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1957-04-30 第26回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第34号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十二年四月三十日(火曜日) 午前十一時六分
開議
出席委員
委員長
菅野和太郎
君
理事
赤澤
正道君
理事
有田 喜一君
理事
齋藤 憲三君
理事
前田
正男君
理事
志村
茂治君
赤城
宗徳
君 小笠
公韶君
小坂善太郎
君 須磨彌吉郎君
保科善四郎
君 南 好雄君 山口 好一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 宇田 耕一君
出席政府委員
科学技術政務次
官 秋田 大助君
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房長
) 原田 久君
総理府事務官
(
科学技術庁原
子力局長
)
佐々木義武
君
外務事務官
(
国際協力局
長)
宮崎
章君
通商産業事務官
(
鉱山局長
) 森
誓夫君
委員外
の
出席者
科学技術庁次長
篠原 登君
外務事務官
(
国際協力局
第 三課長)
松井佐七郎
君
—————————————
四月三十日
委員平野三郎
君辞任につき、その
補欠
として赤
城宗徳
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員赤城宗徳
君辞任しつき、その
補欠
として平
野三郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
核原料物質
、
核燃料物質
及び
原子炉
の
規制
に関 する
法律案
(
内閣提出
第一四九号)
科学技術振興対策
に関する件(
国際原子力機関
等に関する問題)
—————————————
菅野和太郎
1
○
菅野委員長
これより
会議
を開きます。
科学技術振興対策
に関し調査を進めます。 本日はまず
国際原子力機関憲章
について、
外務省当局
の
説明
を聴取することといたします。
宮崎外務省国際協力局長
。
宮崎章
2
○
宮崎政府委員
国際原子力機関
の設立の
目的
は、
世界
の平和及び人体の
保健
及び経済の繁栄に対する貢献を促進するというのが
目的
でありまして、その反面に、
軍事利用
の面を消極的にさすという逆の
効果
をねらったものであります。そういう面から、この
機関
の中心になる点は、
保障措置
を設けたということでありまして、これが
核兵器
の査察のために道を開くことになるであろうと想像されるのであります。 この
機関
は、参加する国に対して、
核兵器
の
核物質
及びそれに関する
役務
、すなわち
サービス
、
施設等
を提供したり、その供給をあっせんすることでありますが、こういうようなことは
加盟国
と
原子力機関
だけでなく、
加盟
しておる、していないにかかわらず、
二つ
の国の間でも行われるわけでありまするが、この両者の
関係
は併存するという
関係
であります。ただ、その間にこの
国際原子力機関憲章
が設定しまする
保障措置
、安全の
基準等
というものは、これは自然に両国間の
双務協定
などの
一つ
の
基準
になるという
効果
があるわけであります。結局、
日本
といたしましては、
国際原子力憲章
によってもよろしいし、また
双務協定
によっていろいろ
核物質
や
サービス
などを得てもいいわけであります。 さてそこでこの
憲章
の規定しておりまする
保障措置
について御
説明
申し上げますと、その第十二条に詳しく書いてあるわけであります。大よそこれを分けますると、
一つ
は
軍事用
の
目的
に使用せられないということ、それから他は
保健
上及び安全上の
措置
であります。これはこの各条に詳しく書いてありますが、この
規制
の
方法
を申し上げますると、
原子炉
を設備すると声の設計の
承認
、それから
核物質
を使用しまするので、その分量を絶えず正確に記録にとどめておく。それから照射を受けた
物質
の
科学処理
の
方法
について
機関
が適当と認めるかいなかを調べていただく、すなわち、その
方法
の
承認
、それから余った
核物質
の
寄託
、これは
機関
に
寄託
するように要求せられるわけです。それからまた
視察員
の派遣ということがございまして、これは第十二条のB及びCに詳しく書いてありまするが、
視察員
が
加盟国
に派遣して、実際の状況を
視察
するということになっておるのであります。この
視察
につきましては、いよいよ
日本
が
機関
から
援助
を受ける場合には、
機関
との間に
協定
を締結するわけでありまするから、その場合には新たな
国内立法
の必要はないと考えております。 次に、
援助
を受ける
方法
でありまするが、
機関
から
援助
を受けるときには、まず
国内
の
原子力開発計画
がありますれば、それを
機関
に提出して
承認
を求めます。それから
機関
との間に
協定
を結んで、実際的にいかなる
物質
を受けるか、あるいは
サービス
を受けるかということをきめるわけであります。 次に、経費の点を御
説明
申しますると、大体
機関
には、もし
加盟
しますれば、
日本
からも
分担金
を出すということになりまするが、この
分担金
の
関係
する面は、
行政費
すなわち
機関
の職員の俸給その他の
費用
、あるいは
機関
が行ういろいろの
取扱い
及び
貯蔵
に関する
費用
、すなわち
特殊核分裂性物質
の
貯蔵
に要する
費用
、それから
機関
が直接行いまする
物質
、
役務
、設備、
施設
の
費用等
であります。このうちの
行政費
だけを分担するので、その他の
費用
につきましては
分担金
には
関係
しておりませんので、
機関自身
も
物質
や
サービス
を提供することによって収益を得ますから、それは
機関自身
の
費用
に充てるわけであります。だから、それだけ
分担金
は少くなってくるわけであります。それから、
分担金
の標準は、一般的な
国際連合
の
加盟
の割合に順応し、出すということになっています。それから
理事国
の構成でありまするけれども、
理事国
といたしまして二十三カ国が予定されております。そのうち
技術先進国
十カ国と、それから
原料提供国
三カ国、これははっきりきまっております。そのほかに
総会
がきめる
理事国
かあります。
総会
が選挙するのは十カ国でありまして、その中に、
地域
を分けまして、
北アメリカ
、ラテン・
アメリカ
、
西ヨーロッパ
、
東ヨーロッパ
、アフリカ及び中東、
南アジア
、東
南アジア
及び太平洋、
極東
とありまして、そのうち
北アメリカ
につきましてはすでに米国とカナダ、
西ヨーロッパ
におきましてはイギリスとフランス、
東ヨーロッパ
についてはソ連というものがきまっておりまするので、その他の
地域
について
技術
の
先進国
ということが問題になってくるわけでありまするが、
日本
は一番
最後
の、
極東
の中の
技術先進国
ということは、これはもう議論の余地がないわけでありまするから、その点においても
日本
か
理事国
になる
可能性
が多い。のみならず
機関
が設立せられるまでに
準備委員会
が現に
作業
をしておるわけであります。この
準備委員会
に、いろいろ工作の結果、
日本
が入りましたので、現に
日本
からもニューヨークにおいてこの
作業
に参加しております。従いまして、この
準備委員会
に参加しておる諸国に
理事国
に選出せられる
可能性
が非常に強いわけでありますから、そういう
二つ
の理由から
日本
は
理事国
になり得る。しかし
総会
が開かれるまでにこの
機関憲章
の
批准
、
寄託
を完了しておきませんことには、
理事国
になるチャンスを失うわけでありますから、ぜひとも
日本
は
理事国
になっておきましていろいろ
機関
の
運営
について
日本
の
意見
を反映さす必要がありますので、ぜひともこの会期中に
批准
と、それからすみやかに
寄託
するということに取り運びたいと考えておる次第であります。 以上をもって御
説明
を終ります。
菅野和太郎
3
○
菅野委員長
以上をもって
説明
は終りました。 この際、
質疑
があればこれを許します。
志村茂治
4
○
志村委員
国際原子力機関
に対して
日本
ではどのくらいな
人数
を送っておるか、御
説明
願いたいと思います。
宮崎章
5
○
宮崎政府委員
現在
準備委員会
に参加しておるだけでありまして
機関
に対してはまだ人は出していないわけであります。
志村茂治
6
○
志村委員
世界各国
では相当の
人数
を送っており、特に
日本
が
理事国
として予定されておる国でありながら、きわめて
少数
の人しか行っておらないというようなことは、将来
原子力機関
の中における
発言権
に対して重大な
影響
があるものと信ずるのですが、大体そういうことは
外務省
は今考慮しておられるかどうか、それをお聞きいたしたい。
宮崎章
7
○
宮崎政府委員
現在は
準備委員会
の段階でありますから、ごく
少数
でありますけれども、しかし
国連
の行なっております
科学委員会等
に対しては、始終行われるたびに代表を出しておりますし、将来この
機関
が設置せられます場合には、
十分日本
の有力な
科学者等
の中から優秀な人を選出して送り込むということを考慮しておる次第であります。
志村茂治
8
○
志村委員
何か聞くところによると、諸外国では相当この中の
事務員等
の形において人を送っておる、要するにこういう
機関
においては人の多い、少いということが、直ちにその国の
機関
内における
発言権
と直接の
影響
を持つものと思っておるのですが、
日本
はその点非常に手抜かりであるということをわれわれよく聞いておる。そういう事実はありませんか。
宮崎章
9
○
宮崎政府委員
機関
の
事務局
が設置せられますような場合には、
日本
も当然これに優秀な人を送り込みたいと思っておりまして、すでに先般も
国連
の
人戸局長
が東京に参りました際に、
候補者
を立てまして、これに選考を願っているようなありさまでありまして、
日本
は
国連加盟
にまだ日が浅うございますから、ほかの国に比べまして
国連
の
事務系統
に入っておる人はまだ
少数
でありますけれども、できる限りこういう人々をふやそうという方針をもって進んでいる次第であります。
菅野和太郎
10
○
菅野委員長
ほかにこれ以上
質疑
がなければ、次に進みます。
—————————————
菅野和太郎
11
○
菅野委員長
核原料物質
、
核燃料物質
及び
原子
かの
規制
に関する
法律案
を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
は通告に従いましてこれを許します。
前田
君。
前田正男
12
○
前田
(正)
委員
まずこの
法律
について
原子力局長
にお聞きしたいと思うのでありますが、この
法案
をわれわれ
与党
の方に提出する前に持ってこられたときには、
大臣
はみな
主務大臣
という形で出ておったのでありますが、
与党
においていろいろと交渉して、こういうふうに修正されたのでありますけれども、この
法案
を
原子力委員会
に提出されて、
原子力委員会
の方で決定されたときは、
大臣
のところはどういう形になっておったか、それを
一つ
お聞きしたいと思います。
佐々木義武
13
○
佐々木政府委員
初め
委員会
の方で
お話
し願ったときには、製錬の
分野
は
通産大臣
と
総理大臣
の兵曹ということにいたしまして、それ以外の
加工分野
は、これは
総理大臣
の
専任許可事項
にいたしておりました。それから
原子炉
の設置に関しましては、電力の
分野
は
通産大臣
と
内閣総理大臣
の
共管
というふうにいたしました。それから、船舶に関しましては、
運輸大臣
と
総理大臣
の
共管
ということで原案は作って、
委員会
の方でもやむを得なかろうという
お話
であったのでありますが、いろいろその後党の方からの御指示もございまして、本案のように改訂した方がさらに問題がはっきりしてよろしかろうということで、
委員会
の方でも、こうした方がいいということで、了承したわけであります。
前田正男
14
○
前田
(正)
委員
党の方に持ってくる前に、
原子力委員会
の方で了承をされた
法律案
は、
主務大臣
となっておったわけでありますか。
佐々木義武
15
○
佐々木政府委員
主務大臣
ということにいたしまして、
最後
に
主務大臣
は、何条何項に関しては何々というふうに明確にいたしたわけであります。
前田正男
16
○
前田
(正)
委員
きょうは
原子力委員
の方が出ておられないので、
原子力委員
の方に御質問するわけにいきませんけれども、実際問題といたしまして、特に
原子力
の
行政
として、もちろん発電それから
運輸
については
共管
の形でやる必要がありますけれども、しかしその形は、この
法律
にありますように、
通産大臣
の
同意
を得て、
内閣総理大臣
が
許可
するというふうに、その
責任
の範囲というものは、あくまでも、
内閣総理大臣
が一応とって、ただし
運輸大臣
、
通産大臣
の
同意
を得るという形で
共管
してやっていくというふうに、
原子力行政
というものの
国内
における
責任体制
というものを明確にしなければいけないと思います。実は、われわれが
与党
において審査いたしたときには、そういうふうなあいまいなものを持ってこられた。それに対して、私としては、
原子力委員会
というものが、われわれの
国会
より以上に
原子力行政
というものを
担当——原子力行政
を直接やるわけではありませんけれども、
原子力行政
の決定をしなければならぬという立場において、当然
原子力
のこれからの
あり方
というものを明確にしなければいけないということを、
原子力委員会
の方で今提出されているような形にして持ってこられて、それで今度
政府
の方へ交渉したところがうまくいかないから、
与党
の方で相談するという話ならわかるのでありますけれども、どうも
原子力委員会
の方が腰の折れたようなものを持ってこられて、
政府
が
与党
に相談したときに、党の方で修正しなければならぬというような行き方は、
原子力委員会
の
諸君
がこういうものの
取扱い
というものについて、はっきりと
考え方
がまとまっていないのじゃないかと私は思うのであります。そういう点については、済んだこととは言いいながら、この
法案
を審議するに当って、もう少し
原子力委員会
の
諸君
は、
原子力
の
あり方
というものはどうあるべきかという根本的な問題を真剣に
一つ
お考えを願って、どちらかというと、
政府
とか
国会
の方がその中に入って妥協したという話ならわかるのでありますけれども、
原子力委員
の方が先に妥協してくるというような話では、
原子力委
百会の
諸君
の
考え方
は少し不明瞭ではないかと思うのであります。済んだことでありますから、私はあまり突っ込んで申しあげませんけれども、その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。 それから次にお聞かせ願いたいと思いますのは、
法文
にずっと出ておりますのは、みんな
内閣総理大臣
という名前がほとんどで、一部どこか
試験
の認定のところだけが、
科学技術庁長官
ということになっておるのであります。けれども、これは当然
科学技術情報センター
のときのように、
法文
としては
原子力委員会
が
総理府
にある
関係
で、
内閣総理大臣
ということでいいわけですけれども、末項の方に、この
法律
に書いたところの
内閣総理大臣
は、
科学技術庁長官
にその
権限
を委任するということを一項入れておいた方がいいと思いますが、どうして入っていないのか、同じ
科学技術庁
から提出された
法案
で、
片方
は入って
片方
は入っていない、その点明瞭にしていただきたいと思います。
佐々木義武
17
○
佐々木政府委員
日本
科学技術情報センター
の方は、いわば
組織法
のような
性格
の
考え方
でございます。そこで、
センター法案
の、
科学技術庁
の
長官
に委任されました条項をいろいろ調べてみますと、やはり人事とか資産に関する
事項
といった、ような、一般的な
監督権限
の問題に、
権限
の一番の元であります
総理大臣
がこれを持っております。そして、
事務報告
と申しますか、
業務通学
上のいわばルーティン・ワークのような
性格
のものは、
科学技術庁長官
に委任するということになっておるのじゃなかろうかと考えたわけであります。ところが、本法は
組織法
といったようなものと異なりまして、
実体法
でありまして、むしろ
事業そのもの
を
規制
あるいは
監督
するという非常に強い
権限
をうたったものでありまして、私どももなるべく
科学技術庁長官
というふうに、はっきり、
委任事項
とした方がよかろうというふうに考えておったのでありますが、こういう
規制
、
監督
の
事項
は、やはりオリジナルな
権限
を持っておられる
内閣総理大臣
にはっきりしておく方が法の
建前
としてはよろしい。問題は、適、不適の問題でありまして必ずしもそうしなければならぬということではないのでありますけれども、従来の法の
前例
から見ましても、その方がいいんじゃないかという
総理府側
の
意見
が
一つ
と、もう
一つ
は、
許可
の際には、
原子力
の
委員会
に
意見
を聞くということがありまして、
原子力委員会
は、御
承知
のように
総理府
の
付属機関
になっておる
関係
上、どうしても
委員会
の
意見
を聞くということになると、
科学技術庁長官
というのは、少しまずかろうということで、やはりその元であります
内閣総理大臣
にこれをすべきだということで
内閣総理大臣
一本に書いたわけであります。そうして、一般的な
事項
、たとえば
試験監督
のような
事項
は、
科学技術庁長官
にするというふうにしてございます。
前田正男
18
○
前田
(正)
委員
それは今私も言った
通り
で、そういうふうなことで
内閣総理大臣
ということで書かれるのはいいのですけれども、
内閣総理大臣
が実際の
仕事
をするわけではない。全部
科学技術庁長官
がするわけでありますから、
法文
としては
内閣総理大臣
とずっと初めの方を書いてこられて一番
最後
に第何条と第何条の
内閣総理大臣
の
権限
は
科学技術庁長官
に委任する、こういうふうになぜ一条を入れないかということなんです。
佐々木義武
19
○
佐々木政府委員
先ほど
も申しましたように、お説のようにいたしたかったのでありますが、オリジナルな
権限
が
総理大臣
にあって、それに附帯した
許認可事項等
の問題が派生してきているわけでございますので、派生したものを
科学技術庁長官
というふうに書かないで、
内閣総理大臣
と書いておいてそして実際の
運営
におきましては、軽微なものは
科学技術庁長官
に委任するというふうな
行政措置
でもってやれるはずだ、
前例
はみんなそういうふうになっておる、そういうふうにおっしゃるものですから、大体
前例
にならってこれをやったというにすぎません。
前田正男
20
○
前田
(正)
委員
その点は、
行政
上、実際的なものは
科学技術庁長官
がやるわけなんですけれども、それではまた一々
総理大臣
のところの
決裁
も仰がなければならぬとか、いろいろめんどうな問題が出て参りますから、事実上
科学技術庁長官
がやるわけだから、
センター
の方にあったように、こういう指定とかあるいは
許可
というものは
内閣総理大臣
がやるというふうに書いておいて、その
権限
は、
最後
に第何条と第何条の
総理大臣
の
権限
は
科学技術庁長官
に委任するというふうにはっきりしておけば、今度は一々手続を踏まなくても済むと思うのです。事実上その
仕事
を
科学技術庁長官
に委任するのですから、
法律
に書いてなくていいといえばいいけれども、一々
決裁
なんかとらなければならぬから、なるべく今後そういう点に注意された方がいいと思う。ただし、
局長
の言われる
通り
、
内閣総理大臣
に属する
許可認可事項
というものは、やはり初めの
法文
においては
内閣総理大臣
というふうにはっきりしておかなければ
工合
が悪い、
原子力委員会
の
意見
を聞くものは
内閣総理大臣
というふうに、はっきりしておかなければ
工合
が悪いと思いますけれども、ただ、
最後
のところで、
内閣総理大臣
というものは
科学技術庁長官
にその
権限
を委任する、こうしたら一応これで
仕事
ができるわけですから、その問題は
一つ
将来の
研究
に残してもらうことにします。 次に、ずっと
法文
を見ますと、各場合のことを書いてあるわけですけれども、ただ問題は
燃料物質
の燃えたかすとか、そういったものの
回収
の問題がこの
法文
には明記されていないように思うのです。これは前から、
国民
の
放射能
の
障害防止
という点からみても、一番
国民
が心配しておるのは、この
物質
が
回収
されていかなければいけない、再
処理
の規定はあって、再
処理
するときは、もちろん
原子力公社
だけでやるというふうになっておるし、それから一部のものは
基準
というものをきめて
廃棄
するようになっておるようでありますけれども、再
処理
とそれから
廃棄
との間に属するようなものがあるかないかわかりませんけれども、とにかく
廃棄
しない以外のものはすべて一応
回収
してその中でまた再
処理
すべきものは再
処理
する、こういうふうなことになるんじゃないか。
一定基準
以下は
廃棄
するものは
廃棄
して、
一定
の
基準
以上のものは
回収
してその中でたとえば再
処理
に適さないような、ごみと思われるようなもの、しかしそれにも
放射能
が相当あるというものも、百
処理
するときに
分離
をするのじゃないかと思うのですが、
分離
をして、そして再
処理
できるものは再
処理
する、こういうふうに思うのですけれども、そういう
回収
ということがこの
法文
から抜けておるわけです。事実上はやられるのだろうと思うのですが、それではどういう点で
回収
の問題を
処理
していこうとしておるか、この
法文
にその
回収
の点を
一つ
明瞭にしてもらいたいと思いす。
佐々木義武
21
○
佐々木政府委員
お答え申しあげます。
回収
の点は御
承知
のように非常に重要な問題でありますが、まず二十三条の二項の八号に「
使用済燃料
の
処分
の
方法
」というのがございます。ここで
使用済み
の
燃料
に対する
処分方法
は、
許可
のときの
申請事項
としてあります。この内容は、一項にございますように、
政令等
でさらに詳しく書き分けまして、そうして
処分方法
を申請するわけてあります。その際、
先ほどお話
がありましたように、
使用済み燃料
の実際の
処分
は、
燃料公社
以外にはできぬ
建前
になっておりますので、当然
公社
に持ち込むことかと思います。ただ、念のために、それをさらにはっきりさす意味で、第六十二条に
許可
の際に
条件
を付することができるということになっておりますから、
許可
に際して
使用済み燃料
はかくかくすべしという
条件
をはっきりつけたいというふうに考えております。 なお、
使用済み燃料
以外の
廃棄物
でございますが、これに円しましては、
許可
の
基準
が二十四条の一項の四号にございまして、「
災害
の
防止支障
がないもの」ということで、これにも
十分条件
を付しまして、そうして
廃棄
の
方法等
を明確にいたしております。そうして
災害等
を起さぬようにいたしたいというふうに考えております。ただ、
使用者
と申しますか、普通の
研究等
に個人が使う、学校で使うといったような場合に、それはむしろ
使用済み燃料
の問題でなくて、後段に申しました一種の
アイソトープ
に類似したものになりますので、この方は五十八条で
基準
を作りまして、この
基準
で間違いないように
処理
してもらいたいと考えております。
前田正男
22
○
前田
(正)
委員
その
使用済み燃料
以外のもので、五十八条で
廃棄
することに認められたもの以外のもの、要するに
廃棄
できないもの、たとえば、使用した水その他のもので汚染されたものを濾過して、その濾過して残ったものは、ほんとうに
廃棄
していい
程度
のものであればいいが、その
程度
でない、この
廃棄
の
基準
にならないもの、
使用済み燃料
以外のもので、どうしても
回収
してどこかへまとめなければ
危い
というようなものは、どうされますか。
佐々木義武
23
○
佐々木政府委員
そういうものに対しては、
先ほど
申しました
使用許可
の
条件
の中に付しまして、たとえばストロンチウム九〇のようなものが入っておりますと、これは大へん危険でありますから、そういうものの扱いは厳重にいたしまして、
処理方法
、たとえば蒸発して、もうこれくらいのものであれば大丈夫だというようなものは
廃棄
さす。それ以上のものは、
条件
を付しまして
一定
のところに
回収
するなり、厳重に
保管
をさすというような手段を講じたいと考えております。
前田正男
24
○
前田
(正)
委員
回収
なり
保管
するなりというようなことについては、どこでやらすかというような、具体的なことは検討してないのですか。
佐々木義武
25
○
佐々木政府委員
ただいまの
保管
の場所は、御
承知
のように、
同位元素協会
でやっておりますけれども、将来
原子力研究所等
で自分で出すようになれば、
アイソトープ
の問題でございますので、おそらく
研究所自体
が扱うようになろうかと思います。
使用済み燃料
の方は、
先ほど
申しましたように、
燃料公社
で扱うのは当然でございます。
前田正男
26
○
前田
(正)
委員
アイソトープ
にならないで、炉を運転することによって、
使用済み燃料
以外のところで、いろいろな危険的なものが、その過程において出てくるというようなことにも出てくると思います。あるいはまた、
使用済み燃料
に再
処理
して、使えるものと使えないものが出てくると思うのでありますが、こういったものの
回収処理
とか、
廃棄
の仕方とか、こういったことについては、十分に今後
研究
していってもらいたい。われわれもまだ十分に検討を要する問題であると考えておるわけですが、ただ、
法律
的には今、
局長
の
説明
のように一応
処理
できるようでありますから、その点については、
法律
の運用に当っては厳重に、
国民
に心配をかけないようにやっていただきたいということを特にお願いしておきます。
菅野和太郎
27
○
菅野委員長
齋藤憲三君。
齋藤憲三
28
○齋藤
委員
長官
に
一つ
お尋ねいたします。けさの朝日新聞に、英国との一般
協定
の内容が掲げられておったのであります。私はよく読みませんでしたが、その冒頭に、これは学界から資料が出たというふうに書かれておったのであります。われわれとしては、内容が外交問題に重大な
影響
があるから未発表のものである、もし発表せられるならば、その前には
国会
に第一に参考資料として配られるものであろう、そういうふうに考えておったのですがそれが突如として朝日新聞に掲載されたということにつきましては、ちょっと意外な感じを受けるのであります。これは従来どういう
取扱い
方になっておったのでありますか。それを
一つ
御
説明
願いたい。
宇田耕一
29
○宇田国務
大臣
きょう発表になったというのは、私実は読んでおらぬものですから、内容がよくわからないのですが、イギリスとの
関係
は、昨年、石川一郎調査団が行ったときに向うで手に入れて持って帰ってきたものはあります。しかし、それは公式なものとはわれわれは考えておらぬわけで、
外務省
を通じて正式な話をするようにというのが先般の閣議で決定してありますから、閣議の決定の線に沿って、それぞれの
機関
を通じて、ただいま英国との新しい交渉をどういう形でやるのか、どういう時期にやるのか、それの話し合いはしております。従って、
日本
側としてそういうふうな資料を正式に求めて、正式にこれを協議していくというところにまだいっておらないという報告を私は受けております。それで、けさ発表になったのはどういう
性格
のものか、私はよくわかりません。
齋藤憲三
30
○齋藤
委員
新聞の発表でございますから、ただいま
長官
の御答弁のように、正式なものではあるいはないかもしれませんが、とにかくどこで検討を加えられておったのが新聞に掲載されたのかわかりませんが、いやしくもそういうものが、非公式に英国から
日本
の
原子力委員
の手に渡ったものを新聞に発表されて、世人をあっと言わせるような形になるということは、これは支障がなければそれまででございますけれども、われわれの聞いておりましたところによりますと、そういうものは慎重に取り扱うべきものであるということに聞いておったのであります。それが新聞に掲載されるというようなことになりますと、
日本
のそういう問題に関する一切の信用というものが私はなくなっていくのじゃないかと思います。それでございますから、新聞に掲載されても差しつかえないものであったならば、事前にわれわれにも見せてもらう。しかし新聞に掲載されると
工合
の悪いようなものは、あくまでもそういうことのないように今後気をつけてもらうというふうにして、なるべく国際上の信頼を高めるように、
一つ
行政
的な
措置
をしてもらいたい、そう思うのであります。これに対して今後の
長官
のお考えを承わりたいと思います。
宇田耕一
31
○宇田国務
大臣
石川さんが昨年持って帰ったというものについて、向うとどういう話をしてきたのか、われわれはどうも判断に苦しむ点があります。従って、石川さんと英国側との話がどの
程度
話をしておったかということは、正式な外交
機関
を通じて正式な話し合いを持っておらぬ
関係
で、われわれには理解しがたい点があります。しかし、そういうことを中心にして正式の国交
関係
の話にこれを持ち出すかというと、そういうことは事実上なかなかできないことであって、やはりわれわれとして
政府
の
責任
において、閣議で方針をきめて、そうしてその方針に基いて、相手方との交渉は一本のパイプで交渉する。すなわち
外務省
を通じて交渉をする。あるいは
国内
でも、大蔵、通産その他の
関係
の省庁がありますから、そういう
関係
の省庁と十分打ち合わせして、そうして長年月にわたる国と国との
協定
になりますから、内容にしても慎重に検討すべき点が多いということは、おそらく常識だろうと思います。従って、そういう意味において軽々にはこれを取り扱わないのがほんとうであるし、また向うの国に対する儀礼からいっても、慎重に、そうして万全を期すべきだと考えております。事前に漏れたというのは——
政府
関係
からそういうような資料をわれわれはまだ手に入れておらぬわけです。まだそれに対する態度はきまらないはずです。閣議の決定はしたのですけれども、その次の段階についての十分な話し合いは、今までいたしたことはありません。従って、そういう前提のもとにこれが新たに一般に漏れていくということについては、
政府
では全然
関係
をしていないことで、実は非常に意外に思っておる点であります。しかし、あれがほんとうのものであるかどうかも、実は十分知らないわけで、新聞に発表された内容については、どういうふうに検討していくか、またそれが重要な案件であるかどうか、今のところ——新聞に発表されたということは聞きましたけれども、内容はまだ見ておりません。
志村茂治
32
○
志村委員
齋藤
委員
の質問に関連して、私もお尋ねしたいのであります。英国との一般
協定
の案文については、学術
会議
がもう相当以前から
研究
を開始しておるということは、われわれすでに聞いておる。こういうような資料は、学術
会議
は一体どこから手に入れたか、もし御存じであったならばお聞かせ願いたい。
宇田耕一
33
○宇田国務
大臣
そういう経路については、全然私は聞いておりません。
志村茂治
34
○
志村委員
けさの新聞によりますと、イギリスとの一般
協定
の案文のドラフトについては、イギリスの要求があって、しばらくの間秘密にしておいてくれということであったというのです。ところが、きょう発表されたということになりますと、秘密が解除されたのではないかというふうにわれわれは知るわけです。新聞自身が、秘密にしておけと言っておると書いておりながら、発表しておるというこの事実を見ると、秘密が解除されたんではないか、こういうふうにわれわれは解釈するのですが、その点はいかがですか。
宇田耕一
35
○宇田国務
大臣
解除するというようなことはあり得ないと、私は今までの経過に徴して判断をいたしております。これがどういうわけで発表される経過に至ったかということは、むしろ今までの経過から見れば全然逆じゃないかというふうに判断をいたしております。
志村茂治
36
○
志村委員
すでにわれわれの耳にも、学術
会議
がこのドラフトの検討を始めるというようなことを聞いておりますし、
政府
がこれを知らないはずはないと私は思うのです。それにもかかわらず発表されて、そういう事実があったかどうかまだわからないというようなことを言っておられたんでは、私たち、何かわれわれと違ったルートでそういうようなことが常に流され、検討されておるんだというふうに解釈するのでありますが、少くとも国際
協定
については、そういうような
国会
以外のところへまず先に出てそこで十分検討した後に初めてこれがわかる、しかも
政府
が知らぬうちに新聞が秘密だと言っておりながら発表するということになれば、何かしら
国会
の権威がそこになくなってしまうのではないか。国際
協定
について
国会
がこれに協力し、
国会
がこれを認めるという態度を求められるならば、まず第一に
国会
に諮るべきだ。もしそういうような事実が出たならば、
政府
はこれを十分取り締り、または経路について取り調べる必要があると思うが、この点いかがですか。
宇田耕一
37
○宇田国務
大臣
そういう点につきましては、十分
関係
方面、各官庁と連絡をして、そうしてこれに対する態度をあらためてきめたいと思っております。
齋藤憲三
38
○齋藤
委員
私もこの問題はあまり深く追及したくないのでありますが、その新聞記事に発表されたということ、それからただいま
志村委員
からの
お話
もあります
通り
、前々から学術
会議
で検討を行なっておったということ、そういう点から考えますると、
原子力
政策というものに対する
原子力委員会
その他の
考え方
というものは、全く違った
考え方
によってやられておるのではないか。一体
原子力
というものが今日
世界
の外交及び内政上においてどういう地位にあるかということがわからずしてただこれを、学者的感覚から検討すると、一切が表明できるのだというようなとんでもないあやまちを犯しておるのではないかと思うのです。そうならば、政治でもないし、ただ何でもかんでも学術
会議
において検討を加えたものならよろしい、学術
会議
で推薦したところの
委員
ならよろしい、そういうような妙な、ゆがめられた、へんぱな
考え方
によって
原子力
政策というものを考えていくような当局であったら、それはもうやる、やらぬにかかわらず、
世界
的に落後者になるのは当然だ、私はそう思う。だから、そういうことは今後
一つ
十分留意をせられまして、
原子力
というものは今
世界
の政治問題の中でどういうウエートを占めておるか、これによって将来人類社会というものがどういうふうに導かれていくものであるかというような、大局的な達観した立場から
日本
の
原子力
政策というものを持っていっていただかないと、とんでもないことになってしまうのではないか、私はそういうふうに感ずるのであります。特にこの点について、
一つ
原子力
担当の
長官
としてのお考えをこの際承わっておきたい。
宇田耕一
39
○宇田国務
大臣
本日の新聞に出ておる内容というのは、私は十分見ておりませんので、これを中心にしてとやかく討論するのは根拠のない上のことですから——ただ、ただいま齋藤
委員
から
お話
がありましたように、学術
会議
で検討されておったということですが、学術
会議
は学術
会議
でどういうデータでどういうふうに
研究
したのか、根拠がはっきりしませんから、その点あらためて
先ほど
来申し上げるそれぞれの
機関
を通じて、十分検討いたしたいと思います。特に閣議の了解後においては、各官庁それぞれはそれぞれの立場で
研究
いたしておるものだろうと思っておりますけれども、それについて具体的にどういう方針でいくかということについての十分な話をして、結果がここに具体的にきまったというわけではまだありません。方針がきまれば、必ず閣議の了解を求めなければならぬ案件でありますから、そういう前提のある案件について、それと無
関係
にどこかのグループに
研究
を依頼する、そういうようなことは
政府
はいたしません。従って、そういうことは全然
政府
と
関係
外のこと思いますけれども、しかし、内容を十分に見てから、なお検討を加えたいと思います。
齋藤憲三
40
○齋藤
委員
その問題については
一つ
十分御検討を願うことにいたしまして、本筋の
法案
に対する質問をいたしたいと思いますきょうは特に
鉱山局長
の御出席をお願いいたしましたのは、核原料物置、
核燃料物質
という点につきまして鉱山
行政
、すなわち鉱山保安法との
関係
があると私は考えて御出席をお願いいたしたのでございます。突然のことでございますから、もし御即等を願えない場合には、今度六日にもう一ぺん
委員会
を開いていただきたいと思っておりますので、その折に御答弁を願えばけっこうです。 第一にお伺いいたしますのは、この
法案
で「
核原料物質
、こううたってありますけれども、内容を見ますと、
核原料物質
に関する
規制
というものはほとんどない。その
規制
は「製錬」、「加工」というところから始まって、第一条の五号に「製錬」の定義があるのであります。この「製錬」の定義は「ウラン又はトリウムの比率を高めるために、
核原料物質
又は
核燃料物質
を化学的
方法
により
処理
することをいう」ということになっております。私の乏しい知識からいたしますると、化学的
方法
によって
処理
するということになりますと、化合と分解と反応、大体こういう過程であろうと私は思う。ですから、何らかこれに
方法
を加えてその性質を変化させる、そういうような過程で行うところの
方法
が化学的
方法
だろう。そうすると、この化学的
方法
に入らないところのウラン、トリウムの比率を上げるということは、全部物理的とでも、申しますか、そういう
方法
が今度たくさん出てくると私は思う。この前の笠間で
原子力局長
にも御質問したのですが、たとえばオイル・フローテーションをやるとか、あるいは非常にこまかい三百か四百のメッシュにして、水力によって比重選鉱をやっていくとか、そういう
方法
がたくさん出てくる、そうすると、これはこの
法律
で
規制
する範囲外だとすると、鉱山
行政
の力に入るのか入らぬのか。それから今度鉱山局が
監督
行政
庁として、ウラン、トリウムの鉱山を開発していかなければならぬ、そういうときに、坑道の内部におけるところの処置とか、そういうことは別といたしましても、鉱山外においてウラン、トリウムを物理的に
処理
して、その比率を高めるという処置に対して、そこにどういう
規制
をする
法律
的なまたは省令的な根拠があるか、これを
一つ
御
説明
願いたいと思います。
森誓夫
41
○森(誓)
政府
委員
この
法律
で「製錬」の定義として「化学的
方法
により
処理
する」という
方法
的な特色をつかんで示してありますが、それ以外の
方法
といいますならば、物理的な
方法
ということしなります。大体従来のわれわれの
承知
いたしておりますところでは、物理的な
方法
はいわゆる製錬の一歩前の選鉱という段階でございまして、比重選鉱、あるいは浮遊選鉱、あるいは磁力選鉱というようなやり方が従来実施されておりますが、今後また新しい
方法
も見つかるかもしれません。一応まず選鉱という範囲に属するということになりますると、鉱業法の適用を受け、またその
規制
を受けるわけでありますが、鉱業法で選鉱について
規制
をするやり方としましては、施業案で
政府
の認可を受けさせ、あるいはこれが試掘権の場合でしたら届出をさせまして、必要な場合には
政府
が変更命令を出すというふうなやり方で
規制
できる
建前
になっております。その際に
政府
の意図するような方針を盛り込んで実現するように指導していくことが可能であろうというふうに一応えられるわけであります。
齋藤憲三
42
○齋藤
委員
私も、施業案なるものがどういう法的根拠によって行われるものであるかはよく知りませんが、とにかく従来の施業案では、
放射能
の障害は防げないと思うのです。たとえて申しますれば、外国の資料を求めてみますと、坑道内において通風の最も能率的なしかけをするとか、あるいはいろいろなことを外国でもやっておるようでありますが、そういう施業案をこれからウラン、トリウムの加工業者に要求するということになりますと、それを要求する何らかの法的根拠がなければ、それは要求できないんだと思います。そういうことは今直ちにやっているところもあるだろうと思います。ウラン、トリウムの掘採をやっているところもあるかもしれませんし、またこれからやらんとするところもあると思うのですが、そういうものを
規制
する根拠はどこかにあるのでしょうか。
森誓夫
43
○森(誓)
政府
委員
ただいまの
お話
は、保安の点が重点であるようでございます。私が
先ほど
お答え申しましたのは、むしろ鉱業全般の
運営
の問題として申し上げたのでございます。話が保安に重点が置かれますと、鉱山保安法の御
説明
ということになるわけであります。鉱山保安法によりますと、事業場で保安を実施するための保安規程というものを各事業場に設けさぜることになっております。これは
政府
の認可を受けさせることになっております。その際に、上分
障害防止
の規定を入れさせ、またこれを守らせる強制規定もございますので、鉱山保安法に基きます保安規程の運用によって、
障害防止
の
目的
は達せられるものと考えます。
齋藤憲三
44
○齋藤
委員
その鉱山保安法でありますが、鉱山保安法の第三条には「この
法律
において「保安」とは、鉱業に関する左の各号の
事項
をいう。一、鉱山における人に対する危害の防止、二、鉱物資源の保護、三、鉱山の
施設
の保全、四、鉱害の防止」とありまして、第二項には「前項第一号の鉱山における人に対する危害の防止には、衛生に関する通気及び
災害
時における救護を含む。」これだけの規定しかない。このうちのどれが一体
放射能
障害を防止するところの保安の規定に該当するのか、私はないと思うんだが、どうなんですか。
森誓夫
45
○森(誓)
政府
委員
ただいまの御質問は、第三条の一項の一号と四号によって答えられておると思うのでありますが、鉱山における労務者に対する障害の防止は、第一号に規定されておりますし、またその鉱物によって、一般社会が被害を受けることを防止することは、第四号にあります「鉱害の防止」ということでございます。大体この
二つ
で御要請にこたえ得ると考えております。
齋藤憲三
46
○齋藤
委員
私の申し上げるのは、第三条の第一項第一号には「鉱山における人に対する危害の防止」とあってしかもこの第二項において「人に対する危害の防止には、衛生とあって、「衛生」という言葉を使っておる。もし放射性
物質
によるところの障害というものが、人間に対する衛生という言葉でもってカバーできるとすれば、これは一体どういう
法律
的な
規制
によってこの放射性の障害を防止するのか。当然、この
国会
において衆議院を通過いたしました放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する
法律
というような、
一つ
の法体系を持った、鉱山におけるところの放射性
物質
に対する
障害防止
という何かの法的根拠がなければ、今の鉱山
行政
における放射性物費の取締り、
規制
というものはできないのじゃないか、そういうふうに考えられるのですが、
鉱山局長
は一体どうお考えになっておりますか。
森誓夫
47
○森(誓)
政府
委員
ここでは、鉱山における労務者あるいは一般社会の者が、鉱業の通常によって危害を受けることを防止することを規定してありますが、その被害がどういう原因によって走るかということについては、別に限定いたしておりません。新しくそういう
放射能
によって人あるいは社会が被害を受けるということになれば、この条文に基いて
障害防止
のための必要な保安規程を事業者に制定させ、または順守させることができると考えております。
齋藤憲三
48
○齋藤
委員
私の言わんとしておるところは、これはやはり鉱山局でも、放射性
物質
の障害を除去し得るところの省令かあるいは法的
措置
を講じなければ、鉱山の保安確保において万全を期し得ないというふうに考えるのであります。もっと端的に申し上げると、そういうことを直ちに
措置
せられるところのお考えがあるかどうかということを
一つ
御答弁を願いたい。
森誓夫
49
○森(誓)
政府
委員
お説の
通り
でございます。われわれとしても、鉱山の保安規程にできるだけそういう
放射能
による被害の防止に必要な規定を盛り込ませるように、指導いたしたいと思っております。しかしながらそれについてはいろいろ
研究
の結果、その具体的な
基準
もまだはっきりいたしていない現状でございますが、これは科半
技術
庁その他
放射能
についてのいろいろな
研究
機関
とも連絡をとりまして、早く
障害防止
の
基準
というものをつかんで、これを保安規程に織り込ませて、
障害防止
の
目的
を達成させたいというように考えております。
齋藤憲三
50
○齋藤
委員
私のちょっと見ました点だけを申し上げておきたいと思うのですが、この第四条の鉱業権者の義務として必要な
措置
の中でも、放射性物資というものはどれに該当するかもよくわからない。第四条なんかを見ますと、放射性
物質
なんか
一つ
も該当するものはありはせぬ。それから第五条、第六条、特に第六条は保安教育というものをやらなければならぬということになっておる。だから保安教育というものにおいても、ウラン、トリウムという新しい放射性の鉱物が採掘されるということになると、今度は保安教育という面においても、別個の
措置
を講じていただかなければならないということになる。それから、第八条に「鉱業上使用する建設物、工作物その他の
施設
の設置」というようなこともうたってあるけれども、これは大きな放射性の原鉱をどんどん取り扱うようなところにおいては、勢い放射線障害というものに対する建築物の規定というものも作らなければならぬ。その他第十条、第二十二条、第四十条、こういうように考えて参りますと、通産省鉱山局といたしましては、これから非常に盛んになるであろうところのウラン、トリウムの確保に対して、十分な
措置
を講ぜられて、今審議中の
核原料物質
の
取扱い
規定と鉱山
行政
との間に間隙のないように、
一つ
措置
していただかなければならないと思うのであります。 なおこの
法案
についてたくさん質問があるのでございますが、十二時も経過いたしましたから、
一つ
次会に質問させていただきたいと思います。
志村茂治
51
○
志村委員
簡単に
一つ
……。この
法案
を見ますと、大部分は
総理大臣
專管という
建前
になっております。ごく部分的に
通産大臣
あるいは
運輸大臣
との
共管
というような形になっております。見受けますところ、製錬事業、これは
通産大臣
との
共管
ということになっておりますが、大体この事業場というものは、網羅して
通産大臣
の指揮
監督
下に入るという
建前
をとっておられるのかどうか。たとえば、
運輸
事業であるとか農林等の、
運輸
省
関係
、農林省
関係
、建設省
関係
あるいは防衛庁
関係
におけるいわゆる事業場というものは、やはり
通産大臣
の
監督
下に置かれておるのでありますか、それをお聞きしたい。
佐々木義武
52
○
佐々木政府委員
お説の
通り
でございましてたとえば電気事業者に対する
監督
は通産省の方で、電気事業法に基きまして
監督
するという
建前
になっております。この
法案
で規定いたします部分は、
原子炉
で例をとりますと、
原子炉
の部分だけでございまして、第二十三条の二項の第五号にあります。「
原子炉
及びその附属
施設
」云々とありますその範囲は、一応タービン、発電機といったようなものは、この中に入っていないというふうに解釈すべきじゃなかろうかというふうに考えております。
志村茂治
53
○
志村委員
いや、私のお聞きしたいことは、いわゆる事業場と名のつくもの、今おっしゃったのは、船舶であるとかあるいは発電所のリアクターであると思うのですが、いわゆる事業場というものは通産省の管轄下に入るという共通した
建前
になっているのかどうか。私たちが想像するところによりますと、
運輸
関係
、農林
関係
、建設
関係
あるいは防衛庁
関係
でも、その事業場が通産省の管轄内に入っていないものもあると考えておりますが、その点はいかがですか。
佐々木義武
54
○
佐々木政府委員
発電のなにに関しましては、これは電気事業者といたしましては、当然通産省で
監督
いたして参ります。ただ、その中で、
原子炉
に関する
分野
だけは
総理大臣
が
監督
する、こういう
建前
になっております。
志村茂治
55
○
志村委員
これは何か
原子炉
の設置あるいは変更、それの設置
関係
については
総理大臣
の専管であって運転については兵曹ということになっているのじゃないですか。
佐々木義武
56
○
佐々木政府委員
原子炉
に関しましては、運転に関しましてもこちらの方で
監督
することになっております。ただ、検査等の
事項
がございますが、これに関しましては、通産の方あるいは
運輸
の方でそれぞれこちらの方の立ち合いのもとで検査するというふうなことになっております。
志村茂治
57
○
志村委員
同じ
原子炉
でも、設置
関係
は
総理大臣
の専管になっておるのだが、これを船舶に積み込むあるいは発電用に使う場合、その運転の場合には
共管
ということになっているのじゃないですか。
佐々木義武
58
○
佐々木政府委員
第三十条の「運転計画」に関しましては、お説のように
共管
になっておりましてそれ以外は全部
総理大臣
が専管するというふうな
建前
になっております。
志村茂治
59
○
志村委員
原子
燃料公社
について、これがやはり
共管
になっておるということは、発電所あるいは船舶の場合にはあるいは了解できます。しかしながら、ほかの場合と違う。ほかの場合は
総理大臣
の専管になっておりながら、
燃料公社
については
共管
ということが、何か一般の系統から違っておるような感じを受けるのですが、その理由を聞きたい。
佐々木義武
60
○
佐々木政府委員
十一条の問題かと思いますが、第十一条の問題は、
総理府
令並びに通産省令、共同省令でこれを出すという
建前
になっております。
燃料公社
に関しましては、
監督権限
がこちらに明確にございますので、あるいは
共管
というのはおかしいのではなかろうかという議論だと思いますけれども、この点に関しましては、従来
通り
、こちらの方で明確な
監督
権を持っておる
関係
上、単独で
監督
して参りますが、ただ製錬等におきまして
先ほど
齋藤
委員
からも
お話
がございましたように、製錬の内容と、それから山を掘って選鉱する場合等との関連問題も生じて参りますので、
燃料公社
が最終段階の製練のみをやっていく
公社
でありますと事態は非常にはっきりするのでありますが、その以前の山を掘る、あるいは選鉱をやる場合も出て参りますので、そういう点もあわせ考慮いたしましてこういうふうな
法律
にしたような次第でございます。
志村茂治
61
○
志村委員
製練だけを取り出し、加工は専管というようなことになっておるのですが、私の聞きたい一番根本のものは、
一つ
の事業を行うについては、指揮
監督
というものはやはり一本化された方が最もよろしいというふうに考えておる。そうして、同じ事業場であっても、やはり各省専管の、通産省以外のところの専管の事業場もないわけではない。そういう点から考えてみた場合に特にこの製練事業に、——もちろん連絡はありましょう、同じ閣内であって連絡なしということもないわけでありますし、内閣とすれば一本でやろうとするわけでありますが、これを一本化することは、全体を通じて必要があるというふうに考えておる。特に製練事業を
共管
にしなければならないというようなことについては、大きな疑問がある。この点はもう少しはっきり、明らかにしてもらいたい。
佐々木義武
62
○
佐々木政府委員
製練事業に関しましては、冒頭にも
お話
申し上げましたように、
公社
以外のもので製練を行う場合に、
内閣総理大臣
と
通産大臣
の
共管
にしてございます。これはなぜ
共管
にしたかと申しますと、
先ほど
申しましたように、最終の製練の段階に至る前に、両方で
監督
する
分野
がいろいろまじって参りますので、こういう点を考慮いたしまして、そうして
内閣総理大臣
並びに
通産大臣
というふうに
共管
にしたわけであります。一木にするよりはむしる二本の方が、一貫的な
監督
をするのにかえって便宜ではなかろうかということで二本にしたわけでございましてそれを受けまして、十一条、十二条の方でも共同省令で、両方で
監督
するのであればまた両方で省令でもって細部の点を見ていこうというふうに考えております。
志村茂治
63
○
志村委員
もちろん根本は政令があるから、その次の共同省令ということに結論としてはなってくるのでありますが、この製練がいろいろ
監督
についても入りまじった点がある。入りまじったということがいいか悪いか、今の
お話
だとあまり感心しないことのようですが、入りまじったところにさらに入りまじって、それを両方やらせるということについては、どうなんですか。
佐々木義武
64
○
佐々木政府委員
鉱業法によりますと、鉱業権者は原則として製練までやるような
建前
になっておりますので、
先ほど
来齋藤
委員
からだいぶ問題にされましたが、その分岐点をどういうふうなところで線を引いて、この
法案
の適用範囲あるいは鉱業法の適用範囲にするかという点は、非常にむずかしい問題と思います。そういう点も考慮いたしまして、
先ほど
申しましたように、両省でこれを
共管
で
監督
するという方が一番妥当じゃなかろうかというふうに考えて兵曹にしたわけでございます。この十一条、十二条のように、
燃料公社
まで含めて共同省令というのはこの条文だけでございまして、ほかにはないわけでございますので、この点は
先ほど
申しましたように、やはり鉱業法とこの
法案
、あるいは鉱山保安法とこの
法案
との関連を考慮しながら兵曹にした
建前
上、こういうところに細部にわたっても
共管
のような格好にしなければ、かえって本来の趣旨に反するという
建前
から、省令の段階におきましても共同省令ということにしたわけであります。
齋藤憲三
65
○齋藤
委員
関連して。私もその点は六日に質問しようと思っておったのですが、今、
志村委員
から御質問がありましたので、関連質問として六日にはっきりした回答をいただければいいと思うのですが、第一、この
法案
を見ますると、製練というところからこの
法案
は
規制
をしておる。私はなぜああいう質問をこの前からしておるかと申しますと、製練というものは、化学的
方法
を用いたものを製練というのだ、そうすると、あとの物理的
方法
というものは製錬なく、選鉱の部類に入るというのがこの法的解釈なんです。そうすれば、今、
志村委員
の御質問のように、製錬を
共管
にする必要は
一つ
もない、これは専管でよい。なぜ製練の分を
共管
にしておるか、これはおかしいのです。物理的、化学的
方法
をもって製錬と認めるということであれば、当然
共管
にしなければならない。しかし、化学的
方法
といってぴしっと山元における選鉱
方法
と製錬所の体系というものを区別する」とができるとすれば、これは専管の方がよろしい。読んでみると、
共管
にするために非常に大きな困難な事態が出てきておる。だから製錬というものを、化学的
方法
というもので分類するとすれば、それはそれで十分である。それは製練所というものを、ある形態において設備とか企業体系とかいうものでちゃんと分ければ、あとは山元でやるところの選鉱というものは鉱山局にまかしておけばよい。鉱山局は選鉱が終るまでにおけるとこるの放射線障害に対しての処置を講ずればよろしいのである。私はそういうふうに考えるのです。
志村委員
もそういうことをお考えになって質問をしておられると思うのですが、その点を即答するとまたいろいろな問題が起きますから、六日までによく御検討願いたいと思います。
前田正男
66
○
前田
(正)
委員
さっきの
原子力局長
の御答弁では、あとでちょっと誤解されるといけませんので、この際
一つ
明瞭にしておきたいと思うのですが、なるほど
原子炉
の
許可
につきましては、この
法律
では
通産大臣
とか
運輸大臣
の
同意
を得て
内閣総理大臣
の
許可
を得るという形にはなっておるけれども、この
原子炉
自身については、電気事業については電気事業の方の
法律
によって
通産大臣
が、また
原子炉
発電——設備ではなしに、
原子炉
についても
許可
をするし、それから船舶用の
原子炉
の部分についても、船舶の方の
法律
によって
運輸大臣
が
許可
するということで、なるほど
原子炉
の
許可
については、この
法律
においては
総理大臣
の専管という形になっておるけれども、
一つ
の炉の立場からいうと、
二つ
の方からの認可をもらわなければならない、こういうふうに、この
法律
としてはそうでありますけれども、事実上は、
一つ
の炉について両方の
許可
をもらわなければならぬのですが、その点は間違いないと思いますけれども、どうですか。
佐々木義武
67
○
佐々木政府委員
あるいは
先ほど
申し上げたのが誤解されたかもしれませんが、電気事業者についての
監督
は、電気事業法によって
監督
もするのでありますが、
原子炉
自体の認可につきましては、あくまでも
総理大臣
であります。ただ、それに関しては、
通産大臣
の
同意
が必要であるというにすぎません。従いましてこの
分野
に関しましては、専管というふうに考えてよろしいと思います。
前田正男
68
○
前田
(正)
委員
それではなしに、電気事業者が認可を受けるのに、電気事業についてそれが
原子炉
発電のものであれば、ただ単に発電機の部分だけではなしに、
原子炉
の部分も含めて認可するということであって、
一つ
の
原子炉
については、この
法律
では
総理大臣
が各
大臣
の
同意
を得て専管でやるという形にはなっているけれども、同時に電気事業者は、またこの
法律
によって
通産大臣
の認可を受けるときには、その
原子炉
の部分も含めて認可を受けるわけですから、向うは
一つ
の炉について両方の認可を得なければならぬということになってくると思いますが、どうですか。
佐々木義武
69
○
佐々木政府委員
その
通り
だと思います。
前田正男
70
○
前田
(正)
委員
今の点はあとでまたいろいろと問題があると思いますから、ぜひはっきりとしておいて下さい。
菅野和太郎
71
○
菅野委員長
本日はこの
程度
にとどめまして、次会は来たる五月六日、午前十時より開会し、本案の
質疑
を行います。 この際、
委員
諸君
にお知らせいたします。五月初めに東海村の
原子力
研究
所を
視察
いたしたいと思いますが、ただいま
視察
の日程等について検討中です。御希望をお申し出願いたいと思います。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十八分散会