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1957-02-26 第26回国会 衆議院 議院運営委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十六日(火曜日)     午後零時七分開議  出席委員    委員長 保利  茂君    理事 荒舩清十郎君 理事 佐々木秀世君    理事 福永 健司君 理事 池田 禎治君    理事 野原  覺君       内田 常雄君    大野 市郎君       徳田與吉郎君    古川 丈吉君       松澤 雄藏君    井上 良二君       栗原 俊夫君    佐々木良作君       八木  昇君    渡邊 惣藏君  出席政府委員         内閣官房長官  石田 博英君         法制局長官   林  修三君  委員外出席者         議     長 益谷 秀次君         副  議  長 杉山元治郎君         事 務 総 長 鈴木 隆夫君     ――――――――――――― 二月二十六日  委員吉川兼光君辞任につき、その補欠として井  上良二君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十五日  東南アジア資料収集整備費国庫負担等に関する陳情書(第三五九号) を本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  内閣総理大臣より衆議院議長宛の「案件についての申入」に関して、内閣官房長官に質疑  次回の本会議等の件     ―――――――――――――
  2. 保利茂

    保利委員長 それでは、ただいまから会議を開きます。  御報告申し上げます。すでに公報に掲載されておりますので、御承知のことと存じますが、昨日岸内閣総理大臣から、前内閣総理大臣から提出した案件につきましては、そのまま審議を進められるようにとの申し入れがありました。また、所信について発言したいとの通告がありましたから、この際御報告をいたします。  なお、本日は政府側から内閣官房長官内閣法制局長官出席を求めておりますが、官房長官は、どうしても所用のため、十二時半ごろまでに出なければならないところがあるようですから、そういうことで一つ相談をお願いいたします。
  3. 井上良二

    井上委員 この際、内閣官房長官及び林法制局長官質問をいたします。ただいま委員長から御報告になりました、昨日内閣から本院に議長あて申し入れをされました「第二十四回国会及び第二十五回国会提出し、貴院において継続審査中の別紙(一)の法律案及び第二十六回国会に前内閣総理大臣から貴院に提出した別紙(二)の案件は、その審議をすすめられるようお取り計らい願います。」というこの申し入れ条項でありますが、この条項は、これはいかなる法理的根拠によってかような申し入れをされたのですか、その法的根拠を明らかにしていただきたい。
  4. 石田博英

    石田(博)政府委員 法律上はそういう申し入れをする必要はないという解釈でございますが、内閣がかわったことでもございますので、新内閣も前内閣意思を継承して、法律案及び予備案はそのままこれを新内閣としても提案する意思を持っておる、ということを意思表示いたしたのであります。
  5. 井上良二

    井上委員 提案する意味と、審査継続されたいという意味とは、法理的解釈は違います。少くとも内閣が事を行おうとする場合、すべてそれは法理的根拠に基かなければなりません。法的根拠のない手続を行うことは違法であります。しかも、前内閣は御承知通りの事情によって総辞職をいたしたのでありますから、当然新内閣としては、新内閣としての考え方に立って所要法的手続をとるべきである。それを、都合のいいときは、法律上明記されておるからということを盛んに申され、都合の悪いときは、法律には明記されてなくても行い得るというようなことをやられたのでは、国会運営上重大な支障を来たして参ります。従って、この申し入れは、法的に何ら根拠のない申し入れでありますか。——そうなれば、われわれは前例によらなければなりません。そういたしますと、国会が開かれましてからの前例をずっと調べてみますと、旧憲法時代帝国議会では、三回にわたって通常国会開会中に、予算案提出されておるときに、内閣が交代をいたしました。そのときは、三回とも前内閣の出しております予算案並び関係法案は一応撤回をいたしまして、新しく再提出をいたしておるのであります。新憲法下におきましては、今度初めてでありますが、新憲法下におけるいろいろ解釈の違う点もございましょうけれども、一応国会運営のルールを守るこいうか、責任内閣としての責任の筋合いを明らかにするといいますか、そういう建前から、新内閣は、新内閣としての予算案及びこれに関係する法案を再提出するのが、責任内閣としての当然の任務じゃないかと私は考えておる次第でありますが、そういう必要はないのでありますか。そうして前例は無視していいのでありますか。
  6. 石田博英

    石田(博)政府委員 新憲法下におきましては、すでに提出せられておりまする法律案及び予算案は、当然には消滅しないのであります。そのまま本院に提出されて、そのままの形に残っていくわけでありまして、その際新しい内閣としては、その出ております法律案予算案撤回するかしないかということが問題になって参るわけであります。従って、新内閣が全然意思表示をいたしませんと、そのまま法律案及び予算案は本国会提出されたままの形になっているわけでございますが、政府側といたしまして申し入れいたしましたことは、新内閣も前内閣と同様に、この法律案及び予算案を新内閣のものと考えておりますから、継続審議を願いたい、という意思表示をいたしたのでございます。意思表示をすること自体に法律的根拠は別にございません。法律的には、そういう意思表示をことさらする必要がないと考えております。ただ、次に旧憲法下前例を御引用なさったのでありますが、旧憲法下におきましては、法案撤回及び修正は自由でありました。従って、内閣がかわったときには、修正をするものは修正をする、あるいは撤回をするものは撤回をする、ということについての意思表示を明らかにしなければならぬことであったわけでありますが、また、したわけでありますけれども、新憲法下におきましては、法案撤回は院議を待たなければならないのであります。それから特に予算案につきましては、旧憲法下におきましては、予算案審議期間というものに制約がございました。従って、同じものを継承するといたしましても、一たん撤回し、再提出いたしませんと、その審議期間が、最初提出されたときから起算されますので——審議期間制約は多分二十一日だったと思うのでありますが、最初に提案されたときから起算されるのでありますので、あらためて提出し直すというような手続をとったようなわけでありまして、法案及び予知案——予算案法案でありますが、これの撤回が自由でない。新憲法下とおのずから違うと考えておる次第であります。
  7. 井上良二

    井上委員 今、官房長官の御発言のうちの一番重要な点は、前内閣が出した予算案法案というものは、そのまま国会に提案をされておる以上は、当然それは生きておる、従って、それを後継内閣が継承してやる場合は一向差しつかえがない、こういう政治的御判断のようであります。ところが、前内閣は、かような政綱政策によってこういう予算を組んだ、この予算に必要な所要法案をこれこれ提出した、これによって国政を処理したいということで、国会へ臨んだのであります、しかし、その意図いたしました予算提出内閣は、倒れてすでになしであります。行おうとする意図を持った内閣はないのであります。そうしますと、その内閣が崩壊してなくなった以上は、それと裏づけになっておりまする予算案及びこれに関連する重要法案というものは、ことごとくそれはその内閣と運命をともにすべきが当然であります。そうしませんと、前の内閣が出したものが、そのまま生きておるという形をとることが許されるということになりますと、内閣責任政治というものは一体どうなるかという問題がここに起って参りますので、その点に関しまして、これは将来やはり前例にもなることでありますしいたしますから、われわれ野党といたしましては、ただ予算審議期間が非常に切迫しておる、そうして、その年度予算成立をすみやかに要求されておる事態があるから、そこで撤回をして今度再提出するということをすれば、予算成立が時間的にできなくなる、そういう予算成立の執行の上における時間的制約のために、肝心な内閣責任制憲法上にきめられておりまする責任制というもの、また国会内閣をいろいろな角度から批判をし、健全な国政運営してもらおうとするその責任を上追及する立場からも、今、官房長官のような意見でありますならば、これは全くどこからどこまでがどうで、どこからどこまでがどうだという区切りがっきません。さようなことは許されないのであります。従って、法文上ここに明確に規定されていない限りは、少くともわれわれは前例によってやっていくということの方が正しい、こう私ども考えておるのでありますが、いかがでありますか。
  8. 石田博英

    石田(博)政府委員 新内閣意思を明らかにするために、お説の通り、前内閣予算案及び法律案を、新内閣責任を持ってこれを実行に移す意思があるということを、書面をもって申し述べたのであります。  それから前例でありますが、この予算についての新憲法下における前例は、井上さん御指摘の通りございませんが、法律案につきましては、実は社会党内閣のときに前例がございましたので、その前例にのっとって実は他の法律案はいたしたようなわけであります。その前例を申し上げますると、昭和二十三年三月三十日、芦田内閣総理大臣、つまり片山内閣が総辞職をいたしまして芦田内閣ができました。そのときに新しい芦田内閣総理大臣から、すでに提出せられておりましたところの郵便為替法案、それから郵便振替貯金法案家畜用血清類取締法案、それから煙草専売法の一部を改正する等の法律案、この四件はそのまま審議を進められたいという申し入れをいたしまして、そのまま審議をいたした前例が、すでに新憲法下にございます。また予算案法律案の一部でございますので、この社会党内閣のときにお作りになった前例によって処置をいたした次第であります。
  9. 井上良二

    井上委員 社会党内閣当時のことを引用されまして、そういうのは前例前例と言って、盛んに申されますけれども、私どもが申しておりますのは、新内閣として第一考えなければなりませんのは、内閣の一番重要な成立要素政綱政策です。その政綱政策の眼目は予算案です。それからそれに関係する重要法案です。これが新内閣として国民に訴え、国民に呼びかける一番重要な政治的根拠であります。そのことが新内閣では全然処置がとられずに、前内閣のものをそのままこの国会は新内閣のものとしてやってくれ、こういうことであります。われわれが今審議しておるのは石橋内閣予算案です。岸内閣予算案ではないのです。そういう政治的に責任体制のはなはだ不明確なものが、どうして一体やれますか。
  10. 石田博英

    石田(博)政府委員 岸内閣石橋内閣のとりました政策政綱を受け継いで、それを継承した性格によって出発いたしておるわけでございます。従って、石橋内閣提出をいたしました予算案法律案については、新内閣責任をとるのであります。しかも、石橋内閣岸内閣も、ともに自由民主党内閣でございまして、政党内閣上、このことは少しもおかしくないと思います。前に片山内閣から芦田内閣へ移りましたときは、なるほど内閣構成の基礎は三党連立でございましたけれども、その中心は内閣の首班がかわったことによって明らかなごとく、社会党から当時の民主党に移っておるのでありまして、その際においても、そのまま継続審査をお願いした例から考えますと、今回は当然そのまま審査をお願いいたしましても、支障がないものと考えております。
  11. 井上良二

    井上委員 石田君は何かはなはだくだらぬ(笑声)前例をもとにして、肝心の大切な、内閣の成り立っております政治的立場というものを踏みはずそうとしておる。石橋内閣政綱政策というものは、予算案に盛られております。しかし石橋内閣はすでに倒れております。ないのです。そのないものを、そのままこれは岸内閣予算であり、法案であるとして扱うてくれ、そういう便宜主義というものが、立憲政体のもとにおいて一体許されるかということです。立憲政体のもとにおいては責任政治であります。責任政治内閣が新しくできたのにかかわらず—それなら岸臨時首相代理でやったらいいのだ、岸臨時首相代理でやれぬところから、新しく岸内閣を作ったのであります。そうなれば、当然岸内閣として、新しい予算案及びこれに伴う法案も再提出して、堂々と岸内閣政策政綱として天下に訴えるべきである。岸内閣政綱政策国民は何もわけがわからぬのです。何が何やらさっぱりわからぬ。それは前の石橋内閣のものである、こう申しても、石橋内閣政綱政策というものは、この内閣の終末とともに終っておるのです。それは自由民主党の大会で自由民主党財政を論議する場合なら、それでいいかもしれぬけれども、少くともわれわれは国家財政を論議しておるのです。国家財政を論議する場合には、責任内閣のもとにおいてやるべきです。その責任内閣が、その責任の所在を明らかにしないというようなことで、どうして国会審議が円滑にいけますか、それはおかしいですよ。
  12. 石田博英

    石田(博)政府委員 石橋内閣が総辞職をいたしました理由は、石橋総理予算審議というものに一日も顔を出すことができない状態に立ち至りましたので、国会運営正常化と、その責任内閣の実体を明らかにいたしますために、社会党その他の御要求も御参考にいたしまして、その進退をきめたのでございます。すなわち岸臨時総理大臣代理をもって、総理が一日も出席しないで予算審議が進められないという——進めることが間違いだということは、これは石橋総理自身のお考えであったことは言うまでもないのでありますが、社会党の方々は強くそれを御主張なさっておりますので、私ども総理決断に従ってそういう決断をとった次第でございます。  それから、岸内閣責任をとらないのじゃないかと、こうおっしゃいますが、岸内閣といたしましては、石橋内閣法律案及び予算案に対しては、石橋内閣政策政綱をそのまま継承するという性格を持ち、そうして、それをもって岸内閣政策政綱といたしておるのでありますから、前内閣政策政綱については、そのまま責任をとるのでございます。その意志表示を昨日いたしたような次第であります。
  13. 野原覺

    野原委員 官房長官の御答弁を承わっておりますと、岸内閣というものは石橋内閣同一だという認識をあなたは持っていらっしゃるが、その通りなのかどうか、これは大へん重要なことです。岸内閣というものは石橋内閣同一であると言う。なるほど官房長官はかわっておりません。石橋内閣官房長官石田博英、これは同時に岸内閣官房長官になっておるが、一体憲法上、岸内閣石橋内閣同一なのかどうか、これは明確に承わっておきたい。
  14. 石田博英

    石田(博)政府委員 法律的、形式的には違っております。しかしその政策政綱は前内閣のものを継承し、それをもって岸内閣政策政綱といたしておる次第でございます。
  15. 野原覺

    野原委員 僕は、法律的、形式的にやはり岸内閣石橋内閣と違うのだ、こういうことであれば、やはり予算内容同一であろうとも、法律案内容同一認識に立っていらっしゃろうとも、法律的、形式的には、これを撤回して、新たに出し直すべきじゃないか、このように考える。あなたは中身は一緒だとおっしゃるけれども、やはり御承知のように内閣というものは同一ではない。内閣同一でなければ—やはり予算案についても、私は全然同一のものであってもかまいません。岸内閣が前の内閣予算案を全部認めるというなら、それでもよろしゅうございます。やはり形式的にも法律的にも内閣が違うのだ、そういうことなら、議会に対して、そういう法律的、形式的に違うのだということを明確に出すべきではないか。明確に出すということは、撤回をして再提出するという形式に発展することです。その辺のお考えをはっきりお聞きしておきたい。
  16. 石田博英

    石田(博)政府委員 法律的、形式的には違っておりますが、旧憲法と新憲法下において、提出されました議案の撤回修正についての制約が違うのでございます。そこで、その上に立ちまして、そのまま現内閣が同じものを続けて御審議を願う、また同じものについて、責任を新内閣としてもとり得るのだ、とるのだ、というものであります場合におきましては、法律上あらためて撤回し、再提出しなければならぬという規定はございません。先ほど井上さんもおっしゃいました通り、そういう場合にはやはり前例に従わなければなりませんので、先ほど申しますような前例参考といたしまして、処置をとったような次第でございます。
  17. 野原覺

    野原委員 法律上再提出しなければならないという規定はない、だから再提出しないのだ、そうおっしゃるけれども、それでは、法律上再提出しなければならぬという規定はないが、しかし再提出しなくてもいいという規定もないでしょう。それはどうなんです。
  18. 石田博英

    石田(博)政府委員 責任をとらないものについては、それは撤回をして、再提出してやらなければならぬのでありますが、しかし、しなくてもいいという否定的な意味規定というものは、これはあらためて私は作られないのが、大体立方技術上の当然のことだろうと思います。なさなければならないことは規定いたしますが、なさなくてもいいものは規定がないという解釈でございます。そこで規定がない場合、前例参考にいたした次第であります。
  19. 野原覺

    野原委員 しなければならぬという規定もない、しなくてもいいという規定もない。それは全然同じだというお考えですか。——いずれにも規定がないということが事実であるとするならば、およそこういう物事の判断は、政治的な道義の上に立って判断すべきです。法理的根拠はどちらにもない。社会党が主張するように、再提出しなければならぬという根拠もなければ、再提出しなくてもいいという根拠もない。あなたの答弁では法的根拠が明確でない。だから、どちらにもないならば、私ども政治的道義に立って判断しろというのは、内閣法律的、形式的にかわっておる、あなたの御答弁通り内閣がかわれば、新しい内閣というものは、国会に対して、岸内閣岸内閣としての責任を負担すべきです。岸内閣石橋内閣責任を全部負うとあなたが言っても、それはひとりよがりです。だれも承知しない。岸内閣には岸内閣の新たなる責任が発生する。その新たなる責任というものは、どこから出てくるかというと、やはり予算案法律案を出し直す以外にないのじゃないか、その辺をどうお考えですか。
  20. 石田博英

    石田(博)政府委員 ただいままで申しました政府予算案及び法律案に対する意思表示は、私が勝手に申しておるのではございません。閣議決定を経まして、岸内閣議決を経て、文書をもって通知をいたしておる。閣議議決を経てとった次第であります。それから法律を作る場合、なさなければならないという点については規定をされるのでありますが、なさなくてもいいという分まで全部法律規定する必要はないのであります。従って規定がないのでありますから、規定がない場合、前例に従うべきものだということは、先ほど井上さんのおっしゃった通りでございますので、その前例に従ってやったまででございます。
  21. 保利茂

    保利委員長 先ほど御了解いただいておりましたように、内閣官房長官は十二時半までとお約束してここに出てもらっておるわけですから、官房長官に対する質問は、できるだけ早く一つ……。
  22. 野原覺

    野原委員 最後に、私は予算の再提出の問題で、私の質問最後になるかと思いますが、石橋内閣のあらゆる責任岸内閣が負うということを閣議決定したのですか。岸内閣というものは、閣議石橋内閣のあらゆる責任を負うてもよろしいという、これはあなたの言葉をかりれば継続ですから、そういうことを考えて、法律及び予算案については再提出しない、こういう決定をされたのか、これは明確に御答弁を願いたい。
  23. 石田博英

    石田(博)政府委員 前内閣提出をいたしました予算案及び法律案内容につきましては責任を持ちます。
  24. 池田禎治

    池田(禎)委員 今までの議論の中に、法理論もありましょうし、前例もありましょう。私は必ずしも旧憲法下前例というものを言おうとは思いません。ただ、今官房長官の御答弁によりますると、前例であり、慣習であるという。それでは、政治的にはどういう責任をおとりになるのか。たとえば石橋内閣が瓦解したことは事実です。そうして岸内閣が生まれた。そうすると、あなたの今申されておることからすれば、その予算案提出あるいは予算案審議をめぐり、あるいは法律案審議をめぐって、今日のような事態になっておるということは、病首相の健康によるものであるとしても、その政治的責任は、政府はいかようにお考えになるか、この点はいかがですか。
  25. 石田博英

    石田(博)政府委員 政府といたしましては、前内閣提出いたしました予算案及び法律案につきましては、その内容について責任を持って御審議を願っておるのでありますから、その御審議の促進に全力を尽すことによって、すみやかなる成立を期することによって、責任をとろうといたしております。
  26. 池田禎治

    池田(禎)委員 そうすると、その予算案を初めとする審議が、今日のような事態になって参っておることにつきましては、不測事態なりといえども政府みずからの責任にあるということはお考えになっておるでしょうか。
  27. 石田博英

    石田(博)政府委員 不測事態によりまして審議が渋滞しておるということは、総理の病気という——審議が渋滞しておる原因の中に、そういうことが相当大きな要素を占めておるということは認めます。従って、それを取り戻すためには、新内閣国会の御審議に対しまして、できるだけすみやかな成立を期して、全力を尽して参りたいと考えておるわけであります。
  28. 井上良二

    井上委員 ただいま官房長官の御答弁によりますとかような手続をとりましたのは、閣議決定によるのである。そうなりますと、これはやはり内閣総理大臣責任になってきますから、私ども委員会内閣総理大臣出席を求めまして、その上で審議を進めたいと思います。総理大臣出席せられるまで、本委員会一つ休憩を願いたいと思います。
  29. 保利茂

    保利委員長 官房長官はもうよろしゅうございましょう——井上さんの総理大臣出席の御発議については、後刻また理事会を開きまして御相談をするようにいたしたいと思います。
  30. 井上良二

    井上委員 さきの委員長報告によりますと、内閣総理大臣が新任されましたので、国会に向って所信演説をいたしたいという申し入れがあったということでございます。私ども内閣ができまして、いかなる政綱政策によって国会国民に臨もうとしておるかということを、国民とともに期待しております。しかし、その一体所信というものは、何を言わんとするか、その所信内容は、新内閣である以上、当然岸内閣としての政綱政策が具体的に表明されることを私どもは期待しております。そうなりますと、ただいま官房長官からの御説明を伺いますと、石橋内閣の出しました予算をそのまま国会に居すわらしておいて、その上で岸内閣としての所信を表明する、こういうのでありますから、われわれは、一体どこまでが石橋内閣のものの考え方で、どこから先が新しくできました岸新内閣考え方か、方針かという区切りをつけるのに、非常にこれは判断に苦しむわけです。従って、岸内閣の明日行おうとする所信演説内容に対しましても、あらかじめ私ども心がまえ——、内容に立ち至ってとやかく申しませんが、心がまえ総理に聞かなければ、私どもはやはりあしたの本会議に臨みます野党態度もきまりませんから、どうしてもやはり岸新総理大臣出席をお願いいたします。
  31. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 今、議事進行発言の延長として、総理大臣出席要求がありましたので、後刻理事会で話をすることもけっこうですが、自民党としての態度だけは、ここではっきりしておきたいと思います。ただいまの井上さんの、総理大臣出席要求に反対であります。なぜかと申しますと、組閣されまして、総理大臣としての第一声は、本会議において、国民の前に所信を表明することが、私は、総理大臣の第一声だと考えております。その前例は破りたくない。その後において、いろいろお聞きしたい点があるならば、また相談に乗りますが、まずもって総理大臣国民に対する第一声を、お聞き願ってからのことにしていただきたい。私は反対であります。
  32. 池田禎治

    池田(禎)委員 それは、私は、先ほど委員長が、後刻理事会相談しようというのでありますから、それでいいと思っておった。ただ佐々木君の言われたことは、総理大臣が就任されて、施政方針もやらないで来たことはないということでありますが、鳩山内閣において、昭和二十九年、鳩山総理大臣が施政方針の演説をいたさずして、本委員会出席した。本委員会国政上に対する見解をただしたときに、参った前例があります。その以前にもありますけれども、最も近い例としては、昭和二十九年、鳩山内閣においてあります。その点においては前例のないことではない。ただ委員長のせっかくの御発議でありますので、後刻理事会相談をしようということにつきましては、私どもはこれに異存はないのであります。
  33. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 私の方では、一応反対だけを申し上げておきます。あとの話し合いは理事会でけっこうです。
  34. 保利茂

    保利委員長 これは一つ後刻理事会で御相談をさしていただきたいと思います。  そこで本日の本会議会でございますけれども、先ほど理事会で御相談を願いましたが、内閣総理大臣から、本日の本会議において所信について発言をいたしたいという通告がございます。これに関連いたしまして、理事会におきまして御相談をいたしましたが、諸般の都合をしんしゃくいたしまするのに、明日にこれを御延期願い、明日定刻本会議を開いて、所信についての発言を許す。しかる後、直ちにこれに対する質疑を継続して参りたいという、大体の理事会の話し合いでございますが、御異議がなければそのように取り運ぶことにいたしたいと存じます。
  35. 野原覺

    野原委員 所信の表明を明日定刻一時からやる、こういう決定をこの議運の委員会で出す前に、やはりいろいろ官房長官に質疑をしていく過程において、岸総理出席を議運において要求しておる、このことをあとで理事会相談するということになったわけですから、その相談もしなければならぬと思う。私は手続として、結論はどう出るか別だが、この相談をして、明日は、本会議の定例日ではないけれども、本会議を午後一時から開会する状態にしておいて、それまでに、今井上さんから出た問題の取扱いその他を理事会相談をし、場合によっては、それが議運の委員会に発展をする、そこで結論が出る。こういうやはりスムーズな運営の方法をとっていただきたい。
  36. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 ただいま野原君から御発言がありましたが、明日は定刻より本会議を開いて、総理所信の披瀝を求める。これだけは決定いたしまして、それからこの議運の委員会総理出席するとか、しないとかいう問題については、理事会で御相談をする。こういうふうに区切りをきっちりつけていただきたいと思います。
  37. 井上良二

    井上委員 私は、そういう理事会の申し合せを別に否定するわけではありませんが、少くとも明日午後一時本会議を開いて、岸新総理大臣所信演説を承わるということにするためには、単に、今度国会の指名で総理大臣に新任いたしました、どうかよろしくお願いしますという、そんなあいさつじゃないと思う。少なくとも新総理大臣内閣を代表して国会国民に対して所信を述べるといいます場合は、岸内閣としての政綱政策というものが発表されるであろうということをわれわれは期待しておる。またそれに対して野党としても質問をしたいと思っておる。その岸内閣政綱政策の土台になる予算案が、前内閣予算をそのまま国会にくぎづけにしておいて、それはそのままにしておいて、それで岸内閣所信表明と、こう言われたのでは、新内閣所信表明というものの根拠が、国民から判断する場合、大へんな誤解を生ずる憂いがある。そこで私どもの方といたしましては、さいぜん委員長から御提案になりました、内閣からの申し入れに疑義があると思う。少くとも形式は一応踏んでもらわなければ困る。こういうことを言うとりますから、それらの問題は、何もむずかしくそんなに議論をする問題じゃない。形式上の問題だから、私どもの方では、そんなに深く掘り下げて、一切の予算を組みかえてこいのどうのという、むずかしい難題をふっかけておるんじゃない。少くとも新内閣は、新内閣としての予算を、やはり審議をしてもらうということの方が正しい。だから、一応形式だけはとってもらいたいと主張しておりますから、それらの点を一つ織り込んでおいてもらいたい。   〔「予算を早く上げぬと国民が困る   じゃないか」と呼び、その他発言   する者あり〕
  38. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 雑談のようでありますけれども予算を早く上げねばならぬとか、上げるとかいう話は、少しおかしいと思う。内閣が明らかにかわって、そのかわり目をはっきりしようじゃないかといっておるので、予算審議の問題がここに出ておるのでもなんでもない。それならそれでいいかどうか、はっきりときめてもらいたい。
  39. 佐々木秀世

    佐々木(秀)委員 それは予算案の議論まで入りましたが、私らの言うのは、先ほど理事会においてお話し合い願ったことを、御実行願いたいということを言っておるのであります。
  40. 保利茂

    保利委員長 速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  41. 保利茂

    保利委員長 それでは懇談をやめまして、明日は定例日ではありませんけれども、定刻一時から本会議を開くことにいたしまして、総理大臣から通告のあった発言を許すことといたしまして、残余の問題につきましては、後刻理事会を開いて御相談をいたしたい。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 保利茂

    保利委員長 そういうことで御了承を願って、散会いたします。    午後零時五十六分散会