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坂元参考人 給与の比較と申しますのは、全般的に非常にむずかしいわけでございます。たとえば、人間が何人いて、平均
ベースが幾らだというような比較はできるのですが、そういうような美質上の
給与というものは、あまり問題にならぬのじゃないかと思います。一番いい比較といいますのは、私が幾らであいつが幾らだというのが最も適切な比較じゃないかと思っております。そういう点で申し上げますと、前々から見せかけ上の
給与は確かに
公務員や何かよりはかなり——かなりと申しましても、パーセンテージで申しますと、同じような構成の人を
考えますと、平均して一五%くらいいいのじゃないかと思います。ところが、実質の面を
考えますと、とかく私
どもは常に
公務員と比較されるのですが、
公務員の受けているような特典は何もない。まず第一に恩給というものがない、共済
組合的なものがない、身分保障的なものもない、しかも今問題になっているような
厚生面までわれわれが今になっても要求しなければならない状況になっておる。そういうことを
考えたときに、前々から
給与が低い低いという問題があったときに、いや
厚生面でよくするのだということで押えられてきているわけです。
給与の面だけについて申し上げますと、これは実は財団として発足しましたときからのいきさつがあるわけでございますが、非常に中での
アンバランスがある。すなわち役職級以上の者になると、かなりいい
給与である。ところが、実際第一線で働いておるわれわれ級以下の者が比較的低い。
公務員の線とこっちの線を比べてみても、はっきりどこでどうだというようなことは申し上げにくいのでございますけれ
ども、実例を上げますと、私
自身は昭和二十二年に大学を出ておりまして、
公務員の方ですと
東京勤務で大体手取り二万五千円くらいじゃないかと思います。私
自身が今度
ベース・アップ以前の数字でございますと手取り大体二万六千円くらいじゃないかと思います。それに超過勤務手当とか、月によって若干変動のあるものはございますが、平均して大体それくらいであります。それから
研究員手当というふうな名目でありますが、私
どもの給料はほとんど全額が本俸でございまして、家族手当とか、勤務地手当とか、そういうものは一切ありません。
住宅手当というのが今度問題になったわけでありますが、家族持ちで一律二千円、独立の生計を営む者は千円、独身者で自分の家とかあるいはおやじの家から通っている者は五百円、そういうものが乗っかっているのと、それに超過勤務手当、それだけなんでございます。超過勤務手当はギブ・アンド・テイクと申しますか、やっただけもらいたいのでありますが、昨年度は非常に業務が忙しかったので、実際においてはやった分の三あの一ぐらいしかもらえないという状況でございます。そのほかに
研究員手当というのが
一つあるわけでございます。これは大学を出まして三年たった人には一律に二千円、それ以後また何年かたった者は三千円余、十年ぐらいたった者で五千円ぐらいという数字であるのでございますが、これは
研究員手当をもらうために幾らおそくまで
仕事をしていても、超過勤務手当はもらえないというシステムになっております。そうして今度問題になりました現場手当に関しましては、たとえば現場の
整備状況が非常に悪いとか、家もないために強制的に家族と別居させられるということのために、月に一回か二回くらい家族に会いにいくというときの旅費みたいなものは、特別にそういう形で考慮されているかというと、別段そういうものも何もない。全体の
給与がそんなふうで、全体の配分の問題で非常に悪い階層が多い。しかも若いところが多いわけです。上の方が厚くなっているという全体の配分なんです。それから
東京と
東海村との勤務の
状態に対する何らの配慮がなされていない。そういうことが言えるのではないかと思います。
給与の点に関しまして、われわれの見解といたしましては、たとえば
予算の折衝とか、そういうふうな場合には、
公務員との比較ということが
予算技術士問題になるかもしれませんけれ
ども、
原子力研究所員の
給与を
考える場合には、
公務員との比較ということではなくて、あくまでも一般民間会社との比較、
厚生面についてもそういうようなものを念頭において
考えらるべきものである。そういう点はどうしているかというと、たとえば今、
原子力研究所に入りたいという人がおる場合に、来るか来ないかは
仕事の面とか、そういうことを抜きにして、
給与の面とか
厚生の面を
考えます。比較になるのはあくまでもそういうことなんです。現実の問題として、昨年度からあるいは今年度にかけまして、非常に特殊な業務でなくても中に入るという人が、給料が安いために来ないという事例がいとまないわけなんです。これは
一つは官庁的に画一的な給料であるために、特殊な技能に対して特別な給料が払えないということもあるのではないかと思いますが、それにしましても、全般的にかなりいいというものではないということが、はっきり行えるのではないかと思います。
一番問題になりますのは、大学を出たばかりの初任給の問題でございますが、これは他の公社、公団とか、
公務員等の比較で、大蔵当局あたりでも非常に通しにくい問題ではないかと思いますが、
ベース・アップ以前は、初任給一万一千八百円という本俸に、さっき言いました
住宅手当が乗っかるというだけの体系なんでございますけれ
ども、これは見せかけだけの数字ではないかと思います。実際何らの
設備がなされていない。しかも非常に優秀な人に来てもらわなければならぬという所で、決していい数字とは思えないのでございます。大体そのようなことであります。