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1957-02-14 第26回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十四日(木曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員    委員長 菅野和太郎君    理事 有田 喜一君 理事 齋藤 憲三君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君    理事 志村 茂治君       小笠 公韶君    小平 久雄君       山口 好一君    岡本 隆一君       田中 武夫君    滝井 義高君       原   茂君  出席国務大臣         国 務 大 臣 宇田 耕一君  出席政府委員         科学技術政務次         官       秋田 大助君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房会計課         長)      杠  文吉君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   佐々木義武君         総理府技官         (科学技術庁調         査普及局長)  三輪 大作君         外務参事官   服部 五郎君  委員外出席者         科学技術庁次長 篠原  登君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術振興対策に関する件(科学技術関係予  算等に関する問題)     —————————————
  2. 菅野和太郎

    菅野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件につきまして、前会に引き続き調査を進めたいと思います。  本日は、まず昭和三十二年度科学技術庁関係予算につきまして、政府当局説明を聴取いたしたいと思います。なお、委員諸君の御質疑は、予算説明聴取のあと、前会の宇田国務大臣所信に対する質疑もあわせ、科学技術行政の全般にわたり行いたいと思いますので、きょう御了承を願います。それでは、原田官房長
  3. 原田久

    原田政府委員 それでは、昭和三十二年度科学技術庁予算案につきまして、御説明申し上げます。  科学技術振興をはかり、国民経済発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進することを当庁の主要任務といたしております点にかんがみ、かつまた昭和三十二年度が当庁発足後第二年目に当り、いよいよ本格的に活動を開始すべき年度であることを思いまして、昭和三十二年度の当庁予算要求は、次に申し述べますごとく、前年度事業強化拡充をはかるのみならず、全く新たなる募集をもこれを積極的に行うことといたしまして、前年度十八億一千七十四万円に比べ、七十二億四千二百十三万四千円と、五十四億三千百三十九万四千円の増額をはかって、当庁業務の飛躍的な発展を期し、大方の要望にこたえようとするものであります。以下その大綱を申し述べます。  まず一、科学技術振興費として一億四千八百三万五千円を計上しました。その内訳は、次の通りであります。  (イ)、科学技術者の渡航。わが国科学技術振興をはかるためには、各省庁関係官海外先進諸国に留学せしめ、その長を学ばしめることが、緊急の要務と信じます。このために千九百二十七万五千円を計上しました。  (ロ)、発明実施化試験助成。優秀な発明考案でありまして、経済的理由から発明を実施化することが困難ないわゆる町の発明家等に対しまして、実施化試験のための費用を補助する必要があります。このため二千三百七十六万円を計上しました。  (ハ)、科学技術試験研究助成。多数部門の協力を要する試験研究及び各種研究に共通する試験研究は、一省庁のみにおいて実行することは困難な場合が多いのであります。このような試験研究の盲点ともいうべきものを当庁において取り上げまして、その総合的効果の発揮を期するために、補助金として二千五百万円を計上し、本年度はとりあえずクロレラ等研究助成することといたしました。  (二)、科学技術情報活動強化。内外における最新科学技術情報の収集、整理及び提供に関する業務強化いたしまして、わが国科学技術水準飛躍的向上を期するため、科学技術情報センター特殊法人として設置しようとするものであります。このため七千万円を計上しました。このほか民間からほぼ同額の出資ないしは寄附金の拠出を期待しております。なお、その発足は七月一日を予定しております。また海外における最新情報を迅速に収集するため、科学技術アタッシェの増強をはかることとし、このため西独ボンに一名技術アタッシェを派遣することといたしました。この経費は外務省から要求することとなっております。  二、原子力平和利用研究の促進。世界各国原子力開発の趨勢に即応し、長期基本計画の線に沿って、昭和三十四年度末までに天然ウラン重水型国産炉を完成することを目標として、立ちおくれたわが国における原子力開発を急速に促進するために、以下申し述べます各種措置を講ずることといたしました。  (イ)、日本原子力研究所研究態勢拡充原子炉については、ウォーター・ボイラー型の運転を開始し、前年度に発注したCP5型の受け入れ準備を進めるとともに、国産炉建設具体化をはかる等、わが国原子力研究中核的機関としての日本原子力研究所研究態勢拡充を期しました。このほか原子炉の設計、計測制御原子炉燃料原子炉材料等の本格的な研究を行わしめることとします。このため四十億七千八百二十三万九千円を計上しました。このほか国庫債務負担行為額十五億四千万円を計上いたしました。  (ロ)原子燃料公社事業の充実。核原料物質開発及び核燃料物質生産並びにこれらの物質の管理を総合的かつ効率的に行い、原子力開発及び利用に寄与するため、前年度に引き続き、有望鉱床地帯の精査を拡大、みずから採鉱を行うほか、国産鉱石の買い上げ、不足分精鉱輸入等を行う一方、選鉱設備の完成とあわせ製練設備の新設をはかり、世界的に入手に制約の多い燃料自給態勢確立に着手することとしました。このため六億五千八十七万二千円を計上しました。このほか国庫債務負担行為額四億三千万円を計上しました。  (ハ)、核燃料物質購入等日本原子力研究所に据え付ける研究用原子炉等に使用される濃縮ウラン等を借り入れまたは斯入する必要がありますので、六千三十二万九千円を計上しました。  (二)、放射線量測定調査放射能調査の一環として、上水、食品、地表並びに宇宙線等調査をそれぞれの専門機関に委託するため、五百四十四万一千円を計上しております。  三、国立試験研究機関及び民間企業における関連技術育成関係行政機関における試験研究は、日本原子力研究所との調整をはかりながら、それぞれの特色に応じた活動を期待することとしまして、民間企業に対しましては、当面その研究必要性にもかかわらず、需要の時期、量等において不安定な分野に対しまして、前年度に引き続き助成密行うこととしました。特に本年度からは動力炉に関する研究等研究の新分野を加え、また従来の研究中間規模に引き上げ、その成果を確認する等の措置を講ずることとしております。以下その概要を申し述べます。  (イ)、原子力技術者海外派遣原子炉築造等に必要な技術者海外先進国へ、派遣し、原子力関係技術者養成訓練を行うことといたしました。大学関係を除き、各省庁分年間三十名を派遣する計画であり、このため五千四十万円を計上しております。  (ロ)、原子力関係試験研究助成原子炉築造のため必要な資材、機械装置製造技術等民間における試験研究助成する必要があり、このため二億三千五百六十万円と、ほかに国庫債務負担行為額一億一千万円を計上しました。また、民間等研究を委託するために、八千一百万円と国庫債務負担行為額、二億円を計上し、原子力に関する技術のなお一そうの発達をはかることといたしました。  (ハ)、国立試験研究機関等試験研究の推進。各省庁に所属する機関原子力に関連する各種試験研究並びに調査をさらに推進し、またアイソトープ利用を促進するため、国立研究機関の活用をはかることといたしました。また放射性物質等製造、販売、使用等の取扱いに所要の規制を加え、これに伴う保安を確保するために、放射線障害防止に関する各種試験研究を行わしめることとしております。これがため、五億三千六百二十四万五千円と、ほかに国庫債務負担行為額二億六千万円を計上しました。なお、後刻申し述べますように、当庁の付属機関として、放射線総合医学研究所を新設することとしたのであります。  四、付属研究所拡充整備。  (イ)、航空技術研究所。これは六カ年計画の第三年目に当るのでありますが、遷音速風洞を初めとする主要施設並びに人員整備をもはかることといたしました。このため、人員も三十五名を増加し、経費も八億六千七百十一万五千円を計上しました。このほか国庫債務負担行為額として十四億八千万円を計上しております。  (ロ)、金属材料技術研究所。本年度は五カ年計画の第二年目に当り、昨年秋目黒にある旧海軍技術研究所施設の一部を転用し、いよいよ本格的に金属材料その他これに類する材料品質改良を行う試験研究を進め、人員並びに、主要施設整備をはかることといたしました。このため人員を四十名増加し、経費も二億一千三百八十九万四千円を計上しております。  (ハ)、放射線総合医学研究所昭和三十一年度厚生省所管試験研究機関において行なっている放射線による障害の予防及び診断治療等に関する研究を受け継ぎ、さらにこれを強化せしめるため、三カ年計画放射線総合医学研究所を当庁の付属機田として設置し、放射線医学及び放射線による障害に関し総合的研究並びにこれに付帯する一業も行わしめることといたしております。その発足は、七月一日を予定しております。これがため、人員四十名、経費一億四千三百五十七万一千円を計上しました。このほか、国庫債務負担行為額四億五千万円を計上しております。  以上のほか、当庁における一般事務経費等を合算して、昭和三十二年の予算要求額は、七十二億四千二百十三万四千円、このほか国庫債務負担行為額四十四億八千万円となります。何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成をいただきたいことをお願いいたします。  なお、別に株式会社科学研究所研究機能強化し、科学技術振興に奇与させるため、本年度は五千万円を増額して、前年、同様、大蔵省所管より政府出資金として一億五千万円を要求いたしておりますので、これまたよろしく御審議をお願いしたいと存じます。
  4. 菅野和太郎

    菅野委員長 以上をもちまして、予算説明は終りました。  次に質疑の通告がありますので、順次これを許します。岡良一君。
  5. 岡良一

    岡委員 一昨日は、宇田科学技術庁長官より、わが国科学技術振興についての御抱負を承わりまして、また引き続きただいまは技術庁の予算について承わりました。本年度科学技術庁発足第二年目に際会をいたしまして、かなり大幅な予算増額を見たことは、わが国科学技術振興のために同慶にたえないのであります。ただ、私どもいささか懸念をいたします点は、このような形でわが国における科学技術振興——長官の言葉をかりれば、技術革新あるいは技術的革命というものがわが国にもたらされているという過程において、わが国国民経済に与える影響がどういうものであるか、またそれに伴ういわばマイナスの面があれば、これをいかにして政府責任において予防し、あるいはまた保護していくか。ここに大きな問題が包蔵されておると思うのであります。  まず第一番に考えられるのは、わが国における特殊な経済構造特徴と申しましょうか、中小企業が非常に過多であるということであります。いま一つは、わが国における雇用関係であります。現在のような雇用の実態において、科学技術振興が果して政府の言う完全雇用の方向に進み得るかいなか、ここにも一つ問題点があろうかと思います。この二点について、私は政府所信を承わりたいと思います。が、特に宇田国務大臣は経企庁の長官をも兼ねておられますので、これらの点については十分専門的につまびらかにしておられると思いますから、忌憚のない率直な御所信を承わりたいと存じます。  まず最初の第一点の、中小企業に与える影響の問題であります。とにかく進んだ国が、新しい技術によって生産された商品やその技術後進国輸出をする、そうして、その利益をおさめる地位にあることはもとよりであります。そこで、後進国といたしましても、世界的な水準から脱落しないためには、まず技術導入しようということに努力をいたします。戦後における、また現段階におけるわが国は、まさしくこのような段階にさしかかっているかのごとき感がいたすのであります。そういう立場から申しまして、わが国が今後特に東南アジア方面における経済的な優位性を確保していこう、しかも、そのためにはどうしても戦争中並びに戦後における技術の立ちおくれを克服していこう、このようなところに現在の科学振興の大きな目的があるのではないかと私は考えるのでありますが、まずこの点についての大臣の所信を承わりたい。
  6. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいま岡さんの申されたことと、私は全然同じであります。
  7. 岡良一

    岡委員 そこで問題は、わが国民経済、特に経済構造においては、中小企業が非常に過多であるという一種の経済構造のひずみを持っておることは、御承知の通りであります。そこでおくれた技術的後進性を克服するために、科学技術というものをどんどん導入していくということで、なるほど国民経済全体としての発展のテンポは進められては参りまするけれども、内部に包蔵されておるズレ、大経営中小企業とのズレ科学技術的な面におけるズレ、ひいては経営そのものにおけるズレというものがいかにして克服されていくか。わが国導入されていく科学技術、それによる進歩、その進歩に伴いながら、中小企業と大経営というものが調和的に、国民経済全体の発展の中に溶け込んでいくというような顧慮が先般の長官の御説明の中にはなかった。この点については、基本的にどういう御所信でございますか。
  8. 宇田耕一

    宇田国務大臣 日本一般産業構造の悩みは、ただいま御指摘になった点と存じます。それで、特に日本産業構造特徴は、中小企業によるところの下請産業が多いというところが特色と思っております。そして、それが資本的にはほとんど恵まれることが薄い、特別な蓄積資本がないというのがまた一つ特徴かと思うのであります。従って、やはり政府の手によって新しい技術導入することも、また古い設備ないし技術革新をはかることもどうしてもやらざるを得ないものと考えております。従って、今回政府が、いろいろの機関を通じて、各分野にわたって科学技術的な配慮をして予算を組んでありますけれども、結局は大企業分野の中に系列化されて入っているものに対して、どういうふうにわれわれはこれをうまく育成、助長していくか、これが一つあります。それと独立採算をもって、形式的には系列外でありますけれども、それをどういうふうにして育成していかなければならぬかという問題もあります。大企業系列化にあって、しかも資本的な関係の深いものにつきましては、比較的中小企業への圧力にささえをする方法はつきやすいと思っております。たとえば金融にいたしましても、大企業金融をもって、その系列化企業を救い得る方法は比較的立ちやすい、が、それ以外の場合は、なかなかこれが容易にいかない場合がありますから、それにつきましては、たとえば通産省においてただいま問題になっております組合化あるいは組織化——単ではうまく回らぬ場合がありますから、中小企業に対しては組合化あるいは組織化というようなことに対する特殊な法律を考えて、そういうふうな中小企業組織の弱体、あるいは単純な企業によるところの、豊富な最新技術導入することができない、あるいは合理化の文金が得がたいということの欠陥も救いたいというふうに考えて配慮いたしております。
  9. 岡良一

    岡委員 御指摘のように、中小企業では資本蓄積が乏しいことは申すまでもありません。そこで、今おっしゃったように、なるほどあらゆる産業分野において、着々大企業中心とする系列化が進められておることも事実であります。しかし、実際問題として、この系列化体系の中に組み入れられるには、やはりその経営の信用というものが第一の大きな条件になっております。ところが、この問題でなかなか系列の中に組み入れられないというような上態をあちこちで聞いておるわけです。特に現在下請の場合においてでも、統計の示すところによると、日本製造工場で、いまだ戦前のものといってもいいような古い生産設備を持っているものが、過半数ではないかときえいわれておるわけです。これに対して、本年度政府予算から見ましても、特にこれらの設備の更改のために必要な資金の供給という点について、具体的にどの程度顧慮が払われておるか。遺憾ながら私は、政府予算書を見ても、この面を特に強調されて、予算的に顧慮が払われておるとは思えないのです。何かそういう具体的な御用意が政府の方にあればお聞かせ願いたいと思います。
  10. 宇田耕一

    宇田国務大臣 具体的な数字はまた別に差し上げることにした方が的確と思いますけれども、たとえば、中小企業に対する金融措置につきましては、既存のそれぞれの金融機関を通じて今回は増額をして、そういう面の配慮をするようになっておるはずであります。また今回の租税軽減所得税ないし事業税等軽減、また地方税の税率の部分的な引き下げもあるので、租税面における負担が軽くなるように、また整理局面では、金融を円滑にするために各金融機関に対する支出をし、それから積極的には、ただいま申しましたような新しい法案を通産省中心として国会に提出することによって中小企業強化をはかる、また貿易面におきましては、なるべく窓口を一本化にすること、たとえば中国等に対しましては、中国に対する輸出入組合を作りまして、それで各別に貿易をいたしますと、たとえば中共のごときはバーターでありますがバーター取引中小企業業者には見返り物資自分でととのえることはなかなか困難ですから、見返り物資をととのえなくてもうまくいけるように、輸出入組合年間総合契約を結んで、中小輸出業者あるいはメーカーが取引をしました場合の相手方の輸出貿易品については、組合全体で調整をはかっていく、そういうようなこともいたしております。官だけで、あるいは政府だけでそれをやるわけではありませんから、ただいま申し上げましたようないろいろな機関を通じて、中小企業育成あるいはこれらがしわよせの犠牲にならないように配慮いたしたいと思っております。
  11. 岡良一

    岡委員 私の知る限りでは、科学技術振興に伴い起り得るところの下請工場のみずからの資本蓄積不足、あるいはまた技術的な知識不足というような条件によって、転換を余儀なくされる、あるいは脱落を余儀なくされるという事態が起ったときに、その中のあるごく小部分が資金の融通にありつくことができるというような顧慮しかないので、いわゆる科学技術振興に伴う予防的な措置として中小企業に対する、しかも下請工場の場合であれば、金融面だとかあるいはその他の面で、予防的にこれを守ろうという措置がきわめて不十分ではないかと思うのです。いずれこれは大蔵省あたりからも御出席宿願って、十分施策を聞かしていただきたいと思います。下請はさることながら、大工場生産商品において競合している工場がありますね、一方ではどんどん新技術導入、新設備導入がなされておるという場合は、競合しているところの工場というものは、いわゆる弱肉強食のルールで自然に脱落せざるを得ない、こういうような事態も十分あり得るわけであります。こういう点についての施策はお考えでございましょうか。
  12. 宇田耕一

    宇田国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり資金の面において、なるべく中小企業に関する特殊金融機関を積極的に活用して資金面から起るそういう脱落の原因を防ぐようにしたいということと一緒に、技術的方面におきましては、できるだけ個々の面について、業種別自分たち技術宣伝普及をしていきたいということと、もう一つは、やっぱり何と申しましてもそういうグループを組織化していくこと、その組織化のために必要な立法措置をとっていかなければならない。同種業者協同組合を作ること、その他の組織体系を与えることによって、大企業と対抗のできるような信用度を高めるように、それに対して技術もまとめて導入できるように配慮いたしたい、そういうつもりでおります。
  13. 岡良一

    岡委員 私が申し上げたのは、同一銘柄を作っておるところの経営でございます。その場合、一方の大経営では、技術革新の名のもとに、新設備、新技術導入されるということになれば、これは当然一方は市場から締め出されざるを得ないと思うのです。そういう事態が今後かなり高い頻度をもって起り得るのではないか。これに対する政府顧慮というものが具体的に出ておらない。現にそういうことも顧慮いたしまして、社会党も本日衆議院の方へ中小企業組織法を提案いたしましたので、ぜひ一つ政府与党の方も御賛成を願って、こういう面における御協力をいただきたいと思います。  もう一つ、私は、中小企業であるということから、実際に生産の面に大きな較差が出てきておるということを指摘したのです。英国や米国等における大経営中小経営における労働生産性較差は、私どもが多少調べたところでは、大体一〇%程度といわれておるのです。ところが、わが国では、たとえば千人以上の巨大な経費における労働生産性と、五十人以下の零細規模経営における労働生産性とは、後者が前者に対して約三九%、これは東大の経済学部から提供された数字なんですが、最近の数字としてこういう数字が出ておるのです。現に大経営中小経営の問には、労働生産性の上に非常に大きな較差があるということですね。資本に悩んでおる、資金に乏しい、技術的な知識に乏しい工場があるというそのことが、労働生産性の上にこのように、一方を百とすれば三九%というふうな大きな較差がある。そこへ技術振興というものが大経営に投入されるということになれば、労働生産性という観点かち見て、そこには日の当る場所と日陰の場所というものが非常に大きく出てくると思う。夜と昼というような形になってくる。そこで労働生産性というものを、経営者の理解の問題じゃなくて、わが国全体の労働生産性を高めるという観点から見て、こういう事態に対してはどういう顧慮が払われておるかということです。
  14. 宇田耕一

    宇田国務大臣 お答えいたします。やっぱり何と申しましても千人以上の工場と五十人以下の工場と申しますと、日本の現状から申すと、特に科学技術的な面におきましては、科学技術導入するに必要ないろいろな対策を講ずる上に、たとえば経営者経験不足というふうなこと、あるいは経営者が最近の世界的な技術的な情報を大企業に比べて早く獲得するということが困難なような日本社会情勢になっておりますから、そういう意味で、同種系統業者が少くとも共同研究所密持ち得るように、われわれは特別に配慮しなければならぬと考えております。そうして大企業者技術を先に独占をするということのないように、たとえば特許にいたしましても、ロイアリテイを高く払うというようなことの起らない前に、やはり国家で配慮をして、特殊特許については政府責任において買い上げて、これをただいまお話になりました非常な較差のはげしい方面に対しては、特別に早く無料でこれが渡せるようなことにすべきだと思っております。そういうことについての予算は、実は請求をいたしましたけれども、なかなかまだ了解が得られない。やっとこさ頭が少し出てきたかなというところでございます。そのほかに、ことしは情報センターも作りまして民間から七千万円、政府から七千万円、一億四千万円出しまして、外国の情報をすみやかに科学技術庁情報収集機関で集めまして、ただいまお示しになったような方面組織的に——団体や研究機関整備せしめて、すみやかにこれを流すようなことにいたしたい、こういうようなことに考えております。
  15. 岡良一

    岡委員 そうすると、その点なんですが、実はこの予算を見てもそういう点の顧慮がありません。従って、私どもは、前国会等では、御抱負の一端としてはそういう点について十分配慮をするというお考えをお聞きしておりましたが、その施策も実現されておらないということでは、少くとも現在の段階では、中小経営が今申し上げましたようなことで、その較差をますます大きく広げられるという結果、全く日の当らない場所に追い込まれるということは、彼らが技術導入に対する勘がなかったんだとか、あるいは資本蓄積が乏しかったんだという、そういう理由のために、結局は犠牲になってしまうという傾向に、現在の予算施策の中では、ならないというような保障がちっともないということです。これは私は一つ問題点だと思うのです。  その次に、今度は雇用の問題で若干お尋ねをいたしたいと思うのですが、百私が調べた数字では、こういう数字が出ておるわけです。昭和二十六年から昭和三十年に至る十四才以上の人口、いわゆる生産年令人口でございますが、この生産年令人口の年次別の増加は百十九万人である。同じ期間における就業者の年間の増加は、百三十一万人ということになっておるわけです。生産年令人口が百十九万人ふえておる、しかも年間就業者が百三十一万人であるということでありますから、これは完全雇用どころか、この数字だけを見れば、超完全雇用ともいえるかもしれません。ただし、問題は雇用の実態なんです。雇用の実態に私は問題があろうと思うわけであります。そこで、この雇用の実態について、たとえば労働時間というふうなものを見ますると、労働時間は大体適当な労働時間と思われる一週三十五時間から四十八時間の労働時間争働いておるケースが、三十年の上半期では七百七十万人です。三十一年の上半期においては七百九十四万人、結局二十四万人の増になっております。ところが、労働基準法からみれば、きわめて遺憾とも申すべき四十九時間以上あるいは六十時間以上、このような労働時間、それぞれ一週四十九時間から五十九時間働いておる労働者が、三十年の上半期には五百六十六万、三十一年の上半期には六百五十七万、六十時間以上という考えられないような長い就労時間を働いておる者が一五百九十万人、これは三十年の上半期で、三十一年の上半期には六百五十九万人ということです。でありまするから、結局四十八時間以上の非常に長時間労働者というものの比率が、三十年と三十一年と比べても非常に大きなふえ方をいたしておるわけです。その割合に正常な三十五時間から四十八時間までの労働時間を就労しておる従業員というものはあまりふえておらない、多少はふえております。ここにもうすでに御存じの通り昭和二十七年、二十八年といえば、日本資本家をあげて設備投資に狂許したときですよ。二十九年もそうです。設備投資に狂奔しながら、出てきた雇用の実態や労働時間について見ると、このような四十八時間から三十五時間という適当なる労働時間を就労しておる労働矛が、八百万人、ところが四十九時間以上というような就労者が千三百万人というふうに、ここにもう長時間労働、労働の強化というもの、が数字で示されておる。これは労働者の資料で示されておるわけですね。私はこういうような状態の中で、技術振興というものがいよいよ登場して、これが大経営というものによって採用されてくるということになってくると、この技術振興というものが、国民経済全体のために貢献するというよりも、大経営本位、資本の独占化という方向に導かれる、今申し上げましたような数字の事実から見ても、少くとも日本の国全体の労働者の犠牲において、労働の強化の上にこの推進をされるということになるという見通しに立たさるを得ないわけです。この点についての大臣の御所見を伺いたい。
  16. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいまいろいろの数字を通じて日本の実情を申されたんですが、私はやはり、原因は経済規模、の異常な拡大、ただいま仰せられた経済規模が非常にアンバランスに拡大し、てきたことに伴う新しい現象、だと考えます。ただ技術導入された場合に、二つの傾向があると思っておるのです。たとえば、オートメーション化などによって新しい失業者を作る場面が、生まれるということもあります。しかしオートーメション化によってその工業独自の伸びと拡大があって、新しいコストの引き下げによる労働力の吸収条件も生まれると思っております。もう一つは、技術導入しなければならぬという非常に重要な点は、何といっても最近の国際貿易における商品の質的変化、同じ繊維で申し上げましても、たとえば最近北京と上海で見本市をやってみた結果だけを見ても、綿紡績よりも化学繊維関係の織物、が非常に向うで受ける。これは非常にさばけ方がよかった、従って、それに対する中国からの新しい注文がきておるというようなわけです。それにつきましては、あらゆる科学的な技術密そこに加えて、貿易の質的内容を相手方の希望に合わすということでありまして、それは新しい労働力の吸収の場であると考えます。しかし、従来の綿紡績については、もっと転換計画は考えなければならぬ、それによって中小の織物業者その他が犠牲にならないようにしなければならない、そういうようなことは考えますけれども、技術、が非常に進むことによって労働吸収が弱まる場合もありますけれども、オートメーション化によって、吸収力は、コストが低下したためによくなる面がある。また貿易等の質的内容の変化に伴って、どうしても技術革新——革新と言ってはおかしいのですけれども、技術的な新しい面を早く吹き込んでいかなければならない、そういう面については、科学技術振興は必須欠くべからざる雇用量の増大の条件、だと考えます。
  17. 岡良一

    岡委員 いや、私が申し上げておるのは、ただいま申しましたように、昭和二十七、二十八、二十九といわゆる神武景気を形作っておる基礎条件である設備投資に、年間二千六百億からの金が投ぜられておるという状況です。その中において、事実上、労働条件というものはますます強化されておると言うことなんです。そこで、大臣の御答弁によると、やはり中小企業というものがある、この特殊性によってそういう事態が起るのであると言われましたが、しかし、これは中小企業責任あるいは犠牲であるという考え方はとらないのです。政府とすればどういう実態に対する予防的な手を打ちながら、科学技術を進めるということでなければならぬ。なるほど貿易方面において質的な転換というものが要請されておる、これはよく承知をしております。しかし、こういう長時間の労働の上で質的な転換をはかっていくということになれば、これはハンガー・エキスポート以外の何ものでもない。われわれがガットに加盟することにあれだけのトラブルを起したのは、日本がハンガー・エキスポートをやっておるということなんです。そうしてみれば、実質的に、日本はやはり国内においてそういう条件を払拭しなければ、真の日本貿易振興というものはあり得ないと思うのです。ところが、こういう事実が数字の上に明らかに出てきておるわけなんです。なお賃金の問題もそうです。賃金を、所得階層的に就業の実態を見ますと、全産業のに用についての所得でございますが、二十九年三月は、月収四千円以下の者が九十万人です。三十年三月には百四万、三十一年の三月には百二十一万です。四千円から八千円までの者が二十九年同月には四百六万、三十年三月には四百二十三万、三十一年の三月には四百九十五万、当時二十九年の平均の月収は一万二千円です。三十年は一万二千七百円、三十一年三月が一万二千九百円と上昇しておる。それらの上昇傾向にもかかわらず、月収八千円未満の労働者が、昭和二十九年には締めて七百七十九万、三十年には七百九十一万、さていよいよ設備投資等が運転をし出したところの三十一年には九百二十九万、躍進的な増加を示しておる。ここにもいわゆる技術導入ということ、それによる設備改善とかいうものが、いわゆる古い時代の産業合理化という形とっているということが、労働者の所得の数字の上に私は出ておると思うのです。これは東大の有沢氏の統計ですが、こう出ておるのです。こういうふうに、賃金の面においても、日本の全労働者はやはり大きな低賃金という犠牲の上に、現在のままでいけば、結局技術革新とか、科学技術というものが推進されるということになってくる。これは日本国民経済全体のためにプラスになるものではない。むしろ日本資本の独占に貢献する以外の何ものでもないという結論を私は出さざるを得ない。こういうことであっては、せっかくの政府科学技術振興の意図というものは、およそ全国民が待望するものとは違ってくる。こういう賃金の問題等について、大臣としてどういう御所見を持っておられるか。
  18. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいまおっしゃられたことは、数字にはそういう傾向をとっておることは、確かにそうだと思います。それで、どうしても賃金の基本的な条件をよくするためには、特に中小企業関係の労働に従事する考については、特別な問題点だと思っております。それはやはり三十年から三十一年にかけての日本製造工業関係の伸び、これが三十一年の統計を見てみますると、前年度に比べて三八八というふうな数字を示しておりまして、生産の伸びの約三倍ということ、それによって、従来は熟練工でうまく経営しておったものが、とてもそれでは間に合わなくなって、臨時に新規なものを雇用しておる、それは労働の移動状況の数字を見ておりますと、そういう傾向が現われております。そういう場合に、平均賃金をどうしても熟練程度に応じて下げて、そうして熟練度の増すに従ってそれを調節していくという傾向にあるというふうに思っております。従って、ただいま御指摘がありましたように、八千円以下の低賃金と思われる方面の労働条件、特に中小企業においては、ただいまの御指摘の点が多いと私は思っております。
  19. 岡良一

    岡委員 大臣のお説を裏書きするような資料を労働省から出しておりますが、たとえば、設備の近代化が最も著しく進んでおる業態として、鉄鋼、造船、化繊、電気などが典型的なものとし得ると思うのです。鉄鋼の場合は、一九五四年の平均が、生産指数で一一六です。ところが、一九五六年は、これはことしのことでもありまするので、生産指数は年平均、雇用指数は九月でありますが、鉄鋼の生産指数は、一九五四年が一一六、五五年が一五一、五六年が一八六です。これに対する労働者の伸びは、一九五四年が一一〇です。五五年が一〇七とむしろ減っておる。そして一九五六年にはわずかに一一二、生産の伸びは、一一六から一八六とやがて五〇%以上ふえているのだが、雇用は一一〇が一一二です。これは一九五一年の平均を一〇〇にしたものです。あるいは造船を見ても同様です。造船は、一九五四年の生産指数が一一二です。一九五六年には三四六と倍以上に伸びています。ところが、雇用は一九五四年が一〇九、五六年は一一三です。わずか四%しか伸びておりません。生産指数は倍以上に伸びております。あるいは化繊を見てもそうです。化繊の生産指数は一九二、それが一九五六年には二五九です。これももうやがて五割近い伸びです。ところが一体労働者はどれだけふえているか、一九五四年には一一〇、五六年には一一六で、ほとんど見る影もない動きです。電力について見てもそうです。電力は、一九五四年の平均の生産指数が一二一、それが一九五六年には一四三、これに対する雇用の伸びは一九五四年には一一〇、それが一九五六年には一一一です。一%しか伸びておりません。それはおっしゃるように、臨時工だとかいうような形における雇用の増大はあるかもしれません。しかし、臨時工というような雇用の実態は、それこそさっき申し上げた長時間労働であり、低賃金労働である。重要産業における臨時工の賃金というものを本工と比較した資料を私は持っておりますが、ほとんど半分以下です。こういう形で生産年令人口はふえてくる。ふえてくるが、新しい巨大な設備投資をやり、設備が改善をされ、新しい技術導入されながら、そのような巨大産業の中では、ちっとも雇用の伸びはありません。そして、なだれを打ったようにしてどこへ行っているかというと、それは中小企業です。そこにはみずからの自発的な意思ではないが、働かざるを得ない労働人口が四十九時間以上というような過酷な労働に従っている。あるいは八千円以下というような、人に値しない給料を求めていっておるという、ここに現在の雇用の実態があるんじゃないでしょうか。このような巨大産業中小企業というものの較差がある。しかもこの数字を見ると、巨大産業は決して現在政府完全雇用協力しておりません。しかもこれらの巨大産業は、どんどん新しい設備技術導入しておる。こういうような大きな断層的な日本経済構造の中で、科学技術振興ということは、いよいよますます巨大産業の独占化をいざなっていく、ここに私は問題があると思うのですが、いかがですか。大臣の御所見を一つ
  20. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいま御指摘にたりました鉄鋼、造船、化繊、電力、お説の通りと思います。ただ、鉄鋼で申し上げましても、御承知のように、この二年間非常なオートマティカルな機械が入っていって、溶鉱炉といわず立炉といわず電気炉といわず、おそらく人間の手を経ずして第一次製品が仕上っておると思います。ただ第一次製品がコストが非常に安くなった関係で、実をいうと、中小企業の諸君は第二次製品以下の加工にことごとく参加いたしております。従って、日本の鉄鋼生産体系から見ますと、第一次製品に非常なオートメーションが行われたから、従って中小企業に、それの締め出しが第二次産業以下に入ってくるということには私は考えておりません。第一次産業の能率が非常に上るためには、オートマテイカルなものを持ってこなければ、世界的な技術についていけないような条件がある、しかしできましたところの銑鉄あるいはシートバー、ビレット等のいろいろの商品が第二次産業以下に入っていきます場合に、どういうふうにこれがう古く入っておるのか、また中小企業に対してコスト安の品物がどれほど入っておるかということが、新しい雇用量の増大に非常に役に立っておる。従って、量的に申しますと二八八とかただいま仰せのような、一八六というような伸びを持っておりますけれども、一八六の伸びは、第一次産業の喜ぶべき伸びであって、第二次産業がこれによってどのくらい培養されておるか、それに第二次産業、第三次産業中小企業雇用が、いかにそれによってピラミッド型に大きくなっていくかということを、私は考えた方がいいじゃないかと思います。それから、化繊でもそうでございます。化繊についても釈迦に説法ですが、あなたの国の方面でも、特にわれわれはいろいろの意見を聞かしてもらうのですけれども大メーカーの化繊が非常にオートマテイカルにたくさんの量ができたりして、日本の化繊が特に東南アジア市場に非常な伸びを示したために、化繊の系列下にある第二次、第三次産業の仕事が大きくなって、それに吸収していく未経験労働者がかなり多くなっておる。ただ、そのときに、残念なことには熟練工の数が非常に少い、従って、熟練工の数が少いものですから、過渡期のやむを得ざる飛躍、伸び、拡大に伴う未熟練工を、特に中小企業では安く使うという、そういうふうな組合あるいは組織の弱体なことによって起る非常な断層があると思います。それはあなたのおっしやゃる通りと思います。
  21. 岡良一

    岡委員 大臣は、よく熟練工ということをおっしゃいますが、しかし、なるほど熟練というものはこれは大切なものではありますが、技術革新という、今日のいわゆる第三次産業局面とかなんとか経済学者は言っているようですが、この段階では、技術の熟練性というものに対しての評価を相当変えなければいけないと思うのです。鉄鋼業にストリップ・ミルが入ってくれば、昔の圧延工はみなお手上げですよ。そういうふうに急テンポで変わってきつつあり、労務管理というものは根本内に出直きなければならぬような状態になってきているわけですから、技術の熟練ということだけでは——熟練がいまだしというような考え方では、この問題の解決はなかなかつかないと私は思います。  もう一つ、今、大臣がおっしゃいましたけれども、こういうものはまあ第二次産業ですね。そこでサービス業等を中心とする第三次産業の方に第二次産業が伸びれば入ってくるだろう。第三次のサービスを中心とする方面雇用が増大するためには、国内市場というものが何としても豊かでなければいけないでしょう。決定的な要素としては、国内市場が安一定をし、向上をしなければ、第三次産業の伸びというものは、私は十分望めないと思うのです。ところが、国内市場は、さっき申しましたように、八千円以下というような低賃金労働者というものがどんどんふえておる。これはやはり最低賃金制を実施するとか、社会保障を充実するとか、もっと国内市場を豊かにする政策というものの裏づけがなくて、ただ第三次産業に行けるといっても、小売業など最近の統計を見ると、私ここに数字を持っておりませんが、すでに伸び悩んでおる。そういうわけで、国内市場での日本の国民のふところがきびしいために、国内市場が伸び悩めば、第三次産業は入ろうとしても入れない。第三次産業も入れないから、第二次のところで、今申しましたような長時間、低賃金労働のところへぐっと入ってくるという実態なんです。こういう実態を十分に分析をし、究明をきれた対策というものが、科学技術振興の裏づけとして出てこないということになると、私どもは、政府科学技術振興に無条件賛成しがたい。特に経済企画庁長官として、あなたは総合的に国の経済計画を立案される責任者なんです。こういう点をやはりもっと掘り下げて、実態を究明して、国民経済の伸びるその富というものは全部国民に還元されるという、こういう方針の上に科学技術振興というものをその一環として取り上げていく、その一環として推進をするということがやはりなくてはならないと私は思うのです。  科学技術の問題はその程度にいたしまして、原子力の方に移ります。実は、原子力の問題は、私もその後非常に不勉強なのでよく意見が整理されておらないのでございますが、どなたか御発言になったら私やめますが——それでは、しばらく時間をおかりいたします。  私は、前の正力国務大臣のときにもしばしば原子力発電で私の率直な意見を申し述べたわけなんですが、今日、日本原子力の平和利用も、いわゆる原子力発電というものが一番花形となって登場いたしておるわけであります。そこで、原子力発電であろうがあるいはアイソトープの利用であろうが、原子力の平和利用ということになれば、当然一昨年の末、国会を通過した原子力基本法というものが根本にならなければならないと私は思うわけです。この点について、基本法を根拠にして原子力の平和利用を推進し普及するには、これは具体的にいかなるものであるべきかということについて、一つ大臣の御所信を承わりたい。
  22. 宇田耕一

    宇田国務大臣 原子力の基本法は、何といっても原子力の平和利用ということで全体を貫くそして、それが日本の全大衆の生活の向上に寄与する。そして、要するに平和のために利用する場合の基本原則は、やはり民主的にこれが運営されるべきものである、そういう点と思っております。
  23. 岡良一

    岡委員 とにかくあのときにも基本法を通じて私どももいろいろ論戦をしたわけでありますが、結局、原子力合同委員なるわれわれの同僚の方々の非な御努力を願って、平和利用という大きな旗じるしを掲げた。その目標に向う道は、とにかく三つのルールがある。一つ研究その他の自由である。一つはそれらの内容の公開性である。いま一つはあくまでも民主的に進めないといかぬ。さらに私はつけ加えれば、やはり独立国日本としての権威にかけた進め方をしていただきたいと私は強く要求したいと思うのであります。そこで、先般三百万キロワットというお話がありました。それはそうといたしまして、今、御存じのように、英国からも手紙がきておるらしいし、アメリカからも使いがきておるらしい。いわば、英国もアメリカも日本を市場として、いわゆるセールスマンが盛んに往来をしておる、あるいはセールスマンらしきともいうべき動きがあるわけです。こういう状況の中で、いわばすでに進んだ先遣国である英国なりアメリカは、原子力産業というものを自国の貿易商品として、日本において競合しておるというのが私は実情ではないかと思われるのでありますがこの点、大臣の御所見はどうでしょうか。
  24. 宇田耕一

    宇田国務大臣 お説の通りと思います。
  25. 岡良一

    岡委員 そこで、そういう売り込みの中で、日本原子力発電に着手をするという場合に、この売り込みのいわば好もしき条件のまにまに幻惑をされて、その結果、あるいは先ほど申しました基本法のルールというものから逸脱したような原子力発電の進め方をするということになれば、私は悔いを千載に残すことになると思うのでございます。この点について、原子力の基本計画の内容を読んでみましても、非常に不分明なのです。一体、動力炉を輸入するのはいつごろなのか、それはいかなる手順を経て輸入をするのかということですね。これは専門の佐々木局長もおられますが、内定ではありますが、あれだけを読みまして、非常に年次的に不分明なのですけれども、はっきりきまった段取りがあったら、一つそれをお聞かせを願いたいと思います。
  26. 宇田耕一

    宇田国務大臣 動力炉の輸入につきましては、皆さんの御了解を得て、予算を組んでおりますものは、ウォーター・ボイラー型、これはただいま御承知の通り東海村に設置中でありまして、最近完成の見込みであります。それから、そのほかにCP5型につきましても、この年末から来年にかけて、これも同じく東海村へ設置する、そして購買は終っておる、こういうことであります。なおそのほかに、もう一つはスイミング・ プール型が関西に置かれる。この三つはすでに皆さんから御了解を得ておるものであります。そのほかに、最近問題になっておりますのは、発電用の動力炉をどういうふうにするかという問題であります。これは、ただいまお手元に差し上げてありますところの発電用の動力炉については、ミッションの報告があります。そのミッションの報告に従って委員会で検討中であります。
  27. 岡良一

    岡委員 私がお尋ねしたのは、ウォーター・ボイラ型が入るし、スイミング・プール型、CP5型が入るということと、それから天然ウラン・石墨による国産ということはよく承知している。また終局の動力炉としては、いわゆる増殖炉に持っていくということの目標も承知しておるのですが、この基本計画を見まして、動力炉を輸入するということは書いてあるわけです。そこで、実験炉を入れる、あるいは実験用動力炉を入れる、そうして動力炉を入れるという段取りがはっきりしてないのです。この計画を見ると、どうも私ははっきりつかめないのでございますが、これはどういう順序でこれを進められるのでございますか、年次計画的に一応御説明を願いたい。
  28. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 長期計画関係する問題でございますが、動力炉の輸入をする際に、ただいままでの委員会等で内定いたしました線は、三十四年の末までに国産炉第一号炉を完成いたしまして、今まで使いました関連産業技術をもってまず第一期と申しますか、国産技術の確立というもののピリオドを打つというのが、一つの根本的な考えであります。それに引き続きまして、輸入動力炉を、これは商業炉と考えるべきか、あるいは動力用実験炉と考えるべきかいろいろ問題があろうかと思いますが、私どものただいままでの考えでは、一応動力実験用原子炉というふうに考えた方が妥当じゃなかろうかというふうに考えております。これを今からかりに注文するといたしましても、四、五年先ということになりますので、ちょうど国産炉ができましたのに引き続いて輸入動力炉が完成していく。そうなりますと、その間にいろいろ技術的な交換等もやりまして、国内技術が、輸入動力炉中心にしてもう一歩飛躍的に進んでいく。その暁には、できますれば、動力用国産炉の段階にできるだけすみやかに進めていきたい。そういう段階になれば、国でやらぬでも、商業ぺースでできていくわけですから、どこでやるということはもちろんそのときにならなければわかりませんが、それぞれの分野開発を進めていってもいいんじゃなかろうか。ただ、肝心の増殖炉等は、どうしても民間の手などでは無理があろうと思われますので、そういう増殖炉等の研究は、引き続いて研究所でもって問題を進めていく。そしておおむね一五年くらい後を目標にして、増殖炉などの最終的な、最も理想的な型の動力用商業炉と申しますか、そういったようなものを完成いたしたいというのが、基本的な今までの構想でございます。 ただ最近になりまして、非常にエネルギー資源が窮迫を告げて参りましたので、従来の基本線を一応守りながら、最近の情勢をどういうふうにこれを調和さしていくかという点で、せっかく検討中でございます。
  29. 岡良一

    岡委員 そうすると、大体現在の方針あるいは計画では、実験用の動力炉を入れたいというところでございますか。
  30. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 ただいままでの考えは、先ほど申した通りでありますが、ただ英国あるいは米国等のミッションの報告によりますと、五年後にはおそらく新鋭火力に比しても、同等あるいはそれよりも安くなるのではなかろうかというふうな見通しも強くなって参りましたので、あるいはそのもの自体がコマーシャル・ペースに乗るという性格のものになるかもしれませんけれども、しかし、私どもの考え方といたしましては、かりに商業べースに合うといたしましても、まだ技術的な不安あるいは燃料の処理等、いろいろ技術的な問題、特に地震対策等に関して問題が残っておると思いますので、そういう点を、できますならば研究所で民間と一緒になって開発をして、もうこれで大丈夫だというときになってから、本来の意味の商業炉というものの建設に入っていきたいというふうな考え方をいたしております。
  31. 岡良一

    岡委員 アメリカのいわゆるヤンキー・タイプというのでしょうか、聞きますと、やっとせんだって発注をしたばかりだ、だからベースに乗るか乗らないかは四年後でなければわからない。この秋、実験炉が回転をする。それから英国についても、先般のコールダーホール型では、プラトニウムの生産を兼ねておるという関係から、コストのバランス・シートはとっておるが、改良型というものについては、この間発注をしたばかりで、これもやはりできて運転をしなければわからないというところですね。そこで、当然おっしやる通り日本としてもベースに乗るか乗らないかという問題になれば、実験動力炉でも輸入する。一方、原子炉研究炉を幾つかこしらえながら、日本の学者の知恵を集中して七日本としても同民の大へんなお金を使うことだから十分見きわめる、向うの実積も見きわめ、こちらの方でも十分に検討を経た上で、いよいよ動力炉の輸入という問題が具体化するのである、こういうふうに理解していいのですか。
  32. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 その通りだと思います。
  33. 岡良一

    岡委員 それから、これは国務大臣にお尋ねしたいのですが、今、原子力局長が、日本のエネルギーの需給状態が非常な逼迫をしておるとおっしやいました。私ども詳しい数字を知らないのでございますが、どういうような程度に、今後五年後には、どうしても一千万キロワットの三分の一の三百万キロワットは原子力発電にまたなければならないというその数字と、今後の具体的なものをお示し願いたい。
  34. 宇田耕一

    宇田国務大臣 経済自立六カ年計画といいますか、昭和三十年から三十五年までの計画があります。あれは、最近二年間の経済の、特に鉱工業部門の伸びが激しかったので、中には六カ年計画数字にもうすでに到達したのができましたから、あの数字は改訂をしようということになっております。それで、三十五年までの間の計画数字の中におきまして、国民の現在の伸び方からいいますと、どうしても八百四十万キロが新しく増加するべき電力量である、こういうことになっております。それは昨年十二月に改訂をして発表いたしました。その中で、まだ継続建設中でありますから、的確なことは申し上げにくいのがたくさんありますけれども、その中で、約六〇%は御承知の火力であります。火力の設備心するには、今日も新聞等に発表いたしておりますけれども、最新型の機械をアメリカから買う。そして、それに必要な金はインパクト・ローンでまかなう。そして金利は大体において五%というのがただいまアメリカから入れておりますところの発電設備の輸入の実際の金繰りの方法で、アメリカの輸出入銀行中心にして、五%のインパクト・ローンを使おうということの私は報告を受けております。従って、火力発電書をここに建設していく場合に、たとえば九州電力が昨今許可をもらったのは、アメリカから資金融通を受けて、そして金利は五分と聞いております。そういう金を使って日本の発電設備を今整備中である。それが、三十二年度におきましては、御承知のように二千八百億、三十三年度は二千九百五十億、こういう資金計画になっております。そして、民間九電力に対する財政投融資は、たしか二百五十億という大蔵省の数字が出ておると思います。そうして、それ以外の数字は、四百四十億じゃなかったかと思いますが、そういうような財政関係の投資を考慮いたしております。それは、本年度三十二年度であります。そして、それに必要な石炭あるいは重油は、日本の現状から見て、石炭にしても三カ月ばかりのものはいつでも準備できるような態勢にならなければならぬ、先日の渇水から見て、特にそういうふうに思います。そういたしますと、ただいまの五カ年計画の中における数字だけを見てみても——数字はあとからごらん願ったらけっこうと思いますが、石炭といわず重油といわず、これは当然新たにどこかから手当をしなければならぬ。相当まとまった数量が必要であります。そして、それに必要なタンカーを当然作らなければならぬ。それに見合うところの港湾改築をやらなければならぬ、港湾改築と一緒に、石炭ならストック場が要るし、タンカーで入ってきたものは、大きなタンカーが来ますから、陸上の肝油設備、精製設備等いろいろの付属した投資が必要になることは当然であります。そういうものをあわせて考えてみますると、日本の新しいエネルギー事情というものは、非常に複雑な、わが国民に対する負担をもたらしてくる、こういうふうに思います。アメリカその他の国が——特にアメリカがそうですが、原子力発電ということに対して、はなはだ関心が薄いのではないか、こういうことを普通言われます。それは、アメリカのように油がふんだんに吹き出しているようなところでは、原子力発電をしなければならぬ条件は私はなかなか生まれないと思うのです。日本とかイタリアのように、炭はない、石油は速いところからタンカーで持ってこなければならぬという特殊な国情の中におって、日本にその燃料を持ってくるということを考えました場合には、国民経済の立場からいうと、どうしても速急に原子力発電に移りたいものであるという希望は、どなたもそうだと思います。それで、ただいま申し上げました八百四十万キロの、われわれの伸びを希望しているものの中で、火力が少くとも六割くらいはある。それで、アメリカその他から現在外貨で機械を買ってきている。発電の機械を外貨でアメリカから買ってくるなら、むしろ英米等から新しい発電機械を買って同じように借金をして外国から機械を買うなら、少くとも燃料に対する輸送の手当だけは要らない設備の方がいいのではないか。それに対して君はどれくらい希望するのかと言われたので、それは事情、環境が許すならば、日本がのどから手の出るほどほしいと思うのは、少くとも三百万キロ程度のものの対策を講じたい、そう申し上げたわけであります。
  35. 岡良一

    岡委員 いずれまた電力の需給関係等は、貸料をいただきたいと思います。そこで、さっき大臣は、今度ウォーター・ボイラー型を入れる、引き続いてCP5型を入れる、関西にスイミング・プール型を入れると言われました。あれは、原子力委員会でもそういうふうに決定をされたのですか。
  36. 宇田耕一

    宇田国務大臣 これは私の着任する前にそれぞれの委員会ができておりまして、その委員会に委員長以下の組織ができております。そして、そこでいろいろの候補地についての検討をしてその検討した報告は、湯川博士が委員長でありますけれども、その委員長の手元に届いて、委員長はそれに基いて決定をするようになっております。しかし、それを最後にどこに決定するかということの決は、まだ全然とっておりませんし、そのことは、まだわれわれの原子力委員会の議題にはなっておりません。
  37. 岡良一

    岡委員 そこで初めに戻りまして、佐々木さんの御方針を承われば、結局実験動力炉を入れるというのが、まず動力に関する手初めの仕事であるということでございます。ところが、御存じのように、私から言うまでもなく、さて五年後に発電をしなければならないてどの程度——何ミルになるかということはわからないが、発注しなければならないという事情も私聞いておるのですが、そこに現在非常に大きな食い違いがあるのではないかと思うのです。原子力委員会なり原子力行政部門の中に食い違いがあるのではないでしょうか。一方では実験動力炉を入れる、そのほかにいくつかの形式の実験炉を入れる、そして、発電に関しても価格なり、原料の入手の方法なりその確信なり、あらゆる条件のめどをつけなければならない。いろいろ営業用の動力炉を入れることに着手する。それか説明からいけばとにかく急がなければならない。日本のエネルギーは切迫しておるということ。原子力開発という総合的な科学の分野はみっちりとした方針というものはないのでありますか。
  38. 宇田耕一

    宇田国務大臣 それは、はっきりしたことを申し上げることはできない事情にあります。それはどういうことかといいますと、率直に申して、イギリスのコールダーホール型に対してまだ疑問点が残っておるということでありましてそれが、御承知と思いますけれども、委員長の報告にありますように、一、二点、特に地震の問題等につきましては慎重を要するという報告がありましてその報告を委員会としてはまじめに受け取っておりますから、その占について安心のできるような見通しをつけたい。それがためには、どうしてもなるべく早い機会に皆さんに御了解を得て調査団を向うへ送りたい、こういうことであります。研究用発電原子炉をいれることにつきましてはイギリスあるいはアメリカからも随分いろいろの意見を持ってきますわれわれは聞きます。これは民主、自由、公開の原則によって、全部秘密なしに新聞等の報道機関を通じて発表いたしております。しかし、どれを見ても、御承知のように、確信の持てるという段階にはどうもいっていない。どうしてもこれは日本技術を基本的な研究を進めながら、日本の手によって、それこそ自主的にこの動力の運転にまで行こうという考え方と、現実にエネルギーの需給状況が逼迫しておるをいう、このいわばイバラの十字架を原子力委員会はかぶっておられるような気がするのです。ここをどうするかということが、今日原子力研究開発の重要な路線を決定するわけです。この点については、まだはっきは技術員の一交流を行うということをやらなければならないと考えておりますけれども、何といっても炉を買うというところまではまだ自信、がありません。なお原子力委員会もまだ決定はいたしておりません。
  39. 岡良一

    岡委員 石川さんのアメリカ関係調査の御報告なんか新聞紙で見ると、今おっしゃったように、英国の場合は、地震の関係問題点です。アメリカの場合も、やはりコスト計算なり燃料確保等についてすべてが納得のいく解決に到達しておらない。PWRについては、大型実用炉の具体的設計はまだ固まっておらないというようなことです。そこで早々にまた第二次のミッションを派遣しようというようなことも新聞で拝見しておるのですが、こういう段階でミッションを出して、一体何かもっとめどのつく御返事がおみやげに持って帰れるのですか。
  40. 宇田耕一

    宇田国務大臣 その石川ミッションの報告の補足説明ですが、第三番目の説明のところの終わりに特にかいてあります。それでイギリスの現存のコールダーホールの技術の点は、もう一ぺん行ってその点の念を押すことによって、必ず解決の歩を、進めることができるだろうと言う、こういうミッションの報告でありますから、そのミッションの責任ある報告を尊重したい、こういうのが原子力委員会の決定であります。
  41. 岡良一

    岡委員 東京電力、九州電力などの九電力常務の会議等で、民間の電力業者は自力をもってしてでも営業用動力炉の輸入をすべきであるという、かなり強い意思表示をしております。これに対する取り扱いはどうなさるおつもりでございますか。政府としては、動力協定をいち早く結んで、その上は、政府の授権者としての立場から、これら民間業者とアメリカ側なりあるいは英国側なりのそれぞれのメーカとの間における取引を認めて、そうして動力炉を輸入きせるという方針でございますか。
  42. 宇田耕一

    宇田国務大臣 各電力会社ともに火力発電所の設備資金工作その他をやっております。そうして、その同じ金を外貨によってまかなうという場合に、原子力発電関係動力炉を買うというのがいいのか、あるいは従来の発電機を買うのがいいのか、どっちかというのには、おそらく全部が迷っておると思います。それは、要するにただいま申し上げましたようなわれわれの心配しておる点の問題が解決しなかった場合には、これはとうていわれわれとしては、輸入に対する回答を与えることはできない、こう思います。そういうふうな一連の問題を含んでおるので、われわれはやっぱり調査団を送って、実際の技術的な実情を調べなければならぬ、その調べた結果によって、われわれの立てておるところのただいまの長期計画というものは、そのままでこれは間違いないものと判断するのがいいのか、長期計画に改訂を加える必要が起るのか、それはやっぱり調査の結果に待ちたい、こういうふうに思っておるわけです。
  43. 岡良一

    岡委員 これは一つの原則論なんでございますが、原子力の平和利用という点ですね。これは民間経営にゆだねておるところもありますが、わが国の事情から見まして先ほど私が指摘いたしましたように、いわゆる科学技術振興技術革新というものが日本導入をされるという場合に、特に原子力のように、ここ数年にして、おそらく全く革命的な経済構造なりあるいは生活様式なりの変革を期待し得るようなものは、国が直接やるべきじゃないかと思うのです。こういうものを国内の巨大資本の懇意にゆだねるということは、国家経済のためにも、国民の福祉のためにも私はとらない。これはやはり、英国なりアメリカは軍事的な必要から国家の統制力というものも非常に強くしておるが、日本の場合には、軍事的な必要ではありません。むしろ平和的な必要のためにこれは国がやるべきだ。すでに国費をもってどんどんこうしてその研究開発も緒につき始めておるのです。この成果は、あくまでも国の資金でやりながら、国がその研究開発というものを広げていきながら、それを全国民に分っていくというような方式でやる。日本のエネルギーとしてさらに原子力発電までも巨大産業にゆだねてしまうというようなことは、私はそういう方法は国のためにならないのではないかというふうに思うのです。そういう意味で、電力会社がああして思い思いに原子力発電を入れるんだということを呼号しております、がこういうことに対しては、とにかくやはり国がやるんだというくらいな、大きな方針をとりあえずはっきりあなたの立場から言明するというところまで、一つ打ち出していただくべきじゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
  44. 宇田耕一

    宇田国務大臣 これは非常に重要な問題でありまして、これを国家管理のもとに置くのがいいのか、あるいはそれ以外の方法をとるのがいいのかということは、実は慎重に考えたいと思います。いずれにしてもこの平和で自由ということと公開という三つの基本の、原則に照らしてこの新しい問題は、どういうふうな管理機構のもとに育て上げられるべきものかということは、なおよく検討の機会を与えていた、だきたいと思います。
  45. 岡良一

    岡委員 あとまだ日米濃縮ウランの協定の改訂の問題、あるいは国際原子力機構の問題アジア原子力センターに対する参加の問題、あれやこれやもう少し御方針を聞きたいのですが、今さしあたっての問題でございますが、一つ承わっておきたい。  せっかく外務省の方もお見えでございますから、今度クリスマス島地域において英国が水爆の実験をやるということで、一月中旬に、そのために必要な機関がすでにポーツマス港を出発した。そこで日本としても厳重にその禁止方の要請をいたしておる。これに対して、最近の新聞によれば、わが方の西大使に対して、英国の外務省から何らかの返答があった。その返答の内容をここですっかり一つ明らかにしていた、だきたいと思います。
  46. 服部五郎

    ○服部政府委員 イギリス側の回答につきましては、昨晩、西大使から電報が参りまして、内容はわかっておるのでありますが、きょうの五時にイギリス側と共同発表する取りきめになっておりますものですから、それまで、内容についてはお待ちを願いたいと思います。ポイントは、非常な高度で実験を行うので、損害については、日本に対しては何らの危険がないということを理由にしておるようであります。もっともその損害があるかないかという点については、イギリス側も万全の措置をとり、従来各国が行なってきた経験にも徴して、できるだけ損害のないように努力もするということはつけ加えてございます。
  47. 岡良一

    岡委員 そこで、原子力委員長としての宇田国務大臣にお尋ねしたいのですが、先般ビキ二、エニウェトク海域でアメリカが、実験を行いましたときも、原子力委員会の責任において総合調査をするということでいろいろ御努力を願ったわけであります。今回も、今お聞きのように、英国としてはとにかくやる、三月一日から八月一日までの間にやるとはっきりしているわけです。原子力委員会としては、この調査と、特に国際科学委員会に参加して、日本も重要なパートを受け持っておるわけなんですが、これらも加味して、よほど系統的な、総合的な科学的な調査活動というものを早急に私は展開しなければならぬものだと思う。こういう点について、原子力委員会としては何らかの御検討があるか、あったとすれば、その御方針を承わりたいと思います。
  48. 宇田耕一

    宇田国務大臣 この問題については、ただいま外務省からも話がありましたように、日本日本としての独自の主張や持っておりまして、そうして、それは外務大臣ないしは総理大臣代理を通じて皆さんに申し上げてきたような経過であります。従って、あることを前提として調査をするというところまで、実は政府としては話し合いは入っておらなかったのであります。それで、早急に御趣旨の線に沿って、委員会に諮りたいと思います。
  49. 岡良一

    岡委員 いずれ放射能のいろいろな影響等の問題もあわせて、これは厚生関係等にも御出席願いたいと思いますので、私の質問はこれで打ち切りますが、すみやかに原子力委員会としては、国民の納得のいく調査対策をきめて、国連では沢田大使が先般事前の届け出、そして国連による監査制というようなことを言っておるが、こういうものが軍縮小委員会に回されており、アメリカでは水爆実験をやめる、核兵器の生産を停止しよう、ソビエトは水爆の実験をやめようということも、ゼスチュアかもしれないが、一括軍縮小委員会に回されておるという段階ですから、日本としては当然厳重な調査——これは日本の方でも政府はあらゆる努力を傾け、あらゆる機能を網羅して、徹底的にやってもらいたいと思います。前回の調査においても、相当な実績は上っておるように思いますが、さらにやってもらいたいと思います。原子力委員会としては、この問題を取り上げて、いかなる方法によって、いかなる予算をもってやるかという計画の内容、規模等について、できるだけすみやかに当委員会に御報告願いたいと思います。
  50. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいまの岡委員の御趣旨に沿って、委員会において直ちにその対策を協議いたしたいと存じます。御了解願います。
  51. 菅野和太郎

    菅野委員長 原茂君。
  52. 原茂

    ○原(茂)委員 だいぶ時間がたっておりますので、簡潔に二点だけお伺いいたします。きょうの御説明の中で、一応お伺いしておきたいと思いますが、先ほどからの岡さんの質問を通じまして問題になった焦点にも関連があるわけですが、科学技術庁試験研究助成等を行うとき、その成果ともいうべき技術の移転——民間への移転もあるし、民間から技術庁への移転もあるわけです。こういう技術の移転というものが行われて切めて科学技術振興ということが行われるわけです。またそのことの行われ方によっては、大企業本位になってきたり、中小企業に非常に冷淡になったりということがあり得るわけです。従って、この技術の移転というものには、ある一定のルールというものがおそらくできているのではないかと思いますが、受け入れる場合と、あるいは技術庁から民間技術を移転させる場合に、どういうものができておるのか、そのルールをお聞きしたい。このことは、今何か科学技術試験研究助成に新たな予算を取ってみたり、また科学技術情報活動強化をされる、または発明助成をするといったことにも関連があるわけなんですが、こういうことを通じて技術振興を行おうとする中心になるものは、やはり技術民間との交流、移転にあるわけです。その移転のルールというものは、どういうところに基準を置いてなさろうとするのか、しているのか、この点をお伺いしたいのであります。
  53. 原田久

    原田政府委員 御説明申し上げます。ただいまの御質問は、科学技術庁試験研究機関の成果及び民間研究機関研究成果について相互間あるいは一方に移転が行われるような場合があるのではないか、そうした場合に何かルールがあるのか、こういう御質問のようでございますので、その点について申し上げます。  科学技術庁の所管しております研究機関は、先刻御説明申しましたように、ただいまのところ航空技術研究所金属材料技術研究所との二カ所ございます。来年度はさらに放射線総合医学研究所というものができるようになります。こういった研究機関研究の成果を生み出しました場合に、従来はその研究成果は、いわゆる学術的なものでありますれば学会誌その他研究所の機関誌、そういったものを通じて公表しております。それから、もしそういったものが工業所有権、特許権というような形にあります場合には、民間の申し出に基きまして、しかるべき対価を受け取ってその実施を許諾するという形をとるという予定になっております。こういう形式は、科学技術庁研究機関のみではなくして、各省庁試験研究機関につきましても、大体同様の形態が生まれております。  それから、民間研究成果が科学技術庁研究機関導入される場合はどうかということでございますがいわゆる研究報告書というようなものは自由に導入されておりますが、特許権その他工業所有権の関係のあるものにつきましては、必要がある場合は、当然予算を組んで、対価を払ってこれを購入するという形をとらなければならないのではないかと思っております。現在のところ、そういうものはございません。多くの場合、各省庁を通じまして、国立の試験研究機関研究成果は、一定の対価をとって民間に使っていただくという形が一般でございます。御質問の要点に十分答えられなかったと思いますが、一応これで終ります。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 大体私の質問にはそれでいいのですが、その中で、技術庁の方から民間に移転が行われて工業所有権の使用が行われる場合に対価をとる、こういう事実があるのかどうか知りませんが、その工業所有権の使用をめぐって、二、三カ所からその使用権の申請があった場合、ただ時間的な優先順位によってその取得権を与えていこうとするのか、あるいは何か審査機関があって審査をした上で、この企業ならこれは工業化が適当であるといった企業の規模あるいは力等を認定する機関があって、そういうことを決定されるのか。なお、その対価を決定するときには、対価を決定する何か特定の機関があるのか。科学技術庁のみがこれを行うのか。あるいは民間にそういったものを諮問するという形を間接的にとるような機関を設けてその対価の決定をなさるのか。この点についてお伺いいたします。
  55. 原田久

    原田政府委員 科学技術庁にすでに存在します二つの研究機関は、まだ建設途上でございまして、ただいまの御質問のような、現実に特許権があって、それを民間で実施してほしいという要望はまだ起きてないと思います。従いまして、その対価を決定するとか、あるいは相手の人を選択するための機関は現在設けておりませんが、将来はそういった要望にこたえるような機関は当然設けなければならないと考えております。これは、各省庁の実例について申し上げますと、通産省関係では、試験研究機関研究成果である特許権などについて民間から希望が出て参りましたような場合には、工業技術院の院長の指揮下にございます機関へ申し入れの条件を出しまして、そこへ関係官が集まる審議機関がございます。そこで公正に決定するという形をとっております。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 将来はそういう機関を設けたい、そういうことを将来のためには考慮したい、こういうお考えですが、実際にその必要の発生してからではおそいので、今からこれは大臣のもとで一つ準備をなさって委員会でそういう機関の内容に関する審議もできるようにしていただきたいと思います。従来、こういう問題を通じてのいろいろなトラブル、が多いものですから、当然将来起きる問題ですから、案をお出しになるのなら、先に十分時間をかけて用意をしてやっていただきたいと思うのです。今の御説明の中で、工業試験所の下に審議会があって、その審議会にかけるかもしれないといったような御意見も織りまぜてあったように思うのですが、もしそういう御意向でしたら、大臣がそういうふうなお考えを持っているのかどうか、今お聞きしておきたい。
  57. 宇田耕一

    宇田国務大臣 原委員のおっしゃることは私は当然と思います。そういう組織、機構をどこが管理するのがいいかということは、これはまたケース、ケースによって、必ずしも一様にいかないものと思います。ただ御趣旨の線に沿ってすみやかにそれを研究しまして、いずれこちらへ報告ないし御協議申し上げることにいたします。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 それでは、第二点の質問に入ります。原子力の御説明の中で、技術者海外派遣がありますが、その派遣しようとする対象国は一体どういうところを想定なさっているのか。
  59. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 三十一年度においては、海外に留学生を三十二名出したのでありますが、三十二年度におきましてはもただいまの予算では、私どもの原子力局で扱う。主として官庁方面の人が三十名それから原子力研究所から大体二十名、燃料公社から五名、民間から希望がありますれば二十何名、これは希望によって変ってくるわけですけれども、三十一年度に比較いたしまして、相当膨大な留学生を出したいと思っております。この留学生の研究対象と申しますか、ただいまの御質問はその点かと思います。けれども、これは必ずしも原子炉そのもののみではないのでありまして、たとえば、燃料の面とか、あるいは材料の面とか、あるいは特にアイソトープの使用方法、あるいはその研究過程の方面についても相当数を占めております。ただ問題は、こちら側の希望はそういうふうにできておりますけれども、相手国の受け入れ方がどうかという問題でありまして、三十一年度におきましては一広く世界の各国——と申してもよけいはないと思うのでありますが、出しておりましたけれども、三十二年度におきましても、それぞれアタッシェを通じ、あるいは外務省を通じまして相手国と交渉の上、できるだけこちらの希望に沿えるような個所に留学生をよけい出すというふうな交渉を進めたいと考えております。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、これは原子炉築造等に必要と書いてありますが、原子炉の購入を前提としての海外派遣ですか。
  61. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 留学生は、先ほど申しましたように、必ずしも原子炉の購入や対象にしたものではないのでありまして、年令から申しましても、二十五才以上三十五才までという年令的な制限もつけまして、大学で申しますと、大体助手クラスから助教授クラスの人というようなねらいでやりますので、むしろ原子力問題に関する基礎的な部面と申しますか、研究的な面を勉強してくるというのが主であります。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 ですから、日本が自主的に必要とするいわゆる原子力技術というものを海外から吸収しよう、こういう建前で派遣するわけですね。従って、最初にお伺いしたように、その派遣されようとする対象国はどこか、どこの国へ派遣しようとなさっているのか。
  63. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 前段の御質問はその通りでありまして、基礎的な勉強をするのが主たる目的でございます。  相手国は、三十一年度におきましては米国、カナダ、英国・スエーデン、ノルウエーかと思いましたが、来年以降はフランス等ももちろん加わってくるだろうと思います。
  64. 原茂

    ○原(茂)委員 去年までは、二、三同僚議員からもこういう質問があったたびに、今の米英、スエーデン等でいいと私は思ったのですが、ソ連と日本の今日のような状態においては、ソ連というものも、私どもがこの方面技術研究もしたいし、見たいと考えるならば、もうその道はある意味で開けていると私は思う。そういう事態になった今年もまだそういった対象国を四カ国だけを相手に考えて去年のイナーシャというか、単なる惰性でやっているこういう考え方にどうも理解できないところがあるのですが、これは大臣、どうお考えになりますか。
  65. 宇田耕一

    宇田国務大臣 私は原委員の御意見の通りだと思います。特に西ドイツにも派遣すべきものだと考えております。ソビエトは当然、向うが受け入れてくれるなら、行かすべきものだと考えております。
  66. 原茂

    ○原(茂)委員 ソビエトで受け入れてくれるならというお話ですが、そういう意思があるなら、すぐソ連の意向を打診すること、が私は必要だと思う。地球はまるいのですから、半分ばかり原子力研究をする必要はない。全面の研究をしたらいい。その意味で、中共でも、最近聞くところによると四カ所、この原子力の特定の研究機関をすでに設置して、しかもこういった意味の技術導入というものに相当大きな関心を持っているということを、私どもの党の勝間清一君が帰りましてから報告を受けたのですが、そういったことを考えてみると、中共、ソ連に対しても、もっと積極的にこういう方面技術を吸収しようとする努力がなされてしかるべきだと思う。これはせっかくの技術者海外派遣ですから、ぜひ今から研究してもらって、その研究した結果が、そういうところも対象国に入れるようになりそうだったら、答えの出たときに委員会で御回答をお願いしたい、こう思うわけです。特に今の科学技術一般の問題でも、海外派遣ということ、がやはりテーマになっています。原子力というと、何かソ連、中共ではいけないような去年までの惰性がある。しかし、一般科学技術の問題で行くんだったら、この海外先進諸国という中には、当然西ドイツ、あるいは東ドイツも入れていいでしょうし、中共、ソ連も入っていいんじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  67. 宇田耕一

    宇田国務大臣 やはり原委員の御意見の通りであります。当然そういう方面に派遣すべきものと考えております。
  68. 原茂

    ○原(茂)委員 これは、先ほど答弁された方にお伺いしますが、やはりこの場合の海外先進諸国の中には、ソ連、中共を含めていますか。
  69. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 先ほど御説明申し上げました三十二年度の留学生の各国別の割り振り等は、まだやっておりません。従いまして、大臣からただいま御答弁があったような趣旨でございますので、その趣旨で研究してみたいと思います。
  70. 宇田耕一

    宇田国務大臣 ただいま佐々木政府委員から申されたのですけれども、ソビエトに派遣するということについては、前任者からも話がありましたので、私は早くからそのことは話はいたしております。それから中共につきましては、自分が中共に参ったときに、原子力に関する向うの研究があるということはわかっております。またウラン鉱等につきましては、われわれ満州その他についてはすでに戦前にわかっておりますから、そういう点については、おそらく日本情報の中にもちゃんとございます。従って事情が許すなら、そういうものについての研究、討議、また新しい貿易の中にそういうものが入り得るかどうかということにつきましては、私は遠慮なしに話をした方がいい、こういうように考えております。
  71. 前田正男

    ○前田(正)委員 私さっきの岡君の質問に関連いたしましてこの際資料を提出していただきたいと思うのです。戦後科学技術発展によって、いろいろな新しい技術とか新しい産業、新しい会社というような部門が相当できつつあるのではないかと思うのです。これはどの程度雇用度の増大になっているか、的確な就業労働者の人口はわかりにくいと思いますけれども戦後の新科学技術発展によって、大体どういう産業においてどういうふうな会社が新設されつつあって大体どの程度就業の拡大をしておるか、労働者の雇用が拡大しておるかというようなことがわかりましたら、一つお願いしたい。  それから、次の問題は、同じく科学技術の問題でありますけれども、今度の合理化によりまして、なるほど、生産指数の向上に比べて顧用量の増大は少いようでありますけれども、しかし全体といたしましては、合理化によりまして、これまた各産業別に相当の雇用量の増大があるのではないかと思うのです。さっき大臣は、第二次産業、第三次産業というようなことを簡単に、抽象的にお話しになっておられましたけれども、抽象的ではなく、もう少し具体的に、資料がありましたならば、第二次、第三次産業合理化によってどれだけ進んでいるかというようなことも一つこの際御提出願いたいと思います。  次に、これは質問としてお願いしたいことなのでありまして、議事進行に関したことでありますけれども、私たちは今度のアメリカとの原子力研究協定の改訂に当りましては、実はこの際動力協定というか、一般協定の改訂の方が当然ではないかと思っておったのであります。そういう申し入れをいたしておりますけれども、過日の委員会におきましては、一応研究協定ということでしてしかもそれをアメリカ政府と交渉されたらしいように聞くのです。新聞にも出ております。そこで、なぜ、そういうようなことになるかということについては、単に協定の問題だけではなしに、今後原子力開発計画構想につきまして、根本的な考え方の違いが相当ここに生まれてくると思いますので、この委員会の考え方に対しましては、私たちもこの際当特別委員会において明らかにする必要があると思うのであります。つきましては、次回の委員会には、原子力常勤委員である石川及び藤岡両常勤委員に出ていただきまして与党の考え方と原子力委員会の考え方について意見をただしたいと思っておりますので、委員長の方から、出席をしていただくように一つお願いをしておきます。
  72. 菅野和太郎

    菅野委員長 今の前田委員の御意見については、了承いたしました。
  73. 齋藤憲三

    ○齋藤委員 資料を一件だけお願いいたしたいのです。原子燃料公社予算は、今度だいぶふえまして、積極的に国産ウランの開発をやらなければならぬことになっておりますが、これは、建前上、通産省の地質調査所の概査の上に精査、探鉱をやるということになっておりますので、この進捗状況はどうなっておるか、一つ資料として提出していただきたい。なおこの中には、問題となりました精練の構想が含まれているわけですから、どういう実施方法を考えているか、これも資料として出していただきたい。
  74. 菅野和太郎

    菅野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十九日午後一時より開会し、質疑を続行いたします。   これにて散会いたします。     午後三時五十五分散会