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前田(正)委員 実は、前にこの
委員会に、大蔵省に提出されてから予算査定の終るまでの間のところで調整したものを
資料としていただきましたので、現在実際にどれだけそれが尊重されたかということを
一つ資料として提出していただきたいと思います。
では、次に
原子力の問題についてお伺いをいたしたいと思うのであります。最近、
原子力の
発電、
動力炉関係の問題が非常にやかましくなっておりました。特に、
電力会社等においては、社長会において、
動力炉の輸入についていろいろと積極的にやるのだということを申し合せて、新聞に発表しておるような
状態でありますけれ
ども、私はこれは非常に行き過ぎておるのではないかと実は
考えておるのであります。
原子力の動力
協定をするといいましても、
日本で
国産的に
動力炉ができ、あるいはまた
国産で
燃料が間に合うならば、そういうことをまた
お話しになっても多少いいのでありますが、それにいたしましても、まず第一にその
原子炉の管理をするところの根本的な法律ができていないのに、
民間の
電力会社が取り上げてやかましく言うのはおかしいのであります。ましてその
電力会社の諸君の
意見を聞いておりますと、
外国から
動力炉も輸入するのだ、
燃料も輸入するのだということでありますけれ
ども、また現在の
日本の状況から見まして、当然ここ数年ないしは十年くらいの間は
動力炉の輸入なり
燃料の輸入をしなければならぬと思うのであります。従って、動力問題を取り上げるについては、そういうふうな
発電をやるとかやらぬとかいう問題の前に、現在
日本と
外国との間に取りかわされております
協定により、致しては、炉の輸入も
燃料の輸入もできないのであります。まして、この問題につきましては、来して
燃料の確保ができるかどうか、こういう問題は先ほどから
岡委員からも御
質問がありました。また、私たちも諸
外国に行きまして、おのおの一応関係当局の人は、炉を売った場合には必ず
燃料を補給するとは言っておりますが、口約束では役に立ちません。それは当然動力
協定といいますか、一般
協定によりまして、そういう国家間の約束ができてから初めて具体化すべき問題であるのであります。約束ではなしに、実際の
協定というものができなければなりません。また、かねてから問題になっております、これに伴うところのいろいろなひもつきの条件だとか、あるいは秘密情報の問題だとか、そういうようなことがあっても困りますし、またこの前の
研究協定の国会での細目
協定の審議のときにも、そのできました残滓物を返すということでは困る。どうしても
一つこれを
日本で科学処理等に使わなければならぬ。そういうような点からいって、これはやはり貸与では困る、買い取りでなければ困るのではないか、こういうことが、国会の与野党を含めました大多数の
意見であったのであります。従いまして、こういうような根本問題を仮定の問題において、動力問題を取り上げて云々するということは非常に行き過ぎであるのであります。それはわれわれも参りますし、また
石川委員その他も回られまして、おのおのある程度の承諾を得、また了解をとってありますけれ
ども、それは個々の了解でありまして、国家間の正式の了解ではないと思うのであります。従いまして、やはり国家間の正式な了解事項ができてから、こういう問題は具体化しなければならぬのであります。そこで、最近
研究所に使いますところのウラニウムが足りないというようなことから、
研究協定を改訂して、その量を拡大したいというようなことを
アメリカと交渉せられる、その改訂案を国会に提出されるというふうなことが新聞紙上伝えられておるのであります。しかし、その内容を見てみますと、実は、貸与でなしに買い取りにするのだということを含めて交渉しておられるようであります。ところが、貸与ではなしに買い取りだということなら、これはすでに動力
協定、一般
協定と内容をほとんど同じくするものでありまして、しかもまた今の情勢から見ましても、また
日本の
エネルギー状態から見ましても、当然この際
動力炉の問題に入らなければならぬのであります。その前提になるところのこの国家間の動力
協定というものは、急いで交渉に入らなければならぬ段階であると私は
考えるのであります。従って、これに対しまして、今回の
研究協定の改訂に当っては、私たちは、できたならばこの際動力
協定の交渉に入って、いわゆる一般
協定の交渉に入るようにした方が、むだがないし、また
日本の現在要求されておる
エネルギーの問題から見ても必要なことであるし、また先ほど
岡委員等が
質問されておるようないろいろな心配の問題についても、個々の視察団は出ておりますけれ
ども、やはり国家としての正式の了解を得て、こういう問題に大きくスタートするというのが順序であると私は思うのであります。それに対しましてどうも
原子力委員会といたしましては、そういうことに対してまだ御了解が得られないらしくて、最近の新聞紙上を見ておりますと、
研究協定の改訂として日米の交渉を始めるというふうに出ておったのであります。けれ
ども、この問題につきましては、非常に
日本の将来に重大な問題でありますので、ここに
一つ委員の力と
委員長の御
意見を伺いたいと思ったのであります。ついては、先に
石川委員から御
意見を伺いまして、あとで
委員長の御
意見を聞かせていただきたい、こう思っておるのであります。