉

    ○井本政府委員 問題の事件の結論がなかなか出て参りませんので私ども恐縮しておるわけでございますが、前にも申し上げました通り重要な関係者がアメリカの商社にありまして、その商社を構成する役職員がまたアメリカ人でございます。もちろん日系のアメリカ人でございますが、アメリカの邦人並びに商社が関係しております。その関係者を取り調べませんと結論が出ないのでございます。そこでわれわれといたしましては手を尽しましてさような関係者を取り調べるべくいろいろやっているのでございますが、とにかく主権の違う外国のことでありまして、その外国にいる商社なり外国人を日本の官憲が取り調べることは、国際法上とうてい不可能でございます。従って手を尽して別の方法で今その取調べをしたいということで、多少計画しているのでございますが、なかなか思うにまかせず、従って明確な結論が出ずに参っております。近く妙案といいますか、われわれの方でもある程度結論が出し得るような方法を講じたいと考えておりますので、そう長くはかからないで結論が出るように考えております。  問題の最近におけるやみドル事件などは、米ドルを渡した、受け取ったというだけの簡単なことでございます。関係者がほとんど日本人ばかりでございますから、法定の許可事由なしに支払い手段であるやみドルを渡したとか受け取ったとかいうごく簡単なケースでございますので調べればすぐ結論が出ますけれども、ただいま申し上げた競馬馬の事件は舞台が国際間にわたっておりますし、重要な関係者がアメリカ法人並びにアメリカ人であるという点で調べがおくれておるということを御了承願いたいと思います。
  267. 細田綱吉

    ○細田委員 河野一郎さんをお呼びになって調べられたのですか。
  268. 井本臺吉

    ○井本政府委員 それにつきましてはただいま発表の自由を持っておりませんので、呼んで調べたとも調べないとも申し上げません。
  269. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほど中川さんは人の名誉に関することだから細心の注意を払って、非常に神経質になっているというお話でありましたが、全購連の取調べでわれわれよそでちょっと聞いたことですが、警視庁で山川を呼んでいろいろ調べた。大口は調書ができたが、小さいのになると、どうも私、メモを持ってこなければわからぬ、それじゃメモを持ってこいというので、あのメモが出た、これはあり得ることだと思います。ところが某記者に用いたところによりますと、そのメモを中心にして調べておりましたのを、警視庁でメモとその調書をこれ見よがしというわけではないかもしれないが、机の上に置いて、係の者が外へ出てしまった。新聞記者諸君はそこへ行って書いてきた。だから大口は出ていなくて、山川ですら忘れているような小さいメモの社会党の諸君がずらっと発表されてしまったというようなことを聞くのです。この点はあなたの方のお取調べの中に出ているかどうか、お伺いしておきます。
  270. 中川董治

    中川(董)政府委員 先ほど申し上げたように、警察官が故意または過失によって人の名誉を著しく害するようなことがあったということについては、つまり調べたことが他に出るというようなことにつきましては慎重に調べております。私たち、いつも調べるときには警察官を調べるわけでございます。罪を犯すということがあれば別ですけれども、われわれは警察官以外の関係については捜査権がございませんので調べる方法がないので、いつも困るのでございます。警視庁のわれわれの調べでありますが、被疑者につきまして強制処分を必要と認める者には強制処分を用いておりますけれども、強制処分を用いなくても任意に事情を聞いた方がより目的を達成する面も相当ございますから、他の事件についてもそうですけれども、本事件につきましては任意に調べている人は相当ございます。任意に調べた方が漏らしたとは申しませんけれども、その方が漏らしたかどうかということを調べるチャンスがございませんので、そういった秘密の保持という点について調べの際、そこに険路があって因る、それが私どもいつでも舌っているところの隘路でございます。私どもは警察官が持っている書類とか、警察官が調べている書面ないしはその言動によって漏れたかということを、神経質なくらいにやっているのですけれども、そういう人を全部強制処分で世の中から隔離するわけにはいきませんし、捜査に御協力を願った方々が自宅へ帰られる、その方が漏らしたとは申しませんけれども、そういう人たちを調べる方法がございませんので、そこがいつもネックになるのであります。  山川という人を参考人として事情をお聞きしたのでございますが、これは私の調べで、今メモを持っておりませんから正確を期しがたいかもしれませんが、四日ばかり来ていただいて山川さんから事情をお聞きしました。その次においでになると思ったところが事務所でああいう自殺を遂げられました。そういう事実がありまして、その取調べの仕方について無理がなかったか、その点について私ずいぶん調べて参りましたけれども、深夜まで置いておいたわけではございません、大体官庁の執務時間中くらいのところで、任意に事情を聞いて被疑者として逮捕するという事由は当時の情勢ではなかったものですから、それで任意に事情を聞いてその日ごとにお帰りになった。その次の日においで願おうと思っておったところが自殺になった情勢でありますので、本件につきましては山川さんの存命中に捜査に御協力願ったことがございます。ところが、その関係で警察の部内から事情を漏らしたということは、私調べて参りましたが発見できないのでございます。
  271. 細田綱吉

    ○細田委員 一体ヤミドルは、全購連そのもので総額はどのくらい調達しておるのですか。
  272. 中川董治

    中川(董)政府委員 これはヤミドル、ヤミドルといって新聞に出るのですけれども、全購連事件につきまして私どもやっておることは、あの団体等につきまして、関係職員の関係において横領等の容疑がございまして、それを調べておるわけであります。それに関連いたしまして外国為替管理法違反の被疑事実もあるようでございます。その詳細は目下捜査中でございますので、金額といいますか、ドル額といいますか、それが何ぼになっておるということはまだ正確に突きとめる状況ではございません。
  273. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほども淡谷委員から法務大臣に対する質問の一部にありましたが、全購連関係について、いわゆる怪文書、特にわれわれがなかなか詳細で具体的だと思われるような怪文書が、私ども見ただけでも二、三ある。こういう問題は全部警視庁で読んで捜査をされておるか、この点はどうなんでしょうか。
  274. 中川董治

    中川(董)政府委員 これは細田さん専門家ですが、犯罪捜査と申しましても、初めから犯罪があるわけじゃありません。風聞とか、そういうことが一番端緒になるのでありますが、風聞があったから直ちに犯罪があったということはございませんけれども、風聞その他うわさ、うわさの中にはいろいろ文書になったもののうわさ等もございます。それをできるだけ収集するように努力をしております。ただし、その収集した資料がそのまま真実であるかどうかという点は大へん問題がございます。その点は克明に検討して一応の捜査を進めるという段取りになっております。
  275. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほど外国為替管理法違反、いわゆるヤミドル事件の総額は今取調べの過程で発表の時期でないというので、これは伺いませんが、全購連のいわゆる政治的に使った金、政治資金と申しましょうか、これはあなたの方で現在大体概算をつかんでおられるか。これは総額どんなくらい使っておるのですか。
  276. 中川董治

    中川(董)政府委員 これは細田さんは専門家でございますが、私どもは犯罪関係だけをやっております。そして今回のような場合については、横領の罪があったかなかったか、外国為替管理法違反の被疑事実があったかなかったか、その他関係法律に違反があったかなかったかという点はずっと関係しておりますけれども、政治資金がどうこうという点は、直接政治資金規正法に関係があるのですが、これはずっと前の事実であれば恩赦になっております。政治資金の関係だけを一生懸命やっておらないので、犯罪ということは直ちに言えないのですが、それを中心に調べるべき性質のものでございませんので、刑法の横領の罪とか、外国為替管理法違反の罪とか、その他これに関連する犯罪がありやなしやを中心に調べておりますので、御質問の政治資金が何ぼあったかという点は、ちょっと調べておりません。
  277. 細田綱吉

    ○細田委員 最後に、警視総監を教育するというようなことはちょっと言葉でいえば妥当でないかもしれないが、先ほど警視総監が来て、何か松岡君が陳述しておるところを見て帰ってしまった。当決算委員会でこの前に御出頭を願いたいと言っても出てこない。きょうも御出頭願いたいと言ったら、忙しくて出られない、それじゃ五時ということになったが、五時過ぎたら松岡君を取り調べておった。それをちょっと入口で見て帰ってしまった。御承知のように国会では憲法と国会法に基いて、法律に基いて皆様から御説明を求め、皆様は御説明の義務がある。もちろん特別法によって発表できない問題はこれは発表できないし、われわれもそれを伺おうとはしないが、警視総監のごとくてんで出頭に応じないということでいいのかどうか。これは一つ刑事部長の御見解を伺っておきたいと思います。
  278. 中川董治

    中川(董)政府委員 私どもいつも考えるのですが、国会は国の最高機関であり、各委員会でいろいろ御審議願う、これは当然のことであります。それにつきまして必要な役所のことに関連していろいろ御質問等があることも当然だと思うのであります。私たち国会の権限でいろいろおやりになることに干渉する考えは毛頭ございませんし、これはお願いでございますが、警視総監はどういう意思か私はよく存じませんが、全国各警察で活動しておる第一線の諸君は、犯罪が大へん多うございますし、防犯措置等もございますので、各府県等における警察活動の要点等につきましては、私の方に報告がございますので、できれば私の方で報告を受けておる点について、御必要があるとすれば、命令によって私も政府委員に任命されておるわけでありますから、私ども中央機関を通じてお調べ願うのがいいんじゃないかと思います。これはお願いでございますが、絶対にそれではいかぬというのであればやむを得ませんが、できるだけそうしていただけば幸いだと思うのであります。これはお願いでございます。
  279. 細田綱吉

    ○細田委員 それはあなたは政府委員としておいでを願う。特に警視総監に対して決算委員会参考人として御出頭願っておる。それをちょっと顔を出して、委員長にも無断で帰ってしまう。これはまるで国会権威というか、決算委員会を無視しておると思う。ここへ参考人として、もしくは証人として出頭するのは国民の義務なのです。特に公務員としてはそうなんです。この点はあなたの御見解はいかがですか。
  280. 中川董治

    中川(董)政府委員 本日われわれは職務に関して警視総監から報告を受けておりますが、たとえば、現在どういう状況になっておるか一がいにお答えできませんが、いろいろ国会関係者をお呼びになることについては、妨げる意思はございませんけれども、できることならば、一線の諸君は活動しておりますので、報告を受けた私どもから事情を聴取願うことが、これはお願いでございますが、よろしくはないか、こう思います。
  281. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 中川さんにまず伺いますが、あなたは警察庁を代表して政府委員になっているのですが、われわれの聞かんとすることについて政府を代表して十分答弁をするし、また一線からの報告も十分受けておる、こういうようにお話しなんです。過日の予算委員会におきましても、先月の何日でありましたか、例の二十名の国会議員氏名発表せられました。あの日のことであったと思います。そのときあなたはおいでになっておったか知りませんが、あのときも大久保国務大臣も、それから中村法務大臣も、事実は立ちに調べて適当な方法で報告しますというお話もあったのです。ようございますか、内部からは漏らしたとは思わぬ、ただし弁護士関係しておるから弁護士から漏らしたかもわからぬという意味のこともお答えになった。そういうこともあったのです。そうすると、今日のあなたの答弁というものは、繰り返し繰り返しそういう事情が出ておる限りは、もっと協力的な御答弁があってしかるべきだと思うのです。それは捜査の秘密だから何も言えぬということで逃げてしまうことも一つの方法でしょう。けれども、国会にしましても、議長の名誉、議員の地位、議員の政治生命に関するような重大な事柄を論ずるときは、かなりこっちは真剣なのですよ。よろしゅうございますね。それならば、あなたが出るのなら、やはり大臣にかわって一切の準備もして、以前に質疑応答のあった経過にもかんがみて十全の用意をもって答弁してもらいたいと思う。にもかかわらず、何か木で鼻をこするような答弁で終ってしまうというのでは、これはまことに遺憾です。ことに国会は余すところ数日しかないのです。しかるに国会は本会議もあるのです。本会議もありますからわれわれは委員会のみに一日時間をとるわけにいかぬのであります。同じことを繰り返すことは今日はできないのです。だから質問応答はもっと進展させねばいかぬのです。今の競馬馬の問題についてもそうです。あなたは質問があったかどうかわからぬ。そうしてこれは警察庁なり法務省なり全体としてこれらの問題についてもっと進展した御答弁がなければならぬのです。ことにあなたの方は今日は国務大臣にかわったつもりで、もっと一線の事情はでき得る範囲は言ってもらわなければいかぬのです。あなたの方は捜査しているものは何にも言えぬのだというようなことですが、私は捜査の秘密とかあるいは職務上、公務上の得た秘密というものは何もかもみな秘密だというふうには考えていないのです。一体秘密というようなことはだれが判断するのか。あなたの方で恣意に独断で判断することによって、それで一体法律の解釈は行われるものかどうか、こういうことさえ考える。やはりそこで妥当な客観性がなければいかぬと思うのです。秘密になるかならぬかということを普通に考えて、ならないだろうというようなことまでこれも秘密であるし、あれも秘密でありますといって、秘密にすることが、当該名前の人の利益になるのならこれもうなずけます。しかし新聞にはどんどん名前を書いてしまうのです。国民は知らないのですよ。知りませんけれども国民はやはり何かくさいのかいな、犯罪かいな、汚職かいなというふうなことにもなる。そうでないものもあります。そういうような考えも何にもなしに、一切都合の悪いことはみな秘密というのでは、これはやはり客観性がなくて理屈が通らないと思うのです。そういうようなものではなかろうと思う。そもそもあなたの方にしても記者会見というのをやっているのでしょう。記者会見をやるというのはやはり職務上の何らかの行為についての話をするんでしょう。そういうようなこともあるのに、どうして一体国会だけは答弁できないのかということになる。これはやはりあなたにも聞きたいし、刑事局長にも聞かなければいかぬと思うのです。これは大臣に聞かなければはいかぬと思ったのだけれども、大臣が帰られてしまったので実に残念に思っております。結局私どもが明らかにしたい点は、やはりこの際問題といたしましては非常に微妙ないろいろなことがありますので、従って職務上に名をかって答弁をしないというような態度をおとりになることがあっては実に遺憾であります。でありますからでき得るだけ可能な範囲でいろいろと、述べていただきたいので、この根本について一つお考えを聞いておきたいと思います。
  282. 中川董治

    中川(董)政府委員 ただいまの吉田さんの御指摘の、予算委員会で大久保国務大臣と中村国務大臣に対する御質問の席上には私もそばにおりましてよく聞いております。それから本件事件等につきましては少くとも警察の捜査をやりましたことのほとんどすべて、私は全部承知しております。それで私も不勉強でありますけれどもできるだけ勉強いたしまして大体知っております。それでただいま御指摘のございましたごとく、私どもが犯罪の秘密なりと称して一切ノー・コメントだという考えはもちろんございません。問題の要点は、これは吉田先生も御専門だからおわかりだろうと思いますけれども、たとえば何でも秘密だといえば、現在全購連という団体に関係して一切刑事事件をやっていないというような、わからないというような極端なことまで言えるのでありますけれども、そんなことまでは言っておりません。記者会見のお話もございましたが、要するに問題は刑事訴訟法に私どもの注意義務が書いてあるのですが、注意義務と公共の福祉によって——国民はいろいろな事柄についてものを知りたいという欲望があろうかと思います、これは新聞の取材記者の諸君は大へん熱心にお調べになる原因もそこにあろうかと思いますが、その適当な調和ということになろうかと思います。私どもの考え方はその適当な調和というのは、いろいろその事案の内容等にもよりますけれども、もともと公平に判断しなければならぬ。公平に判断するという基準は大体殺人事件で申せば、殺人事件の犯人が何月何日に検挙になった。こういうように強制処分で検挙になったような場合は大体大丈夫だということで、被疑者の名前を申しております。今回の事件につきましても一切何もかも言わぬというのではないのでありまして、たとえば全購連の事件につきまして横領の罪等がありましてこれを逮捕した、あるいは引き続き検事がこれを勾留なさっている、こういうような点については申し上げて差しつかえないと思うのであります。問題の要点はこの予算委員会の御質問に関連するわけですけれども、予算委員会の御質問では当時朝日新聞記事に二十何人でしたか名前が出た。これはほんとうかうそか、どこかで漏らしたことがあるかどうか、こういうことが御質問の要点だと思うのでありますが、それにつきましては私もそこへ出席してもおりましたし、大臣からの御下命もございましたので、私自身で警視庁について調べたのでございます。それでただいまの調べ上の隘路について聞いたのでございますが、警察官等につきましては、私はすべて当りませんけれども、警視庁の幹部等については当らせましたが、そういう漏らした事実はございません。ところが調べ上の隘路になりました点は、何か秘密を漏らすということは、警察官の技術上の問題がございますけれども、一般国民には新聞に書くとか書かぬとか漏らすとか何とかいうことが犯罪である、そうお考えになりますならばこれは一つの犯罪として捜査する方法があるのでございますが、現行法では犯罪でないので結局警察官について調べるよりほかはない。それで警察官について調べました限りにおきましては漏らした事情が発見できなかった。こういう結論でございますので、大臣からも適当の機会にお答え申し上げることにしてあったのでございますが、予算委員会ではそういう適当な機会に恵まれなかったので、大臣がお答えにならなかったと思いますが、この秘密の関係につきましては私大臣の命を受けまして慎重に調べましたところが、警察関係から漏らした事実は発見できません。そういう取材活動というものは警察官等についても活動することもあろうと思いますけれども、いろいろ任意で調べた方から聞かれる場合もありましょうし、それからいろいろ状況等によって推測なさる場合もございましょうし、その他のチャンス等によって聞かれた事情等もあろうと思いますので、そういう取材であったかなかったかということは存じませんが、そういうことについて調べることができなかったものですから、これが原因だということを突きとめることができなかった、これが先ほど申しました秘密保持についての隘路であろう、その点を御了承願いたいと思います。
  283. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私があなたに今聞こうとしたのは、私は前段そういう説明をしながらあなたに御質問しようとしたのですけれども、ちょうど今明らかにしておきたい点は、何が秘密でなかった、何を一体外へ出してもいいのかというその限界の点なんです。そこでたとえば記者会見というものがあるでしょう。記者会見というのは何をしゃべるのですか、それを言って下さい。具体的でいいですから、長々と言わないで。
  284. 中川董治

    中川(董)政府委員 記者会見で警視庁がやっておりますところの大筋は、強制処分等を行いましてその行いましたものについて、大体の状況等を話しております。
  285. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならばやはり捜査のために出頭した人を、あなたの方はそのときには言うのでしょう。
  286. 中川董治

    中川(董)政府委員 強制処分をした人間について、一応限定しているのであります。
  287. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 強制処分でなくて出頭した人は全然言わないのですか。
  288. 中川董治

    中川(董)政府委員 これはすべて犯罪について共通することでありますが、任意でやった場合において言う場合と言わない場合とがあるのですが、それはどういう基準でやっているかという点でございますが、それは大体そういう状況等によって、社会通念上そういう点を言うことによって若干関係者の名誉については思わしくないけれども、そういった点については明らかにした方がかえって安心するとか、疑心を生んで悪いとかいうことも念頭に置き、その社会的影響等も勘案の上、そこに合理的な自然の線が出ると思いますけれども、その自然の線に基くほか方法がないだろうと思います。
  289. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたはそういうことを論理的にまとめておっしゃるのだから、あなた一人がおやりになるのならあるいはそういうふうになるかもしれない。しかしながら一線の何千という人が、あなた以下の知識とあなた以下の経験と判断力の人が、あなたのようにそうまとめた妥当客観性のある線を引いてワクをきめるということはそうできるものではありますまい。だからそこにやはりでこぼこもおのずからできてくると思うのです。われわれの常識で理解するところによりますれば、かなり突っ込んだ話がやはり記者会見でできていると思うのです。それはある程度お話になるかどうか知りませんけれども、それならばその窓口をすでに持っている限りは、この国会におきましてもある程度お話になってよくないか。ことにこれは、私がさっき言いましたように、言わないことによってどれだけ多くの人が迷惑しているかわからぬのですよ。だから言うことによって人の名誉はかえって保持されるかもわからない。ことにそれが客観的に一応犯罪性がないというような場合に、なおさらこれを職務上の秘密の名によって、今の百九十六条の制限とかおっしゃいますけれども、そこまでこれは厳重に規定しておらぬと思います。そう明確な規定じゃないと思います。一応の注悪書にすぎないのであります。そうなればその他の案件につきましても、私はもう少し議員の名誉のために言ってもらいたいと思う。全体の議員は、言われることによっておそらくはそれは不名誉だと思っておらぬと思う。ことにそれが犯罪性のないようなものの場合は特にそうだろうと思う。そういうようなものもなお何か隠しておる。そうしてちょいちょいと社会へはそれを何かあるかのような印象を与えるというような現象があるわけなんです。それの解明の方法について御協力はないわけなんです。その方法はやはり聴務上の秘密に隠れていきなさる。非常に遺憾なんです。あと数日しかないのです。でありますからこのときは、相当国会が知りたいと思うことについてやはり協力してもらいたい。これは刑事局長にも聞きますが、その点についてもあなたの方では、それは名前を言うたら本人の迷惑じゃとおっしゃるかもわからぬ。しかしまた一方から見れば、これがたとえばとうてい起訴される見込みがないような場合に、名前を言ってもらうことによってそれはかえって事態を明らかにして、その人の立場その人の名誉を保持する上にプラスになるかわからない。むしろ今日の国会常識はそういうことに私はなりつつあるものと思う。しかるにそれが解明せられないままずっと進んでいきましたら、この問題は何かしらぬやはり暗い印象を与える。国民はそうこまかい専門的理解がありませんので、国民といたしましては、何かあるものと思うて、そうして人の名前をちらちら聞きながら過していく。国会議員自身も、国会が済んで帰らなくちゃならぬ。いろいろと人に言われるけれども、自分ではさっぱりわからぬ。わからぬままにへたな弁解をするとなお疑われる。こういう立場に実際はあるのです。でありますから、そういう立場にある人々のことを考えますと、その人々のことをあなたの方である程度明らかにしてもらうということは、あながち職務上の秘密を保持する、それに反するものでないと私ども考えるのです。その人の名誉を害することにならぬ場合が多いように思うのです。こういうように思いますので、私は今のそれらの問題を一括いたしまして、法務省の態度といたしまして、事務当局といたしましても相当これは、たとえばただいまあなたの口からそうおっしゃっていただけないならばお考えを願って、その範囲を相当御検討の上明らかにしてもらいたいと思うのですが、どうでございますか。
  290. 井本臺吉

    ○井本政府委員 新聞社の方々が取材活動されるのは、国民の耳として活躍されるので、私どもその点については何ら申し上げることはないのでありますが、私どもの立場といたしましては、犯罪の捜査をいたしますのに、あまりに捜査をやったことが関係者にわかりましては、非常に捜査がしづらいわけでございます。従って私どもの方といたしましては、原則として犯罪捜査中はなるべく捜査の内容が外に漏れないようにしたいということで、実は先般九州の検事長のごときは、新聞社の方からお前の態度は取材活動に協力しないじゃないかということでだいぶおしかりを受けた事例もあるくらいで、新聞社に対しましてはお気の毒なくらい私どもは口を緘しておるわけであります。その理由はただいま申し上げました犯罪の捜査の本質からくる点と、一つには間違ったことを申し上げますと、あれは法務省なりあるいは警察官が言ったんだから間違いないだろうというようなことで、そのことが個人の名誉を非常に棄損するということに相なるならばまことに申しわけないので、私どもといたしましては間違いない、はっきりした点でございますれば場合によってはこれは申し上げることもあると考えます。また犯罪として公判にまわったものは、これは公開の法廷で裁判されるわけでございますから、これにつきましてはいち早く情報を入手次第、御希望があればご報告申し上げているようなわけでございます。さようなわけで、政治家の名前が先般朝日新聞に載りまして、その点について法務大臣からも御下命があって、私ども自分の所管の検察官の方からさようなものが漏れては大へんでございますので、厳重に調査いたしましたし、将来そういうことがないようにという注意といたしまして調べてみたわけでございますけれども、どうもわれわれの方の筋からは外に漏れた形跡は全然ございません。なお今後とも不確かなことが確かなことであるかのごとく外に出るということは、個人の名誉のことにも関しますし、また犯罪捜査の上からいっても非常に支障になりますので、さようなことのないように十分注意を与えたわけでございます。しかし国会委員会のいろいろ審議の御都合もございますので、私どもといたしましては御質問があればできるだけ御質問には御協力申し上げたいというように考えております。ただいまの点につきましても上司その他とよく御相談申し上げまして、適当な機会があれば何か適当な方法で、何らかの形でこの結論を御報告申し上げたいというように考えております。何せ私どもといたしましては身柄の拘束をした被疑者の処置に追われておりまして、この関係の方々の調べまでできていないような状況でございますから、ただいまのところでは先般の新聞記事が事実であったとかないとかと申し上げるような事情になっておりませんので、その点は御了承いただきたいと考えます。
  291. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今伝えられるところによりますと、やはり全購連から金品を受けた人が数十名ある、あるいは五十名と言われあるいは八十名と言われあるいは百名と言われているのであります。そのかぎを握っている一番中核のものはどこか、これは捜査当局です。そこでその捜査当局がそれを握っておられて、それが明らかに犯罪にならぬというような場合でも、なおかつ捜査の秘密に立てこもってこれを全然公表しない。しかし検察庁もしくは警察においてはこれを実際につかんでおられる、こういうことが事実であるとするならばこれは非常な迷惑なんです。それはあなたの方で秘密にしておられることが何らその人らの利益にならぬのであります。そういうことにも実情はなっております。これは立場を変えたらすぐわかります。こういう立場もありますので、この点については今あなたのお話の一端にもありますが、重ねて一つ法務省といたしまして御協議願いたいのであります。そうして何らそれが犯罪とならぬようなものまで、あるかのごとき印象を国民に与えるということは、あなたが捜査の権限を持っている、つまりその事実をつかんでおります中核の機関の責任者として私は穏やかならぬと思うのであります。やはりそういうものは国民のためにも本人のためにも解明するという、反面に協力義務があると私は思う。捜査の権限がなかったならばそんなものをつかむ機会がないのです。捜査の権限があるから被疑者を調べる。被疑者を調べて、何かの機会にそういうことを言った、その言ったことをふところに持っている、それを持っているものは捜査機関だけなのであります。その捜査機関だけが、何ら犯罪にならぬようなものでもこれを秘密だと言って握っている場合は、これは当該のその人、及び国民が知りたいことを知らさないことになる。捜査の権限の特別の地位から得たそういう事実、聞いたその事実を国民に明らかにすることによって国民は利益を得るのだけれども、あえてそれをしない。そういうようなことは、その特権から得た地位を——積極的に乱用ではありませんけれども、その地位から得たある事実を国民に解明するという文明的な態度において、大いに欠けているものがあると思う。やはり今日の憲法の精神から見ましても、基本的人権を擁護するということは、積極的な行為によって擁護するだけでなしに、あらゆる機会において、いろいろな手段、積極、消極の手段で擁護に協力するのが捜査機関として特に必要な責務でないかと実は考えますけれども、この点についてはぜひ一つ御協議願いたいと思う。そうしてある程度まで国会が済むまでに法務省といたしまして明らかにしてもらいたい、こう思うのであります。これはやはり警察当局におきましてもその点はもう一ぺん考え直してもらたい。なま殺しのような状態でいくことはよくないと思うのです。ほんとうに握っているのはあなた方だけですよ。そうでございましょう。握っておって言わない。言うことによって解明される、国民はそれを待っておる、本人もかえって不名誉がなくなる、こういうことになるのだけれども、それに協力しない。一体公務上得た秘密というものは、また今まで御指導になった法条というものは、そこまで国民へ協力を要請しているのだろうかと思うのだが、私はそんなものじゃないと思いますので、その点はもう一ぺん相談して下さい。  それからもう一つ伺っておきますが、今、淡谷委員から申しました点にちなむのでありますけれども、当委員会におきましても、たとえば今起訴されております海内という農林省の役人、これに対する贈賄の点でありますが、これもすでに一、二ここでも明らかに述べておるのがあるわけです。そこである書物によりますと、明らかに海内藤作に対して輸入商社からの金品を贈ったことも記載されておるのであります。この書物はすでに警察及び検察庁はお持ちになっておるかと思います。これはわれわれの手にまで入るくらいでありますから、広く行われておると思いますが、著者は久保等山之輔、発行は三十一年七月三十日、名前は「膿相河野一郎を暴く」というのです。こういう五十ページに足らないような小さなものでありますけれども、まことに重要な事実が記載されておる。しかもこの事実のうち、直接犯罪性がないような事項については、これは過日の当委員会において政府当局の答弁は大体これを肯定しております。一々ここであなたに申し上げませんが、大体肯定しておる。そこで、ここで直接触れておらぬことは、やはり河野農相に対する東京食品からの七千万円の贈り金であるとか、伊藤忠からの六千万円の贈り金であるとか、日綿からの九千万円の贈り金であるとか、そうい点が具体的にここではまだ触れておりません。しかしこれの前後の事情、経過というものは、ここに書いてあるのと符節を合わすような答弁が政府から出るのです。これは農林省とか通産省、みなそうなんです。みんな符節を合わすように、こまかいところに至るまで——ことに昨日細田委員質問でありましたか、山田委員質問でありましたか、日綿実業の専務に、昭和三十年十月一日農林省の分室において、あなたは呼ばれて、このカリ輸入の協議会結成について政府がある事項、基本方針を指示して協議したときに、参加されたか、そのときの模様はどうかという質問に対して言ったことが、ぴしゃっと書いてあるのです。そうゆうこともあるのでありますから、一体こういうようなものは、あなたの方はお調べになっておるのでしょうか。警察の方にも報告があるのかないのか、これはお二人御承知でございますか。中川さんからお答えして下さい。
  292. 中川董治

    中川(董)政府委員 先ほどもお答えしましたように、(吉田委員「先ほどお答えになっておりません」と呼ぶ)そういった点も承知しております。それで一般論ですから、ただいま井本さんからもお話がありましたように、われわれ何でもかんでも隠す考えはないのであります。犯罪捜査上の必要でたとえば押収したり領置したりする物件がございます。そういった問題は、御案内のように法廷の証拠等の物件もございますので、もちろんわれわれ捜査いたしまして検察官に送致いたします。そうしたら検察官の方では、やはり公開法廷でいろいろ論議があると思います。公開の法廷でいろいろ論議されることもけっこうだと思いますけれども、それまでの状態等につきましては、起訴の関係等もございますので、検察庁とも十分相談いたした結果でないとお答えできないのですが、一般論といたしましては、われわれといたしましては何でもかんでも隠す考えはないのでありますが、先ほど井本部長からもお話がありましたけれども、関係者の名誉の保持と捜査上の必要ということも考え、また公益の必要等も考えまして、それの適当なバランス等に基いて、私たちもここでもいろいろ発言いたしますし、新聞記者等の会見においてもこの趣旨によって措置しております。お話の点は十分考慮いたしますけれども、私どもの刑事訴訟法上の義務並びに証拠上の秘密という点等からも、あわせて御了承おき願いたいと思います。
  293. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこれで終りますが、中川さんに申し上げますけれども、これは氏名はもじって、農相の農を膿と書いてあります。どういう意味でこういうふうになさったのか知りませんが、かりにも前後の経過の事情が相当信憑性があって、そうしてこれが公刊されておる。具体的に河野農相といえばまあ一人しかないのでありますから、この農相が東京食品の取締役、肥料部長本多重兵の手から七千万円を贈られておる。そしてこの使いを落合正夫という肥料部員が果している。一例をあげたらそうです。伊藤忠におきましても、専務の井上長三郎、統轄部長の宮内俊之、そういう人が協議の上、油糧課長の岩田守武を使いとして六千万円を贈与しておる。こういうように具体的にこれは書いてある。かりにも農林大臣が六千万円、七千万円、九千万円と、億以上の金を東独カリ輸入をめぐって受けたとすると、これは大へんなことであります。だからそこらの紙くずのような文書と事は違うと思うのです。そこで前後の事情が相当信憑性ありと当委員会でわれわれが判断した限りは、あなたらの方におきましてもおそらくそうだろうと思うのだが、それならば、このような重大な文書が発行されておるということを知らない、そんなものは怪文書だからということではいくまい、こう思うのです。こういう点について、これは刑事局長に聞くよりもやはり中川部長に聞く方が適当と思うのでありますが、こんな重大な字句が公刊された文書の事に書いてあるということは、御当人にとっても事実でないとしたら大へんなことだと思う。もし事実でありましたら、これはまた別の意味におきましてきわめて重大なことです。そういたしますと、こういうものは即刻事実を解明して、本人のためにも、それこそ間違っておるならば間違いであるということを明らかにすることが、私は広い意味における捜査当局の責任だろうと思う。しかし紙くずと同じようにそこらに突っ込んでおくということであるならば、これは何をか言わんやであります。そういうことであれば、本気に捜査しないのである。また反面から見ますと、こういう文書をもらっておる人々はどう思うか。やはり大臣というような、また政界の有力者というようなものは呑舟の魚である、つかまった者ははしたな事務官、技官にすぎない、もしくは議員らがいろいろと名誉を棄損されるような目にあって、それで抵抗することもできない、こういうようなことは国民は納得しませんよ。だからそういう観点からいたしましても、私はこの種の事実につきましては、時を移さず直ちにその真偽を明らかにするというのが、私は捜査当局の当然の職務であろうと考えるのであります。これはほんとうは警察大臣なり法務大臣なり検事総長に伺うことなんですけれども、きょうは仕方がないからここまでいってしまったのですが、今のことについてどういうふうにあなたらはお考えになるのですか。
  294. 中川董治

    中川(董)政府委員 いろいろ市販において刊行される文書等につきましては、犯罪の端緒をつかむために努力しておりますが、そういう点につきましてもいろいろな事柄がございますので、一々一つ一つの文書を全部解明するということでなしに、大体全体の犯罪要件その他についていろいろ検討を加えておりまして、一々すべての文書について検閲するというわけにも参りませんが、そういった点を犯罪捜査上の資料には十分いたしたいと思います。
  295. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題はやはり大事でありますので大臣に伺うことにいたします。
  296. 青野武一

    青野委員長 井本刑事局長は御答弁ございませんか。
  297. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よろしゅうございます。
  298. 青野武一

    青野委員長 大へんおそくなりましたが、本件に関します本日の調査は一応この程度といたします。次会は明十五日午前十時より開会いたします。  本日はこの程度にて散会いたします。    午後六時四十二分散会