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1957-03-20 第26回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十二年三月二十日(水曜日) 午前十時十九分
開議
出席委員
委員長
菅野和太郎
君
理事
赤澤
正道君
理事
齋藤 憲三君
理事
中曽根康弘
君
理事
前田 正男君
理事
志村 茂治君 小平 久雄君
椎名悦三郎
君 須磨彌吉郎君 南 好雄君 石野 久男君 岡本 隆一君
佐々木良作
君 田中 武夫君 滝井 義高君
出席国務大臣
国 務 大 臣
宇田
耕一君
出席政府委員
科学技術政務次
官 秋田 大助君
総理府事務官
(
科学技術庁長
官官房長
) 原田 久君
総理府事務官
(
科学技術庁企
画調整局長
) 鈴江 康平君
総理府事務官
(
科学技術庁原
子力局長
)
佐々木義武
君
外務事務官
(
国際協力局長
心得) 森 治樹君
委員外
の
出席者
総理府事務官
(
科学技術庁次
長) 篠原 登君
総理府技官
(
科学技術庁原
子力局次長
)
法貴
四郎君
外務事務官
(
国際協力局
第 三課長)
松井佐七郎
君 参 考 人 (
日本原子力研
究所理事
)
嵯峨根遼吉
君
—————————————
三月十九日
技術士法案
(
内閣提出
第一〇八号) の審査を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
参考人出頭要求
に関する件
技術士法案
(
内閣提出
第一〇八号)
科学技術振興対策
に関する件(
原子力行政
一 般)
—————————————
菅野和太郎
1
○
菅野委員長
これより
会議
を開きます。
技術士法案
を議題とし、
政府
より
提案理由
の
説明
を聴取いたします。
宇田国務大臣
。
宇田耕一
2
○
宇田国務大臣
技術士法案
の
提案理由
の
説明
をいたしたいと思います。
科学技術
の
振興
を強力に推進するためには、我が国独自の
技術
の
創造発展
をはかる必要のあることは、あらためて申すまでもないところと存じます。従来
欧米
の
先進技術
の導入にきゅうきゅうとした
状態
は決して本来あるべき姿ではないのであります。しかしながら、またこれと同時に、
わが国
に
おい
てすでに相当の
水準
に達した各般の
技術
を、あまねく
産業
各
分野
に浸透せしめ、活用せしめることも、重要な課題でなければならないと考えるものであります。御存じの通り、
わが国
におきましては、進歩した
技術
は、ややもすれば一部
企業
に独占される傾向がありまして、その他大多数の
企業
は、
資金
その他の制約を受けて、進歩した高度の
技術
を十分に取り入れることもできず、
一般
的には、
技術
の
後進性
が著しい
状況
にあります。このような
現状
が
わが国産業
上の重大問題であるとともに、
わが国
の
輸出
、ひいては
国民生活水準
の
向上
に密接につながる緊要な問題であることは、いうまでもないことであります。このような
企業
に
おい
てこそ、
諸般
の
合理化
が強力に推進せらるべきものと考えます。一がに
合理化
と申しましても、大は
最新技術
を擁する新
工場
の
建設
から、小は
生産工程
中の一部機械の改良に至るまで、
各種各様
のものがありましょう。
わが国一般
の
企業
に
おい
ては、このうち、それほどの
資金
を必要としない中規模以下の
合理化
についても、なお取り残されて、旧態依然たる
部面
が少くないということであります。なぜそうなのか、この点については、種々
理由
が考えられるのでありましょうが、ここでは次の重要な二点、すなわち、各
企業
はみずからの
技術
上の
問題点
の
所在
について、ややもすると視野が狭いためにこれを看過しがちであること、また、
問題点
の
所在
を
認識
しても、これを最適の
方法
によって解決する
能力
を持った
技術経験
の十分な
技術者
を各
専門ごと
に配置整備しておくことは、
一般企業
としてはまず困難であることを指摘する必要があります。
企業
における
技術
上の
問題点
を的確に把握し、最善の
方法
によってこれを解決するという
技術能力
は、実地について
各種各様
の
経験
を重ね重ねして初めて真に身につくものであります。 これを換言いたしますと、
技術
を
産業
に適用しようとする場合に当面する
最大
の問題は、しょせん人の問題であり、十分な
技術経験
を持つ人を得るやいなやにかかっていると考えるのであります。このような
有能技術者
多数が、今かりにそれぞれの
専門別
に各
企業
の
技術相談
に応じて、その該博な
経験
を広く
企業
の実際に生かすとすると、
わが国
の
一般
の
企業
における
合理化
は一段と促進され、
わが国産業
における
技術水準
の
向上
に目ざましい
成果
を上げることが期待せられるのでありましょう。
技術士
とは、このような社会的な機能を営む
経験
豊富な高度の
技術者
をいうものでありまして、
わが国
の現
段階
におきましては、
技術士
の活発な活動に期待するところきわめて大なるゆえんも、以上述べましたところから、大よそ御賢察願えると思うのであります。
欧米先進諸国
におきましては、
技術士
のことをコンサルティング・エンジニアなどと呼んでおりますが、数十年も前にこの
職業制度
が確立せられ、その団体は多数の
会員
を擁して、
技術
の名
分野
に
おい
て輝かしい
業績
を上げており、その
技術能力
と
業績
に対する社会的な信頼は、案に絶大なものがあるのであります。米国について見ましても、一九〇七年ワイオミング州に
おい
て初めてこれに類似の
制度
が設けられ、以来急速な
発展
を遂げて、今や
連邦各州
に
おい
て
法律
の制定を見るに至り、全国で
登録
されたもの実に二十万を算する盛観であります。 翻って
わが国
の
現状
を見まするに、最近ようやく
技術士
という独立した
職業分野
が一応明確な地歩を築くに至っておりますが、なお
先進諸国
の
状況
に比べますと、著しい立ちおくれの実状にあるのであります。現
在社団法人
の
日本技術士会
というものがありまして広く
専門技術者
を糾合し、今日約四百五十人がその
会員
となっております。 先に述べましたように、
わが国産業
の全般にわたって
合理化
の要請きわめて切なるものがあります。その
合理化
をはかる上に
おい
て、一
企業
の
技術能力
を越える問題もまたきわめて多きを数える
状況
にあります。この
合理化
の問題のほかにも、
工場
の新増設、電源の開発、橋梁、港湾の
建設
など、一
企業体
の固有の
技術スタッフ
をもって解決することの困難な問題は少しとしないのであります。その上
わが国
としては、現在
東南アジア
や南米の
諸国
に対する
ブラント輸出
あるいは
技術進出
を積極的に推進すべき
段階
にありますが、このような
部面
は、まさに
技術士
に対して格好の
ヒノキ舞台
を提供するものにほかならないのであります。しかも、他方におきましては、
わが国
では幸いにしてこれら
諸般
の問題に対してそれぞれ
専門
的な見地からするところの適切な解決を与え得る
経験
十分な
有能技術士
たるべき人を多数擁しているのであります。このような
基本条件
のもとにあるにもかかわらず、
わが国
では遺憾ながら、ただ
一つ
、
技術士制度
の健全な
発達
を支持し、促進するところの
最大
の要素たる
技術士
に対する
社会的認識
という点に
おい
て、きわめて不満足な
状態
にあるのであります。たとえて申しますと、多くの
産業
に共通する
工場
内の粉塵の処理あるいは
金属メッキ
に関する第一流の
技術士
がいるとしても、
企業
の側ではまさにそこに
技術
問題を包蔵しているにもかかわらず、それらの人の存在を知らないとか、かりに知っていても、あえてその門をたたくことをしない場合がはなはだ多いのではないかと思うのであります。このことはひっきょう、
わが国
に
おい
て
技術士制度
というものがいまだ十分に根を張っていないことに主たる
原因
があると考えられるのでございましてまず第一に、
技術士
というものに対して社会的な
関心
を高め、
一般
の
認識
を深めるような
措置
をとる必要を痛切に感じさせられるのであります。もとより問題はこれにとどまるものではないと考えます。たとえば、いま
一つ
、
技術士
から法外の報酬を要求せられはすまいか、あるいは
技術士
に
工場
の
秘密
を探知せられはすまいかといった
企業
の側としてはしごく当然な懸念がそこに伏在することも十分あり得ることだと思うのであります。従って、第二として、このような事態に対しましても、また
企業
が安んじて
技術士
に
相談
を持ちかけられるような適当な
措置
が望ましいのであります。 先に述べました第一の
社会的認識
を深めるための
措置
としては、
技術士
になろうとする
希望者
のうちから、まさに
技術士たる
にふさわしい
有能
の士に
技術士
となる道を開き、これにのみその
名称
の
使用
を認めるよう
立法措置
を講ずることにしたのであります。このことはまた、同時に
技術士
が国情の全然異なる
東南アジア
などに進出する上に
おい
て、大きな効果をもたらすものと存ずるのであります。第二として述べた、
企業側
における不安を解消するための
措置
としては、
技術士
となった以上、
技術士
としての
信用
を失墜したり、
業務
上知り得た
企業
の
秘密
を他に漏洩することなきよう、
法律
の
権威
のもとに禁止する
規定
を設けることにしたのであります。 本
法案
はこの二つの
考え方
を眼目とするものでありまして、その
根本
には、第一に
技術士制度
の
発達
を自然の成り行きにまかせるには、
科学技術
及び
国民経済
上の要用はあまりにも大なるものがあるという
認識
があり、第二にこのような
立法措置
を講ずることによって、
目下成長
の
段階
にある
わが国
の
技術士制度
の健全な
発達
を著しく促進することができるという確信があります。この二点につきましては、今まで述べて参りましたところで大体御了解願えるのではないかと考えている次第であります。 なお、本
法案
と同じ
技術士法案
の
名称
で第十九
国会
に議員提案せられたことがございます。その場合には、
所管官庁
をどこにするかとか、
法文
の上で若干問題がありましたが、
法文
上の点につきましては、慎重な
検討
を加えて、相当な修正を行い、面目を一新した形で、今般ここに
科学技術庁所管
の
法律案
として
政府
より提案せられたものであります。 以上が
技術士法案
の
提案理由
であります。 以下、本
法案
の内容につきまして重点的に御
説明
申し上げます。 第一に、
法律
によって、
権威
を与えられるれっきとした
技術士
としては、
企業等
に対する
技術指導
に従事する以上は、高等の
技術能力
を持った者でなければならないのでありますが、この点については、
大学卒業程度
の基礎的な
学力
を持ち、しかも
専門
的な問題について実際に設計などの
実務
を行なった期間が通算して七年をこえる者でなければ、本
試験
を受けることはできないとして、その
受験資格
を制限するとともに、さらに本
試験
によって、それぞれ
専門
の
技術部門ごと
に高度の
実務能力
を判定することとしているのであります。なお、基礎的な
学力
を判定するために、
予備試験
を行うことにしておりますが、
大学
、旧
専門学校等
の
卒業者
には、この
試験
を免除することにいたしております。 第二に、いやしくも
技術士たる
ものは、最初からその社会的な
信用
が疑われるような人であってはならず、また、
技術士
として当然に課せられるべき
諸般
の
義務
は、これをして厳に順守せしめなければならないのでありますが、この点に関しましては、まず
法律違反
に問われて、禁固の刑に処せられたり、特定の
行政処分
を受けた者は、
欠格条項
の
該当者
として
技術士
となることを拒否することにしております。 次に、
技術士
の
義務
につきましては、
信用失墜行為
や
秘密漏洩行為
などを行なってはならないという
義務規定
を置き、
技術士
の
登録
の取り消し、あるいは刑罰をもってその
義務違反
を追及する建前をとっているのであります。 第三に、高度の
技術能力
を持ち、かつ社会的に
信用
して差しつかえのない
技術士
としての適格性十分な人であるかどうかの判定は、以上述べて参りましたような
方法
で行うのでありますが、本
法案
は、このような
適格者
のみを
技術士
として
登録
し、これに
技術士
の
名称
を用いることを認める反面、
技術士
でない者にはその
名称
の
使用
を厳に禁止しているのであります。この
措置
が
成長発展
の緒についたばかりの
技術士制度
に対する世の
関心
と
認識
を一段と高めようとするところにねらいを置いておりますことは、あらためて申し上げるまでもないところであります。 なお、本
法案
では、
登録
を受けたものでなければ
技術士
という
名称
の
使用
を認めないという
名称独占
の
考え方
をとっておりますが、これとともに、
業務独占
の
考え方
、すなわち
登録
を受けた
技術士
でなければ
技術士業務
を行うことができないという
考え方
をとるべきかどうかに関しましては、
諸般
の実情にかんがみ、現
段階
ではこれをとらないことにいたしております。 第四に、本
法案
におきましては、今後
運用
上の問題がきわめて重要であると考えられますので、
技術士審議会
及び
技術士試験委員
を置いて、
運用
に万遺憾なきを期している次第であります。 以上、
技術士法案
の要旨について御
説明
申し上げました。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
菅野和太郎
3
○
菅野委員長
以上をもちまして、
提案理由
の
説明
は終りました。 本案に対する
質疑
は、後日に譲ることといたします。
—————————————
菅野和太郎
4
○
菅野委員長
次に、
科学技術振興対策
に関し、本日は
原子力行政一般
について
調査
を進めます。 この際、お諮りいたします。すなわち、本日の議事に関し、
原子力研究所理事嵯峨根遼吉
君を
参考人
としてその
意見
を聴取いたしたいと思いますが、これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
菅野和太郎
5
○
菅野委員長
御
異議
なければ、さよう
決定
いたします。 それでは、通告に従いまして
質疑
を許します。
中曽根康弘
君。
中曽根康弘
6
○
中曽根委員
原子力
の問題を御質問申し上げます。まず
湯川博士
の
辞任
の問題からお尋ねしたいと思うのでありますが、新聞の伝えるところによりますと、
病気
のためにお引きになるというようなことであります。まことに残念でありまして、約一年半前、われわれ
委員
が総力を結集しまして御出馬を願った
湯川
さんが、たとい
病気
のためにせよ引かれるということは、
日本
の
原子力行政
の前途に若干の危惧を感じさせられるものがあると思うのであります。そこでお尋ねしたいのでありますが、
原子力委員
の間にいろいろな問題について見解の相違や
対立
と申しますか、そういうものがかなりあるのではないかと私は想像しておる。
湯川
さんは
理論物理
の出でありまして、
湯川
さんの弟子の中には相当な
素粒子グループ
と申しますか、
権威者
もおられる。そういう
学問的分野
を代表する
方々
と、それから
産業
や
工業
を代表する
方々等
との間に
意見
が食い違うのは当然であると思う。しかし、そういうようなものが根にあって、もしおやめになるということであると、これは相当な問題であると私は思う。そういう事実があるかないか、まず
宇田長官
にお尋ねいたしたいと思います。
宇田耕一
7
○
宇田国務大臣
湯川博士
が
委員会
へ出られたのは、たしか
インド
の
国産炉
ができたときに、われわれ
委員会
の中から
国民
の代表として
湯川博士
に行っていただいて、そうして帰ったあとで二回か三回か
委員会
へ出席されたはずであります。その出席されたときに、
委員会
の
運営等
について
いろいろ話
があったと
記憶
しますけれども、今
記憶
に残るような
湯川博士
との
意見
の食い違いとか、あるいはそのときに話し合ったことで、われわれの
記憶
に残らぬほどですから、本格的な論議を戦わせたことはほとんどありません。それで
インド
に行かれる前にも、
インド
に行くことについての打ち合せや何かをやったのですが、そのときにも別にこだわりがあったというふうな
記憶
は全然ないのです。おそらく出席した
委員
みなそうだったと思います。喜んで、では私が行ってきてあげましょうというわけで
インド
へ行ってきてそれから帰ってきて
委員会
で
報告
を受けたのですが、それも別にどうということはなかったのです。そのうち一、二回
見え
たのですが、たしかそのときに
審議
したのは
障害防止
に関する
法案
を
審議
して各省との
調整
が困難であった
段階
ですから、それについて
湯川
さんも一、二の
注意
をするような場面もあったというようなわけで、どっちかといえばしごくなごやかに従来は経過してきたのです。それで、二月の上旬の
委員会
に
見え
て、それから後
委員会
へ全然来られなかったのですが、しかし実は
湯川
さんを無理に迎えなければならぬような
案件
があまりなかったものですから、どっちかというと今
国会
に提出する
法案
の
審議
に追われて
一般
の
計画
その他の重要な
根本
問題について
話し合い
をするというような
機会
はなしに今日に至っております。それで、引き続き
湯川
さんは欠席せられて、われわれは
委員会
で顔を合わさなかった、あるいはその他
湯川
さんにお会いするという
機会
は持ち得なかった、というわけであります。従って
委員会
の内部の
意見
の
対立
によって
湯川
さんが
辞任
をしなければならないようになったというふうに思うことは、心当りが全然ないのです。要するに、
インド
へ喜んで行って帰ってこられて、そのうちに二、三回
見え
て、それから二月の中旬ごろからですか、お
見え
にならないけれども、まあ
審議
することも大したことはないというので、われわれは
国会対策
に追われておったと、こういうことであります。
中曽根康弘
8
○
中曽根委員
本格的なことを議論しなかったということや、
放射線障害防止法
のさまつな
法案
をいじったということが、結局はやめる
理由
になったのじゃないのですか。ということは、
原子力委員
というもの、あるいは
委員会
の
運営自体
が、長い
間湯川
さんの心の底にわだかまっておったのではないかという気もいたします。ということは、さらに申し上げますと、
原子力委員会法
あるいは
基本法等
によって
職務分担
をやらされている
原子力委員
というものは、
総理大臣
もその
決定
を尊重するくらいに国の
基本国策
をやっている。
湯川
さんがあの
分野
を代表されてこられたというのには、やはり
日本
の
学問
的な基礎を深めるということや、あるいはほかの
技術面
と
学問
との
協力
をやるという、そういう深みのある
仕事
を自覚して
おいで
になったのじゃないかと思うのです。われわれはまたそういう期待で
湯川
さんをお迎えしたわけでありますが、それがたとえば
動力炉
の問題が出てくる、あるいは
国際協力
の問題が出てくる、
アメリカ
にするか、
イギリス
にするかというような問題が出てくる、しかしその場合にどうも本格的な議論を今までやらなかったらしい、それでいつも
行政
上のさまつなことをやっている、そのことが
委員会自体
の
権威
を落して
湯川
さんがまた
病気
で出られなくなるという
原因
を作ったのではないかということも考えられますが、
委員会
の
運営
をやっている
宇田
さんいかがですか。
宇田耕一
9
○
宇田国務大臣
委員会
の
運営
の中で、
原子力研究所
を
中心
とするいわゆる九十億ばかりの三十二年度の
予算
、その
予算
を
中心
として
原子力委員会
の持つ
計画
、その
計画
の中で特に問題となるのは
動力炉
の
輸入
ということであったのですが、その
動力炉
の
輸入
については、
石川ミッション
の
報告
が一月の十七日に出されて、その
石川ミッション
の
報告
に基いて
コールダーホール・タイプ
を
輸入
するのが好ましいという結論、しかし地震に対する
対策
その他採算あるいは
技術
上の
疑問点
が数点あるから、第二の
ミッション
を
昭和
三十二年度には派遣をしてその
報告
によって
動力炉
の
輸入
に対する
決定
をはかる、そういうふうな方針をとるのが適当であるというのが一月下旬の
委員会
の
決定
で、そのときには
湯川
さんもお
見え
になったのです。それで、いずれにしても、ただいまのところ、
動力炉
を
輸入
するという決心を持つだけの
基本データー
がそろわない。従ってあらためて
ミッション
を送り出そうじゃないか、そしてその送り出す場合には、
イギリス
のみならず
アメリカ
にも送ることにして、そうして
動力炉
をどういうのを
輸入
するのが好ましいかということの
決定
をするまでの
基本
の
調査
をそういう諸君に頼もうじゃないかというので、
動力炉
の
輸入
についてはそういう
方法
でいきましょうということは、
湯川
さんも全然賛成せられて一致しております。そういうわけで、その点についてはその後ああでもない、こうでもないと、それぞれの情報を持ち寄って話はあるでしょうけれども、
委員会
の
運営
上の
決定
は
石川ミッション
の
報告
の線に沿っていくということが原則であって、それから一歩も出ておりませんから、それでどういう、こういうという心配をなさることにはならなかったと思う。また
コールダーホール・タイプ
を
石川ミッション
の
報告
に従って
輸入
した方がよろしいというあれに
注意書き
がありますから、
コールダーホール・タイプ
を
輸入
するのには当然
一般協定
が必要となるはずでありますから、われわれとしては
一般協定
を締結するに必要な
基本
の
検討
を始めなければならぬ。
石川
さん自身がドラフトを持っておられる、そういうことについての概要を
委員会
で聞くというヒアリングもやりました。やったけれども、別に
湯川
さんがどうこうと言って、やめなければならぬという御
意見
をそこで吐かれたということはなかったと思っております。そういう意味で、アグリーメントについての
話し合い
、あるいは
動力炉
の
輸入
についての
前提条件
の
石川ミッション
の
報告等
の一連の問題についての
審議
の過程に
おい
て、どうしてもやめなければならぬという雰囲気はなかったと私は思っております。
中曽根康弘
10
○
中曽根委員
簡単に
一つ要点
を御答弁願いたいと思います。私は何月何日にだれがどうやったということを聞いておるのではないのであって、
原子力委員会法
、
原子力基本法
の法の
精神
、あるいは
原子力政策
というものを
日本
で打ち出してきたところの
根本精神
から見て、
委員会
というものはどうあるべきかということを申し上げておるのです。そういう観点から
一つ
お考えを願いたいと思うのですが、どうも私とは波長が合わぬようです。そこで私のダイアルに合せてもらいたいと思うのです。(笑声)私が申し上げたいことは、
湯川先生
に
おいで
願ったときには、みんな苦労して、なかなか出られないというのを実は
おいで
願った。あのときからもうすでに胃の
病気
はあった。
自分
は
学者
であるから、
研究室
にこもって
研究
の
成果
を出すことが
自分
の任務である、変な
行政事務
に出るのは私の務めではないというのをしいて
おいで
を願ったのは、それだけの
仕事
をしてもらうつもりだった。
研究室
におられるよりも、もっと国のためになることをやってもらいたくて
おいで
を願った。ということはどういうことかというと、それは
日本
の
学者
や、あるいは
大学
その他の
学問
というものが、実際の
工業
や
原子力
の推進に完全に
協力
してもらう態勢を作るということ、それから
日本
の
原子力政策
の
基本
の
一つ
には、
学問
のすそ野を広げるというところがあった。従って、
原子力研究所
を作る場合にも、単に
動力炉
を作るだけではないのだ、それは
電力会社
の職人を養成するという概念ではないのだ、従って、生物の
研究所
も博物の
研究所
も、あるいは場合によっては
心理学
も化学も
物理
も、あらゆる
総合研究所
に
原子力研究所
を育てていかなければならぬ。そういう
部面
について
湯川
さんのお働きになる
分野
はかなりあったと思う。また一昨年
ジュネーヴ会議
が行われましたが、この
ジュネーヴ会議
で各国の出した
資料
についても、
学者
のチームを編成して、それを完全に消化する、
日本
の
工業力
の中に栄養分を入れていく、こういう大きな使命があった。
ジュネーヴ会議
の
資料
は古いでしょう。二、三年前の
資料
だったに違いない。古いにせよ、
日本
は消化していないのだから、そういう
部面
について
湯川
さんが
原子力委員
として学界との間をかけ回ってやる
仕事
には、大きなものがあったと思う。しかし、その後見ておると、全く
行政事務
の中に埋没されて、くだらぬ
法案
の
審議
などをやらされて、そういう本格的な
仕事
に取りついていない。またそういう
スタッフ
もなければ、
予算
の
措置
もない。これが
湯川
さんがやめたいという気分を持った
根本原因
だと思うのです。私は、そういうことを期待して
湯川
さんに
おいで
願ったわけだから、今度おやめになるということについては、非常な責任を感ずる。だから私はあなたに質問をしておる。従って、単に
湯川
さんがやめられるということは、
病気
の
原因
だけを考えてはいけないのです。前からそういう気分もあったということは、長い過程がそういうことをさせた。それはあなたの責任だというのではありませんが、ともかく
日本
の
原子力政策
を、
原子力委員会
のあり方をここで再
検討
する時期に来たと思うから申し上げておる。そういう反省をここでしないと、超党派のあれがくずれる危険性があります。
原子力基本法
を作るときに——私はきょう
原子力基本法
を読んできましたけれども、あのときに、こういうような
精神
でわれわれは
原子力委員
というものを考えたのです。当時、私が——
自分
のことで恐縮ですが、ある新聞に書いたのがあります。これはそのときみなそういう気持でおったのでありますから、ちょっと読みますが、「
湯川
、朝永両博士以下、
わが国
には、
理論物理
の面にも、その他の
分野
にも
有能
な
学者
、
技術者
が多数おられる。特に、三十才前後の若手の
学者
、
技術者
陣の中には、近き将来、注目すべき単組を世に訴えるであろうと期待される人々も多数おられる。これらの人々が、十分その
能力
発揮が行えるか、否かに
日本
の原子科学の
発展
は、一にかかっているとすら言い得るのである。機構や
予算
はこの
能力
発揮を促進するための補助的手段であることをまず確認すべきである。「それは、関係の
学者
、
技術者
が思う存分
研究
ができるような環境を、
精神
的にも物質的にもつくり出すことに、
国民
が、特に政治家が、暖かい周到な配慮をするということである。」「ところで、
わが国
原子力政策
の「眼」は、実際のところ、機構や
予算
にあるのではないと思う。それ以前のところにあると思うのである。」こういうことを私が書いて、
湯川
さんもこれはお読みになっておると思う。もう
一つ
大事な点は、「われわれはかかる観点から、まず、
わが国
原子力政策
の
基本
線として、
日本
学術
会議
の主張される諸点を
法律
上にも確立することに努めた。「平和利用」と、いわゆる学術
会議
の三原則」の厳守である。第二は、全
国民
的立場からする超党派性の確保である。
日本
の
原子力
は「財界の
原子力
」であってはならないし、いわんや、
電力会社
が原子発電に備えるための職人養成のための
原子力
であってはならないのである。「全
国民
のための
原子力
」であり「科学
発展
の基礎、または応用のための
原子力
」でなければならない。このような配慮から、
原子力委員会
の性格については、学術
会議
の主張を取上げ、
行政
委員会
の性格を
最大
限に保持せしめ、
原子力政策
の企画、
審議
、
決定
の機関とし、特に内閣
総理大臣
はその
決定
を尊重しなければならないと明記した。
原子力委員
の任命は
国会
の同意を要し、罷免は、心身の故障または重大なる欠格
原因
の存在以外に、一内閣が簡単に罷免出来ないようにして、
委員
の身分を保障し、
わが国
原子力政策
の推進を、政争の圏外に置いて、じっくり腰を据えて、長期持続の
計画
を遂行し得るよう配慮した。」こういう
精神
で
原子力委員会
というものができておる。私はこの
精神
はあくまでも正しいと思う。しかし、ややもすれば
日本
の
原子力
というものは、エネルギーの需給関係から、現実面に非常にプレッシャーがかかっておる。そうして、
学問
的な
分野
というものは、ややもすれば置き去りにされる憂いがあったので、その間に
湯川
さんという人がおって、おとなしい人でもあり、内気な人でもあるから、
自分
でばんばん言ったりやることができない。そうして気をもんでいるうちに、だんだんだんだん消極的な気分になってきたということをわれわれ反省しなくちゃならぬと思う。そういう点について、今までの
原子力委員会
のあり方等についても、改革を加える余地がないかどうか、
委員長
にお尋ねしておきます。
宇田耕一
11
○
宇田国務大臣
原子力委員会
の
運営
については、私は就任日が浅いから、従来一年間どういうふうにやってきたかということについての
検討
をするひまがなかったのですけれども、私の考えでは、今、
中曽根委員
から申されたような線で、大きく反省しなければならぬ点が多いと思っております。
中曽根康弘
12
○
中曽根委員
そこで、
委員会
の
運営
を反省する、改革するということは、当然これからここ一年政治の日程に上って私はいいと思うのです。
湯川先生
がもし引かれるということになれば、それを転機にわれわれは禍を転じて福にする必要があると思うのです。そこで、
一つ
のポイントはどういうことであるかというと、
原子力委員会
に事務局が必要であるということだと思う。これは、
原子力委員会
を作るときから問題があって、執行機関にしてはならぬというところから、
科学技術
庁に
原子力
局を持っていって、それを執行機関にした。しかし、
アメリカ
のAECやあるいはその他の外国の例を見ても、
スタッフ
のないところに
決定
や
審議
というものはあり得ない。あるいはこれから
動力炉
や年間九十億、百億という大きな
予算
を使うようになると、監察という面も出てきます。
アメリカ
のAECでは、乱費を防ぐために非常に監察を強化してやっておる。これは
国会
の合同
委員会
で
協力
してやっておる。そういうような監察の面も
原子力委員会
が直接やるということも考えられるわけです。そういう点から、
宇田長官
は、
原子力委員会
の改組という問題及び改組する場合に
自分
の
スタッフ
を大勢持って、
調査
もやるし、新しい構想も生み出すし、あるいは監察も行う、そういう事務局を持つという方向にこれを改革する必要はないか、お尋ねいたしたいと思います。
宇田耕一
13
○
宇田国務大臣
私は、実際、
原子力委員会
というもののほんとうの
行政
体としての権限とか、またこれが
運営
に万全を期するのにふさわしい組織であるかどうかについても、少し考えなければならぬ点があるように思っております。
原子力委員会
という機構が、
日本
の
原子力
の将来のために非常に適当な組織であるかどうかという点について、ただいまの
原子力委員会
設置法の建前では、どうも十分に自信の持てないような点があるように思っております。それは、具体的にどの項、どの項ということを申し上げるような、まだ成案は得ておりませんけれども、
原子力委員会
設置法に基く
原子力委員会
の権限あるいは
行政
しのいろいろな措措等をとるために、これでいいかなあという気がしております。また、
原子力委員会
のもとに事務局を構成するということも、これは必要な点もあると思っております。ただ、
原子力委員会
の期待されるところを考えてみますと、事務局というものがかえって手足まといになることもあり得るのじゃないかという心配も持っております。事務局にどういうふうな権限を持たして、どういうふうに事務局を
運営
するかについては、好ましいとは思いますが、その規模あるいは
運用
の方針等もよく勘案しなければならないのじゃないか、簡単にそれは置くべきものであるという結論には達しない点があると思うわけであります。
中曽根康弘
14
○
中曽根委員
宇田
さんのお話を聞いておると、どうも
自分
はそう大してその必要は認めないが、言われたからそうとも感ぜられる、そういうふうに受け取られるのです。しかし私はそんなものじゃないと思うのです。たとえば、
石川
さんが
産業
界から出ておる。
石川
さんが
産業
界と接触をして、いろいろな
企業
態勢の
研究
をする。新しく
動力炉
を持ってきたときにいろいろな問題が起るわけですが、その場合に、
原子力
産業
会議
の
スタッフ
を
中心
にしてやったのでは、これは
原子力
産業
会議
の案ができるだけなのです。だれが
中心
になってやるかというと、
石川
さんには秘書が一人もいません。
原子力
局というのは
行政
官庁で、これは事務を執行するところなのです。そうすると、まさか
科学技術
庁の人間をそう年じゅう使うわけにはいかない。
原子力委員会
というものは内閣に直属しておるのです。
スタッフ
がなくて
石川
さんが全
能力
を発揮できるか。
湯川
さんは
学者
や
学問
の関係を分担されるが、これも秘書がいない。
湯川
さんは年来秘書をつけてくれと言っていたが、秘書がおらぬ。
委員
室にはお茶くみの女の子しかいない。それだけで東大や京大や学術
会議
との連携を大幅にやりまくって、
原子力委員
の
仕事
をやり繰りすることができるか。有澤さんにしても同じでしょう。そういう点からわれわれが
原子力委員会
を作っていたとき危惧していた弱点が、はしなくもここに出てきた。それが
湯川
さんがおやめになった心境の
一つ
じゃないかと
自分
たちは反省しておる。
宇田
さんが一日も早くその心境に達することを私はこいねがうのです。それは、お互いがじっと見て、そういうことを感じておるからです。今までのように、
石川
さんや有澤さんや
湯川
さんの
仕事
の役割から見て、そういう
スタッフ
や事務局を作る必要はやはりないとお考えですか。
宇田耕一
15
○
宇田国務大臣
事務局を作るということは、私は考えたいと思っております。それからあなたのおっしゃることの、要点は、よく私にはわからぬ点がありますけれども、秘書をつけるとかいう程度のことならば、それは別に反対することもないと思う。また事務局というものが、そういうふうな意味のことならば、ちっとも反対はしません。何でもないことだと思っております。
中曽根康弘
16
○
中曽根委員
まだ私の言うことがおわかりになっておらぬと思う。秘書をつけるなどということは小さなことなんです。それは
一つ
の例として申し上げたのです。それよりも
スタッフ
をつけるということです。
石川
さんには
石川
さんの
産業
界に働きのできるような
スタッフ
を作る。
湯川
さんには
湯川
さんの
学問
的な
分野
で働けるような
スタッフ
を作る。あるいは
原子力委員会
としての
調査
機能を持つ。あるいは監察機能を持つ。そういうことが必ずこれからの
日本
の
原子力政策
の上で必要になると私は思う。そういう
専門
的
スタッフ
を持つという点について
原子力委員
にそういう要望はなかったですか。あるいはそういうことをお尋ねになったことはございませんか。私は前から聞いておるのです。
宇田耕一
17
○
宇田国務大臣
原子力委員会
で
スタッフ
をどういう構想で持つかということについての具体的な協議あるいは諮られたことはありません。
中曽根康弘
18
○
中曽根委員
その点は私ら前から聞いておることであり、あるいは
委員長
に遠慮して言われていないのかもしれませんから、
一つ
お調べ願って機構の改革の点については、慎重にしかもなるたけ早く
考え方
をまとめてもらいたいことを私は希望します。 それから、その次にもう
一つ
湯川
さんの問題で申し上げたいと思いますことは、
原子力政策
の超党派性という問題です。
日本
の
原子力
を推進する上について、自民党、社会党両党が
協力
したということは、非常に大きな力をなしておったと思うのです。そういう超党派
精神
というものが、実は
湯川
さんを
原子力委員
にお願いするということにもなってきたと私は思うのです。その
湯川
さんが、もし万一おやめになるということになると、その後のいろいろな人間の選び方やその他の面で、超党派性というものにひびが入るおそれがないとは言えない。私はこのことを非常におそれる。一方的な
考え方
でこれを行うと、将来非常に大きなきずが五年後、十年後、
日本
の
原子力
の上に出てくると私は思う。
原子力委員会
発足前後、あるいはその後超党派性というものは非常にうまく保たれて、あらゆる問題について両党が事前に
相談
してスムーズに
運営
してきたと思うのですが、最近その傾向が非常に薄らいできたように私は思う。もっとも、
原子力委員
がりっぱに選任されて、
原子力委員会
もスタートしたことですから、
国会
側はあまりしゅうとの嫁いびりみたいなことをするのはいかぬと思いまして、われわれはことさらに出ていくことを遠慮し、またあまり役所や何かに出入することは慎んでおって、
政府
がやることをわれわれは
国会
で受けて立つという態度をとっておったのです。普通の
行政事務
ならばあるいはそれでいいかもしれぬ。しかし、こういう問題は、むしろ
政府
の方が両党の議員の方へ積極的に
相談
をかけて、提携していくべきものだと私は思う。今までは
政府
の機構がなかったから、われわれ議員が先に出て両方で
協力
してやりましたが、
政府
のそういう機構ができた以上は、今度は
政府
の方が両党の方へ話を持ちかけて事前の
調整
をやるということがいいやり方ではないかと思うのです。そういう点について、ここ一年ぐらいはどうも発足当時のような関係にいかない、この点われわれももう一回いろいろ考え直さなければならぬと思いますが、
政府
の方のやり方も御反省を願って、改革すべきこともないとはいえないと思うのです。たとえば、動力協定の問題にしましても、くすぶっている問題がある。どこに問題があるか、そういう点はわれわれは新聞で知るだけであります。そういうことがくすぶっているということが、
原子力委員会
あるいは
原子力
関係と
国会
の方を疎遠にするもとにもなっておる。これはわれわれ自体が反省して申し上げるのでありますが、
政府
の方でもその点はもう一回いろいろ考え直してもらって、改革すべき点は改革してもらいたい。この点はいかがですか。
宇田耕一
19
○
宇田国務大臣
行政
府と
国会
との関係を円滑に持っていくということは、非常に重要なことだろうと思っております。それを抽象的でなく具体的にどういうふうに運んでいくのが一番効果的かということでありますけれども、その点については、なお今まで通りでいいとは考えておりません。もっと十分な連絡のとれる
方法
を考えなければならぬ、こう考えております。
中曽根康弘
20
○
中曽根委員
時間がありませんから話を進めますが、この間マッカーサー大使と御会見になったようです。おそらく
宇田
さんが会った
中心
は、今進めている
研究
協定あるいは
一般協定
との関係を促進するというお心づもりだったに違いないと私は思いますが、この点についてもしお話願えるならば、先方の見解や当方の申し出をここでわれわれに
説明
していただけばありがたいと思います。
宇田耕一
21
○
宇田国務大臣
マッカーサー大使には、着任をせられたので、それぞれ総理その他各大臣を訪問してそれで初めて着任をしたことに対するあいさつであるというようなのが前提であったのです。そうして、来られて会ってみたら、その劈頭手紙を出して、その手紙を私に渡して、よく読んでくれ、こういうことだったのです。その手紙を見てみると、
アメリカ
のAECのストローズ氏から私に対する
アメリカ
への招待状が入っておった、そういうわけで、それについてどうだろう、こういう話でしたから、
自分
は今
国会
が会期中であるし、また
政府
にも
相談
をしなければならぬし、それから
原子力委員会
に
おい
てもこういう問題は諮らなければいかぬ責任があるから、いずれそれぞれの機関に諮ってから御返事をいたします。こういうことを話しました。それで、
日本
は
アメリカ
との関係でも懸案の問題が数点あると思うのだが、
原子力
協定、
原子力
に関するところの条約等についてはどう思うかと言ったら、
自分
は実は全然アトムの問題についてはしろうとなものだから、それは一緒に来たウェアリング氏が担当でよくわかっているのだから、あらためて別の
機会
にそのことは協議をしてもらいたい、こういうことでした。こっちとしては、いずれにしてもウォーター・ボイラーをCP5が稼働を始めるから、それに必要な資材あるいは燃料はもらわなければならない、情報ももらわなければならないと思うから、そういう点については協定をどうしても必要とする、あるいは条約を必要とするはずだから、そういう点は
一つ
今後よく
話し合い
をする
機会
を持ちたいのだ、それはよくわかっている、十分それには配慮したいと思うのだが、
自分
は
専門
でないから、今ここでどういう経過になっているかということはわからないから、その点はあらためて君の方からも別の
機会
に申し出をしたらどうか、そういうことだったのです。それで話は、儀礼的な訪問であるということと、それからAECからの手紙を届けに来た、それ以外のことについては、きょうは実は話はするつもりで来たのではない、別の
機会
にしようじゃないか、そういうことでした。
中曽根康弘
22
○
中曽根委員
研究
協定の草案を早く
日本
に渡してくれとか、
研究
協定に対する考えを早く知らせてくれとか、これに対して督促することはなかったのですか。
宇田耕一
23
○
宇田国務大臣
それも話してみたのです。話してみたら、そのことについては
自分
はまだよく知らぬから、ウェアリングがここにおるから、十分話をしておくから、なお確かめてほしい、こういうことでした。
中曽根康弘
24
○
中曽根委員
向うから、
一般協定
について、
日本
側は受けて立つ用意はないかとか、
一般協定
を早くやろうとか、そういう話はなかったのですか。
宇田耕一
25
○
宇田国務大臣
条約等のことについては
自分
はよく調べておらぬから、そういう点についてはウェアリングを通じて話をさせるから、すぐに別の
機会
をとらえて諸君の方から希望を出してほしい、そういうことでした。
中曽根康弘
26
○
中曽根委員
そうすると、この
一般協定
や
研究
協定については、あなたとマッカーサーとの間では早くやろうとかやるまいとか、具体的な話はなかったのですか。
宇田耕一
27
○
宇田国務大臣
その点についてはあらためて
自分
の方は話をする
機会
を持ちたい、そういうことでした。
中曽根康弘
28
○
中曽根委員
新聞によりますと、ストローズから招待が来て、それからユーラトムの方も見ると書いてありましたが、非常にけっこうなことだと思うのです。しかし、ここで私ら考えさせられますことは、長官あるいは
委員長
は、そういう問題で外国へ行くこともけっこうだけれども、しかし行く前にやる
仕事
がまだ相当あると思うのです。うっかり小学生の遠足みたいにいい気になって行くと、向うへ行って単なる見学をやったにすぎない、あるいはとんだ重荷をしょわされてくるということもあり得る。どうせ
中心
は、
アメリカ
は売りたくてしようがないから、
一般協定
の問題にきまっている。それに対してこっち側の腹、態勢を十分整えて、そごのない格好をしていかぬと、相当のリアクションを国内に起すおそれがあると思う。そういう点からして行くことはけっこうだけれども、またなるたけ行っていただいた方がいいと思うけれども、行く前に国内の態勢やら
調査
というものを十分によくやってそして行っていただきたいと思う。その点について
宇田
さんは何か構想でもありますか。もしありましたら聞かしていただきたいと思います。
宇田耕一
29
○
宇田国務大臣
国内的にどういうふうな
問題点
を構想するかということについては、私も一応それは考えを持っておりますけれども、いずれにしても
原子力委員会
であるとかあるいは
政府
部内のいろいろの考えであるとか、あるいは
国会
に
おい
て皆さんの
意見
がそれぞれあることと考えますから、そういう点もよく聞き合して、そうして
自分
の方向をきめたい、こういうふうに考えております。
中曽根康弘
30
○
中曽根委員
正力さんが
委員長
になったときも実はストローズから招待状が来た。しかし、私は正力さんに、そんなものは行かぬ方がいい、一回や二回はこっちから断われ、そういうことを僕は個人的に申し上げた。そんなことは公表もあまりしなかったし、実際行かなかった。それは
原子力委員会
あるいは
原子力研究所
を整備して早く発足させるという
仕事
もあったし、あるいは
研究
協定の細目協定の
仕事
もあって、そっちの態勢を整えるために正力さんは行かなかった点もあるのです。向うから招待が来たからといって必ずしも行くことがいいとは限らぬ。外交上のテクニックからしてもいいとは限らぬと思います。しかし、それは
宇田
さんに来たのだから私が何とかという筋はありません。しかし、ことによれば一回くらいは断わった方があるいは
日本
の値が上るかもしれません。何しろ
アメリカ
側としては
イギリス
とせっているし、早く動力協定を結びたいから、ちょうど東京の大メーカーが地方の小売店を熱海へ招待するようなものだと思う。そういう点がないとは言えない。まあ言い過ぎた表現かもしれませんが、ないとは言えない。従って、
日本
の
原子力
の態勢をよく整えて買うなら買う、買わないなら買わないとか、どういう順序でやるとか、年次
計画
はどうするとか、
産業
界や学界との
話し合い
はこういうふうな見当でいくとか、そういう
諸般
の態勢を整えて、見当をつけていかぬと、われわれが数年前にオークリッジとかアルゴンヌを見た程度のものに終ってしまうし、それでは今日貴重な時間をかけて行く意味がない。そういう点からして、よほどその前に体制を固めるということをここ一、二ヵ月の間に真剣にやっていただきたいと私は思うのです。今日の日米関係だけを見ても、相当解決すべき問題があり、国内側の体制の確立にも非常に急速に要する問題があると思う。これはあとでいろいろ申し上げます。そういう点について
宇田
さんの御
意見
を承わりたいと思います。
宇田耕一
31
○
宇田国務大臣
それは、お説のような立場、お説のようなタイミングをとるということも私は意義があると思います。私自身は、いずれにしてもヨーロッパないし
アメリカ
の
原子力
及びこれの平和利用についての現況を、責任の所管の地位にある者が行って見てくるということは、
自分
たちの新しい
計画
を立てるためにも必要であるという概念の上に立って、すみやかにそれを実行するのがよろしい、こういうふうに思っております。それで、招待があったときに、一、二回くらいは断わった方がいいというふうな立場をとるのがよろしいかどうかということについては、私は反対の考えを持っております。
中曽根康弘
32
○
中曽根委員
原子力研究所
その他の本年度の事業についてちょっと嵯峨根さんにお尋ねしたいと思います。新聞によりますと、東海村でウォーター・ボイラーが七月から運転を開始するということでありますが、ウォーター・ボイラーはいつごろ動き出すか、それからCP5はいつごろ着手して、来年のいつごろから運転開始ができるか、それに必要な濃縮ウランはいつまでに入手しなくちゃいかぬか、そういう点についてお話し願いたいと思います。
嵯峨根遼吉
33
○嵯峨根
参考人
ウォーター・ボイラーについては、第三回のシップメントが届きまして、五月ごろには相当な整備ができる、燃料の入手についてはかなりのいきさつがありまして、非常な努力をいたしました結果、けさ電報が参りまして、五月の十五日ごろに到着するということがはっきりわかって参りました。そういう意味では一向に支障なく、そのころからだんだんと動かし始めまして、実際に動き出すのが大体七月ごろになる、うまくいけばもっと非常に早くいく可能性も十分あるわけでありますが、いいところ大体七月というふうに考えております。なお、七月からはウォーター・ボイラーのような初めての原子炉がどういうふうな特性を持っているかということを十分
調査
をしませんと、将来
研究
計画
にも支障がありますので、それを今のところ約三ヵ月予定しております。あるいは四ヵ月になるかもしれませんが、大体ことしの十月ごろからは、相当フル・パワーで動くというようなことをねらっております。なおCP5については、現在設計が終りに近づきまして、図面がどんどん出てくる、三菱のほんとの現場のぱりぱりがどんどん出かけまして、端からチェックして、これは
日本
には向かぬ、いいというようなことを今やっておりまして、そういう意味に
おい
て、大体予定通り進行中でありまして、ことしの終りごろからそれぞれ荷物が入り始めまして、今の予定では、来年の三月の中ごろに一応組み立て完了に近いということになっております。燃料はすぐにぽかぽかと入れるかどうかということは、なかなかむずかしい問題でありまして、なお重水等もどういうふうに入れる、かというのもよく
相談
をした結果でないとわかりません。向うでは割合短い時間にフル・パワーで入れてみせる、そして引き渡すのだということを明言いたしておりますが、その点も外国の原子炉を見ますと、全部予定通りいっているというのはほとんどないという実情でありますから、われわれも十分の
注意
を払って、そういうことのないように努力をしているわけであります。現在の考えでは、来年の六、七月ごろには相当な運転
状態
に入るということを期待しているわけであります。
中曽根康弘
34
○
中曽根委員
研究
協定によって濃縮ウランを増量しなくてはならぬということがあるのですが、いつごろまでに濃縮ウラン増量を手に入れなくてはならぬか。ということは、
研究
協定をいつどの
国会
で、つまり今
国会
でやってしまわなくてはいかぬか、秋の臨時
国会
でもあった場合でいいのか、通常
国会
でも間に合うのか、こちらには
国会
の都合があるものだから、その点をお聞きしておるわけです。
嵯峨根遼吉
35
○嵯峨根
参考人
私の目下の了解では、今
国会
に通していただかないと、CP5にさしつかえがある。というのは、燃料を手配するのにまずAECにそれだけの燃料を出してもらう手続をし、それから今度それを加工するメーカーに契約を結び、それから何ヵ月かたってやっとものができる。ものができて果してうまくいくかという
試験
もある程度しなくてはなりませんから、そういう意味に
おい
て、私の了解では、今
国会
にぜひ通していただきたい。臨時
国会
が非常に早くあれば必ずしも間に合わないということもないでしょうが、そういうものがあっても、すぐに開会まぎわに可決されるということはちょっと考えられません。そういう意味に
おい
て、ぜひとも今
国会
に通していただきたいということを希望しております。
中曽根康弘
36
○
中曽根委員
そこで、
研究所
の機構改革をおやりになったような記事がありましたが、具体的にどういう改革をおやりになったか、あるいはおやりになるか、承わりたいと思います。私が申し上げたいのは、先ほど申し上げましたように、
研究所
というのは
総合研究所
の性格を持つべきもので、単に
動力炉
の問題だけを対象にしてやるべきでない、そういう考えを
研究所
を作るときにも持っておったし、今でも持っておるものですから、そういう観点からお尋ねする。
嵯峨根遼吉
37
○嵯峨根
参考人
研究所
が出発しましてから、やっと三十二年度の初めに東海村の建物がぼちぼちでき初めまして、そっちへ移住するという立場に立ちますので、ある程度の機構組織を変えなくては工合が悪いということは、初めからわかっております。と同時に、
研究
方面におきましても、特に従来から非難のありました工学関係の人が非常に少いという点を何とか補充したい、実際にまず芽を出してという努力をいたしましたが、必ずしもいい人を何にも機構的にないところに迎え入れるわけにはいかないという点がありまして、英語で言いますとニュー・クリア・エンジニアリングという部門、
日本
語であまりいい名前がないので、臨時的に
原子力
工学部と呼ぶものを作ろうという努力をしております。それが一応今の組織の
計画
案の中に入っておりまして、まだ最終的に
決定
に至っておりません。もう
一つ
おもなものは、
動力炉
の準備室というのを作って、どういうことを
調査
したらいいか、どういうことがいいかというようなことの
調査
をやるところがついております。そのほかにはおもだった変化はありませんで、東海村に行くために外部から来る人の受け入れをやる課、あるいは工作
工場
とか、そういうものをつけた程度でありまして、本格的に動き出しますと、なお現在芽を出した工学部がもっと大きな形になるだろうということを期待しております。なお、最初にあまり考慮に入っておりませんでした放射線の利用、すなわちアイソトープ関係のものがかなりの大きさの部となって現われてきているという程度であります。
中曽根康弘
38
○
中曽根委員
ウォーター・ボイラーではそう大きな
試験
はできないかもしれませんが、それにしても生物とかあるいは
物理
化学あるいはそのほかの農業に対する利用とか、いろいろ総合的な
研究所
の体制をスタートしなくてはいかぬと思うのです。できてからゆっくりやればいいということもありましょうけれども、人員を集めるということからもうすでに早くしないと、そのときになってからでは間に合わぬ、そういうことで、外国のアルゴンヌとか、あるいはどこでしたか、九つの
大学
で連合してやっているようなところがありました。ブルックヘヴンですか、そういう態勢を作っていく準備というか、準備室とかなんとか、そういう準備をする時代に入ったんじゃないですか、その点いかがですか。
嵯峨根遼吉
39
○嵯峨根
参考人
御高説非常にけっこうなことだと思いますが、具体的に考えますと、われわれは当初六百人の定員で案を立ててそれでも人が足りないで困っておりましたところ、三十二年度には最終的に四百五十人でいいだろうというようなことになっておりますので、現在のわれわれの考えでは、現在われわれの持っている
計画
だけもそれではとても間に合わない。そこで、窮余の一策としましては、外部から来る出向者ももちろんですが、手弁当の人、向うの会社なり学校なりの給料を払ってもらいながら
研究所
で
仕事
をするというような人を予定いたしまして、それの受け入れ態勢を考えておるわけであります。そういう意味で、農学等の、特にアイソトープ関係のところを利用されることが期待されますので、
研究
協力
課という先ほど申し上げましたような課を作って、受け入れ態勢の準備をするということにし、かつ学界その他には十分連結をして、いつごろからそういう予定でやるかということを連絡をしておる
状態
であります。理想的に申しますと、われわれの
研究所
の中にそういうような
専門
家が何人かいてみんなの要求が立ちどころにわかる——御承知のように、農学部の先生の言うことがすぐに理学部の
物理
の連中にわかるとは限りません。言葉のわかる人を入れたいのでありますが、現在そこまでの余裕がないという
状態
であります。来年度は皆様の御援助で、ぜひそういうふうに運はしていただきたいということを希望しております。
中曽根康弘
40
○
中曽根委員
原子力
学校を作るとか新聞にありましたが、こういう学校を作るのですか。
嵯峨根遼吉
41
○嵯峨根
参考人
現在の
研究所
の
計画
の中には、まだ入っておりません。
中曽根康弘
42
○
中曽根委員
研究所
を作ってみて一番苦情を聞くのは、大蔵省の干渉が非常に激し過ぎる、小さいものを買うのでも主計官の許可を得なければならぬ、こういうことをよく聞いております。この点については、われわれの同僚議員からも、大蔵省にずいぶん警告をしておりますが、改まっておらぬようであります。具体的に、たとえばどういう点を改革する必要があるか、重要と思う点を二、三点あげていただきたいと思います。
嵯峨根遼吉
43
○嵯峨根
参考人
非常に難題でありますが、まっ先に、すぐに気がつきますのは、たとえば
建設
部であります。われわれの
建設
部にいつまでも非常に多人数の
建設
の
専門
家を置くのがいいかどうかということは、多分に疑問であります。そのために、もし理想的であれば、
原子力
に非常に特殊な建物の
専門
家を養成するということに重点を置きたいわけでありますが、現在要求されておるのは、
研究室
とかあるいは職員の住宅とか、普通に外に出せるものがたくさんあるわけであります。ところがそれをいきなり外の
建設
の
専門
家に出して、それの見積りができたからすぐお願いしますと言うと、これは高過ぎる、あした代案を持ってこいと言われますと、もうそういうことは外の
専門
家ではやってくれない。結局うちで全部そういうものを持たなければならないということで、
建設
自体の人員が非常に多人数要って、しかも夜業の連続というようなことをしょっちゅうやっているというような点が非常に困難な点だと思います。 第二の点を申し上げますと、
原子力
の事情というものはどんどん進歩しまして、実は世界的にも早いのと一緒に、
日本
は今幕をあけている最中でありまして夜が明けかかっているのでありますから、今までわからなかったことがどんどんわかる。ところが、実際の
予算
を組むのは、たとえば三十二年度の今通りかかっております。認可のおりかかっております
予算
は、昨年の七月ごろ、私がまだ何にも知らないころに立案されたものが主体になっている。そして、それを使うのが一年後どころではなくて一年半から二年後に使う。こういうような実情では、新しく発生したことに対しての応急な処置ができないのだ、そのために予備金を持てばいいじゃないかといいますが、実際に、御承知のように予備金というものを一回置いたところが、それを使うのに相当な努力をしなくちゃならぬということになると思います。そういう点で、現在のような程度のものでありますと、実際には
研究所
の内部で最も優秀な人がそれへどうしてもかからなくちゃならぬ。そうすると、最も優秀な人の努力が実際の有効な面に使われないで、
予算
をいかに獲得するかというような面、その中には多分に
予算
技術
と称する妙な面がありますが、そういう点までに力を使うということが、果して有効かということが、非常な問題になっていると思います。まあ、その程度です。
中曽根康弘
44
○
中曽根委員
それでは、
研究
協定と
一般協定
の問題について、外務省及び
原子力
局及び大臣にお尋ねしたいと思います。 本年度の
研究
協定の改訂をしようとしたそのポイントは、当初はどこと、どこと、どこでありましたか。
佐々木義武
45
○佐々木
政府
委員
研究
協定の改訂のポイントは、大きく分けますと四点ございます。
一つ
は、天然ウランの買い取り並びに濃縮ウランの増量をしたいという点であります。第二点は、プルトニウムあるいはウランの二三三を
研究
用として、ごく少量でありますが、向うの許される範囲で向うからもらいたい。これは一昨年結んだ協定の本文には載っておりませんので、今度の改訂を
機会
に、それを本文に載せたいという点であります。第三点は、免責条項の問題でございまして、これは
わが国
で結びました協定の本文の中には載っておりませんで、細目協定の方に載ってございます。ところが、日米協定以後に結びました
諸国
、たとえばドイツその他の国でありますが、その国々では本文に免責条項が載っておりまして細目協定の中から抜いてございます。そういう関係もございまして、免責条項をこの際本文に載せまして、そして本文に載せたからには、細目協定の方は、
行政
取りきめですべて運べるというふうな、非常に弾力性のあるやり方をとりますので、免責条項を入れたのが第三点であります。第四点は、ただいままでの現行の日米協定では、ウランの貸与ということにつきまして、貸与に伴ってのスペント・フュエル等の処理の問題が原則として全然ノー・タッチで、
アメリカ
に返還しろということになっておりますので、その点を購入に切りかえまして、そして一応購入でございますから、所有権は
日本
に移るわけでありますが、それに伴ってのスペント・フュエル等の処理をもう少し有利な条件で処理したいというのが第四点であります。以上四点が主たるものでございます。
中曽根康弘
46
○
中曽根委員
今、改訂に御努力なさっておりますが、その当初の今のポイントは、その後変更なく改訂するという方針ですか。それとも、その中には向うとの
話し合い
で今やらぬでもいいという問題が出てくるとか、あるいは変更を要するものが出てきましたか。その点を伺いたい。
佐々木義武
47
○佐々木
政府
委員
ただいま交渉しておりますのは、四点をそのまま変えずに向うで原案を作成してもらいたいということでやっております。
中曽根康弘
48
○
中曽根委員
そうすると、たとえばプルトニウムあるいはウラン買い取りの問題も、大体向うが話しに応じてうまくいきますか。あるいはそのほかの免責の問題にしても、天然ウランの購入にしても、
研究
協定の中でそういうことが一挙に解決できるかどうか、お尋ねいたします。
森治樹
49
○森(治)
政府
委員
アメリカ
に対して最終的に申し入れましたのが二月の上旬でございまして、
アメリカ
側からの回答が実は二回にわたって延びているわけでございます。最終的には、三月の十八日に、向うの方で草案を準備して
日本
側に渡すからということでございましたが、先方の
法律
の
専門
家が
病気
中だそうでございまして、そのためにおくれている。しかしながら、ただいま原
子力局長
から御
説明
いたしました
日本
側から申し入れた四つの点に関して、
アメリカ
側は実体的に異存はない。ただ、従来の条約に例のないものであるから、条文の作成に手間取っておるということであります。
中曽根康弘
50
○
中曽根委員
そうすると、向うから草案が来るのはいつごろになりますか。
森治樹
51
○森(治)
政府
委員
ただいままでは
アメリカ
の
日本
大使館の方で、
原子力
局と先方の
原子力
局に督促を重ねて参りましたけれども、御承知の通りに、わが方でも
国会
の会期との関係もありますし、この辺で一応の見通しをつけなくちゃいけないと考えております。従いまして、この二、三日中に本省の方から在米大使館の方に電報いたしまして、その点の見通しを最後的につけたいと考えているところでございます。
中曽根康弘
52
○
中曽根委員
貸与と購入とによってどういう差異が出てきますか。
佐々木義武
53
○佐々木
政府
委員
貸与と購入の違いの一番おもな点は、先ほど第四の点を申し上げた際に出て参りましたが、二つの大きい問題があろうかと思います。もし足らぬ場合は外務省の方から補足されると思います。
一つ
は貸与、購入をいたします際には、ただいま申しましたようにスペント・フュエル、消費済みの燃料をそのまま向うへ返すのじゃなくてそのフュエルの一部をこちらの
研究
用に残してもらいたいという点をはっきり明示してもらいたい。それから、かりに向うで残りを買い取った場合、あるいは預託した場合等は、今後のいろいろな折衝できまってくると思いますが、それがこちらの
研究
等でさらに必要な場合には、一部買い戻し権を留保いたしたいという点が大きい問題であります。第二点は、前の協定では、協約期間が済んだ際には燃料等は全部返してもらいたいという条件がございましたが、今度は協約期間後かりに購入に切りかわった際には、その処置に対しましてもう少し違った条件がつけ得るだろうという二点が非常に大きい問題だと思っております。
中曽根康弘
54
○
中曽根委員
もう少し違ったというのは、どういうことですか。
佐々木義武
55
○佐々木
政府
委員
ただ条約の期間が過ぎると返すということになりますと、こちらの
研究
ができない格好になりますので、購入する際には買ったものでありますから、所有権はこちらに属していることになりまして、貸与の場合とはおのずからその点の扱いが非常に変ってくるだろう、どういうふうな変り方をいたしますか、向うの原案を見ませんとわかりませんが、かりに購入をした場合でも、その後の扱いは全部返せというふうな議論にはならないのではないか。そういたしますと、燃料の所有に伴ってのいろんな問題、たとえば軍事的に利用しないとか、あるいは第三者の利用をいたさせないといったような、そういう条件は国際憲章その他にもございますので残っていくだろう、そういう扱いはどうなっていくかといったような問題も当然出てくるのではなかろうかという感じがいたします。
中曽根康弘
56
○
中曽根委員
アメリカ
がほかの国とやった
一般協定
の型がありますが、それによると、売却した場合といえども、その灰の処理
方法
について向うが条件をつけて、その適合した場合には処理をやらせる、適合しない場合には寄託するとか、場合によっては優先的に返還、向うが保留するとかいう内容がありますが、購入の場合でも、
研究
協定に際しても、やはりそういうことになる見通しなんですか。
佐々木義武
57
○佐々木
政府
委員
ただいまの
研究
協定の範囲内でありますと、非常に数量がわずかでございまして、その消費した燃料を、こちらで
工場
的なスケールで処理するというところまでいかないのではなかろうかという見通しでございます。従いまして、ただいま
中曽根委員
からお話のありましたように、動力協定等の問題になりますと、当然その問題は大きく浮かび出てくるわけでございまして、その際にも、今お話にあったようなAECの施設あるいはAECで承認する施設で化学処理をやらせることになっておりますけれども、ただいまの
研究
協定で私ども考えておりますのは、むしろその以前の問題でありまして先ほど申し上げましたように
使用
済みの燃料をこちらで化学処理する
研究
をさすために、一部こちらに必要な分は残してもらいたいという
段階
、それから向うに一たん返しましても、その中から、たとえば向うで処理した場合にはプルトニウムとかセシウムとか、特にアイソトープ関係のもの等の
研究
の必要な場合には返してもらいたいというようなことが主たるねらいであってただいまお話のように、化学処理の
工場
の形態までは今度の暫定協定では必要ないじゃないかという感じもしております。
中曽根康弘
58
○
中曽根委員
もう
一つ
研究
協定で伺いますが、免責条項を
研究
協定に入れるという問題は、これは今までだいぶ問題になった点でありますが、細目取りきめに乗っかった文書を
研究
協定にそのまま入れるわけにはいかないのか、あるいはどういう免責条項が乗っかる見込みでありますか。
佐々木義武
59
○佐々木
政府
委員
細目協定の際は、ウォーター・ボイラーに必要な二キロの濃縮ウランを借りる際のいろいろな免責条項が載っておったわけでありますが、今度の場合は、購入という形式に切りかえたいという申し入れをしておりますので、おのずから免責の範囲あるいは内容等が貸与の場合とは違ってくるのじゃなかろうかという感じがいたします。その際どういうふうに違ってくか、またその違ったものに対して、こちらとしてはどういうふうな希望を持って——こちらの希望通りにいきますれば解決できるように交渉するか、そういう問題は
アメリカ
にとっては新しいケースだと言っておりますので、そういう点を、原文をよく見た上で交渉したいという気持でおります。
中曽根康弘
60
○
中曽根委員
何か国内法で立法するというようなことがきのうの朝の新聞に出ております。私ら推測するのに、免責条項の問題がうまくいかぬので、それでこちらの会計法の特例を設けるというようなアイデアではないかと私ら推測しておるのですが、免責条項の問題について、向うのそういう見解は示されていないのですか。国内法を立法するというようなことが新聞に出ているのは、ちょっと私らは奇異に感ずるのですが、その点はいかがですか。
森治樹
61
○森(治)
政府
委員
私からまず御
説明
申し上げて、もし足りないところがありましたら、原
子力局長
から補足していただくことにいたします。私の方の立場といたしましては、細目協定というものはこれは実体的には売買の契約である。従いまして
予算
ですでに御承認を得ておるものについて、さらに細目協定を
国会
の御
審議
に付する必要もないのじゃないか。そうしますと、国際の約束というものが、それじゃ
国会
の御
審議
を願う点をどこで打ち切るかという点にけじめがつかなくなりますから、
予算
で御承認を——これはすでに実体的なその内容となるものについては御承認を得ておる。その実体とするところはその売買契約そのものである。それを出ない。ただ免責条項だけが
国会
の御
審議
をいただかなくちゃいけない事項である。従って、より弾力性を持たせるためには、その免責条項について国内法を立法していただけば、私の方としてはこれに過ぎることはないということを、
原子力
局に外務省の希望として申し入れた次第でございます。
中曽根康弘
62
○
中曽根委員
その免責条項について国内法の立法をやるということは、どういうことですか。つまり
日本
の今までの会計法にひっかかるところをひっかからなくてもいいというように、特例を設けるという意味ですか。
森治樹
63
○森(治)
政府
委員
財政法の特例を設けるということを了解をいたしております。
中曽根康弘
64
○
中曽根委員
そうすると、今まで問題になっておったことを国内的に解決するということであって条約上は向うの言い分の通りだ、そういうようにわれわれは感じますがね。それは実際文書が出てこないと何とも言えませんが、大体そういうふうなものであると了解していいのですか。
森治樹
65
○森(治)
政府
委員
条約的には、この範囲を極力詰めるための努力をいたすべきことはもちろんでございますが、事柄の性質上、どうしてもある程度のものは残ると思いますので、その部分を、弾力性を持たせるために、何とか国内的に
措置
をしていただきたいというのがわれわれの希望でございます。
中曽根康弘
66
○
中曽根委員
話が進行中ですから、私は深くこのことは申し上げませんが、両方の国内法的に見ると、
日本
の方がへっこんで向うがふくらむという形、言いかえれば、
アメリカ
のアトミック・ローというものがぐっと張り出してきて、
日本
はそれを特例という形で受けとめる。そういう形でやることは、できるだけ避けた方が私はいいと思う。むしろ、条約、協定の正文に
おい
て
日本
の言い分を通すという努力をすべきである。細目取りきめで、この前の協定によって
日本
の検収、引き渡しについて、かなりわれわれが納得する線までがんばれた。要するに、引き渡しのときに検収をして、分析その他は第三者に委託してもいいから、入手する。あれなら私は堂々たるものであろうと思う。
アメリカ
がドイツやその他に対してそれを認めないということは、
日本
の外交の大成功だったと思うのでありますが、それを今後も引き続いて行うように協定の正文にも付すべきである。あのまま載せられなくても、そういうことをやり得るという原則を確立すべきである。国内法的にものを糊塗したり、逃げたりすべきではない、私はそう思いますが、どうですか。
佐々木義武
67
○佐々木
政府
委員
ただいまの中曽根先生のお話に返すようで恐縮ですが、やはり本協定と細目協定との区別がございまして、いかなる場合でも本協定は本協定であり、細目協定は、その本協定に基いての細部の協定を結ぶのが細目協定だと思います。そこで、ただいまのお話は、かりに国内法を作ったといたしましても、どうしても細目協定は必要でありましてその細目協定に基いて——これは売買協定でございますから、それによってウランその他を入手するわけでございますが、その際、もちろんお話にありましたように、免責の範囲を極力詰めて、あるいはこの前細目協定にありましたような、入手する前に分析をするとかあるいは検収するとか、あるいは証明書をつけるとかいうふうな免責の範囲を極力詰めるという努力と申しますか、そういうことは、今後とも当然やる必要があると思いますし、また向うでも、細目協定の中には明記するだろうと思います。そこで、ただこの本文との関係の問題になってきますけれども、本文の方に、そういう本来売買に対する細部の条項を織り込めるかと申しますと、この点は、向うでも、条約の性質上、すぐその方がよろしいということは、なかなか疑問かと思います。そこで、先ほどお話がありました国内法については、まだ十分練ってはおりませんけれども、かりに国内法を作りまして、そうして国内法でそういう免責の条項を通した場合には、その
一つ
の裏打ちといたしまして、そういう免責の範囲を極力狭める、極限していくというふうな努力も必要でありましょうし、あるいは何らかの形式でそういうものが国内法に浮び出るような
考え方
をすべきではなかろうかというふうに、ただいまのところ考えております。
中曽根康弘
68
○
中曽根委員
そう簡単に国内法に譲られる問題ではないと私は思うのです。言いかえれば、
アメリカ
の法体系によって
日本
の法体系を一部占領されるという形にならないとは言えない。
法案
の出方によってわれわれは考えますが、現在の
政府
側の努力としては、そういうことが起らぬで済むように
最大
の努力をしてもらいたい。 その次に承わりますが、動力協定いわゆる
一般協定
の問題で非常にごたごたしておるのは、
一つ
は協定の内容が世の中にわからぬからだろうと私は思う。そういう点で、私はこの前どこかからいただいた
一般協定
のパターンをずっと読んでみた。それから、今度の国際
原子力
機関憲章の重要な点を読んでみました。そこで、この際
一般
を啓蒙する意味に
おい
て、今、
日本
と
アメリカ
、あるいは
日本
と
イギリス
がやっておる
一般協定
——原案が来ておるかどうか知らぬが、
石川
さんがもらってきたとも言うし、在外機関は手を回して相当やっておるはずである。そこで、その
問題点
はどこにあるかということを
一つ
解明してもらいたいと思う。私がこのパターンで調べたところによると、
一つ
は
秘密
資料
の問題がある。第三番目は、第三者あるいは第三国への情報の通知という問題がある。第三は、設計の審査や承認の問題がある。第四は、免責の問題、情報の問題、それから受け渡しの問題がある。憲章では、検量するとか分析機関を置くとかという程度まで書いてある。第五は副産物の処理の問題、第六がインヴェスチゲーション、検査、検閲の問題、第七は化学処理の問題、それから第八は融資の問題がある。
イギリス
、
アメリカ
では融資するとかなんとかいう。第九は
政府
の管轄外への移転の問題がある。第三国は
輸出
するとかなんとか、あるいは民間会社にやらせるというのはどういう意味を持っておるか。
政府
の管轄の問題はどうなるか。それから条約の期間、この十項目にわたって、大体のインフォーメーションをここで知らしてもらいたいと思う。現在
イギリス
と
アメリカ
でやっているもの、向うの第一次案でもいいのですが、その原文にのっとって、今の点を明らかにしてもらえばありがたいと思います。
森治樹
69
○森(治)
政府
委員
相当広範にわたりますので、あとで文書で整理いたしまして、
資料
として提出することにいたします。
中曽根康弘
70
○
中曽根委員
それじゃ
一つ
一つ
聞いてみます。まず第一に、
秘密
資料
の問題ですが、この点は、
イギリス
、
アメリカ
との関係はどうですか。このあれによりますと、
アメリカ
側のは、
秘密
の
資料
は渡さないと書いてある。
イギリス
やその他、どうですか。それからパテントの問題があります。
松井佐七郎
71
○松井
説明
員 部分的に御
説明
申し上げます。まず、機密
資料
の交換の問題につきましては、
アメリカ
側が
石川
委員
に出された案によりますと、ディストリクト・データは交換しない、すなわち
アメリカ
の
原子力
法で言う機密の情報は
日本
側に渡さないということを明文でもって書いております。
イギリス
とのテキストは今手元に持っておりませんが、この点はあとで調べて御返答申し上げます。 それからパテントの問題であります。パテントに関する
規定
は私今条文が見つかりませんが、外務省としましては、この問題はまだ正式に逐条ごとに進めていないのでございまして、あとであらためて御
説明
させていただきたいと思います。
中曽根康弘
72
○
中曽根委員
第三者への通報の問題はどうですか。
松井佐七郎
73
○松井
説明
員 情報の通報に関しましては、機密
資料
が交換されないから、その結果出るような情報は機密でないという前提に立っております。それは
研究
協定の場合と同様に、
原子力
平和利用については交換し、ただ情報の通報については、
一般協定
案の第五条におきましては、先方がわが方に提供する情報並びに
資料
等は、その正確さ及び完全について保証はしないという
規定
があります。
中曽根康弘
74
○
中曽根委員
それはあとで聞きますが、その次に設計審査とか承認という問題がありますね。つまり、この憲章によっては、原子炉の設計とか施設とか、そういうものは向うが設計図を見て承認を与えたものについてやらせる、そういうふうになっておるのですが、日米、日英の場合にも、そういうような向うの承認を必要とすることになつているのですか。
松井佐七郎
75
○松井
説明
員 御
説明
申し上げます。大体
一般協定
になりますと、
研究
協定と違いまして非常に出力の大きいリアクターを使うので、従って、その発生するところの副産物中のプルトニウムの量の問題、それから放射性の強いものでありますから、安全衛生という問題もあるし、軍事目的に転用しないという見地から、デザインにつきましては、
日本
側で一方的にきめられなくて、向うと協議して、向うの承認を一応しるということが、
イギリス
と
日本
、
日本
と
アメリカ
、あるいは国際
原子力
機構の場合におきましてもはっきりしております。これは大体各国に確立された一種のパターンだと考えます。
中曽根康弘
76
○
中曽根委員
その次に燃料の受け渡し検収ですが機関憲章によると、それは書いてなくて、おそらく二ヵ国協定に譲るのだろうと思いますが、二ヵ国協定にあるものを見ていると、検収その他についてはあまり明確に書いていないと思う。その点はどうですか。たとえば、分析をこっちである機関にやらせるとか、あるいは実際立ち会って化学検査をやってから引き取るとか、そういう点は重要な点だと思うのですが、どうですか。
松井佐七郎
77
○松井
説明
員 御
説明
申し上げます。まず憲章の関係につきましては、受け取りの場合の条件その他は今、中曽根先生のおっしゃったように、エージェンシーと受取国との間のアグリーメントをきめる。しかしながら、国際憲章の中におきましては、十二条におきまして受け取ったものの
使用
状況
それから化学処理の内容、それから天然ウランなどの燃料、核分裂物質の
使用
の明細というものをはっきりきめて、エージェンシーからインスペクターを出して、あらゆる
資料
を調べさせてきておるのであります。二ヵ国間の
一般協定
におきましては、受け取りの場合のインスペクションということにつきましては、
規定
はございませんと思っております。しかしながら、この問題は、本質的に受け取った後の
使用
状況
その他につきましては、二ヵ国協定の場合は、燃料提供国から一種の事実上のインスペクションをやる。あるいは両国間の協議に基いて、国際
原子力
機構のインスペクションを受けさせることを予定したところの条文が織り込んであるわけであります。
中曽根康弘
78
○
中曽根委員
その点は、会計法上重要な問題があると思うのです。つまり、不安定な、不特定な契約をするわけにはいかぬ。そうすると、その内容を実際確かめないで受け取るというわけにはいかぬと思うのです。こっちの憲章の方では、そういう分析機関とか燃料ということをやれるということになっておれば、当然二ヵ国条約に
おい
てもそれは認められておらなければいかぬと思うのですが、その点どうですか。
松井佐七郎
79
○松井
説明
員 その分析の内容、
方法
につきまして、第一号の燃料につきましては、一応濃縮度が検収の対象になっております。しかし
日本
では分析はできないです。施設はおそらくないはずだと思っております。アルゴンヌとか向うの
原子力委員会
の施設を利用いたしまして、もしくは両国
政府
の協議する機関を通じて分析をやらせております。今度の場合には、もしも動力協定をやれば、濃縮度が九〇%くらいの燃料はもらうだろうと思います。これは嵯峨根先生よく御存じのことと思います。量も多いし、その分析をどうするかということが、今後の外交交渉の大きな焦点になるのではないかと思っております。
中曽根康弘
80
○
中曽根委員
そこで、今の受け取り検収ということが、動力協定のような場合には濃縮度も多いし、大量でもあるし、非常に重要な問題になってくると思う。従って、二ヵ国協定に書いてないということは、私は相当問題になると思う。この点は、もしやる場合には——
一般協定
の内交渉をやっておるかどうか知らぬが、
注意
してやってもらいたいと思います。 もう
一つ
今の免責の問題ですが、このパターンによると、情報のアキュラシー、コンプリートネス、こういうものは保証しない、それから物質あるいは設備の利用の適合性についても同じように書いてある。これは一体どういう意味ですか。つまり情報という意味が燃料の質あるいは設備の合目的性というか、安全性というか、そういうものまで入るのかどうか。
松井佐七郎
81
○松井
説明
員 御
説明
申し上げます。この
一般協定
の第五条は、単に濃縮ウランに関する貸与を前提としたような免責条項とは違う。この
一般協定
の内容は燃料貸与の場合と買却の場合を想定しております。従って、その入手の
方法
についても違った場合を想定しております。入手さるべきものは、単に濃縮ウランだけでなく、天然ウランもあるだろうし、あるいはリアクターのデザインの場合もあるだろうし、
研究
結果の
報告
の場合もあるだろう、そういう一連のことを通じまして、
アメリカ
は最善のものをよこすように努力はするけれども、万一不完全なものがあっても一応責任はとれないということが
規定
してありまして、受け取る
日本
側から見ますと、将来持つべき対外責任ということについて
アメリカ
側に文句が言えない、クレームを言えない。
アメリカ
の民事裁判所に持ち込んで損害賠償を請求することができない。
日本
側はリナウンスせざるを得ない、放棄せざるを得ない。そうすれば、財政法の八条の
日本
の
国会
の承認を得るという関係で、立法事項になると思っております。ただし、この表現は各国とも共通でありますけれども、
アメリカ
の
原子力
法そのものを読んでみますと、こういう包括的なことを想定したところの条文が、私の知る限りにおきましてはございません。
アメリカ
の
原子力
法の第五十三条のCの八項におきましては、
アメリカ
が濃縮ウランを受け取った場合につきましては、
使用
並びに所有の一切の責任については
アメリカ
政府
を免責するという文句になっております。しかしながら、こういう包括的な、濃縮ウランのみならず、リアクターのデザイン、設計情報についても、一切の責任をとらぬという国内法の法的根拠を調べたいと思っております。申し上げますが、
一般協定
については
原子力委員会
の
決定
がございませんで、私らの方は予備的な交渉もしておりません。
中曽根康弘
82
○
中曽根委員
そうしますと、燃料についてはまだわからぬが、大体受け取りのときに検査はできる。しかしそれ以外の燃料が入ってきた場合及び施設、原子炉、そういう一連のものについては、事故が起きても向うは責任がない。対外請求権は
日本
は放棄する。燃料の受け渡しの際に検収があるという程度であってあとは全部免責されるというふうに解釈していいですか。
松井佐七郎
83
○松井
説明
員 その点は、もう少し向う側と意思の疎通をはかった上でないと、わからないと思います。
中曽根康弘
84
○
中曽根委員
条文の上ではどうですか。
松井佐七郎
85
○松井
説明
員 条文の上では、そういうふうに一応読めると思います。
中曽根康弘
86
○
中曽根委員
その次に承わりますが、副産物の処理について大体どういうふうになりますか、たとえばプルトニウムやその他のものについて。
松井佐七郎
87
○松井
説明
員 副産物につきましては、一応この
一般協定
では濃縮ウランの貸与ということがきまり文句として入っております。貸与の場合もありますけれども、おもな特徴は二つあると思います。
一つ
はフュエル・エレメントの処理は、依然として
アメリカ
で行う、もしくは
イギリス
で行う、ただし受け入れ国に
おい
て貸与国の
アメリカ
なり
イギリス
の当該
政府
官庁の施設があるならば、その限りではないということを
規定
しております。それから、第二には、そのでき上った副産物であるプルトニウムをリテンションできるかいかなの問題につきましては、はっきりした条項がございます。平和利用の限度に
おい
ては、プルトニウムを存置してよろしい。しかしながら、その国のリクワイアメントを越える場合は、
アメリカ
なり
イギリス
がそれを優先的に買い戻すという
規定
がございます。こういう
規定
は、国際
原子力
機構の十二条のAの5をごらんになると、似たような
規定
がございまして、灰の処理権につきましては、大体
原子力
機構の条文並びに日米間の
一般協定
の条文というものは似通っておる。一定のある種の国際的な型になるのではないかというふうに考えます。
中曽根康弘
88
○
中曽根委員
その次にインスペクションの問題で、このパターンによると、「パーソナル」と書いてあるが、これが入ってきた。その場合に同行させるというようなことがありますね。日米あるいは日英の場合はどうですか。
松井佐七郎
89
○松井
説明
員
一般協定
では私は当然入っておると思っております。それは国際
原子力
機構のインスペクションの場合には、当時外務省から同行できるかと、言ったら、できるはずだということで、憲章ができ上ったものを見ますと、そういうことに明文が入っております。
一般
憲章は、私自身は十分に勉強しておりませんから確認できません。あるべきだし、また、もしなければ入れることは可能だと思います。
中曽根康弘
90
○
中曽根委員
最後に承わりますが、
政府
管轄外への移転の問題ですね。たとえば民間の
電力会社
が始めた、しかし、ある程度
政府
との管轄でやっているかもしれぬ、それを他に動かすとか、あるいは所有権を変えるとか、そういう問題はどうですか。
松井佐七郎
91
○松井
説明
員 御
説明
申し上げます。それは、国家が購入した場合と民間が購入した場合と、二つあると思います。国家が購入した場合、国有財産だから、国有財産法の
規定
に従って勝手にしたらいいじゃないかという解釈も成り立ちますけれども、それは条約によって約束したその範囲内に
おい
て関係法は修正もしくは排除されると思います。それから、民間の場合につきましては、これは条約上のそういう
義務
を
政府
が負うわけですから、対内的にこれに応ずべき立法をするか、あるいはその条約そのものを国内法と同様にみなして、法行的な効果を持たせるかという問題によって取締りができると思います。
中曽根康弘
92
○
中曽根委員
日米あるいは日英の条約の期間はどうですか。この期間は、
原子力
の
発展
に応じて相当考えなくちゃならぬ問題だろうと思いますが……。
松井佐七郎
93
○松井
説明
員 期間につきましては、はっきりしたものがありません。十年という説もありますし、十五年という説もありますし、まだ全然話しておりません。
石川
委員
がこれは御存じかと思います。
中曽根康弘
94
○
中曽根委員
大体十年以上ですか。
松井佐七郎
95
○松井
説明
員 中曽根先生の御承知の通り、リアクターの出力の大きな
動力炉
というものは、設計にもひまがかかるし、それからプラクティカル・ユースに相当の期間をかけなければならない。期間が
研究
協定より長いのは当然だと思います。それが十年がいいか、十五年がいいかという問題は、
技術
的な立場からも
検討
さるべきものだと思います。
中曽根康弘
96
○
中曽根委員
向うからは、腹案はないのですか。
松井佐七郎
97
○松井
説明
員 ありません。
研究
協定の場合は、御承知の通り十年という
意見
がございましたが、当時
日本
側は五年と切ったことがありますが、
研究
協定ですらも十年であったから、
一般協定
はそれより長いかもしれぬというのは、合理的な請求だと思います。
嵯峨根遼吉
98
○嵯峨根
参考人
偶然私が同席しまして伺いましたのは、オーラルだったか何か
記憶
しておりませんが、十年というサゼスチョンがありまして、十五年にしたらどうだということを言いましたときに、十五年でもけっこうだ、しかし一応十年で切って、十年の終りの近くにもう一ぺん改訂するかどうかというのをやった方がリーズナブルじゃないかという
意見
交換がありました。それだけ
記憶
しております。
中曽根康弘
99
○
中曽根委員
嵯峨根さんにもう
一つ
承わりますが、
動力炉
、
一般
炉の場合に、燃料を貸与にするか、あるいは購入にするかというのは、大きな問題だろうと思います。これは金利計算でどっちが有利かということもありますし、出てきたウェーストを処理するという問題もあります。この憲章を読みますと、あるいは二ヵ国協定の原文を読みますと、処理施設を作らなくちゃならぬということになる。そうすると、あの膨大なアイソトープの分離施設をやるということは、
日本
の金にしてもあるいは何百億かかるかもしれぬ。とても
イギリス
や
アメリカ
がやっているような分離
工場
を作るということはむずかしいように感ぜられます。また買うということになると、相当な金もかかる。しかし、借りるということになると、金利計算で計算すれば、原価も出てくるということになる。そういう
諸般
の総合情勢を考えてみて、一体借りた方が得ですか、買った方が得ですか、どうですか。
嵯峨根遼吉
100
○嵯峨根
参考人
その点は最近だんだんと夜があけてきたといいますか、見当がついてきた部門の
一つ
であります。つい半年か一年ぐらい前までは、だれでも、
動力炉
ができたときには、一回燃料を入れたら、途中で半燃えのものを出して再処理をして、もう一ペん
動力炉
に入れるという了解があったのでありますが、最近
技術
の進歩がありまして、
イギリス
型はもちろんのこと、
アメリカ
型も、一回入れた燃料要素は、できるだけそこで燃してしまって、出したときには、処理して、残ったいわゆる薄くなったウラニウムを
動力炉
の中に入れて使うのは経済的でないということが、はっきりめどがついてきたと思います。その点では、御質問の、買った方がいいか、借りた方がいいかというのは、今後の政治的の問題が含まれておりますので、私は科
学者
でありますから、その点は何とも言えないと思いますが、買ったにしても、処理を
日本
がする用意は必要でありますけれども、経済的に持っていくには、かなりの準備が要る。ですから、多分買い戻してもらうという期間がある程度あっても差しつかえはないというふうに考えられます。特にそれが
アメリカ
型の場合には、もう一ぺん似たような
アメリカ
型の濃縮ウランの燃料棒に直すということは大へんな金がかかります。その点は、
日本
の情勢及び外国の言い方、オッファーによって、提出する条件によっていろいろ処置を考えるべきだと私は考えます。
中曽根康弘
101
○
中曽根委員
日本
の財政力あるいは
技術能力
等から見て、科学処理を
日本
でやった方がいいか、あるいは今の情勢では
イギリス
なり
アメリカ
でやらせた方がいいか、どちらが適当だと考えますか。
嵯峨根遼吉
102
○嵯峨根
参考人
私個人の
考え方
は、まだ大して議論はしておりませんが、現在のところでは、初期に
おい
ては経済ベースだけから考えますと、
日本
内地で買って売り返すか、借りて返す方が経済的になる。しかし、いつまでもそういうことを続けているというのは、将来のこともありますから、その点は
研究
的にある程度どこかで進めるというのを十分
計画
的にやるということが必要だと思います。
中曽根康弘
103
○
中曽根委員
原子力研究所
の
研究
の対象に、そういう科学処理という問題を今日に
おい
てどの程度に取り上げらるべきものですか。
嵯峨根遼吉
104
○嵯峨根
参考人
ついこの間までは、これは重大な懸案でありましたが、三十二年度の
予算
を作成するに当りまして非常な激論をたたかわせました結果、こういう態度を当分とるということに大体
意見
の一致を見ました。それは、燃料の再処理に関する情報というのは、現在のところ非常にわずかしか入っていない。しかし外国の情報はごく近いうちにかなりのところまでわれわれも見る可能性があり、しかも、もっとはっきりした発表がある見込みが多い。については、現在のところ、われわれの一等大事だと思うところの数点を特にしっかりやるということをやって、かたわら外国の情報をできるだけ入れるような努力をここ一年間やろう。そうしてそれにはどこが大事かということがはっきりわかるためには、一貫の、いわゆるパイロット・プラント的のものの設計は十分やってみる。そうすると、ここも大事なところだという点がはっきりわかってくるというようなことでありまして、三十二年度に
おい
て、初っぱなから全部一貫したものを設計してそのまま作るなんということは必ずしも考えない。設計の勉強はする、しかも急所がわかったら、そこは十分押える、そして情報が入ってくる見込みが相当あるかないかを十分
検討
して、いつまでも待ってはいられませんから、適当なときにはっきり覚悟をきめてスタートするというのが、
原子力研究所
の今の態度であります。
中曽根康弘
105
○
中曽根委員
最後に
宇田
さんにお尋ねしますが、
一般協定
といいますか、動力協定の問題は、非常に包括的な問題でありまして、一方に
おい
ては
原子力研究所
の分担をどういうふうに役割を受け持たすべきか、一方に
おい
ては
電力会社
やあるいは電源開発というようなものが、また
自分
の領域にしようとしていろいろ考えもあるようです。しかも
一般
の民間の会社の
技術能力
、
技術
陣の活用の
方法
も考えなくちゃいかぬ、それから
資金
の動員の面も考えなくてはいけない、
企業
形態の面も考えなくちゃいかぬ、あるいはそれに伴う
学問
研究
への応用という問題もあります。また、それに必要な
技術
員の養成
計画
準備の問題もあります。あるいはあなたがやっている五ヵ年
計画
との即応という問題もあります。そういう観点からすると、動力協定の問題というものは、
一つ
の文明転換のポイントにもなる、運転手にもなるという大げさな表現すらできる問題になるだろうと私は思う。従って、
一般協定
の問題は軽々に取り扱うべきではない。肉の厚いやり方で、非常に深い姿勢でじっくり取り組まぬと、すべり出して途中でペンディングになるおそれもあります。端的な例が、たとえば電力九分割をやったときに、議会が反対して、ついにマッカーサーの命令でなければ分割できなかった。電発の総裁をきめようということになったら、与党の内部でいろいろな勢力がぶっつかって、じんぜん日をむなしゅうした。今度の問題にしても、九電力があるし、また電発は電発で
自分
の考えを持っているというので、非常な複雑な
政府
問題も入ってくると思う。そういう問題をうまく適合させて、
調整
をやって、スムーズに、しかも社会党と超党派的に持っていくというのが好ましい持ち上げ方だと私は思う。そういう点から見ると、今の
原子力委員会
——
湯川
さんがこういう不幸なことになっておるという
状態
では、なかなか全部処置し切れないと思う。そういう観点からして、これは官民、あるいは国
会議
員も入れた
審議
会のようなものを作ってそして
諸般
の態勢の準備を整えて動力協定という問題を打ち出してくる、そういう深い姿勢でこの問題を処理しなくちゃならぬと思うのですが、そういう総合的な
審議
会を作って、動力協定、
一般協定
の問題を総合的に取扱う、そういう考えに対して、あなたはどういうふうに思われますか。
宇田耕一
106
○
宇田国務大臣
その点、先ほどの私が申し上げたことにも触れるのですが、
原子力委員会
の持つ機構というものは、われわれはなお深く考えなければならぬものがあるというのは、それも一部分の、私の
考え方
でやっておる問題の一点であります。
原子力委員会
の構成そのものについても、なおもっと、将来の
日本
の
原子力
の平和利用を進める上に
おい
ては、ただいまの機構ないし、構想だけでは不十分ではないかというふうに考える点が数点あります。ただいまお話のあったような条約に関する諸懸案の解決ということは、もちろん立法府に非常に深い関係があります。
行政
官庁としても、この取扱いについては責任がありますから、そういう意味で
原子力委員会
と合せて、三者を
中心
として、そしてそういうふうな特別な
審議
をする機関は持つべきではないか、そういうように考えております。
中曽根康弘
107
○
中曽根委員
もう
一つ
伺いたいと思いますが、今から一ヵ月ぐらい前に、
一般協定
と動力協定の問題をどう取扱うかということをわれわれ議員で懇談したことがある。そのときには、
一般協定
も一緒にすべり出したらどうか、もちろん
研究
協定を今
国会
に上げるが、先方のいろいろな事情もあって、かけ引きの関係もあって
一般協定
と並行してやる方が賢明だ、そういうような構想で今
国会
は
研究
協定を上げるけれども、
一般協定
にも入る、そういう構想で話を進めてもらいたいということを
宇田長官
にわれわれ申し上げたはずですが、
一般協定
の方は向うとはどういうふうな話になっておりますか。まだそういう
話し合い
に至っていないのか。どうも
研究
協定が難航しておるところを見ると、
一般協定
については向うとあまり話をしていないんじゃないか、正式の試合が始まっていないんじゃないか、そういうように思われますが、いかがですか。
宇田耕一
108
○
宇田国務大臣
一般協定
をわれわれが向うとの交渉に持ち出すかどうかということについては、
国会
の会期あるいは
研究
協定の
話し合い
の途中に
おい
て相手国に対してこれを持ち出すということによって、結局混乱の起るおそれもある、そういうふうに考えましたので、
原子力委員会
としては、
研究
協定のみに限って、この
国会
の会期とにらみ合せて話をまとめていくという態度でいこう、もしその途中に
おい
て、
一般協定
についても
話し合い
をして差しつかえないという環境の見通しがついたときには、それについても
話し合い
を始めようじゃないか、こういうことがただいまの実情であります。
中曽根康弘
109
○
中曽根委員
そうすると、まだ
一般協定
については
話し合い
は始まっていないのですか。
宇田耕一
110
○
宇田国務大臣
正式に始まっておりません。
中曽根康弘
111
○
中曽根委員
私はばらばらにやるということは、
アメリカ
との
話し合い
でも非常にまずいんじゃないかと思う。というのは、向うのねらいは、何といっても
一般協定
にあるのであって、
研究
協定はつけ足りです。従って、
一般協定
というものを全部隔離させて
研究
協定をやっても、向うは
日本
に対して相当な不信感あるいは非常な誤解やら猜疑心を持ってくると思う。どうせ
一般協定
は
アメリカ
とも、
イギリス
とも、あるいはカナダともやるべきである。やらなくちゃならぬのですから、
話し合い
はなるだけ早くやって——これだけの大問題を処理するのですから、どうせ半年や一年くらいかかるでしょう。そういう意味に
おい
て
一般協定
、
研究
協定同時に発足させてやるべきである。今やってないなら、今からでもやるべきである、そういうふうに思いますが、いかがですか。
宇田耕一
112
○
宇田国務大臣
一般協定
にいずれこれは入るでしょう。次の
国会
には少くともこれが
審議
を求めなければならぬという環境に入っていくとは思いますけれども、ただ
研究
協定それ自身の具体的な交渉中であってそれに対する返事を向うからもらえるという
話し合い
のところまできておったものですから、それの目鼻が一応つくというので、タイミングを
一般協定
についてはずらしてある、こういうただいまの
状況
であります。
前田正男
113
○前田(正)
委員
関連して、今の大臣の御答弁は私もちょっとふに落ちないところがあるのです。実は、この間私から御質問申し上げましたときに、当
委員会
におきまして大臣は、
一般協定
の交渉に入るという御答弁をされたのであります。私はその結果、
一般協定
の交渉に入ると
決定
されたものと思って、この
委員会
に、いつの日に
決定
されたということを御発表になるかと思って待っておったのです。今の御答弁を聞いておりますと、この
委員会
で
一般協定
の交渉に入るということを言われたことも、言をまた違えたような御答弁であるし、またそのような調子なら、
原子力委員会
では——私に答弁されてからあと定期的な
委員会
もあったと思うのですけれども、
一般協定
の交渉に入るということもまだ
決定
されていないんじゃないかと思う。さっき外務省の
説明
員の話を聞いておりましても、
原子力委員会
としては、正式に
一般協定
の交渉に入るということはきまっておりませんから、われわれは何もやってないのだということを言っておりましたけれども、これはどうも大臣の御答弁が食い違っていると思います。どっちがほんとうですか。
宇田耕一
114
○
宇田国務大臣
一般協定
と
研究
協定と並行して向うに話をかけることが適当であるかどうか、またもしそれをかけるとすると、そういう時期はどういう時期を選ぶのがよろしいかということは、外務省を通じて向うともよく
話し合い
をしてもらうように伝えてはあります。しかし、ただいまのところ、十八日でしたか、
研究
協定に関するドラフトが向うから
日本
に渡される、こういうところにきておりますから、それから判断をすると、
一般協定
をすぐに向うに持ちかけるというのは、混乱があって好ましくないのだ、こういうのが出先からの
報告
であります。外務省からそういう
報告
を受けましたから、自今たちとしては、とりあえず今年度のウオーター・ボイラーなりCP5に必要な処置の万全を期しておくというためには、
一般協定
を持ち出すのも、タイミングをもう少し待った方がよろしいじゃないか、そういうのが出先からの
注意
であります。従って、私はこの十八日に渡されるところのドラフトを
中心
にして
検討
を加えて、そして
一般協定
をどういうふうに話を持ちかけるかということのタイミングを考えなければならぬと思っておった。それで
一般協定
それ自身の
検討
に入ることが反対である、こういうわけじゃありません。ただ、ただいまの
アメリカ
との交渉の経過にかんがみてまたこの
国会
の会期の見通し等から判断をすると、
一般協定
の取り扱い方というものは少し考えなければならぬ、どういう時期にどういう話をするかということについては、もう少し
一般協定
は待つべきである、こういうのが結論であります。
前田正男
115
○前田(正)
委員
それは、私がこの前に質問申し上げたときにも、必ずしもこの
国会
へ提案できるかどうかということは疑問であるということでありました。また、その正式な交渉にお入りになるというのも、
研究
協定の関連等がありまして、タイミングは、
政府
がおやりになることでありますから、これはもちろん当然でありますけれども、
原子力委員会
としては、いわゆる
一般協定
というものを取り上げて
検討
に入る、交渉に入るという正式の
決定
というものがされてない。
一般協定
を結ぶというその交渉に入っていくとか、その時期、タイミングとか、どこの国とやるとかいうことは別でありましょうけれども、
一般協定
をやる、その
検討
に入るという方針を
原子力委員会
としては
決定
されたかどうかということをお聞きしたら、
一般協定
の
検討
に入る、やるのだ、こういうことをこの問御答弁になった。私はその後、
委員会
にお諮りになって、正式におきめになったかどうかを待っておったのでありますが、その辺の返事を
一つ
お聞かせ願いたい。
宇田耕一
116
○
宇田国務大臣
一般協定
を結ぶということは、すでに
決定
しておるのです。
委員会
でも
決定
しております。そして、
石川
さんの持ってこられたドラフトについても
検討
いたしました。それで、その点についてのわれわれの申し上げたことに、食い違いはないと思っております。ただ、
アメリカ
との交渉に
おい
て、あるいは
イギリス
との交渉に
おい
て出先の関係が、タイミングは考えたい、とりあえず
研究
協定の仕上げのために
自分
たちはまず整理すべきものは整理をしますと言うので、それならそういう順序でいきしましよう、こういう経過です。
前田正男
117
○前田(正)
委員
それならば私は聞きたいのですけれども、そういうふうに
原子力委員会
として
一般協定
をやるということを御
決定
になっておるなら、交渉するタイミングはおくれても仕方がないのですけれども、
一般協定
の内容についても、あるいはまた今までの経過とか、そういうものについて外務省と
相談
して、なぜもっと
検討
されないかということをお聞かせ願いたい。われわれも、この間、実はこの国際機構の問題その他の問題があるから、
国会
にも
一つ
一般協定
の
資料
を出してくれと言ったら、英文のものを配ってこられた。われわれの
国会
は外国の
国会
ではありません。
日本
の
国会
でありますから、正式に訳したものでなくとも、少くとも仮訳した程度のものは出さなければいけないと思います。まだ
検討
が十分できていないとか、今まで
一般協定
でやるというようなことははっきりきめて発表してないとか、そういうようなことだから黙っておったのでありますけれども、そういうふうな
資料
も、
予算
を
検討
された結果でも、
一般協定
というものをやるということが正式に前にきまっておったというなら、なぜもっと早く正式にわれわれの方にも
資料
として出され、あるいは
説明
されないのか。われわれは、その点についてまだきまっていないと思っておったから、またこの間大臣が初めてやるというふうに答弁されたから、それじゃそれからの時期を待って、
国会
で
検討
させてもらおう、こう思っておった。しかし、今のお話のように、前からそういうことをきめておったというなら、なぜもっと早くそういう問題について整備態勢をとらないか。さっきからの中曽根君の御質問に対しましても、
原子力
局に
おい
ても、また外務省に
おい
ても、ほとんど
一般協定
はまだ
検討
してない、内容はよくわからない、こういうような返事をしております。そういうことじゃ、大臣が御答弁になった
一般協定
は前からきめておったというのとは食い違っておると思いますが、どうですか。
宇田耕一
118
○
宇田国務大臣
それは、
一般協定
を結ぶということの方針はきめております。ただ先方からのこういう方針でいきたいというドラフトその他等につきましては、われわれは
国会
に提出するだけの確信のある
資料
をただいまここに持ち合せてない、それを皆様にお渡しをして、
検討
に入っていただきたいというほど
権威
のあるものではない、だれかが持ち帰ったという程度のものをここに出してそれを論議をするというのにはまだ早いんじゃないか、もう少し
権威
のあるものを皆さんに差し上げるべきである、従って、出先のわれわれの責任のある官庁の機構の中に
おい
て、正式にそういうものをわれわれのところへ求めて、それを
基本
として
検討
に入っていただきたい、こういうふうに考えておったわけであります。
中曽根康弘
119
○
中曽根委員
そうであるならば、早く向うと話をして向うの最終草案をなるたけ早く手に入れるべきであります。手に入れてないというのは、怠慢のそしりを免れないと思う。それで、
研究
協定をやるにしても、
イギリス
や
アメリカ
の今の動きを見れば、あなたのところに招待状が来たような現実なんだから、向うは売りたくてしようがない。急いでおる。そういう点からしても、
一般協定
に
日本
の積極的な熱意を見せるということは、
イギリス
に対しても、
アメリカ
に対してもいいと思うのです。それは
アメリカ
だけにやるということはまずいかもしれませんが、
イギリス
ともやりなさい、カナダともおやりなさい。なるたけ早く食いついて、なるたけ早く最終草案を手に入れて交渉を開始する。それがうまいやり方だと思う。現地の関係がどう考えておるか知らぬが、しかし、みなでここで話したときにはそういうことであった。その趣旨に従ってやってもらわなければいかぬと思う。 それから今いろいろ
原子力
局なり外務省から話を聞いてみると、どうも
一般協定
に対する
認識
が軽いのです。
一般協定
の背後には相当大きな社会の変革とか
企業
形態の変化とか、そういうものが出てくるのであって、そんななまやさしい考えでやるべきじゃない。もっと深い、社会経済的な態勢を整えてやるべきものだ。そういう点について
原子力
局や
政府
の
認識
は非常に甘過ぎる。そんな
認識
で外国に行っても、大した
成果
はない。チョウチョウが花を飛んで回るという程度しかない。それでは困る。従って、行かれる前にはそういう態勢を整備して、そうしてゆるぎのない程度まで態勢だけは整えて行くべきだと思う。そのことを最後に要望しまして、私の質問を終りますが、今申し上げたところでもう一回強調しておきたいことは、
イギリス
、
アメリカ
、カナダ、この三つと少くとも最初に、できたら同時に協定を締結したらよろしい。各個ばらばらでなく、時間的に多少の差はあってもいいけれども、
検討
とかネゴシエーションは同時にすべきである。そうして
日本
に有利な態勢をとるべきである。そういうふうに私は思います。その点について、大臣の見解を伺えれば幸いです。
宇田耕一
120
○
宇田国務大臣
私は全然その点では同感であります。またあわせて西独との関係も
研究
したいと思っております。
前田正男
121
○前田(正)
委員
この際私がお聞きしたいと思いますことは、さっきの関連の間にもちょっと申し上げたことでありますが、過日から
原子力委員会
におきましては、外国、特に英国型の原子炉を
輸入
したいということを方針としてきめようとされたようであります。その前に、今の大臣の御答弁を聞きますと、
一般協定
というものについては締結するということをきめておったそうでありますから、その炉を
輸入
するに当っては、もちろん
一般協定
を結ぶということをきめておられたのでありますから、その
一般協定
については内容を相当御
検討
になったと思うのです。何回ほど御
検討
になって、その結果、この協定の内容は大体
日本
としても締結できる可能性がある、従って、
イギリス
から炉を入れるということに方針をきめられたのか。その間に
委員会
としては何べんほど御
検討
されて、そうして
イギリス
との間の協定は、
日本
としても締結してもいいという大体の方針をきめられて、それで炉を入れるということをきめられたと思うのでありますが、その間の経過をもう少し詳細に御
説明
願いたいと思います。
佐々木義武
122
○佐々木
政府
委員
事務的な問題のようでありますから、私から大臣にかわって御
説明
申し上げます。先ほど
中曽根委員
からお話がありましたように、カナダからのドラフトはまだ参っておりませんが、国連の問題あるいは英米等、それぞれまだほんのドラフトの
段階
ございます。まだ公式的なものとも言えない性質のものかと思いますが、そういうものを
中心
にいたしまして、同じような性格のものでありますから、その比較をどうしたらいいか、それを比較いたしまして、どういう点がどういうふうに違って、炉としてはどういう炉が一番望ましいかといったような点もございますから、そういう点の比較
検討
等も重要なことだと思います。言いかえれば、日英協定に関しましては逐条
審議
を終えまして、
問題点
の整理にかかっております。日米協定に関しましても同様でありまして、逐条的に
検討
いたしましてその
問題点
の整理にかかっております。また天然ウランの細目協定に関しましても……。
前田正男
123
○前田(正)
委員
それでいいです。そうすると、逐条
審議
をされて
原子力委員会
としては、この協定は大体
日本
と
イギリス
との間で結んでもいいということをきめられてから、この間の
委員会
の
決定
の原子炉を
輸入
するという方針をきめられたわけですか、その間の議事の進行はどうだったのですか。
佐々木義武
124
○佐々木
政府
委員
条約でございますので、向うと交渉いたしませんと、実際にわが方で希望する通りのものが入るかどうか、この問題は未解決でございます。そこで、ドラフトで
検討
してみますと、先ほど中曽根さんもおっしゃいましたように、問題が非常にたくさんございまして、すぐ右から左へと妥結するものとは考えておりません。従いまして、こちらで
研究
の結果、交渉に入りました際には、そういう
問題点
をそれぞれ向うと交渉いたしまして、その上で
決定
するだろうと思います。その炉を入れる前後、条約の前後といった問題がありますが、もちろん協定が締結されませんと、炉の燃料が入ってこないのはおっしゃる通りでございます。といって、向うと条約を締結しなければ、炉のいろいろの、具体的なネゴシエーションに入れぬかと申しますと、必ずしもそうではないのでありまして……。
前田正男
125
○前田(正)
委員
いや、意味が違うのです。答弁が間違っておるのです。私はそういうことを言っておるのじゃないのです。炉の交渉はけっこうですけれども、この
イギリス
との間の条約というものは、
原子力委員会
としては、いろいろな
問題点
があるが、その
問題点
は
わが国
には差しつかえない、こういうふうに承認されたから
イギリス
から炉を買おうということをきめた——条約を結ぶのと炉を買うのは一緒であるかもしれません。従って、炉を買う交渉を早くからやられて、実際に炉を買うときに条約を結ぶかもわかりませんけれども、しかし炉を買うということをおきめになって外部に発表する以上は、当然
一般協定
というものをその前にすでに
検討
しておる、逐条
検討
もしておるという話ですから、逐条的に
検討
された結果、この
日本
と
イギリス
との間の条約は
わが国
には差しつかえない、こういうことを
原子力委員会
としては認定されてから、
イギリス
から買うということにきめられたんじゃないかと私は思うのですが、その点はどうなっているかというのです。
宇田耕一
126
○
宇田国務大臣
それは全然無関係であります。条約に対する見通しがついたから炉を買うという態度ではありません。
前田正男
127
○前田(正)
委員
そうしますと、
日本
と
イギリス
との間の条約は十分に
検討
しなくても、言葉をかえて言えば、
日本
と
イギリス
との間の条約の中に、
日本
の
原子力基本法
とか、あるいはそういったものに触れる問題とか、あるいは
国会
の承認がむずかしいとか、どのような問題があっても、
原子力委員会
としてはそういうことに関係なしに、
自分
の方は炉を買うということだけきめていって差しつかえないか、こういうことをお聞きしたいと思います。
宇田耕一
128
○
宇田国務大臣
炉を
イギリス
から買うということは
決定
いたしておりません。
前田正男
129
○前田(正)
委員
決定
ではないのですよ。買いたいということをこの間方針としてきめられたんじゃないですか。それはこの間の新聞に出ておる通り、
決定
ではないけれども、買いたいという方針をきめられたんじゃないですか。これはどうですか。
宇田耕一
130
○
宇田国務大臣
新聞の報道が誤報であります。
前田正男
131
○前田(正)
委員
新聞が誤まりであるならば別問題でありますけれども、この
原子力
の炉を買うことをきめようという前は、まだ
一般協定
の
検討
をされてないから、ごく軽く、買ったらいいではないかという程度で話をされたのかと思っておったわけです。けれども、さっきからのお話を承わっておりますと、逐条的に
検討
されているということであるから、この中にどういう
問題点
があって、どういう影響を及ぼすかということは、
原子力委員会
として、
原子力政策
の
決定
の立場上あるわけです。従って、それがどういうふうな影響を及ぼすかということをもう少し
検討
されて、その可能性があるようになってから炉を買うとか買わぬとかという話を進めるべきであると思いますが、この点はもう少し慎重にしていただきたいと思います。 それから、ついででありますからお聞きしなければならぬと思いますのは、それは先ほどの外務省の御答弁と大へん食い違うところがあるのです。一体、
一般協定
の問題について、外務省と
原子力委員会
の間では何回くらいそういうような
政府
間の交渉をしておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
佐々木義武
132
○佐々木
政府
委員
一般協定
の問題の各条項に関する具体的な打ち合せは、まだ外務省とはしておりません。ただ、この問題をどういうふうに扱うかという問題につきましては、前
国際協力局長
にわざわざお出ましを願いまして、この問題の処置方に対しまして協議したことがあります。
前田正男
133
○前田(正)
委員
そうではなしに、先ほど大臣から御答弁のあった通りに、
原子力委員会
として
一般協定
というものを結ぶということがきめられたのです。僕はその話をしておるのです。そういう方針をきめられてから、
原子力委員会
として外務省にどういうふうに交渉されたか、その結果外務省はどういうふうに動いたかということを次に聞きたいと思うのです。どういうふうに交渉されたかということを聞きたい。
佐々木義武
134
○佐々木
政府
委員
それは、交渉に入るその時期はまだわからないのでありますが、先ほど大臣からおっしゃられました通りでありまして、ただいま協定の改訂をお願いしておる最中でありますから、その点もにらみ合わすということで、かたがた、先ほど申しましたように、条文等の
検討
も進めたいということで準備中でございます。先刻来るる申し述べましたように、条文等は
検討
中でありますので、外務省の方でも
検討
中でございましょうから、そういう点等が明確になりました際には、それによってお互いに話し合うというふうにしたいと心がけております。
前田正男
135
○前田(正)
委員
そうではなしに、私の言うのは、
原子力委員会
として交渉に入るということがきめられれば、当然外務省を通じて、アタッシェとかそういうものを通じて、
資料
とか情報を集めるように正式に要求されるべきではないでしょうか。
原子力委員会
の
決定
を
原子力
局としては当然外務省に伝えられて——今の交渉に入る時期とか条約の
検討
とかはまだ問題があるでしょうけれども、とにかく動力協定、
一般協定
というものを結ぼうという方針をきめたら、
原子力
局としては、
政府
機関を通じてできるだけそれに関する情報とか
資料
とかを集めるような
話し合い
を外務省にすべきじゃないかと思いますが、それはどうですか。
佐々木義武
136
○佐々木
政府
委員
条約の交渉等はかねて前田さんも御承知だと思いますが、ただやみくもにどうだということではないのでありまして条文の中を一々整理いたしまして、こういう点をどういうふうに解釈したらいいかというところから交渉が始まっていきまして、その問題の整理を今やっておる最中であります。
前田正男
137
○前田(正)
委員
条文の話ではないのです。大臣から、
一般協定
の
資料
というものはまだ来ない、こういうふうな御答弁があった。だから、今は
石川
さんが持って帰った程度のものしかないということであるから、私の言うのは、条文の性格とかそういうものではなしに、
原子力委員会
が
一般協定
を結ぶということをきめたなら、
原子力
局としては、きめた方針に基いて、
政府
を通じて正式に、われわれとして十分参考になるような条文とか
資料
というものの入手について、外務省に依頼すべきじゃないかと私は思うのですが、それはどうされたかということです。外務省から正式の
資料
として皆さんの手に入ってくる、それをまたわれわれは皆さんからこちらへもらって
検討
する、こういうことになるのじゃないかと思うのですが、それはどうされたかということを聞いておるのです。
森治樹
138
○森(治)
政府
委員
外務省としましては、
原子力
局からこの
一般協定
に関する締結の用意があるということを外国
政府
に通報するようにという正式の御依頼は、まだ受けておりません。これは外務省としましても、先ほどから
中曽根委員
も指摘されましたように、非常な問題でございますから、正式に
原子力
局から公文でそういう通報をいただくものと思っております。その文書はまだいただいておりません。
前田正男
139
○前田(正)
委員
そうするとお聞きしますが、まず提携の問題とか、そういうことは別問題でありますけれども、
一般協定
に必要な
資料
の収集といった方のことで、
政府
としてわれわれに参考
資料
として出せる程度の
資料
の収集というものは、まだ正式に活動を開始しておられないわけですか。
森治樹
140
○森(治)
政府
委員
原子力
に関する情報につきましては、できる限り各機関を動員しまして、収集いたしております。その
資料
は逐次
原子力委員会
にお渡しいたしております。特定にこういう
資料
ということで御指摘になれば、それの収集についてはさらに努力をいたすつもりでおります。
前田正男
141
○前田(正)
委員
いや、そうじゃありません。
一般協定
を締結するということを
原子力委員会
の方できめたというから、
一般協定
の締結に参考になるような
資料
というものを収集しておられるかどうかということです。
森治樹
142
○森(治)
政府
委員
まだいたしておりません。
前田正男
143
○前田(正)
委員
それじゃ原
子力局長
は外務省との間はどうされたのですか、
決定
されてから外務省との連絡はどうされたか。
佐々木義武
144
○佐々木
政府
委員
この点は
石川ミッション
が
アメリカ
に参りました際に、向うのAECの
権威
ある方から手交されましたので、その
資料
を
中心
に
検討
を進めております。内容は、どういうふうに今後変っていくかわかりませんけれども、とりあえずはその中でもどういう問題があるか、どういう内容なのかという点をまずしさいに
検討
いたしませんと、今後の活動ができませんので、その
検討
を開始するということを申し上げた次第であります。
前田正男
145
○前田(正)
委員
それでは、
原子力委員会
で
決定
したことを早急に正式に外務省に通知をしていただいて、正式に
政府
としても
資料
を集めてわれわれの方に提出していただきたいということを特に大臣にお願いします。 もう一点は、今の局長の話を聞きますと、
石川ミッション
の
資料
を母体として
原子力委員会
は
検討
するということのようであります。さっきも大臣は、一個人のものではないという
考え方
のようでありますから、もちろんそれもけっこうでありますが、
政府
の正式の
調査
団として持って帰ってきたのでしょうから、正式の書類でないにしても、それが重要
資料
であるならそれを外務省に正式に送って、そうして外務省から当然それをわれわれの方にも
調査
団の
資料
として提出できるようにしてもらいたい。 まだいろいろ問題はありますけれども、時間もありませんから私質問をやめますが、
委員長
に特にお願いしておきたいと思いますのは、過日われわれの方に英文の
一般協定
を、
石川
さんのものを配ったのでありますが、これは当然
国会
に、少くともその仮訳程度のもの——正式の責任をとる訳でなくてもけっこうでありますから、仮訳程度のものを外務省が
原子力委員会
からもらって、外務省は当然ここに提出すべきである、こう思うのです。
原子力
局と外務省の間の連絡が十分でないような
説明
でありますけれども、われわれ
国会
としては
政府
は一本に扱わなければならぬと思いますから、外務省から正式に
一つ
仮訳したものを提出するようにお願いしたいと思います。 これで質問は終ります。
菅野和太郎
146
○
菅野委員長
本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十二日、午前十時より開会いたします。 これにて散会いたします。 午後零時四十五分散会