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1957-02-22 第26回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十二日(金曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 須磨吉郎君 理事 高岡 大輔君    理事 山本 利壽君 理事 穗積 七郎君    理事 松本 七郎君       伊東 隆治君    菊池 義郎君       前尾繁三郎君    町村 金五君       松田竹千代君    松本 俊一君       大西 正道君    戸叶 里子君       福田 昌子君    森島 守人君       八百板 正君    岡田 春夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岸  信介君  出席政府委員         外務参事官   法眼 晋作君         外務事務官         (アジア局長) 中川  融君         外務事務官         (欧米局長)  千葉  皓君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         外務事務官         (条約局長)  高橋 通敏君         外務事務官         (国際協力局         長)      河崎 一郎君         外務事務官         (移住局長心         得)      石井  喬君  委員外出席者         外務事務官         (移住局渡航課         長)      広瀬 達夫君         専  門  員 佐藤 敏人君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢等に関する件     ―――――――――――――
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢等に関する件について政府当局質疑を行うことといたします。  これより質疑を許します。  なお高岡大輔君より沖繩問題に関し緊急に質疑したいとの申し出がありましたので、この際これを許します。“岡君。
  3. 高岡大輔

    高岡委員 この際ちょっとお伺いしたいことがあります。沖繩方々講和条約発効前の補償問題につきまして、いろいろと日本政府に陳情をしておられます。ところで一つこの際お伺いしたいのでありますが、申し上げるまでもなく、日本連合国に降伏の調印をいたしましたのが一九四五年九月二日であります。ところでその後マッカーサー司令部の方では、こえて一九四六年一月二十九日に行政分離令なるものを出しております。これによりまして、完全に沖繩日本内地から行政が分離されております。しかるにその後約六カ年を経ました一九五一年十二月五日に、これまたGHQの覚書として行政分離令解除がなされております。もっともこの間において、申し上げるまでもなく、サンフランシスコの平和条約が一九五一年九月八日に調印されております。さらにただいま申し上げました一九五一年十二月五日にGHQから行政分離令解除がありました後に、この平和条約が発効いたしましたのは翌年、すなわち一九五二年の四月二十八日であります。この間が約五カ月あります。従いまして、講和条約発効前の補償といいましても、この講和発効前の期間のうちには、ただいま申し上げましたように、最初の五ヵ月間と中間の六ヵ年間と、また最後の五カ月間というものには、行政上の大きな差のあることが見出されるのであります。この点につきまして、政府の方ではどのようにお考えになっていらっしゃいますか。この際この一点をお伺いたしたいと思います。
  4. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 お答え申し上げます。確かに一九四六年一月二十九日に日本行政分離命令が出ているわけでございます。従いまして、一般的に申し上げますと、行政分離になりましたから、それ以後は実際上日本政府としての施策その他については全然これが切り離されまして、従いまして、米軍米国当局責任がその間はあるのだと思っております。しかし責任の問題とまた補償の問題は、御承知通りいろいろ問題がございまして、平和条約第十九条の条文との関連において研究せらるべき問題だと思っておるのでありますが、今その行政権が分離せられる前とそのあとの問題でございますが、ちょっと問題が複雑になりますので、後ほどまた研究させていただきたいと思いますけれども、一般的に言いまして、行政権が分離せられているので、日本の方の責任はない。責任はないということと補償の問題とはまた別問題だと思っておりますが、その辺に関連しましてもう少し研究させていただきたいと思います。
  5. 高岡大輔

    高岡委員 私は研究なさる一つの重要問題だと思うのでありますが、ただいまの条約局長お話では、第三条と第十九条の問題だけに触れて御答弁があったのでありますけれども、私はむしろこの第三条、第十九条のほかに第四条もあわせ考えませんと、問題が解明されないのじゃないかというような気がするのであります。といいますことは、御承知のように海底電線等問題等がからんで参ります。そういったようなことにつきまして、政府としましては十分御研究を願いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  6. 高橋通敏

    高橋(通)政府委員 ただいまの件は、一つよく研究さしていただきたいと思います。
  7. 野田武夫

  8. 須磨彌吉郎

    須磨委員 私は簡単に一、二御質疑をいたしたいのでございますが、われわれの最も注目をいたしておりまする問題が多い中に、日韓問題というものが非常に浮び上ってきておる様子でございますが、金公使が最近来往いたしておりまして、それが何とはなしにわれわれの得ておる印象では、これが速急にきめられるような空気ができ上って参ったというように伝えられてもおるのでございますが、おさしつかえない限り、この事情をお示し願えると非常に都合がいいと思うのであります。
  9. 岸信介

    岸国務大臣 日韓の間の交渉につきましては、この委員会におきましても過般来御質問がありましてできるだけの御答弁を申し上げておるのでございます。金公使が最近韓国に帰りまして、本国政府と打ち合せた上ごく最近に東京にまた帰って参りました。その本国政府意向等につきまして外務省に参りまして報告をいたしておりまして、私ども最初から申し上げておるように、とりあえず釜山に抑留されておる漁夫を即時釈放して日本に帰すように、またこれと関連して韓国人大村収容所に収容されておる者も釈放する。そうしてこれが実現すれば、続いて日韓会談を再開して、そうして公正かっ現実的にこの両国の剛の諸種の縣案を会談によって解決するという用意があるという考えによって進んで参ったわけであります。そうして韓国側におきましても、大体わが方のこの根本の考え方は了承したようでありますし、収後の漁夫の釈放問題だけを切り離しての具体的の最後話し合いを実は今やっております。そういうふうに、会談中でございまして、まだ結論的にどうなるのだということを、この何におきましても申し上げる段階になっておりませんけれども、しかし私どもは、前途見通しとしては一応明るい希望を持って、この問題の最後交渉に今日当っておるというのが現状でございます。
  10. 須磨彌吉郎

    須磨委員 お話によりまして、御同慶にたえない次第でございますが、去年の春ごろも、この抑留者相互交換問題ということで妥結ができそうになったのでございますが、それがまぎわに至って支障を生じて、事かなわないようなわけでありました。ただいまのお話によりますと、大体めどがついて参った。どうか最後の場面においてもさような不一致の起らぬように、一つお願いをいたしたいのでございます。いま一つの問題は、けさのラジオによりますと、これは私はニューヨークのラジオで聞いたのでございますが、インドネシアとの賠償問題が、今や世界――と申しましては大きいかもしれませんが、非常に注目の的になっております際に、わが倭島公使が、向うに、連絡があるからというので呼び出されて、そして話をした要点によると、と言っても、伝えられるところでございますが、額の問題等についてでございましょうが――額については日本政府からも別段のことも出ておるとも私ども聞いておりませんが、ただ今までの焦げつき債権が一億七千万ドルでございますか、あるのでございますが、それは従来の日本の建前といたしましては、今度きめられる額からはそれは除外されて別途解決せらるべきであるというような従来の方針であったのが、そのラジオによりますと、外務大臣参議院における御演説かあるいは御答弁の中からとして伝えられるところによると、それは別途ではなくて一緒になっていくのだという御答弁があったことに関連をいたして、向う日本側のその意向確かめておるというような重大な報道でありますから、この際お差しつかえなかったならば、お確かめをいただきたいと思うのでございます。
  11. 岸信介

    岸国務大臣 インドネシア賠償問題の解決につきましては、私どもできるだけ早い機会にこれを解決したいという考えのもとに、過般のアジア太平洋公館長会議で倭島公使日本に参りました、そして帰任するに際しまして、向う事情等もよく聞き、また向う意向として察知せられておるところのものも、ある程度倭島公使を通じて私どもも聞きまして、この問題の解決に対して、とにかくインドネシア政府が従来よりもさらに一歩前進して、解決しようという意図があることを察知できるので、倭島公使に対しましては、従来よりも少し幅を持たした折衝の範囲を与えまして、なお一そう向う側政治情勢を十分検討することと、向う側意向をもう少し確かめ、もう・少し問題を煮詰めるということを訓令いたしまして、さらに最後決定はおそらく政治的な解決を要する問題があるだろうということを申し渡しておいたのであります。帰りましてから、いろいろと向う事情等につきましても、また向う側意向等につきましても、倭島公使からこちらへ報告が参っておりますが、その際に、もちろん賠償額賠償方法等についての具体的の当方側考え、対案というようなものを提出しているわけではございません。ただ今指摘になりました焦げつき債権というものをどうするかという問題については、すでにあのうち六千万ドルの問題については、当時大野君でしたか、はっきり向うの何との間に協定ができております。一億一千万ドルについては、協定は確定いたしておりますけれども協定か、それについての扱い方については、まだきまっておりません。そこで、この問題も、必ずこれを棒引きするとか、これを賠償の問題にからませてやるとかいうことをきめたわけでもありませんし、また絶対にこれをからませぬとか一これを全然別にするというふうにしてする必要もないし、その辺のことは、今度の倭島公使には少しゆとりのある考え方向う側意向を打診しろということにいたしておりまして、参議院におきましても、その必要によっては賠償問題にからまして、焦げつき債権というものを利用することも考えておるということを、実は私は答弁をいたしたのであります。それが現在の実情でございます。必ずこれを賠償にからまし、賠償の中に含ましてどうして解決するのだということをはっきりと申したわけでもございませんし、また従来のごとく、これを全然別にして処理するのだということにスティックする必要はないということを言った、そういう意味向う側意向を打診しておるというのが現状であります。
  12. 須磨彌吉郎

    須磨委員 それで判明いたしたのでありますが、私の質問要点も、この焦げつき債権というものがほとんど何かの形できまったことのように取り扱われておることは、将来の交渉一つの新しい基礎となるかと思いまして、その点を確かめたにすぎないのであります。  いま一つ、これは考えようによっては非常に小さな問題でございますが、最近私の得ました情報によりますと相当数の、四十名ばかりの日本人たちが、フランスに行く目的を持って旅券をとって参ったところが、それがインドシナを経由して中共に入っておられるというようなことを聞き及んだのでございます。たしか四十二名とかになっておる様子であります。今私ども中共との貿易等については、与野党みなこぞってこれの拡大を念じており、中共との関係については重大関心を打っておる際でございますが、そういうときにおいて、旅券の行先と違った方向に相当の人が入っておるということでありますが、これは外務省においてはどういう発給になっており、その事情はどういうことになっておりますか、一つ委員会に明らかにしていただきたいと思うのであります。
  13. 広瀬達夫

    広瀬説明員 ご指摘のございました日教組合そのほか四十一名でございますが、それらがフランス労働同盟の召請によりましてパリに行きたいという申請があったわけでございます。これは、日教組の中央執行委員長の方が昨年向うに行かれました際に、フランスの総同盟教育部委員との間、日仏教師の交歓を行うことにしたいという話し合いに基きまして、こういうような申請があったわけでございます。これに対しましては、招請状その他ギャランティの書類等を検討いたしましたが、要件を完全に備えておりましたの、で、本年の一月七日に一行のフランス行きの旅券を発行いたしました。これらの方々は、一月十四日エア・フランス機で三十二名の方がフランスへ出発されました。その際はバンコックまでの切符はリザーヴしてあったのであります。それからあと九名の方、これは参議院議員の方が一名、衆議院議員の方が二名、新聞記者の方が五名、そのほか法律顧問とおっしゃる方が一名、計九名の方がJALで直接香港おいでになりましたが、おそらく香港から中共にお入りになったのだろうと思います。これらの方については、新聞等に書き上げられましたので一応調べましたが、大体そのようにわれわれも確認しておるわけでございます。  これらの方のいわゆる横すべりについては、その申請書を受け付けまして旅券を発給する際に、そういう情報が入りましたので、フランス教員組合品との話し合いをつけてきた大鹿さんという方に、そういうおそれはないか中共(へいらっしやるとすれば当然中共渡航ということで御申請を願いたいという念を押しましたところが、絶対にないというお答えでございました。そこで旅券を発給いたしましたが、念のために教員組合に属していらっしゃる方々に対しては、所管官庁方面から中共方面にはおいでにならないという誓約書をお取りいただき、それから公務員の方は出張その他休暇の手続をとっていただいて、それの写しを添えて、われわれの力で旅券を発給したわけでございます。これらの方々についての横すべりの問題については、旅券法には何ら特別の規定がございませんので、今申し上げましたように、公務員の方については、それぞれ所轄官庁から公務員法に基いて処罰ということはあるいは考えられましようが、一般の方々について、法律に基く処罰という規定はございません。以上のようなわけであります。
  14. 須磨彌吉郎

    須磨委員 これをもって私の質問を終ります。
  15. 野田武夫

  16. 福田昌子

    福田(昌)委員 日ソ漁業委員会が開かれておるようでございますが、大体これまでの交渉の継走についてお話いただきたいと思います。
  17. 法眼晋作

    法眼政府委員 日ソ漁業委員会は去る十四日から開催されまして、現在までのところ本会議を四回と委員会を数回やっております。そしてこの会議を進めるにつきましての仮議事手続を採択いたしました。会議運営財政委員会並びに科学技術小委員会というのを設けまして、必要あるごとに小委員会で技術問題を取り扱う。それとは別に本会議を開きまして、本会議におきまして議事日程に従って議論を進めるということになっております。現在の段階はすでに日ソ双方とも相互の見解を出し合いまして、その見解について彼比応酬が行われておるという段階でございます。これが現状でございます。
  18. 福田昌子

    福田(昌)委員 日ソ両方意見が出し合わされている点につきまして、具体的に御説明いただきたいと思います。
  19. 法眼晋作

    法眼政府委員 その点につきましてはいろいろ新聞等には推測の記事が載っておりますけれども交渉中でございますので、日本がこう主張しておる、先方はこう反撃しておとるいったようなことの詳細につきましては、今しばらくの間述べることを差し控えさしていただきたいと思います。
  20. 福田昌子

    福田(昌)委員 その点お尋ねいたすことをやめますが、この委員会の結論は大体いつごろまでにお出しになりたい意向であるか、この点について一つお伺いいたします。
  21. 法眼晋作

    法眼政府委員 日本側ソ連側もできるだけ早く円満に解決したいという希望を表明し合っておりますので、双方としてできるだけ早くこれを解決するために努力中でありますけれども、何分にも双方の論じております問題はいろいろ技術問題でもあり、むずかしい問題でもありますので、現在のところ見通しはちょっと困難と言わざるを得ないと思うのであります。
  22. 福田昌子

    福田(昌)委員 むずかしいソ連との漁業問題でありますから、簡単にいくはずはないと思いますが、大体においてどの時期くらいまでに成立させたい御希望であるか、その点外務大臣にお伺いいたします。
  23. 岸信介

    岸国務大臣 ただいま法眼政府委員がお答え申し上げましたように、交渉中でございまして、前途のなにははっきり申し上げかねると思うのであります。ただ今説明を申し上げました通り日本側も漁期の関係がありますので、これは急いで決定しなければならぬ、ソ連側も同様にこの問題を早く解決して早く帰国するという希望を強く持っておりますので、目下のところ今月一ぱいにどうするとか、あるいは来月のいつまでという日にちを切ることはまだ適当ではないと思いますけれども、誠意を持ってできるだけ早くこれを解決する。幸いに両方とも早く解決するということ自体についての意見は完全に一致しているわけであって、それは決してかけ引きではなしに、両方ともそう思っているわけでありますから、できるだけ早く解決するということで、時日的にいつまでということは今申し上げかねると思います。
  24. 福田昌子

    福田(昌)委員 この委員会の小委員会である科学技術省委員会というものは相当重要な小委員会であろうと思うのでありますが、その委員会における資源調査、それからその適正漁獲量、そういったものについての双方学者見解というものは一致しているのでございましょうか、その点についての情報をお伺いいたします。
  25. 法眼晋作

    法眼政府委員 この点は一致している点が非常に多いのであります。と申しますのは、双方とも長い期間にわたってできるだけ多くの漁獲をあげて、しかもそれが長く続いていくということを基本にして考えておりますので、北洋における魚類の資源の保存するという必要につきましては、双方とも全く一致しているわけであります。ただ統計学上その他評しい点につきまして意見の出入がございますので、これは科学技術小委員会でそういうふうに調整をはかっていくという段階であります。事は学門的に研究していこうというのがこの科学技術小委員会目的一でございます。
  26. 福田昌子

    福田(昌)委員 昨年の河野イシコフ会談の後に、河野さんはソ連側の科学的な調査は驚くべきものがあって、日本側調査と比較して日本側の科学的な調査は必ずしも十分でないというような意味の御見解があったのでありますが、それに備えまして日本側科学的調査というものはどの程度達成されておって、日本側科学的資料というものをソ連側が了承しているのか、その点をお伺いいたします。
  27. 法眼晋作

    法眼政府委員 この点につきましては、河野農林大臣の御意見は御指摘通りでございます。それは過去十年くらい日本漁獲しなかった時期があるわけでありますから、そういう時期につきましては先方がある程度資料を多く時っている。それからまた魚をとりますことは、海洋と陸地双方関係する問題でございますので、先方陸地に関するもろもろのことについては、先方がたくさん資料を持っていることは当然でございます。しかしながら日本学者十分研究をいたしておりましてしかもこの研究というものは、常に共通の基盤を持っているわけでございますから、私はこの委員会はすべて円滑に進むものというふうに考えているわけであります。
  28. 福田昌子

    福田(昌)委員 この漁場でありますが、日本側の方はべ-リング海とオホーツク海の一定海域を指定されております。ソ連が漁をいたします場合にも同じ海域協定されているのかどうか、ソ連がたとえば黒竜江の沿岸漁業サケ・マスの漁をやっているしというようなことであれば条件が非常に違ってくると思いますが、その漁場の問題についてどういう話し合いをされておりますか。
  29. 法眼晋作

    法眼政府委員 この条約そのもの公海における漁業を規制し、これを発展させるという条約でございます。従って条約の対象は公海であるわけであります。ソ連側自分の方は漁業陸地でやるのだ、公海においてはやらぬ、こう申しているわけであります。先方は、自分の方は試験的に研究するために五十トンくらいとるのがせいぜいあるこういうこと申しているわけであります。従いましてさようなことにおいて御承知を願いたいと思います。
  30. 福田昌子

    福田(昌)委員 その点の追及が一番大切な問題だと思いますけれども、その点は重ねてお願い申し上げておきたいと思います。  この漁業委員会交渉クータレフ氏が来られましたが、チフヴィンスキー氏が漁業問題の代表だということで日本に来ておられたのでありますが、今日のチフヴィンスキー氏の立場はどういう立場になっておられますか。
  31. 法眼晋作

    法眼政府委員 これは先方代表団の構成でございますので、これをどう構成するかということは、もとより先方都合によってきまることでございます。しかしながら先方クータレフ氏は漁業専門家であります。日本側委員につきましても、われわれは漁業専門家ではございませんけれども外交交渉に関することでもございますので、私も委員の末席に連なっておるわけでございます。これは全く双方事情によってきまるものでございまして、先方漁業専門家、これに配するに外交専用家を持ってきておるということであろうと想像いたされます。
  32. 福田昌子

    福田(昌)委員 この委員会チフヴィンスキー氏も出席しておられるのでありますか。
  33. 法眼晋作

    法眼政府委員 その遮りでございます。
  34. 福田昌子

    福田(昌)委員 日ソ共同定言が成立いたしましてから後のこの北洋関係とまでいかないまでも、北海道、南千島、樺太沖近海漁業で拿捕されました日本漁船はどの程度ありますか。
  35. 法眼晋作

    法眼政府委員 現在まで末帰還漁船は九十二隻であります。未帰還漁夫は十一名でございます。
  36. 福田昌子

    福田(昌)委員 これらに対する拿捕漁船補償あるいはまた抑留船員の生活、あるいはまた内地送環の問題につきまして、政府はどの程度の交渉をされておりますか。
  37. 法眼晋作

    法眼政府委員 これは随時先方日本側とは帰還問題を交渉いたしておりまして、その結果たくさんの漁夫が帰って参りまして、現在十一名に減っているわけでございます。漁船につきましては、これは大部分の場合沿岸領海侵犯という問題に関連いたしまして、先方はこれを領海侵犯ということで拿捕いたしておるわけでございます。ですからこれは先方の判決によってきまってくる問題でありますので、これは抑留の返還を交渉しましても非常に困難な問題であることは御承知通りでございます。
  38. 福田昌子

    福田(昌)委員 これは全部領海侵犯ということで拿捕されておるのでございますか、それともスパイ嫌疑もあるのでございますか。
  39. 法眼晋作

    法眼政府委員 大部分領海侵犯ということでございますが、その間場合によっては先方はそういう理由を付しているということも事実でございます。
  40. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういう理由というのは、スパイ嫌疑で拿捕されている船、船員もあるということですか。  それとあわせてこういう問題は将来引き続いて、領海決定がなされない限り起って参る問題だと思いますけれども政府はこれに対しまして早急に何らかの取りきめをなさる必要があると思います。幸いソ連側からも大使が見えておられますし、これに対して直接交渉なさる御意思があるのかどうか、この点外務大臣から伺いたいと思います。
  41. 法眼晋作

    法眼政府委員 先方が場合によってスパイ嫌疑ということを申しておることは事実でございまして、抑留されておる漁夫の帰らぬ場合はその場合が非常に多いのであります。
  42. 岸信介

    岸国務大臣 領海問題につきましては、御承知通りソ連の主張とわれわれの主張、また国際法上一般に認められておるところとの間にも差異がございます。この問題についての交渉は従来もずいぶんやっておりますが、相当に困難が予想されます。しかし正式に国交回復し、両国で大使を交換しておるわけ、でありまして、両方の友好関係をさらに増進しようということは、両国とも衷心からこれをこいねがっておるわけでありますから、この問題については私は将来にわたってソ連側と十分交渉をして、そうして将来の漁業問題等における明確な線を出したい、かように考えております。
  43. 福田昌子

    福田(昌)委員 テヴォシャン大使もすでに来朝されておりますが、この大使とすでにそういう問題についてお話し合いになったかどうか。またこれは北海道の沿岸漁民にとっては重大な問題でありますから早急にそういう話し合いをつける、少くとも暫定的な領海の問題の解決をはかる御意思があるかどうか、この点重ねてお伺いいたします。
  44. 岸信介

    岸国務大臣 テヴォシャン大使着任いたしまして信任状を奉呈いたしましたのもごく最近のことでございまして、こういう外交上の問題についてまだ正式に何にも話し合いをいたしておりません。しかし御指摘のごとくこの問題はきわめて緊要な問題であり、特に現地漁民等は非常な関心を持っておることでございますから、できるだけ早い機会においてこの問題についての話し合いをいたしたいと思っております。
  45. 福田昌子

    福田(昌)委員 領海の問題、さらにはまたソ連抑留されておりまして行方不明になっておる者の調査、そういうことは急を要する問題だと思いますが、近いうちと申しましてもいつごろまでにそういう話し合いを出される御意思であるか、この点を大体御明示いただきたいと思います。
  46. 岸信介

    岸国務大臣 わが方のソ連駐在大使門脇大使も明日出発することになっております。門脇大使に対する私の方の訓令としても、大使館を設置すれば最も争い機会に第一に取り上げる問題として未帰還者の調査、これに対しては共同宣言においてもソ連側が協力することをはっきりさせておるのであるから、その問題をぜひ最初に取り上げてこれに着手するようにということを訓令してございます。なおこの問題をさらに具体的に進行せしめるために、大使館には厚生省のその他の専門家を大使館員として向うに駐在せしめる考えでおります。
  47. 福田昌子

    福田(昌)委員 その厚生省から派遣されます駐在官につきましては、ソ連側は了承しておるわけでありますか。
  48. 岸信介

    岸国務大臣 大使館員として出すのでありますから、もちちろんソ連側も了承をいたしております。
  49. 福田昌子

    福田(昌)委員 外務大臣並びに日本国民の中共貿易の拡大に対する要事に反しまして、アメリカ側は案に相違いたしましてココムの禁輸の強化を、非公式ではあるけれども日本に申し入れてきたということが伝わっておりますが、アメリカがそういうココムの禁輸の強化を日本に申し入れて参りましたその理由はどういうところにあるのか、ご説明いただきたいと思います。
  50. 岸信介

    岸国務大臣 これは禁輸の強化を非公式に日本に申し入れたというような意味では私どもは了解しておらないのでありまして、アメリカは禁輸を強化したいという意思を持って、ココムに参加しておる各国の意向を打診してみるというような意味で、わが方の意向を非公式に打診をして参っておるのであります。しこうしてわが方としては従来の考えをずっと堅持していくつもりでありますし、同時にアメリカが打診しております自由主義諸国のこの条約に加盟しておる国々の意向もわれわれはいろいろな情報をとっておりますが、アメリカ自身としてこういうことを考えたゆえんのものは、おそらく東欧問題等関連して、さらに共産圏諸国における戦力増加を抑えなければいかぬという考えのもとに出ているのであろうと想像はいたしておりますが、今申したように向うから特にわれわれの力に申し入れをしておるという強いものではないと私どもは解釈しております。
  51. 福田昌子

    福田(昌)委員 アメリカのそういう打診いたします根拠というものは、世界情勢のどういう点が特に影響したとお考えになりましたか。
  52. 岸信介

    岸国務大臣 今申し上げましたように、東欧、中近東等の最近の国際情勢に基いて、やはりあのアイゼンハワーのステートメント等と私は同じ考えのもとに立っておるアメリカの考え方、こういうふうに思っております。
  53. 福田昌子

    福田(昌)委員 東欧の問題もさることながら、中近東に対しまする最近のソ連及びアメリカの関心というものは非常なものがございますが、中近東に対しまして日本はそれだけの大きな政治的な立場に立ってもおりませんけれども日本政府としても中近東に対するもう少し積極的な対策というものがなければならないと思いますが、中近東に対する国々の中で、これまで国交調整がなされておる国、そういった国国とどの程度の貿易がなされ、交流ができておるか、そういう点についての御説明をいただきたいと思います。
  54. 岸信介

    岸国務大臣 中近東の問題につきましては私どもも非常な関心を持ち、特に貿易を増進し、それから経済協力を増進するという経済外交の面におきましては、特に力を入れていきたい考えのもとにいろいろな施策をしておりますが、一月にもこの中近東の公館長が集まりまして互いに情報を交換し、また今後の対策等もこの会議において話し合いをいたして連絡をとっております。またわれわれが期待するごとく、いろいろな経済関係、貿易関係の増進はできておりませんが今後におきましては、私ども相当日本の経済的な活動の範囲がこの方面に求められるものである、また求めていくようにしなければならぬと思います。今までの数字等につきましては政府委員より説明します。
  55. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 中近東との貿易の数字でございますが、一九五五年に中近東全体に対して日本からの輸出は一億一千万ドル余りでございます。これに対して同地域からの輸入は一億九千万トル、昨年ままだ十二月までの分についてはこまかい国別の分類の整理ができておりませんが、一月から六月までの上半期は、日本からの中近東全体に対しての輸出が五千四百万ドル、輸入が一億三千三百万ドルでございます。ここにあげました数字は、アフガニスタン、イラン、イラク、バーレイン、ヨルダン、シリア、レバノン、イスラエル、サウジ・アラビア、イエーメン、アデン、クワイト、トルコ、エジプト、リビア、スーダン、その他こまかいところ、そういうふうに分けてございますから御必要であればこの数字を全部申し上げますがいかがでございますか。
  56. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういう国々の中で国交調整ができていない国がございますが、そういった国々で今年度はどの程度の国交調整をなさる御意思であるか、その点が一つと、もう一つ外務大臣は国会明けに東南アジアにお出かけになるということを御言明なされております。大へんけっこうなことだと思いますが、その際さらに中近東に向っても訪問される御意思があるのかどうか、東南アジア及び中近東に行かれるのであるならば、その国々の名前をお示しいただきたいと思います。
  57. 法眼晋作

    法眼政府委員 日本と国交開始をしていない国はイエーメンという国でございます。しかしこれも国交開始を交渉中でございます。
  58. 岸信介

    岸国務大臣 私は外務大臣としては、今後国会等のどうしても国内において重要な国務に携わらなければならぬ時期を除いては、できるだけ広く諸外国との商にこちらから出て行っていろいろな問題の解決をはかりたい、こう考えておりまして、その第一に私の最も強く考えておるのは東南アジア諸国、これはいろいろな関係におきまして、相当に具体的に私ども長い間懸案の問題を持っておりますし、そういう問題の解決にも資したいという意味において、東南アジアというものを第一にあげたわけであります。しかしさらに私の時間が許すならば、中近東の方面にもぜひ参りたいと思いますけれども、今のところはまだそこまで直ちに国会明けに行くという計画までは持っておらないのであります。
  59. 福田昌子

    福田(昌)委員 東欧諸国との国交調整も盛んになされつつありましてまことに喜ばしいことと思いますが、たとえばユーゴとかポーランドとかチェコというものは国交調整ができておりますが、さらに年内にはどういう国々と国交調整をなさる御意思であるかどうか、この点もお聞かせいただきたいと思います。
  60. 岸信介

    岸国務大臣 現在のところ具体的にまだきまっておりません。
  61. 福田昌子

    福田(昌)委員 外務省の予算の内容を見ますと、在外公館の関係の予算は多少増額されておりまして、三公館が新設されるようになっておりますが、その新設される国はどこどこであるのか。こういう東欧諸国とかあるいはまた中近東のこういった国々の国交調整後に起って参る在外公館の問題は、ことしの予算書の中に含まれておるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  62. 法眼晋作

    法眼政府委員 その三館はソ連、イスラエル、マライでございます。ソ連は経過年度中は予備費で作っていたわけでございますが、新年度から新しく作るわけでございます。
  63. 福田昌子

    福田(昌)委員 そういたしますと、ポーランドやチェコの在外公館の問題は、ことしは考えられないということでございますね。
  64. 法眼晋作

    法眼政府委員 これは当時まだ交渉中でございましたので、予備費から支出いただけれはありがたいということで、予備費で支出を交渉するつもりでございます。
  65. 福田昌子

    福田(昌)委員 マッカーサー大使がおいでになっておられますが、この大使との御会談においてやはり一番に問題にしていただかなければならないのは、中共関係のココム、チンコムの制限緩和の問題で、あろうと思います。あるいはまた当面の久保山未亡人の渡米の問題あるいは瀬長那覇市長の日本に来られるに当っての旅券問題等、ぜひお話しいただきたいと思うのでございますが、こういう点を早急にお話し合いなさる御意思なのかどうか、この点が一点と、それから先ほどアメリカ側はココムの禁輸制限について強化したい意思を持っておるというお話でありましたが、しかしアメリカの国内におきましても、たとえばグリーン上院外交委員長なんかは、アメリカの政府がいつまでもこういったココムの制限を強化するというような、そうしてまた中共を承認しないというのは意味がわからないということを、ラジオ放送をいたしておりますが、そういう意向がアメリカ側にある。あるいはまたフォード二世がデトロイトで全米自動車会社の総会において、ココムの制限緩和ということは当然やる必要があることだということを主張しております。が、そういったアメリカの朝野のココム禁輸制限に対するアメリカ政府側の態度を批判いたしましたことに対しての日本政府としての取り上げ方、そういう点を早急にマッカーサー大使とお話し合日いいただきたいと思うのですが、そういう御意志があるかどうかという点と、あわせまして、時間がございませんので重ねて続けて御賛同させていただきますが、賠償問題でございます。外務省の予算を見ますと賠償関係の特殊債務の処理費といたまして、昨年度より増額いたしております。昨年度百億前後であったものが二百十五億かの予算が組まれておりますが、その二百十五億に増額されました、つまり昨年度より百十五億増額されておりますが、何のために増額されたか、その内訳につきまして御説明いただきたいと思います。なおその中には今問題になっておりますインドネシア賠償とか、あるいはヴェトナムの賠償なんかも多少考慰されて含まれているのか、そういった対外債務に対する現在の支払い状況と、本年度における大体の目安というものの御説明をいただきたいと思います。
  66. 岸信介

    岸国務大臣 東京に駐在のアメリカのマッカーサー大使はごく最近着任いたしまして、目下信任状奉告の手続を宮中の御都合を聞いて進めておるような状況でございます。従って今日までまだそういうことを話し合う機会もなかったので、ありますが、しかしせんだって私に面会を求めた際にも、今後一つ率直に話し合って、日米関係を調整しようということを言っておる。そういう趣旨に基いていろいろな問題を調整するようにしようというあいさつは交換いたしておりますので、今御指摘になりましたような問題はもちろん、その他の点に関しましても、広く日米間の諸問題について十分に話し合って、日米間の状況を調整したい、こう考えております。  なお賠償費の問題の詳しいことは、政府委員よりお答えいたさせます。
  67. 中川融

    ○中川(融)政府委員 来年度の賠償処理費の予算でございますが、今年度に比べまして相当額増額されておりますことは御承知通りでございます。これは従来すでに実施中でありましたビルマとの賠償のほかにフィリピン等の賠償が今年度は全部支払いとなって――全部というのは一年を通じまして支払いになりますので、この分九十億を全部計上しております。そのほかインドネシアも大体来年度前半ぐらいまでにはあるいは片づくのではないかということを予想いたしまして、若干額を見込んでおるのでございます。そのほか各国とのいろいろの債務処理の問題がございますが、これらは金額的にはそう大きなものではございませんが、いずれもこれらが解決しても差しつかえない程度のゆとりを持って賠償処理費を計上してございます。
  68. 福田昌子

    福田(昌)委員 インドネシア賠償費も多少含まれているということでありますが、お差しつかえなければどの斜度のものを今年度は考えておられるのか、その点をお示し願いたいと思います。  それから外務大臣にお願いしたいのでございますが、マッカーサー大使とお会い下さいますときに、やはり当面の最も大きな問題となるのは、沖繩の農地補償の問題だと思いますが、こういう点につきまして強い申し入れをしていただくことと、それからまた施政権の返還、こういう点に対して堂々たる御主張をお願い申し上げたいと思います。
  69. 中川融

    ○中川(融)政府委員 賠償費の点ございますが、インドネシアとの賠償は、今年中にあるいは片づくのではないかということで、ある程度見込んでおりますが、具体的にそれでは何十億を計上してあるかということにつきましては、これは賠償処理費を全体の項目として結局政府が処理するということになりますので、的確に何十億ということはきめていないのでございます。しかし賠償問題が片づきましても十分差しつかえない程度を見込んでこれは計上してある、このように御了承願いたいと思います。
  70. 福田昌子

    福田(昌)委員 時間がございませんので、簡単に質問させていただきますが、移民の問題です。この人口過剰な日本においての移民政策というものは、毎年大きな国会の問題となるのでありますが、ところが予算の上から見ますと、人口に関する問題を取り扱いました予算関係の費用あるいはまた移民の関係の費用につきましても、まことにささいに過ぎるのでございます。ことしも移民関係の費用として多少の増額はあるようでございますが、大体政府は移民に対しましてどういう御構想を持っておられるのか。終戦以来この十年間に大体日本人がどのくらい諸外国に移民したか、その数と今後の見通し、こういう点についての御説明をいただきたいと思います。その点が一つ。  もう一つは、最近盛んに中南米、ことにパラグァイとかボリビアとか、そういった国々からの日本人の受け入れ問題が出ておりますが、そういう国々に対してもう少し積極的に移民政策をおとりいただきたいということ。なおボリビアやパラグアイの状況につきましておわかりになっておる点があったらお知らせいただたいきと思います。そのほかカンボジアの移民計画も昨年から問題になっておりましたが、向に進んで参らないように思います。そういう点、あるいはまた最近新聞に出ておりましたようなアフリカのリベリアの移民とか、そういった点についてもう少し政府の積極的な政策が望ましいと思うのでありますが、それらについての具体策。  さらにこういう移民はえてして労働移民でありますが、日本の海外発展ということを考えますと、やはり技術移民というものが非常に大切だと思うのです。そういった技術移民に対してもう少し枝極的な政策をおとりいただきたい。技術移民にもいろいろありましようが、たとえば医師、歯科医師、薬剤師、ことに医師の海外渡航というものは非常に希望者が多いのであります。そういった人たち希望に燃えておりながら、技術移民の形でなかなか外国に行けないというような点に対しまして、政府の積極的な政策を要望したいのでありますが、そういう点について一括してお答えをいただきたい思います。
  71. 岸信介

    岸国務大臣 移民問題が非常に、重要であるという福田委員考え、私どもも全然同感でございまして、従来もいろいろ移民を進めていくという政策がとられておりますが、私が外務大臣に就任いたしましてから、特にこの移民問題は重要な一つの私の目標として取り上げてカを入れていきたいと思っております。もちろん現在の情勢から申しますと、私どもが積極的にやっていきたいと考えておる目標から見ますと、よほどまだ遠いものでございますけれども、この問題はあらゆる国々の受け入れの情勢とにらみ合せつつ、広く世界の各国にできるだけの面において努力したい、こう思っております。  具体的なことにつきましては移住局長から御答弁を申し上げます。
  72. 石井喬

    ○石井(喬)政府委員 私からお答えを申し上げます。本年度の移住振興費一切を含めて、八億二千万円でございます。そのうち六億二千万円が渡航費の貸付金ということになっております。そのほかに御承知のように海外移住振興株式会社に来年度十億の出資金を見ております。それから私どもは大いに移住を振興したいと考えておりますが、現在のところ一番隘路になっておりますのが輸送力の問題でございまして、この点で来年度におきましては第十三次造船で移住船が一ぱいできるという見通しがついた次第でございます。  それから終戦後どのくらい国民が外に出ておるかというお話でございますが、計画的に政府が移住を推進いたしましたのは、昭和三十七年の十二月以後でございまして、それ以来渡航費を貸し付けまして、外に出しました人間の数が一万二、三千人に通しております。そのほかに実は向うにおります在留邦人が、自分の親戚知友を呼びました数が相当数に達していると考えられるのでありますが、これにつきましては正確な統計はできておりません。私どもは一応一万近い人が行ったのではないかという推定をしている程度でございます。  それからボリビア、パラグァイの現状でございますが、ボリビアにつきましては、御承知のように昨年度移住協定ができまして、五年間に一千家族または六千名というワクがきまりました。従いまして来年度以降そのワク内で大いに出したいと考えております。ただ問題はボリビアの場合には、日本人は入れてくれますけれども、ボリビア政府の財政状態からいたしまして、日本人のためにいろいろ施設をすることができないということになっておりますので、それは私どもの方で資金を調達しなければなりません。その点でなかなか急に大量には望めないのではないかというふうに考えております。パラグァイにつきましては、これは昨年度以来盛んに人が出ております。来年度私どもは四百家族くらいをここに出したいということで、目下交渉を進めております。大体そのワクで来年度送り出せるというふうに見ております。パラグァイにつきましては、御承知のように日本海外移住振興株式会社が一万四千町歩の土地を買いまして、そこに施設をして人を入れるということになっておりますので、これは安心して大いに出せる、また地味も非常によろしいということで、大いに行くと考えております。カンボジアにつきましては、一時向うからいろいろ申し出もございましたので、私ども調査したのでございますが、ここに大量に人を出しますためには相当研究と準備が必要であるという観点からいたしまして、急に大量に出すことはしばらく控えた方がいい、準備を十分にしてからというふうに考えている次第でございます。  それから技術移民の問題でございますが、これも私どもは大いにやらなければならないと考えて、いろいろ考えております。だた医者の問題でございますが、医者につきましては、ことに中南米諸国におきましては、日本の医師免状をそのまま向うで認めくれておりません。従いまして向うに参りましても十分な活躍ができない。ただパラグァイ、ボリビア等におきましては、もし日本人のたくさん入りましたところに現地の医者がいなければ、現地限りの開業は認めるということを言っておりますので、その範囲内では私どもは送り出そうと考えております。しかしこれは今後の問題でございまして、向う側交渉して、できれば日本の医師免状が向うで通用するようにしたいというように考えておりますが、なかなかむずかしいかと考えております。それ以外に技術者を送ることもいろいろ研究いたしておりますが、この点で一番困りますことは、実は技術だけを出しました場合、従来いろいろやったこともあるのでありますが、向うの会社なり何なりが、技術を習得いたしますと、その人間が追い出されるという結果になることが多いのでございます。今後は技術にある程度資本をつけまして、一つの企業として出すことが重要ではないかと考えております。ただ企業として出します際の一番むずかしい問題は、言葉の問題と現地の商習慣の問題でございます。やはり現地の相当な有力者との結びつきを考えてやらないと、なかなか企業として進出できない。しかし企業の進出ということは非常に好ましいことでございますので、私どもの方でもいろいろ具体案を考えている段階でございます。
  73. 福田昌子

    福田(昌)委員 時間がないのに大へん恐縮でございますが、簡単に一、二点続けてお伺いいたします。英国のクリスマス島における原爆実験禁止につきまして政府は再度中止の申し入れをしていただいております。大へんけっこうなことでございます。これに対して英国側から何らかの回答がありましたかどうかという点。それからさらに、原爆実験による放射能被害というものは、今日世界の大きな話題になっております。こういう被害について国連にその被害状況の調査を求めるというような御意見もありましたが、国連に対するそういう被害調査の要求をされておられるのかどうか、それからもう一つは、この実験中止の申し入れをなさると同時に、もし英国が強行して、その申し入れを無視して、実験いたしました場合には、被害はあげて英国政府責任であるということの申し入れもされておりますが、それに対しての回答があったかどうか、この点もあわせてお尋ねいたしたいと思います。御承知のように、今日のこの原爆実験による被害というものは、世界の各国で大きな話題となっており、この四月にはジュネーブでこれに関する医学者会議が持たれようとしております。ストロンチューム九〇が人体の骨に付着いたしまして、この許容量を超えますときには、白血病その他の重大な疾病を引き起すことは御承知のところでありますが、そういうことに対する世界学者見解も発表されておりますし、またさらには、こういう情勢が続けば、世界にはたくさんの奇型児が生まれるというようなことが指摘されておるのであります。こういう重大な問題、ことに日本はその被害をこうむりました世界最大の国でありますから、そういう意味合いからいたしましても国連に向かってこの調査の完璧な報告を求めるということは当然であろうと思います。そういうことに対する外務大臣の御見解を伺いたいと思います。  それから続けてお尋ねいたしますが、金公使がお帰りになりまして、日本抑留漁船漁夫の送還問題が近いうちに解決を見そうにある状態だという御答弁でありました。御努力を大へん感謝いたしますが、その点重ねて早急におはかりいただきまして、一日も早く抑留漁夫方々日本に送還されるよう、お骨折りいただきたいと思います。それとは別個の問題になりますけれども日本の生活保護法のワク内で、第三国の方々相当日本政府の予算の範囲内で、生活保護費の至急を受けております。そういう方々が、朝鮮の方には大体何名か、その他の国の方々が大体付名くらいおられるか、そういう調査、もいただきたいと思います。それと関連いたしまして、日本人で外国におってそういう生活保護法的な援助を受けておる人が大体どれくらいあるのか。こういうような国内の生活保護法なるものが、第三国人に対してまでもそういう援護の措置をとるということは、法律の建前として正当なものであるかどうか。あるいはまた、これは国際慣例に従ってそういうことをやっておるのかどうか、こういう点もあわせてお伺いいたしたいと思います。  それから続けててお伺いいたしますが、防衛分担金が、ことしは防御庁の予算で予算折衝の関係日本の防衛予算が八億ふえたから、四億減ったというお話がありましたが、そういう防衛分担金の日本の支払い額の中から、たとえばアメリカの駐留軍関係の兵隊から被害をこうむった場合に、保証金あるいは見舞金として日本の国民に支払われる分があると思いますが、そういうワクは大体どのくらいの程度のものであるか。さらにまた、こういう防衛分担金の削減というものが、日本の防衛関係経費の増額の二分の一だけが減額されておるということがあればいったい何年かかってこの防衛分担金はゼロになるお見通しであるか。たくさんお伺ねいたしましたが、こういう点も重ねて御答弁いただきたいと思います。
  74. 岸信介

    岸国務大臣 イギリスのクリスマス島で行う原水爆実験に対しての抗議は、最初どもはこれを中止するように強く要望したのでありました。これに対してのイギリス側の回答がございましたので、さらに押し返して、われわれはなおこれを繰り返し、同時にもしもイギリスがわれわれの意思を無視してこのものをやるならば、これから生するところの被害についてはあげてイギリス政府責任であるという申し入れをいたしたのでありますが、これに対する回答は――二回目のわれわれの申し入れに対する回答にはまだ接しておりません。なおこの実験がやられる場合における、それのいろいろな影響、被害の調査につきましては、日本の原子力関係の学名その他におきまして、これを調査しようという意図もあるのであります。ところが行われる高度等からいたしまして、これの被害調査と言うものは技術的に学問的にまたよほどむずかしい問題が幾つかあるそうであります。従ってそれらのことについては原子力関係学者その他におきまして研究して、そうしてこれの調査に当りたいという希望を持っておられるそうであります。国連に申し入れということは、お話通りわれわれは国連がやはりそういう問題を取り上げて十分に研究していくということは将来も必要であると思いますが、現在のところにおいては、国連にあるそれらの機関は各国からいろいろな資料を出してもらって、その資料についていろいろな研究をするというような組織になっておるようでありまして、現地に出かけていって、もしくはそれ自身が調査隊を出して研究する、調査をするというふうな程度にまでまだ機構が充実しておらないように聞いております。従いまして国連の申し入れにつきましては、私は趣旨においては至当であると考えますが、一つ十分研究して対処したいと思います。  それから生活保証の点につきましては、外務省にまだ今のご質問答えるだけの資料がないようでありますから、厚生省等と打ち合せまして、次の機会にお返事することにいたしたいと思います。  それからなおもうひとつ、駐留軍防衛分担金に関連して、駐留軍の日本に対する補償の問題につきましては、これは調達庁の関係でありますので、これも一つ連絡をしまして,お答えすることにしたいと思います。  防衛分担金の総額の問題につきましては、日本が防衛費を増額した場合において、その増額分の半分を減額するということになっております。何年後にこれをゼロにするつもりかという御質問でございますが、今日のところ何年後にということは申し上げかねると思います。と申しますのは、われわれに国防会議にかけられた日本の長期防衛計画というものがまだ立っておらないのです。これは現在至急に研究しつつありますが、研究してそれが立ちますと今のご質問に対してのはっきりしたお答えができると思いますが、現在のところはちょっとお答えをしかねるという状態であります。
  75. 福田昌子

    福田(昌)委員 防衛分担金の中の人体三百億程度が合衆国に交付されておりますが、それはおもに合衆国軍の中でどういうものに使われているのか、それだけ一点伺いたいと思います。
  76. 千葉皓

    ○千葉政府委員 駐留軍施設の維持そのものはわが方でやりますけれども、駐留軍の施設の管理、その他駐留軍そのものの維持に要する諸経費に充当されておるわけでございます。その詳細は資料がございますので、もしお入り用ならば後に提出させていただきたいと思います。
  77. 福田昌子

    福田(昌)委員 それを出していただくようにお願いいたしまして、終わります。
  78. 野田武夫

    野田委員長 森島守人君より関連質問の申し出がありますこれを許します。簡単に願います。
  79. 森島守人

    ○森島委員 ただいま移民行政の問題について大臣からお話がございましたが、この点についてちょうど移住局の方もお見えになっておりますから簡単にお伺いします。いずれ詳しいことは別個の機会に譲ります。  昨年移民振興会社ができましたときは、大臣もご承知だろうと思いますが、農林省、大蔵省との事務当局の間に相当意見の食い違いや確執があったことは御承知通りであります。しかるに昨年から農林省の側においては再び農業協同組合のような形式で、農家の二、三男を移住させるということで何か対策が行われておるようです。この点についても外務省との間で相当大きな意見の食い違いがあったように聞いております。結局これは移住振興会社が一元的に移民行政を行なっていくという点から見まして、まことに国家のためにとらぬところである。この経過がどうなっておるか、また農林省としてはこの種の協同組合や何かに補助金をお出しになる意向があるかないか、いかが決定しておるか、その点だけお伺いしたい。
  80. 石井喬

    ○石井(喬)政府委員 昨年農林省が例の農業協同組合系統で拓殖農業協同組合というものを各府県に作り、中央に、その全国団体を作ろうとする動きがございましたことは御指摘通りであります。これは私の方から申しますと、まず第一には、何か農業協同組合というような国内組織で日本の過剰人口を押し出そうというような印象を与えることは対外的におもしろくないということと、もう一つは、一昨年の閣議で海外協会連合会という団体をして内外一元的にこの実務を行わせるという決定がございました。この二点からいたしまして、私どもは徹底的に反対いたしました。しかしこれは農林省の見解によりますれば、農業協同組合法によるものであるから、農林大臣限りの許可でできるのだということで設立されました。その後私どもと農林省の首脳部と話をいたしました結果、今のところは農林省と外務省話し合いでは、拓殖農協は海外協会連合会でやる仕事のもう一つ前の段階をやる、すなわち募集、選考は地方の海協がいたしますが、それに対する移住者の推薦と財産整理をやるのだということで、今のところはそういうことでやっておりま。実際のこころはもう少し幅の広い動きを示しております。それから振興会社の一元的云々は、これは海外の問題でございます。当初拓殖農協は海外において土地を買ってそこに県人を入れるのだという思想で参りました。しかしこれは今の日本の経済状態からいたしまして、振興会社も外に土地を買う、拓殖農協も外に土地を買うというようなことはできないと思いますので、私どもの方では外の方は振興会社にやらしたらどうかという話をいたしました、農林省の首脳部といたしましては、そういう線でやる、外の仕事は考えないという考え方で進んできておるようであります。拓殖農協の宣伝をいろいろ聞いておりますと、そういうところまでやるのだということも言っておりますけれども、これは実際問題として私はできないのじゃないかと考えております。  それから補助金の問題でございますが、この点は私よく聞いておりませんけれども、本年度の予算は拓殖農協に対する補助金はつかなかったと聞いております。ただし拓殖農協の今後の動きをよく見まして、出すべきものであれば来年度は出すように考えようということを大蔵省は言っておるというふうに聞いております。
  81. 森島守人

    ○森島委員 そういうふうに話し合いがついておればともかくも何とかいくのだろうと思いますが、これは相当に深いところに根のある問題であって、今後注意しなければ移民行政が二元的に行われる危険が多分にありますから、この点は外務大臣としてもよく心にとめておいていただきたい。いずれ詳しいことは別個の機会に御質問いたします。
  82. 岡田春夫

    ○岡田委員 資料の要求をいたします。国連の各種機関の全体と、それから日本が入っている委員会、あるいは入ろうとしている委員会の一覧表を作って出していただきたい。河崎さんにお願いします。
  83. 河崎一郎

    ○河崎政府委員 ただいまご要望の資料は、できるだけ早く作成いたしましてお手元に差し上げます。
  84. 野田武夫

    野田委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会