○
山下政府委員 私ども中小鋼
造船所対策といたしまして昨年の初めからいろいろ
考えておったわけでありますが、御
承知のように現在鋼材の点または資金の点または労務の点、それらの点につきまして中小企業が非常に苦しい立場にございます。と申しまするのは、御
承知のように中小企業は規模がそれぞれ小さくて、自分たちのほんとうに必要と思うことを公けの場でなかなか言い得ない立場にあります。どうしても大きな
造船所の下積みとなりまして、それらの声が十分に通らない。私ども事情はわかっておりますが、かりに鋼材を持ち出すにしましても、中小企業の需要が幾らあるのか、またどの
程度充足されておるのかという的確な
資料に基いてしかるべきところに強硬な交渉をしませんと、あやふやな数字ではなかなか折衝がしにくいというような事情があったわけでございます。従いまして私ども昨年からこの中小企業の組織化の問題につきましていろいろ研究を進めておったのでございますが、第一番に
考えましたことは、中小企業だけで一つの組合を作らせるということで、そうしてその組合が積極的に動くということも一つの
方法であったかと思います。しかし中小企業が一つにまとまるということは、お互いの
業者がそれぞれ規模が小さいし、それにリーダー・シップをとってやろうという人がなかなかない、またそれらの経費をはじき出すのにもそれぞれの立場がございまして、なかなか困難であったのでございます。従いまして私どもとしましては、中小企業をレベル・アップするためには、やはり大きな企業がこれに手を貸すべきだと思います。たとえば船の設計をいたしまするのにも、中小企業だけ集まっていろいろ相談したのではなかなかいい設計はできません。しかしこれに大企業が知恵を貸しました場合には、設計その他
建造等につきましても十分な援助ができるのではなかろうか、ことに賠償
関係等の小さい船の注文がありました場合に、中小企業だけでいろいろ設計してかりに誤まりができましたときには、やはりこれは
日本の
造船所の名誉にも関することでありまして、従いまして中小企業だけの問題ではなくて、
日本全般の問題にもこれは
関係があるというので、やはり大きな企業があらゆる面において力を貸していくというのが一番妥当ではなかろうか、こういうふうに
考えたわけであります。従いましてこの中小企業の取りまとめにつきましては、地区別に一つの組合を作りまして、その組合が中央の公益法人であります
日本造船工業会に加入をする、そうして
日本造船工業会の中にいわゆる中小企業対策部というものを作りまして、その対策部におきまして中小企業の直面しておりますいろいろな案件につきまして真剣に取り上げて解決をはかる、また役所といたしましてもそれに極力協力をする、こういうような形をとるのが適当であるというような結論に達したわけでございます。現在のところ、
海運局の行政の管轄の範囲に各地区に大体一つ
——地区によりましてはそういう組合の結成のできないところもございますが、それは他の地区に参加を願うということで、各地区に組合が結成されまして、それが中央の
造船工業会に団体加入をするというようになっております。中小企業のことでございますから、多くの会費を納めるというわけにもいきませんので一つの企業体が負担します額として、
年間の数字はちょっと忘れましたが、一・四半期に二万円
程度の会費で参加することに
予定いたしております。大体近くその組織ができると思っております。