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1957-04-16 第26回国会 衆議院 決算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十六日(火曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 青野 武一君    理事 生田 宏一君 理事 關谷 勝利君    理事 本名  武君 理事 山田 長司君    理事 吉田 賢一君       臼井 莊一君    奧村又十郎君       床次 徳二君    林   博君       淡谷 悠藏君    小川 豊明君       小松  幹君    坂本 泰良君       細田 綱吉君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     森  茂雄君         農林事務官         (振興局長)  大坪 藤市君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第四局長)  中川  薫君         証     人         (前全国購買農         業協同組合連合         会会長理事)  田中 順吉君         証     人         (全国購買農業         協同組合連合会         副会長理事)  安藤 長造君         証     人         (前全国購買農         業協同組合連合         会専務理事)  小沼弥藤次君         証     人         (元全国農業協         同組合連合会監         事)      中山  正君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件(全国購買農業協同  組合連合会に対する補助金等会計経理に関す  る問題)     ―――――――――――――
  2. 青野武一

    青野委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件(全国購買農業協同組合連合会に対する補助金等会計経理に関する問題)につきまして調査を進めます。  本日は右件につきまして証人より証言を求めることといたします。御出頭になりました証人の方々は、田中順吉君。
  3. 田中順吉

    田中証人 はい。
  4. 青野武一

  5. 安藤長造

    安藤証人 はい、
  6. 青野武一

  7. 小沼弥藤次

    小沼証人 はい。
  8. 青野武一

  9. 中山正

    中山証人 はい。
  10. 青野武一

    青野委員長 相違なきものと認めます。  次に島田日出夫君につきましては、いまだ出頭しておりません。また不出頭理由についての申し出もありませんが、これは先刻の理事会でも御協議願ったのであります。島田出頭の件の取扱いにつきましては、後ほどの理事会におきまして協議の上、委員会にお諮りいたしたいと存じます。  あらかじめ文書で御通知いたしておきました通り、ただいまから歳入歳出実況に関する件(全国購買農業協同組合連合会に対する補助金等会計経理に関する問題)につきましてを求めたいと存じます。  証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なっております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係にあった者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき、項に関するとき、及び、医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあった者がその職務上知った事実であって、黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになっております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは一年以下の禁固または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることとなっておるのであります。一応このことを御承知になっておいていただきたいと思います。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます、御起立を願います。  田中君、安藤君、小沼君、中山君の順にそれぞれ宣誓書を御朗読を願います。     〔証人田中順吉朗読〕     宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。     〔証人安藤長造朗読〕     宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。     〔証人小沼弥藤次朗読〕     宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。     〔証人中山正朗読〕     宣誓書  良心に従って、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  11. 青野武一

    青野委員長 それでは宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  12. 青野武一

    青野委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、そのつど委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになっていてよろしゅうございますが、お答えの際は御起立の上御発言を願います、  証言を求める順序中山正君、小沼弥藤次君、安藤長造君、田中順吉君の順序でございます。  それでは中山正君以外の方はもとの控室でお待ちを願います。  まず委員長より概括的に証言を求め、次いで各委員より順次証言を求めることとなりますので、御了承下さい。  中山証人は現職は何ですか。
  13. 中山正

    中山証人 現在職業は会社員であります。公職として栃木県の県会議員をやっております。
  14. 青野武一

    青野委員長 全購連在職年限及び職歴、職務内容等についてあわせて伺います。
  15. 中山正

    中山証人 全購連には昭和二十六年の六月末と記憶しております。それからやめたのが同年の十月の中旬と記憶いたしております。日にちの点ははっきり覚えておりません。なお職務監事をしておりまして、わずかの期間監査に携わってきたわけでございます、
  16. 青野武一

    青野委員長 発言の通告があります。山田長司君。
  17. 山田長司

    山田委員 中山証人からただいま委員長に報告になりました、二十六年の六月から十月までの間監事をしておられたときの事情をこれから伺います、  大体監事をおやりになられた歳月は非常に短かかったように承わったのですが、どんなふうな事情でおやりにたり、どんな事情でこれをおやめになられたものか、詳細に一つ御説明いただきたい。
  18. 中山正

    中山証人 監事になりましたのは、私の前任の茨城県の購連会長をやっておられました関井仁君が、県の購連会長をやめることによって、全購連監事も必然的に欠員になりました。その補充として私はなったと記憶いたしております。そこで私はほんとうの短かい期間やったわけでありまするが、私性格があるいはそうであるかしれません、非常にやかましい監事でございまして、職員にはきらわれたと思っております。私がやめるときの理由は非常に矛盾しておるのでございます。なるときにはスムーズに監事になりまして、わずかの期間にやめさせられる動機というものが、関東地区から出ておる役員は、当時農業会農業協同組合関係においては、各県がそれぞれ振り割りをつけて、全信連あるいは全敗連、全購連指導連というようなところに各県からそれぞれ役員を送って、その平均を保ってやっておったように聞いておったのでございます。ところがお隣の群馬県が役員が出ておらない。栃木県は当時全信連、全販連、全購連三つ役員を持っておるのは均衡がとれない、だからあなたにやめてもらいたいというようなふうに記憶しておりますが、私の考えでは、私がなるときすでにそういうふうになっておったのでありまして、やめるときに急に栃木県が三つ役員を持っておったということはないのであります。ここに非常に矛盾があるのであります。また当時全国的に購連というものは各県とも非常な赤字をしょい込んでおりまして、全購連もまたしかりだったと思いますが、私栃木県の購連をあずかっておりまして、栃木県の購連も、外面には出さないが、実際には非常な赤字をしょっておったわけであります。当時たまたま私は購連をあずかるものとして、そういう赤字を隠しておいて経営するということは、農民にはなはだ相済まないことである。赤字赤字としてはっきりと出して、すっきりした形において運、目することが望ましいというので、私は全国に先がけて県の赤字を全部出してしまったのです。そういうことと、私が監事として若干やかましいという観念を持たれたかもしれません、そういうことできらわれたのではないか、こういうふうに私は考えておるのでございますが、いずれにしても、六月になりまして、十月に臨時総会をもって役員の席を追われるというようなことは、私は非常に納得のいかないことでございまして、全購連役員自体が、私に言わせると、職員役員を選ぶときに相当の暗躍をいたしまして、自分のすきな者を役員に持っていくというような傾向が多分にあったように考えられるわけでございます。私はこの間監査も若干やりました。監査機構そのもの考え方については、監査制度というものがありましても、十分にその機能を発揮するというような状態にはなっていなかった、こういうふうに記憶いたしております。
  19. 山田長司

    山田委員 ただいまのお話を伺いますと、あなたが監事になられた期間中に、短かかったけれども一生懸命監事仕事をやった、そのことが当時の購連幹部の人からあまり快く思われなかった、こういうことが言えるわけですね。
  20. 中山正

    中山証人 これはおのおの見方によって違うかと思いますが、私はそういうふうに考えております。
  21. 山田長司

    山田委員 あなたと一緒に全購連に入られた人などで、同じような監事仕事をされた人は、今まで残っておる人がおるかどうか、おられたとしたらそういう人の名前をあげてもらいたいと思います。
  22. 中山正

    中山証人 その後全購連とは、あまり出入りもしておりませんので、詳しいことはよくわかりませんが、聞くところによると、現在常任監事をやっておる多分石川県かと記憶しておりますが、三浦さんという人がいるように聞いております。これは聞いていただけばよくわかるのではないかと思います。なおまた会長田中さんはそのままでございます。それから専務小沼さんは私の後任に監事になったのでございます。
  23. 山田長司

    山田委員 私たちがあなたの話を伺っておって受ける印象は、一生懸命仕事をしたことによって、いわゆる監事仕事本気になってやったことによって、何かしら短かい歳月の間にやめさせられたというような印象が起きるのです。もし地方別役員をきめたとするならば、なるときから栃木県の役員三人という問題はわかっていたはずだと思うのです。そういう点が理解ができない点なんですが、あなたは監事期間監事職責を全うして働いたつもりがありますか。
  24. 中山正

    中山証人 当然監事としての職責上、私は全力をあげて自分職責を全うしたと考えております。
  25. 山田長司

    山田委員 今問題が起っております全購連の事件が、その当時に端を発しておったとは言えないと思いますけれども、何かしら仕事をやっている期間中に、全購連の中から――あなたが購連仕事をおやりになって、中央へ出てきて見た印象から推して、中央状態がいわゆる腐っているような現状というものを感じなかったですか。
  26. 中山正

    中山証人 監査をやりましても、先ほど申し述べたような監査機構そのものの欠陥もございますし、わずかの期間でございますので、これが腐っている、これが悪いということをはっきり申し上げることはできませんが、ただ私は一介農民代表として出てきておりましたが、非常に職員に牛耳られておって、問題の人と思いますが、当時役員室というものがございまして、当然常務理事である島田日出夫君のごときは役員室に席を同じゅうすべきであるにもかかわらず、当時数奇屋橋の菊正ビルにおったのでございますが、常務理事が一室を占領しておる、会長専務などは別の部屋に同居しておる、こういう事実もございまして、非常に職員幹部が全部の仕事を押えておる。役員は、私をして言わしむると、ちょっとロボットのような感じがいたしております。今はどうか知りませんが、当時はそういうふうに考えておりました。そのほかの具体的な、腐っているとかいないとかいう問題は、今ここで申し上げるだけの記憶を持っておりません。
  27. 山田長司

    山田委員 監事職責を果さなかったと思われるような人たちが、その後も続いておられるように思われますけれども、監事仕事本気になってやろうとしたあなたのような場合は、短かい歳月で首になってしまっているという印象を強く受けるのです。実際職員上り常務なり、あるいは役職にある人たちの自由のきかない人は監事にもなっていないのだ、こういう印象を受けるのですが、当時関連があったあなたの立場から今の実情を判断して、そういう印象を受けませんですか。
  28. 中山正

    中山証人 私最近のことはわかりませんが、いろいろ新聞紙上で見たり聞いたりしておりますと、やはり旧態依然としておる、そういうふうに感じられております。
  29. 山田長司

    山田委員 あなたも農民代表として監事で出てきたわけですけれども、やめられたあと、監事仕事は全購連の場合どうあってしかるべきだという、何か今希望なり意見なりはありませんか。
  30. 中山正

    中山証人 これは私の考えですが、全購連監査ばかりでなく、地方自治体においても、いずれにおいても私はそうだと思っておりますが、監査という仕事そのものが、定期的に行われるいわゆる定期監査というものをやっておるわけでございます。定期監査の場合には、これは書類を全部作成をして、数字も何もみな合うように作っておいて、それによって監査を行なっておるのが実情でございます。もちろんこれらの数字そのものについては、証憑書類や何かと照し合せ、そこに間違いがあるかないかを調べることは当然でございますが、しかし私はこの定期監査という監査制度だけでは、徹底した監査をやり、監査の目的を達するということはとうていできないんじゃないか、こういうふうに考えておりますので、私は監事そのものを選ぶ選び方も、もう少し全購連職員の陰の力を排除して、ほんとう農民代表としてやっていくという監事を選ぶと同時に、随時監査をしょっちゅうやる、定期監査というのはあまり効果がないというふうに考えておりますので、そういう面で随時監査を強化してやっていくということが非常にいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  31. 山田長司

    山田委員 証人監査期間中に、定期なり随時なりというのは、短かい期間中できなかったと思うのですが、何かそのおやりになった期間中にお気つきになった点があったならば、この際御発表願いたいと思う。
  32. 中山正

    中山証人 非常に短かい期間で、監査もごくわずかしかやりませんので、これといって気づいたという点もあまりありませんが、ただ肥料統制が撤廃された直後でございまして、私びっくりしたのは、多分十時ごろかと思いますが、監査を始めると同時に、一時間ぐらい書類に目を通しておりますと、何か面会人があるというようなことで、行ってみると、ちょっとそのメーカー記憶しておりませんが、肥料メーカーでありますが、お昼をともにというようなことで引っぱり出してしまうというような状態である。私は初めてのときは、儀礼と思いまして昼食に行きましたが、二回目からは断わっております。そういうことで私がいろいろ融通がきかないような仕事をしたかもしれませんが、現在全購連あたりでやっている監査というものは、おざなりの申しわけ的なものじゃないかというように私は考えております。そういう点から改めなければりっぱな監査は当然できない、こういうふうに考えております。
  33. 山田長司

    山田委員 そういう場合にあなたと一緒に入られた監事人たちは、やはり肥料会社招待等には出たものですか。さらにその監事自体がその後今日も申しわけ程度でやはりやられているような印象をわれわれ受けるのですが、その点いかがですか。
  34. 中山正

    中山証人 今申し上げたように、私はもう二回日には断わっているし、一回目にも簡単なほんとの昼食だけで、酒もビールも出ておりません。そういう程度ではあったのですが、これは気を許せばもっと深くなったかとも考えております。そのときに多分一緒に当時の監事が行って昼食はしたと記憶しております。  それから現在どうかというお話ですが、現在のことは私はわかりません。山田さんの言われるのは、印象を受けているということでございますが、印象をどういうふうに受けられようとも、それは山田さんの御随意でございまして、私は現在のことはわかりません。当時のことはただいま申し上げた通りでございます。
  35. 山田長司

    山田委員 私の質問はこれで終ります。
  36. 青野武一

  37. 小松幹

    小松委員 中山証人にお尋ねいたします。本日、証人としてこの席にお呼びいたした皆さん方は大部分執行部関係で、特に常務とか理事とか会長とかでございますが、あなたは監事というお立場でございますので、全購連関係のいわゆる監査監事というものの職責あるいは実績というものについてお伺いしたい。  あなたが担当された監事歳月はわずかに半歳でございまして、ごぐ短かかったのでございますが、定款によると年二回の定例監査をするようになっておるのでございまして、その間監査定例でなされたかどうか。御記憶がはっきりしないかもしれませんが、そのことをお伺いいたします。
  38. 中山正

    中山証人 定期監査を一度やったと記憶しております。もちろん非常に膨大な監査でございますので、全部を終ったとは記憶しておりません。その内容等についても、今ここでどことどこをやったかということもちょっと記憶がありませんが、いずれにしても監査をやったことだけは記憶しております。
  39. 小松幹

    小松委員 こういう組合関係仕事で、特に監事の職というものはその組合組織等の非常に中心になるものなんですが、あなた自身から考えて、そういう監事の詳細な業務監査あるいは会計経理までの監査に対する、自分のお考えでけっこうですが、その能力、識見と言えばまことに言葉が悪いのですが、そうしたものに十分であったかどうかという御自身の御反省でよいのでございますが、そのことを……。
  40. 中山正

    中山証人 もちろん私は浅学非才でありまして、自信を持っておったとは言いませんけれども、一介農民代表として来たのでございまして、こまかい数字的な書類に全部目を通してこの事情監査するということはとうてい不可能でございます。私はやはり監事室に勤務する優秀な職員を相当数置いて、そしてそれらの人たちによって徹底的に調べるということ以外に道はない、今後といえども、私は農民代表として出てきてそして監査をやるといっても、これはとうていりっぱな監査をできるものとは考えておりません。私自身もまたそういう意味からいって、監査に全面的に自信があってやったということは言えないと思います。
  41. 小松幹

    小松委員 全購連定期監査ではどのくらいな日数を要して、どういう書類等を御監査なさるか、御記憶がありましたら……。日数とおおむねの書類というものの監査方法ですか、そういうものはどういうような監査をしますか。
  42. 中山正

    中山証人 書類の点については一品に申し上げられませんが、毎月々々資産表というものが出ます。これに基いて各部門にわたって精密に監査をやるわけでございます。その間役員監事地方から出てきておりますので、毎日詰めておるというわけにも参りません。監事室主任中心になって十分検討を加える、それを監事が来てなおよく目を通すということになっております。また、私は短かいのでこの期間がどのくらいかということはよく記憶がありませんが、私が監査をしたのは大体三十日くらいやったと思いますが、定期監査全部をやるのにはやはり五十日ほどかかるのじゃないかと考えております。
  43. 小松幹

    小松委員 そのときに監事の三人だけで書類を三十日間繰り返して見るということか、あるいは監事に補助的な者がついて下調べをするとか、ポイントを提示するということがあるのか、その点お尋ねいたします。
  44. 中山正

    中山証人 もちろん補助者を合せてでございます。監事だけでやるというわけでありません。全部合せてそのくらいかかると思います。私、わずかの期間ですからはっきりした記憶がありませんが、そういうふうに考えております。
  45. 小松幹

    小松委員 そうするとあなたの先ほどからの御証言で、監査するというとは相当至難だから人的機構を増すか、あるいはそれにかわるべき能力のある者を持ってした方がいいというお考えか、それともその前に常務とか専務がその監査を妨害するという動きがあって監査がだきないのか、その二つの場合を想定しますと、どちらが原田で全購連監査が不行届きになるのか、その点をあなたのお考えで言っていただきたい。
  46. 中山正

    中山証人 専務会長監査を妨害するということは私は考えられないと思います。監査を十分にやるのに私はやはり補助職員の優秀な者をもう少しふやしてやっていくことが必要だろうと思う。同時に監査に携わった補助職員執行部職員転勤等はせられない、会長人事権外に置く、将来これらの身分等も保障してやるというふうにしないと、ほんとう監査ができないのじゃないかと考えておりますし、今度の場合、新聞紙上で見ますと、河原という人が引っぱられておるのでございますが、河原という人は私の当時の監事室主任でございます。監事室主任であった者が主計課長をやっているということ事態が私は非常なガンになっておるのではないかと思っているのです。今あなたからの御質問に対して、これはいろいろな面で検討を加えなければならぬと思っておりますが、はっきり申し上げますことは、監査そのもの会長専務が妨害するという事実はない、これだけは申し上げておきます。
  47. 小松幹

    小松委員 よく監査以前あるいは監査途中に監事あるいは職員等常務なり専務なりが、いろいろな意味で、先ほどあなたがちょっとおっしゃったように、会社を通じあるいは直接間接に招待した。私が話に聞いたところでは監査をする前には――あなたは別かどうか知りませんが、よく神楽坂の待合等に連れていって、まず前哨線を張ってしかる後に監査に入るというようなこともうわさには聞いておりますが、そういうようなことがあり得るのか、あったことか、もし証言ができたらお述べ下さい。
  48. 中山正

    中山証人 そういうことは私自身は承知しておりません。その後あったかどうかも聞いておりません。その点はちょっとお答えできないと思います。
  49. 小松幹

    小松委員 あなたは監事室職員を強化していけばまず監査はできると思うといわれるが、監事そのもの選び方あるいはやめ方等が、やはり職員はしゃんとしておっても、肝心な監事二、三人が選ばれたりやめたりするのに、はっきりした立場を持っていなければ何ら意味がないと私は思うのですその点についてはどういうお考えでございます。
  50. 中山正

    中山証人 私もその点は同感でございます、監事自体がぶらぶらしたものではこれはだめだと思います。やはりこの問題については十分な検討を要する問題だと思っておりますし、私ここでどうすればいいということは言い得ないと思います。
  51. 小松幹

    小松委員 そこであなたが在任中監査なされた御経験がありますから、その中から、一、二だけ御記憶をたどってお尋ねしたいのですが、その当時肥料はいわゆる全購連の大きな仕事としてお扱いになっておったと思いますが、そのときの肥料価格等についてあなたは監査しあるいは御意見があったかどうか、そのことをお聞きしたい。
  52. 中山正

    中山証人 昭和二十五年に統制が撤廃されたと思っております。従って私は昭和二十六年でございますから、当然全購連としては肥料を扱っておりましたが、当時は業者と全購連いわゆる農協が、肥料の扱い方について非常に激しい争奪戦をやっておったと記憶しております。そこで農民立場として肥料はできるだけ農協が扱う、農民にできるだけ安い肥料を与えて生産に励んでもらわなくちゃならぬという信念を私も持っておりましたので、農協が肥料を一本化して扱うというような執行部の動きに対しては私は賛意を表しておりました。また価格や何かの点については、当時肥料そのものの統制はある程度撤廃されたとはいいながら、まだ農林省、政府そのものが価格という点については相当の権限を持っておりました。そういう点については監査の対象として価格などはやったことはありません。またやるべきでなかった、こういうふうに考えております。
  53. 小松幹

    小松委員 肥料農民に渡る価格、あるいは地方に配給される量、その価格等についての意見なりあるいはそれが妥当性があるかどうかということについては監事としてはノー・タッチであった、そういうことでございますか。
  54. 中山正

    中山証人 監事職責から申し上げましても、そういう点まで監事意見を差しはさむべきじゃない、こういうふうに考えておりますので、私は今の価格の点についてはノー・タッチでおった、こういうふうに申し上げます、
  55. 小松幹

    小松委員 その当時農協の肥料が一般商社の肥料よりも安かったかどうか。プール計算である肥料全国一本でありますから、ところによっては商社よりも高い肥料を買わせられた府県農協もあったように思っておりますが、その点はあなたの監査等の結果出てきたようなことが、記憶にはございませんか。
  56. 中山正

    中山証人 末端の農協の肥料価格の高い安いということは、これは全購連自体の監査とはちょっと違いますので、私はその点までは見ておりませんし、また見るべきじゃなかったと思います。  それから私の農協人としての考え方でございますが、非常に業者は巧妙でございまして、農協の肥料が非常に安いということになりますと、ある一定の、特定の場所で、しかも農協の運動が非常に活発な地区で、メーカーから業者を通じて、そこのところの業者に非常に安い肥料を、その農協よりも安い肥料を部分的に突っ込んでくる、そうして農協の肥料は高いのだというような宣伝をして、農民、農協運動の活発なところからくずしてくるというようなやり方を、当時しておった地方も相当ありました。業者がありました。そういう関係から一概に農協の肥料が安い、業者の肥料が高い、安いというようなことは、これは論ぜられないと私は考えます。肥料の販売の政策のいかんによって地方によって変っていると思いますので、その点は私は監事として、そこまで全購連の何を見てもこれは当然わかりませんし、やるべきじゃなかったと思っております。
  57. 小松幹

    小松委員 そうすると、農協監事のあなたたちのお仕事はそういう業務監査というか、そういう値段のきめ方なりあるいはその裏なり、どういう仕入れ値段で、どういう決済方式でやられたから地方にこれだけで売ることができる、その間に全町連は手数料をどれだけ取るというようなことについては御監査しなかったということでございますか。
  58. 中山正

    中山証人 肥料を全購連が各府県の県連に流す価格等については、これは当然私どもの監査の対象でございます。末端の農協がこれを販売する点についてまでは私はできないと申し上げたのであります。それは今言ったような、業者の政策等によっていろいろまちまちでございます。農協の線をくずしていくために手段を選ばずにやってくるということも言い得るし末端までは私は知らない、やらなかった。もちろん県連に流す段階の数字的なものは、これは全部目を通しております。
  59. 小松幹

    小松委員 私の聞き方が悪かったが、単位農協までの価格についてはわれわれは知らない、しかし府県の農協におろす価格については監査をした、そういうことでございますか――それならば、そうした場合に肥料の決済方式、肥料メーカーの決済方式というのはどういう決済の方式をとっておられたか、御記憶ありませんか。
  60. 中山正

    中山証人 その点についてははっきりした記憶がありません。
  61. 小松幹

    小松委員 先払いで小切手でやられておった、あるいは今度逆に地方から吸い上げる金はどういうようにして吸い上げておったか。その点メーカーに支払うのはわからないと言ったのですが、小切手の先払いでやられておったのは、地方から農協へ金が来るのはどういう決済方式でやられておったか。
  62. 中山正

    中山証人 これは、小切手の先払いというようなことは私は初めて耳にいたします。質問者の言われているのはおそらく今度の事件に関連してだと思っておりますが、私の監事をやっておりましたのは昭和三十六年でございます。その当時は小切手の先払いとか何とかというようなことは、これは絶対なかった、こういうふうに考えておりますし、当時のことは今皆さんの同僚である小川豊明君が専務でございます。よく知っているわけでございます。私はそういうことは当時はなかった、小川君や私のようなやかましいのがいたので、そういうことはやらなかった、その後でたらめになったのじゃないか、こういうふうに考えております。
  63. 小松幹

    小松委員 それではあなたが監事をされておった二十六年の十二月ころまでには、そういうような経理のことはやていられなかった、そういうことでございますね、
  64. 中山正

    中山証人 その通りです。
  65. 小松幹

    小松委員 それでは最後にもう一つお伺いしますが、あなたが、わずか半年ではございますけれども、農協の監事をやられて、その経験から考えて、最近の新聞紙上等のいわゆる裏の経理というようなものがあるわけなんですが、あなたとは関係ないのですけれども、そういうことから考えて、今後の農協の監査機構なり監事は、どういうような体制でおらなければこういうことが発見できないかどうか、監査においてこういうことがすぐわかるような格好になるためには、自分の半年の御経験からしてどうあったらいいかということを、もしお考えがありましたら最後に承わりたい。
  66. 中山正

    中山証人 それは先ほどから申し上げましたように、地方農民百姓の代表として出てきて、膨大な数字に目を通して、これを一目瞭然明らかにするというようなことは、なかなか不可能だと思っておりますので、先ほどから申し上げたような制度の改革をやっていくよりほかないのじゃないか。いわゆる補助職員の強化、これらの職員の身分の保障、それから監査補助職員執行部の方に転勤をさせるということになるような、いわゆる会長の任命権以外に監事自体の任命権に補助職員をずっと置くというようなことにしてやっていかない限りは、私は正確な監査はできないというふうに考えております。それから監事自体でございますが、この選び方や、監事のこの監査に対する能力というようなものを十分検討を加えてみないと、ここで今どういうふうにするということは私は言い得ないと考えております。
  67. 小松幹

    小松委員 では終ります。
  68. 青野武一

    青野委員長 淡谷悠藏君。
  69. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 中山証人に簡単に二、三点お伺いしたいと思います。あなたが監事をしておられました昭和二十六年ごろ、このことは全購連の経理内容というものは黒字であったか赤字であったか、その点をお答え願いたいと思います。
  70. 中山正

    中山証人 赤字でございました。
  71. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その赤字が急激に黒字に変った場合、あなたは職にいなかったといいますが、何か危惧の念を打たれなかったかどうか、その点はどうですか。
  72. 中山正

    中山証人 やはりこれはいろいろな客観的な情勢もあることでございまして、一概には言い得ないと思いますが、若干危惧の念を持ったことは事実でございます。
  73. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたはさっきの証言の中で検査機構の欠陥が非常に気になるということを言われておった、それから職員が何か役員をしのぐような権限を持っておるということも言われておった、そうしますと、何かその当時から全購連の内部には不明朗なことがあるかのごとくわれわれには考えられる。あなたがこの監査機構の欠陥があるということを一番強く感ぜられたのはどの点であったか、またこれに対してどういうふうに改められたらいいとお考えになったか、できましたらこの際率直に御意見を聞かせていただきたい。
  74. 中山正

    中山証人 何か職員役員をしのぐような不明朗が当時あったかどうかという御質問でございますが、これは私の考えでは、要するに実権を職員が握っておるので、端的にいえば役員はロボットに近いというような印象を受けました。中にはりっぱな役員もあったと思いますが、そういう点もあったように記憶しております。なおまた監査機構の欠陥を是正するのにはどうすればいいかというお話でございますが、これは先ほどの質問にお答えした通りでございます。
  75. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 時々監査のほかに官庁を通じて行われる検査などもあるはずでありますが、あなたが在職中そういう行政検査を受けた御経験がございますかどうか。
  76. 中山正

    中山証人 検査を受けた記憶はありません。
  77. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林経済局の農業協同組合部、組合検査課というのができておって、これが定時あるいは臨時あるいは抜き打ち的に検査をする機構になっておりますが、この検査が実際に行われた例はその当時はなかったのですか。
  78. 中山正

    中山証人 あるいは私の任期外において行われたかどうかは承知しておりませんが、私のやっておるわずかの期間にはなかった、こういうことです。
  79. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 非常に不確かなこの監査機構の中では、こういうことも起り得ることは考えられますが、それに対して行政検査が強く行われるかあるいはゆるく行われるかでもこれはだいぶ変ってくると思う。あなたの在職が短かかったからなかったかもしれませんが、段別あなたが監事の在職中にそういう行政監査等が行われるのじゃないかといったふうに考えられたことはございませんか。
  80. 中山正

    中山証人 別にそういうことは考えられなかった。
  81. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 よろしいです。
  82. 青野武一

    青野委員長 生田宏一君。
  83. 生田宏一

    ○生田委員 ちょっとお尋ねいたしておきますが、先ほどのあなたのお答えの中で、自分がやめさせられたのは、任期中であったが臨時総会でやめさせられた、その理由自分がくそまじめに監査をやり過ぎたのであろうと思うが、それがためにきらわれたと思う、こういうお話でございました。私はそれを聞いておりまして、こんなつじつまの合わない話はない、あなたがどういうわけできらわれたかというお話もなければ、また臨時総会であなたをやめさせるに至る経緯のお話もないし、ただ単にあなたが一方的に、私がまじめにやり過ぎたのできらわれたのであろうというだけで、臨時総会の意向があなたをやめさすというようにきまったとは考えられないのでございます。まだその裏にこういういきさつがあって私がやめねばならなかったという理由が何かあるに違いないのですが、それがあなたの言いにくいことであればいたし方ありませんが、あなたが申されてさしつかえないことであれば言っていただいておいた方がいいように思うのですが、いかがでございますか。
  84. 中山正

    中山証人 私はそのことについて、まじめだからじゃまになるからやめさせられたのだろうというふうにただ感じておるだけでございます。やめさせられる理由としては先ほど申し上げたので、あなたお聞き漏らしになったと思いますが、いわゆる中央において農協の連合会が四つございます。これらに送る役員を各県が平均に一人なり二人なり送るという行き力を当時とっておられた。たまたま私がやったときには、栃木県から連合会に三つ役員を出しておる。お隣りの群馬県には一人もない。これは均衡上、あるいは農協の仕事をしていく上においてもいろいろ不都会が生じてはいかないから、お隣りの群馬県に譲れというようなことで、今問題の小沼君が私のあとに入って参りました。理由はそういうことになっておりますが、先ほど私が申し上げたように、非常に私が納得のいかないのは、私が監事になるときも、これは当然栃木県が三人の役員をとるということはわかっている事実でございます。そのときは一向差しつかえなくしておいて、半歳にも満たないとぎに、今度はそういう理由でやめさせるということは非常に納得がいかない。軽い意味で、私はちっとまじめ過ぎるから職員がきらったんじゃないか、こういうふうに私が感じておることを申し上げたので、それが理由だということは私ははっきりと申し上げていないつもりでございます。
  85. 生田宏一

    ○生田委員 よろしゅうございます。
  86. 青野武一

    青野委員長 中山証人に対する尋問は以上をもって終りました。  中山証人には御多忙中、長時間御苦労でした。御自由に退席されてけっこうでございます。  それでは次に小沼証人に対する尋問に移ります。まず委員長より概括的な点につきましてお聞きいたします。  小沼証人の現職、略歴、全購連在職当時の職務内容につきましてお述べを願います。
  87. 小沼弥藤次

    小沼証人 簡単にお答えいたします。昭和九年から産業組合の専務をやりまして、それから県の経済旭の会長には昭和二十六年の五月からなりまして、同時に全購連監事に同年就任いたしまして、二十九年の十月改選に当りまして全購連専務に就任して、先月の三十一日まで就任しておりまして、ただいま辞任しておるわけであります。職業は農業をやっておりまして、ほかには何もやっておりません。
  88. 青野武一

    青野委員長 小沼証人にあらかじめ委員長から申し上げておきますが、各委員の大体の尋問の内容と申しまするものを総括的に申しますと、今回の汚職事件を生む原因となった監査機構、補助金や含み資産の行方、含み資産による政治寄金などへの疑点、もう少し詳しく申しますると、架空個人名義で銀行預金をしておる、四十五日から六十日間の先付手形のからくりで金利稼ぎをやっておる、荷揚げ倉敷料の水増し、架空保険金の詐取、非常用農薬の保管、農薬輸入原料にからむ不正、こういうことを一括して、非常に国民の、あるいは農民の疑惑を招いておる、大体そういう内容の尋問があることと委員長は推察をしておりますので、あらかじめ心がまえをそういうように持っていただきたいと思います。委員長よりの尋問は終りました。  それでは各委員よりの尋問に移ります。発言の申し出がありますので、順次これを許します。細田綱吉君。
  89. 細田綱吉

    ○細田委員 小沼証人は先ほど農業をやっておられると言ったのですが、農業はどこでやっておられるのですか。
  90. 小沼弥藤次

    小沼証人 私は群馬県勢多郡、ただいま城南村になりましたが、そこの大字泉沢でずっと農業をやっております。
  91. 細田綱吉

    ○細田委員 昭和九年産業組合の専務に御就任になって以来、いろいろ役割は変られたが、農業協同組合関係に大体ずっと終始されておるので、きわめて全購連のことはお詳しい、特に専務理事としての御就任もあったので詳しいと思うので伺うのですが、全購連の主たる仕事、業務、これはどういう業務でございますか。
  92. 小沼弥藤次

    小沼証人 全購連仕事は大要次のものになっております。大きく分けますと、生産資材、それから生活資材、この二つの物資の購入をいたしまして、これを農家の皆さんにお届けする、そういうような仕事をやっておりますが、昨年度の総金額約七百六億円ばかりやっておりまして、そのうち肥料の方が五百余億円、資材が百三十億円ばかり、そういうような仕事で、その他それに関連しておるところの業務を営んでおります。
  93. 細田綱吉

    ○細田委員 全購連はいろいろの費目はあるでしょうが、大体総額にして農林省からどんなくらいの金が交付されておるでしょうか、あるいは受領しておるでしょうか。
  94. 小沼弥藤次

    小沼証人 全購連赤字の連合会でございまして、その当時から再建整備法の適用を受けまして、奨励金として交付された金が、二十六年から始まりまして、二十六年に増資の奨励金と、それから固定化債権、固定化在庫、これをなくしろ、なくしたものに対しての利子を補給してやるという名目のもとに二千九百十四万円―一万円以下は省略させていただきたいと思います。それから二十八年の七月までに三千四百七十九万円、それから二十九年の七月までに二千十八万円、三十年の三月までに千二百七十七万円、合せて九千六百八十八万円、これは再建整備法に基く助成としていただいておりました。そのほかの助成はいただいておりません。ただし保管硫安の経費その他はいただいておりますけれども、補助金としては以上の額であります。
  95. 細田綱吉

    ○細田委員 ただいまおっしゃった保管硫安の保管料とでもいいますか、これはどのくらい農林省からあなたの方へ交付されておりますか。
  96. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは補助金でも助成金でもございませんで、実費を交付されておりまして、詳細の資料を持っておりませんで、ほんとう自分の気覚え程度でございますから、あるいはその数字に若干の差異があるかもしれませんけれども、概要だけを申し上げますと、二十九年に九千百万円、これは十二万二千トン硫安を保管しまして九千百万円、それから三十年度に五万二千トンの硫安を保管しましてその縦貫四千三百万円、それから三十一年度はまだ交付になっておりませんが、保管硫安は七万五千トン保管しております。
  97. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのところで現金決済と申しましょうか、金を出されるときはどういうシステムというか、方法によって金を扱っておられるのですか。
  98. 小沼弥藤次

    小沼証人 金を支払いますには、普通二つの関門を通らなければどうしても出せないようになっております。それは肥料を購入した場合には、肥糧部でもって関係の一切の書類をまとめまして、それを資金第二課に回しまして、資金第一課でこれで間違いないといいますと、支払い連絡票というものを作りまして、関係書類をつけてそれを主計課に回し、主計課では関係書類に基いて支払い伝票を起します。そして支払い伝票に基いて小切手が切られて、これが再び資金第一課に回ってきて、関係の支払い先に小切手で支払われます。大体その方面の支払いの関係取引先は農林中央金庫でございますから、それだけの手数を経ないと、通常のものは現金が出ないわけでございます。そういう仕組になっております。
  99. 細田綱吉

    ○細田委員 非常に仕組みは厳重になっているようですが、新聞の伝えるところによると、河村という人が多額の使い込みをしておったようですが、あなたの長年の経験、特に専務理事立場として、どうしてそういうふうな使い込みができたのでしょう。あなたの今のシステムを厳重にやっているとすると、そういう使い込みができてこないはずなんですが、あなたが今から考えて、全購連の支払い方法のどこに欠陥があったとお思いになるのでしょうか。
  100. 小沼弥藤次

    小沼証人 河村事件につきましては、これはもう責任ある私として、非常に農家の皆さんあるいはその他の国民の皆さんに対して申しわけないと思っておりますけれども、あれは御承知のように建設仮勘定が主たる費消された科目でございまして、これは資材部から工事に関する関係書類を回しまして、これだけを支払ってくれ、こういうので主計課に行きます。建設仮勘定だけはごく期間の短かい臨時のものであるから、主計課の方だけでこれを処理して支払ってくれ、こういう主計課とそれから資材部と打ち合せの上やったのでございます。ところがたまたま河村氏が、建設仮勘定の書類は私が一切めんどうを見る、こういうので、私にその書類を預けろ、そういうようなことでやってまわりの職員をうまくだましたというか、そういうようなことをして書類自分で持っておって、そうして関係書類はこれだけある、だからお前らは私の言う通り伝票を切れ、こういうようなことを言ってだました、こういうように承わっておりますけれども、これはまだ司直の手にかかっておりまして、詳細どういう手口でやったのか、その点が判明しませんので、問題は、一局部に臨時的なものであるからやれという両課の打ち合せで簡単にまかしてしまった、そこに大きないわゆる牽制組織というものを破る根源があった、こういうふうに推察できるのでございますけれども、これはあくまでも、現在あらゆる関係書類が押収されておりますので、ほんとうに詳細なことはよくわかりません。ただ今まで関係の者の手によって内面的に調査した資料に基きますと、そういう手品で、それも課長補佐の判がなければ小切手が切れないにもかかわらず、その判が盗用されたのか、あるいはめくら判を押したのか、その辺がはっきりしない。それで二月二十二日の役員会においては、主計課長役員会に出ているから、全然執務していないのです。全然執務していないにもかかわらず、たまたま一つの伝票を調べてみますと、それに課長の決裁判が押してある。しかも河村の机の中には合かぎが十数個ありまして、これは目下警視庁の方へ押収されておるというような事実がわかってきましたので、私ども非常にそこのところに、課長の決裁判というものが一体どういうふうにして押されたのか疑問を持っておりますので、その点はいまだ明細にお答えをするだけわかっておりません。
  101. 細田綱吉

    ○細田委員 先ほどのあなたの最初の御説明によると、相当支払いの方法というのはルールがあって厳重をきわめているようなお話があったのですが、ただいまのお話によると、建設方面は臨時勘定として主計課と建設課の申し合せによって、何かきわめて簡単に例外が許される。またお話によると、河村という人がおれに一切まかしておけといって、その人にごく簡単に書類をまかした、こういうわけですが、そうするとそういう個人的な関係で、一つの課と課の申し合せによって支払いのルールが変更されたり、一人の人がおれに責任を負わせろと言って、その人にまかせられるというような、きわめてルーズなものなんでしょうかどうなんでしょうか。
  102. 小沼弥藤次

    小沼証人 本来そんなことがあってはならないのだし、もしそういういわゆる取扱いのルールを変えるという場合には、必ず部課長から役員室に通し、役員室から相談の上、こういう方法でやってもよいという指示がないのを変えるということはできない仕組みになっているわけでございますけれども、しかしそれがどういうわけでそういうふうに簡単に話し合いをして、内面的な操作によってやったのか、その辺のところは非常に疑問を持っております。いまだどういう経緯でそういうものを許したのか、その辺のところははっきりわかりませんですし、それから私ども非常に残念だと思うのは、信頼とそれからいわゆるゆるふんというようなものは紙一重だ、こういうような感じを持っております。なぜかというと、河村なる人はお父さんがずっと長く農業会当時から勤めておりまして、そうしてそのお父さんと一緒に今の部長が勤めておって、それでお父さんから河村の身分、いわゆる後見的な依頼を受けまして、そしてこれを育てることを依頼されて引き受けておった、そういうような関係で、お父さんからしても非常に信頼してかかって、切っておったというようなところに、大きな間違いを起す原因があったんじゃないか。これは想像でございますから、ほんとうによくわかりませんですけれども、そんなような感じが今いたしておるのでございます。
  103. 細田綱吉

    ○細田委員 河村と今の部長との関係は、これはほかの会社あるいは官庁でも、そういうことは個人的のことですからよくあると思うのです。けれども、たとえばその間伝票の判こが三つ要るとか、五つ要るとか、そういう関門を必ず経過していかなければならぬ。言いかえれば、そういう人たちの審査を受けるというルールさえ確立しておれば、どういう個人関係がそこにあっても、そういう間違いというものは起きなかったと思う。しかし結果において起きているところを見ると、部長限りでそういうルールが変更できた。言いかえれば、個人的な考えによって支払いの方法を常に変更できるような態勢下に全購連というものはあるようにわれわれは印象つけられるわけですが、この点はどうですか。
  104. 小沼弥藤次

    小沼証人 私どもは長く組合に携わり、自分みずからも筆をとって経理をやったことがございますけれども、しかし事簿記の基本的な観念を持っておる者ならば、ああいう間違いを絶対に起せないのだ、そういう考えを私ども持っております。しかしはっきりしたルールがきまっておるにもかかわらずそれを簡単に変更された、そういうところを私ども監督者として非常に残念に思っておるのです。そういうことが現実にあったので困っておるわけですけれども、そう簡単にいわゆる経理のルールというものは破れるものじゃないという考えを今でも持っておりますので、これはこういう経理に対する大きな反省の材料として、私どもは将来これによって再びこういう簡単にルールを変更されるようなことのないようにしたいと考えております。
  105. 細田綱吉

    ○細田委員 農林省から保管硫安の倉庫料とでもいいましょうか、保管料とでも申しましょうか、年々相当の金がくる。これは肥料メーカーによほど前に渡されておるようなんですが、その事情を伺いたいと思います。
  106. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは御承知のように肥料の審議会で答申をされまして、政府の方でその答申に基いて、普通十六万トンの保管硫安のワクを与えられまして、このワクの範囲内で農林省と打合せをされて、当座幾らするかというようなことを打合せの上大体の予定額をきめまして、そしてそれによってメーカーのどことどこに幾ら、いつ出してくれということで、メーカーの方から受けたものを保管しておるわけでございます。最初の年には約五万トンは業者の倉庫に保管しておりました。年度からは五万トン、七万トンというような数字を一切こちらの責任で引き受けまして保管しておりますので、そういうような形になっております。放出につきましては一々政府の指示を受けまして、その指示に基いて何月に幾ら出すということをきめましてそれを出しておる、こういうような状態でございます。
  107. 細田綱吉

    ○細田委員 全購連の責任下にある肥料は臨時肥料需給調整法か何かの法律によって農林省の指示は受けるでしょうが、たとえば硫安なら硫安の製造会社はお金の支払いは現物と引きかえですか、あるいは前もって払っておるのか、あるいはその引き取った数カ月後に現金の支払いをしているのか、その点はどうなっておるのでしょうか。
  108. 小沼弥藤次

    小沼証人 今大部分の肥料は共同精算に乗せておるものですから、県連から、いわゆる会員からいただいた注文に応じて、その八掛を出荷されると同時に払い込んでいただきまして、それを全購連の方では受け取りましてメーカーに払うわけでございます。メーカーに払うサイトは四十五日ということで、大体単協から県連、全購連、こういう筋道で二十五日くらいの日数を要します。そうして支払いサイトを四十五日でやりましても、その間二十五日ばかりはいろいろの手続、輸送その他の関係日数がかかりますので、従って四十五日からそれだけ引けたものがメーカーの方とそれから私どもとの金の操作に当る期間になってくるわけでございます。それで必要に応じてメーカーの方へすぐお払いすることもございますけれども、大体四十五日のサイトがありますので、そんな方法でやっております。そして今私どもの方で運転しておるところの資金の方は三十億ばかりでございますけれども、それを運転しておるわけですが、その操作の金利というものは、今全体の金利は、支払い金利が約六億でございますが、それから実際運用されるところの金利その他入ってくるところの金利一切が五億四千万ばかり、そこに六千万ばかり差金は払い出しになっております。二銭三厘の計算でやっておりますので、実際の運転の金利というものは一銭八厘五分五毛くらいにしかなっておりません。従って六千万円くらい本会が出さないとつじつまが合わないというような勘定になってきております。それで共同計算の金利一切、これは農家に精算をするときにお戻ししております。一かます幾らという金利たちゃんとお戻しするようになっております。そのお戻しする総金額約六千万ばかりは本会負担になっております。
  109. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのおっしゃったメーカーとの間の支払いのサイト四十五日というのはどういう計算から四十五日というのですか。
  110. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは荷を出しまして出荷報告書を受けてから四十五日のサイトになっております。
  111. 細田綱吉

    ○細田委員 その四十五日というのは、何を基準にして、今の出荷の通知があってから四十五日ときめられたという、その四十五日というのはどういう計算ですか。
  112. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは通常メーカーとの取引契約を基準として、四十五日をサイトとするというふうな契約を結んでおるものですから、それに基いて四十五日サイトということがきまってくるわけであります。これはメーカー対私どもの契約に基くもので、ものによってそれがもう少し短縮されたり、延びたりするものもありますけれども、標準としては四十五日が標準になっております。
  113. 細田綱吉

    ○細田委員 新聞に伝わるところによると、大体あなたの方でメーカーに支払った、前払いをして、その利息のはね返りとでも申しましょうか、そういうものが約一億全購連にあった、一億以上あったということですが、あなたの今の御説明からいって、この一億はどこから出た金でしょうか。
  114. 小沼弥藤次

    小沼証人 非常にお答えのできないことで、申しわけありませんけれども、一億円はどういう形でどんなふうに入ってきたか、その詳細を私は存じておりませんので、まことに恐縮でございますけれども、その点、どんな形でどういう、ふうに入ってきたか、私存じておりませんので、恐縮ですがお答えできませんです。
  115. 細田綱吉

    ○細田委員 これはどうです。あんたも全購連専務は二十九年の十月からというと三十年、三十一年と、二年半くらいおやりになっているわけです。しかもその前ずっとやっているから、こういうようなことは、こんなでかい金が動いているわけですから、そういうものが全購連メーカーから入っていないとか、あるいは入ったとか、どこへ記帳されているとかいうようなことくらいは、あなたは前もってそういうことをおぼろげながらわかっておって、専務御就任後、こういう大きい金が何か特別の操作金ですから、特に専務方面で必要な金だと思うのですが、これをあなたは全然知らないと言ってもちょっとわれわれには受け取れないのですが、どうですか。
  116. 小沼弥藤次

    小沼証人 いわゆる正常なものにつきましては一切わかるわけになっておりますけれども、しかしそれも何しろ一カ月六十億とか六十五億とか、そういう金が動いておりますので、いわゆる経理、総務、業務、これは一々業務規程に基きましておのおの担任をきめ、責任をきめて、ちゃんと業務を分担さしておりますので、そういう膨大な金の動いている中で、一々専務が伝票を見るわけではございません。会務の大方針についての相談であるとか、それから指示であるとか、そういうものは会長、常勤、相談をしましてやりますけれども、一々経理の各伝票についての目は全然通しておりませんので、残念ながらそういう部分的な委任業務については専務が知ることができません。おそらくあの膨大な決済書類というものを、そういう伝票まで見ておったらとても勤まらないような気がしますので、これはおのおのその分担業務で委任された業務の範囲内でやってもらっておりますので、そういう細部については、金額は確かに今おっしゃられますように大きいように感じますけれども、そういう個々の伝票、支払い、受け取りに対しての詳細は全然専務として存じておりませんので、この点ははなはだ恐縮ですけれども、そういうわけでございます。
  117. 細田綱吉

    ○細田委員 東独から入ってきたカリ肥料の含み利益、含み益と申しますか、これが五億何千万あったということを伺ったわけですが、これは一つあなたの知る範囲で、どういうわけでこういうものがあんたのところで出たか、この点を一つ。
  118. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは二十六年、七年ごろからずっと御承知のように二十六万トン、二十七百万トンというような数字が入ってきまして、最近では七十三万トンぐらいカリが入ってきておりますが、その中で二十八年、九年の二年にわたって、その当時の市場価格よりも最低で約一、三十円、最高は百四、五十円安いものを配給してもなおかつ利益があった、そういうお話を後に聞いたのでございますが、それで二十八年に二億二千万ばかり、それから二十九年に二億八千万ばかりその利益があった、そういう報告を受けまして、それがいわゆる含み益の財源になったというお話を聞いております。そう承知しております。
  119. 細田綱吉

    ○細田委員 私には、二十九年に二億八千万、二十八年に二億幾らの利益が出たということがわからないのです。全購連は営利会社ではないので、農民に対するサービス機関であることは、これは私が申し上げるまでもない。百五十円でも百四十円でも、あるいは二十円でも三十円でも安ければ安いほど、サービス機関だからいいわけなんで、それ以上安くしてはいかぬという規則もないし、また農民の要望もないわけです。それであるのにかかわらず、そういう利益が出たというのはどういうわけなんですか。
  120. 小沼弥藤次

    小沼証人 これはおっしゃられる通りでございまして、もともと購買事業のあり方というのは、原価にプラス経費でもって農家にお渡ししなければならないのが原則でございますけれども、これは、その当時の取扱いを自分でやっておりませんから、よくはわかりませんけれども、全購連が設立された当時非常に赤字で悩み、しかも中金から手形発行も停止されてしまって、いわゆる禁治産状態に入った。その非常な苦しみの中に立ち上ったので、何とか赤字を償還していきたい、これが一つの動機になってきたのじゃないかと想像されます。それからもう一つは、年二回の輸入でございますから、相当価格に変化がございますし、しかも契約してから早いので三カ月、おそいのになりますと四カ月以上かかって初めて国内に入ってくる。こういうようなもので、いわゆる先に相場を組むというような性格の輸入肥料でございますから、相場に打ち勝つ、そして農家に迷惑をかけないようにしていく、そういう運営上の要素といいますか必要性というか、そういうことからどうしてもある程度の準備金というようなものを持ちたい、そういう観念から、本来なら購買事業の本質からちょっとそれるようでございますけれども、そういう苦しい境涯を経てきたものですから、再びああいうみじめな禁治産のような状態に入りたくないという考えが動機となって、そういうような金を持つようになったのではないか、それを持った当事者でないから真実のことはよく私にもわかりませんけれども、そういうような気がしてならないのであります。
  121. 細田綱吉

    ○細田委員 小沼さんは非常にまじめに善意にものを解釈しておられるのですが、それだったなら、カリの利益がこれだけ出たと堂々と帳簿に載せてしかるべきですね。これはそういうふうに帳簿に載っておったのでしょうか。
  122. 小沼弥藤次

    小沼証人 その点が私非常にふに落ちないところなんで、監事をやっておりまして、監事の任期の終るときに、常任監事の三上さんが全購連の経営の内容が非常によくなったという報告を総会でされておったわけです。しかし、同じ監事の三浦監事といろいろ話してみたのですが、力が出た、経営内容が非常によくなったというのならば、それが具体的に数字にちゃんと何らかの形で現われてこなくちゃならないはずですが、風評は、全購連の経営内容がだいぶよくなったということを聞きながら、しかし実態の数字は現われていない、今なお赤字がある、こういうところに若干ふに落ちない、不審に思ったところがありましたので、私専務に就任する早々、今度常任監事になりました三浦監事と相提携して、これは何とかはっきりする必要があるのではないかというのであらゆる手を打っていただきまして、これは監事の手を借りないと、私ども日常業務をやっている者が一々詳細に調査する上げにはいきませんから、特に監事さんと打ち合せをして、何とか力があるならあるように数字の上にはっきり示すべきじゃないかというので調査してもらいました。そうしたら、たまたま若干の含み益があるということがわかってきまして、そういうものは会員の了解の上で持つべきだ――中央の団体が七百億からの事業をやっておりますと、これを十回転しましても七十億の事業をやっているわけです。そうすると、物価指数の高低表からいくと大体一割三分物価の高下があるということが常識ですから、少くとも一割の準備金というものは必要だ、だから準備金が必要ならば必要だということを明瞭にして、公然と会員の了解の上で持つべきじゃないかというので、約一年半かかりまして、それを軌道に乗せる調査なり方法なりを講じまして、二月の多分八日だったと思うのですが、ようやくその全貌がわかったので役員会に報告し、同時に、三十一年の五月の多分十日だったと思うのですが、臨時総会を開いて、例の問題になりました修正決算を全会員に承認していただきまして、ようやくそれを表の勘定としてだれにもわかるような経理に直していただいたわけでございます。
  123. 細田綱吉

    ○細田委員 今あなたの話を伺っていると、含み益というものを自発的にあなたの方で計算して出して、そうして全会員の了解を求めて処理した、こういうわけですが、われわれの承知したところによると、農林省の検査の結果発見されたので、あなたの方で自発的に出しているのではなかった、この点はどうなんですか。
  124. 小沼弥藤次

    小沼証人 これはたまたま節を同じゅうしたといいますか、監事と相談していろいろ何かあるんじゃないかというので調査を進めて、その後農林省の監査がありまして、それがはっきりわかってきましたので、これはたまたま監事の方と私どもの方と農林省の検査が節を一にしたのでございまして、内面的な調査というものは表に報告もされませんし、それから発表もされませんからはっきり農林省の監査で出ておるようでありますけれども、その前から手をつけておったということは事実でございます。
  125. 細田綱吉

    ○細田委員 これはどういうふうに処理されたのですか。
  126. 小沼弥藤次

    小沼証人 含み益、その中には若干その他の収益も入っておりますが、合計いたしまして五億一千二百二十四万円、それを価格変動準備金として三億八千百万円、これは法的に承認されております在庫の一割、それから貸し倒れ引当金として二千五百万円、合せて四億六百万円をそういう科目で新たに直していただいたわけです。それからそのときの事業の益金九千七百四十六万円ありまして、合計二億三百七十一万円、それから再建整備の益金として一千三百三十五万円、合計三億一千七百六万円というものを得て、そのうちから、そのときに欠損金が一億七五百九万円あったのでそれを埋めて、そうして残った四千百九十七万円のうちから法定のいわゆる準備金、教育情報の積立金、これは法律で定められております六百十万円というものを積みまして、次期繰り越しの剰余金として三千五百五十七万円を繰り越しまして修正決算をいたして会員の承認を得たわけであります。
  127. 細田綱吉

    ○細田委員 この含み益の方は今御説明を伺ったのですが、そうするとカリの方は、今までこういうふうに相当の利益が隠されておったのですが、同じ経済状態同じ物価指数であるとするならば、将来は農民にこれ相当の額のものが安く今度は配給される、こう考えてよろしゅうございますか。
  128. 小沼弥藤次

    小沼証人 その点はこれは全部会員の持ち分でございますから、当然必要のなくなった場合には会員にお戻しし、それがひいては農家の方々までお渡しする金でございまして、決して全購連の専有物ではありませんから、これは時期を見てお返しすべきものだし、これは農家の持ち分だと考えております。しかしことしのカリの肥料情勢というものは非常に変ってきまして、在庫持ち越し約十万トンと言われておりますので、従って市場が非常に混乱しまして、ただいまのところ全購連で取り扱った二十三万トンのカリについてトン一千円ずつの損失が生じておりまして、今価格変動準備金の三億八千百万円から一億三千ないし二億五千万円をくずして、そうして現在の市況に合うようにしなくちゃならないというので、先般の理事会では承認を得まして、肥料の審議会にも承認を得、そうして目下価格変動準備金をくずして精算中でございますから、これは六月までの間どの程度肥料が取扱いできるか知りませんけれども、今の予定からいくと、いま少し価格変動準備金をくずさなければ間に合わないような事態が起きておりますので、せっかく積んだところの価格変動準備金も、そういうようなわけでもう手がついております状態でございます。
  129. 細田綱吉

    ○細田委員 東独のカリ肥料は、御承知のように国内では全然生産できないので全町連が一手に農家に配給しておると承知してよろしゅうございますか。
  130. 小沼弥藤次

    小沼証人 東独のカリは五つの会社が輸入しておりまして、日綿、伊藤忠、相互、岩井、東食と、この五つの会社が輸入しておりまして、そのうちの何%を全購連がもらっておるか、その内訳は資料がありませんので申し上げられないのですが、どうぞあしからず御了承願いたいと思います。
  131. 細田綱吉

    ○細田委員 この前、前河野農林大臣が東独へ行ったときに、輸入のシステムが非常に変更になったということはあなたは御経験になっておりますね。あなたのところは輸入を担当していないから御存じないか、その点一つ……。
  132. 小沼弥藤次

    小沼証人 今まで承知いたしておりますのは、例のカリが日本に入る量が少いというと、どうしても値上りして困るから、大臣の洋行された帰りのお話によりますと、なるべくカリをたくさん入れて、いわゆるA・A制をしいてたくさん入れて、そうして田内価格というものを抑えたらどうかというようなお話で、私どもそんなふうに承知しておりますので、そういうふうになりますと、私どものカリの取扱いは非常にむずかしくなりますので、明年から極力取扱いの輸入量というものを減らす一方で、今までは思い切って六割でも七割でも取り扱えという方針できたのですけれども、こういう状態になりますと非常に危険でございますので、せっかくA・A制がとられましてもこれはそれに乗ずべきではない、そういうので一切控え目にやっておりまして、今在庫三万トン弱でございますが、これはあるいはちょっと六月まで農家の需要がこんな実態で減りますと、若干ふえますけれども、七対三というような在庫の持ち方でございまして、何とかこれは在庫を極力少くしていきたい、こういう方針で今進んでおります。
  133. 細田綱吉

    ○細田委員 この点は、あなたとしては業務内容でないかもしれませんが、東独のカリの輸入について、一つの輸入商社の組合というか、組織があって、その理事長の変更があったのですが、そのいきさつはあなたはどういうふうに伺っておりますか。
  134. 小沼弥藤次

    小沼証人 ただいまの御質問に対しては全然知識がありませんので、カリ普及委員会という組織があることは聞いておりますけれども、全然資料を持っておりませんし、自分でも記憶がないのでお答えできないので失礼いたします。     〔委員長退席、山田委員長代理着席〕
  135. 細田綱吉

    ○細田委員 一点だけ。日綿実業は、従来の輸入実績なんか全然持っていなかったのですが、河野さんの渡独前後から非常に頭をもたげてきたのですが、そのいきさつは、御存じありませんか。
  136. 小沼弥藤次

    小沼証人 ただいまのことも、よく承知しておりません。
  137. 細田綱吉

    ○細田委員 それではその問題はその程度にしておきます。  あなたは、伝票を一々専務が見ておられないというのも、ごもっともな言葉だと思うのです。そこで先ほども中山監事さんにお伺いしたことですが、全購連は農林省から天下ってきた人たちが、相当の位置と相当の人数とを占めておるということは、どうなんでしょう。
  138. 小沼弥藤次

    小沼証人 全購連職員は、ほとんどいわゆるはえ抜きの組合人といいますか、そういう方が多いので、農林省関係からおいでになっている方は、顧問の方が二人きりでございまして、ほかには全然農林省からおいでになった方はおりませんので……。
  139. 細田綱吉

    ○細田委員 そこであなたのおっしゃる、はえ抜きの全購連マンであり、あなたたちは言いかえれば地方から入った人、はえ抜きの全購連マンの方が、あらゆることになれてもおるし、知ってもおるというので、専断の傾向が強いのだということを、われわれは耳にもし、先ほどの中山証人もそういうようなことを漏らしておったのですが、あなたのお考えはどうなんでしょうか。
  140. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは非常に申し上げにくいことでございますけれども、あまり専門化すといいますか、仕事になれ過ぎて簡単に処理してしまう、こういうようなきらいがあるんじゃないかと思いまして、自分はずっと単協県連からこちらへ来てからも、いわゆる対外的な契約であるとか、新しい業務というものに対しては、起案する前に相談をして、それがほぼこれでいいんじゃないかといってから起案すべきではないか。それを起案したものが、ずっと役員に来るときには、行なってしまってから十日もたってから来るということでは、実際いけないのじゃないかというような、そういう気持でこれは極力直したいと思って努めてきたのですけれども、私の力が及ばないで、なかなかそこまで改善できなかったのです。これは将来とも非常に大事なことでございますから、簡単に一係、一局部がやってしまってからというようなことは改めなくてはならない。どうもあまりに仕事に精通し過ぎて、簡単にものを処理していくというようなきらいは多分にあるんじゃないかという感じは持っております。
  141. 細田綱吉

    ○細田委員 精通することも、専門化することも、けっこうだと思うのだが、先ごろの河村主計課員の例のごとく、あまりなれてしまって、おれまかせで、ああそうか、おれにまかせろということでは困るので、その点はあなたもお気づきになったのだが、力及ばずということであったそうですが、おそらくあなたの後任の専務理事が入られてもまた力及ばずということになると思うのです。そうすると全購連というのは、どうも地方に根を持っていない人たち、言いかえれば、はえ抜きの全購連マンが全勝連というものを何か商社のような性格に変貌させるというようなおそれを、だれしも考えられるわけですが、これに対してどういう方法をとったらいいのか、あるいは国会方面で法的措置でも講じない限りはどうにもならないものか、その点の御感想を伺いたい。
  142. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは直せば直るんだという、そういう気持を持っておりますし、今度の事件から考えてみまして、徹底的にこれは直すべきだ、そういう考えを持っております。具体的には腹案を自分でも考えておりますけれども、今ここでもって去っていく者がそんなことを望むのもあまり僭越ではないかと思いますので、これは今度二十日の日に新鋭の役員が入ってきますから、その方々におつなぎして、徹底的な改善をしていただきたいと考えております。
  143. 細田綱吉

    ○細田委員 ここでそのお話を承わらなくてもいいのですが、新しい専務が来てまた新しく考えておると時間がかかってしまって、すぐというわけにいかないのですが、あなたの構想は、そのまま次の専務理事に引き継ぐお気持を持っておるでしょうか。
  144. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは中央役員はやめましても、再び会員として発言を許される機会がありますので、あらゆる努力を払って自分で体験した苦い経験から、はっきり二、三のところはどうしても改善して、そして再びこんな信頼を失うようなことのないようにしていきたい。それを改めさえすればもっと明朗な、もっと農民に信頼を得られる、しかも多くの国民に迷惑をかけるような、こんなぶざまなことを再び繰り返さなくてもいいんじゃないか、そういう確信を最近持ってきましたので、残念ながら、自分の力でそれがやれなかったということは、全く不徳のいたすところでございます。しかしこれはやり方によっては完全に信頼を回復し得る体制は作り上げられるという確信を持ちましたので、それを次の役員におつなぎし、会員の立場に立って、あるいは一農民立場に立って、これだけは徹底的に改善していきたい、やらなければだめだ、はなはだ僭越な言葉でありますけれども、それができないような連合会だったら要らないのじゃないか、そういう気持がしております。
  145. 細田綱吉

    ○細田委員 そこで、あなたのような熱意で改革するには、こういうような機密費というものを幾らでも引きずり出すところの余地があり、また機密費も正当な帳簿につけなくて、幾らでも使えるという体制自身が許されるとするならば、ちょっと改革ができないと思う。この機密費を抑えるというか、制限するというか、またそういう出てきたようなところをなからしめるということが、この改革の先決問題、言いかえればもとを切るということになると思うのですが、この点はどういうふうにお考えでございましょう。
  146. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは私どもの団体で一番いやがることで、一番してはならないことで、それが新聞の報道されているような問題になったということは、これはあまりに取引先と懇意になり過ぎるということはいけないことだ、だから定期的に、会計、取引、そういう関係のものは一ところに二年以上は置いてはならない、そういうような考えを持っております。なれ過ぎてくるとそういうすきを与えてくるような気がしておりますので、定期的にちゃんと異動を行う、そういうふうにしていきますれば、全購連に勤めておるような職員の方はきわめて腕のいい人ばかりですから、どの人をどこに持ってきたって使えないというようなことはあり得ないと思いますから、定期的にちゃんと異動していく、こういう処置をとっていけば、そういうような問題は解消できるという気持を持っております。
  147. 細田綱吉

    ○細田委員 農林省の検査は、新戚づき合いできわめてルーズなもので、あってもなくてもいいようなものだと聞いているのですが、実際そうなんですか。
  148. 小沼弥藤次

    小沼証人 これはいわゆる監査というのは、厳正な立場でもって監査しておりますので、私どもの団体となれ合いだ、親類づき合いだなんということは絶対にあり得ないので、これは内部の監事でさえもずいぶん骨を折って調査したにもかかわらず、わからなかったというような巧妙きわまるやり方でやられたので、私どものようなものが全然わからなかったというような、どんな秘密なことでも専務となれば知らなくちゃならない立場に置かれていながらわからなかった、そういう実情でございまして、農林省の方を責めるのはちょっと酷じゃないかという気がしております。
  149. 細田綱吉

    ○細田委員 最後にあなたの方の経理の関係でちょっと伺いたいのですが、先ほど農林省から来る金は大体伺ったのですが、地方の経済連なんかから吸い上げる、吸い上げるというのは語弊があるかもしれないが、賦課金、これは全購連に対しては、大きい小さいはあるでしょうが、平均して一都道府県で幾らくらいずつの賦課金をとって、あなたの方は年間予算、農林省の方から入ってくる金を加えてどのくらいでやっておられるのですか。
  150. 小沼弥藤次

    小沼証人 全購連、全販連の方は今賦課金を全然いただいておりませんので、賦課金の団体は全国農業中央会だけが賦課金をいただいて経営をしておりますので、全国の各連で負担するのが一千二、三百万だと思っております。それから各県連から上ってくるのが一千七百万ぐらいじゃないかと思っております。数字は今明確に記憶しておりませんが、そういう数字でもって予算を組んで全中はやっておりますけれども、私どもの団体では賦課金を全然いただいておりませんので、一切手数料主義でやっておりまして、そんなふうになっております。
  151. 細田綱吉

    ○細田委員 そこにいろいろなにが出やしませんか。機密費とでもいうか、含み益というか、そういうものが出る余地があると思いますが、賦課金でもって扱うところの品物は、そのまま実際面接の経費だけを、倉庫料は幾ら、運賃は幾ら、元払い金が幾らというふうにしてやれば、こういう含み益などというものは出てこないはずなんです。それを賦課金をとらないで、もうけから要するに経費を出そう、もうけは良心的に経費だけということでしょうけれども、そうすると自分のところに少しでもよけい来た方がいいというようになるのが、これは一つの人情で、特別賞与もこの前こういう金から出ておるようなんです。そういうところに堕落していく原因があるのではないでしょうか。     〔山田委員長代理退席、委員長着席〕
  152. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは御指摘の通り、今の面もございますけれども、要は総会で議決になった範囲だけを実際に運行していればよろしいので、これま今総合しまして、パーセンテージが九・九、三十年度はいただいております。三十一年度は総合して九・四の手数料をもらって、その範囲内でやるような仕組みにちゃんとできておりますので、その範囲内で一切予算が厳密に立てられまして、その予算の範囲内でやるように仕組みがもう確立しておるのです。だからその範囲内で総会の議決というものを尊重して運営してもらえば、そういう考えを起さなくても、余分の金をもらわなくてもやっていけるのでございますから、あまりよこしまな考えを起すようなすきを与えないのが第一条件じゃないかと思っております。決して間違いない運行が、そういうふうにやっていけばできるのじゃないかという気がいたします。
  153. 細田綱吉

    ○細田委員 実は私は茨城ですが、きのうも茨城の農村に入っていろいろ座談会があった。系統農協の方から来る肥料は実際安くないのです。農民はきわめてああいうふうに純朴なんだから、まるで自分の親戚のうちが商売をやっているような気持で、高くてもしようがない、買ってやれというような一つの義務観念でとっている人もある。あなたの方も群馬県の勢多郡だそうですが、これも似たり寄ったりで、系統農協だからといってびっくりするような安い肥料――びっくりといってはなんですが、そんなにもうかっていないでしょうが、商人よりも必ず安いという保証がついていない。こういうところに全購連なんかのゆがめられたあり方が私は現われていると思いますが、あなたはそういうことは御存じでありますね。
  154. 小沼弥藤次

    小沼証人 この点につきましては非常にむずかしいことでございまして、以前の購買運動というのは、いわゆる市価に比べて絶対安で購買するという方針で進んできたのですけれども、最近の購買運動というのは全然性格が変ってきまして、五円、十円の普通の小売価格が安いとか高いとか、そういう競争はほんとうの購買運動の性格じゃないのだ、今の購買運動の性格というものは、全体の価格水準を引き下げる運動だ、こういうので、今度の整備促進のまつ先に掲げたのは、買うものは高く買え、売るものは安く売れ、こういう極端な表現までして、中央の方が指導されたことを私は承知しております。それほど購買事業の性格というものは変ってきた。それで実例を申し上げますと、地下たびが今二千二百万足ばかり全国で消費されておりまして、農村だけで一千百万足でございますけれども、それが自家工場を持っておるために、物価指数は三百六、七十円で売られなければならない素質を持っておる。ところが現在の市場は全部二百五、六十円で配給されておる。ちょうど百円ばかり違うのです。そうしますとこれだけでもって約二十二億の価格引き下げをやっておる。それから先般取扱いを始めたところの化成肥料でも、これが私どもの取り扱うときには非常に高くて、連比計算をやってみますとどうにもならないような高い価格で、固形肥料の一部などは単比に比べて九五%から一〇〇%高い。倍高いものが現に配給されておる。それを化成肥料の取扱いをしまして、一昨年から昨年にかけて一挙に全日の化成肥料を百円値下げをさせたのです。これは全購連で手をつけたというので下ってきたのです。これは信越化学で作ったところの化成肥料が今九形、七%、六%の成分を持っておるものが、本会が配給しますと末端までいって八百三十円、ところが市場は九百五十円で売られております。そうしますと百二十円も実際は安いのです。そうして全体の価格水準というものを一挙に化成肥料で百円も下げさせますと、ちょうどこれだけでもって三十億の値下げを断行さしておる。そういう運動に入ってきましたので、この平均物価よりも若干低いところをためて買うのだ、だから最低の市場の価格と比較すると高い、しかし全体の平均水準から見ると低い、こういう線をねらって購買事業を進めておりますので、全体の物の値段を押えていく、いわゆる販売価格と購買価格の鋏状差というものをなるべく狭くしていく。一五八からの指数をもっておるものを、売るものは一五四くらいですが、それだけの開きを持っておるものを、このパーセントを思い切って圧縮していきたいという運動に今入っております。だから以前の購買の性格と、今の購買の性格というものは全然目標が違ってきておりますので、この点を農家の方々に理解していただかないと、購買事業のいわゆるありがたさといいますか、そういうことが了解できない、こんなふうに考えております。それは部分的にいいますと確かに組合の方が業者より高いという面がありますけれども、全体の肥料を総平均していきますと、決して業者のものより高くないというデータをたくさん持っておりますので、一部においては確かにただいま御指摘のありましたような非難は所々方々にありまして、私ども県連におきましても地方におきましても、ときどき組合の方は高いじゃないかという御指摘を受けますけれども、その点はおっしゃられる通りで、経済行為というのは私が申し上げるまでもなく非常にむずかしいものでございまして、なかなか農家の御期待に沿うだけの経済行為ができないのを残念に思っておりますが、御指摘の通りそういう点は反省もし、改善もしていかなければならない重要な点だと考えております。
  155. 細田綱吉

    ○細田委員 それでは私の質問はこれで終ります。
  156. 青野武一

    青野委員長 小沼証人に御相談いたしますが、このまま食事抜きで各委員質問に御証言になりますか。
  157. 小沼弥藤次

    小沼証人 よろしゅうございます。
  158. 青野武一

    青野委員長 では吉田賢一君。
  159. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 小沼証人にお尋ねしたいのでありますが、前の質問が相当時間をとりましたから、今度私がいろいろお尋ねします点につきましては、できる限り要点をお述べ願いたいと存じます。  第一に伺いたいのですが、あなたの全購連における専務のお立場、これはいろいろな御説明によって大体は明らかになったのでありますけれども、なお念のために御答弁願っておきたいのですが、専務はどのような仕事をなされ、またどのような権限を持ち、あるいは特に会計経理につきましてどういうような地位におられましたのか、この点について一つ再度はっきりしておいていただきたいと思います。
  160. 小沼弥藤次

    小沼証人 専務といたしましては総会の議決された事項に基いて理事会で方針をきめて、そのきめられた範囲内の業務をやることになっております。大体会の運営の方針であるとか、あるいは経営の方針であるとか、そういうものをきめまして、そしてこういうふうにやりたいというような程度のことをやっておりますし、それから経理、業務の実際の仕事につきましてはおのおのの業務規程がございまして、部長、課長、主査、係、そういうものの仕事の分担をはっきり規定できめまして、その規定に基いてやっていただくということで、総務、経理、業務は一切委任業務になっております。ただし新しい事業、それから新しい事業方針に基く計画、契約、そういうものに対しては業務の方でやったものを決裁するというような仕事をやっております。
  161. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 業務規程があって、経理あるいは業務その他総務について委任するというけれども、これは部下にさすのでありまするから、やはりあなたとしては専務であるから、会長は対外的な一切を、最高の代表者としてあるのであろうけれども、うちにおける一切の業務についてはあなたが最高の責任者であり、あるいは具体的に業務規程による業務を直接日々取り扱わないまでも、それは取り扱っておる部長、課長等をあなたは総括支配していく、統括していくお立場である、こういうふうに理解するのが当然じゃないかと思いますが、いかがでありましょう。
  162. 小沼弥藤次

    小沼証人 ただいま御質問のありました通りで、総括的なものは細大漏らさずやっていかなくちゃならない責任の立場に置かれております。
  163. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでもう一つ聞いておきます。全購連というのは私が申し上げるまでもなく協同組合法によってできた組合である。それから全購連はりっぱに定款を作っておる。定款を読んでみますると、第一条には「この会は、会員が協同して中業の振興を図り、もってその構成員である組合員の農業の生産能率を挙げ、経済状態を改善し、社会的地位を高めるのに寄与することを目的とする。」こういう趣旨になっております。また農業協同組合法によってみましても、この法律の第一条は、「この法律は、農民の協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする。」こういうような大前提及び基本的なあなたの方の憲法と申すべき定款ができておりまするので、従って全購連というものは、これは商事会社の営利団体というようなものとは本質的に違う。もちろん公益性の高い非営利性を持った団体であって、如上述べましたような大原則、大前提に立った目的を追求していくというのが、これが全購連の性格であり、目的であり、また使命である、こういうふうにわれわれは定款及び法規その他から解釈して考えるのですが、いかがでございます。
  164. 小沼弥藤次

    小沼証人 御指摘の通り私ども半公益性を持ったところの団体でございまして、一切営利を目的としてはならないというので、それに準拠して運営しておるわけでございます。
  165. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 農業協同組合法の第八条によりますると、「組合は、その行う事業によってその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行ってはならない。」こういうような一つの目的、理想を掲げた規定すらあるわけであります。従ってあなたの今お述べになった半公益的というのは私には少しふに落ちぬのでありますが、やはり純然たる公益性を持った非営利団体、こういうふうに理解するのが正しいのじゃないかと思いますが、重ねて伺います。
  166. 小沼弥藤次

    小沼証人 御指摘の通りです。
  167. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで次に組合の経理の問題について少し伺いたいのであります。あなたの組合におきまして、さきに御説明になりましたごとくに二十九年度決算が修正せられました事実、これをお述べになっておる。修正した結果は五億一千二百万円の含み資産が現われて、これをさらに決算修正をして、その内容についてまただんだん詳しく御説明になったわけであります。ところで、さらに総計いたしますると、その後の三十年度決算におきまして同じように相当大きな余剰金が出ておる。これがまた五億円前後に上っておる、こういうように考えられるのですが、その点について御説明を願いたいと思います。
  168. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは取扱高約七百億円近いものでございまして、それの九コンマ幾つという、そういうパーセンテージの手数料をいただいておることになりますから、相当事業益があるわけでございますし、それから在庫、それから御承知のように支所、工場がございますので、それらをほんとうに洗いに洗いまして、そしていわゆる経理の明確化をやったものですから、そういうものを整理していきましてだんだん決算をしてみますと、相当ゆとりのある内容になってきましたので、三十年度の決算も相当剰余金を出して決算ができたようなわけでございます。
  169. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっとその数字を確定しておきたいと思うのですが、三十年度決算は暦年の三十年の八月から三十一年の七月までであることは、これは申し上げるまでもございません。この間にあげました決算上の利益金をもう少し明確にお述べ願いたい。その上どう処分したかということはまた聞きますが、それはいかがですか。
  170. 小沼弥藤次

    小沼証人 三十年度の収益につきましては――剰余金の方を申し上げておきますか。
  171. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 両方述べて下さい。
  172. 小沼弥藤次

    小沼証人 先ほど修正決算に申し上げましたように、前年度の収益が、繰り越し益金が三千五百五十七万、それから当期の利益金が二億五千八百二十四万、その他の情報資金や何かを合せまして一億九千六百十三万の剰余を出したわけでございます。
  173. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、これは剰余金でありまするが、この途中におきまして、つまりこれは決算期における計算関係になるのか、決算以前における経理になるのか、そこははっきりいたしませんが、ともかく今の二億九千六百万円のほかに、相当額の価額修正によって地方の連合会へ戻しておる金があろうと思いますが、これはいかがですか。
  174. 小沼弥藤次

    小沼証人 上半期の価格修正で九千百八十万、それから硫安と化成の値引きでもって一億四千万、それから農薬の値引き七千四百万、年度末の価格修正で一億二千万、合計四億二千五百八十万を出しました。
  175. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 化成肥料について一かます四円の払い戻しをしておる事実はありませんか、あるいは今の一億四千万のうちに入るのですか。
  176. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは硫安、化成をひっくるめて申し上げましたので、一億四千万の中に入っております。
  177. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、三十年の十二月から三十一年の一月に至るまでの間に二十九年度の決算の内容が忍び検査せられた結果、さっきお述べになった五億一千二百万円の含み資産がともかく確認せられた。そのとき、三十年度進行中でありますから、そのときに四億二千五百余万円が利益もしくは余剰金として経理せられることになった。こういうことになりますと、歴年でいうならば、三十一年の七月末現在において、全購連は五億一千二百万円と四億二千五百八十万円の利益が上っておる、利益金として計上されるものがあった、こういう計算になるのではございませんか。
  178. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは利益として生まれたものは、御承知のようにたなおろしが五十八億円もございまして、それでそういうものについて、いわゆる市価主義をとるか、原価主義をとるか、そういうので、いわゆる原価主義をとって、極力健全財政を打ち立てる、こういう趣旨でおりますので、在庫品の中から生まれたところの利益というものが相当あるわけであります。そういうものが主としての収入源になって、こういうものを正確な経理に載せまして、思い切って値引きその他をやって、そして農家の方にお戻ししたというのが事実でございます。
  179. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たなおろしの資産を少く見積ったということもあろうかもしれませんけれども、ともかく三十一年の七月末には合計九億三千七百八十万が利益もしくは余剰金として上っておったということは間違いないことになるわけです。そういたしますと、この九億円を越えます利益金、つまり資産であったものは、やはり二十八年ごろからこのときに至りますまでのいろいろな方面の業務の利益もしくは収益、こういうふうにその原因を大体見ていいのでありますか。
  180. 小沼弥藤次

    小沼証人 前から申し上げておりますように、いろいろのものを全部総ざらいしまして、これだけ整理したのでございますから、お話のように承知していいかと存じます。
  181. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、元へ戻りますが、二十九年度決算によりますと、ここに報告書がありますが、この五億円はどこへ記載されておりますか。それとも全然記載がなかったのですか、その点をお伺いいたします。
  182. 小沼弥藤次

    小沼証人 貸借対照表の買掛金の中に三億五千百四十八万含んでいたわけで、それをマイナスしたわけです。そして表へ出したのであります。それから事業仮受金に三千三百五十八万、未払金に千四百七十四万、仮受金の中に二千四百四十六万、合計して四億二千四百二十八万、それだけを含ましてあったので、それを出したわけです。
  183. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二十九年度決算貸借対照表によりまして四億二千余万円が正規に帳面に記入されておったとすると、残余の五億一千余かから引きましたものは記載されておらぬということになるわけですか。
  184. 小沼弥藤次

    小沼証人 そうではありません。資材の評価が安過ぎたものがありまして、それを八千七百九十六万修正させました、
  185. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ともかく九億三千万円からの含み資産と申しますか、そうでないものもあるようでありますけれども、いずれにしても適正な記載のないもの、あるいは若干適正なものもあるようでありますけれども、これだけが二十八年度以前は赤字であったようなことも大体見当がつきますし、二十八年度以降肥料中心にしました購買事業というものがだんだん軌道に乗って参ったことなどもわかるのでございまするが、この前後三年の間に蓄積されたように思うのであります。私どもがやはりはっきりしておきたいと思いまする点は、この九億三千百万円にも上る利益が、三年前までは赤字で苦しんでおった、そうして再建整備法によって国家の補助も受けた、これが過去三年の間に十億に近い利益を上げるに至った、これは一体どういうものであろうか、そこにやはり社会の疑惑もあるわけであります。あなたの方では、すでに総会の承認を得て処分済みであるというようなことで御説明になっておられますけれども、後日ある範囲のものを、ある方法で処分したということよりも、さかのぼりまして赤字団体であったものが一躍して二、三年の間に十億に近い黒字を上げて、そうしてそれを、正規に帳簿に記載しないような方法をとっておられたところに、やはり社会はふに落ちない、疑惑を持っております、なぜそんなにもうかったのか、なぜそんなに利益を上げたのであろうか。これが商事会社ならば、そういう問題はあるいはなかろうと思いますが、お述べのごとく公益法人であり、農民に奉仕することをもって至上の使命としておられるあなたの方におきまして、三年間に公けにし得ないものがあるということは一体どういうことであろうか。そこで私どもといたしましては、この内容については相当検討して社会に納得さす義務が全購連にあろうと思います。さきにお述べになりましたところではどうもはっきりいたしません。でありますので、世上いろいろと喧伝せらそまして、われわれ聞いたこともないような、妙な一種のやみ利益取得方法というようなものが伝えられるのでございます。  少し内容を御説明を願いたいと思うのでありますが、最も大きな利益は何と見たらいいのでしょうか。これは過日の決算委員会において、農林大臣は、大体においてカリ肥料の取引によって得た利益という御説明があったのでありますが、これは抽象的でありまして、われわれにはよくわかりません。そこで具体的にいえば、どの利益もしくはどの収益が最も大きなものであったか、こういうふうに御説明になれませんでしょうか。これは簡単でよろしゅうございます、逐次聞かなければなりませんので、詳しくは要りません、
  186. 小沼弥藤次

    小沼証人 ただいまの御質問につきましては、私資料を持っておりませんので、何から何までということははっきりしておりませんが、大体カリが主体だ、こういうことを言われておりますので、そのほかのものも若干あるのじゃないかと思うのですけれども、それを記憶しておりませんし、それから資料がないので残念でございますけれども、また後ほど経理の方から明確な資料を提出させますから、それまで……。
  187. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 でありまするけれども、やはり世上の疑惑の一点はこの点に集中されておるのであります。従っていろいろな揣摩憶測もあろうと思いますので、資料がなくて正確な数字はお述べになることはできないといたしましても、この点はあなたも専務であり、あるいはまた監事もしておられたお方でありまするので、やはり常識的にある程度の御記憶はあろうと思うのです。カリの値上りによってもうけたのであるというような、そんな簡単なことではどうもちょっと相済まぬと思うのであります。でありまするので、それなら、カリは十貫、三百円あるいは百四十円安く売ってもなお利益があったというような御説明をさきに私も拝聴したのでありますが、カリの値上りの利益というものは一体どのくらいあったのであろうか、どのくらいの利益をあなたの方で見ておったのであるか――利益を見るということはちょっと普通あまり考えられぬのでありますが、しかしこの際伺っておきたい、それはどうなんです。どのくらいの利益を見込んでおって、それは全体のどのくらいのパーセンテージであるか、あるいはおよそ何億になるのか、その辺はわかりそうなものだと思いますが、どうですか。
  188. 小沼弥藤次

    小沼証人 実は先ほども申し上げましたよううに、自分で何とかこれを正常に乗せたいというので調査を進めてやったのですが、その当時の実際にカリを、取り扱った業務というものの詳細を私は存じておりませんので、はなはだ申しわけない話でございますけれども、それの詳細を今お答えできませんので失礼いたします、
  189. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただし申し上げておきますが、二十九年度決算を修正しましたと、こういうような重大な変化があったのでありますから、その変化の内容といたしまして、カリによって得た利益があなたの記憶にないというようなことは、私はあなたの人柄から考えましてまことにふに落ちないのであります。  それならば伺いますが、このカリですが、カリは全部輸入ものでございます。従って輸入商がCIFであなたの方への売りつけをしておるのではないかと思うのでありますが、その際商品を受け取ってからのいろいろな業務、そういうような機関の、そのときにおける、たとえば着港地受け渡し値段これこれというような、一定の協定額がありましょうから、それからあなたの方が陸上のある地点まで運んでくい間のいろいろな経費もあろうから、そういう関係において相当の利益があったのではないか。あるいは川船の水増しというような言葉さえ今日指摘されておりますが、水増しがあるかないかよくわかりません。また用船料というものがどういうものになるか、私はまた別個の観念と別個の事実があるのではないかとも思いますが、いずれにしても、そういう機会に相当の利益があなたの方にあったのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
  190. 小沼弥藤次

    小沼証人 カリが、二十八年度二億二千八百万ですか、それから二十九年度に二億八千幾ら、そういうものは先ほど申し上げた通りでございますが、そのほかの利益につきましては詳細に存じておりません、  それから入船してからの諸掛りというものは、いわゆる回漕が幾ら、船内操作が幾ら、あるいは倉積みが幾ら、保管料が幾ら、そういうふうにそのつど業者と明細に契約しておりますので、今ここにはその資料はありませんけれども、その内容というものはそのつど詳細になっておりますから、後ほどまた資料にして差し上げたいと思います。
  191. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 詳細なとりきめを商社との間に売買契約の内容としてやっておられる、それはもちろんそうだろうと思いますが、そういうとりきめをめぐりまして相当な利益がかせがれたのであろうというのが世の中の疑惑であります、でありますので、今カリの利益を四億数千万円とお述べになっておる、これは八、九年度分で、三十年度は入らないと思いますが、それにしても金額の開きが多過ぎる。一方九、三十年度分を合計すれば十億に近い利益並びに余剰金がある、それが二十八年度以降の蓄積資産、こういうことになっておるはず、であります。それならば、その点、とりきめをしておったから何ら余分な収得がなかったというふうに簡単に割り切っていくべきではないと思う、もっと相当な利益がその同にあったのではないか。言いかえますと、輸入商から返礼さるべき――リベートかどうか知りませんが、そういう返礼さるべき収得があったのではないか思いますしもっともあなたがそれをよく存じませんと言うならばやむを得ません。別の人に聞く以外に方法がないのであります。そういうものは、人が説をなしていわくに、そういう場合のたとえば入港して陸揚げから以後の諸経費は価格の一割にも相当するものであるというような説すらあるのでありますが、これは全部が全部あなたの方の収得になるとは考えておりません。けれども、そのうちの何パーセントとか、余分な余得として入るような仕組なのでないだろうか、そういうような仕組みがあるということは、同時に裏を返しますと、別の意味において原価に計上されるという結果になっておるのでないだろうか、こういうような金はまた余分にいろいろと操作の資金に充当されたのでないだろうか、そういうふうに想像をたくましゅうすることができるわけなのであります。この点、あなたが知らないと言うならばやむを得ません。  それならば、さきの例のメーカーとの約手の問題でありますが、メーカーとの約手の買い戻し等につきましても、あなたの方は結局は金利が高くついて幾らか損になっておる、六銭ばかりマイナスになるようなさきの御説明であったかのようにちょっと聞くのでありますが、この間にも相当な利潤が得られたのでないだろうか、こういうふうに見ておるのであります、それも当然入るのとは違いますか。
  192. 小沼弥藤次

    小沼証人 たとえば今御指摘になりました船揚げからの経費を節約しましても、これは相当収益が見られておると思うのです、それから約手につきましても、この利益が生まれた当時は二銭五厘からの利回りがあったのではないかと思っております。今は私の方で支払うのが二銭五厘ですそれから実際もらっておるのは、全体の内部金利その他を全部計算したのが先ほど申し上げたように一銭八厘何分ですから、今は足し前になっております。
  193. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は今のことを伺っておるのではなしに、やはり最終の三十年度決算がせられました当時、及びそれまでの九億円以上の利益の上ったその原因、どうしてこんな利益が積み重なったのだろうかということの原因を実は追及しておるのであります。今日はそういうふうに逆になっておるということは、それはそうであるといたしましても、以前はそうでなかったということであるならば、こういう辺にも相当甘い汁を吸い得たのではないか、こういうふうにも考えるのであります。そういうことがいいのか悪いのかということは別といたしまして、事実としては、やはりそういうメーカーからの約手の買い戻しのような方法も相当な利潤をあなたの方にかせがしたのではないか、こう思うので聞いたのです。  それからもう一つ聞きますが、農薬の利益が相当あった、これも世上伝えられますが、その点いかがでしょう。
  194. 小沼弥藤次

    小沼証人 農薬の方も相当の量が伸びてきまして、現在では四十億程度まで躍進してきておるのではないかと思っております。これは前に申し上げたかもしれませんが、ずっと最近になって伸びてきましたので、この利益の生まれる当時の利潤の中には、そう大した比率のものではなかったように存じております。
  195. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方は砂糖の粗糖、原糖といいますか、それの輸入によりましてこれまた相当もうかるように世上伺うのですが、この点いかがです。
  196. 小沼弥藤次

    小沼証人 砂糖の方は、最初ある程度の利潤があったということは報告を受けております。
  197. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 おもなものはそういう種類のものが三年間に十億かせがせたものだ、こういうふうに大体了解していいのじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。こまかい数字は今あなたは手元に資料を持ってないから御説明ができぬと思いますが、どういう名称でいわれようと、こういう種類のものが十億に近い利益を三年間にあなたにかせがした、こういうふうに理解すべきじゃないかと思うのですが、これはどうですか。
  198. 小沼弥藤次

    小沼証人 ただいまのお話通りでございます。
  199. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうであるとすると、これは細田委員も御質問になりました点でありますが、これらの問題についてあなたの方でなぜもっと公明正大な会計経理をしなかったのであろうか、公明正大な会計経理をしないで後日修正をしなければならぬ、あるいはまた価格変動準備金というものにおきましても、あなたの方の団体の性格から見ましても、とかくの問題のあるそういう莫大なものを貯備して置くということは、よほど考えなければならぬと思うのであります。当時の措置がどうであるかということは、少しさきにさかのぼるようでありますけれども、当時二十九年の二回目の決算修正をいたしましたときのあなたの方の余剰資産、含み資産なるものの処分方法というものは、もっともっと厳格な本来の立場に立ち返って各方面と御協議になってしかるべきだと思う。それをしないというところに根本的に――やはり数億円という莫大な利益がおろそかに扱われていく、根本的な厳正さがあなたの方には欠除しておる、こういうことが根本の態度として私ども見得るのであります。そういうことを従来あなたの方では会長並びに専務間におきまして十分御検討にならなかったのでしょうか。
  200. 小沼弥藤次

    小沼証人 組織から上ってきた役員は最も明確な経理をやってもらいたいということを絶えず念願しておりますし、これを係の方にも伝えて、そして自分の入ってきた使命は経理を明確化することだ、それが信用を得る最大の要素だと思って今日まできたのでございますけれども、不幸にして今度のような問題を見まして、自分の念願したことが実現できないうちにこんな不幸なことになりまして、農家の方に対して非常に私、申しわけないと思って謹慎したい、こんな気持でおるわけであります。
  201. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは、専務は辞任したけれども、なお発言の機会もあるので、発言の機会には今後の改革の方針についても大いに尽すところあらんとする勇気をお述べになったわけであります。それは御経験を生かすのでありますからまことに私ども多とするのであります。しかしながら本来の全購連という性格から――こういうように何億というものが、七百億の事業量があるといたしましても、千億の事業量になるといたしましても、何億の資産が――農林省の検査と偶然時を同じくしたか存じませんけれども、ともかく他から一本入れられたときにこれが確認せられるというようなぶざまなことでありましては、これは全く一種の腐敗状態と申さなければならぬのであります。千石興太郎氏などが産業組合の運動を起された当初の、全国購買組合――名前は同じでしたか、あれをこしらえましたときのいろいろな伝記とか著書などを読んで見ましても、意気込みが違う。最近の腐り切った商社の有様のような考え方が中に停滞しているのではないだろうか、こういうことをつらつら思います。あなたは今経理を明確にすることが中央団体を代表してきておる者の唯一の最高の使命だ。御趣旨はもっともです。当然なことですよ。ことに信用とかあるいは経済とかいう農業協同組合である限りは、経理の問題、数字の問題をごまかすようなことは、一日といえども、かりに千円といえども許すことができません。そんなことで中央の団体というようなことは言い得ません。あなたも御承知の通り、今日農林予算が補助金をめぐって大蔵省方面からは漸次一つの圧力を加えられておるのであります。従って農林予算は国会におきましてもなかなか困難な立場に立っておるということは御承知だと思うのです。ところが中央におけるこういう膨大な団体の中心首脳部の人々は、そういうような末端の深刻な問題にあまり心をお使いにならずして、数億円の金をごまかして、ごまかすというと語弊があるかもしれませんが、しかしいずれにしても修正しなくてはならぬという状態になって、それで今日公益団体である、奉仕団体である、そんなことが言えますか。私は絶対にそういうことは言えないものだろうと思います。これを思いますと、あなたはやはり今後何か発言の機会があるとおっしゃるけれども、辞職するのもけっこうですけれども、ともかく九億円以上のものを、それは適当に処理したとしましても、なおかつ今日価格変動の準備金などとして置いておる。もちろんこれは経済変動に対処するためにすでに若干くずされつつあるというお説もありますけれども、一ぺんはもっと割り切らなければならぬと私は思うのです。貯蔵するということは変則であるし、例外であり、むちゃなことですよ。営利会社や商事会社でないのですよ。そういうような流儀でいくならば、資本蓄積、資本蓄積といってしまいに百姓をしぼってしまいますよ。中間の県連というようなところは大体赤字です。かような状態考えると、中間は赤字であり、中央は黒字であり、何億円の金を妙な格好でごまかされていく。そこに犯罪が出てきておる。農林省の役人と一緒になって刑務所に行かなければならぬ、こういうような状態になってきておりますから、その根本にあります経理関係を徹底的に明確にして筋を通して、正しい姿に置きかえるということにあなたらは積極的に協力しなければいけません、そういう点から考えたら、今のような含み資産というようなものにつきましても、もっと一刀両断で割り切って、百姓のものは元へ返すという根本思想から出発しなければだめですよ。下手な営利会社と同じことですよ。そんなことをいつまでやりましても、失礼ですがあなたらは、河村何がしというような者にごまかされる程度の方ばかりなんだ。人はよろしい。まことに善良な方ばかりでありますけれども、そんな小者にごまかされてしまって、めかけを置いたり外国車を乗り回したり、五千万円からごまかされておったのを知らないというような実情なんです。それから考えますと、私どもは今の含み資産すべての問題、三十年度における決算及び価格修正に引き当てました利益金の問題等を見るときに、やはり全購連といたしましては、もっと百姓に返すという基本的な態度になりかえらなければいかぬと思うのです。そういうことにあなたらは努力しないで、中途半端なことを考えたら、これは悪いことの上塗りですよ。ほんとうにそうですよ。一人や二人の人間が自殺したとかなんとかいったって解決するものではありません。自殺した人は仏さんになってけっこうかもしれぬけれども、これによってこうむるところの百姓の不利益は大へんなものでございますよ、あなたはどの程度にお考えになっておるか知りませんけれども、私のところへも幾多の投書が来ます。激励が来ますよ。国会に対してほんとうに大きな信頼を持って、この粛正をはかってくれというふうに言ってきておるのですよ。この百姓の立場を今こそあなたらは身にしみてほんとう考えてもらわなければならぬ。顧みて含み資産等々を批判するときに、あなた方は根本的に考え方を変えてもらわなければいかぬと思うのですが、どうお思いになりますか。
  202. 小沼弥藤次

    小沼証人 ただいまのお話は一々ごもっともで私ども肝に銘じておりますので、御主張のようなお話も一日も早く徹底的に改善して、二度とこのようなさまを世間にさらさないような態勢を作り上げていきたい、そういう考えを持っておりますので御了承願いたいと思います。
  203. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次に、農林省との関係を少し伺っておきます。一体農林省の肥料課といえば、肥料につきましては、おそらく百姓の団体、農協に対しても王者のごとき権力を持っておると思います。この農林省の肥料課長補佐なる人が、事もあろうにこの事件に関連して目下収容されておる。こういうことは、私はここにも根本的な一つの重大な問題があると思います。大体農林官僚が農業団体を支配するという考え方が間違っておると思います。また農林官僚の上層部があらゆる農業団体の上層部あるいは代表者にすわっておる、こういう事実につきましても根本的に批判されなければならぬ、われわれは国鉄の問題を論じて、国鉄の首脳部が職をやめたらすぐに国鉄の外郭団体の代表者になり、そうして毎年何千万円とか何億日とかもうけて国鉄に損害をかけるというようなことをだんだん指摘していったのでありますが、どうもこれと類似した性格なり問題が根本にあるのじゃないかというふうに考えます。その一つは、やはり農林省役人が今日汚職に問われておるという問題であります。これは農林大臣に十分聞きますけれども、あなたに伺いたい点は、たとえば肥料需給調整法等の法律の運用の問題でありますが、これらの問題をめぐりまして、かなり農林大臣が肥料行政を通しまして農業団体を支配しておる一種の官僚統制的なにおいを感ずるということはお考えになりませんか。
  204. 小沼弥藤次

    小沼証人 肥料行政につきましては、これはもう非常に大事な仕事でございまして、それらと手を組むといいますか御相談を申し上げて、最も農家のお役に立つような態勢にしていかなければならぬことはおっしゃられるまでもないと思いますが、しかし今度のようなことが起きたことは、全く全購連の方にも非常に欠陥があったのではないかと思いますので、これらを是正していきたいと思っております。
  205. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 新しい憲法は国民をもって主人公としておるのであります。国家公務員である人は国民に奉仕するということがその精神であります。ところがあなたらのさっきの細田委員質問に対する御答弁を聞いてみましても、何かしらそこに遠慮があり過ぎる。お互いに国のため、国民のため、あるいは農業のために、公けの立場に立ちまして、善意を持って誠実に法律を執行し、あるいはまた業務の管理に当っておるお互いの立場でありますから、あなた方が妙にへっぴり腰で農林省役人に頭を下げたり、腰をふらふらさせるようなことがありましたならば、あくたの役人がつけ込むのは当りまえですよ、これはどっちが悪いかわからない。私は農林省の食管会計を通じまして、外国から食糧が入ってくる問題をめぐっていろいろな問題を論じております、こういう点につきましてはどうも商社の圧力が強過ぎる。金でもって小役人をばかにしておる。こういう点を見るのであります。しかし同時に人間でありますから、そういう経済的な弱みもあり、あるいはまた悪の遊びを覚え、若い小僧のような人がいろいろと金使いの道を覚え、女遊びをする、芸者受けをする、妾宅をかまえる、外国の自動車を自家用のものにしていくというような式の生活に若干でも触れていきますと、相手の持っておる金をせびっていくのであります。あなたの方は何億という一種の不良資産を背負い込んでおる、抱いておる。公けにもできないことは薄々知って去るけれども、断固としてそれを明らかにできないようなものを抱いておる。そこへつけ込んでくる。一方また価格の指示にしましても、あるいはまた保管の指示にいたしましても、買い上げの指示にいたしましても、各般の国内の肥料行政等については強大な権限を持っておる。肥料課長等に至りますまでそうなんです。肥料課長に至りますまでそうでありますので、この農林官僚に対しまして、あなた方として正方堂々として、何も悪いことはあなたの方でいいというべきじゃない、悪いことをしてくれというべきじゃない、正しい、お互い守るべき分を守って正々堂々として対等のつき合いをするという気持があったならば、そんな今のような腰の抜けたような答弁は私はできないと思う。一体どっちが被害者ですか、どっちが加害者ですか、あなたの力が農林官僚を誘い込んで、そしてこの悪の中につっ込んでいったのですか。あなたの方で含み資産というような不良資産を抱いておるので、農林官僚を抱いていったのですか。そこで彼らを小管の刑務所にほおり込んだのか。それとも彼らが感づいて、あなたの方を指導する立場であるし、あなたの方に弱味もあるし、そこで適当なところ手を組んでこのような汚職疑獄山件をしでかしたのであるか。一体あなたの感じとしては、こまかい最終のことは裁判所が決定するでしょう、今すでにいろいろなことが述べられておる、それは一応別にいたしまして、少くともあなたは全購連代表した最高の責任者である。一カ年七百億円の事業量を背負い込んだところのたんのうな人である。このような事件の真相くらい知らずしてどうしますか。書類がない、警察で調べておる、検察庁で調べておる、だから私は知りませんでは、これは子供の答弁であります、一体これはどっちが原因なんです、どういうふうにお考えになる。
  206. 小沼弥藤次

    小沼証人 私どもの立場としますと、ああいうことがあってはならないのだ、そういう考えをもって今まできたのでございますけれども、不幸にしてああいう局部的なことについて、少しの相談もなしに一局部に行われてしまったので、そういうものに対して目が届かなかったということは、全くおわびのしようもないほどただざんきにたえないと感じておるのであります。これは全く私どもの不徳のいたすところで、何とも申しわけがない次席ですけれども、しかし極秘裏にああいうことが行われてしまったので、何とも国民に対して申しわけがないと思っております。
  207. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたらは不徳のいたすところである、会長やら専務が不徳のいたすところだけでこんな事件は起りゃしませんよ、そこを私は申し上げておる。だからあなたの力は検査を受けなくちゃならぬ立場にある、指導監督を受けなくちゃならぬ立場にある、いろいろと指示される立場にある、そういうような肥料行政の、聞くところによれば海内という人は、なかなかもって業界においてもそれぞれの利害関係立場からするならば、絶大な権力者のように一般に印象づけられておる。河野農林大臣を通じ東独まで行って、カリ問題については大いに活躍されたと伝えられておる。商権を決定するにおきましてもなかなかの活躍者だった一伝えられておる。そういうような人の大きな圧力を感じつつ全購連はやっておったのじゃないだろうか、国家のため、国民のため全農氏のためにもっとはっきり言いなさい。農林省は公明正大であって、農林省のお役人はそれは一人といえども、肥料行政を担当する一人といえども、何らそれは誹議すべきものじゃない、もっぱら私どもの不徳のいたすところである、そんなことではごまかしになります、やはりものを言わない、ものをしないということが常に最高の善じゃございません。言わざることも悪徳であることもある。言わざることも犯罪になることもある。こういうことを考えましたときに、あなたは今述懐をしておられるのです。あなたは自分の過去の立場につきまして深い反省もしておられるときなのです。農林官僚に大きな圧力を加えられてきたんじゃないですか。もし農林官僚の何の圧力もなく、何の誹議もない、もっぱらあなたらの不徳のいたすところである、そんなことでこの問題を処理しようとしましても、百姓は納得しませんよ、また農林省におきましても善良な公務員がある、誠実な役人がある、りっぱな役人がたくさんある。そういう中においてその何パーセントかこういうような不届きな人間が出るわけであります。それを考えたら、やはりよい人はよい、悪い者は悪いというけじめをつけていかなければならぬ。けじめをつけるべき発言をするべき立場にあなたは今おありなのです。会長なり専務は、今国会に臨まれまして、全国民、全農民に向って発言しておるという心境でお述べ願いたい。私の不徳のいたすところである、そういうようなことでは分けの説明にはならぬのであります。何ら農林省の役人の圧力を感じなかったのかどうか、不当な圧力を感じなかったかどうか、こういう点についてしからば改革の理由は何もないのかどうか。農林大臣は、農林省の内部機構についても相当思い切った刷新と改革をするという決意を表明しているのです。そういうことも考えてもらわなきゃならぬのであります。農林省の役人はみな神さんですか、そうじゃないでしょう。あなたはここで一言、農林省のあり方に対しまして、特に肥料行政担当の問題等に対しましては、全購連代表いたしまして相当な発言をしなければならぬと思う。
  208. 小沼弥藤次

    小沼証人 肥料行政に携わる方、それから私どもの業務の担当の方、これらはおのおの今度の問題につきましてはあやまちを犯しておる者がございますけれども、こういうのは、私どもはもう涙をのんで徹底的に、どんな職員であっても、邪道に走ったこういう者に対しては徹底的な糾明をして、そうして国民におわびを申し上げたい、措置するものは措置する、そうして再度こんなことを繰り返したのでは申しわけないから、こんなことのできないような仕組みにしていきたい、そういう信念は狩っております、従って、徹底的な改革案というものを私どもひっさげて、そして全購連はみずからの手で全購連を直し、それから肥料行政におけるこういうあやまちを繰り返されないように、そういう立場に立って、権力を使って悪いことをするとか、あるいは行政の担当官としてやっていくとか、そういうようなことを排除していきたい、こういう考えは持っておりますし、それをやらんければ農家に対して申しわけありませんから、肥料行政についても徹底的な改善をしていただきたい、そういう考えを持っております、
  209. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 肥料行政の改善方策につきましては、また別の機会に伺うことにしますが、ともかくあなたらの立場からして、このたびの問題をしでかしたことが、海内某の個人的犯罪ということに考えたならば、これは根本的なあやまちであります。あなたの今の言外にあるいろいろなお考え方は、今日は農林省におけるその道の当局の人人も全部出席しておられますので、そういう前においてあなたが露骨なこの某に対する批判を全部ぶちまけるということは、あるいは困難であるかもわかりません。困難であるかもわかりませんが、私どもは今つかまっておる某の個人的犯罪と見るにはあまりに事が大き過ぎると思います。やはりここには組織、あるいは両者の関係、これが世上親類つき合いとか何とか言っておりますが、そういうこともあろう、そういうこともあろうが、もっと私は権力、それから利益、それから全購連のあり方、こういうものが法律の制度もしくは行政の運営、あるいは行政の内部の腐敗の実態、あるいは全購連の内部の腐敗の実情、大きな資産を背負い込みながら、役員がそうしたこまかいところにすら手を伸ばすことができなかったところの能力の足りなさ、いろいろな要素がここに総合されましてこの事件が起っておるものと私どもは思うのであります。そういう角度に立ってみると、行政府にわける腐敗というものも、この際真剣に政府みずからも反省し、あるいはまた国会みずからも検討する必要があると思うのだが、あなたそう思いませんか。
  210. 小沼弥藤次

    小沼証人 最近は全購連の問題で、もうほとんど紙上もあの通りでございますし、それからその他の面につきましても、ほんとうにもう涙の出るような記事ばっかりで、実に情けないと思っております、私どもこういう、野に育ち、野の者と一緒に暮らしてきた者から見ると、実になげかわしい実情だと思っておりますので、こういうことは何とか全体の力でもって直していく、こういうような方法をとっていかないと、この毎日紙上をにぎわすいろいろの事件というものは少くなっていかないのじゃないかというような気持がしておりますので、徹底的な改革を私どもはやらなければならない責任があると思っております。
  211. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次に伺いますが、昭和二十九年の法律第百七十二号というのがいわゆる臨時肥料需給安定法、この法律とともに、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法が、同じく何年の六月十日から実施されております。これは国会におきましても大きな問題になったのでございます。ところで、この法律は、やはり日本の肥料価格並びに肥料需給の今後のあり方を支配する最も重要な法律でございます、従って、各方面の利害関係があるわけであります、この法律が国会に提案――これは政府案でありますが、提案通過するに際しまして、全購連としましては、一体賛成したのか反対したのか、それはどうなんです、態度は……。
  212. 小沼弥藤次

    小沼証人 全購連の大部分のものは、この法案に反対されておりました。しかし、政府提案でもあり、国会の中でも相当これに力を入れて、これは通すべきだという御意見もありましたので、最後には幹部の方々が、一応通した方がいいだろうというので、賛成の意を表したということを承知しております。だから大勢は、全購連は反対であったというふうに承知しております。
  213. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうではなしに、この法律案をめぐりましては、内部に当初は相当深刻な意見の対立もあったけれども、その後この法律を通すことに一生懸命になられたというような、そういう事実はございませんか。
  214. 小沼弥藤次

    小沼証人 私ども、そのときには県連におりまして会にはおりませんでしたけれども、私が全国でもってこの法案を通過させるのに第一の支持者だというので、ずいぶんと私は圧力をかけられました。全国の各方面から私に対して、お前がそういうことを言うからいけないのだ、あの法案は通過さすべきじゃないというので、猛烈な反撃を受けたのでございますけれども、私はなくなられた金子代議士と、農民ほんとうに安心して肥料を使えるようにするには、どうしてもこういうものが必要じゃないか、そういう意味で、一応あの法案を出していただいて、業者がどんな動きをするか、それによって調整をとっていったらいいんじゃないか。たとえば業者を、失礼な話ですけれども魚にたとえて、一つの大きな肥料法案という網でもってすくっておいて、そしてその動き方を見て、綱をゆるめるとか、どういうふうにでもしたらいいんじゃないか、そんなような考えを持って、一応法案を通過さしていただくことに賛成をしておった一人でございます。そういう意味で、全購連では最後まで、ほとんど大多数が反対の立場におったことを記憶しております。
  215. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 本月十三日のある有力新聞には、この二法案を通過さすために、通過の前後において、衆参両院の農林水産委員の三十数名に、一人二十万円以上の金を提供して通過をはかった、こういうふうな記事があるのであります。やはり全購連は、この法案の通適することを希望せられて、国会に金をばらまいて運動をせられたというのが真実ではないのですか、大事なことでありますから、冷静にお述べ願いたいわけであります。
  216. 小沼弥藤次

    小沼証人 その当時の経営の衝に当っておりませんから、存じておりませんけれども、私が接した全購連の人人は、おそらくそんなことはできないと思っております、なぜかといえば、私がその当時あれほど運動したにもかかわらず、私に反対をして法案をつぶそう、通過を希望してなかったのですから、そんなことはあり得ないと私は考えております。
  217. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 当時あなたは、地位は何でありましたか。
  218. 小沼弥藤次

    小沼証人 二十九年のときは監事でございます。
  219. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 監事とあれば、これは業務執行担当の理事ではない。むしろ会計経理監査するお立場のように思う。それが法案通過に賛成の最も有力な人であった、こういうことであるならば、やはりそういうような運動があったとすれば、一番身近に感ずるべき人でないだろうか。ことに経理を見るお立場にもあり、監視しておるお立場でもありますので、そのような国会議員を買収するような資金が動くというようなことであれば、一番敏感にあなたの頭に入ってくると思うんです。あなた自身はこれに賛成論者である。県連を代表しておられる有力な人である。監事という重責にある人である。あとで専務になった人でありますから、一番よく知っておられると思うんだが、それはいかがでございましょうか。
  220. 小沼弥藤次

    小沼証人 あの当時は三上という常任監事が出動しておりまして、私ども、県連が主としての事業でございまして、その常任監事が、支所なり工場なりを監査しろといったときに初めて出る程度で、本部にはほとんど詰めておりません。従って、役員会のときと、それから地方監査のときだけ出ておりましたので、ほとんど本部の様子は何にもわかりませんで、県連の会長としての発言が、主張のできる主なる立場で、監事としての発言も何もやったことはありません。
  221. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大事なことですから、重ねて伺いますが、そうするとあなたは、今私が指摘しましたような事実は全然ないとおっしゃるのか、それとも、私は知りませんとおっしゃるのか、あるいはどう思うと、こういうふうになるのか、その点はどういうものでしょうか。いずれにしても大事な地位に居られた人ですからね。
  222. 小沼弥藤次

    小沼証人 全然存じておりません。
  223. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 存じおらぬというのでは、どうも割り切れぬものが私にはあるのです。知らぬは亭主ばかりなりという言葉があるのです。悪事はずいぶんあって、肝心な人が知らないということもあるのだが、しかし国会の立場からするならば、これはきわめて重大な問題であります。私自身にしましても、やはりある意味におきまして、全国会議員は、国会運営につきまして、一人々々連帯の責任を持つ気持をもって職に当っております、こういう立場に立って御質疑申すのでありますが、あなたは、全く知らないと言う。それは九州に住んでおいでになる方、あるいは役職に関係のない方、あるいはまた当時病気その他で長く床に伏しておって中央事情を知らなかった方とかいうふうに、物理的にも常識的にも隔離された立場にあなたがおいでになるならば、あるいは知らぬということで通るかもしれませんが、やはり重要な地位におありになる方であるから、もっとその点について明確に御発言できるように思うのですが、いかがでしょうか。
  224. 小沼弥藤次

    小沼証人 残念ながら、私ども今度の問題につきましても、実際何も知りませんので、恐縮しておるわけです。
  225. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それならば伺いますが、この五億数千万円、さらに三十年度決算で四億数千万円がそれぞれ処分せられておる。このような莫大な含み資産があったということであります。やはり全購連といたしましては、農林省の監督を受け、検査を受ける立場でもあるし、また年間一億数千万円、二億円近い補助を受け取っております団体でもあります。農薬保管の補助、あるいは肥料保管についての損失補てん、補助、こういうものを受け取っておる団体でありますので、国会の問題になるということは常識上考えねばならぬのであります。従ってそういう角度からいたしますと、この含み資産なるものが国会で取り上げられたら困るというようなことを、これまた正規の帳簿に記載しないような心理からするならば、当然考えられるのですが、その問題を国会で取り上げられたら困るというので、これまたもみ消しの運動が相当あって、そうしてそのために必要な資金が散布せられた、こういう事実はあるのですか、ないのですか。
  226. 小沼弥藤次

    小沼証人 全然承知しておりません。知りませんでした。
  227. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 前言を繰り返すようでありますけれども、あなたはやはりこの問題につきましては、ノーとイエスを明確に言い得る問題、言い得ない問題がいろいろありまするが、同じ重要な問題につきましては、何かとこまかい経理、会計のことまで大部分お述べになったあなたでありまするので、やはりここは誠実にお述べ下さるべきじゃないかと思うのでありますが、やはり全く知らないということに尽きるのが正しいのでありましょうか、どうでありましょうか、重ねて伺いますし
  228. 小沼弥藤次

    小沼証人 全然知りませんでした、知らないことでございますので、率直にお答え申し上げます
  229. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 一体全購連におきましては、表向き理事会において承認せられております外交費といいますか、機密費というか、そういうものがあるのでありますか。あれば、大体どのくらいにあって、だれが承認するのかどうか。そういうものは全く表向きにはないのでありますか。その点いかがでございますか。
  230. 小沼弥藤次

    小沼証人 最近こういうことが問題になりまして、県庁の知事の交際費、市長の交際費、ああいうような科目を正式に設けて、そうしてちゃんと総会の議を経てやるべきだ、こういう主張をしておりますので、今までのところは全然そういうものが計上してありませんです。
  231. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 全然計上しないと、飲み食いをさせたり、あるいは少しものをうまくやろうというときには潤滑油がないのでぎごちない、こういうことをやはり専務としてお感じになるでしょう。かなり広い交際もしなければ、七、八億円の事業を持っておる全購連でありますから、かたいばかりが能じゃない、こういう場面もありはしませんか。だから簿外資金を相当用意しておって、そうしてこれを適当に専務とかだれかにまかせて、あるいは部長かだれかにまかせて、こういうことにしてそれが適当に散布される、こういうことになっておるのではないでしょうか。
  232. 小沼弥藤次

    小沼証人 経営費の中には経費はございます。それからその他で支弁しなくちやならないものは、ちゃんと雑費の科目がございますので、その中からちゃんと筋道を通して支出さるべきものであって、いわゆる外部との折衝、会議費、そういうものの経費はちゃんと見積もっております。そのほかの経費はないと承知しております。
  233. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私はこれでよろしゅうございます。
  234. 青野武一

    青野委員長 暫時休憩いたします。     午後二時三十八分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十九分開議
  235. 青野武一

    青野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  それでは小沼証人より引き続き証言を求めることといたします。発言の通告があります。これを許します。淡谷悠藏君。
  236. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 午前中の証人中山氏の証言の中に、私まことに受け取りかねることがあったのであります。自分監事をしておったけれども、全購連の内部はほとんど職員の専制であって、役員はロボット同然でございますという証言がございました。私は、おそらくは高給をとっておられるであろう全購連役員の方々が、まさかロボット同然のものではないと考えたのであります。何かそこには理由があるのではないかと思ったのですが、先ほど、今私が御質問申し上げます小沼証人お話を承わっておる間に、だんだんその内容がはっきりして参りました。拝見いたしますと、あなたも非常に純朴な農民であるようであります。また発言真実であって、非常にわれわれとしても好感が打てる。けれども何かあなたの証言の中には、言いたいが言いかねているといったような含みがはっきり看取できるのであります。あなたは実際感きわまって泣いている。泣くほどつらい思いをしながら、何かこの場でははっきりと言い切れないものがあるように思いまするが、私どももこの全購連の組織、さらにまた農業協同組合の組織をもってほんとう農民の福利を増進しようと考えておることには変りはない。どうか一緒に協力をして、今回の不祥事を切るために、あなたにたといどんなにつらくとも、この席上でははっきりとしたことを言ってもらいたい。まじめな者が損をしますよ。ほんとうにこの協同組合運動というものを考えて、農民にも了解をしてもらい、支持もしてもらって、日本の農村の立て直しに本気をもって打ち込もうとする人間は、これではがまんができないのです。どうかそのつもりで、あなたはもうすでに辞表を出しておられる、辞表を出しておられますが、あなたの責任はなくなっていない、少くとも何年間の間あの大きな組織の上に立って、今回の不祥事を知らなかったこの責任は、何らかの形であなたは農民に謝さなければならないし、挽回しなければならない。それにはここに至ったほんとうの原因というものをざっくばらんにぶちまけてしまって、そしてこうしたことが再び起らないようにというあなたの念願がほんとうであるならば、つらい思いを忍んでもその禍根を今にして切らなければ私はどうにもならないと思う。一体あなたが専務理事になられたときに、まだ全購連の経理というものは赤字を続けておったかどうか、またその赤字が立ち直っておったか、そういう点を、くどいようですが私はもう一ぺんあなたの口から聞きたい。
  237. 小沼弥藤次

    小沼証人 自分が就任しましてから例の修正決算をいたしますまで、まだ赤字が残っておりまして、修正決算をして初めて黒字になってきましたので、二十九年度の修正決算をする前までは、欠損金が六千四百二十七円残っておりました。
  238. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 二十六年から再建整備法によって四年間に約一億円の金が農林省から流れているようでありますが、この金によって若干経営が楽になりましたかどうか。その点伺いたい。
  239. 小沼弥藤次

    小沼証人 最も大切な増資をやるために、その増資の奨励金を交付する、こういうのでいただきまして、それから固定化資産、在庫、そういうものの整理については、やはり利子を助成するというので、約九千六百八十万ばかりもらいまして、非常にこれは会の運営の面にはプラスになったと信じております。
  240. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 同時に、先ほど吉田委員からも詳しく、質問がございましたカリの問題であります。あのカリを扱うことによって含み資産が約二カ年間で十億近く出た、そうすると赤字がひどくなって、全く銀行の方もとまろうといったような場合に、全購連を助けてやったのはこの再建整備法、カリを扱ったこと、さらにまたあとになってから硫安等の需給安定法が出た、大体この三つの方針によって全勝連今日の黒字を出すようになったとわれわれは理解いたしますが、その点どうですか。
  241. 小沼弥藤次

    小沼証人 ただいまお説の通り、その三つのものが大きく再建のお役に立ったと思っております。
  242. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私、それだけあなたがはっきりした御答弁を願いますと大へん質問がしやすいのですが、さっきあなたは最後には、吉田委員質問に対して全く私は存じませんという一方の御返事であった。また経理についてもほとんど関与していない、ただしこの答弁の中に私は頭に残りますのは、通常のものについては間違いの起るはずがないとあなたは言っておりますが、この通常のものについてはというのであれば、通常ではない支出の方法等が若干あったのか、何ら機密費の項目がないようですが、機密費らしいもので通用するような費目があったのか、その点をあらためて私御質問したい。
  243. 小沼弥藤次

    小沼証人 総会で承認得ました範囲内のものはいわゆる通常の業務としての取扱いを一切しておりましたので、その面に対しての収入支出、そういうものは存じておりますけれども、今度事件になりましたようなことについては一切関知できなかったので、そのことは全然知りませんでした。
  244. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 実は長い間の質問答弁の中に私納得ができないのがその一点なんです。総会ではっきり承認を得決定したものは、これは十分わかっておる、裏の方が何もわからぬ、常識的に考えましても、決定したものの方の比重が裏を流れるものよりも大きなはずです。ところが今あなたがおっしゃる通り表面は赤字、その決算を修正いたしますと、ここに五億円といったような含み資産が出てくる、そういう手品は正直にいってあなたは一体どこにあったのか、機構のどの点が悪かったのか、人事のどの点が悪かったのか、そういう点をざっくばらんに一つお知らせを願えないでしょうか。
  245. 小沼弥藤次

    小沼証人 その点が先ほども申し上げましたように、仕事になれるといいますか、一ところに同じ仕事をずっとやっておりまして、しかも常勤の役員のいわゆる専務、副会長会長に話さないようなことが行われておったということが、事実最近になってわかって参りましたので、本来からいきますと、専務ともなれば、秘密にわたる細大の連合会の仕事を知らなければならぬにもかかわらず、そういうことがわからなかった、そういうことで実に申しわけないことが起りまして、この点は全農民に何とおわびを申し上げていいか、私も非常に悩んでおるわけでございます。こればっかりで実に申しわけない、そんなざまで、全く専務なんという面責が勤まらないのです。この点だけは全く赤面しております。
  246. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたの前の証人はずっと前やめたんですが、やはりあなたと同じ悩みを述べているのです。私はロボットである、とてもこれでは勤まらないし、まじめにやればやるほど、ある職員人たちには気に入らなかった、そのために私はやめたということを言っておる。それから代々かわりましてもやっぱりそんな悩みがあるとすれば、私は全購連というものの機構ははっきり二本になっていると思う。幹部陣、表面に出す看板、それと、実際に全購連を動かす機構がはっきり二本になって今度のような不祥事を起したのではないかと私は思う。さっき吉田委員だったか、細田委員だったかの質問に対して、あなたは、ほとんど全員が農協人をもって固めておるのだ、こういう答弁であった。けれども、これは役員陣でしょう。一般の職員陣も、あなたがさっきおっしゃったように、下からたたき上げた農協人をもってできておるのか、その点はどうです。
  247. 小沼弥藤次

    小沼証人 その点が非常に私ども不満に思っておるところでございまして、それは一から十まで農民の感覚を持っておる人というのは、そう中央における団体の職員員としてはお願いできないかもしれませんですけれども、しかし、少くとも農民的な感覚をいま少し持っておったならば、あんな大それたことはできないのではないかと考えております。
  248. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたの苦しそうな態度は私にはわかります。私は全国農民にあなたが申しわけないという気持がわかる。いわばあなたのような正直な、しんからの農民、これを看板にしておいて、しかも農業協同組合というものは農民のための組織である、こういう看板を出しておいて、それを利用して、その裏に回って政界、官界と結びついて、莫大な不当利潤を取ろうといったような陰謀がはっきりあるじゃありませんか。私にはわかる。私も農民です。あなたと同じ感じを持っている。それがあなたにくやしいんです。おそらくあなたが看板になって、犠牲にされて、あなたの裏に隠れてたくさんの人が悪いことをしたんです。私はもうあなたにこれ以上究明したくない。私自身涙がこぼれてきます。あとまた質問する人もありますので、私はこれだけ伺って、あなたのほんとう真実な涙を見ればそれでよろしい。どうか折があったらあなたは決然として今日隠れておった事実をそのまま訴えてもらいたい。今は制約もあるでしょう、圧迫もあるでしょう、あなた自身の悩みもあるでしょう。いつの日にか必ずあなたはもう一ぺん純朴な農民に立ち返って、あなたをこれほど苦しめた、これほど陥れたそのほんとうの原因を、何ものにもおそれず堂々と述べてもらいたい。私はこれ以上あなたに質問する勇気を持ちません。私の質問は次の機会に譲ります。
  249. 青野武一

  250. 小松幹

    小松委員 私は質問をやめます、
  251. 青野武一

  252. 山田長司

    山田委員 証人のさっきからの答弁を聞いておりまして――どうも強いものに対しては敢然と戦う気力があるのですが、あなたのさっきからの答弁の様子を聞いていて、ほんとうに純朴な農民で、今淡谷委員質問された中にもありましたように、中央におけるいわゆる全購連に古くから巣食っている何人かの人たちに利用されたのではないかとしか思われないような節があるので、何かしらどうも私のほこ先も鈍らざるを得ないような気がするのですが、どうかこれから伺うことについて間違いのない御答弁を願いたいと思うのです。  こういう仕事中央に来て携わる前に、群馬県でもあなたは要職にあって、中央に出て来たわけですが、群馬県ではどれくらいの歳月こういう仕事をされておりましたか。
  253. 小沼弥藤次

    小沼証人 最初に申し上げましたように、九年から組合の運動に携わってずっときましたけれども、しかし私は昼勤めて、朝晩は一町歩近くの耕作を自分みずからやってきましたので、そういう生活を続けて、連合会へ出てもずっと野らに出て働いておった、そういう人間です。県の農業会には二十年から若干お世話になり、その後二十五年から連合会の方にお世話になって、ずっと県連の会長をやっているわけです。そういう経歴を持って参りました。
  254. 山田長司

    山田委員 さっきからの御答弁から私は察して申し上げることなんですが、やはりこれに対しても忌憚なくお答え願いたいと思うのです。郷里の組合運動に携わってからも、さらに県の仕事に携わってからも、中央仕事に携わってからも、実際の実務をおやりになったことがなかったんじゃないかという印象があるんです。そういう点で、組合の要職につくたびに、実際の実務のことがよくわからなかったんじゃないかと思うのですが、その点どうなんですか。
  255. 小沼弥藤次

    小沼証人 単位農協でやっているときには、みずから筆をとって簿記をつけ、自分もそういうふうな知識が浅いものですから、真剣に経理に関する勉強をしまして、今も経理に関する勉強を続けているわけです。従って普通のものなら大体目が通ると自分では思っておるのですけれども、しかし自分が力が足りないためにほかの経理は全然わかりません。
  256. 山田長司

    山田委員 含み資産のわかったのはいつごろでしたか。
  257. 小沼弥藤次

    小沼証人 二十九年就任する前に監事をやっておりましたので、何となくゆとりができた、そういううわさがありまして、その当時どこにどういう力があるのかということはいろいろ検討してみたのですけれども、その当時ははっきりしないで、二十九年の十一月からこちらへ参りまして、いろいろ監事と力を合せて調べてみましたら、ぼつぼつそういうものがあるということが確認されましたので、これは大それたことだ、一日も早く直さなければだめだというので、それからずっといろいろ手を使いまして、特に経理部長をかえて、その後新しい経理部長に専門にそれを調べさせまして、修正決算までこぎつけたわけです。これはもちろん農林省の方からも強い意見監査の結果出ましたので、これは何としても明確な経理にしなければならないというのでやったわけであります。
  258. 山田長司

    山田委員 先ほどあなたの御答弁の中に、農林省の調査と軌を同じうして発見することができたということを言われておりますが、こういう問題が軌を同じうして発見されたなんて、そんなべらぼうなことはないと思うのです。そういう点がそんな偶然に両方で発見ができたというようなことは、われわれには想像ができないのです。またこんなことではこのことを聞いた人自体も了解しないと思うのです。一体あなたの方が農林省へ行って、こういう事態になったからという報告で、もして、それでその対策を練ったんじゃないですか。
  259. 小沼弥藤次

    小沼証人 先ほども申し上げますように、ふに落ちないところがあったので、内部的にいろいろと調査をきして出たので、農林省の方の監査もそれが後になってありまして、そして明瞭に指摘される、こういうようなことで、あるいは若干のそこに時日の相違のあったことは事実だと思います。
  260. 山田長司

    山田委員 実はきのう日農の本部へ行きまして、当時日農から出した資料を一つ見せてくれないかということで、資料を持ってきたわけですが、去年の四月十九日に含み利益についての申し入れの件というので、実は全購連の三十年度の決算、カリ肥料による含み資産約五億のあることが農林省の監査の結果発見された。それでこの申入書が出ているのです。こういう申入書が出ていたにかかわらず、四月以降さっぱりこのことについての結論を出さずにいたところに問題が新たに発生してきたと私は思うのですけれども、一体この申入書が出た当時、どういう対策を全勝連としてはとったのですか。
  261. 小沼弥藤次

    小沼証人 今はっきり申入書の時期というものは記憶しておりませんですが、御承知のようにあの厖大なものを整理するには、本所、支所、工場関係を整理するだけで約一年余もかかっておるのであります。あれが簡単に整理ができなかったので、あれまでまとめるのに非常に時間がかかったことは非常に済まぬと思っておりますけれども、事実それほど支所勘定、それから工場の勘定というものを明確化して一本にするにはむずかしかったのでございます。
  262. 山田長司

    山田委員 この申入書が出た直後の五月十日に、全購連としては異例の臨時総会を開いて修正決算をなしたことは、あなたも知らぬはずはないと思うのです。それでその結論として五億一千万の利益を損益決算の中に操作して隠していたということが明確になったと思うのです。そのときの臨時総会にあなたは出ていると思うのですけれども、異例の修正決算をしたときの臨時総会の模様をちょっと話して下さい。
  263. 小沼弥藤次

    小沼証人 これはたぶん二月の八日だったと思うのですが、それまでに大体わかりましたので、二月八日の役員会にかけまして全部承認を得て、そしてこれを総会にかけるというので、たぶん臨時総合が五月十日だったと思うのですが、そのときにこういうふうに修正しましたから御了承願いたいというので、承認の総会に出まして自分が説明を申し上げたのであります。大体の条項は存じております。
  264. 山田長司

    山田委員 そこまであなたは知っているわけですが、それではその五億一千何百万という金のその後の行方については、一体どういうふうな追及を今日までの間にあなたはしておりますか。
  265. 小沼弥藤次

    小沼証人 五億一千二百二十四万円につきましては、価格変動準備金として三億八千百万円、貸し倒れ引当金として二千五百万円正常の科目に充てまして、そしてその残りが一億六百二十四万ありますけれども、これはその当時の利益金、再建整備の益金、そういうものを合せて一億一千七百万余あったのを、その当時の欠損金一億七千万円を引きまして、そして残りの四千万ばかりを準備金、それから次期の繰越金として処理いたしました。
  266. 山田長司

    山田委員 そのことならば、先ほども吉田委員質問のときにあなたが答えたことをもう一ぺん言っているにすぎないのです、あなたは農林水産委員長のところに、この間朝日新聞に記事が出て以来、群馬の伊香保かどっかへ行って、かぜを引いて休んでおったというようなことで、何か届けを出したそうですけれども、一体こういう答弁をするために打ち合せをしておって、それできょう同じようなことを答弁しているのじゃないですか。
  267. 小沼弥藤次

    小沼証人 そんなことは全然ございません。実は六日にあとの担任の副会長理事がきまりまして、一切の業務を引き継いだので、私は少しからだの工合が悪かったものですから、何とかして休みたいということで、どこにも無断で帰りまして、渡辺医院に診察を願い、同時にその足で伊香保へ行って休んでおったわけで、決して打ち合せだとかあるいはその他のために帰ったのではなく、非常に私のからだの工合が悪いので帰ったのでございますから、その点御了承願いたいと思います。
  268. 山田長司

    山田委員 私は、四月八日の某新聞に出た記事を引用してここであなたに申し上げることは失礼だと思いますけれども、新聞記事は大体間違いないものとして申し上げます。その新聞の一節によると、この事件については自分はつかめなかった、ふに落ちないと言っている。この当時は全然そういう答えができてなかったのですが、あとでどこからか注意をされて今言っていることと――新聞に出ている記事によってあなたにただすわけだけれども、新聞記者の問いに対して、どうしてあなたはそういうことを言わなかったのですか。
  269. 小沼弥藤次

    小沼証人 今の御質問の要旨がよくのみ込めないのですが、もう一度お聞かせ願いたいのです。
  270. 山田長司

    山田委員 ただいまあなたは、五億一千万何がしの金の問題について説明をされましたね。そういうことは先ほど吉田委員質問のときにもあなたはお答えになっているわけなんです。私が聞きたいことは、この新聞記事がうそだとは思っていないから私は聞くのですが、新聞記者の問いに対して、そういうことについては全然知らないとあなたは答弁しているのです。よもや新聞記者があなたを中傷するために、あなたが話したことを載せなかったということはないと思う。どうしてそのときに新聞記者の問いに対して、こういう含み資産のことについての説明をしなかったのですか。
  271. 小沼弥藤次

    小沼証人 含み資産につきましては、別に話題が出なかったと私は承知しております。
  272. 山田長司

    山田委員 話題が出ないことはないのです。あなたは、含み益を発見しただけで、他の不正が握れなかったと、この問いに答えている個所があるのですから、そのことについてはお答えしなかったというのは、当時知らなかったのじゃないかと私は思うのです。  そこで次に尋ねたいことは、私は今度の事件を見ておりますと、確かに全購連の経理の乱脈は認めるけれども、そういう側々の問題ではなくて、何かしらもっと陰にひそんでいる大きなものがあるような気がするのです。あなたはロボットのような立場に置かれてしまったような気がしますけれども、重要な問題については専務理事とか会長とかいう立場の人は専務に一々相談をしなかったのですか。
  273. 小沼弥藤次

    小沼証人 普通の会務につきましては相談を受けておりましたしかし今度問題になっておるようなことに関しては、全然連絡がなくて行われておったことは事実でございます。
  274. 山田長司

    山田委員 私には専務理事という立場の人に、そんなに何も話をしないで、どんどん事を運んでしまったということはどうしても理解ができないのです。あなたはそんな状態が続いているのにそういうことがわからないはずはなかったでしょう、もしそうだとすれば、農民代表として出てきていながらなぜそういうことについての主張をしなかったのですか、
  275. 小沼弥藤次

    小沼証人 実はそういうことを一切相談をされないので、全然わからなかったのですから、私の方としてもそういうのを追及するだけの資料もなければ調査もできず、そのままになって今日になったことは申しわけないと思っております、
  276. 山田長司

    山田委員 そういうことでは了解しないのです。だれが何と言ったって、専務理事立場に置かれる人が何も知らないで、知ろうと思っているうちに今日になってしまったということは、私が考えてみても、あなたもこういう仕事の衝に長く当っておられた経験を持っているのですから、何らかの方法で知らないはずはなかったと思うのです。政党献金の問題だとか、あるいは議員に相当な金がばらまかれているという記事が新聞をにぎわしておりますが、そういうことについてもあなたの今までの発言の中では知らぬ存ぜぬです。そんなことは承認できません。
  277. 小沼弥藤次

    小沼証人 常識としてはおっしゃられる通りだと思うのです。しかし事実何もわからなかったのですから、おわびを申し上げるより仕方がありません。
  278. 山田長司

    山田委員 わびを言って済むことと済まぬこととありますよ。ここまで天下を騒がして、しかも国会議員には相当な金がばらまかれているような毎日の新聞記事です、そういう事態の発生する経過において専務理事ともあろう人の全然耳にも入らなかった、あるいは知らなかった、まことに済まなかったで一体済むと思いますか。何らかの形で明らかにすべきだと思うのです。
  279. 小沼弥藤次

    小沼証人 ただ私は力がないためにそれがわからなかった、知る由がなかったということをおわびを申し上げる以外に今申し上げる言葉は何もありません。済みませんでした。
  280. 細田綱吉

    ○細田委員 関連して。実は先ほど長いこと同僚諸君の御迷惑も顧みず伺ったのですが、私が伺った感じでは、あなたは非常にまじめな力だ、そういってははなはだ失礼な言葉ですが、やり手ではないけれどもまじめだという感じを実は受けたわけです。それでもう少し突っ込んでというような場合でも、これはどうも失礼だという気持が出て伺わなかったのですが、ただいま山田委員に対して、いろいろ代議士にばらまいたとか、やれ、やみドルをどうしたとか、やれ政治献金はどうだとか、そういうことは一切がっさい知らないと言うに至っては、先ほどあなたにお尋ねしながら受けた感じと今度は非常に違ってくるのです。新聞記事が真かどうかは、これは別としまして、一人や二人、三人の問題ならばこれは知らぬ存ぜぬで、あなたのようなまじめな人をつんぼさじきの力へ入れてしまって――あなたもその点をおっしゃった、職員の方が少し専断のきみが多いということを言われておりましたから、それはそれで済むかもしれません、そう思うのもまた当然かもしれませんが、やれやみドルだ、献金だというようなあれだけ数の多いものを、ピンからキリまで私は不徳のいたすところで知りませんでした、存じませんでしたというのでは、これは少しあなたを見そこなっておったような気がして実はまた飛び出してきたわけです。あなたも御存じの通り、あれだけ数の多い、新聞にも出ている問題を専務理事が――しかもその人はいなかからぴょこんと出てきたわけてはない、その前に監事をやっておるというような立場の人が――あなたは全購連でははえ抜きの職員並みの人ですよ、その人が全然知らぬ存ぜぬというのでは、それは世間では通りませんよ。  それで、先ほども吉田委員があなたに申し上げておりましたように、このチャンスをおいて全購連を改革するチャンスというものはないと思う。日本の農民は永久ですよ。先ほども何か系統農協の肥料はどうかということで、あなたは高く買って安く売れ――しかし決して安く売ってないので、商人なんかの品物よりもときには高い。先ほどのあなたのお話ではそんなことは問題ではない、日本の相場を左右しているのだというような大きな構想を拝聴しましたけれども、とにかく、そういうこともあるかもしれませんが、末端の農民は農協というものはずいぶん高いものだというふうにも思っている。こういうときに、この際をおいて私は全購連の改革はあり得ないと思う。そして、あなたも御存じでしょう、山川というあの若い人が自分でどの程度のことをやっておったか知りませんけれども、命を断った、この犠牲をむだにさせてはいかぬと思うのです。それはなぜかというと、あなたが知らぬ存ぜぬと言ってくさいものにふたをさせることは、この千載のチャンスを逸してしまうことなのです。そしてまたあなたのまじめだと受けた印象を、何だこの人も徹頭徹尾しらを切っているという印象に変ってくるんですよ。今、山田君の伺っておりました政治献金とかどうとかいう機密費の使途を、私は全然知りませんでした――しかも、先ほども吉田委員が聞いておりましたようしちょっとばかりの金ではないでしょう、それを専務理事であり、その前には監事であったあなたが全然知らぬ存ぜぬ、どうも不徳のいたすところで知らぬというのでは、全くあなたは見上げた千両役者だ。これはもうあなたがそう知らぬ存ぜぬと言うのでは、だれもあなたの言うことを世間で信用しなくなりますよ。もう少し山田委員質問に対して忠実に、そしてあなたは今後は一農民立場として、県連の立場として全購連の改革に努力すると言って決意のほどを披瀝したあなたと、一個人、一県連に返ったあなたとどっちが効果的であり、どっちが改革する好チャンスであるかということはあなただっておわかりだと思う。山田委員質問に一切がっさい知らぬ存ぜぬと言われるが、私の今の質問に対するあなたの御感想を伺いたい。
  281. 小沼弥藤次

    小沼証人 ああいう問題に対して全然相談にあずかりませんので、従ってきょう何とただされましてもお答えできないのでございますからあしからず……。
  282. 山田長司

    山田委員 あなたが知らないと言ってもこれは世間に通らないことです。これが経験者でなくて、全くの農民が東京のまん中へ来て全購連専務理事になったという場合ならば理解できるかもしれない。しかし三十年以上の歳月この仕事に携わっているのですから、この道のエキスパートですよ。それを全然知らないというのでは世間に通らないのです。そういう点ははあなただってわかると思うのだ。またそれを全然知らずに全購連専務におさまっていたとするならば、これは日本中の百姓を愚弄することだと思います。あなたはそう思わないですか。
  283. 小沼弥藤次

    小沼証人 実際、重責任を負いながら、それを果せなかったことは農民には全く申しわけないと思っております。
  284. 山田長司

    山田委員 どうもあいた口がふさがらないほど私はがっかりするのですが、だれにそういうふうに注意されてあなたは来ているのか知らぬけれども、きょうのあなたの答弁を聞いていると、知らぬ存ぜぬと国会で答弁してこいという注意を受けてきているように思われる。どうです。
  285. 小沼弥藤次

    小沼証人 そんなことは絶対にありません。
  286. 山田長司

    山田委員 そうしますと、はっきり言いましょう。四月八日の朝日新聞に新聞記者との一問一答が出ていましたが、この記事は全部うそですか、どうです。
  287. 小沼弥藤次

    小沼証人 私どもは新聞を全部そのままうのみに承認することはできないような気がします。従って八日の朝日に載っておりました記事を、てんでもうそんなばかなことはできないのだ、そういうことを申し上げて、そして農民代表として金子さんがやっておりましたけれども、その当時も私ども一緒にお世話になっておりますけれども、そんなばかなことはできない。それで最後に全購連がぎりぎりの予算でやっているのだから、総選挙のときに農民代表に陣中見舞として選挙資金などは出せないのだ、こういうことを申し上げたらばああいう記事になったので、私の申し上げた言葉と言葉が若干違っておるような気がしますので、それで非常に各方面に御迷惑をかけ、皆さんにも御迷惑をかけておるが、若干私の申し上げたことと違うような気がしております。
  288. 山田長司

    山田委員 含み資産の中から幹部が賞与を取り、職員にも賞与を出しておる、こういうふうなことが全然ないとは私は思わないのです。なぜそういうことを申し上げるかというと、これだけの天下を騒がしておる事件なのに、全購連の職場の中から、働いておる職員から幹部不信任の声一つも耳にしていない、これで日本の農民仕事をやっている全購連が、場職の中から幹部不信任の声ぐらい上るような全購連でないというのは、やはりこれは幹部職員も一つ穴のムジナですよ、そういうことを私は断ぜざるを得ない。あなたはこういう問題について、あなた方幹部が賞与をとるときに職員にも賞与を出しておるのでしょう。それだからこういうことが職員の中から起ってこないのでしょう、どう思うです。
  289. 小沼弥藤次

    小沼証人 私は先般職員の方から糾弾されまして、お前のような者がいるから全購連が不信用になるのだ、そういうので糾弾されまして、責任をとれというので、私はもうその前に責任をとっておりまして、ひどく糾弾を受けております。
  290. 細田綱吉

    ○細田委員 関連して。この含み利益の中から職員にも特別賞与を出し、あなたも受けられたのですか。あなた自身も若干の賞与というか、役員の特別の何かとられておりますか、その点を一つ伺います。
  291. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは全体の役員会にかけまして、そして賞与として出しておりますけれども、特別賞与という名目はわざわざつけたような覚えはないのですけれども、一応賞与は予算の範囲内でと言うから、それで出しておりますし、それから役員の方には一万円ずつの研究費が出ております。
  292. 細田綱吉

    ○細田委員 あなた方の一万円の研究費というものは、専務理事ですからよくわかるが、これが従来の正常な予算の中から出たものと思っておりますが、あるいはあの大ぜいの職員に対しての特別賞与というものが、正常な予算の中から出たものとあなたは当時思っておられたのですか。
  293. 小沼弥藤次

    小沼証人 まず予算があるかということを質問しまして、常務の方から予算があるからその範囲内で出したい、こう言うので、それなら出したらいいだろうということで役員会で承認してもらいました。
  294. 細田綱吉

    ○細田委員 それではほんとうにあなたは先ほど山田君が憤慨したように、これじゃまるであなた自身がおれは全く無能な役員だというようなお気持で専務のいすにすわっておられたと思う。あの大ぜいの職員に対して特別の賞与を、あなた方に対して研究費を、これは普通の予算から出たのだと思った、予算があるかと言ったらあると言ったというようなことだったら、こんなことなら三才の童子でも全購連専務は勤まります。やはり全購連専務は相当の経験を持ち、そうしてまた知識のある人がなるということは当然な話で、あなたがどういうふうにしらを切ろうと、世間ではそう確信しております、間違いもありません。その人が、あの大ぜいの職員に特別賞与が出る、あなた方に対して調査費が出ると言いますが、普通の予算からというようなことで、どうしてあなたはそんなことが当然だと思いました。そうでなくても賞与というものは少いとか多いとか言って、どこの官庁でもどこの会社でも問題になる。それをあれだけの特別のものが出て、いやこれは予算の範囲内だ、これではちょっと常識では判断できません。もしあなたがそれはちっとも疑問がなかったと言うならば、私はあなたの頭を疑う。あなたが予算があるからと言ったからというようなことで引き下った、それであなたを納得さしたとはだれも考えません。それでなかったらあなたは完全に分裂症になっておる。それでなおかつ当時当然予算の中からふんだんに出たんだと思ったのですか。
  295. 小沼弥藤次

    小沼証人 これは御承知のように毎月支出されたものと予算と突き合せて検討をしておりますので、その範囲内において、予算の範囲内においてやっておるものと自分は信じておりましたので、役員の方は七百二十万だと思ったですが、その予算の範囲内で出されておったと考えておりました。
  296. 細田綱吉

    ○細田委員 それじゃ役員というのは何人くらいいるのです。
  297. 小沼弥藤次

    小沼証人 常任が六人のところを一人欠けておりまして五人、それからその他の平の方、理事監事を合せまして十七人であります。
  298. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたが新聞に、朝日の一つの例をとりましょう。朝日の例によると、あなたがしゃべったのがそのまま載っておるのです。たとえて言うならば、今山田君の言った政治献金、「全購連がぎりぎりの予算でやっているのなら、総選挙のとき農民代表の代議士に陣中見舞として選挙資金など出せないはずだ」、こういう言葉が間違えて出るはずはないでしょう。一流の新聞ですよ。朝日にしても産経にしてもでたらめを書くとはあなただって信じておられないでしょう。しかもその言葉は間違えられようにも間違えられない言葉です。従って、ぎりぎりの予算だったならば特別賞与も出なければ、あなた方に対して七百五十万というような膨大な予算も組めないはずだ。そうでしょう。ぎりぎりの予算でない、ふんだんに予算がある、そこに含み資産があるということを、あなた自身がちゃんとこういう言葉によって表現しているじゃないですか。こういう言葉もあなたは当時言わなかったとおっしゃるのですか。
  299. 小沼弥藤次

    小沼証人 そこに捨てがなが違っております。私が申し上げたのは、全購連はぎりぎりの予算でやっておる。だからと申し上げております。それだから総選挙のときに農民代表の代議士に陣中見舞として選挙資金など出せないはずだ。これは前に膨大な金があっていろいろの方に使われておるという記事が、五日と六日だったと思いますが、連続に出ておりまして、しかも朝日の新聞にも、数十億というような金が計上されておりました。そういうことはできないはずだ、そんなばかなことができるはずはない、こういう前提を申し上げて、そして最後にこれを結んだので、でございますから、全然捨てがなが違っておることを私ははっきり申し上げます。
  300. 山田長司

    山田委員 司直の手によって、今あなたの同僚たちの、常務理事島田及び宮下両氏は取調べを受けておることのようですが、まああなたがその召喚に合わないでここにおられるというのも、おそらくそういう人たちと行をともにしなかったということによるものと思れわるのです。しかし本日の、あなたのほとんど知らぬ存ぜぬ一点ばりのお答えについては、これは私どもどうしても理解ができません。これはいずれ、あの人たちが司直で完全にあばかれて、その結論が出ると思いますけれども、本日あなたから伺った話の範囲においては、全然あなたは知らないことのようですけれども、とにかくそういうことで、あなたが全購連常務理事という位置におられたということについては、日本の農民にどうあなたは陳謝していいかわからない事態になると私は思うのです。今後どうして農民に対しておわびをするつもりです。農民の中からも、全購連のこの問題については、とにかく小沼が知らぬはずがない、小沼専務が全然知らないなんというのはうそだ、徹底的に一つ追及してくれという電話や投書もあるくらいです。そういう点で、私は今質問を終るに当って、あなたが知らなかったということについては、どうしてもふに落ちないということを言い残して、私の質問を終りたいと思います。
  301. 青野武一

    青野委員長 ほかに御発言のある方はありませんか。――小沼証人に対する尋問は以上をもって終りました。小沼証人には、御多忙中を長時間御苦労でした。どうぞ御自由に御退席されてけっこうであります。  それでは、次に安藤証人に対する尋問に移ります。  まず、委員長より、概括的な点につきましてお聞きいたします。安藤証人の現職、略歴、全購連在職当時の職務内容等につきまして、お述べを願います。安藤証人
  302. 安藤長造

    安藤証人 申し上げます。私はただいま全購連の副会長であります。略歴を申し上げますと、自分の本業は農業であります。それで、昭和八年から村の組合の専務理事をやりまして、昭和十五年から長野県の下伊那郡の製系組合の連合会、天龍礼の専務理事をやりました。戦争が終るまでやっておりまして、昭和二十二年の新しい自治法の実施によりまして村長に推されまして、同時に県会議員に当選して、一期勤めました。一期でやめまして、昭和二十六年から長野県の経済連の理事に当選いたしまして、そうして昭和二十八年に、長野県の経済連が整備促進法の適用を受けなくてはならないような事態になりまして、そこで執行部の交代が必要になり、私が会長を引き受けまして今日に参っております。  全購連の方は、昭和二十八年の十月、理事になりました。それは補欠選挙であります。それから二十九年の全購連役員の改選の際に、副全長に推されたわけであります。副会長は、本来ならば常動ずるわけでありますが、私は、地元の長野経済連が莫大な欠損を持ちまして、その整備促進をやらなくてはならないことになっておりますので、とうてい全購連の方へ時間をさく余裕がありませんので、辞退しましたが、それも許されませんので、非常勤として全購連の副会長を引き受けまして、今日に至っております。略歴は以上の通りでございます。
  303. 青野武一

    青野委員長 委員長よりの尋問は終りました。  なお、午前中から引き続いて尋問が行われておりますが、特に委員長より各委員質問の要点、これを項目別に大ざっぱに申しますと、今回の汚職事件を生む原因となった監査機関、補助 金や含み資産の行方、含み資産による政治寄金などへの疑点、もっと詳しく申し上げますと、架空個人名義で銀行に多額の金を預金しておった、金を預金しておった、四十五品より六十日間の先付手形のからくりで金利かせぎをやっておった、荷揚げ、倉敷料の水増し、架空保険金の詐取、非常川農薬の保管、農薬輸入原料等にからむ不正、大体こういった範囲で御質問が行われておりますようですから、証人として証言をなさる前に、まずこういった内容を頭に入れていただいて、その心がまえを持って証言に臨んでもらいたいことを御注意申しておきます。それでは、各委員よりの尋問に移ります。発言の申し出がありますので、順次これを許します。淡谷悠藏君。
  304. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 今日証人として出席しましたうちで、少くとも現職はあなた一人であります。あとは、このあとに出ます会長ももうすでに辞表を出しておられる。そうして、最も事件に責任のある多くの人は大体刑務所であります。あとの人はやめちゃっているのです。そうしますと、残るのは現職にある副会長のあなたなんです。しかもあなたは今まで下級職長でなかった。あなた一身にはおそらくは何の影響もないと私は思いますので、一番率直に、一番大胆に事の真相をお話いただけるかと私は思う。今までの方々はみんな、私はロボットだと言っておりますし大へん便利な言葉でございまして、もう責任のがれるときは、みんなロボットだと言っているのですが、あなた、まさか、この御経歴では、少くとも非常勤の副会長であっても、ロボットだとは言わないだろうと私は考える。そこで副会長あるいは専務理事が辞表を出しまして、おそらく現在では会務を一番高いところから総括するところはあなた自身しかないだろうと私は思うのです。まずい、つごろからあなたが実際の会務をおやりになるようになったか。その場合の最も端的な感想はどうであったか、そこからまずお話を承わりたいと思います。
  305. 安藤長造

    安藤証人 お答えいたします。私が会務の実務を見るようになりましたのは、前の証人小沼専務からも申し上げたと思いますが、去る六日に役員会を開きましたわけで、その際に今回の事件は、前の河村事件から引き続いて順に会として非常に世間に対して疑惑を深くし、組織全体のみならず一般社会にも大きな問題を投げて、しかも不祥な問題を投げたことでありまして、その責任は非常に重大であるということで、この際全員が辞職をして、そうしてほんとうに新しい、従来のいきさつに関連のない清新な組織を作って、そうして会務の運用をし、全体農民の信頼を回復して本来の組織の使命を完遂しようということに一致いたしました。それで私も当然そこで辞職するわけでありますが、ちょうど全購連の母体になっております県の経済連は大体六月が改選期になっております。今年が任期になっておる県連が過半数ありますので、今全員がやめて改選することは、また二カ月ばかりたったときに過半数の県連が役員の更新によって、顔ぶれが変るというようなことで、そこで再び編成がえというようなことになる可能性もあり、また経済連を母体にしております同じような全購連全般の役員の選任との関連というようなこともあります。それでこの際任期を更新しないような方法でやろうということに一致しました。それは去る三日三十一日の全国会長会でそういうことの申し合せができておりますので、その線を尊重していくことがよろしいということの理由もありますが、その二つの理由で全員辞職ということをやめまして、総会の召集とそれから任期の継承の関係という二つの必要から、だれか残ろうということになりました。そうしてだれがいいかという評定の結果、私に残れ、こういうことになりましたので、私は残ることは――自分は県選出の理事のうちでもほんとうに、いわゆる平理事の、特殊の任務を待たぬ理事の方でやってもらった方がいいと自分は思いましたが、みなの意見で私が残った、こういうことであり、また残った者は私と監事の力で三浦監事、この二人が、残りましたが、その者は今度改選後に辞職する、こういう了解のもとに残りました。それで今度はその実務を見るという関係は、普通の場合ならばやめた常任理事は後任ができるまでは、交付ができて引き継ぐまでは責任があり、見ていくべきであります。ところが今回のような事件は非常に異例でありまして、こういう際だからむしろ一般に対しても、従来の常勤者は実務から遠ざかった方がよろしい、そうしてその間は全体のうちから一人残った私が日常事務を見ていけ、こういうことになりました。それで、そういうような処置をとりましたことは、特に現在御承知のよりに全購連としては一年を通じて業務的に一番重要な時期でありまして、春耕に先だってあらゆる生産資材を調達することが全購の使命であります。その一年のうちの一番重要なときでありますので、特にそういう必要から私がその方に専念してやれということの申し合せになりまして、そこで実務を見るという関係になりました。
  306. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 すでに御承知のことと思いますが、全購連があんなような不祥市を起しまして、特に全国農民あるいは農協等からはげしい指弾を受けており、非常に大事な赤の耕作期を控えまして、これは農民のためにもまことに遺憾千万な話であります。けれども、これは全購連の事業を継続するかしないかなどというような問題にとどまらず、全購連全体の機構が破壊されるか立ち直るか、非常に重大な危機に立っていると思うのです。従ってこのあとを引き受けられましたあなたは、特に若干前の役員の方々とつながりのある位置にあるあなたが全責任をとられるには、それ相応のお覚悟もあったろうと思うのであります。一体この事件についてだれからどういう経路でお開きになったか、この事件に対するあなたの御感想等もこの際承わっておきたい。
  307. 安藤長造

    安藤証人 事件に対する関連ということについては、私全般的に申し上げて、会長会長、私は私、それから役員といたしましては専務専務、また常務理事常務理事と、それぞれの立場においてそれぞれの異なった関連を持っていると思います。それで、私自身が実は怠慢でおしかりをこうむると思いますが、現実において副会長という重要な職を汚しておりましたが、最初に申し上げましたように、自分の県連の事情が許しませんわけで、実際の業務の運営に当りましては、一定のきめた日に出て参って、そうして自分意見を――これは県連即会員であり、その会員の声というもの、私自身農民でありますが、農民立場においての声を全購連の運営に反映するということが、自分自身の当面の一番の役割であるという考え方で、この全購連に臨んでおったわけであります。しかし今度のような事件の発生を見まして、そのような気持でこういう重責を引き受けておったということが誤まっておったということを痛感しております。私は経済連の整促の仕事をやりながら、これは実は自分としては精一杯ではない、力不相応の仕事でありまして、それを何とかしてものにしたいということでやっておりました。その仕事をやりながらも、県連自体、私の方の県連の様子が実に農民の期待にそむくものである、信頼にこたえ得ないものであるということを痛感しておりましたが、全購連の場合は一段上の全国段階であるし、職員もりっぱな職員がそろっております。そうして役員もりっぱな役員がそろっておるという関係から、必ず全体の期待にこたえ得る内容であるということを信じてわったわけであります。ところが、今度結果的に見ますと、一部まずい点があったということを現実に見せつけられたわけでありまして、この間の内容の詳しいことについては、まことにお恥かしい話でありますが、今度の事件が発生してから、こんなものであったか、こういう事情であったかということをようよう知りまして、自分のうかつであったことに対して心から恥じておるというのが実情であります。
  308. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 実は私も全購連職員はあまりりっぱな職員ばかりで驚いていますが、役員の方も伺ってみるとみなりっぱな役員ばかりです。どうもこうなると、出てこられる方も出てこられる方もほんとうに文字通りロボットみたいで、だれに責任が帰属するのであるかわからなくなってしまう。あなたがかわって全購連仕事をやられた場合には、直接にはだれと相談されたのですか、今仕事を進める上において、従来実務を見ておられなかったあなたが実際にやられる場合に、全購連内のどなたとあなたは連絡をとられておるのですか。
  309. 青野武一

    青野委員長 ちょっと安藤証人に申し上げますが、淡谷委員質問の重点をよくのみ込んで――委員長が聞いても安藤証人証言は少しくどいようでありますから……。
  310. 安藤長造

    安藤証人 わかりました。私はただいま実務の面においては、それぞれの担当の部長がいますので、その部長の報告を受け相談を受けて、その相談相手になって進めておりますし
  311. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 さっきから別な役員の方、やめられた役員の方にも聞いておりますが、会長、副会長専務理事常務理事というのは、大体仕事を掌握して、これがいろいろ指図をして仕事をさせる役割なんです。だから役員なんですね。その役員の指導や命令に従って動くのが職員なんです。ところが何か全購連というところは逆で、どういう経営か知りませんけれども、職員の方が立案し、これを会長、副会長常務理事専務理事にやらせているように見えるのでございます。あるいはまた命令させているようにも思われる。そうしますと、指導部の土にさらに目に見えない職員あるいは部長あたりの指導部が存在していて、それが扱っているように私どもにはどうも思われるのですが、あなたが今度実務に当られて、何か役員が存在しなくても職員だけでりっぱに経営ができる機構のようにお考えになりませんか。
  312. 安藤長造

    安藤証人 むずかしい御質問で、それは私がいなくても日常の業務はできていくと思います。しかし全購連は、全購連職員の全購連ではないのでありまして、実際に使命とするところは、六行万の農家の組織であり、その農家の必要に応じた仕事をやるのであります。それをわれわれが県連を通じて組織しておりますので、実際の仕事は、集まってくる県連の会長の意志をここに反映していくべきものであるというように考えております。
  313. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 あなたはだいぶ前から副会長をやられているようですが、一年に大体何回ぐらい今まではおいでになるのですか。
  314. 安藤長造

    安藤証人 私は大体毎週一回という約束でありましたが、なかなかそういうわけに参りません。月に二川ぐらいは大体平均に出てきております。
  315. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは大体会務のことは報告を受けておられるだろうと思いますが、非常に赤字で困っておった全購連が五億円あるいは九億円と称せられる含み資産を持つに至った、カリの問題に関連しましてそれだけの余裕ができた。この含み資産を、正規に経理をしないで、個人々々の通い帳に貯金をしたり、あるいはその他の手段で融通をしておったという事実はお聞きになりましたか。
  316. 安藤長造

    安藤証人 ただいま御指摘の含み資産というのは、これはわれわれ役員として発見いたしましたので、昨年の五月総会の承認を得て、二回にわたってすべて配分をいたしました。すべて配分いたしましたが、今回の事件によって発見されました別の名義の通帳による現金の扱いというのは全然知りませなんだわけで、今度の扱った者とはまだ行き会っておりませんが、新聞の報道により、また常勤の役員等から聞いて初めてそういう事実を知ったようなわけで、自分の責任上まことに両目ないことであるというように考えております。
  317. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 含み資産を発見したのは役員会だったそうですが、それでは、含み資産をああいう形にして持っておったのは職員が勝手にやったのですか。役員会の承認を得ていなかったのですね。これは、全く役員の目に紙を張ってしまって、優秀にして善良なる職員が勝手にやったということに了解してよろしいですか。
  318. 安藤長造

    安藤証人 その御判断、おしかりは甘んじてお受けするよりほか仕方がないと思います。
  319. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは、先ほどから別な証人の方にもいろいろな委員から質問があったのですから、くどく私は追及しませんけれども、これから大事な肥料配給期に当りましてあなたが実務をとられる。その場合に、やめた小沼専務が、この含み資産としてあったものを表面化しましてできている四億円か五億円のこの利潤を、これからカリの値が上るので、安く配給するためにこれを一億円ぐらいずつ払っていくつもりだったということを言っておりますが、その申し継ぎがありましたか。
  320. 安藤長造

    安藤証人 含み資産のうち、三億八千万円を価格変動準備金に積み立ててあるわけです。もともと含みで持っておりましたのは、カリの輸入等の場合には買い付けてから配給するまでの明に相当の期間が要りますからその間の価格の変動は免れませんので、従って、その業務をやるためには相当の価格変動準備金的なものは要るわけであります。そういうことで持っておったのでありますが、幸こに昨年まではそういうことにぶつからないでやって参ったわけであります。ところが現在は、今年のカリの需給状況はすっかり変りまして、そうしてダンピング的な値も出ておりますので、今度はそれのために県連が商社の方から非常に攻撃を受けて苦しくなっております。従ってこの際は準備金をくずして、そうしてそれらの県連の損失を埋めなければならぬということになるのです。
  321. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 せっかく含み資産までやって残した金を、今後二年か三年の間に価格変動のために失うということは惜しくありませんか。需給安走法という法律がありますが、この際あの中で扱われております硫安に加えるにカリをもってして、カリもこの安定法の中に入れて何とか処理したら、その含み資産から転嫁した資産がそのまま残るとお考えになりませんか。
  322. 安藤長造

    安藤証人 私まことにまだ研究が足りませんので、先生の今の御意見を承わりますと、大へんいいお教えであります。でき得れば肥料のような農民のためにどうしても絶対必要な重要な資材は、国の法律の力によって安定させていただくということをぜひお願いしたいものだと思います。
  323. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私が全購連職員をしておりましたら、あなたのような優秀な副会長を補佐して、そういう知恵をつけたろうと思うのです。大体赤字だった全勝連が今日の黒字を残したのは、そういうことをやったからなんです。純粋な経済行為では利益を上げておりません。安い肥料の配給もできません。たかだか全国の組合員に大きな迷惑をかけておったのが過去における全購連の姿です。それを再建整備法、需給安定法等による硫安の措置、カリのあっせん、こういったようなもので莫大な利益を残してきたのです。私疑えば、今度カリの問題でもそんな線を出しておきながら、どこかで需給安定法にカリも入れようという動きが始まっているだろうと思う。それが今日の不明朗な全購連の事件を起したのであります。単なる経済問題じゃない。官僚と結び、政治家と結ばなければやって、いけないようなでたらめな経営をやっておるからこんなことが起る。一体あなたは副会長としてこれまでこの需給安定法やらあるいは再建整備法、こういうふうな法律の適用を受けるために、全購連職員やあるいは役員が政治的なさまざまな陳情運動等をされたことについて報告を受けておりませんか。
  324. 安藤長造

    安藤証人 全購連全国機関といたしまして、系統組織の運営に必要な政治的な面に対する働きかけをするような役割を持っておると思いますが、それは主としてわれわれの組織とすれば、今日では中央会がその役割を持っております。それで全購連としても、その組織をしておりますわれわれも整促では非常に苦しい立場におりますし、全購連だけでなしに、すべての連合会を通じてあらゆる面へお願いして、必要な国の施策を実現するということは当然、あると思いますが、その働きかけということは、正しく必要を認識をしていただいて、国の政策発動するそれが成立するというための運動であるということを信じております。
  325. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私の聞いておるのはこれからのことじゃないのですし過去において再建整備法を適用したり、あるいはまた需給安定法なんかを出す場合、正しいか正しくないか知りませんけれども、何らかの政治的な手を打たなければならない、あるいは官庁に対する働きかけをしなければならないというような相談を受け、あるいはまた何か助言を求められたことはございませんか。
  326. 安藤長造

    安藤証人 そういうことはまだありません。
  327. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうも驚きました。あなたはたった今そういう国の法律等による援助を受けた方がはるかに有利だという証言をされておる。もうすでに過去において受けておる、これは黙っておってもひとりでにできたものではないのです。硫安等の需給安定法に対しては全購連は一体どういう態度をとったか。あなたの方に報告がありましたか。
  328. 安藤長造

    安藤証人 硫安の安定法のときには――それはきょうもそんなことを向うで待っておるときに聞いたのですが、私はそのときは県連の平役員でした、私は反対だったのです。そういう官僚統制はいけないというようなことは、これは今になってみれば観念論であったのです。そういうようなことであり、全購連の内部も二つに分れておったと思います。それですから、どういうような動きであったか、詳しいことはちょっとわかりませんが、前に先生からおしかりを受けまして御質問にお答え申すに、私の自棄が足りなんだかと思います。ことさらにあらたまった相談というようなことはなくて、ふだんに必要なことに対してはそれぞれ横の連絡で全購連というものはできるだけ骨を折るという状態にあると思います。
  329. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そういうふうな政治的な動きや、あるいは農林省等の官庁等に対する交渉、これは全購連のどなたがやってきたのですか。役員ですか、職員ですか。
  330. 安藤長造

    安藤証人 その交渉というようなことですが――まあ陳情と申しますか、そういうことは全購連の場合には当る者の個人の立場でなくて、すべてが全国農民立場代表しておるわけであります。従ってそれぞれの担当部門によって、その担当部門の農林省の役員の力にふだんお話をしておるわけであります、そういうことによって、農林省の方の御当局が実際の必要を理解されるということから正しい政策が生れてき、それから正しい政策の実施ができるということが自然の姿であるというように信じております、
  331. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私は自然の姿じゃないと思うのです。農林省との関係がずいぶん変になって、今のような事件を起しておるのです。全購連なんかでは自殺をしておる人がある。何か苦しい事情がそこにあるらしい、これはどうも順当な自然の姿ではないと私は思う。こういうふうな上層部の交渉なりさまざまなあっせんや何かは、たとい職員がおりましても、究極においては最高責任者である会長、副会長専務理事等が責めを負うてやるのが自然の姿だと思います。大体今度の事件なんかでも、あなた方役員は知って、責任を感じてされておったのですか。
  332. 安藤長造

    安藤証人 ただいまの御意見は、私どもとすれば、私の業務というのは全体の意思を代表し、その必要によって行われておるのでありますから、特に法律を作るとか、それから特別の事情があれば、役員もむろん心要に応じて、また上層部の方々に申し上げて理解をいただくということもせなくてはいけないと思いますが、通常の業務の場合に、それが即役所の方においての政策実施の問題になってくるわけでありまして、それらのものがもし今度のような不純なことであったといたしましたならば、これは私どもの会としての執行部の監督上の責任でありますが、そういうことのあるということは、これはあってはいけないので、なくていけるものであるというふうに私は信じおります。
  333. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この後あなたの仕事をされる上にも、全購連に対するわれわれの期待としましても、非常に重大な点ですから、はっきり申し上げておきますが、さっき小沼理事は涙を流して、役員のどうにもならない、流れが全購連の中にはあると言うのです。その流れが今日の含み資産を起し、使い込みを起し、さらに新聞等によりますと、やみドルを買い、政治家を買収するのに使った、こんなことが起っている。あなたがほんとうに把握しておられれば御心配はないでしょうが、今までの実績を見ますと、役員陣が浮び上ってしまって、その役員陣の下で、役員陣が知らない間に、非常に不自然な、不明朗なよごれ切った動きが起ってきておるのです。あなたがこの不祥事のあとを受けて会長代理の席におられるということは、そういう内部事情をすっかり調べ上げてからお引き受けになったのか、ただ漫然と据えられるままにすわったのか、その点はどうなんです。
  334. 安藤長造

    安藤証人 私が今回引き受けましたのは、決して会長をやろうということでありません。会長が欠員になって、当面春耕期の一番大切なときでありますので、その間必要な業務を遂行していくためにやっております。しかしその間においても、役員として、今日発生した事態に対して反省し、職員とともに過去を反省し、改めるところは改めることに努力しなければいけないというように考えております。
  335. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この段階にきてから少しばかり隠し立てをしたところで、絶対に全購連はよくなりません。やはり過去に起った一切のことははっきりさらけ出して、政界であろうが官界であろうが、出すべきものは出して粛正する以外に道がないと思う。特に新聞記事によりますと、やみドル等もお持ちのようでございますが、もう残りはないのですか。もしそんなものがあったら、また要らざる罪を犯す。一体全購連は何の必要があってやみドルを買うのか、この点について一つあなたのお考えを聞かしてもらいたい。
  336. 安藤長造

    安藤証人 私も新聞の記事でやみドルの問題を見まして、実に意外に思っております。全購連の業務には、ドルの売買という項目はありません。これは何かの間違った事情があってそういうことをやった者があるとすれば、これは改めなければいけないことでありますし、また今日ドルなどを持っおるとは思いません。しかし私は内容は遺憾ながら知りませんが、しかりといたしますれば、ただいま司直の手によって調べられておりますから、その正しい調査の真相を待って、会としての処置をするより仕方がないというよう考えております。
  337. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 たとい短かい期間であっても、今のままの機構ではどんどんまたこういう不明朗なことが、あとを追って出てくる危険性を十分に感じます。さっきから役員陣の話を聞いておりますと、まるで人の責任みたいな話をしているのです。自分の使っておる職員自分が責任を負っておる職員さまざまなことをしでかすのに、できてから初めて驚いている。うんと問い詰められると、涙を流して、私たちロボットでした、これでは農民に済まない。国の行政上も大欠陥を生じ、不良役人を生じます。腐敗した政治家を作るのであります。私は少くともあなたが短時間でも責任をとられた以上は、そういうことがないように、なぜこういう事態が発生したかという機構上の問題などもはっきり握ってもらいたい。金の支出なども勝手に下がやっているようですが、あなたはそれに対して応急的に、たとい短時日でも、職員が勝手に金などを動かせないように応急の処置をとられましたか。
  338. 安藤長造

    安藤証人 ただいまの御注意はまことにごもっともでありまして、会といたしましても河村事件以来反省いたしまして、会の牽制機構に何か欠点がありはしないかということも専門家に調べさしたのです。そうしたところが、機構の上においてはない。ところが整っている機構を係の者が忠実に守っていなかったということを指摘しております。従ってそれらのことにつきましては河村事件以来、絶対その誤まった者はとりかえまして、そうして新しい職員を充てて、それからして忠実に牽制機構を実施しております。
  339. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 時々監査はむろん大事でしょうが、ああいう不祥事件があったあと、検査の衝に当るべき農林省から検査に出向いた事例がありますか。
  340. 安藤長造

    安藤証人 農林省では心配しておられます。農林省としては一応また調査の必要も感じておられると思いますが、御承知のように、すべての関係帳簿は押収されております、証拠書類も側もありません。またわれわれとしても、適当にそれらの解決がついて、適当の時期にはまた農林省の御指導も仰いで、より一そう改革しなければいけないというように考えております。
  341. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私はあなたがこういう事件のあとを引き受けた御苦労は、まことに思いやるに余りあるのでありますか、ただ御苦労ではありますが、一たん傷ついた名誉というものは挽回するのは容易じゃないです。おそらく全国農民が全購連を心から信頼するに非常な苦労が要るだろうと思う。どうか腰かけのつもりでなく、たとい短時日であろうが、この汚れ切った形のものは徹底的に究明し、かつ改革するんだという熱意をもって、一つお仕事をやっていただきたいという要望をつけ加えまして、私の質問を終ります。
  342. 青野武一

    青野委員長 吉田賢一君。
  343. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あとに田中会長もまだ証人として控えておりますので、私は二、三要点について安藤証人にお伺いいたします。あなたも一つ要点を簡潔に御答弁願いたいと思います。  二十九年度決算におきまして、当初決算が間違っておって、そこであなたの方も調査したらしいが、農林省の検査の結果、具体的に含み資産が確認をせられて、二十九年度決算は修正することになった。これは専務理事小沼さんも明らかに答弁なさっておるところであります。そこで三十年度決算及び決算前の利益の還元を合算すると、合計四億二千五百八十万円という利益が出ておる。そういうことになってきまする、合計すると九億三千七百八十万円というものが、さかのぼって二上八年ごろから二、三年の間に積み重ねられた資産であった、こういうことに判断せざるを得ないのであります。そこであなたらは河原事件といいますか、そういうような人が汚職事件で問われるまでもなく、まずこれらの非常に不健全であった会計経理のあとにかんがみまして、最終的には三十年度決算以後におきましても、何らか経理をさらに再検討したであろうと私は想像するのであります。なぜならば、二十九年度において一たんやったけれども、またボロが出ておる。三十年度の決算においては多額の利益が出たし、決算の余剰金も出た、こういうことにかんがみて、いろいろと揣摩憶測もなければなりませんか、十分に会計経理をさらに再検討したであろうと思うのですが、そういうことをやったかどうか。もしやったとすれば、これは正規の、最終の決算もしくは資産計算でないまでも、そういうことをその後やった事実はございますか。
  344. 安藤長造

    安藤証人 この含み資産を持ってきたというような状況に対する反省でありますが、これは私どもとしても深く反省いたしまして、内部の機構といたしますと審査室を作りまして……。
  345. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと途中でおそれ入りますけれども、機構問題等は必要ございません。数字を……。
  346. 安藤長造

    安藤証人 数字の再検討につきましては監査の方で特にそういう従来の内容等について詳しく検討をするようにして、そうしてやっただけで、別にあらためた決算ということはいたしませんが、それは毎月月末の決算の数字は集めて、それも見ておったのであります。
  347. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 三十年度決算といえば三十一年の七月末現在の締め切りであろう、こう考えるのでございますが、そうでございますか。
  348. 安藤長造

    安藤証人 そうです。
  349. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると、すでに河村ですか、河原事件等から見ますれば、それは七、八カ月も経過しておる後のことであります。毎月検査するとかいうようなことは、これは当然のことでありますが、少くとも全購連会長とか会長を補佐する副会長理事の全員とか、そういう全体の執行機関としての最高の責任者は、常勤、非常勤にかかわらず、この点についてさらに再検討、再検査というふうにして煮詰め上げた、突き詰め上げたところの数字というものを十分正確につかまなければならぬと私は思うのですが、そういうことをなさったかということを聞いておるのです。
  350. 安藤長造

    安藤証人 それはただいま申し上げましたように、煮詰め方は、監査部の方でも監査室長をかえまして、そうしてその監査には特に念を入れてやって、それで数字の正確を期するという方向でやっておるわけであります。
  351. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういうことをなさった結果異常を発見しなかった、こういうことになりますか。
  352. 安藤長造

    安藤証人 遺憾ながら……。
  353. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは最終はいつでございますか。
  354. 安藤長造

    安藤証人 発見でございますか、それは河原事件が発生するまで自分で発見ができなかった、こういうことであります。
  355. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますとこの種の汚職事件が起りまして、汚職事件によって、あなたもさきにわけのわからぬ預通金帳があったということを何か知ったとかいうような御説明がありましたが、そういうようなことでは私は何かしらぬ、これは率直な感じですが、まだ何かわからぬ数字が残っておるのじゃないだろうか。たとえば農林省の検査が行っても、あまり膨大な帳簿とか伝票等々があって、なかなか少数の人間で数日もしくは数十日で調査、検査ができないような実情である、こういうようなことも聞くのでありますが、そういうことにかんがみて、要するに客観的に正確な数字というものが確認し得ないところの、もやもやしたものがまだあるというのがほんとうじゃないでしょうか。
  356. 安藤長造

    安藤証人 その点が私どもも一番心配な点であります。それで、いかにしてそういうもやもやのないようにきれいにするかということが、この会に課せられた当面一番大きい問題だと思いますが、それについてのやりかは、私昨年の決算改正以来の経過に見まして、結局人を適当なときに配置転換をして、そうして譲り渡しを個々にやらせることによって一番そういうもやもやがきれいになる、それが一番手取り早い方法じゃないか、そういうように考えております。
  357. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは、たとえば毎月もしくは定期の検査の方法というものが、できるだけ正確を期するために、ある種の人員の配置転換、機構の改革等々によってなし得るということは、これは一応わかるのでありますが、私はむしろそういうことを聞くのじゃなしに、具体的な全勝連の貸借対照表を正確に、最終的に作り上げるということは、現状において実はまだできておらぬ。三十一年決算はさらに三十二年七月末現在でやがてなさるでしょう、やがてなさるでしょうけれども、ともかく二十九年、三十年とずっと連続してはっきりしない面がまだあってつかめていないというのが現状ではないだろうか。もしそうとするなら、あなた方が辞職して、二十日に後任者にまかして、後任者は適当にやるだろうということだけでは市は解決しない。そこに問題があると思う。もしそこに何か疑問符がつけられるところの、わけのわからぬものがまだあるかもわからないということでございましたならば、これはいよいよ全購連というものの資産、負債の再検討ということを徹底的に、最も正確に、最も確実な方法をもって、即刻これを実行するということがむしろあなた方の仕事ではないか。よしんばそれが何がしが警視庁に引っ張られようと、何がしが小菅に行こうと、そういうことにかかわらず、必要な範囲において帳簿は借りてき、必要な範囲において経理を確かめ、必要な範囲においてそれぞれ方法を講ずるということにすることが私は大事じゃないかと思うのだ。あなたらの御説明を聞いておると、後日だんだんと数字が変ってくる危険がある。よしんばあなたが職を去って信州に帰っても、その次にまた毎月の資産表からそうでないものがまだ現われてきたということがないことをだれが保証しましょう。そういうことが私は非常に不確実な状態にあるのでないかということを推測するのでございます。こういうことについてあなたの率直な感想だけは述べておいてもらいたい。所見を簡単でいいですから述べておいてもらいたい。
  358. 安藤長造

    安藤証人 御指摘通りで、今までそうでありましたので、こういうことを将来続けるということでは絶対いけないことであります。何としてもこういうだらしのない状態を一刻も早く清算して、ほんとうに確実なものにしなければいけない。それは今先生のおっしゃるように、帳簿や一切の資料が返ったときに自主的に徹底的に洗い上げるということも一つの方法であると思います。これはどうしてもやらなければいけないというように考えます。
  359. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題は一面刑事的な操作の問題と、それからまたあなたの方御自身もやはり活動しつつあるところの一つの経済的な団体でありますので、この会計経理を確実にするということは、司法権の捜査の進行にかかわらず、これはやはり正確にしてもらわなければ困る。  それから次に聞きたいことがある。汚職に問われて今刑事事件が起っております。そうして、農林省の役人もどうやらあなたの力の財産を幾らか食ったらしい、あなたら自身職員もいろいろとふところに入れた、またよこしまなことをした事実があるらしい。こういう疑いを持って今刑事事件が起っているわけです。こういうものも要するところ、やはり広い意味におきまして、二十九年決算及び三十年度の、処分し、また価格修正しました、今申し上げましたところの九億三千七百八十万円と称するもの、もしくはそれに足を出したところの、そういう種類の資産をもってまかなっておった、こういうことにやはりなるのでしょうか。
  360. 安藤長造

    安藤証人 そこらの関連につきましては、私まだはっきりしたところを承知しておりません。
  361. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで少し責任関係についてあなたに御所見を聞いておきたいと思う。これは小さい個人の問題でなしに、大にして日本全員の農民及び農業経済その他国民の政治あるいはこの種の公共団体への信頼等々、幾多重大な要素を含みましたところの案件であります。個人だけの問題ではありません。そこで少し追及してみたいのだが、やはり全購連といたしましてはつらいことでありますけれども、最高の責任者の方はほんとうに責任をお考えにならなければいけないと思うのであります。この点については、あなたはもちろんおわびの言葉は知らないといったようなくらいの御心地にあることは私どもわかるのであります。やはり真実それはそうあるべきではないだろうかということから、責任の所在を明確にするということによって、信賞必罰と申しますか、事柄のよかれ悪しかれ、そのことに対するけじめがつくことであります。またこういうことは、公共団体といたしまして最も大切なことであろうと思いますので、この点についてあなたはどうお考えになっておりますか。これも簡単でよろしゅうございます。
  362. 安藤長造

    安藤証人 お説の通り、やはり会の秩序を将来立て直すためには信賞必罰を明らかにしなければいけないというように信じております。
  363. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、これを検査し監督する責任はやはり農林省にある。農林省におきましていつ検査を継続しておったかわからぬが、監督をどういう状態にしておったか、あなたらによってはなおこれを明らかにし得ませんが、国家の重大な予算執行の対象としての全購連だけを考えてみましても、この全購連のあり方が今のような経理会計面におきまして重大な紊乱状態が続出し、あるいは汚職、疑獄というような事件が出て参りましたゆえんのものは、監査、監督の厳正ならざりしことに遡及するのはないかとも考えるのであります。そういうように思いますと、農林省におきましてもこの事件の責任についてはかなり考えてもらわなければならぬと私どもは思っておるのであります。あなた方の方では、あなた方一個のみの原因によって今日のこの種の不祥事が起ったとお思いになるか、それとも農林省あるいは全購連がもっと調査、検査、監督、指導等の適切よろしきを得たならば、今日のような重大な不祥事が起らざりしものをというようにお考えになるか、その点はどうですか。
  364. 安藤長造

    安藤証人 それは農林省の検査がよりよろしければあるいは早く発見されたということもあるかもしれませんが、それより何より会自体の原因に帰するものであるということを私は信じております。
  365. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方は二十九年度決算をすでに修正して、ある種の処理方針を実施したけれども、この内容をいろいろと探究してみるというと、どうしてこんな金ができたかわけがわからぬような実情もあるらしい。これを積み上げられたところの十分の理由、原因、どうして収益したか所得したかということの原因が明らかでないのであります。おそらくあなたといえども、五億一千二百万円の二十九年度の修正決算の数字というもののよって来たる原因というものはここで御説明できぬと思うのです。また元専務理事小沼さんにしましても、なぜこんなに積み上ったかということの原因がよくわからぬのであります。そういうことになりますと、そもそも過去においてこういう決定は総会でしたけれども、もしその積み上ったものが、たとえば今委員長からいろいろと質疑の要点的なものを指摘したごとく、この利益が一種のやみ的な利得である、内容がやみ的な利益になっておるものが相当あるのじゃないか、少くとも商慣習なんかから見ても、あるいはまた道徳的に考えても、また正しい経済行為から考えてみましても、これはなくさなければならない。かりに詐欺とか横領とかの犯罪がないにしても、実に不道徳だ、経済活動としては正しくない、これはどうしてもやめてしまわなければならぬ。こんな不正常なやり方をもってしてよくない、結局百姓はえらい迷惑をすることになる、こういうことになりやしないかと思われる面が多分にあるのであります。カリの値上りの利益といい、あるいは輸入商社から受け取るような一種のリベートといいますか、払い戻しといい、あるいは農薬なんかの利益とか、あるいは約手の買い戻しとかいうような案件にしましても、あるいはまた原糖の利益なんかにいたしても、大体一切の営利的な行為は禁じられておるという趣旨にかんがみても、いろいろな点から見ましてもいかがわしい問題があるのです。こういうようなものが積み重なって五億一千万円余りにもなり、さらに翌年度は四億数千万円というものが還元せられ、あるいは配当せられておるというような決定をせられたけれども、今から顧みるならば、その決定はあるいはもう一ぺん再検討せなければいかぬ、こういうことも考えるのであります。今あなたの方から、カリの相場が逆調になっているから、これに対して価格変動準備金というものがだんだん取りくずしになって、これが役立つかもわからぬというようないろいろな御説明があるのだけれども、しかしそうとはいえ、それが不純なのです。正しくないというようなものであるならば、これはもう一ぺん考えなくちゃいかぬ。ましてや百姓へ還元するというのが本来であるというあなた方の全購連というものの性格、使命にかんがみるならば、総会で決定したけれども、これはどうしても再検討せなければいかぬ、その所持しておるものについてはもう一ぺん農民に還元するということについて再検討せなければいかぬ。ことにこの点についての当委員会における農林大臣の答弁は、百姓に還元するという方向に指示したいと思っていると言っておるんですよ。あなたに最終的な意見をもらいたいというのではないのですよ。少くともあなたはこれを容認しにところの前の執行権を持っておった最高幹の一人なんです。今後あとへ引き継ぎをしようとするところの現職の副会長なんです。そして現在現役の理事を兼任しておるのであります。こういう立場のあなたに、どうしてもこれに対する一つの方向の決意は求めておかなくちゃいけない。百ですからやはり一つの世論の指示に従ってやはりこういうものの跡始末をするということをもう一ぺん再検討して、そしてでき得る方法でやはり農家へ還元するという方向へ持っていくということにいかなければならないとわれわれは実は考えるのであります。農林大臣もそういう意向を表明しておるのでありますが、あなたはどうお考えになりますか。
  366. 安藤長造

    安藤証人 先生のおっしゃる通りでありしまして、全購連の組織は、すべてを農民に還元する、これによって責任が果せるというように考えております。それから昨年県連へ還元したのは、それは即農民に還元したものであります。
  367. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで昨年還元した問題、それを論ずるのは私の焦点じゃないのであります。焦点はそうじゃなしに、二十九年修正決算によってなお保留しておる資産につきまして、これを還元してはいかが、こういう意味です、
  368. 安藤長造

    安藤証人 ただいま保留いたしておりますのは、先ほども申し上げましたように、三億八千万円の価格変動準備金です。これを還元することは私は反対であります。全購連は価格の変動の波を受ける一つの防波堤的な役割をしております。それでもし今度のようなときにその準備がありませんと、直ちに県連や単協が損失を負担しなくちゃいけない、それは即系統の活動を阻害するものである、それでこの価格変動準備金的なものは当然持っていなければならないと私は信じます。それを最小限度に必要なものを保留した余は、これはすべて還元する、そこのところの見解は私はそういうように信じます。
  369. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしすでに決定した最終修正決算のうちには繰り越し利益というものがある、そういうものも置おいてるのです。
  370. 安藤長造

    安藤証人 いや、ありません。
  371. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 三千五百万円は翌年度繰り越し剰余金にしてあるはずです。
  372. 安藤長造

    安藤証人 それはあります。
  373. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ですから、その内容には、利益をなお繰り越していこうというような考え方が根本になっておるので、まるきり商事会社みたいです。いいですね、あなた方が商事会社的な根本思想を放棄しなかったならば、全購連の従来の指導というものに対してもっと激しい批判が行きますよ。あなた方がほんとうに百姓のためとか百姓の団体とか、百姓に奉仕するとか、そういうことに終始せられようというような考え方があるという理解があればこそ、まだ今日の全購連に対する批判はこの程度でいいのです。けれども商人のような考えが根本に流れて、利益を積み上げておいて、余剰利益を持っていこうというようなそういう考えが根本にあり、捨てないならば、もっと厳重に、われわれはこの九億何がしについてもさかのぼって徹底的にその原因を究明しなくちゃならない。そもそも積み上げ積み上げということは一体どういうわけなのだ、これをまた成規な会計経理に上さないということはどういうことなのだ、そういう文書を偽造までして世をたばかるというのはどういうことなのだ、なぜそういうことを看過したのだ、そういうことに対して会長以下の全責任を徹底的に追及しなければならない。商事会社的な考え方を放棄して――それは農協法の八条においてはっきりいてあるのです、あなた方は百姓への奉仕団体です、その奉仕団体が利益をなお蓄積していこうというような、そういう考え方が根本にありましたならば、両市会社と何ら変るところはない、営利会社と変るところはないのであります。そんな考え方で数年経過したということであるならば、それは商事会社メーカーあるいは輸入商社とそれこそ結託して、やみ利益をかせぐ。やみ利益であろうと何であろうと、悪らつな商人にはそんなことは普通の商業行為とするのですよ、許されないのはあなた方の団体だけなのですよ。あなた方の団体でやみ行為、やみ利益、やみ金利というものをかせぐことをもって平気であるというようなことであるならば、私らは絶対に追及の子はゆるめないのです。それはもうどこまでも、何名の理事にしろ、その全理事の責任を、人口の四割五分を占める百姓の利益のために追及しなくちゃならない。あなた方が職員にまかせておって、非常勤でめったに東京へ来ないというような事情も全部われわれはのみ込んで、この問題を扱っていこうとしているのです。けれども利益をなお積み上げていって平気で持っていく、そしてそのあり方に対しましてあくまでもこの方針をもって進んでいく、そういうものを内容とする考え方で進んでいこうとするならば、これは徹底的にあなたらの立場を追及していきます。価格変動の準備金にいたしましてもそうであります。もしあなたらがその思想でいくならば、膨大な準備金を獲得するためにどんな悪らつな手をとっていくかわからないとさえ私らは考える。この点についてはさらにさらに具体的に方法を検討して、どうして地方への迷惑を少くするか、なくするかということの考えを進めていかれるというのならば事はわかります。そうしないで、あくまでも三十九年度修正決算をそのまま維持していくことをもって後継の執行者の方針にして受け継いでいかれようとする考え方であるならば、私どもはあなたらと戦わなければならぬと思うのですが、どうです。
  374. 安藤長造

    安藤証人 今の三千万の問題は確かに保留してありますが、昨年の決算のときに最終的に千分の二十を返したわけです。そうして決算の数字を順々にくみ上げていった結果にいてまた相当残りましたが、それはまた次年度に還元する考えでおります。先生のおっしゃるようにそれを積み上げてどうこうしようというような考えはないことをはっきり申し上げておきます。
  375. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 価格変動準備金ももう一皮むけば、そういう目的もあろうけれども、実は課税をおそれるということが一つの大きな理由ではないのですか。
  376. 安藤長造

    安藤証人 課税の問題は当然合法的なものでありますし、それから、それより何よりカリの問題はどうしても相当の価格変動準備金を必要とします。今度くずしますから、あとまたみんなで扱い高に対して千分の〇・五かまたは八くらいは出し合って積み立てていかなくてはならない、そうしないことには逆な相場が出たとぎには、その相場も地域的に、平等にこないわけであります、私の方は全国の運賃を一本の共同計算にしておりますが、今度相手の業者の方は港へ揚げた周辺の条件のいいところだけを、運賃のかからぬところだけを安く売るという方法で対抗してきます。そうすると一本の価格で共同計算やりますと、そういうところはどうにもなりませんから、そういうところを共同の負担によって補っていくことをどうしてもやらなければいけないということで、これは必要でありますから、どうかそういう点については御理解をいただきたいと思います。
  377. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なお一つ聞いておきますが、あなたの方はこういう莫大な含み資産を陰に隠しておくというような暗い経理をやっておることが一つの弱点となって、そこで政界方面に相当な金を使うというようなことを実際やっておるのじゃないのですか。
  378. 安藤長造

    安藤証人 御指摘のようにお考えになられることを、私どもとしても、今日までの経過から見てはなはだ遺憾ながら御無理のないように考えます。それは間違ったことでありまして、全購連とすればそういう無理なことをする必要のないものです。ほんとうに純粋なまじめな農民の力の結集した組織でありまして、まっすぐな正し運動によってお互いの力を合せて弱い経済を守もということで足りております。今まで間違ったことがあったとすれば、この際すっかり変えてそういうことは将来絶対やらないということでなくてはいけないと思います。
  379. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの方は以上述べましたような近来まれな暗い経理をやっておった事実があるので、そこで国会議員などが――まことにこんなことは私らもつらいことですこういう発言すること自体も恥しいことです、国会議員などが個人的に寄付を要求する、こういうことがときどきありますか。
  380. 安藤長造

    安藤証人 私はいまだそういう経験を持っておりません。
  381. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それならばその逆に要求もしないのにこちらから持っていって、そうして関心を買って、いろいろと便益をはかってもらう、国政から有利なふうに全購連を適当に指導もしてもらう、そういうような含みもあって頼みもしないのに金を渡す、こういう事実はありますか。
  382. 安藤長造

    安藤証人 そういう事実もありません。
  383. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 特に含み資産というようなものは、私ども公益的な団体のあり方から見まして全く心外にたえません。こういうものはあなたらも農民、国民に対して申し開きができない、申しわけないという心境らしいんだが、ましてや直接国の財政上の国庫の金、年間一億数千万円の補助金もしくは損失補てん金を肥料及び農薬につきまして受けておるのですから、こういうような関係から見て、国会でやかましく言われたら困るというので何とかこうやくも張らなければいかぬとか、そういうような含みがあるんじゃないですか。
  384. 安藤長造

    安藤証人 私どもとすれば農薬を備蓄し、肥料を早期輸送をして備蓄するということは、これは農業の運営の上に絶対に必要なことでありまして、それを消費者団体である全購連が担当してやるということは当然なことであります。従ってそのことを担当してやっていく上に、決してそういう間違ったことをする必要のないものである、もしそういうことがあったとすれば、それは間違いであるということを考えております。
  385. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終ります。
  386. 青野武一

    青野委員長 安藤証人に対する尋問は以上をもって終りました。安藤証人には御多忙中を長時間御苦労でした。どうぞ御自由に御退席されてけっこうであります。  それでは大へんお待たせいたしましたが、次に田中証人に対する尋問に移ります。  まず委員長より概括的な点につきましてお聞きいたします。田中証人の現職、略歴、全購連在職当時の職務内容等につきましてお述べを願います。
  387. 田中順吉

    田中証人 私は前全購連会長田中順吉であります。現在の職責は全購連会長理事を辞任いたしましたので、その方は一応職責がないわけでございます。京都府の経済農業協同組合連合会の会長理事をいたしております。なお農協関係といたしましては、私の郷里の園部町農業協同組合品の理事をいしております。さらに中央におきましては、全購連と関連のあります全国農業協同組合中央会の理事並びに全国農業会議所の理事全国運輸農業協同組合連合会の理事等がおもなるものでありまして、その他若干の現職はございます。  なお私の略歴は大正七年に郷里の村の当時産業組合に入りました。当時は職員として大正七年の五月から約六、七年であったかと思いますけれども、単協の仕事をいたしておりました。さらに当時郡に産業組合品の信用購買販売連合会がございとまして、その方の現在で言います参事、当時主事というような職責を持っております。昭和五年までその職にありまして、昭和六年の一月から京都府購費販売組合連会員会の当時の主事でありました。直ちに専務理事になりまして、農業会になりますまでその職を持っておりました。農業会の設置と同時に京都府農業会の経済部長をやり、さらに専務理事になりまして、農業会が解放になるまでその職にありました。その後協同組合法の施行と同時に村の協同組合長をやっておりまして、同時に京都府の購買農業協同組合連合会の設立と同時にその会長になりました。その後購買連合会、販売連合会、運輸連合会が合併いたしまして、京都府経済農業協同組合連合会設立と同時にその会長に就任をいたしました。当時会長のかたわら府会議員を一期やりましたが、それは一期だけでやめております。その後昭和二十三年十一月に全購連設立と同時に副会長に就任いたしました。二十四年のたしか六、七月ごろと思いますが、会長に就任をいたしまして、今日に至っておるわけでございます。
  388. 青野武一

    青野委員長 委員長よりの尋問は終りましたが、各委員よりの尋問に対して当然田中証人から御証言があることと思いますが、田中証人の御証言に対して委員長から特に項目別に御注意申し上げておきますが、今までの証人に対する各委員からの質問の大要を申しますと、含み資産による政治寄金などへの疑点、補助金や、含み資産の行方、今回の汚職事件を生む原因となった監査機関、こまかく申しますると、架空個人名義で銀行預金をしておった。四十五日より六十日間の先付手形のからくりで金利かせぎをやっておった。荷揚げ、倉敷料の水増し、架空保険金の詐取、非常用農薬の保管、農薬輸入原料にからむ不正、こういった点から二十八年、二十九年、三十年にかけての三カ年間に、輸入カリの値上りに乗じて、それまでの赤字を一挙に解消して、逆に八億に上る含み利益をたくわえ、そうして農林省一部のお役人と政治家の一部と結託して農民の利益を裏切ったというのが農民諸君の憤激を買い、国民を疑惑に包んでおることでありまするので、警視庁捜査当局においては、すでに関係者を逮捕し、留置して取り調べを続行されておりますることは御承知の通りであります。こういった範囲の各委員からの尋問が行われることと委員長は思っておりまするので、御証言の際はそれを一つ御用意願いたい、これを希望しておきます。  それでは各委員よりの尋問に移ります。発言の申し出がありますので順次これを許します。吉田賢一君。
  389. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 田中証人には大へん長い間お持たせ申しましてお疲れと思いますけれども、大事な証人尋問のことでありまするので、一つあなたもできるだけ御協力願って、私の質問する点については要点だけでよろしゅうございますから、なるべく簡明に御答弁を願いたいと思います。時間はできるだけ節約していきたいと思います。元来あなたは全購連会長であられたので、私どもとしましては、一番重要な問題をすべてあなたに集中して伺うのが筋であったのでありますけれども、前後しましたので他の方によってやや明らかになった点もありますが、重要と思われることは重ねて伺うことも必要かと思いますので、お含みの上一つ御答弁を願います。  あなたの部下であった山川一三という人が過日自殺した事件が起っております。これはまことに遺憾なことでありますが、この人はあなたの団体におきましてはどういう事務を担当しておったのでありますか。もう一つ、この人は経理会計といったような面についてやはり相当な事実上重要な事務に関与しておったかどうか、この二点を一つはっきりしていただきたいと思います。
  390. 田中順吉

    田中証人 ただいまのお尋ねの点は、山川調査役がこの事件に関連して自殺たいたしました。まことにお気の毒であり、残念なことと哀悼の念にたえないわけでございます。本人の職責は、肥糧部の燐酸加里課の課長の次に位する次席の地位であったと思いますし担当しておりました仕事は、私もその後において調べたのでございますけれども、当時あまり詳しいことを承知しなかったのでございますが、肥糧部内における会計経理に関連する事務を担当しておったようでございます。
  391. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 相当な年配の方で、思慮分別も十分あるだろうと思われる人、これが肥糧部の経理こういう重要な職責にあってどうして自殺したのですか。自殺まで思い詰めて、まさか気が狂ったとは思われませんが、どうして自殺したというふうにあなたは今日お考えになっておりますか。
  392. 田中順吉

    田中証人 私はその人の名前も今度初めて実は知ったくらいで、実はときどき顔を見合せて知っておったという程度でございましたが、今回の事件発生後警視庁に任意出頭を求められまして数回取調べを受けたようでございますが、一回だけその取調べのあった経過等を関係者の前で報告しておるのを聞いたことがございます。その際に本人の取調べ等の経過の報告には、かなりきつい取調べを受けて、相当興奮しておるような気持の報告をしておったことを承知いたしております。それで本人はいわば現在逮捕されておりまする贈賄容疑の、現在いわゆる経理部長になっております立岩順一君の命を受けて、いわばその命によって動いておったというふうに承知しておるのでございますが、かなり取調べが突っ込んだ段階に入りますと、本人としましてはかなりそういう点では神経質に興奮しておったのじゃないかというふうな感じを持ったわけであります。死後遺言、書き置き等の中にそういう意味のことが見受けられる点もあるようでございますので、ほんとうの本人の心境等はわかりませんけれども、そういうことでなかったかというふうに私としてはある程度想像的に考えております。こういう事情でございます。
  393. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今の御説明によるとよくはわらぬが、報告を聞いておった、それから推定して取調べがかなりきつい、あるいは苛酷であった、そういうことのために自殺するに至った。そうすると、犯罪容疑で上役をかばうとか、あるいは監督側の農林省側をかばうとか、そういうようなことのために自殺をしたのではないでしょうか。その点はいかがでございましょうか。
  394. 田中順吉

    田中証人 ただいまのお話の点は、私の想像では山川君がそこまでの重要な仕事をやっておったとは、仕事といいますよりは、今度の事件に関連した責任のことをやっておったとはちょっと考えられませんので、おそらくお尋ねの面についての、自殺というようなことはないのじゃないか、こういうふうに私は考えております。
  395. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 警視庁、検察庁といえども、刑事訴訟法その他法律を逸脱して苛酷な尋問をするということは、これは許されないのです。人権じゅうりん、職権の乱用というような犯罪を構成する場合もあるのであります。従ってもしあなたの今の推定のように、人権じゅうりんとかいうような辺にまで取調べの程度が度を過ぎていっておったということであるならば、副産物といたしましてもこれは大へんなことである。やはりどういう人殺しの犯罪を犯しても、どういう財産上の犯罪を犯しても、取調べは法律によってのみし得るのであって、憲法によって人間の生命、自由は保障されておるはずであります。だからあなたの今のような推測が真なりとすると、これはまた大へんな問題であると思います。しかしまだ今のところはあなたによっても確実な根拠をもってする御説明を得ることは困難だろうと思うから、私はそれ以上はつきませんけれども、いずれにしましても、どっちになってもこれは大へんなんです。人権じゅうりんの結果死んでも大へんだし、また上役、農林省をかばうために死んでも大へんだし、自分がもっと悪いことをやっておるから死んでもこれも大へんだし、自分が非常に大事なことを握っておるので、死にさえすればどこにも波及しないというふうに思い余ったならば、これまた結果としましては、犯罪捜査上は非常に不幸なことと申さねばならぬのであります。いずれにしましてもこんな残念なことはありません。御本人にはまことに気の毒なことですけれども、私はそういうふうに思うのであります。そこでこういうような自殺者を出すというようなことは、一般的に考えますると、やはり事件の背景というものが相当複雑であるというときに、一そうそういうような原因は多くなってくると思うのであります。その複雑というのは、このたびの案件についてわれわれが考えますれば、さきにも委員長から一言ありましたごとく、含み資産の問題であります。その含み資産の内容につきましては、だんだん小沼専務の説明が一応ございました。ございましたけれども、やはり依然として解明はされておりません。あなたにしてもやっぱりそうだろうと思う。第一いつからいつまで、どういう原因によって収益したものであるか、収入のあったものであるか。何月何日、どういうふうにして積み重なっていったものであるかということは、今日なおわからぬだろうと思いますが、どうでございますか。
  396. 田中順吉

    田中証人 御指摘の通り、含み資産ができましたその最初の時期から、しかもそれがいつまでにどういう計算で積み上っておるかという詳細につきましては、私として御説明申し上げる自信が実はございません。
  397. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たまたま昭和二十九年度決算をあなたの方も検査をする、あるい農林省も当然の職責として検査をした。三十年の十二月から翌年の一、二月ごろに至ってようやくある程度がわかってきた。ある程度わかったことによって出てきたのは、決算の修正である。次の修正に表われた数字というのが五億一千二百万円である。ところが実はそうではなしに、さらに三十年度決算において、再び決算以前の経理において、あるいは利益を地方に還元する、価格を修正する、こういうような方法をとらねばならなくなった、これが小沼専務の説明によりましても四億二千五百八十万円になるというのであります。こういうものも、両者がいつから、この両方ともいつそれができたのやら――三十年度決算といえば三十一年七月末でありますので、七月末締めたときにたまたまそういうふうになっておる。ところが、もっとほじくってみるともっとあるかもわからない、引き続きもっと出るかもわからない、こういうのが私ども実情でないかと思うのです。さらに五千六百万円も若い職員がふところへ入れてごまかして、あらゆるぜいたく三味の生活をしておったのもあとでわかったということやら、まただれも知らないような別個の名前で預金しておったというようなことまで発見せられるということやら、そういうことにかんがみますると、私どもは、今日まで一応確認されて総会の承認を経ておる決行ではあるけれども、なお数字上の最終的な確実な確認というものは、まだ十分に検討するならば、数字が変ってくる可能性がないとは保証ができない、こう思いますが、いかがでございますか。
  398. 田中順吉

    田中証人 二十九年度修正決算の際におきましては、農林省の検査に基きまして、さらに内部的にも検討を加えまして、一応の決算の修正ということで五億一千二百万円をそれぞれ措置をいたしましたことは、さきに専務からも御報告申し上げた通りでありますが、その後三十年度の決算におきましても、修正決算は二十九年の七月末現在のものを修正したので、ありまして、三十年度における通年の事業成績から出ております当然のその年の剰余金というものも、次の四億二千五百万円というものを処理いたしました場合におきましては、すべてがその年以前の含みであったというわけではないと思います。修正決算後におきまして繰り越しております在庫品等もおよそ五十億内外あったかと思いますが、そういうものをさらに綿密に、厳重に再調査を、いたしたのであります。さらにまた支所、工場等におきましても、修正決算の際においてなお徹底をしておらなかったというような点もありますので、そういう点も監事の協力等も得まして徹底的に調査をしたわけでございます。それによって出てきましたものと、三十年度通年の事業が計画以上に非常に成績をあげました。あるいはまた内部の経営におきましても、相当従来よりは合理化をいたしまして、また節約をいたしまして、そういう面におきましても、相当の計画以上の剰余が出ておったと思います。そういうものも合せますと四億二千万余りになったわけでございますので、それをそれぞれ価格の修正でありますとか、あるいは肥料の共同計算の際に特に単価を引き下げまして、そして精算するということによって、そういう財源をもって、肥料の価格の引き下げに充当する、あるいはここに金額もございますが、もし必要があれば申し上げます、(吉田(賢)委員「よろしゅうございます。」と呼ぶ)そういうふうにいたしまして、その大部分のものは、それぞれ県連に戻したわけでございます、さらに決算に出ました剰余金というものから、小業分量に応ずる特別配当といたしまして一億六千万円を県連に戻したわけでございます。さらに出資の配当も税を引きますと一千万になりますが、これも年五分の割合で出資配当をいたしております、そういうわけで、いわゆる含みと称するものは、決算修正において、それぞれの手続を経まして価格変動準備金あるいは貸倒れ準備金あるいは損失の補てんあるいは後期繰越金等に、これは会員の承認を得て処置をいたしましたが、その後の三十年度人決算に至りまする期間におきまして、今申しましたようなことによって、そのほとんどのものはすでに県連に全部返還済みでございます。従いまして三十年決算以後の三十一年八月以降の現在の進行年度におきましては、含みと称するような内容のものは、すでにもうすっきり整備されてしまって、現在ないということに私は確信を持っております、
  399. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところが農林省の検査も、七億円に上る事業量のあらゆる伝票その他こまかい文書のやりとり等の経理会計上の一切の文書を徹底的に調べるということは、農林省の今の人員、検査能力をもってしても私は不可能じゃないかと思うのであります、また数年間五千数百万円を着服しておったということも発見し得ないようなあなたの方の経理専務実情でありますから、従ってそういうような一切の文書を通じてする検査というものは、なかなか十分手が届いておらぬ、できておらなんだ、こういうことがほんとうじゃないでしょうか、従ってもしさらに正確を期するならば、現在におきましてもそんなにほんとうに太鼓判を押して間違いなかったというふうじゃなしに、なお今日におきましてももっと検討しなくちゃならぬ余地があるのではないか、こういうふうな点をお尋ねしたのであります、
  400. 田中順吉

    田中証人 御指摘のように、非常に膨大な組織と大きな事業分量を持っております全購連を、ほんとうに厳正綿密に検査することは、農林省の検査機能をもっていたしましても容易でないということは、私どももよく言えると思うのでございます。いわんやわれわれの内部監査機能におきましては、非常に不十分でございますので、これまた困難な面が多いと考えます、従いまして、御指摘の三十一年度のいわゆる昨年の八月一日以降の現在の内容等におきまして、十分に徹底的に調査するならばまだ問題があるのじゃないかという御指摘につきましては、これはもとよりわれわれといたしましても保証の限りではございません。ただ私の感じといたしましては、昨年の七月末決算においては、徹底的に内部監査並びに調査をいたしまして、いわゆる全購連の機能組織の全能力を発揮して、徹底的にやらしたわけでございますので、そういうものはないというふうには私としては思っておりますけれども、御指摘のように、しからばこれを今日再調査した場合に絶対ないかということになりますと、これはどうも絶対間違いないということを保証申し上げるということはできないと思いますが、われわれといたしましては、できる限りの徹底的な調査をいたしまして、その後はいわゆるガラス張りの経理でやっておる、こういうふりに考えております、
  401. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なぜ私がその点をお尋ねするかといえば、暦年の三十年の年末に農林省の検査がありましたね。翌年にこれは発見しましたり発見というか、あなたの方の調べも進んでおったらしいのだが、しかしのときは一切の商品につきまして、たなおろしの資産の検査の力はまだ十分にできておらなんだというのがけんとうじゃないでしょうか、そういう点と、もう一つは、合計しますと、数年間に積み上げられましたところの九億以上のこの金ですね、この金について、一体どういうわけでこれが積み上ったかということを正確にぴしゃっと表示して出せるほどに、あなたの方は正確な整理ができておらぬ。もしできておれば、これが積み上げられるに至ったこまかい原因が、検察庁でいろいろな帳簿が引き上っておるからよくわかりませんというのでなしに、もっとはっきりと出るものだと私は思いますが、どうもそこがまだ十分ではないと思いまするので、この二点から結論を出しますと、やはりそこにまだ不十分なものがあるのじゃないだろうか、こう思うのであります。それで伺ったのであります。それに答えていただきたいのだが、もう一つ、そういうふうにいたしまして、三十一年度決算もやがてもう二月ばかりで七月が参りますから、あなたの方として当然これは決算の見込みももうできなければならぬ、こう思うのであります、あと二月ほどありますから、またいろいろな意味におきまして剰余金も入っておりますので、経理関係が幅湊いたしますけれども、相当な見通しがもうつくのではなかろうか、こう思うのでありますが、前にはそういうふうな意味で私は伺ったのであります。それとそれから三十一年度の決算においてはどの程度の余剰もしくは利益が上るという見通しを持っておられますか、この点を、二つ聞いておきます、
  402. 田中順吉

    田中証人 農林省の検査の際にも在庫品の調査が十分に徹底的にできておらなかったのじゃないかという点は、さきに申しましたように、修正決算後において徹底的に再調査をいたしますと、在庫品の中からまだそういう含みというものが出ておるという事実からいたしまして、そういう点もあったんじゃないかというふうに考えます。  それから含み資産というものが出てきた経過において、年次ごとにまたその時期ごとに詳しい的確な資料ができるかどうかということにつきましても、これはほんとうに確実なものを作り上げるということは、現在かなり困難な問題ではないか、こういうふうに考えます。  それから本年度三十一年末、すなわち七月末の成績というものが大体の見通しはどうだという御貸間につきましては、現在までの経過といたしましては、本年度の当初の事業計画なり収支予算によって予定されておりまする事業分量も、およそ計画にオーバーするということは、こういう事態でございますので、困難かと思いますけれども、まずそこそこのところまで行けるのではないかという見通しでございますし、それから収支の関係におきましては、予定の剰余目標よりもかなりこれは上回った成績が出るだろうと思います。
  403. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その予定を上回る剰余成績、それを大体でよろしゅうございますから、見当をおっしゃって下さい。
  404. 田中順吉

    田中証人 それと申しますのは、農薬の共同計算をやっておりますが、七月末の決算の際に、農薬の共同計算がちょうど計算の全中に決算期が来るわけでございますので、その分によって出てくるべき手数料というものが、実は本年度に繰り越しておるわけでございます。実際のその事業は前年度に大部分かかっておりますけれども、計算が共同計算の関係で、どうしても前年度決算に全部完了しないというために、それが繰り越されておるという事実がございまして、その中から出てくる手数料というものは本年度に入ってくる、こういう実情がございますので、今金額をここで発表しろということでございますけれども、二月末あたりの見通しでは――二月末現在において、たしか一億七、八千万円ぐらいになっておったかと思います。これもちょっとはっきりいたしません、大体の記憶でございます。
  405. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あと五カ月では大体どれくらいの見込みですか。
  406. 田中順吉

    田中証人 二月末以降の分につきましては、いろいろこういう事態で混乱もしておりますので、予定通りには参りかねると思いますから、見込みとしましては、まだそれに多少のプラスにはなると思いますけれども、そう多くは期待できぬ、こういうふうに想像されます。
  407. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかしそれでも二億円以上は余剰を見るという見通しは立つのじゃないですか。
  408. 田中順吉

    田中証人 およそそのくらいのものは出るのじゃないかというふうな見通しはつきます。
  409. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もし、ことし余剰利益二億円以上も出るならば、やはりこれもこういうときですから、地方へ還元するという措置をすみやかにとる、こういうように出なければ、地方の全購連への今の問題に関する不信その他に対しまして、世論もなかなか納得しがたいと思う。大体根本的にまるで商売人かどうかという疑いを実は持っておるのでございます。これはよほど考えていただきませんと、自分ではそう思っていないかもしれませんけれども、値下りばかり気にして、値下りに対応するための金でも積み上げておきたい。積み上げる手段として手段を選ばない、どんな非難をされても、不道徳であっても、犯罪であってもかまわぬというようなことで、かき集めた金が合計九億円にもなったということに世の中は疑っておるのですよ。そういうのでありますから、正常なもののみでないという疑いを狩っておるときであるから、やはりすみやかに地方に還元するという根本方針ぐらいは持っておらなくちゃならぬと思うのですが、あなたの御所見はどうですか。
  410. 田中順吉

    田中証人 御指摘の通りでございまして、当然出ます剰余につきましては、事業分量あるいは出資等の法に規定しております基礎に基きまして、これは会員に還元すべきであるということは御意見通りであります。ただ私はすでに責任の地位を去りまして、後継執行部がやるわけでございますけれども、十分そういう考え方のもとに、今後はやってもらうということを期待するわけであります。
  411. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それからもう一つ、同じく含み資産の処理の問題につきましては、これは二十九年度修正決算によって、あなたの方が価格変動準備金等の処理をいたしております。これは今のカリ価格というものが、いろいろと相場の変動によって損失も予想されるというようなことで、価格変動準備金が相当くずされるのだという御発言も実はあったわけです。しかし、それにいたしましても、ともかく、わけのわからぬ、直ちに右から左にぴしゃっと筋の通った金でないような、そういう経理の結果積み上ったような疑いを受けておるものにつきましては、これはいろいろな意味合いも兼ねまして、やはりできるだけあなたの方の事業操作の資金に使うという考え方やら、あるいは繰り越し利益を持っていきたいという考え方やら、そういう考えを脱却することが私は必要じゃないかと思うのであります。もっとも、この点につきましては、あなたも、何も責任ある発言は今日はできないと思います。けれども、少くとも長年手塩にかけたといいますか、長年お世話してきた全購連の今日の信用を挽回することは、あなたがその地位を去る去らぬにかかわらず、一つの責任だと思います。また最高の責任者として、自殺も出したり、刑事被告人も出そうというような現状ですから、やはり世論にこたえまして、農民本位の利益還元ということは、でき得る限り努力することが私は必要だと思う。少くとも今日の段階は、これを再検討なさって、そうして百姓本位にいかに処理するかということをさらに再検討することを次の執行機関においてするように、われわれは望みたいと思うのです。農林大臣もそういう方向へ考え方がいっているようであります。あなたのお考えはどうでございましょうか。
  412. 田中順吉

    田中証人 全くただいまの御指摘の通りであると私も信じます、非常な不信を招くに至りました原因は、考え方はどうであろうと、含み資産というものができて、それにいろいろな疑惑があるということが新聞に出た重大な原因であると反省をいたしております。従いまして、今後は、だれにやっていただこうと、御指摘のようにほんとう農民本位の経営なり、またそういう余剰がありますれば、これを還元するなり、また価格自体を安くするという本来の農協の理念に基いてすべてをやってとくというふうに私も念願をするわけであります。
  413. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 実は目下国会に対しまして、世上非常に不愉快な、あなたの方との金銭関係が伝えられております。私も実はこの問題は、国会の名誉とまた国会の権威のために、実はそれ自体を心痛いたします。そこであなたに伺いたいのでありますが、いわゆる肥料二法案、正式にいいますと、臨時肥料需給安定法、それから硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法、昭和二十九年十九国会に提出された法律でありますが、この法律を通す、通さぬについて、あなたの方の内部で議論が両立した、そこでぜひとも通さなければならぬという意向が強くて、そういうことのために黄金がばらまかれて多数の議員が買収されたというようなことが世上伝わるのであります。もし真なりとするならば、こんな不愉快なことはないのであります。また何を犠牲にしましても、われわれは、それはどういう地位にあろうと、どういう経歴にあるにかかわらず、こういう議員は、もしありとするならば、国会から籍を除いてもらわなくちゃならぬ、火はこう思うのであります。もし、また、あなたの方がそんなことをおやりになっておったならば、それは全く手段、目的、あらゆる点から考えまして、こんな大きな罪悪はないのであります。そこで、はっきりあなたに聞いておくのですが、ほんとうにそういうことがあったのかどうか。これはもう何をかけても聞かなくちなゃらぬ。きょうはあなたは宣言をした証人であります。うそを言ったら偽証罪の制裁もつくのであります、ほんとうに神明に誓って正しい答弁をしてもらいたいと思います。
  414. 田中順吉

    田中証人 肥料二法案の成立につきましては、その経過が、たしか二十七年であったかと思いますが、輸出する硫安をメーカーが非常にダンピングをいたしまして、非常な出血輸出をした、その埋め合せを国内硫安に転嫁する、農民に転嫁するという問題が農民の小からも起ってきまして、国会の方でも問題として取り上げられたと思います。それを根本の理由として、輸出と国内需要との遮断を明確にして、いかに国外にメーカーが安く売りましても、それが国内の価格にはね返り転嫁されることのないようにしていくことが大切である、さらに硫安をまず国内需要のものを優先的に確保いたしまして、これを優先確保した後において余剰のものを輸出するという建前、さらに生産費を綿密に調査いたしまして、それに基いてほんとう農民のためにできる限り安い価格にする、同時にメーカーの合理化を促進いたしまして、より一そう価格を低下せさていくというところにねらいがあった、こう考えております。さらにもう一点は、国内需要量の一割に相当する数量を保管硫安といたしまして、それを非常時に放出するという建前であったと思います。(吉田(堅)委員法律の内容の説明はいいですよ」と呼ぶ)そういう死地からいたしまして、この法律は、あの当時におきまして農民のためには当然これは適切な必要な法律であるというふうに感じまして、私はこれを提出することに実は賛成でございました、しかし農協の内部におきましては、非常にこれに対しては強い反対意見かございまして、今日全購連肥料に対する相当な実力を占め、しかも共同計算をしておる際に、何も価格を公定して今さらやる必要はないじゃないかという強い反対が相当にございまして、賛否両論に分れたのでございます。従いましてわれわれといたしましては、かなりの強い反対があるものを非常に無理をしてまでこれを成立さしてもらうというような強い考えはもちろんなかったのであります。これができることが農民のためにはいいというふうには考えましたけれども、しかし全購連のためには別にこの法律があることが、何もそれで利益を得るとか、非常にそれがために事業がやりやすくなるというような点は見受けられませんので、この法律の成立に当りまして運動するとか、いわんや議員諸公に運動費をばらまくというようなことは毛頭いたしておりません。このことは私は確信を持って申し上げることができるわけであります。
  415. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 例の含み資産の問題もまことに不明朗にして、これは重大な問題である。ましてや数億円ということになりますと、これは金額にいたしましても大へんである、数十万円の金を若い事務官が着服してわからなんだというほどずさんな会計経理実情でありますので、こういうものが一たん国会で問題になると、またいろいろとその波及するところあなたの方の団体が非常な打撃を受ける。これを何とかして防いでおかなければならぬ、こういうことのために、やはり大小にかかわらずあなたの方はお金をもって国会の方に運動をなさったということはないですか。
  416. 田中順吉

    田中証人 その点につきましては、もちろん国会の関係の皆さんに運動費をばらまいてそういうことのお願いをするということはいたしておらぬということを私ははっきり申し上げることができます、
  417. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 以上の二点につきましては、あなたはほんとうに間違いがないということを言ったわけですか。これはあとで取り返しがつかぬのでありますので、念を押しておきます。
  418. 田中順吉

    田中証人 そのことにつきましては、はっきりそういう事実は私は承知をいたしておりませんことを申し上げます。
  419. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は承知しておらぬけれども、あるいはだれかがやっておったかもわからぬという、そういう疑いはやはりあるのですか。
  420. 田中順吉

    田中証人 現在常務理事が取調べを受けておる事態でございますから、私以外の者があるいはそういうことがあったかもしれぬということにつきましては、私は絶対保証はできませんので、私としてはそういうことはやった覚えはございませんけれども、あるいは会の中においてそういう者があったのじゃないかという疑問につきましては、私はそれをこの際どうこう申し上げることはできない、私といたしましては、絶対そういうことはないことを申し上げたわけでございます。
  421. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国会議員が個人的な寄付をあなたの方に求めに行くということがちょいちょいあるのですか、実際。
  422. 田中順吉

    田中証人 はあ。
  423. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国会議員が個人的な寄付を全購連に求めるということはちよいちょいあるのですか。
  424. 田中順吉

    田中証人 そういうことは絶対にないとは言えないと思います。
  425. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 国会議員というものは、やはり重要な職責があるものでありまするので、それに物を渡す、金を渡すというようなことは、いずれにいたしましても重大なことだと思う。もしそれが職務に関しましたら収賄罪、こういうことになるのであります、あなたの方は何かそういう種類の交際費とか機密費とかいうようなものを、あなたの手元でもこさえておるのですか。あるいはまあ今日の社会において、メーカーとも飲み食いもするだろうし、あるいは輸入商とも飲み食いもするだろうし、等々広い範囲の交際もしなくちゃならぬが、相当な交際費を積んでこれを使っていくというやり方をしておるのじゃないのですか、
  426. 田中順吉

    田中証人 私どもに機密費とか交際費というものの予算は持っておりません。また輸出入商でありますとか、あるいはメーカー等と会食して云々というようなことも、私自体は全然いたしておりません、ただ実際の仕事をやる者といたしましては、そういうこともあり得るかと考えます、
  427. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 飯を食ったり休んだりすることを、そうあなたもここで否定する必要はないのです。現実におきまして、東京のまん中で、いろいろな機会に飲み食いしておることは、われわれがこの目で見ておりまして、毎日のごとくにあることは公然の事実であります。それが習慣として、よいか悪いかということは別の問題にします。そんなに聖人君子みたいに、そういう席へはべらない、そういう事実はないというような、そういうことを言うことは、かえってやぼになります。むしろそういうことの弊害がないようにしたいという希望を持たれるならば、これはきわめて常識であり、私は愉快でありますが、あなた御自身はそういうところには実に立ち寄ったこともない、潔癖であって、正しい。やっておる人間は、というようなことは、これはまことに事実にそぐわない言葉にすぎない、現実性のないことだと申し上げねばならぬのであります、そういうような程度のことはやっておるというふうに了解していいのじゃないですか。
  428. 田中順吉

    田中証人 貿易商とかいう御指摘がございましたので、私は貿易商とは絶対にないということを申し上げましたしメーカーとは絶対ないと申しましても、それは会食して話したようなこともたまにはないことはございません、その点は修正いたします、
  429. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 終りに臨むに当りまして、なお一言あなたの所見を伺っておきたいと思いますのは、やはりこのたびの事件がどう発展するか、ほんとうのところ私どもはよくわかりません。たとえば山川という自殺した人が何を持っておるのか、それを存じません。あなたの方の含み資産なるものの正体もわかりません。ここで一時間や二時間聞いておりましたところが、六つ七つの項目をあげて私も小沼さんに質問しましたけれども、きょう資料がないというので、答弁は十分にできません。会計経理を検査すると申しましても、相当な日数をもって相当精密な検査をやるのでなければ、なかなかで、きるものではないと思います。あなた方を一人々々お呼びしてこれを聞きましても、直ちにそのことを尽すことはできません、あれこれ考えまして、なおきゃうは島田証人は逮捕せられ留置せられて、出頭できないという事実を聞いております。こういうように事態きわめて緊迫した雰囲気のうちに、事件は拡大の傾向をたどっておるのではないかとさえ実は思うのであります。それを思いますると、私どもはやはり第一に含み資産の問題については、ほんとうに百姓のために処理されることを希望してやまぬのであります。もう一つは、あなたの方は公益的な団体である。百姓のための奉仕の団体であります。営利商事会社ではないのである。もし信頼を失墜しましたら、以前に産業組合運動が起ったときと同じように、再び商社の経済の力が乗っ取るかもわかりません。そんなことになりましたら、それこそほんとうにあなた方が何十人自殺したって償われやしませんしそんなこともやはり思うてもらわなければならぬときなんであります、従って今日あなた方が一寸刻みになっても、犠牲を払っても、第一この問題の正しい最終的な処理と筋を通すことと、そして今後の健全な立て直しのために農民にこたえ、国民にこたえなくちゃならぬと私は思うのです。あれも知らぬ、これも知らぬ、あれも忘れておった、これも手が届かなかったというようなことで、漠然と次の執行責任者に譲られ、あなた方はみな地方に去ってしまうということになっては、これはほんとうにじだんだ踏んでも、割り切れないものを残して、農民は一体どうなるのだろうか、こういうことも実は思うのであります。過去幾多の人が犠牲を払って今日まで、積み上げてきた日本の協同組合の成果を、一朝にしてむなしゅうしてしまうということを私はおそれるのであります。こういう見地に立って見ると、実際私ども自身も感慨無量、今日の事態を正視しなくちゃなりません。あなた御自身におきましても、きょうは三十分か一時間くらいの質疑応答でまことに隔靴掻痒の感がありますけれども、たといどんな困難な事態に立ち至ろうとも、やはりわれわれがここでお尋ねし、しゃべっているこういう心境だということにつきましては、あなたらは理解を持って、ただ責任をのがれるとか、どうにかいい工合になってほしいとか、そういう中途はんぱのことを一掃して、一つ対処してもらいたいと思います。私どもも根本的には、どんな犠牲が出ても、国民やら農民のために、この問題の最終的なよりよい解決を臨んでやまぬのです。こういう意味におきまして、特に年間二億に近い国の財政をあなたの方につぎ込んでおるのですから、こういう角度からいたしまして、決算委員会としてもほうっておけぬのです。こういう点でいろいりお尋ねしておったのですが、まだ十分尽してない、まことに何分の一しか聞いておらぬのです。まあ時間にも限りがありますから、私はこの程度にしておきますけれども、よほど腹をきめてあなたは奮起してもらわなければならぬと思います。最後に、一言あなたの所信を伺っておきまして、私の質問は終ります。
  430. 田中順吉

    田中証人 まことに御懇篤なる建設的な御注意なり、御意見を拝聴いたしまして、非常に今後の農協のあり方についての真剣な御親切な御意見を感謝するのでありますが、含み資産の問題がただいまございましたので、これはもう一度御理解を得るように申し上げますが、今日においてはそういう問題は全部処理済みである。これは会員の十分な了解のもとに三十年度末において全部処理済みであるということだけは、ぜひ御了解いただきたいということを重ねて申し上げておきたいのであります。  なお、今日までのわれわれの責任につきましては、在任中に起きましたこの事件、この問題につきましては、われわれはいかような御処分を受けましょうとも、それは身をもって責任に当るということに決意をいたしておるわけであります。ただ今後の発展、この信用の挽回なり、今後全購連ほんとうに正しい発展をするということに対しましては、もろちんいかに今日私どもが大きな失態をして退くといたしましても、今日まで一生をかけてこの運動をやってきた私どもといたしましては、陰ながらほんとうに正しい発展を遂げてくれるということをのみ念願してやまないのであります、こうしたぶざまなことで退きます者が、今後のやり方をどうこう言うようなおこがましいことを申し上げることは御遠慮いたしたいと思いますけれども、考え方といたしましては、私は私なりに、今日までのこの事態、この事件ということに対しまして強く反省するとともに、次をにのうてもらう執行部の諸君に対しましては、ぜひともこれを立て直しをしてもらうための御努力をお願いして参りたい、かように存じておるわけでございます。
  431. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと一言……。私はあなたの方だけが、つまり全購連のみがこの事件を起したとは実は思っていないのであります。農林省に重大なる責任があると考えておるのであります。今日の政界の腐敗し切った実情、その中で農林省はもうしばしば汚職事件を続出しておる、そうして農林省のあらゆる財政上の実情にしましても、またあらゆる機構上の問題にしても、いろいろな点から、農林省は広い高い視野から再検討せねばならぬ立場に立っております。こういう面との接触面がこの問題を生んだ大きな原因であるというふうにも実は考えております。これは論より証拠、海内某が今つかまっております事実によってこれを証明しておるのであります。しかしそれはそれとして、私どもは別の角度から十分に論議はしていきたいと思っております。従ってあなたの方だけで独立一本で今後いろいろと改めていこうとしても、それは不可能であります、やはり今日農林省の圧力、農林省の法律上の地位、それから指示あるいに指導監督等とのこの関連というものは、あなたの方に最も重大な影響力を持っておるのでありますから、この方面が腐っておったら、どんなによくしていこうと思っても、これはなかなか困難なことであります、しかしこれは一般政治問題として論じ、農林省対策として論じ、今後綱紀粛正の問題として論じていかなければなりませんけれども、私どもはそういう角度から考えましても、あなたの方はあなたの方御自身立場があるだろう、こういうので今申し上げておるので、あなたの方だけで今後いろいろな解決をしていき得るというふうには実は思っておりませんけれども、あなたの方はあなたの方としてのおつえがあるだろうというので、申し上げたにすぎません。これは別に答弁は要りません。
  432. 青野武一

    青野委員長 田中証人に対する尋問は以上をもって終りました。田中証人には御多忙中のところを心に長持間お待たせをいたしました。どうぞ御自由に退席されてけっこうであります。御苦労でした。  この際、証人購連常務理事島田日出夫君の出頭の件につきましてお諮りいたします。各派の理事にはすでに御相談申し上げておるのでありますが、委員長におきまして確認したところでは、同君は警視庁において昨十五日夕方に逮捕され、身柄を拘束されておるため、出頭できないようでありますので、同証人出頭の点につきましては、正当な理由があるものと認めることといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  433. 青野武一

    青野委員長 御異議なしと認めて、さように決しました。  本件に関しまする調査は、本日のと、ころは一応この程度といたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会をいたします。     午後七時十九分散会