○佐々木(良)
委員 どうも私は問題の提示の仕方がさかさまじゃなかろうかと思う。
石川ミッションが行かなくても、ある
程度わかることは今の国内でもわかっておる。従って、わかる範囲内において国内の方針を立てて、その方針にのっとって次のテーマを出されればいいと思う。早い話が、受け入れの形態にいたしましても、今、東西で民間会社を二つ作るとか、あるいは電源会社がやるとか、公社を作るとか等々のいろいろな
意見があります。この点は別に
石川ミッションが行ってみなければわからないという問題でも何でもありません。ほんとうに近く動力炉を輸入しようと思われるならば、この辺ではっきりした確固たる方針を
政府は整備されるべきである。少くとも
原子力委員会におきまして、この問題が十分に討論をされて、大体の方針が打ち出されてから初めて原子炉輸入の問題をもっと具体的に爼上に上せなければならないと思う。これらの問題についても、何らの
意見もない。それからまた同時に、先ほどコストを含めた資金の問題と言われましたけれども、そうしてまた宇田
大臣の就任の抱負を述べられた際にも、
原子力発電というものは現在の発電と比べてそう高くないんだとコストの問題を出されておったようでありますが、私はあの
意見を聞きまして、ああ、どこから聞かれたか知らぬけれども、これはまた危ない
意見を言われるわいというふうに、私は正直なところ思っておった。火力発電所でさえも、尼崎に最初の火力発電所を作ったときにどうか。大体あの火力発電所は七万五、十キロからのものを設置したときに、最初の予定と違って、五年間はほとんど現実に実用の運転ができなかったのです。いろいろなところに故障が起きたり、いろいろ
研究をしなければならぬ問題が起きたりして、最初これを据え付けてから安全運転に入るまで五年間の年月がかかった。あなたのお話を聞いていると、五年間の国内におけるそういう
措置はすっとんでしまっているかのごとき状態で、コスト自身も出される。従って、今のコストの問題が出る場合には、当然に七、八〇%の稼働率が予定されていなければならない。しかしながら現実に七、八〇%の稼働をしておるところの
原子力発電所が世界のどこにあるか、どこにもありません。そうして、おそらくこうなるだろうというふうな、そろばんではじかれているというのが現状であります。従って今、
石川ミッションがどこを探してみましても、私はこういう
関係で、少くとも稼働率をはっきり含めてのコストなんか出はせぬというふうに思うわけであります。従って、これだから私はやめるとかやめないという意味じゃありませんよ、このコストの問題は、今の
技術の
程度では、私は宇田長官が言われるような状態に簡単にははじき出されない状態にあるということを申し上げるわけであります。同時にまた、地震の問題にいたしましても、今何かその
研究が依頼されておりまして、
研究されておるようでありますが、私はそこからどういう
結論が出てくるか非常に心配しております。おそらくまたその中で一、二の学者の強い
意見が反映して、こういう
意見でもう収拾させなければならないということで、ほんとうに学者の中で相当の不安を持っておる者がありましても、むしろその不安を持っておるところの学者の
意見を封殺するような形で、強引に地震に対する
結論も出されるのではなかろうかという不安を、私どもは持たざるを得ないのであります。この辺の問題を長いこと言うつもりはありません。
委員会もざわついておりますし、打ち切りますけれども、あなた自身もおそらく聞いておられると思いますが、イギリスの動力炉を、
政府からなりあるいは
原子力委員会の
関係からなり、土木建築の
関係者なり、あるいは実際の業者なりを、ほんとうに視察にやられたことはまだないでしょう。何かどういう格好で行ったか知らないけれども、大林とか清水とかそういう連中は、あんなものはとても危なくてやれはせぬと言っておるそうです。あれはしろうとだからと言えば言えるかもしれませんけれども、現実に
日本の土建を
実施する中心はこの辺の連中でありますから、この辺がふらふらしておるのに、幾ら大丈夫だといっても、私たち国民は危なくてしょうがないという感じがするのであります。御
承知のように、四角いブロックみたいなものが、三段も四段も重なって十一段になるということでありますから、それを聞いただけでも、私どものような地震国では心配でしょうがないのです。かつてイギリスを中心に、れんが作りの建築が
日本にはやってきた。
日本は御
承知のようにすぐハイカラものに飛びついて、れんが作りの建築を堂々と官庁街でやったのです。ところが地震でみなひっくり返ったでしょう。あれと同じことを繰り返してはならない。れんがの家はひっくり返ってもいいけれども、原子炉がひっくり返ったらどうなるだろうか、心配でならない。私どもは決して
専門家ではありませんが、国民の率直なる心配を、ぶちまけざるを得ないという感じがするわけであります。燃料の問題にいたしましても、同様な心配を私どもは聞いております。従いまして、この燃料の問題につきましても、
内容はやめておきますが、それらにつきましても、決して今、長官が
考えられておるほどこの問題は
技術的に安全段階に入っておるとか、
技術的にそのコストがはじける段階に入っておるというふうな
結論は、私はまだ早い感じを持っておるわけであります。それが一たび
原子力委員会なり産業
会議なりの問題になりますと、見たってわかるじゃありませんか。
石川さん自身が具体的に何がわかる、あるいは電力界の管さん自身が何がわかる、あるいはまた関西電力の社長さんが何がわかる、具体的にわかりっこない。また向うへ行って調べているのは、
技術屋の親方である副社長とかそういうロートル組であります。ただ、ほかが大丈夫だと言っているから大丈夫だろうというような話だけであります。現実に電力会社の従業員は、非常な不安を持ってこのことを見ていることを、私は率直にあなたに申し上げる。おそらく何か電気会社の、電源会社の親方どもは、これまたもちろんこの問題に一生懸命に飛び込もうとしておる。こんなものをうっかりやられたら、とんでもないことになる。
自分たちの仲間の若手の連中が、これについてほんとうに入れるか入れないか、あるいはこれにどれくらい
関係するかということを吟味するところの余地はほとんどなくて、企業家の中でこの問題が扱われつつあることに非常に大きな不安と不満を持って、あるいはこの建設の業務に
関係させられるかもしれないところの労働者なり、あるいは会社員なりが不安を持って見ておることをはっきりと私は長官に申し上げておきたいと思います。動力協定の問題自身にしましても、先ほど来、私の一番言いたい。ポイントは、岡さんが言われましたから私は言いませんが、もっと端的に言えば、何を好んでそんなに急いで動力協定を結ぼうとしておるのか、私は了解に苦しむのであります。動力協定を結ぼうとする限りにおいては、当然にいつごろにこれくらいな原子炉、動力炉を入れるということが前提になって、初めてこの問題が生きてくるはずでしょう。でなければ、それを作るための情報がほしいとかなんとかいうことじゃなかろうかと思う。しかし、情報がほしいのであればあるほど、こちらの具体的な計画を持たない限り、ぼうっとしたような情報で、へみたいなものではナンセンスなはずであります。おそらくどのくらいの大きさの何型ということくらいがわかって、初めて
わが国に設置される方針が明らかになった上で、その
技術に対する情報を入れるのに便利であるということになるのじゃなかろうか。私は動力協定を急がれるのは、先ほど来何だか知らないけれども、むちゃくちゃに、よその国でもやるから早くやらなければ困る、むしろそれよりも企業者が新しく
原子力の時代が来る場合、イニシアチブをみずからの陣営にとろうとするところの動きが妙な格好に産業
会議を動かし、
原子力委員会を動かし、宇田長官を動かし、岸内閣を動かしながら、この動力炉の輸入云々を早くという問題になり、それがそのまま動力協定を早く早くという問題になっておるように私どもは心配をして見ておるわけであります。これらの一々につきまして、私は具体的な例をあげまして、そうして
委員長の所見を
一つ一つただそうと思いましたけれども、時間の余裕がありませんし、私自身も別な
仕事を持っておりますので、この辺で打ち切りたいと思いまするが、繰り返して申し上げますけれども、動力炉の輸入と動力協定の締結につきまして、少くとも宇治の原子炉が設置されるということだけでさえもあれほどの問題が起ったのでありまするから、一般の国民は非常な不安と不満を持ってながめておることを御
承知願いたいと思います。
それから最後にもう一点、宇田さんの原子炉輸入についての非常に強い要望は、あくまでも
日本に総合エネルギー対策の観点から原子炉を設置しなければ、電気を中心としたエネルギーがほとんど足りなくなってくる、そうして五年後には非常に大きなエネルギーの穴があくのじゃないかということを心配されてのことのようであります。まさにその
通りであります。その
通りであるがゆえに、私どもは
原子力の本格的な安全な輸入をこいねがっておる。しかしながら、そこに向けられる力と同等な力が、残された、まだ安全にして、また
やり方の十分あるところの他のエネルギーの有効
利用についてとられておるかどうかということについては、疑いなきを得ないのであります。宇田長官は経済企画庁長官でしょう。経済企画庁長官として、この
原子力のエネルギーを現実に
日本の産業界なり、あるいは国民生活なりに現実に使うようにならせる前に、他のエネルギー資源を十分に活用し、そして補わなければならぬ方策について、足りないところがありはしないかということを、十分に私は反省をしてみていただきたいと思います。五年後に、あなたの言われるように三十万キロとか、百万キロとか、そんなものはとてもできはしません。私は断言しておくけれども、もし何だったらかけをしていいと思う。かりに作っても、それが安全運転、安定運転には、これまでの
経験から見て絶対に入りませんよ。むしろそれを入れるならば、逆に、ちっぽけな炉を入れるよりも、今の若い学校出の
技術者なりをどんどんアメリカなり、ソ連なり、イギリスへ出しなさい。向うへ行って、向うを実験用として
研究してもらって、そうして向うは二、三年後に、ひょっとすると百万キロくらいのをやるかもしれない。そのときに安全なものを持ってきた方が、より早くて安全だろうという感じさえするくらいであります。私は、今の
意見は飛躍し過ぎておりますけれども、現在の原子炉の輸入の問題に対しましては不満と不安を持つと同時に、エネルギー全体の総合エネルギー政策の立て方について、私は希望的な妙な
原子力のところに力を入れ過ぎて、今やらなければならないところの、この二、三年間にいずれにしたって間に合いほせぬのだから、あなたの
大臣の間には動きはせぬ。その間の企画庁の総合エネルギー対策をはっきり立てた上で、その問題に対する信頼の仕方なり、力の入れ方なりを
考えてもらった方がいい。時間がありませんから、言いっぱなしにしておきますけれども、私の勝手なことを言いましたことに対する御批判だけを承わって、
質疑を終ります。