○石井(喬)
政府委員 私からお答えを申し上げます。本年度の移住振興費一切を含めて、八億二千万円でございます。そのうち六億二千万円が渡航費の貸付金ということになっております。そのほかに御
承知のように海外移住振興株式会社に来年度十億の出資金を見ております。それから私
どもは大いに移住を振興したいと
考えておりますが、現在のところ一番隘路になっておりますのが輸送力の問題でございまして、この点で来年度におきましては第十三次造船で移住船が一ぱいできるという
見通しがついた次第でございます。
それから終戦後どのくらい国民が外に出ておるかという
お話でございますが、計画的に
政府が移住を推進いたしましたのは、昭和三十七年の十二月以後でございまして、それ以来渡航費を貸し付けまして、外に出しました人間の数が一万二、三千人に通しております。そのほかに実は
向うにおります在留邦人が、
自分の親戚知友を呼びました数が
相当数に達していると
考えられるのでありますが、これにつきましては正確な統計はできておりません。私
どもは一応一万近い人が行ったのではないかという推定をしている程度でございます。
それからボリビア、パラグァイの
現状でございますが、ボリビアにつきましては、御
承知のように昨年度移住
協定ができまして、五年間に一千家族または六千名というワクがきまりました。従いまして来年度以降そのワク内で大いに出したいと
考えております。ただ問題はボリビアの場合には、
日本人は入れてくれますけれ
ども、ボリビア
政府の財政状態からいたしまして、
日本人のためにいろいろ施設をすることができないということになっておりますので、それは私
どもの方で資金を調達しなければなりません。その点でなかなか急に大量には望めないのではないかというふうに
考えております。パラグァイにつきましては、これは昨年度以来盛んに人が出ております。来年度私
どもは四百家族くらいをここに出したいということで、目下
交渉を進めております。大体そのワクで来年度送り出せるというふうに見ております。パラグァイにつきましては、御
承知のように
日本海外移住振興株式会社が一万四千町歩の土地を買いまして、そこに施設をして人を入れるということになっておりますので、これは安心して大いに出せる、また地味も非常によろしいということで、大いに行くと
考えております。カンボジアにつきましては、一時
向うからいろいろ申し出もございましたので、私
どもも
調査したのでございますが、ここに大量に人を出しますためには
相当な
研究と準備が必要であるという観点からいたしまして、急に大量に出すことはしばらく控えた方がいい、準備を十分にしてからというふうに
考えている次第でございます。
それから技術移民の問題でございますが、これも私
どもは大いにやらなければならないと
考えて、いろいろ
考えております。だた医者の問題でございますが、医者につきましては、ことに中南米諸国におきましては、
日本の医師免状をそのまま
向うで認めくれておりません。従いまして
向うに参りましても十分な活躍ができない。ただパラグァイ、ボリビア等におきましては、もし
日本人のたくさん入りましたところに現地の医者がいなければ、現地限りの開業は認めるということを言っておりますので、その範囲内では私
どもは送り出そうと
考えております。しかしこれは今後の問題でございまして、
向う側と
交渉して、できれば
日本の医師免状が
向うで通用するようにしたいというように
考えておりますが、なかなかむずかしいかと
考えております。それ以外に技術者を送ることもいろいろ
研究いたしておりますが、この点で一番困りますことは、実は技術だけを出しました場合、従来いろいろやったこともあるのでありますが、
向うの会社なり何なりが、技術を習得いたしますと、その人間が追い出されるという結果になることが多いのでございます。今後は技術にある程度資本をつけまして、
一つの企業として出すことが重要ではないかと
考えております。ただ企業として出します際の一番むずかしい問題は、言葉の問題と現地の商習慣の問題でございます。やはり現地の
相当な有力者との結びつきを
考えてやらないと、なかなか企業として進出できない。しかし企業の進出ということは非常に好ましいことでございますので、私
どもの方でもいろいろ具体案を
考えている
段階でございます。