○佐々木(良)
委員 こうなると、やはり五、六分と言ったけれ
ども、もう少しもらわなくちゃ困るのです。
電力需給のバランスの責任者はあなたでないことは、先ほど確認されたでしょう。従って、あなたが今こういう方式で強引に
原子炉を入れなければならないという
理由にはならない。それは
担当大臣か担当責任者が言うべき問題です。
担当大臣か担当責任者が、そういうのは同感だからなるべく早くやりたいというのならいいが……。なおその問題を言われるならば、少くともエネルギー需給なら、
正力さんよりも私の方がよく知っているつもりだ。今言われたところによると、十四万キロなり二十万キロが、当面の暫定措置として輸入の対象になっている。将来の問題は別ですよ。将来技術的な発展をしていって、どういう
会社でどういう機構で
受け入れていくかということは別問題で、今
受け入れようとしているのは、暫定的に十四万キロ程度のものを入れようというのでしょう。従って、これを今やらせるかやらせないかという問題は、この十四万キロ自身が
電力需給にどれだけ影響を持つかということです。それ以降の、昭和四十年なり四十五年に関する
電力需給あるいはエネルギー・バランスのために
原子力発電が必要たという場合には、それに間に合うような
原子力の技術的修得、そのことが中心でありまするから、従って第一番目の
理由は第二番日の方に人れていいでしょう。
正力さんの言われる第一番目の
理由は、ともかくエネルギー・バランスを取らせるため、そして
発電原価を引き下げるため、こう言われる。二番目の
理由は
原子力発電の技術を早急に修得し、そして発展させるため、こう言われるでしょう。従って、第一番目日の
理由に該当すべきものは、最初入れられる十四万キロなら十四万キロ、これが当面の
電力需給にどれだけ影響を及ぼし、これが
電力原価の引き下げにどれだけの影響を及ぼすかということだけじゃないですか。第一の
理由はそうでしょう。ところが、この十四万キロの
発電所は、何ぼ早くやってもおそらく五年かかる。今からやって五年かかれば、十四万キロの
発電所が、今あなたがしゃっちょこ立ちして、わあわあ言わなければならぬほど
電力需給に大きな影響を持ちますか。逆に二百億ないし三百億の金をぽかっとほかに出してごらんなさい。三百億の金があれば、少くとも今十四万キロの
原子力発電所を作る、そしてこれが持つ
電力需給に対する価値よりも、もっと
電力を供給する方法はあります。そして、同時に決して忘れてならないのは、先ほど岡さんが言われましたように、五年間たって建設がなされたとしまして
——尼崎の
火力発電所が建設されてから、安全逆転に入ったのは何年くらいかかったか御存じですか。尼崎の
火力発電というものは、
火力技術がよう修得された後に大容量
火力として輸入されてそうしてあすこに設置された。設置されましてから、つまり事故でとまったり何かして、尼崎の
火力発電が本格的な、計画
通りの運転ができるまで数年間かかった。今あなたが言われたように、今度の
原子力発電の原価
計算には八〇%のロード・ファクターを
考え、
コストを
考えているらしいが、それでもってそろばんの合うなんて、とんでもない話だと思う。技術的に修得された尼崎の
火力発電でさえも、最初計画したのと違って、おそらく五年から八年間くらい事実上の試験運転の期間があった。その間供給はしておりますよ。供給はしておりますけれ
ども、最初の
火力発電所を設置する計画井に暴いた運転と
コストの
状態で運転できるようになるまでには、数年間を要した。それが今度全然新しいところの
原子力発電でしょう。それを今のようなそろばんではじかれるというのは、とんでもない話だ。
その問題はまた
あとにしましょうが、要するに第一の問題として、十四万キロの電気に約三百億円かけて、かりに、五年後完成するとしても、それが果して五年後の
電力需給のどれだけ緩和剤になるか、私は五年後ではまだ無理で、おそらく五、六は安全運転はできないだろうと思います。そのことを
考えられるならば、あなたは先ほど長期計画に基いて云々と言われ、今、
電力需給に対して云々と言われましたけれ
ども、それならば、どうして今年度の
電力に対する投資を縮小したのですか。あれはどういうわけですか。何億か知りませんけれ
ども、今年度の投融資の中から削減されたが、これが削減されずに使われるならば、それによって出てくる電気と、まだ完全に試験的なものに約三百億を投じて、そうして五年後に出てくる電気と比べたならば、
電力需給に与える影響というものはどうですか。それは
正力さん無理だ。今まで
通りやった方がいいので、新しいものをやる必要はない。これは公益事業
局長や通産当局によく聞いて下さい。もし通産
大臣がそう言ったといわれるならば、それは前尾さんは何も知らないからです。公益事業局の需給課長かだれかに聞いてごらんなさい。第一佐々木さんが一番よく知っている。これから五年先に、十四万キロの
原子力発電がどれだけエネルギー・バランスにプラスするか。そんな金があったら、今でもやりたい
電力の開発計画はたくさんあるから、それに注ぎ込んだらいい。それを削減しておいて、海のものとも山のものともわからないものに金を注ぎ込んでも、それがエネルギー・バランスにプラスするとは思われない。そんなことはやめた方がよろしい。
それから二番目の
コストの問題ですが、繰り返して言いますけれ
ども、
コストが一番安くきているのは二円七十銭にきている。私は知っている。二円七十銭から四円、七円、八円、何ぼでも作れますよ、いいかげんに。それよりも、この原価というものがどれだけむずかしいものであるかということは、おそらく佐々木さんあたり一番よく知っているはずじゃないですか。第一原価の金利を見ましても、先ほどの話じゃよくわからないけれ
ども、電気
会社のものだと大体三・三三%くらい見ているでしょう。少くとも商業
採算ベ
ースというならば六・五%くらいとらなければ話がおかしい。従って金利がおかしくなる。それからもっと大事なことは建設の補償費ですよ。
イギリスでは補償費は要りません。ところが
日本では、あなたも御
承知のように宇治のあの試験
研究炉、あんな小さなものでも、とうとうひっくり返って何もできはしない。あのくらいの
原子炉さえ設置することができないような、そういう政治力しか持たない者が、こんな大きな
原子炉を、今そろばんにはじかれているようなそういう補償費でもってやれるというように思ったら、とんでもない話だ。従って
建設費の中に占めるところの補償費というものは、今のところ無制限に拡大すると見ていいと思う。従って、それを無制限に拡大したらそろばんがとれないから、適当にそろばんをはじかなければならぬけれ
ども、それは現実のそろばんとは全然違う。愛知用水の原価、これはあなたも佐々木さんも知っているでしょうが、あのとき農林省が一生懸命になり、通産省も仕方なしに引かれ、それから
経済企画庁も引かれて、あの愛知用水の原価はどういうそろばんで出してきたか。私は当時
一つ一つたたいた。ところが、今見てごらんなさい、全然話が違うじゃないか。佐久門ダムの原価も、最初そろばんをはじいた計画面の原価とえらい話が違ってきておる。従って、外国から輸入し、海のものとも山のものともわからないものの原価が、三円なり四円なりでそろばんに合うというのならともかく、あなたと一諸に
研究に参加してやっている人は、
原子力発電所を作るという仕事だけで飯を食っている人です。電気
会社の今一生懸命になっているさっき
一本松さんと言われた方、
——一本松さんは偉い人だと思う。しかしながら、
一本松さんはそれ以外にすることがなくなっている。従って、それに関連している人は、それにぶら下ってのみ仕事をしなければならぬ人です。
正力さんはそうではないと思いますけれ
ども。そして、ほとんどほかのものには関連させない。私は
一本松さんに対して、たとえば関西
電力なりその他から非常に痛切な批判がいっていることも知っています。今度あたりものにしなかったら、あなたは何のために洋行したか、何のために資料を出したかとしかられている。それを
一本松さんの出したところの資料なり、あるいは
お話を批判するところの実力を持つ者は
電力にはない。そう言いさえすれば、大体今の電気
会社の人々は
一本松さんを中心として速めておるこの話を、今、企業内で技術的にも危ないとかいう批判を権威をもってする人がない。そうすると、
独走になるのは当り前だ。その反対な
意見が別の個所から出るのならば、今言いましたように、完全に食いついていって、妙な政治けんかになってくる。
電発と電気
会社とのけんかはそれみたいなもので、そしてあなたはやると言っている。
電源開発は、まだ
原子力などできるほど勉強していないと言っておられたのも知っています。しかし、そんなら一六勝負で若い者に
研究をさせてごらんなさい。そうすると、そんなにあなたが言われるほど違うものじゃない。若い学徒も一生懸命やっているし、関西
電力にも、電源にもおります。この
人たちに現に相談させてごらんなさい。危ないところは危ない、心配しなければならぬところは心配しなければならぬ、原価としてこの辺は危ないといって、ほとんど一致しています。結論の違うのは上の方で作文をする人で、そして目鼻をつける
人たちだけだ。その目鼻だけを見せられて、いや四円五十銭絶対間違いないなんて、それは無理です。こんなことを言ったって、どうしようもないけれ
ども、私はほんとに腹を切ってもいい。このまま五年後にできまして、あなたがいわれる原価で、しかも八〇%のロード・ファクターで運転できる、それではじいて今の三円か四円か知らないけれ
ども、そのままの原価で行くなんということは、とんでもない話だと思う。これは水かけ論になりますから、これは岡さんが言われるように、お互いの推定で現実にやってみた結果を見るより仕方がない。そうすると、作文にたくさん書いてあるけれ
ども、
原子力委員会で
正力さんが書け書けと書かされたのだろうと思いますが、みな
海外では現実に実用
段階に達しているというが、実用
段階に達しているというのはどこにありますか。現実に四円か三円でやっているところはない。
コールダーホールだけじゃないか。あるいはプルトニウムを作るためだけじゃないですか。今度やっと作る。それだのに
海外の情勢はあくまでも現実的な、そしてそろばんにちゃんと合う、
採算ベ
ースに合った
段階と断定するのは、おかしいと思う。こういうしろうとが見たらほんとにそうかと思うようなことは書かない方がいい。どこにおいても、普通の
電力を
発電するための
原子力発電所は、まだ世界中に
一つもないと書いてごらんなさい。そうしないと、そんなことは間違いのもとだ。