○
松本(七)
委員 私
どもは今の
政府の
中国に対するきわめて消極的な
態度では非常に危険があると思うので、この点を非常に強調しておるわけなのです。いつでしたか、マッカーサー大使は、これは名前は申しませんが、
自民党のそれこそ最高有力の幹部の一人で前閣僚の一人ですが、これを訪問されたときに、
中国の問題が話題に出た、それで
日本としてはどうしても
中国とはもっと接近しなければならない、
日本の利益からそういうふうに必死なんだ、この点をもう少し
アメリカも理解してほしいということを言ったところが、テーブルをたたいて、もしも
日本が
中国と接近し、そのために台湾が、いわゆる解放ですね、中華人民共和国の
もとに統一されることになったならば、
アメリカとしては戦争ができなくなる、こういうことまで言って台湾の戦略地的な
立場からの重要性というものを強調した、そのために
自民党の有力者はあぜんとして、
アメリカは戦争という
立場からものを
考えているのだということを述懐しておったのです。これはもうほんの一例にすぎないのです。しかし
アメリカの現在の
政策に
日本が対処するには、やはり
アメリカの今の戦争を
中心にした
考え方を、
政策を変えさせることが、私は
日本の当面の急務だろうと思う。そのために
中国問題ということが大きな問題として浮ぶわけであります。対共産圏外交というものがここに大きな比重を持っておるわけなのです。そういう
観点からしますと、これは
議論をすれば切りがございませんけれ
ども、
中国問題については謙虚な
態度で
社会党の言い分をもう少し聞き、そして方針についても
基本的に
考え直すということが必要になってくるだろう、こういう見通しの
もとに、これは今後いろいろな
情勢の進展につれて内閣の
外交方針が明らかになればなるほど、この問題が
中心課題になるだろうと思いますから、今後も折があれば再度査問をしたいと思うわけでございます。
時間も参りましたので少し簡単に、御
答弁を求めるために
質問条項をあげておきたいと思います。私
どもから見ればそういう
意味で、いわゆる
ソ連とは国交を回復したけれ
ども、これに対するあとの対策というものが非常に消極的だという
考えを持っておるのです。そういう
意味で
ソ連との
文化協定あるいは航空協定
——航空協定の話も火はスイスとの航空協定の締結の際に私は
質問した。そのときにあまり
日本の業者から希望がないからというような御
答弁だったのですが、希望がないどころじゃない。
日本航空ではすみやかにソビエトとの航空協定を結んで、北極圏ではなしに別な航路でモスクワ・
日本間の航空路を早く開きたいという非常に強い希望を持っておるのです。ですからこういう点ももっとどしどし実行すべきだと思うのです。そういう点についてどのようなお
考えを持っておられるか。
それから
中国の問題では
社会党の使節団が帰っていろいろな具体的な問題も御報告したはずです。郵政協定の問題だとかあるいは気象協定の問題、そういうものを
政府間の協定にすべきだという
意見を申し上げたはずなのですが、その中で何か直ちに
政府として取り上げる気持のあるものをあげていただきたい。特に私
どもは地元の声として聞くのは、長崎—上海間の航路を再開すべきだという声が、これは
両国から起っておるのですが、そういう当面の問題についてどう対処されるおつもりかという点でございます。
それから米国に行かれたときの
一つの問題として、
日本に駐留している
アメリカの軍隊が出動する場合に、今は無制限になっておるわけですが、せめて
国連の
決定をその条件にするとか何らかの制限をここに付するという
努力を暫定措置としてすべきじゃないか。もう原子兵器の問題がドイツでは現実の問題になってしまっておるような
状態なのですから、ただ
日本が閣議でもってこれの持ち込みは許さないというようなことを
決定しておっても、これはもう問題にならないと思う。従ってやはり具体的に、少しずつ危険を防止するためには
国連の
決定によって出動ずるというような申し合せ、取りきめを
日米の同ですみやかにやっておくというようなことが、危険防止のためには暫定的にも必要ではないかと思うのです。そういう点について御
意見を伺っておきたい。
それから東南アジアに行かれるわけでございますけれ
ども、随行の方がこの間新聞に発表されておりましたが、私
どもかねがねこれは
自民党の中のこと、あるいは
政府のことにとやかく干渉するつもりはございませんけれ
ども、東南アジアの専門家がずいぶんたくさんおられるにかかわらず、専門家らしい人は随行員の中に加わっておらないようでございますが、これはどういう
観点で選考をされたのか。もし選考事情、御方針を御説明願えるなら賄いたいと思います。
それから今の駐留軍の出動の問題と関連して、
日本の
防衛の地理的範囲は一体どこまでなのかということなのです。これはかねがねお伺いしようと思っておったのですが、岡崎国務大臣が第十九回の
国会でこういう
答弁をしておるのです。「
日本における
アメリカ駐留軍の施設及び区域は、
日本の
防衛のために設置しておるものであり、同時に
日本における
国連協力の趣旨から、朝鮮における
国連軍の活動に、ついでに資しておるだけでありまして、それ以外の目的に使われるものではないのであります。
アメリカの戦略方式がどうであろうとも、
日本に関する限りは、
日本における施設、区域、
アメリカ駐留軍の行動は、
日本の安全を維持する、これに限定されておるのであります。こういうことを言われておる。これは昭和二十九年三月十七日の
外務委員会内閣
委員会農林
委員会通商産業
委員会連合審査会でそういう
答弁をされておるのです。また
岸外務大臣はだいぶ前に
外務委員会で私の
質問に対する御
答弁で、極東の安全及び平和のために出動するという規定によって駐留軍はいざというときにはやれるのだ、こういう御
答弁があったのですが、そういう場合に
日本防衛という
観点からすれば、一体その地理的範囲はどういうふうなことになるのかということが
一つ、それから万一
日本防衛に出動した場合の最高
決定権者は一体だれになるのか。このことを聞くのは、そういう場合はもう軍隊ですから一刻を争う。すぐそういう事実はできてしまうわけです。特に最近中東にああいうアイゼンハワー・ドクトリンのようなものができて、
国連の承諾はあとでもいい、とにかくいざというときには出るのだというような
情勢になってきた場合に、おそらく何か事が起れば軍事行動が先に起ってしまうでしょう。そういうときに一体この
日本防衛という
立場から
アメリカ駐留軍が出動した場合の最高
決定権者というのはだれかということが問題になってくるわけでございます。そのほかまだ問題はたくさんございますが、これはまたの
機会に譲りまして、大体以上の点だけ御
答弁をお願いしておきたいと思います。