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鷲見証人 片倉が
東独カリを
輸入いたしました
経過を概略申し上げたいと思います。
昭和二十六年に、七、八月ごろと思いまするが、バルコム・トレーディング・カンパニーという
会社が
東京にございまして、この
会社にインポーターとしての交渉を行いましたが、そのときはオファーがとれず、実際に
カリーの
輸入はいたしませんでしたが、
昭和二十七年の四−九期には幸いにもオファーがとれまして、初めてこのときにサプライアーである日本の
代理店のバルコム・トレーディング
会社と
東独の
カリの
輸入をいたすことに相なりました。次に
昭和二十七年秋か二十八年の初めごろかと思いまするが、バルコム・トレーディング
会社の代理権と申しますか、
輸入のサプライアー的
取扱いをいたすことが国際鉱石株式
会社に渡りまして、以降
昭和三十年六月末まで、国際鉱石
会社と
輸入の交渉を行なっておりました。三十年の七月一日から国際鉱石
会社の
代理店行為は
日綿実業さんに移りましたので、自来
日綿実業さんと
輸入業務の交渉をしておったわけでありまするが、たまたま三十年の九月三十日に通知がありまして、十月十日に三番町の分室に
カリ輸入業者の集合方が、
農林省方面より
肥料輸入協議会を通じまして通知が参りましたので、私の
会社もこのときに
東独の側を代表いたしまして、日綿さんと私の
会社の貿易
部長であった野村
取締役が出席いたしました。そのときの話は、
カリ輸入の合理化をはかって
輸入態勢を急速に整備する必要があるので、至急種々検討いたしたいが、これの達成に協力してもらいたいという御趣旨であったようでありました。その目的とするところは、無用の買付
競争を避けること、
輸入先別に組合的のものを作りたい。FOB買付のために貿易業務を支障なく実施可能の者に、なるべく貿易業務を取り扱わしてもらいたい、それから
実績を尊重するけれども、
輸入業務の手なれておるということも相当考慮がある。もう一つは
輸入態勢は現状に即しつつ、業界の自主的な協力によって実現したい、かような御要望が
農林省の方からあったわけであります。これによりまして
東独側の一同は会合の結果、以上の
農林省の趣旨にこたえるべく、種々
協議をいたしましまたが、究極におきまして管申書を差し出したわけであります。これは十月八日に、「組合を結成することについて全員意見一致しました。」もう一つの条件は、「組合構成員については種々論議の結果左記八社の中より選出方御当局に御一任することに決定致しました。」、この二つの項目を
東独の
カリ肥料輸入業社八社、すなわち
伊藤忠商事株式会社、岩井産業株式
会社、
片倉肥料株式会社、相互貿易株式
会社、
東京食品株式会社、
日綿実業株式会社、
日東物産商事株式
会社、
光興業株式会社、この八社の連名によりまして、
農林大臣にお答えをしたのであります。これに対しまして、
農林省の方から、この二項目の答申では
内容がよくわからないから、もう少し
内容のわかったものを出してもらいたいという
お話がありまして、これに対しまして具申書というものを出しました。これは
昭和三十年十月十五日でございます。具申書の
内容は、
十月八日附答申書に敷衍し左の
通り具申致します。
一、任意組合結成に付八社全員賛成を再確認致します。
二、結成される可き組合の性格として組合が自主性を確立し民主的に選ばれた組合の代表が直後
東独と
輸入交渉出来る組織とする。
本件に対し 賛成七社 反対一社 反対一社の意見は組合が自主性を持ち代表を民主的に選ぶ件は賛成なるも直接
輸入交渉の項について疑義を持つ。
三、組合構成員に関しては脱落者なく八社全員で構成することか強く要望致します。
この案に対しては無条件賛成一社、第二項確立を条件として賛成七社でこれも全会一致になりませんでした。
四、組合構成員の圧縮に関する討議の模様は左の
通りであります。
(1) 全員一致を条件として到達せる結論は八日付答中書第二項の
通りであります。
(2)
日綿実業を含む三−四社を組合員とし其の選任を当局に一任する提案に対し 賛成三社 反対 五社
(3)
東京食品、相互貿易、
伊藤忠商事、
日綿実業の四社案に対し 賛成一社 反対七社
(4) (3)項の四社中三社を選任する案に対し 賛成三社 反対五社 但し(1)乃至(4)は第二項組合の性格に関する討議を前提としない昨日迄の意見であります。
昨日と申しまするのは、三十年十月十四日までの意見だったのであります。十月十五日、この具甲案を出す日には
次に本日第二項を前提として討議せる結果は次の
通りであります。
(5) 三社案
賛成一社 反対五社 賛否保留一社
(6) 四社案
賛成ナシ 反対七社 賛否保留一社
(7) 五社案
賛成五社 反対二社 賛否保留一社
(8) 六社案
賛成五社反対三社賛否保留一社
以上のように
東独の
カリ輸入業者の間におきましては究極に至るまで全会一致の案ができなかったのであります。従いまして前に申し上げました答申書の
通り、八社の中から組合構成員は御当局に選出方御一任を決定願いたいという決議を出した次第であります。これに対しまして、十月十八日に
農林省の方から三番町分室に来るように
お話がありまして、私は参りませんでしたが、野村貿易
部長が参りました次第であります。このときに御当局の方から
カリ輸入方式の合理化について
お話があり、この結果、問題となります
東独の組合員選出の点については、八社全部が組合員になるわけにはいかないために、「直接参加をしない業者の措置については
協議会の自主的調整によるものとするが従来取扱った数量
程度は相当の条件の下に優先的に内販しうるように措置すること」という一項目がございまして、
東独グループは
伊藤忠商事、岩井産業、相互貿易、
東京食品、
日綿実業の五社の方々が組合を結成することに相なりまして、その結果片倉はこの四項の、直接参加をしないけれども、自主的調整のもとに、「従来取扱った数量
程度は相当の条件の下に優先的に内販しうる」という措置に希望を持ちまして、
東独の
カリの
輸入業者としての資格からは落ちると申しますか、
メンバーに入らなかった結果になった次第であります。自来
東独のグループの各位と、入札の都度いろいろ正会員の方の
会議に招請あるたびに出ては
協議をいたしつつ、
輸入された品物の内販の方面に今日まで担当しておる次第であります。