○
井上委員 今の御
解釈になりますと、それは、まるきり宗教的なと申しますか、
石橋さんは日蓮宗の
権大僧正とかなんとかいうむずかしい位をもらわれたのでありますから、それが乗り移っておるかもわかりませんけれ
ども、そういう宗教的な、
個人の神聖化された
権限というものが別に隠されておる。表へ現われてくるのは、
内閣の
首班としての
権限、また
総理府を統括する
権限だけが表へ出てきておって、表へ出てきておるものだけは
代理である、本尊の
権限は別にちゃんとしまってあるのだから、何人にも侵されない神聖な
権限というものは別にあるのだ、こういうことになりますと、これは非常に問題があります。私がさいぜん具体的に
質問をいたしました
通り、非常な
高熱に浮かされ、あるいは
判断能力を欠いておるのに、なおかつ、この神聖的上な
個人の
権限を持ち出されて、それでもって
内閣の
任命権が行われるのだ、
人事権が発動するのだ、こうなりますと、それは全く
内閣総理大臣という看板のもとに、いわゆる
側近の
政治の行われることが具体的に現われてくるのでありますから、これはゆゆしき問題になってきます。さ
ようなことは許されません。少くとも
内閣総理大臣の
職務を代行するといいますならば、その一切の
権限が代行されなければならぬのであります。特別なものだけが残っておって、
あとは
代行者にやらすのだというなら、もっと法文上も具体的に、これとこれとの
権限は
臨時代理にやらすが、これとこれとの
権限は依然として残っておるということを明記しなければなりません。ちょうど
天皇が
認証を行い、また
天皇として国事に携わります場合の
規定がそれぞれございますが、ああいう工合に明確に
規定されておりません今日、非常な誤解を生ずるのであります。そうして今後はこれが非常な悪例にもなり、大きな問題になってきょうと思いますから、その点を明確にされたい。
それから、私が特にそういうことを慎重に聞いておりますのは、われわれの耳に入っております
内閣総理大臣の
病状というものに対して、私は非常な心配をいたしております。といいますのは、何か
側近の者だけは盛んにお会いになっておる
ようでございます。たとえば
岸外務大臣が
面会に行った、あるいは大野氏が
面会に行ったが、これは全然
面会をしていない、こういうことが盛んにいわれておる。われわれが伺うところによれば、また
新聞に発表されておる主治医の言う
石橋氏の容態というものは、熱が三十六度八分あるいは三十七度、あるいは脈拍が九十から百何十、そこへもってきて
右肺に多少のラッセルが聞えるという
ような
程度である。その
程度なら、何も
面会を拒絶するほどの—しかも重要な閣僚が
政治上の打ち合せや、
見舞に行かれた場合、
面会を拒否せられるということになりますと、相当
石橋さんは重態でないか、こういう
ようなこともわれわれは一応考えられる点もありますから、そういう
事態において
任命権がどんどん発動される、しかもその
任命したことについては、
臨時内閣総理大臣が何ら
責任を負わぬ、何らそれは知らない、こういうことになってきたのでは、一体、
臨時首相代理と、ほんとうの
総理大臣というものとの、
政治的な
権限の
責任というものはどうなるか、こういう
事態が起ってきやしませんか。これは重大な問題ですよ。