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1957-04-26 第26回国会 衆議院 決算委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十六日(金曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 本名  武君 理事 山本 猛夫君    理事 吉田 賢一君       奧村又十郎君    床次 徳二君       山本 正一君    淡谷 悠藏君       今澄  勇君    神田 大作君       山田 長司君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 宮川新一郎君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳澤 英藏君         文部事務官         (大臣官房会計         参事官)    天城  勲君         農林事務官         (大臣官房経理         厚生課長)   川戸 孟紀君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡邊 伍良君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     森  茂雄君         農林事務官         (振興局長)  大坪 藤市君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     川崎 立太君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 光夫君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君         労働事務官         (大臣官房会計         課長)     松永 正男君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     關盛 吉雄君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建設事務官         (住宅局長事務         取扱)     鬼丸 勝之君         建 設 技 官         (営繕局長)  小島 新吾君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         会計検査院事務         官         (第四局長)  中山  薫君         参  考  人         (警視庁刑事部         長)      小杉 平一君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 四月二十日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として楢  橋渡君が議長指名委員に選任された。 同日  委員楢橋渡辞任につき、その補欠として臼井  莊一君議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員臼井莊一君辞任につき、その補欠として楢  橋渡君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員片島港君、細田綱吉君及び山田長司辞任  につき、その補欠として安平鹿一君、穗積七郎  君及び成田知巳君が議長指名委員に選任さ  れた。 同月二十六日  委員穗積七郎君及び成田知巳辞任につき、そ  の補欠として山田長司君及び今澄勇君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  (承諾を求める件)  昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その  2)  昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その  2)  昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使  用総調書  昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く  使用調書  昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(そ  の1)  昭和三十一年度特別会計予備費使用調書(そ  の1)  昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書  昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為総調  書歳入歳出実況に関する件(全国購買農業協  同組合連合会に対する補助金等会計経理に関  する問題)     ―――――――――――――
  2. 青野武一

    青野委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたすことがあります。すなわち先刻の理事会におきまして御協議を願ったのでありますが、歳入歳出実況に関する件(全国購買農業協同組合連合会に対する補助金等会計経理に関する問題)につきまして調査のため、本日午後一時より警視総監川合寿人君の出頭を求め、実情を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認め、さようと決しました。  なお農林省当局及び刑事局長出席予定通りでありますが、以上決定いたしました。委員部においては、至急事務的な手続をしてもらいたいことを要求しておきます。
  4. 青野武一

    青野委員長 それでは次に、昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用調書昭和三十年度特別会計予算総則第十一条に基く使用調書昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(その1)昭和三十一年度特別会計予備費使用調書(その1)以上六件につき承諾を求めるの件、及び昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書、昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書、以上八件を一括して議題に供します。それでは前会に引き続き質疑を行います。なお本日は、前会の残りの農林省通産省運輸省郵政省労働省建設省所管について審査の予定であります。発言の通告がありますので、これを許します。吉田賢一君。
  5. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農林省にお尋ねいなします。三十年度一般会計予備費使用調書の二六ページに記載の農林本省につきまして農業施設災害復旧事業並びに農業施設災害関連事業に必要な経費、こういう見出しで、目として二千五百三十五万九千円、農業用施設災害復旧費となっておりますが、これはどこで何をしたのか、それを御説明を聞きたい。
  6. 清野保

    清野説明員 三十年度の災害の主として施設災害でありますので、道路農道、それから農業公共施設等復旧事業に対する復旧費としまして九州等において行いましたものであります。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体何ヵ所くらいでしょうか。
  8. 清野保

    清野説明員 資料が手元にございませんので、いずれ取り調べましてお答えいたします。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きょうは資料を持ってきていないのですか。
  10. 清野保

    清野説明員 持ってきておりません。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なるべく早く参議院に送りたいと思ってこちらも急いできておりますが、資料なしでは答弁ができないのですね。農道等を復旧した、こういうのですか。
  12. 清野保

    清野説明員 農業用施設災害復旧費は、先ほど復旧費補助と問違えてお答えいたしましたことをおわびいたします。これは国営事業及び代行事業等災害復旧費であります。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 国営事業とは何です。
  14. 清野保

    清野説明員 資料を持ち合せがございませんので個所的については申されぬことを厚くおわび申し上げますが、国営事業及び代行事業、つまり国営事業で現にやっておりますところのため池だとかあるいは水路それから干拓堤防等代行事業をやっております場合に、破壊されましたそういう損害について復旧いたすものであります。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういう抽象的なものでなくて、大体何ヵ所ぐらいで国営事業をやったのです。
  16. 清野保

    清野説明員 三十年度に施工しておりました内地国営専業が八十九ヵ所、北海道におきまして九十六ヵ所であります。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 代行はこれは県で代行させたのですか、どういうのですか。
  18. 清野保

    清野説明員 その通りであります。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その比率はどのくらいになっておりますか。資料がなければわからぬでしょうな。これは全部完成したのですか。
  20. 清野保

    清野説明員 代行事業で三十年度におきまして内地でもって施工しておりますものは、干拓及び開墾を入れましておおむね四百四、五十あります。北海道におきまして大体四百数十地区の開墾代行事業をその当時施工しております。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういう代行事業設計はどこがするのですか。
  22. 清野保

    清野説明員 代行事業設計は県がいたします。代行事業設計農林省計画費を県に委託いたしまして、県の設計したものを農林省が、審査して適当と認めたものについて着工いたしております。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 災害復旧代行事業等について土地改良協会等設計することはないのですか。
  24. 清野保

    清野説明員 ただいま御質問になりました代行事業等につきましては、土地改良協会等設計をしたことはございません。ただ補助事業等につきまして地方公共団体である市町村等から土地改良協会委託を受けまして設計する場合もございます。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この目の第二、四千三百余万円、これは補助費になっておりますが、これは地方代行事業ではなくて、団体等が行なった事業も入っておるのですか。そうとすればやはり土地改良協会設計さすというのが普通になっておるのですか。
  26. 清野保

    清野説明員 災害復旧施設費補助につきましては、市町村とか土地改良区あるいは農業協同組合等が行います事業でありまして、その設計は主として県がこれらの団体または組合からの委託を受けまして設計いたすのが普通であります。ただ県の手が足りない場合に、土地改良協会等にそういう技術員のおる府県におきましては、かかる団体からの委託を受けて設計いたすこともございます。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、この種の場合には土地改良協会設計することもあるのですね。
  28. 清野保

    清野説明員 ございます。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 土地改良協会というのは、これは設計経費はどのくらいの割合でとっておるのですか。
  30. 清野保

    清野説明員 土地改良協会委託を受けまして設計いたしますものは、はっきりいたした数字は申し上げられませんが、おおむね工事費の一%内外だと思います。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうするとたとえば千万円なら十万円、一億円なら百万円、こういうことになるのですね。
  32. 清野保

    清野説明員 その通りであります。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農林省関係におきましてこの災害復旧その他土地改良等につきまして土地改良協会が相当な割合設計をやっておるというふうに世間に伝えられておるのですが、これは全国でどのくらいの数を扱って、どのくらいの事業量土地改良協会設計にかかるか、こういうことは把握しておられますか。どうですか。
  34. 清野保

    清野説明員 土地改良協会が実際に施工友計を担当しておる場合を簡単に申し上げますと、災害を除きまして、一般団体への販売事業あるいは厚生事業のうちでもってごくわずかな部分を扱っておると思います。ただ厚生事業の中の区画整理あるいは換地処分事務、そういうようなものにつきましては、相当な部分を現在でも行なっております。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 予備費を使って災害復旧等緊急の事業をやる場合に、土地改良協会が介入いたしまして、事業費の一%、あるいは伝えられるところによりますと、かつては三%、あるいは総計合せて一〇%という事例もあったようであります。先年私どもの委員会が山口県に出張して実地調査したときの副知事の言明は、三%出しております、こういうことを言っておりましたが、その他の調査によりまして一〇%に上るものもあるわけであります。これは一般的な問題であるから、きょうは多く尋ねるつもりはありませんが、今の具体的の事例の場合、二千五百余万円、四千三百余万円、これは事業完成いたしておりますでしょうね。
  36. 清野保

    清野説明員 完成いたしております。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 年度越しになって、繰り越しになっておるようなことはないのですか。
  38. 清野保

    清野説明員 三十年度の繰り越しにつきましては、ほとんどないような記憶でございます。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ないのですか。
  40. 清野保

    清野説明員 正確な記憶がありませんので、はっきりお答えは申し上げられませんが、全然ないとは申し上げられません。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのは、きょうは予備費をやっておりますので、予備費以外のことは伺いませんから、どうぞそのつもりで……。
  42. 清野保

    清野説明員 三十年度の繰り越しにつきましてはっきり申し上げられないことを非常に遺憾に存じます。たとえば三十一年度の例を申し上げますと、三十一年度では約四億五千六百万円の予備費支出額に対しまして、約三十万円程度の繰り越しがございましたので、三十年度におきましては全然ないとは申し上げられませんが、ごくわずかのものがあったように思います。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わずかなようでありますから、かまいませんけれども、やはり数字ですから、きちんと用意して資料をもって答弁していただきませんと、常識の推測だけでは、こっちの方も扱いが困るのです。承認するかどうかということになっておりますので、御承知通り承認しないとあなたの方がお困りなんです。後日のためもありますから、それは資料で当委員会に出して下さい。  それからちょっと農林省に御注意を申し上げておきますが、予備費予算の通過と同じくらいわれわれは重視いたしておりますので、いろんな事情から、かなり簡単な質問に終っておりますけれども、もっと重要にお考え下さって、法案を通過さすときくらいの努力を本省はせにゃいけません。帰ったらそういうふうに言っておいて下さい。
  44. 青野武一

    青野委員長 農林当局質問はこれで終ります。
  45. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 簡単でありますが、二九%ページ、三十年度であります。退職手当を特にお出しになったようでありますが、これはどんな事情に基きますか。
  46. 川崎立太

    川崎政府委員 これは御承知昭和二十九年度、三十年度にわたります行政整理を実行いたしました場合に、三十年度にかなり大部分退職希望者が出て参りました。御承知のように、これにただいまここに出ております九百万円の以前に若干の予備費支出をお認めいただいております。そのときに普遍退職手当整理退職手当との若干の調整をいたしました。そのしりが普通退職の方に出て参りまして、逆に普通退職が足りないという形になりました。従って普通退職の足りません最後の九百万円強、これを予備費支出をお願いした、かような事情であります。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体これは予算編成当時に、予定しておりました内容で補い得るんじゃないですか。あるいはそれが予想しない事情によって人数が増加した、こういうことになるのですか。
  48. 川崎立太

    川崎政府委員 超過いたしました一番大きな理由は、退職いたしました人間が比較的高給者が多くなりまして、その関係で、予算の積算の基礎となっておりました一人当りの退職金手当の単価を著しく実際の支払い上超過いたしました。これが主たる原因であります。
  49. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よろしゅうございます。
  50. 青野武一

    青野委員長 通産省関係はよろしゅうございます。次は運輸省
  51. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この間羽田航空場収地借地料経費の件につきまして御質疑申したのでありますが、過日新聞の伝えるところによると、羽田航空場の大きな土地を、国有地であったのを民有地であると錯覚して地代を払っておったので取り戻さなければならぬという事態が起ったようでありますが、これはどこの所管事務に当るのですか。ちょっと補足しますが、この三二ページに記載されております借地料経費、これとは、この間新聞に伝わりました今中しました件は、全く関係のない事項でありますか。
  52. 佐藤光夫

    佐藤政府委員 関係ございません。すでに国有地として買収済みのものについて、権利を主張しているものがあるということでございます。
  53. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十年度の使用調書の三〇ページ、運輸本省の組織の部でありまするが、これらはいずれも災害復旧完成をいたしておりますのですか。
  54. 佐藤光夫

    佐藤政府委員 一部三十一年度に若干繰り越したものがございますが、全部完成をいたしております。
  55. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十一年度に完成したのですか。
  56. 佐藤光夫

    佐藤政府委員 ごく一部でありますが、三十一年度に完成したものがございます。
  57. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは繰り越す場合の手続はどういうふうにいたしましたかね。
  58. 佐藤光夫

    佐藤政府委員 事故繰り越し手続によっております
  59. 青野武一

    青野委員長 運輸省質疑は終りましたから自由に御退場になってけっこうです。  次は郵政省
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 郵政省の三十年度使用調書、三三ページに地方電波監理局予備費使用が記載されておりますが、これはどの方面へ行って無線局新設検査をせられたのでありますか。何か北洋漁業船団増加によって無線利用が激増したということが理由になっておりますが、どのあたりに行ったのでありますか。
  61. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 お答え申し上げます。最初成立予算におきましてこの新設検査についてはおよそ五千九百件新設検査をする予定であったのであります。内訳で申し上げますれば船舶局が千二百六十八件、それから海岸局が百、航空機局が三十五、陸上局が四千三百八十、放送局八十三件、テレビ三十五、その他合計いたしまして五千九百件余り成立予算予定しておったのでございますが、御存じのように近年の漁船の遠洋漁業化、さらには北洋漁業船団増加などがありまして、非常に無線利用が多くなって、この成立予算の件数を差引しますと約五百四十一件ふえるということになりました。その内訳を申し上げますると船舶局では約七百五十六件、海岸局で、五百十件、航空機局陸上局では逆に七百件余り予算よりは少かったのであります。こういうふうなことで差引五百四十一件だけ新設局については、どうしても増加いたしましたのでこの所要の旅費を予備費から出していただいた、こういうわけであります。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは国内ですか。
  63. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 国内でございます。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっとこれは幼稚な質問だけれども、陸上新設をしておってそれぞれの新設された無線局に行かれた、こういうことになるわけですね。
  65. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようでございます。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よろしい。
  67. 青野武一

    青野委員長 予備費について郵政省関係質疑を終りましたので、自由に御退場願います。  次は労働省
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十年度の使用調書、三四ページでありますが、中小企業に対する労働基準法適用状況実態調査に必要な経費として五百十六万円余り使用しております。これはやはり緊急な理由でもあったわけでありますか。
  69. 松永正男

    松永政府委員 お答え申し上げます。御承知のように労働基準法におきましては労働条件最低基準を規定いたしておるわけでございますが、わが国の中小企業特に零細企業につきましては、基準法の規定と実際の状態との間に相当の開きがあるわけでございます。従いまして労働基準法を改正すべきであるというような意見も出て参りましたので、労働省におきましては臨時労働基準法調査会というものを設置いたしまして、労働基準法を改正すべきであるかどうか、改正するとすればどの点を改正すべきであるかということを諮問をいたしまして、現在基準法調査会におきまして研究、審議を願っておるわけでございます。一方基準法の施行の面におきましては、そのような実情にございますので、労働基準法がいかなる状態でいかに適用されておるか、違反実態がどのようなことであり、原因がどこにあるかということにつきまして従来も調査をいたしておるのでございますが、特に詳細な調査をする必要があるということを考えまして、中小企業を対象にいたしまして違反実態調査を詳細にいたしたいということでこの経費を計上させていただいたわけでございます。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは大蔵当局に聞きますが、この種の経費は、すでに実態調査を従来も継続しておるのであるから、当然この予算に組んでいくのが筋だろうと思うのですが、予算はなかったのですか。
  71. 宮川新一郎

    宮川政府委員 今労働省会計課長からお答え申し上げました通り、三十年の八月に臨時労働基準法調査会ができまして、中小企業につきまして労働基準法適用実態至急調査する必要がありましたので予備費を計上した次第であります。御質問にありました実態調査に関しまする予算は当初には計上しておらなかった次第でございます。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが三十一年の二月に閣議決定しておるのですよ。至急調査ならば九月とか十月とか年内にするのが普通だろうと思いますが、これは半年後に閣議決定をやっているのだが、どうなんですかね。
  73. 宮川新一郎

    宮川政府委員 労働省からは早くから要請があったのでございますが、先般もお答え申し上げましたように、予備費の総ワクが八十億と限定されておりますので、災害その他の全体の所要見込額を通算いたしまして、差しつかえない範囲内において支出することが適当かと考えまして、閣議決定がおくれたような次第でございます。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞くのは、予算編成にこの経費を入れて、そして出した方がよかったのではない、だろうか。三十年の八月に調査会ができて、続いて、当時臨時国会があったかどうか、ちょっとそれは今覚えておりませんけれども、半年のうちに予備費を使うということはどうだろうか、この案件だけは少し形がどうかという印象を受けるので、今伺った次第なのであります。ことにこういった調査費というものは、これは中小企業対策として非常に重要でありますから、当然に相当な予算を組んでおくべきであったのじゃないだろうか。調査会ができるできぬにかかわらず、それが当然でなかったか、こう思うのであります。――労働省はいいでしょう。
  75. 青野武一

    青野委員長 労働省関係質疑は終りましたから、御自由に御退場になってよろしゅうございます。  次は、建設省関係当局の御着席を願います。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十年度建設省所管予備費使用調書新潟防火建築帯造成、こういうものが出ておるわけなんでありますが、これは例の三十年十月一日に大火災がありました、あの関係らしいのでありますね。これはずいぶんと多くの建物その他の損害があったわけでありますが、建設省関係におきましては、このほかにはなかったのでありますか。これだけでありましたですか。
  77. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 お答えいたします。新潟は相当な大火がございましたので、住宅関係の被害も相当ございました。これは公営住宅法に基きまして、災害公営住宅建設をいたしております。予備費には関係ございません。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと理解しにくかったのだが、予備費には関係がなくして支出した、災害復旧対策費は相当あった、そういう御説明ですか。
  79. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 公営住宅費予算内におきまして、一般ワク調整をいたしましたものでございます。予備費支出にはなっておりません。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今予備費を聞いておるのです。新潟防火建築帯造成についての助成金、それを聞いておるのです。
  81. 鬼丸勝之

    鬼丸政府委員 予備費支出は、すでに御承知のように、防火建築帯造成事業補助だけでございまして、補助額は二百万円、このうち百万円を繰り越しいたしております。  工事は、三十一年七月で全部完了いたしております。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、建設省関係におきましては、予備費以外の予算を使って火災復旧手業はなかったのでございますか。
  83. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 新潟火災善後措置といたしまして予備費で使いましたものは、今承認をお求めいたしておりますこの防火建築帯造成に必要な経費二百万円でございまして、その他につきましては、予備費ではございませんけれども、公営住宅建設補助金でございます。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、公営住宅建設経費があったので、それを充当した、こういう御説明で、前の御説明は要するにそれであった、こういうわけですね――そうですか、わかりました。よろしゅうございます。
  85. 青野武一

    青野委員長 建設省関係質疑は終りました。御自由に御退席になって下さい。  次は文部省
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この昭和三十一年度文部省所管国庫債務負担行為調書の、国立競技場建設に必要な経費九億五千万円というのは、これは契約はやったんですか。
  87. 天城勲

    ○天城政府委員 お答えいたします。これは神宮と三十一年の十月二十五日に売買契約いたしまして、工事の契約は三十二年の一月七日にいたしております。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと競技場の施設を折たに新築するということになるのですか。場所は神宮陸上競技場でございますね。要するにあらゆる施設をする経費に該当するわけでございますね。
  89. 天城勲

    ○天城政府委員 お話しの通り、神宮の外苑の競技場、これは現在神宮のものでございますが、これを国が買収いたしまして、ここを基礎にいたしまして新しい競技場に拡張いたすというための経費でございまして、おっしゃる通り一切の経費を含んでおります。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もうある程度の契約ができて、三十二年度の予算には組んだのですか。
  91. 天城勲

    ○天城政府委員 三十二年度競技場の建設関係で十二億予算を計上いたしておるわけであります。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 九億五千万円の国庫債務負担行為、これは九億五千万円すべて契約済みでありますか。
  93. 天城勲

    ○天城政府委員 これは文部省に計上いたしておりますけれども、予算の実行の方法は建設省に支出委任をいたしておりますので、具体的には担当地建で契約いたす形になっておりますが、その九億五千万円のうち、三十一年度で予備費が約六千九百万円で、これをもちまして最初に現在の神宮の競技場を取りこわしいたしております。それはすでに完了いたしまして、本年度必要な最小限度の工事を進めておりまして、こまかい契約の事情を私直接今資料を持っておりませんが。九億五千万全額ではございませんが、八割方の契約は済んでおります。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十二年度は十二億でありましたか。
  95. 天城勲

    ○天城政府委員 十二億でございます。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると三十二年度には前の国庫債務負担行為の額を上回っている、それは国庫債務負担行為の総額がその中身をなして、それをさらにオーバーして十二億になる、こういうことになるのですか。
  97. 天城勲

    ○天城政府委員 さようでございます。
  98. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十二年度十二億、これは国庫債務負担行為は三十一年度及び三十二年度ですね。これは支出建設省に委任をしておる、こういうことですね。
  99. 天城勲

    ○天城政府委員 さようでございます。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この種のものはやはり建設省に全部工事支出負担行為を一切委任するというのが普通になっておりますか。
  101. 天城勲

    ○天城政府委員 やはりこの種大きな営繕事業でございますので、建設省の方で施行するのか適当だ、こう考えております。
  102. 青野武一

    青野委員長 文部省当局に対する質疑は終りましたから、自由に御退下さい。  他に御質疑はありませんか――それでは以上八件に関しまする質疑は、これをもって終了いたします。  それではこれより討論に入るのでありますが、別に、討論の通告もありませんので、この際討論を用いずに直ちに採決に入りたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  この際山本猛夫君より、以上八件の議決について発言を求められておりますのでこれを許します。山本猛夫君。
  104. 山本猛夫

    山本(猛)委員 動議を提出いたします。昭和三十年度一般会計予備費使用総員書(その2)外五件につき承諾を求めるの件につきましては、いずれも承諾を与うべきものと議決されんことを望みます。また昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総調書外一件につきましては、いずれも異議なきものと議決されんことを望みます。
  105. 青野武一

    青野委員長 それでは採決をいたします。  まず昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その2)昭和三十年度特別会計予算総則第十条に基く使用調書昭和三十年度特別合会計予算総則第十一条に基く使用調書昭和三十一年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和三十一年度特別会計予備費使用調書(その1)以上六件につき承諾を求めるの件について採決をいたします。以上六件につきましてはいずれも承諾を与うべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  106. 青野武一

    青野委員長 起立総員。よって以上六件は全会一致、いずれも承諾を与うべきものと決しました。  次に昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為総説書及び昭和三十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書、以上二件について採決いたします。右の二件につきましては、山本君より提出せられた動議の通り異議なきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  107. 青野武一

    青野委員長 起立総員によって本件は全会一致異議なきものと議決いたしました。  この際お諮りいたします。以上八件に関しまする委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  この際暫時休憩いたします。  午後は一時半より再開して次の案件に移ります。     午前十一時五十分休憩     ―――――――――――――     午後二時六分開議
  109. 青野武一

    青野委員長 休憩前に引き続き開議を開きます。  歳入歳出実況に関する件(全国購買農業協同組合連合会に対する補助金等会計経理に関する問題)について前会に引き続き調査を進めます。  この際お諮りすることがあります。先ほどの理事会で御協議願いました結果、本件に関し、警視庁刑事部長小杉喜平一君を参考人として御決定願い、実情を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
  111. 青野武一

    青野委員長 それではこれより調査に入ります。  発言の申し出がありますので、この際これを許します。生田宏一君。
  112. 生田宏一

    ○生田委員 全講連の汚職事件について警視庁が鋭意その真相を糾明していただいておりますのはわれわれも心強く思っておるのであります。また司法当局がそのようにして政界の汚職あるいは役所の汚職を糾明していただくのには、いろいろと困難な事情もできてくるのが普通でございますので、われわれとしては当局のかかる糾明についてはできるだけ自由にやっていただきたい、こういうつもりで見ておったのでございますが、四月二十日の毎日新聞の記事の中に、もしこれが真なりせばわれわれとしては当委員会の名誉のためにも黙過しがたき記事が出ておりますので、その真偽性については、新聞記事でありますから、真であるかもしれないし、偽であるかもしれないので、これを警視庁の当局にお尋ねする方が一番早わかりするのではなかろうか、こう存じましたので、きょうおいでを願ってお尋ねをするわけでございます、。  その記事の内容は、全購連の中心人物島田日出夫前常務理事らの取調べにおいて、肥料二法の、審議のときばかり、でなく、三十一年の衆議院の決算委員会において、全購連が九億三千七百八十万円にも上る含み利益金を持っているにかかわらず、帳簿上の操作で逆に六千五百万円の赤字を見ておったとか、再建整備奨励金を九千万円も受けておったとか、このような事実が表面化したために、衆議院の決算委員会が取り上げようとする機運があったので、衆議院決算委員会に対してもみ消し運動をした。しかもそれは関係議員に現金を贈ってもみ消し運動をした、こういう供述を島田理事がしておるという毎日新聞の記事が出ておるわけでございますが、もちろんこれは当局のだれが話をしたとか、また記事のソースにつきましては、全然書いてございませんので、いかなる取材によるものかはわかりませんけれども、しかしながら、わが国の代表的な新聞が、夕刊と朝刊に二度にわたってこの問題を取り上げていますので、それを拝見しますと、新聞社に対してソースを追及するよりは、むしろ警視庁当局にその真相をお尋ねする方がよいのではないか。これは事件の進展に対してその真相を直ちに申し上げられないというのが、しばしば捜査中の事件に関する検察庁あるいは警視庁などの責任者の本委員会に参られての答弁でございますが、これは本委員会の中に関係議員があって、それに現金を贈ったといてある事件でございますから、私はそのようなことが虚構の取材であることを心から望みますけれども、もし取調べの中にそのような事実が出てきておるということでございましたならば、この際明らかにしていただきたい。これはわれわれ委員会の名誉のためでございますし、真実ならばお示しを願って差しつかえないもの、こう考えておりますので、お尋ねをいたす次第でございます。
  113. 小杉平一

    ○小杉参考人 ただいまの御質問につきましてお答えをいたします。全購連の事件につきましては、ただいま警視庁におきまして捜査を続行中のことでございます。ただいまお尋ねになりました四月三十日の毎日新聞の記事についてでございますが、現在警視庁におきましては十名近くの者を令状を得て取調べをしておる段階でございまして、その取調べの内容と申しますかどの被疑者がどういうことを供述したかというような点につきましては、捜査の過程でございまして、私といたしましてこれを警視庁として外部に発表するとか、外部に申し上げるということは、自後の捜査に影響がございますので、このことにつきましては何とも中しかねるのでございます。従いまして、私も新聞は読みましたけれども、果してその新聞の記事がどこから出たものであるか、あるいはまた内容が真実であるのか真実でないのかということにつきまして、何とも申し上げかねる。ただ、私どもは、今申しましたような観点から、捜査に当る者につきましては、一つにはその容疑があって調べて一おるのでありますけれども、それが果して真実であるかどうかということについては、そのために糾明するわけでありますので、その一々供述をした内容につきましては、外部に漏れるようなことのないように、平素からやかましく上司から言われておるわけでございます。従いまして、今回の場合におきましても、その点を十分気をつけておるつもりでございます。以上であります。
  114. 生田宏一

    ○生田委員 私がお尋ねをいたしましたときに、そのようなお答えをするのが常でございます。しかし今のあなたのお答えのような、常にここへ来て言われるような、形式的なことではなしに、真相があるならばあるとだけ言っていただきたいと言ったのは、単にだれにどういうことをしたとか、だれが供述をしたとか、そういう個々の問題をさしてお問いをしたのではございません。ただ三十一年度の衆議院決算委員会関係議員に現金を贈って、この問題をもみ消した事実があるということを新聞が書いておりますので、何も具体的に議員の名前を言ってくれというのではございませんから、そういう  ことがあるかないかを聞いておるだけです。それで、ないということをあなたに、否定をなさらないならば、言えないということで言われるならば、それは裏を返せばあるということと解釈をせざるを得ないのでございますが、いかがでございますか。実際ないのですか。あるのならばあると言っていただ  いたらどうですか。ないことはないが言えないというなら、そのように承わっておいてよろしゅうございます。どちらでございますか。
  115. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は、その供述の内容に関しますからここでは申し上げられません。
  116. 生田宏一

    ○生田委員 その申し上げられないという意味は、供述の内容について言うことはいけないから申し上げられないというのならば、供述の内容について承わらなくてもよろしゅうございます。しかしながら今まで取調べをした総合判断において、そういう事実があるか、ないかということだけのお答えでよろしゅうございます。もし答えられないというならばないならばあなたは直ちにないというお答えができるはずです。犯罪によっては、犯罪捜査の障害になるような、証拠隠滅をするようなことがなければ、あなた方の方ではいつでもお答えができると思うのですから、ないならばないとあなたはここでおっしやれるはずです。にもかかわらずそのようなことを言われないならば、あるということのあれだと思うのですが、それでもあなたはおっしゃることはできませんか。
  117. 小杉平一

    ○小杉参考人 そういうことがあるかないかというお尋ねでございますが、先ほど申しましたように、これは本人の――本人といいますか、供述か問題なのでありまして、結局その供述の内容が真であるか真でないかということに関係をいたしますので、目下捜査中でありますから、従って真であるかないかという点は、供述内容についてのイエスかノーかということでありますので、申し上げかねます。
  118. 生田宏一

    ○生田委員 供述の内容が真実なりや、また真実でないかもしれない、ゆえに自分はその供述について言うことはできないというならば、関係被疑者の間にそのような供述があったということだけは、あなたは今言外にお認めになったということになるのですが、さようでございますか。
  119. 小杉平一

    ○小杉参考人 そのような供述があったかなかったかということについては、私は何とも申し上げかねます。一般的に――一般的といいますか、この事件につきまして、島田さんという方は有力な一つの容疑者の一人でありまして、従いましてその人がどういうことを言ったか、あるいはどういうことを言わなかったか、そういうことについて私はこの席で申し上げかねる、こういう意味でございます。
  120. 山本猛夫

    山本(猛)委員 関連質問。小杉さんにお尋ねをいたします。本件に関連したお尋ねでございます。ただいま生田委員からあなたにお尋ねになりました、毎日新聞に報ぜられたあの記事の問題でございますが、あなたが仰せになるように捜査内容についてまで私どもも知ろうとは存じません。ただしあの新聞が捜査当局で発表された権威ある記事でございますかどうかを承わりたい。
  121. 小杉平一

    ○小杉参考人 御指摘のあの記事につきまして警視庁は発表したことはございません。
  122. 山本猛夫

    山本(猛)委員 といたしますと、毎日新聞と申しますれば、ともかくどなたもひとしくお認めになります権威ある新聞でございます。その取材はどこから出たかということに相なりますれば、私どもはこれは発表せられないにいたしましても、とりもなおさず捜査当局自体からそれが取材せられているものと判断する以外に考えようがないのでございます。今の警視庁は、公式には本件に関して毎日新聞の取材記者に発表いたさないということは当然でございましょう。われわれも了承いたします。しかし公式に発表いたさないにいたしましても、さようなことが取材の線に乗るように、それが漏れるおそれが警視庁当局にございますかどうか、それを伺っておきます。
  123. 小杉平一

    ○小杉参考人 ただいまの御質問は、公式には発表をしないが、警視庁が非公式といいますか――から漏れるようなことがないかというお尋ねと思いますが、この捜査につきましても、外部に発表をする場合には特に指定をされた者が発表をしておるのでございまして、従いましてただいま仰せのような疑惑を本委員会において受けておりますことは、まことに私としては心苦しいのでありますが、そういうようなことを非公式にも発表したことはないと信じております。
  124. 山本猛夫

    山本(猛)委員 私も今の小杉参考人のお言葉で、警視庁当局を信頼できるものでございます。さすれば毎日新聞に掲げられました記事は権威のないものである、こう御判断になりますか。
  125. 小杉平一

    ○小杉参考人 私としまして別に権威かあるとかないとか――何といいますか一方の当事者でありますから、ちょっと何とも申し上げられませんが、とにかく私どもが公式にしろ非公式にしろ発表したものではないということを申し上げるだけでございます。
  126. 山本猛夫

    山本(猛)委員 それ以上のことをお尋ねしてもなかなか困難でございましょうけれども、ともかくきょうあなたにお忙しいところをここへおいでいただきましたゆえんのものは、ひとり毎日新聞のみではございません。今まで幾多の新聞、雑誌等に本委員会の名前がこの種の問題に関連をして出て参っております。大がいのことでございますれば、われわれ委員の中ではさようなことに関連いたした者はありませんと存じますので、それを問題にはいたして参りませんでしたけれども、しかししばしばさようなことが報ぜられて参りまして、ことに国会全体の威信のためと申しますよりは、国会の品位のために私どもはその真相を知らなければならない段階に入ったわけでございます。従って御多用のところおいでを願ったのでありますから、国民の受けておる疑惑、国会の、ことに決算委員会がそういうようなていたらくなものに関係をしておるのかどうか。こういうようなことはしばしば各種の新聞、雑誌等に報ぜられますたびに国民の疑惑の一つになっておると思うのでございます。従いまして今度の毎日新聞の報じたあの記事は、毎日新聞の世間的な信用あるいは読者層等から申しましても、われわれは黙過し得ないのでございます。こういうような観点に立ってお尋ねをいたしておるのでございますから、さいぜん生田委員からもお尋ねを申し上げましたように、これは事実無根の権威のないものである、こういうような明確なお答えが、あるいはあなたの御観測ができるならば、国民の疑惑もおのずと解けると思うのでございます。大へん御迷惑なお尋ねかもしれませんけれども、あの新聞が権威のあるものであるか、ないものであるか、また権威ある方面から取材せられたものであるか、ないものであるか。大へんくどいようでございますが、もう一度お尋ねを申し上げます。
  127. 小杉平一

    ○小杉参考人 ただいまはあの記事のために国民あるいは当衆議院の決算委員会が疑惑を持たれておる、従ってその疑惑をはっきりさせる上においてもというお言葉でございます。私どもも、そういうような疑惑がかりにあるとすれば、これを糾明するのが私どもの勤めの一つではなかろうか、かように考えまして、目下捜査を続行しておるその最中でございまして、私も一日も早くそういうようなことがはっきりすることを、むしろはっきりさせることを努めなければならぬ、かように思っておりますが、現在はまたおしかりを受けるかもしれませんが、捜査のちょうど途中でございますので、従って一日も早くそういう日のくるように努力をいたしたい、かように考えております。
  128. 山本猛夫

    山本(猛)委員 大へん御迷惑なお尋ねでございますが、私はさようなことをお尋ねしておるのじゃございません。毎日新聞に報ぜられました記事が権威のある取材に基く記事であるかどうか。あなたの御判断を伺っておるのでございます。
  129. 小杉平一

    ○小杉参考人 権威ある記事であるかどうかということにつきまして、批評といいますか、そういうことになるわけでありますが、先ほど申しました通りでございまして、それ以上の批評は私として現在できません。
  130. 山本猛夫

    山本(猛)委員 そうなりますと、せっかくおいでを願ったのでございますけれども、かえってますます国民の疑惑が深まるのみでございます。従ってさようなことに相なりまするならば、当委員会の権威の保持上あるいは信用、名誉保持上も、重大な関心を持たなければならない段階に入ったわけでございます。でございますから生田委員があなたにお尋ねを申し上げましたように、あなたのお言葉一つによってはこれはますます国民の疑惑が深まってくる。もしそれを解明することができ得ないということでございますならば、当委員会の信用、栄誉というものは失墜に瀕するような段階に入らなければならないのでございます。でございますから、あの記事は全く虚構の事実を書き立てたものであるのか、あるいはともかくその真相はついていないけれども、大体においてそういう周辺のことが報ぜられたものであるのか、われわれはそれを知りたいわけでございます。捜査をなすっておられるその捜査内容にまで立ち入ろうとは思いませんけれども、報ぜられましたあの記事が――再度繰り返してくといようでありますが、権威のあるものであるか、あるいは全く権威のないものであるか、架空の事実あるいは想像の記事――われわれはあの毎日新聞がともかく架空の事実を書き立てるとは考えません。世間的に信用のある、しかも世界的に考えましてもあれだけの多くの読者層を持った新聞は世界でもまれであります。そういう読者の信用のある新聞、こういうような新聞が虚構の事実を書いているとは思わないのです。でありますから、あなたはこれを全く権威のない記事であると御否定になりますか、あるいは真相に近いものであるとお認めになりますか。
  131. 小杉平一

    ○小杉参考人 先ほどお答えいたしましたように、現在の段階では私はその記事が権威のあるものか、権威のないものかということは申し上げることはできないのでございます。ただいま捜査を続行しましてその点を明らかにいたしたい、かように考えております。
  132. 關谷勝利

    ○關谷委員 これ以上おお尋ねいたしましてもどうやらのれんに押上問答するようでございますので、私が一点だけお尋ねいたしたいのでありますが、警視庁で取調べ途中にその内容が外部へ絶対漏れないということをあなたが言い切れますか、あるいは漏れることがあるかもしらぬとお感じになりますか。これだけお尋ねすれば判断がつくと思いますのでお尋ねいたします。
  133. 小杉平一

    ○小杉参考人 この事件につきましても外部に対しましては捜査の過程等につきまして発表するものをきめてございます。従いまして私はいわゆる捜査上の秘密というものは保たれておると思いまするし、また捜査上も差しつかえがないという状況でございます。
  134. 關谷勝利

    ○關谷委員 どうもはっきりしないのでありますが、取調べの途中にあります事柄の内容に絶対外へ漏れないということを保証ができますか。あるいはそういうことはたまに漏れることがあるので保証はできないかということでありますので、この点だけくらいならば言えないことはないと思いますが、はっきりとお答えを願います。
  135. 小杉平一

    ○小杉参考人 取調べの内容につきましては外部には漏れておらぬと思います。
  136. 生田宏一

    ○生田委員 私はもう同僚議員から関連質問がありましたから、一点だけ聞いておきます。  新聞記者の取材が警視庁のあの建物の中でどのように行われておるかは私は存じません。しかしながらわれわれが過去に経験したところによれば、とってはならない写真がとられておってわれわれの目の前に現われてきたこともある。また後日になって、あのように捜査上の秘密が明らかに漏れておったという事実も、私は例はあげませんが、われわれの過去の経験においては幾つもあるわけです。でありますから、毎日新聞の記事がすべて真なりとも私は主張しませんが、しかしあなたの方の過失であるか、あるいは毎日新聞の取材者が敏腕であるか、ともかく秘中の秘を探り出すことは、この世の中においてはあり得ることなのです。でありますから、あなたがそこで形式的に言われてみても、世人はこれを信じないでしょうし、私もまた今承わってみて、あなたの今言っているような形式的なお話が真なりとは感じとることはできません。そういう関係においてあなたが御答弁されておるので、一つ私が私なりに推理をして先ほどお伺いしましたが、捜査上の影響があるというのは、捜査の線上に踊った事実があるかないかということを問われるならば、あるともないとも言えない。これは捜査に関係があるから言えない。こういうことなれば私はあなたのお答えに了承いたします。しかしそういうことは捜査線上に踊っていないのだ、そういうことは現われていないのだということならば、そういうことは捜査の上にはありませんということを言っても何ら差しつかえのないことです。またそれが国民の疑惑を解く上に必要ならば、目視庁としては当然そのことを明らかにされる義務があるのではないか。ところが決算委員会関係議員に、昭和三十二年度全購連事件もみ消しのために現金を送ったという新聞記事が出たならば、国民は決算委員会関係議員については疑惑の目を持ちましょうし、もしそれがないならば進んであなたの方からないということを言って、世人の疑惑を解いていただくのが当りまえではないか。将来の問題について、もしあるかもしれないというようなそういう含みでものを言うならば、もはやこの世の中には真実を語る余地はございますまい。一切が秘密であって、一切が職務のゆえに秘密を保たなければならぬということで、一切をおおい隠すことができましょうし、またそれは心理的に考えてもあまりにわがままな考え方です。ですからないならばないということをあなたは言えるはずです。またそれが国民に対して疑惑を解くゆえんならば、またわが国の国会の権威を保つ上からならば、すみやかにあなたはそれをお答えになったらよろしゅうございます。しかしそれもないとは言われずに、ただ供述についてお話することはできないとあなたが言うならば、あの毎日新聞の記事に関して、確かにあの問題について、一人か二人か三人か知りませんが、ある被疑者がある種の供述をしているということだけは想像にかたくない。この私の考え方が間違いでございましょうか。もしないならばない、あなたはそれだけは言えるはずです。ですからたった一つお聞きしますが、そういう事実は捜査線上に踊っていないということなのですか。そういうものは出ておるか、それに関しては言えないというのでありますか、ただこれだけのことを承わればよろしゅうございますからお答えを願いたいと思います。
  137. 小杉平一

    ○小杉参考人 何回も同じことを繰り返すようでまことに申しわけないのでありますが、ただいま御指摘になりましたことにイエス、ノーをいうことは、一般の供述そのもの、及びその内容にわたることでありますから、現在の段階では私は申し上げられない、かように御了承をいただきたいと思います。
  138. 生田宏一

    ○生田委員 あなたの今のは、その供述の中にそういう関係事項があるという前提の上に立っての御答弁でございますか。
  139. 小杉平一

    ○小杉参考人 供述並びに供述の内容に関することでございますから、私は現在の段階において申し上げられません。
  140. 生田宏一

    ○生田委員 あなたが御答弁を拒否されるそのお考えの中に、こんなにまで言わなくてもいいのであるけれども、しかしもしここでそういうことがないとかあるとか言うこと、ないならばないということを言ったならば、警視庁が国会に来て捜査の内容について質問を受けたときの一般的な考え方から逸脱するのであるから、自分は言えないのだというのならば、私はあなた方のお考えは非常に間違っておると思う。そういうようなわがままは私は許されぬと思う。それはほんとうにわがままです。差しつかえのないことを言って、国民に安心をさすことがどれだけいいやり方であるか、今ここで聞いているみんながそれを望んでいるのです。それは少しわがままです。あなたが警視庁の首脳部の方々とどんな御相談をしてきたか知らぬが、そのわがままというものは少し大手を振って通ることのできないわがままだということを私はあなたに申しておきます。あなたが上司の命を受けて来られた以上はそれ以上御答弁されることはできないでしょうから、私の受けた感じとしては、こういう事実は供述の中にあるという印象を受けたということを申し上げて、私の質問をきょうは打ち切っておきます。しかし後日において、この問題がどのように委員会で持っていかれるかわかりませんが、また御出席を願わなければならぬことになるのではないかということを申しておく次第でございます。これで一応質問は打ち切っておきます。
  141. 青野武一

    青野委員長 淡谷悠藏君。
  142. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 井本刑事局長出席しておりますか――至急出るようにお願いいたします。それから農林大臣にも出ていただきたいと思います。  小杉参考人に一つ私じっくりお聞き取り願いたいのであります。全購連に端を発しました今度の事件が農林省に飛び火し、さらに政界にも波及するだろうということはもう世間周知のことになっておる。こういう事態に対して、国民的な立場から心配しておるのは警視庁だけではございません。あなたの方には犯罪捜査の十分な責任もあるでしょうし、自信もおありになるでしょう。けれども国会は国会として、警視庁の観点とは別にこの問題を捜査し――捜査という言葉はなんですが、十分に検討して、自後こういうことか起らないようにするのが国会議員のこれは本務であります。しかも国民の疑念が国会議員にまで及ぶとすれば、この際私はあなたにも誠意をもって、捜査の名前に隠れずして、答えることははっきり御答弁願いたい。このような事件が起った場合、一体どうなっておるのか、どうなるのかということを考えるのは、これは当りまえの話です。しかるにこれまでも、ややもいたしますと、捜査の名前に隠れまして、ある程度その報道を押える。捜査にほんとうに関係のあることはもちろん秘密にされるのはけっこうでしょう。けれどもむしろ進んで、警視庁が国民の疑いを解くために、ざっくばらんに捜査上差しつかえのないことはみずから進んでこれを公表するのが国民の警視庁としては当然のことだろうと思う。しかも捜査上の秘密ということはいつ漏れるかわからない。私ははっきり申し上げておきます。警視庁自体が疑われておりますよ。今度の問題はおそらくは官僚の綱紀の紊乱に発したことであります。責任の省にある農林省がその監督を十分にせず、検査もしないで、その間にくされ縁を結んでやったことが事件の発端です。この事件がだんだん発展して参った場合、どのような大物に累が及ぶかわからないといっておる。その政界の大物がすでに先を越して、警視庁に捜査の打ち切り運動を始めたという疑念が起っておる。これは私は当然だと思う。一体造船疑獄の際はどうなりました。件はどうなりました。河野一郎君の競馬馬はどうなりました。捜査の秘密に隠れて、このことがやみからやみに葬られているではありませんか。捜査の名前に隠れて、国民が知ろうとすることを隠し、国民があくまでも究明しようとすることをいつまでもやみに置いておくことは、決してこれは正しいこととはいわれない。今度の問題につきましても、あなたはさっき生田委員山本委員、さらに關谷委員質問に答えまして、警視庁は捜査中のことは外部には発表しない、漏れないようにしておると申しますが、すでに先ほど引用されました毎日新聞の政界に現金を贈ったという記事、「ふくみ益モミ消しに」と書いてある。この上には「島田自供」と書いております。内容を見ますと、自供したという断定した記事がある。さらにけさの朝日新聞の記事は、「国会議員廿氏を挙げる、島田自供・全講連の政治献金」この記事の内容にもはっきり自供したといっておる。そうしますと、意識的にそういう捜査の途中にある事件を外部に漏らしたのでなければ、警視庁の内部に、綱紀の紊乱からそのような秘密事項を外部に漏らす者があるというふうに疑われても仕方がないと思うのでありますが、その点に関するあなたのはっきりした御態度を聞きたい。
  143. 小杉平一

    ○小杉参考人 私どもはやはりただいま御指摘になりましたように、捜査に当っておる場合には、ただ捜査のための捜査ではなく、事件の真相を明らかにするために、疑惑を持たれておる事項について捜査をやっておるのでございます。従いまして、先ほどから決算委員会の各委員の方々から御質問を受けました事項は、ただいま捜査の続行中でございまして、そのことにお答えすることが、自後の捜査に支障があるから私は差し控えておるのでございます。従いまして、私どもはただ単に秘密に事を処理するという、そういうような考えで捜査はやっておらないつもりでございます。従いまして捜査の過程その他につきましても、捜査続行上差しつかえない限度におきまして、毎日、新聞社の方にも関係者は会見をしております。従いまして、私はそういう点からいたしまして、捜査上の秘密を守ると同時に、国民に対しましても、捜査の過程というものをある程度差しつかえのない限度におきまして、むしろ申し上げておるつもりでございます。従いましてただいま御指摘になりました点につきましても、十分に、私ども、何と申しますか、捜査の隠れみのに隠れてやっておるという意思は毛頭ないという点を御了承いただきたいと思います。
  144. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私は当然そうあるべきだろうと思うのです。国民はやはり新聞紙に現われた記事、あるいはラジオ等で放送されましたことは、無条件に信じておる。あなたの方で進んで新聞に発表し、ラジオに放送するというならば、その発表したことと新聞ラジオ等に現われた発表との間に万一食い違いがあった場合に、これに対する取り消し、その他訂正の申し入れをしたことがございますか。
  145. 小杉平一

    ○小杉参考人 もちろん事実と迷うような報道がなされておる場合には、新聞社に対しましても、これは事実と違うからということで訂正を申し込むことはございます。ただ今回の事件については、まだそういうことはございません。
  146. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そういたしますと、間違った場合は訂正を申し込むならば、訂正を申し込まなかった今回の事件の報道は、このまま真実として取り上げてかまわないのですね。
  147. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は非常に言葉が足りなかったのですが、報道が明らかに事実と違うという場合、訂正を申し込むと申しましたが、これもすぐ申し込む場合もありまするし、違っておるということを次の記事で事実上訂正をしてもらうという方法もございます。方法はいろいろあるわけでございます。従いましてそういうようなことで、今御指摘になりました記事につきましては、別にこれが違っておるからということは言っておりませんが、私どもとしては、果して捜査の過程においてそういうことを言うた方がいいのか、悪いのかという点につきまして、顧慮する場合が多々ございますことを申し上げておきます。
  148. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 顧慮している間に、何ということなしにほのめかして、新聞の書くにまかせておるといったような態度をなさっておるようでございますが、これは警視庁の綱紀の上からも念を押しておきたい。その点はどうですか。
  149. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は、何といいますか、新聞の方々も真実発見のために非常な努力をされておるわけでございまして、私は全面的にそれを否認することはもちろんございませんし、またわれわれとしましても、この捜査を続行しておりまする過程におきまして、漏らしては困るとか、今漏らしては困る、あるいはいつまでに漏らしては困るというようなことはあるわけでございまして、従いましてそれらのことにつきましては、よくわれわれの苦衷も記者の方にもわかっていただくよう努力をいたしております。従いましてそういう意味で、綱紀が紊乱しておるとおっしゃいますけれども、私はそういうようなことはないと確信をしております。
  150. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私は、報道陣の方に非常な苦労を払わして、ある一定の日がくるまで隠しておくという御苦労はわかる。しかしそれならむしろ誤まった報道が天下に出るより、正しい報道を一日も早く発表されることが一番正しいことではないかと私は思う。そうあるべきだと思う。もしほんとうに秘密主義をとらないならば、わかった範囲のことは最大限度発表されまして捜査上の応援を得た力が、むしろ私は捜査のためにもよろしいと思う。しかもあなた方の方は、捜査の必要からあまり重大視されませんが、政界に及んだ場合、その氏名などが発表されて、しかもあたかも警視庁が発表されたかのごとく、自供したというような確定した記事を書かれるならば、この人たちの政治的な地位というものは実に大きな阻害を受けるのです。この氏名を見ましても、社会党、自民党ともに党の幹部級まで書かれている。しかも警視庁は発表しない、新聞は自供したと書いている。私ども一今回は悲壮な決意を持っているのです。世間では、この問題も自民党、社会党ともに弱みがあるから追及もいいかげんにするだろう、こんなうわさが立っておる。私はむしろこの問題を日本の農政の建て直しのために、協同組合というものを本筋に返すために、たとえ与党、野党ともに痛手は受けようとも、根本的な秩序を建て直す悲痛な決意を固めました。本日は党の正規な会合においてこのことがきめられておる。むしろこの氏名の陰に隠れた大物が捜査線上に浮かび出るならば、おそらく今までの造船疑獄や、砂糖の問題、あるいは競馬馬事件等々のように、政治的な有力な圧力が加わって、警視庁もいいかげんに捜査を打ち切るであろうと国民は早くも失望の色を見せておる。従来警視庁に対して、これ以上は捜査しては困るといったようなもみ消し運動が、どちらの党からでもあったならばあったとはっきりこの席上でお答えを願いたい。
  151. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は今回の捜査につきましても、事態の真相というものをあくまで追及をするということが当然とられなければならぬと思いますし、またとっておるつもりでございます。従いましていろいろと苦労しておるさなかでありまするので、そういうことに関連をしてこの御批判があると思うのでございますが、私どものただやっておりますのは、法律上の罪といいますか、容疑があるかないかという点にしぼって捜査を現在やっておるわけでございます。従いまして、これまでこの事件に関連をして御指摘になりましたような、もみ消しといいまするか、そういうようなことを私は何人からも受けたこともございませんし、またそういう感じを受けたこともございませんことを申し上げておきます。
  152. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 実は、私はきょうはどうしても警視総監に出ていただいて、将来の捜査に対する基本的な方針と決意を伺っておきたかった。あなたはそうおっしゃるけれども、従来の例を見ましても、事件が大きく進展しまして、いわゆる政界大物の身辺に迫った場合に、政治的な圧力の加わることは、あの造船疑獄において犬養法相が指揮権発動をもってして議員の逮捕捜査を押えてきたではありませんか。そのためにうやむやになっておる。あなたがもし担当されないならば、私は警視総監にお出で願ってはっきり聞いてみます。あれだけ騒がれました河野前農林大臣の競馬馬に関する為替管理法違反、いわゆるやみドル事件は先般この席上で中村法務大臣が、あの事件はケリがついておらぬ、捜査を続けると言っておる。それがこの事件の起りました当時の農林大臣です。上にこのような為替管理法違反の疑いを受けるような大臣があって、下に多久島が出、河原が出る。上の好むところ当然下がこれを行うのであります。この事件後何年たっていますか。この間警視庁は河野前農林大臣のやみドル事件の為替管理法違反に対し、何回調べましたか。調べたことがありますか。この点をはっきり伺いたい。あなたが知らないならば私は警視総監の出席を求める。
  153. 小杉平一

    ○小杉参考人 為替管理法にとどまらず、そういう容疑が具体的にあればもちろんわれわれはそれを解明するために捜査はいたします。ただ、ただいま御指摘になりました方につきましては、私はまだいろいろ内偵いたしたかもしれませんが、いわゆる強制捜査等に移ったことはございません。
  154. 青野武一

    青野委員長 ちょっと申し上げます。ただいま井本刑事局長がお見えになりましたから、御参考までに申し上げておきます。
  155. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 容疑があった場合にはこれを調べると言っておる。しかしどうも容疑は、国民的な容疑と警視庁の容疑との上に感覚的なずれがあるわけです。この全購連問題、農林省の汚職問題、この裏に、表面には出てきませんが、政界大物のひそんでおることは、みなはっきり知っておる。一体この含み資産を作るに至ったカリの購入に当って、河野前農林大臣は行っておりませんか。同道したのはだれです。どこの商社が行っておりましたか。警視庁はそこまで調べたことはありますか。
  156. 小杉平一

    ○小杉参考人 お尋ねの趣旨がよく私のみ込めないのでございますが、私どもがやっておりますのは、法律的に見ての容疑を追及しておるのでありまして、まあ、ただいまのお言葉では、国民的容疑と警視庁的容疑と、こういうふうに分けておっしゃいましたけれども、私どもは法律的に見ての容疑に対しましてあくまでも追及をしていく、こういう立て方でございます。ただいま御質問がありました点につきまして、具体的にだれを調べたかという点につきましては、ちょっと私よくわかっておりませんのでございます。
  157. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私はそういうふうに逃げる態度の中に、今日の捜査というものが大物を常にのがして、課長、補佐級をじらさしておいて、最後には末端下僚の気の毒な連中を牢屋にほうり込んで、そうして事件の根本を、清めることができない日本の法制上の大きな欠陥があると私は思う。私が言ったのは前農林大臣の河野一郎君の、農林委員会等において競馬馬を追及されて、ワクのない競馬馬を種馬と称して、トロッターの軽種の馬と一緒にして持ってきたという、あのときに、前農林大臣自体、あるいは為替管理法違反になるかもしれません、とはっきり言っておる。この間中村法務大臣は、あの事件はまだけりがついていない。これから捜査をいたします、と言っておる。あなたはそういう大物を調べる役ではないのでしょう。どうです、この点は……。
  158. 小杉平一

    ○小杉参考人 競馬馬とおっしゃいますけれども、私ども警視庁としましては、あの事件に、あの事件といいますか、別に法律的な容疑をいろいろ研究はいたしましたけれども、やっておりません。
  159. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 研究をしたならば、どういう結果であれが為替管理法違反にひっかからないのですか。馬三頭で五百万円です。伝えられるやみドル事件、国会議員一人がもらったやみドルのおよそ五十人分です。馬の方が高いじゃないですか。そういう大きなやみドルの馬を輸入しておいて、これが為替管理法違反ではなくて、ほかの小さな問題だけが、やみドル違反でひっかかっておる。  井本刑事局長にお聞きいたします。実は先般この席上で、あなたも出席しておられたが、為替管理法違反で、前農林大臣河野一郎君が例の競馬馬輸入に関しまして、大きな疑惑を受けておりますが、それは一体どうなったかという私の質問に対して、中村法務大臣みずから、あの問題はけりがついていないと言っている、捜査をすると言っている。これははっきり速記録に載っておりますから、あなたも聞かないとは言わないでしょうが、今警視庁の小杉刑事部長に聞いてみますと、まるでそんなことは夢にも知らないような、もってのほかという答弁である。これは一体どうなんです。
  160. 井本臺吉

    ○井本政府委員 お答えいたします。河野一郎氏の競馬馬事件と称する事件は、告発が出まして、その告発に基きまして検察庁で取調べをしているわけでございます。その結論はいまだ出ておりませんので、おそらく先般中村法務大臣から、さような御答弁があったと私は考えております。
  161. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 重ねて伺いますが、検察庁がやっているのであって、警視庁とは全然連絡してない、このように理解してよろしいのですか。
  162. 井本臺吉

    ○井本政府委員 その詳細を私は確かめて参らなかったので、警視庁がどの程度関与しているか、ただいまここで明言いたしかねますが、検察庁では確かに取り扱って調べております。
  163. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 重ねてお伺いいたしますが、この間農林省の肥料課長の檜垣徳太郎という人を警視庁は取り調べている。この結果、この肥料課長がカリ輸入のために欧州に渡航した場合に、せんべつとしてやみドルで全購連から贈与を受けている。これも新聞記事でありますが、どうも刑事部長は新聞記事を信ずるがごとく、否定するがごとく、あるいはまた否定せざるがごとく、まことにニュアンスに富む答弁でありますが、こういう事実がなかったとは言えない。このせんべつは肥料課長級までもいったのですから、同行されました河野当時の農林大臣にも同じようなせんべつが出たと国民の常識は疑っている。われわれも疑っている。このせんべつを河野一郎君が受け取っているか受け取っていないか、一回でも疑われたことかございますか、刑事部長。
  164. 小杉平一

    ○小杉参考人 御指摘の檜垣某につきましては、取り調べた事情を聞きました。これはやみドルの出所から探求をしていっているからでございますが、現在のところそのほかの、いわゆるおっしゃいます上の方の容疑は出ておりません。
  165. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 容疑は出ていないと言いますが、疑いを持つのはあなたの方でしょう。捜査側の感覚でしょう。一肥料係長にせんべつをやっておいて、その肥料課長の上にある前農林大臣にせんべつをやったのかやらなかったのか、これはあなた方の捜査上の感覚の問題である、容疑感覚の問題であると私ははっきり言いたい。あなた方自体疑ったことはないのですか。
  166. 小杉平一

    ○小杉参考人 疑ってみたことはないかというお話ですが、私は語弊がありますが、すべて疑います。疑っておりますが、まだいわゆる容疑として出てきていない、こういうことでございまして、先ほど言われました警視庁的容疑と国民的容疑と、私は容疑という点からみれば一致すると思っております。
  167. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この問題は一課長課長補佐をひっくくって牢にぶち込んでみたって、解決のつく問題ではない。今回の全購連の汚職問題、農林省の汚職問題の裏にはわれわれの感覚ではもっと大きなものがひそんでいると思う。これは砂糖の事件に飛び火するでしょう。あるいは通産省にいくかもしれない。それを一大決意をもって捜査に当らなければ、この事件もまたやはりうやむやになることは当然である。あなたはまるでシカを追う猟師が山を見ないように、小さな全購連や農林省の役人あたりをいじめておるかもしれませんけれども、井本刑事局長、一体この事件が大物に波及した場合に、従来のようにうやむやにほうむってもかまわぬといったような気持か、徹底してやるつもりか、国民の疑惑を解くためにはっきり御言明願いたい。
  168. 井本臺吉

    ○井本政府委員 犯罪の容疑が出て証拠が上りますれば、いかなる方といえども私どもは厳重に検挙します方針を貫くごとにおいてはあとに引かぬつもりでございます。
  169. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その決意がおありならば、私は少くとも今日の天下の世論を聞いてごらんなさいというのです。決して事件の核心はああいう一課長やら課長補佐級にあるとは考えておりません。われわれは政界にかけられましたさまざまな疑惑を一掃するためにも、今後の政界を浄化するためにも、この際国民的な世論をになって、断固あなた方も最後まで摘発の手を進めてもらいたい。国会は国会として犯罪捜査とは別な観点からこの問題は十分突き上げますが、残念ながら警視庁の態度は、犯罪捜査にはあるいは忠実なものかもしれませんが、少くともこの犯罪をなくするための、国政に対する協力の態度とは私は思われない。幾ら捜査上の必要があるといっても、なし得る範囲はあるはずです。これまでも新聞紙等に対しては差しつかえのない範囲で発表したそうでありますが、末席におきましては、初めてこの事件に対して警視庁の関係の方の御出席を願っておる、どうか現在発表し得る範囲内でもかまいません、事件の全貌を誠意を持ってここで御説明願いたい。
  170. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は国会の委員会でいろいろと建設的に御努力をされておることにつきましてはまことに同感にたえないのでございまして、従いまして事件の全貌をここに説明せよ、こうおっしゃるわけでございいますが、事件はただいま全購連の業務上横領という容疑で理事者二名以下係官を逮捕して、取調べをやっておるところでございます。それに関連をいたしまして、農林省の係官との間の贈収賄といいますか、そういうような点の証拠固めをしておる段階でございます。具体的の逮捕された人なりあるいは容疑の大体の内容なりは新聞紙上で御承知通りでございますが……。
  171. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちょっと進行について。発言中ですが、私はこの際御答弁に対して一つ注文をつけたい。あなたは新聞紙上で御承知通りでございますがと申されますが、さっきあなたは新聞記事を否定も肯定もしないのです。われわれが無条件に新聞報道を信じておるならばあなたに質問いたしません。さっき生田委員質問に対して肯定も否定もされてない。だから新聞記事があなたの目から見た場合に、全面的に信頼できないものであるならば、私は新聞記事、ラジオ等にかかわらないあなた自体の発表としてはっきり記録にとどめて事件の全貌を知りたい。これが警視庁の発表した真相であるということを天下に向って発表してもかまわないように、あなたの口からはっきり責任ある答弁をを求めたい。新聞で知ったろうとかラジオで知ったろうとか、これはあなたに言われなくても私たちも知っておるのです。そういうことではなくして、どうかあなた自体の発表を願いたい。
  172. 小杉平一

    ○小杉参考人 ただいま言葉が足りなくて申しわけありませんでしたが、逮捕した人であるとかあるいはその容疑という点については、新聞記事で御承知でありましょうが、こう申し上げまして大へん失礼をいたしました。  最初三月二日、全購連の河村秀郎という職員が使い込みをしたという容疑で逮捕をいたしまして、取調べを進めたわけでございます。その間に本人が詐欺を働いておる共犯と申しますか、これは太陽自動車の東海林という人でありますが、そういう人の容疑が出て参りまして逮捕され、さらに福池正一という人も続いて逮捕され、そうして調べて参りましたところが、全購連の内部におきましての職員の業務上の横領といったような容疑が出て参りまして、主計課長の河原という人、あるいは経理部長の立岩という人、さらに本月に入りまして常務理事の島田、宮下、こういう方の令状が出まして、ただいま河村につきましてはすでに起訴になり、立岩につきましては数日前に起訴になり、目下捜査を続行しておるところでございます。従いまして、そういう容疑でございますから、私どもは取調べの過程におきましてもできるだけ任意捜査を原則にいたしまして、やむを得ぬ場合に身柄の拘束ということでもって捜査を進めておる次第でございます。
  173. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうも食い足らないような御答弁ですが、一体その後にも逮捕された人があるのですか。現在まであなたは十名足らずの者が目下取調べを受けておると言っておるが、あなたの説明に上った人の名前はわずか三名です。あと以下数名と言わずに、はっきり御説明願いたい。新しい事実として私は承わりたい。
  174. 小杉平一

    ○小杉参考人 実はきょうは新聞記事の問題だというので、メモを持ってなくて申しわけないのですが、今申しました者を調べておりますうちに、全購連からやみドルが流れておるという容疑がございまして、そこで燐酸肥料課の課員の寺田という人を逮捕いたし、そのやみドルを調達いたしました先のエール・フランスの職員狭川という人、あるいは東急航空に勤めておりました太田という人、あるいは西谷という人、こういう人をそれぞれ令状を得て逮捕し、さらに農林省関係では農林経済局肥料課の課長補佐海内藤作氏を収賄の容疑で逮捕して現在調べておるわけでございます。
  175. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 全購連と農林省のはわかりましたが、そのほかに商社関係の方にも若干あるように伺っておりますが、それは捜査上だめですか。
  176. 小杉平一

    ○小杉参考人 商社関係もいろいろ慕情を聞くために任意に事情を聴取しておる者は、これはございます。それからまたさっき申し落しましたが、第一肥料株式会社の木倉という社長さん、この方はやはり海内に対する贈賄容疑で調べております。
  177. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっきから聞いていると、この事件の核心に迫る中心人物としての疑点のかけ方が、われわれとあなた方とでは若干今の段階では私はずれているように考える。この際あなたにはっきりお伺いいたしますが、あなたの方の捜査の容疑と国会等における審議の線とが今の御説明だけでは少々ずれている、あなたはこの問題に対して国会等においてなされている論議あるいは委員会の速記録等をごらんになったことがあるのか、どういう疑点が浮かんでおるか、どういうことが問題になっておるか、これを捜査の一資料としてでも目を通されたことがございますか。
  178. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は国会で論蔵をされました点は、新聞承知しておりますことと官報の速記録等を拝誦しております。
  179. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 委員会の審議は官報には載らぬはずでありますが、委員会の速記録は全然もらっておりませんか。
  180. 小杉平一

    ○小杉参考人 私のところでは当決算委員会あるいは法務委員会ですか、そういったところの議事録でございます。こういうものか回って参りますので、よく拝読いたしております。
  181. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そういたしましたならば、全購連がやみドルをもって贈ったせんべつを受けた人間の中に相当大物の名前がはっきり出ているはずですが、これにあなたは少しも疑念を持たれなかったか。どんな小さな事件でも、その辺のおかみさんたちはむろん、子供の言葉まで拾って聞き込みをされているのが現在の日本の捜査方法だと聞いておる。そんなこまかい配慮を持つものが、遥々と国会の委員会等で質疑応答の間に出てきたせんべつを受けた人間を、あなたはさっきから見ると少しも念頭に置いていないらしいが、これはどうです、見落しですか。
  182. 小杉平一

    ○小杉参考人 まあ国会の速記録等でそういう方の名前をいろいろ拝見をしておりますが、私どもの捜査上のもちろん参考資料として私どもは活用をいたしております。
  183. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林省に対する質疑はあとに譲りまして、同僚委員質疑もございますから、私はあと一、二点にとどめておきますが、井本局長にこの際私は伺っておきたい。どうもさっきから小杉部長にいろいろ各委員から質問されましたが、この捜査については何らか自信ありげで、私たちの見るところによりますと、警視庁の独断的、独尊的な態度が非常に見える。ところが従来の財界、官界、政界を含んだいわゆる疑獄、汚職の摘発につきましては、今日の日本の政治をもってしては、決して、警視庁や検察庁だけでは徹底的な糾明が行われなかった。しかもそれが一たび、政界方面に出ますと、思わざる圧迫が加わってきた実例はたくさんございます。さっきも申し上げておきましたが、造船疑獄における犬養元法務大臣の指揮権発動の問題、これに対して国民は全く割り切れない、この問題もおそらくは少数の犠牲者、少数の人間を刑務所に放り込むだけでまたやみからやみに、国民の疑惑が解けないままに残されるであろうと今から心配している、私はそうあってはならないと思う。すでにわれわれの同僚があるいは与党の大政治家の名前が新聞紙上に疑点を集められて伝えられておる、この際われわれもはっきりした決意をもって、こういう疑わしい問題は徹底的にまず調べ上げる必要を感ずる。それについては法務省としましてもあくまでもはっきりした態度をもって、特につい先般この席上で法務大臣か答えられた前農林大臣河野一郎君の競馬馬に関する為替管理法違反は何をおいても速急に始末をつけてもらいたい。と申しますのは、河野農林大臣は事件が起った当時の農林大臣であります。現農林大臣の井出一太郎君は当時の農林委員長です。しかも法務大臣みずからがまだ事件のけりがついていない、これから調べるのだと言っておった当時の農林大臣の為替管理法違反をそのままにしておいて、一体その下の為替管理法違反、やみドルの調べができますか。まず手をつけるなら大物から手をつけなさい、大きなもの、権力のある者、上に立つ者には一つも指を染めること、かできないで、末端の者をいじめるといった従来の日本の法制上の問題、捜査の問題、警察の問題、これはこの際徹底的に粛正してもらいたい。われわれも自粛します。少くともこれだけ疑惑を受けた、これだけ多くの農な大民に日本の農政の根本を疑わせるよう事件に対しては、従来のようなだらしのない態度で臨んでもらいたくない。さっきあなたはよく調べて答弁すると申しましたが、私はあらためて法務大臣にもあるいは警視総監にも質問いたしますが、一体いつまでにこの取調べの結果を報告ができるか、あなたに伺いたい。
  184. 井本臺吉

    ○井本政府委員 河野一郎氏の競馬馬の事件でございますが、これは御承知通り関係者がアメリカなどにもおりまして、その調べにも相当手間をとっております。従って時間がかかっておりまするが、そう長い時同をとらずにある程度の結論段階に達すると存じます。  それから犯罪捜査のことを申し上げてはなはだ恐縮でございまするが、とにかくわれわれは、終局に裁判所において判決を得られる程度の証拠がなければ関係者の身柄の逮捕などはできないのでございまして、一般的にどうもあれは怪しいという程度では、本人の犯罪事実としてこれを取り調べるというわけには参りません。従って脇から見ておられますと非常にまどろこしいようにお感じかと思いますけれども、われわれの方では一歩々々着実に、とにかく容疑をかけるのにはかけるだけの十分な理由をもって調べていくのでありまして、容疑をかけた上におきましては必ずある程度の結果を得るように努力をいたしております。また容疑がかかりますれば、先ほども申し上げましたように、それがたとえいかような地位の方でも、その地位によってあとへ引くというようなことはございません。ただ残念ながら人の関係予算関係などで全部が全部の事件に手が回りかねるというようなことで取調べこぼれ落ちがあることは、これは人聞のやっておることでございますからやむを得ないと存じますけれども、なおさようなことのないように、とにかく正義が世の中に行われるように、われわれはこの上とも努力して参りたいと考えております。
  185. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたのその気持はよくわかるのです。捜査と申しましても、街頭ですりやかっぱらいを働くような犯罪と、一流の料亭の奥深くで十分たくらんで政界財界のおもだった者が集まって慎重に謀議をこらす犯罪とでは、おそらく捜査の形は違うだろうと思うのです。またあなた方自身非常にやりづらいだろうと思う。われわれは犯罪捜査が任務じゃございません、けれども、日本のこの種の問題に対する国民の不信を挽回するために協力するにやぶさかではありません。私このやみ為替の問題をまずあなたに速急取調べることを要求するとともに、先般の委員会において問題となった全購連のせんべつの行く先として、私はやはり前農林大臣河野君が働いていると思う。当然のことであります。この点についてもはっきりあるかないか、これは河野君のためにもこの際早急に私は明らかにしてもらいたい。前農林大臣河野一郎君が、今問題になっております海内というあの課長補佐を帯同し、しかも肥料の商社までも一緒に東独の手配に行った場合、果して全購連からせんべつが出ておるか出てないか。この一点だけをまず明らかにして、できるだけ早く委員会において答弁されますように要求いたしまして、農林省に対する質問はあとでやります。
  186. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 関連して小杉部長にちょっと聞きますが、さっきあなたは同僚委員質問に答えて、やみドルの出所を捜査中、農林省の檜垣肥料課長について、上司ですか、それの方への疑いを持った、こういう御答弁があったのですが、これをもう少し具体的に言ってほしいのです。つまりそれは農林省関係という意味なんですか、どういう趣旨なのでありますか。
  187. 小杉平一

    ○小杉参考人 私が申し上げましたのは、その捜査をやっておりますときに――海内というのは御承知課長の下におるわけでございます。従いまして課長の統制下にある人であるから、まあ課長にもあるのじゃなかろうかという一般的な疑いはもちろん持ちましたし、さらにあるいはその上の方にもあるのではないかという一般的な疑い、何と申しますか、国民的疑いを持ったわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、そういう捜査官としてのいろいろな疑いをいかに具体的に証拠でもって確保していくか、こういうことで捜査をやっておるわけでございます。
  188. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当時の農林省の上層部、これはあとで犯罪になるとかならぬとか、あるいは疑いか消えたかいなや、これは別といたしまして、あなたの当時の心理的な現象としましては、一応上層部の方へ持った、こういうふうに了解していいのでありますか。
  189. 小杉平一

    ○小杉参考人 私が心理的にどういうふうに疑いを持ったかというお話でございますが、とにかく一応捜査官としては可能な限り疑いを持つ。そしてそういう疑いが果して法律上確実な疑いであるかどうかということにあとづけていくといいますか、そういう表現はどうかと思いますが、そういうことでありますので、やはりその当時のことを思い起して一般的に可能な疑いをかけるというのは、これはおわかり願えると思うのでございます。
  190. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 疑いですから、疑いということは事実であるのか、あなたの心理的な内容に終るのか、それはわかりませんが、その疑いの中には一億円に近い現金が動いたというようなことは、疑いかまぼろしか、何でもいいのですが、そういうものはなかったでしょうか。九千万円でもいいです。
  191. 小杉平一

    ○小杉参考人 ちょっとよく記憶をしておりません。
  192. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 疑いの対象であるのかないのか知りませんけれども、倉内という人間の名前はあなたの頭の中にありますか。
  193. 小杉平一

    ○小杉参考人 倉内というのは、私ちょっとわかりません。
  194. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 石橋という人間の名前はいかがでございますか。
  195. 小杉平一

    ○小杉参考人 石橋というのも、どの石橋さんかよく覚えておりません。
  196. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは、さきに商社を呼んで、いろいろ商社から事情を聞いた、こういうふうに御答弁になっております。その呼んでいろいろ事情を聞いた商社とは、一体何という商社なんでありますか。
  197. 小杉平一

    ○小杉参考人 先ほど申しました第一肥料物産は呼んで聞いたわけでございます。あとはちょっと………。
  198. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 第一肥料を聞いたというのはお述べになりましたが、そうではなしに、これは東独の関係が中心になるだろうと思いますが、その際にいろいろな商社――いろいろな商社とはおっしゃらぬが、商社からいろいろな事情を聞いた、商社まであなたが呼んでおるかという同僚委員質問があったのですが、これは呼んで事情を聞いてみた、こうおっしゃっておるのだから、犯罪容疑の対象でなかったかもわからぬ。それならかまわぬだろうと思うのですが、どういう商社なんでありますか。
  199. 小杉平一

    ○小杉参考人 それはやみドルの関係で、先ほど申しました東急航空の人とか、エール・フランスの人は逮捕いたしまして、そういうような会社でごいざます。
  200. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 商社と称するものはそういうものですか。その砥かに肥料を直接扱う商社、たとえば外国からカリなどを輸入する商社、これもずいぶんにたくさんあります。この商社も、疑いをたくましゅうすれば、事情を聞く対象にはすぐなる商社になろうと思いますが、この方はいかがですか。
  201. 小杉平一

    ○小杉参考人 第一物産は聞きました。
  202. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 日綿、伊藤忠、東京食品などはどうですか。
  203. 小杉平一

    ○小杉参考人 まだ聞いておりません。
  204. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 第一物産はスペインからカリを輸入しておる商社であるということは、御承知だったのですか。
  205. 小杉平一

    ○小杉参考人 肥料の貿易をしておるということは、係官も知っております。
  206. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やみドルの問題につきまして輸入商の関係、これは輸入商になりますと、みずからドルを貯蔵保管し得る権利が付与されておるかと思いますが、そういう方面については、あなたの方は事情をお聞きにならなかったでしょうか。
  207. 小杉平一

    ○小杉参考人 現在までのところ聞いておりません。
  208. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではもう一つ、全購連の者あるいは農林省の、そのいずれでもよろしゅうございますが、あなたの方、警視庁が任意出頭を求めたのに対して、相当しかるべき人が、待ってもらいたいということを警視庁に申し入れた事実はございましょうか。
  209. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は承知いたしておりません。あるいは係の方にそういうあれがあったということであるかもしれませんが、私は全然知りません。
  210. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういうことは普通あり得るのでありますか。その点いかがですか。弁護士として事情を述べて、そのようなことの申し出はあろうかもわからぬが、弁護士でない場合に、それはあることなのですか。
  211. 小杉平一

    ○小杉参考人 それは正当な事情を申し出ることはあると思います。きょう都合が悪いということを申し出ることは、これは私はあると思います。
  212. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今回の場合に、しかるべき人が、あなたもしくはあなたの方に、何かそれに類似したことを申し出た事実は、あなたは今記憶していない、あなたは関与していない、こういうことなのですか。
  213. 小杉平一

    ○小杉参考人 さようでございます。私は先ほど申しましたように、全然知りません。
  214. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、あなたは関与しなかったが、やはり閣僚の経歴のあるような人のこういうことをうわさにでも聞いておりませんか。
  215. 小杉平一

    ○小杉参考人 寡聞にして、聞いておりません。
  216. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 話はちょっともとへ戻るのでありますが、最近の問題ですけれども、決算委員会に対して何か汚職的な話があったかいなか、そういう案件を一体警視庁は取り調べたことはあるのですか、今回の事件を中心にして。今回でなくても、ここ一両年来、衆議院決算委員会で……。
  217. 小杉平一

    ○小杉参考人 申しわけありませんが、よく私記憶しておりません。
  218. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういう問題は、やはりあるとかないとか、あなたは刑事部長であるから相当責任がおありになる。記憶しておりませんというようなことは、個人的な答弁になるけれども、一つの捜査官庁の代表者としましては、それはまことに不十分であります。やはりあるとかないとか、明確にせねばいけません。国会における参考人の答弁であるから、知らないというのもまことに不見識だし、記憶しておらぬというのも、まことに意を尽さないことであります。なければないと言って下さい。あればあると言って下さい。これが一番最初の質問の一つの問題点であります。なければ大へんけっこうであるし、私どもは過去において、造船疑獄の際に、決算委員会の籍を持っておった者が小菅に行ったような事実もあったのであります。そういうことにもかんがみまして、やはりこういう問題は、記憶がありませんとか何とかいうような程度では、まことに誠実でないと思います。
  219. 小杉平一

    ○小杉参考人 まことに申しわけありません。調べましてお返事をいたします。
  220. 今澄勇

    今澄委員 関連して。私ちょっと伺いますが、その内海という人が収賄事件で金をだいぶ持っていっておるように出ておるが、今までの調べでは内海という人がもらった金は幾らですか。
  221. 小杉平一

    ○小杉参考人 内海という人は調べておりません。海内という人は調べております。
  222. 今澄勇

    今澄委員 海内です。
  223. 小杉平一

    ○小杉参考人 内容はまだ今確定しつつありますので、申し上げられません。
  224. 今澄勇

    今澄委員 この海内という人と東京食品の肥料部員で落合正夫という人がおるが、これは捜査の上で関越が出ておるかどうか。これは東京全品という会社から、もし海内という人に連絡かあるならば、――使いに立っておるという情報を私どもは得ておるが、あなたの方の捜査で浮んでおるかどうか、浮んでいなければ、一つ参考までに持って帰ってお調べを願いたい。
  225. 小杉平一

    ○小杉参考人 ちょっと私自身は存じておりません。帰りまして、よく参考にいたします。
  226. 今澄勇

    今澄委員 もう一つ聞きますが、伊藤忠の油糧課長で、岩田守武という人がおります。この人は今の海内の収賄事件に関係しておるかどうか、これは海内という人と非常に親交のある仲だから、私は念のために聞いておくかあなたの捜査線上に浮び出ておるかどうか。
  227. 小杉平一

    ○小杉参考人 これも私ども存じません。
  228. 今澄勇

    今澄委員 私はあなたにちょっと申し上げておきますが、この全購連の事件というのは、今言ったやみドルであるとか政治献金であるとかというのはものの本筋を突く事件の核心ではない。これは東独カリ輸入にからむ伊藤忠、それから東京食品、日綿実業、等々とこの海内という肥料課長補佐との間に行われたいろいろの金のやり取り、さらにその背景をなす従来日綿実業か東独カリ輸入の中で五割を占めておったのを、河野さんが農林大臣になってから日綿実業の割当が三割に落ちて、わずか三%であった伊藤忠が一一%にはね上り、わずか五%であった東京食品が一一・八%にはね上っておるというこの背後には――そういう東独カリ輸入で従来八社であったものを、河野さんか大臣になってからこれを五社に減らしておる。なおもうちょっと詳しく申し、上げますと、西独から輸入の商社は従来五社あった、これを四社に減らした。フランスとスペイン地域の六社は、これを三社に減らしておる。東独地域は八社あったものを五社に減らしておる。米国は大倉商事と江南株式会社と一社あったものをそのまま据え置く、結局大臣が農林行政、肥料の輸入を担当する際は、こういう今までの実積あるものを減らすと言うと、減らされては困るから、そこに運動が起きるわけだ、そういう運動の中心になったのが海内という人であった。だからその海内という人に出された収賄の金というものは、その背景にある大きな政治的権力を持っておる人と、さらにその背景をなす大きな会社との間の取引がなくては了解ができないのです。だからあなた方は今私が聞いておると、やれやみドルがどうとか、やれ何とか言われるけれども、警視庁としてはそういう背景をなすそれらの伊藤忠、日綿実業、さらに東京食品というような会社についてなぜ調べておらぬのか。なぜ海内という人の収賄については、その人に贈賄した人々について調べておらぬのか。こういう点が本件が捜査途上であるから、私は警視庁の捜査を援助する意味において私どもの情報に入ったものを申し上げるのであるが、これらの件については今まで全然取り調べておらぬのか。全然呼んでならぬのか。容疑も全然なかったのか。ちょっと御答弁を願いたいと思います。
  229. 小杉平一

    ○小杉参考人 この海内の容疑は収賄の容疑でありまして、その内容等については先ほども申しましたように私から申し上げられません。ただいまはいろいろありがとうございました。
  230. 今澄勇

    今澄委員 私は少くとも社会党の議員が新聞紙上に名前が出て、わずかばかりの陣中見舞やドルの餞別で、いかにも全購連肥料汚職の主流をなしておるかのごとき印象を与えることは、どうも残念です。だからこの機会にもう一歩あなたに教えておくが、警視庁はもっと事件の本筋を調べて、とんでもない末節の方をあまり主流であるかのごとく勘違いをしないようにしてもらいたい。その第一は、東京食品においては、東京食品の政治献金的な金銭の取扱い、そういうものの責任を持っておるのは、取締役にして肥料部長本多重兵という人がおります。この人がこれらの総責任者で全部の指揮をいたしまして、その下に肥料部員の落合正夫という人がいて、これが走り使いをいたしまして、その間の奔走をいたしておると私どもの情報ではキャッチしておるのであるが、警視庁はこの問題について十分御調査をされて、事件の核心についてももう少しあれされたらどうか。伊藤忠については、社長の小菅宇一郎、専務の井院長三郎という人が、外国部長の宮内俊之という人を交えて、すべてこれらの問題については協議をいたされて、その間の走り使いは油糧課長の岩出守武という人が連絡に当って、こういった政治問題の推進一をいたしておると伝えられておるから、これも私はあなたに申し上げて、警視庁はもっと事件の本筋にメスを加えて検討したらどうかと思う。なお日綿実業については、東京駐在の担当常務石橋鎮雄という人がいる。それが日綿実業のこういった肥料の輸入その他政治関係の担当者である。その石橋常務がすべての責任を負うて担当されておった。それで従来東独のカリの輸入については、日綿実業が東独の一手販売の向うの元締めと独占契約をして、それで日綿実業か東独の肥料については一手で入れるということになっておった。それを河野さんが農林大臣になってから、東京食品、これは大日本飼料を通じて河野さんと知り合いの会社であるが、東京食品と伊藤忠が中心となり、日綿実業をずんとけ落して、日綿実業は今日では幹事会社ではない。今度新しくできた組合の幹事会社は東京食品、副幹事会社は伊藤忠なんで、従来これほど実績を持っておる日綿実業は監事会社にもなれないで、てんで打ちとられて、輸入量も減って非常な打撃を受けておるわけだ。こういうカリ輸入の行政上の大きな打撃を与えられたものと、大きな利益を得たものの上に、この海内という人が間に介在して収賄事件をなしておるということは、あなた自身がすでに承知であろうと思うが、われわれはそう見ておるのです。だからあなたの方は、この海内という人の調査については、新聞に漏れて、それは社会党の人も自民党の人もあるいは名前が出るかもしれぬが、それは出てもいいが、肝心かなめの一番事件の中核をなす主流の情報は一つも流れないで、派生的なやみドルや餞別や陣中見舞などというようなものが、この事件の多きな核心であるかのような報道をされるに及んでは、私どもは黙っておれない。だからどうかこれらの点については、十分あなたの方では調査をして、そうしてこの東独カリの割当量、それから今の組合結成指導権の移り行き等の内紛、日綿実業と伊藤忠、東京食品との対立、並びにその背後にある内紛というものを皆さん方におかれては十分調査した上で、そしてこれは全購連の疑獄からあなたの方はカリ肥料にも手をつけ、砂糖の方にも手をつけているという話だが、芝浦精糖も一ぺん帳面を押えて、どういう関係で芝浦精糖が問題になったかという点もお調べを願わなければいかぬか、あまり戦線を広げてもいかぬから、私はこのカリの輸入問題だけについてあなたに私どもが聞いておる一つの情報をこの際申し上げて、事件の主流を核心はどこにあるかという点について、御調査上の便宜をこの決算委員会の席をかりて供与したい。  なお河野農林大臣が海内さんと一緒に旅行をしたときに、現地において日綿実業の割当を非常に苦しくし、東京食品と伊藤忠の便宜をはかるために打ち合せた人たちは、東海硫安の営業部長の越田覚造、農林省の肥料課の海内、大日本飼料の河田という人、伊藤忠の油糧課長の岩田守武という人、さっき申した東京食品の本多重兵氏等々が十分な連絡をとって、これらの問題について緊密に協議が行われておると私どもには考えられる。だから警視庁はこの全購連の汚職の本体はそういった全購連がやったいろいろのものもありましょうが、今言う海内という課長補佐を通じて起っておりますこれらのカリ肥料の割当と、それに活動しておりますこれらの人々との関連を一つ十分御調査願って、私はこういう問題を根本的な正しい立場から警視庁が取り上げて捜査をせられるということを要望して、御参考資料として申し上げて、これで終ります。
  231. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちょっと簡単に、関連して小杉部長に念を押しておきます。警視庁で今全購連事件として手をつけておいでになりますものは、半作別にしますとどういうことになるのでありますか。
  232. 小杉平一

    ○小杉参考人 容疑は詐欺が一つと、業務上横領、外国為替法並びに外国貿易管理法ですか、それから贈賄、収賄罪、いわゆる涜職罪でございますが、その容疑でございます。
  233. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農林省関係、全購連関係、それから商社関係はまだ今のところ上っていないですね。
  234. 小杉平一

    ○小杉参考人 今上っておりますのは第一肥料が贈賄した、これは贈賄の方になります。
  235. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なお国会関係というものはあるのですか。
  236. 小杉平一

    ○小杉参考人 ちょっと記憶しておりませんが……。(「記憶してないなんて、そんなに頭が悪くない、だろう」と呼ぶ者あり)いや、まだ記憶しておりません。ちょっと何とも申し上げられません。
  237. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからもう一ぺんだけ伺っておきたいの、だが、実は過日来だんだんと新聞、報道はいろんな事件の状況を伝えておるのですが、とりわけけさの大きな報道につきましては、国会に対しまして非常に衝動を与えております。これはどこから出たか存じませんが、あなたは警視庁の刑事部長でおありになるので、部下の捜査につきましてもだんだんと指導監督をしておられる立場なのでありますが、こういうことが出ますと、あなたの感想としては相当深刻なものがあるだろうと思うのですか、それはいかがでございましょう。
  238. 小杉平一

    ○小杉参考人 私はけさ新聞を見てびっくりをしたのであります。と申しますのは、先ほど当委員会でも申しておりますように、被疑者の自供の内容として報道されておりますので、非常な衝動を受けるとともに、私は私並びに部下の者がそういうことを外部に漏らしたのではあるまいかという、何と申しますか、一つのおそれを抱いてすく調査をいたしたのでありますが、まことに私は非常な衝撃を受けましたことを申し上げます。
  239. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの衝撃もさることながら、やはり国民全体の衝撃は大へんなものであります。申し上げるまでもなく、あそこに名前が出た人は、少くとも三万、五万の有権者の投票によって出てきておる人のみであります。従って何十万という人が彼らを支持し、もしくは選挙区におきましては、それぞれの行動を非常な注意をもって見守っておるわけなのであります。そこであなたの方は法律によって人を調べておる。今仰せになったいろいろな事件がある。そういう中で直ちに記事が即犯罪のごとき印象を国民に与える、こういう点につきましては、第一に真偽いかん、それからかりにそういう事実があったとしても、それが犯罪になるかならぬかわからぬ、あるいはどういう価値があるものかわからぬ、にもかかわらず、海内が収賄し、すでに起訴された人々の横領の事実、そういった者と類似の、同列の、同じようなともかく印象を受けるわけであります。これが社会ですよ。あなたのように法律に詳しい、精細な手続をやっておられる人と常識は違うのであります。常識というものは、そこは何と言いますか、粗雑に問題を簡単に頭に入れます。そういうふうに思いますと、何もかも一緒くたに判断いたしますから、あなたの部下が調べたものか流れていったということになりましたら、そうしたものを引っぱり出した者のいかんにかかわらず、あなたの方としてはほんとうに第一申しわけないとせねばならぬと思います。やっぱり捜査の秘密というものは、何も捜査官の利益のためはかりじゃありません。あなたのさっきの話を聞いておりますと、言うたらあとの捜査に支障を来たしますから、それだけなのです。そんなこと、だけじゃありません。やはり国民の権利を守る意味におきまして、これは重大なことだと思います。そういうあらゆる角度から考えまして、私はやはり捜査のお立場という点につきましては、もっと厳格な態度をもって臨んでもらわなければならぬと思うのであります。ことに淡谷委員がだんだんとお尋ねしたごとく、元閣僚なりしがゆえにかどうか知りません。参考人がアメリカにおるためかどうか知りませんけれども、大きな事件として扱われて、今なお解決しないというような事件もある。こういう矢先なんですから、呑舟の魚を逸するというような印象を国民が受けて、複雑な気持で見守っておるのですから、こういうときに新聞の報道があたかも直ちに犯罪と結びついて、どんどんと流れて出るというようなことは、とんでもないことではないかと私ども考えておるのであります。あなた自身は最高の責任者でないのだから、そう追究しても限度があるのでありますけれども、しかしいずれにしても、上よりも現場が一番大事です。その現場を直接見ておるのはあなたなんです。こういういきさつにつきましては、相当明快に責任をもって答弁するという態度でなければとてもたまりません。国会もたまらないし国民もたまらぬし本人もたまりません。こういうことなんですから、あなたとして、どういうふうにお考えになり、かつなさらんとするのか、これを一つはっきりしておいてもらいたい。
  240. 小杉平一

    ○小杉参考人 捜査に当りまして、ただいま仰せになりました過程において、捜査上の都合はさることながら、いわゆる人権と申しますか、こういうものを尊重しなければいけないではないかというおさとしでございます。これはわれわれ捜査官はまことに当然そうなければならぬ、かように考えておるのでありまして、いろいろと捜査上のことにつきまして、公判にでも出てしまえばこれは問題はないのでありますが、そこまでいかないうちにおきましては、先ほど私の言葉が非常に足りませんでしたが、人権ということも十分考えて措置をしておるつもりでございます。  けさほどもそういう新聞記事がありまして、私は最高責任者である総監から、お前かお前のところの部下が出したのではないかといって大へんおしかりを受け、人権上十分注意をせよというおしかりを受けまして、私は今後十分注意をいたしますということを申し上げ、また私も今後人権の点につきましては、十分配慮して参るつもりでございます。
  241. 青野武一

  242. 山田長司

    山田委員 二、三点刑事部長に伺います。全購連のこの含み資産のあることが、去年の春ごろ農民団体の人たち及びその道の人たちにわかって、これかかなり問題になって参りました。私は国民の間からいろいろな世論が出ておることを想像してみますと、何かしらこの事態を予期してでもあったかのごとく、実は中村梅吉さんが法務大臣になっておるわけです。国民の間ではこういうことを言っておる人がいる。河野さんはいろいろな事件をたくさん内包しているので、一朝事があった場合に、自分の身辺を擁護するために法務大臣を一つ作ったんだ、こういうことが国民の間で出ているくらいこの事件については疑惑があるわけです。そういり点でいろいろそういうものを総合してみますと、何かしらこの事件のまだ核心には触れていない、こういう感じが私はするのです。この間の新聞の報道でありますけれども、私はあながち新聞の報道だから門違いだと思ってないのです。数社の人たちが、せんべつを今逮捕されている海内という人がドイツへ行かれるときに贈ったと、こういうことを三、三の大新聞が報道しておりますけれども、警視庁で調べている範疇の中に、この数社の名前が出ておるだろうと思うのですが、全然この名前が出ていないのですか、出ているのですか。数社の名前がわかるならば、一つ明確にしていただきたいと思う。
  243. 小杉平一

    ○小杉参考人 海内に対する贈賄は、第一肥料というのが出ておりますが、それ以外は、私どもの方では今のところ十分の容疑を持っておりません。
  244. 山田長司

    山田委員 そうしますと、この間、農林省の人たちは明確に言ってないのですが、私の調べた範囲では、時を同じゅうしてカリ肥料の輸入のために打ち合せに行ったと目される人たちが、さっき同僚議員からも質問がございましたけれども、このほか同行した人たちがあると思うのですけれども、警視庁で調べた範囲で、この人たち以外の人たちが行っておるかどうか、海内という人、それから秘書課の斎藤誠という人、それから水産庁の岡本貞良という人、それから越田東海硫安営業部長、大日本飼料の河田常務、伊藤忠の岩田油糧課長、東京食品の本多肥料部長、このほかに、先ほども質問が出ておりましたが、東京食品の落合正夫という人が、時を同じゅうして行かれておるはずなんです。こういう人たちの状態から総合いたしてみて、警視庁では、第一肥料会社だけだというふうなことを言っておりますけれども、私は、海内が数社からせんべつをもらったという新聞記事から総合してみて、これらの今私があげた会社などから、せんべつが出ていないということは、どうも理解ができないのですけれども、数社という名前は、一体、全然新聞の虚報ですか。この点明確にしていただきたいと思う。
  245. 小杉平一

    ○小杉参考人 私が申し上げましたのは、御承知のように、ただいま捜査の続行中でございまして、ただいまの段階において申し上げたわけでございますので、御了承を願います。
  246. 山田長司

    山田委員 ただいまの段階といいますとこれから出ないということはないわけですね。まあわからぬというわけですね。
  247. 小杉平一

    ○小杉参考人 これからのことはわかりません。
  248. 山田長司

    山田委員 商社の事情を聞いた中に、第一肥料だけしかあなたは聞いてないと言われますが、どうしてほかの商社の人たちの事情というものを、今日までお聞きにならずにおるんですか。
  249. 小杉平一

    ○小杉参考人 それは捜査上の秘密に属しますから、申し上げられません。
  250. 山田長司

    山田委員 捜査上の秘密ということで逃げられてしまうというような感じですか、一体私は、時の農林大臣が、こういう商社の人たちと、時を同じゅうして、偶然に、しかも東独で落ち合うなんということは考えられないことですよ。これは相談して行っておるに相違ないと思うのですがね。そういう点についてやはり捜査中であるから秘密で言えないというふうに逃げられてしまっては、どうしても私は、この点はやっぱり一緒に話し合って行っておるものと思われる。そういう点で、この業界の名前の出ておる人たちの中から、何らかの形で、前後の事情というものをお聞きにならずに、今日までいるということについては、理解できないのですが、何か、その中の差しつかえないような範囲の人たちについて、一つここで説明していただきたいと思う。
  251. 小杉平一

    ○小杉参考人 私ども具体的に、この何といいますか、一番素朴な疑いを持ちまして捜査をやる場合に、直接本人から事情を聞くこともございますし、あるいは本人以外の方から聞く場合もございますし、印刷物その他から材料を得ることもございます。いろいろな方法がございます。従いまして、ただいま捜査続行中でありますので、将来のことはわかりませんが、具体的に容疑が出て参りましたならば、当然警視庁は、何ものにもおそれず捜査をいたすつもりでございます。
  252. 山田長司

    山田委員 随員についても、全然聞きませんか。
  253. 小杉平一

    ○小杉参考人 随員というと、農林省の役人のことでございましょうか。
  254. 山田長司

    山田委員 通産省からも行っておるでしょう。
  255. 小杉平一

    ○小杉参考人 これもただいままでは聞いておりません。
  256. 山田長司

    山田委員 海内が、数社の人たちからせんべつをもらったという印象が言えないにしても、やみドルの上におきましては、何かしら新聞で盛んに報道しておるので、調べた結果が出ておるんじゃないかと思うのですが、やみドル問題について、海内から何か出ておりませんか。
  257. 小杉平一

    ○小杉参考人 あんまりこまかくなって、私も、こんがらがっておりますが、私の記憶ではないと思っております。
  258. 山田長司

    山田委員 今日まで、やみドルの問題で爼上に上げられておるのは、先ほど二、三社言われておりますけれども、それ以外には出てないのですか。
  259. 小杉平一

    ○小杉参考人 捜査のこまかい過程で、私、別に隠しておるわけでもなんでもございませんか、どの程度――容疑といってもいろいろあるわけでございまして、私が知っておる以外に、いわゆるこまかい内偵その他で疑いを持っておるものは、これはまあ当然捜査官としてあると思います。ただいまちょっと私、それを一々申し上げるわけに参りません。
  260. 山田長司

    山田委員 先ほどのあなたの御答弁の中に、疑ってはおるが出ておらぬ、こういうような意味のことが言われておるのですが、やみドルの問題で、現在出ておる問題については、警視庁はどんな処置をしようとしておるのです。
  261. 小杉平一

    ○小杉参考人 やみドルにつきましては、外国為替管理法、外国貿易管理法ですか、この違反の証拠が固まりますと、それに対して私どもの方は、その容疑でもって検察庁に送致をするわけでございます。
  262. 山田長司

    山田委員 とかくこういう問題につきましては、きょうは警視総監が出てきてないけれども、事件の衝に当っている人たちに、上からの圧力で立ち消えになってしまう事例が、今日まで多々あったと思う。今度の事件については、国民の間ではそういう疑惑で、ろくなことを上層部ではやっていないのだというふうな印象が強いのですが、これについて、もしも事実が出てきた場合に何かしら――この前の造船疑獄事件のときなんかの河井検事は、本気になって造船疑獄事件の衝に当って捜査をしておったならば、これが今研修所へやらされてしまった、こういうことが今国民の間にいわれておるのです。あなた方が本気になってこの問題の衝に当っておる過程において、やはりそういうことは国民の間にも疑惑が起るくらいなんであって、とにかくこの事件の結論は容易ならない状態に発展するものと私は思うのです。その点についての警視庁当局の覚悟、これは総監が何と言おうと、国民のために一つやらなければならない。一つのワクがあるであろうけれども、やはりやらなければならぬという決意が私はあってほしいと思うのですが、その点部長はどう思いますか。
  263. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は常に上司である総監から真相をはっきりさせることに努力をせよというふうに言われておりまするし、私もこういう事件の捜査に当りましては、新刑事訴訟法の精神にのっとって、人権を尊重しつつ、手続を完全に行いつつ、真相を明らかにして、徹底的に捜査をするつもりでおります。
  264. 山田長司

    山田委員 これで私の質問を終りますが。最後に伺いたいのは、あなたは総監からおしかりを受けたと言われておりますが、大新聞はそう想像や臆測で供述なんというものを書くはずはないのです。そのくらいの、今日私は新聞には見識があると思うのです。あなたの部下かなんかから必ずこれは出ておるに相違ないのです。これはやはり明確にしなければ、同僚及び国会の威信にも私はかかわると思うのですが、どうです、明確にできませんか。
  265. 小杉平一

    ○小杉参考人 私はそういう問題について明確にしたいと思っておりますが、私自身はそういう点について――もちろんただいまおっしゃいましたように、新聞新聞としての根拠があってお書きになったことであろうと思います。従いまして私としましては、そういうような事実が漏れたか漏れないか、またそれが真実であるか真実でないかということについて調査をいたしておりますが、ただいままでのところそういう事実はないと私は確信しております。将来そういうようなことが私の部下等において起りますというと、これは私が責任者でございますので、そに対する責任は痛感しなければならぬ、かように思っております。
  266. 青野武一

    青野委員長 神田大作君。
  267. 神田大作

    ○神田(大)委員 刑事局長にお尋ねいたしますが、今度の全購連事件は、去年の夏、競馬馬事件をわれわれ国会において追及しておったときに、このやみドル問題は、はっきりと浮き彫りにされたにもかかわらず、今日まであの競馬馬購入のやみドル問題を放任しておったということは、その責任がきわめて大きいと私は思うのでございますが、どうして今日まであの問題を徹底的に調査しないで放任しておったかということについてお尋ねいたします。
  268. 井本臺吉

    ○井本政府委員 競馬馬の事件につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、関係舌がアメリカなどにおり、中にはアメリカ国籍の者もあります。また当の関係の河野一郎氏も旅行その他で東京に年じゅうおられる方でございませんので、それやこれや、いろいろの事情が積み重なりまして、今日まで延引したわけでございまして、放任しておったわけではない、一生懸命やりつつあったりでありますが、さようなことでおくれてきたのであります。  それから今回のやみドルの問題は、やはり同じ外国為替並びに貿易管理法違反ではございますが、多少やみドルの授受にいたしましても、事情が違っておると私は考えるのであります。やみドルの問題につきましては、先ほど小杉部長からも説明がありました通り、そのつど事件が固まりますれば、われわれの方に記録が回って参りますのでその際に引き続き十分取調べをいたしたいというふうに考えております。
  269. 神田大作

    ○神田(大)委員 競馬馬の貿易商であったところの藤井君がアメリカでしばらく、われわれが国会で問題にしておったときに、病気と称して帰朝しなかったのでございますけれども、その後国会においてこの競馬馬事件が一段落ついてから帰ってきたと思う。そのときにどのような取調べをいたしたか、お尋ねいたします。
  270. 井本臺吉

    ○井本政府委員 ただいま関係書類を持って参りませなんだので、日時その他詳細な点は忘れましたが、羽田に着きますと、直ちに本人を逮捕いたしまして、たしか七十二時間の最長期間だけ本人をとめ置いて取り調べたように報告を受けております。
  271. 神田大作

    ○神田(大)委員 そのときに東京地方検察庁の検事長は、上司の指示を仰がずしてこの藤井を無断で釈放したということがいわれておりますし、それはわれわれといたししましても確認をしておりますけれども、これについて東京地方検察庁の検事長に対しまして検察庁は何らかの指示をしたか、あるいは処置をしたか、お尋ねいたします。
  272. 井本臺吉

    ○井本政府委員 当時の所管の役所は東京地方検察庁でございまして、東京地方検察庁の係検事が調べをしたのでございます。当時新聞紙に、何か検察庁の上司の間に意見が違って、予定よりも早く釈放したので、ごたごたがあったように書かれておりましたけれども、私の知っておる限りでは、さようなことはございません。
  273. 神田大作

    ○神田(大)委員 あの競馬馬の購入問題は、われわれも長い間国会においてこれを追求しておったのですけれども、そのかぎは藤井が握っておった。そうして藤井は病気と称して、なかなか帰ってこなかった。そうして帰ってきたこの藤井を、わずか二日しか調べないでこれを釈放したというところに大きな疑惑を持たれておる。一体検察庁や警視庁はこの河野の競馬馬購入のやみドル事件をうやむやにしようとするような印象を国民も受けたし、またわれわれも受けた、この藤井の釈放に対して、私は釈然たらざるもの、かあるし、この藤井を徹底的に取り調べることによって、この競馬馬購入のやみドル事件というものは解決をすべきものだ。ところが藤井を、たった二日間だけ調べてその後釈放して、この競馬馬事件に対して、社会党の告訴にもかかわらず、これに手をつけないというような、そういう検察庁や警察庁の態度であるからして、今度のよう全購連事件とか、あるいは多久島事件とか、あるいは食料汚職の細田調査官というような、こういう事件が連続して起る。先ほども同僚から質問がありましたが、大物に手が触れようとするとこれを逃がす、そういう印象を国民に与えておるというようなことに対してあなたはどうお考えになるか、お尋ねいたします。
  274. 井本臺吉

    ○井本政府委員 さような印象を国民に与えておるとしますると、私どもは非常に残念に考えるのでございます。私どもといたしましては、大物であるから検挙をしないということはないのでありまして、犯罪の容疑の証拠さえ集まりますれば、いかような者でもそれは断固として検挙いたします。問題の競馬馬市件も藤井氏のほかに、関係者として、アメリカ商社、アメリカ人も入っておって、さような者の取調べにいろいろ手を尽しておったので、だんだん日時が延びたのでありまして、証拠があるにかかわらず、これを検挙、取調べをしなかったというようなことはございません。
  275. 神田大作

    ○神田(大)委員 先ほどの答弁で、競馬馬に対する警視庁の見解と刑事局長の見解が異なっておるようでございますけれども、同じ捜査に当っている二つの機関が異なった見解を発表するとはどういうわけでありましょうか。検察庁は今一取調べ中であると言い、誓視庁はこれは疑義がないというようなことを言っておりますが、警視庁はどういう観点に立って取調べをして、そのような見解を抱かれるに至ったか、御答弁願います。
  276. 小杉平一

    ○小杉参考人 警視庁と検察庁あるいは法務省と意見が違うようなお言葉でございますが、私は、実はこのやみドルの事件については、いかにも消極的な御答弁をしたように思うのです。これは実は私の担当しておる刑市部でやらないで、防犯部というところでやったものですから、いかにも消極的のような御答弁になったんじゃなかろうかと思うのですが、ただいま法務省の刑事局長が言われましたように、警視庁としても、そういうような問題についてはやはり捜査をやるわけでございます。ただ今回の事件につきましては、先ほど局長から言われましたように、告訴が検察庁に出ておるということでありますが、やはり検察庁からの応援要請その他につきましては、警視庁として当然協力してやるわけでございます。御了承を願います。
  277. 神田大作

    ○神田(大)委員 しかし、あなたは、刑事局長の前で、警視庁の調査では疑惑がないというようなことを言っておるけれども、刑事局長は今調査中だというようなことを言っておる。そういう答弁の仕方はまことに疑惑を持たれるものでありますが、あなたはまだ十分取調べをしておらないのに、自信のないことを言ったことになりませんか。
  278. 小杉平一

    ○小杉参考人 私は刑事部長でありますので、所管のことについて申し上げたのであります。従ってその競馬馬の事件についていかにも熱がないようにおとりになったと思いますが、その事件は警視庁では防犯部というところで扱っております。さような意味で御了承願います。
  279. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうすると、さっきの疑義はないというようなことはお取り消しになっていただきたいと思いますがいかがですか。
  280. 小杉平一

    ○小杉参考人 私先ほど疑義なしとはっきり言い切ったつもりではないのですが、もしそういうことになっておりますれば、はっきり取り消しいたします。
  281. 神田大作

    ○神田(大)委員 先ほども同僚から質問がありましたか、警視庁の取調べに対しましていろいろの問題が新聞紙上に自供というような形で報道されておりますが、一体警視庁はこういう容疑者の自供を一々新聞記者に発表しておるのでございますか、お尋ねします。
  282. 小杉平一

    ○小杉参考人 警視庁としまして、どの被疑者がどういうことをしゃべったかということは発表いたしておりません。毎日、先ほど申しましたように、担当の者が記者の方と会見いたしますが、捜査の内容というよりも、きょうはこういう方にこういう容疑で令状が出たとかいうようないわゆる経過を、捜査続行上差しつかえのない程度で申しておるのでございまして、だれの自供がこうであった、どうであったということは申しておりません。
  283. 神田大作

    ○神田(大)委員 新聞紙上に容疑者の自供として出ていることに対しましては、もちろんあなたたちは発表しないと言いますが、しかしこれは国民に与える影響が非常に重大であります。私は前に、何新聞だか忘れましたけれども、通産汚職を捜査中に、たまたま全購連の汚職問題に手を触れて、それで通産汚職を一応打ち切って、全購連汚職に切りかえたいということを新聞で見ました。私は通産省関係においても相当の汚職事件があると聞いております。こういうようなことを発表されますと、そういう疑惑を持たれておるところの通産省関係あるいはそれに関連するところの商社等はいち早く証拠隠滅をはかって、大事な犯罪の捜査に大き支な障を来たすと思うのでございますが、こういうようないとこまでも一一新聞に漏れておるということに対して、あなたたちの責任は非常に重大だろうと私は思うのでございますが、この点についての御見解を承わります。
  284. 小杉平一

    ○小杉参考人 新聞とわれわれの関係でございますが、これはやはり新聞も真実を報道するというために御努力されるのであります。従いまして、私どもも、もちろん新聞にも真実を報道するという面で、協力をいたしておりますし、また捜査活動におきましても報道機関を活用することもあるわけでございます。ただいま仰せられました記事等につきましては、私が記憶しておるのでは、たしか何か国鉄の汚職をやっておるうちに、この問題が出てきたので、国鉄の汚職を打ち切ったというような記事が何新聞でしたかあったように思いますが、私どもの方では、国鉄の問題につきましては、例のガード下の汚職事件につきまして捜査が大体完結しておるわけでございまして、従いましてそれをうっちゃっておいて、これにかかっておるということはございません。ただいま申されましたような疑惑があるといたしますならば、私としましても十分戒心をして将来に処したいと考えております。
  285. 神田大作

    ○神田(大)委員 刑事局長にこの競馬馬事件についてお尋ねしますが、あなたは一年になんなんとしておるにもかかわらず、捜査中だと言っております。今度の全購連事件は河野前農林大臣がアメリカへ外米の輸入と称して行って、その交渉後においてロスアンゼルスでこの競馬馬を購入した、その足でもって、ドイツへ渡って、今度の問題のカリの輸入を相談するというように、この競馬馬事件と今度のカリの問題は軌を一にしておる。こういう河野前農相と非常に関係のある問題であるし、また競馬馬事件を追及し、このやみドルを追及することによって、今度の事件はもっと早く警視庁なり検事局でもってこれを摘発することができたにもかかわらず、今日まで、藤井が帰ってきてからも二日くらいで釈放したり、また捜査する捜査すると言いながら、実際においてはやっていないと私は思うのでございます。こういう点において今立の汚職事件等をこのように広げた大きな責任があると思うのです。私は造船疑獄以来多久島事件あるいは外米の輸入事件、あるいは今度の事件等、続々と汚職の跡を断たないというこの問題は、このような検察当局あるいは警視庁当局の大物に火がつくうとするとこれをうやむやにしてしまうところの、そういう態度にいつも汚職が跡を断たないで続々出てくる大きな原因があると思う。この問題に対しまして刑事局長は、今度の問題を課長課長補佐というようなことじゃなしに、その裏におるところの、その糸を引いておるところの、ちゃんとした汚職の根源を突くなり追及すべきであると思うと同時に、この競馬馬問題を一年有余になんなんとするのに、これを調査中といって逃げておるところのあなたたちの責任は非常に重大だと思うのでございますが、この点についてのあなたたちの決意を伺いたいと思います。
  286. 井本臺吉

    ○井本政府委員 罪名は同じ外国為替管理法違反でございますけれども、ドルの関係の問題は、今回の問題とさきの問題とは非常に性質が違っております。従って前の競馬馬の事件の追及が足りなかったから、あとの事件が発生したのだというようなことは、私どもの見解では少しく見当が違っているのではないかというような感じがするのであります。しかしながら問題になって、新聞にも君かれたような事件につきまして、調べがなかなか手間どり、いまだに結論が出ていないという点につきましては、まことに恐縮する次第でございます。その事情は先ほど申し上げたようなことで、だんだん延びておりますが、これも至急関係者を調べまして、何らかの結論を出したいというように考えております。  なお今回の全町連事件に関連いたしましていろいろな関係者の名前が出てくるのでございますが、われわれの方といたしましては、犯罪を検挙するのでありまして、犯罪に関係ないものを取り扱うというわけには参りません。しかしながら事いやしくも犯罪でありますれば、その容疑者がいかなる地位の方でもこれは、容赦いたしませんから、その点は御了承願いたいと存じます。
  287. 神田大作

    ○神田(大)委員 この競馬馬のやみドルと今度のやみドルと性質が違うというが、私は専門的な立場に立ってのあなたの答弁であるから、そういうことも言える、だろうと思いますけれども、要するに外貨割当に関連するところのこの問題であって、為替管理法違反という一つの通産省の外貨割当の大きなワクの中においては、私は同じだと思うのです。そういう点についてバナナの輸入事件あるいは砂糖の割当とか、あるいは今度の全購連のカリの問題とか、あるいは競馬馬というような問題、外貨割当に関連する一連のこの問題、これをどうしてあなたたちが手をつけないのかということを私は追及しておるのです。この点についてもどうお考えになりますか。
  288. 井本臺吉

    ○井本政府委員 外貨割当に関連いたしまして汚職などがございますれば、これは容赦なく検挙いたします。本件のやみドルは割当のドルとは少し性質が違うようでありまして、ほんとうにやみからやみに流れたドルというように私どもは報告を受けております。さような意味で先ほど前の事件とあとの事件とは少し性質が違うというように申し上げたわけでございます。
  289. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一つちょっと希望を申し上げておきます。刑事局長に御希望申しておきますが、やはりはしなくも再燃をの状況見た前の河野一郎氏の馬の問題ですね。これはやはり最も早い機会に調査、捜査を完了して、そうして適当に当委員会にも一つ報告ができるようにしていただきたいと思います。あと国会も二週間余りで会期終了しまするが、でき得るなら最善の措置をおとりになって、そうして何も二週間とわれわれは限定する意味ではありませんけれども、最も近い機会に一つ捜査が完結するように――ただしそうかといって調べずに済まして下さいという意味ではないのであります。全力をあげて捜査をしていただきたい、こういうことを一つ御希望申しておきますから、適当にあなたの方でお計らいを願いたいと思います。
  290. 井本臺吉

    ○井本政府委員 可能な限りできるだけ早く取り調べまして、何らかの結論に達したいというように考えます。
  291. 青野武一

    青野委員長 他に御発言はありませんか――それでは小杉参考人には御多用中を長時間当委員会調査に御協力下さいましてありがとうございました。退席されてけっこうでございます。  本件に関しまする調査は、本日のところは一応この程度といたします。  次会は明日午前十時より、都道府県の会計経理問題につきまして証人より証言を求める予定であります。詳細は公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十七分散会