○神田国務大臣 中山
委員が今お尋ねになられまして、いろいろ例をおあげになられましたが、これは外交上の機微に触れたことでございまして、いろいろ相手国の
国民感情といいますか、そういう、そのときそのときによって、いろいろの
考え方をお持ちになることはあり得ることと
思います。そこで今、具体的な問題として、
ソ連においてはそういうように
考えられたこともあったやに記憶いたしておりますが、今日これが解消したことは、両国のために慶賀にたえないと
思います。
中共の場合におきまして、そういうような
考えで残っておるかどうかということにつきましては、私は必ずしもそういうふうに
考えておらないのでございまして、あるいは甘いというようなことをおっしゃられればそれまでのことでございますが、私もたびたび
中国に渡ったこともございますけれ
ども、何しろ広い土地でございます。新政権ができて、非常に有利なことがいろいろわが国に伝えられておるのでございますが、私のかつて数回渡った経験によってみると、これは為政者にえらい人がいても、あの大国、しかも近代国家としてようやく踏み出した程度の国ですから、
日本で私
どもが外国人を見ているようなふうに、そう徹底した
調査といいましょうか、そういうことがむずかしいのじゃないだろうか。むしろ
中国は、自分の国の建設に追われているのじゃないか。新政権下、しかもああいう広大な全領域にわたって大きな息吹きをさせ、新興国家を作ろうというのでございますから、わが国にとってみれば、今の未
帰還者の
引き揚げの問題、あるいは
遺骨収集の問題というのは非常に大きな問題でございますが、中田側では、わが国の
国民感情として全
国民が
考えているのと比べた場合、むしろそういった相違があるんじゃないか、これは私の
考え方でございますが、そういう気がいたすのであります。そこで、
国交回復ができておらない、これは今日の国際情勢からいって、岸外相が述べておられるように、正式
代表を出すということについても困難のある点は御了解願えると思う。そういう
状態にあるとすれば、この際新憲法下のわが国の
国会並びに
国会議員あるいは
委員会等は、三権分立の上からいっても、最高の機関なんですから、その
方々が
国会を
代表して行くということになれば、やはり
政府代表と何ら遜色ないということを、私の良心から言えば確信しているわけでございまして、むしろ
国民外交といいましょうか、
国民全体が視野を広く、国のために共同の成果を上げるように
努力するのだという
意味からいえば、非常に御苦労し、また御研究されておるこの引揚
委員会の
方々があちらへおいでになられ、全く
人道問題として
日本の
国民感情というものも虚飾なくぶちまけておやりになっていただくことこそ、むしろ私は日中外交、日中親善の展開されていく大きなくきびになるのじゃないか、こんなふうに
考えている一人でございます。
政府が
国会からおいでになられる
方々に全権を与えることができなかったとか、そういう問題をどうこうという以上に、
国会の自主性をもって、そして
委員会の権威をもって、
国民外交をしていただく、それによって大道が開ける、
政府が次の手を打てるというようなことになれば、今後の
日本と外国との
関係について私はむしろ明るい
希望を持てるのじゃないかという気がいたすのでございます。そういう
意味において、先般来、
委員長及び当
委員会の
方々から引揚
委員会の
意向というものを了承いたしまして、私も
一つできるだけ進んでお願いいたしたい、厚生大臣としてできるだけ
協力をいたそうというようなかたい
気持をもちまして、閣議等におきましても実はしばしば御披露いたしておるようなわけでございまして、特に昨日の閣議でようやく
政府側も
考えがまとまったわけでございます。