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吉田(賢)
委員 私はあなたが近来まれに見る善意の人であると思いますし、またあなた御
自身は清潔の人であると信じております。かるがゆえに、一そうやはり国家の公務員ないしは他人のために、
ほんとうにこの業務をやる者の
責任の
関係というものは、最も高い道徳的な標準によって律してもらわねばなりませんので、この
機会を逸しては、
農林省の、もしくは農林行政上におけるこの紊乱を根絶することはできません。あるいはあなたは
機構の
改革を目ざしておられるかもわからぬ、あるいは人事の刷新ということを目ざしておられるかもわからぬ、あるいは法規的な
方面にまで手を触れていきたいということをお
考えになっておるかもわからぬ、あるいは衆知を集める
委員会というものを設置して、衆知を集めることによって
農業団体の今後のあり方をお
考えになっているかもわからぬ、しかしながらそういうことの前に、もしくはそれよりももっと根本的な問題は、やはり
責任を明確にするということであります。あなたも石橋首相のもとに
農林大臣として就任せられた。石橋首相の日比谷公会堂における演説の一節にも、第二番目でありましたかに、綱紀の粛正を掲げられておるのであります。私はこれがやはり口頭禅に終らねばよいがと実は思っておりました。それをあなたはこの際この腐敗し切ったところの官僚の
機構、官僚の農林行政の場面に直面しておられるのであります。そこでもし今私が申し上げましたように、あなたの
責任を明確にしなければならぬというような問題にまでぶつかりましたときには、最高の標準によってあなたこそこの
責任の
立場を明確にしてもらいたいのです。ほかの人であるなら私はこんなことは申しません。またこういうことを申しましても、そのときだけの
答弁に終るかもわからぬ。しかし、石橋総理は自己の病気に省みて、総理としての
責任を果せないというこの
言葉を残して去っていきました。一回も総理として登院しなかった。これが世の賞賛を博しておったのであります。与野党あげましてこの態度には敬意を表したのであります。そのようにみずからむさぼることのなくして、
責任を痛感するということが
ほんとうに今日求められている政治の道だと私は思うのです。これをあなたによって明らかにすることができましたならば、これは百の
機構の
改革よりも、どんな人事の刷新よりも、
ほんとうにそれ
自身が一切を改める原動力になると思う。それがあなたが五年、十年
大臣を勤めておりまするよりも、
日本の国会ないしは歴史の上におきましては意義をもたらすものであろうと思います。それであるからあなたに伺うのであります。重ねて聞いておきますが、これらの点につきましては、深い反省に立って進んでいくとおっしゃいましたが、必ずこれらの点につきましては、身をもって
責任の所在を明確にしてもらいたい。そうしてまた自己の部下といえ
ども、何ら公私混淆することなく、整然とした秩序ある
責任の所在の明確さを部下の一切に対してしてもらわなければならぬ、こう思うのです。その点について重ねてあなたの
決意を聞いておきたい。