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1957-02-19 第26回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十九日(火曜日)     午後一時二十九分開議  出席委員    委員長 菅野和太郎君    理事 赤澤 正道君 理事 有田 喜一君    理事 齋藤 憲三君 理事 中曽根康弘君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君    理事 志村 茂治君       小平 久雄君    須磨彌吉郎君       保科善四郎君    山口 好一君       岡本 隆一君    佐々木良作君       田中 武夫君    滝井 義高君       原   茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宇田 耕一君  出席政府委員         科学技術政務次         官       秋田 大助君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府技官         (科学技術庁調         査普及局長)  三輪 大作君  委員外出席者         原子力委員会委         員       石川 一郎君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  法貴 四郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(宇治市に予定さ  れる研究用原子炉設置に関する問題)     —————————————
  2. 菅野和太郎

    菅野委員長 これより会議開きます。  この際、参考人の決定につきましてお諮りいたします。すなわち、宇治市に予定される研究用原子炉設置に関する問題につきまして、大阪府議会議長大橋治房君、宇治原子炉設置反対期成同盟幹事川上美貞君、大阪市立大学医学部助教授西脇安君、京都大学工学部教授児玉信次郎君、大阪大学理学部教授伏見康治君、以上五名の方々参考人と決定し、その意見を聴取いたしたいと存じますか、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 菅野和太郎

    菅野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人よりの意見聴取は、明後二十一日午前十時より行いたいと存じますから、さよう御了承願います。
  4. 菅野和太郎

    菅野委員長 次に、科学技術振興対策に関する件につきまして、調査を進めます。  本日は、前会に引き続き、科学技術行政一般につきまして、質疑を行いたいと思います。なお、本日は原子力委員石川一郎君が出席されております。それでは通告に従って、質疑を許します。岡良一君。
  5. 岡良一

    岡委員 私は、前田委員の御質問に関連して、石川さんからもまた多少の御意見を承わりたいと思っておりましたが、前田委員もお見えにならないようでございますから、この際若干の点について、原子力委員会の御方針を承わりたいと存じます。  まず最初に、九月の六日に内定をされたものとして、「原子力開発利用長期基本計画」が原子力委員会より私どもの方へ資料として配付されておりまするが、その後、石川ミッション英米等への御出張もありましたけれども、この基本計画大綱については、なお現在これを変更する、修正するというような必要はお認めにならなかったでございましょうか、この点をまずお伺いいたします。
  6. 石川一郎

    石川説明員 基本計画につきましては、その後研究はまだしておりません。というのは、実は予算とか他の非常に至急を要する問題がどっさりございましたので、その方にかかっておりますので、再検討を今始めつつあるのでございますが、大体私の見込みでは、そう大きな修正はないだろうと考えております。
  7. 岡良一

    岡委員 それでは、この「原子力開発利用長期基本計画」は、大綱については、大体この通りであるというふうに理解していいのでございますか。
  8. 石川一郎

    石川説明員 よろしゅうございます。
  9. 岡良一

    岡委員 そういたしますと、この基本計画を拝見をいたしますと、最終目標は、とりあえずこれを原子力発電に限定して申し上げますれば、昭和四十四年ごろまでには増殖型の動力炉を作るということが、わが国における原子力発電最終目標になっております。それまでには、昭和三十六年ごろには実験的な増殖炉を作りたい。また三十五、六年には動力炉の輸入もやっていきたい。しかし、一応基礎的な研究を推進するためには、昭和三十四年には国産重水天然ウラン実験炉を作りたい。そのためには、とりあえずあるいはウォーター・ボイラー型を入れる、あるいはCP5型を入れよう、こういうような段取りになっておるわけで、従って、当面の目標は、やはり昭和三一四年度に目途されておる天然ウラン重水国産炉建設するというところに当面の委員会努力目標が集中されておるのではないか、こういうふうにこの基本計画からは察するわけでございますが、この点も御異議はないでございましょうか。
  10. 石川一郎

    石川説明員 研究所といたしましては、そういう方針で進みたいと存じます。しかしながら、将来、たとえば今お話のございました十年後の増殖炉という問題でございますが、アメリカあたりの模様を見て参りましても、ちょうど一九五四年と存じますが、そのときにファイブ・ハイ・ファイブというプランを立てて始めたのでございますが、五年間に五つの炉を研究するということで二億五千万ドル出しまして、毎年五千万ドルずつの補助金を出して、民間建設させようということに努めた。ところが今度行っていろいろ事情を聞いてみますと、その後約二年の間に三つの炉がさらに加わり、さらに二つ加わり、特に昨年の十二月になりまして、今までアメリカ考えておらなかったような天然ウランを使う重水炉による発電の炉を建設するということになっております。ところが、どういうふうに先に進むかということは、まだ見当がつかないようであります。ですから、今、増殖炉——もちろんわれわれは当然やらなければならぬと存じますが、今イギリスあたりでは、増殖炉でなく、いきなりプルトニウムを使うというようなことに飛んでということもございますので、どちらの方に行くかは、もう少し先にならないと、ディテールについては決定いたしかねると存じます。特にアメリカあたりは非常にまごついているんじゃないか。新しい問題がどっさり出て参りまして、一つ一つシラミつぶし研究していって、最ももいいものを見つけようと考えておるようであります。しかし、いずれにしても、最終目的増殖炉かまたはウエーストから出るプルトニウムをそのまま使って発電する方に行くんじゃないか。フランスあたりでも、濃縮ウランができないものですから、プルトニウムでもって濃縮ウランに代用するような考え方で進むがいいという議論ペランあたりもやっていらっしゃる。そんなふうにまだ先のところははっきりした見通しがつきませんが、結局増殖炉またはプルトニウムを使って炉を完成するというところに行くんじゃないかと思います。
  11. 岡良一

    岡委員 昭和四十四年ごろに増殖炉国産するという、これまでは、もちろん長期計画といえども、日進月歩の原子力研究開発の状況でございますから、とてもめどはつきかねると思います。どういう変化が起るかもわかりませんが、とりあえずの問題といたしまして、一つ目標のピークは、昭和三十四年には国産天然ウラン重水型の原子炉を作る。これは当初から原子力委員会の話題にもなり、こうして基本計画にも発表されておるわけでありますが、これは動かないのでございますか。
  12. 石川一郎

    石川説明員 大体それでよろしゅうございます。その方針で進むように話をしております。
  13. 岡良一

    岡委員 そうしますと、現在いろいろな型の炉が導入されるということは、国産炉建設目標として進められておるものと私は理解するわけです。国産炉建設するということになりますれば、金属材料なり緩速材あるいは建設の設計なり、諸般の研究をどんどん勢力的に積み重ねていかなければならないわけであります。そこで、問題は、現在のわが国における原子力研究開発の実情が、この三十四年度国産炉という目標に集約され得るような体系に進まれておるのかどうかということです。たとえば、この原子力研究所としての東海村における今後のセンター的活動、そうしてまた民間における重水等研究、あるいは各大学におけるそれぞれの教授のやられておる研究が、とりあえず日本の立ちおくれを克服するために、三十四年度、国産重水天然ウランの炉を建設するという目標にいく体系ができておるのかどうかという点は、御確信があるのか、その点いかがなものでしょう。
  14. 石川一郎

    石川説明員 ただいまお話研究所の方といたしましては、学理的な研究を常に進めて参らなければならぬ、これが一つでございます。いま一つは、今お活の国産炉を作るということが自的でありまして、ただ、それの原材料がそれまでに全部間に合うかどうかということは非常に疑問であります。と申しますのは、たとえば重水のごときものは相当の数量が要りますので、これを作りますには相当の金をかけなければならぬ。この金をかけても、それを常時継続的に使っていただくようなものならばできますけれども、それでもってぷつっととぎれるようなことがございますと、相当な金がかかりますから、これがむだになるのです。だから、今のところでは、小さなユニットで完全に動かすようなものを作りまして、いいといえばそれを倍に、三倍にすることのできるような方式で行ったらいい、こういう考え方でありますから、国産炉のできるまでには、重水が間に合うということは言えないじゃないかと存じます。価格の問題もございますし、グラファイトのごときはだいぶいいものができるようになりましたから、これは日本のものが使えるだろう。しかし、ものによっては、やはり外国から入れなければならぬものもあるのではないかと思います。材料といたしましては。
  15. 岡良一

    岡委員 その次には、これは君川さんの英国原子力発電に関する調査報告でも強調されており、その後御帰国の途次アメリカにお寄りになって、御見聞を広められたことと思います。が、日本における技術者養成計画でございます。現在予備要求に提示されているこの計画、これは三十四年には国産炉でもって作ろうというのにマッチして、具体的にこの技術者養成計画は立てられているのでございましょうか、いかがでしょうか。
  16. 石川一郎

    石川説明員 実は原子力産業というものは、いわゆる総合工業でありまして、日本でも相当の、たとえば理論物理なり実験物理あるいはメタラジイなりの研究家学者もいらっしゃいますけれども、これらの知識が、国産原子炉を作るために全部集中されていかないとできないのであります。これからそういう人をどんどん養っていくということは困難ではないかと存じます。要するに、これまでに養成された人々の力と、あるいは外国に見学、留学等させております方々知識を集めてやっていくより今のところ仕方がないのじゃないか。イギリスあたりでも、ああいうふうに結末がつくようになりましたのは、アメリカ一緒研究して、その後ひとりになってから、やはり七、八年かかっておりますから、相当時間がかかると思います。この国産実験炉だけは、マテリアルはできないかもしれません、全部自給自足というわけには参らぬかと思いますけれども、できるのじゃないかと思います。完全な人間が多数にできるというわけには参りません。
  17. 岡良一

    岡委員 英国コールダーホール改良型というのが、日本現状から見て、適当ではなかろうかというような御意見を承わったことがあります。そこで、この問題についてお尋ねをいたしますと、いろいろな問題点があるわけでございまして、この御報告の中にもそれぞれ指摘をされておりまするか、建設費とかロイアリティだとかあるいは燃料費、こういうものが、さしあたりそろうとしても、今後かなり変り得る可能性があるのじゃないか。もう少し何年かたつと、ロイアリティというようなものについても、英米の競合でもっとまけてもらえるかもしれないし、建設費のごときも、いろいろ技術の進歩とともに、いわば可変的なものではないか。いずれにしても、どうしてもよそから動力炉を輸入するという御方針であるかどうかということか先決問題なんですが、これは石川さん、あちこちお回りになっての御意見としては、いかがでございましょう。
  18. 石川一郎

    石川説明員 まだその問題は研究すべきことがどっさりありまして、決定しておりませんが、その研究が明らかになれば、われわれは入れた方がいいだろうと思います。それは、アメリカあたりでもだいぶ議論したのでございますが、今、経済的な問題を第一にお話しになりましたので申し上げますが、たとえば、原力炉発電で四円なら四円でできる、それから今度は新しい火力の方で石炭がもうちょっと高くなれば、やはり四円ぐらいかかる、こういうことになれば、原子炉の方はどんどん進む。そうすると、四、五年待てばさらにそれが安くなるのじゃないか。だからそれまで待ったらいいじゃないかという議論がありますけれども、同じ四円くらいでできるものならば、新しい火力発電の方も、四、五年たてば古くなる、原子炉も同じように古くなる。だから同じような経済ベースに立つならば、その経済的な価値のみからいえば、同じことではないかという考え方を私は持っております。それからなお、われわれが外国の進んだ炉を入れたいと思うのは、それを一つ入れまして、それを土台にして、さらにわれわれのエンジニアリングを進めていくのにいい足場になるのじゃないか。これを入れる場合に、それを一種の訓練所——研究所というよりも訓練所になるようにしたい。民間の方も学者の方も入れまして、建設から運営まで一緒にやるようになれば、いろいろこまかいデータがわかってくるのじゃないかと思います。そんなふうにいたした方が、日本原子炉を進める上に非常に便利だ、早く行く、こういうふうに考えております。
  19. 岡良一

    岡委員 動力炉を入れる、その目的は、一つはいわゆる原子力発電についてのエンジニアリング技術的に習熟したいということが大きな問題である、このことには私ども異議ないのですが、しかし最近はとかく原力発電を急げという御意見があるようです、原子力発電を急げという声も、国のエネルギー需給状態が、全く原子力発電をもって補わなければならないという段階になるならば、大いに急いだ方がいいと思う。政府からいただいている「原子力開発現状について」の中に、日本の将来における電力不足量なるものがあげられています、それから昨日でありましたか、電力九社の原子力発電二十年計画なるもの、この中にも将来におけるわが国電力需給というものが数字で示されておりますが、非常に大きく違うのです。一体エネルギー需給状態が非常に切迫しているといいながら、民間電力会社の、しかも社長へ会議で正式に決定されている数字と私どものいただいている資料数字と非常に違っているのですが、どこから一体こういう誤差が出てくるのですか。
  20. 石川一郎

    石川説明員 電力需要がどういうふうにふえるかという問題につきましては、また何年後に日本はどのくらいの発電力を持たなければならぬかという問題につきましては、これはわれわれの方は受けて立つ方でございまして、火力なりあるいはまた火力にしても石炭なり石油をたいてやる方と、水力がこれだけ要る、原子力でもこれだけできるかという質問がございますれば、私の方でお答えできるのですが、これはやはり政府の方でおきめを願う仕事ではないかと思います。要するに、発電は、どのくらいの需要があって、どのくらいの用意をする、こういうことは政府の方で、計画を立てていただきまして、そのうちお前の力はどれだけできるかという御質問ならばお答えできるのですが、一般的な問題は、私の方はやっておりません。
  21. 岡良一

    岡委員 政府の方へお尋ねしているのです。
  22. 法貴四郎

    法貴説明員 事務当局からお答え申し上げます。電力需給見通しというのは大へん複雑な問題でありまして、各所で多少食い違いが出てくるのはやむを得ない点だと思います。それで、現在事務当局といたしましては、やはり原子力発電にも関係するところが大きい関越でありますので、これを数字的に少し固めなくてはいけないという考えのもとに、現在通商産業省、経済企画庁並び科学技術庁原子力局事務当局におきまして検討中でございます。従いまして、政府として責任のある数字というのは、まだどこにもはっきりしたものは出ていないという現状でございます。今御指摘がありましたのは、三十七ページの数字でございましょうか。
  23. 岡良一

    岡委員 この「原子力開発現状について」の中の数字です。
  24. 法貴四郎

    法貴説明員 それはだいぶ以前に作りました数字でございまして、電力事業者におきましても、数字がどんどん変って参りまして、半年以前に出しました需給見通し数字と、現在考えております数字とは、相当食い違いがございます。そういう点ではっきりした画一的な数字が出ていないのじゃないかと思います。
  25. 岡良一

    岡委員 これは三十一年十月二十五日の日付です。去年の十月の月末の日付で私どもがいただいた資料なんです。この原子力局からいただいたものでは、昭和四十年には八百六十億キロワット、不足量百万キロワット、五十年には千百五十億キロワット、不足量は約三百五十万キロワット、こういう数字が出ておるわけです。ところが、電力九社の社長会議なるものが原子力発電二十カ年計画というものを決定し、公表しておりますが、これで見ると、四十年度一千八十九億キロワット、五十年度は一千九百二十二億キロワットというふうに、五十年度になるとほとんど倍くらいになっているという非常に大きな違いがあるのです。こういうように、エネルギー需給が逼迫しておるから原子力発電を急がなければいけないと言いながら、政府資料電力会社資料とは大きな食い違いがあるが、この点やはりもっと明確な数字がなければ、エネルギー需給の逼迫が原子力発電を必要とするというこの旗じるしは、国民を納得させられないのじゃないかと思うのです。そういう点で、あなた方はどう考えておられるか。
  26. 法貴四郎

    法貴説明員 ただいま申しましたように、長期にわたる電力需給見通し数字を得ることは非常に大切であるという考えのもとに、目下作業中でございます。なお、電力会社等数字を出しておりますのは、先ほど申しましたように、一年以前と現在とでは相当開きが出ております。電力会社自身で出しております数字日体においても開きが出ておりますし、それからいろいろほかにもそういう数字を出しておりますが、いろいろ出ております数字食い違いがあるのは、先行き二十年というようなことを考えますと、非常にいろいろな要素が複雑して入って参りますから、相当先行き開くということは当然なことであります。それを政府において統一した数字を打ち出す必要があるということで、目下作業中なんでありますが、現在はそこまで至っていないということであります。
  27. 齋藤憲三

    齋藤委員 議事進行。今の電力資料ですが、それは私が商工委員会資料を要求したら、経済企画庁から昭和三十五年までの五カ年間の電力事情に対する計画案というものが出てきている。昭和三十五年までに八百四十万キロ開発しなければならないという、ですから、そういう電力問題をここで論ずるときには、何か政府案として論拠の明確な資料を出していただいて、それから一つ論陣を展開していただきたいと思います。私の手元に届いたのは、経済企画庁案として、昭和三十五年度までに八百四十万キロ、火力発電四百八十万キロ、水力発電三百六十万キロという出発計画がずっと出てきておる。政府としては、これに準拠してここに論戦を戦わせても、責任が持てるという資料を出してもらわなければ、みな架空の論になってしまうから、その点を取り評らってもらいたい。
  28. 法貴四郎

    法貴説明員 ただいま十年後、二十年後というお話になりましたので、今のようなばく然としたお答えをしましたが、五カ年ということに限定すれば、今御指摘になりましたような数字がはっきり出ておるわけでありますから、その資料は提出いたしまして、それと原子力発毛の関係は御説明できると思います。
  29. 岡良一

    岡委員 それは五カ年後でもけっこうなんですが、一つはっきりしたものを出していただきたいと思うのです。電力会社のは、五カ年後の三十五年の電力需給計画がすでに出ておりますが、四十年後、五十年後になると、それがもう政府案と倍も違ってくるということになると、一体どの数字が確かなのか、果してエネルギー需給がそれほど逼迫しているのか、それで原子力発覚を急がしているのかというめどが立ちませんから、今、齋藤さんのおっしゃったように、でき得るだけ把握し得る限りの正確なエネルギー需給の実態を示す数字資料として御提出願いたいと思います。  それから、この石川さんの御報告を読みますと、幾つか問題を提供しておられます。その一々について私は石川さんの責任を云々というような考え方で申し上げるのじゃありませんが、先ほども申し上げましたように、燃料の費用とか建設費、あるいはロイアリティとかいうようなものは、今後かなり動き得る可変的な要素じゃないかと思います。一つの問題は、そのコールダーホール改良型なるものをわが国が導入した場合、果して原料が続くかどうか、その点にどの程度確信が持てるかということも一つポイントだと思うのです。御報告を見ますると、相手方の方では、燃料供給については懸念がなかろうということを申し添えておる、こう書いてありますが、事実燃料が持つのでしょうか。
  30. 石川一郎

    石川説明員 その問題は最も重要な問題でございまして、ヒントンさんが見えたときも、燃料の問題は自分は返事ができないという話をなさって、日本から英国へお帰りになった。そういうようなことがございましたから、私あちらへ参ります前に、もし将来その炉を買いました場合に、燃料イギリスから供給を受けるということになりますと、何かそこに対政府間の協定みたいなものか要るのじゃないか。そういう協定ができて、それをイギリスの方で十年なら十年、十年なら十五年供給をするという確約をしてくれるのでなければこれは買えない、こう考えておったのであります。向うに参りまして、供給できるかと言いましたら、できると保証しよう。なおまた、できるといっても、十年なり何年なりの間に価格が非常に変動するようなことがあると困りますから、そういう問題にいてはスライディング・スケールとかエスカレーター方式かで、ウラニウムの原鉱石幾らになったとぎにはその製品が幾らになる、加工したものは幾らで売る、こういう方程式を作って、そうしてはっきりしたものを作ってもらいたいという申し入れをいたしました。そして今度いよいよ買うという腹芸に行きますときには、どういう方程式を作るかというようなことをお互いに話し合って、十年なら十年を確保するようにして参りたい。ただし、これは大てい普通の国際同明協定ですから、永久というわけにも参りますまい。十年とか十五年とかいう年数になるだろうと思います。そういう場合に、今協定いたしまして、炉ができるのが約五年先になる。五年先でもし協定が十年になっていると、五年しか燃料か入らないということになります。ですから、そういう場合には、炉がついてから十年とかいうふうにしていかなければいけないのではないか、こんなふうな考え方を持って私は向うに交渉したらいいじゃないか、こう思っております。向うでは供給できる、なおも日本供給できないようなときは、イギリスがつぶれるようなときだと言っておりましたから、よほど確信があるものと私は考えております。
  31. 岡良一

    岡委員 私の資料では、これはマッキニー・パネル報告なんですが、これで見ると、英国原子力開発においての一番のウイーク・ポイントは、本日においては——本国というよりも、その影響下にある国々において、ウランを手に入れられないことである。そこで、現在のところ、英国ウラン原鉱をいわゆる米英総合開発機関の手を通じて入手しておる。しかし、この入手については、使用目的が限定されておる。それは、一つ兵器用ウランに提供するということ、いま一つイギリス体動力用に提供するということ、しかし、イギリスがこの総合機関を通じて手に入れたウラン原鉱というものを、天然ウランなら天然ウランを、他の国に動力炉を輸出し、それに対して原料の保証としてこれをまた英国が渡すというようなことは、この総合開発機関のワク外であって、従ってもし日本コールダーホール改良型を入れて、相当量の天然ウランを必要とする場合は、三国協定のような形でやはり供給国と日本とがはっきりとした約定をしなければなるまいであろうということになるわけなんです。こういうことになれば、コールダーホール改良型なるものの導入についても、そこに一つの大きな問題があるわけですね。この点の事情はどういうようなわけでございましょうか。
  32. 石川一郎

    石川説明員 実は、そういう懸念も私は多少持っておりましたので、イギリスでは相当確言を得て参ったのでありますが、ほかの国の事情も見て参りたいと思いまして、フランス、カナダあるいはアメリカ等の山に入りまして見て参ったのでございます。実は、カナダは現在は約四カ所に大きい山がございますが、最近見つかったのは非常に大きな山でございまして、私の見たのはそれの最初の鉱山でありまして、現在日に千二百トンくらいの鉱石を処理している。年末に三千五百トンさらに処理する工場ができまして、今年のうちにはさらに三千五百トンのものができます。なおまたそのほかに約全部でもって十二カ所の山が開発されまして、一番大きなものは日に五千七百トン採鉱するということでございます。五千七百トンというのは、カナダの鉱石は品位が悪うございますが、一つところにまとまっておりますものですから、フランスやアメリカと違いまして、〇・一%、私が見た鉱山は〇・一一三%というウラニウムを含んだ鉱石でございますが、それを処理している。来年の夏八月ごろになれば、二万トン以上の鉱石が処理できるような工合に進んでおります。カナダの政府においては、今まで採鉱その他に対して奨励して参ったのですが、あまりふえ過ぎて、オーバー・プロダクションになるおそれがあるものですから、奨励を去年の八月以後はやめるというふうな状況でございます。実は、帰りに、カナダの政府のハウ商相その他の方にお目にかかりまして、日本供給かできるかどうかというような話もして参ったのでありますが、一九六二年の三月三十一日まではアメリカに大部分売ることになっていますから、多くの数亀はできないが、多少見本ぐらいならできるだろう。その後になれば、前からお話があれば供給もできるというようなお話も伺ってきております。また、フランスでは、最近じゃありませんが、一九四八年ごろからだんだん国力でも見つかってきておりますし、フランスでは輸出もよろしいし、多分コストは一番安いだろう、だから競争ができるだろうというような話を伺って参ったのであります。いずれにいたしましても、将来の供給問題に対しては、そうときまれば相当確約を得なければならぬ、こう存じております。
  33. 岡良一

    岡委員 そうしますと、カナダは、カナダの天然ウランについては、やはりアメリカ英国等との間にかなりの協定があるように私は聞いておりますが、にもかかわらず、日本とカナダとの両国間の協定によりまして、天然ウランの取引が可能である、必ず可能であるというめどは立つのでございますか。
  34. 石川一郎

    石川説明員 必ずとは申し上げられませんか、できる見込みでありますということであります。そういう意思表示がございました。しかし、カナダ政府は将来ウランをどうするということについて決定をしておりませんでした。ただし、去年のクリスマスまでには閣議決定して、これは国会にかけなくてもいいから、ことしの春になったら話ができることになるだろう、こういうくらいな話であります。それは見本的なもので、一九六二年三月三十一日以後はなんとかできるだろうという、こういう、責任者の話であります。こちらはこうときまっておりませんから、問い詰めては参りませんでしたけれども、そういうふうな意思表示がございました。
  35. 岡良一

    岡委員 英国からコールダーホール改良型を入れるという場合には、原料の問題が一つの問題になるだろうと思うのであります。どうもはっきりしためどがまだつきがたい状態です。しかし見通しとしてはかなり有望だということであります。それからもう一つは、この剛原子力委員会で宇田国務大臣がお話になった一節に、例のニコルスとの話し合いを、ここにプリントでいただいております。ウエスティングハウス社のニコルズ氏が来られた話です。このいわゆるヤンキー型と称する十四万三千キロワットのアメリカ動力炉を輸入——今、話題に上っておる動力炉でございますが、これは昨年の六月の六日でございましたか、米国の原子力委員会がいわゆるヤンキー・アトミック電力会社と契約をした動力炉でございますね。そこで設計の下請をしたのかウェスティングハウスである。発電所の一切の建設の下請はストーン・ウェブスター会社がやっているのですが、これは六月十二日の原子力委員会の発表にあるわけですね。そこで設計の下請をしたウェスティングハウスのニコルズさんがやってきて、あちこち説き回った。そこでにわかに十三万四千キロワットのいわゆるヤンキー型というものが、これもどうだろうという話が出てきておるわけでございますが、こういうふうな話の進め方は、私はほんとうに信憑性があるかどうかということなんです。セールスマンとしてやってきて、いろいろ言われる。よく正体を調べてみたら、設計の下請の、しかもそれもセールスマン的な人であって、ほんとうに発電所の仕事をヤンキー・アトミックから請けているものとは違う。設計の下請の会社の代弁人が来た、こういうところにこういうものがとたんに大きく取り上げられて、そうしてまたアメリカのヤンキー型でもどうだろうという話、電力会社なんかもやはりそういうことを公然と言っているところもあるようですが、こういう非常にじぐざぐな混乱があるわけですね。これはニコルズさんじゃない、もっとヤンキー・アトミックならヤンキー・アトミックの公正なアタッシェとの話し合いで話を進めていくというところまでいかなければならないのじゃないか。どうも取扱いにいささか軽率のそしりを免れないと私は思うのですよ。こういう点いかがなものでしょうか。
  36. 石川一郎

    石川説明員 どういう記事が出ておりましたか存じませんか、もし日本が、ニコルズが来たためにヤンキー型を貰うというような意思を表明したかのごとく書いてあれば、それは間違いだと私は存じます。実は昨年の私の留守中に、ウェスティングハウスの社長のノックスさんが見えまして、そうしてヤンキーの方法でやれば非常に安く発電ができるという話があったそうでありまして、それを委員会の方から私のとろに電報を打って参ったのでございます。私は興国の方の炉を調べに行ったのでありますが、さらに英国の炉よりもいい炉がアメリカにあるとすれば、当然そちらの方に乗り移っていいのじゃないかというような考えを初めは持ちまして、それで実はアメリカヘは帰りに寄りまして、ウェスティングハウスの人としばしば会いまして、いろいろなことを聞いたり、質問したりして参ったのであります。その結果を端的に申し上げますと、これはアメリカのやり方らしいのでありますが、一つ原子炉発電所を作るという場合に、全部の許可が一緒におりるのじゃないらしい。たとえば、デトロイト・エジソンが今ブリーダーのファスト・リアクターをやろうというので、二、三年非常に研究しております。ところが、去年の八月八日に地鎮祭をやったけれども、内部のこまかい点は今年、来年くらいかかって研究しなければ、決定しないアイテムがたくさんある。そうして聞きましたら、ともかくも手をつけてよろしいという許可はあったということであります。ヤンキーの方も許可があったということは、まだ完全にデータができるのが今年一月の部分もあるわけであります。それですから、完全にこういうデザインをして、これで進むのだという許可ではないのじゃないか、要するに、段階的にここまでのところはやってよろしい、ここのところはやってよろしい、こういうことじゃないかと、私はヤンキーの方は聞きませんでしたが、想像いたします。私らが調べたところによると、ともかくもアメリカは、先ほど申し上げたように、初めに五つ、それが三つふえて、また二つふえて、また一つ、十一のタイプを研究し始めていますが、最後の二、三のタイプは、ただやるということをきめて、そうして実際はまだ何もしていないものもあります。いろいろな方法をやってみて、その最もいいものをやっていこうというやり方をしている。いわば私は正攻法をやっていると存じます。まだどこがいいかわかりませんが、ともかくもウエスティングハウスのやつは、実際使うのに対して、ほかのものに比べると非常に進んでおります。そういうような状況ですか、われわれはまだ、日本のためにこれを買ってもいいときであるとは考えておりません。もう一年か一年半くらいたてばはっきりしたところがわかるだろう、こう考えております。ですから、もし新聞に日本がそれに何かをくれたかのごとく出ておれば、それは間違いでありまして、そう新聞が書いただけの話だと私は思います。
  37. 岡良一

    岡委員 総じて、ヤンキー型にしてもコールダーホール改良型にしても、わずかに、それぞれの原子力公社なり原子力委員会が発注をしたにとどまって、まだ完成どころか、設計ができて、これからやっととりかかろうというところだ。しかも、電力会社あたりのところは、やはりキロワットの単価を重要視されると思いますが、これも特に英国型の場合なんかはいえると思うのですが、いずれにしても、プルトニウムというものは、政治的な価格によって非常に左右される要素もあるわけです。いろいろな条件を考えてみて、原子力発電がはやるからというので、先進国であるアメリカでも英国でもやっと発注をしたか、あるいは設計かでき上ってこれからやろうというときに、今直ちに飛びついていくというようなことは、やはり世論を惑わすことだと私は思うのです。こういう点にやはり原子力委員会としても、政府としても、毅然たる方針がなくちゃならぬと思うのです。そういう点は一つこれから十分慎重に、やはり世論を正しい方向に、事実に基いて導くという御配慮が願わしいと思うのです。それから、かりにアメリカから今のヤンキー型が入ったといたしましても、この濃縮ウランの原料の確保という点はいかがでございますか、確実に保証があるわけでございますか。
  38. 石川一郎

    石川説明員 まず前半の方のお話について私の所見を申し上げますが、結局イギリスは、今コールダーホールの炉が動いておりますが、これはコールダーホールにある炉の四分の一だけであります。十二月に私が帰って後にその四分の一が動きまして、四分の二動いております。ところが、その四分の一動いたことに自信を得まして、さらにチャペル・クロスというところに四つの炉を建てておるのであります。もうどんどん工事しております。それほどの自信を持っているし、なおまたコールダーホールの炉を作るまでの関には、ウィンズケールというところでいろいろの相当の炉を作りまして、実験を重ねています。そうして、コールダーホールの炉はプルトニウムを作るのが主でありますけれども、こういうものができるという確信を持ってその炉を作って、これが計算通りに動いているということであります。今度できる炉の方は、まだわれわれ見ておりませんが、見積りを作りまして、図面等もできまして、それができたならば、われわれに知らしてくるという約束になっておりますから、まだ買うということにきまったわけではなくて、それを研究してから後に、よければ貰う、こういうつもりであります。イギリスの国といたしましても、新しいものを三基もあつらえておりますし、相当自信がある、こう考えるし、また今までコールダーホールの性質からいけば、みごとそれに及第して設計通りにいくのではないか、こういう見通しは持っております。そういうわけであります。  それから、なお、アメリカが将来とも濃縮ウラン供給できるか、この問題であります。私は日本だけならできると思うのであります。けれども、ともかくも、今度原子力会議を作りまして、そして、アメリカが提唱して、八十二カ国が入っておるわけでございますが、その国がおのおのそれを作りたいという場合に、一体濃縮ウラン供給ができるかどうかということは、私はあなたと同じように非常に疑問に思っておるのです。特に、この問題につきましては、向う委員長のシュトラウスにじかに会いまして、君らの方は将来とも、初めに一ぺん濃縮ウラン供給するのみではなく、毎年減っていくのを捕っていかなければならぬことになりまが、相当数量でありますが、供給できる自信があるかということを特に聞いたのでございます。それは自信がある、こう言っておりますが、いずれにしてもアメリカの炉を伴うときには、そういうことをはっきりと確かめる必要があると存じます。
  39. 岡良一

    岡委員 その点、アメリカのニュークレオニクスという専門雑誌の報道を見ると、こういうことを言っているのです。大統領は、昨年の二月に、四万キロの濃縮ウランの放出を声明しておりる。そのうち一万キロは国内、二万キロは国外である。かりに国内へ二万キロが提供されたという場合に、今アメリカ原子力委員会が発注した六基の動力炉の第一回分だけで合計二千七百五十九キログラムの濃縮ウランを必要かとする、平均燃料サイクルを一年とすると、二万キログラムでは、この六基に対しても7カ年分くらいしかないのではないか、こう言っておるわけなんです。これはニュークレオニクスという専門雑誌が論評を加えておるわけなのですが、そうなりますと、いわんや国際原子力機構に提供しようという濃縮ウランの量は、まだはるかに低いはずでそうなってくれば、アメリカから動力炉を購入しても、やはり英国と同じ、ように、原料の確保という点の保証がないのじゃないかという心配があるわけです。やはり確実な見こみは立たないわけでございますか。
  40. 石川一郎

    石川説明員 どれくらいの濃縮ウランを毎年作っておるかということは、われわれにはよくわかりません。しかし、人の説によると、年に二十五トンは作っておるだろうという話もあります。なおまた、アメリカにある——よその原子炉もいろいろな種類のものが立っておりますが、濃縮ウランを少し使いまして、そうして、ブランケットにトリウムとか天然ウランを入れる増殖型のものがかなり多くあるのです。だんだん日本の将来の目的もそこに行かなければならぬということをわれわれも考えておるのでございますが、そういう方法もいろいろな種類のものをやっております。そうすれば、あながち心配する必要はないと思いますが、こういう場合においては、十分何年閥かの保証をはっきりとっておく必要があると思います。
  41. 岡良一

    岡委員 それから、アメリカから、たとえば実験原子炉などを双務協定によって導入する場合には、半額程度の費用を交付してくれるという大統領の声明がありました。原子力委員会では、いつの炉にこれを受ける御計画でございますか。
  42. 石川一郎

    石川説明員 実は半額くれるという話を聞いておりますが、一体半額とはマキシマムであるかないかということ、たとえば非常に高い炉を買った場合に半額なのか、そこのところがわからなかった。ですから、これは外務省から聞き合して、私が立つ前に聞かしたところが、マキシマムが一カ国に対して三十、五万ドルだ。ところが初めにウォーター・ボイラーを買ったのは、その金額よりはるかに少い額でございますから、これに補助してもらっては非常に金額が少くなるから、むしろ第二番目のCP5の方は百万ドル以上しますから、そのうちで三十五万ドルを補助してもらったらいいだろう、こういうことで、そういうように進んでおります。
  43. 岡良一

    岡委員 三十五万ドルということも資料にあります。ただ、この際はっきりとお聞きしておきたいのですが、この三十五万ドル最大限を受けるところが、この資金はアメリカの安全保障法の共立から、アメリカの、原子力委員会にその使用が許可されてくるわけなんです。ですから、アメリカのミューチュアル・セキュリティ・アクトの拘束を受けているわけなんです。たとい三十五万ドルであろうとも、こういうものをうかつにもらったときに、日本原子力開発の将来に大きな影響を与える危険があるのじゃないかということです。これは外務省の出しておる資料にはっきりありますが、リビー委員が説明をいたしております。外国研究炉については、八基まで一九五六会計年度からの支出が予測されておる。相互安全保障法に基く基金から、これらの研究炉の財源として支出が指定をされるのである云々と書いてある。これが一九五七会計年度にはさらに増加するであろう。少くとも十七カ国がこの要請を行い、アメリカとしてもこれを交付するつもりでおる、こう言っておるのです。ですから、この基金はとにかくアメリカの相互安全保障法の基金からある幾分、六千万ドルくらいだそうですが、そういうものを原子力委員会に寄託する、それで、原子力委員会は、そのものとしてこれを日本に交付するという段取りになるわけです。そうしますと、これは、たとえば余剰農産物の場合がありましたか、余剰農産物の場合には、日本は、これがMSAに基くものであるから、日本が受け取った農産物は、他の国に輸出ができないという拘束を受けておるわけです。ところが、これは物ではありませんから、炉として受け取って、そこで日本の科学者研究を進めていく。しかし先般の委員会、ソビエトなり、あるいは中共との技術交流の道を開くのだということを国務大臣は方針としてはっきり言われておる。ところが、CP5にたった三十五万ドルを受け取る。それが安全保障法の基本から分配をされるということになれば、そこに拘束ができてくる危険がある。去年ブラジルが、三十五万ドルをもらっておるはずです。こういうことの事例については、よほど慎重に調査しなければならないし、少くとも将来日本がそうしたあらゆる国々との間に、特に宇田国務大臣が言明されたように、中国なりソビエトとの間にも原子力研究開発についての技術交流というものを十分考慮しようという方向が、受け取ることによって封鎖されてくるという危険性があるのじゃないかという点です。もしそういう事態があれば、こういう金は受け取るべき筋合いのものではないと私は思う。その点は、そういうことがあり得るならば、受け取るべきじゃないと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  44. 石川一郎

    石川説明員 まだその問題によく研究しておりませんが、受け取るときは、今度はCP5を買い取りまして、そうして、それが動き出すときでないとあれは出さないから、来年の春以後と存じますので、御注意の点はよく考えておきたいと思います。ただ、この研究協定には何もそういうことは含まれておりませんということだけは申し上げておきます。
  45. 岡良一

    岡委員 研究協定には含まれておらない、ただ、その研究協定に基いていよいよ実験炉を算入する、その場合に、実験炉建設の資金としてアメリカ原子力委員会が許可をし、そこでその実験炉を逆転するときには、三十五万ドルをトップとする約半額の必要資金が交付されるというときの金が、そういういわくつきのものであるということです。そうすると、余剰農産物のように大きく拘束されはしないか。それが日本研究自体の拘束にならないか。日本が将来他の国々との間における技術交流等の方向に進まんとした場合に、大きなチェックになる。そういう場合は絶対に受け取るべきじゃないと思うのです。その点、そういうひもつきであるものは受け取るべきじゃないという御方針であるかどうか。この点をはっきりと御答弁願いたい。
  46. 石川一郎

    石川説明員 まだそういう問題が起っておりませんので、そういう場合になりましたら、御注意の点はよく考えてやりたいと存じております。
  47. 岡良一

    岡委員 この問題は、いずれ大臣なりに明確な御答弁を承わりたいと思います。私も少し調べてみます。  それから、もう一つは機密の問題、これもよくこの委員会で私ども問題にいたしましたが、機密資料を含まないということは、最近は動力協定、いわゆる一般協定においても含まないということを新聞などで私はしばしば目にいたしておりますが、この間の事情はどういうことになっておるのですか。
  48. 石川一郎

    石川説明員 これは、国会議員の方方がおいでになりましたときも、向うから言明があったと存じますが、機密資料は含まない。ただし、商業上の機密は含むということでございますから、パテントとかなんとかという問題がございますから、ノーハウとかいうようしことは別問題であって、今までいわれておった機密は含まない、ただし、この機密は昨年の暮れにだいぶ大幅に解除されたのでありますが、書類は非常に大きいものだそうであります。それを印刷して出すにはやはり半年ぐらいかかるといううわさを聞いておりますが、そういうことでございます。
  49. 岡良一

    岡委員 この問題は、外務省の資料を見ますと、だいぶ問題点があるように思うのです。昨年の七月十二日に、米国はベルギーとの間における動力協定の改訂をやっておるわけです。この改訂された新協定の中には、こういうよりな取扱いがなされておるわけです。研究炉、実験炉、動力試験炉及び動力炉の分野並びに探鉱及び処理の技術分町における機密情報交換の範囲を拡大するものであるということですね。アメリカと一番早く動力協定を結んだ国であり、また自国のアフリカ領のウラニウムを大量に供給をして、おるという点におけるギヴ・アンド・テイクの関係にあるアメリカとベルギーのこの動力協定においても、単に今申しましたような炉なり原料の精錬や処理についての機密の情報の提供の範囲を拡大しておる。含まないというのではなしに、あるいは秘密の保持を要求しないというのではなしに、ただ範囲を拡大しようというような改訂しか実はなされておらない。それから、一体この機密の取扱いはどうたっておるのかということについて、やはり外務省の資料を拝見いたしますと、今おっしゃったように、大体アメリカ英国とカナダの間には、秘密の資料についてどの程度までこれを解除していいか、どうかということについての連絡協議の機関があるわけです。そこでそれが協議の上で、よかろうというものから機密への接近を認めたり、あるいは一般に開放する。そこで昨年約三万七百七十三件の報告が機密の解除に値するかどうかということが検討された。そうして、その中から一万一千二百八十三が依然として機密資料として残されておる。三分の二のうちのある部分が、一般に解除されておる。またある部分が接近を許可されている。接近を許可されるということは、厳重な機密の保持を条件として接近を許可するということです。そこで、アメリカあたりと動力協定を結べば、全然今日の動力協定においては機密保持の条項はない。なるほど機密保持の条項はないかもしれません。というのは、知らさないのだから、要するに機密を保持することを前提として結ばれた動力協定であるから、それはないわけなのです。いわゆる機密がない。原子力基本法にいう原子力の開発における公開性という原則は、この協定においてちっとも尊重されておらない。現在のこの機密解除の指導をしようといって、アメリカとカナダと英国が協議をしながら、どの部分は解除すべきであるかということについて、まだ昨年の三万件のうち一万件以上が極秘として残されておる。その残りの半分も、接近の許可をするには、やはり機密の保持を条件としておるというような状態であれば、今、機密の保持のない動力協定などというものによって協定されるところの情報というものは、これは機密外のものだ。何も動力協定を結ばなくたって、入るかもしれない。少くとも機密を前提とした動力協定であるということが言えると思います。そういうことになれば、やはり動力協定というものは、背後に大きな機密の分野を負うておるというか、しょっておるということが言えるわけです。こういうような機密をしょっておる動力協定をわれわれは急ぐべきであるかどうかということは、原子力基本法の立場から、国内における技術開発の立場から、きわめて私は疑問があると思う。大臣もお見えになりましたが、こういう点、動力協定は機密保持がないのだ、機密保持が要求されないためには機密を渡さないということで、機密以外の部分における情報の提供ということにしかならないということになると、これはわが国における新しい開発の上においては、どの程度にプラスになるかということに問題があると思う。一般に公開されたものであり、機密の保持を条件としないものなら、これらが積極的に努力すれば、幾らでも入手できるものなのです。そういう点に、いわゆる機密を保持しない動力協定というものは、背後に大きな機密の保持というものがひそんでおるということ、併存しておるということですね。こういうような状態にあるわけなのですが、これに対して一体この動力協定を結ぶべきであるというようなことを石川さんも報告書の中で言っておられるので、御見解を承わっておきたい。
  50. 石川一郎

    石川説明員 私は向うでいろいろ問い合わせたり、またノックスという方が日本にお見えになりましたときに、アメリカがこういうふうな両国間の協定をするという原案を持ってこられたそうであります。それを見ましても、原子力発電する場合においては、秘密事項に触れないでできるというふうにわれわれは考えております。機密というものは、たとえばノーチラスみたいなああいう船の発電炉であるとか、あるいは兵器に使うものであるとか、そういうものをいっておるのだとわれわれは解釈しております。結局、原子炉を経済的に動かすに何ら差しつかえがない、機密はない、こういうふうに考えております。
  51. 岡良一

    岡委員 それはそうでしょう。しかし、そうなれば、この基本計画方針」というものが非常にゆがめられてくるのじゃないでしょうか。基本計画では、原子力発電についてこう書いておりますよ。「わが国電力事情から見て、国産による増殖動力炉の完成以前に、相当数の動力炉が輸入され、または国産されることが予想されるが、この場合には(8)の動力炉の運転成果を十分活用するものとする。」動力炉の運転成果というものは(8)にあるわけです。(8)では、「動力炉に関する技術の吸収向上、原子力発電の諸条件の検討等の目的のため、相当規模の動力炉数基をできるだけすみやかに海外に発注する。」こう書いてあるわけですね、これはさっきあなたが言った通りに、われわれが日本動力炉を導入することは、単に電力事情の逼迫というようなことではなく、いわゆるエンジニアリングとして、技術の習熟ということ、いわば原子力の平和的研究開発の向上のために必要である、この目的で入れてきた。ところが、問題は、全然機密に触れないものであるということ、言いかえれば、その結果とすれば、燃料向うからもらう、そうして完成されたものをもらって、結局運転手の技術を教えられるということになれば、基礎的な研究ということにならないのじゃないかという懸念があるわけなんです。こういう点でいかがなものでしょう。そうなってくると、なるほど機密はないかもしれませんけれどもエンジニアリングの習熟が、単にエンジニアリングだけでないと私は思うのですが、そういう広範に動力炉を入れることによって、わが国原子力研究開発を大きく飛躍的に進めようとする意図というものは、機密の伴わない動力協定を結んだのでは、単なる運転技術を覚えるという程度のもので、それ以上大きく進歩し得るかどうかという可能性の問題について、非常に大きな限界ができてくる。
  52. 石川一郎

    石川説明員 意味がよくわからないのでございますけれども、たとえば、私今度行ってきまして驚きましたのは、重水を使います炉のディテールが非常に大事です。たとえば、バルブであるとかコックであるとか、そういうところが非常に大事でありまして、また何か炉に不調のような現象が起りましたときに、どういうふうにするかというような問題であります。原子力運転を見事にやっていくために、そういうことがどっさりあります。ですから、そういう技術の習得ということは、ただ学理の研究でなくて、言いかえれば、実際原子炉を作るということに非常に役立つことだと私は思います。たとえば、コールダーホールの炉にいたしましても、今まで二インチの大きな鉄のボイラーみたいなものを作っておったが、これを今度三インチにやる、アメリカでは八インチまでいくそうです。そういう技術は非常に大事でありまして、そういうことができなければ、ただ原理がわかっておっても、日本原子力の自給自足というものができないことになる。そういうことができれば、非常に役に立ちます。私はそういうふうに考えております。
  53. 岡良一

    岡委員 どうせこれは新規なものがくれば多少のことはあると思うのでありますが、ただそれが基本法にうたわれておる精神なり、日本の基礎的な研究との兼ね合いで、いかにプラスであるかマイナスであるかというようなことは、単にこのような実態にある動力協定を急ぐべきであるといわれるには、もっと内容を精査して、責任ある立場から動力協定の問題を問題とすべきではないか、そう私は思うのです。事もなげに、秘密はないから動力協定というような、飛躍した三段論法は、私は許されないように思うわけなんです。ただ、そういう老婆心から申し上げたのです。まだ実は問題はたくさんあり、宇田さんも来られたので御質問を申し上げたいのでありますが、さっきから前田君がそばで急がせておりますから、きょうはこれで終ります。
  54. 菅野和太郎

  55. 前田正男

    前田(正)委員 長官と原子力常勤委員のご出席を願っておるので、この際、御質問申し上げたいと思うのですが、きょうは藤岡委員が欠席されたようでありますから、藤岡委員にはいずれまた別の機会にお尋ねしたいと思います。それで、まあ原子力の問題が大半を占めるのでありますけれども、その前に二点ばかり、一般の科学技術につきまして、宇田長官の御意見を伺いたいと思うのであります。  まず第一に、科学技術庁を設置するの法案の国会審議におきまして、科学技術研究機関の問題につきましては、これは将来再検討いたしまして、特許の問題も含めて、日本の科学技術研究体側の根本的なあり方について一つ検討願うということの附帯決議を、衆議院、参議院ともつけて可決されておるのであります。それに伴いまして、科学技術研究の基本法とかあるいは振興法とかいった問題についていろいろと論議のあるところでありまして、この問題については、政府提案にすべきかあるいは議員提出にすべきか、また問題があると思いますし、もちろん政府においてはこれらの根本的な法案について御研究を願っておると思うのでありますけれども、大臣のこれに対します御所見を伺いたいと思うのであります。
  56. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 科学技術の振興については、やはり特別な法の裏づけをもって、そして、秩序ある振興方法を講ずべきである、こういうふうに考えて、立法の準備をいたしております。
  57. 前田正男

    前田(正)委員 次に、科学技術庁設置の問題の一つの大きな問題点でありましたことは、科学技術に関しますところの総合企画立案をするとともに、その裏づけといたしまして、予算の見積り方針の調整をするという権限を与えたのであります。従来の官庁にはそういう予算の見積り調整をするというようなことは、大蔵省を除きましてないのであります。昔、安本時代に、公共事業に対しましてそういう調整権を持ったことがありますが、現在はなくなっておるのであります。そういうふうな重要な権限を持ちまして、これにつきましては、大蔵大臣もその他者関係の人たちも、科学技術庁の調整したものについては十分に尊重するということを国会でも答弁しておりますし、また閣議においても要綱でそれをきめておるのでございます。そこで、一十二年度の予算が国会に提案されましたが、それにどの程度科学技術庁の調整したものが尊重されておるのかどうかということについて、大臣の御所見を一つお聞かせ願いたいと思います。
  58. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 各省庁の試験研究費の見積り方針の調整は、科学技術庁で事前に相当行なって、かなりの調整ができたと思っております。しかし、詳細については、別に今資料を作って、そうして研究あるいは皆さんの御審議をいただきたいと思っております。
  59. 前田正男

    前田(正)委員 実は、前にこの委員会に、大蔵省に提出されてから予算査定の終るまでの間のところで調整したものを資料としていただきましたので、現在実際にどれだけそれが尊重されたかということを一つ資料として提出していただきたいと思います。  では、次に原子力の問題についてお伺いをいたしたいと思うのであります。最近、原子力発電動力炉関係の問題が非常にやかましくなっておりました。特に、電力会社等においては、社長会において、動力炉の輸入についていろいろと積極的にやるのだということを申し合せて、新聞に発表しておるような状態でありますけれども、私はこれは非常に行き過ぎておるのではないかと実は考えておるのであります。原子力の動力協定をするといいましても、日本国産的に動力炉ができ、あるいはまた国産燃料が間に合うならば、そういうことをまたお話しになっても多少いいのでありますが、それにいたしましても、まず第一にその原子炉の管理をするところの根本的な法律ができていないのに、民間電力会社が取り上げてやかましく言うのはおかしいのであります。ましてその電力会社の諸君の意見を聞いておりますと、外国から動力炉も輸入するのだ、燃料も輸入するのだということでありますけれども、また現在の日本の状況から見まして、当然ここ数年ないしは十年くらいの間は動力炉の輸入なり燃料の輸入をしなければならぬと思うのであります。従って、動力問題を取り上げるについては、そういうふうな発電をやるとかやらぬとかいう問題の前に、現在日本外国との間に取りかわされております協定により、致しては、炉の輸入も燃料の輸入もできないのであります。まして、この問題につきましては、来して燃料の確保ができるかどうか、こういう問題は先ほどから岡委員からも御質問がありました。また、私たちも諸外国に行きまして、おのおの一応関係当局の人は、炉を売った場合には必ず燃料を補給するとは言っておりますが、口約束では役に立ちません。それは当然動力協定といいますか、一般協定によりまして、そういう国家間の約束ができてから初めて具体化すべき問題であるのであります。約束ではなしに、実際の協定というものができなければなりません。また、かねてから問題になっております、これに伴うところのいろいろなひもつきの条件だとか、あるいは秘密情報の問題だとか、そういうようなことがあっても困りますし、またこの前の研究協定の国会での細目協定の審議のときにも、そのできました残滓物を返すということでは困る。どうしても一つこれを日本で科学処理等に使わなければならぬ。そういうような点からいって、これはやはり貸与では困る、買い取りでなければ困るのではないか、こういうことが、国会の与野党を含めました大多数の意見であったのであります。従いまして、こういうような根本問題を仮定の問題において、動力問題を取り上げて云々するということは非常に行き過ぎであるのであります。それはわれわれも参りますし、また石川委員その他も回られまして、おのおのある程度の承諾を得、また了解をとってありますけれども、それは個々の了解でありまして、国家間の正式の了解ではないと思うのであります。従いまして、やはり国家間の正式な了解事項ができてから、こういう問題は具体化しなければならぬのであります。そこで、最近研究所に使いますところのウラニウムが足りないというようなことから、研究協定を改訂して、その量を拡大したいというようなことをアメリカと交渉せられる、その改訂案を国会に提出されるというふうなことが新聞紙上伝えられておるのであります。しかし、その内容を見てみますと、実は、貸与でなしに買い取りにするのだということを含めて交渉しておられるようであります。ところが、貸与ではなしに買い取りだということなら、これはすでに動力協定、一般協定と内容をほとんど同じくするものでありまして、しかもまた今の情勢から見ましても、また日本エネルギー状態から見ましても、当然この際動力炉の問題に入らなければならぬのであります。その前提になるところのこの国家間の動力協定というものは、急いで交渉に入らなければならぬ段階であると私は考えるのであります。従って、これに対しまして、今回の研究協定の改訂に当っては、私たちは、できたならばこの際動力協定の交渉に入って、いわゆる一般協定の交渉に入るようにした方が、むだがないし、また日本の現在要求されておるエネルギーの問題から見ても必要なことであるし、また先ほど岡委員等が質問されておるようないろいろな心配の問題についても、個々の視察団は出ておりますけれども、やはり国家としての正式の了解を得て、こういう問題に大きくスタートするというのが順序であると私は思うのであります。それに対しましてどうも原子力委員会といたしましては、そういうことに対してまだ御了解が得られないらしくて、最近の新聞紙上を見ておりますと、研究協定の改訂として日米の交渉を始めるというふうに出ておったのであります。けれども、この問題につきましては、非常に日本の将来に重大な問題でありますので、ここに一つ委員の力と委員長の御意見を伺いたいと思ったのであります。ついては、先に石川委員から御意見を伺いまして、あとで委員長の御意見を聞かせていただきたい、こう思っておるのであります。
  60. 石川一郎

    石川説明員 私はできるだけ早く——動力協定ではなくて、一般協定ということになっておりますので、これは動力を入れますときにも、またウラニウムとかなんとかをもらいますときにも、あるいは技術の交流の問題につきましても、また人を向うからこっちによこしてもらったり、こっちから行ったりということをひんぱんにやってもらうという意味におきましても、早くやった方がいいだろうという考えは同じことでございます。ただ、ここでわれわれが考えまして、特に研究協定をまず先にやらなければならぬと思いましたことは、これは、ざっくばらんに申し上げまして、実は今年の正月ごろは国会がいつ解散されるかわからないような情勢のようにうかがったのであります。やはり両国間の協定というのは、大てい十五年あるいは十年という長い間縛られることになりますので、それをあわててやっても間に合わないだろうし、またあわてては相済まぬことでありますし、とりあえず研究協定をやっていただいておいて、原子力研究所の動きに対して支障を来たさないようにしなければならぬ。なお、これは大体研が進みつつありますが、そういう途中においても、すでに両国の研究協定についても百研究を始めまして、これはできるだけ早い機会に、あるいは臨時国会になりますか、次の国会になりますか、そういうときにお諮りするように持っていったらいいのではないか、これは私個人の意見であります。何しろ非常にびくびくしたのでありまして、原子力研究所が、解散のために立ち往生でもされたらえらいことになると思いまして、そういうふうに考えたのであります。  それからそのほかに、買い取りにいたしましたのは、会計法上の問題等もございまして、非常に大蔵省あたりもやかましい点がありましたので、それでは買い取った方がいいということにしたのです。また、研究協定にして買い取りまして、その一部分は先ほどお話のフュエル・ウエーストの研究をぼつぼつ始めたらよかろう、こういう意味におきまして、買い取らないと、一々その問題について技術上の話し合いをしなければならぬというようなことがありますから、とりあえず急いで研究協定をやっていただいた方がいいのではないかと考えましてやった次第であります。同じような考えは持っておるのでございますが、やはり十年となりますといろいろのことを考えなければなりませんので、それには十分練らなければならぬ、こんなふうな考えを持っております。
  61. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力委員会考え方としては、大体今、石川委員から申された通りであります。政府といたしましては、原子力委員会意見を尊重することになっておりまして、その方針で進みたいと考えております。ただいま石川委員からいろいろ環境の変化等のお話がございましたが、自分たちといたしましては、研究協定よりも一般協定の方が好ましいものである、情報交換あるいは技術の交流等は非常に必要なものでありますし、一般協定に進むべきであるというふうなことは考えております。そうして、それも英米だけにとどまらず、他の国ともなお交渉すべきものではなかろうかと考えております。従って、外務省を通じて、そういうことを考えた場合に、果してどういうところに故障があるのか、果してそういうことが可能であるかどうかということは、それぞれの機関を通じて打診をいたしたいと思います。
  62. 前田正男

    前田(正)委員 今お話のように、大体一致して一般協定の必要を感じておられるようであります。研究の量をふやすについても、どうせ買い取るならば、一般協定にしても同じでありますし、またいろいろと国民の間にも疑問がたくさんあるわけでありますから、この際一般協定を結んで、そういう疑問を解決していくことによって動力問題というものに踏み切っていくというような行き方にしないと、順序を逆にいたしますと、いろいろ論議が非常にやかましくなりまして、不安な点も起きてくると思うのであります。そういう点において、今のお話で一般協定に切りかえて参りたいということであり、特に石川さんは解散のことを心配しておられたようでありますが、解散はないようでありますから、さっそく一つ出発を一般協定の方に切りかえて、とにかく交渉を始めていただきたい。もちろん交渉いたしますと相当の時間もかかりますので、なるべく早く交渉に入っていただきたい。この国会に間に合わなくとも、あるいは交渉のことですから間に合わないかもしれませんが、とにかく早く交渉に入られることを希望いたしておきます。  なお、今、大臣から、英米に限らずというお話でありましたが、カナダ、フランス等は日本にも燃料を送ってもよいようなことを言っておるわけでありますから、その方面についても十分に一つ交渉の準備をしていただいた方がけっこうじゃないかと思うのであります。  それから、次の問題として、今お話のように、一般協定に入って参りましても、これが交渉の結果どういうことになるかわかりませんが、われわれが今まで了解した範囲におきましては、秘密問題とかあるいは燃料の補給等については心配がないというような段階にあるように思うのであります。今度は、それに対しましてわれわれとして問題の点は、そういう一般協定というものができれば、電力会社が言っておるように、実用的な原子炉をすぐ買いまして——もちろんこれは製造権を買って入れると思うのでありまして、ただ輸入して据えて置くというようなことはないと思います。当然製造権を費って輸入するのではないかと思うのであります。しかし、それでいきますと、今後の製造関係の研究態勢は進んでいくと思うのでありますが、その間に原子力研究基本方針と基本法との間に、飛び越した問題が一つあるのではないか。それは何かと言いますと、これは将来の動力炉研究体制を整えていって、いわゆる動力試験炉を購入して、さらに増殖炉の段階に向ってこれを進めていこうという、いわゆる将来の発電動力炉研究原子力研究所等においてやられるという考え方でおられたものと、製造権を買ってきて日本で製造の研究はするけれども、とにかく実用的な炉を買ってきてすぐやっていこう、いわゆるコールダーホールのタイプのものを買ってきてやろうという考え方との間には、私は研究体制の食い違いがあると思うのであります。やはりこれは日本の動力のエネルギー事情等からいって、急いで製造関係の研究もしなければならぬというようなことも必要かもわかりませんけれども、しかし将来の発電の態勢の、研究考えないでおったら、日本はいつまでたっても——すなわち向うから製造権を買うなり、ノー・ハウを買わなければならぬ、あるいは特許権を買うというようなことにしていかなければならぬということになって、将来日本が自主的に炉を作ることができないと思うのであります。そこで、世間で同心になっておりますようなやかましい行き方ではなしに、この際、動力試験炉式のものを買って、将来の発電研究を進めていくべきか、あるいは実用的な炉を買って製造の研究を進めていくべきか、あるいは両方を同時に行なっていくべきであるか、こういうことについて一つ石川委員と宇田大臣の御答弁をお願いしたいと思うのであります。
  63. 石川一郎

    石川説明員 ただいまお話のありましたことは、イギリスに参りましたときに、こういうふうに私は考えて参りました。それは、先ほどもお話のございましたような両国間の協定なり、それから、最初は何らこちらで経験もございませんし、もしイギリスの言うごとく約二十七、八万キロの向うの炉を入れるということになりますと、約三百億くらい要る、その金融問題と、またそれを入れるにつきまして、日本でできる部分品もあるだろう、それがどのくらいになる、だろうかということも、これは研究をする必要がある、こう考えて参ったのであります。ところが、あちらのいろいろなメーカーに会って聞きますと、向うのメーカーで今まで日本に非常に接触している人は、日本でたとえば百億なり五十億のものはできると言う。ところが接触のない人は、全然できないから向うから全部持ってこなければいかぬと言う。セメントとか砂利とか、そんなものは別ですけれども、そういうようなことを言う人もある。ですから、そんな方に、日本に来て、日本の工業水準を見てくれということを話しておきました。しかしまだ買うときまっておりませんから向うも来ませんが、そういうようなことによりまして、私は、炉を入れることが基本研究にどういう影響を及ぼすかということを、相当学者と何べんも議論いたしまして、結局エンジニアリング・サイドの方は、これを入れて土台にして研究していけ、その力がわれわれが研究のジャンプ・アップができるじゃないかということをおっしゃる方が多いのであります。  それから、増殖炉の問題でございますが、これはまだどこも未確定、何もきまったフォームはございません。先ほども申し上げたように、現在デトロイト・エジソンでは組合を作りまして、約四十会社で、一昨年が年に四百万ドル、去年が四百五十万ドルの金をかけて、向うの記録によりますと七十人とも書いてありますし、また話に聞くと百五十人の技術者を集めて、そしてデザインしているという状況であります。だから、われわれ日本がどれに飛びつくかといっても、いろんな種類がございます。ということは、向うの方でオープンにして見せてくれますから、もう少しそういうことを見てもっとショート・カットで基本的な研究を進めていったらいいのじゃないか、こういう考えもしております。  それから、動力炉の見本みたいなものを入れるという問題がございます。そういう議論がだいぶ日本にございました。ところが、動力炉の一万五千キロというのは、ブラジルも買いました。先ほど、ブラジルが三十五万ドルをもらっているだろうということでしたが、まだ動いておりませんから、多分もらってないだろうと思います。動くとくれるのだから——そういうものを買いましたが、これは炉だけの問題です。あとの電気のサイドは、何ら向うの御厄介になる必要はないのでございます。そういうものを買わなければならぬようなことになるなら、むしろ日本で自前で研究した方がいいのじゃないか。くっついて炉を買うのは、ばかばかしいという考え方をしているので、実は今年の夏ごろもう一ぺん私らは小さな炉を買ったらいいか悪いかと——小さな炉を買って動かしますと、電気が高くつきますから、常にマイナスが出るのです。そういうこがどういう経済上の影響を及ぼすかということをよく考えていったらいいじゃないかということで、私たちは今度はアメリカは主として大きな原子炉発電だけを見て参りまして、小さなものは見ませんでしたので、特に小さなものもよく調べるようにやっていただきたい、こう申しておるのであります。
  64. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 石川委員の言われたことが、大体委員会の大部分の意見考えて差しつかえないと思うのです。ただ、われわれ政府の側では、管理の問題あるいは障害防止等の問題に関する一連の法律は、本月の二十六日ないし三月五日ごろまでの間に整えて、皆さんの御審議を得たい、こういうふうに考えております。それで、新しい輸入に対する許可、認可の問題をどういうふうに取り扱うかということは、その一連の法案の中で皆さんに御研究順いたいと思っております。  それから、試験の炉を入れるか入れないかということについては、むしろ小さい炉をたくさん入れるということが、果して研究のために根本的に必要なものであるかどうかということについても、科学技術庁としてはもう少し研究したい。そういう面で、使う国費をなるべく少くして、能率の上る方法はないだろうかということは論議をいたしております。  それから、大型の炉を購入するということについて、国産技術の促進をすべきであるということは、科学技術庁といたしましては、むしろ大きな炉を入れて、日本技術の促進をはかることをあわせて考えるべきではないか、こういうふうな意見も有力にあります。そういう点につきましては、何といってももう一ぺんミッションを出して、そうして向うの現実をもう一ぺんエンジニアリングの立場からも調査をいたしたい、それを早急に取り計らいたいということであります。
  65. 前田正男

    前田(正)委員 それでは、大型の動力試験炉を輸入すべきかどうかということ、あるいはそれを買わなくても、最初試験炉を入れて、国産のブリーダー・タイプの炉の研究等もできるかもわかりませんが、問題は、その炉の入れ方は別として、原子力研究所というものを中心にして、将来の発電の基本的なものを研究していくというグループと、それからいわゆる実用型の大型の炉が入れば、それは、電力会社を中心にした製造研究的なグループというものとこの二つに分けてやるべきか、それとも実用的な炉を入れて、それもすぐに基本的な研究をやるところと一緒にやっていくべきかどうか、これは実は私は非常に大きな問題となると思うのであります。それはなぜかと言いますと、動力炉を入れていくものの、今後の企業形態というものに非常に関係してくるんじゃないか。今もし基本的なものをやる研究体制のところへも製造的なものを入れて、たとえば原子力研究所みたいなところに入れて、基本的研究も製造的研究一緒にやっていくということなら、あとは個個の電力会社等にその必要な炉を持たしていっても、あるいはできるかもわからないと思うのであります。しかしながら、もしそうじゃなしに、基本的な研究は基本的な研究でやっていくし、また製造研究は別個に実用的なものを入れて研究していくんだということになれば、この研究というものは、当然九州にも東京にも、あるいは東北にもと、みなばらばらに入れて、ばらばらに研究するわけにいかないと思うのです。従って、これは電力会社とか製造家の共同研究という体制を整えなければならぬという問題が出てくるんじゃないか。従って、相当電力を出すところの実用的な原子炉というものは、側々の電力会社じゃなしに、電力会社の共同機関が買いつけるというような可能性が出てくるんじゃないか。私はその企業形態の問題は、単に研究だけじゃなしに、実はこれから出ますところの、今はペイする値段——大体水力とか火力に合う位値段でしょうが、将来は二分の一、三分の一の値段になることは間違いないと思うのです。そういう場合に、個々の電力会社が自分で、その利益をほかの電力会社全般にばらまかれても困るんじゃないか。やはり、原子力によって電力のコストが安くなった部分は、化学処理であるとか原子炉の改良であるとか、そういった原子力研究、発展という方面に原子力発電の利潤を回さなければならぬという問題もありますから、単に研究体制だけで、これは個々の電力会社にやらすべきか、共同の機関にやらすべきかということは、議論の余地がずいぶんあると思います。電気事業との関係もずいぶん議論の余地があると思うのですか、しかしとにかく何といいましても問題は、日本原子力研究の体制というものが明瞭でなければならぬと思うのです。従って、そういう資金的な問題、管理問題、事業的な問題、いろいろな問題はありますけれども、まず第一の問題は、日本の今後の原子力研究体制はいかにあるべきかということを、動力炉を輸入するに当ってお考えをまとめなければならぬと思うのです。それに対しまして、試験炉を入れるとか入れないとかいうことは別にいたしまして、とにかくどういう研究体制でいくべきか、一カ所で基本的な研究も製造研究もやらすべきか、製造的な問題に当るものは、基本的な研究を、やる原子力研究所とは別個にやっていくべきか、こういう問題について石川委員の御意見があったらお聞かせ願いたいと思います。そのあと大臣も御所見がありましたら、お伺いしたいと思うのであります。
  66. 石川一郎

    石川説明員 原子力研究所といたしましては、要するに基本的の研究はもちろんやって参らなければならぬ。これは非常に範囲の広いものであります。それから国産炉の、研究もやっていかなければならない。なお、動力炉を輸入する場合におきまして、どういう体制にしたらいいかということもわれわれは考えておりまして、あさって研究所といろいろ話し合いをしたいと思っております。まだ委員会としては何も決定しておりませんか、今お話のあったように、われわれは新同等にも雑談的に話したことがございますが、新しく入れました炉を建てる方法、材料、それからオペレーションについての訓練所、あるいは大きな学校といいますか、そういうふうに初めのものを持っていった方がいいのじゃないか、安全性の問題もありますし、いろいろ運用の安全の問題もやかましい問題になっておりますから、そういう点から考えましても、また保健の問題から考えましても、そういうことがいいのじゃないかと考えております。どういう形がいいかということは、頭には思っておりますけれども、まだ相談しておりませんから、いずれ近いうちにこの体制をはっきりしたいと考えております。
  67. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 原子力の関係は、発電関係とアイソトープの利用の関係、大体この二つに行政が大きく分れると思います。それでおのおのについての研究は、主として新しく管理に関する法律を通じて、研究に関する大体の輪郭も規制をすべきものだ、このように考えております。そうして発電の場合とアイソトープを目的として動力炉を稼働さす場合によって、管理方法が必ずしも同一に考えられたい面があると思っております。発電の場合には、当然それは送電によって大衆生活に結びつけられていく面が起りますから、そういう場合には、現在の配電行政を考えますと、それぞれの送電線の末端にどういうふうにして連係するかという技術的な、また行政措置を考えなければならぬことも当然でありますから、そういうことになりますと、必ずしもこれを国家管理ということには、ただいまの行政機構ではいき得ないことは当然起ると思っております。そういう面についての新しい送電研究等につきましては、民営の形態に対して、われわれはどういうように介入していくかということは、当然考えなければならない新しい重点だと思います。そうして、炉そのものの性格が、送電のみで全部のエネルギーを大体において使い尽すという計画で設計された場合、それから起るアイソトトープというものの利用関係の研究等、及びそれに対する国家規制ということは、少し変ってくる条件が起ってくると思います。それで、同じ炉の場合でも、発電のみを目的とする炉を研究する場合もあると思います。それから、アイソトープを中心として、バイプロダクトの送電を考える、発電考えるということもあると思うのです。この場合に、技術的にどういうふうな法体系を整えるかということについてはなおもう少し研究いたしたいと考えております。  それから、研究の形態は、ただいま石川委員から申されたような東海村を中心として研究体制を整えるという国の基本方針は、推し進めるべきものであると考えております。しかし、ただいま申し上げましたような実情に応ずる必要さの内容の中には、一連の東海村のみの研究形態では、必ずしも一がいに処理できないものもあると思います。  それから、アイソトープにつきましては、どうしても敏速にやって、自分たちの予想し得ないような面への利用を考えなければいかぬ場合が多い現在の状況であります。従って、これを民営の研究形態の中にどういうふうに持っていくかということは、先ほどの科学技術振興ないしその一連の方法を考える場合にも、その中にへ含ませたいと思っております。
  68. 前田正男

    前田(正)委員 この問題は非常に大きな問題であると思いますので、原子力委委員等においても、よく十分に御研究を願いたいと思うのであります。とにかくおれの方は原子炉を輸入するのだというふうな簡単な考え方ではなしに、日本の将来の研究体制にどういうふうな影響を与えるかということも十分に御検討を願って、そのほか行政の面とかアイソトープ利用の面とかいろいろな問題があると思いますけれども、とにかくそういう点を一つ研究を願いたいと思うのであります。それはまたいずれ御研究を願った結果を拝聴することにいたします。  次に、今のような問題に関連した問題でありますけれども、私たちが海外を回って非常に痛感いたしましたことは、どこの地方にいきましても、とにかく実験炉から始めまして、最近の実用炉に至るまで、その製造の態勢というものは、国内においてこれを製造するという態勢を整えておるのであります。そうして、そのできない部分は外国から輸入する、大体こういうふうな体系を整えてやっておる。これは私たちだけでなくほかの政府関係の諸君も回っておられますし、また産業金融の諸君も皆回っておられるのでありますから、よく見てこられたと思うのであります。ところが、飜ってわが国現状を見ます場合においては、第一、第二の実用炉は急いで輸入する必要があったせいもあると言いますけれども、その責任というものは、海外からの輸入ということに待ちまして、海外の会社が責任を持つということになっておるのであります。私は、この点は日本原子力の発展というものに対しまして、われわれも関係しておった者として、この際非常に反省をしなければならぬ問題であると思っておるのであります。そこで、今までの分はやむを得なかったことだと思うのでありますけれども、今後の分、すなわち宇治のスイミング・プールから始めまして、これからのものは当然日本において建設する責任を持つ。ただし、できない分は海外から買うこともよいでしょうし、あるいは技術提携をすることもよいでしょうけれども、とにかく日本の製造家にこれを注文していただく、こういうことにしていただきたい。その三分の一を外国から入れるか、三分の二を外国から入れるか、あるいは技術提携でやるのか、特許権でやるのか、それはその製造家の責任においてやっていただくといたしましても、外国の人間が来て、この建設の最後の責任を持っていくということ——三分の一は三菱で作るようでありますけれども外国の人が持っていくというようなことでは、日本研究体制は進まないと思うのであります。特に私は、宇治の問題について、外国から帰ってすぐにその点を湯川さんと藤岡さんに申し入れたのでありますけれども学者の諸君は、自主的な研究をしなければならぬとあれだけ叫んでいながら、スイミング・プールみたいな一番簡単と思われる炉についても、学者の諸君が今考えておるのは、全部外国から入れて据え付けようというような、外国のものに責任を持たそうというような考え方であるようであります。私は、そういうことは困るのじゃないかということを申し上げました。湯川さんは、なるほどその通りだというようなことを言っておられた。その後私は、多分日本の製造家に責任を持たすように変えられたと思うのでありますけれども、その結果はまだ聞いておりませんが、きょう藤岡さんがお見えになったら実その点をどういうふうに変えられたかということを聞こうと思ったのでありますが、御欠席でありますし、今度藤岡委員にその点を一つ聞こうと思っておるのであります。とにかく今後のスイミング・プール型からあとのものは日本の製造家に注文して、日本の製造家が運転をするという責任を持つ、ただし、日本の製造家の技術では十分じゃないですから、技術提携とか、あるいは外国から入れるとか、こういうふうなことをやる、しかし、責任日本が持ってやっていこうという点を明らかにしていただくということが最も必要じゃないか。私たちは、そういう点において、わが国の第一、第二の実験原子炉というものは、その買付の仕方において、建設の仕方において反省すべき点があったのではないかということを、回りまして痛感して帰って参りまして、そういうことをわれわれ声明しておるのであります。この点に対しまして、原子力委員会石川さんと宇田大臣の所見をお伺いしたいと思うのであります。
  69. 石川一郎

    石川説明員 スイミング・プール型につきましては、文部省の所管になっておって、私まだ詳しいことを伺っておりません。ですから、ちょっとその方の御返答はできません。ただ、せんだって、こういうことがありました。それは、原子力産業会議の中に原子発電部会というものがございまして、少壮の技術者が数十人集まった会がありました。そこへ、君を最後につるし上げるから、そのつもりで来てくれということで、よろしゅうございますということで伺ったのであります。それで話が済みましてから後に、つるし上げとは何かと聞きましたところが、一体あなた方は外国の、たとえばイギリスのコールダーホールなどの改良型のものを入れますか入れませんか、こういう質問でありました。それで、入れるとも入れないともきまっておらないが、諸君が五年間に完成してくれるなら何も入れる必要がない、こう言ったところが、だれも返事ができないので、君らはもっと勉強しなければいかぬ。こう言って、反対に向うをつるし上げて帰ってきたような状況であります。それで私は、まず第一の大きい炉はお入れになった方が安全じゃないか、しかし、危険のあるものもあり、研究すべき点がだいぶ残っておりますから、それを調べて、よければ買った方がいいんじゃないかと思っております。
  70. 前田正男

    前田(正)委員 今の石川委員のお答えは、私の質問を間違えてとられたのではないかと思います。外国から入れるということはいいのでありますけれども、しかし、入れるについても、これはもちろん日本国産化するということが前提であるから、当然製造権を買って入れると思いますが、コールダーホールの型は、バブコックから日立なら日立——今度の改良型はいろいろあちこちで取ったようでありますか、それに関連して三菱とか東芝とか、いろいろあると思います。どうせ入れる以上は、将来技術提携をして入れると思うのでありますが、今度は改良型であるならば、技術提携をした東芝なら東芝、日立なら日立に注文をする。しかしその八割を外国から入れるのか七割を入れるのか、あるいは九割入れるのか、それはこの日立とバブコックの間なりで技術提携をし、また技術的なコンサルトもおるでしょうから、そういった人たちの相談によってきめるべきだと私は思うのです。外国から入れるということはけっこうでありますし、もちろん技術提携をすることはけっこうですが、しかし、その完成の責任は、三菱なら三菱、日立なら日立という技術提携をした会社がとるべきである。従って、日本がもし注文を出すなら、日立なら日立、三菱なら三菱、東芝なら東芝というところに注文を出してやるべきではないか。そうしないと、日本はいつまでも外国から入れるということになって、入ってくる量も、日本側のメーカーがこれだけできるといっても、外国ではできないといって、日本が非常に不利な立場になる。それはやはり三菱なら三菱に注文してやって、外国から入れてくるということの方が、今後の日立の製造の発展には非常に役立つのではないか、私はこう言っておるのです。それに対しては、どうお考えかということを伺いたいのであります。
  71. 石川一郎

    石川説明員 ごもっともだと思います。ただ、あちらでいろいろなグループと話をしたときに、これはイギリスのGE会社は全部持ってこなければならぬ、日本の工業は信頼できない、こう言うのです。だから、そういうような話もいたしました。バブコックの方は、御承知の通り、長年日本の横浜にも工場がありまして、商売をしておるものですから、大部分はできる、こういうふうですから、もしGE系統のものをあつらえるとするとなかなかうんと言うまいだろう、バブコックの方はうんという返事に近いものが得られるのではないか、こんなふうな考えであります。
  72. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 国産ということは、国産考え方であって、われわれは今までいろいろな機械を扱ってきたのですけれども、大部分日本でできます。従って、原子発電炉関係のもので、全部何もかも向うでなければいかぬというふうに考える必要はない。必要がある、ないということは、少し言い過ぎかもしれませんが、しかし、それはどこに限界点があるか、こういうことであって、技術的に見て何でもないところが実際はたくさんあります。そういう点については、当然日本技術日本の生産能力で間に合うわけであります。ただいまでもアメリカから火力発電の設備はたくさん入っております。そういうものが日本の自主性をスポイルするものだとはだれも考えていない。水力発電でもやっておる。しかし、原子力の炉の場合でもそういうことは同じように起ると思います。それで、だれか製造の中心であって責任を負うかという点については、私は前田委員の御意見の通りが正しいと思います。
  73. 前田正男

    前田(正)委員 それは、日本のメーカーに受注の責任をとらせて外国と提携するというようにしてやらないと、日本のメーカーが向うと製造提携を結ぶのにも、不利な条件が多いと思います。こういう点は今後の国内産業を育成するためにも、ぜひお考えを願いたいと思います。  次に、だいぶ時間もたちましたので、問題の残った点のおもな点だけを一、二点お聞きしたいと思います。実は、私たちが回りましたときに、アジア方面、インド、ビルマ、タイの方面に寄りましたときに、モナザイトというものが非常にありまして、これはイギリスその他の国が非常に注目しまして、またインド自身もそれを製錬しておるわけであります。これらを見まして日本に帰りましたら、実は日本はタイと朝鮮から相当モナザイトを入れておりまして、それからセリウムをとって、セリウムは輸出しておるけれども、その中に入っておるトリウムとウランのかすはそのままにしておるのが現状であるというようなことを聞きました。これでは非常にもったいないから、それを買い上げたらどうかということで、当時の原子力金属懇話会の方からも政府に要望して予算化に努力したそうでありますが、とれなかったのであります。そのほか、海外のタイとかビルマ等も日本に売るというようなことで、公社にも一つ、ぜひ見に行っていただきたいということで公社の方にも視察に行っていただいたようであります。そういうことでありますから、まず海外からそういうモナザイトとかさらに鉱物資源を輸入するということも考えなければならぬ。もちろん私たちはこういうことを言って、公社の仕事をないがしろにするわけではありません。公社の仕事もぜひやってもらわなければいかぬし、日本の採鉱製練はぜひやってもらわなければならぬのであります。しかし、日本が将来原子力をやっていきまして、いろいろと困った問題が起ってくる可能性があるというのは、おもに燃料の問題にかかってくるのではないかと思います。従って、そういう点において、われわれとしては十分に燃料の各方面の手配をしておく。国内生産態勢はもちろんでありますが、海外のモナザイト等も日本でせっかくそうやって利用するというのでありますから、さらにモナザイトを入れる、あるいはそのかすを利用するというところを考えてもらいたいのであります。ところが、実は私の聞いておるところでは、予算が落ちただけではないのでありまして、トリウム等もそのままにしておるということでありますが、最近これらのものを日本で製練もできてくるというような状況を聞いております。こういった状況になってきて、日本技術でトリウム等の製練もできるとか、こういうことになってくれば、当然製練をするべく、公社もそれから民間の方でもやっておるようでありますが、民間の力に対しても原子力委員会としては当然これに対して補助もし、奨励もしなければいけないのではないか。またこのかすも活用しなければ——置いておいたのではもったいないのではないか、こういう残滓としております未利用のものを利用するということ、トリウム等の製練についてできるだけの援助をするということ、もう一つは、トリウムに使います炉の設計という問題も考えなくてはいかぬのではないか。アメリカ等にはウラン相当あるから、ああやって非常にウラニウムの問題について考えておりますけれども、実はヒントンが来ましたときにも、トリウムは七倍の利用価値があるということを言いまして、当時非常な問題になったものであります。ところが、このトリウムというものは、今申した通り、アジアには非常にたくさんあって、日本においてもすでに製練ができる、しかも、われわれの聞いておる範囲では、現在モナザイトが年に四百トン入ってきまして、それをやりますと、酸化トリウムとして二十トンの量ができるということでありますが、現在だけでも相当の量があるわけであります。そういったことでありますから、このトリウムを利用する問題、このトリウムを利用するところの炉の研究の問題を、原子力研究所その他においてもどんどんやらなければいかぬのではないか。私は大体濃縮ウランのタイプというものはあまり大した変化はしないで、そのままトリウムに使える。それから増殖炉というものは、大体トリウムを中心にしてやってきたのではないか。今の濃縮ウランのタイプのものでも、ずいぶんトリウムに使えるのではないかと思いますが、こういった方面のいわゆるトリウムの炉の研究とか、トリウムの製練の研究助成とか、あるいはモナザイトを確保するとか、そういった方面のことが今まで非常に欠けておるように思うのであります。これに対してどういうふうに一つ考えになっておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  74. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 モナザイトの利用は、当然これは積極的に取り上げなくてはならぬと思っております。それから、燃料公社の方にもなおこの注意をいたしたいと思っております。これに関する調査報告も参っております。やはり五・七%くらいの品位のものである、酸化トリウムでそういうものだという報告が参っております。それはもし何でしたら、資料をまたあとから皆さんに差し上げます。
  75. 石川一郎

    石川説明員 実は、トリウムの問題につきましては前から私考えております。それは、考えたのはどういうことかというと、先ほどお話のように、セリウムをとりましたあとのトリウムが、フランスに非常に安く出たということを聞いております。それを何とか日本で保有をしておくわけにはいかないかしらというようなことを考えたのであります。ところが、今の業者は非常に小さい業者が幾つもありますが、むしろこれを一貫産業に大きくしてやっていったら、トリウムもウラニウムも、今までアメリカあたりからもらっている値段くらいに行くのじゃないかしら、これをどうしたらいいかということで、非常に胸を病んでおったところであります。それにはむしろみな買収してしまって、そういうところにいらっしゃる技術者なんかを全部一カ所に集めてやっていったらいいのじゃないかという極論さえ、内々にはあるような状態であります。  それから、なお原鉱石を得ることにつきましていろいろ御注意がございまして、タイの方に行った報告も伺いました。きのう詳しい報告が出たのでありますが、まだそれを見ておりませんけれども、口頭で話を伺いました。しかし、インドは、御承知の通り輸出禁止であります。ブラジルも禁止であります。それで、どこかないかというので、実はセイロンがモナザイトの産地のように伺っておりますので、先般四日の日でしたか、セイロンの独立祭がありまして、ちょうどそこに呼ばれたものでありますから、いろいろ話をして参りました。一時あれを日本でやろうと思ったのが、ほかの国から横やりが二つはかり入りましてまごついたのでありますが、それが手を引いたものですから、日本の方が再びあそこに手をつけられるような状況になるのじゃないか、実際やっていらっしゃる方ともいろいろお話をして帰ったような状況でしたので、決してないがしろにしておるわけではありませんということと、今トリウム、ウラニウムを安くするためには、ああいう小さな零細企業でむだに労力を使っているようなところのものを育成していくのはどうしたらいいかということは、政治上の問題にもなりますので、よろしく皆さんの方でもお考えおきを願いたいと存ずる次第であります。
  76. 前田正男

    前田(正)委員 その問題は、先ほどちょっと私も触れましたけれども、まあこれはなかなか何でございますが、実は、そういうトリウムを一カ所にまとめていくようなうまい方法もあるようでありますし、また製練もできるようでありますから、いずれ石川さんに個人的にこういうことについてお話することといたしますが、大体の方途は見つかったようであります。ただ問題は、そのトリウムを利用する炉の問題です。トリウムを利用する炉の研究というものを、日本がアジアに資源を求める立場上、また日本国内に資源を求める立場上からいってトリウムを利用する炉の研究というものを進めるべきだと私は思いますが、その点についてどうお考えになっておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  77. 石川一郎

    石川説明員 今のところ原研では手が回りかねますが、われわれもそう考えております。特にトリウムが多いものですから、考えております。
  78. 前田正男

    前田(正)委員 これは原研ももちろんのこと、一つ日本に対していろいろと協力しようという海外の製造家の諸君にも、単に濃縮ウランとか天然ウランだけの資料とか見積りを送るだけではなしに、日本はトリウムも利用するから、トリウムの分もよこせといえば、あの連中も研究すると思うのです。日本に売り込みたいという話を相当聞くものですから、日本に売り込むには、トリウムの研究もしろということにしてやらないと、日本は、天然ウラン天然ウランで買ってくれる、濃縮ウラン濃縮ウランとして買ってくれると思うから、トリウムの研究もしないので、こっちがトリウムの問題についても研究をするから資料を出せといえば、向う研究する。大体今の濃縮ウランの炉でも少し設計を変えればトリウムに使えるのじゃないかと思いますので、そういう資料も出させるように、国内の原子力研究所の問題と同時にお考え願いたいと思うのです。  最後に一つ、これは宇田大臣にお聞きしたいと思うのであります。今中しました通り、われわれは、モナザイトとかナトリウムとかいった問題のほかに、アジア方面に参りまして、大きな問題は、実はアジアの原子力会議というものをインドが主催いたしまして、五カ国で開催をいたしたのであります。それに日本が参加しなかったというのか、招待されなかったというのか、そういうことになっておりまして、それではおかしいじゃないかということで話をいたしましたところが、インド、ビルマ、タイ、どこへ行きましても、もちろん日本も入ってもらった広いアジアの原子力会議というものをやるべきじゃないかというふうに考え、みんな快くその点については協力してやっていこうというように、責作者の人たちはみな非常に気持いい話をしてくれたのでありました。そこで、日本は、モナザイトとかそういった問題のほかに、私はきょう時間が参りましたので省略しましたけれども、化学処理の問題作は、皆さん御承知の踊り、欧州においても欧州機構一つでやろうという考えであります。いずれ化学処理の問題も詳細に質問いたしますけれども、これも将来は、どうせアジア方面においてはそうたくさん作るというわけにはいかない、いずれこれは協力態勢のもとにやらなければならぬ問題である、日本の国内はもちろんでありますが、アジア方面においてもどうせ協力態勢でやらなければならぬ問題であると思うのです。燃料とか化学処理とかその他いろいろの教育の問題、情報の交換の問題等、アジア原子力会議というものは、共通の立場を持っておると私は思うのであります。従いまして、これは、ぜひ政府においてお取上げ願って——まあ非公式の問題でありますが、私は個人的の話をしたわけでありますけれども日本からそういう話をしてくれたということについて、アジアの諸君たちも非常に喜んでおったように思うのでありますから、その期待に背かないように、これにはぜひ一つ御協力をお願いしたいと思うのであります。政府として、この問題を取り上げて、アジア原子力会議の問題について各国の意向を打診し、それを推進していこうというお気持があるかどうか、大臣の御所見をお伺いしたいと思うのです。
  79. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 実は、五月にわれわれはアジアの各地域の原子力関係の諸君を日本に招きたいと考えております。その節に、日本とアジア諸国との合同の会議を持ちたいと考えております。そして、その節には、日本とアジア諸国関係だけではなくて、アメリカ日本との原子力合同会議も開催したい、そして、ただいま言われたようなアジアの資源関係に関するアジア諸国との技術的なあるいは政治的、経済的な話し合い、それから日米合同会議によるところの新しい技術に対する検討等も行いたい。特にインドは最近国産炉ができておりますけれども、先般われわれの手元に参った報告によりますと、英国との共同作業によってできた国産炉であるということも聞いておりますから、そういう点等についても自分たちとしては技術的に国をあげて一つ話し合いのときを持ちたい、こういうように考えて、五月を予定いたしております。
  80. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話の点で大体いいのでありますけれども、ただ、アジア原子力会議の問題は、アメリカをも交えてやることも必要でありますけれども、またアジアだけでやらなければならぬ問題も相当あると思います。特に今問題になっていますアジア・センターの利用というような問題については、当然その議題になりまして、これはアメリカの申し出によってやりかけたものでありますから、それに対しては、インド等においてもいろいろ感情的なこだわり等もあって、アジアだけで一ぺん相談してから、そのセンターをどういうふうに利用していくかきめるというような考え方もあるようであります。もちろん、それについては将来アメリカとも相談しなければならぬでしょうけれどもアメリカとアジアとの会議ということに主題を置かないで、アジアはアジアだけに主題を置いて会議を一ぺん開く。しかし、アメリカも来ておるなら、アメリカともまた会議を開くというような考え方にしていただいた方が、私はいいと思うのであります。  ついででありますけれども、これはこの間社会党の方からの質問に、各国へ留学生を出されるということで、それは非常にけっこうでありますけれども、当然インドにおいても原子炉が動いておることでありますし、その他いろいろ今後のこういう問題についても、連絡あるいはお互いに研究調査もあると思いますから、インドヘの留学も考慮されていいのではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでございましょうか。
  81. 宇田耕一

    ○宇田国務大臣 ただいまのお話のように、インドに対しては、もちろんわれわれは技術的な、その他の資源関係等についても関心を深く持っているわけであります。従って、留学生を送るということも一案でございますけれども、現在向うに行っておる者の中にアタッシエを持つべきではないか、こういうふうなことも考えております。いずれそれはよく相談をして、またあらためて御協議申し上げます。
  82. 岡良一

    岡委員 先ほど動力協定、またの名一般協定について、前田委員質問に対して、石川原子力委員会の委員並びに委員長の宇田さんから、一般協定、動力協定はその締結を急ぐべきであろうという御発言があったわけであります。私ども、九日の原子力委員会の緊急の集会においては、この問題をめぐっての御論議の果て、原子力委員会としては、細目協定の改訂ということで外務当局をして折衝せしめるというふうに御決定になったということを、新聞で承わっております。そういたしますと、原子力委員会は、今のお考えでは、あたかも一般協定を急ぐべきであるというふうな御意向があるかのごとき誤解を与えるのでありまするが、重ねて念を押しておきたいのです。九日の緊急原子力委員会の御決定は、細目協定の改訂ということで、濃縮ウランをさらに増量する、あるいはプルトニウムの十グラム、あるいは八〇%の濃縮ウランの新しい追加要求等を、細日協定改訂の線で押すということに御決定になったと承知していいのでございますか。
  83. 石川一郎

    石川説明員 さように、九日でしたか日は忘れましたが、きめました。これは、先ほど申し上げたような理由で、もし間に合わないと困るというふうな理由できめたのでありますが、一般協定も引き続きやって参りたい、研究して参りたい、そうして交渉に出かけたい、こう思っております。
  84. 齋藤憲三

    齋藤委員 資料の要求を申し上げたいと思うのであります。私は今度、時間のあるときに、科学技術庁長官の過日の御所見に対して十五、六項目に分けて御質問を申し上げたいと考えております。それは今後に譲りますが、この御所見を拝見いたしますると、「特許行政機構の実態を調査いたしましたが、」ということだけで、特許の問題には一つも触れておらない。これはお忘れになったんだと思うのですが、いやしくも科学技術の振興に、特許に対する長官の構想が盛られなかったならば、画龍点睛を欠くというようなもので、はなはだこれは残念なことであります。ただしかし、これはいつでも伺えることと思いますので、特許行政の実態を調査した結論がもし出ておったらば、これは資料としてお配りを願いたいと思います。  もう一つは、ただいま岡、前田両先輩からの御質問の中にも、原子力発電に対してきわめて活発な御意見があったのでございまするが、要するに、日本の究極の問題は、日本において原子燃料の物質を把握できるかどうかということで、この点は重大な関心を持っておるのでございます。きょう原子燃料公社及び地質調査所からいろいろの資料の配給があったのでありまするが、この資料を拝見いたしますと、直ちにウラン鉱というものの開発に着手ができるような錯覚にわれわれは陥るのですが、実際を聞いてみると、なかなかそうじゃない。たとえて申しますると、人形峠あたりでは、まだ試掘権の問題がこんがらかっておって、いつ開発ができるかわからないというような情勢にもあるというのですが、私は、念のために、地質調査所に早急に資料の提出をお命じ願いたいと思うのであります。これは予備的にお願いをするのでありますが、鉱業法第三十五条の経済的価値云々という項目によって、地質調査所といたしまして、過去において鉱山局からの依頼を受けて試掘鉱業権の調査をしたことがあるかどうかという資料を、私は要求しておきたい。  それから、もう一つは、今後の委員会には、原子燃料公社の責任者を出席させてもらいたい。大体以上のことをお願いしておきたいと思います。  もう一つは、この委員会の運営でございますが、委員長に特にお願いをしておきたいのは、科学技術庁長官は、経済企画庁長官を兼ねておられますので、きょうも商工委員会に参りますると、どうしても長官を二の委員会に渡すことは相ならぬという大勢で、きょうは向うを三時に切り上げてもらうことにいたしまして御出席を願ったようなわけであります。しかし、科学技術の特別委員会商工委員会は、おおむね委員もダブっておることが多いのであります。それからまた、実際問題といたしましては、これは非常に緊密な関係がございますので、なるべく開催日をダブらないようにして、長官が常にこの委員会に出席をして、その所見、答弁も申し述べられる機会を得られるように、特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。
  85. 菅野和太郎

    菅野委員長 ただいまの齋藤君の委員会運営のことについての御意見は、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。  本日はこの程度にとどめます。次会は明後二十一日、午前十時より開会し、参考人より意見徴収を行います。  これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会