○植原
委員 十分御
研究をなさって外務省を構成している幹部の方にも、ほんとうにまじめに
考えていただきたい。今の制度では、これはほんとうの通商官の意味をなしません。
さらにもう
一つ質問を申し上げて御
意見を伺っておきたいと思いますことは、大使館であります。私は専門の
外交官の方には深甚なる敬意を表します。多年外務省に勤められて、専門の道に明るい方を私は排撃する意味ではありませんが、少くとも
日本の
外交のキー・ポイント、言いかえるならば米国とか英国、インド、
ソ連とかいうようなところには、かなり政治的な感覚の鋭い、哲学的な、政治的に透徹した、
世界の
情勢がすわっていてもわかるくらいの大人物を据える覚悟でなければ、外務省育ちの人では私はだめだと思う。外務省育ちの人を排撃するわけではありませんが、これは事務的にトレーニングされておるから、事務的なことになってしまう。なぜ私がそういうことを
考えるようになったかといいますならば、昨年私は英国に行ってましたが、英国の国論は変っております。英国の方からみずからインドの問題でもシナの問題でも
ソ連の問題でも、
日本と腹を割って話したいという気分が英国の政界に満ちておりますけれども、事務的の
外交官ではその日その日に追われております。だからして英国がアジアに、極東に、
ソ連に、米国にどういう
考えを持っておるかということまで、ほんとうに目は届きません。だからしてここにはかなり政治的の感覚の鋭い、大きな人間を持って行く必要があるのではないか。そうしてその下に商務官を置く。日常のマンチェスター問題がどうなったとか、スエズ・キャナルの問題がどうなったとかいう事務は、商務官的な
外交官のりっぱな人にやらす。また米国について申してもそうだと思う。何もジョージア州とかノースカロライナにおける
日本の繊維の問題にしても、大使が出かけてどうこうするというのではなくて、そんなことは商務官か事務官にまかせてやらせる。
沖縄の処置をどうするとか、台湾の処置をどうするとか、
中共の処置をどうするとか、今
世界の問題になっておるところの
ソ連と米国との極東における
考えはどうかというようなことまで透徹するには、
世界の
情勢に通ずるような政治感覚の鋭い人間を持ってこなければならない。そういうことに対しては事務的な人間ではいかぬ。そういう
考えで、少くとも
アメリカとかインドとか
ソ連のような
日本の
外交上のキー・ポイントにはそういう人間を置く。もし大使館として置くことができなかったならば、遊動隊で置いてもよろしい。ただ
外交的の事務をとって、ジョージアの繊維の問題が行き詰まったから、そこに大使が行って相談する。そんなことを
考えているようなことでは、ほんとうの今日の
世界的
外交はできない。そういう人間を配置しておいて、そうしてその下に英国で置くような、二十年、三十年語学に通じたような人間を置いて、商務官制度を作って、
経済問題はそれらにハンドルさせるようなことをしてはどうか。そういう人ならば、米国の大学を出たような人間にいい人間があるでしょう。外務省で門戸を閉ざさないでそういう人間を特別に任用して用いてもいいが、もう少し外務省全体が旧套を打破して、この
世界のラジオ、飛行機、テレビ等、こういう世の中に処するような状態に
外交陣営を
考え直されてはどうか、こういうことであります。これは
一つぜひお
考えを願いたいが、お
考えがあるならば、この際伺っておきたい。