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保岡会計検査院説明員 三十年度防衛庁の支出済み総額は八百一十六億でありまして、前年度より約百億多くなっております。しかして繰越額と不用額は前年度とほぼ同額の二百二十八億と四十八億になっております。
不当事項の件数は前年度より減っておりますが、以上申し上げます
通り、
不当事項の発生はまだ少くありません。その原因といたしまして、物資の調達、
工事の
施行とも、要するに調査
検討の不十分のまま取り急いで
実施に移されるのが発生の原因と見受けられるのであります。なお三十年度においても供与される器材を国内で調達したり、輸入したりして重複しているものがありまして、その間の調整に一そうの努力が望まれる次第であります。
次に
不当事項に入りまして、三三号以下四件は、八十九億の
工事のうち
実地検査をいたしました約二五%、その
実地検査の結果であります。
三三号は、霞ケ浦の終戦後使っておりませんでした燃料タンクを使用するために漏洩を防止するための溶接
工事を行なったのでありますが、
工事の
監督、竣工
検査が不十分で、燃料を入れたらにじみ出したので手直しをしたのでありますが、発火の危険があるものですから、
設計通り電気溶接を行うことができないで、ポリエステル樹脂を塗ってとめておるもので、溶接
工事の慎重性が足りなかったものであります。
次の三四号と三五号は、飛行場の
設計の適切を欠いたものでありまして、三四号は浜松の飛行場の滑走路でありますが、浜松の飛行場の滑走路は、千四百メートルの既設滑走路がありまして、その一方に千メートルの滑走路を増設するわけでありますが、初め増設しただけで、旧滑走路を利用する
設計で
工事を始めましたところが、その
設計に不備があったのであります。その
工事がほとんど竣工まぎわに変更になりまして、旧滑走路の方も改造することになり、それで今までの
工事を延長していったのでありますが、切り取る量が多くなりまして、よけいに工費を要した、全体の勾配変化もあまりよくなかったというわけで、調査が不十分であり、
検討が
不足であったという件であります。
次の三五号に、築城の飛行場でありまして、築城の飛行場の既設滑走路の部分を補修するに当りまして、シールコートを施工したものの、そのシールコートの
設計として五ミリから十ミリの砕石を二層にして、しかも全体をニミリに仕上げる、まことに無理な
設計をしたわけであります。この
工事は冬に行われる
工事でありますので、
設計に慎重を期さなければなりませんのに、
設計の根本的なミスがここにあったわけであります、それで結果といたしまして、舖装面の砕石が落ちつかないででこぼこになりまして、飛行機のダイヤの損耗にも影響しているように思量されるのであります。
次の三六号は、大分の弾薬支処の電力引込線
工事の需要者負担金を概算
払いをしておりましたところ、電力会社で
工事用の臨時供給電線を架設して、無理に精算をしてしまったものであります。なお電圧が変りまして、電線は細くて差しつかえないので、これもあわせて
注意してその差額を
回収いたしました。
次に三七号からは物件でありますが、三七号は搬送電話端局装置を十三台購入した件についてでありますが、この装置の構成品であります搬送電話端局が三台供与されて
手持ちになっておりまして、またこれも構成品であります発電機は五十六台も過剰在庫になっておりましたが、これを活用しないで新たに購入したのは不当と
考えたのであります。この端局三台で五百八十万円、発電機二舞ずつつきますので、二十六台分で四百九十万円、
合計約千万円節減できるのであります。次の三八号は、トレーラーを索引いたしますトラクターを買い急いだ件でありまして、三十二両分に対するトレーラーの改造が、一年たもました今日でもまだできない始末で、一億四千九百万円分が完全に一年以上遊休したものであります。
次の三九号は、航空輸送用の容器でありますコンテナーを購入するに当りまして、
実情の調査が不十分で、無定見に示達
予算全部を使って購入したものでありまして、適正所要量を正確につかんで、着実な購入をなすべきであるというものであります。
次の四〇号は、航空自衛隊松島、築城、防府各基地用として通信機器類を購入いたしましたけれ
ども、基地が返還されもせず、通信所
建設工事が着工されないうちに購入したために、むなしく
保管されている件でありまして、温湿度の影響の心配もあり、発注から購入までさして長くかかるものでもないので、購入の早過ぎたものとして取り上げたものであります。
次の四一号は、C46輸送機の機体部品を購入するに当りまして、台湾のシビル・エア・トランスポート会社の資料をもととして品目を決定いたしました。各機種別適用区分を示している技術命令書によるのが至当であるのに、これによらなかったために、四十六品目、四百万円分は使用できないもの、また三十八品目、七百万円分は使用可能であるとされていますけれ
ども、技術命令書にないものであったのであります。
次の四二号からあと二件が高価購入の件でありますが、四十二号は、高周波焼き入れ装置の購入に当りまして、三会社を
指名競争させることができるのに、一会社の随意契約にいたしまして、予定価格も、材料費など過大に算入されていて、高価購入と認められるものであります。
当局は、材料費は高いけれ
ども、この会社は、
一般管理費など三入・五%が必要であるのに普通の一三%に押えたためで、全体から見れば適当であると
説明されておりますが、そんなにしてまで随意契約する必要はないのであります。
次の四三号は、テープレコーダーなどの機械を輸入購入するに当りまして、CIF、C&F価格は、各製作会社の価格表より値引きされるのが普通であるのに、価格表
通りの価格で予定価格を作成したため高価購入となったものであります。
次の四四号は、これから次の四五号とともに検収の批難でありますが、四四号は、地上管制進入装置GCAを米国から輸入いたしました件であります。総合試験を行わない不十分な検収でその代金の支
払いを完了いたしました。
検査院の
注意によりまして初めて総合試験をしてみたところ、無線機が出力
不足であったり、リレーの接触が悪かったり、そのほか種々欠陥が現われたので、検収を批難したのであります。三五ページになお書きで
説明しておりますのは、三十年二月、米軍事顧問団からGCA二台を供与する文書を受けておりますので、その確保に努めれば、本件購入をしないでもよかったのではないかというのであります。
四五号は、航空ガソリンを購入後四ヵ月たってから試験してみたところ、ガムとか四エチル鉛が規格限界を著しく超過しておりまして、
注意深く行われた十六時間の酸化安定度試験に合格した上で納入したものでありますれば、実際の貯蔵状態、貯蔵
期間にこういう結果は現われませんので、その検収試験が不十分であったと認めるほかないものであります。
次の四大から四八までは
不正行為でありますが、五万円以上のものが六件あります。そのうち、五十万円以上のものは五六ページに記載してあります。一件は浜松でありまして、あとは第三管区のものであります。いずれも、自衛隊に対する給与をつけ増ししたりして領得したものであります。
以上、批難の要点を申し上げました。